JP7097277B2 - 電力ケーブル終端接続部及び電力ケーブル終端接続部の形成方法 - Google Patents
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Description
そして、電力ケーブル101の端末本体102よりも先端側の部分に絶縁テープ104が巻回されて電力ケーブル終端接続部100が形成される。
その際、端末本体102を電力ケーブル101の絶縁体101Aに密着させるために、端末本体102の内径は電力ケーブル101の絶縁体101Aの外径よりも小さくなるように形成される場合がある。
潤滑剤としては、グリース(例えばシリコーングリース等)やオイルを用いることができる。
また、特許文献1では、潤滑剤としてシリコーン樹脂や四フッ化エチレン樹脂の微粒子を用いることが提案されている。
そして、グリースが端末本体102に吸収されると、端末本体102を電力ケーブル101に挿入する際の挿入性が悪化する。
そのため、予めグリースを塗布した端末本体102を長期に保管すると、電力ケーブル101への挿入性が損なわれてしまうという問題が生じ得る。
そのため、電力ケーブル101に対する端末本体102の挿入距離を長くしようとしても、途中で挿入が困難になる場合があった。
そのため、端末本体102を電力ケーブル101に装着した後、電力ケーブル101の絶縁体101Aの表面上に残ったグリースを擦ってぬぐい取らなければならず、作業が面倒なものになっていた。
また、電力ケーブル101の絶縁体101Aの表面上に微粒子が残っていても、絶縁テープの巻回は阻害せず、また、電力ケーブル101の絶縁体101Aの表面上に残った微粒子を除去する場合も、グリースのようにぬぐい取る必要はなく払うだけで除去できるため、除去作業を楽に行うことができる。
そのため、潤滑剤としてシリコーン樹脂や四フッ化エチレン樹脂の微粒子を用いると、端末本体102を電力ケーブル101に挿入して電力ケーブル101の絶縁体101Aに装着する作業を必ずしも容易に行うことができなかった。
電力ケーブルの端末の絶縁体表面に端末本体が装着されて構成される電力ケーブル終端接続部において、
前記端末本体が、電界緩和層と、その外側に配置される本体カバーとに分離されており、
前記電界緩和層は、高誘電材料で形成されたテープを前記電力ケーブルの絶縁体の表面上に巻回させて形成されており、
前記本体カバーは、電気絶縁性を有しており、その先端の一部で、前記電力ケーブルの絶縁体表面に、微粒子からなる潤滑剤を介して密着されていることを特徴とする。
段剥ぎされた電力ケーブルの絶縁体の表面上に、高誘電材料で形成されたテープを巻回させて電界緩和層を形成する電界緩和層形成工程と、
前記電力ケーブルの先端側から、先端の一部に微粒子からなる潤滑剤が塗布された、電気絶縁性を有する本体カバーを前記電力ケーブルに挿入する本体カバー挿入工程と、
前記本体カバーを前記電界緩和層の外側に配置して、前記電力ケーブルの端末の絶縁体表面に端末本体が装着された状態に形成する端末本体形成工程と、
を備えることを特徴とする。
ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態や図示例に限定するものではない。
また、電力ケーブル10の後述する導体10Eが露出している側の端部(以下の各図における図中左側の端部)を電力ケーブル10の先端という。
図1は、本実施形態に係る電力ケーブル終端接続部の構成を表す部分断面図である。
電力ケーブル終端接続部1では、電力ケーブル10の端末がケーブルシース10A、遮蔽銅テープ10B、外部半導電層10C、絶縁体10Dが順次段剥ぎされ、先端に導体10Eが露出している。
また、電力ケーブル10の端末本体12よりも先端側の部分(端末本体12の後述する本体カバー12Bの円筒部12Bbや電力ケーブル10の絶縁体10D、導体10E、端子11の一部)に絶縁テープ13が巻回されており、その部分が絶縁テープ13で被覆されている。
電界緩和層12Aは、高誘電材料で形成されたテープを電力ケーブル10の外部半導電層10Cと接触するように電力ケーブル10の絶縁体10Dの表面上に巻回させて形成されている。
そして、それを電力ケーブル10の絶縁体10Dの表面の所定の位置に、所定の範囲を被覆し、所定の厚みになるように巻回することで、電界緩和層12Aが形成されている。その際、形成される電界緩和層12Aが電力ケーブル10の外部半導電層10Cと接触する状態になるようにテープが巻回される。
本体カバー12Bは、略円筒形に形成されており、内側が電界緩和層12Aの外面に沿うように形成されているが、必ずしも本体カバー12Bの内側と電界緩和層12Aの外面とを密着させる必要はない。
本体カバー12B先端の円筒部12Bbの内径は電力ケーブル10の絶縁体10Dの外径よりも僅かに小さくなるように形成されており、本体カバー12Bを電力ケーブル10に装着した際に、本体カバー12Bの円筒部12Bbが、電界緩和層12Aよりも先端側で、電力ケーブル10の絶縁体10Dに密着するようになっている。
そのため、本体カバー12Bが電力ケーブル10に装着された後も本体カバー12Bと電力ケーブル10の絶縁体10D表面との間に微粒子からなる潤滑剤14が残っている(図1参照)。
なお、本体カバー12Bの円筒部12Bb以外の部分の内面βには潤滑剤14を塗布する必要がない。
さらに、後述するように、本実施形態では、潤滑剤14を構成する微粒子は平均粒径が0.8~2μmとされており、本体カバー12Bの厚み等に比べて非常に小さいため、後述する図5(B)等においても同様であるが、図1や図2では潤滑剤14の層や微粒子等は図示されておらず、その存在場所(すなわち図2における本体カバー12Bの円筒部12Bbの内面α)のみが示されている。
次に、本実施形態に係る電力ケーブル終端接続部1の形成方法について説明する。
図3は、本実施形態に係る電力ケーブル終端接続部1の形成方法の各工程の流れを表すフローチャートである。
そして、露出させた遮蔽銅テープ10Bに、当該遮蔽銅テープ10Bに接地電位を供給するための錫メッキ軟銅線15を取り付ける(錫メッキ軟銅線取り付け工程:ステップS1)。
その際、電界緩和層12Aを構成する高誘電テープを、電力ケーブル10の絶縁体10D等に締め付けるように巻回することで、電界緩和層12Aが電力ケーブル10の絶縁体10D表面に密着する状態が形成される。なお、このように高誘電テープが巻回されて電界緩和層12Aが形成されるため、電界緩和層12Aと電力ケーブル10の絶縁体10Dとの間には潤滑剤は存在しない。
前述したように、電力ケーブル10への本体カバー12Bの挿入性を向上させるために、本体カバー12Bの先端の一部すなわち円筒部12Bbの内面α(図2参照)に微粒子からなる潤滑剤14が塗布されている。
また、本実施形態では、潤滑剤14を構成する微粒子は平均粒径が0.8~2μmとされている。微粒子の平均粒径がこれより大きいと、本体カバー12Bを電力ケーブル10に挿入する際にそれを阻害する作用が強くなる。また、微粒子の平均粒径がこれより小さいと、微粒子が小さ過ぎて潤滑性が損なわれたり、微粒子が舞い上がる等して扱いづらくなる。
このように、本体カバー12Bの円筒部12Bbの内面αに予め微粒子からなる潤滑剤14が塗布されていると、作業現場で作業員等が潤滑剤14を塗布しなくて済むため、電力ケーブル終端接続部1の形成作業の作業性を向上させることができる。
本発明者の研究では、本体カバー12Bの円筒部12Bbの内面αに、潤滑剤14の微粒子を擦り付けるように塗布することで、十分な量の微粒子を塗布することができると同時に、塗布した微粒子が円筒部12Bbの内面αから脱落せずに内面α上に存在し続けることが分かっている。
しかし、図5(B)に示すように、本体カバー12Bの円筒部12Bbの内面αの面積は、従来の端末本体102の内面102a(図7(B)参照)の面積に比べて格段に小さい。そのため、本体カバー12Bを電力ケーブル10の絶縁体10Dに挿入して摺動させる際に生じる摩擦力が、従来の端末本体102に比べて格段に小さくなる。
そのため、本実施形態に係る本体カバー12Bによれば、微粒子からなる潤滑剤を用いても、本体カバー12Bを電力ケーブル10に容易に挿入して摺動させることが可能となる。
しかし、このように潤滑剤14の微粒子が電力ケーブル10の絶縁体10Dの表面上に付着してもその量は僅かであり、後述する電力ケーブル10の絶縁体10D等への絶縁テープ13の巻回を阻害することはない。また、電力ケーブル10の絶縁体10Dの表面上に残った微粒子を除去する場合も、グリース等のようにぬぐい取る必要はなく払うだけで除去できるため、除去作業を楽に行うことができる。
また、上記のように、本体カバー12Bの円筒部12Bbの内面α(図5(B)参照)の面積は、従来の端末本体102の内面102a(図7(B)参照)の面積に比べて格段に小さいため、もともと本体カバー12Bの円筒部12Bbの内面αに塗布できる潤滑剤14の量が、従来の端末本体102の内面102aに塗布できる潤滑剤14の量に比べて少ない。
しかし、本発明者の研究では、従来の端末本体102の内面102aに微粒子からなる潤滑剤14を塗布して電力ケーブル10に挿入すると、挿入長は数十cm程度であるのに対し、本実施形態に係る本体カバー12Bの円筒部12Bbの内面αに微粒子からなる潤滑剤14を塗布して電力ケーブル10に挿入すると、挿入長は数m程度になることが分かっている。
いずれにせよ、本実施形態に係る電力ケーブル終端接続部1やその形成方法によれば、本体カバー12Bを電力ケーブル10に挿入する際に、従来の端末本体102を電力ケーブル10に挿入する場合に比べて挿入が容易になるという効果(挿入容易性)が得られるだけでなく、挿入長が長くなるという有益な効果も得ることができる。
そして、図1に示しように、電力ケーブル10の導体10Eに端子11が圧縮されて取り付けられ(端子取り付け工程:ステップS5)、電力ケーブル10の端末本体12よりも先端側の部分に絶縁テープ13が巻回される(絶縁テープ巻回工程:ステップS6)など必要な処理が行われて、本実施形態に係る電力ケーブル終端接続部1が形成される。
以上のように、本実施形態に係る電力ケーブル終端接続部1や電力ケーブル終端接続部1の形成方法によれば、端末本体12を電界緩和層12Aと本体カバー12Bとに分離する。そして、高誘電材料で形成されたテープを電力ケーブル10の絶縁体10D等の表面上に巻回して電界緩和層12Aを形成するとともに、電気絶縁性を有する本体カバー12Bを、その先端の一部(円筒部12Bb)で電力ケーブル10の絶縁体10D表面に微粒子からなる潤滑剤14を介して密着する状態で、電界緩和層12Aの外側に配置する。
そのため、電界緩和層12Aを電力ケーブル10の絶縁体10D等に装着する際に、電界緩和層12Aを電力ケーブル10に挿入して摺動させる必要がないため、電界緩和層12Aを電力ケーブル10に容易に装着することができる。
そのため、従来の端末本体102のように広い内面102aの全域が電力ケーブル10の絶縁体10Dと摺動する場合に比べて、本体カバー12Bと電力ケーブル10の絶縁体10Dとが接触する面積が格段に小さくなる。
このように、本実施形態に係る電力ケーブル終端接続部1や電力ケーブル終端接続部1の形成方法本実施形態では、電界緩和層12Aを電力ケーブル10の絶縁体10Dに容易に装着することができ、本体カバー12Bを電界緩和層12Aの外側に容易に配置することができるため、端末本体12を電力ケーブル10に容易に挿入して形成することが可能となる。
本体カバー12Bの円筒部12Bbの内面αに凹凸を設けることで、本体カバー12Bを電力ケーブル10に挿入する際の本体カバー12Bの円筒部Bbと電力ケーブル10の絶縁体10Dとの接触面積が小さくなり、それらの間の摩擦力を軽減することができる。また、円筒部Bbの凹凸の凹の部分に潤滑剤14が溜まるため、潤滑剤14が本体カバー12Bの円筒部Bbの内面αに残りやすい等の効果がある。
10 電力ケーブル
10D 絶縁体
12 端末本体
12A 電界緩和層
12B 本体カバー
12Bb 円筒部(先端の一部)
14 潤滑剤
Claims (5)
- 電力ケーブルの端末の絶縁体表面に端末本体が装着されて構成される電力ケーブル終端接続部において、
前記端末本体が、電界緩和層と、その外側に配置される本体カバーとに分離されており、
前記電界緩和層は、高誘電材料で形成されたテープを前記電力ケーブルの絶縁体の表面上に巻回させて形成されており、
前記本体カバーは、電気絶縁性を有しており、その先端の一部で、前記電力ケーブルの絶縁体表面に、微粒子からなる潤滑剤を介して密着されていることを特徴とする電力ケーブル終端接続部。 - 前記潤滑剤を構成する微粒子は、シリコーン樹脂又は四フッ化エチレン樹脂の微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の電力ケーブル終端接続部。
- 前記潤滑剤を構成する微粒子は、平均粒径が0.8~2μmとされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電力ケーブル終端接続部。
- 段剥ぎされた電力ケーブルの絶縁体の表面上に、高誘電材料で形成されたテープを巻回させて電界緩和層を形成する電界緩和層形成工程と、
前記電力ケーブルの先端側から、先端の一部に微粒子からなる潤滑剤が塗布された、電気絶縁性を有する本体カバーを前記電力ケーブルに挿入する本体カバー挿入工程と、
前記本体カバーを前記電界緩和層の外側に配置して、前記電力ケーブルの端末の絶縁体表面に端末本体が装着された状態に形成する端末本体形成工程と、
を備えることを特徴とする電力ケーブル終端接続部の形成方法。 - 前記本体カバーの先端の一部には、予め前記微粒子からなる潤滑剤が塗布されていることを特徴とする請求項4に記載の電力ケーブル終端接続部の形成方法。
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