JP7102191B2 - ポリイミドフィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、有機EL装置は、一般に支持基板であるガラス基板上に薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、更にその上に電極、発光層及び電極を順次形成し、これらをガラス基板や多層薄膜等で気密封止して作られる。また、タッチパネルは、第1の電極が形成された第1のガラス基板と、第2の電極が形成された第2のガラス基板とを絶縁層(誘電層)を介して接合した構成となっている。
特許文献2は、含フッ素ポリイミド前駆体溶液を無機基板上に流延し、乾燥およびイミド化して得られるポリイミドフィルムと無機基板とからなる積層体であって、全光線透過率が高く、アウトガスが少ない(0.3%以下)ものを開示する。ここで、アウトガスは300℃における熱重量減少率である。
なお、特許文献2において、アウトガスを低減するためには、加熱温度を上げることが有効であるがポリイミドの結晶性や着色等により、ヘイズの上昇や、全光線透過率の低下の傾向があり、特に最高温度が400℃を超えるとポリイミドの結晶化などにより白化が顕著となる旨を開示している。逆に透明性の低下や着色の抑制のため比較的緩やかな温度で加熱するとアウトガスの低減が出来なくなる、イミド化が十分に進まずポリイミドの機械的強度が不足する傾向がある旨を開示している。つまり、耐熱性と透明性の両立はトレードオフの関係にあるといえる。ここで、透明性を損なうことなくアウトガスを低減する有効な方法として、加熱温度と加熱時間を適切に設定する必要がある旨を開示している。しかし、上記の結晶性や着色等の問題が示唆されていることもあって、500℃以上の極めて高い温度領域における耐熱性については検討されていない。
すなわち、本発明は、ポリイミド構造中にフッ素原子を有するポリイミドフィルムであって、厚さ10μmのフィルムの状態において、450nmの光透過率が75%以上であり、黄色度が12以下であり、動的粘弾性測定により算出される損失正接曲線における、ガラス転移点を表すピーク温度が400℃以上であり、1%重量減少温度が500℃以上であることを特徴とする、ポリイミドフィルムである。
また、本発明は、フッ素原子を有するポリアミド酸に溶剤を加えて、一定粘度になるよう希釈し、基板上に、硬化後のポリイミド厚みが10μm程度になるように塗工後、不活性ガス雰囲気中、一定の昇温速度で最高温度が330~430℃まで昇温させ、その後保持し、基板上に層を形成して得た、厚さ10μmのフィルムの状態において、450nmの光透過率が75%以上であり、かつ、動的粘弾性測定により算出される損失正接曲線における、ガラス転移点を表すピーク温度が400℃以上であるポリイミドフィルムである。
ポリイミドフィルムの分子量は、原料のジアミンと酸二無水物のモル比を変化させることで主に制御可能であるが、そのモル比は、0.980~1.025まで調整することができる。重量平均分子量(Mw)の範囲としては、50,000から400,000の範囲に調整することが望ましい。
また、イミド化の際、空気中、低酸素濃度下、不活性ガス化、減圧下、真空下等、いずれの条件も適用できるが、特にYIを低くするという観点、1%重量減少温度を高くするという観点から、酸素濃度が5%以下でイミド化を行うことが好ましい。より好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは2%以下である。
なお、イミド化の工程における、最高温度以外の条件、例えば昇温速度については、ポリアミド酸溶液に含まれる有機溶媒の性質や量、ポリアミド酸の構造によって適宜調整できる。また、イミド化に先立ち、ポリアミド酸溶液に含まれる有機溶媒を揮発させるために、例えば、200℃以下で2~60分程度の乾燥を行ってもよい。例えば、支持基材上に、ポリアミド酸溶液を、アプリケーターを用いて塗布し、130℃以下の温度で3~60分予備乾燥した後、溶剤除去、イミド化のために室温~430℃までの温度で30分~24時間程度熱処理する
なお、前記ポリイミドフィルムは、その平均膜厚は制限されないが、その下限は、好ましくは5μmであり、より好ましくは10μmである。その上限は、好ましくは50μmであり、より好ましくは30μmである。
フッ素原子又はフッ素置換炭化水素基が、ジアミン由来の構造単位にのみ含まれてもよく、Ar2に含まれてもよく、酸二無水物由来の構造単位にも含まれていても良い。
上記公知のジアミン由来の構造単位としては、好ましくは、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,6-ジメチル-m-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-p-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノメシチレン、4,4’-メチレンジ-o-トルイジン、4,4’-メチレンジ-2,6-キシリジン、4,4’-メチレン-2,6-ジエチルアニリン、2,4-トルエンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルプロパン、3,3’-ジアミノジフェニルプロパン、4,4’-ジアミノジフェニルエタン、3,3’-ジアミノジフェニルエタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3-ジアミノジフェニルエーテル、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノ-p-テルフェニル、3,3’-ジアミノ-p-テルフェニル、ビス(p-β-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、2,4-ビス(β-アミノ-t-ブチル)トルエン、2,4-ジアミノトルエン、m-キシレン-2,5-ジアミン、p-キシレン-2,5-ジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾール、ピペラジンが挙げられる。
上記公知の酸二無水物由来の構造単位としては、好ましくは、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,2’-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、ナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,2,6,7-テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,2,4,5-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物、2,6-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-テトラクロロナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’’,4,4’’-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’’,3,3’’-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’’,4’’-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3.4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ペリレン-2,3,8,9-テトラカルボン酸二無水物、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸二無水物、ペリレン-4,5,10,11-テトラカルボン酸二無水物、ペリレン-5,6,11,12-テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン-1,2,7,8-テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン-1,2,6,7-テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン-1,2,9,10-テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸二無水物、(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、ジ(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、ジ(ヘプタフルオロプロピル)ピロメリット酸二無水物、ペンタフルオロエチルピロメリット酸二無水物、ビス{3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェノキシ}ピロメリット酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、5,5’-ビス(トリフルオロメチル)-3,3’,4,4’-テトラカルボキシビフェニル二無水物、2,2’,5,5’-テトラキス(トリフルオロメチル)-3,3’,4,4’-テトラカルボキシビフェニル二無水物、5,5’-ビス(トリフルオロメチル)-3,3’,4,4’-テトラカルボキシジフェニルエーテル二無水物、5,5’-ビス(トリフルオロメチル)-3,3’,4,4’-テトラカルボキシベンゾフェノン二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ベンゼン二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}、トリフルオロメチルベンゼン二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)トリフルオロメチルベンゼン二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼン二無水物、2,2-ビス{(4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ビフェニル二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ジフェニルエーテル二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル二無水物が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物由来の構造単位の一種又は二種以上が、全テトラカルボン酸二無水物由来の構造単位の50モル%以上であることが好ましい。より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。
・TFMB:2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル
・PMDA:ピロメリット酸二無水物
・6FDA:2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物
・NMP:N-メチル-2-ピロリドン
[光透過率T450及び黄色度YI]
ポリイミドフィルム(50mm×50mm)をSHIMADZU UV-3600分光光度計にて、450nmにおける光透過率(T450)を求めた。
また、下式(I)で表される計算式に基づいてYI(黄色度)を算出した。
YI=100×(1.2879X-1.0592Z)/Y (I)
X, Y, Zは試験片の三刺激値であり、JIS Z 8722に規定されている。
下式(II)で表される、厚み10μmに換算した値YI10を算出した。YI10は、(YI/厚み(μm))に10を乗じた値である。
YI10=YI/厚み×10 (II)
ポリイミドフィルム(5mm×70mm)を動的熱機械分析装置にて23℃から440℃まで10℃/分で昇温させたときの動的粘弾性を測定し、tanδ曲線における、Tgを表すピーク温度(第2ピークにおける、tanδ曲線の極大値)を求めた。なお、440℃まで昇温させても、ピーク温度が検出されなかったものは、>440℃と表した。
窒素雰囲気下で10~20mgの重さのポリイミドフィルムを、日立ハイテクサイエンス製の示差熱熱重量測定装置TG/DTA6200にて10℃/minの速度で30℃から550℃まで昇温させたときの重量変化を測定し、200℃での重量をゼロとし、重量減少率が1%の時の温度を熱分解温度(Td1)とした。
3mm×15mmのサイズのポリイミドフィルムを、熱機械分析(TMA/SS6100)装置にて5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度(10℃/min)で30℃から280℃まで昇温し、次いで、250℃から100℃までの降温し、降温時におけるポリイミドフィルムの伸び量(線膨張)から熱膨張係数を測定した。
窒素気流下で、100mlのセパラブルフラスコの中に、8.9552gのTFMBを、85gのNMPに溶解させた。10分間撹拌してから、この溶液に、6.0448gのPMDAを加えた。その後、この溶液を室温で24時間攪拌を続けて重合反応を行い、高重合度(Mw約12万、粘度が35,000cP)のポリアミド酸A(粘稠な無色溶液)を得た。
窒素気流下で、100mlのセパラブルフラスコの中に、8.4914gのTFMBを、85gのNMPに溶解させた。10分間撹拌してから、この溶液に、1.4680gの6FDAと5.0406gのPMDAを加えた。その後、この溶液を室温で24時間攪拌を続けて重合反応を行い、高重合度(Mw12万、粘度が35,000cP以上)のポリアミド酸B(粘稠な無色溶液)を得た。
窒素気流下で、100mlのセパラブルフラスコの中に、7.9373gのTFMBを、85gのNMPに溶解させた。10分間撹拌してから、この溶液に、3.2934gの6FDAと3.7693gのPMDAを加えた。その後、この溶液を室温で24時間攪拌を続けて重合反応を行い、高重合度(Mw15万、粘度が35,000cP)のポリアミド酸C(粘稠な無色溶液)を得た。
窒素気流下で、100mlのセパラブルフラスコの中に、6.2797gのTFMBを、85gのNMPに溶解させた。10分間撹拌してから、この溶液に、8.7203gの6FDAを加えた。その後、この溶液を室温で24時間攪拌を続けて重合反応を行い、高重合度(Mw約20万、粘度11,800cP)のポリアミド酸D(粘稠な無色溶液)を得た。
合成例1で得られたポリアミド酸Aに、溶剤NMPを加えて、粘度が4000cPになるように希釈した上で、ガラス基板(旭硝子製AN-100、サイズ=150mm×150mm、厚み=0.5mm)上に、スピンコーターを用いて、硬化後のポリイミド厚みが10μm程度になるように塗工した。続いて、100℃で15分間加熱を行った。そして、窒素雰囲気(酸素濃度:3%以下)中で、一定の昇温速度(3℃/min)で室温から350℃まで昇温させ、それから60min保持し、ガラス基板上に150mm×150mmのポリイミド層(ポリイミドフィルムA-1に相当)を形成し、ポリイミド積層体A-1を得た。
[実施例2~10、比較例1~13]
ポリアミド酸Aをポリアミド酸B~Dのいずれかに代えた他は、実施例1と同様にして操作を行い、最高硬化温度と保持時間が表2~表4に示すように、それぞれのポリイミド積層体A-2~D-2を得た。
実施例11は、ポリイミドフィルム上に有機EL表示素子を付けた機能層付ポリイミドフィルムを製造する実施例である。まずは、上記で得られたポリアミド酸A溶液に、実施例1と同様に、NMPを加えて、粘度が4000cPになるように希釈した。厚み0.5mm、150mm×150mmのガラス基板上にスピンコーターを用いて熱処理後の膜厚が約10μm程度になるように塗工した。続いて、100℃で15分間加熱を行った。そして、窒素雰囲気(酸素濃度:3%以下)中で、一定の昇温速度(3℃/min)で室温から350℃まで昇温させ、それから60min保持し、ガラス基板上に150mm×150mmのポリイミド層(ポリイミドフィルムA-1)を形成し、ポリイミド積層体A-1を得た。ポリイミドフィルムA-1の上に水分と酸素の透湿を阻止できるようにガスバリア層を設けた。次に、ガスバリア層の上面に、薄膜トランジスタ(TFT)を含む回路構成層を400℃で形成させた。この場合、有機EL表示装置においては、薄膜トランジスタとして動作速度が速いLTPS-TFTを選択した。この回路構成層には、その上面にマトリックス状に複数配置された画素領域のそれぞれに対して、ITO(Indium Tin Oxide)の透明導電膜からなるアノード電極を形成した。更に、アノード電極の上面には有機EL発光層を形成し、この発光層の上面にはカソード電極を形成した。このカソード電極は各画素領域に共通に形成される。そして、このカソード電極の面を被うようにして、再度ガスバリア層を形成し、更に最表面には、表面保護のため封止基板を設置する。なお、有機EL発光層は、正孔注入層-正孔輸送層-発光層-電子輸送層等の多層膜(アノード電極-発光層-カソード電極)で形成される時に、有機EL発光層は水分や酸素により劣化するため真空蒸着で形成され、電極形成も含めて真空中で連続形成させた。
実施例12は、ポリイミドフィルム上に投影型容量結合方式のタッチパネルを付けた機能層付ポリイミドフィルムを製造する実施例である。ポリアミド酸Bを使用する以外は実施例11と同様にして、ガラス基板上にポリイミドフィルムB-1を形成し、ポリイミド積層体B-1を得た。ポリイミドフィルムBの上に、縦横に2つの電極列(第1と第2の電極)を設け、指が画面に触れた時の電極の静電容量変化を測定することにより、接触位置を精密に検出できる。具体的構造は、第1の電極が形成された第1の基板と、第2の電極が形成された第2基板とを絶縁層(誘電層)を介して接合した構成となっている。薄型化、軽量化、フレキシブル化のためには、電極を形成する基板を従来のガラス基板から屈曲性のある樹脂基板に置き換えることで実現できる。また、第1の電極と第2の電極を1つの基板上に形成して、更なる薄型化、軽量化も進められている。
一方、表2~表4に示したとおり、本発明の製造条件を満たさない比較例1~比較例13に係るポリイミドフィルムからなるものは、ガラス転移温度が400℃以下であるか、TFT製造工程の中で変形して、位置合わせが難しく、位置ずれが発生した。また、YI10が12以上のものがあったりして、透明性が劣り、ディスプレイは着色となり、光学効果がよくなかった。
Claims (6)
- ポリイミド構造中にフッ素原子を有し、
厚さ10μmのフィルムの状態において、450nmの光透過率が75%以上であり、黄色度が12以下であり、
動的粘弾性測定により算出される損失正接曲線における、ガラス転移点を表すピーク温度が400℃以上であり、1%重量減少温度が500℃以上である、ポリイミドフィルムの製造方法であって、
支持基材上にポリアミド酸溶液を塗布し、最高温度370℃以上430℃以下にて1分~2時間保持する条件で加熱処理を行い、イミド化する工程を有することを特徴とする、ポリイミドフィルムの製造方法。 - 加熱処理を最高温度370℃以上420℃以下にて2分~1時間保持する条件で行う、請求項1に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
- ポリアミド酸が、フッ素原子を有するジアミンと、フッ素原子を有するテトラカルボン酸二無水物及びフッ素原子を有しないテトラカルボン酸二無水物の混合物とを反応させて得られたものである、請求項1又は2に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
- ポリイミドフィルムは、線膨張係数が30ppm/K以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
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