JP7091157B2 - インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に関する。
近年、インクジェット記録装置は、オフィス印刷や商業印刷分野での利用が増加しつつある。そして、インクジェット記録装置に対しては、記録速度のさらなる高速化と、記録される画像の光学濃度の向上が要求されている。記録速度を向上させるには、従来のシリアル方式の記録ヘッドを利用して行うマルチパス記録方法よりも、ライン型の記録ヘッド(ラインヘッド)を使用し、いわゆる1パスで画像を記録するインクジェット記録方法が有利である。また、画像の光学濃度は、顔料の凝集性を高めることで向上させることができる。
しかし、顔料の凝集性を高めると、インクの吐出安定性が低下するなど、システム面での信頼性を得にくくなる傾向にある。また、ラインヘッドは、装置の構成上、あるノズルからの吐出が休止している期間や、吐出頻度の低いノズルからの回復処理を行いにくいといった特性がある。特に、吐出頻度の低いノズルがあっても、インクの増粘による吐出性の低下を予防するための予備吐出動作を行いにくい場合がある。
一方、ラインヘッドを使用して1パスで画像を記録する場合、ノズルごとの吐出量の違いが画質に影響を及ぼしやすいため、インクの吐出安定性をこれまで以上に向上させる必要がある。例えば、ノズル内での異物の滞留を抑制すべく、吐出口近傍でインクを流動させる機構を備えたプリントヘッドが提案されている(特許文献1)。
特開2007-118611号公報
本発明者らは、記録速度のさらなる高速化及び画像の光学濃度の向上を目的とし、特許文献1で提案された、吐出口近傍でインクを流動させる機構を採用したラインヘッドを使用し、1パスで画像を記録することについて検討した。その結果、顔料の凝集性を高めたインクを用いた場合であっても、吐出安定性が向上しうることがわかった。但し、短期的には吐出安定性が向上するものの、長期間にわたって画像を記録した場合には、吐出量の減少や不吐出などが発生しやすくなることも判明した。
したがって、本発明の目的は、光学濃度の高い画像を記録することができるとともに、長期間にわたって画像を記録した後にもインクの吐出安定性に優れたインクジェット記録方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、このインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することにある。
すなわち、本発明によれば、インクを吐出する吐出口と、前記インクを吐出するためのエネルギーを発生する吐出素子と、前記吐出口と前記吐出素子の間で連通してその内部に前記インクが流通する第1流路及び第2流路と、を具備する記録ヘッドから前記インクを吐出して画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記吐出口から前記インクを吐出する吐出工程と、前記吐出工程とは別の、前記第1流路内の前記インクを前記第2流路へと流動させる流動工程と、を有し、前記インクが、顔料の粒子表面に直接又は他の原子団を介してアニオン性基が結合した自己分散顔料、及びノニオン性界面活性剤を含有する水性インクであり、前記自己分散顔料の表面電荷量が、0.40mmol/g以下であることを特徴とするインクジェット記録方法が提供される。
本発明によれば、光学濃度の高い画像を記録することができるとともに、長期間にわたって画像を記録した後にもインクの吐出安定性に優れたインクジェット記録方法を提供することができる。また、本発明によれば、このインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することができる。
記録ヘッドの一例を示す模式図である。 記録ヘッド内におけるインクの流動状態を説明する模式図である。 ラインヘッドの一例を示す斜視図である。 吐出素子基板の断面を示す斜視図である。 インクジェット記録装置の主要部を示す斜視図である。 インクの供給系を示す模式図である。 吐出口近傍におけるインクの流動状態を説明する模式図である。 ラインヘッドの一例を部分的に示す断面図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。第1流路及び第2流路を、まとめて「流路」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値である。
<インクジェット記録方法、インクジェット記録装置>
本発明のインクジェット記録装置は、インクを吐出する吐出口と、インクを吐出するためのエネルギーを発生する吐出素子と、吐出口と吐出素子の間で連通してその内部にインクが流通する第1流路及び第2流路と、を具備する記録ヘッドを備える。さらに、本発明のインクジェット記録装置は、吐出素子とは別の、第1流路内のインクを第2流路へと流動させる流動手段を備える。また、本発明のインクジェット記録方法は、例えば、上記のインクジェット記録装置を使用し、上記の記録ヘッドからインクを吐出して画像を記録する方法である。すなわち、本発明のインクジェット記録方法は、吐出口からインクを吐出する吐出工程と、吐出工程とは別の、第1流路内のインクを第2流路へと流動させる流動工程と、を有する。
図1は、記録ヘッドの一例を示す模式図である。図1に示す記録ヘッドは、インクを吐出する吐出口1と、インクを吐出するためのエネルギーを発生する吐出素子4と、吐出口1と吐出素子4の間で連通してその内部にインクが流通する第1流路17及び第2流路18と、を備える。インクは、吐出口1と吐出素子4の間を通って、第1流路17から第2流路18(図1中の矢印の方向)へと流動している。インクが流動していないと、吐出口1のメニスカスからの水分蒸発が進行し、これに伴って吐出口1と吐出素子4の間に存在するインクが徐々に増粘する。このため、吐出休止時間が長い場合、次の吐出動作の際に、インクの流体抵抗が増大して吐出しづらくなる場合がある。これに対して、図1中の矢印の方向へとインクが流動していると、メニスカスから水分が蒸発しても、循環流により吐出口1と吐出素子4の間にインクが次々と供給されるので、インクの増粘が抑制され、吐出しづらい状態を生じにくくすることができる。
上記のように、第1流路17内のインクを第2流路18へと流動させる流動工程を、吐出口1からインクを吐出する吐出工程とは別に設けることで、ラインヘッドを用いた場合に特に課題となるインクの吐出安定性を向上させることができる。しかし、上記のような流動工程を設けた場合であっても、光学濃度を向上するために凝集性を高めたインクを搭載して長期間にわたって記録すると、吐出量の減少や不吐出などの現象が生じやすくなるといった新たな課題が発生することが判明した。この現象は、以下に示すメカニズムにより発生すると推測される。
図2は、記録ヘッド内におけるインクの流動状態を説明する模式図である。図2(a)に示すように、使用直後の記録ヘッド内では、第1流路17から第2流路18へとインクが実質的に滞留することなく流動している。しかし、インクを流動させながら記録ヘッドを長期間使用すると、図2(b)に示すように、角部21、22などのインクが滞留しやすい部分にインク中の顔料などの固形成分や水溶性有機溶剤が澱みやすく、インクが増粘する。また、吐出口1のメニスカス近傍のインク滞留部23、24では、乾燥及び滞留によってインクの増粘が進行する。さらに長期間使用すると、角部21、22を起点としてインクの増粘がさらに進行するとともに、インク滞留部23、24から増粘物が流路内へと流れ込む。これを繰り返すことで、インクの流量や吐出量の減少、及びインクの固着などが生じ、インクの不吐出が発生すると考えられる。
本発明者らは、インクの流動工程を設けた記録方法において新たに生じた上記の課題を解決すべく、インクの組成について検討した。その結果、以下に示す組成とすることで、光学濃度の高い画像を記録することができるとともに、長期間にわたって画像を記録した後にもインクの吐出安定性を向上させることが可能となることを見出した。すなわち、本発明のインクジェット記録方法では、顔料の粒子表面に直接又は他の原子団を介してアニオン性基が結合した自己分散顔料、及びノニオン性界面活性剤を含有する水性インクを用いる。そして、自己分散顔料として、表面電荷量が0.40mmol/g以下のものを用いる。このような構成によって上記の課題が解決される理由を、本発明者らは以下のように推測している。
顔料の粒子表面に直接又は他の原子団を介してアニオン性基が結合した自己分散顔料は、アニオン性基が電気二重層を形成し、それによって生ずる静電反発力により水性媒体中で分散する。アニオン性基の近傍にはカウンターイオンとしてのカチオンが存在する。水分が蒸発していない状態のインク中では、カチオン濃度は低く、アニオン性基により形成される電気二重層に影響を及ぼさないため、顔料の分散状態が安定に保たれる。インク中の水分が蒸発などにより減少するとカチオン濃度が高くなるため、電気二重層の圧縮によって静電反発力が消失し、顔料が凝集する。
自己分散顔料の表面電荷量は、顔料の単位質量当たりのアニオン性基の量を示す指標となる物性値である。表面電荷量が低い、すなわち、アニオン性基が少ない自己分散顔料は、その周囲に存在するカチオンも少なく、凝集しにくい傾向にある。これに加えて、アニオン性基が少ない自己分散顔料の粒子表面には、官能基(アニオン性基、他の原子団とアニオン性基が結合した基)により覆われていない部位(疎水部)が存在する。この疎水部には、ノニオン性界面活性剤の疎水部が疎水性相互作用によって吸着しやすい。ノニオン性界面活性剤が吸着した自己分散顔料は、もともとアニオン性基が少なく、凝集しにくいことも相まって、さらに凝集しにくくなるとともに、生成した凝集物も柔らかくなる。
上述のような理由から、表面電荷量が0.40mmol/g以下の自己分散顔料、及びノニオン性界面活性剤を含有するインクとすることで、顔料の凝集性を高め過ぎることなく適度にすることができる。また、顔料の疎水性の粒子表面にノニオン性界面活性剤が吸着することで、角部や滞留部での凝集が緩和されるとともに、凝集物も柔らかくなってインクの増粘及び固着が抑制される。さらに、顔料が適度に凝集することで、記録される画像の光学濃度を高めることができる。
一方、表面電荷量が高い、すなわち、アニオン性基が多い自己分散顔料の周囲には、アニオン性基の対イオンであるカチオンも多く存在する。このため、水分の減少に伴いカチオン濃度が高まった際に、電気二重層が圧縮されやすく、凝集しやすい傾向にある。さらに、アニオン性基が多い自己分散顔料の粒子表面には官能基が密に存在するため、ノニオン性界面活性剤が吸着することもできない。このため、自己分散顔料の表面電荷量が0.40mmol/g超であると、顔料の凝集性が高くなりすぎるとともに、生成した凝集物も柔らかくならないので、画像の光学濃度は向上するが、インクの吐出安定性が不十分になる。
自己分散顔料ではなく、樹脂や界面活性剤などの分散剤により分散された顔料を用いると、顔料の凝集性が低いため、分散剤同士が相互作用してインクが増粘しやすく、流量が低下しやすくなってインクの吐出安定性が不十分になる。さらに、液体成分とともに顔料も記録媒体に沈み込みやすいため、光学濃度を高められない場合もある。また、ノニオン性界面活性剤ではなく、アニオン性などのイオン性界面活性剤を用いても、自己分散顔料のアニオン性基やその周囲に存在するカチオンと相互作用して自己分散顔料の疎水部に吸着できないため、インクの吐出安定性が不十分になる。
図3は、ラインヘッドの一例を示す斜視図である。図3に示すように、ラインヘッド11には、吐出口列が配置された吐出素子基板10が直線状に配列されている。吐出素子基板10には、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラック(CMYK)の各インクに対応する吐出口列が配列されている。
図4は、吐出素子基板の断面を示す斜視図である。図4に示すように、吐出素子基板10は、吐出口1が形成された吐出口形成部材5と、吐出素子(不図示)が配設された基板3とを備える。吐出口形成部材5と基板3が積層されることで、インクが流動する第1流路17及び第2流路18が形成される。第1流路17は、流入路6中のインクが流入する流入口8から、吐出口1と吐出素子の間の部分までの領域である。また、第2流路18は、吐出口1と吐出素子との間の部分から、流出路7へとインクが流出する流出口9までの領域である。例えば、圧力の高い流入口8と圧力の低い流出口9といったように、流入口8と流出口9との間に圧力差を持たせれば、圧力の高い方から低い方へ(図4中の矢印の方向へ)とインクを流動させることができる。流入路6及び流入口8を通ったインクは、第1流路17内に入る。そして、吐出口1と吐出素子との間の部分を通ったインクは、第2流路18及び流出口9を通って、流出路7へと流れる。
第1流路内のインクを第2流路へと流動させる流動工程は、吐出口からインクを吐出する吐出工程とは別の工程(異なる工程)である。また、流動工程における第1流路から第2流路へのインクの流動は、吐出口と吐出素子の間へのインクの充填とは別に行うことが好ましい。流動工程は、吐出口からインクを排出することなく、第1流路内のインクを第2流路へと流動させる工程であることが好ましい。吐出口からのインクの排出には、予備吐出や吸引などの回復動作が含まれる。記録ヘッドの回復動作の際には、第1流路から第2流路へのインクの流動は停止させてもよい。さらに、流動工程では、吐出素子とは別の流動手段によって、第1流路から第2流路へとインクを流動させることが好ましい。
以下、熱エネルギーを発生する吐出素子を利用し、気泡を発生させてインクを吐出するサーマル方式の記録ヘッドを例に挙げて、本発明のインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置のさらなる詳細について説明する。但し、ピエゾ方式の記録ヘッドや、その他の吐出方式が採用された記録ヘッドであっても、本発明のインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に適用することができる。さらに、インク収容部と記録ヘッドの間でインクを循環させる形態を例に挙げて説明するが、それ以外の形態であってもよい。例えば、記録ヘッドの上流側と下流側に2つのインク収容部を設け、一方のインク収容部から他方のインク収容部へとインクを流動させる形態であってもよい。ここでは、CMYKの4色のインクを吐出可能な吐出素子基板が直線状に配列されたラインヘッドを例に挙げて説明するが、4色のインクにそれぞれ対応する吐出素子基板を設けたラインヘッドを用いることもできる。また、ラインヘッド以外の記録ヘッドとして、走査させながら画像を記録するシリアルヘッドを用いることもできる。本発明では、サーマル方式でインクを吐出するラインヘッドを用いることが特に好ましい。
図5は、インクジェット記録装置の主要部を示す斜視図である。図5に示すインクジェット記録装置1000は、記録媒体15を搬送する搬送部16と、記録媒体の搬送方向と直交して配置されるラインヘッド11とを備える。インクジェット記録装置1000は、複数の記録媒体15を連続して、又は間欠的に搬送しながら画像を記録するラインヘッド11を備える。記録媒体15としては、カット紙だけでなくロール紙を用いることもできる。記録媒体としては、どのようなものを用いてもよい。なかでも、普通紙や非コート紙などのコート層を有しない記録媒体、及び、光沢紙やアート紙などのコート層を有する記録媒体のような、浸透性を有する紙を用いることが好ましい。
流動工程では、インクを連続的に流動させる又は間欠的に流動させることが好ましい。以下、インクを連続的に流動させる方法、及びインクを間欠的に流動させる方法の詳細について説明する。まず、図6を参照しつつ、インクを連続的に流動させる方法について説明する。図6は、インクの供給系を示す模式図である。図6に示すラインヘッド11は、第1循環ポンプ(高圧側)1001、第1循環ポンプ(低圧側)1002、バッファタンク1003、及び第2循環ポンプ1004などに接続されている。説明を簡略化するために、図6では1色のインクが流動する経路のみを示しているが、実際にはCMYKの4色分の流動経路がラインヘッド11にそれぞれ設けられている。
インク収容部であるメインタンク1006に接続されるバッファタンク1003は、大気連通口(不図示)を有しており、インク中の気泡を外部に排出することが可能である。バッファタンク1003は、補充ポンプ1005にも接続されている。画像の記録や吸引回復など、吐出口からインクを吐出(排出)することにより、ラインヘッド11でインクが消費される。補充ポンプ1005は、消費量に対応する量のインクをメインタンク1006からバッファタンク1003へと移送する。
第1循環ポンプ(高圧側)1001及び第1循環ポンプ(低圧側)1002は、液体接続部111から流出させたラインヘッド11内のインクを、バッファタンク1003へと流す。第1循環ポンプとしては、定量的な送液能力を有する容積型ポンプを用いることが好ましい。このような容積型ポンプの具体例としては、チューブポンプ、ギアポンプ、ダイヤフラムポンプ、シリンジポンプなどを挙げることができる。吐出ユニット300の駆動時には、第1循環ポンプ(高圧側)1001及び第1循環ポンプ(低圧側)1002によって、共通流入路211及び共通流出路212内にインクを流動させることができる。
負圧制御ユニット230は、相互に異なる制御圧が設定された2つの圧力調整機構を備える。圧力調整機構(高圧側)H及び圧力調整機構(低圧側)Lは、それぞれ、インクから異物を取り除くフィルタ221を設けた供給ユニット220を経由して、吐出ユニット300内の共通流入路211及び共通流出路212に接続されている。吐出ユニット300には、共通流入路211、共通流出路212、並びに吐出素子基板10と連通する流入路6及び流出路7が設けられている。流入路6及び流出路7は、共通流入路211及び共通流出路212と連通しているため、共通流入路211から吐出素子基板10の内部流路を通過して共通流出路212へとインクの一部が流れる流れ(図6中の矢印)が発生する。吐出素子基板10の内部流路におけるインクの流れは、図4中の矢印で示されている。すなわち、図4に示すように、第1流路17内のインクは、吐出口1と吐出素子の間を通って第2流路18へと流動する。
図6に示すように、共通流入路211には圧力調整機構Hが接続されているとともに、共通流出路212には圧力調整機構Lが接続されているため、流入路6と流出路7の間には圧力差が生じている。これにより、流入路6と連通する流入口8(図4)と、流出路7と連通する流出口9(図4)との間にも、圧力差が生じている。流入口と流出口の圧力差によりインクを流動させる場合、インクの流速(mm/s)は、0.1mm/s以上10.0mm/s以下に制御することが好ましい。
本発明のインクジェット記録方法では、記録ヘッドの回復動作中にも、第1流路内のインクを第2流路へと流動させてもよい。記録ヘッドの回復動作中にインクが流動すると、定常的にインクが流動することになる。定常的にインクが流動すると水分が蒸発しやすくなり、循環するインクの濃度が上昇しやすくなる。インクの濃度上昇を抑制すべく、一定時間の経過によりインクに水を加える機構をインクジェット記録装置に設けることが好ましい。さらに、インクの濃度を検出する検出器をインクジェット記録装置に配設し、検知したインクの濃度上昇と連動させてインクに水を加えることが好ましい。
図7は、吐出口近傍におけるインクの流動状態を説明する模式図である。吐出口近傍におけるインクの流動状態は2種類に大別される。1つ目は、図7(a)に示すような、吐出口のメニスカス12の近傍に循環流が生じない流動状態である。2つ目は、図7(b)に示すような、吐出口のメニスカス12の近傍に循環流が生ずる流動状態である。流路内のインクの流速が同等であっても、メニスカス12の近傍におけるインクの流動状態は一定にならない場合がある。インクがいずれの流動状態になるのかは、流路内のインクの流速よりも、吐出口形成部材の厚さ(c)、流路の高さ(d)、及び吐出口の直径(e)に依存すると考えられる。例えば、流路の高さ(d)と吐出口の直径(e)が同等である場合、吐出口形成部材の厚さ(c)が大きいと、図7(b)に示すようにメニスカス12の近傍に循環流が生じやすくなる。
次いで、図8を参照しつつ、インクを間欠的に流動させる方法について説明する。図8は、ラインヘッドの一例を部分的に示す断面図である。図8に示すように、流入口210から流入したインクは、インクの流動手段である循環ポンプ206の作用によって矢印の方向へと流動し、流出口212から流出する。また、循環ポンプ206は、インクを間欠的に流動させることができるポンプである。このため、循環ポンプ206を駆動させることで、吐出口116と吐出素子216の間にインクを間欠的に流動させることができる。インクを間欠的に流動させる場合、インクの流速(m/s)は、1.0m/s以上10.0m/s以下に制御することが好ましい。
<インク>
本発明のインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置で用いるインクは、自己分散顔料、及びノニオン性界面活性剤を含有するインクジェット用の水性インクである。以下、インクを構成する各成分やインクの物性について詳細に説明する。
(自己分散顔料)
インクに含有させる色材は、顔料の粒子表面に直接又は他の原子団を介してアニオン性基が結合した自己分散顔料である。顔料の具体例としては、カーボンブラック、酸化チタンなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、イミダゾロン、ジケトピロロピロール、ジオキサジンなどの有機顔料を挙げることができる。なかでも、カーボンブラックが好ましい。インク中の自己分散顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
アニオン性基としては、-COOM、-SO3M、-PO32などを挙げることができる。Mは、それぞれ独立に、水素原子;アルカリ金属;アンモニウム(NH4);有機アンモニウムを表す。他の原子団(-R-)としては、アルキレン基;アリーレン基;アミド基;スルホニル基;イミノ基;カルボニル基;エステル基;エーテル基;これらの基を組み合わせた基などを挙げることができる。なかでも、-COOM、-C63-(COOM)2が顔料の粒子表面に結合した自己分散顔料が好ましい。特に、顔料の粒子表面にカルボン酸基などのアニオン性基が直接結合している自己分散顔料は、他の原子団を介してアニオン性基が結合している自己分散顔料に比べ、顔料の粒子表面に結合している官能基による立体障害が少ない。このため、ノニオン性界面活性剤が顔料の粒子表面に効率よく吸着することができ、インク流路の澱み部での凝集を抑制する効果が高く、吐出安定性をより向上させることができる。
顔料の粒子表面にカルボン酸基が直接結合した自己分散顔料は、種々の方法により製造される。生産性やコストの観点から、過酸化水素水や次亜塩素酸塩などの酸化剤で顔料を酸化処理する方法や、オゾンガスで顔料を酸化処理する方法などの酸化処理方法によって製造した自己分散顔料を用いることが好ましい。
顔料の粒子表面にカルボン酸基が直接結合しているか否かについては、例えば、以下のようにして確認することができる。自己分散顔料を含有する顔料分散液を密閉容器に入れ、高温環境下で一定期間(例えば、60℃で2週間)保存する。その後、遠心分離処理して自己分散顔料を沈殿させ、上澄み液を分取する。分取した上澄み液をイオンクロマトグラフィーにより分析する。同様にして、保存前の顔料分散液を遠心分離処理し、分取した上澄み液をイオンクロマトグラフィーにより分析する。これらの分析結果から、ギ酸、酢酸、及びシュウ酸などの低分子の有機カルボン酸類が保存により増加しているか否かを確認する。そして、有機カルボン酸類の増加が認められれば、顔料の粒子表面にカルボン酸基が直接結合していると判断することができる。インクから適切な方法により抽出した顔料を用いて確認することも勿論可能である。
自己分散顔料の表面電荷量(mmol/g)は、自己分散顔料が有するアニオン性基の量を表す指標として利用することができる。インクに用いる自己分散顔料の表面電荷量は、0.40mmol/g以下であり、好ましくは0.18mmol/g以上0.30mmol/g以下である。表面電荷量が0.18mmol/g未満であると、顔料の凝集性が弱く、画像の光学濃度を向上させる効果がやや低下することがある。一方、表面電荷量が0.30mmol/gよりも大きいと、顔料の凝集性が強いため、インクの吐出安定性がやや低下することがある。
自己分散顔料の表面電荷量は、コロイド滴定により測定することができる。後述する実施例においては、流動電位滴定ユニット(PCD-500)を搭載した電位差自動滴定装置(商品名「AT-510」、京都電子工業製)を使用し、電位差を利用したコロイド滴定によって顔料分散液中の自己分散顔料の表面電荷量を測定した。より具体的には、顔料分散液を純水で約300倍(質量基準)に希釈した後、必要に応じて水酸化カリウムでpHを約10に調整し、5mmol/Lのメチルグリコールキトサンを滴定試薬として用いて電位差滴定を行った。インクから適切な方法により抽出した顔料を用いて表面電荷量を測定することも勿論可能である。
(ノニオン性界面活性剤)
インクは、ノニオン性界面活性剤を含有する。ノニオン性界面活性剤としては、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの炭化水素系の界面活性剤;パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物などのフッ素系の界面活性剤;ポリエーテル変性シロキサン化合物などのシリコーン系の界面活性剤などを挙げることができる。但し、シロキサン化合物などのシリコーン系の界面活性剤やポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンのブロック共重合体タイプの界面活性剤については、含有量をごく少量(含有量で0.05質量%以下程度)とするか、使用しないことが好ましい。
インク中のノニオン性界面活性剤の含有量(質量%)は、自己分散顔料(質量%)の含有量に対する質量比率で、0.01倍以上0.50倍以下であることが好ましい。上記の質量比率が0.01倍未満であると、ノニオン界面活性剤が自己分散顔料に対して少なすぎるため、吐出安定性の向上効果がやや低下することがある。一方、上記の質量比率が0.50倍以上であると、ノニオン性界面活性剤が自己分散顔料に対して多すぎる。このため、記録媒体へのインクの濡れ性が高まりやすく、顔料の凝集が過度に抑制される場合がある。これにより、自己分散顔料が記録媒体の深さ方向に沈み込みやすく、画像の光学濃度がやや低下することがある。
ノニオン性界面活性剤のグリフィン法により求められるHLB値は、10.0以上であることが好ましく、18.0以下であることがさらに好ましい。グリフィン法によるHLB値は、「HLB値=20×界面活性剤の親水性基の式量/界面活性剤の分子量」の式から算出することができる。グリフィン法により求められるHLB値は、界面活性剤の親水性や親油性の程度を表す物性値であり、0.0乃至20.0の値をとる。HLB値が小さいほど親油性が高く、HLB値が大きいほど親水性が高い。ノニオン性界面活性剤のHLB値が10.0未満であると、吸着した凝集物に対する親水性付与能が低く、増粘したインクを流動させにくくなる場合がある。このため、インクの吐出安定性を十分に向上させづらい場合がある。
ノニオン性界面活性剤は、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0007091157000001
(前記一般式(1)中、x及びyは、それぞれエチレンオキサイド基の付加数を表す)
一般式(1)で表される化合物は、界面、特に顔料の粒子表面に素早く配向する。このため、澱み部やメニスカス部において増粘したインクに対して速やかに配向し、さらなる増粘を有効に抑制することで、インクの吐出安定性をさらに向上させることができる。一般式(1)中、x+yは、1.3以上10.0以下であることが好ましい。x+yが1.3未満であると、吸着した凝集物に対する親水性付与能が低く、増粘したインクを流動させにくくなる場合がある。このため、インクの吐出安定性の向上効果がやや低下することがある。一方、x+yが10.0超であると、親水性が高すぎる場合があり、増粘したインクへの配向が遅くなってインクの吐出安定性の向上効果がやや低下することがある。
(水性媒体)
本発明のインクジェット記録方法で用いるインクは、水性媒体として少なくとも水を含有する水性のインクである。インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。水性インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、水性インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。
(その他添加剤)
インクには、上記成分以外にも必要に応じて、樹脂、消泡剤、その他の界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤など種々の添加剤を含有させてもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<顔料分散液の調製>
(自己分散顔料の表面電荷量)
流動電位滴定ユニット(PCD-500)を搭載した電位差自動滴定装置を使用し、5mmol/Lのメチルグリコールキトサンを滴定試薬として用いた電位差滴定により、顔料分散液中の自己分散顔料の表面電荷量を測定した。電位差自動滴定装置としては、商品名「AT-510」(京都電子工業製)を使用した。
(顔料分散液1~6、15)
カーボンブラック(比表面積220m2/g、DBP吸油量105mL/100g)をイオン交換水に予備分散させた後、表1に示す時間オゾン処理を行った。その後、水酸化カリウムを添加して混合物のpHを7程度に調整しながら、液-液衝突型の分散機を用いて混合物を3時間循環させた後、限外ろ過により精製した。次いで、水酸化カリウム水溶液でpHを10.0に調整し、カーボンブラックの粒子表面に-COOK基が結合した自己分散顔料を得た。適量の水を添加して顔料の含有量を調整し、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液1~6、15を得た。
Figure 0007091157000002
(顔料分散液7~12、16)
水5.5gに濃塩酸5.0gを溶かした溶液を5℃に冷却した状態とし、この状態で表2に示す使用量の4-アミノフタル酸を加えた。この溶液の入った容器をアイスバスに入れ、撹拌して溶液の温度を10℃以下に保持しながら、5℃のイオン交換水9.0gに亜硝酸ナトリウム1.8gを溶かして得た溶液を加えた。15分間撹拌後、カーボンブラック(比表面積220m2/g、DBP吸油量105mL/100g)6.0gを撹拌下で加え、さらに15分間撹拌してスラリーを得た。得られたスラリーをろ紙(商品名「標準用濾紙No.2」、アドバンテック製)でろ過し、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させた。その後、イオン交換法によりナトリウムイオンをカリウムイオンに置換して、カーボンブラックの粒子表面に-C63-(COOK)2基が結合した自己分散顔料を得た。適量の水を添加して顔料の含有量を調整し、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液7~12、16を得た。
Figure 0007091157000003
(顔料分散液13)
酸価160mgKOH/g、重量平均分子量10,000のスチレン-アクリル酸共重合体を10%水酸化カリウム水溶液で中和した。カーボンブラック(比表面積220m2/g、DBP吸油量105mL/100g)10.0部、中和したスチレン-アクリル酸共重合体(固形分)5.0部、及びイオン交換水85.0部を混合して混合物を得た。サンドグラインダーを使用して得られた混合物を1時間分散した後、遠心分離処理して粗大粒子を除去した。さらに、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)で加圧ろ過して、カーボンブラックが樹脂によって水中に分散された状態の顔料分散液13を得た。顔料分散液13中の顔料の含有量は15.0%、樹脂分散剤の含有量は7.5%であった。
(顔料分散液14)
カーボンブラック(比表面積220m2/g、DBP吸油量105mL/100g)15.0部、アニオン性界面活性剤(商品名「パイオニンA-51-B」、有効濃度70%、竹本油脂製)2.0部、及びイオン交換水83.0部を混合して混合物を得た。サンドグラインダーを使用して得られた混合物を1時間分散した後、遠心分離処理して粗大粒子を除去した。さらに、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)で加圧ろ過して、カーボンブラックがアニオン性界面活性剤によって水中に分散された状態の顔料分散液14を得た。顔料分散液14中の顔料の含有量は15.0%、アニオン性界面活性剤の含有量は1.4%であった。
<樹脂の合成>
(ウレタン樹脂1)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、及び還流管を備えた4つ口フラスコを用意した。このフラスコに、イソホロンジイソシアネート32.0部、ヘキサメチレンジイソシアネート24.2部、数平均分子量2,000のポリプロピレングリコール111.2部、ジメチロールプロピオン酸28.7部、及びメチルエチルケトン300.0部を入れた。窒素ガス雰囲気下、80℃で6時間反応させた後、トリメチロールプロパン(架橋剤)3.8部を添加して、イソシアネート基の存在が確認されなくなるまで80℃で反応させた。イソシアネート基の存在は、フーリエ変換型赤外分光光度計(FT-IR)を使用して分析することで確認した。40℃まで冷却した後、イオン交換水を添加して、ホモミキサーで高速撹拌しながら水酸化カリウム水溶液を添加した。加熱減圧下でメチルエチルケトンを留去し、樹脂の含有量が20.00%であるウレタン樹脂1を含む液体を調製した。ウレタン樹脂1の酸価は60mgKOH/g、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した重量平均分子量は35,000であった。
(アクリル樹脂1)
スチレン81.0部、及びアクリル酸19.0部を常法により共重合させて、アクリル樹脂1を合成した。アクリル樹脂1の酸価と等モル量の水酸化カリウムでカルボン酸基を中和し、適量の純水を添加して、樹脂の含有量が20.00%であるアクリル樹脂1を含む液体を調製した。アクリル樹脂1の酸価は148mgKOH/g、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した重量平均分子量は10,000であった。
<界面活性剤の準備>
界面活性剤の特性を表3に示す。表3中、「アセチレノールE100」、「アセチレノールE00」、「アセチレノールE40」、及び「アセチレノールE60」は、いずれも川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤の商品名である。表3中、「NIKKOL BS-4」、「NIKKOL BC-20」、「NIKKOL BL-25」、及び「NIKKOL BO-50」は、いずれも日光ケミカルズ製のノニオン性界面活性剤の商品名である。
Figure 0007091157000004
<インクの調製>
表4-1~4-3の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過して、各インクを調製した。表4-1~4-3の下段には、界面活性剤の含有量S(%)、顔料の含有量P(%)、及びS/Pの値(倍)を示した。
Figure 0007091157000005
Figure 0007091157000006
Figure 0007091157000007
<評価>
図5に示す主要部を有するインクジェット記録装置のインク収容部(不図示)に各インクを充填し、温度25℃、相対湿度50%の環境で、以下に示す各評価を行った。記録ヘッドとしては、図6に示す構成を有するライン型の記録ヘッドを使用した。この記録ヘッドは、1つのノズルにつき、吐出口と吐出素子の間で連通する第1流路及び第2流路を具備し、ポンプを利用して第1流路内のインクを第2流路へと流動させるものである。ノズル列1列当たりのノズル数は1024個、ノズル密度は600dpi、1ノズル当たりのインク吐出量は5ngである。以下の評価では、ノズル列を2列分使用し、1/600インチ×1/600インチの単位領域にインク滴を3滴付与する条件で、15インチ/秒の速度で記録媒体を搬送して画像を記録した。また、記録ヘッド内のインクの温度が40℃となるように加温した。本発明においては、下記の各項目の評価基準で、「AA」、「A」、及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表5に示す。なお、参考例1についてはインクを流動させない条件で評価しようとしたが、インクを正常に吐出させることができなかった。
(光学濃度)
上記のインクジェット記録装置を使用し、流速1.0mm/sでインクを連続的に流動させながら、3cm×2cmのベタ画像を記録媒体(普通紙)に記録した。記録媒体としては、商品名「PB Paper」、「Canon Extra」(以上、キヤノン製);商品名「Bright white」(ヒューレッドパッカード製)を使用した。記録後、温度25℃、相対湿度50%の環境に1日載置して乾燥させた後、反射濃度計(商品名「マクベスRD-918」、グレタグマクベス製)を使用して画像の光学濃度を測定した。3種の記録媒体に記録した画像の光学濃度の平均値を算出し、以下に示す評価基準にしたがって光学濃度を評価した。
AA:光学濃度の平均値が1.40以上であった。
A:光学濃度の平均値が1.35以上1.40未満であった。
B:光学濃度の平均値が1.30以上1.35未満であった。
C:光学濃度の平均値が1.30未満であった。
(吐出安定性)
上記のインクジェット記録装置を使用し、流速1.0mm/sでインクを連続的に流動させながら、ラインヘッドを構成する全てのノズルを用いてA4サイズの記録媒体(普通紙)10枚の全面にベタ画像を連続して記録した。記録媒体としては、商品名「高品位専用紙HR-101S」(キヤノン製)を使用した。画像を記録した後、引き続きインクを流動させながら、記録ヘッドの吐出口面をキャップして1時間記録を休止した。その後、上記と同様の条件で10枚分のベタ画像を記録した。このサイクルを500回繰り返した後、吸引回復操作を行った。各ノズルからのインクの吐出状態を確認し、以下に示す評価基準にしたがって吐出安定性を評価した。
AA:吸引回復操作を1回行うことによって、全ての吐出口から正常にインクが吐出される状態となった。
A:吸引回復操作を1回行った時点では不吐出や吐出よれが生ずる吐出口があったが、吸引回復操作をさらに1回行うことによって、全ての吐出口から正常にインクが吐出される状態となった。
B:吸引回復操作を2回行った時点では不吐出や吐出よれが生ずる吐出口があったが、吸引回復操作をさらに1回行うことによって、全ての吐出口から正常にインクが吐出される状態となった。
C:吸引回復操作を3回行っても、不吐出や吐出よれが生ずる吐出口があった。
Figure 0007091157000008

Claims (19)

  1. インクを吐出する吐出口と、前記インクを吐出するためのエネルギーを発生する吐出素子と、前記吐出口と前記吐出素子の間で連通してその内部に前記インクが流通する第1流路及び第2流路と、を具備する記録ヘッドから前記インクを吐出して画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記吐出口から前記インクを吐出する吐出工程と、
    前記吐出工程とは別の、前記第1流路内の前記インクを前記第2流路へと流動させる流動工程と、を有し、
    前記インクが、顔料の粒子表面に直接又は他の原子団を介してアニオン性基が結合した自己分散顔料、及びノニオン性界面活性剤を含有する水性インクであり、
    前記自己分散顔料の表面電荷量が、0.40mmol/g以下であることを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記自己分散顔料の表面電荷量が、0.18mmol/g以上0.30mmol/g以下である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記ノニオン性界面活性剤のグリフィン法により求められるHLB値が、10.0以上である請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記ノニオン性界面活性剤が、下記一般式(1)で表される化合物である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
    Figure 0007091157000009
    (前記一般式(1)中、x及びyは、それぞれエチレンオキサイド基の付加数を表す)
  5. 前記インク中の前記ノニオン性界面活性剤の含有量(質量%)が、前記自己分散顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.01倍以上0.50倍以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記自己分散顔料が、顔料の粒子表面にアニオン性基が直接結合したものである請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記記録ヘッドが、複数の前記吐出口のそれぞれに対応する、複数の前記第1流路が1つの流入路に連通しているとともに、複数の前記第2流路が1つの流出路に連通している請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記流動工程において、前記吐出口から前記インクを排出することなく、前記インクを流動させる請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  9. さらに、前記流動工程における前記インクの流動を停止して前記記録ヘッドの回復動作を行う回復工程を有する請求項1乃至8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  10. 前記流動工程において、前記インクの吐出方向と交差する方向に前記インクを流動させる請求項1乃至9のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  11. 前記流動工程において、前記吐出素子とは別の流動手段によって前記インクを流動させる請求項1乃至10のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  12. 前記流動工程において、前記第1流路に連通する流入口と前記第2流路に連通する流出口との間の圧力差で前記インクを流動させる請求項1乃至11のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  13. 前記圧力差で流動させる前記インクの流速が、0.1mm/s以上10.0mm/s以下である請求項12に記載のインクジェット記録方法。
  14. 前記流動工程において、前記インクを間欠的に流動させる請求項1乃至11のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  15. 間欠的に流動させる前記インクの流速が、1.0m/s以上10.0m/s以下である請求項14に記載のインクジェット記録方法。
  16. 前記記録ヘッドが、ラインヘッドである請求項1乃至15のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  17. 前記ラインヘッドには、複数の前記吐出口が配列した吐出口列が配置された吐出素子基板が直線状に配列されている請求項16に記載のインクジェット記録方法。
  18. 前記記録ヘッドのインク吐出方式が、サーマル方式である請求項1乃至17のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  19. インクを吐出する吐出口と、前記インクを吐出するためのエネルギーを発生する吐出素子と、前記吐出口と前記吐出素子の間で連通してその内部に前記インクが流通する第1流路及び第2流路と、を具備する記録ヘッドを備えるインクジェット記録装置であって、
    さらに、前記吐出素子とは別の、前記第1流路内の前記インクを前記第2流路へと流動させる流動手段を備え、
    前記インクが、顔料の粒子表面に直接又は他の原子団を介してアニオン性基が結合した自己分散顔料、及びノニオン性界面活性剤を含有する水性インクであり、
    前記自己分散顔料の表面電荷量が、0.40mmol/g以下であることを特徴とするインクジェット記録装置。
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