JP7090753B2 - 強誘電体材料、強誘電体材料を含むmemsコンポーネント、第1のmemsコンポーネントを備えるmemsデバイス、memsコンポーネントを製造する方法、及びcmos対応memsコンポーネントを製造する方法 - Google Patents

強誘電体材料、強誘電体材料を含むmemsコンポーネント、第1のmemsコンポーネントを備えるmemsデバイス、memsコンポーネントを製造する方法、及びcmos対応memsコンポーネントを製造する方法 Download PDF

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Description

本発明に係る実施形態は、強誘電体材料、強誘電体材料を含むMEMSコンポーネント、第1のMEMSコンポーネントを備えるMEMSデバイス、MEMSコンポーネントを製造する方法、及びCMOS対応MEMSコンポーネントを製造する方法に関する。
圧電MEMSアクチュエータは、例えば、静電駆動コンポーネントに比べて顕著により大きい力をもたらす。それにもかかわらず、これらの力は、特に非共振運動の場合、しばしば不十分でもある。しかしながら、圧電多層によって、任意の大きさの力をそれぞれのコンポーネントに結合することは理論上可能である。しかしながら、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)又は窒化アルミニウム(AlN)などの、これまでに入手可能な圧電体は、限られた範囲でしか圧電MEMS多層システムに適していないため、対応するコンポーネントの商用利用への移行はまだ有望ではない。
強誘電体材料は、外部電界Eによってその方向が決まる、空間的に回転できる電気分極Pによって特徴付けられる圧電材料の一種である。有効である電界に対する分極の配向に応じて、この材料はまた、膨張又は収縮する(圧電効果)。この効果はアクチュエータに用いられ得る。マイクロシステム技術では、例えば、強誘電性の誘電体を備えた平板コンデンサが、受動層上に堆積され、構造化される(パターン形成される)。受動層は、超音波トランスデューサの又は拡声器の膜であり得る。電圧Uが印加されるときの強誘電体材料の横方向の収縮又は膨張の結果として、分極の方向に応じて基板内に圧縮応力又は引張応力が発生し、したがって、基板が変形する。変形の根底にある機械的な力は、材料の圧電係数、その分極方向、及び利用可能な電圧によって生じる[1]。
固定電圧での力を増加させる1つの可能性は、多層システムを用いることである。それを超えると利用可能な電圧が印加される、同一の圧電係数をもつn層の圧電材料を用いるとき、結果として生じる力は最大n倍に増加し得る[2]。実際に達成可能な力は、印加電界に対する材料分極のそれぞれの配向に依存する。理想的には、すべての圧電体層での電界及び分極は、層システムの中立面(ニュートラルファイバとも呼ばれる)の同じ側で互いに平行又は反平行のいずれかであるように整列される。この場合、すべての層は、一方向の様態で全体の力に寄与し、したがって力は最大である。
巨視的な強誘電体多層アクチュエータは、例えば燃料噴射ポンプで既に工業的に用いられている[3]。マイクロシステムアクチュエータでは、強誘電体多層システムは、それらの明らかな利点にもかかわらず、これまで学究的世界によってのみ調査されてきた(例えば[4]、[5])。これは、強誘電体単一層(普通はPZTで作製される)のMEMS製造への統合でさえも、例えば、材料の拡散、温度収支、及び構造化に関しての、多大な技術的努力なしに成し得ない課題であるためである。将来、多層PZTのMEMS技術への統合が利用できるようになったとしても、他の欠点の中でも、この材料は依然としてCMOS対応ではなく、電気的なバイポーラ駆動に適さないであろう。
したがって、圧電係数が顕著により低いにもかかわらず、AlNなどの非強誘電体材料を圧電アクチュエータに適用することが検討されることがある(例えば[6]、[7]、[20]、[21]、[22]、[23])。AlNは、焦電体材料であり、すなわち、強誘電体と同様に、それは自発的な電気分極を呈する。しかしながら、強誘電体材料とは異なり、AlNでの分極は、外部電界によって空間的に回転させることはできない。しかしながら、この材料を圧電多層に適用する場合、これは、正当化するのが難しい、かつ追加の絶縁層及び電極の必要性のためである、追加の製造コストを意味する。代替的に、材料分極の1回限りの調整の可能性が、理論上はある。この方法は基礎的な形で存在するが、ここでもやはり、例えば追加の堆積プロセスが必要であるため、かなりの追加の製造努力を伴う。
以下に、簡単に紹介した前述の以前の解決手法をより詳細に説明し、最終的に、AlNと遷移金属窒化物に基づく強誘電性の混晶の開発が、強誘電体又は焦電体の典型的な欠点を受け入れる必要のない圧電多層コンポーネントを可能にするというところまでを説明する。[24]及び[25]には、圧電特性を向上させるためのAlScN混晶が既に記載されているが、強誘電性の混晶がスカンジウムによってどのように製造され得るかについては示されていない。
強誘電体多層のさらに考えられる用途は、入力変数を電荷へと(電圧への変換の代替として)圧電により変換するセンサの概念に重要であるような、コンポーネントにおいて固有である電荷増幅である。したがって、外部電荷増幅器に課される要件が低減され得る。このような電荷増幅はまた、マイクロ発電機において有利であり得る。以下に提示するアクチュエータのための手法は、上記の電荷増幅にも直接適用され得る。2つの概念の二元性は、圧電効果の2つの方向(直接及び逆)を反映する。
マイクロシステム技術におけるアクチュエータのための圧電多層システムを実装するために、本質的な態様が異なる、4つの一般的手法が考えられる。その目的は、利用可能な最大電界強度(=UE/単層の厚さ)を個々の各層に印加すること、及び中立面の同じ側にあるすべての層を同じ符号の力に寄与させることである。以下に提示する以前の解決手法は、例えば[2]で行われた検討から直接もたらされる。
圧電センサ及び発電機に関して、いくつかの同一の圧電コンデンサ構造体を直列に接続することによる又は圧電体層の厚さを増加させることによる、電圧の増幅の可能性がある。しかしながら、この手法は、電荷増幅器によってセンサの出力信号を読み出すという測定概念に直接的な利点はないであろう。しかしながら、直列接続がコンポーネント固有の電圧増幅をもたらすのと同じように、固有の電荷増幅は、並列接続された圧電コンデンサによって実装され得る。しかしながら、これを多層システムで実装するためには、以下に提示する手法を適用する必要があり、それぞれに欠点がある。ここでの目的は、隣接するコンデンサ間の電荷補償を回避することである。これにより今度は、圧電材料の分極方向に要求が課される。
例えばPZTなどの典型的な強誘電体を、このクラスの材料は外部電界の電界方向に沿って固有の電気分極の整列を呈するので、絶縁層の追加なしに組み合わせて、効果的な多層アクチュエータを形成できる。受動層の両側に能動圧電体層を設ける可能性に加えて、単純にするために、片側のみをコーティングすること、又は電極を備えた、すなわち、受動層を備えない圧電多層に基づく構造体を排他的に設計することが有利であり得る。いずれの場合にも、適切な分極を選択するときに中立面の位置を考慮に入れなければならない。この中立面よりも上の層は、屈曲運動が誘起されるならば、その下に位置する層の場合のように、それらの力を反対の符号でそれぞれ結合しなければならない。
この設計は可能な限り単純であるにもかかわらず、これまでマイクロシステム技術で用いられてきた本質的にPZTに基づく強誘電体は、以下の、いくつかの決定的な欠点を有する:
・500℃を超える必要な堆積温度と、含まれる鉛が、材料をCMOS製造に不適応にする。
・絶縁破壊のリスクが、使用可能な最大電界強度、したがって、結果として生じる力を制限する。
・力と印加電界との間の関係性が、電界のゼロ点の周りで非常に非線形である。力又は歪みはまた、長い距離にわたって同じ符号を有する。駆動力の調和のとれた振動を概ね保証するためには、電圧オフセットが必要である。低い破壊電界強度と併せて、これは、駆動力の利用可能な最大振幅をさらに制限する。
・強誘電体層の固有の機械的応力が、限られた程度にしか影響を受け得ない。
・動作中に生じる誘電損失及び漏れ電流が、AlNなどのいくつかの他の誘電体よりも顕著により高い。
純AlNなどの純焦電体、すなわち、明示的に非強誘電性の材料は、CMOS対応の様態で堆積され得る。それらは、絶縁破壊電界強度が典型的な強誘電体よりも顕著により高い値に達し、さらに、わずかな電気損失のみを伴うように製造され得る。加えて、電界と結果として生じる力の間の関係性は、最良近似で線形である。特に、これは、バイポーラ電圧での効率的な励起を可能にする。しかしながら、分極は、後で変更できないため、材料の製造中にのみ定義される。1つの同じプロセスによって製造された多層システムでは、すべての層の分極は、同じ方向を向いており、理想的には基板に垂直である。したがって、効果的な駆動を保証するためには、励起電界もすべての個々の層で同じ方向を向いていなければならない。したがって、多層の個々のコンデンサ構造体を電気的に分離する必要がある。強誘電体の使用と比較した場合のこれの主な欠点は、圧電体層ごとに少なくとも2つの追加の層、すなわち、絶縁体とさらなる電極が必要となることである。それらの堆積及び構造化は、かなり高い製造努力を意味する。対応する絶縁層の省略、又は絶縁層にわたり起こり得る短絡は、結果的に完全なコンポーネントの故障をもたらすであろう。原則として、この手法は、両側で能動的にコーティングされた受動層、又は受動層なしの層システムを製造するのにも用いられ得る。
バイモルフは、電気絶縁の追加なしに非強誘電体二層の使用を可能にする。効率的な駆動のための前提条件は、アクチュエータの中立面の両側に2つの圧電体層が配置されることである。これらの層は、電極層を共有してよく、又は中間受動層によって空間的に分離されてよい。圧電体層の数は、n=2に制限される。
AlNなどの非強誘電性の焦電体での分極は、材料の製造中に永久的に設定される。最適な圧電挙動は、電気分極が基板に対して垂直にのみ整列される場合に達成される。相互に反平行の分極をもつ層が交互に製造され用いられる場合、多層の個々のコンデンサユニット間の絶縁層の必要がなくなる。この目的のために必要な、分極の不可逆的な調整は、適切な中間層又は開始層を設けることによって達成できる[8]。さらに、例えば酸素又はゲルマニウムのドープも、分極方向の調整を可能にすることが示されている[9、10]。しかしながら、これらの手法は、すぐに応用できるとは言えない。加えて、最適に機能するためには、完全な分極反転が確実に達成されなければならない。なぜなら、これは後で調整できないからである。結果として生じる複雑さと、多層システムのためのさらなるプロセスを開発する必要性は、この手法の主な欠点とみなされるはずである。しかしながら、PZTとは対照的に、分極の空間的配向は、高い電界強度であっても一定のままである。
これを考慮して、CMOS適合性、及び電圧とその結果生じる力の間の線形の関係性を可能にしながら、結果として生じる力の増大と、必要な絶縁層及び電極層の数の最小化と、多層の圧電体層を堆積するのに必要なプロセスの削減との間の改善された妥協をもたらす概念が必要とされている。
以下では、強誘電体層は、圧電体層とも呼ばれる。しかしながら、いくつかの実施形態に係る層は、必ずしもすべてが強誘電体である必要はなく、例えば、圧電体層のうちのいくつか(例えば、1つおきの層)が強誘電体材料を含み、他のすべての圧電体層が圧電材料のみを含めば十分である。例えば、層のうちのいくつかは、逸脱したTMの比率又は逸脱した機械的応力を有し、したがって、強誘電体ではないことが考えられる。
一実施形態は、AlNと少なくとも1つの遷移金属窒化物とを含む混晶を有する強誘電体材料に関係する。遷移金属窒化物の比率は、切替電圧の印加によって強誘電体材料の初期又は自発極性の方向が切り替えられ、且つ、切替電圧が強誘電体材料の降伏電圧を下回るまで増加されなければならない。言い換えれば、遷移金属窒化物の比率は、切替電圧の印加によって強誘電体材料の初期又は自発極性の方向が切り替えられ、且つ、切替電圧が強誘電体材料の降伏電圧を下回るまで増加されなければならない。
この混晶を有する強誘電体材料の実施形態は、強誘電体材料の混晶中の遷移金属窒化物の比率の増加により、切替電圧の印加によって強誘電体材料の初期又は自発極性が切り替えられ得る、したがって、強誘電体材料の初期又は自発極性の方向が、製造プロセスによって決定されず、後で変更され得るという発見に基づいている。例えば、混晶は、初期の又は自発な極性を最初に有し、その方向は、切替電圧の印加により変化し得る。例えば、極性の方向は、180°回転され得る、又は初期極性の方向は、切替電圧によって生じる電界と平行に整列され得る。
強誘電体材料が多層システムに用いられる場合、多層の強誘電体層は、分極方向をその場で操作する必要性がないので、例えば単一のプロセスで堆積されてよい。代わりに、すべての強誘電体層が同じ分極で最初に堆積され、その後、切替電圧の印加により、個々の選択された強誘電体層のそれぞれの分極が切り替えられてよい。製造プロセス後に切替電圧を印加することにより強誘電体材料の極性を切り替える可能性は、強誘電体材料の多層システムにおいて必要とされる絶縁層及び電極層の数を最小にする。なぜなら強誘電体材料の個々の層の分極が、例えば、強誘電体材料の2つの層がそれらによって共有される電極層をそれらの間に1つだけ有する必要があるように、切替電圧の助けにより調整され得るからである。
したがって、強誘電体材料は、多層システムで用いられるときに、多層の強誘電体層が単一のプロセスで堆積され、かつ絶縁層及び電極層の必要数が個々の強誘電体層の極性を切り替えることにより最小にされるという事実につながり得ると言える。
一実施形態では、強誘電体材料は機械的応力を呈する。機械的応力は、例えば、製造中に用いられるガスの組成によって又は製造中に電圧を印加することによって調整され得る。機械的応力は、圧縮応力の第1の値と引張応力の第2の値の間にあり、第1の値の絶対値は第2の値の絶対値よりも低い。これは、例えば、強誘電体材料を含む強誘電体層内の機械的応力が、切替電圧が強誘電体材料の降伏電圧を下回るように、より高い引張応力又はより低い圧縮応力に向けて調整されることを意味する。TMの比率(遷移金属の比率)と機械的応力は、長い距離にわたり互いに独立して調整され得るが、両方とも切替電圧量への影響を有する。TMの比率と機械的応との間の相互作用に起因して、例えば、強誘電体材料を含む強誘電体層の引張応力が増加する場合、必要な遷移金属窒化物の比率が減少し、例えば、圧縮応力が増加する場合、必要な遷移金属窒化物の比率が増加し得る。
一実施形態では、機械的応力は、-600MPa(圧縮応力の第1の値)~2000MPa(引張応力の第2の値)の区間内にあり、負の値は圧縮応力を示し、正の値は引張応力を示す。機械的応力が、-550MPa~1500MPa、-500MPa~1000MPa、又は-450MPa~900MPaの区間内などの、-600MPa~2000MPaの区間にある場合、TMの比率(遷移金属の比率)が一定の限界を超えており、且つ、例えば、切替電圧が降伏電圧よりも低ければ、強誘電体材料は切替電圧が印加されるときに損傷しない。例えば、-600MPa~2000MPaの範囲は、切替電圧が印加されるときに強誘電体材料の極性の方向が切り替えられるように圧縮応力と引張応力の比が最適化される範囲を包含する。
一実施形態では、強誘電体材料の極性の方向は、印加された切替電圧の除去後に長時間維持される。これは、例えば、この強誘電体材料の極性の方向の変化後に、分極方向が長いあいだ一定のままであることを意味する。切替電圧の印加前に、強誘電体材料の元の分極方向が望ましい場合、強誘電体材料は、再度、しかし前の切替電圧の電界とは反対の電界で、切替電圧が印加される必要がある。強誘電体材料の極性の方向は、強誘電体材料を貫通しかつ切替電圧によって生じる電界に沿って自己整列する。
一実施形態では、遷移金属窒化物の選択された比率は混晶が強誘電体となるようにする。混晶の強誘電特性に起因して、とりわけ、混晶の極性は、例えば切替電圧の印加により電気的に切り替えられ得る。極性の切り替えは、例えば、混晶の極性が切替電圧の印加前に混晶内で一方向を向くこと、及び切替電圧の印加後に、混晶の極性が切替電圧の印加前の分極方向とは反対の方向を向くことを意味する。したがって、例えば、極性が反転される。しかしながら、強誘電体材料の極性の切り替えは、例えば、混晶の双極子モーメントの大部分(例えば、双極子の50%と100%の間、双極子の70%と100%の間、又は双極子の90%などの、双極子の80%と100%の間)が、混晶に切替電圧を印加することにより発生した電界方向に沿って配向され;混晶に切替電圧を印加する前に、混晶の双極子モーメントの大部分は、その後印加される切替電圧の電界方向とは反対方向に配向されていたことを意味する場合もある。
一実施形態では、遷移金属原子の数とアルミニウム原子の数との和に対する遷移金属原子の数の比率は、≧0.2と≦0.5の範囲内にある。例えば、遷移金属原子の数とアルミニウム原子の数との和に対する遷移金属原子の数の比率は、0.25と0.43の間又は0.30と0.36の間の範囲内、例えば0.36であり得る。比率は、例えば、遷移金属に依存する。しかしながら、比率は、強誘電体材料の機械的応力にも依存し得る。例えば、強誘電体材料の層が引張応力下にある場合、必要な遷移金属窒化物の比率は減少され、圧縮応力の場合は増加されるであろう。加えて、強誘電体材料は、とりわけ、鉛を含まない様態で、500℃よりも低い温度で(例えば、200℃、240℃、300℃、360℃、400℃、又は470℃などの、0℃と500℃の間の温度で)堆積され、これによりCMOS適合となる。
一実施形態では、遷移金属は、スカンジウム、イットリウム、チタン、クロム、ニオブ、又はこれらの任意の組み合わせを含む。これらの特定の遷移金属の助けにより、例えば、混晶に切替電圧を印加することにより強誘電体材料の極性を切り替えることが可能である。
一実施形態は、初期又は自発極性を呈する混晶を提供するステップに関係するプロセスを指す。混晶は、AlNと少なくとも1つの遷移金属窒化物とを含む。遷移金属窒化物の比率は、例えば、切替電圧の印加により強誘電体材料の初期又は自発極性の方向が切替可能であるように選択される。切替電圧は、例えば、強誘電体材料の降伏電圧よりも低い。この方法は、混晶の初期又は自発極性の方向が反転されるように混晶に切替電圧を印加するステップをさらに含む。
一実施形態は、強誘電体材料を含むMEMSコンポーネントを指す。例えば、実施形態の1つによれば、強誘電体材料を用いることにより、強誘電体材料の特性、すなわち、切替電圧の印加により極性が切り替えられ得るという特性を利用できる、多様なMEMSコンポーネントが製造され得る。さらに、例えば強誘電体材料のいくつかの層からなるMEMSコンポーネントの製作は、すべての層が同じプロセスを用いることによって制作され得、かつその後、切替電圧の印加により、個々の層の極性が切り替えられ得る、又はいくつかの層の極性が同時に又は連続して切り替えられ得るので、強誘電体材料により簡易化される。
一実施形態では、MEMSコンポーネントは、強誘電体材料を含む第1の強誘電体層、第1の強誘電体層の第1の表面上に配置された第1の電極、及び第1の強誘電体層の第2の表面上に配置された第2の電極を備える。例えば、第2の表面は、第1の表面とは反対側にある。これは、強誘電体材料で作製された多層システムの例である。第1の電極及び第2の電極を介して第1の強誘電体層に切替電圧が印加され得る。切替電圧の印加により、第1の強誘電体層の極性が切り替えられ得る。このMEMSコンポーネントが切替電圧よりも低い電圧で作動される場合、第1の強誘電体層の極性の方向は変化しないであろう。MEMSコンポーネントが切替電圧よりも低い電圧で作動される場合、これは、例えば、アクチュエータの機能を有しかつ、例えば、第1及び第2の電極に電圧を印加することにより供給された電流を機械的運動に変換しかつ、例えば、空間で一方向にその膨張を短くする又は長くすることができる。
一実施形態では、MEMSコンポーネントは、第1の強誘電体層とは反対側で第1の電極上に配置された第2の強誘電体層と、第2の強誘電体層の第1の表面上に配置された第3の電極を有する。第2の強誘電体層の第1の表面は、第1の電極から離れる方に面する。すなわち、第2の電極及び第3の電極は、第1の強誘電体層、第1の電極、及び反対側の第2の強誘電体層からなるブロックを区画し、第1の電極は、第2の強誘電体層が第1の電極を第3の電極から分離し、且つ、第1の強誘電体層が第1の電極を第2の電極から分離するように、第1の強誘電体層と第2の強誘電体層との間に配置される。第1の強誘電体層及び第2の強誘電体層は、本明細書で説明される強誘電体材料を含む。多層MEMSコンポーネントの第1の強誘電体層及び第2の強誘電体層の堆積は、単一のプロセスで行われ得る。例えば、第2の電極が導電性材料の立方体の形態で最初に製造され、次いで、第1の強誘電体層の極性が第2の電極の接触面に垂直となるように、第2の電極の表面上に第1の強誘電体層が堆積され得る。例えば、第1の強誘電体層の極性は、第2の電極と第1の強誘電体層との間に位置する第2の電極の接触面の方に又は上記表面から離れる方へのいずれかを向き得る。例えば、第1の強誘電体層は、立方体の形状であり得る。第2の電極とは反対側の第1の強誘電体層の表面上に、例えば、第1の電極が導電性材料の立方体の形態で適用され、第1の強誘電体層と接触する表面とは反対側の第1の電極の表面上に、例えば第2の強誘電体層を表す強誘電体材料の立方体が適用され得る。この第2の強誘電体層の極性は、第1の電極と第2の強誘電体層との間の表面に垂直であるべきである。第2の強誘電体層は第1の強誘電体層と同じプロセスによって又は同じプロセスにおいて堆積され得るため、例えば、第2の強誘電体層は第1の強誘電体層と同じ極性を有するであろう。第2の強誘電体層の表面上に、第3の電極が第1の電極とは反対側に堆積される。第1の電極、第2の電極、及び/又は第3の電極によって、例えば第1の強誘電体層及び/又は第2の強誘電体層に電圧が印加され得る。これは、例えば、第1の電極と第3の電極に切替電圧を印加することにより、第2の強誘電体層の極性が切り替えられ得るという利点を有する。第2の強誘電体層の極性を切り替えることにより、第2の強誘電体層の極性は、第1の強誘電体層の極性の方向とは反対の方向を向く。このケースでは、第1の電極、第2の電極、及び第3の電極に切替電圧よりも低い電圧が印加される場合、両方の強誘電体層は同時に収縮又は膨張し得る。第1の強誘電体層と第2の強誘電体層で極性が反対であることに起因して、MEMSコンポーネントを屈曲し得る力が、例えば、増加する。加えて、さらなる電極が必要とされ、且つ2つの電極が絶縁層によって分離されていなければならない、純圧電材料を有する多層システムの公知の実施形態とは対照的に、第1の強誘電体層と第2の強誘電体層との間に電極が1つだけ(例えば第1の電極)必要とされる。したがって、このMEMSコンポーネントにより、絶縁層と電極の数を最小に減らすことができる。
一実施形態では、MEMSコンポーネントの第1の電極は、第1の電極層及び第2の電極層を有する。第1及び第2の電極層は、それらの間に配置される絶縁層を有し、絶縁層はその中に位置する中立面を有する。このMEMSコンポーネントにおいて、第1の強誘電体層と第2の強誘電体層は1つのプロセスで堆積されてよく、多層システムのため、MEMSコンポーネントの力が増加する。絶縁層を導入することにより、第1の強誘電体層が、第2の強誘電体層とは独立して制御され得る。例えば、第2の電極及び第2の電極層に電圧を印加することによって第1の強誘電体層が制御され、第3の電極及び第1の電極層に電圧を印加することによって第2の強誘電体層が制御され得る。さらに、さらなる層(絶縁層)が、例えば製造中にキャリア材料として用いられ得る。
一実施形態では、MEMSコンポーネントの第1の電極は、第1の電極層及び第2の電極層を有する。第1及び第2の電極層は、それらの間に配置される受動層を有し、受動層はその中に位置する中立面を有する。受動層により、例えば、中立面の一方の側の第2の強誘電体層は、中立面の他方の側の第1の強誘電体層とは異なる、MEMSコンポーネントへの力の効果を有し得る。したがって、例えば、MEMSコンポーネントの屈曲、したがって、MEMSコンポーネントの屈曲力が強化され得る。
一実施形態では、MEMSコンポーネントは、第2の強誘電体層に対向する第3の強誘電体層上に配置された第3の電極、第3の電極から離れる方に面する第3の強誘電体層の第1の表面上に配置された第4の電極、第1の強誘電体層に対向する第4の強誘電体層上に配置された第2の電極、及び第4の強誘電体層の第1の表面上に配置された第5の電極を備える。第4の強誘電体層の第1の表面は、第2の電極から離れる方に面するように配置される。このMEMSコンポーネントは4つの強誘電体層を備える。MEMSコンポーネントが備える層が多いほど、MEMSコンポーネントの力が大きくなる。本明細書で具体的に説明される強誘電体材料を用いることにより、個々の強誘電体層の力が相互作用してMEMSコンポーネントの全体の力が非常に大きくなるように、個々の強誘電体層の極性がしたがって、切替電圧の印加により切り替えられ得る。さらに、この多層システムに追加の絶縁層は不要である。第1の電極、第2の電極、及び第3の電極は、それぞれ、2つの強誘電体層によって用いられ得る。MEMSコンポーネントが製作された後であっても個々の強誘電体層の極性が変更され得るので、多層の強誘電体層は、1つの単一プロセスによって又は1つの単一プロセスにおいて堆積され得る。
一実施形態では、MEMSコンポーネントの第2の電極で受動層が配置される。この多層システムを用いることにより、個々の強誘電体層の個々の力が受動層上に合わされ得る。これにより、受動層が歪められ得る。
一実施形態では、MEMSコンポーネントの受動層は、少なくとも一方の側で基板に接続される。したがって、例えば、受動層は、一方の側でしっかりと固定され、反対側で自由に動くことができる。MEMSコンポーネントの歪みは、このとき受動層の自由に動くことができる側でのみ生じ、したがってMEMSコンポーネントが両側で歪められる場合よりもこの側でより顕著な歪みが達成され得るので、この設計はMEMSコンポーネントの効果をさらに高める。加えて、固定(基板にMEMSコンポーネントを接続)は、例えば、コンポーネントを空間的に固定させる。
一実施形態では、MEMSコンポーネントは、多層MEMSアクチュエータ、多層MEMSセンサ、又は多層MEMS発電機を含む。多層MEMSアクチュエータ、多層MEMSセンサ、又は多層MEMS発電機において強誘電体材料を用いることにより、強誘電体層が単一のプロセスにおいて又は単一のプロセスによって堆積され、且つ個々の強誘電体層の所望の極性はその後調整され得るので、これらはより費用効果が高く且つ効率よく製造され得る。MEMSコンポーネントが、多層MEMSアクチュエータ、多層MEMSセンサ、又は多層MEMS発電機を含む場合、MEMSコンポーネントは、例えば、少なくとも1つのサスペンション、基板への少なくとも1つの接続、膜への少なくとも1つの接続など、及び/又はこれらの組み合わせなどの、様々な構造設計及び接続技術(パッケージング技術)も有し得る。
一実施形態では、MEMSデバイスは、基板と第1のMEMSコンポーネントを有する。MEMSコンポーネントの受動層は、基板上で歪み得るように配置される。これは、受動層が、例えば、一方の側でしっかりと固定され、反対側で自由に動くことができることを意味する。MEMSコンポーネントの歪みは、このとき受動層の自由に動くことができる側でのみ生じ、したがってMEMSコンポーネントが両側で歪められる場合よりもこの側でより高い歪みが達成され得るので、この設計はMEMSコンポーネントの効果をさらに高める。
一実施形態では、MEMSデバイスは、第2のMEMSコンポーネントを備える。第1及び第2の受動層は共同部を形成し、第1及び第2のMEMSコンポーネントの電極及び強誘電体層は並列に配置される。このMEMSデバイスの助けにより、第1のMEMSコンポーネントと第2のMEMSコンポーネントの共通の受動層の歪みはより顕著である。なぜならこのMEMSデバイスでは、互いに並列に配置された第1のMEMSコンポーネントと第2のMEMSコンポーネントが協働して、より大きい屈曲力を共通の受動層に及ぼし、その結果MEMSデバイスの歪み得る側が強く歪むからである。加えて、この構成は、例えば、同じく電圧が印加される第2のMEMSコンポーネントとは逆位相の電圧を印加することによって、第1のMEMSコンポーネントが励起されるときに、共通の受動層のねじれも生じ得る。
さらなる実施形態は、MEMSコンポーネントを製造するプロセスを提供する。この方法は、第1の電極、第1の強誘電体層、第2の電極、第2の圧電体層、及び第3の電極を、この順にスタックすることを含む。第1の強誘電体層と第2の圧電体層は同じ分極方向を有し、第1の強誘電体層は、AlNと少なくとも1つの遷移金属窒化物とを含む混晶を有する強誘電体材料を含む。遷移金属窒化物の比率は、強誘電体材料の極性が切替電圧の印加により切替可能であるように選択される。切替電圧は、強誘電体材料の降伏電圧よりも低い。この方法は、第1の電極と第2の電極に切替電圧を印加するステップをさらに含む。第1の強誘電体層の分極方向がこれにより、第1の強誘電体層の分極方向が反転するように(例えば、第2の圧電体層の分極方向とは反対に)反転される。
別の実施形態は、第1の電極、第1の強誘電体層、第2の電極、第2の圧電体層、及び第3の電極が基板上にスタックされる、MEMSコンポーネントを製造する方法を提供し、この方法は、
第1の電極、第1の強誘電体層、第2の電極、第2の圧電体層、及び第3の電極をスタックする前又はした後に基板でCMOSプロセスを用いて集積回路の1つ又は複数の回路コンポーネントを集積するステップ
をさらに含む。
この方法は、前述の強誘電体材料、MEMSコンポーネント、及びMEMSデバイスの場合と同じ考慮事項に基づいている。
ちなみに、この方法は、本発明の強誘電体材料、MEMSコンポーネント、及びMEMSデバイスに関しても、本明細書で説明されるすべての特徴及び機能によってさらに補足され得る。
本発明の実施形態を図面に基づいて以下に詳細に説明する前に、異なる実施形態で提示される要素の説明が交換可能及び/又は相互に適用可能であるように、同一の、機能が同一の、又は動作が類似している要素、物体、及び/又は構造体には、異なる図面で同じ参照番号が付されることに留意されたい。
本発明に係る実施形態を、添付図を参照して以下により詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係る強誘電体材料の略図である。 本発明の一実施形態に係る切替電圧が印加されている状態の強誘電体材料の略図である。 本発明の一実施形態に係るMEMSコンポーネントの略図である。 本発明の一実施形態に係る2つの強誘電体層を備えるMEMSコンポーネントの略図である。 本発明の一実施形態に係る第1の電極が第1の電極層及び第2の電極層を備えるMEMSコンポーネントの略図である。 本発明の一実施形態に係る4つの強誘電体層を備えるMEMSコンポーネントの略図である。 本発明の一実施形態に係る基板を備えるMEMSコンポーネントの略図である。 本発明の一実施形態に係る任意の数の強誘電体層と基板を備えるMEMSコンポーネントの略図である。 本発明の一実施形態に係る任意の数の強誘電体層、基板、及び電極の電気接触を備えるMEMSコンポーネントの略図である。 本発明の一実施形態に係る任意の数の強誘電体層を備えるMEMSコンポーネントの略図である。 本発明の一実施形態に係るMEMSデバイスの略図である。 本発明の一実施形態に係る2つのMEMSコンポーネントを備えるMEMSデバイスの略図である。 本発明の一実施形態に係るMEMSコンポーネントを製造する方法のブロック図である。 本発明の一実施形態に係るCMOSプロセスを用いながら集積回路を備える基板に接続されたMEMSコンポーネントを製造する方法のブロック図である。 本発明の一実施形態に係るCMOSプロセスを用いながら集積回路を備える基板に接続されたMEMSコンポーネントを製造する方法のブロック図である。 本発明の一実施形態に係る強誘電体材料の電気分極の線図である。 本発明の一実施形態に係る強誘電体層の機械的応力に対し測定された保磁場の平均量を示す線図である。 本発明の一実施形態に係るAlScN層のSc含有量に対し測定された保磁場の平均量を示す線図である。 本発明の一実施形態に係る電極表面を有する強誘電体層の強誘電力の線図である。 本発明の一実施形態に係る負の極性を有するwurtzite型の強誘電体材料のユニットセルの略図である。 本発明の一実施形態に係る極性のない六角形構造の強誘電体材料のユニットセルの略図である。 本発明の一実施形態に係る正の極性を有するwurtzite型の強誘電体材料のユニットセルの略図である。 従来技術に係る強誘電体アクチュエータの略図である。 従来技術に係る正の外部電界が印加された強誘電体アクチュエータの略図である。 従来技術に係る負の外部電界が印加された強誘電体アクチュエータの略図である。 従来技術に係る歪みなしの強誘電体二層アクチュエータの略図である。 従来技術に係る歪められた強誘電体二層アクチュエータの略図である。 従来技術に係る典型的な強誘電体によって製造される多層アクチュエータの略図である。 従来技術に係る非強誘電性の焦電体を用いるときの多層アクチュエータの略図である。 従来技術に係る強誘電体バイモルフの一連の層の略図である。
図1aは、本発明の一実施形態に係る混晶110を有する強誘電体材料100の略図を示す。混晶110は、AlN120と、少なくとも1つの遷移金属窒化物TMN130とを含む。AlN120は、遷移金属窒化物TMN130との化合物AlTMNを形成する。図1aは単なる概略図であり、図1aでは、AlN120と遷移金属窒化物TMN130が空間的に分離して示されているが、これは実際にはそうではない。混晶110中で、例えば、化合物AlTMNは、均一に分布する。遷移金属窒化物TMN130の比率は調整され得る。遷移金属窒化物TMN130の遷移金属原子TMの数とAlN120のアルミニウム原子の数との和に対する遷移金属窒化物TMN130の遷移金属原子TMの数の比率は、≧0.2と≦0.5の範囲内にあり、比はまた、≧0.25と≦0.43の範囲内、≧0.30と≦0.38の範囲内、又は≧0.32と≦0.36の範囲内、例えば0.36などであり得る。したがって、AlN120と遷移金属窒化物TMN130の間の化学結合は、Al1-xTMNとして表すことができ、ここでxは、遷移金属窒化物TMN130の遷移金属原子TMの数とAlN120のアルミニウム原子の数との和に対する遷移金属窒化物TMN130の遷移金属原子TMの数の比率である。例えば、遷移金属窒化物TMN130の比率を増加させることは、混晶110が強誘電体になるようにさせる。遷移金属窒化物TMN130の遷移金属TMは、例えば、スカンジウムSC、イットリウムY、チタンTi、ニオブNb、又はクロムCrであり得る。混晶110は極性140を有する。
強誘電体材料100に関して、例えば、固有の機械的応力が調整され得る。さらに、混晶110の誘電損失は、PZTなどの典型的な強誘電体よりも低い。
例としてAl1-xScNを用いると、この強誘電体材料は、400℃という低い堆積温度で製造でき、したがって、純AlNと同様にCMOS適合である。純AlNの高い電気強度(>400V/μm)はAl1-xScNでも保持される。普通は1%をはるかに下回る低い誘電損失[12]と、強誘電体材料の固有の機械的応力を調整する可能性も保持される[11]。この強誘電体材料はCMOS適合である。
図1bは、図1aの強誘電体材料100による本発明の一実施形態に係る強誘電体材料100を示す。強誘電体材料100は混晶110を有する。混晶110は、AlN120と、少なくとも1つの遷移金属窒化物130とを含む。切替電圧150が強誘電体材料100に印加され、これにより極性142を設定する。これは、例えば、切替電圧150を印加することにより、新しい極性142が古い極性140とは反対であるように、元の極性140(図1a参照)が切り替えられ得ることを意味する。この目的のために、切替電圧150は、強誘電体材料の降伏電圧100よりも低くなければならない。切替電圧140よりも低い電圧が強誘電体材料100に印加される場合、極性140の方向は変化しないであろう。
現在知るところでは、AlN120に基づく強誘電体材料の存在がこれまで実験的に実証されたことはない。AlScN[13、14]、AlYN[15、16]、又はAlTiN[17、18]などの、AlN120と遷移金属窒化物130との混晶110についての実験科学刊行物及び特許は、遷移金属比率の関数としての圧電係数及び弾性などの材料特性のみに関係する。それぞれの著者らにより強誘電性の証拠は発表されていない。ここでは、強誘電体材料100は、遷移金属窒化物130の比率を増加させること、およびより低い圧縮応力又はより高い引張応力に向けて機械的応力を適応させることにより、強誘電体材料100の極性140が切替電圧140の印加により切り替えられ得るように変化されている。
図2は、本発明の一実施形態に係る強誘電体材料を含む第1の強誘電体層210を備える、MEMSコンポーネント200を示す。さらに、このMEMSコンポーネントは、第1の強誘電体層210の第1の表面220上に配置された第1の電極230と、第1の強誘電体層210の第2の表面221上に配置された第2の電極232を備える。第2の表面221は、第1の表面220とは反対側である。例えば、第1の電極230及び第2の電極232は、導電性材料で作製される。電圧が、第1の電極230及び第2の電極232を介して強誘電体層210に印加され得る。印加電圧が切替電圧よりも低い場合、強誘電体層210の極性の方向は変化しないであろう。しかしながら、電圧が要求される切替電圧と同じくらい高い場合、強誘電体層210の極性が切り替えられ得る。このMEMSコンポーネントが切替電圧よりも低い電圧で作動される場合、例えば、3つの空間方向の1つへの強誘電体層210の膨張が変化するであろう。このMEMSコンポーネントにより、この供給電圧の機械的運動への変換は多くの方法で用いられ得る。しかしながら、逆変換を検出することも可能である。例えば、少なくとも1つの空間方向への強誘電体層210の膨張が変化する場合があり、結果として生じる電気信号を次いで、第2の電極232と共に第1の電極230を介して測定できる。
図3は、本発明の一実施形態に係る第1の強誘電体層210、第2の強誘電体層212、第1の強誘電体層210と第2の強誘電体層212との間に位置する第1の電極230、第1の強誘電体層210の第2の表面221に取り付けられた第2の電極232、及び第2の強誘電体層212の第1の表面222に取り付けられた第3の電極234を備えるMEMSコンポーネント200を示す。第1の電極230は、第1の強誘電体層210の第1の表面220上に配置される。第1の強誘電体層210の第2の表面221は、第1の強誘電体層210の第1の表面220とは反対側である。第1の強誘電体層210に対向する第2の強誘電体層212上に配置された第1の電極230は、強誘電体材料を含む。第3の電極234は、第2の強誘電体層212の表面222上に配置される。第2の強誘電体層212の第1の表面222は、第1の電極230から離れる方に面するように配置される。第1の強誘電体層210も強誘電体材料を含む。
本発明の強誘電性混晶(強誘電体材料)に基づいて、可能な限り単純な多層アクチュエータ(MEMSコンポーネント200などの)がしたがって、典型的な強誘電体の特異的欠点を受け入れる必要なしに実装され得る。同様に、固有の電荷増幅に関する可能な最も簡単な概念が、これらの欠点なしに実装され得る。これらはまた、MEMSコンポーネント200で実装され得る。強誘電体材料は500℃よりも低い温度で堆積され得るので、この材料とその集積、したがって、MEMSコンポーネントは、CMOS適合である。多層の強誘電体層は、分極方向をその場で操作する必要性がないので、単一のプロセスで堆積され得るが、個々の層の分極は、製造後であっても切替電圧の印加によって変更できる。したがって、堆積プロセス中に特定の分極方向を設定する層の追加は不要である。必要な絶縁層及び電極層の数は、個々の強誘電体層(例えば、第1の強誘電体層210及び第2の強誘電体層212)の分極反転が可逆的であり且つ制御可能であるため、最小化される。
AlNのような強誘電体材料は、MEMSプロセスの流れ(例えば、プロセスの再設計は不要であり得る)に容易に統合され得るが、その適用範囲は、強誘電体材料の強誘電特性によって大幅に拡張される。拡声器、超音波トランスデューサ、スイッチ、又はミラーなどの強誘電体により作動されるMEMSコンポーネントは、特にそれらがCMOS構造体と一体化される場合に、従来技術と比べて向上された性能から恩恵を受けるであろう。同じことが、固有の電荷増幅から恩恵を受け得る、マイクロフォン又は加速度計などのセンサシステムに、及びマイクロ発電機にも当てはまる。
MEMSコンポーネント200の製造において、例えば、第1の強誘電体層210と第2の強誘電体層212は同じ極性を有する。例えば、極性は、第1の強誘電体層の第2の表面221に垂直であるように構成されるべきである。切替電圧が、第1の強誘電体層210、第1の電極230、及び第2の電極232に印加される場合、第1の強誘電体層210の極性が切り替えられるであろう。したがって、第1の強誘電体層210の極性は、第2の強誘電体層212の極性の方向とは反対の方向を向く。例えば、MEMSコンポーネント200が同じ電圧で作動される(例えば、第2の電極232と第3の電極234が同じ電圧レベルを有し、第1の電極230が反転符号の同じ電圧レベルを有する)場合、電界(第1の強誘電体層210を貫通する第1の電界と、第2の強誘電体層212を貫通する第2の電界)は、反対方向を向く。それぞれの強誘電体層(第1の強誘電体層210及び第2の強誘電体層212)に印加される電界の極性及び方向は、それぞれ他の強誘電体層に対して反対方向であるため、両方の強誘電体層は電気信号に対し同じ力応答を有するであろう。例えば、第1の強誘電体層の電界の極性及び方向は両方とも同じ第1の方向を向いており、第2の強誘電体層の電界の極性及び方向は両方とも同じ第2の方向を向いており、第1の方向は第2の方向とは反対である。したがって、MEMSコンポーネント200の力が増加する。さらに、強誘電体材料で作製される強誘電体層(例えば、第1の強誘電体層210及び/又は第2の強誘電体層212)で高い切替電圧が与えられると、MEMSコンポーネント200は、高いバイポーラ電圧、すなわち、或る時点で正であり別の時点で負である電圧で作動され得る。
図4は、本発明の一実施形態に係る第1の強誘電体層210、第2の強誘電体層212、第1の電極230、第2の電極232、及び第3の電極234を備えるMEMSコンポーネント200を示す。MEMSコンポーネント200の第1の電極230は、第1の電極層231a及び第2の電極層231bを有する。例えば、第1の電極層231aは第2の強誘電体層212と接触し、第2の電極層231bは、例えば、第1の強誘電体層210と接触する。第1の電極層231aは、中間層231cによって第2の電極層231bから分離される。層231cはその中に位置する中立面を有し、これはMEMSコンポーネント200を例えば中央で分割する。したがって、中立面の一方の側に、第1の電極層231a、第2の強誘電体層212、及び第3の電極234が存在する。中立面の他方の側にしたがって、第2の電極層231b、第1の強誘電体層210、及び第2の電極232が存在する。層231cは、例えば、絶縁層又は受動層であり得る。層231cは、第1の強誘電体層210が第2の強誘電体層212とは独立して用いられることを可能にする。層231cはまた、それらの堆積中に電極及び強誘電体層のためのキャリア材料としても役立ち得る。
図5は、図3のMEMSコンポーネント200などの、本発明の一実施形態に係る第1の強誘電体層210、第2の強誘電体層212、第1の電極230、第2の電極232、及び第3の電極234を備えるMEMSコンポーネント200を示す。加えて、図5のMEMSコンポーネント200は、第2の強誘電体層212に対向する第3の強誘電体層214上に配置された第3の電極234、第3の強誘電体層214の第1の表面223上に配置された第4の電極236、第1の強誘電体層210に対向する第4の強誘電体層216上に配置された第2の電極232、及び第4の強誘電体層216の第1の表面224上に配置された第5の電極238を有する。第3の強誘電体層214の第1の表面223は、第3の電極234から離れる方に面するように配置される。第4の強誘電体層216の第1の表面224は、第2の電極232から離れる方に面するように配置される。MEMSコンポーネント200は、4つの強誘電体層(第1の強誘電体層210、第2の強誘電体層212、第3の強誘電体層214、及び第4の強誘電体層216)を有し、これにより、多層MEMSコンポーネントを形成する。MEMSコンポーネント200が有する強誘電体層が多いほど、MEMSコンポーネント200の力又は固有の電荷増幅が大きくなる。
図6は、本発明の一実施形態に係る電極230~230、強誘電体層210~210n-1、基板240、及び電源250を備えるMEMSコンポーネント200を示す。ここで、添字nは、2以上の自然数(例えば、n≧10、n≧100、又はn=1253などのn≧1000)である。基板240は、第1の電極230に配置される。電源250は、電極230~230に接続される。各強誘電体層210~210n-1は、極性260~260n-1を有する。電源250は、電極230~230を介して強誘電体層210~210n-1に接続され、従って、電界(個々の強誘電体層210~210n-1を貫通し、各強誘電体層210~210n-1で異なる方向を有し得る)の方向は、各強誘電体層210~210n-1のそれぞれの分極260~260n-1に平行であり且つ同じ方向に配向されるか、又は各強誘電体層210~210n-1のそれぞれの分極260~260n-1に平行であり且つ反対方向に配向されるかのいずれかである。したがって、各強誘電体層210~210n-1において、例えば、極性260~260n-1の方向は、電源250によって提供される電界の方向と平行に向けられる、又は各強誘電体層210~210n-1における分極方向260~260n-1は、電源250によって提供される電界の方向とは反対に向けられる。したがって、すべての強誘電体層210~210n-1は同じ力効果を有し、MEMSコンポーネント200の力はしたがって、より少ない層(例えば、n/8層、n/4層、又はさらにはn/2層など)の場合よりも強い。
MEMSコンポーネント200の動作中に、電源250によって提供される電圧は、切替電圧よりも低い。したがって、MEMSコンポーネント200の動作中に、各強誘電体層210~210n-1の極性260~260n-1の方向は変化しない。1つ又は複数の強誘電体層210~210n-1の極性260~260n-1が切り替えられる場合、電源250が切替電圧を提供し得る。この目的のために、それらの間に挟まれる強誘電体層を有する、少なくとも2つの電極は、切替電圧を供給されなければならない。例えば、切替電圧を電極230及び電極230に印加でき、したがって、強誘電体層210の極性260を反転させ、それにより前に設定された極性260の方向とは反対の方向を向くことになる。したがって、適用分野に応じて、極性260~260n-1は、可逆的に且つ制御可能に設定され得る。
分極が反転される多層によって電荷増幅をセンサ及びマイクロ発電機用途で実装することが可能である。この強誘電体材料に基づいて、可能な限り最も単純な多層アクチュエータが設計され得る。各強誘電体層210~210n-1に用いられる強誘電体材料は高い絶縁破壊電界強度を有し、それにより大きい力が生成され得る。
多層の強誘電体層は、分極方向をその場で操作する必要性がないので、単一のプロセスで堆積され得る。堆積プロセス中に特定の分極方向を調整する層の追加又はさらなる化学元素の追加は不要である。必要な絶縁層及び電極層の数は最小化される。
図7aは、本発明の一実施形態に係る電極230-j~230、強誘電体層2101-j~210n-1、基板240、及び電源250を備えるMEMSコンポーネント200を示す。添字n及びjは、任意の自然数≧2であり得る。各強誘電体層2101-j~210n-1は、極性2601-j~260n-1を有する。基板240は中立面を含む。中立面は、例えば、MEMSコンポーネント200を中央で分割でき、これは、中立面の両側に同じ数の同一の層が見られることを意味する(例えばn=jの場合)。この実施形態では基板240の両側に同じ数の強誘電体層2101-j~210n-1が示されるというだけで、これがMEMSコンポーネントが機能するのに必要な条件であることを意味するわけではない。基板240の一方の側に、基板の他方の側(反対側)よりも多くの強誘電体層が存在することも可能である(例えばn>j又はn<j)。極端な例は、図6のMEMSコンポーネント200であり、この場合、基板240の一方の側に強誘電体層は見られないが、基板240の他方の側に任意の数の強誘電体層210~210n-1が見られる。
図7bのMEMSコンポーネント200は、図7aのMEMSコンポーネント200と同じ構成要素を有し、強誘電体層2101-j~210-1の極性2601-j~260-1だけが反対方向を向いており、電源250が、本発明の一実施形態に係る異なる方法で電極230-j~230に接続される。基板240は、例えば、受動層又は絶縁層を表し得る。図7aでは、例えば、両方の電極230-1及び230が同じ電圧レベルの電源250に接続されるので、基板240が絶縁層であるか又は受動層であるかは問題ではない。したがって、基板240も、例えば、導電性材料で作製されてよい。対照的に、図7bに示したMEMSコンポーネント200では、電極230-1及び230は、異なる電圧レベルの電源250に接続され、これは、例えば電極230-1及び230間の短絡を防ぐために、基板240は絶縁層でなければならないことを意味する。
極性2601-j~260-1の方向と、電源250への電極230-j~230-1の接続の両方は、図7aのMEMSコンポーネント200と図7bのMEMSコンポーネント200の間で反転されているので、図7aのMEMSコンポーネント200と図7bのMEMSコンポーネント200は、同じ動作モードを有する。図7aのMEMSコンポーネント200と図7bのMEMSコンポーネント200の2つの実施形態において、基板240の一方の側の力は、基板240の他方の側の力とは反対である。例えば、強誘電体層210~210n-1は、1つの空間方向でサイズが減少し、強誘電体層210-1~2101-jは、同空間方向でサイズが増加し、その結果、MEMSコンポーネント200が屈曲し得る。加えて、中立面の一方の側からの力が中立面の他方の側に位置する層システム(それぞれの強誘電体層2101-j~210n-1及び電極230-j~230)に対して整流される、横方向アクチュエータが考えられる。
言い換えれば、図7aのMEMSコンポーネント200と図7bのMEMSコンポーネント200は、両側に能動的にコーティングされた受動層(基板240)を有する設計を表す。電気接触の2つの実装が示され、図7aのMEMSコンポーネント200は、受動層(基板240)の絶縁体特性に何の要求も課さない。
さらに、電極230は、第1の電極層とみなされてよく、電極230-1は、電極230aの第2の電極層とみなされてよい。第1の電極層と第2の電極層の間に別の層(基板240)が存在し、この層は、例えば、受動層又は絶縁層であり得る。
図7cには、本発明の一実施形態に係る強誘電体層2101-j~210n-1、電極230-j~230、及び電源250を備えるMEMSコンポーネント200が示される。各強誘電体層2101-j~210n-1は、極性2601-j~260n-1を有する。電極230は、MEMSコンポーネント200を第1の多層システム(すべての強誘電体層210~210n-1)と第2の多層システム(強誘電体層210-1~2101-jからなる)に分割する中立面を備える。切替電圧よりも低い電圧が電源150に印加される場合、この例のケースでは、例えば、強誘電体層210~210n-1が膨張し、強誘電体層210-1~2101-j(中立面の他方の側)が収縮する。この機構は、MEMSコンポーネント200の屈曲をもたらす。MEMSコンポーネント200が有する強誘電体層が多いほど、電源250によって電極230-j~230に電圧が印加されるときのMEMSコンポーネント200での屈曲力が大きくなる。
言い換えれば、図7cのMEMSコンポーネント200は、MEMSコンポーネント200の受動層なしのバージョンである。例えば、中立面(電極230)よりも上の強誘電体層210~210n-1は、下に位置する層(強誘電体層210-1~2101-j)の方向とは反対方向に膨張する。
受動層(基板自体でもあり得る)の役割に関して、3つの一般的な設計、すなわち、片側に能動的にコーティングされた受動層(図6のMEMSコンポーネント200参照)、両側にコーティングされた受動層(図7aのMEMSコンポーネント200及び図7bのMEMSコンポーネント200)、及び受動層なしの純粋な能動多層システム(図7cのMEMSコンポーネント200参照)が考えられる。すべての実施形態は一般に、逆の材料分極で実施されてもよい。AlTMNは、材料の分極を設定するための基礎である、AlNと遷移金属窒化物(TM)に基づく強誘電性混晶の略である。ここでは強誘電体として説明される(図3、図4、図5、図6、図3、図7a、図7b、及び図7cの)MEMSコンポーネント200の層の少なくとも1つは、強誘電体材料を含む。しかしながら、ここで強誘電体として説明される層の個々の層は、例えば、それらが強誘電体材料を含まないので、純圧電体であってもよい。強誘電体材料を含む最小数の強誘電体層(例えば、1つおきの層)が存在する限り、コンポーネント200の機能は変化しない可能性がある。いくつかの実施形態は、作動と固有の電荷増幅(後者のケースでは、例えば、電源250なしの)の両方に関連する。
図8aは、本発明の一実施形態に係る基板310及び第1のMEMSコンポーネント200を備えるMEMSデバイス300の略図を示す。このMEMSコンポーネント200は、受動層240及び強誘電体多層320を有する。このMEMSコンポーネント200の受動層240は、例えば、基板310上で歪めることができるように配置される。図8aに示すように、受動層240は、基板310の一方の側に配置され得る。例えば、受動層240が基板310に触れる表面は、受動層240が強誘電体多層320に配置される表面とは反対側に位置する。しかしながら、強誘電体多層320を、受動層240が基板310に触れるのと同じ表面上に、又は受動層240の両側(受動層240が基板310に触れる表面と、その反対側の表面)に配置することも可能である。
図8aのMEMSデバイス300は、垂直屈曲アクチュエータの一実施形態である。
図8bは、本発明の一実施形態に係る第1のMEMSコンポーネント200及び第2のMEMSコンポーネント201を備えるMEMSデバイス300を示す。第1のMEMSコンポーネント200は第1の受動層を有し、第2のMEMSコンポーネント201は第2の受動層を有し、第1の受動層と第2の受動層は共同部であり、受動層240として示される。例えば、第1のMEMSコンポーネント200と第2のMEMSコンポーネント201は、同じ設計及び機能を呈し得る。第1のMEMSコンポーネント200の第1の強誘電体多層320は、第2のMEMSコンポーネント201の第2の強誘電体多層322と並列に配置される。言い換えれば、第1のMEMSコンポーネント200及び第2のMEMSコンポーネント201の強誘電体層(第1の強誘電体多層320と第2の強誘電体多層322)は並列に配置される。受動層240は、基板310で歪めることができるように配置される。図8bに示したMEMSデバイス300は、横方向又はねじりアクチュエータの一実施形態である(例えば、2つの多層(第1の強誘電体多層320と第2の強誘電体多層322)が逆位相で励起される)。
図8aの強誘電体多層320と図8bの強誘電体多層320及び322は強誘電体材料を含む。
図9は、本発明の一実施形態に係るMEMSコンポーネントを製造する方法のブロック図を示す。方法の1つのステップにおいて、例えば、第1の電極、第1の強誘電体層、第2の電極、第2の圧電体層、及び第3の電極が、この順にスタックされる400。このステップは、例えば、図3のMEMSコンポーネント200又は図4のMEMSコンポーネント200などのMEMSコンポーネントをもたらす。第1の強誘電体層と第2の圧電体層は、例えば、同じ分極方向を有し、第1の強誘電体層は強誘電体材料を含む。強誘電体材料は、AlNと少なくとも1つの遷移金属窒化物とを含む混晶を有する。遷移金属窒化物の比率は、例えば、強誘電体材料の極性の方向が切替電圧の印加により切替可能であるように選択される。切替電圧は、強誘電体材料の降伏電圧よりも低い。この方法は、第1の強誘電体層の分極方向が反転される(例えば、第2の圧電体層の分極方向とは逆)ように、第1の電極と第2の電極に切替電圧を印加するステップ410をさらに含み、第1の強誘電体層の分極方向が反転される。
図10aは、本発明の実施形態に係るCMOSプロセスを用いて集積回路を備えた基板に接続されたMEMSコンポーネントを製造する方法のブロック図を示す。第1のステップにおいて、この方法は、第1の電極、第1の強誘電体層、第2の電極、第2の圧電体層、及び第3の電極を基板上にスタックすること400を含む。方法の第2のステップは、第1の強誘電体層の分極方向が反転されるように、第1の電極と第2の電極に切替電圧を印加すること410を含み、第1の強誘電体層の分極方向が反転される。方法のさらなるステップにおいて、CMOSプロセスを用いながら集積回路の1つ又は複数の回路コンポーネントが基板に集積される420。このスタックするステップ400及び印加するステップ410は、図9に示した方法のスタックするステップ400及び印加するステップ410と同様である。
図10bは、本発明の一実施形態に係るCMOSプロセスを用いながら集積回路を備える基板に接続されたMEMSコンポーネントを製造する方法のブロック図を示す。この方法は、第1のステップにおいて、CMOSプロセスを用いながら集積回路の1つ又は複数の回路コンポーネントを基板に集積すること420を含む。方法の第2のステップは、第1の電極、第1の強誘電体層、第2の電極、第2の圧電体層、及び第3の電極を基板上にスタックすること400を含む。方法のさらなるステップにおいて、第1の強誘電体層の分極方向が反転されるように、第1の電極と第2の電極に切替電圧が印加され410、第1の強誘電体層の分極方向が反転される。このスタックするステップ400及び印加するステップ410は、図9に示した方法のスタックするステップ400及び印加するステップ410と同様である。
第1の電極、第1の強誘電体層、第2の電極、第2の圧電体層、及び第3の電極からなる、図10a及び図10bのMEMSコンポーネントは、例えば、図3のMEMSコンポーネント200又は図4のMEMSコンポーネント200である。この方法によって3つよりも多い電極層と2つよりも多い強誘電体層をスタックすることも可能であり、これにより、例えば、図5のMEMSコンポーネント200、図6のMEMSコンポーネント200、図7aのMEMSコンポーネント200、図7bのMEMSコンポーネント200、図7cのMEMSコンポーネント200、図8aのMEMSコンポーネント200、及び/又は図8bのMEMSコンポーネント200を基板上にスタックする。さらに、例えば、追加の非強誘電体層が、この方法により基板上にスタックされてよく、及び/又は、第1の強誘電体層のみより多くにおいて、切替電圧の印加により極性の方向が切り替えられてよい。
第1の強誘電体層は、本明細書で説明される強誘電体材料を含む(しかし第2の圧電体層は、強誘電体材料を含んでもよく、又は含んでいなくてもよい)。強誘電体材料は、例としてAl1-xScNを用いるとき、400℃という低い堆積温度で製造でき、したがって、純AlNと同様にCMOS適合である。純AlNの高い電気強度(>400V/μm)はAl1-xScNでも保持される。普通は1%をはるかに下回る低い誘電損失[12]と、強誘電体層の固有の機械的応力を設定する可能性も保持される[11]。この強誘電体材料とその集積、したがって、MEMSコンポーネントは、CMOS適合である。
図11aは、本発明の一実施形態に係る強誘電体Al0.57Sc0.43N及びPZT52/48で測定された電界(P-Eループ)に対する電気分極を示す線図である。縦軸に分極が表され、横軸に電界が表される。第1のP-Eループ600は、強誘電体材料Al0.57Sc0.43Nの電界に対する分極の依存性を表し、第2のP-Eループ610は、PZT52/48の電界に対する電気分極の依存性を表す。強誘電体材料Al0.57Sc0.43Nは、AlNと少なくとも1つの遷移金属窒化物とを含む混晶からなる強誘電体材料の一例であり、遷移金属は、この場合、スカンジウムである。
Al1-xScNの例(強誘電体材料の一例である、AlNと遷移金属窒化物ScNとの混晶)を用いて、AlNと遷移金属窒化物からなる混晶は、特定の条件下で強誘電体であることが発見された。強誘電性は、最初に材料(強誘電体材料)の破壊電界強度を超えることなく材料の2つの分極状態間のエネルギー障壁を克服するために外部電界が用いられ得るときに生じる。純AlNについて測定された破壊電界強度は、文献で大きく異なり、50V/μmと600V/μmの間の値である。調査は、>400V/μmの電界強度で電気的ブレークスルーが起こることを示している。分極の空間的変化が起こる電界強度は、P-Eループの保磁力Eによって決まる。P-Eループは、励起電界Eの関数としての材料の分極Pを表す。
400V/μm未満の電界強度で分極の空間的変化が可能かどうかは、主として、検討中の材料(強誘電体材料)に関する2つの因子:第1に、Al原子の数と遷移金属原子の数との比率(図11c参照)、及び第2に、強誘電体層が圧縮応力又は引張応力下にある度合い(図11b参照)、によって決まる。
図11bには、本発明の一例に係るAl0.73Sc0.27N層の機械的応力にわたり測定された保磁場の平均量Eが示されている。線図の縦軸は、測定した保磁場の平均量((Ec,+-Ec,-)/2)を表し、横軸は、機械的応力を示す。高い引張応力下の(強誘電体材料の)層の場合、必要なScの割合(遷移金属の割合)は減少し、圧縮応力の場合、増加するであろう。層のSc含有量、機械的応力、及び製造を設定する方法は、[11、12]の著者らによって概して説明されている。強誘電体材料Al0.73Sc0.27Nは、AlNと少なくとも1つの遷移金属窒化物とを含む混晶を有する強誘電体材料の一例である。
図11cは、本発明の一実施形態に係るAlScN層のSc含有量にわたり測定された保磁場の平均量を示す線図である。縦軸に、測定した保磁場の平均量((Ec,+-Ec,-)/2)が示され、横軸に、Al1-xScNのxが示される。強誘電体層の機械的応力は、常に[0 200MPa]の区間内にあり(しかしながら、区間はまた、-1000MPa~600MPa、-400MPa~+400MPa、又は-200MPa~200MPaの範囲であり得る)、したがって比較に値する。
この状況でAl1-xScNで行った測定は、分極の強誘電性の切り替えが、例えば、層(強誘電体層)の機械的応力が引張応力から圧縮応力への遷移に近いという条件で、約x=0.27のSc含有量から可能であることを示した。より強い引張応力下での強誘電体層の場合、必要なSc含有量は、図11bに示すように減少し、圧縮応力の場合、増加するであろう。Al0.73Sc0.27N層の場合、例えば、機械的応力は、-300MPa~2000MPa又は-200MPa~1000MPaの区間内であるべきであり、負の値は圧縮応力に対応し、正の値は引張応力に対応する。図11cでの関係性に起因して、Al0.64Sc0.36Nの場合、より多くの圧縮応力、例えば、-600MPa~2000MPa又は-500MPa~1000MPaの区間内の機械的応力が許容され得る。
図12は、本発明の一実施形態に係る強誘電体Al0.57Sc0.43N(強誘電体材料の例)及びPZT(CMOS対応ではなく高度に非線形であり且つ低い降伏電圧を有する従来技術の強誘電体材料の例)に関する1mmの電極表面積を有する基板に垂直に作用する圧電力が比較で示さる、線図を示す。縦軸に力がプロットされ、横軸に電界がプロットされている。強誘電力は、レーザダブルビーム干渉法により測定された層の伸長から計算した。第1の曲線620は、強誘電体AlScNの電界に対する力挙動を示し、第2の曲線630は、PZT材料の電界に対する力の依存性を示す。
強誘電体材料の別の優れた特性は、印加電界から生じる力が上記電界に対して線形である範囲が、非常に広いことである(図12の第1の曲線620参照)。結果として、>50V/μmの高い電界強度を備えた線形のバイポーラ駆動が可能である。強誘電体材料は、電界と、結果として生じる力との間の関係性が線形である範囲が広い(同じことが、この材料に基づくn層アクチュエータにも当てはまる)。これは、保磁場Ec-及びEc+間の非常に広い範囲内のバイポーラ電圧での動作を可能にする。
図13a及び図13cは、Al1-xScNの例を用いながらwurtzite型のユニットセルの略図を示し、図13bは、本発明の実施形態に係るAl1-xScNの例を用いながら六角形構造のユニットセルの略図を示す。電気分極P640は、結晶のc軸(光軸)と平行に配置される。金属650平面と窒素652平面の互いの相対位置に応じて、分極640の符号が変化する。図13aでは、ユニットセルは負分極640を有し、図13bでは両方の平面(金属650平面と窒素652平面)が合同し(六角形構造)、それにより電気分極が消失し、図13cでは分極640は正である。
発見された強誘電性挙動の理由は、公表された理論的計算によってたどることができる[19]。例えばAl1-xScNにおけるScの比率の増加の結果として、AlNのwurtzite型結晶構造は、エネルギー的に六方相に近づく、すなわち、金属原子と窒素原子が1つの平面内に配置される構造である(図13b参照)。この構造は、wurtzite型構造の、2つの可能な分極方向(図13a及び図13c参照)間の遷移構造として機能し得る。
このための前提条件は、材料の対応する遷移金属の比率及び対応する機械的応力を選択することにより、2つの結晶構造が互いにエネルギー的に十分に近くなり、分極方向に対抗する電界によって六角形構造の最大エネルギーを克服することである。その後、分極は、その電界の方向にすぐに切り替えられる。この切り替えプロセスは、電界を反転させることによって逆にすることができる。したがって、この材料は強誘電体である。
この機構は、これまでGaScNに関して理論的にのみ計算されている[19]。しかしながら、同効果が、研究されているAlNベースの混晶の強誘電体挙動の要因である可能性が高い。AlNとScNとの混晶に加えて、例えば、YN、TiN、NbN、又はCrNなどの他の遷移金属元素の窒化物、又はこれらの混合物との組成物も考えられる。
強誘電体材料は、外部電界Eによってその方向が決まる、空間的に回転できる電気分極Pによって特徴付けられる。有効な電界に対する分極の配向に応じて、材料はさらに、膨張又は収縮する(圧電効果)。この効果はアクチュエータで用いられ得る。マイクロシステム技術では、例えば、強誘電性の誘電体を備えた平板コンデンサが、この目的のために、受動層上に堆積され、構造化される(図14a参照)。
図14aは、本発明の一実施形態に係る第1の電極720を有する受動層710が堆積される基板700を示す。第2の電極722を備える強誘電体層730が、第1の電極720上に堆積される。層730は極性740を有する。この構成も、強誘電体層730内に本明細書で説明される強誘電体材料を用いて実装され得る。
言い換えれば、図14aは、受動層710上に強誘電性の誘電体(強誘電体層730)を備える平行板コンデンサからなる圧電アクチュエータのスケッチを示す。受動層710は、例えば、超音波トランスデューサの膜又は拡声器の膜であり得る。
図14b及び図14cも、本発明の一実施形態に係るアクチュエータとして強誘電体層を用いる例を示す。図14aと同じ構成(基板700、受動層710、第1の電極720、強誘電体層730、及び第2の電極722)が用いられる。図14bの強誘電体層730と図14cの強誘電体層730は両方とも正の極性740を有する。図14bでは、しかしながら、第1の電極720及び第2の電極722に、図14cの第1の電極720及び第2の電極722に印加されるのとは異なる電圧が印加され、その結果、図14cでの電界方向752を有する電界750とは異なる、図14bでの電界方向752を有する電界750をもたらす。
図14bで、強誘電体層730の極性740は、電界方向752に整流され、強誘電体層730に圧縮760を引き起こす。
図14cで、強誘電体層730の極性740は、電界方向752とは反対であり、強誘電体層730に伸長762を引き起こす。
電圧Uが印加されるときの強誘電体材料の横方向の収縮(圧縮)又は膨張(伸長)の結果として、分極方向740に応じて基板700内に圧縮応力又は引張応力が生じ、したがって、上記基板700を変形させる(図14b及び図14c参照)。変形の根底にある機械的な力は、材料(強誘電体材料)の圧電係数、その分極方向740、及び利用可能な電圧によって生じる[1]。
図14b及び図14cは、従来技術のアクチュエータとして強誘電体層を用いる例を示し、これは、本明細書で説明される強誘電体材料にも適用され得る。言い換えれば、図14b及び図14cは、外部電界750の結果として強誘電体層730が変形することを説明する。材料分極に対する電界750の配向(電界方向752)に応じて、能動層(強誘電体層730)の伸長(図14cの伸長762参照)又は圧縮(図14bの圧縮760参照)のいずれかが起こり、両方とも機械的に結合されているので、結果として受動層710を圧縮又は伸長する。強誘電体層730は、受動層710に結合される。
固定電圧について力を増加させる1つの方法は、多層システムを用いることである。それを超えると利用可能な電圧が印加される、同一の強誘電体係数を示すn層の強誘電体材料を用いるとき、結果として生じる力は最大でn倍増加され得る[2]。
図15a及び図15bには、本発明の一実施形態に係る強誘電体多層システムが示されている。この強誘電体多層システムは、基板700、受動層710、第1の電極720、第2の電極722、第3の電極724、第1の強誘電体層730、及び第2の強誘電体層732を備える。
図15aでは、第1の強誘電体層730において、分極740は電界方向752に整流され、それにより第1の強誘電体層730が圧縮760され、第2の強誘電体層732において、分極740は電界方向752とは反対であり、それにより第2の強誘電体層732が伸長762される。したがって、第2の強誘電体層732の伸長762が第1の強誘電体層730の圧縮760によって打ち消され、受動層710で変化は起こらない。したがって、図15aは、図示した設計において強誘電体層の分極をチェックする必要性を例証する。
図15bでは、第1の強誘電体層730の分極740は電界方向752に整流され、第2の強誘電体層732の分極740は電界方向752に整流される。したがって、第1の強誘電体層730と第2の強誘電体層732との両方が圧縮760される。
言い換えれば、図15a及び図15bは、共通の電極722を備えた2つの平板コンデンサからなる単純な圧電二層アクチュエータの概要を示す。中立面は受動層710内にあると想定される。
図15aでは、両方の強誘電体層が同一の分極方向740を有する。作用力F(圧縮760及び伸長762)の結果として、上層(第2の強誘電体層732)は膨張するはずであり、下層(第1の強誘電体層730)は圧縮するはずである。全体としては、2つの効果(圧縮760及び伸長762)が互いに概ね打ち消し合い、運動は誘起されない。
図15bでは、2つの強誘電体層(第1の強誘電体層730と第2の強誘電体層732)が反対に分極740される。したがって、外部電界の結果として両方とも圧縮される。したがって、同じ電圧を想定するとき、単層の2倍の力が受動層に作用する。
図15a及び図15bに示す二層アクチュエータの2つの設計は、従来技術から公知であるが、本明細書で説明される発明にも適用され得る。例えば、図15a及び図15bの第1の強誘電体層730及び第2の強誘電体層732は強誘電体材料を含み得る。
図16は、本発明の一実施形態に係る強誘電体多層アクチュエータの可能な実装を示す。この多層アクチュエータ800は、受動層710、強誘電体層730~730、電極720j-1~720n+1、及び電源770を有する。
図16は、交番して整列された分極780~780(n~j個の強誘電体層、j<0、n>0)を有する強誘電体多層アクチュエータの可能な一連の層を示す。強誘電体の場合、十分に大きい電界を印加した後で、すべての能動分極ドメイン(分極780~780)は、印加電界に沿って整列される。ここで示されるのは、受動層710の両側に能動強誘電体層730~730を備えた実装である。一般に、受動層710はまた、片側でのみ分与又はコーティングされ得る(例えばj=0)。いずれにしても、中立面(受動層710内に位置する)よりも上の強誘電体層730~730の作用力は、それぞれの力の補償の可能性を回避するために、下の層の符号とは反対の符号でなければならない。この実施形態で用いられ得る典型的な強誘電体の例は、PZTである。図16で説明される多層アクチュエータ800の実施形態も、強誘電体層730~730のうちの少なくとも1つが強誘電体材料を含むという点で、本明細書で説明される強誘電体材料(AlNと少なくとも1つの遷移金属窒化物とを含む混晶からなる)で実装され得る。
例えばAl1-xScNなどの強誘電体は、このクラスの材料は外部電界の電界方向に沿ってその電気分極の固有の整列を有するので、図16に示すように効果的な多層アクチュエータを形成するために、絶縁層の追加なしに組み合わされ得る。したがって、図16に示される個々の電極720j-1~720n+1の電気接触によれば、すべての強誘電体層730~730は、理想的な符号で全体の力に寄与する。受動層710の両側に能動強誘電体層730~730を設ける可能性に加えて、単純化のために、これらを片側のみにコーティングすること(j=0)、又は電極720j-1~720n+1と一緒に、すなわち受動層710なしに、排他的に強誘電体多層から構造を設計することが有利であり得る。いずれにしても、適切な分極780~780の選択の際に、中立面の位置を考慮に入れなければならない。この平面よりも上の層は、それらの力を下の層とは反対の符号で結合する必要がある。
図17は、本発明の一実施形態に係る電気的に絶縁された個々の層による圧電多層アクチュエータ800の可能な一連の層の一実装を示す。多層アクチュエータ800は、受動層710、圧電体層730~730、電極720~7202n、絶縁体790~790n-1、及び電源770を有する。絶縁体790~790n-1による絶縁は、その分極780~780がそれぞれ同じ方向を向く非強誘電性の焦電体(AlNなど)の効率的な使用を可能にする。簡単にするために、片側でコーティングされた受動層710のケースのみが示される。原則として、すべての説明した原理(両側にコーティングされた受動層、受動層なし)は、さらなる絶縁体790~790n-1と共に実装され得る。
AlNなどの非強誘電性の焦電体の分極780~780は、後で変更できないため、それは材料の製造中にのみ定義される。1つの同じプロセスによって製造される多層システムではしたがって、すべての層(すべての圧電体層730~730)の分極は、同じ方向を向き、理想的には基板に(受動層710に)垂直である。したがって、効果的な駆動を保証するために、励起電界もすべての個々の層で同じ方向を向いていなければならない。したがって、多層の個々のコンデンサ構造体を電気的に分離する必要がある(図17参照)。図17の多層アクチュエータ800であっても、従来技術から公知のように、強誘電体の使用と比較して欠点(強誘電体層ごとに少なくとも2つの層の追加、すなわち、絶縁体とさらなる電極が必要となることなど)を有し、それにもかかわらず、多層アクチュエータ800も、本明細書で説明される本発明の一実施形態であり得る。これは、圧電体層730~730のうちの少なくとも1つが強誘電体材料を含むという点で達成される。
図18は、本発明の一実施形態に係る圧電バイモルフ900の可能な一連の層の一実装を示す。このバイモルフ900は、受動層710、第1の圧電体層730、第2の圧電体層732、第1の電極720、第2の電極722、第3の電極724、第4の電極726、及び電源770を有する。受動層710は随意的である。圧電体層の数はn=2に制限され、第1の圧電体層730は極性740aを有し、第2の圧電体層732は極性740bを有する。この圧電バイモルフの一連の層は、例えば、従来技術によるAlNで既に用いられている。しかしながら、本明細書で説明される強誘電体材料を用いることも可能である。したがって、図18のバイモルフ900も、2つの圧電体層の少なくとも1つ(第1の圧電体層730及び/又は第2の圧電体層732)が、AlNと少なくとも1つの遷移金属窒化物とを含む混晶を有する強誘電体材料を含むという点で、本明細書で説明される本発明に係る一実施形態であり得る。
いくつかの態様をデバイスと組み合わせて説明してきたが、これらの態様は対応する方法の説明も表すと理解されるので、デバイスのブロック又はコンポーネントも、対応する方法ステップとして又は方法ステップの特徴として理解されるべきである。同様に、方法ステップと組み合わせて又は方法ステップとして説明された態様も、対応するブロックの説明、又は対応するデバイスの詳細又は特徴を表す。
参考文献
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Claims (19)

  1. 強誘電体材料(100)であって、
    AlN(120)と少なくとも1つの遷移金属窒化物(130)とを含む混晶(110)、
    を含み、
    機械的応力が、-200MPa~200MPaの区間内にあり、負の値が、圧縮応力を表しかつ正の値が、引張応力を表し、
    前記遷移金属窒化物(130)の比率が、前記強誘電体材料(100)の初期又は自発極性(140、142、260、640、740、740a、740b、780)の方向が切替電圧(150)を印加することにより切替可能であるように選択され、前記切替電圧(150)は前記強誘電体材料の降伏電圧(100)よりも低く、
    遷移金属原子の数とアルミニウム原子の数との和に対する遷移金属原子の数の比率が、0.3以上~0.36以下の範囲である、
    強誘電体材料(100)。
  2. 前記強誘電体材料(100)の極性の方向(140、142、260、640、740、740a、740b、780)が、前記印加された切替電圧(150)の除去後に維持される、請求項1に記載の強誘電体材料(100)。
  3. 前記遷移金属が、スカンジウム、イットリウム、チタン、ニオブ及び/又はクロムを含む、請求項1又は請求項2に記載の強誘電体材料(100)。
  4. 方法であって、
    初期の又は自発的な極性を有する混晶(110)を提供することであって、混晶(110)が、AlN(120)と少なくとも1つの遷移金属窒化物(130)とを含む、提供することと、
    前記遷移金属窒化物(130)の比率が、前記強誘電体材料(100)の初期の又は自発的な極性の方向(140、142、260、640、740、740a、740b、780)が切替電圧(150)を印加することにより切替可能であるように選択することであって、前記切替電圧(150)は前記強誘電体材料の降伏電圧(100)よりも低く、かつ
    前記混晶(110)の初期又は自発極性の方向(140、142、260、640、740、740a、740b、780)が反転されるように、前記混晶に前記切替電圧(150)を印加することと、
    を含む、方法。
  5. 前記提供することが、前記混晶を有する少なくとも1つの強誘電体層(210)を備え、かつそれらの間に配置される前記強誘電体層(210)を有する少なくとも2つの電極(230、232)を備えるMEMSコンポーネント(200)を提供することを含み、
    前記混晶に切替電圧(150)を印加することが、前記電極に前記切替電圧を印加することを含む、
    請求項に記載の方法。
  6. 請求項1~請求項のいずれかに記載の強誘電体材料(100)を含むMEMSコンポーネント(200)。
  7. 前記強誘電体材料(100)を含む第1の強誘電体層(210、730)と、
    前記第1の強誘電体層(210、730)の第1の表面(220)上に配置された第1の電極(230、722)と、
    前記第1の強誘電体層(210、730)の第2の表面(221)上に配置された第2の電極(232、720)であって、前記第2の表面(221)は前記第1の表面(220)とは反対側にある、第2の電極(232、720)と、
    を備える、請求項に記載のMEMSコンポーネント(200)。
  8. 前記第1の強誘電体層(210、730)とは反対側で前記第1の電極(230、722)上に配置され前記強誘電体材料(100)を含む第2の強誘電体層(212、732)と、
    前記第2の強誘電体層(212、732)の第1の表面(222)上に配置された第3の電極(234)であって、前記第2の強誘電体層(212、732)の前記第1の表面(222)は前記第1の電極(230、722)から離れる方に配置される、第3の電極(234)と、
    を備え、
    前記第1の強誘電体層(210)の極性が、前記第2の強誘電体層(212)の極性とは反対の方向を向く、
    請求項に記載のMEMSコンポーネント(200)。
  9. 前記第1の電極(230、722)が、第1の電極層(231a、724)及び第2の電極層(231b、722)を備え、かつ
    中立面が存在する絶縁層(231c、240、710)が、前記第1の電極層(231a、724)と前記第2の電極層(231b、722)との間に配置される、請求項に記載のMEMSコンポーネント(200)。
  10. 前記第1の電極(230、722)が、第1の電極層(231a、724)及び第2の電極層(231b、722)を備え、かつ
    中立面が存在する受動層(231c、240、710)が、前記第1の電極層(231a、724)と前記第2の電極層(231b、722)との間に配置される、請求項に記載のMEMSコンポーネント(200)。
  11. 前記第2の強誘電体層(212、732)とは反対側で、前記第3の電極(234)に配置された第3の強誘電体層(214)と、
    前記第3の強誘電体層(214)の第1の表面(223)上に配置された第4の電極(236)であって、前記第3の強誘電体層(214)の前記第1の表面(223)は前記第3の電極(234)から離れる方に面するように配置される、第4の電極(236)と、
    前記第1の強誘電体層(210、730)とは反対側で、前記第2の電極(232、720)上に配置された第4の強誘電体層(216)と、
    前記第2の電極(232、720)から離れる方に面する前記第4の強誘電体層(216)の第1の表面(224)上に配置された第5の電極(238)と、
    を備える、請求項~請求項10のいずれかに記載のMEMSコンポーネント(200)。
  12. 前記第2の電極(232、720)上に配置された受動層(231c、240、710)を備える、請求項又は請求項のいずれかに記載のMEMSコンポーネント(200)。
  13. 前記受動層(231c、240、710)が、少なくとも一方の側で基板(310)に接続される、請求項10~請求項12のいずれかに記載のMEMSコンポーネント(200)。
  14. 前記MEMSコンポーネント(200)が、多層MEMSアクチュエータ、多層MEMSセンサ又は多層MEMS発電機を含み、かつ
    前記MEMSコンポーネントが、交番して整列された分極を有する一連の層を備える、
    請求項~請求項13のいずれかに記載のMEMSコンポーネント(200)。
  15. MEMSデバイス(300)であって、
    基板(310)と、
    請求項10~請求項12のいずれかに記載の第1のMEMSコンポーネント(200)であって、前記MEMSコンポーネント(200)の前記受動層(231c、240、710)が、前記基板(310)上に歪められるように配置される、第1のMEMSコンポーネント(200)と、
    を備える、MEMSデバイス(300)。
  16. 請求項10~請求項12のいずれかに記載のMEMSコンポーネントを2つ備え、第1のMEMSコンポーネント(200)の受動層(231c、240、710)と第2のMEMSコンポーネント(201)の受動層(231c、240、710)とが共同であり、かつ前記第1のMEMSコンポーネント(200)及び第2のMEMSコンポーネント(201)の前記電極層及び前記強誘電体層が、並列に配置される
    請求項15に記載のMEMSデバイス(300)。
  17. MEMSコンポーネント(200)を製造する方法であって、
    第1の電極(232、720)、第1の強誘電体層(210、730)、第2の電極(230、722)、第2の圧電体層(212、732)及び第3の電極(234)をこの順でスタックすることであって、前記第1の強誘電体層(210、730)と前記第2の圧電体層(212、732)が、同じ分極方向(140、142、260、640、740、740a、740b、780)を有しかつ少なくとも前記第1の強誘電体層(210、730)が、
    AlN(120)と少なくとも1つの遷移金属窒化物(130)とを含む混晶(110)を含む強誘電体材料(100)を含む、スタックすること
    を含み、
    前記遷移金属窒化物(130)の比率が、前記強誘電体材料(100)の極性の方向(140、142、260、640、740、740a、740b、780)が切替電圧(150)を印加することにより切替可能であるように選択され、前記切替電圧(150)は前記強誘電体材料の降伏電圧(100)よりも低く、かつ
    前記第1の電極(232、720)に及び前記第2の電極(230、722)に切替電圧(150)を印加することであって、前記第1の強誘電体層(210、730)の分極方向(140、142、260、640、740、740a、740b、780)が、前記第1の強誘電体層(210、730)の分極方向(140、142、260、640、740、740a、740b、780)が反転されるように、反転される、印加すること、
    をさらに含む、
    方法。
  18. 前記第1の電極(232、720)、前記第1の強誘電体層(210、730)、前記第2の電極(230、722)、前記第2の圧電体層(212、732)及び前記第3の電極(234)が、基板(310)上にスタックされ、かつ
    前記第1の電極(232、720)、前記第1の強誘電体層(210、730)、前記第2の電極(230、722)、前記第2の圧電体層(212、732)及び前記第3の電極(234)をスタックする前又はスタックした後にCMOSプロセスを用いて集積回路の1つ又は複数の回路コンポーネントを前記基板(310)に集積することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
  19. 前記基板が、前記第1の電極又は前記第3の電極のいずれかに隣接する、請求項18に記載の方法。
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