JPH0841381A - 水系アンダーコート組成物 - Google Patents

水系アンダーコート組成物

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JPH0841381A
JPH0841381A JP19795094A JP19795094A JPH0841381A JP H0841381 A JPH0841381 A JP H0841381A JP 19795094 A JP19795094 A JP 19795094A JP 19795094 A JP19795094 A JP 19795094A JP H0841381 A JPH0841381 A JP H0841381A
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JP
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water
dispersible
resin
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acrylic resin
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JP19795094A
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English (en)
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Yoshiaki Ozaki
嘉昭 尾崎
Hiroyuki Hosoi
弘之 細井
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Kyoeisha Chemical Co Ltd
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Kyoeisha Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 成膜時の焼付け工程の有無を問わず、常温乾
燥でも収縮亀裂を発生することなく被着体に対して強固
な接着性を有する制振性、防音性に優れた耐チッピング
性水系アンダーコート組成物を提供する。 【構成】 水分散性ウレタン樹脂、粒子内架橋されたミ
クロゲル構造を有する水分散性アクリル樹脂、及び無機
質系充填材から実質的に構成されることを特徴とする水
系アンダーコート組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車等の床裏に塗装す
る水系アンダーコート組成物に関する。さらに詳しく
は、本発明は、亜鉛メッキ鋼板、電着塗装鋼板等の自動
車用鋼板に塗装する水系アンダーコート組成物であり、
成膜時の焼付け工程の有無を問わず、常温乾燥でも収縮
亀裂を発生することなく被着体に対して強固な接着性を
有する自動車用耐チッピング性アンダーコート組成物に
関する。また本発明によるアンダーコート組成物は、適
度な柔軟性を兼ね備え、走行時の路面からの飛石による
衝撃からボディーを保護し、チッピングによる錆の発生
を防止する。さらに、本発明は施工された鋼板に制振性
を付与し、防音効果を発現する柔軟かつ接着性の良い皮
膜を形成しうる自動車用アンダーコート組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車産業界は地球環境問題、省
資源、並びに高機能化等の問題に直面しており、塗料等
の塗装工程において排出される有機溶剤や構造物のリサ
イクルの際に発生する環境汚染物質を含む原材料の見直
しが要求されている。特に有機系塩素化合物の燃焼によ
る環境汚染の問題がクローズアップされるに至ってい
る。
【0003】従来から、自動車等の底面部の防錆及び耐
チッピングを目的としたアンダーコート材としてポリ塩
化ビニルプラスチゾル組成物が多用されてきた。これは
亜鉛メッキ鋼板、カチオン電着鋼板とポリ塩化ビニルプ
ラスチゾルの接着性を向上させるためにポリアマイド系
やブロック化イソシアネート系の接着性向上剤が開発さ
れるに至ったためで、これらにより耐チッピング性が飛
躍的に向上した。しかしながら、従来のアンダーコート
材に含有されるポリ塩化ビニル樹脂はその廃車処理時の
焼却によって多量の塩素ガスが発生するため環境汚染の
原因となっている。また、これらを施工する際のライン
の作業環境の改善、省エネルギー要求による焼付け工程
の低温化、短縮化も望まれている。このためアンダーコ
ート材においても脱塩化ビニル化が進められており、下
記のようにポリ塩化ビニル系アンダーコート材に代わる
種々の代替コーティング材が提案されている。
【0004】その中で、溶剤排出量の少ない水系コーテ
ィング組成物が注目されているが、かかる組成物は被着
体との接着性、耐水性、耐チッピング性及び耐ブリスタ
ー性等に問題があり、これらを兼ね備えた耐チッピング
コーティング材の開発は困難を極めているのが現状であ
る。これらの諸問題を解決したコーティング材として
は、水溶性樹脂、水分散性樹脂、及びガラス転移温度
(Tg)が−10℃以下のアクリル変性ブタジェン系重
合体よりなる耐チッピング性の良好な高防錆の塗料組成
物を挙げることができる(特開平4−142375号公
報)。
【0005】また、水溶性樹脂とTgの異なるコア−シ
ェル型構造(高Tgを有する芯部と低Tgの殻部からな
る二重構造を有する)微粒子からなる水性塗料組成物を
挙げることができる(特開昭59−136361号公
報)。
【0006】さらに、水分散性アルキッド樹脂にアクリ
ル共重合体エマルションを配合したもの(特公昭62−
31748号公報)等、水溶性或いは水分散性樹脂を用
いることにより、塗膜の防錆性を強化する方法が提案さ
れている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、自動車用ア
ンダーコート材に求められる性能は耐チッピング性、制
振性、及び防音性であり、これらの要求を満足させるた
めには、皮膜物性が良くダンピング性に優れた皮膜硬度
を有しかつ厚膜に塗布する必要がある。しかしながら、
上記の水分散性樹脂を用いたコーティング材はその水の
蒸発潜熱が大きい故、従来からの塩化ビニルプラスチゾ
ルのような高温焼付の施工ラインに適用した場合、膨れ
が発生する等の問題が生ずる。
【0008】また、焼付け工程を経ず常温乾燥で皮膜化
する場合には、水分散性樹脂に特有の乾燥による体積減
少のため収縮や亀裂が発生し、その残留内部応力により
素地との接着性に欠ける等の欠点があった。これらの欠
点を解決するためには以下に記した方法が一般的に採用
されているが、全ての性能を満足するものではなく依然
改良が求められている。例えば、焼付け時の膨れを防止
するためには塗料の高固形分化、感熱ゲル化剤の使用な
どの方法があるが、この方法では塗料が高粘度になって
スプレー塗装が困難であったり、夏場のように塗料が高
温で貯蔵された時、その貯蔵安定性を損なったりする等
の欠点がある。
【0009】また、セッティングや常温乾燥時における
収縮や亀裂を防止するためには、ポリマーのTgを下げ
るか、或いは造膜剤や造膜助剤等の可塑剤を添加し最低
造膜温度(MFT)を低くする方法があるが、この方法
では焼付け時に膨れを発生したり、皮膜の軟化をきたし
耐チッピング性を悪化させたり、制振性、防音性を低下
させる等の原因となる。本発明はかかる従来技術の問題
点を解決するために創案されたものであり、その目的と
するところは成膜時の焼付け工程の有無を問わず、常温
乾燥でも収縮亀裂を発生することなく被着体に対して強
固な接着性を有する制振性、防音性に優れた耐チッピン
グ性水系アンダーコート組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らはかかる目的
を達成すべく鋭意研究した結果、本発明の完成に至っ
た。即ち、本発明は水分散性ウレタン樹脂、粒子内架橋
されたミクロゲル構造を有する水分散性アクリル樹脂、
及び無機質系充填材から実質的に構成されることを特徴
とする水系アンダーコート組成物である。
【0011】本発明の水系アンダーコート組成物は水分
散性ウレタン樹脂100重量部(固形分)に対して、水
分散性アクリル樹脂10〜100重量部(固形分)、無
機質系充填材が50〜300重量部(固形分)となる配
合が好ましく、かかる配合割合の水系アンダーコート組
成物は焼付け或いは常温乾燥の両方の成膜条件下におい
て、収縮亀裂等の塗膜欠陥がなく、優れた耐チッピング
性、制振性、及び防音性を有する。
【0012】本発明で用いる水分散性ウレタン樹脂はそ
の樹脂皮膜が比較的柔らかくて反溌弾性のあるものが良
く、又本発明で用いる水分散性アクリル樹脂に配合し
て、それらが融合し、水分散性アクリル樹脂の皮膜硬さ
を柔らげ反溌弾性を与えるものであることが基本的に必
要である。
【0013】本発明で用いる水分散性アクリル樹脂は架
橋構造のものを使用する。水分散性アクリル樹脂のTg
は使用する水分散性ウレタン樹脂のモジュラス値によっ
て適正範囲は異なるが、−30℃〜+40℃、好ましく
は−5℃〜+30℃の範囲のものが常温乾燥時の収縮亀
裂の防止に優れている。水分散性アクリル樹脂の架橋密
度は樹脂Tgにより異なる。Tgの低いものほど架橋密
度が高く、Tgの高いものほど低くなるように調整する
のが好ましい。
【0014】粒子内架橋によるミクロゲル化の方法は、
ラジカル重合可能な不飽和基を有する単量体とそれを1
分子中に2個以上有する単量体とを共重合しても良い
し、また互いに反応可能な官能基を有するラジカル重合
可能な不飽和単量体を共重合し、重合過程或いは重合後
に架橋反応させてもよい。
【0015】常温乾燥型水系アンダーコート材において
は、互いに反応可能な水溶性樹脂や水分散性樹脂により
粒子間架橋による硬化皮膜を形成させようとした場合、
皮膜の乾燥過程で逆に残留内部応力が大きくなり収縮亀
裂を助長させるので好ましくない。
【0016】本発明で使用する水分散性ウレタン樹脂は
その樹脂皮膜強度が100%モジュラス値で3Kg/c
2 〜150Kg/cm2 であることが好ましく、その
範囲内であれば市販のものも使用できる。例えばアイゼ
ラックス S−1020(100%モジュラス,6Kg
/cm2 )、S−1040(100%モジュラス,15
Kg/cm2 )、S−2020(100%モジュラス,
20Kg/cm2 )、S−5050L(100%モジュ
ラス,16Kg/cm2 )、S−1085C(100%
モジュラス,15Kg/cm2 )(以上商品名、保土ケ
谷化学工業株式会社製)、ハイドランHW−111(1
00%モジュラス,32Kg/cm2 )、HW−301
(100%モジュラス,15Kg/cm2 )、ボンディ
ック1612NSC(100%モジュラス,15Kg/
cm2 )(以上商品名、大日本インキ株式会社製)が挙
げられる。なお、樹脂皮膜強度が150Kg/cm2
越えるものであっても2種類以上混合使用することによ
りウレタン樹脂全体の樹脂皮膜強度を上記範囲内に設定
することもできる。また後記合成例に示すように、ポリ
ウレタン樹脂重合体の側鎖または末端に、カルボキシル
基等のイオン性基を導入したり、またポリオールの一部
にエチレンオキサイド等の親水性基を持つものを使用し
水中に分散させ合成した自己乳化型ウレタン樹脂も使用
できる。これらの水分散性ウレタン樹脂は単独または2
種類以上を混合したものを配合してもよい。
【0017】本発明で用いる水分散性ウレタン樹脂と水
分散性アクリル樹脂との配合割合は樹脂固形分でウレタ
ン樹脂100重量部に対してアクリル樹脂が10〜10
0重量部、好ましくは30〜100重量部の範囲におい
て特に良好な皮膜物性が得られる。水分散性アクリル樹
脂が100を越える場合には収縮、亀裂等により塗膜の
被着体への接着性が不十分となり、10未満の場合には
皮膜の接着性及び耐水性が悪く耐チッピング性に劣る。
【0018】本発明に用いる水分散性アクリル樹脂は公
知の方法で合成することができ、2種類以上の樹脂を混
合して使用することができる。特に本発明の水分散性ア
クリル樹脂はラジカル重合可能な不飽和基を含有する単
量体、および分子内に重合性不飽和基を2個以上有する
単量体または互いに反応可能な官能基を有する重合性不
飽和単量体との共重合体である。水分散性アクリル樹脂
にラジカル重合可能な不飽和単量体としては、メチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリ
レート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シ
クロヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メ
タ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の
アクリレート、メタクリレートが使用できる。その他に
スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニト
リル、ビニルトルエン、酢酸ビニル等も共重合成分とし
て挙げられる。これらは、共にここに列挙したものに限
定されるものではなく、それぞれこれらの1種または2
種以上を配合使用することができる。
【0019】本発明に用いる分子内に重合性不飽和基を
2個以上有する単量体としては、ジビニルベンゼン、エ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオール
ジアクリレート、N,N′−メチレンビスアクリルアミ
ド、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ト
リビニルベンゼン、オリゴエステル(メタ)アクリレー
ト、ジアリルフタレート等が挙げられる。これらは、共
にここに列挙したものに限定されるものではなく、それ
ぞれこれらの1種または2種以上を配合使用することが
できる。
【0020】また互いに反応性を有する官能基としては
カルボキシル基とメチロール基、エポキシ基、アジリジ
ン基、オキサゾリン基、アミド基とメチロール基、メチ
ロール基とエポキシ基及びその自己縮合、ヒドロキシル
基とメチロール基、カルボニル基とヒドラジン基、シラ
ノール基等があり、これらの官能基を有する重合性不飽
和単量体としては(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マ
レイン酸、イタコン酸、(メタ)アクリルアミド、N−
メチロール(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)
アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−
(1−アジリジル)エチルメタアクリレート、アクロレ
イン、2−アセトアセトキシプロピルメタアクリレー
ト、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0021】本発明における水分散性アクリル樹脂は乳
化重合で合成することができ、当業者によく知られた方
法で行うことができる。重合温度は使用する単量体や重
合開始剤により異なるが、通常30℃〜90℃の範囲が
適当である。
【0022】水分散性アクリル樹脂の乳化重合に使用で
きる乳化剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性
のいずれの界面活性剤も使用できるが、併用するポリウ
レタン樹脂のイオン性により選定する必要がある。また
塗膜の耐水性を向上させるため、アリール基あるいはラ
ジカル重合可能な不飽和基を有する反応性乳化剤を使用
することもできる。反応性乳化剤としてはラテムルS−
120A,S−180A(商品名、花王株式会社製)、
アクアロンHS−10,RN−20,ニューフロンティ
アA−229E(商品名、第一工業製薬株式会社製)、
エレミノールJS−2(三洋化成工業株式会社製)等が
挙げられる。
【0023】重合開始剤としては一般的なもの、例え
ば、水溶性のものとして過硫酸カリウム、過硫酸アンモ
ニウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、または水溶性
アゾアミド化合物等が挙げられる。ラジカル重合可能な
不飽和単量体に溶解するタイプの重合開始剤としてはイ
ソブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、
オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイ
ド、ラウロイルパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、ア
ゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシアノ吉草酸等が
挙げられる。またこれらのものに還元剤を加え低温で重
合操作を行うこともできる。
【0024】ミクロゲル化の操作、互いに反応性を有す
る単量体により架橋構造とする方法、及び架橋触媒が必
要な反応については、それをモノマーに溶解するか、重
合後に水相に添加して架橋させる。
【0025】本発明の水系アンダーコート組成物におい
て使用する無機質充填材には一般に炭酸カルシウムが用
いられるが、カオリン、ケイソウ土、タルク等も使用す
ることができる。また軽量化の目的により有機、無機の
各種バルーンや繊維素系フィラーの使用が可能である。
これらの充填材の配合量は過小の場合は接着性、耐水性
に劣り、過大の場合は物性、施工時の亀裂の発生に影響
を及ぼす等、アンダーコート組成物と素地との接着性に
対して大きな要因となる。
【0026】その他任意の添加剤としては増粘剤があ
る。調製した塗装液を垂れなく一定膜厚に塗布するに
は、10000cps前後の粘度とチクソトロピー性が
必要である。有機系ではヒドロキシエチルセルロース、
カルボキシメチルセルロース、水溶性多糖類、ポリアク
リル酸塩、会合性増粘剤等、また無機系としては無水シ
リカ(例えばアエロジル#200、日本アエロジル
(株)製)、ベントナイト、合成雲母、金属石鹸等を用
いることができる。また、このように高膜厚で塗布され
たアンダーコート材の乾燥性を改善する方法として補助
的に例えばポリビニルメチルエーテル、ポリプロピレン
グリコール、シロキサンオキシアルキレン共重合体、ア
ルキルフェノールアルキレンオキサイド、脂肪族アルコ
ールアルキレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイ
ド−エチレンオキサイド共重合物、無機塩等の感熱ゲル
化剤を貯蔵安定性を損わない範囲で添加することも有効
である。その他湿潤分散剤には界面活性剤、高分子界面
活性剤、水溶性高分子化合物等も用いることができる。
【0027】また補助的に乾燥塗膜の表面を調整し、亀
裂、小さいひび割れなどを防止するため、造膜剤、造膜
助剤等も使用できる。これには、アルコールやアルコー
ルエーテル類等の使用が一般的である。その他にエマル
ションの凍結防止剤、防腐防カビ殺菌剤、防錆剤等を配
合してもよい。
【0028】本発明の水系アンダーコート組成物の被着
体への塗布は乾燥塗膜の厚さが300〜1000μmに
なるように塗布する。自動車用アンダーコート材の塗装
方法は従来からスプレー方式で行われており、本発明の
水系アンダーコート組成物の塗装もエアレス型スプレー
塗装機で行うのが好ましい。但し、この場合の水系アン
ダーコート組成物の乾燥塗膜の厚さは一部3000μm
に達する場合がある。被着体に塗布された本発明の水系
アンダーコート組成物の加熱乾燥条件は常温で10〜3
0分間セッティングした後、少なくとも90℃で10分
間予備加熱し、130〜140℃で20〜30分間加熱
乾燥するのが好ましい。
【0029】
【作用】本発明による水系アンダーコート組成物は水分
散性ウレタン樹脂および架橋されたミクロゲル構造を有
する水分散性アクリル樹脂と無機質系充填材から構成さ
れるため、常温乾燥及び焼付け乾燥時のセッティング中
においても収縮亀裂がなく、焼付け時の膨れ限界も高い
良好な皮膜が得られる等、常温乾燥、焼付け乾燥の両施
工方法において良好な成膜性が得られる。
【0030】これは、水分散性アクリル樹脂を内部架橋
化することによって、エマルション樹脂の乾燥融着過程
で発生する内部応力を緩和する方向に働くためであると
考えられる。そのため常温乾燥時においても金属面また
は金属塗装面、特に接着し難い(接着強度の得られな
い)厚膜電着塗装鋼板面に対しても、容易にかつ強固に
接着させることができる。
【0031】また本発明の水系アンダーコート組成物は
従来の塩化ビニルプラスチゾルと同様に取り扱いが容易
であり、貯蔵安定性が良く、長期間貯蔵しても極端な粘
度上昇が見られない。更に常温乾燥のみならず、加工時
または塗装後の加熱処理によっても着色がなく、上塗り
塗料を薄く塗布してもその変色を生じさせることがな
い。
【0032】このように現状の自動車製造ライン等に適
用した場合にも従来の塗装、焼付乾燥設備等に何ら改善
を加えることなく置き換えることができるという特徴を
持っている。また後施工(常温乾燥)型として使用した
場合、省エネルギー化にも繋る。
【0033】
【実施例】以下に実施例等を挙げて本発明を説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。試験例
中の試験方法は後述する。なお、文中部及び%は特記せ
ぬ限り重量である。
【0034】[水分散性アクリル樹脂の合成] 合成例 1 イオン交換水380.0部、ソルバライトS−80(商
品名、アニオン型界面活性剤 共栄社化学株式会社製)
1.0部、ラテムルS−180A(商品名、反応性乳化
剤 花王株式会社製)7.0部を攪拌装置、温度計、窒
素導入管、コンデンサーを備えた1リットル4ツ口フラ
スコに計量し、窒素気流下で75℃〜80℃に加温し
た。次に下記のモノマー混合溶液の1/5重量及び2,
2′−アゾビス[2メチル−N−(2−ヒドロキシエチ
ル)−プロピオンアミド](商品名、VA−086 和
光純薬工業株式会社製)1.0部をイオン交換水50部
に溶解した重合開始剤水溶液の1/5重量を加え、75
℃で1時間初期重合した。その後、フラスコ中へ残りの
モノマー混合物および重合開始剤水溶液を4時間かけて
滴下した。滴下終了後さらに2時間同温度で熟成した。 メチルメタクリレート 170.0部 N−ブチルアクリレート 220.0部 2−ヒドロキシプロピルメタクリレート 20.0部 1,6ヘキサンジオールジアクリレート 5.0部 メタクリル酸 10.0部 ────────────────────────────── 合 計 425.0部 こうして得られた水分散性アクリル樹脂の固形分は5
1.2%、Tgは−1.3℃であった。
【0035】合成例 2 イオン交換水400.0部、ノニルフェノールEO6モ
ル付加物1.0部を攪拌装置、温度計、窒素導入管、分
水器を備えた1リットル4ツ口フラスコに計量し、窒素
気流下で50℃〜55℃に加温した。次に下記のモノマ
ーにアクアロンHS−10 8.0部、トリフェニルホ
スフィン0.5部を溶解した混合溶液の1/5重量及び
過硫酸カリウムの5%水溶液30.0部、メタ亜硫酸ナ
トリウムの5%水溶液7.5部のそれぞれの1/5重量
を添加し50℃で1時間初期重合した。その後、同温度
で残りのモノマー混合溶液および重合開始剤水溶液を4
時間かけて滴下した。滴下終了後80℃に昇温し同温度
で3時間熟成し架橋反応を行った。 メチルメタクリレート 225.0部 N−ブチルアクリレート 100.0部 2−エチルヘキシルアクリレート 50.0部 2−ヒドロキシプロピルメタクリレート 20.0部 メタクリル酸 20.0部 グリシジルメタクリレート 10.0部 ────────────────────────────── 合 計 425.0部 こうして得られた水分散性アクリル樹脂の固形分は5
0.2%、Tgは16.8℃であった。
【0036】合成例 3〜7、比較合成例 1〜3 合成例3,4は合成例1の方法に従い、合成例5〜7及
び比較合成例1〜3は合成例2の方法に従い、表−1の
モノマー配合比率で乳化重合を行い、それぞれの水分散
性アクリル樹脂を得た。
【0037】
【表1】
【0038】[水分散性ウレタン樹脂の合成] 合成例 8 攪拌装置、温度計、窒素導入管、コンデンサーを備えた
4ツ口フラスコ中に、ポリカーボネートジオール(分子
量1958)294部を仕込み、攪拌しながら減圧下
(−220mmHg)120℃に加熱脱水を行った。次
にフラスコ内温を70℃に下げ、窒素気流下でメチルエ
チルケトン600部、ジフェニルメタンジイソシアネー
ト52部、ジブチル錫ジラウレート0.06部を仕込み
70℃〜75℃で3時間30分反応させた。次いで、内
温を40℃に下げてからジメチロールプロピオン酸7.
8部を添加し70℃〜75℃で4時間反応させた。そし
てポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポ
リマー(オキシエチレン鎖含有量8%、プロピレングリ
コールの分子量3200)7.7部を加え同温度で3時
間反応させ高粘度透明樹脂液を得た。更に、その反応溶
液中にノニオライトNS−50(商品名、非イオン界面
活性剤 共栄社化学株式会社製)42部を加え70℃〜
75℃で30分間攪拌し透明粘稠溶液を得た。反応溶液
の温度を55℃に下げ十分に攪拌しながら、その中へ5
0℃のイオン交換水340部を徐々に添加し乳白色の分
散液を得た。最後にこのものを減圧下(−220mmH
g)に55℃で4時間攪拌しながらメチルエチルケトン
を溜去した。かくして固形分50%の青乳白色の水分散
性ウレタン樹脂598gを得た。このものの乾燥樹脂皮
膜の100%モジュラス値は5.0Kg/cm2 であっ
た。
【0039】合成例 9 上記合成例8と同じ反応装置を用い、窒素気流下でその
フラスコ中に、トリメチロールプロパンのプロピレンオ
キサイド付加物(平均分子量3000,OH価56.
1)を300部仕込み、1〜10mmHgで100〜1
20℃で、減圧脱水した後、40℃まで温度を下げてト
リレンジイソシアネート52.2部を添加し、窒素気流
下に80℃で3時間反応させウレタンプレポリマーを得
た。このポリマーにジメチロールプロピオン酸9部を窒
素気流下85〜95℃で5時間反応させカルボキシル基
含有ウレタンプレポリマーを得た。このプレポリマーを
80℃に保持し、ノニオライトNS−50(商品名、同
上)18部を含有するイオン交換水360部中へホモミ
キサーで混合しながら乳化し、固形分約50%の青乳白
色の水分散性ウレタン樹脂を得た。このものの乾燥樹脂
皮膜の100%モジュラス値は4.0Kg/cm2 であ
った。
【0040】上記合成例で得られた水分散性ウレタン樹
脂及び本試験で使用した市販の水分散性ウレタン樹脂の
特性値を表−2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】[水系アンダーコート組成物の製造] 実施例 1〜10、比較例 1〜5 表−3の配合に従い、各水分散性樹脂、無機質系充填
材、その他添加剤成分をニーダ攪拌装置に仕込み常温で
30分間混練し、続いて減圧脱泡し水系アンダーコート
組成物を調製した。さらに調製した水系アンダーコート
組成物をドクターブレードで、厚さ0.8mmのカチオ
ン電着鋼板にドライ膜厚が約500μmとなるように塗
装し、常温乾燥及び加熱乾燥(10分間、常温セッティ
ングした後、送風乾燥機で90℃×10分間→130℃
×20分間乾燥)し試験板を作成した。
【0043】
【表3】
【0044】実施例及び比較例の組成物の塗膜性能評価
方法を下記に示す。なお、実施例等の評価結果は表−3
に示した。 [塗膜性能評価方法]乾燥性 カチオン電着鋼板に乾燥膜厚が500〜4000μmに
なるように塗料組成物を傾斜塗装し、上記条件で加熱乾
燥し、膨れ限界膜厚を確認する。膜厚3000μmで膨
れのないものを○印、あるものを×印で示す。収縮、亀裂 上記膜厚条件で塗料組成物を傾斜塗装し、上記条件で常
温乾燥及び加熱乾燥により作成したアンダーコート皮膜
の収縮、亀裂の有無を確認する。収縮、亀裂のないもの
を○印、あるものを×印で示す。接着性 上記条件で乾燥した塗膜を爪で剥離し、凝集破壊かまた
は界面破壊かを確認する。凝集破壊をcfで、界面破壊
をafで示す。耐チッピング性 上記条件で作成した試験板(膜厚500μm)を1.0
mm間隔でクロスカットし、ナット落下法(M−4ナッ
ト重量測定)により塗膜層が破壊され下地が露出するま
でのナットの積算重量を評価する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水分散性ウレタン樹脂、粒子内架橋され
    たミクロゲル構造を有する水分散性アクリル樹脂、及び
    無機質系充填材から実質的に構成されることを特徴とす
    る水系アンダーコート組成物。
  2. 【請求項2】 水分散性ウレタン樹脂が100重量部
    (固形分)に対して、水分散性アクリル樹脂が10〜1
    00重量部(固形分)、無機質系充填材が50〜300
    重量部(固形分)であることを特徴とする請求項1記載
    の水系アンダーコート組成物。
  3. 【請求項3】 水分散性ウレタン樹脂が、100%モジ
    ュラス値で3Kg/cm2 〜150Kg/cm2 の範囲
    にある皮膜強度を有することを特徴とする請求項1又は
    2記載の水系アンダーコート組成物。
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