JP7096686B2 - アミノ基を有する有機リチウム化合物およびその中間体の製造方法、並びに有機リチウム化合物を用いた共役ジエン系重合体の製造方法 - Google Patents

アミノ基を有する有機リチウム化合物およびその中間体の製造方法、並びに有機リチウム化合物を用いた共役ジエン系重合体の製造方法 Download PDF

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本発明は、アミノ基を有する有機リチウム化合物およびその中間体の製造方法、並びに有機リチウム化合物を用いた共役ジエン系重合体の製造方法に関する。
アミノ基を有する有機リチウム化合物は、生理活性物質(例えば、医薬、農薬)、機能材料(例えば、液晶材料、電子材料、光学材料、樹脂、染料またはそれらの中間体を合成する際の有能な原料である。特に、アミノ基を有する有機リチウム化合物を重合開始剤として用いる場合は、得られる重合体の末端にアミノ基を導入できることから、ポリマー材料の開発において非常に有用である。
アミノ基を有する有機リチウム化合物の製造方法として、例えば、特許文献1には、3-クロロ-N,N-ジメチルプロピルアミンと金属リチウムとを加熱条件下で反応させる方法が記載されている。
US 5,527,753
特許文献1に記載の方法では、取扱いが困難な金属リチウムを過剰に使用しなければならない。さらに、特許文献1に記載の方法では、金属リチウムを反応に用いる前に、高温およびアルゴン雰囲気下での金属リチウムの活性化を長時間行わなければならず、この方法は容易に商業スケールで実施できない。また、特許文献1の方法では、反応性の低い塩素化合物と金属リチウムを加熱条件下で反応させるため、副生成物(例えば、アミン)が多くなり、得られる有機リチウム化合物の収率および純度が低下する。副生したアミンは配位性化合物であり、有機リチウム化合物に配位して、有機リチウム化合物の安定性を低下させることがある。また、アミン等の副生成物は、例えば、有機リチウム化合物を重合開始剤として用いた場合に、得られる重合体に悪影響を与える場合もある。
本発明は上述のような事情に鑑みなされたものであって、その目的は、金属リチウムを使用せずに、工業的に有利な条件でアミノ基を有する有機リチウム化合物を製造し得る方法を提供することにある。
上記目的を達成し得る本発明は、以下の通りである。
[1] 式(1)で表される塩と式(2)で表されるヨウ化アルカリ金属とを反応させて、式(3)で表される塩を得る工程(a)、
式(3)で表される塩と塩基とを反応させて、式(4)で表される化合物を得る工程(b)、
式(4)で表される化合物と式(5)で表される有機リチウム化合物とを反応させて、式(6)で表される有機リチウム化合物を得る工程(c)、および
式(6)で表される有機リチウム化合物と式(7)で表されるオレフィン性二重結合を有する化合物とを反応させて、式(8)で表される有機リチウム化合物を得る工程(d)を含む、式(8)で表される有機リチウム化合物の製造方法。
Figure 0007096686000001
(式中、
およびAは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、置換基を有していてもよいシリル基または置換基を有していてもよいシロキシ基を表すか、或いはAおよびAが結合し、それらに隣接する窒素原子と共に、置換基を有していてもよい含窒素複素環基を形成する。
Zは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基を表す。
Xは、塩素原子または臭素原子を表す。
HBは、酸を表す。
Mは、アルカリ金属原子を表す。
Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
は、オレフィン性二重結合を有する化合物を表す。
は、Qに由来する構成単位を表す。
nは、1~20を表す。)
[2] 工程(a)において、炭化水素溶媒中、式(1)で表される塩1モルに対して0.5~5モルの極性溶媒の存在下で、式(1)で表される塩と式(2)で表されるヨウ化アルカリ金属とを反応させる前記[1]に記載の方法。
[3] 式(3)で表される塩と塩基とを反応させて、式(4)で表される化合物を得る工程(b)、
式(4)で表される化合物と式(5)で表される有機リチウム化合物とを反応させて、式(6)で表される有機リチウム化合物を得る工程(c)、および
式(6)で表される有機リチウム化合物と式(7)で表されるオレフィン性二重結合を有する化合物とを反応させて、式(8)で表される有機リチウム化合物を得る工程(d)を含む、式(8)で表される有機リチウム化合物の製造方法。
Figure 0007096686000002
(式中、
およびAは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、置換基を有していてもよいシリル基または置換基を有していてもよいシロキシ基を表すか、或いはAおよびAが結合し、それらに隣接する窒素原子と共に、置換基を有していてもよい含窒素複素環基を形成する。
Zは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基を表す。
HBは、酸を表す。
Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
は、オレフィン性二重結合を有する化合物を表す。
は、Qに由来する構成単位を表す。
nは、1~20を表す。)
[4] 式(4)で表される化合物と式(5)で表される有機リチウム化合物とを反応させて、式(6)で表される有機リチウム化合物を得る工程(c)、および
式(6)で表される有機リチウム化合物と式(7)で表されるオレフィン性二重結合を有する化合物とを反応させて、式(8)で表される有機リチウム化合物を得る工程(d):
を含む、式(8)で表される有機リチウム化合物の製造方法。
Figure 0007096686000003
(式中、
およびAは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、置換基を有していてもよいシリル基または置換基を有していてもよいシロキシ基を表すか、或いはAおよびAが結合し、それらに隣接する窒素原子と共に、置換基を有していてもよい含窒素複素環基を形成する。
Zは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基を表す。
Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
は、オレフィン性二重結合を有する化合物を表す。
は、Qに由来する構成単位を表す。
nは、1~20を表す。)
[5] オレフィン性二重結合を有する化合物が、ジエン化合物である前記[1]~[4]のいずれか一つに記載の方法。
[6] 前記[1]~[5]のいずれか一つに記載の方法により式(8)で表される有機リチウム化合物を製造する工程、および
式(8)で表される有機リチウム化合物の存在下で、共役ジエン化合物を重合させる工程
を含む共役ジエン系重合体の製造方法。
[7] 炭化水素溶媒中、式(1)で表される塩1モルに対して0.5~5モルの極性溶媒の存在下で、式(1)で表される塩と式(2)で表されるヨウ化アルカリ金属とを反応させて、式(3)で表される塩を得る工程(a)、および
式(3)で表される塩と塩基とを反応させて、式(4)で表される化合物を得る工程(b)
を含む、式(4)で表される化合物の製造方法。
Figure 0007096686000004
(式中、
およびAは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、置換基を有していてもよいシリル基または置換基を有していてもよいシロキシ基を表すか、或いはAおよびAが結合し、それらに隣接する窒素原子と共に、置換基を有していてもよい含窒素複素環基を形成する。
Zは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基を表す。
Xは、塩素原子または臭素原子を表す。
HBは、酸を表す。
Mは、アルカリ金属原子を表す。)
[8] 炭化水素溶媒中、式(1)で表される塩1モルに対して0.5~5モルの極性溶媒の存在下で、式(1)で表される塩と式(2)で表されるヨウ化アルカリ金属とを反応させて、式(3)で表される塩を得る工程(a)を含む、式(3)で表される塩の製造方法。
Figure 0007096686000005
(式中、
およびAは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、置換基を有していてもよいシリル基または置換基を有していてもよいシロキシ基を表すか、或いはAおよびAが結合し、それらに隣接する窒素原子と共に、置換基を有していてもよい含窒素複素環基を形成する。
Zは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基を表す。
Xは、塩素原子または臭素原子を表す。
HBは、酸を表す。
Mは、アルカリ金属原子を表す。)
[9] 炭化水素溶媒の量が、式(1)で表される塩1重量部に対して0.5~25重量部である前記[2]、[7]または[8]に記載の方法。
本発明によれば、アミノ基を有する有機リチウム化合物を工業的に有利な条件で製造することができる。
<定義>
まず、本明細書における基等の定義を順に説明する。
「Cx-y」とは、炭素数がx以上y以下(xおよびyは数を表す)を意味する。
アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが挙げられる。これらの中で、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが好ましく、ナトリウム、カリウムがより好ましい。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
炭化水素基の炭素数は、好ましくは1~24である。炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基が挙げられる。
アルキル基は、直鎖状または分枝鎖状のいずれでもよい。アルキル基の炭素数は、好ましくは1~24、より好ましくは1~10、さらに好ましくは1~6である。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1-エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1,1-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、エイコシル基、ヘンイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基が挙げられる。
アルケニル基は、直鎖状または分枝鎖状のいずれでもよい。アルケニル基の炭素数は、好ましくは2~24、より好ましくは2~10、より好ましくは2~6である。アルケニル基としては、例えば、エテニル基(即ち、ビニル基)、1-プロペニル基、2-プロペニル基、2-メチル-1-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-メチル-1-プロペニル基、1-メチル-2-プロペニル基、2-メチル-1-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-メチル-1-ブテニル基、2-メチル-1-ブテニル基、3-メチル-1-ブテニル基、1-メチル-2-ブテニル基、2-メチル-2-ブテニル基、3-メチル-2-ブテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、1-メチル-1-ペンテニル基、2-メチル-1-ペンテニル基、4-メチル-3-ペンテニル基、2-エチル-1-ブテニル基、2-ヘプテニル基、2-オクテニル基、2-ノネニル基、2-デセニル基、2-ウンデセニル基、2-ドデセニル基、2-トリデセニル基、2-テトラデセニル基、2-ペンタデセニル基、2-ヘキサデセニル基、2-ヘプタデセニル基、2-オクタデセニル基、2-ノナデセニル基、2-イコセニル基、2-エイコセニル基、2-ヘンイコセニル基、2-ヘンエイコセニル基、2-ドコセニル基、2-トリコセニル基、2-テトラコセニル基等が挙げられる。
アルキニル基は、直鎖状または分枝鎖状のいずれでもよい。アルキニル基の炭素数は、好ましくは2~24、より好ましくは2~10、さらに好ましくは2~6である。アルキニル基としては、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-メチル-2-プロピニル基、1-ペンチニル基、2-ペンチニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基、1-メチル-3-ブチニル基、2-メチル-3-ブチニル基、1-ヘキシニル基、2-ヘキシニル基、3-ヘキシニル基、4-ヘキシニル基、5-ヘキシニル基、2-ヘプチニル基、2-オクチニル基、2-ノニニル基、2-デシニル基、2-ウンデシニル基、2-ドデシニル基、2-トリデシニル基、2-テトラデシニル基、2-ペンタデシニル基、2-ヘキサデシニル基、2-ヘプタデシニル基、2-オクタデシニル基、2-ノナデシニル基、2-イコシニル基、2-エイコシニル基、2-ヘンイコシニル基、2-ヘンエイコシニル基、2-ドコシニル基、2-トリコシニル基、2-テトラコシニル基が挙げられる。
シクロアルキル基の炭素数は、好ましくは3~10、より好ましくは3~8である。シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、ビシクロ[3.2.1]オクチル基、アダマンチル基が挙げられる。
シクロアルケニル基の炭素数は、好ましくは3~10、より好ましくは3~8である。シクロアルケニル基としては、例えば、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基が挙げられる。
アリール基の炭素数は、好ましくは6~18、より好ましくは6~14である。アリール基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基が挙げられる。
アラルキル基の炭素数は、好ましくは7~20、より好ましくは7~16である。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フェニルプロピル基が挙げられる。
アルコキシ基(即ち、アルキルオキシ基)の一部であるアルキル基の説明は、上述の通りである。後述する基の一部であるアルキル基の説明も同様である。アルコキシ基の好適な例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基が挙げられる。
シクロアルキルオキシ基の一部であるシクロアルキル基の説明は、上述の通りである。後述する基の一部であるシクロアルキル基の説明も同様である。シクロアルキルオキシ基の好適な例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基が挙げられる。
アリールオキシ基の一部であるアリール基の説明は、上述の通りである。後述する基の一部であるアリール基の説明も同様である。アリールオキシ基の好適な例としては、フェニルオキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基が挙げられる。
アラルキルオキシ基の一部であるアラルキル基の説明は、上述の通りである。後述する基の一部であるアラルキル基の説明も同様である。アラルキルオキシ基の好適な例としては、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、ナフチルメチルオキシ基、フェニルプロピルオキシ基が挙げられる。
アルキルチオ基の好適な例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、tert-ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基が挙げられる。
シクロアルキルチオ基の好適な例としては、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基、シクロヘプチルチオ基が挙げられる。
アリールチオ基の好適な例としては、フェニルチオ基、ナフチルチオ基が挙げられる。
アラルキルチオ基の好適な例としては、ベンジルチオ基、フェネチルチオ基が挙げられる。
アルキル-カルボニル基の好適な例としては、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、2-メチルプロパノイル基、ペンタノイル基、3-メチルブタノイル基、2-メチルブタノイル基、2,2-ジメチルプロパノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基が挙げられる。
アリール-カルボニル基の好適な例としては、ベンゾイル基、1-ナフトイル基、2-ナフトイル基が挙げられる。
アラルキル-カルボニル基の好適な例としては、フェニルアセチル基、フェニルプロピオニル基が挙げられる。
複素環カルボニル基の好適な例としては、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、テノイル基、フロイル基、モルホリニルカルボニル基、ピペリジニルカルボニル基、ピロリジニルカルボニル基が挙げられる。
アルコキシ-カルボニル基の好適な例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec-ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基が挙げられる。
置換基を有していてもよいカルバモイル基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、およびアラルキル基から選ばれる1または2個の置換基を有していてもよいカルバモイル基が挙げられる。置換基を有していてもよいカルバモイル基の好適な例としては、カルバモイル基、モノ-またはジ-アルキル-カルバモイル基(例、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、N-エチル-N-メチルカルバモイル基)、モノ-またはジ-シクロアルキル-カルバモイル基(例、シクロプロピルカルバモイル基、シクロヘキシルカルバモイル基)、モノ-またはジ-アリール-カルバモイル基(例、フェニルカルバモイル基)、モノ-またはジ-アラルキル-カルバモイル基(例、ベンジルカルバモイル基、フェネチルカルバモイル基)が挙げられる。
置換基を有していてもよいアミノ基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アルキル-カルボニル基、アリール-カルボニル基、アラルキル-カルボニル基、複素環カルボニル基、アルコキシ-カルボニル基、複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-アルキル-カルバモイル基、モノ-またはジ-アラルキル-カルバモイル基、アルキルスルホニル基およびアリールスルホニル基から選ばれる1または2個の置換基を有していてもよいアミノ基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアミノ基の好適な例としては、アミノ基、モノ-またはジ-(ハロゲン化されていてもよいアルキル)アミノ基(例、メチルアミノ基、トリフルオロメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジブチルアミノ基)、モノ-またはジ-シクロアルキルアミノ基(例、シクロプロピルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基)、モノ-またはジ-アリールアミノ基(例、フェニルアミノ基)、モノ-またはジ-アラルキルアミノ基(例、ベンジルアミノ基、ジベンジルアミノ基)、モノ-またはジ-アルキル-カルボニルアミノ基(例、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基)、モノ-またはジ-アリール-カルボニルアミノ基(例、ベンゾイルアミノ基)、モノ-またはジ-アラルキル-カルボニルアミノ基(例、ベンジルカルボニルアミノ基)、モノ-またはジ-複素環カルボニルアミノ基(例、ニコチノイルアミノ基、イソニコチノイルアミノ基、ピペリジニルカルボニルアミノ基)、モノ-またはジ-アルコキシ-カルボニルアミノ基(例、tert-ブトキシカルボニルアミノ基)、複素環アミノ基(例、ピリジルアミノ基)、カルバモイルアミノ基、(モノ-またはジ-アルキル-カルバモイル)アミノ基(例、メチルカルバモイルアミノ基)、(モノ-またはジ-アラルキル-カルバモイル)アミノ基(例、ベンジルカルバモイルアミノ基)、アルキルスルホニルアミノ基(例、メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基)、アリールスルホニルアミノ基(例、フェニルスルホニルアミノ基)、(アルキル)(アルキル-カルボニル)アミノ基(例、N-アセチル-N-メチルアミノ基)、(アルキル)(アリール-カルボニル)アミノ基(例、N-ベンゾイル-N-メチルアミノ基)が挙げられる。
複素環基の環構成原子の数は、好ましくは3~14である。即ち、複素環基は、好ましくは3~14員複素環基である。複素環基としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1~4個のヘテロ原子をそれぞれ含有する、(i)芳香族複素環基、および(ii)非芳香族複素環基が挙げられる。
芳香族複素環基としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1~4個のヘテロ原子を含有する5~14員(好ましくは5~10員)の芳香族複素環基が挙げられる。
芳香族複素環基の好適な例としては、以下のものが挙げられる:
チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、1,2,4-オキサジアゾリル基、1,3,4-オキサジアゾリル基、1,2,4-チアジアゾリル基、1,3,4-チアジアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、トリアジニル基などの5~6員単環式芳香族複素環基;
ベンゾチオフェニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、イミダゾピリジニル基、チエノピリジニル基、フロピリジニル基、ピロロピリジニル基、ピラゾロピリジニル基、オキサゾロピリジニル基、チアゾロピリジニル基、イミダゾピラジニル基、イミダゾピリミジニル基、チエノピリミジニル基、フロピリミジニル基、ピロロピリミジニル基、ピラゾロピリミジニル基、オキサゾロピリミジニル基、チアゾロピリミジニル基、ピラゾロトリアジニル基、ナフト[2,3-b]チエニル基、フェノキサチイニル基、インドリル基、イソインドリル基、1H-インダゾリル基、プリニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、カルバゾリル基、β-カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、フェナジニル基、フェノチアジニル基、フェノキサジニル基などの8~14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)芳香族複素環基。
非芳香族複素環基の好適な例としては、以下のものが挙げられる:
アジリジニル基、オキシラニル基、チイラニル基、アゼチジニル基、オキセタニル基、チエタニル基、テトラヒドロチエニル基、テトラヒドロフラニル基、ピロリニル基、ピロリジニル基、イミダゾリニル基、イミダゾリジニル基、オキサゾリニル基、オキサゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピラゾリジニル基、チアゾリニル基、チアゾリジニル基、テトラヒドロイソチアゾリル基、テトラヒドロオキサゾリル基、テトラヒドロイソオキサゾリル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、テトラヒドロピリジニル基、ジヒドロピリジニル基、ジヒドロチオピラニル基、テトラヒドロピリミジニル基、テトラヒドロピリダジニル基、ジヒドロピラニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、アゼパニル基、ジアゼパニル基、アゼピニル基、オキセパニル基、アゾカニル基、ジアゾカニル基などの3~8員単環式非芳香族複素環基;
ジヒドロベンゾフラニル基、ジヒドロベンゾイミダゾリル基、ジヒドロベンゾオキサゾリル基、ジヒドロベンゾチアゾリル基、ジヒドロベンゾイソチアゾリル基、ジヒドロナフト[2,3-b]チエニル基、テトラヒドロイソキノリル基、テトラヒドロキノリル基、4H-キノリジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、テトラヒドロチエノ[2,3-c]ピリジニル基、テトラヒドロベンゾアゼピニル基、テトラヒドロキノキサリニル基、テトラヒドロフェナントリジニル基、ヘキサヒドロフェノチアジニル基、ヘキサヒドロフェノキサジニル基、テトラヒドロフタラジニル基、テトラヒドロナフチリジニル基、テトラヒドロキナゾリニル基、テトラヒドロシンノリニル基、テトラヒドロカルバゾリル基、テトラヒドロ-β-カルボリニル基、テトラヒドロアクリジニル基、テトラヒドロフェナジニル基、テトラヒドロチオキサンテニル基、オクタヒドロイソキノリル基などの9~14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)非芳香族複素環基。
含窒素複素環基としては、例えば、上述の複素環基のうち、環構成原子として少なくとも1個以上の窒素原子を含有するものが挙げられる。
置換基を有していてもよいシリル基としては、例えば、-Si(R)(R)(R)(式中、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアルコキシ基を表す)で表される基が挙げられる。置換基を有していてもよいシリル基の好適な例としては、トリ-C1-6アルキルシリル基(例、トリメチルシリル基、tert-ブチル(ジメチル)シリル基)が挙げられる。
置換基を有していてもよいシロキシ基としては、例えば、-OSi(R’)(R’)(R’)(式中、R’~R’は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアルコキシ基を表す)で表される基が挙げられる。置換基を有していてもよいシロキシ基の好適な例としては、トリ-C1-6アルキルシロキシ基(例、トリメチルシロキシ基、tert-ブチル(ジメチル)シロキシ基)が挙げられる。
アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基が有し得る置換基としては、例えば、以下のものが挙げられる:
(1)シクロアルキル基(好ましくはC3-8シクロアルキル基)、
(2)アリール基(好ましくはC6-14アリール基)、
(3)アルコキシ基(好ましくはC1-6アルコキシ基)、
(4)シクロアルキルオキシ基(好ましくはC3-8シクロアルキルオキシ基)、
(5)アリールオキシ基(好ましくはC6-14アリールオキシ基)、
(6)アラルキルオキシ基(好ましくはC7-16アラルキルオキシ基)、
(7)アルキルチオ基(好ましくはC1-6アルキルチオ基)、
(8)シクロアルキルチオ基(好ましくはC3-8シクロアルキルチオ基)、
(9)アリールチオ基(好ましくはC6-14アリールチオ基)、
(10)アラルキルチオ基(好ましくはC7-16アラルキルチオ基)、
(11)置換基を有していてもよいアミノ基、
(12)複素環基(好ましくは3~14員複素環基)、
(13)置換基を有していてもよいシリル基、
(14)置換基を有していてもよいシロキシ基。
シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基、複素環基および含窒素複素環基が有し得る置換基としては、例えば、以下のものが挙げられる:
(1)アルキル基(好ましくはC1-6アルキル基)、
(2)アルケニル基(好ましくはC2-6アルケニル基)、
(3)アルキニル基(好ましくはC2-6アルキニル基)、
(4)シクロアルキル基(好ましくはC3-8シクロアルキル基)、
(5)アリール基(好ましくはC6-14アリール基)、
(6)アラルキル基(好ましくはC7-16アラルキル基)、
(7)アルコキシ基(好ましくはC1-6アルコキシ基)、
(8)シクロアルキルオキシ基(好ましくはC3-8シクロアルキルオキシ基)、
(9)アリールオキシ基(好ましくはC6-14アリールオキシ基)、
(10)アラルキルオキシ基(好ましくはC7-16アラルキルオキシ基)、
(11)アルキルチオ基(好ましくはC1-6アルキルチオ基)、
(12)シクロアルキルチオ基(好ましくはC3-8シクロアルキルチオ基)、
(13)アリールチオ基(好ましくはC6-14アリールチオ基)、
(14)アラルキルチオ基(好ましくはC7-16アラルキルチオ基)、
(15)置換基を有していてもよいアミノ基、
(16)複素環基(好ましくは3~14員複素環基)、
(17)置換基を有していてもよいシリル基、
(18)置換基を有していてもよいシロキシ基。
2価の脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは1~24である。2価の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。2価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルカンジイル基、アルケンジイル基、アルキンジイル基、シクロアルカンジイル基、シクロアルケンジイル基、並びにこれらの組合せが挙げられる。前記組合せとしては、例えば、アルカンジイル基とシクロアルカンジイル基との組合せが挙げられる。
アルカンジイル基は、直鎖状または分枝鎖状のいずれでもよい。アルカンジイル基の炭素数は、好ましくは1~24、より好ましくは1~10、さらに好ましくは1~6である。アルカンジイル基の具体例としては、-CH-、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-CH(CH)-、-C(CH-、-CH(C)-、-CH(C)-、-CH(CH(CH)-、-(CH(CH))-、-CH-CH(CH)-、-CH(CH)-CH-、-CH-CH-C(CH-、-C(CH-CH-CH-、-CH-CH-CH-C(CH-、-C(CH-CH-CH-CH-が挙げられる。
アルケンジイル基およびアルキンジイル基は、両方とも、直鎖状または分枝鎖状のいずれでもよい。アルケンジイル基およびアルキンジイル基の炭素数は、それぞれ独立して、好ましくは2~24、より好ましくは2~10、さらに好ましくは2~6である。これらの具体例としては、炭素数が2以上であるアルカンジイル基の具体例の単結合を二重結合または三重結合に変更したものが挙げられる。
シクロアルカンジイル基の炭素数は、好ましくは3~10、より好ましくは3~8である。シクロアルカンジイル基としては、例えば、シクロプロパンジイル基、シクロブタンジイル基(例、シクロブタン-1,3-ジイル基)、シクロペンタンジイル基(例、シクロペンタン-1,3-ジイル基)、シクロヘキサンジイル基(例、シクロヘキサン-1,4-ジイル基)、シクロヘプタンジイル基(例、シクロヘプタン-1,4-ジイル基)が挙げられる。
シクロアルケンジイル基の炭素数は、好ましくは3~10、より好ましくは3~8である。シクロアルケンジイル基の具体例としては、シクロアルカンジイル基の具体例の単結合を二重結合に変更したものが挙げられる。
アルカンジイル基、アルケンジイル基およびアルキンジイル基が有し得る置換基としては、例えば、以下のものが挙げられる:
(1)シクロアルキル基(好ましくはC3-8シクロアルキル基)、
(2)アリール基(好ましくはC6-14アリール基)、
(3)アルコキシ基(好ましくはC1-6アルコキシ基)、
(4)シクロアルキルオキシ基(好ましくはC3-8シクロアルキルオキシ基)、
(5)アリールオキシ基(好ましくはC6-14アリールオキシ基)、
(6)アラルキルオキシ基(好ましくはC7-16アラルキルオキシ基)、
(7)アルキルチオ基(好ましくはC1-6アルキルチオ基)、
(8)シクロアルキルチオ基(好ましくはC3-8シクロアルキルチオ基)、
(9)アリールチオ基(好ましくはC6-14アリールチオ基)、
(10)アラルキルチオ基(好ましくはC7-16アラルキルチオ基)、
(11)置換基を有していてもよいアミノ基、
(12)複素環基(好ましくは3~14員複素環基)、
(13)置換基を有していてもよいシリル基、
(14)置換基を有していてもよいシロキシ基。
シクロアルカンジイル基およびシクロアルケンジイル基が有し得る置換基としては、例えば、以下のものが挙げられる:
(1)アルキル基(好ましくはC1-6アルキル基)、
(2)アルケニル基(好ましくはC2-6アルケニル基)、
(3)アルキニル基(好ましくはC2-6アルキニル基)、
(4)シクロアルキル基(好ましくはC3-8シクロアルキル基)、
(5)アリール基(好ましくはC6-14アリール基)、
(6)アラルキル基(好ましくはC7-16アラルキル基)、
(7)アルコキシ基(好ましくはC1-6アルコキシ基)、
(8)シクロアルキルオキシ基(好ましくはC3-8シクロアルキルオキシ基)、
(9)アリールオキシ基(好ましくはC6-14アリールオキシ基)、
(10)アラルキルオキシ基(好ましくはC7-16アラルキルオキシ基)、
(11)アルキルチオ基(好ましくはC1-6アルキルチオ基)、
(12)シクロアルキルチオ基(好ましくはC3-8シクロアルキルチオ基)、
(13)アリールチオ基(好ましくはC6-14アリールチオ基)、
(14)アラルキルチオ基(好ましくはC7-16アラルキルチオ基)、
(15)置換基を有していてもよいアミノ基、
(16)複素環基(好ましくは3~14員複素環基)、
(17)置換基を有していてもよいシリル基、
(18)置換基を有していてもよいシロキシ基。
<有機リチウム化合物およびその中間体の製造方法>
本発明は、以下の工程(a)~(d)、工程(b)~(d)または工程(c)および(d)を含む、式(8)で表される有機リチウム化合物の製造方法を提供する。なお、以下では「式(8)で表される有機リチウム化合物」を「有機リチウム化合物(8)」または「化合物(8)」と略称することがある。他の式で表される化合物等も同様に略称することがある。
Figure 0007096686000006
(式中、
およびAは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、置換基を有していてもよいシリル基または置換基を有していてもよいシロキシ基を表すか、或いはAおよびAが結合し、それらに隣接する窒素原子と共に、置換基を有していてもよい含窒素複素環基を形成する。
Zは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基を表す。
Xは、塩素原子または臭素原子を表す。
HBは、酸を表す。
Mは、アルカリ金属原子を表す。
Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
は、オレフィン性二重結合を有する化合物を表す。
は、Qに由来する構成単位を表す。
nは、1~20の数を表す。)
工程(c)を含む本発明の方法は、特許文献1に記載の方法のような金属リチウムを使用するハロゲン-リチウム交換ではなく、化合物(4)のZ(即ち、2価の脂肪族炭化水素基)に結合したヨウ素原子を、有機リチウム化合物(5)でリチウム原子と交換することを特徴の一つとする。
上述のようにZは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基であるが、式(4)中のZ-Iは、2価の脂肪族炭化水素基の炭素原子とヨウ素原子とが結合していることを表し、その置換基とヨウ素原子とが結合している状態は包含しない。式(3)中のZ-Iも同様の意味である。同様に、式(1)中のZ-Xは、2価の脂肪族炭化水素基の炭素原子とX(即ち、塩素原子または臭素原子)とが結合していることを表し、その置換基とXとが結合している状態は包含しない。
後述する工程(c)のヨウ素-リチウム交換の反応性の観点から、式(4)中のIは、2価の脂肪族炭化水素基の1級炭素原子と結合していることが好ましい。即ち、式(4)中のZ-Iは、好ましくはZ’-CH-I(式中、Z’は単結合または置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基を表す)である。同様に、式(3)中のZ-Iは、好ましくはZ’-CH-Iであり、式(1)中のZ-Xは、好ましくはZ’-CH-Xである。
以下、工程(a)~(d)を順に説明する。
<工程(a)>
工程(a)では、塩(1)とヨウ化アルカリ金属(2)とを反応させて、塩(1)が有するX(塩素原子または臭素原子)をヨウ素原子と交換して塩(3)を調製する。ヨウ化アルカリ金属(2)は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。
式(1)中のXは、好ましくは塩素原子である。
式(1)中のAおよびAは、それぞれ独立に、好ましくはC1-24アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。式(3)以降のAおよびAも同様である。
式(1)中のZは、好ましくは2価のC1-24脂肪族炭化水素基、より好ましくはC1-24アルカンジイル基、さらに好ましくはC1-6アルカンジイル基であり、特に好ましくは-(CH-である。式(3)以降のZも同様である。
上述のように式(1)中のZ-Xは、好ましくはZ’-CH-X(式中、Z’は単結合または置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基を表す)である。Z’は、好ましくは単結合または2価のC1-23脂肪族炭化水素基、より好ましくは単結合またはC1-23アルカンジイル基、さらに好ましくは単結合またはC1-5アルカンジイル基であり、特に好ましくは-(CH-である。式(3)以降のZ-XおよびZ’も同様である。
式(1)における基の好ましい組合せとしては、以下の組合せが挙げられる:
Xが、塩素原子または臭素原子であり、
およびAが、それぞれ独立に、C1-24アルキル基であり、且つ
Zが、2価のC1-24脂肪族炭化水素基である。
式(3)以降のA、AおよびZの好ましい組合せも上記の通りである。
この組合せにおいて、Z-Xが、Z’-CH-X(式中、Z’は単結合または2価のC1-23脂肪族炭化水素基を表す)であることが好ましい。
式(1)における基のより好ましい組合せとしては、以下の組合せが挙げられる:
Xが、塩素原子または臭素原子であり、
およびAが、それぞれ独立に、C1-6アルキル基であり、且つ
Zが、C1-24アルカンジイル基である。
式(3)以降のA、AおよびZのより好ましい組合せも上記の通りである。
この組合せにおいて、Z-Xが、Z’-CH-X(式中、Z’は単結合またはC1-23アルカンジイル基を表す)であることが好ましい。
式(1)における基のさらに好ましい組合せとしては、以下の組合せが挙げられる:
Xが、塩素原子または臭素原子であり、
およびAが、それぞれ独立に、C1-6アルキル基であり、且つ
Zが、C1-6アルカンジイル基である。
式(3)以降のA、AおよびZのさらに好ましい組合せも上記の通りである。
この組合せにおいて、Z-Xが、Z’-CH-X(式中、Z’は単結合またはC1-5アルカンジイル基を表す)であることが好ましい。
式(1)における基の特に好ましい組合せとしては、以下の組合せが挙げられる:
Xが、塩素原子であり、
およびAが、メチル基であり、且つ
Zが、-(CH-である。
式(3)以降のA、AおよびZの特に好ましい組合せも上記の通りである。
HBで表される酸は、好ましくは無機酸である。無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸が挙げられる。これらの中で、塩酸がより好ましい。即ち、塩(1)は、好ましくは無機酸塩であり、より好ましくは塩酸塩である。
ヨウ化アルカリ金属(2)としては、例えば、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ルビジウム、ヨウ化セシウムが挙げられる。ヨウ化アルカリ金属(2)は、好ましくはヨウ化ナトリウムおよびヨウ化カリウムからなる群から選ばれる少なくとも一つであり、より好ましくはヨウ化ナトリウムまたはヨウ化カリウムであり、さらに好ましくはヨウ化ナトリウムである。
工程(a)において、ヨウ化アルカリ金属(2)の使用量は、塩(1)1モルに対して、好ましくは0.1~20モル、より好ましくは1~5モルである。
工程(a)では、溶媒を使用することが好ましい。溶媒としては、例えば、水、有機溶媒、イオン液体等が挙げられる。溶媒は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
有機溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素溶媒(例、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、デカリン)、芳香族炭化水素溶媒(例、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、エチルベンゼン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン)等の炭化水素溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール溶媒;1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒;ジメチルスルホキシド;スルホラン;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリジノン;N-エチルピロリジノン、N-メチル-2-ピペリドン等のアミド溶媒;1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン等のイミド溶媒;酢酸等が挙げられる。
イオン液体としては、例えば、N-ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、N-エチルピリジニウムテトラフルオロボレート、ピリジニウムフルオロスルホネート、3-ブチル-1-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、3-ブチル-1-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、3-ブチル-1-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、3-ブチル-1-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド、トリメチルフェニルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートおよびテトラブチルホスホニウムテトラフルオロボレート等が挙げられる。
溶媒の使用量(2種以上の溶媒を併用する場合は、それらの合計量)は、塩(1)1重量部に対して、好ましくは0.1~20重量部、より好ましくは1~5重量部である。
工程(a)では、通常、反応器内に、溶媒と、塩(1)と、ヨウ化アルカリ金属(2)とを導入して反応させる。これらの反応器内への導入順序には特に制限はないが、塩(1)およびヨウ化アルカリ金属(2)を導入した後、溶媒を導入することが好ましい。塩(1)およびヨウ化アルカリ金属(2)は、単独で導入してもよいし、それらの溶液を導入してもよい。塩(1)およびヨウ化アルカリ金属(2)の導入は、連続的に行ってもよいし、断続的に行ってもよい。
工程(a)において、炭化水素溶媒中、塩(1)1モルに対して0.5~5モルの極性溶媒の存在下で、塩(1)とヨウ化アルカリ金属(2)とを反応させることが好ましい。この態様の工程(a)を、以下では工程(a1)と記載することがある。工程(a1)において、炭化水素溶媒は1種のみでもよく、2種以上でもよい。極性溶媒も、1種のみでもよく、2種以上でもよい。
炭化水素溶媒中、塩(1)1モルに対して0.5~5モルの極性溶媒の存在下で、塩(1)とヨウ化アルカリ金属(2)とのハロゲン交換を行うことによって、塩(3)を高収率で得ることできる。工程(a1)における極性溶媒の使用量は、塩(1)1モルに対して、好ましくは0.75~3.5モル、より好ましくは1~2モルである。なお、2種以上の極性溶媒を使用する場合、前記の極性溶媒の量は、合計量である。
工程(a)の反応、即ち、塩素原子または臭素原子を有する塩(1)とヨウ化アルカリ金属(2)とのハロゲン交換は、アセトン中で塩化物または臭化物とNaIとのハロゲン交換を行うフィンケルシュタイン反応と類似する。このフィンケルシュタイン反応は、NaIはアセトンに溶解するが、この反応で形成するNaClまたはNaBrがアセトンに溶解せずに析出することを利用して、塩化物または臭化物とNaIとの反応の平衡を、目的とするヨウ化物およびNaClまたはNaBrが形成する方向に移動させることを特徴とする。しかし、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、ヨウ化アルカリ金属(2)が溶解しない炭化水素溶媒を使用しても、炭化水素溶媒と極性溶媒とを併用することによって、高収率で塩(3)が得られることを見出した。従って、本発明は、工程(a1)を含む有機リチウム化合物(8)の中間体を製造する方法も提供する。具体的には、本発明は、工程(a1)を含む塩(3)の製造方法、並びに工程(a1)および(b)を含む化合物(4)の製造方法も提供する。
工程(a1)における炭化水素溶媒は、好ましくは脂肪族炭化水素溶媒であり、より好ましくはヘキサン、シクロヘキサンおよびメチルシクロヘキサンからなる群から選ばれる少なくとも一つであり、さらに好ましくはヘキサンおよびシクロヘキサンからなる群から選ばれる少なくとも一つである。
工程(a1)における極性溶媒は、好ましくは水、アルコール溶媒、アミド溶媒、イミド溶媒およびイオン液体からなる群から選ばれる少なくとも一つであり、より好ましくは水、アミド溶媒およびイミド溶媒からなる群から選ばれる少なくとも一つであり、さらに好ましくは水である。
工程(a1)における炭化水素溶媒の量は、塩(1)1重量部に対して、好ましくは0.5~10重量部、より好ましくは0.75~7.5重量部、さらに好ましくは1~5重量部である。
工程(a)は、溶媒を使用して、その溶媒を還流させる温度で行うことが好ましい。特に工程(a1)は、溶媒を還流させる温度で行うことが好ましい。また、工程(a)(好ましくは工程(a1))は、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下で行うことが好ましい。その反応時間は特に限定されるものではないが、通常1~24時間である。
工程(a)で得られた塩(3)を含む溶液を、そのまま次の工程(b)に使用してもよく、この溶液から公知の手段によって塩(3)を取り出してもよい。溶液から取り出した塩(3)は、公知の手段によって洗浄および精製してもよい。
<工程(b)>
工程(b)では、塩(3)と塩基とを反応させて、塩(3)中の酸(式(3)中のHB)を除去して、化合物(4)を調製する。
塩基としては、無機塩基および有機塩基のいずれでもよい。塩基は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。無機塩基としては、例えば、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物等が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属の水酸化物としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等が挙げられる。有機塩基としては、例えば、アンモニア、1級アミン、2級アミン、3級アミン、複素環アミンが挙げられる。1級アミンとしては、例えば、エチルアミン、ベンジルアミン、アニリン等が挙げられる。2級アミンとしては、例えば、ジエチルアミン、N-メチルオクタデシルアミン、N-ベンジルメチルアミン等が挙げられる。3級アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン等が挙げられる。複素環アミンとしては、例えば、ピリジン等が挙げられる。
塩基は、好ましくは無機塩基であり、より好ましくはアルカリ金属の水酸化物であり、さらに好ましくは水酸化ナトリウムである。無機塩基(特に、水酸化ナトリウム)を使用する場合、その水溶液を使用することが好ましい。
工程(b)において、塩基の使用量は、塩(3)1モルに対して、好ましくは1~5モル、より好ましくは1~2モルである。
工程(b)では、溶媒を使用することが好ましい。溶媒としては、例えば、水、有機溶媒、イオン液体等が挙げられる。溶媒は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
有機溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素溶媒(例、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、デカリン)、芳香族炭化水素溶媒(例、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、エチルベンゼン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン)等の炭化水素溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール溶媒;1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒;ジメチルスルホキシド;スルホラン;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリジノン;N-エチルピロリジノン、N-メチル-2-ピペリドン等のアミド溶媒;1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン等のイミド溶媒;酢酸等が挙げられる。
イオン液体としては、例えば、N-ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、N-エチルピリジニウムテトラフルオロボレート、ピリジニウムフルオロスルホネート、3-ブチル-1-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、3-ブチル-1-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、3-ブチル-1-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、3-ブチル-1-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド、トリメチルフェニルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートおよびテトラブチルホスホニウムテトラフルオロボレート等が挙げられる。
溶媒の使用量(2種以上の溶媒を併用する場合は、それらの合計量)は、塩(3)1重量部に対して、好ましくは0.75~7.5重量部、より好ましくは1~7重量部である。
工程(b)では、通常、反応器内に、溶媒と、塩(3)と、塩基とを導入して反応させる。これらの導入順序には特に制限はないが塩(3)および溶媒を導入した後、塩基を導入することが好ましい。塩基は、単独で導入してもよいし、その溶液を導入してもよい。塩基の導入は、連続的に行ってもよいし、断続的に行ってもよい。
工程(b)の反応は、使用する溶媒の融点以上、その沸点未満の温度で行うことができる。その反応温度は、好ましくは-20~40℃である。この反応は、通常、常圧下で行うが、加圧下で反応を行うこともできる。反応の圧力を調整するために、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いてもよい。この反応は、連続式反応器、半連続式反応器、回分式反応器のいずれを用いて行ってもよい。この反応時間は特に限定されるものではないが、通常1~24時間である。
工程(a)にて塩(3)および溶媒を含む混合物を得た場合、これに上述した無機塩基(特に水酸化ナトリウム)の水溶液を添加して、得られた混合物を撹拌することによって、工程(b)の反応を行うことが好ましい。この反応後、工程(a)で使用した有機溶媒および化合物(4)を含む有機相(即ち、化合物(4)を含む溶液)と、工程(b)で使用した無機塩基の水溶液に由来する水相とを分離することが好ましい。得られた化合物(4)を含む溶液を、そのまま次の工程(c)に使用してもよく、この溶液から、公知の手段によって化合物(4)を取り出してもよい。溶液から取り出した化合物(4)は、公知の手段によって洗浄および精製してもよい。
<工程(c)>
工程(c)では、化合物(4)と有機リチウム化合物(5)とを反応させて、ヨウ素-リチウム交換を行い、有機リチウム化合物(6)を調製する。有機リチウム化合物(5)は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。
有機リチウム化合物(5)の反応性および取扱い易さの観点から、式(5)中のRは、好ましくはC1-10アルキル基またはC6-14アリール基であり、より好ましくはC1-6アルキル基であり、さらに好ましくはリチウム原子が2級または3級炭素原子に結合したC1-6アルキル基であり、特に好ましくはリチウム原子が2級炭素原子に結合したC1-6アルキル基である。
有機リチウム化合物(5)の具体例としては、メチルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、フェニルリチウムが挙げられる。これらの中で、反応性の観点から、sec-ブチルリチウムおよびtert-ブチルリチウムが好ましく、反応性および取扱い易さの観点から、sec-ブチルリチウムがより好ましい。
工程(c)において、有機リチウム化合物(5)の使用量は、化合物(4)1モルに対して、好ましくは0.5~5モル、より好ましくは1~2モルである。
工程(c)では、溶媒を使用することが好ましい。溶媒は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、デカリン等の脂肪族炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、エチルベンゼン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒;1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル溶媒等が挙げられる。これらの中でも、脂肪族炭化水素が好ましい。
溶媒の使用量(2種以上の溶媒を併用する場合は、それらの合計量)は、化合物(4)1重量部に対して、好ましくは0.5~25重量部、より好ましくは1~10重量部、さらに好ましくは1~5重量部である。
工程(c)では、通常、反応器内に、溶媒と、化合物(4)と、有機リチウム化合物(5)とを導入して反応させる。これらの導入順序には特に制限はないが、通常、化合物(4)および溶媒を導入した後、有機リチウム化合物(5)を導入する。有機リチウム化合物(5)は、溶液として導入することが好ましい。有機リチウム化合物(5)の導入は、連続的に行ってもよいし、断続的に行ってもよい。
また、高品質の有機リチウム化合物(6)を製造する場合は、化合物(4)および有機リチウム化合物(5)を、同時に反応器内に供給することが好ましい。
なお、反応器内への化合物(4)の供給および有機リチウム化合物(5)の供給は、それぞれ、連続的に行ってもよいし、断続的に行ってもよい。また、化合物(4)の供給開始と有機リチウム化合物(5)の供給開始、および化合物(4)の供給終了と有機リチウム化合物(5)の供給終了は、それぞれ、一致させる必要はない。
工程(c)における反応温度は、好ましくは-100℃~40℃、より好ましくは-80℃~40℃、さらに好ましくは-80℃~-60℃であるである。反応は、通常、常圧下で行うが、加圧下で反応を行うこともできる。この反応は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。この反応は、連続式反応器(例えば、管型流通式反応器)、半連続式反応器、回分式反応器のいずれで行ってもよい。この反応時間は特に限定されるものではないが、通常1~24時間である。
工程(b)にて化合物(4)および溶媒を含む混合物を得た場合、これに有機リチウム化合物(5)の溶液を添加して、得られた混合物を撹拌することによって、工程(c)の反応を行うことが好ましい。この反応後、得られた有機リチウム化合物(6)を含む溶液を、そのまま次の工程(d)に使用してもよく、この溶液から公知の手段によって有機リチウム化合物(6)を取り出した後、公知の手段によって洗浄および精製を行ってもよい。例えば、有機リチウム化合物(6)を含む溶液を冷却し、析出した有機リチウム化合物(6)を含む残渣をろ取し、炭化水素溶媒に溶かした後、得られた溶液から不溶成分をろ過によって除去してもよい。有機リチウム化合物(6)を含む溶液を、次の工程(d)で使用することが好ましい。
<工程(d)>
工程(d)では、有機リチウム化合物(6)とオレフィン性二重結合を有する化合物(7)とを反応させて、有機リチウム化合物(8)を調製する。この反応は、有機リチウム化合物を重合開始剤として用いる、オレフィン性二重結合を有する単量体のアニオン重合と同様の機構で進行する。より具体的には、有機リチウム化合物(6)中の-ZLiの間に、オレフィン性二重結合を有する化合物である式(7)のQが挿入されて、-Z-(QLiが形成される。このような反応が繰り返されることによって、式(8)中の-Z-(Q-Liが形成される。
オレフィン性二重結合を有する化合物(7)は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。化合物(7)は、好ましくはジエン化合物である。ジエン化合物としては、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン等が挙げられる。化合物(7)は、より好ましくは共役ジエン化合物であり、さらに好ましくは1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエンおよび1,3-ヘキサジエンからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、特に好ましくは1,3-ブタジエンおよびイソプレンからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、最も好ましくはイソプレンである。
工程(d)において、化合物(7)の使用量は、有機リチウム化合物(6)1モルに対して、好ましくは1~20モル、より好ましくは2~5モルである。即ち、式(8)中のnは、好ましくは1~20であり、より好ましくは2~5である。なお、このnは、有機リチウム化合物(8)1分子あたりのQ(即ち、オレフィン性二重結合を有する化合物であるQに由来する構成単位)の数を表す。
工程(d)では、溶媒を使用することが好ましい。溶媒は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、デカリン等の脂肪族炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、エチルベンゼン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒等が挙げられる。これらの中でも、脂肪族炭化水素が好ましい。
溶媒の使用量(2種以上の溶媒を併用する場合は、それらの合計量)は、有機リチウム化合物(6)1重量部に対して、好ましくは1~50重量部、より好ましくは1~30重量部である。
工程(d)では、添加剤を使用することにより、前記反応を円滑に進行させることができる。添加剤は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。添加剤としては、例えば、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2,2-ジ(テトラヒドロフリル)プロパン、2-(2-エトキシエトキシ)-2-メチルプロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、テトラメチルエチレンジアミン等が挙げられる。これらの中でも、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテおよびテトラメチルエチレンジアミンが好ましく、テトラヒドロフランおよびエチレングリコールジメチルエーテがより好ましく、テトラヒドロフランがさらに好ましい。なお、固体の添加剤(例えば、粉末状の添加剤)は、成形したものを使用してもよく、担体に担持したものを使用してもよく、高分子化合物に固定化したものを使用してもよい。
添加剤を使用する場合、その量は、有機リチウム化合物(6)1モルに対して、好ましくは0.1~10モル、より好ましくは0.5~7.5モルである。
工程(d)では、通常、反応器内に、溶媒、有機リチウム化合物(6)、化合物(7)、および必要に応じて添加剤を導入して反応させる。これらの導入順序には特に制限はないが、有機リチウム化合物(6)および溶媒を導入した後、化合物(7)を導入することが好ましい。
工程(d)において、前記添加剤を用いる場合は、有機リチウム化合物(6)および溶媒を導入した後、添加剤を導入し、次いで化合物(7)を導入することが好ましい。添加剤は、その全量を有機リチウム化合物(6)および溶媒とともに反応器内に導入してもよいし、その一部を予め反応器内に導入し、次いで、残部を有機リチウム化合物(6)および溶媒とともに反応器内に導入してもよい。有機リチウム化合物(6)、溶媒および添加剤を導入した反応器内に、化合物(7)の全量を導入することが好ましい。化合物(7)は、単独で導入してもよいし、その溶液を導入してもよい。化合物(7)の導入は、連続的に行ってもよいし、断続的に行ってもよい。
工程(d)における反応温度は、好ましくは10~80℃、より好ましくは10~60℃である。反応は、通常、常圧下で行うが、加圧下で反応を行うこともできる。反応の圧力を調整するために、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いてもよい。また、この反応は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。この反応は、連続式反応器、半連続式反応器、回分式反応器のいずれのいずれを用いて行ってもよい。この反応時間は特に限定されるものではないが、通常30分~24時間である。
工程(d)で得られた有機リチウム化合物(8)を含む溶液を、そのまま、例えば、後述するような共役ジエン化合物の重合に使用してもよく、この溶液から公知の手段によって有機リチウム化合物(8)を取り出した後、公知の手段によって洗浄および精製を行ってもよい。有機リチウム化合物(8)を含む溶液を、例えば、共役ジエン化合物の重合に使用することが好ましい。前記溶液中の有機リチウム化合物(8)の濃度は、好ましくは0.01~10mol/L、より好ましくは0.1~1mol/Lである。
<共役ジエン化合物の重合>
本発明は、上述のようにして有機リチウム化合物(8)を製造する工程、および有機リチウム化合物(8)の存在下で、共役ジエン化合物を重合させる工程を含む共役ジエン系重合体の製造方法も提供する。この重合は、有機リチウム化合物(8)を重合開始剤として用いるアニオン重合であり、当業者であれば、その条件を適宜設定して行うことができる。
共役ジエン化合物は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。共役ジエン化合物は、好ましくは1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエンおよび1,3-ヘキサジエンからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは1,3-ブタジエンおよびイソプレンからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、さらに好ましくは1,3-ブタジエンである。共役ジエン化合物の使用量は、有機リチウム化合物(8)1モルに対して、好ましくは10~50,000モル、より好ましくは150~30,000モルである。
共役ジエン化合物の重合では、共役ジエン化合物とは異なる他の単量体を使用してもよい。他の単量体は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。他の単量体としては、例えば、芳香族ビニル化合物が挙げられる。芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられる。他の単量体は、好ましくはスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼンおよびジビニルナフタレンからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはスチレンである。他の単量体を使用する場合、その量は、共役ジエン化合物100モルに対して、好ましくは0.5~50モル、より好ましくは5~40モルである。
共役ジエン化合物の重合では、得られる重合体の特性または重合体から得られる製品の特性(例えば、タイヤの燃費性能)を向上させるために、重合の反応混合物中に試薬を添加してもよい。試薬は1種のみでもよく、2種以上でもよい。
試薬としては、例えば、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチル-n-プロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルイソプロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジ(n-プロピル)アミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジイソプロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(n-ブチル-n-プロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジ(n-ブチル)アミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(エチル-n-プロピルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(エチルイソプロピルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(ジ(n-プロピル)アミノ)エチルビニルシラン、ビス(ジイソプロピルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(n-ブチル-n-プロピルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(ジ(n-ブチル)アミノ)エチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)プロピルビニルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)プロピルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)プロピルビニルシラン、ビス(エチル-n-プロピルアミノ)プロピルビニルシラン、ビス(エチルイソプロピルアミノ)プロピルビニルシラン、ビス(ジ(n-プロピル)アミノ)プロピルビニルシラン、ビス(ジイソプロピルアミノ)プロピルビニルシラン、ビス(n-ブチル-n-プロピルアミノ)プロピルビニルシラン、ビス(ジ(n-ブチル)アミノ)プロピルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ブチルビニルシラン、ビス(エチルメチルアミノ)ブチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ブチルビニルシラン、ビス(エチル-n-プロピルアミノ)ブチルビニルシラン、ビス(エチルイソプロピルアミノ)ブチルビニルシラン、ビス(ジ(n-プロピル)アミノ)ブチルビニルシラン、ビス(ジイソプロピルアミノ)ブチルビニルシラン、ビス(n-ブチル-n-プロピルアミノ)ブチルビニルシラン、ビス(ジ(n-ブチル)アミノ)ブチルビニルシラン、N-(2-ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N-(2-ジエチルアミノエチル)アクリルアミド、N-(3-ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド、N-(3-ジエチルアミノプロピル)アクリルアミド、N-(4-ジメチルアミノブチル)アクリルアミド、N-(4-ジエチルアミノブチル)アクリルアミド、N-(3-ジ(グリシジル)アミノプロピル)アクリルアミド、N-(3-ジ(テトラヒドロフルフリル)アミノプロピル)アクリルアミド、N-(3-モルホリノプロピル)アクリルアミド、N-(2-ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド、N-(2-ジエチルアミノエチル)メタクリルアミド、N-(3-ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、N-(3-ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミド、N-(4-ジメチルアミノブチル)メタクリルアミド、N-(4-ジエチルアミノブチル)メタクリルアミド、N-(3-ジ(グリシジル)アミノプロピル)メタクリルアミド、[3-(ジメチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、[3-(ジエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、[3-(エチルメチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、[3-(ジメチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン、[3-(ジエチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン、[3-(エチルメチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン等の[3-(ジアルキルアミノ)プロピル]トリアルコキシシラン、3-(ジメチルアミノ)プロピル]メチルジメトキシシラン、[3-(ジエチルアミノ)プロピル]メチルジメトキシシラン、[3-(エチルメチルアミノ)プロピル]メチルジメトキシシラン、[3-(ジメチルアミノ)プロピル]エチルジメトキシシラン、[3-(ジエチルアミノ)プロピル]エチルジメトキシシラン、[3-(エチルメチルアミノ)プロピル]エチルジメトキシシラン、[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メチルジエトキシシラン、[3-(ジエチルアミノ)プロピル]メチルジエトキシシラン、[3-(エチルメチルアミノ)プロピル]メチルジエトキシシラン、[3-(ジメチルアミノ)プロピル]エチルジエトキシシラン、[3-(ジエチルアミノ)プロピル]エチルジエトキシシラン、[3-(エチルメチルアミノ)プロピル]エチルジエトキシシラン等の[3-(ジアルキルアミノ)プロピル]アルキルジアルコキシシランが挙げられる。
試薬を使用する場合、その量(2種以上の試薬を使用する場合は、それらの合計量)は、共役ジエン化合物100モルに対して、好ましくは0.01~0.25モル、より好ましくは0.05~0.15モルである。
重合では、溶媒を使用することが好ましい。溶媒は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、デカリン等の脂肪族炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、エチルベンゼン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒等が挙げられる。これらの中でも、脂肪族炭化水素が好ましい。
溶媒の使用量(2種以上の溶媒を併用する場合は、それらの合計量)は、共役ジエン化合物1重量部に対して、好ましくは1~50重量部、より好ましくは3~30重量部である。
添加剤を使用することにより、重合を円滑に進行させることができる。添加剤は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。添加剤としては、例えば、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2,2-ジ(テトラヒドロフリル)プロパン、2-(2-エトキシエトキシ)-2-メチルプロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、テトラメチルエチレンジアミン等が挙げられる。これらの中でも、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、およびテトラメチルエチレンジアミンが好ましく、テトラヒドロフランおよびエチレングリコールジエチルエーテルがより好ましく、テトラヒドロフランがさらに好ましい。添加剤を使用する場合、その量は、有機リチウム化合物(8)1モルに対して、好ましくは0.01~100モル、より好ましくは0.1~10モルである。
重合は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。重合温度は、好ましくは25~100℃、より好ましくは35~90℃である。重合時間は特に限定されるものではないが、通常30分~24時間である。
得られた重合体を含む溶液に、失活剤を添加して、重合を停止させることが好ましい。失活剤は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。失活剤としては、例えば、メタノール、イソプロピルアルコール、1-ブタノールなどのアルコール、および水が挙げられる。失活剤を使用する場合、その量は、有機リチウム化合物(8)1モルに対して、好ましくは1~100モル、より好ましくは1.1~10モルである。
得られた重合体を含む溶液から、公知の方法(例えば、減圧乾燥)によって溶媒等を除去することによって、重合体を取り出すことができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、各化合物の含有量、収率および転化率はプロトン核磁気共鳴(H NMR)スペクトル分析および重量測定より算出した。また、後述の実施例で得られた共重合体および加硫シートの物性評価は次の方法で行った。
1.共重合体のムーニー粘度(ML1+4)
JIS K6300(1994)に従って、100℃にて共重合体のムーニー粘度を測定した。
2.共重合体のビニル結合量
赤外分光分析法により、ビニル基の吸収ピークである910cm-1付近の吸収強度より共重合体のビニル結合量(モル%)を求めた。
3.共重合体のスチレン単位の含量
JIS K6383(1995)に従って、屈折率から共重合体のスチレン単位の含量(重量%)を求めた。
4.加硫シートのtanδ(70℃)およびtanδ(0℃)
加硫シートから幅1mmおよび長さ40mmの短冊状の試験片を打ち抜き、試験に供した。測定は、粘弾性測定装置(上島製作所社製)によって、歪み1%および周波数10Hzの条件下で、温度70℃での試験片の損失正接(tanδ(70℃))および温度0℃での試験片の損失正接(tanδ(0℃))を測定した。tanδ(70℃)が小さいほど、省燃費性に優れ、tanδ(0℃)が大きいほど、グリップ性に優れる。
実施例1:工程(a)および(b)
還流冷却器、熱電対および攪拌機を備えた反応器に、3-クロロ-N,N-ジメチルプロピルアミン塩酸塩161.3g(1モル)、ヨウ化ナトリウム302.8g(2モル)、水18g(1モル)およびシクロヘキサン(3-クロロ-N,N-ジメチルプロピルアミン塩酸塩1重量部に対して5重量部)を添加し、反応器内に窒素を導入して、その内部を窒素雰囲気とした。次いで混合物を撹拌しながら、反応器内の温度を80℃に昇温し、同温度で混合物を3時間撹拌しながら、還流した。
次いで、混合物を撹拌しながら、反応器内の温度を0~10℃に冷却し、1.24Mの水酸化ナトリウム水溶液806mL(水酸化ナトリウム1モル)を添加して、混合物中で沈殿成分が無くなるまで(0.5時間程度)、混合物を撹拌した後、水相と有機相とを分離し、有機相として3-ヨード-N,N-ジメチルプロピルアミンのシクロヘキサン溶液980.2gを得た。該溶液中の3-ヨード-N,N-ジメチルプロピルアミンの含有量は20.6重量%、収率は95.0%であった。
実施例2:工程(a)および(b)
還流冷却器、熱電対および攪拌機を備えた反応器に、3-クロロ-N,N-ジメチルプロピルアミン塩酸塩161.3g(1モル)、ヨウ化ナトリウム302.8g(2モル)、水36g(2モル)およびシクロヘキサン(3-クロロ-N,N-ジメチルプロピルアミン塩酸塩1重量部に対して5重量部)を添加し、反応器内に窒素を導入して、その内部を窒素雰囲気とした。次いで混合物を撹拌しながら、反応器内の温度を80℃に昇温し、同温度で混合物を3時間撹拌しながら、還流した。
次いで、混合物を撹拌しながら、反応器内の温度を0~10℃に冷却し、1.24Mの水酸化ナトリウム水溶液806mL(水酸化ナトリウム1モル)を添加して、混合物中で沈殿成分が無くなるまで(0.5時間程度)、混合物を撹拌した後、水相と有機相とを分離し、有機相として3-ヨード-N,N-ジメチルプロピルアミンのシクロヘキサン溶液983.3gを得た。該溶液中の3-ヨード-N,N-ジメチルプロピルアミンの含有量は21.3重量%、収率は99.8%であった。
実施例3:工程(a)および(b)
還流冷却器、熱電対および攪拌機を備えた反応器に、3-クロロ-N,N-ジメチルプロピルアミン塩酸塩161.3g(1モル)、ヨウ化ナトリウム302.8g(2モル)、水90g(5モル)およびシクロヘキサン(3-クロロ-N,N-ジメチルプロピルアミン塩酸塩1重量部に対して5重量部)を添加し、反応器内に窒素を導入して、その内部を窒素雰囲気とした。次いで混合物を撹拌しながら、反応器内の温度を80℃に昇温し、同温度で混合物を3時間撹拌しながら、還流した。
次いで、混合物を撹拌しながら、反応器内の温度を0~10℃に冷却し、1.24Mの水酸化ナトリウム水溶液806mL(水酸化ナトリウム1モル)を添加して、混合物中で沈殿成分が無くなるまで(0.5時間程度)、混合物を撹拌した後、水相と有機相とを分離し、有機相として3-ヨード-N,N-ジメチルプロピルアミンのシクロヘキサン溶液972.6gを得た。該溶液中の3-ヨード-N,N-ジメチルプロピルアミンの含有量は18.0重量%、収率は82.0%であった。
実施例4:工程(a)および(b)
還流冷却器、熱電対および攪拌機を備えた反応器に、3-クロロ-N,N-ジメチルプロピルアミン塩酸塩161.3g(1モル)、ヨウ化ナトリウム302.8g(2モル)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン114.0g(1モル)およびヘキサン(3-クロロ-N,N-ジメチルプロピルアミン塩酸塩1重量部に対して5重量部)を添加し、反応器内に窒素を導入して、その内部を窒素雰囲気下とした。次いで混合物を撹拌しながら、反応器内の温度を80℃に昇温し、同温度で混合物を5時間撹拌しながら、還流した。
次いで、混合物を撹拌しながら、反応器内の温度を0~10℃に冷却し、1.24Mの水酸化ナトリウム水溶液806mL(水酸化ナトリウム1モル)を添加して、混合物中で沈殿成分が無くなるまで(0.5時間程度)、混合物を撹拌した後、水相と有機相とを分離し、有機相として、3-ヨード-N,N-ジメチルプロピルアミンのヘキサン溶液863.3gを得た。該溶液中の3-ヨード-N,N-ジメチルプロピルアミンの含有量は22.5重量%、収率は91.0%であった。
実施例5:工程(a)および(b)
還流冷却器、熱電対および攪拌機を備えた反応器に、3-クロロ-N,N-ジメチルプロピルアミン塩酸塩161.3g(1モル)、ヨウ化ナトリウム302.8g(2モル)、水36g(2モル)およびヘキサン(3-クロロ-N,N-ジメチルプロピルアミン塩酸塩1重量部に対して5重量部)を添加し、反応器内に窒素を導入して、その内部を窒素雰囲気下とした。次いで混合物を撹拌しながら、反応器内の温度を80℃に昇温し、同温度で混合物を5時間撹拌しながら、還流した。
次いで、混合物を撹拌しながら、反応器内の温度を0~10℃に冷却し、1.24Mの水酸化ナトリウム水溶液806mL(水酸化ナトリウム1モル)を添加して、混合物中で沈殿成分が無くなるまで(0.5時間程度)、混合物を撹拌した後、水相と有機相とを分離し、有機相として、3-ヨード-N,N-ジメチルプロピルアミンのヘキサン溶液882.3gを得た。該溶液中の3-ヨード-N,N-ジメチルプロピルアミンの含有量は22.5重量%、収率は93.0%であった。
実施例6:工程(c)および(d)
熱電対および攪拌機を備えた反応器に、実施例5と同様にして得られた3-ヨード-N,N-ジメチルプロピルアミンのヘキサン溶液882.3g(22.5重量%、0.93モル)を添加後、反応器内に窒素を導入して、その内部を窒素雰囲気下とした。次いで前記ヘキサン溶液を撹拌しながら、反応器内の温度を-78℃に冷却後、反応器内の温度を-78℃~-60℃に維持しながら、sec-ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液(1.0M、0.93モル)を5時間かけて滴下して、反応を行った。
次いで、窒素雰囲気下で-20℃で反応混合物をろ過した後、得られた残渣(即ち、工程(c)の目的物である有機リチウム化合物(6)を含む混合物)を、45℃でシクロヘキサン(有機リチウム化合物(6)1重量部に対するシクロヘキサンの量:35重量部)と混合および撹拌し、得られた混合物の不溶成分をろ過で除去し、得られたろ液を、還流冷却器、熱電対および攪拌機を備えた反応器に移送した。次いでろ液を撹拌しながら、内部を窒素雰囲気下にした反応器内の温度を45℃に昇温後、イソプレン129.4g(1.9モル)を滴下し、反応器内の温度を65℃に昇温して、1時間混合物を撹拌した後、イソプレンが付加した有機リチウム化合物(即ち、化合物(8))の溶液2780gを得た。該溶液中のイソプレンが付加した有機リチウム化合物の含有量は5.9質量%、イソプレン転化率は100%であった。
実施例7:工程(c)および(d)
熱電対および攪拌機を備えた反応器に、実施例5で得られた3-ヨード-N,N-ジメチルプロピルアミンのヘキサン溶液882.3g(22.5重量%、0.93モル)を添加後、反応器内に窒素を導入して、その内部を窒素雰囲気下とした。次いで前記ヘキサン溶液を撹拌しながら、反応器内の温度を-78℃に冷却後、反応器内の温度を-78℃~-60℃に維持しながら、sec-ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液(1.0M、0.93モル)を5時間かけて滴下して、反応を行った。
次いで、窒素雰囲気下で-20℃で反応混合物をろ過した後、得られた残渣(即ち、工程(c)の目的物である有機リチウム化合物(6)を含む混合物)を、25℃でテトラヒドロフランおよびシクロヘキサンの混合溶媒(混合溶媒中のテトラヒドロフラン濃度:20重量%、有機リチウム化合物(6)1重量部に対するシクロヘキサンの量:17重量部、有機リチウム化合物(6)1モルに対するテトラヒドロフランの量:5モル)と混合および撹拌し、得られた混合物の不溶成分をろ過で除去し、得られたろ液を、還流冷却器、熱電対および攪拌機を備えた反応器に移送した。次いでろ液を撹拌しながら、内部を窒素雰囲気下にした反応器内の温度を25℃に昇温後、イソプレン129.4g(1.9モル)を滴下し、反応器内の温度を25℃に保持して、30分間混合物を撹拌した後、イソプレンが付加した有機リチウム化合物(即ち、化合物(8))の溶液2040gを得た。該溶液中のイソプレンが付加した有機リチウム化合物の含有量は10.5質量%、イソプレン転化率は100%であった。
H NMRスペクトル分析の結果から、イソプレンが付加した有機リチウム化合物1分子あたりのイソプレンの付加数(即ち、式(8)中のn)は、2.2であった。
実施例7で得られた有機リチウム化合物(8)の残存物の量を以下のようにして測定した。詳しくは、以下の装置および条件によって有機リチウム化合物(8)をガスクロマトグラフィーで分析して得られたガスクロマトグラフにおける、シクロヘキサン、テトラヒドロフランおよび分析用試薬(クロロトリメチルシラン)のピーク面積を除くピークの全面積(即ち、有機リチウム化合物(8)のピーク面積および炭素-リチウム結合を有さない残存物のピーク面積の合計)に対する炭素-リチウム結合を有さない残存物のピーク面積の割合(面積%)を算出した。この分析試料として、有機リチウム化合物(8)1モルに対して、クロロトリメチルシラン1.2モルを反応させた溶液を用いた。
・ガスクロマトグラフィー
(1)装置:Agilent Technologies 7890A GC/5975C MSD システム
(2)分離カラム:Agilent J&W社製 DB5MS,長さ30m,内径0.25mm,膜圧0.25μm
(3)カラム温度プログラム:40℃(2分間保持)-昇温速度10℃/分-300℃(30分間保持)
(4)キャリアガス:ヘリウム1.0mL/min(constant flow mode)
(5)気化室温度:300℃
(6)注入モード:スプリット,スプリット比100:1
(7)注入量:1μL
・ガスクロマトグラフ質量分析
(8)インターフェイス温度:300℃
(9)測定モード:スキャン(m/z 11~m/z 700)
上述のようにして測定した、実施例7で得られた有機リチウム化合物(8)のガスクロマトグラフにおける炭素-リチウム結合を有さない残存物のピーク面積の割合は、有機リチウム化合物(8)のピーク面積および前記残存物のピーク面積の合計に対して、5.1面積%であった。
実施例8:共役ジエン化合物の重合および加硫シートの製造
内容積20Lのステンレス製重合反応器内を洗浄、乾燥し、乾燥窒素で置換し、その中へ、工業用ヘキサン(密度680kg/m)10.2kg、1,3-ブタジエン608g、スチレン192g、テトラヒドロフラン6.1mL、エチレングリコールジエチルエーテル4.36mLを投入した。次に、実施例7で得られた有機リチウム化合物14.29mmolを含有する溶液85.5mLを30℃で迅速に投入し、その温度で重合を開始した。
撹拌速度を130rpm、重合反応器内温度を65℃とし、さらに1,3-ブタジエンを365g/時間で2.5時間、スチレンを144g/時間で2時間かけて重合反応容器内に連続的に供給し、重合を合計3時間行った。1,3-ブタジエンの全供給量は912g、スチレンの全供給量は288gであった。途中、重合開始25分後に、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン1.83gを含むヘキサン溶液20mLを重合反応器内に迅速に投入した。
次に、得られた重合反応溶液を130rpmの撹拌速度で撹拌し、65℃でN-(3-ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド14.29mmolを添加し、その温度で15分間撹拌した。重合反応溶液に、65℃でメタノール0.87mLを含むヘキサン溶液20mLを加えて、さらにその温度で重合反応溶液を30分間撹拌した。
次に、得られた重合反応溶液に、酸化防止剤として2-tert-ブチル-6-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート(住友化学社製、商品名:スミライザーGM)8.0g、およびペンタエリスリチルテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)(住友化学社製、商品名:スミライザーTP-D)4.0gを加え、次に、重合体溶液を常温で24時間放置して、溶媒を蒸発させ、さらに55℃で12時間減圧乾燥し、スチレン-1,3-ブタジエン共重合体(即ち、スチレン-ブタジエンゴム)を得た。上述のようにして測定した、共重合体のムーニー粘度、ビニル結合量およびスチレン単位の含量の評価結果を表1に示す。
得られた共重合体100重量部、シリカ(デグッサ社製、商品名:ウルトラシルVN3-G)78.4重量部、シランカップリング剤(デグッサ社製、商品名:Si69)6.4重量部、カーボンブラック(三菱化学社製、商品名:ダイヤブラックN339)6.4重量部、伸展油(ジャパンエナジー社製、商品名:JOMOプロセスNC-140)47.6重量部、老化防止剤(住友化学社製、商品名:アンチゲン3C)1.5重量部、ステアリン酸2重量部、亜鉛華2重量部、加硫促進剤(住友化学社製、商品名:ソクシノールCZ)1重量部、加硫促進剤(住友化学社製、商品名:ソクシノールD)1重量部、ワックス(大内新興化学工業社製、商品名:サンノックN)1.5重量部、硫黄1.4重量部、加工助剤(Schill&Seilacher社製、商品名:ストラクトール EF 44)を1重量部をラボプラストミルにて混練して、共重合体の組成物を調製した。得られた共重合体の組成物を6インチロールでシートに成形し、該シートを160℃で55分加熱して加硫させ、加硫シートを調製した。上述のようにして測定した、加硫シートの評価結果を表1に示す。
比較例1:共役ジエン化合物の重合および加硫シートの製造
市販の有機リチウム化合物(8)溶液(FMC製「AI-200CE2(シクロヘキサン溶液)」、式(8)中のAおよびAがメチル基であり、Zが-(CH-であり、Qがイソプレンに由来する構成単位であり、nが2である有機リチウム化合物(8)を含む溶液)を用いて、実施例8と同様にして、共役ジエン化合物の重合および加硫シートの製造を行った。但し、重合における有機リチウム化合物(8)の使用量を15.50mmolとした。また、実施例7と同様にして測定した、前記市販の有機リチウム化合物(8)のガスクロマトグラフにおける炭素-リチウム結合を有さない残存物のピーク面積の割合は、有機リチウム化合物(8)のピーク面積および前記残存物のピーク面積の合計に対して、9.1面積%であった。加硫シートの評価結果を表1に示す。
Figure 0007096686000007
実施例8で得られた加硫物(加硫シート)は、省燃費性およびグリップ性に優れている。そのため、この加硫物はタイヤ製造に好適に用いられる。
本発明によれば、金属リチウムを使用せずに、工業的に有利な条件でアミノ基を有する有機リチウム化合物を製造することができる。このようにして得られたアミノ基を有する有機リチウム化合物は、例えば、重合開始剤として有用である。

Claims (8)

  1. 式(1)で表される塩と式(2)で表されるヨウ化アルカリ金属とを反応させて、式(3)で表される塩を得る工程(a)、
    式(3)で表される塩と塩基とを反応させて、式(4)で表される化合物を得る工程(b)、
    式(4)で表される化合物と式(5)で表される有機リチウム化合物とを反応させて、式(6)で表される有機リチウム化合物を得る工程(c)、および
    式(6)で表される有機リチウム化合物と式(7)で表されるジエン化合物とを反応させて、式(8)で表される有機リチウム化合物を得る工程(d)を含む、式(8)で表される有機リチウム化合物の製造方法。
    Figure 0007096686000008
    (式中、
    およびAは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、置換基を有していてもよいシリル基または置換基を有していてもよいシロキシ基を表すか、或いはAおよびAが結合し、それらに隣接する窒素原子と共に、置換基を有していてもよい含窒素複素環基を形成する。
    Zは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基を表す。
    Xは、塩素原子または臭素原子を表す。
    HBは、酸を表す。
    Mは、アルカリ金属原子を表す。
    Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
    は、ジエン化合物を表す。
    は、Qに由来する構成単位を表す。
    nは、1~20を表す。)
  2. 工程(a)において、炭化水素溶媒中、式(1)で表される塩1モルに対して0.5~5モルの極性溶媒の存在下で、式(1)で表される塩と式(2)で表されるヨウ化アルカリ金属とを反応させる請求項1に記載の方法。
  3. 式(3)で表される塩と塩基とを反応させて、式(4)で表される化合物を得る工程(b)、
    式(4)で表される化合物と式(5)で表される有機リチウム化合物とを反応させて、式(6)で表される有機リチウム化合物を得る工程(c)、および
    式(6)で表される有機リチウム化合物と式(7)で表されるジエン化合物とを反応させて、式(8)で表される有機リチウム化合物を得る工程(d)を含む、式(8)で表される有機リチウム化合物の製造方法。
    Figure 0007096686000009
    (式中、
    およびAは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、置換基を有していてもよいシリル基または置換基を有していてもよいシロキシ基を表すか、或いはAおよびAが結合し、それらに隣接する窒素原子と共に、置換基を有していてもよい含窒素複素環基を形成する。
    Zは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基を表す。
    HBは、酸を表す。
    Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
    は、ジエン化合物を表す。
    は、Qに由来する構成単位を表す。
    nは、1~20を表す。)
  4. 式(4)で表される化合物と式(5)で表される有機リチウム化合物とを反応させて、式(6)で表される有機リチウム化合物を得る工程(c)、および
    式(6)で表される有機リチウム化合物と式(7)で表されるジエン化合物とを反応させて、式(8)で表される有機リチウム化合物を得る工程(d):
    を含む、式(8)で表される有機リチウム化合物の製造方法。
    Figure 0007096686000010
    (式中、
    およびAは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、置換基を有していてもよいシリル基または置換基を有していてもよいシロキシ基を表すか、或いはAおよびAが結合し、それらに隣接する窒素原子と共に、置換基を有していてもよい含窒素複素環基を形成する。
    Zは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基を表す。
    Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
    は、ジエン化合物を表す。
    は、Qに由来する構成単位を表す。
    nは、1~20を表す。)
  5. 請求項1~のいずれか一項に記載の方法により式(8)で表される有機リチウム化合物を製造する工程、および
    式(8)で表される有機リチウム化合物の存在下で、共役ジエン化合物を重合させる工程
    を含む共役ジエン系重合体の製造方法。
  6. 炭化水素溶媒中、式(1)で表される塩1モルに対して0.5~5モルの極性溶媒の存在下で、式(1)で表される塩と式(2)で表されるヨウ化アルカリ金属とを反応させて、式(3)で表される塩を得る工程(a)、および
    式(3)で表される塩と塩基とを反応させて、式(4)で表される化合物を得る工程(b)
    を含む、式(4)で表される化合物の製造方法。
    Figure 0007096686000011
    (式中、
    およびAは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、置換基を有していてもよいシリル基または置換基を有していてもよいシロキシ基を表すか、或いはAおよびAが結合し、それらに隣接する窒素原子と共に、置換基を有していてもよい含窒素複素環基を形成する。
    Zは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基を表す。
    Xは、塩素原子または臭素原子を表す。
    HBは、酸を表す。
    Mは、アルカリ金属原子を表す。)
  7. 炭化水素溶媒中、式(1)で表される塩1モルに対して0.5~5モルの極性溶媒の存在下で、式(1)で表される塩と式(2)で表されるヨウ化アルカリ金属とを反応させて、式(3)で表される塩を得る工程(a)を含む、式(3)で表される塩の製造方法。
    Figure 0007096686000012
    (式中、
    およびAは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、置換基を有していてもよいシリル基または置換基を有していてもよいシロキシ基を表すか、或いはAおよびAが結合し、それらに隣接する窒素原子と共に、置換基を有していてもよい含窒素複素環基を形成する。
    Zは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基を表す。
    Xは、塩素原子または臭素原子を表す。
    HBは、酸を表す。
    Mは、アルカリ金属原子を表す。)
  8. 炭化水素溶媒の量が、式(1)で表される塩1重量部に対して、0.5~25重量部である請求項2、またはに記載の方法。
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