JP7104276B1 - デジタル資産の清算処理システム - Google Patents
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Abstract
Description
なお、本願明細書における「システム」とは、コンピュータや他の電子機器、ソフトウェア、通信ネットワーク、データなどの要素を組み合わせて構成された、ソフトウェアによる情報処理を、ハードウェア資源を用いて具体的に実現するコンピュータシステムを意味する。
特に定型化された経済的価値を有する資産、例えば、コモディティ(商品取引所で取引されている商品等)類は、デジタル資産として取引することのできる特性が強い。
そして、従来、ブロックチェーンなどの分散技術で管理されるデジタル資産の取引について、特に企業発行型のトークン(世界的にIEO、国内ではICOと定義されている)で交換・取引所に上場している銘柄についての(証券市場におけるDVP(Delivery Versus Payment:証券の受渡と代金の支払を同時に行う)などの)セトルメント(資金、証券の受渡)処理を行うシステムは存在しない。
その検討・考察の過程において、次に述べる様々な問題があることが判明した。
デジタル資産取引所でのデジタル資産の取引において約定したデジタル資産の清算処理を行うシステムを、スマートコントラクトを備えて構築する場合、個人など個別の取引における清算処理は、単体の清算用スマートコントラクトで現金とトークンを共にロックして行う、もしくは、現金やトークンを先に預け入れて行うようにすることで特に問題はないと考えられる。
これに対し、企業の取引・清算処理であって、例えば、企業であるトークン発行体、暗号資産交換所、暗号資産販売所、デジタル資産取引所の間で、トークンの取引が行われ、それを清算するような場合には、次のような問題が懸念される。
取引において、ネット(相殺)処理にて清算する場合は、トークンの買い超過側が超過分の現金を渡し、トークンの売り超過側が超過分のトークンを渡す。
また、基本的にはネット(相殺)処理で1日1回、もしくは数回に分けて清算を行う。
また、与信の無い企業が先に資産(トークン、デジタル通貨、現金等)を清算相手に渡す。
この場合の取引は、レートの出し手がデジタル資産取引所であり、トークン発行体、暗号資産交換所、暗号資産販売所の夫々の注文は、デジタル資産取引所との相対取引になっているものの、実質的にはトークン発行体、暗号資産交換所、暗号資産販売所の間の取引である。
しかし、清算に際しては、トークン発行体とデジタル資産取引所、暗号資産交換所とデジタル資産取引所、暗号資産販売所とデジタル資産取引所、のように、注文伝票に準じた個別清算の処理概念が生じる。
これらの個別清算において与信が最も低い企業がデジタル資産取引所である場合が想定される。その場合、デジタル資産取引所が先に清算相手に資産を渡すことになる。
例えば、与信の無いデジタル資産取引所が与信のあるトークン発行体と銀行口座経由で現金情報を用いて清算を行う(クリアリングの)場合、デジタル資産取引所が先にトークン発行体の指定する銀行口座へ取引代金を入金し、トークン発行体は取引代金の入金がされたことを確認した後に、デジタル資産取引所へトークンを移動する。
このように、デジタル資産取引所がその資産を渡したことを清算相手が確認した後に、清算相手から取引対象の資産を受け取ることになり、資産は同時には交換されないため、個別清算における資産の受渡ではデジタル資産取引所のリスクが常に存在する。
その場合、例えば、デジタル資産取引所は、与信の高い第三者の指定する銀行における与信の高い第三者名義のデジタル資産取引所口の口座に取引代金を送金する。トークン発行体は、与信の高い第三者のアドレスにトークンを送る。この代金とトークンとの両方が与信の高い第三者に届いたタイミングで、与信の高い第三者は、トークン発行体の指定する銀行口座に代金を送金すると同時に、デジタル資産取引所のアドレスにトークンを送る。
このDVP処理により、デジタル資産取引所は、トークンを確実に得ることができる。
その場合、例えば、デジタル資産取引所は、与信の高い第三者の指定する銀行における与信の高い第三者名義のデジタル資産取引所口の口座に取引代金を送金し、与信の高い第三者は(銀行のAPIを介して自動処理された)着金情報をスマートコントラクトに送る。トークン発行体は、与信の高い第三者のスマートコントラクトのアドレスにトークンを送る。この着金情報とトークンとの両方が与信の高い第三者のスマートコントラクトに届いたタイミングで、与信の高い第三者のスマートコントラクトは、トークン発行体の指定する銀行口座に代金を送金すると同時に、デジタル資産取引所のアドレスにトークンを送る。
このDVP処理により、デジタル資産取引所は、トークンを確実に得ることができる。
セトルメントとして、DVP処理をスマートコントラクトで行う場合、それに適した(同一ブロックチェーンで生成される)デジタル通貨を用いる必要がある。
そして、本発明者は、デジタル通貨とトークンが、それらを管理するDVP処理用スマートコントラクトに預け入れられた段階で、DVP処理用スマートコントラクトがデジタル通貨とトークンとの同時受渡を行うようにすることを考えた。
その場合、例えば、デジタル資産取引所は、与信の高い第三者の指定するスマートコントラクトのアドレスに代金分のデジタル通貨を移動する。トークン発行体は、与信の高い第三者のスマートコントラクトのアドレスにトークンを送る。
この代金分のデジタル通貨とトークンとの両方が与信の高い第三者のスマートコントラクトに届いたタイミングで、与信の高い第三者のスマートコントラクトは、トークン発行体の指定するアドレスに代金となるデジタル通貨を送金すると同時に、デジタル資産取引所のアドレスにトークンを送る。
このDVP処理により、デジタル資産取引所は、トークンを確実に得ることができる。
デジタル資産取引所が、デジタル資産の取引参加者である企業からの委託を受けて資金を管理する方法としては2種類の方法がある。
デジタル資産取引所が、デジタル資産の取引参加者である企業からの委託を受けて資産を管理する第1の方法は、与信が無い中堅金融機関や事業会社である場合の管理方法である。
デジタル資産の取引参加者が大手の暗号資産販売業者等ではなく、与信が無い中堅金融業者などである場合、デジタル資産取引所の管理口座に現金やトークンを先に預け入れ、前払いし、その範囲内で取引をする個人と同じ処理になるなど、直接的にはDVP処理ができない場合が想定される。
本発明者は、デジタル資産取引所が与信の無い企業からの委託を受けて資金を管理するような場合に、DVP処理を行うことができるようにするために、分別管理の方法を用いることを考えた。
管理口座で管理する現金については、自己分と委託分を分け、委託分を信託銀行などにおける自己とは別の委託口座に現金を移動し、当該別の委託口座で管理を行う。
しかし、分別管理の方法を用いた場合、信託銀行に預けた現金を引き出す処理について問題が生じる懸念がある。
信託銀行の管理口座に資産が預けられている場合は、個別取引において預けられている資産から充当する口座間決済処理で済む。
しかし、当該顧客から出金依頼があり、出金額が高額である場合に面倒となる虞がある。
信託銀行では、複数の送金担当者を割り当てるなどにより、単一個人の不正要因を回避している。
しかし、複数の送金担当者が共謀して不正を働く可能性も懸念され、そのような不正を未然に防ぐことを考える必要がある。
詳しくは、信託銀行によって管理されている委託分の現金を把握し、それを担保のよう(実際には担保にはできない)に取扱い、一時的に現金を調達する方法を考えた。
これを実現する方法として、信用力の高い短資会社などの金融機関(以下の説明では、例えば、「与信の高い金融機関」と称することとする。なお、与信の高い金融機関は通常の銀行でも良い。)を考え、短期資金(レポ)的に処理を組み入れることを考えた。
デジタル資産取引所は、与信の高い金融機関に、信託銀行での委託分の現金の管理内容(データ)を電子的に引き渡す。そして、当該与信の高い金融機関に、引き渡された委託分の現金の管理内容(データ)の範囲内でデジタル資産取引所に対するデジタル通貨の融資を行わせるようにする。
このデジタル通貨の送付トランザクション(トランザクションの生成は短資会社等の与信の高い金融機関が行う)の承認を当事者(デジタル資産取引所)だけではなくデジタル資産取引所と融資する与信の高い金融機関とがペアで行うようにする(マルチシグ)。
この融資(当該与信の高い金融機関が直接的にそのまま送金処理をするのが望ましい)によるデジタル資産取引所への送金が完了したことを示す、当該与信の高い金融機関の送金データを信託銀行側に送り、信託銀行は当該与信の高い金融機関へ、デジタル資産取引所への送金分の金額を送るようにすることが望まれる。
当該与信の高い金融機関によるデジタル資産取引所に対して融資するデジタル通貨の送金が完了したことを、送金トランザクションの処理済みデータから信託銀行が確認できたときに、信託銀行がデジタル資産取引所に融資した当該与信の高い金融機関へ、デジタル資産取引所へのデジタル通貨の送金分と同額の金額を送ることが望まれるが、実際には、信託銀行によって委託分の現金を管理されているデジタル資産取引所名義の口座から、デジタル資産取引所以外の他者が現金を引き出すことはできず、信託銀行は該当金額を当該与信の高い金融機関へ直接送ることができない。
デジタル資産取引所が、デジタル資産の取引参加者である企業からの委託を受けて資産を管理する第2の方法は、与信のある企業間でDVP処理を行う場合の、特殊処理である。
ここでのDVP処理は、企業に与信があり、後払い処理(T+1やT+2での後日清算)が前提となる。なお、T+1やT+2等の清算日は、デジタル資産の取引注文の際に取引参加者によって注文データの一部として設定され、ブロックチェーンに注文データとして記録されること等により、清算処理よりも前の時点において予め定められているものとして考えた。
デジタル通貨を入手するためには、資金を特定の口座(信託銀行等)に預け、それをベースにデジタル通貨を発行(交換、もしくは変換)する必要がある。
しかるに、例えば、暗号資産販売所、デジタル資産取引所、暗号資産交換所が取引を行った場合、基本的には暗号資産販売所とデジタル資産取引所、デジタル資産取引所と暗号資産交換所が清算を行うことになる。
ただし、これではデジタル資産取引所が二重に清算処理を行うことになり、また、デジタル資産取引所が常に先に資産を相手へ渡す処理となることから、財政余力がないと処理が困難となり、破綻要因になる虞がある。
実際にはデジタル資産取引所は仲介しているだけであり、暗号資産販売所、暗号資産交換所等の取引参加者同士が直接的に清算を行う処理は可能と考えられる。
なお、清算相手の資産が不足しているときは、DVP処理用スマートコントラクトに預けた現金やトークンを指定アドレスには移さないようにする。
この日付までに、各暗号資産販売所等の取引参加者は、DVP処理用スマートコントラクトで清算処理できるように、指定されたデジタル通貨を準備することを前提として考えた。
しかし、デジタル資産取引を行う企業が暗号資産販売所など金融機関の場合は、T+1処理でも対処可能であるが、非金融機関もデジタル資産取引の対象企業となり、デジタル資産取引を行う企業が事業会社等の非金融機関である場合に清算日が統一できず、清算処理が煩雑化するという問題がある。
上述のとおり、デジタル資産の取引については、決済などを主業務とする金融業者以外にも、非金融業者である商流の大手業者が取引参加者となりうる。
商流の大手業者(例えば、流動性供給者となる、トークン発行体)も、直接的にDVP処理にてトークンや現金を清算することになるが、商流の大手業者のDVP処理による清算においては、主に既存のバックオフィスの都合等で現金部分の受渡がT+2になってしまい易い。
しかるに、金融業者、非金融業者が取引において約定したデジタル資産を一括でDVP処理するには、清算日を統一する必要がある。そうすると清算日が金融業者、非金融業者における一番遅い日(例えば、上記の場合はT+2)に限定されてしまうことになる。
このため、トークンを管理する観点から、極力、リアルタイムでの清算処理を所望するニーズが発生しうる。
しかし、上述した商流の大手業者等の清算事情により、トークンの受け取り日はT+2になってしまうことになる。
また、ゴールデンウィークや、年末年始などの長期休暇の期間中の営業に関し、暗号資産販売所は年中無休であるが、トークン発行体などの商流の大手事業会社は休業期間が多くなる等、取引参加者によって営業日の概念が異なる。
このため、清算日をT+2に統一化しても、取引参加者ごとに営業日の概念が異なるため、実際の清算処理を同日に行うことが難しくなることが懸念される。
これらの問題を回避する方策としては、清算日をT+2にせざるを得ないことに起因する事情を有する非金融の事業体が、トークンの早期受け取りを必要とする暗号資産販売所に与信を出し、トークンを貸し付けることなどが考えられるが、そのための手続きや処理が非常に煩雑化する。
例えば、非金融の事業体が、暗号資産販売所の購入済トークンを、暗号資産販売所に貸し付けるトークンの担保として設定することが必要になり、業務が煩雑化してしまう。
そのため、DVP処理用スマートコントラクトに対し、清算相手となる取引参加者や、清算日または清算方法を、トークンやデジタル通貨の預け入れ時等に指定することで、清算処理よりも前の時点において予め定められた清算日よりも早期の清算処理(長期休暇の場合などイレギュラーな清算日となる場合における早期の清算処理等)が実現可能となる。
このようにすれば、所定の清算条件が合致したタイミングでの清算情報に基づく、清算処理よりも前の時点において予め定められた清算日よりも早期の清算処理を具現化できる。
このようにすれば、清算相手となる取引参加者ごとに、清算処理よりも前の時点において予め定められた清算日よりも早期の清算処理が可能となる。
このようにすれば、清算相手となる取引参加者ごとに、夫々の清算日または清算方法で、清算処理よりも前の時点において予め定められた清算日よりも早期の清算処理が可能となる。
このようにすれば、清算当日において清算するためのトークンが不足している取引参加者であっても、清算相手の取引参加者が所望する場合にその時点での未清算分を集計して、清算処理よりも前の時点において予め定められた清算日よりも早期の清算処理が可能となる。
このようにすれば、デジタル通貨を用いなくても、清算処理よりも前の時点において予め定められた清算日よりも早期の清算処理が可能となる。
このようにすれば、トークンとデジタル通貨ついての清算処理を1つのDVP処理用スマートコントラクトを用いて行うことが可能となる。
このようにすれば、デジタル通貨を管理するスマートコントラクトのベースとなるブロックチェーンと、トークンを管理するスマートコントラクトのベースとなるブロックチェーンとが異なっていても、所定の清算条件が合致した場合に、所定の清算条件が合致したタイミングでの清算情報に基づいて、清算処理よりも前の時点において予め定められた清算日よりも早期のデジタル通貨とトークンとの清算処理が可能となる。
このようにすれば、清算当日において清算するためのトークンが不足している取引参加者であっても、清算相手の取引参加者が所望する場合にその時点での未清算分を集計して、清算処理よりも前の時点において予め定められた清算日よりも早期の清算処理を具現化できる。
このようにすれば、デジタル資産取引所が取引参加者である与信の無い企業からの委託を受けて信託銀行にて管理する現金について、デジタル資産取引所が当該与信の無い企業から引き出し請求を受け、引き出し請求額相当分のデジタル通貨の融資を与信の高い金融機関から受けた場合において、与信の高い金融機関から融資を受けた額相当分のデジタル通貨を即座に信託銀行にて管理する現金から与信の高い金融機関への返済が可能となる。
このようにすれば、与信の高い金融機関からデジタル資産取引所に対して融資するデジタル通貨の送金トランザクションの信頼度が向上し、信託銀行が送金トランザクションの処理済みデータを確認しデジタル資産取引所の融資口管理アドレスへデジタル通貨を移す際の、信託銀行からの不正な現金の引き出しを防止できる。
このようにすれば、清算処理よりも前の時点において予め定められた清算日よりも早期の清算処理を促進させることが可能になる。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行うこととする。
図1は本発明の第1実施形態に係るデジタル資産の清算処理システムの全体構成を概略的に示す説明図である。
第1実施形態のデジタル資産の清算処理システムは、トークン(ブロックチェーン等の分散技術においてデジタルで定義される価値などの総称)、デジタル通貨、トークンとデジタル通貨、もしくはトークン同士、デジタル通貨同士など、あらゆる形態のデジタル資産間による取引を管理するための、少なくとも1種類のブロックチェーン等の分散技術における分散型台帳と、該分散型台帳に管理されるデジタル資産を用いた所定の処理を行うためのスマートコントラクトを備えて構築される、デジタル資産取引所でのデジタル資産の取引において約定したデジタル資産の清算処理を行うシステムであって、図1に示すように、約定したデジタル資産同士の、互いに約定した取引参加者への同時受渡を行うDVP処理用スマートコントラクト11を備えている。また、本実施形態のデジタル資産を用いた清算処理システムは、DVP処理用スマートコントラクト11の他にも、一時的処理データ管理手段12、第2価値構成要素設定データ管理手段13、トークン生成用スマートコントラクト14、委託分現金管理情報提供手段15、デジタル通貨融資手段16、デジタル通貨返済手段17、マスタ情報部18、マスタ情報部設定・更新手段19を備えている。
なお、本実施形態のデジタル資産の清算処理システムでは、デジタル資産の約定は、例えば、図1に示すデジタル資産取引所40におけるデジタル資産取引システム41によって行われることを前提とする。
デジタル資産取引システム41では、取引参加者30A、30B、30Cからのデジタル資産の注文を処理するデジタル資産取引用スマートコントラクト41bが銘柄ごとに作動し、各銘柄の注文について対当・約定処理を行い、対当・約定した取引情報から、ネット(相殺)で、取引参加者30A、30B、30C等の清算情報を算出する。また、各注文については銘柄ごとに作動するデジタル資産注文管理用スマートコントラクト41aが管理する。また、T+1やT+2等の清算日は、デジタル資産の取引注文の際に図示しない注文入力手段を介して取引参加者によって注文データの一部として設定され、デジタル資産注文管理用スマートコントラクト41aがブロックチェーンに注文データとして記録することにより、清算処理よりも前の時点において予め定められている。
また、デジタル資産取引システム41において約定し、ネット(相殺)で算出された取引参加者30A、30B、30Cの清算情報はブロックチェーンに記載され、取引参加者30A、30B、30Cへ送られるとともに、DVP処理用スマートコントラクト11で受け取る(アクセスし、保有する)ことができるように構成されているものとする。
マスタ情報部18は、図2に示すように、デジタル資産取引システム41において約定し、ネット(相殺)で算出され、ブロックチェーン上に記載された取引参加者の清算情報と一部分で重複する情報であって、デジタル資産の取引対象となる銘柄、取引参加者、当該取引参加者の清算相手となる取引参加者、清算日または清算方法を含む清算情報を有して構成される。
マスタ情報部18における、銘柄、取引参加者、清算方法等は、例えば、銘柄:ゴールド、取引参加者+清算日または清算方法:トークン発行体(T+2)、デジタル資産取引所(T+1)、暗号資産販売所(T+0)、暗号資産交換所(T:リアルタイム)などのように、設定される。
なお、ここでの「清算方法」とは、清算日当日におけるリアルタイム清算(T)を意味する。
DVP処理用スマートコントラクト11は、図4に示すように、デジタル資産取引所40においてデジタル資産の取引情報からネット(相殺)で算出された、複数の取引参加者のデジタル資産の清算情報を取得し保有する機能と、夫々の取引参加者30A、30B、30Cからのデジタル通貨やトークン等のデジタル資産の預け入れを受け付ける機能と、受け付けたデジタル通貨やトークン等のデジタル資産をDVP処理用スマートコントラクト11内の夫々の取引参加者30A、30B、30Cに対応するアドレスで管理する機能と、DVP処理用スマートコントラクト11内のアドレスで管理する取引参加者30A、30B、30Cごとのデジタル通貨やトークン等のデジタル資産のうち、デジタル資産の清算情報における決済可能な条件を満たした、即座に交換可能なデジタル資産同士から優先的に清算処理を、該清算処理よりも前の時点において予め定められていた清算日以前に行い、DVP処理用スマートコントラクト11内で管理する、清算処理の当事者である取引参加者30A、30Bまたは30Cの送付先アドレスへ、清算対象に該当するデジタル通貨やトークン等のデジタル資産を移動する機能と、を有するように構成されている。
一時的処理データ管理手段12は、図11に示すように、トークンの価値を構成する要素をなす銘柄、価格及び数量のうち、少なくとも数量を含み価格を含まない第1価値構成要素が設定された一時的処理データを、ブロックチェーンを介して管理するように構成されている。
第2価値構成要素設定データ管理手段13は、図12に示すように、トークンの価値を構成する要素をなす銘柄、価格及び数量のうち、少なくとも価格を含み数量を含まない第2価値構成要素が設定されたデータを管理するように構成されている。
トークン生成用スマートコントラクト14は、図13に示すように、トークンを自動的に生成するように構成されている。
詳しくは、トークン生成用スマートコントラクト14は、一時的処理データ管理手段12によりブロックチェーンを介して管理されている第1価値構成要素と、第2価値構成要素設定データ管理手段13により管理されている第2価値構成要素と、を用いて、価値を構成する要素をなす銘柄、価格及び数量が揃ったトークンを所定数量分生成する、トークン生成機能を有する。そして、トークン生成用スマートコントラクト14は、DVP処理用スマートコントラクト11により集計された、デジタル資産の清算情報における清算相手となる取引参加者30Bまたは30Cに渡すべきトークンの量に対して、未清算分のトークンの清算指示をした取引参加者30Aが管理(所有)しているトークンが不足している場合、所有しているトークンに不足する分を自動的に一時的処理データから生成し、生成したトークンをDVP処理用スマートコントラクト11に渡すように構成されている。
なお、トークン生成用スマートコントラクト14は、トークンを一時的処理データに戻す、トークン償却機能も有するように構成されている。
委託分現金管理情報提供手段15は、図14に示すように、デジタル資産取引所40が与信の無い取引参加者30Cからの委託を受けて信託銀行70における自己とは別の委託口座で管理を行う、委託分の現金の管理情報の電子データを与信の高い金融機関50へ引き渡すように構成されている。
デジタル通貨融資手段16は、図15に示すように、デジタル資産取引所40が与信の無い取引参加者30Cから委託分の現金についての出金指示を受けたときに、委託分現金管理情報提供手段15が引き渡した当該委託分の現金の範囲内で与信の高い金融機関50からのデジタル資産取引所40へのデジタル通貨の融資を行わせるように構成されている。
デジタル通貨返済手段17は、図16に示すように、デジタル通貨融資手段16による与信の高い金融機関50からのデジタル資産取引所40に対して融資するデジタル通貨の送金が完了したことを(与信の高い金融機関50が作成したデジタル通貨の送金トランザクションの処理済みデータから)確認した信託銀行70から、デジタル資産取引所40の融資口管理アドレスへデジタル通貨が送金されたとき、そのデジタル通貨を、デジタル資産取引所40へ融資した与信の高い金融機関50のアドレスへ即座に自動送金(返済)するように構成されている。
なお、本実施形態のデジタル資産の清算処理システムにおいては、デジタル資産取引所40では、デジタル資産取引システム41において、銘柄ごとに作動するデジタル資産注文管理用スマートコントラクト41a、デジタル資産取引用スマートコントラクト41bによって、取引参加者30A、30B、30C等からのデジタル資産の注文についての対当・約定処理が行われ、対当・約定した取引情報から、ネット(相殺)で、取引参加者30A、30B、30C等についてのデジタル資産の清算情報が算出される。算出された清算情報は、夫々の取引参加者30A、30B、30C等に送られるとともに、ブロックチェーンに記録される。そして、本実施形態のデジタル資産の清算処理システムにおけるDVP処理用スマートコントラクト11が、ブロックチェーンに記録された約定情報をアクセスし取得する。
DVP処理用スマートコントラクト11によるデジタル資産の清算処理は、清算者の与信の有無によって次のように異なる。
清算者が与信のある取引参加者である場合、各与信のある取引参加者30A、30B等は、送られた約定情報に基づき、デジタル通貨やトークン等のデジタル資産をDVP処理用スマートコントラクト11に預け入れる。DVP処理用スマートコントラクト11は、取引参加者からのデジタル通貨やトークン等のデジタル資産の預け入れを受け付ける。なお、取引参加者からのデジタル通貨やトークン等のデジタル資産の預け入れは、ホットウォレットやコールドウォレット等、所定のアプリケーションソフトを用いて行う。
あるいは、各与信のある取引参加者30A、30B等は、現金を、指定された銀行60に与信の高い金融機関50名義で開設された各与信のある取引参加者30A、30B等からの委託口座(各取引参加者口)に送金する。各取引参加者口に現金が入金されると、入金確認トランザクションを与信の高い金融機関がつくり、参加者単位での入金済トランザクションの内容をブロックチェーンに記録する。DVP処理用スマートコントラクト11は、入金済トランザクションのデータを読み込む。
なお、取引参加者は、予め清算相手となる取引参加者、清算日または清算方法の指定ができる。マスタ情報部設定・更新手段19は、取引参加者からの指定により、マスタ情報部18における当該取引参加者の清算相手となる取引参加者、清算日または清算方法を設定・更新する。また、取引参加者は清算当日において清算するためのトークンが不足している場合であっても、未清算分の清算を指示できる。それらの場合、DVP処理用スマートコントラクト11は、次の処理を行う。
取引参加者30A、30B等が、デジタル通貨やトークン等のデジタル資産の預け入れ時に、マスタ情報部設定・更新手段19を介して清算相手となる取引参加者を指定した場合、DVP処理用スマートコントラクト11は、取引参加者30A、30B等からの清算相手となる取引参加者の指定を受け付ける。
より詳しくは、取引参加者30A、30B等は、当該清算処理が行われるより前の時点で、本実施形態の清算処理システムにマスタ情報部設定・更新手段19において、清算相手となる取引参加者を指定する。マスタ情報部設定・更新手段19は、取引参加者30A、30B等からの指定により、マスタ情報部18における当該取引参加者30A、30B等の清算相手となる取引参加者を設定・更新する。
DVP処理用スマートコントラクト11は、マスタ情報部18において設定・更新された取引参加者を、当該取引参加者30A、30B等の清算相手として認識する。
そして、DVP処理用スマートコントラクト11は、DVP処理用スマートコントラクト11内のアドレスで管理する取引参加者30A、30B等ごとのデジタル通貨やトークン等のデジタル資産のうち、(清算相手を指定した)当該取引参加者30A、30B等と、(当該取引参加者によって指定され、)マスタ情報部設定・更新手段19を介して設定・更新されたマスタ情報部18の清算情報における当該取引参加者30A、30B等の清算相手となる取引参加者との間で、デジタル資産の清算情報における決済可能な条件を満たした、即座に交換可能なデジタル資産同士について、デジタル資産の取引注文の際に予め定められていた清算日以前に清算処理を行い、DVP処理用スマートコントラクト11内で管理する、清算処理の当事者である取引参加者の送付先アドレスへ、清算対象に該当するデジタル通貨やトークン等のデジタル資産を移動する。
取引参加者30A、30B等が、デジタル通貨やトークン等のデジタル資産の預け入れ時に、マスタ情報部設定・更新手段19を介して清算日または清算方法を指定した場合、DVP処理用スマートコントラクト11は、清算情報における夫々の清算日または清算方法の設定を受け付ける。
より詳しくは、取引参加者30A、30B等は、当該清算処理が行われるより前の時点で、本実施形態の清算処理システムにマスタ情報部設定・更新手段19において、清算相手となる清算日または清算方法を指定する。マスタ情報部設定・更新手段19は、取引参加者30A、30B等からの指定により、マスタ情報部18の清算情報における夫々の清算日または清算方法を設定・更新する。
DVP処理用スマートコントラクト11は、マスタ情報部18において取引参加者30A、30B等ごとに設定・更新された清算日または清算方法を認識する。
そして、DVP処理用スマートコントラクト11は、DVP処理用スマートコントラクト11内のアドレスで管理する取引参加者30A、30B等ごとのデジタル通貨やトークン等のデジタル資産のうち、マスタ情報部設定・更新手段19を介して取引参加者30A、30B等ごとに設定・更新されたマスタ情報部18の清算情報における夫々の清算日または清算方法にて、決済可能な条件を満たした、デジタル通貨やトークン等のデジタル資産同士についての清算処理を、該清算処理よりも前の時点において予め定められていた清算日以前に行い、DVP処理用スマートコントラクト内で管理する、清算処理の当事者である取引参加者の送付先アドレスへ、清算対象に該当するデジタル通貨やトークン等のデジタル資産を移動する。
清算当日において清算するためのトークンが不足しているある取引参加者30Aが、未清算分のトークンの清算指示をした場合、DVP処理用スマートコントラクト11は、清算日当日におけるある取引参加者30Aからの未清算分のトークンの清算指示を受け付ける。
そして、DVP処理用スマートコントラクト11は、清算指示を受け付けたトークンの未清算分を集計し、集計した未清算分のトークンについての清算相手となる取引参加者30B等のデジタル資産との清算処理を、該清算処理よりも前の時点において予め定められていた清算日以前に行う。
その際、トークン生成用スマートコントラクト14が、所有しているトークンに不足する分を自動的に一時的処理データから生成し、生成したトークンをDVP処理用スマートコントラクト11に渡す。
上記はデジタル通貨を用いることを前提とした清算処理の例であるが、本実施形態のデジタル資産の清算処理システムは、デジタル通貨を用いない場合も清算処理可能である。
デジタル通貨を用いない場合は、与信の高い金融機関(例えば、短資会社。なお、与信の高い金融機関は、都市銀行でも良い。)50が所定の銀行60に、夫々の取引参加者30A、30B等からの委託口座として、例えば、「短資会社・清算者A口」、「短資会社・清算者B口」等、自己口座として、例えば、「短資会社口座」などの口座を開設しておく。
清算者A、清算者B等である取引参加者30A、30B等は、送られた約定情報に、清算相手に引き渡すべき現金が示されている場合、与信の高い金融機関(短資会社)50が設けた銀行口座における清算者A、B等それぞれの口座(例えば、「短資会社・清算者A口」、「短資会社・清算者B口」等)に現金を振り込む、もしくは事前に預けておく。
短資会社は、デジタル資産取引所40からの清算情報をもとに、与信の高い金融機関(短資会社)50が設けた銀行口座における清算者A、B等である取引参加者30A、30B等それぞれの該当口座(「短資会社・清算者A口」、「短資会社・清算者B口」等)の残高を確認し、清算分の金額の残高がある場合、与信の高い金融機関(短資会社)50が開設した所定の銀行60の口座における清算者A、B等である取引参加者30A、30B等それぞれの該当口座から、与信の高い金融機関(短資会社)50が設けた自社口座「短資会社口座」に当該金額を移動し、DVP処理用スマートコントラクト11に、「清算分の現金をロックしている情報」を渡す。
DVP処理用スマートコントラクト11は、与信の高い金融機関(短資会社)50が所定の銀行60に当該与信の高い金融機関の名義で開設した、夫々の取引参加者からの委託口座の残高から自己口座へ清算分の金額を移動したときの清算分の金額をロックしている情報を受け付け、受け付けた清算分の金額をロックしている情報と清算分の金額との清算対象となるトークン等のデジタル資産をDVP処理用スマートコントラクト11内の夫々の取引参加者に対応するアドレスで管理する。そして、DVP処理用スマートコントラクト11内のアドレスで管理する取引参加者30A、30B等ごとの清算分の金額をロックしている情報における清算分の金額とトークン等のデジタル資産のうち、デジタル資産の清算情報における決済可能な条件を満たした、即座に交換可能な清算分の金額とトークン等のデジタル資産から清算処理を、該清算処理よりも前の時点において予め定められていた清算日以前に行い、DVP処理用スマートコントラクト11内で管理する、清算処理の当事者であるトークン等のデジタル資産の受取先となっている取引参加者の送付先アドレスへ、清算対象に該当するトークン等のデジタル資産を移動するとともに、清算完了の通知を与信の高い金融機関(短資会社)50へ送付する。
与信の高い金融機関(短資会社)50は、清算完了の通知を受け取ると、与信の高い金融機関(短資会社)50が設けた自社口座「短資会社口座」の当該金額を清算指定された相手先の指定する銀行口座に振り込む。なお、通常は相手先の銀行口座は、与信の高い金融機関(短資会社)50の口座を開設した銀行60と同じ銀行に開設され、その場合は、振替処理になる。
清算者が与信の無い取引参加者30C等である場合、デジタル資産取引所40が信託銀行70に、与信の無い取引参加者30C等からの委託口座として、例えば、「デジタル資産取引所・清算者C口」等、自己口座として、例えば、「デジタル資産取引所口座」などの口座を開設しておく。
与信の無い取引参加者30C等は、送られた約定情報に、清算相手に引き渡すべき現金が示されている場合、デジタル資産取引所40が開設した信託銀行70の口座における清算者C等それぞれの口座(例えば、「デジタル資産取引所・清算者C口」等)へ現金を振り込む、もしくは事前に預けておく。
委託分現金管理情報提供手段15は、デジタル資産取引所40が与信の無い取引参加者30C等からの委託を受けて信託銀行70における自己とは別の委託口座(例えば、「デジタル資産取引所・清算者C口」等)で管理を行う、委託分の現金の管理情報の電子データを与信の高い金融機関50へ引き渡す。
デジタル通貨融資手段16は、デジタル資産取引所40が与信の無い取引参加者30Cから委託分の現金についての出金指示を受けたときに、委託分現金管理情報提供手段15が引き渡した当該委託分の現金の範囲内で与信の高い金融機関50からのデジタル資産取引所40へのデジタル通貨の融資を行わせる。
デジタル通貨返済手段17は、デジタル通貨融資手段16による与信の高い金融機関50からのデジタル資産取引所40に対して融資するデジタル通貨の送金が完了したことを(与信の高い金融機関50が作成したデジタル通貨の送金トランザクションの処理済みデータから)確認した信託銀行70から、デジタル資産取引所40の融資口管理アドレスへデジタル通貨が送金されたとき、そのデジタル通貨を、デジタル資産取引所40へ融資した与信の高い金融機関50のアドレスへ即座に自動送金(返済)する。
なお、デジタル通貨融資手段16による与信の高い金融機関50からのデジタル資産取引所40に対して融資するデジタル通貨の送金トランザクションの承認は、デジタル資産取引所40と与信の高い金融機関50とがペアで行う。
本実施形態のデジタル資産の清算処理システムによれば、DVP処理用スマートコントラクト11が、DVP処理用スマートコントラクト11内のアドレスで管理する取引参加者30A、30B、30Cごとのデジタル通貨やトークン等のデジタル資産のうち、デジタル資産の清算情報における決済可能な条件を満たした、即座に交換可能なデジタル資産同士から優先的に清算処理を、該清算処理よりも前の時点において予め定められていた清算日以前に行い、DVP処理用スマートコントラクト11内で管理する、清算処理の当事者である取引参加者30A、30Bまたは30Cの送付先アドレスへ、清算対象に該当するデジタル通貨やトークン等のデジタル資産を移動する機能を有するように構成したので、清算日をT+2にせざるを得ないことに起因する事情を有する非金融の事業体等の取引参加者30Aが、トークンの早期受け取りを必要とするデジタル資産販売所等の取引参加者30Bに対し、貸し付けるトークンについての担保の設定をしなくても、DVP処理用スマートコントラクト11は、所定の清算条件が合致した場合に、所定の清算条件が合致したタイミングでの清算情報に基づいて、デジタル資産の取引注文の際に取引参加者によって注文データの一部として設定され、清算処理よりも前の時点において予め定められた清算日よりも早期の清算処理が可能となる。
そのため、DVP処理用スマートコントラクト11に対し、清算相手となる取引参加者30A、30Bまたは30Cや、清算日または清算方法を、トークンやデジタル通貨の預け入れ時等に指定することで、清算処理よりも前の時点において予め定められた清算日よりも早期の清算処理(長期休暇の場合などイレギュラーな清算日となる場合における早期の清算処理等)が実現可能となる。
例えば、図示しない注文入力手段、デジタル資産取引用スマートコントラクト41b、デジタル資産注文管理用スマートコントラクト41a、DVP処理用スマートコントラクト11の他にも、一時的処理データ管理手段12、第2価値構成要素設定データ管理手段13、トークン生成用スマートコントラクト14、委託分現金管理情報提供手段15、デジタル通貨融資手段16、デジタル通貨返済手段17、マスタ情報部18、マスタ情報部設定・更新手段19を備えて構成してもよい。
しかし、注文自体は約定条件に合致する。このような場合に、レンディング(信用取引を含む)を利用した取引に介在させることで、清算処理よりも前の時点において予め定められた清算日よりも早期の清算処理を促進させることが可能になると考えられる。
そこで、本実施形態のデジタル資産の清算処理システムを、デジタル資産取引システム41と一体化された構成においては、デジタル資産取引システム41が、取引参加者がデジタル資産取引所に預け入れているデジタル資産について他者からの申し入れにより貸出し(レンディング)を行うレンディング手段(図示省略)を備えるのが好ましい。
レンディングは、デジタル資産の借り入れを所望する他者(流動性供給者等)が、レンディングによる金利相当分以上の金額を証拠金としてデジタル資産取引所の口座に預け入れていることを条件として、当該他者からの申し入れがあったときに、所定のデジタル資産の貸出を行う。
流動性供給者は、T+2の売り注文とT+1の買い注文において所定量のスプレッド(レンディングの金利相当以上)がある場合、T+2の売り注文とT+1の買い注文の双方の注文に対する夫々の相手方の注文を出して約定させる。そして、相手方への最初(T+1)の受渡の際はレンディングを活用して清算を行う。
なお、レンディングでポジションが持てる範囲(レンディング板にある量が最大値)のみ約定させる。
1日経過して、逆のポジションが清算されるため、1日後に現渡によりレンディングを解消させる。
これにより、T+1の買い注文は、T+2まで待つことなく、T+1で清算ができる。
12 一時的処理データ管理手段
13 第2価値構成要素設定データ管理手段
14 トークン生成用スマートコントラクト
15 委託分現金管理情報提供手段
16 デジタル通貨融資手段
17 デジタル通貨返済手段
18 マスタ情報部
19 マスタ情報部設定・更新手段
Claims (12)
- トークン(ブロックチェーン等の分散技術においてデジタルで定義される価値などの総称)、デジタル通貨、トークンとデジタル通貨、もしくはトークン同士、デジタル通貨同士など、あらゆる形態のデジタル資産間による取引を管理するための、少なくとも1種類のブロックチェーン等の分散技術における分散型台帳と、該分散型台帳に管理されるデジタル資産を用いた所定の処理を行うためのスマートコントラクトを備えて構築される、デジタル資産取引所でのデジタル資産の取引において約定したデジタル資産の清算処理を行うシステムであって、
約定したデジタル資産同士の、互いに約定した取引参加者への同時受渡を行うDVP処理用スマートコントラクトを備え、
前記DVP処理用スマートコントラクトは、
前記デジタル資産取引所においてデジタル資産の取引情報からネット(相殺)で算出された、複数の取引参加者のデジタル資産の清算情報を取得し保有する機能と、
夫々の取引参加者からのデジタル資産の預け入れを受け付ける機能と、
受け付けたデジタル資産を前記DVP処理用スマートコントラクト内の夫々の取引参加者に対応するアドレスで管理する機能と、
前記DVP処理用スマートコントラクト内のアドレスで管理する取引参加者ごとのデジタル資産のうち、前記デジタル資産の清算情報における決済可能な条件を満たした、即座に交換可能なデジタル資産同士から優先的に清算処理を、該清算処理よりも前の時点において予め定められていた清算日以前に行い、前記DVP処理用スマートコントラクト内で管理する、清算処理の当事者である取引参加者の送付先アドレスへ、清算対象に該当するデジタル資産を移動する機能と、
を有することを特徴とするデジタル資産の清算処理システム。 - 前記DVP処理用スマートコントラクトは、
前記デジタル資産取引所における当日の取引が完了した後、当日の取引量のネット(相殺)情報が翌日初めに計算されると同時に、当日の取引量のネット(相殺)情報を前記DVP処理用スマートコントラクト内に取得する機能を有し、
前記DVP処理用スマートコントラクト内のアドレスで管理する取引参加者ごとのデジタル資産のうち、当日の取引量のネット(相殺)情報を取得した日(T+1)、もしくはその翌日(T+2)など、所定の清算日または清算方法にて、前記デジタル資産の清算情報における決済可能な条件を満たした、デジタル資産同士についての清算処理を、該清算処理よりも前の時点において予め定められていた清算日以前に行い、前記DVP処理用スマートコントラクト内で管理する、清算処理の当事者である取引参加者の送付先アドレスへ、清算対象に該当するデジタル資産を移動することを特徴とする請求項1に記載のデジタル資産の清算処理システム。 - デジタル資産の取引対象となる銘柄、取引参加者、当該取引参加者の清算相手となる取引参加者、清算日または清算方法を含む清算情報を有するマスタ情報部と、
当該取引参加者からの指定により、前記マスタ情報部における当該取引参加者の清算相手となる取引参加者、清算日または清算方法を設定・更新するマスタ情報部設定・更新手段と、をさらに備え、
前記DVP処理用スマートコントラクトは、
前記DVP処理用スマートコントラクト内のアドレスで管理する取引参加者ごとのデジタル資産のうち、当該取引参加者と、前記マスタ情報部設定・更新手段を介して設定・更新された前記マスタ情報部の清算情報における当該取引参加者の清算相手となる取引参加者と、の間で、前記デジタル資産の清算情報における決済可能な条件を満たした、即座に交換可能なデジタル資産同士について、デジタル資産の取引注文の際に予め定められていた清算日以前に清算処理を行い、前記DVP処理用スマートコントラクト内で管理する、清算処理の当事者である取引参加者の送付先アドレスへ、清算対象に該当するデジタル資産を移動することを特徴とする請求項1または2に記載のデジタル資産の清算処理システム。 - 前記DVP処理用スマートコントラクトは、
前記DVP処理用スマートコントラクト内のアドレスで管理する取引参加者ごとのデジタル資産のうち、前記マスタ情報部設定・更新手段を介して取引参加者ごとに設定・更新された該マスタ情報部の清算情報における夫々の清算日または清算方法にて、前記決済可能な条件を満たした、デジタル資産同士についての清算処理を、該清算処理よりも前の時点において予め定められていた清算日以前に行い、前記DVP処理用スマートコントラクト内で管理する、清算処理の当事者である取引参加者の送付先アドレスへ、清算対象に該当するデジタル資産を移動することを特徴とする請求項3に記載のデジタル資産の清算処理システム。 - 前記DVP処理用スマートコントラクトは、
清算日当日におけるある取引参加者からの未清算分のトークンの清算指示を受け付ける機能と、
清算指示を受け付けたトークンの未清算分を集計する機能と、
を有し、
清算指示を受け付けて集計した未清算分のトークンについての清算相手となる取引参加者のデジタル資産との清算処理を、該清算処理よりも前の時点において予め定められていた清算日以前に行うことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のデジタル資産の清算処理システム。 - 前記DVP処理用スマートコントラクトは、
与信の高い金融機関が所定の銀行に当該与信の高い金融機関の名義で開設した、夫々の取引参加者からの委託口座の残高から自己口座へ清算分の金額を移動したときの清算分の金額をロックしている情報を受け付ける機能と、
受け付けた前記清算分の金額をロックしている情報と、前記清算分の金額との清算対象となるデジタル資産を前記DVP処理用スマートコントラクト内の夫々の取引参加者に対応するアドレスで管理する機能と、
前記DVP処理用スマートコントラクト内のアドレスで管理する取引参加者ごとの前記清算分の金額をロックしている情報における清算分の金額と、前記デジタル資産のうち、前記デジタル資産の清算情報における決済可能な条件を満たした、即座に交換可能な清算分の金額とデジタル資産とから清算処理を、該清算処理よりも前の時点において予め定められていた清算日以前に行い、前記DVP処理用スマートコントラクト内で管理する、清算処理の当事者である前記デジタル資産の受取先となっている取引参加者の送付先アドレスへ、清算対象に該当するデジタル資産を移動するとともに、清算対象に該当する清算分の金額についての清算完了の通知を前記与信の高い金融機関へ送付する機能と、
を有することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のデジタル資産の清算処理システム。 - 前記DVP処理用スマートコントラクトは、同一のブロックチェーンで生成したトークンとデジタル通貨についての清算処理を行うことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のデジタル資産の清算処理システム。
- 前記DVP処理用スマートコントラクトは、第1のブロックチェーンで生成したデジタル通貨を用いた清算処理を行う第1のDVP処理用スマートコントラクトと、第2のブロックチェーンで生成したトークンを用いた清算処理を行う第2のDVP処理用スマートコントラクトと、を有してなり、
前記第1のDVP処理用スマートコントラクトと、前記第2のDVP処理用スマートコントラクトは、同一の清算情報を受け取るとともに、相互に常時通信を行い、前記第1のDVP処理用スマートコントラクト内のアドレスで管理する取引参加者ごとのデジタル通貨と、前記第2のDVP処理用スマートコントラクト内のアドレスで管理する取引参加者ごとのトークンとについて、前記デジタル資産の清算情報における決済可能な条件が合致した場合に、夫々の前記DVP処理用スマートコントラクトが清算処理を、該清算処理よりも前の時点において予め定められていた清算日以前に行い、前記DVP処理用スマートコントラクト内で管理する、清算処理の当事者である清算相手となる取引参加者の送付先アドレスへ、清算対象に該当するデジタル通貨、もしくはトークンを移動することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のデジタル資産の清算処理システム。 - トークンの価値を構成する要素をなす銘柄、価格及び数量のうち、少なくとも数量を含み価格を含まない第1価値構成要素が設定された一時的処理データを、ブロックチェーンを介して管理する一時的処理データ管理手段と、
トークンの価値を構成する要素をなす銘柄、価格及び数量のうち、少なくとも価格を含み数量を含まない第2価値構成要素が設定されたデータを管理する第2価値構成要素設定データ管理手段と、
トークンを自動的に生成するトークン生成用スマートコントラクトをさらに備え、
前記トークン生成用スマートコントラクトは、
前記一時的処理データ管理手段によりブロックチェーンを介して管理されている第1価値構成要素と、前記第2価値構成要素設定データ管理手段により管理されている第2価値構成要素と、を用いて、価値を構成する要素をなす銘柄、価格及び数量が揃ったトークンを所定数量分生成する、トークン生成機能を有し、
前記DVP処理用スマートコントラクトにより集計された、デジタル資産の清算情報における清算相手となる取引参加者に渡すべきトークンの量に対して、未清算分のトークンの清算指示をした前記取引参加者が管理(所有)しているトークンが不足している場合、所有しているトークンに不足する分を自動的に一時的処理データから生成し、生成したトークンを前記DVP処理用スマートコントラクトに渡すことを特徴とする請求項5に記載のデジタル資産の清算処理システム。 - 前記デジタル資産取引所が与信の無い取引参加者からの委託を受けて信託銀行における自己とは別の委託口座で管理を行う、委託分の現金の管理情報の電子データを前記与信の高い金融機関へ引き渡す委託分現金管理情報提供手段と、
前記デジタル資産取引所が与信の無い取引参加者から委託分の現金についての出金指示を受けたときに、前記委託分現金管理情報提供手段が引き渡した当該委託分の現金の範囲内で前記与信の高い金融機関からのデジタル資産取引所へのデジタル通貨の融資を行わせるデジタル通貨融資手段と、
前記デジタル通貨融資手段による前記与信の高い金融機関からの前記デジタル資産取引所に対して融資するデジタル通貨の送金が完了したことを(前記与信の高い金融機関が作成したデジタル通貨の送金トランザクションの処理済みデータから)確認した前記信託銀行から、前記デジタル資産取引所の融資口管理アドレスへデジタル通貨が送金されたとき、そのデジタル通貨を、前記デジタル資産取引所へ融資した前記与信の高い金融機関のアドレスへ即座に自動送金(返済)するデジタル通貨返済手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載のデジタル資産の清算処理システム。 - 前記デジタル通貨融資手段による前記与信の高い金融機関からの前記デジタル資産取引所に対して融資するデジタル通貨の送金トランザクションの承認を、前記デジタル資産取引所と前記与信の高い金融機関とがペアで行うようにしたことを特徴とする請求項10に記載のデジタル資産の清算処理システム。
- 注文入力手段と、銘柄ごとに作動し、注文を管理する注文管理用スマートコントラクトと、銘柄ごとに作動し、取引参加者からのデジタル資産の各銘柄の注文について対当・約定処理を行い、対当・約定した取引情報から、ネット(相殺)で、取引参加者の清算情報を算出するデジタル資産取引用スマートコントラクトを備えたデジタル資産取引システムと一体化した請求項1~11のいずれかに記載のデジタル資産の清算処理システムであって、
前記デジタル資産取引システムが、取引参加者がデジタル資産取引所に預け入れているデジタル資産について他者からの申し入れにより貸出し(レンディング)を行うレンディング手段をさらに備えることを特徴とするデジタル資産の清算処理システム。
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