以下において、図面を参照しながら、本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用することができる。
以下において、図面を参照しながら、本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用することができる。なお、以下においては、互いに直交する3方向をX方向、Y方向、Z方向と示す。
(実施形態)
図1~図4を用いて、本実施形態の電力変換装置100に関して説明する。電力変換装置100は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車などの車両に搭載可能に構成されており、バッテリの電力を電力変換してモータを駆動する。しかしながら、本開示は、車両以外であっても搭載可能であり、モータ以外を駆動するものであってもよい。
電力変換装置100は、図2、図3、図4に示すように、リアクトル21、スイッチング素子を含む半導体装置32、回路基板40、平滑コンデンサ60などを含む回路部を備えている。回路部は、インバータやコンバータを構成している。リアクトル21、半導体装置32、回路基板40、平滑コンデンサ60は、電力変換回路を構成する回路部品に相当する。各回路部品は、バスバなどを介して電気的に接続され、電力変換回路を構成している。
また、電力変換装置100は、ばね部50などを含んでいてもよい。さらに、電力変換装置100は、回路部(回路部品)、ばね部50など収容する筐体71~74を備えている。
なお、回路部は、上記構成要素以外の回路部品を備えていてもよい。その他の回路部品としては、フィルタコンデンサや放電抵抗などをあげることができる。また、回路部に含まれる回路部品は、電力変換装置100の機能に応じて適宜選択される。例えば、電力変換装置100は、コンバータを含まない場合、リアクトル21を備えていなくてもよい。
図1に示すように、電力変換装置100は、トランスアクスル200に固定可能に構成されている。電力変換装置100は、トランスアクスル200上に配置され、ボルトなどの固定部材によって、トランスアクスル200に固定される。本実施形態では、トランスアクスル200に対してY方向に電力変換装置100が搭載された例を採用している。なお、Y方向は、積層方向とも言える。
トランスアクスル200は、ハウジング内にトランスミッションやデファレンシャルギアなどのギア機構、電力変換装置100によって駆動されるモータなどが収容されている。トランスアクスル200のギア機構は、例えば、シャフトを介して、エンジン及び駆動輪と連結されている。このように、トランスアクスル200は、ギア機構を有しているためギアボックスと言い換えることもできる。
トランスアクスル200は、ハウジングの開口を塞ぐハウジングカバー210を備えている。トランスアクスル200は、ハウジング内にギア機構やモータなどが収容された状態で、ボルト220によって、ハウジングカバー210がハウジングに固定されている。トランスアクスル200は、ボルト220によって、ハウジングカバー210がハウジングに固定されるため、ボルト220のZ方向への対向領域にデッドスペースが形成されやすい。なお、電力変換装置100とトランスアクスル200との固定構造に関しては、後程説明する。
なお、トランスアクスル200は、被取付体に相当する。被取付体は、トランスアクスル200に限定されず、モータ、ジェネレータ、モータジェネレータ、エンジンなどであっても採用できる。
収容部10は、フィルタコンデンサや放電抵抗などを備えている。また、収容部10は、例えば、フィルタコンデンサや放電抵抗を収容可能なケースと、ケース内に配置されたフィルタコンデンサや放電抵抗を封止する封止樹脂などとを備えている。フィルタコンデンサや放電抵抗は、半導体装置32などと電気的に接続可能とするために、端子が露出した状態で封止樹脂によって覆われている。封止樹脂は、電気絶縁性の樹脂であり、例えばエポキシ系の樹脂などを採用できる。
収容部10のケースは、例えば凹形状をなしたものを採用することができる。この場合、ケースは、底部と、底部と連なって設けられた環状の側壁とを有し、底部に対向する位置が開口している。また、収容部10は、下ケース72の凹部に配置されて、ボルトなどの固定部材によって下ケース72に固定されている。
なお、収容部10は、これに限定されず、封止樹脂を備えていなくてもよい。また、収容部10は、放電抵抗のみを収容していてもよいし、フィルタコンデンサのみを収容していてもよい。さらに、収容部10は、フィルタコンデンサや放電抵抗とは異なる素子を収容していてもよい。
リアクトル部20は、図2に示すように、リアクトル21、リアクトル封止部22などを備えている。また、リアクトル部20は、下ケース72に一体的に形成されたリアクトルケースに収容(配置)されている。リアクトルケースは、下ケース72の一部が周辺よりも突出した部位である。本実施形態では、Y方向に突出したリアクトルケースを採用している。リアクトルケースは、リアクトル21を囲うように環状に設けられている。また、リアクトルケースは、リアクトル21を収容可能な収容空間や凹部とも言える。
リアクトルケースは、下ケース72の一部であるため、下ケース72におけるリアクトル配置部とも言える。また、リアクトルケースは、下ケース72と同じ金属を主成分として構成されている。この場合、電力変換装置100は、大電流の交流を通電することにより、リアクトル21から発生するノイズを、リアクトルケースで遮蔽することができる。よって、電力変換装置100は、リアクトル21から発生するノイズがスイッチング素子などに悪影響を与えることを抑制できる。
なお、ノイズの遮蔽を目的とする場合、リアクトルケースは、リアクトルカバーによって、開口が完全に塞がれている方が好ましい。しかしながら、本開示は、これに限定されず、リアクトルケース及びリアクトルカバーが樹脂などで構成されていてもよい。
リアクトル21は、リアクトルケース内に配置されている。そして、リアクトル21は、半導体装置32などと電気的に接続可能とするために、端子が露出した状態でリアクトル封止部22によって覆われている。リアクトル封止部22は、電気絶縁性の樹脂であり、例えばエポキシ系の樹脂などを採用できる。
なお、リアクトルケースは、下ケース72と別体に形成されたものであっても採用できる。この場合、リアクトルケースは、溶接、嵌合、ねじなどの固定部材によって下ケース72に取り付けられる。
パワーモジュール30は、図1、図2に示すように、冷却器31、半導体装置32などを備えている。冷却器31は、半導体装置32を冷却するためのものである。また、冷却器31は、半導体装置32に含まれているスイッチング素子を冷却するものと言える。
冷却器31は、第1水路口31a、第2水路口31b、連結水路31cなどが取り付けられており、冷却水が流れる半導体冷却水路が設けられている。連結水路31cは、第2水路口31bと、後程説明する第3水路口75とを連結する部材である。電力変換装置100は、連結水路31cを介して、冷却器31と冷却水路80とが連結されている。よって、電力変換装置100は、冷却水路80によって、冷却器31と冷却水路80との間で冷却水が流れるように構成されている。
なお、冷却器31は、例えば、特開2018-101666号公報に記載されたものなどを採用することができる。冷却器31は、各半導体装置32が過熱するのを抑制する、又は、各半導体装置32の熱を放熱すると言い換えることができる。よって、半導体装置32は、冷却器31に取り付けられ、冷却器31によって冷却される。本実施形態では、冷媒として冷却水を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されない。
半導体装置32は、例えば、二つのスイッチング素子とヒートシンクを兼ねた端子とが樹脂部材で封止されて一体化されたものを採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されない。
電力変換装置100は、複数の半導体装置32を備えている。つまり、電力変換装置100は、コンバータ用の半導体装置32と、インバータ用の半導体装置を備えている。複数の半導体装置32は、冷却器31に取り付けられている。
本実施形態では、スイッチング素子として、IGBTとダイオードを備えたRC-IGBTを採用している。このダイオードは、IGBTと逆並列に挿入されるフリーホイールダイオードと同様な働きをする。しかしながら、本開示は、これに限定されず、スイッチング素子3として、MOSFETや、RC-IGBTとは異なるIGBTなどを採用することができる。なお、スイッチング素子としてIGBTを採用した場合、半導体装置32は、IGBTと逆並列に接続されるフリーホイールダイオードを含んでいてもよい。
パワーモジュール30は、図2に示すように、上ケース71に収容されている。そして、パワーモジュール30は、ばね部50からZ方向に押圧された状態で、上ケース71に保持されている。このばね部50は、パワーモジュール30に対して圧縮荷重を与える加圧部材と言い換えることもできる。本実施形態では、各半導体装置32を両面から冷却する冷却器31を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されない。
さらに、パワーモジュール30は、各スイッチング素子のゲートが回路基板40に電気的に接続されている。回路基板40は、樹脂などの電気絶縁性部材に導電性の配線が設けられている。回路基板40は、回路を構成する素子及び低圧信号コネクタが配線と電気的に接続された状態で実装されている。
また、回路基板40は、各スイッチング素子のゲートと配線とを電気的及び機械的に接続するために、例えばスルーホールが設けられている。つまり、スルーホールは、配線の一部が形成されており、各スイッチング素子のゲートに接続されたゲート端子が挿入される。そして、回路基板40は、スルーホールにゲート端子が挿入された状態で、はんだなどの導電性接続部材を介して、各スイッチング素子のゲートと電気的及び機械的に接続されている。低圧信号コネクタは、回路基板40の配線を介してゲート端子と電気的に接続されている。なお、回路基板は、ボルトなどの固定部材を介して上ケース71に固定されている。
平滑コンデンサ60は、図3、図4に示すように、下ケース72上に配置されている。本実施形態では、収容部10やパワーモジュール30よりもY方向の高さが高い平滑コンデンサ60を採用している。このため、平滑コンデンサ60は、下ケース72から上ケース71にわたって配置されている。
ここで、電力変換装置100の筐体に関して説明する。図2に示すように、本実施形態では、上記筐体の一例として、上ケース71と、下ケース72と、上カバー73と、下カバー74とを含むものを採用している。
筐体71~74は、例えばアルミニウムなどの金属を主成分として構成されている。筐体71~74は、熱伝導率が良好な材料によって構成されると好ましい。これによって、電力変換装置100は、リアクトル21や平滑コンデンサ60などから発せられた熱を筐体71~74の外部に放熱しやすくなる。
また、後程説明するが、下ケース72と下カバー74との間などには、冷却水が流れる冷却水路80が設けられている。このため、電力変換装置100は、熱伝導率が良好な材料によって下ケース72が構成されていると、リアクトル21や平滑コンデンサ60などを効率的に冷却できるので好ましい。しかしながら、筐体71~74の構成材料は、アルミニウムに限定されない。
図2に示すように、電力変換装置100は、上ケース71と下ケース72が組み付けられることで、回路部やばね部50を収容する収容空間が形成される。上ケース71と下ケース72は、Y方向に積層されて配置されている。
上ケース71は、環状の側壁と、側壁の端部に連なる上壁とを有している。また、上ケース71は、側壁における上壁とは反対側の端部に上ケースフランジ部を有している。この上ケースフランジ部は、下ケース72との固定部位である。さらに、上ケースフランジ部には、第3水路口75が設けられている。第3水路口75は、連結水路31cの一端が取り付けられる部位であり、上ケースフランジ部をY方向に貫通する部位である。第3水路口75は、上ケース71と下ケース72とが組み付けられることで、下ケース72の冷却水路80と連通される。このため、第3水路口75は、冷却水路80の一部とみなすことができる。
上ケース71は、主に、リアクトル部20、パワーモジュール30、回路基板40、平滑コンデンサ60が側壁で囲まれた領域に配置されている。また、上ケースの上壁は、リアクトル部20、平滑コンデンサ60上に配置されており、回路基板40上に開口が設けられている。上カバー73は、上ケース71の開口を塞ぐように、上ケース71に取り付けられている。上カバー73は、例えばボルトなどの固定部材によって、上ケース71に固定されている。
上ケース71は、パワーモジュール30が配置される部位と、回路基板40が配置される部位とが設けられている。本実施形態では、パワーモジュール30上に回路基板40が配置可能な構成を有する上ケース71を採用している。さらに、上ケース71は、パワーモジュール30に対向する位置に収容部10が取り付けられている。このため、上ケース71は、トランスアクスル200側から、収容部10、パワーモジュール30、回路基板40の順番で積層配置できるような構成をなしている。
下ケース72は、図1~図4に示すように、環状の側壁と、側壁の端部に連なる底壁とを有している。また、下ケース72は、側壁における底壁とは反対側の端部に下ケースフランジ部F1を有している。この下ケースフランジ部F1は、上ケース71との固定部位であり、且つ、トランスアクスル200に対する固定部位である。上ケースフランジ部と下ケースフランジ部F1とは、例えばボルトなどの固定部材によって固定されている。下ケースフランジ部F1は、固定部に相当する。
下ケースフランジ部F1は、図2に示すように、トランスアクスル200と対向する対向面を有している。本開示では、この対向面をフランジ面FSと称する。電力変換装置100は、フランジ面FSがトランスアクスル200に接した状態で、トランスアクスル200に固定される。フランジ面FSは、例えば平坦面などを採用できる。
下ケース72の底壁は、収容空間側にリアクトルケースと、平滑コンデンサ60の搭載部を有している。下ケース72の底壁は、収容部10に対向する部位も有している。このため、この底壁の対向領域に、回路部が配置されていると言える。電力変換装置100は、一例として、収容部10とリアクトル部20とがZ方向に隣り合って配置されており、収容部10と平滑コンデンサ60とがX方向に隣り合って配置されている。しかしながら、本開示は、これに限定されない。
下ケース72は、第3水路口75に対向する部位に、冷却水路80の一部である穴部が設けられている。また、下ケース72は、底壁の収容空間とは反対側に、冷却水路80の一部となる溝部が設けられている。この穴部と溝部は、連通している。つまり、穴部は、下ケースフランジ部F1から溝部に達する貫通穴と言える。溝部は、収容部10、リアクトル部20、平滑コンデンサ60に対向する位置に設けられている。溝部は、収容部10、リアクトル部20、平滑コンデンサ60に対向する領域の全域もしくは一部に設けられている。よって、冷却水路80は、収容部10、リアクトル部20、平滑コンデンサ60とY方向に隣り合って配置されていると言える。
下カバー74は、下ケース72の溝部を塞ぐように、下ケース72に取り付けられている。下カバー74は、例えばボルトなどの固定部材によって、下ケース72に固定されている。電力変換装置100は、下ケース72に下カバー74が固定されることで冷却水路80が設けられている。冷却水路80は、流路に相当する。
冷却水路80は、下ケース72と下カバー74との間の領域、及び第3水路口75から下ケース72の溝部に達する領域に設けられている。冷却水路80は、下ケース72の溝部と下カバー74との間に設けられるため、収容部10、リアクトル部20、平滑コンデンサ60に対向する領域の全域もしくは一部に設けられる。このように、冷却水路80は、筐体内に設けられている。そして、冷却水路80は、回路部品の一部として、リアクトル21、平滑コンデンサ60、フィルタコンデンサ、放電抵抗などを冷却するために設けられている。つまり、これらの回路部品の一部は、冷却水路80によって冷却することができる。なお、本開示は、上記以外の回路部品を冷却可能に構成された冷却水路80であっても採用できる。
また、冷却水路80は、第3水路口75から下ケース72の溝部に達する領域に設けられた部位が、平滑コンデンサ60と隣り合って配置されている。これによって、電力変換装置100は、平滑コンデンサ60を二方向から冷却することができる。また、言い換えると、電力変換装置100は、平滑コンデンサ60を二方向から冷却することができるため、平滑コンデンサ60を効率よく冷却することができる。なお、本開示は、平滑コンデンサ60以外の回路部品と隣り合って配置された部位を含む冷却水路80であっても採用できる。
なお、電力変換装置100は、冷却水路80が上ケース71から下ケース72にわたって設けられている。このため、電力変換装置100は、上ケース71と下ケース72の間から冷却水が漏れるのを防止するために、シール部材が設けられている。シール部材としては、例えばOリングなどを採用することができる。これは、下ケース72と下カバー74との間に関しても同様である。
さらに、図1、図2、図3に示すように、下ケース72は、突出部76を有している。突出部76は、回路部品及び冷却水路80の少なくとも一部が配置され、下ケースフランジ部F1がトランスアクスル200に固定された状態でトランスアクスル200内に配置される。突出部76は、XY平面において、下ケースフランジ部F1に対して、上ケース71とは反対側に突出した部位である。つまり、筐体は、Y方向において、フランジ面FSを基準にして、上ケース71とは反対側に突出部76が設けられている。また、突出部76は、電力変換装置100がトランスアクスル200に取り付けられた状態で、ボルト220に対向する領域に達するように設けられている。
本実施形態では、図1、図2に示すように、XZ平面において、上ケース71の収容空間の対向領域全域にオーバーラップする突出部76を採用している。よって、上ケース71の収容空間は、突出部76のY方向への対向領域内に配置される。しかしながら、本開示は、これに限定されない。
本実施形態では、一例として、リアクトル21の一部、平滑コンデンサ60の一部、収容部10の一部、冷却水路80の一部が配置された突出部76を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されず、回路部の一部のみや、冷却水路80の一部のみが配置された突出部76であっても採用できる。さらに、突出部76には、冷却水路80の全体が配置されていてもよい。
電力変換装置100は、突出部76に冷却水路80の一部が配置されている。このため、電力変換装置100は、トランスアクスル200に取り付けられた状態で、回路部とトランスアクスル200のモータなどとの間に、冷却水路80を配置することができる。これによって、電力変換装置100は、回路部とモータとを熱的に分離することができる。よって、電力変換装置100は、リアクトル21や平滑コンデンサ60から発せられた熱がモータに伝達されることを抑制できるだけでなく、モータから発せられた熱が回路部に伝達されることを抑制できる。
また、電力変換装置100は、冷却器31を備えたパワーモジュール30と冷却水路80との間に、収容部10が配置されている。このため、収容部10に収容されたフィルタコンデンサや放電抵抗は、冷却器31と冷却水路80とによって冷却することができるため好ましい。言い換えると、電力変換装置100は、パワーモジュール30と冷却水路80との間に配置された回路部を効率よく冷却することができる。
このように、電力変換装置100は、回路部品及び冷却水路80の少なくとも一部が配置された突出部76を備えている。その突出部76は、下ケースフランジ部F1がトランスアクスル200に固定された状態でトランスアクスル200内に配置される。このため、電力変換装置100は、突出部76が下ケースフランジ部F1よりトランスアクスル200とは反対側に配置されている場合よりも、重心をトランスアクスル200側にすることができ耐振性を向上できる。つまり、電力変換装置100は、回路部品及び冷却水路80の少なくとも一部が下ケースフランジ部F1よりトランスアクスル200とは反対側に配置されている場合よりも、重心をトランスアクスル200側にすることができ耐振性を向上できる。
なお、図1において、丸で囲んだバツ印は、電力変換装置100の重心を示している。例えば、トランスアクスル200との固定位置はかえずに、突出部76がトランスアクスル200外に配置されていた場合を考える(比較例)。比較例の電力変換装置は、フランジ面FSを示している位置でトランスアクスル200に固定され、且つ、フランジ面FSを示している位置に底が配置されることになる。このため、比較例の電力変換装置は、電力変換装置100よりも重心が高くなり耐振性が低くなる。
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、上記実施形態に何ら制限されることはなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。以下に、本開示のその他の形態として、変形例1~4に関して説明する。上記実施形態及び変形例1~4は、夫々単独で実施することも可能であるが、適宜組み合わせて実施することも可能である。本開示は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
(変形例1)
図5を用いて、変形例1の電力変換装置に関して説明する。図5は、図4に相当する断面図である。
変形例1の電力変換装置は、上ケース71aと下ケース72aの構成が電力変換装置100と異なる。変形例1の電力変換装置は、第3水路口75が上ケース71aではなく、下ケース72aに設けられている。このため、上ケース71aは、第3水路口75が設けられていない。一方、下ケース72aは、第3水路口75が設けられている。
変形例1の電力変換装置は、電力変換装置100と同様の効果を奏することができる。さらに、変形例1の電力変換装置は、上ケース71aに第3水路口75が設けられていない、つまり、上ケース71aに冷却水路80が設けられていない。このため、変形例1の電力変換装置は、上ケース71aと下ケース72aとの間から冷却水が漏れることがない。よって、変形例1の電力変換装置は、上ケース71aと下ケース72aとの間のシール部材を省くことができる。
(変形例2)
図6を用いて、変形例1の電力変換装置に関して説明する。図6は、図5に相当する断面図である。なお、図6では、トランスアクスルとの固定部の図示を省略している。変形例2の電力変換装置は、主に、ケース71bの構成が変形例1の電力変換装置と異なる。
ケース71bは、変形例1の上ケース71aと下ケース72aとが一体的に構成されたものに、第1壁部71b1と第2壁部71b2とが設けられている。ケース71bは、上ケース71と同様、アルミニウムなどの金属を主成分として構成されている。なお、ケース71bは、変形例1と同様、上ケースと下ケースとに分割されていてもよい。
また、変形例2の電力変換装置は、回路部を構成する回路部品として、平滑コンデンサ60に加えて、第1回路部品91、第2回路部品92を備えている。第1回路部品91、第2回路部品92は、例えば、リアクトル21や半導体装置32などを採用できる。また、第1回路部品91、第2回路部品92は、リアクトル部20やパワーモジュール30などであっても採用できる。当然ながら、第1回路部品91、第2回路部品92は、これらの回路部品以外であっても採用できる。
ケース71bは、底壁と下カバー74との間に冷却水路80が設けられている。また、ケース71bは、底壁と下カバー74との間に加えて、側壁にも冷却水路80が設けられている。つまり、ケース71bは、変形例1と同様の冷却水路80が設けられている。
さらに、ケース71bは、冷却水路80と接する底壁から突出して設けられた第1壁部71b1を有している。第1壁部71b1は、底壁における周辺よりもY方向に突出した部位である。第1壁部71b1は、例えば平板形状を有している。第1壁部71b1は、ケース71bのその他の部位と一体的に設けられていてもよいし、別体に設けられていてもよい。第1壁部71b1は、ケース71bのその他の部位と別体に設けられている場合、接着剤やボルトなどによって、その他の部位と機械的に接続される。
また、本実施形態では、側壁からX方向に突出した第2壁部71b2を有したケース71bを採用している。しかしながら、変形例2の電力変換装置は、第2壁部71b2を有していなくてもよい。
平滑コンデンサ60は、冷却水路80と第1壁部71b1との間に配置されている。つまり、平滑コンデンサ60は、冷却水路80のY方向に延びる部位と、第1壁部71b1との間に配置されている。さらに、平滑コンデンサ60は、冷却水路80のY方向に延びる部位と、第2壁部71b2との間に配置されている。なお、本開示は、平滑コンデンサ60以外の回路部品が冷却水路80と第1壁部71b1との間に配置されていてもよい。
第1回路部品91は、第2壁部71b2上に配置されている。つまり、第1回路部品91は、平滑コンデンサ60との間に第2壁部71b2が配置される位置に配置されている。第2回路部品92は、第1壁部71b1と隣り合って配置されている。つまり、第2回路部品92は、平滑コンデンサ60との間に第1壁部71b1が配置される位置に配置されている。
変形例2の電力変換装置は、変形例1の電力変換装置と同様の効果を奏することができる。さらに、変形例2の電力変換装置は、第1壁部71b1が設けられているため、第1壁部71b1が設けられてない場合より、ケース71bの表面積を増やすことができる。つまり、ケース71bは、冷却水で冷やされた部位を増やすことができる。よって、変形例2の電力変換装置は、冷却効率を高めることができる。また、変形例2の電力変換装置は、第2壁部71b2が設けられている分、ケース71bの表面積を増やすことができ、冷却効率をより一層高めることができる。
変形例2の電力変換装置は、冷却水路80と第1壁部71b1との間に平滑コンデンサ60が配置されているため、平滑コンデンサ60を効率的に冷却することができる。さらに、変形例2の電力変換装置は、冷却水路80と第1壁部71b1と第2壁部71b2で囲まれた領域に平滑コンデンサ60が配置されているため、平滑コンデンサ60をより一層効率的に冷却することができる。
変形例2の電力変換装置は、変形例1と異なり、上ケース71aと下ケース72aとが一体的に形成されたケース71bを有している。こため、変形例2の電力変換装置は、変形例1よりも、冷却水の漏れを防ぐ箇所を減らすことができる。つまり、変形例2の電力変換装置は、上ケース71aと下ケース72aとの間のシール部材を省くことができる。
なお、ケース71bは、第1壁部71b1内に冷却水路80が設けられていてもよい。これによって、変形例2の電力変換装置は、第1壁部71b1内に冷却水路80が設けられていない場合よりも、冷却効率を高めることができる。
(変形例3)
図7を用いて、変形例3の電力変換装置に関して説明する。図7は、図6に相当する断面図である。なお、図7では、トランスアクスルとの固定部の図示を省略している。変形例3の電力変換装置は、主に、ケース71cの構成と、コンデンサ封止部61を備えている点が変形例2の電力変換装置と異なる。
ケース71cは、ケース71bと同様、アルミニウムなどの金属を主成分として構成されている。なお、ケース71cは、変形例1と同様、上ケースと下ケースとに分割されていてもよい。
ケース71cは、底壁から突出する環状壁部71c1が設けられている。環状壁部71c1は、底壁における周辺よりもY方向に突出した部位である。環状壁部71c1は、ケース71cのその他の部位と一体的に設けられていてもよいし、別体に設けられていてもよい。環状壁部71c1は、ケース71cのその他の部位と別体に設けられている場合、接着剤やボルトなどによって、その他の部位と機械的に接続される。この場合、環状壁部71c1は、その他の部位と隙間なく接続されていることが好ましい。
平滑コンデンサ60は、環状壁部71c1で囲まれた領域に配置されている。平滑コンデンサ60は、環状壁部71c1で囲まれた領域に配置された状態で、コンデンサ封止部61で覆われている。コンデンサ封止部61は、平滑コンデンサ60と環状壁部71c1との間に設けられている。コンデンサ封止部61は、ポッティング樹脂や放熱シートなどを採用できる。コンデンサ封止部61は、熱伝導率が高い材料であると好ましい。これによって、平滑コンデンサ60で発せられた熱は、コンデンサ封止部61を介して環状壁部71c1に伝達されやすくなる。コンデンサ封止部61は、熱伝導性部材に相当する。
変形例3の電力変換装置は、変形例1の電力変換装置と同様の効果を奏することができる。さらに、変形例3の電力変換装置は、平滑コンデンサ60を効率よく冷却することができる。
なお、ここでは、環状壁部71c1で囲まれた領域に平滑コンデンサ60が配置された例を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されず、回路部品の一部が環状壁部71c1で囲まれた領域に配置されていればよい。
(変形例4)
図8を用いて、変形例4の電力変換装置110に関して説明する。図8は、図1に相当する側面図である。電力変換装置110は、主に、突出部76aの構成が電力変換装置100と異なる。
電力変換装置110は、XZ平面において、上ケース71の収容空間の対向領域の一部にオーバーラップする突出部76aを採用している。よって、上ケース71の収容空間は、突出部76のY方向への対向領域と、その周辺に配置される。
電力変換装置110は、電力変換装置100と同様の効果を奏することができる。さらに、電力変換装置110は、トランスアクスル200内における構成要素が配置されていない空きスペースが狭くても、突出部76aをトランスアクスル200内に配置することができる。