JP7101443B2 - 水性塗料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は常乾塗装及び焼付塗装のいずれも可能で、特に製造ラインでの防錆鋼材の生産性に優れた水性塗料組成物に関する。
従来、建築資材用途に使用される軽量形鋼等の鋼材には、防錆性付与のために防錆塗料が塗装され、溶剤型塗料が使用されていたが、近年は、環境対策のため水性塗料が塗装されている。
軽量形鋼等の鋼材の製造ラインでの塗装は、成型油がつけられ、成型された鋼材を脱脂後、プレヒート(80~110℃程度)により鋼材を所望の温度として、防錆塗料をエアレス塗装する工程が一般的に行われている。
上記工程は短時間で行われる(鋼材成型から塗装鋼材の結束まで約5分程度)ため、防錆塗料は、速乾性と高硬度であること、さらには塗装された鋼材は数分以内に結束、積み重ねられてクレーン搬送されるため、耐ブロッキング性(塗膜同志が付着しない(くっつかない)こと)にも優れた塗料であることが求められる。
また、国交省の「公共建築工事標準仕様書」で、鉄鋼製品、鋼構造物等の錆止め塗料として、JIS K5674(鉛・クロムフリーさび止めペイント)の規格を満足する塗料の使用が規定され、公共建築物においては当該JIS規格認定を取得した塗料であることも求められている。
特許文献1には、油面密着性、高温仕上り性、ロールタッチ塗膜剥離性、ブロッキング性及び防錆性に優れた被覆組成物として、水系アクリル変性アルキド樹脂(A)10~80重量部及び水系アクリル変性エポキシ樹脂(B)20~90重量部を結合剤として含有する水性被覆組成物が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の水性被覆組成物は、防錆性及び造膜性(速乾性)に優れるが、耐ブロッキング性が不十分であった。
特許文献2には、ガラス転移点が30~80℃であるスチレン-ブタジエン共重合体20~100重量部とエチレン-アクリル酸共重合体0~80重量部とからなる水性樹脂組成物100重量部に対して、水溶性溶剤を1~30重量部と、水性クロム化合物をクロム酸イオンとして0.01~2.0重量部とをそれぞれ配合し、pHを7以上にしたことを特徴とする水性防錆組成物が開示されている。
しかしながら、特許文献2に記載の水性防錆組成物は、防錆性に優れるが、有害なクロム化合物を含有するため、環境保護の観点から好ましくない。
特開平7-300574号公報 特開平11-172189号公報
本発明の目的は、常乾塗装及び焼付塗装のいずれも可能で、造膜性、耐ブロッキング性及び防錆性に優れ、環境負荷物質(鉛やクロム等)を含有しない塗膜を形成することができる水性塗料組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行なった結果、特定の重量平均分子量範囲及びガラス転移温度範囲であるウレタン樹脂粒子、及び特定のガラス転移温度範囲であるアクリル樹脂粒子を樹脂成分として含有することを特徴とする水性塗料組成物によれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
1.重量平均分子量が10万~500万で、ガラス転移温度が30~100℃であるウレタン樹脂粒子(A)及びガラス転移温度が-20~30℃であるアクリル樹脂粒子(B)を含有し、ウレタン樹脂粒子(A)及びアクリル樹脂粒子(B)の固形分総量に対して、固形分量として、ウレタン樹脂粒子(A)40~80質量%、アクリル樹脂粒子(B)20~60質量%であることを特徴とする水性塗料組成物、
2.さらに、防錆剤(C)を含有する上記項1に記載の水性塗料組成物、
3.さらに、顔料(D)を含有する上記項1又は2に記載の水性塗料組成物、
4.ウレタン樹脂粒子(A)及びアクリル樹脂粒子(B)の固形分総量に対して、防錆剤(C)及び顔料(D)の固形分量総量が10~400質量%である上記項1~3のいずれか一項に記載の水性塗料組成物、
5.被塗物をプレヒートしてから上記項1~4のいずれか一項に記載の水性塗料組成物を塗装した後、余熱で乾燥させる工程を有する塗装方法、
を提供するものである。
本発明の水性塗料組成物は、樹脂成分として、高分子量で高いガラス転移温度を有するウレタン樹脂粒子と低いガラス転移温度を有するアクリル樹脂粒子とを併用することにより、造膜性(速乾性)と耐ブロッキング性の両立を可能とし、防錆性にも優れた塗膜を得ることができる。
また、本発明の水性塗料組成物は常乾塗装及び焼付塗装のいずれも可能で、本発明の水性塗料組成物を適用することにより、建設現場等の屋外での塗装(常乾塗装)のみならず、塗装鋼材等の製造ラインにおいても効率的に塗装(通常、焼付塗装)することができるので、防錆性に優れた塗装鋼材等の塗装物品が得られるという効果を奏することができる。
本発明の水性塗料組成物は、重量平均分子量が10万~500万で、ガラス転移温度が30~100℃であるウレタン樹脂粒子(A)及びガラス転移温度が-20~30℃であるアクリル樹脂粒子(B)を含有する水性塗料組成物であって、ウレタン樹脂粒子(A)及びアクリル樹脂粒子(B)の固形分総量に対して、ウレタン樹脂粒子(A)及びアクリル樹脂粒子(B)をそれぞれ特定範囲固形分量含有することを特徴とする水性塗料組成物である。
以下、本発明の水性塗料組成物(以下、「本塗料」ということがある。)について詳細に説明する。
ウレタン樹脂粒子(A)
ウレタン樹脂粒子(A)は、一般に、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを含む構成成分から得ることができる。
ポリイソシアネート成分としては、脂環族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート及び1分子中にイソシアネート基を3つ以上有するポリイソシアネート等を挙げることができる。
脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、トランス-1,4-シクロヘキシルジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等を挙げることができる。
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4及び/又は(2,4,4)-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート等を挙げることができる。
1分子中にイソシアネート基を3つ以上有するポリイソシアネートとしては、例えば、上記例示のジイソシアネートのイソシアヌレート三量化物、ビューレット三量化物、トリメチロールプロパンアダクト化物等;トリフェニルメタントリイソシアネート、1-メチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、ジメチルトリフェニルメタンテトライソシアネート等の三官能以上のポリイソシアネート等を挙げることができ、これらのイソシアネート化合物はカルボジイミド変性、イソシアヌレート変性、ビウレット変性等の変性物の形で用いてもよい。
上記のポリイソシアネートは、ブロッキング剤によってブロックされたブロックイソシアネートの形で用いてもよい。
ポリオール成分としては、ポリカーボネートポリオール、エステル結合を有するポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエーテルポリオール、低分子ポリオール、ポリブタジエンポリオール、シリコーンポリオール等を挙げることができる。
ポリカーボネートポリオールは、常法により、公知のポリオールとカルボニル化剤とを重縮合反応させることにより得られる化合物である。ポリオールとしては、ジオール、3価以上のアルコール等の多価アルコールを挙げることができる。
ジオールとしては、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール及び1,10-デカンジオール等の直鎖状ジオール;2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、
ネオペンチルグリコール、2-エチル-1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3- プロパンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール等の分岐ジオール;1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の脂環式系ジオール;p-キシレンジオール、p-テトラクロロキシレンジオール等の芳香族系ジオール;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のエーテル系ジオール等を挙げることができる。これらのジオールは、単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
3価以上のアルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールプロパンの2量体、ペンタエリスリトール等を挙げることができる。これらの3価以上のアルコールは、単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
カルボニル化剤としては、公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、アルキレンカーボネート、ジアルキルカーボネート、ジアリルカーボネート、ホスゲン等を挙げることができ、これらの1種を又は2種以上を組合せて使用することができる。これらのうち好ましいものとして、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等を挙げることができる。
エステル結合を有するポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール等を挙げることができる。
上記のポリエステルポリオールとしては、多価アルコールと該多価アルコールの化学量論的量より少ない量の多価カルボン酸又はそのエステル、無水物、ハライド等のエステル形成性誘導体との直接エステル化反応及び/又はエステル交換反応により得られるものを挙げることができる。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、3,5-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール等の脂環式ジオール類、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキシトール類、ペンチトール類、グリセリン、ペンタエリスリトール、テトラメチロールプロパン等の三価以上のアルコール類を挙げることができる。
多価カルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2-メチルコハク酸、2-メチルアジピン酸、3-メチルアジピン酸、3-メチルペンタン二酸、2-メチルオクタン二酸、3,8-ジメチルデカン二酸、3,7-ジメチルデカン二酸、水添ダイマー酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸類、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類、1,2-シクロペンタンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-ジカルボキシルメチレンシクロヘキサン、ナジック酸、メチルナジック酸等の脂環式ジカルボン酸類、トリメリット酸、トリメシン酸、ひまし油脂肪酸の三量体等のトリカルボン酸類等の多価カルボン酸、これらの多価カルボン酸の酸無水物、該多価カルボン酸のクロライド、ブロマイド等のハライド、該多価カルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、アミルエステル等の低級エステルや、γ-カプロラクトン、δ-カプロラクトン、ε-カプロラクトン、ジメチル-ε-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-ブチロラクトン等のラクトン類を挙げることができる。
上記のポリカプロラクトンポリオールとしては、例えば、ポリカプロラクトンジオール等のカプロラクトンの開環重合物等を挙げることができる。
上記の低分子ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオールで例示した多価アルコールを挙げることができる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、上記の低分子ポリオールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物、ポリテトラメチレングリコール等を挙げることができる。
シリコーンポリオールとしては、分子中に、シロキサン結合を有する末端がヒドロキシル基のシリコーンオイル類等を挙げることができる。
また、ポリオール成分として、カルボキシル基含有ジオールを使用することができる。カルボキシル基含有ジオールは、ポリウレタン分子に親水性基を導入するために用いられる。親水性基はカルボキシル基である。具体例としては、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロール吉草酸等を挙げることができる。
ポリイソシアネート成分及びポリオール成分の他、必要に応じてアミン成分を使用することができる。アミン成分としては、モノアミン化合物、ジアミン化合物等を挙げることができる。
モノアミン化合物としては、特に制限を受けず、周知一般のモノアミン化合物を単独で又は二種以上を組合せて使用することができる。該モノアミン化合物としては、エチルアミン、プロピルアミン、2-プロピルアミン、ブチルアミン、2-ブチルアミン、第三ブチルアミン、イソブチルアミン等のアルキルアミン;アニリン、メチルアニリン、フェニルナフチルアミン、ナフチルアミン等の芳香族アミン;シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン等の脂環式アミン;2-メトキシエチルアミン、3メトキシプロピルアミン、2-(2-メトキシエトキシ)エチルアミン等のエーテルアミン;エタノールアミン、プロパノールアミン、ブチルエタノールアミン、1-アミノ-2-メチル-2-プロパノール、2-アミノ-2-メチルプロパノール、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジメチルアミノプロピルエタノールアミン、ジプロパノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン等のアルカノールアミン等を挙げることができる。なかでもアルカノールアミンがポリウレタン分子に対して良好な水分散安定性を与え得るので好ましく、2-アミノエタノール、ジエタノールアミンが供給安定性の観点から特に好ましい。
ジアミン化合物としては、特に制限を受けず、周知一般のジアミン化合物を単独で又は二種以上を組合せて使用することができる。該ジアミン化合物としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン等の前記例示の低分子ジオールのアルコール性水酸基がアミノ基に置換されたものである低分子ジアミン類;ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシエチレンジアミン等のポリエーテルジアミン類;メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルネンジアミン、ビス(4-アミノ-3-メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等の脂環式ジアミン類;m-キシレンジアミン、α-(m/pアミノフェニル)エチルアミン、m-フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、ジアミノジエチルジフェニルメタン、ジメチルチオトルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、α,α’-ビス(4-アミノフェニル)-p-ジイソプロピルベンゼン等の芳香族ジアミン類;ヒドラジン;上記のポリエステルポリオールに用いられる多価カルボン酸で例示したジカルボン酸とヒドラジンとの化合物であるジカルボン酸ジヒドラジド化合物等を挙げることができる。これらのジアミン化合物のなかでは、低分子ジアミン類が取扱い作業性の観点から好ましく、なかでもエチレンジアミンが特に好ましい。
ウレタン樹脂粒子(A)は、ポリウレタン分子に分岐又は架橋構造を有するものを好適に使用することができる。分岐又は架橋構造は内部分岐剤又は内部架橋剤を用いて導入することができる。これらの内部分岐剤及び内部架橋剤としては、3価以上のポリオールを好適に使用することができ、例えばトリメチロールプロパンを挙げることができる。
ウレタン樹脂粒子(A)の製造方法については、特に制限を受けず、周知一般の方法を適用することができる。製造方法としては、反応に不活性で水との親和性の大きい溶媒中でプレポリマー又はポリマーを合成してから、これを水にフィードして分散させる方法が好ましい。例えば、上記溶媒中でポリイソシアネート成分及びポリオール成分からプレポリマーを合成して、これを水中で必要に応じて使用されるアミン成分と反応させる方法(イ)、ポリイソシアネート成分、ポリオール成分及び必要に応じて使用されるアミン成分からポリマーを合成して、これを水中にフィードして分散させる方法(ロ)等を挙げることができる。また、必要に応じて使用される中和剤成分は、予めフィードする水中に加えておいてもよく、フィードの後で加えてもよい。
上記の好適な製造方法に使用される、反応に不活性で水との親和性の大きい溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、N-メチル-2-ピロリドン等を挙げることができる。これらの溶媒は、通常、プレポリマー又はポリマーを製造するために用いられる上記原料の合計量に対して、3~100質量%使用することができる。
上記の製造方法において、その配合比は、特に制限を受けるものではない。該配合比は、反応させる段階でのポリイソシアネート成分中のイソシアネート基と、ポリオール成分及びアミン成分中のイソシアネート反応基とのモル比に置き換えることができる。該モル比については、分散しているウレタン樹脂粒子(ポリウレタン分子)中に未反応のイソシアネート基が不足すると塗料として使用したときに塗膜密着性や塗膜強度が低下する場合があり、過剰に存在すると未反応イソシアネート基が、塗料の分散安定性や物性に影響を及ぼす場合があるので、イソシアネート基1に対して、イソシアネート反応性基は0.5~2.0が好ましい。また、ポリオール成分中のイソシアネート反応性基のモル比は、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基1に対して0.3~1.0が好ましく、0.5~0.9がより好ましい。また、必要に応じて使用されるアミン成分中のイソシアネート反応性基のモル比は、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基1に対して、0.1~1.0が好ましく、0.2~0.5がより好ましい。
また、必要に応じて使用される中和剤による中和率は、得られるウレタン樹脂粒子(A)に対し、充分な分散安定性を与える範囲に設定することが好ましい。ウレタン樹脂粒子(A)中のカルボキシル基のモル数1に対して、0.5~2.0倍当量が好ましく、0.7~1.5倍当量がより好ましい。
ウレタン樹脂粒子(A)の分散性を向上させるために、界面活性剤等の乳化剤を使用することもできる。
乳化剤としては、ウレタン樹脂エマルションに使用される周知一般のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子系界面活性剤、反応性界面活性剤等を使用することができる。これらのうち、アニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤を好適に使用することができる。
上記のアニオン性界面活性剤としては、例えば、ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート等アンモニウムドデシルサルフェート等のアルキルサルフェート類;ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート;ナトリウムスルホリシノレート;スルホン化パラフィンのアルカリ金属塩、スルホン化パラフィンのアンモニウム塩等のアルキルスルホネート;ナトリウムラウレート、トリエタノールアミンオレート、トルエタノールアミンアビエテート等の脂肪酸塩;ナトリウムベンゼンスルホネート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェート等のアルキルアリールスルホネート;高アルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ジアルキルスルホコハク酸塩;ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩などが挙げられる。
上記のノニオン性界面活性剤としては、炭素数1~18のアルコールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物、アルキレングリコール及び/又はアルキレンジアミンのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
上記のノニオン性界面活性剤を構成する炭素数1~18のアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、2-プロパノール、ブタノール、2-ブタノール、第三ブタノール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、第三アミルアルコール、ヘキサノール、オクタノール、デカンアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール等が挙げられ、アルキルフェノールとしては、フェノール、メチルフェノール、2,4-ジ第三ブチルフェノール、2,5-ジ第三ブチルフェノール、3,5-ジ第三ブチルフェノール、4-(1,3-テトラメチルブチル)フェノール、4-イソオクチルフェノール、4-ノニルフェノール、4-第三オクチルフェノール、4-ドデシルフェノール、2-(3,5-ジメチルヘプチル)フェノール、4-(3,5-ジメチルヘプチル)フェノール、ナフトール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等が挙げられ、アルキレングリコールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等が挙げられ、アルキレンジアミンとしては、これらのアルキレングリコールのアルコール性水酸基がアミノ基に置換されたものが挙げられる。また、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド付加物とは、ランダム付加物でもブロック付加物でもよい。
これらの乳化剤を使用する場合の使用量は、特に制限を受けず任意の量を使用することができるが、ウレタン樹脂粒子1に対する質量比で0.05より小さいと充分な分散性が得られない場合があり、0.3を超えると水性第1着色塗料から得られる塗膜等の耐水性、強度、延び等の物性が低下するおそれがあるので0.01~0.3が好ましく、0.05~0.2がより好ましい。
ウレタン樹脂粒子(A)の重量平均分子量は、耐ブロッキング性の観点から10万~500万であり、好ましくは20万~500万、特に好ましくは30万~300万の範囲内である。
本明細書において、平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフを用いて測定した保持時間を、同一条件で測定した分子量既知の標準ポリスチレンの保持時間によりポリスチレンの分子量に換算して求めた値である。
ウレタン樹脂粒子(A)のガラス転移温度(Tg)は、耐ブロッキング性及び防錆性の観点から30~100℃であり、好ましくは40~90℃、特に好ましくは40~80℃の範囲内である。
本明細書において、ウレタン樹脂粒子(A)のガラス転移温度(Tg)は、示差熱分析(DSC)によるものである。具体的には、示差走査熱量計「DSC-220U」(セイコーインスツルメント社製)を用いて、試料を測定カップにとり、真空吸引して完全に溶剤を除去した後、3℃/分の昇温速度で-20℃~+200℃の範囲で熱量変化を測定し、低温側の最初のベースラインの変化点をガラス転移温度として測定することができる。
ウレタン樹脂粒子(A)の平均粒子径は、造膜性の観点から、10~1000nmの範囲内が好ましく、さらに好ましくは10~500nm、さらに特に好ましくは10~300nmの範囲内である。
平均粒子径はレーザー光散乱等の一般的な測定手段を用いて測定することができる。
本明細書において、樹脂粒子の平均粒子径は、サブミクロン粒度分布測定装置を用いて、常法により脱イオン水で希釈してから20℃で測定した値である。サブミクロン粒度分布測定装置としては、例えば、「COULTER N4型」(商品名、ベックマン・コールター社製)を用いることができる。
ウレタン樹脂粒子(A)としては、上記重量平均分子量及びガラス転移温度の要件を満足する市販品を使用することもできる。市販品としては、例えばスーパーフレックス150(第一工業製薬社製)、アデカボンタイダーHUX-232、アデカボンタイダーHUX-320(いずれも商品名、ADEKA社製)等を挙げることができる。
アクリル樹脂粒子(B)
アクリル樹脂粒子(B)は、乳化重合により合成されるもの或いは溶液重合により合成されるもののいずれであってもよく、両者を併用することもできるが、耐ブロッキング性の観点から乳化重合により合成されるものを好適に使用することができる。
乳化重合は、シード重合法、ミニエマルション重合法等の従来公知の方法により行うことができ、例えば、乳化剤の存在下で、重合開始剤を使用して重合性不飽和モノマーを乳化重合することにより、行うことができる。
さらに具体的には、水、又は必要に応じてアルコール等の有機溶剤を含む水性媒体中に乳化剤を溶解させ、加熱撹拌下、重合性不飽和モノマー及び重合開始剤を滴下することにより行うことができる。乳化剤と水とを用いて予め乳化した重合性不飽和モノマーを同様に滴下することもできる。
上記乳化剤としては、アニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤が好適であり、該アニオン系乳化剤としては、例えば、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルリン酸等のナトリウム塩やアンモニウム塩を挙げることができ、また、ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等を挙げることができる。また、1分子中にアニオン性基とポリオキシエチレン基やポリオキシプロピレン基等のポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレン基含有アニオン性乳化剤や、1分子中に該アニオン性基と重合性不飽和基とを有する反応性アニオン性乳化剤を使用することもできる。
反応性アニオン性乳化剤の具体例としては、エレミノールJS-1、エレミノールJS-2(三洋化成社製)、S-120、S-180A、S-180、ラテムルPD-104、ラテムルPD-420、ラテムルPD-430S、ラテムルPD-450(花王社製)、アクアロンHS-10、アクアロンKH-10(第一工業製薬社製)、アデカリアソープSE-10N、アデカリアソープSE-20N、アデカリアソープSR-1025、アデカリアソープER-10、アデカリアソープER-20、アデカリアソープER-30、アデカリアソープER-40(ADEKA社製)、ANTOX MS-60(日本乳化剤社製)などを挙げることができる。
上記乳化剤等の分散安定剤は、乳化重合反応において、1種又は2種以上を用いることができる。
上記乳化剤の使用量は、使用される全モノマーの総量を基準にして、0.1~15質量%、特に0.5~10質量%、さらに特に1~5質量%であることが好ましい。
前記重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキシド、ステアロイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、tert-ブチルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシラウレート、tert-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert-ブチルパーオキシアセテート、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(2-メチルプロピオンニトリル)、アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、4、4’-アゾビス(4-シアノブタン酸)、ジメチルアゾビス(2-メチルプロピオネート)、アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]、アゾビス{2-メチル-N-[2-(1-ヒドロキシブチル)]-プロピオンアミド}等のアゾ化合物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩等を挙げることができる。これらの重合開始剤は、一種単独で又は2種以上組合せて使用することができる。また、上記重合開始剤に、必要に応じて、糖、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、鉄錯体等の還元剤を併用して、レドックス開始剤とすることもできる。
上記重合開始剤の使用量は、一般に、使用される全モノマーの総量を基準にして、0.1~5質量%程度、特に0.2~3質量%程度が好ましい。該重合開始剤の添加方法は、特に制限されるものではなく、その種類及び量などに応じて適宜選択することができる。例えば、予めモノマー混合物又は水性媒体に含有させてもよく、或いは重合時に一括して添加してもよく又は滴下してもよい。
また、得られるアクリル樹脂粒子(B)の分子量を調整する目的で、連鎖移動剤を使用することもできる。該連鎖移動剤としては、メルカプト基を有する化合物が包含され、具体的には例えば、ラウリルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、チオグリコール酸2-エチルヘキシル、2-メチル-5-tert-ブチルチオフェノール、メルカプトエタノール、チオグリセロール、メルカプト酢酸(チオグリコール酸)、メルカプトプロピオネート、n-オクチル-3-メルカプトプロピオネート等を挙げることができる。該連鎖移動剤を使用する場合、その使用量は、一般に、使用される全モノマーの総量を基準にして、0.05~10質量%、特に0.1~5質量%の範囲内であることが好ましい。
乳化重合反応中における全重合性不飽和モノマーの濃度は、通常、0.1~60質量%、好ましくは0.5~50質量%、さらに好ましくは1.0~50質量%の範囲内であるのが適している。
反応温度は主として、開始剤により決定されるものであり、例えば、アゾ化合物では60~90℃であり、レドックス開始剤では30~70℃で行うことが好ましい。一般に、反応時間は1~8時間とすることができる。
重合性不飽和モノマーとしては、従来から公知のものが使用でき、例えば、反応性基含有重合性不飽和モノマー及びその他の重合性不飽和モノマーを使用することができる。
反応性基含有重合性不飽和モノマーの反応性基としては、例えば、水酸基、酸基、カルボニル基、N-メチロールアルキルエーテル基、イソシアネート基、エポキシ基、アミノ基、アルコキシシリル基、カルボジイミド基、ヒドラジド基等の反応性を有する官能基を挙げることができる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸又はメタクリル酸」を意味する。また、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル又はメタクリロイル」を意味する。また、「(メタ)アクリルアミド」は、「アクリルアミド又はメタクリルアミド」を意味する。
水酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
これらのうち、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを好適に使用することができる。
酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、カルボキシル基又は酸無水基含有重合性不飽和モノマー等を挙げることができる。
カルボキシル基又は酸無水基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、β-カルボキシエチルアクリレート等の不飽和カルボン酸又はこれらの酸無水物を挙げることができる。これらのうち、アクリル酸、メタクリル酸を好適に使用することができる。
カルボキシル基又は酸無水基以外の酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム塩、スルホエチルメタクリレート及びそのナトリウム塩もしくはアンモニウム塩等を挙げることができる。
カルボニル基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えば、アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、ホルミルスチロール及びビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン等の炭素原子数4~7個のビニルアルキルケトン等を挙げることができる。これらのうち特に好ましいものは、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミドである。
N-メチロールアルキルエーテル基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えば、N-メチロールアクリルアミドブチルエーテル等を挙げることができる。
イソシアネート基含有重合性不飽和モノマーは、1分子中に、未ブロックイソシアネート基とラジカル重合性二重結合とをそれぞれ少なくとも1個ずつ有する化合物であって、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2-イソシアネートエチルメタクリレート、m-又はp-イソプロペニル-α,α’-ジメチルベンジルイソシアネート、又は、水酸基含有重合性不飽和モノマーとジイソシアネート化合物との1:1(モル比)付加物(例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレートとイソホロンジイソシアネートとの等モル付加物)等を挙げることができる。
エポキシ基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、CYCLOMER A-200(脂環式エポキシ基含有モノマー)、CYCLOMER M-100(脂環式エポキシ基含有モノマー)等を挙げることができる。
アミノ基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えばジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド及びジメチルアミノプロピルメタクリルアミド等を挙げることができる。
アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリブトキシシラン、ビニルトリス-β-メトキシエトキシシラン、ジビニルメトキシシラン、ジビニルジ-β-メトキシエトキシシラン等を挙げることができる。
その他の重合性不飽和モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のC1~C24のアルキル又はシクロアルキルエステル;アクリル酸メトキシブチル、メタクリル酸メトキシブチル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシブチル、メタクリル酸エトキシブチル、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のC1~C16アルコキシアルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、N-ビニルピロリドン、ビニルピリジン等の芳香族不飽和単量体;エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンテン等のオレフィン;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン化合物;シクロヘキセニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N-ブトキシ(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ビニルピバレート、ベオバモノマー(シェル化学社製品)等を挙げることができる。
また、重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマーをモノマー成分として使用することにより架橋樹脂粒子とすることもできる。
重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマーとしては、例えば、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルテレフタレート、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。これらのモノマーは、1種を単独で、又は2種以上を組合せて使用することができる。
上記重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマーとしては、なかでも、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートを好適に使用することができる。
アクリル樹脂粒子(B)のガラス転移温度は、防錆性と造膜性の観点から、-20~30℃の範囲内であり、より好ましくは-10~25℃の範囲内である。
本明細書において、アクリル樹脂粒子(B)のガラス転移温度Tg(絶対温度)は、下記式(1)により算出される値である。
1/Tg=W/T+W/T+・・・W/T (1)
[式中、W、W、・・・Wは各モノマーの質量分率であり、T、T・・・Tは各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度(絶対温度)である。]
なお、各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度は、POLYMER HANDBOOK Fourth Edition,J.Brandrup,E.h.Immergut,E.A.Grulke編(1999年)による値であり、該文献に記載されていないモノマーのガラス転移温度は、該モノマーのホモポリマーを重量平均分子量が5万程度になるようにして合成し、そのガラス転移温度を示差走査型熱分析により測定したときの値を使用した。
アクリル樹脂粒子(B)は、粒子の分散安定性の観点から、好ましくは10~1000nm、さらに好ましくは20~500nm、さらに特に好ましくは40~300nmの範囲内の平均粒子径を有することができる。
ウレタン樹脂粒子(A)及びアクリル樹脂粒子(B)は、特に酸基を有する場合、分散安定性の観点から塩基性化合物で中和することが好ましい。
上記中和剤としては、アンモニア又は水溶性アミノ化合物、例えば、モノエタノールアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエタノールアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、ジエタノールアミン、モルホリン等を好適に使用することができる。
ウレタン樹脂粒子(A)及びアクリル樹脂粒子(B)は、水酸基を有する場合、水酸基価が1~150mgKOH/gであるのが好ましく、2~100mgKOH/gであるのがより好ましく、5~90mgKOH/gであるのが更に好ましい。
また、ウレタン樹脂粒子(A)及びアクリル樹脂粒子(B)は、コア/シェル型構造を有するものであってもよい。「シェル部」は樹脂粒子の最外層に存在する重合体層を意味し、「コア部」は上記シェル部を除く樹脂粒子内層の重合体層を意味し、「コア/シェル型構造」は上記コア部とシェル部を有する構造を意味するものである。上記コア/シェル型構造は、通常、コア部がシェル部に完全に被覆された層構造が一般的であるが、コア部とシェル部の質量比率等によっては、シェル部のモノマー量が層構造を形成するのに不十分な場合もあり得る。そのような場合は、上記のような完全な層構造である必要はなく、コア部の一部をシェル部が被覆した構造であってもよく、あるいはコア部の一部にシェル部の構成要素である重合性不飽和モノマーがグラフト重合した構造であってもよい。また、上記コア/シェル型構造における多層構造の概念は、ウレタン樹脂粒子(A)及びアクリル樹脂粒子(B)において、コア部に多層構造が形成される場合にも同様に当てはまるものとする。コア/シェル構造は、例えば、組成の異なる単量体組成物を多段階で、反応を行うことにより得ることができる。
本発明の水性塗料組成物は、樹脂成分として、ウレタン樹脂粒子(A)40~80質量%及びアクリル樹脂粒子(B)20~60重量%を両者の固形分総量に対して固形分量で含有する。
好ましくは(A)成分が40~70質量%、(B)成分が30~60質量%、さらに好ましくは(A)成分が40~60質量%、(B)成分が40~60質量%である。
(A)成分が40質量%未満であると、得られる塗膜の耐ブロッキング性又は防錆性が不良となる場合があり、(B)成分が20重量%未満であると、造膜性が不良となる場合がある。
本発明の水性塗料組成物において、必要に応じて(A)成分及び(B)成分以外の樹脂
も使用することができる。
具体的には、(A)成分以外のウレタン樹脂、(B)成分以外のアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等、また、アミノ樹脂、フェノール樹脂、ポリイソシアネート化合物、カルボジイミド化合物等の硬化剤として通常使用される樹脂等を挙げることができる。
防錆剤(C)
本発明の水性塗料組成物は、防錆性向上のため防錆剤を含有することが好ましい。
防錆剤としては、通常、塗料に用いられるものを使用することができ、例えば、ジルコニウム化合物、バナジウム化合物、酸化ケイ素、含イオウ有機化合物等を挙げることができる。
顔料(D)
本発明の水性塗料組成物は、防錆性向上のため顔料を含有することが好ましい。顔料としては、防錆顔料、着色顔料及び体質顔料等を挙げることができる。
防錆顔料としては、例えば、酸化亜鉛、亜リン酸塩化合物、リン酸塩化合物、亜硝酸塩化合物、モリブテン酸塩系化合物、ビスマス化合物、金属イオン交換シリカ等を挙げることができる。
着色顔料としては、酸化チタン、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム、カーボンブラック、黒鉛(グラファイト)、鉄黒(アイアンブラック)、紺青、群青、コバルトブルー、銅フタロシアニンブルー、インダンスロンブルー、黄鉛、合成黄色酸化鉄、べんがら、透明べんがら、ビスマスバナデート、チタンイエロー、亜鉛黄(ジンクエロー)、オーカー、モノアゾイエロー、ジスアゾ、イソインドリノンイエロー、金属錯塩アゾイエロー、キノフタロンイエロー、ベンズイミダゾロンイエロー、モノアゾレッド、無置換キナクリドンレッド、アゾレーキ(Mn塩)、キナクリドンマゼンダ、アンサンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ペリレンマルーン、ペリレンレッド、ジケトピロロピロールクロムバーミリオン、塩素化フタロシアニングリーン、臭素化フタロシアニングリーン、その他;ピラゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンオレンジ、ジオキサジンバイオレット、ペリレンバイオレット等を挙げることができる。
体質顔料としては、例えば、クレー、シリカ、硫酸バリウム、タルク、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、珪藻土、炭酸マグネシウムアルミニウムフレーク、雲母フレーク等を挙げることができる。
上記体質顔料のうち、防錆性の観点から、硫酸バリウム及びタルクを好適に使用することができる。
本発明の塗料組成物が防錆剤(C)又は顔料(D)を含有する場合、ウレタン樹脂粒子(A)及びアクリル樹脂粒子(B)の固形分総量に対して、防錆剤(C)及び顔料(D)の固形分量総量は、10~400質量%、特に20~350質量%、さらに特に50~300質量%であることが、防錆性及び造膜性の観点から好ましい。
本発明の水性塗料組成物には、さらに必要に応じて、触媒、顔料分散剤、溶剤、造膜助剤、沈降防止剤、レオロジーコントロール剤、消泡剤、塗面調整剤、紫外線吸収剤、紫外線安定化剤、pH調整剤等の添加剤を含有させることができる。
本発明の水性塗料組成物は、速乾性、耐ブロッキング性、塗装作業性に優れ、防錆性にも優れた塗膜を形成することができるので、例えば、建築資材用途等に使用される鋼材、特に軽量形鋼等の防錆塗料として特に好適に使用することができる。
本発明の水性塗料組成物が塗装される被塗物である鋼材としては、さらに具体的には、リップみぞ形鋼、軽みぞ形鋼、異形軽みぞ形鋼等のC形鋼、等辺軽山形鋼、不等辺軽山型形鋼等のLアングル、角型鋼管及びデッキプレート等の軽量形鋼等;及びこれらの鋼材に燐酸塩処理などの化成処理を施した鋼材を挙げることができる。
本発明の水性塗料組成物は、上記鋼材上に、ロールコート法、スプレー塗装法、刷毛塗り法、静電塗装法、浸漬法、電着塗装法、カーテン塗装法、ローラー塗装法等の公知の方法により本発明の水性塗料組成物を塗装し、乾燥させることにより塗膜を形成させることができる。
本発明の水性塗料組成物による塗膜の膜厚は、特に限定されるものではないが、通常10~100μm、好ましくは10~80μmの範囲で塗装することができる。
本発明の水性塗料組成物は、常乾塗装及び焼付塗装のいずれも可能であり、焼付塗装の加熱乾燥条件は、適宜設定すればよいが、例えば、鋼材製造ラインにおいては、通常、プレヒートにより素材温度を70~200℃、好ましくは80~120℃として塗装した後、余熱(塗装直後の素材温度(60~100℃程度))で3~5分間乾燥させることにより塗装を行なうことができる。
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は、これらにより限定されない。各例において、「部」及び「%」は、特記しない限り質量基準による。また、塗膜の膜厚は硬化塗膜に基づく。
ウレタン樹脂粒子(A-1)の製造
製造例1
温度計、サーモスタット、攪拌装置及び還流冷却器を備えた反応容器に、「クラレポリオール P1010」(商品名、クラレ製、メチルペンタンジオールアジペート、分子量約1000)68.9部、及びジメチロールプロピオン酸2.9部、トリメチロールプロパン1.5部、「ネオスタン U-600」(商品名、日東化成製、ビスマス系触媒)0.1部、メチルエチルケトン溶剤100部を仕込み、攪拌しながら80℃まで昇温させた後、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナート30.8部を30分間かけて滴下した。その後80℃を保持してウレタン化反応を行い、室温まで冷却することにより、末端イソシアネート基を有するポリウレタン樹脂のプレポリマー溶液を得た。
その後攪拌を続け、メチルエチルケトン溶剤100部で樹脂粘度を低減させた後、ジメチルエタノールアミン1.2部を添加して中和を行い、脱イオン水148.8部を適時添加しながら水分散(転相乳化)を行った。
水分散(乳化)完了後、エチレンジアミン0.6部を添加し、40℃に昇温して2時間撹拌した。これによりウレタン樹脂の末端イソシアネート基とジアミンとの鎖伸長反応を行った。
その後、攪拌を続け、60℃まで昇温しながら減圧脱溶剤を行った。配合したメチルエチルケトン溶剤を全て留去した時点で常圧に戻し、冷却後、過剰に留去された脱イオン水を補正することで、質量固形分濃度40%のウレタン樹脂粒子(A-1)の水分散体を得た。
得られたウレタン樹脂粒子(A-1)のガラス転移温度は70℃、(示差走査熱量計「DSC-220U」(セイコーインスツルメント社製)を用いて測定)、平均粒子径は330nm(サブミクロン粒度分布測定装置「COULTER N4型」(ベックマン・コールター社製))を用いて、脱イオン水で希釈し20℃で測定)、酸価は12mgKOH/g、水酸基価は0mgKOH/g、重量平均分子量は、70万であった。
アクリル樹脂粒子(B-1)の製造
製造例2
反応容器に脱イオン水40部、「Newcol707SF」(日本乳化剤社製、ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性乳化剤、固形分30%)3.3部およびモノマー混合物(スチレン 47.8部、2-エチルヘキシルアクリレート47.8部、2-ヒドロキシエチルアクリレート 0.9部及びメタクリル酸 3.5部)のうちの1部を加え、窒素気流で攪拌混合し、60℃で3%過硫酸アンモニウム水溶液4部を加えた。次いで、80℃に昇温して前記モノマー混合物の残りの99部、「Newcol707SF」3.3部、3%過硫酸アンモニウム8部および脱イオン水35部からなるプレエマルションを4時間かけて定量ポンプを用いて反応容器に加え、添加終了後1時間熟成を行った。その後、脱イオン水10部を加え、アンモニア水でpH8.5に調整し、固形分が50%のアクリル樹脂粒子(B-1)分散液を得た。
得られたアクリル樹脂粒子(B-1)は、ガラス転移温度が-6.0℃、平均粒子径が165nm(サブミクロン粒度分布測定装置「COULTER N4型」(ベックマン・コールター社製)を用いて、脱イオン水で希釈し20℃で測定した。)、水酸基価が4.4mgKOH/g、酸価が22.8mgKOH/gであった。
アクリル樹脂粒子(B-2)~(B-5)の製造
製造例3~6
製造例2と同様にして、アクリル樹脂粒子(B-2)~(B-5)をそれぞれ製造した。得られたアクリル樹脂粒子のガラス転移温度、平均粒子径、水酸基価及び酸価を表1に示す。なお、アクリル樹脂粒子(B-2) はコアシェル型構造のアクリル樹脂粒子であり、アクリル樹脂粒子(B-4)及び(B-5)は比較例用である。
Figure 0007101443000001
水性塗料組成物の製造
実施例1~5及び比較例1~7
下記表2及び表3に示す配合にて各原材料を攪拌機で十分に混合し、ツブ(顔料粗粒子の粒子径)が30μm以下となるまで顔料分散を行ったあと、エチレングリコールモノブチルエーテル20部を加えてよく撹拌した。その後、脱イオン水を加えて固形分を調整することにより、固形分50%の各水性塗料組成物No.1~No.12を製造した。なお、表2及び表3の組成は、固形分質量比である。
なお、実施例及び比較例で使用した、スーパーフレックス150、スーパーフレックス830HS、スーパーフレックス460及びスーパーフレックス130はいずれも第一工業製薬(株)社製のウレタン樹脂粒子である。
試験板の製造
水性塗料組成物No.1の試験板の製造
70×150×0.8mmの冷間圧延鋼の磨き鋼板を粒度280の耐水研磨紙を用いて表面を研磨した後、トルエンを用いて脱脂を行ない試験用の素材とした。
(I)上記素材にフィルムアプリケーターを用いて硬化膜厚が35μmとなるように実施例1で得た水性塗料組成物No.1を塗装し、23℃、湿度50%の環境にて8時間乾燥させることにより、試験板I-1を得た。
(II)上記素材2枚を表面温度が100℃となるように加温した後、スプレー塗装により、硬化膜厚が35μmとなるように実施例1で得た水性塗料組成物No.1を塗装し、試験板II-1を2枚得た。
(III)上記素材にスプレー塗装により、硬化膜厚が35μmとなるように実施例1で得た水性塗料組成物No.1を塗装し、23℃、50%の環境にて7日間養生し、試験板III-1を得た。
水性塗料組成物No.2~12の試験板の製造
上記水性塗料組成物No.1の試験板の製造と同様にして、水性塗料組成物No.2~12を用いて、各試験板I-2~I-12、II-2~II-12、及びIII-2~III-12をそれぞれ得た。
性能試験及び性能評価
上記試験板の製造で得られた各試験板I-1~I-12、II-1~II-12、及びIII-1~III-12を下記試験方法に従って性能評価を行った。試験結果を下記表2及び表3に併せて示す。なお、各試験結果において、◎、○及び○△の評価レベルが合格レベルである。
造膜性:各試験板I-1~I-12を目視及び顕微鏡(倍率30倍)で塗膜のワレの有無を観察することにより造膜性を評価した。
○:顕微鏡(倍率30倍)で観察しても、塗膜のワレが認められない。
△:目視ではワレが認められないが、顕微鏡(倍率30倍)で観察すると、塗膜のワレが認められる。
×:目視で塗膜のワレが認められる。
耐ブロッキング性:各試験板II-1~II-12の各々2枚の板の塗装面同士を重ね合わせ、40kgf/cmとなるように錘をのせて、一定の温度環境下で1時間保持した。その後、錘を外して室温まで冷却し、圧着状態と剥離の具合から耐ブロッキング性を評価した。なお、下記評価基準において、温度が高温であるほど厳しい試験条件である。
◎:55℃で試験して2枚の板の圧着が認められない。
○:45℃で試験して2枚の板の圧着が認められない。
○△: 35℃で試験して2枚の板の圧着が認められない。
△:35℃で試験して2枚の板に圧着が認められるが、2枚の板を剥離した時に塗膜の破壊は認められない。
×:35℃で試験して2枚の板に圧着が認められ、2枚の板を剥離した時に塗膜の破壊が認められる。
密着性:各試験板II-1~II-12の塗面にJIS K 5600-5-6(1990)に準じて2mm×2mmのゴバン目100個を作り、その面に粘着テープを貼着し、急激に剥がした後のゴバン目塗膜の残存状態を調べ、下記基準で付着性を評価した。
◎:残存個数/全体個数=100個/100個でゴバン目に縁欠けも認められない。
○:残存個数/全体個数=100個/100個でゴバン目に縁欠けが認められる。
△:残存個数/全体個数=80~99個/100個
×:残存個数/全体個数=0~99個/100個
防錆性:各試験板III-1~III-12の裏面及び端部を表面と同じ水性塗料組成物No.1~12を用いて塗り包んで乾燥させ、JIS K 5600-7-9 の7.5(切り込み傷の付け方)のa)による方法で切り込み傷をつけた後、JIS K 5600-7-9附属書1(サイクルD)に示す条件のサイクル腐食試験を36サイクル実施した。
36サイクル終了後の試験板をイオン交換水でよく洗浄した後、表面の水分を拭き取り、下記により防錆性を評価した。評価にあたり、試験片の周辺約10mm以内の部位は評価の対象から除外し、さび汁による汚れも評価の対象外とした。
◎:試験板の一般面にはふくれ、はがれ及び錆のいずれも認められず、切り込み傷周辺の
ふくれ又は最大錆幅が1mm以内である。
○:試験板の一般面にはふくれ、はがれ及び錆のいずれも認められず、切り込み傷周辺の
ふくれ又は最大錆幅が1mmを越え、かつ2mm以内である。
△:試験板の一般面の一部にふくれ、はがれ又は錆のいずれかが認められる。
×:試験板の全面にふくれ、はがれ又は錆のいずれかが認められる。
Figure 0007101443000002
Figure 0007101443000003
常乾塗装及び焼付塗装のいずれも可能で、建設現場等の屋外での塗装のみならず、塗装鋼材等の製造ラインにおいても効率的に塗装することができ、防錆性に優れた塗装鋼材等の塗装物品を高い生産性で製造することができる。

Claims (3)

  1. 重量平均分子量が10万~500万で、ガラス転移温度が30~100℃であるウレタン樹脂粒子(A)及びガラス転移温度が-20~30℃であるアクリル樹脂粒子(B)を含有し、さらに、酸化亜鉛、亜リン酸塩化合物、リン酸塩化合物、亜硝酸塩化合物、モリブテン酸塩系化合物及びビスマス化合物から選ばれる防錆顔料、ならびに、ジルコニウム化合物、バナジウム化合物及び含イオウ有機化合物から選ばれる防錆剤(C)、の中から選ばれる少なくとも1種を含有し、
    ウレタン樹脂粒子(A)及びアクリル樹脂粒子(B)の固形分総量に対して、固形分量として、ウレタン樹脂粒子(A)40~80質量%、アクリル樹脂粒子(B)20~60質量%であることを特徴とする水性塗料組成物。
  2. ウレタン樹脂粒子(A)及びアクリル樹脂粒子(B)の固形分総量に対して、防錆剤(C)及び顔料(防錆顔料、着色顔料及び体質顔料)(D)の固形分量総量が10~400質量%である請求項1に記載の水性塗料組成物。
  3. 被塗物をプレヒートしてから請求項1又は2に記載の水性塗料組成物を塗装した後、余熱で乾燥させる工程を有する塗装方法。
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