JP7088388B1 - 粘着テープ - Google Patents

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Abstract

【課題】粘着テープに対して基板を貼付した状態で、基板を厚さ方向に切断することで個片化された部品を得た後に、個片化された部品をピックアップする際に用いられる粘着テープにおいて、基板を切断して個片化された部品を得るときには、粘着層により基板を安定的に固定しつつ、個片化された部品をピックアップするときには、粘着テープが備える粘着層に対するエネルギーの付与を省略したとしても、個片化された部品から粘着テープを安定的に剥離させることが可能な粘着テープを提供すること。【解決手段】粘着テープ100は、基材4と粘着層2とを備え、粘着層2は、エネルギーの付与により粘着力が低下しないものであり、シリコンウエハの表面に粘着テープを貼付し、次いで、粘着テープの一端を持ち30°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度が100cN/20mm以上600cN/20mm以下である。【選択図】図2

Description

本発明は、基板および部品を仮固定して用いられる粘着テープに関するものである。
近年の電子機器の高機能化とモバイル用途への拡大に対応して半導体装置の高密度化、高集積化の要求が強まり、ICパッケージの大容量高密度化が進んでいる。
これらの半導体装置の製造方法としては、例えば、まず、基板としての半導体基板(半導体ウエハ)に粘着テープを貼付し、半導体基板の周囲をウエハリングで固定しながら、ダイシングソーを用いたダイシング工程で、半導体基板を厚さ方向に切断することで、半導体基板を個々の半導体素子(半導体チップ)に切断分離(個片化)する。次いで、ウエハリングを用いて粘着テープを放射状に伸ばすことで、隣接する半導体素子同士の間に間隙を形成するエキスパンディング工程の後、個片化した半導体素子を、ニードルを用いて突き上げた状態で、ピックアップするピックアップ工程を行う。次いで、このピックアップした半導体素子を金属リードフレームあるいは基板(例えばテープ基板、有機硬質基板等)に搭載するための搭載工程へ移送する。ピックアップされた半導体素子は、搭載工程で、例えば、アンダーフィル材を介してリードフレームあるいは基板に接着され、その後、リードフレームあるいは基板上で半導体素子を封止部により封止することで半導体装置が製造される。
このような半導体装置の製造に用いられる粘着テープ(ダイシングテープ)について、近年、種々の検討がなされている(例えば、特許文献1参照。)。
この粘着テープは、一般に、基材(フィルム基材)と、この基材上に形成された粘着層とを有するものであり、粘着層により半導体基板が固定される。また、半導体基板のダイシング工程後に半導体素子のピックアップが実現できるように、粘着層は、通常、粘着性を有するベース樹脂および光硬化性樹脂等を含有する樹脂組成物で構成されている。つまり、ダイシング工程後、粘着層にエネルギーが付与されると、樹脂組成物が硬化して粘着層の粘着性が低下し、そのため、ピックアップ工程において、半導体素子を、ニードルを用いて突き上げた際に、半導体素子から粘着テープを剥離させることができ、その結果、半導体素子のピックアップが実現できるようになっている。
ここで、上記のような構成をなす粘着テープでは、ピックアップ工程において、半導体素子をピックアップするため、すなわち、半導体素子から粘着テープを剥離させるために、前述の通り、ピックアップ工程に先立って、粘着層にエネルギーを付与して粘着層の粘着力を低下させる必要が生じる。
そのため、粘着層の粘着力を低下させるための工程を必要とし、時間と手間を要したり、粘着層にエネルギーを付与するための設備を要するため、コスト面での負担が大きくなる等の問題があった。
そこで、前記ダイシング工程においては、粘着層により半導体基板を安定的に固定しつつ、ピックアップ工程において、粘着層に対するエネルギーの付与を省略したとしても、半導体素子から粘着テープを安定的に剥離させることが可能な粘着テープの開発が求められているのが実情である。
また、このような問題は、基板としての半導体基板(半導体用ウエハ)を厚さ方向に切断することで、部品としての半導体素子を得る場合に限らず、ガラス基板、セラミック基板、樹脂材料基板および金属材料基板のような各種基板を粘着テープに固定した状態で厚さ方向に切断(個片化)して、個片化された部品を得た後に、この部品から粘着テープを剥離させる場合等においても同様に生じている。さらには、個片化する工程に限らず、例えば、半導体封止連結体や半導体基板等の各種基板を薄厚化する工程を経た後、この部品から粘着テープを剥離させる場合、半導体封止連結体を輸送および保管する工程を経た後、この部品から粘着テープを剥離させる場合、および、半導体封止連結体を個片化することで得られる部品としての半導体封止体を再配置する工程を経た後、この部品から粘着テープを剥離させる場合等においても同様に生じている。
特開2009-245989号公報
本発明の目的は、粘着テープに対して基板を貼付した状態で、基板を加工した後に、加工が施された基板もしくは部品をピックアップすることで剥離させる際に用いられる粘着テープにおいて、基板を加工するときには、粘着層により基板を安定的に固定しつつ、加工が施された基板もしくは部品をピックアップするときには、粘着テープが備える粘着層に対するエネルギーの付与を省略したとしても、加工が施された基板もしくは部品から粘着テープを安定的に剥離させることが可能な粘着テープを提供することにある。
このような目的は、下記(1)~(11)に記載の本発明により達成される。
(1) 樹脂材料を含有する基材と、該基材の一方の面に積層された粘着層と、を備える積層体により構成され、基板および部品のうちの少なくとも一方を仮固定して用いられる粘着テープであって、
前記粘着層は、粘着性を有するベース樹脂を含有し、エネルギーの付与により、前記粘着層上に積層された前記基板および部品に対する粘着力が低下しないものであり、また、
当該粘着テープは、表面を#2000研磨したシリコンウエハの前記表面に、幅20mmの当該粘着テープを貼付し、次いで、23℃・1時間の条件で保持した後に、23℃の環境下で、当該粘着テープの一端を持ち、30°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度が100cN/20mm以上600cN/20mm以下であり、
前記粘着層は、レオメーターを用いて、温度23℃、歪量1mrad、周波数1Hzで測定した複素粘度η が1.0×10 mPa・s以上6.0×10 mPa・s以下であることを特徴とする粘着テープ。
(2) 30°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される前記引き剥がし強度をA[cN/20mm]とし、180°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される前記引き剥がし強度をC[cN/20mm]としたとき、0≦|C-A|≦500なる関係を満足する上記(1)に記載の粘着テープ。
(3) 30°の方向にて300mm/分の速度で、当該粘着テープを引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度をB[cN/20mm]とし、180°の方向にて300mm/分の速度で、当該粘着テープを引き剥がしたときに測定される前記引き剥がし強度をD[cN/20mm]としたとき、0≦|D-B|≦500なる関係を満足する上記(1)または(2)に記載の粘着テープ。
(4) 前記粘着テープは、表面を#2000研磨したシリコンウエハの前記表面に、幅20mmの当該粘着テープを貼付し、次いで、60℃・24時間の条件で保持した後に、23℃の環境下で、当該粘着テープの一端を持ち、30°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度をA2[cN/20mm]としたとき、0.7≦A2/A≦1.5なる関係を満足する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の粘着テープ。
) 前記ベース樹脂は、そのガラス転移点が、-70℃以上-50℃以下である、上記(1)ないし()のいずれかに記載の粘着テープ。
) 前記ベース樹脂は、2-エチルヘキシルアクリレートをモノマー単位に含むアクリル系樹脂である上記(1)ないし()のいずれかに記載の粘着テープ。
) 前記粘着層は架橋剤を含み、前記架橋剤はエポキシ系架橋剤である上記(1)ないし()のいずれかに記載の粘着テープ。
) 前記粘着層は、さらに、可塑剤を含有する上記(1)ないし()のいずれかに記載の粘着テープ。
) 前記粘着層は、その厚さが5μm以上50μm以下である上記(1)ないし()のいずれかに記載の粘着テープ。
10) 前記基材は、前記粘着層側と反対側の表面における表面抵抗率が1.0×1013(Ω/□)以下である上記(1)ないし()のいずれかに記載の粘着テープ。
11) 当該粘着テープを平面視で見たとき、前記基材と前記粘着層との界面に形成されている気泡は、面積が100μm以上のものの数が、15.0個/mm以下である上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の粘着テープ。
本発明によれば、表面を#2000研磨したシリコンウエハの前記表面に、幅20mmの当該粘着テープを貼付し、次いで、23℃・1時間の条件で保持した後に、23℃の環境下で、当該粘着テープの一端を持ち、30°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度が100cN/20mm以上600cN/20mm以下であることを満足している。そのため、本発明の粘着テープを、基板の個片化、および、この個片化により得られた部品のピックアップに適用した場合には、前述の通り、30°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度が100cN/20mm以上であることを満足しているため、基板を厚さ方向に切断することで個片化された部品を得る際には、粘着層により基板を安定的に固定することができる。また、粘着テープが、エネルギーの付与により、基板および部品に対する粘着力が低下しない粘着層を備える構成をなし、粘着テープが備える粘着層に対するエネルギーの付与を省略したとしても、個片化された部品をピックアップする際には、30°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度が600cN/20mm以下に設定されているため、個片化された部品から粘着テープを安定的に剥離させることができる。
本発明の粘着テープを用いて製造された半導体装置の一例を示す縦断面図である。 図1に示す半導体装置を、本発明の粘着テープを用いて製造する方法を説明するための縦断面図である。 図1に示す半導体装置を、本発明の粘着テープを用いて製造する方法を説明するための縦断面図である。 図2中の点線で囲まれた領域[A]に位置するニードルの周辺を拡大した拡大図である。 図2中の点線で囲まれた領域[A]に位置するニードルの周辺を拡大した拡大図である。 粘着テープの実施形態を示す縦断面図である。 図6に示す粘着テープを製造する方法を説明するための縦断面図である。
以下、本発明の粘着テープについて詳細に説明する。
まず、本発明の粘着テープを説明するのに先立って、本発明の粘着テープを用いて製造された半導体装置について説明する。
<半導体装置>
図1は、本発明の粘着テープを用いて製造された半導体装置の一例を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、本明細書で参照する各図面では、それぞれ、左右方向および/または厚さ方向の寸法を誇張して図示しており、実際の寸法とは大きく異なる。
図1に示す半導体装置10は、半導体チップ(半導体素子)20と、半導体チップ20を支持するインターポーザー(基板)30と、複数の導電性を有するバンプ(端子)70と、半導体チップ20を封止するモールド部(封止部)17とを有している。
インターポーザー30は、絶縁基板であり、例えばポリイミド・エポキシ・シアネート・ビスマレイミドトリアジン(BTレジン)等の各種樹脂材料で構成されている。このインターポーザー30の平面視形状は、通常、正方形、長方形等の四角形とされる。
インターポーザー30の上面(一方の面)には、例えば、銅等の導電性金属材料で構成される端子41が、所定形状で設けられている。
また、インターポーザー30には、その厚さ方向に貫通して、図示しない複数のビア(スルーホール:貫通孔)が形成されている。
各バンプ70は、それぞれ、各ビアを介して、一端(上端)が端子41の一部に電気的に接続され、他端(下端)は、インターポーザー30の下面(他方の面)から突出している。
バンプ70のインターポーザー30から突出する部分は、ほぼ球形状(Ball状)をなしている。
このバンプ70は、例えば、半田、銀ろう、銅ろう、燐銅ろうのようなろう材を主材料として構成されている。
また、インターポーザー30上には、端子41が形成されている。この端子41に、接続部81を介して、半導体チップ20が有する端子21が電気的に接続されている。
なお、本実施形態では、図1に示すように、端子21は、半導体チップ20に形成されている面側から突出する構成をなしており、端子41も、インターポーザー30から突出する構成をなしている。
また、半導体チップ20と、インターポーザー30との間の間隙には、各種樹脂材料で構成されるアンダーフィル材が充填され、このアンダーフィル材の硬化物により、封止層80が形成されている。この封止層80は、半導体チップ20と、インターポーザー30との接合強度を向上させる機能や、前記間隙への異物や水分等の浸入を防止する機能を有している。
さらに、インターポーザー30の上側には、半導体チップ20と、インターポーザー30とを覆うように形成されたモールド部17が半導体封止材料の硬化物(封止材)で構成されており、これにより、半導体装置10内において半導体チップ20が封止され、半導体チップ20に対する異物や水分等の浸入が防止される。
半導体チップ20(半導体素子)は、図1に示すように、半導体チップ本体部23(半導体素子本体部)と、半導体チップ本体部23の下面側から突出して設けられた端子21とを有している。半導体チップ本体部23は、その上面側に回路(図示せず)が作り込まれており、主としてSi、SiC、GaNまたはGaのような半導体材料で構成されている。
かかる構成の半導体装置10および半導体チップ20は、例えば、粘着テープを用いた半導体装置の製造方法により、以下のようにして製造される。
<半導体装置の製造方法>
図2、図3は、図1に示す半導体装置を、本発明の粘着テープを用いて製造する方法を説明するための縦断面図、図4、図5は、図2中の点線で囲まれた領域[A]に位置するニードルの周辺を拡大した拡大図である。なお、以下の説明では、図2~図5中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、図4、図5中では、左側に部分断面図を示し、右側に部分平面図を示す。さらに、本明細書で参照する各図面では、それぞれ、左右方向および/または厚さ方向の寸法を誇張して図示しており、実際の寸法とは大きく異なる。
[1A]まず、基材4と、基材4の上面に積層された粘着層2とを有する積層体により構成された粘着テープ100を用意し、図2(a)に示すように、その中心部122に半導体基板7(半導体用ウエハ)を、粘着層2の上に置き、軽く押圧し、半導体基板7を積層(貼付)する(貼付工程)。
この半導体基板7には、その上面に個片化することで形成される半導体チップ20(半導体チップ本体部23)が備える回路が予め形成され、また、下面には端子21が予め形成されており、半導体基板7は、回路が形成されている側の上面を粘着層2側にして粘着テープ100に貼付されている。そのため、粘着層2には、半導体基板7の回路が形成されている側の上面、すなわち凹凸が形成されている凹凸面が接合される。
[2A]次に、図2(b)に示すように、半導体基板7が積層された粘着テープ100をダイサーテーブル200の上に設置する。
[3A]次に、粘着層2の外周部121をウエハリング9で固定し、その後、図示しない、ダイシングソー(ブレード)を用いて基板としての半導体基板7を切断(ダイシング)して半導体基板7を個片化することで粘着テープ100上に部品としての半導体チップ20を得る(個片化工程;図2(c)参照)。
この際、粘着テープ100は、緩衝作用を有しており、半導体基板7を切断する際の割れ、欠け等を防止する。
また、ブレードを用いた半導体基板7の切断は、図2(c)に示すように、基材4の厚さ方向の途中まで到達するように実施する。これにより、半導体基板7の個片化を確実に実施することができる。
この本工程[3A]において、本発明の粘着テープ100が用いられる。すなわち、本工程[3A]における基板としての半導体基板7の厚さ方向に対する切断(ダイシング)において、粘着テープ100として、表面を#2000研磨した、シリコンウエハの前記表面に、幅20mmの粘着テープ100を貼付し、次いで、23℃・1時間の条件で保持した後に、23℃の環境下で、粘着テープ100の一端を持ち、30°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度が100cN/20mm以上600cN/20mm以下であることを満足しているものが用いられる。
このように、引き剥がし強度が100cN/20mm以上である粘着テープ100が用いられるため、本工程[3A]において、半導体基板7を厚さ方向に切断(ダイシング)して半導体基板7を個片化する際に、粘着テープ100上に半導体基板7を安定的に固定した状態で、半導体基板7の厚さ方向に対する切断を実施することができるが、その詳細な説明は後に行うこととする。
なお、この際、半導体基板7の切断時に生じる粉塵が飛散するのを防止すること、さらには、半導体基板7が不必要に加熱されるのを抑制することを目的に、半導体基板7には切削水を供給しつつ、半導体基板7が切断される。
[4A]次に、ウエハリング9で固定した、半導体基板7を貼付した粘着テープ100をダイシング装置(図示せず)からピックアップ装置(図示せず)に移し、粘着層2の外周部121においてウエハリング9により固定した状態で、テーブル300の外周部320に対して、その中心部310を上方に突き上げることで、粘着テープ100を放射状に伸ばし、これにより、個片化した半導体基板7すなわち部品としての半導体チップ20同士の間に、一定の間隔を有する間隙を形成する(エキスパンディング工程;図2(d)参照。)。
[5A]次に、前記工程[4A]を経ることにより、間隙が形成された状態で、半導体チップ20を、真空コレットまたはエアピンセットによる吸着等によりピックアップする(ピックアップ工程;図2(e)参照。)。
この半導体チップ20のピックアップは、前記工程[4A]における、粘着テープ100を放射状に伸ばす前記エキスパンディング工程の後に、ニードル430(図2においては図示せず)を、図4(c)に示すように、エジェクターヘッド410から突出させる。すなわち、ニードル430を、厚さ方向に突出させる。その結果、粘着テープ100に貼付された半導体チップ20が、ニードル430を用いて突き上げられ、これにより、図5(c)に示すように、粘着テープ100から剥離させた状態として、半導体チップ20がピックアップされる。
ここで、半導体チップ20が、本実施形態のように、その平面視形状が矩形状をなす場合、図4、図5に示すように、一般的に、ニードル430を用いた半導体チップ20の突き上げは、4つのニードル430を用いて、半導体チップ20の4隅に、それぞれ、各ニードル430が対応するように配置させた状態で、半導体チップ20の4隅をほぼ同時に突き上げることにより実施される。
なお、本実施形態では、以降「4隅をほぼ同時に4つのニードルで突き上げる」ことを中心に説明するが、一例であり半導体チップ20のピックアップの方法はこれに限定されない。
そして、ICパッケージの大容量高密度化に伴い、半導体チップ20の薄厚化が進んでいる。そのため、ニードル430をエジェクターヘッド410から突出させることで、この半導体チップ20の4隅をほぼ同時に4つのニードル430で突き上げると、半導体チップ20は、その4隅を頂部とし、中央部を底部とした湾曲形状をなすものとなる(図4(c)等参照)。その後、この湾曲形状を半導体チップ20が維持した状態で、半導体チップ20の4隅近傍から、半導体チップ20から粘着テープ100が剥離する。すなわち、半導体チップ20と粘着テープ100とが接合した接合部101の一部が、半導体チップ20の4隅近傍において、半導体チップ20から粘着テープ100が剥離した剥離部102を形成する。
その後、この4隅から中央部に向かって粘着テープ100の剥離が進行し、すなわち、接合部101での剥離部102の形成が進行し(図4(b)~図5(b)参照)、中央部における粘着テープ100の剥離が完了することで、半導体チップ20からの粘着テープ100の剥離が終了する。すなわち、全ての接合部101が剥離部102へと変換される(図5(c)参照)ことで、半導体チップ20から粘着テープ100が剥離される。なお、このとき、半導体チップ20の湾曲形状は、粘着テープ100の剥離の進行にしたがって、継続的に緩和され、半導体チップ20は、最終的には、半導体チップ20からの粘着テープ100の剥離が終了した時点で平板形状をなすものとなる。
この本工程[5A]において、本発明の粘着テープ100が用いられる。すなわち、本工程[5A]における部品としての半導体チップ20のピックアップにおいて、粘着テープ100として、表面を#2000研磨した、シリコンウエハの前記表面に、幅20mmの粘着テープ100を貼付し、次いで、23℃・1時間の条件で保持した後に、23℃の環境下で、粘着テープ100の一端を持ち、30°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度が100cN/20mm以上600cN/20mm以下であることを満足しているものが用いられる。
このように、前記引き剥がし強度が600cN/20mm以下である粘着テープ100が用いられる。そのため、本工程[5A]において、個片化された半導体チップ20をピックアップする際に、粘着テープ100が、エネルギーの付与により、半導体基板7および半導体チップ20に対する粘着力が低下しない粘着層2を備える構成をなし、粘着テープ100が備える粘着層2に対するエネルギーの付与を省略したとしても、個片化された半導体チップ20から粘着テープ100を安定的に剥離させて、半導体チップ20をピックアップすることができるが、その詳細な説明は後に行うこととする。
以上のような工程[1A]~工程[5A]を経ることにより、粘着テープ100を用いて、半導体基板7から半導体チップ20が分離(個片化)される。すなわち、粘着テープ100が備える粘着層2上に、半導体基板7を固定した状態で、半導体基板7から基材4の厚さ方向の途中まで到達するように切断して、半導体基板7を個片化することで複数の半導体チップ20を形成する。その後、半導体チップ20同士の間に一定間隔の間隙を形成した状態で、粘着層2にエネルギーを付与することで粘着層2を硬化させた後、さらに、基材4側から半導体チップ20を突き上げた状態として、基材4の反対側から引き抜くことにより、半導体チップ20が粘着層2から分離される。
[6A]次に、ピックアップした半導体チップ20を、真空コレットまたはエアピンセットから実装用プローブ等に受け渡して上下反転させた後、図3(a)に示すように、この半導体チップ20が備える端子21と、インターポーザー30が備える端子41とを、端子41上に設けられた半田バンプ85を介して対向させて、インターポーザー30上に載置する。すなわち、半導体チップ20の端子21が形成された面を下側にして、半導体チップ20(半導体素子)をインターポーザー30(基板)上に載置する。
[7A]次に、図3(b)に示すように、端子21と端子41との間に介在した半田バンプ85を加熱しつつ、インターポーザー30と半導体チップ20とを接近させる。
これにより、溶融した半田バンプ85が端子21および端子41の双方に接触し、この状態で、冷却することで、接続部81が形成され、その結果、接続部81を介して、端子21と端子41とが電気的に接続される(搭載工程;図3(c)参照。)。
[8A]次に、半導体チップ20と、インターポーザー30との間に形成された間隙に、各種樹脂材料で構成されるアンダーフィル材(封止材)を充填し、その後、このアンダーフィル材を硬化させることにより、アンダーフィル材の硬化物で構成された封止層80を形成する(封止層形成工程;図3(d)参照。)。
[9A]次に、インターポーザー30の上側に、半導体チップ20と、インターポーザー30とを覆うように、モールド部17(封止部)を形成することで、半導体チップ20をインターポーザー30とモールド部17とで封止するとともに、インターポーザー30が備えるビアを介して端子41の一部に電気的に接続された、バンプ70をインターポーザー30の下側から突出するように形成する(図3(e)参照。)。
ここで、モールド部17による封止は、例えば、形成すべきモールド部17の形状に対応した内部空間を備える成形型を用意し、この内部空間内に配置された半導体チップ20とインターポーザー30とを覆うように、粉末状をなす半導体封止材料を内部空間に充填する。そして、この状態で、半導体封止材料を加熱することにより硬化させて、半導体封止材料の硬化物とすることにより行われる。
以上のような工程を有する半導体装置の製造方法により、半導体装置10が得られる。より詳しくは、前記工程[1A]~[9A]を実施した後に、前記工程[4A]~[9A]を繰り返して実施することで、1つの半導体基板7から複数の半導体装置10を一括して製造することができる。
以下、このような半導体装置10の製造方法に用いられる、本発明の粘着テープ100について説明する。
<粘着テープ100>
図6は、粘着テープの実施形態を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図6中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
粘着テープ100は、本発明では、基材4と、この基材4の上面(一方の面)に積層された粘着層2とを備える積層体により構成され、半導体基板7(基板)および半導体チップ20(部品)を仮固定して用いられるものであり、前述したように、粘着層2は、粘着性を有するベース樹脂を含有し、エネルギーの付与により、粘着層2上に積層された半導体基板7および半導体チップ20に対する粘着力が低下しないものであり、また、表面を#2000研磨したシリコンウエハの前記表面に、幅20mmの粘着テープ100を貼付し、次いで、23℃・1時間の条件で保持した後に、23℃の環境下で、粘着テープ100の一端を持ち、30°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度が100cN/20mm以上600cN/20mm以下であることを満足するものである。
ここで、前記工程[3A]において、ダイシングソーを用いて半導体基板7を、その厚さ方向に沿って、基材4の途中まで到達するように切断すると、粘着層2には、ダイシングソーにより、半導体チップ20から粘着層2を引き剥がそう(剥離させよう)とする力が作用する。
この粘着層2を引き剥がそうとする力が作用する方向および速さ、さらには、粘着テープ100を引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度について、本発明者が鋭意検討を行った結果、粘着テープ100として、表面を#2000研磨した、シリコンウエハの前記表面に、幅20mmの粘着テープ100を貼付し、次いで、23℃・1時間の条件で保持した後に、23℃の環境下で、粘着テープ100の一端を持ち、30°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度を100cN/20mm以上に設定することで、粘着テープ100と半導体チップ20(半導体基板7)との間において剥離を生じさせることなく、優れた貼付性をもって粘着テープ100に対して半導体基板7を貼付した状態で、個片化された半導体チップ20を安定的に得ることができる。
また、前記工程[5A]において、ニードル430を用いて個片化された半導体チップ20をピックアップする際に、粘着層2には、ニードル430による半導体チップ20の突き上げにより、半導体チップ20から粘着層2を引き剥がそう(剥離させよう)とする力が作用する。
この粘着層2を引き剥がそうとする力が作用する方向および速さ、さらには、粘着テープ100を引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度について、本発明者がさらなる検討を行った結果、粘着テープ100の一端を持ち、30°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される前記引き剥がし強度を600cN/20mm以下に設定することで、粘着テープ100が、エネルギーの付与により、半導体基板7および半導体チップ20に対する粘着力が低下しない粘着層2を備える構成をなし、粘着テープ100が備える粘着層2に対するエネルギーの付与を省略したとしても、ニードル430による半導体チップ20の突き上げにより、個片化された半導体チップ20から粘着テープ100を安定的に剥離させて、半導体チップ20をピックアップすることができる。
以下、このような粘着テープ100(ダイシングテープ)が有する、基材4および粘着層2について、詳述する。
<基材4>
基材4は、主として樹脂材料から成り、シート状をなしており、この基材4上に設けられた粘着層2を支持する機能を有している。また、前記工程[4A]における、粘着テープ100を面方向に対して伸長するエキスパンディング工程において、その伸長を実現させるためのものである。
かかる樹脂材料としては、特に限定されず、例えば、オレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂(エステル類高分子)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトンのようなポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、セルロース系樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマー(スチレン系高分子)、アクリル樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリビニルイソプレン、ポリカーボネート(カーボネート系高分子)等の熱可塑性樹脂や、これらの熱可塑性樹脂の混合物が用いられる。
これらの樹脂材料は、光(可視光線、近赤外線、紫外線)、X線、電子線等のエネルギー線を透過し得る材料であることから、エネルギー線を基材4側から基材4を透過させて粘着層2に照射する場合に好ましく用いることができる。そのため、エネルギー線を基材4側から粘着層2に照射することで、粘着層2の粘着性を低下させて半導体チップ20を容易にピックアップすることができる。
特に、樹脂材料としては、オレフィン系樹脂を用いることが好ましい。オレフィン系樹脂を用いることで、前記エキスパンディング工程において、その伸長性(エキスパンド性)を基材4に確実に付与することができるとともに、前記工程[3A]におけるダイシングの際に、基材4の切削屑により、粘着テープ100が汚染されるのを的確に抑制または防止することができる。
かかるオレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンのようなポリエチレン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン-メタクリレート共重合体(EMAA)や、亜鉛イオン架橋体、ナトリウムイオン架橋体またはカリウムイオン架橋体としてのエチレン系アイオノマー等のアイオノマーのようなエチレン共重合体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、基材4は、導電性を有する導電性材料を含有することが好ましい。このような導電性材料が含まれることで、導電性材料に帯電防止剤としての機能を発揮させて、前記個片化工程[3A]、および、前記ピックアップ工程[5A]における、半導体チップ20での静電気の発生を的確に抑制または防止することができる。
このように、基材4が導電性材料を含有する場合、基材4の粘着層2と反対側の表面における表面抵抗率は、1.0×1013(Ω/□)以下に設定されていることが好ましく、1.0×1011(Ω/□)以下に設定されていることがより好ましい。これにより、前記個片化工程[3A]、および、前記ピックアップ工程[5A]における、半導体チップ20での静電気の発生をより的確に抑制または防止することができる。
この導電性材料としては、導電性を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、界面活性剤、永久帯電防止高分子(IDP)、金属材料、金属酸化物材料および炭素系材料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのうち界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤等が挙げられる。
永久帯電防止高分子(IDP)としては、例えば、ポリエーテルとポリオレフィンブロックポリマー系列、ポリエステルアミド系列、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステルアミド、ポリウレタン系列等の全てのIDPを用いることができる。
また、金属材料としては、金、銀、銅または銀コート銅、ニッケル等が挙げられ、これらの金属粉が好ましく用いられる。
金属酸化物材料としては、インジウムティンオキサイド(ITO)、インジウムオキサイド(IO)、アンチモンティンオキサイド(ATO)、インジウムジンクオキサイド(IZO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)等が挙げられ、これらの金属酸化物粉が好ましく用いられる。
さらに、炭素系材料としては、カーボンブラック、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブのようなカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、CNナノチューブ、CNナノファイバー、BCNナノチューブ、BCNナノファイバー、グラフェン等が挙げられる。
これらの中でも、導電性材料としては、界面活性剤、永久帯電防止高分子(IDP)、金属酸化物材料およびカーボンブラックのうちの少なくとも1種であることが好ましい。これらのものは、抵抗率の温度依存性が小さいものであることから、前記工程[3A]において、半導体基板7をダイシングする際に、基材4が加熱されたとしても、その表面抵抗値の変化量を小さくすることができる。
なお、基材4に導電性材料を含有させることなく、前記半導体チップ20における静電気の発生を防止する場合には、導電性材料を含有する帯電防止層を、粘着層2と反対側の表面に形成してもよい。これにより、基材4に導電性材料を含有させた場合と同様の効果を得ることができる。
さらに、基材4は、鉱油のような軟化剤、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、マイカ、クレーのような充填材、酸化防止剤、光安定剤、滑剤、分散剤、中和剤、着色剤等を含有するものであってもよい。
基材4の厚さは、例えば、30μm以上160μm以下であるのが好ましく、80μm以上120μm以下であるのがより好ましい。基材4の厚さがこの範囲内であると、基材4としての機能をより確実に発揮させて、前記工程[3A]における半導体基板7のダイシングおよび前記工程[5A]における半導体チップ20のピックアップを、優れた作業性により実施することができる。
さらに、基材4は、その表面に、粘着層2に含まれる構成材料と反応性を有する、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基のような官能基が露出していてもよい。
また、基材4は、異なる前記樹脂材料で構成される層を複数積層した積層体(多層体)で構成されるものであってもよい。
<粘着層2>
粘着層2は、前記工程[3A]において、半導体基板7をダイシングする際に、半導体基板7を粘着して支持し、かつ、前記工程[5A]において、粘着テープ100が、エネルギーの付与により、半導体基板7および半導体チップ20に対する粘着力が低下しない粘着層2を備える構成をなし、粘着テープ100が備える粘着層2に対するエネルギーの付与を省略したとしても、半導体基板7を個片化して得られた半導体チップ20をピックアップし得る程度の粘着性を有するものであり、具体的には、この粘着層2を有する粘着テープ100は、本発明では、表面を#2000研磨した、シリコンウエハの前記表面に、幅20mmの粘着テープ100を貼付し、次いで、23℃・1時間の条件で保持した後に、23℃の環境下で、粘着テープ100の一端を持ち、30°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度が100cN/20mm以上600cN/20mm以下であることを満足するものである。
このような粘着層2は、(1)粘着性を有するベース樹脂を主材料として含有する樹脂組成物で構成され、粘着層2を硬化させる硬化性樹脂の添加が省略され、粘着層2に対してエネルギーを付与したとしても、その粘着力が低下しないものである。
以下、この樹脂組成物に含まれる各成分について、順次、詳述する。
(1)ベース樹脂
ベース樹脂は、粘着性を有し、半導体基板7に対する粘着性を粘着層2に付与するために、樹脂組成物中に含まれるものである。
このようなベース樹脂としては、アクリル系樹脂(粘着剤)、シリコーン系樹脂(粘着剤)、ポリエステル系樹脂(粘着剤)、ポリ酢酸ビニル系樹脂(粘着剤)、ポリビニルエーテル系樹脂(粘着剤)、スチレン系エラストマー樹脂(粘着剤)、ポリイソプレン系樹脂(粘着剤)、ポリイソブチレン系樹脂(粘着剤)またはウレタン系樹脂(粘着剤)のような粘着層成分として用いられる公知のものが挙げられるが、中でも、アクリル系樹脂を用いることが好ましい。ベース樹脂としてアクリル系樹脂を用いることにより、粘着テープ100の前記引き剥がし強度の大きさを、比較的容易に100cN/20mm以上600cN/20mm以下の範囲内に設定することができる。また、アクリル系樹脂は、耐熱性に優れ、また、比較的容易かつ安価に入手できることから、かかる観点からも、ベース樹脂として好ましく用いられる。
アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルをモノマー主成分とするポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー)をベースポリマーとするもののことを言う。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルのような(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸フェニルのような(メタ)アクリル酸アリールエステル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることが好ましく、特に、アクリル酸2-エチルヘキシル(2-エチルヘキシルアクリレート)であることが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、特に、耐熱性に優れ、また、比較的容易かつ安価に入手できる。また、ベース樹脂としてアクリル酸2-エチルヘキシル(2-エチルヘキシルアクリレート)を用いることにより、粘着テープ100の前記引き剥がし強度の大きさを、確実に100cN/20mm以上600cN/20mm以下の範囲内に設定することができる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの双方を含む意味で用いることとする。
アクリル系樹脂は、凝集力、耐熱性等の改質等を目的として、必要に応じて、ポリマーを構成するモノマー成分として、共重合性モノマーを含むものが用いられる。
このような共重合性モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシルのようなヒドロキシル基含有モノマー、(メタ)アクリル酸グリシジルのようなエポキシ基含有モノマー、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸のようなカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸のような酸無水物基含有モノマー、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドのようなアミド系モノマー、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチルのようなアミノ基含有モノマー、(メタ)アクリロニトリルのようなシアノ基含有モノマー、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレンのようなオレフィン系モノマー、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエンのようなスチレン系モノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル系モノマー、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルのようなビニルエーテル系モノマー、塩化ビニル、塩化ビニリデンのようなハロゲン原子含有モノマー、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルのようなアルコキシ基含有モノマー、N-ビニル-2-ピロリドン、N-メチルビニルピロリドン、N-ビニルピリジン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルピリミジン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルオキサゾール、N-ビニルモルホリン、N-ビニルカプロラクタム、N-(メタ)アクリロイルモルホリン等の窒素原子含有環を有するモノマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これら共重合性モノマーの含有量は、アクリル系樹脂を構成する全モノマー成分に対して、40重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。
また、共重合性モノマーは、アクリル系樹脂を構成するポリマーにおける主鎖の末端に含まれるものであってもよいし、その主鎖中に含まれるもの、さらには、主鎖の末端と主鎖中との双方に含まれるものであってもよい。
さらに、共重合性モノマーには、ポリマー同士の架橋等を目的として、多官能性モノマーが含まれていてもよい。
多官能性モノマーとしては、例えば、1,6-ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、エチレン-酢酸ビニルコポリマーおよび酢酸ビニルポリマー等も、共重合性モノマー成分として用いることができる。
なお、このようなアクリル系樹脂(ポリマー)は、単一のモノマー成分または2種以上のモノマー成分の混合物を重合させることにより生成させることができる。また、これらモノマー成分の重合は、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法、懸濁重合方法等の重合方法を用いて実施することができる。
アクリル系樹脂は、前記工程[3A]において、半導体基板7をダイシングする際に、アクリル系樹脂による半導体基板7等の汚染を防止するという観点から、低分子量物の含有量が少ないものであることが好ましい。この場合、アクリル系樹脂の重量平均分子量としては、好ましくは30万以上500万以下に設定され、より好ましくは40万以上400万以下に設定され、さらに好ましくは50万以上150万以下に設定される。なお、アクリル系樹脂の重量平均分子量が、モノマー成分の種類等によっては、50万未満であると、半導体基板7等に対する汚染防止性が低下し、その結果、半導体チップ20を剥離させた際に糊残りが生じるおそれがある。
また、アクリル系樹脂(ベース樹脂)は、そのガラス転移点が、好ましくは-70℃以上-50℃以下、より好ましくは-65℃以上-55℃以下であるものが用いられる。ベース樹脂として、かかる範囲内のガラス転移点を有するアクリル系樹脂を用いることにより、粘着テープ100の前記引き剥がし強度の大きさを、より容易に100cN/20mm以上600cN/20mm以下の範囲内に設定することができる。
なお、アクリル系樹脂は、ヒドロキシル基やカルボキシル基(特に、ヒドロキシル基)のような、架橋剤や光重合開始剤に対して反応性を有する官能基(反応性官能基)を有していることが好ましい。これにより、架橋剤や光重合開始剤がポリマー成分であるアクリル系樹脂に連結するため、粘着層2からこれら架橋剤や光重合開始剤が漏出することを的確に抑制または防止することができる。その結果、前記工程[4A]におけるエネルギー線照射時により、粘着層2の半導体基板7に対する粘着性が確実に低下される。
(2)架橋剤
さらに、粘着層2を構成する樹脂組成物には、架橋剤が含まれていてもよい。架橋剤が含まれることで、粘着層2を適度な硬さを有するものに調整することができる。また、粘着テープ100の前記引き剥がし強度の大きさを、比較的容易に100cN/20mm以上600cN/20mm以下の範囲内に設定することができる。
架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、尿素樹脂系架橋剤、メチロール系架橋剤、キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、多価金属キレート系架橋剤、酸無水物系架橋剤、ポリアミン系架橋剤、カルボキシル基含有ポリマー系架橋剤等が挙げられる。これらの中でもエポキシ系架橋剤が好ましい。
エポキシ系架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、N,N,N′,N′-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3-ビス(N,N-グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o-フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートや、その他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂等が挙げられる。
架橋剤は、ベース樹脂100重量部に対して0.01重量部以上30重量部以下で配合されることが好ましく、0.1重量部以上20重量部以下で配合されることがより好ましい。上記のように架橋剤の配合量を調整することで、樹脂組成物中に、架橋剤を添加することにより発揮される機能を、架橋剤に確実に発揮させることができる。
(3)可塑剤
可塑剤は、硬化性樹脂の添加が省略され、エネルギーの付与により粘着力が低下しない粘着層2において、その柔軟性を向上させることで、前記引き剥がし強度の大きさを、比較的容易に100cN/20mm以上600cN/20mm以下の範囲内に設定し得ることから、粘着層2、すなわち、樹脂組成物中に含まれることが好ましい。
この可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、DOP(ジオクチルフタレート)、DBP(ジブチルフタレート)、DIBP(ジイソブチルフタレート)、DHP(ジヘプチルフタレート)のようなフタル酸エステル系可塑剤、DOA(ジ-2-エチルヘキシルアジペート)、DIDA(ジイソデシルアジペート)、DOS(ジ-2-エチルヘキシルセバセート)のような脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、エチレングリコールのベンゾエート類のような芳香族カルボン酸エステル系可塑剤、およびTOTM(トリオクチルトリメリテート)のようなトリメリット酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
粘着層2すなわち樹脂組成物中における可塑剤の含有率は、特に限定されないが、例えば、ベース樹脂100重量部に対して0.1重量部以上5.0重量部以下で配合されることが好ましく、0.5重量部以上3.0重量部以下で配合されることがより好ましい。これにより、粘着層2の柔軟性を確実に向上させることができる。そのため、前記引き剥がし強度の大きさを、より容易に100cN/20mm以上600cN/20mm以下の範囲内に設定することができる。
(4)その他の成分
さらに、粘着層2を構成する樹脂組成物には、上述した各成分(1)~(3)の他に他の成分として、導電性材料、粘着付与剤、老化防止剤、粘着調整剤、充填材、着色剤、難燃剤、軟化剤、酸化防止剤、可塑剤、界面活性剤等のうちの少なくとも1種が含まれていてもよい。
なお、これらのうち導電性材料としては、導電性を有するものであれば、特に限定されないが、前記基材4に含まれる導電性材料として説明したのと、同様のものを用いることができる。
このような導電性材料が含まれることで、導電性材料に帯電防止剤としての機能を発揮させて、前記個片化工程[3A]、および、前記ピックアップ工程[5A]における、半導体チップ20での静電気の発生が的確に抑制または防止される。
基材4および粘着層2のうちの一方に導電性材料を含有させる構成とする場合には、基材4に導電性材料を含有させることが好ましい。これにより、半導体チップ20に導電性材料を確実に付着させることなく、半導体チップ20での静電気の発生をより的確に抑制または防止することができる。
また、これらのうち粘着付与剤としては、特に限定されないが、例えば、ロジン樹脂、テルペン樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
以上のような、粘着層2に含まれる、成分(1)(ベース樹脂)を必須成分とする各成分(1)~(4)の種類、および含有量を適宜選択することにより、30°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される前記引き剥がし強度の大きさを、100cN/20mm以上600cN/20mm以下の範囲内に設定し得るが、前記引き剥がし強度は、200cN/20mm以上450cN/20mm以下であるのが好ましく、250cN/20mm以上350cN/20mm以下であるのがより好ましい。これにより、前記工程[3A]において、半導体基板7を厚さ方向に切断(ダイシング)して半導体基板7を個片化する際に、粘着テープ100上に半導体基板7をより安定的に固定した状態で、半導体基板7の厚さ方向に対する切断を実施することができる。また、前記工程[5A]において、個片化された半導体チップ20をピックアップする際に、粘着テープ100が、エネルギーの付与により、半導体基板7および半導体チップ20に対する粘着力が低下しない粘着層2を備える構成をなし、粘着テープ100が備える粘着層2に対するエネルギーの付与を省略したとしても、個片化された半導体チップ20から粘着テープ100をより安定的に剥離させて、半導体チップ20をピックアップすることができる。
また、前記工程[5A]において、個片化された半導体チップ20を、4つのニードルを用いてピックアップする際に、前述の通り、半導体チップ20の4隅の4つのニードルによる突き上げにより、半導体チップ20は、湾曲形状から平板形状まで変形することとなる(図4、図5参照)。
そのため、このときの半導体チップ20に対する粘着テープ100の角度は、不可避的に変化することとなるが、このように、半導体チップ20からの粘着テープ100の剥離の際、すなわち、半導体チップ20のピックアップ時において、半導体チップ20に対する粘着テープ100の角度に変化が生じたとしても、半導体チップ20から粘着テープ100を安定的に剥離させて、半導体チップ20をピックアップし得ることが好ましい。したがって、本発明では、粘着テープ100は、30°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度をA[cN/20mm]とし、180°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度をC[cN/20mm]としたとき、好ましくは0≦|C-A|≦500なる関係、より好ましくは250≦|C-A|<330なる関係を満足している。これにより、角度30°および角度180°における前記引き剥がし強度A、Cのバラツキの程度が、一定の範囲内に設定されていることから、前記工程[5A]において、個片化された半導体チップ20をピックアップする際に、この半導体チップ20をピックアップする際の角度に変化が生じたとしても、半導体チップ20から粘着テープ100を安定的に剥離させて、半導体チップ20をピックアップすることができる。
さらに、23℃の環境下で、粘着テープ100を180°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される前記引き剥がし強度Cは、20cN/20mm以上300cN/20mm以下であることが好ましく、40cN/20mm以上120cN/20mm以下であることがより好ましい。前記引き剥がし強度Cの大きさがかかる範囲内に設定されていることにより、前記工程[5A]において、個片化された半導体チップ20をピックアップする際に、半導体チップ20と粘着テープ100とがなす角度が高くなったときにおいても、半導体チップ20から粘着テープ100を安定的に剥離させて、半導体チップ20をピックアップすることができる。
また、表面を#2000研磨した、シリコンウエハの前記表面に、幅20mmの粘着テープ100を貼付し、次いで、23℃・1時間の条件で保持した後に、23℃の環境下で、粘着テープ100の一端を持ち、30°の方向にて300mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度をB[cN/20mm]とし、180°の方向にて300mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度をD[cN/20mm]としたとき、0≦|D-B|≦500なる関係を満足することが好ましく、250≦|D-B|<350なる関係を満足するのがより好ましい。
ここで、前記工程[5A]において、半導体チップ20をピックアップする際のピックアップ速度、すなわち、半導体チップ20から粘着テープ100を剥離させる剥離速度(引き剥がし速度)が、半導体チップ20の種類や大きさ等に応じて変化することがある。そのため、半導体チップ20から粘着テープ100を剥離させる剥離速度が1000mm/分とは異なる300mm/分における、引き剥がし強度B、Dの関係式|D-B|が前記範囲内に設定されることにより、前記工程[5A]において、個片化された半導体チップ20をピックアップする際に、この半導体チップ20をピックアップする際の速度が比較的遅く設定されていたとしても、半導体チップ20から粘着テープ100をより安定的に剥離させて、半導体チップ20をピックアップすることができる。
また、23℃の環境下で、粘着テープ100を30°の方向にて300mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される前記引き剥がし強度Bは、30cN/20mm以上500cN/20mm以下であることが好ましく、100cN/20mm以上450cN/20mm以下であることがより好ましい。前記引き剥がし強度Bの大きさがかかる範囲内に設定されていることにより、前記工程[5A]において、個片化された半導体チップ20をピックアップする際に、半導体チップ20と粘着テープ100とがなす角度が低くなったときにおいても、半導体チップ20から粘着テープ100を安定的に剥離させて、半導体チップ20をピックアップすることができる。
さらに、23℃の環境下で、粘着テープ100を180°の方向にて300mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される前記引き剥がし強度Dは、20cN/20mm以上300cN/20mm以下であることが好ましく、30cN/20mm以上120cN/20mm以下であることがより好ましい。前記引き剥がし強度Dの大きさがかかる範囲内に設定されていることにより、前記工程[5A]において、個片化された半導体チップ20をピックアップする際に、半導体チップ20と粘着テープ100とがなす角度が高くなったときにおいても、半導体チップ20から粘着テープ100を安定的に剥離させて、半導体チップ20をピックアップすることができる。
さらに、表面を#2000研磨した、シリコンウエハの前記表面に、幅20mmの粘着テープ100を貼付し、次いで、60℃・24時間の条件で保持した後に、23℃の環境下で、粘着テープ100の一端を持ち、30°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度をA2[cN/20mm]としたとき、前記引き剥がし強度Aとの関係式A2/Aが、0.7≦A2/A≦1.5なる関係を満足することが好ましく、0.8≦A2/A<1.2なる関係を満足するのがより好ましい。
ここで、前記工程[5A]において、半導体チップ20をピックアップするタイミングは、半導体装置10を製造するスケジュール等に応じて、前回の半導体チップ20のピックアップから、一定の間隔を空けて実施されることがある。そのため、半導体チップ20から粘着テープ100を剥離させる際に、半導体チップ20を保持する条件が、23℃・1時間とは異なる60℃・24時間における、引き剥がし強度A、A2の関係式A2/Aが前記範囲内に設定されることにより、前記工程[5A]において、個片化された半導体チップ20をピックアップする際に、この半導体チップ20をピックアップする際の間隔が比較的長く設定されていたとしても、半導体チップ20から粘着テープ100をより安定的に剥離させて、半導体チップ20をピックアップすることができる。
また、60℃・24時間の条件で保持した後に、23℃の環境下で、粘着テープ100を30°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される前記引き剥がし強度A2は、100cN/20mm以上600cN/20mm以下であることが好ましく、250cN/20mm以上350cN/20mm以下であることがより好ましい。前記引き剥がし強度A2の大きさがかかる範囲内に設定されていることにより、前記工程[5A]において、個片化された半導体チップ20をピックアップする際に、この半導体チップ20をピックアップする際の間隔が比較的長く設定されたときにおいても、半導体チップ20から粘着テープ100を安定的に剥離させて、半導体チップ20をピックアップすることができる。
さらに、粘着層2は、レオメーターを用いて、温度23℃、歪量1mrad、周波数1Hzで測定した複素粘度η(23℃)が1.0×10mPa・s以上6.0×10mPa・s以下であることが好ましく、1.0×10mPa・s以上1.0×10mPa・s以下であることがより好ましい。これにより、前記引き剥がし強度A~D、A2の大きさを、比較的容易に前記範囲内に設定することができる。さらに、前記工程[3A]において、半導体チップ20の側面に対して粘着層2の一部が付着する糊残りの発生を、的確に抑制または防止することができる。
また、粘着層2の厚さは、特に限定されないが、例えば、5μm以上50μm以下であるのが好ましく、5μm以上10μm以下であるのがより好ましい。粘着層2の厚さをかかる範囲内とすることで、粘着層2を、前記個片化工程[3A]において、半導体基板7に対する良好な粘着力を発揮し、かつ、前記ピックアップ工程[5A]において、粘着層2と半導体基板7との間において、良好な剥離性を発揮する程度の粘着性を備えるものとし得る。
なお、粘着層2は、異なる前記樹脂組成物で構成される層を複数積層した積層体(多層体)で構成されるものであってもよい。
さらに、基材4に粘着層2が積層された構成をなしている粘着テープ100において、この粘着テープ100を平面視で見たとき、基材4と粘着層2との界面に形成されている気泡は、面積が100μm以上のものの数が、15.0個/mm以下であることが好ましく、0.01個/mm以上7.0個/mm以下であることがより好ましく、0.1個/mm以上2.0個/mm以下であることがさらに好ましい。基材4と粘着層2との界面に形成されている気泡の数をコントロールして、面積が100μm以上のものの数を上記のように設定することで、前記工程[5A]において、半導体チップ20をピックアップして、半導体チップ20から粘着テープ100を剥離させる際に、半導体チップ20に糊残りが生じるのをより的確に抑制または防止することができる。
次に、かかる構成の粘着テープ100は、例えば、以下のようにして製造することができる。
<粘着テープの製造方法>
図7は、図6に示す粘着テープを製造する方法を説明するための縦断面図である。なお、以下の説明では、図7中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
[1B]まず、基材4を用意する(図7(a)参照。)。
基材4の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、カレンダー法、インフレーション押出し法、Tダイ押出し法のような押出成形法、湿式キャスティング法等の一般的な成形方法が挙げられる。なお、基材4が積層体で構成される場合、かかる構成のその基材4の製造方法としては、例えば、共押出し法、ドライラミネート法等の成形方法が用いられる。
また、基材4は、無延伸で用いることができ、さらに、必要に応じて一軸または二軸の延伸処理を施したものを用いるようにしてもよい。
[2B]次に、基材4の上面に粘着層2を形成する(図7(b)参照。)。
基材4の表面(上面)には、基材4と粘着層2との密着性を向上させることを目的に、コロナ処理、クロム酸処理、マット処理、オゾン暴露処理、火炎暴露処理、高圧電撃暴露処理、イオン化放射線処理、プライマー処理、アンカーコート処理のような表面処理が施されていてもよい。
また、粘着層2は、基材4上に、粘着層2の構成材料である樹脂組成物を溶剤に溶解してワニス状にした液状材料を、塗布または散布した後、溶剤を揮発させることにより得ることができる。
なお、溶剤としては、特に限定されないが、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、酢酸エチル、ジメチルホルムアルデヒド等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、基材4上への液状材料の塗布または散布は、例えば、ダイコート、カーテンダイコート、グラビアコート、コンマコート、バーコートおよびリップコート等の方法を用いて行うことができる。
[3B]次に、基材4上に形成された粘着層2に対して、中心側と外周側とが分離されるように、粘着層2の厚さ方向に基材4を残存させて円環状に粘着層2の一部を除去することにより、粘着層2を中心部122と外周部121とを備えるものとする(図7(c)参照。)。
粘着層2の一部を円環状に除去する方法としては、例えば、除去すべき領域を取り囲むように打ち抜いた後、この打ち抜かれた領域に位置する粘着層2を除去する方法が挙げられる。
また、除去すべき領域に対する打ち抜きは、例えば、ロール状金型を用いる方法や、プレス金型を用いる方法を用いて行うことができる。中でも、連続的に粘着テープ100を製造することができるロール状金型を用いる方法が好ましい。
なお、本工程では、粘着層2の一部をリング状(円形状)に打ち抜いて中心部122と外周部121とを形成したが、粘着層2の一部を打ち抜く形状は、前述した半導体装置の製造方法において、粘着層2の外周部121をウエハリングで固定できる形状となっていれば如何なる形状のものであってもよい。具体的には、打ち抜く形状としては、例えば、上述した円形状の他、楕円状、俵型状のような長円状や、四角形状、五角形状のような多角形状等が挙げられる。
[4B]次に、基材4上に形成された粘着層2に対して、セパレーター1を積層することにより、粘着層2がセパレーター1で被覆された粘着テープ100を得る(図7(d)参照。)。
粘着層2にセパレーター1を積層する方法としては、特に制限されないが、例えば、ロールを用いたラミネート方法、プレスを用いたラミネート方法を用いることができる。これらの中でも、連続的に生産できるという生産性の観点から、ロールを用いたラミネート方法が好ましい。
なお、セパレーター1としては、特に限定されないが、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタラートフィルム等が挙げられる。
また、セパレーター1は、粘着テープ100の使用時に剥がされるために、表面を離型処理されたものを使用してもよい。離型処理としては離型剤をセパレーター1の表面にコーティングする処理や、セパレーター1の表面に細かい凹凸をつける処理等が挙げられる。なお、離型剤としては、シリコーン系、アルキッド系、フッ素系等のものが挙げられる。
以上のような工程を経て、セパレーター1で被覆された粘着テープ100を形成することができる。
なお、本実施形態で製造されたセパレーター1で被覆された粘着テープ100は、前述した粘着テープ100を用いた半導体装置の製造方法において、粘着テープ100をセパレーター1から剥離した後に使用される。
また、セパレーター1が被覆する粘着層2から、このセパレーター1を剥がす際には、粘着層2の面に対してセパレーター1を90°以上180°以下の角度で剥離を行うことが好ましい。セパレーター1を剥離する角度を前記範囲とすることで、粘着層2とセパレーター1との界面以外での剥離を確実に防止することができる。
以上、本発明の粘着テープについて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の粘着テープが備える各層には、同様の機能を発揮し得る、任意の成分が添加されていてもよく、あるいは、基材は、前記実施形態で説明したように、1層で構成されるものの他、複数の層で構成されるものであってもよく、例えば、前述した基材の粘着層とは反対側の面に、帯電防止層を備えるものであってもよい。
また、粘着テープが備える各層の構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することもできる。
さらに、粘着テープを用いて形成する半導体装置の構成によっては、半導体装置10が備えるモールド部17の形成を省略することもできる。
また、粘着テープが貼付された半導体基板を厚さ方向に切断(ダイシング)することで、切断片すなわち部品として半導体チップを得る場合に限らず、粘着テープ上に基板を仮固定した状態で、基板を厚さ方向に切断することで部品を得た後に、部品を粘着テープから剥離させる必要が生じる各種の基板加工用途にも、本発明の粘着テープを適用することができる。本発明の粘着テープにより貼付される基板としては、上述した半導体基板(半導体用ウエハ)の他に、例えば、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどのガラス基板、アルミナ、窒化ケイ素、酸化チタンなどのセラミック基板、アクリル、ポリカーボネート、ゴムなどの樹脂材料基板、金属材料基板等が挙げられる。
また、本発明は、半導体用ウエハをダイシングするための加工に限らず、半導体封止連結体または半導体基板を薄厚化する薄厚工程を経た後、この部品から粘着テープを剥離させる場合、半導体封止連結体を保管する保管工程を経た後、この部品から粘着テープを剥離させる場合、基板を用いて得られた部品を載せ替えや転写するピックアップ工程を経た後、この部品から粘着テープを剥離させる場合、基板として貼付された部品を輸送する輸送工程を経た後、この部品から粘着テープを剥離させる場合などにおいても用いることができる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
なお、本発明はこれらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
1.原材料の準備
まず、各実施例および各比較例の粘着テープの製造に用いた原材料を以下に示す。
(オレフィン系樹脂1)
オレフィン系樹脂1として、低密度ポリエチレン(LDPE、住友化学社製、「スミカセンF200-0」、比重:0.92g/cm)を用意した。
(帯電防止剤1)
帯電防止剤1として、ポリエーテル系帯電防止剤(三洋化成工業社製、「ペレクトロンPVL」)を用意した。
(ベース樹脂1~4)
ベース樹脂1~4として、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、N,N-ジメチルアクリルアミド、酢酸ビニルのうちの少なくとも2種を混合し、常法によりトルエン溶媒中にて溶液重合させて生成されたアクリル共重合体を用意した。
なお、ベース樹脂(アクリル共重合体)1~4におけるガラス転移点および重量平均分子量は、以下に示す通りであった。
ベース樹脂1(ガラス転移点:-60℃、重量平均分子量:50万)
ベース樹脂2(ガラス転移点:-37℃、重量平均分子量:60万)
ベース樹脂3(ガラス転移点:-14℃、重量平均分子量:50万)
ベース樹脂4(ガラス転移点:-10℃、重量平均分子量:65万)
また、ベース樹脂(アクリル共重合体)1は、アクリル酸2-エチルヘキシルに由来するモノマー単位を主として含むアクリル共重合体である。
(架橋剤1)
架橋剤1として、多官能エポキシ樹脂(三菱ガス化学社製、品番:TETRAD-C)を用意した。
(架橋剤2)
架橋剤2として、ポリイソシアネート(東ソー社製、品番:コロネートL)を用意した。
(可塑剤1)
可塑剤1として、ポリエステル系可塑剤(DIC社製、品番:W-230H)を用意した。
2.粘着テープの作製
[実施例1]
ポリオレフィン系樹脂1および帯電防止剤1を80/20の比率にてあらかじめ混合し、押出し機で押し出して、厚さ80μmの基材4を作製した。
次に、ベース樹脂1(100重量部)、架橋剤1(1重量部)および可塑剤1(1重量部)が配合された樹脂組成物を含有する液状材料を作製した。この液状材料を、乾燥後の粘着層2の厚さが5μmになるようにして基材4にバーコート塗工した後、80℃で1分間乾燥させて、基材4の上面(一方の面)に、厚さ5μmの粘着層2を形成することで、実施例1の粘着テープ100を得た。
なお、粘着テープ100が備える粘着層2について、レオメーター(アントンパール社製、「MCR102」)を用いて、温度23℃、歪量1mrad、周波数1Hzで複素粘度η(23℃)を測定したところ、9.2E+05mPa・sであった。
[実施例2~4、比較例1~3]
基材4の形成に用いた樹脂組成物中に含まれる各構成材料、および、粘着層2の形成に用いた樹脂組成物中に含まれる各構成材料として、表1に示すものを用い、さらに、各構成材料の含有量を表1に示すように変更して、表1に示す厚さの基材4および粘着層2を形成したこと以外は、前記実施例1と同様にして、実施例2~4、比較例1~3の粘着テープを作製した。
3.評価
得られた各実施例および各比較例の粘着テープを、以下の方法で評価した。
3-1.基材の抵抗率の評価
各実施例および各比較例の粘着テープについて、その基材4における粘着層2と反対側の表面抵抗率を、それぞれ、JIS K 6911に従って、抵抗値測定装置(アドバンテスト社製、「R8340」)を用いて測定した。
3-2.シリコンウエハからの引き剥がし強度の測定
各実施例および各比較例の幅を20mmとした粘着テープを、それぞれ、表面を#2000研磨したシリコンウエハの前記表面に、貼付し、次いで、23℃・1時間の条件で保持した後に、JIS G 3469に準拠して、23℃の環境下で、粘着テープの一端を持ち、30°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度A(ピール強度A)を、剥離解析装置(協和界面科学社製、「VPA-H100」)を用いて測定した。
また、各実施例および各比較例の粘着テープについて、それぞれ、23℃・1時間の条件で保持した後に、23℃の環境下で、粘着テープの一端を持ち、180°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度C(ピール強度C)を、前記剥離解析装置を用いて測定した。
そして、測定された引き剥がし強度Aおよび引き剥がし強度Cに基づいて、これらの差の絶対値の関係を示す関係式|C-A|を求めた。
また、各実施例および各比較例の粘着テープについて、それぞれ、60℃・24時間の条件で保持した後に、23℃の環境下で、粘着テープの一端を持ち、30°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度A2(ピール強度A2)を、前記剥離解析装置を用いて測定した。
そして、測定された引き剥がし強度Aおよび引き剥がし強度A2に基づいて、これらの比の関係を示す関係式A2/Aを求めた。
また、各実施例および各比較例の粘着テープについて、それぞれ、23℃・1時間の条件で保持した後に、23℃の環境下で、粘着テープの一端を持ち、30°の方向にて300mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度B(ピール強度B)を、前記剥離解析装置を用いて測定した。
さらに、各実施例および各比較例の粘着テープについて、それぞれ、23℃・1時間の条件で保持した後に、23℃の環境下で、粘着テープの一端を持ち、180°の方向にて300mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度D(ピール強度D)を、前記剥離解析装置を用いて測定した。
そして、測定された引き剥がし強度Bおよび引き剥がし強度Dに基づいて、これらの差の絶対値の関係を示す関係式|D-B|を求めた。
3-3.シリコンチップのピックアップ性および隣接するチップの剥離性の評価
<1>シリコンで構成されるシリコンウエハ(SUMCO社製)を用意し、常法により荒削りして厚さ430μmのこのシリコンウエハを得た後、厚さ400μmに#2000番ホイールにて研削した後の研削面に、各実施例および各比較例の粘着テープ100を、粘着層2をシリコンウエハ側にして固定した。その後、シリコンウエハを厚さ方向に基材4の途中に到達するまで切断して個片化することで縦6mm×横6mmの大きさの複数のシリコンチップを得た。
<2>次いで、シリコンチップを、先端直径が100μmの4つのニードルを用いて、ニードルの突き上げ量を300[μm]として、突き上げた。
<3> 次いで、ニードルによるシリコンチップの突き上げを維持した状態で、真空コレットによる吸着により、シリコンチップをピックアップした。
以上のような工程<1>~<3>を経ることで、吸着によるシリコンチップのピックアップを、各実施例および各比較例の粘着テープについて、それぞれ、50個ずつ繰り返して実施した。
なお、工程<2>における、ニードルによるシリコンチップの突き上げの際に、ニードルを突き上げる突き上げ速度を、300mm/分~1000mm/分の間で5段階に変化させ、各段階の速度において、10個ずつシリコンチップのピックアップを実施した。
そして、各実施例および各比較例の粘着テープについて、それぞれ得られたシリコンチップについて、シリコンチップの吸着によるピックアップの成否(ピックアップ性)と、光学顕微鏡(倍率x500)を用いて観察されたチップ側面への糊付着性とを、以下の基準にしたがって評価した。
(ピックアップ性評価)
◎:50個のシリコンチップについて、ピックアップすることができた
〇:48個以上50個未満のシリコンチップについて、
ピックアップすることができた
△:40個以上48個未満のシリコンチップについて、
ピックアップすることができた
×:40個未満のシリコンチップについて、
ピックアップすることができた
(側面の糊付着性評価)
シリコンチップの側面について粘着層2に由来する糊付着(糊玉)の有無を観察し、
◎:50個のシリコンチップについて、
チップ側面に糊付着が発生していなかった
〇:45個以上50個未満のシリコンチップについて、
チップ側面に糊付着が発生していなかった
△:40個以上45個未満のシリコンチップについて、
チップ側面に糊付着が発生していなかった
×:40個未満のシリコンチップについて、
チップ側面に糊付着が発生していなかった
以上のようにして実施した、各種評価の評価結果を表1に示す。
Figure 0007088388000002
表1に示したように、各実施例の粘着テープでは、粘着テープ100を、23℃・1時間の条件で保持した後に、23℃の環境下で、粘着テープ100の一端を持ち、30°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度Aが100cN/20mm以上600cN/20mm以下の大きさに設定されており、これにより、シリコンウエハを厚さ方向に切断(ダイシング)してシリコンウエハを個片化する際に、粘着テープ100上にシリコンウエハを安定的に固定した状態で、シリコンウエハの厚さ方向に対する切断を実施し得る結果を示した。そして、個片化されたシリコンチップをピックアップする際に、粘着テープ100が、エネルギーの付与により粘着力が低下しない粘着層2を備える構成をなし、粘着層2に対するエネルギーの付与を省略したとしても、シリコンチップから粘着テープ100を安定的に剥離させて、シリコンチップをピックアップし得る結果を示した。
これに対して、各比較例の粘着テープでは、前記引き剥がし強度Aが100cN/20mm以上600cN/20mm以下の大きさを満足しておらず、これに起因して、シリコンチップから粘着テープを安定的に剥離させることができず、シリコンチップを優れたピックアップ性をもってピックアップすることができない結果を示した。
1 セパレーター
2 粘着層
4 基材
7 半導体基板
9 ウエハリング
10 半導体装置
17 モールド部
20 半導体チップ
21 端子
23 半導体チップ本体部
30 インターポーザー
41 端子
70 バンプ
80 封止層
81 接続部
85 半田バンプ
100 粘着テープ
101 接合部
102 剥離部
121 外周部
122 中心部
200 ダイサーテーブル
300 テーブル
310 中心部
320 外周部
400 ステージ
410 エジェクターヘッド
430 ニードル

Claims (11)

  1. 樹脂材料を含有する基材と、該基材の一方の面に積層された粘着層と、を備える積層体により構成され、基板および部品のうちの少なくとも一方を仮固定して用いられる粘着テープであって、
    前記粘着層は、粘着性を有するベース樹脂を含有し、エネルギーの付与により、前記粘着層上に積層された前記基板および部品に対する粘着力が低下しないものであり、また、
    当該粘着テープは、表面を#2000研磨したシリコンウエハの前記表面に、幅20mmの当該粘着テープを貼付し、次いで、23℃・1時間の条件で保持した後に、23℃の環境下で、当該粘着テープの一端を持ち、30°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度が100cN/20mm以上600cN/20mm以下であり、
    前記粘着層は、レオメーターを用いて、温度23℃、歪量1mrad、周波数1Hzで測定した複素粘度η が1.0×10 mPa・s以上6.0×10 mPa・s以下であることを特徴とする粘着テープ。
  2. 30°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される前記引き剥がし強度をA[cN/20mm]とし、180°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される前記引き剥がし強度をC[cN/20mm]としたとき、0≦|C-A|≦500なる関係を満足する請求項1に記載の粘着テープ。
  3. 30°の方向にて300mm/分の速度で、当該粘着テープを引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度をB[cN/20mm]とし、180°の方向にて300mm/分の速度で、当該粘着テープを引き剥がしたときに測定される前記引き剥がし強度をD[cN/20mm]としたとき、0≦|D-B|≦500なる関係を満足する請求項1または2に記載の粘着テープ。
  4. 前記粘着テープは、表面を#2000研磨したシリコンウエハの前記表面に、幅20mmの当該粘着テープを貼付し、次いで、60℃・24時間の条件で保持した後に、23℃の環境下で、当該粘着テープの一端を持ち、30°の方向にて1000mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度をA2[cN/20mm]としたとき、0.7≦A2/A≦1.5なる関係を満足する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の粘着テープ。
  5. 前記ベース樹脂は、そのガラス転移点が、-70℃以上-50℃以下である、請求項1ないしのいずれか1項に記載の粘着テープ。
  6. 前記ベース樹脂は、2-エチルヘキシルアクリレートをモノマー単位に含むアクリル系樹脂である請求項1ないしのいずれか1項に記載の粘着テープ。
  7. 前記粘着層は架橋剤を含み、前記架橋剤はエポキシ系架橋剤である請求項1ないしのいずれか1項に記載の粘着テープ。
  8. 前記粘着層は、さらに、可塑剤を含有する請求項1ないしのいずれか1項に記載の粘着テープ。
  9. 前記粘着層は、その厚さが5μm以上50μm以下である請求項1ないしのいずれか1項に記載の粘着テープ。
  10. 前記基材は、前記粘着層側と反対側の表面における表面抵抗率が1.0×1013(Ω/□)以下である請求項1ないしのいずれか1項に記載の粘着テープ。
  11. 当該粘着テープを平面視で見たとき、前記基材と前記粘着層との界面に形成されている気泡は、面積が100μm以上のものの数が、15.0個/mm以下である請求項1ないし10のいずれか1項に記載の粘着テープ。
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