JP7094095B2 - 光学ガラス、プリフォーム及び光学素子 - Google Patents

光学ガラス、プリフォーム及び光学素子 Download PDF

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Description

本発明は、光学ガラス、プリフォーム及び光学素子に関する。
近年、車載カメラ等の車載用光学機器に組み込まれる光学素子や、プロジェクタ、コピー機、レーザプリンタ及び放送用機材等のような多くの熱を発生する光学機器に組み込まれる光学素子では、より高温の環境での使用が増えている。このような高温の環境では、光学系を構成する光学素子の使用時の温度が大きく変動し易く、その温度が100℃以上に達する場合も多い。このとき、温度変動による光学系の結像特性等への悪影響が無視出来ないほど大きくなるため、温度変動によっても結像特性等に影響が生じ難い光学系を構成することが求められている。
温度変動による結像性能等への影響が生じ難い光学系を構成するにあたっては、温度が上昇したときに屈折率が低くなり、相対屈折率の温度係数がマイナスとなるガラスから構成される光学素子と、温度が高くなったときに屈折率が高くなり、相対屈折率の温度係数がプラスとなるガラスから構成される光学素子を併用することが、温度変化による結像特性等への影響を補正できる点で好ましい。
ここで、相対屈折率の温度係数に着目して開発されたガラスとしては、例えば特許文献1~2に代表されるようなガラス組成物が知られている。
特開2012-232874号公報 特開2007-106611号公報
このうち、特許文献1に記載されたガラスは、いわゆるホウ酸ビスマス系ガラスであり、ビスマスとホウ酸を併用することで相対屈折率の温度係数を高めることを目的とするものである。
また、特許文献2に記載されたガラスは、相対屈折率の温度係数を下げることを目的とするものであるが、高屈折率をもたらす成分を多く含んだガラスであり、他方で、高屈折率をもたらす成分を多く含んだガラスにおいて、相対屈折率の温度係数が低いガラスは得られていない。加えて、得られたガラスは、低分散な硝材である。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、相対屈折率の温度係数が低い値をとり、温度変化による結像特性への影響の補正に寄与できる高分散である光学ガラスと、これを用いたプリフォーム及び光学素子を得ることにある。
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意試験研究を重ねた結果、BaO成分とTiO成分を併用し、多量に含有させることで、高分散でありながらも相対屈折率の温度係数が低い値をとるガラスが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) 質量%で、
SiO成分を5.0~35.0%、
成分を0超~30.0%、
TiO成分を5.0~30.0%、
BaO成分を20.0~60.0%を含有し、
相対屈折率(589.29nm)の温度係数(40~60℃)が+3.0×10-6~-10.0×10-6(℃-1)の範囲内にある光学ガラス。
(2) 質量比ZrO/(B+La)が0.16未満であることを特徴とする(1)記載の光学ガラス。
(3) 1.75以上の屈折率(n)を有し、25以上38以下のアッベ数(ν)を有する(1)又は(2)記載の光学ガラス。
(4) (1)から(3)のいずれか記載の光学ガラスからなるプリフォーム。
(5) (1)から(3)のいずれか記載の光学ガラスからなる光学素子。
(6) (5)に記載の光学素子を備える光学機器。
本発明によれば、相対屈折率の温度係数が低い値をとり、温度変化による結像特性への影響の補正に寄与できる光学ガラスと、これを用いたプリフォーム及び光学素子を得ることができる。
本願の実施例のガラスについての屈折率(n)とアッベ数(ν)の関係を示す図である。
本発明の光学ガラスは、質量%で、SiO成分を5.0%以上35.0%以下、B成分を0%超30.0%以下、TiO成分を5.0%以上30.0%以下、BaO成分を20.0%以上60.0%以下含有し、相対屈折率(589.29nm)の温度係数(40~60℃)が+3.0×10-6~-10.0×10-6(℃-1)の範囲内にある。BaO成分を多く含有することで、相対屈折率の温度係数が低い値をとるガラスが得られる。また、TiO成分を多量に含有させることによって、高分散ガラスを得られる。
そのため、相対屈折率の温度係数が低い値をとり、温度変化による結像特性への影響の補正に寄与できる高分散な光学ガラスと、これを用いたプリフォーム及び光学素子を得ることができる。
以下、本発明の光学ガラスの実施形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所について、適宜説明を省略する場合があるが、発明の趣旨を限定するものではない。
[ガラス成分]
本発明の光学ガラスを構成する各成分の組成範囲を以下に述べる。本明細書中において、各成分の含有量は、特に断りがない場合、全て酸化物換算組成の全質量に対する質量%で表示されるものとする。ここで、「酸化物換算組成」は、本発明のガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物等が熔融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の総質量数を100質量%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
<必須成分、任意成分について>
SiO成分は、ガラス形成酸化物として必須の成分である。特に、SiO成分を5.0%以上含有することで、熔融ガラスの粘度を高められ、ガラスの着色を低減できる。また、ガラスの安定性を高めて量産に耐えるガラスを得易くできる。従って、SiO成分の含有量は、好ましくは5.0%以上、より好ましくは6.0%以上、さらに好ましくは7.0%以上、さらに好ましくは8.0%以上、さらに好ましくは9.0%超とする。
他方で、SiO成分の含有量を35.0%以下にすることで、相対屈折率の温度係数を小さくでき、ガラス転移点の上昇を抑えられ、且つ屈折率の低下を抑えられる。従って、SiO成分の含有量は、好ましくは35.0%以下、より好ましくは30.0%以下、さらに好ましくは25.0%未満、さらに好ましくは23.0%未満、さらに好ましくは20.0%未満、さらに好ましくは18.0%未満とする。
成分は、ガラス形成酸化物として必須の成分である。特に、B成分を0%超含有することで、ガラスの耐失透性を高めることで量産に耐えるガラスを得易くできる。従って、B成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは1.0%以上、さらに好ましくは3.0%以上、さらに好ましくは5.0%以上、さらに好ましくは6.0%超とする。
他方で、B成分の含有量を30.0%以下にすることで、より大きな屈折率を得易くでき、相対屈折率の温度係数を小さくでき、且つ化学的耐久性の悪化を抑えられる。従って、B成分の含有量は、好ましくは30.0%以下、より好ましくは25.0%以下、さらに好ましくは20.0%以下、さらに好ましくは18.0%以下、さらに好ましくは15.0%未満とする。
TiO成分は、5.0%以上含有する場合に、ガラスの屈折率を高め、アッベ数を低くでき、安定なガラスを得易くでき、且つ材料コストを低減できる必須成分である。従って、TiO成分の含有量は、好ましくは5.0%以上、より好ましくは6.0%以上、さらに好ましくは8.0%超、さらに好ましくは10.0%超、さらに好ましくは12.0%超とする。
他方で、TiO成分の含有量を30.0%以下にすることで、相対屈折率の温度係数を小さくでき、TiO成分の過剰な含有による失透を低減でき、ガラスの可視光(特に波長500nm以下)に対する透過率の低下を抑えられる。従って、TiO成分の含有量は、好ましくは30.0%以下、より好ましくは27.0%未満、さらに好ましくは25.0%未満、さらに好ましくは22.0%未満、さらに好ましくは20.0%未満とする。
BaO成分は、ガラス原料の熔融性を高められ、ガラスの失透を低減でき、屈折率を高められ、相対屈折率の温度係数を小さくできる必須成分である。また、高屈折率をもたらす成分の中では材料コストが低く、熔解し易い成分である。従って、BaO成分の含有量は、好ましくは20.0%以上、より好ましくは22.0%以上、さらに好ましくは25.0%以上、さらに好ましくは27.0%以上、さらに好ましくは30.0%超、さらに好ましくは31.5%超とする。
他方で、BaO成分の含有量を60.0%以下にすることで、過剰な含有によるガラスの屈折率の低下や、比重の増加を防ぐことができるとともに、失透を低減できる。従って、BaO成分の含有量は、好ましくは60.0%以下、より好ましくは58.0%以下、さらに好ましくは55.0%以下、さらに好ましくは53.0%以下、さらに好ましくは50.0%未満とする。
MgO成分、SrO成分及びCaO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率や熔融性、耐失透性を調整できる任意成分である。
他方で、MgO成分、SrO成分及びCaO成分の含有量を10.0%以下にすることで、屈折率の低下を抑えることができ、且つこれらの成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、MgO成分、SrO成分及びCaO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは7.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは2.0%未満としてもよい。
Gd成分は、0%超含有する場合に、屈折率を高められる任意成分である。
他方で、Gd成分の含有量を20.0%以下にすることで、ガラスの安定性を高めることで失透を低減でき、アッベ数の上昇を抑えられる。また、比重が大きくなることを防ぐことができ、ガラス原料の熔解性を高められる。従って、Gd成分の含有量は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは15.0%未満、さらに好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは1.0%未満としてもよい。特に材料コストを低減させる観点では、Gd成分は含有しなくてもよい。
La成分は、0%超含有する場合に、ガラスの安定性を高められ、屈折率を高められる任意成分である。従って、Laの含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは1.0%超、さらに好ましくは2.0%超、さらに好ましくは5.0%超としてもよい。
他方で、La成分の含有量を30.0%以下にすることで、ガラスの安定性を高めることで失透を低減でき、アッベ数の上昇を抑えられる。また、ガラス原料の熔解性を高められる。従って、La成分の含有量は、好ましくは30.0%以下、より好ましくは25.0%未満、さらに好ましくは23.0%未満、さらに好ましくは20.0%未満としてもよい。特に、コストを低減させるという観点では、La成分の含有量を10.0%未満とすることが好ましく、より好ましくは8.0%未満とする。
成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高めながらも、他の希土類元素に比べてガラスの材料コストを抑えられ、またガラスの比重を小さくできる任意成分である。従って、Y成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは1.0%超、さらに好ましくは2.0%超としてもよい。
他方で、Y成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの屈折率の低下を抑えられ、ガラスのアッベ数の上昇を抑えられ、且つガラスの安定性を高められる。また、ガラス原料の熔解性の悪化を抑えられる。従って、Y成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満としてもよい。
Yb成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められる任意成分である。他方で、Yb成分は希土類の中でも原料価格が高く、その含有量が多いと生産コストが高くなる。また、Yb成分の含有を低減させることで、ガラスのアッベ数の上昇を抑えられる。従って、Yb成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは6.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満としてもよい。また、Yb成分は含有しなくてもよい。
ZrO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められ、且つ失透を低減できる任意成分である。従って、ZrO成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは0.5%超、さらに好ましくは1.0%超としてもよい。
他方で、ZrO成分の含有量を10.0%以下にすることで、相対屈折率の温度係数を小さくでき、ZrO成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、ZrO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは2.0%未満としてもよい。
ZnO成分は、0%超含有する場合に、原料の熔解性を高め、熔解したガラスからの脱泡を促進し、また、ガラスの安定性を高められる任意成分である。また、ガラス転移点を低くできる成分でもある。
他方で、ZnO成分の含有量を5.0%未満にすることで、相対屈折率の温度係数を小さくでき、熱による膨張を低減でき、屈折率の低下を抑えられ、且つ、過剰な粘性の低下による失透を低減できる。従って、ZnO成分の含有量は、好ましくは5.0%未満、より好ましくは4.0%未満、さらに好ましくは2.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満としてもよい。また、ZnO成分は含有しなくてもよい。
Nb成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高め、アッベ数を低くでき、且つガラスの液相温度を低くすることで耐失透性を高められる任意成分である。従って、Nb成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは2.0%超、さらに好ましくは4.0%超としてもよい。
他方で、Nb成分の含有量を20.0%以下にすることで、ガラスの材料コストを低減でき、相対屈折率の温度係数を小さくでき、Nb成分の過剰な含有による失透を低減でき、且つ、ガラスの可視光(特に波長500nm以下)に対する透過率の低下を抑えられる。従って、Nb成分の含有量は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは18.0%以下、さらに好ましくは15.0%以下、さらに好ましくは13.0%未満、さらに好ましくは10.0%未満としてもよい。
WO成分は、0%超含有する場合に、高屈折率をもたらす他の成分によるガラスの着色を低減しながら、屈折率を高め、アッベ数を低くでき、ガラス転移点を低くでき、且つ失透を低減できる任意成分である。
他方で、WO成分の含有量を10.0%以下にすることで、相対屈折率の温度係数を小さくでき、且つ材料コストを抑えられる。また、WO成分によるガラスの着色を低減して可視光透過率を高められる。従って、WO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満としてもよい。また、特に比重を小さくするという観点では、WO成分は含有しなくてもよい。
Ta成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められ、且つ耐失透性を高められる任意成分である。
他方で、Ta成分の含有量を10.0%以下にすることで、光学ガラスの原料コストを低減でき、また、原料の熔解温度が低くなり、原料の熔解に要するエネルギーが低減されるため、光学ガラスの製造コストも低減できる。また、比重を小さくすることができる。従って、Ta成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは7.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは2.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満としてもよい。特に、材料コストを低減させる観点では、Ta成分を含有しないことが最も好ましい。
LiO成分、NaO成分及びKO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの熔融性を改善でき、ガラス転移点を低くできる任意成分である。特に、NaO成分及びKO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの相対屈折率の温度係数をより小さくできる成分でもある。従って、LiO成分、NaO成分及びKO成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは2.0%超、さらに好ましくは4.0%超としてもよい。
他方で、LiO成分、NaO成分及びKO成分の含有量を低減させることで、ガラスの屈折率を低下し難くし、且つガラスの失透を低減できる。従って、LiO成分、NaO成分及びKO成分の含有量は、それぞれ好ましくは15.0%以下、より好ましくは13.0%以下、さらに好ましくは10.0%以下、さらに好ましくは9.0%未満としてもよい。
成分は、0%超含有する場合に、ガラスの液相温度を下げて耐失透性を高められる任意成分である。
他方で、P成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの化学的耐久性、特に耐水性の低下を抑えられる。従って、P成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満としてもよく、P成分を含まなくてもよい。
GeO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められ、且つ耐失透性を向上できる任意成分である。
しかしながら、GeOは原料価格が高く、その含有量が多いと生産コストが高くなる。従って、GeO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満としてもよい。
Al成分及びGa成分は、0%超含有する場合に、熔融ガラスの耐失透性を向上できる任意成分である。
他方で、Al成分の含有量を10.0%以下にし、又はGa成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの液相温度を下げて耐失透性を高められる。従って、Al成分及びGa成分の含有量は、それぞれ好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満としてもよい。
Bi成分は、0%超含有する場合に、屈折率を高められ、アッベ数を低くでき、且つガラス転移点を下げられる任意成分である。
他方で、Bi成分の含有量を10.0%以下にすることで、過剰な比重の上昇を抑えることができる。従って、Bi成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満としてもよい。
TeO成分は、0%超含有する場合に、屈折率を高められ、且つガラス転移点を下げられる任意成分である。
他方で、TeOは白金製の坩堝や、熔融ガラスと接する部分が白金で形成されている熔融槽でガラス原料を熔融する際、白金と合金化しうる問題がある。従って、TeO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満としてもよい。
SnO成分は、0%超含有する場合に、熔融ガラスの酸化を低減して清澄し、且つガラスの可視光透過率を高められる任意成分である。
他方で、SnO成分の含有量を3.0%以下にすることで、熔融ガラスの還元によるガラスの着色や、ガラスの失透を低減できる。また、SnO成分と熔解設備(特にPt等の貴金属)の合金化が低減されるため、熔解設備の長寿命化を図れる。従って、SnO成分の含有量は、好ましくは3.0%以下、より好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.1%未満としてもよい。
Sb成分は、0%超含有する場合に、熔融ガラスを脱泡できる任意成分である。
他方で、Sb成分の含有量を1.0%以下にすることで、可視光領域の短波長領域における透過率の低下や、ガラスのソラリゼーション、内部品質の低下を抑えられる。従って、Sb成分の含有量は、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.2%未満としてもよい。
なお、ガラスを清澄し脱泡する成分は、上記のSb成分に限定されるものではなく、ガラス製造の分野における公知の清澄剤、脱泡剤或いはそれらの組み合わせを用いることができる。
F成分は、0%超含有する場合に、ガラスのアッベ数を高め、ガラス転移点を低くし、且つ耐失透性を向上できる任意成分である。
しかし、F成分の含有量、すなわち上述した各金属元素の1種又は2種以上の酸化物の一部又は全部と置換した弗化物のFとしての合計量が10.0%を超えると、F成分の揮発量が多くなるため、安定した光学恒数が得られ難くなり、均質なガラスが得られ難くなる。また、アッベ数が必要以上に上昇する。
従って、F成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満としてもよい。
成分及びLa成分の合計含有量に対する、ZrO成分の含有量の比率(質量比)は、0.16未満が好ましい。これにより、高屈折率で且つ安定なガラスを得易くできる。従って、質量比ZrO/(B+La)は、好ましくは0.16未満、より好ましくは0.15未満、さらに好ましくは0.13未満、さらに好ましくは0.12未満とする。
NaO成分及びKO成分の合計含有量は、0%超含有する場合に、ガラスの相対屈折率の温度係数をより小さくすることができる。従って、質量和(NaO+KO)は、好ましくは0%超、より好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは1.0%以上とする。
他方で、NaO成分及びKO成分の合計含有量を20.0%以下とすることで、過剰な屈折率の低下およびアッベ数の上昇を抑制することができる。従って、質量和(NaO+KO)は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは15.0%以下、さらに好ましくは10.0%未満とする。
BaO成分、NaO成分及びKO成分の合計含有量は、25.0%超含有する場合に、ガラスの相対屈折率の温度係数をより小さくすることができる。従って、質量和(BaO+NaO+KO)は、好ましくは25.0%超、より好ましくは30.0%超、より好ましくは35.0%超、さらに好ましくは38.0%超とする。
他方で、BaO成分、NaO成分及びKO成分の合計含有量を70.0%以下とすることで、過剰な屈折率の低下を抑制することができる。従って、質量和(BaO+NaO+KO)は、好ましくは70.0%以下、より好ましくは65.0%以下、さらに好ましくは60.0%以下、さらに好ましくは55.0%未満とする。
TiO成分及びBaO成分の合計含有量は、30.0%以上含有する場合に、ガラスの相対屈折率の温度係数を小さくしつつ、高分散な硝材を得ることができる。従って、質量和(TiO+BaO)は、好ましくは30.0%以上、より好ましくは35.0%以上、さらに好ましくは40.0%以上、さらに好ましくは45.0%超とする。
他方で、TiO成分及びBaO成分の合計含有量を80.0%以下とすることで、ガラスの安定性を高め、量産に耐えるガラスを得易くすることができる。従って、質量和(TiO+BaO)は、好ましくは80.0%以下、より好ましくは75.0%以下、さらに好ましくは70.0%未満とする。
SiOに対する、TiO成分の含有量の比率(質量比)は、2.00未満が好ましい。これにより、ガラスの安定性を高めて、量産に耐えるガラスを得易くすることができる。従って、質量比(TiO/SiO)は、好ましくは2.00未満、より好ましくは1.90未満、さらに好ましくは1.89未満とする。
他方で、質量比(TiO/SiO)は、0.80以上が好ましい。これにより、高屈折率且つ高分散な硝材を得ることができる。従って、質量比(TiO/SiO)は、好ましくは0.80以上、より好ましくは0.85以上、さらに好ましくは1.00超を下限とする。
TiO成分及びNb成分の合計含有量は、7.0%以上含有する場合に、高分散な硝材を得ることができる。従って、質量和(TiO+Nb)は、好ましくは7.0%以上、より好ましくは10.0%以上、さらに好ましくは13.0%以上とする。
他方で、質量和(TiO+Nb)は、35.0%以下が好ましい。これにより、TiO成分及びNb成分の過剰添加による失透性の悪化を抑制することができる。従って、質量和(TiO+Nb)は、好ましくは35.0%以下、より好ましくは33.0%以下、より好ましくは30.0%以下、さらに好ましくは28.0%未満とする。
La成分及びNb成分の合計含有量は、0%超以上含有する場合に、高屈折率な硝材を得ることができる。従って、質量和(La+Nb)は、好ましくは0%超、より好ましくは0.3%超、さらに好ましくは5.0%超とする。
他方で、質量和(La+Nb)は、35.0%以下が好ましい。これにより、材料コストを低減することができる。従って、質量和(La+Nb)は、好ましくは35.0%以下、より好ましくは30.0%以下、さらに好ましくは25.0%以下とする。
Laに対する、BaO成分の含有量の比率(質量比)は、10.0以下とした場合に、高屈折率な硝材を得ることができる。従って、質量比(BaO/La)は、好ましくは10.0以下、より好ましくは9.0以下、さらに好ましくは8.5以下とする。
他方で、質量比(BaO/La)は、0超とすることで、相対屈折率の温度係数を小さくすることができる。従って、質量比(BaO/La)は、好ましくは0超、より好ましくは0.50超、より好ましくは1.00超、さらに好ましくは1.50超とする。
SiO成分及びBの合計含有量に対する、BaO成分の含有量の比率(質量比)は、3.00未満が好ましい。これにより、ガラスの耐失透性を高めることで、量産に耐えるガラスを得易くすることができる。従って、質量比BaO/(SiO+B)は、好ましくは3.00未満、より好ましくは2.80未満、さらに好ましくは2.40未満とする。
他方で、質量比BaO/(SiO+B)は、0.50超とすることで、相対屈折率の温度係数を小さくすることができる。従って、質量比BaO/(SiO+B)は、好ましくは0.50超、より好ましくは0.80超、より好ましくは1.00超、さらに好ましくは1.30超とする。
La成分及びB成分の合計含有量は、5.0%以上含有する場合に、高屈折でかつ安定性の高い硝材を得易くすることができる。従って、質量和(La+B)は、好ましくは5.0%以上、より好ましくは8.0%以上、さらに好ましくは10.0%以上とする。
他方で、質量和(La+B)は、38.0%以下が好ましい。これにより、相対屈折率の温度係数の上昇を抑制することができる。従って、質量和(La+B)は、好ましくは38.0%以下、より好ましくは35.0%以下、さらに好ましくは30.0%以下とする。
SiO、B及びLa成分の合計含有量は、10.0%以上含有する場合に、高屈折でかつ安定性の高い硝材を得ることができる。従って、質量和(SiO+B+La)は、好ましくは10.0%以上、より好ましくは15.0%以上、より好ましくは20.0%以上とする。
他方で、質量和(SiO+B+La)は、50.0%以下が好ましい。これにより、相対屈折率の温度係数の大幅な上昇を抑制することができる。従って、質量和(SiO+B+La)は、好ましくは50.0%以下、より好ましくは45.0%以下、さらに好ましくは43.0%以下とする。特に、相対屈折率の温度係数の低い硝材を得るという観点では、30.0%未満が好ましい。
SiOに対する、BaO成分の含有量の比率(質量比)は、5.50未満が好ましい。これにより、ガラスの安定性を高め、量産に耐えるガラスを得易くすることができる。従って、質量比(BaO/SiO)は、好ましくは5.50未満、より好ましくは5.00未満、さらに好ましくは4.90未満、さらに好ましくは4.80未満とする。
他方で、質量比(BaO/SiO)は、1.50以上が好ましい。これにより、相対屈折率の温度係数の低い硝材を得ることができる。従って、質量比(BaO/SiO)は、好ましくは1.50以上、より好ましくは1.80以上、さらに好ましくは2.00以上を下限とする。
TiOに対する、BaO成分の含有量の比率(質量比)は、3.80未満が好ましい。これにより、高分散な硝材を得ることができる。従って、質量比(BaO/TiO)は、好ましくは3.80未満、より好ましくは3.50未満、さらに好ましくは3.10未満とする。
他方で、質量比(BaO/TiO)は、1.40以上が好ましい。これにより、相対屈折率の温度係数を低くすることができる。従って、質量比(BaO/TiO)は、好ましくは1.40以上、より好ましくは1.50以上、さらに好ましくは1.60以上を下限とする。
RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)の含有量の和(質量和)は、20.0%以上が好ましい。これにより、ガラスの失透を低減でき、且つ、相対屈折率の温度係数を小さくできる。従って、RO成分の質量和は、好ましくは20.0%以上、より好ましくは25.0%以上、さらに好ましくは27.0%以上、さらに好ましくは30.0%超とする。
他方で、RO成分の質量和を60.0%以下にすることで、屈折率の低下を抑えられ、また、ガラスの安定性を高められる。従って、RO成分の質量和は、好ましくは60.0%以下、より好ましくは57.0%以下、さらに好ましくは55.0%以下、さらに好ましくは52.0%以下、さらに好ましくは50.0%未満とする。
RnO成分(式中、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)の含有量の和(質量和)は、20.0%以下が好ましい。これにより、熔融ガラスの粘性の低下を抑えられ、ガラスの屈折率を低下し難くでき、且つガラスの失透を低減できる。従って、RnO成分の質量和は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは18.0%以下、さらに好ましくは15.0%以下、さらに好ましくは13.0%以下、さらに好ましくは10.0%未満とする。
希土類成分、すなわちLn成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Ybからなる群より選択される1種以上)の含有量の和(質量和)は、60.0%以下が好ましい。これにより、ガラスの液相温度が低くなるため、ガラスの失透を低減できる。また、ガラスの材料コストの上昇を抑えられ、アッベ数の必要以上の上昇を抑えられる。従って、Ln成分の質量和は、好ましくは60.0%以下、より好ましくは50.0%以下、好ましくは40.0%以下、さらに好ましくは30.0%以下、さらに好ましくは23.0%未満とする。
他方で、0%超含有する場合に、屈折率の低下を抑えることができる。従って、Ln成分の質量和は、好ましくは0%超、より好ましくは3.0%超、さらに好ましくは5.0%超を下限としてもよい。
<含有すべきでない成分について>
次に、本発明の光学ガラスに含有すべきでない成分、及び含有することが好ましくない成分について説明する。
他の成分を本願発明のガラスの特性を損なわない範囲で必要に応じ、添加することができる。ただし、Ti、Zr、Nb、W、La、Gd、Y、Yb、Luを除く、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag及びMo等の各遷移金属成分は、それぞれを単独又は複合して少量含有した場合でもガラスが着色し、可視域の特定の波長に吸収を生じる性質があるため、特に可視領域の波長を使用する光学ガラスにおいては、実質的に含まないことが好ましい。
また、PbO等の鉛化合物及びAs等の砒素化合物は、環境負荷が高い成分であるため、実質的に含有しないこと、すなわち、不可避な混入を除いて一切含有しないことが望ましい。
さらに、Th、Cd、Tl、Os、Be、及びSeの各成分は、近年有害な化学物資として使用を控える傾向にあり、ガラスの製造工程のみならず、加工工程、及び製品化後の処分に至るまで環境対策上の措置が必要とされる。従って、環境上の影響を重視する場合には、これらを実質的に含有しないことが好ましい。
[製造方法]
本発明の光学ガラスは、例えば以下のように作製される。すなわち、上記各成分の原料として、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、弗化物、メタ燐酸化合物等の通常の光学ガラスに使用される高純度原料を、各成分が所定の含有量の範囲内になるように均一に混合し、作製した混合物を白金坩堝に投入し、ガラス原料の熔解難易度に応じて電気炉で1000~1500℃の温度範囲で1~10時間熔解させて攪拌均質化した後、適当な温度に下げてから金型に鋳込み、徐冷することにより作製される。
<物性>
本発明の光学ガラスは、高屈折率及び低アッベ数(高分散)を有することが好ましい。
特に、本発明の光学ガラスの屈折率(n)は、好ましくは1.75、より好ましくは1.76、さらに好ましくは1.77、さらに好ましくは1.78を下限とする。この屈折率(n)は、好ましくは2.10、より好ましくは2.00、さらに好ましくは1.90、さらに好ましくは1.86を上限としてもよい。また、本発明の光学ガラスのアッベ数(ν)は、好ましくは25、より好ましくは26、さらに好ましくは28、さらに好ましくは29を下限とする。このアッベ数(ν)は、好ましくは38、より好ましくは37、さらに好ましくは36、さらに好ましくは35を上限とする。
このような高屈折率を有することで、光学素子の薄型化を図っても大きな光の屈折量を得ることができる。また、このような高分散を有することで、単レンズとして用いたときに光の波長によって焦点を適切にずらすことができる。そのため、例えば低分散(高いアッベ数)を有する光学素子と組み合わせて光学系を構成した場合に、その光学系の全体として収差を低減させて高い結像特性等を図ることができる。
このように、本発明の光学ガラスは、光学設計上有用であり、特に光学系を構成したときに、高い結像特性等を図りながらも、光学系の小型化を図ることができ、光学設計の自由度を広げることができる。
ここで、本発明の光学ガラスは、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が、(-0.01×ν+2.07)≦n≦(-0.01×ν+2.18)の関係を満たすことが好ましい。本発明で特定される組成のガラスでは、屈折率(n)及びアッベ数(ν)がこの関係を満たすものであっても、安定なガラスを得られる。
従って、本発明の光学ガラスでは、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が、n≧(-0.01×ν+2.07)の関係を満たすことが好ましく、n≧(-0.01×ν+2.09)の関係を満たすことがより好ましい。
他方で、本発明の光学ガラスでは、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が、n≦(-0.01×ν+2.18)の関係を満たすことが好ましく、n≦(-0.01×ν+2.16)の関係を満たすことがより好ましい。
本発明の光学ガラスは、可視光透過率、特に可視光のうち短波長側の光の透過率が高く、それにより着色が少ないことが好ましい。
特に、本発明の光学ガラスは、ガラスの透過率で表すと、厚み10mmのサンプルで分光透過率80%を示す波長(λ80)は、好ましくは500nm、より好ましくは490nm、さらに好ましくは480nmを上限とする。
また、本発明の光学ガラスにおける、厚み10mmのサンプルで分光透過率5%を示す最も短い波長(λ)は、好ましくは400nm、より好ましくは380nm、さらに好ましくは365nmを上限とする。
これらにより、ガラスの吸収端が紫外領域又はその近傍になり、可視光に対するガラスの透明性が高められるため、この光学ガラスを、レンズ等の光を透過させる光学素子に好ましく用いることができる。
本発明の光学ガラスは、680℃以下のガラス転移点(Tg)を有することが好ましい。光学ガラスが680℃以下のガラス転移点を有することで、ガラスがより低い温度で軟化するため、光学ガラスをプレス成形に用いた場合であっても、より低い温度でガラスをプレス成形し易くできる。従って、本発明の光学ガラスのガラス転移点は、好ましくは680℃以下、より好ましくは670℃以下、さらに好ましくは660℃以下とする。
本発明の光学ガラスは、730℃以下の屈伏点(At)を有することが好ましい。屈伏点は、ガラス転移点と同様にガラスの軟化性を示す指標の一つであり、プレス成形温度に近い温度を示す指標である。そのため、屈伏点が730℃以下のガラスを用いることにより、より低い温度でのプレス成形が可能になるため、より容易にプレス成形を行うことができる。従って、本発明の光学ガラスの屈伏点は、好ましくは730℃、より好ましくは710℃、最も好ましくは700℃を上限とする。なお、本発明の光学ガラスの屈伏点は、好ましくは150℃、より好ましくは250℃、さらに好ましくは350℃を下限としてもよい。
本発明の光学ガラスは、-30~+70℃における平均線熱膨張係数αが75(10-7-1)以上であることが好ましい。すなわち、本発明の光学ガラスの-30~+70℃℃における平均線熱膨張係数αは、好ましくは75(10-7-1)以上、より好ましくは80(10-7-1)以上、より好ましくは85(10-7-1)以上を下限とする。
一般的に、平均線熱膨張係数αが大きいとガラスを加工する際に割れが生じやすくなるため、平均線熱膨張係数αの値は小さいほうが望ましい。一方で、相対屈折率の温度係数が低く、かつ平均線熱膨張係数αの値が大きい硝材と組み合わせて接合する観点においては、当該硝材と平均線熱膨張係数αの値が同一又は近似であることが望ましい。
このうち、1.75以上の屈折率(n)を有し、かつ25以上38以下のアッベ数(ν)を有するガラスでは、平均線熱膨張係数αが大きい硝材が少なく、低屈折率低分散硝材と組み合わせて使用する場合に、本発明のように平均線熱膨張係数αが大きい値を有する方が有用である。
本発明の光学ガラスは、比重が小さいことが好ましい。より具体的には、本発明の光学ガラスの比重は5.00以下である。これにより、光学素子やそれを用いた光学機器の質量が低減されるため、光学機器の軽量化に寄与することができる。従って、本発明の光学ガラスの比重は、好ましくは5.00、より好ましくは4.70、より好ましくは4.50、さらに好ましくは4.40を上限とする。なお、本発明の光学ガラスの比重は、概ね2.80以上、より詳細には3.00以上、さらに詳細には3.20以上であることが多い。
本発明の光学ガラスの比重は、日本光学硝子工業会規格JOGIS05-1975「光学ガラスの比重の測定方法」に基づいて測定する。
本発明の光学ガラスは、相対屈折率の温度係数(dn/dT)が低い値をとる。
より具体的には、本発明の光学ガラスの相対屈折率の温度係数は、好ましくは+3.0×10-6-1、より好ましくは+2.5×10-6-1、さらに好ましくは+2.0×10-6-1を上限値とし、この上限値又はそれよりも低い(マイナス側)の値をとりうる。
他方で、本発明の光学ガラスの相対屈折率の温度係数は、好ましくは-10.0×10-6-1、より好ましくは-5.0×10-6-1、さらに好ましくは-3.0×10-6-1を下限値とし、この下限値又はそれよりも高い(プラス側)の値をとりうる。
このうち、1.75以上の屈折率(n)を有し、且つ25以上38以下のアッベ数(ν)を有するガラスとして、相対屈折率の温度係数の低いガラスは知られておらず、温度変化による結像のずれ等の補正の選択肢を広げられ、その補正をより容易にできる。したがって、このような範囲の相対屈折率の温度係数にすることで、温度変化による結像のずれ等の補正に寄与することができる。
本発明の光学ガラスの相対屈折率の温度係数は、光学ガラスと同一温度の空気中における、波長589.29nmの光についての屈折率の温度係数のことであり、40℃から60℃に温度を変化させた際の、1℃当たりの変化量(℃-1)で表される。
[プリフォーム及び光学素子]
作製された光学ガラスから、例えば研磨加工の手段、又は、リヒートプレス成形や精密プレス成形等のモールドプレス成形の手段を用いて、ガラス成形体を作製することができる。すなわち、光学ガラスに対して研削及び研磨等の機械加工を行ってガラス成形体を作製したり、光学ガラスからモールドプレス成形用のプリフォームを作製し、このプリフォームに対してリヒートプレス成形を行った後で研磨加工を行ってガラス成形体を作製したり、研磨加工を行って作製したプリフォームや、公知の浮上成形等により成形されたプリフォームに対して精密プレス成形を行ってガラス成形体を作製したりすることができる。なお、ガラス成形体を作製する手段は、これらの手段に限定されない。
このように、本発明の光学ガラスは、様々な光学素子及び光学設計に有用である。その中でも特に、本発明の光学ガラスからプリフォームを形成し、このプリフォームを用いてリヒートプレス成形や精密プレス成形等を行い、レンズやプリズム等の光学素子を作製することが好ましい。これにより、径の大きなプリフォームの形成が可能になるため、光学素子の大型化を図りながらも、光学機器に用いたときに高精細で高精度な結像特性及び投影特性を実現できる。
本発明の光学ガラスからなるガラス成形体は、例えばレンズ、プリズム、ミラー等の光学素子の用途に用いることができ、典型的には車載用光学機器やプロジェクタやコピー機等の、高温になり易い機器に用いることができる。
本発明の実施例(No.1~No.25)及び比較例(No.A)の組成、並びに、これらのガラスの屈折率(n)、アッベ数(ν)、透過率(λ80、λ)ガラス転移点、屈伏点、平均線熱膨張係数(-30~+70℃)、相対屈折率の温度係数(dn/dT)の結果を表1~表4に示す。なお、以下の実施例はあくまで例示の目的であり、これらの実施例にのみ限定されるものではない。
本発明の実施例及び比較例のガラスは、いずれも各成分の原料として各々相当する酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、弗化物、メタ燐酸化合物等の通常の光学ガラスに使用される高純度原料を選定し、表に示した各実施例の組成の割合になるように秤量して均一に混合した後、白金坩堝に投入し、ガラス原料の熔解難易度に応じて電気炉で1000~1500℃の温度範囲で1~10時間熔解させた後、攪拌均質化してから金型等に鋳込み、徐冷して作製した。
実施例及び比較例のガラスの屈折率(n)及びアッベ数(ν)は、ヘリウムランプのd線(587.56nm)に対する測定値で示した。また、アッベ数(ν)は、上記d線の屈折率と、水素ランプのF線(486.13nm)に対する屈折率(n)、C線(656.27nm)に対する屈折率(n)の値を用いて、アッベ数(ν)=[(n-1)/(n-n)]の式から算出した。
実施例のガラスの透過率は、日本光学硝子工業会規格JOGIS02-2003に準じて測定した。なお、本発明においては、ガラスの透過率を測定することで、ガラスの着色の有無と程度を求めた。具体的には、厚さ10±0.1mmの対面平行研磨品をJISZ8722に準じ、200~800nmの分光透過率を測定し、λ(透過率5%時の波長)、λ80(透過率80%時の波長)を求めた。
また、実施例及び比較例のガラスのガラス転移点(Tg)、屈伏点(At)及び平均線熱膨張係数(-30~+70℃)は、日本光学硝子工業会規格JOGIS08-2003「光学ガラスの熱膨張の測定方法」に従い、温度と試料の伸びとの関係を測定することで得られる熱膨張曲線より求めた。
実施例及び比較例のガラスの比重は、日本光学硝子工業会規格JOGIS05-1975「光学ガラスの比重の測定方法」に基づいて測定した。
実施例及び比較例のガラスの相対屈折率の温度係数(dn/dT)は、日本光学硝子工業会規格JOGIS18-2008「光学ガラスの屈折率の温度係数の測定方法」に記載された方法のうち干渉法により、波長589.29nmの光についての、40℃から60℃に温度を変化させた際における、相対屈折率の温度係数の値を測定した。



Figure 0007094095000001



Figure 0007094095000002



Figure 0007094095000003



Figure 0007094095000004

本発明の実施例の光学ガラスは、BaO成分とTiO成分を併用し、多量に含有させることで、高分散でありながらも相対屈折率の温度係数が低い値をとるガラスが得られることができる。
表に表されるように、実施例の光学ガラスは、いずれも相対屈折率の温度係数が+3.0×10-6~-10.0×10-6(℃-1)の範囲内、より詳細には+2.0×10-6~-3.0×10-6(℃-1)の範囲内にあり、所望の範囲内であった。他方で、比較例(No.A)のガラスは、相対屈折率の温度係数が+7.2×10-6(℃-1)であるため、相対屈折率の温度係数が高いものである。
また、実施例の光学ガラスは、いずれも屈折率(n)が1.75以上であり、所望の範囲内であった。また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもアッベ数(ν)が25以上38以下の範囲内にあり、所望の範囲内であった。
また、実施例の光学ガラスは、-30~+70℃における平均線熱膨張係数αが80(10-7-1)以上であった。
また、実施例の光学ガラスは、λ80(透過率80%時の波長)がいずれも500nm以下、より詳細には480nm以下であった。また、本発明の実施例の光学ガラスは、λ(透過率5%時の波長)がいずれも400nm以下、より詳細には365nm以下であった。
また、実施例の光学ガラスは、ガラス転移点(Tg)が660℃以下であった。
また、実施例の光学ガラスは、屈伏点(At)が700℃以下であった。
また、実施例の光学ガラスは、比重が5.00以下であった。
従って、実施例の光学ガラスは、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が所望の範囲内にあり、相対屈折率の温度係数が低い値をとることができることが明らかになった。このことから、本発明の実施例の光学ガラスは、高温の環境で用いられる車載用光学機器やプロジェクタ等の光学系の小型化に寄与し、温度変化による結像特性のずれ等の補正に寄与することが推察される。
さらに、本発明の実施例の光学ガラスを用いて、ガラスブロックを形成し、このガラスブロックに対して研削及び研磨を行い、レンズ及びプリズムの形状に加工した。その結果、安定に様々なレンズ及びプリズムの形状に加工することができた。
以上、本発明を例示の目的で詳細に説明したが、本実施例はあくまで例示の目的のみであって、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく多くの改変を当業者により成し得ることが理解されよう。

Claims (6)

  1. 質量%で、
    SiO2成分を9.0%超~16.83%
    23成分を6.0%超~15.0%未満
    TiO2成分を12.0%超~20.0%未満
    BaO成分を31.5%超~47.81%、
    La 2 3 成分を17.90%以下
    含有し、
    Mnを実質的に含まず、
    相対屈折率(589.29nm)の温度係数(40~60℃)が+3.0×10-6~-10.0×10-6(℃-1)の範囲内にある光学ガラス。
  2. 質量比ZrO2/(B23+La23)が0.16未満であることを特徴とする請求項1記載の光学ガラス。
  3. 1.75以上の屈折率(n)を有し、25以上38以下のアッベ数(ν)を有する請求項1又は2記載の光学ガラス。
  4. 請求項1から3のいずれか記載の光学ガラスからなるプリフォーム。
  5. 請求項1から3のいずれか記載の光学ガラスからなる光学素子。
  6. 請求項5に記載の光学素子を備える光学機器。
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