JP7087444B2 - pH・酸化還元電位調整水の製造装置 - Google Patents

pH・酸化還元電位調整水の製造装置 Download PDF

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Description

本発明は電子産業分野等で使用されるpH・酸化還元電位調整水の製造装置に関し、特にタングステンなどのクロム族元素が露出している半導体ウエハの帯電や腐食溶解を最小限化することの可能なpH・酸化還元電位調整水の製造装置に関する。
LSI等の電子部品の製造工程では、微細構造を有する被処理体を処理する工程が繰り返される。そして、ウエハや基板等の処理体表面に付着している微粒子、有機物、金属、自然酸化皮膜等の除去を目的とした洗浄を行い、高度な清浄度を達成、維持することは製品の品質保持や歩留まり向上にとって重要である。この洗浄後のリンス工程に用いられる超純水は、その純度が高いほど比抵抗値が高くなるが、比抵抗値の高い超純水を用いることで、洗浄時に静電気が発生しやすくなり、絶縁膜の静電破壊や微粒子の再付着を招くといった問題があることが知られている。そのため、近年では、超純水に炭酸ガスやアンモニアなどを溶解した希薄な薬液をリンス水とすることでpH調整を行い、静電気を低減して上述したような問題に取り組んでいる。
しかしながら、超純水は、その製造過程で生成する過酸化水素を微量に含んでいるので、ウエハ表面の一部にもしくは全面に遷移金属、特にタングステンやモリブデンなどのクロム族元素が露出するウエハを洗浄する場合、露出するクロム族元素の腐食溶解が発生し、半導体性能が低下するという問題点がある。また、超純水に炭酸ガスやアンモニアを溶解した希薄な薬液をリンス水とした際にも、上述したクロム族元素が露出するウエハを洗浄する場合、露出するクロム族元素が腐食されてしまう、という問題を解決することはできない。
そこで、本発明者がウエハなどの洗浄における露出している遷移金属のリンス水による腐食の発生要因について検討した結果、遷移金属の腐食にはリンス水のpHだけでなく、酸化還元電位も大きく影響することがわかった。したがって、タングステンやモリブデンなどのクロム族元素の遷移金属が露出しているウエハの洗浄水は、その洗浄対象となる遷移金属に応じてpHと酸化還元電位を正確に調整できることが望ましいが、従来これらを両方正確に調整可能な希釈薬液の製造装置はなかった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、pH及び酸化還元電位を正確に調整可能でタングステンなどのクロム族元素が露出している半導体ウエハの帯電や腐食溶解を最小限化することの可能な高純度のpH・酸化還元電位調整水の製造装置を提供することを目的とする。
上記目的に鑑み、本発明は超純水にpH調整剤と酸化還元電位調整剤とを添加して所望とするpH及び酸化還元電位の調整水を製造するpH・酸化還元電位調整水の製造装置であって、超純水供給ラインに過酸化水素除去機構とpH調整剤注入装置とを順次設け、前記pH調整剤注入装置の後段にpH計測手段及び酸化還元電位計測手段を備え、前記pH計測手段及び前記酸化還元電位計測手段の測定値に基づいて前記pH調整剤注入装置におけるpH調整剤の添加量を制御する制御手段を有する、pH・酸化還元電位調整水の製造装置を提供する(発明1)。
かかる発明(発明1)によれば、超純水供給ラインから超純水を過酸化水素除去機構に通水することにより、超純水中に微量含まれる過酸化水素を除去することで酸化還元電位を低下させ、続いて所望とするpHとなるようにpH調整剤を添加してpH・酸化還元電位調整水を調製した後、pH計測手段及び酸化還元電位計測手段の測定結果に基づいて、pH及び酸化還元電位がタングステンやモリブデンなどのクロム族元素の遷移金属の腐食が生じないものとなるように制御手段によりpH調整剤の添加量を制御することで、原水中の溶存過酸化水素の影響を排除して、所望とするpH及び酸化還元電位の調整水を製造することができる。
上記発明(発明1)においては、前記過酸化水素除去機構の後段で前記pH調整剤注入装置の前段又は後段に酸化還元電位調整剤注入装置を有し、前記制御手段が前記pH計測手段及び前記酸化還元電位計測手段の測定値に基づいて前記酸化還元電位調整剤注入装置における酸化還元電位調整剤の添加量を制御可能となっていることが好ましい(発明2)。
かかる発明(発明2)によれば、酸化還元電位計測手段の測定値の測定結果により過酸化水素除去機構による過酸化水素の除去だけでは所望とする酸化還元電位とならない場合には、酸化還元電位調整剤注入装置から酸化還元電位調整剤を注入することで酸化還元電位を調整することができる。
上記発明(発明1,2)においては、前記pH調整剤が、塩酸、硝酸、酢酸及びCOから選ばれた1種又は2種以上であることが好ましい(発明3)。
かかる発明(発明3)によれば、pH・酸化還元電位調整水のpHを酸性側に調整することができる。
上記発明(発明2,3)においては、前記酸化還元電位調整剤が、シュウ酸、硫化水素、ヨウ化カリウム、水素ガスから選ばれた1種又は2種以上であることが好ましい(発明4)。
かかる発明(発明4)によれば、これらを適宜選択することで、pH・酸化還元電位調整水の酸化還元電位を低下する側に調整することができる。
上記発明(発明1~4)においては、前記pH調整剤が液体であり、前記pH調整剤注入装置がポンプまたは密閉タンクと不活性ガスを用いた加圧手段であることが好ましい(発明5)。
かかる発明(発明5)によれば、液体としてのpH調整剤及び酸化還元電位調整剤の微量添加を安定して制御することができ、所望とするpH及び酸化還元電位で高純度の調整水を製造することができる。
上記発明(発明2~5)においては、前記酸化還元電位調整剤が液体であり、前記酸化還元電位調整剤注入装置が、ポンプまたは密閉タンクと不活性ガスを用いた加圧手段であることが好ましい(発明6)。
かかる発明(発明6)によれば、液体としての酸化還元電位調整剤の微量添加を安定して制御することができ、所望とする酸化還元電位で高純度の調整水を製造することができる。
上記発明(発明1~6)においては、前記pH調整剤が気体であり、前記pH調整剤注入装置が、気体透過性膜モジュールまたは直接気液接触装置であることが好ましい(発明7)。
かかる発明(発明7)によれば、気体としてのpH調整剤の微量添加を安定して制御することができ、所望とするpHで高純度の調整水を製造することができる。
上記発明(発明2~7)においては、前記酸化還元電位調整剤が気体であり、前記酸化還元電位調整剤注入装置が、気体透過性膜モジュールまたは直接気液接触装置であることが好ましい(発明8)。
かかる発明(発明8)によれば、気体としての酸化還元電位調整剤の微量添加を安定して制御することができ、所望とする酸化還元電位で高純度の調整水を製造することができる。
上記発明(発明1~8)においては、前記pH調整剤注入装置の後段に溶存酸素除去装置を設けることが好ましい(発明9)。
かかる発明(発明9)によれば、溶存酸素除去装置によりpH・酸化還元電位調整水に溶存する酸素などの溶存ガスを効果的に脱気し、得られるpH・酸化還元電位調整水の溶存酸素濃度を低減することができるので、所望とするpH及び酸化還元電位を反映した高純度の調整水を製造することができる。
上記発明(発明1~9)においては、pHが0~5で酸化還元電位が0~1.0VであるpH・酸化還元電位調整水を製造することが好ましい(発明10)。
かかる発明(発明10)によれば、上記範囲内でpH・酸化還元電位を調整することで、洗浄対象であるタングステンなどのクロム族元素が露出している半導体ウエハなどに好適な調整水を製造する装置とすることができる。
そして、上記発明(発明1~10)においては、前記pH・酸化還元電位調整水が、少なくとも一部に遷移金属が露出した半導体材料の洗浄用であることが好ましい(発明11)。特に前記遷移金属がクロム族元素である場合に好適である(発明12)。
かかる発明(発明11,12)によれば、露出したタングステンなどのクロム族元素等の遷移金属の種類に応じて、該遷移金属の腐食を抑制可能なpH及び酸化還元電位を有するpH・酸化還元電位調整水を調整することができるので、これらの遷移金属が露出した半導体材料の洗浄に好適である。
本発明のpH・酸化還元電位調整水の製造装置によれば、まず超純水中に微量含まれる過酸化水素を除去して酸化還元電位を低下させ、その後pH調整剤と必要に応じて酸化還元電位調整剤とを添加してpH・酸化還元電位調整水を調製した後、pH計測手段及び酸化還元電位計測手段の測定結果に基づいて、pH及び酸化還元電位を調整しているので、所望とするpH及び酸化還元電位のpH・酸化還元電位調整水を製造することができる。これにより、pH及び酸化還元電位をタングステンやモリブデンなどのクロム族元素の遷移金属からなる処理部材の腐食が生じないものとなるように制御することが可能となり、これらの被処理部材の構成する遷移金属の溶解を抑制可能なpH及び酸化還元電位を維持した調整水を安定的に供給することが可能となる。
本発明の第一の実施形態による調整水製造装置を示す概略図である。 本発明の第二の実施形態による調整水製造装置を示す概略図である。 本発明の第三の実施形態による調整水製造装置を示す概略図である。 本発明の第四の実施形態による調整水製造装置を示す概略図である。 実施例1及び比較例1におけるタングステンの溶解速度を示すグラフである。 実施例2における過酸化水素濃度とタングステンの溶解速度との関係を示すグラフである。 実施例3及び比較例2におけるタングステンの溶解速度を示すグラフである。
以下、本発明のpH・酸化還元電位調整水の製造装置の第一の実施形態について添付図面を参照にして詳細に説明する。
〔pH・酸化還元電位調整水の製造装置〕
図1は、第一の実施形態のpH・酸化還元電位調整水(以下、単に調整水という場合がある)の製造装置を示しており、図1において調整水の製造装置1は、超純水Wの供給ライン2に過酸化水素除去機構たる白金族金属担持樹脂カラム3を設け、この後段にpH調整剤注入装置4Aと酸化還元電位調整剤注入装置4Bとがポンプ5A,5Bを介して設けられている。そして、本実施形態においては、pH調整剤注入装置4A及び酸化還元電位調整剤注入装置4Bの後段に膜式脱気装置6を備え、この膜式脱気装置膜6の気相側には真空ポンプ(VP)7が接続している。なお、符号8は膜式脱気装置6のドレンタンクである。そして、膜式脱気装置膜6の排出ライン9の途中には、pH計測手段としてのpH計10Aと酸化還元電位計測手段としてのORP計10Bとが設けられていて、これらpH計10A及びORP計10Bは、パーソナルコンピュータなどの制御装置11に接続している。一方、制御装置11は、pH調整剤注入装置4A及び酸化還元電位調整剤注入装置4Bのポンプ5A,5Bにも接続していて、これらのポンプ5A,5Bからの薬剤等の注入量を制御可能となっている。
<超純水>
本実施形態において、原水となる超純水Wとは、例えば、抵抗率:18.1MΩ・cm以上、微粒子:粒径50nm以上で1000個/L以下、生菌:1個/L以下、TOC(Total Organic Carbon):1μg/L以下、全シリコン:0.1μg/L以下、金属類:1ng/L以下、イオン類:10ng/L以下、過酸化水素;30μg/L以下、水温:25±2℃のものが好適である。
<過酸化水素除去機構>
本実施形態においては、過酸化水素除去機構として白金族金属担持樹脂カラム3を使用する。
(白金族金属)
本実施形態において、白金族金属担持樹脂カラム3に用いる白金族金属担持樹脂に担持する白金族金属としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金を挙げることができる。こられの白金族金属は、1種を単独で用いることができ、2種以上を組み合わせて用いることもでき、2種以上の合金として用いることもでき、あるいは、天然に産出される混合物の精製品を単体に分離することなく用いることもできる。これらの中で白金、パラジウム、白金/パラジウム合金の単独又はこれらの2種以上の混合物は、触媒活性が強いので好適に用いることができる。また、これらの金属のナノオーダーの微粒子も特に好適に用いることができる。
(担体樹脂)
白金族金属担持樹脂カラム3において、白金族金属を担持させる担体樹脂としては、イオン交換樹脂を用いることができる。これらの中で、アニオン交換樹脂を特に好適に用いることができる。白金系金属は、負に帯電しているので、アニオン交換樹脂に安定に担持されて剥離しにくいものとなる。アニオン交換樹脂の交換基は、OH形であることが好ましい。OH形アニオン交換樹脂は、樹脂表面がアルカリ性となり、過酸化水素の分解を促進する。
<pH調整剤注入装置4A及び酸化還元電位調整剤注入装置4B>
本実施形態において、これらの注入装置としては特に制限はなく、一般的な薬剤注装置を用いることができる。pH調整剤または酸化還元電位調整剤が液体の場合には、ポンプ5A,5Bを設ければよく、このポンプ5A,5Bとしては、ダイヤフラムポンプなどを用いることができる。また、密閉容器にpH調整剤または酸化還元電位調整剤をNガスなどの不活性ガスとともに入れておき、不活性ガスの圧力によりこれらの剤を押し出す加圧式ポンプもポンプ5A,5Bとして好適に用いることができる。また、pH調整剤または酸化還元電位調整剤が気体の場合には、気体透過膜モジュールやエゼクター等の直接的な気液接触装置を用いることができる。
<pH調整剤>
本実施形態において、pH調整剤注入装置4Aから注入するpH調整剤としては特に制限はなく、pH7未満に調整する場合には、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸などの液体及びCOガスなどのガス体を用いることができる。また、pH7以上に調整する場合には、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又はTMAH等を用いることができる。例えば、タングステンやモリブデンなどのクロム族元素が露出しているウエハの洗浄水としてpH・酸化還元電位調整水を用いる場合には、酸性(pH7未満)とするのが好ましい。本実施形態においては、pH調整剤は、例えば塩酸などの酸性の液体である。
<酸化還元電位調整剤>
超純水Wは,過酸化水素除去機構である白金族金属担持樹脂カラム3により過酸化水素を除去すると酸化還元電位が低くなるが、それでも所望とする酸化還元電位が得られない場合には、本実施形態のように酸化還元電位調整剤注入装置4Bを設けるのが好ましい。この酸化還元電位調整剤注入装置4Bから注入する酸化還元電位調整剤としては特に制限はないが、フェリシアン化カリウムやフェロシアン化カリウムなどは、金属成分を含有するため好ましくない。したがって、酸化還元電位を高く調整する場合には、過酸化水素水などの液体や、オゾンガス、酸素ガスなどのガス体を用いることが好ましい。また、酸化還元電位を低く調整する場合にはシュウ酸、硫化水素、ヨウ化カリウムなどの液体や、水素などのガス体を用いることが好ましい。例えば、酸化還元電位調整剤をタングステンやモリブデンなどのクロム族元素が露出しているウエハの洗浄水として用いる場合には、これらの材料の溶出を抑制するために酸化還元電位を低く調整するのが好ましい。したがって、本実施形態においては、この酸化還元電位調整剤として、例えばシュウ酸などの酸性の液体を用いる。
<膜式脱気装置>
本実施形態において、膜式脱気装置6としては、脱気膜の一方の側(液相側)に超純水Wを流し、他方の側(気相側)を真空ポンプ(VP)7で排気することで、溶存酸素を膜を透過させて気相室側に移行させて除去するようにしたものを用いることができる。脱気膜は、酸素、窒素、蒸気等のガスは通過するが水は透過しない膜であれば良く、例えば、シリコンゴム系、ポリテトラフルオロエチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系等がある。この脱気膜としては市販の各種のものを用いることができる。
〔pH・酸化還元電位調整水の製造方法〕
上述したような構成を有する本実施形態のpH・酸化還元電位調整水の製造装置を用いた高純度の調整水の製造方法について以下説明する。
まず、原水としての超純水Wを供給ライン2から白金族金属担持樹脂カラム3に供給する。この白金族金属担持樹脂カラム3では白金族金属の触媒作用により、超純水W中の過酸化水素を分解除去する、すなわち過酸化水素除去機構として機能する。これにより超純水W中の酸化性物資質が大きく低減するので、酸化還元電位は低下する。
次にこの超純水Wに対し、ポンプ5Aを介してpH調整剤注入装置4AからpH調整剤を注入するとともに、必要に応じポンプ5Bを介して酸化還元電位調整剤注入装置4Bから酸化還元電位調整剤を注入してpH・酸化還元電位調整水W1を調製する。pH調整剤の注入量(流量)は、得られる調整水W1が所望のpHとなるように超純水Wの流量に応じて、制御手段11によりその注入量を制御すればよい。また、酸化還元電位調整剤の注入量(流量)は、pH調整剤注入後の超純水Wの酸化還元電位が所望とする値を外れている場合に、適宜適量を制御すればよい。例えば、タングステンやモリブデンなどのクロム族元素が露出しているウエハの洗浄水として用いる場合には、pHが0~5、好ましくはpHが0~4.5で、酸化還元電位が0~1.0V、好ましくは酸化還元電位が0~0.9Vとなるように注入量を制御すればよい。ここで、この調整水W1中には超純水Wの溶存酸素と、pH調整剤及び酸化還元電位調整剤から持ち込まれた溶存酸素とが含まれることになる。
なお、タングステンやモリブデンなどのクロム族元素が露出しているウエハの洗浄水を、pH0~5で酸化還元電位が0~1.0Vとする理由は以下のとおりである。すなわち、ある電位-pH条件下の水溶液中で金属がどのような状態の化学種が最も安定かを示したプールベ図によると、遷移金属、特にクロム族元素(タングステン)は中性~アルカリ性条件下では、水溶液のpHの相違によって溶解したり不動態化したりする、といったように挙動が異なることがわかる。一方、酸性条件下、特にpHが5以下の領域では、酸化還元電位によらず不動態化し溶解しないことが読み取れる。しかしながら、本発明者は、1ppmの希薄な塩酸水溶液中にタングステン膜付きウエハを浸漬したところ、pHが5以下であってもタングステンが溶解することがあることを発見した。この原因について、本発明者が検討した結果、塩酸水溶液中に極めて微量含まれる過酸化水素の濃度によってタングステンの溶解速度が変化することがわかった。そこで、希薄塩酸水溶液中の過酸化水素を除去したところ、100ppb過酸化水素を含有する塩酸水溶液と比較してタングステンの溶解速度は3/4倍に低下した。さらに、過酸化水素を1000ppm添加した塩酸水溶液と比較して1/50倍であった。過酸化水素の濃度は酸化還元電位に直接的に影響するので、これらの結果よりpHが4以下の領域であっても酸化還元電位を最適な値にコントロールする必要があることが分かった。以上の理由によりpHだけでなく酸化還元電位も最適な値になるようコントロールしたpH・酸化還元電位調整水を供給する必要がある。
続いて、この調整水W1を膜式脱気装置6に供給する。膜式脱気装置6では、疎水性気体透過膜により構成された液相室及び気相室の液相室側に調整水W1を流すとともに、気相室を真空ポンプ(VP)7で減圧することにより、調整水W1中に含まれる溶存酸素等の溶存ガスを疎水性気体透過膜を通して気相室に移行させることで除去する。このとき気相室側に発生する凝縮水はドレンタンク8に回収する。これにより調整水W1の溶存酸素濃度を非常に低いレベルにまで低減した脱酸素調整水W2を得ることができる。このようにpH調整剤及び酸化還元電位調整剤を直接脱気せずに調整水W1とした後脱気することにより、これらの薬剤を真空脱気する際の薬液漏えいなどのリスクを低減することができる。
この脱酸素調整水W2は、pH計10AによりpHが計測されるとともに、ORP計10Bにより酸化還元電位が測定され、所望とするpH及び酸化還元電位であるか否かが監視される。そして、超純水Wの供給量のわずかな変動によってもpH及び酸化還元電位が変動するので、脱酸素調整水W2が所望とするpH及び酸化還元電位となるように制御装置11によりポンプ5A,5Bを制御することで、pH調整剤注入装置4A及び酸化還元電位調整剤注入装置4Bでの注入量を制御可能となっている。このような制御装置11によるpH及び酸化還元電位の制御は、PI制御やPID制御などのフィードバック制御の他、周知の方法により制御することができる。
上述したような本実施形態により製造される脱酸素調整水W2は、半導体用シリコン基板、液晶用ガラス基板あるいはフォトマスク用石英基板などの電子材料の洗浄機に供給される。このような脱酸素調整水W2は、上述したように所望とするpH及び酸化還元電位を有するのみならず、過酸化水素濃度1ppb以下、清浄溶存酸素濃度100ppb以下と非常に低いレベルとすることが可能となっている。
次に本発明のpH・酸化還元電位調整水の製造装置の第二の実施形態について図2を参照にして説明する。
〔pH・酸化還元電位調整水の製造装置〕
第二の実施形態のpH・酸化還元電位調整水の製造装置は、基本的には上述した第一の実施形態と同じ構成を有するので、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。図2においてpH調整剤注入装置4Aと酸化還元電位調整剤注入装置4Bとは、窒素ガス(Nガス)などの不活性ガスが充填された密閉タンクに充填されており、ポンプ5A,5Bを設ける代わりに、この密閉タンクであるpH調整剤注入装置4Aと酸化還元電位調整剤注入装置4Bにそれぞれ不活性ガスを加圧注入可能な窒素ガス供給装置12を備える。そして、脱酸素調整水W2は、pH計10AによりpHが計測されるとともに、ORP計10Bにより酸化還元電位が測定され、所望とするpH及び酸化還元電位であるか否かが監視される。そして、超純水Wの供給量のわずかな変動によってもpH及び酸化還元電位が変動するので、脱酸素調整水W2が所望とするpH及び酸化還元電位となるように、制御装置11により窒素ガス供給装置12を制御することで、pH調整剤注入装置4A及び酸化還元電位調整剤注入装置4Bの注入量を制御可能となっている。このような構成を採用することにより、ガス圧でpH調整剤及び酸化還元電位調整剤を供給可能となっており、脈動なく極めて微量のpH調整剤及び酸化還元電位調整剤を安定供給可能となっている。
本発明のpH・酸化還元電位調整水の製造装置の第三の実施形態について図3を参照にして説明する。
〔pH・酸化還元電位調整水の製造装置〕
第三の実施形態のpH・酸化還元電位調整水の製造装置は、基本的には上述した第一の実施形態と類似する構成を有するので、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。本実施形態は、酸化還元電位調整剤として水素などのガス体を用いる場合であり、図3において、pH調整剤注入装置4Aはポンプ5Aを介して設けられている。そして酸化還元電位調整剤供給装置21は、ガス溶解膜22と水素ガスなどの酸化還元電位調整剤としてのガス源23とからなり、この酸化還元電位調整剤供給装置21の前段には、膜式脱気装置24が設けられている。なお、25は膜式脱気装置24に付設された真空ポンプ(VP)であり、26は膜式脱気装置24のドレンタンクである。
〔pH・酸化還元電位調整水の製造方法〕
上述したような構成を有する本実施形態のpH・酸化還元電位調整水の製造装置を用いた高純度の調整水の製造方法について以下説明する。
まず、原水としての超純水Wを供給ライン2から白金族金属担持樹脂カラム3に供給する。この白金族金属担持樹脂カラム3では白金族金属の触媒作用により、超純水W中の過酸化水素を分解除去する、すなわち過酸化水素除去機構として機能する。これにより超純水W中の酸化性物資質が大きく低減するので、酸化還元電位は低下する。
次にこの超純水Wに対し、ポンプ5Aを介してpH調整剤注入装置4AからpH調整剤を注入する。続いて、後段のガス溶解膜22でガスの溶解効率を向上させるためにあらかじめ膜式脱気装置24によりpH調整剤を注入後の超純水Wを脱気する、そして、この脱気した超純水Wに、必要に応じガス溶解膜22を介して酸化還元電位調整剤としてのガスを溶解することにより、pH・酸化還元電位調整水W1を調製する。ここでpH調整剤の注入量(流量)は、得られる調整水W1が所望のpHとなるように超純水Wの流量に応じて、制御装置11によりその注入量を制御すればよい。また、酸化還元電位調整剤のガスの溶解量は、pH調整剤注入後の超純水Wの酸化還元電位が所望とする値をはずれる場合に、適宜制御すればよい。例えば、タングステンやモリブデンなどのクロム族元素が露出しているウエハの洗浄水として用いる場合には、pH0~4で酸化還元電位が0~0.8VとなるようにpH調整剤の注入量と酸化還元電位調整剤の溶解量とを制御すればよい。
このpH・酸化還元電位調整水W1は、pH計10AによりpHが計測されるとともに、ORP計10Bにより酸化還元電位が測定され、所望とするpH及び酸化還元電位であるか否かが監視される。そして、超純水Wの供給量のわずかな変動によってもpH及び酸化還元電位が変動するので、pH・酸化還元電位調整水W1が所望とするpH及び酸化還元電位となるように、制御装置11によりpH調整剤注入装置4A及び酸化還元電位調整剤供給装置21を制御可能となっている。このpH及び酸化還元電位は、PI制御やPID制御などのフィードバック制御の他、周知の方法により制御することができる。
さらに、本発明のpH・酸化還元電位調整水の製造装置の第四の実施形態について図4を参照にして説明する。
〔pH・酸化還元電位調整水の製造装置〕
第四の実施形態のpH・酸化還元電位調整水の製造装置1は、基本的には上述した第一の実施形態と類似する構成を有するので、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。本実施形態は、pH調整剤としてCOガスなどのガス体を用いる場合であり、図4においてpH調整剤注入装置31は、ガス溶解膜32とCOガスなどのpH調整剤としてのガス源33とからなり、このpH調整剤注入装置31の前段には、膜式脱気装置34が設けられている。なお、符号35は膜式脱気装置34に付設された真空ポンプ(VP)であり、符号36は膜式脱気装置34のドレンタンクである。そして、このpH調整剤注入装置31の後段には、酸化還元電位調整剤供給装置4Bがポンプ5Bを介して設けられている。
〔pH・酸化還元電位調整水の製造方法〕
上述したような構成を有する本実施形態のpH・酸化還元電位調整水の製造装置を用いた高純度の調整水の製造方法について以下説明する。
まず、原水としての超純水Wを供給ライン2から白金族金属担持樹脂カラム3に供給する。この白金族金属担持樹脂カラム3では白金族金属の触媒作用により、超純水W中の過酸化水素を分解除去する、すなわち過酸化水素除去機構として機能する。これにより超純水W中の酸化性物資質が大きく低減するので、酸化還元電位は低下する。
次にこの超純水Wを後段のガス溶解膜32でガスの溶解効率を向上させるためにあらかじめ膜式脱気装置34により脱気する、そして、この脱気した超純水Wに、ガス溶解膜32を介してpH調整剤としてのCOガスなどのガス体を溶解する。続いて必要に応じポンプ5Bを介して酸化還元電位調整剤注入装置4Bから酸化還元電位調整剤を注入してpH・酸化還元電位調整水W1を調製する。ここでpH調整剤のガスの溶解量は、得られる調整水W1が所望のpHとなるように超純水Wの流量に応じて、制御装置11により制御すればよい。また、酸化還元電位調整剤の注入量は、pH調整剤注入後の超純水Wの酸化還元電位が所望とする値をはずれる場合に、適宜制御すればよい。例えば、タングステンやモリブデンなどのクロム族元素が露出しているウエハの洗浄水として用いる場合には、pH0~4で酸化還元電位が0~0.8VとなるようにpH調整剤の注入量と酸化還元電位調整剤の溶解量とを制御すればよい。
このpH・酸化還元電位調整水W1は、pH計10AによりpHが計測されるとともに、ORP計10Bにより酸化還元電位が測定され、所望とするpH及び酸化還元電位であるか否かを監視される。そして、超純水Wの供給量のわずかな変動によってもpH及び酸化還元電位が変動するので、pH・酸化還元電位調整水W1が所望とするpH及び酸化還元電位となるように、制御装置11によりpH調整剤注入装置31及び酸化還元電位調整剤注入装置4Bを制御可能となっている。このpH及び酸化還元電位は、PI制御やPID制御などのフィードバック制御の他、周知の方法により制御することができる。
以上、本発明について添付図面を参照して説明してきたが、本発明は上記実施形態に限らず種々の変更実施が可能である。例えば、pH・酸化還元電位調整水の製造装置には、流量計、温度計、圧力計、気体濃度計等の計器類を任意の場所に設けることができる。さらに、pH調整剤注入装置4A及び酸化還元電位調整剤注入装置4Bに薬液流量調整バルブを設けてもよい。さらに膜式脱気装置6は、要求される調整水の水質やpH調整剤及び酸化還元電位調整剤としてガス体を用いる場合には設けなくてもよい。
以下の具体的実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
(酸化還元電位の影響確認試験1)
[比較例1]
300mmΦのPVD法によるタングステン(W)膜付きウエハから10mm×45mmの角形の試験片を切り出した。この試験片を塩酸水溶液(塩酸濃度:1ppm、pH:4.5、過酸化水素濃度:100ppb、酸化還元電位:1.8V)100mLに室温にて5分間浸漬した後の処理液中のタングステンの濃度をICP-MSにより分析し、タングステンの溶解速度を算出した。結果を図5に示す。
[実施例1]
比較例1と同じ試験片を過酸化水素を除去した白金族金属担持樹脂カラムで処理した超純水を用いて調製した塩酸を用いた塩酸水溶液(塩酸濃度:1ppm、pH:4.5、過酸化水素濃度:<1ppb、酸化還元電位:0.9V)100mLに室温にて5分間浸漬した後の処理液中のタングステンの濃度をICP-MSにより分析し、タングステンの溶解速度を算出した。結果を図5にあわせて示す。
図5から明らかな通り、同じ濃度の塩酸水溶液であっても過酸化水素水を除去することにより酸化還元電位が低下し、タングステンの溶解速度が約30%低下することが確認された。これは過酸化水素(H)が存在するとタングステンの表面で以下の反応が起きることでタングステンが溶解するためであり、塩酸水溶液から過酸化水素(H)を除去することでタングステンの溶解速度が低下したと考えられる。
W+3H → WO 2-+2HO+2H
(酸化還元電位の影響確認試験2)
[実施例2]
300mmΦのPVD法によるタングステン(W)膜付きウエハから10mm×45mmの角形の試験片を切り出した。この試験片を過酸化水素添加塩酸水溶液(塩酸濃度:1ppm、pH:4.5、過酸化水素濃度:0.001ppm~1000ppm、酸化還元電位:0.9V~1.8V)100mLに室温にて5分間浸漬した後の処理液中のタングステンの濃度をICP-MSにより分析し、タングステンの溶解速度を算出した。結果を図6に示す。
図6から明らかな通り、同じpHであっても過酸化水素の濃度によりタングステンの溶解速度が大きく変動し、過酸化水素の濃度1ppmでは過酸化水素を白金族金属担持樹脂カラムで処理した0.001ppmの場合と比べて約1.3倍の溶解速度であった。また、過酸化水素の濃度1000ppmの過酸化水素濃度塩酸水溶液では、タングステンの溶解速度は0.001ppmの場合と比べて約50倍の溶解速度であった。これまで酸性条件下ではタングステンの溶解に酸化還元電位は影響しないとされていた。しかしながら、この試験により塩酸水溶液への過酸化水素の添加量の相違により、タングステンの溶解速度が大きく変化することがわかった。これは上述したようにタングステン表面に過酸化水素が存在するとタングステンが溶解するが、この過酸化水素濃度が減少して酸化還元電位が低下するにつれて、タングステンの溶解が急激に抑制されるためであると考えられる。
(酸化還元電位の影響確認試験3)
[比較例2]
300mmΦのPVD法によるタングステン(W)膜付きウエハから10mm×45mmの角形の試験片を切り出した。また、300mmΦのPVD法による窒化チタン(TiN)膜付きウエハから10mm×45mmの角形の試験片を切り出した。これら2枚の試験片を電気的に接続し、塩酸水溶液(塩酸濃度:1ppm、pH:4.5、過酸化水素濃度:100ppb、酸化還元電位:1.8V)100mLに室温にて5分間浸漬した後の処理液中のタングステンの濃度をICP-MSにより分析し、タングステンの溶解速度を算出した。結果を図7に示す。
[実施例3]
比較例2と同じ試験片を過酸化水素を除去した白金族金属担持樹脂カラムで処理した超純水を用いて調製した塩酸を用いた塩酸水溶液(塩酸濃度:1ppm、pH:4.5、過酸化水素濃度:<1ppb、酸化還元電位:0.9V)100mLに室温にて5分間浸漬した後の処理液中のタングステンの濃度をICP-MSにより分析し、タングステンの溶解速度を算出した。結果を図7にあわせて示す。
図7から明らかな通り、異種金属(タングステンと窒化チタン)が電気的に接続した状態では、実施例3は、上述した実施例1と比較してタングステンの溶解速度が大幅に上昇している。なお、窒化チタンの溶出はほとんど認められなかった。これは、両者の酸化還元電位の相違から異種金属腐食が発生し、酸化還元電位の低いタングステンが溶解しやすくなるためであると考えられる。これに対し、実施例3と比較例2との対比から明らかなように、同じ濃度の塩酸水溶液であっても過酸化水素水を除去することにより、タングステンの溶解速度が大幅に低下することが確認された。これは上述したようにタングステン表面に過酸化水素が存在するとタングステンが溶解するが、過酸化水を除去することで酸化還元電位が低下し、タングステンの溶解が抑制されるためであると考えられる。
1 pH・酸化還元電位調整水製造装置
2 供給ライン
3 白金族金属担持樹脂カラム(過酸化水素除去機構)
4A pH調整剤注入装置
4B 酸化還元電位調整剤注入装置
5A,5B ポンプ
6 膜式脱気装置
7 真空ポンプ
8,26,36 ドレンタンク
9 排出ライン
10A pH計(pH計測手段)
10B ORP計(酸化還元電位計測手段)
11 制御装置
12 窒素ガス供給装置
21 酸化還元電位調整剤供給装置
31 pH調整剤注入装置
22,32 ガス溶解膜
23 ガス源(酸化還元電位調整剤)
24,34 膜式脱気装置
25,35 真空ポンプ
33 ガス源(pH調整剤)
W 超純水
W1 pH・酸化還元電位調整水(調整水)
W2 pH・酸化還元電位調整水(脱酸素調整水)

Claims (8)

  1. 超純水にpH調整剤と酸化還元電位調整剤とを添加して所望とするpH及び酸化還元電位の調整水を製造するpH・酸化還元電位調整水の製造装置であって、
    超純水供給ラインと、過酸化水素除去機構と、pH調整剤注入装置と、酸化還元電位調整剤注入装置と、pH計測手段と、酸化還元電位計測手段と、制御手段とを備え、
    前記超純水供給ラインにおいて、前記過酸化水素除去機構の下流側に前記pH調整剤注入装置及び前記酸化還元電位調整剤注入装置が設けられ、前記pH調整剤注入装置及び前記酸化還元電位調整剤注入装置の下流側に前記pH計測手段及び前記酸化還元電位計測手段が設けられ、
    前記制御手段は、前記pH・酸化還元電位調整水のpHが0~5かつ酸化還元電位が0~1.0Vであるように、前記pH計測手段及び前記酸化還元電位計測手段の測定値に基づいて前記pH調整剤注入装置におけるpH調整剤の添加量及び前記酸化還元電位調整剤注入装置における酸化還元電位調整剤の添加量を制御可能である、
    少なくとも一部にタングステンが露出した半導体材料の洗浄用のpH・酸化還元電位調整水の製造装置。
  2. 前記pH調整剤が、塩酸、硝酸、酢酸及びCOから選ばれた1種又は2種以上である、請求項1に記載のpH・酸化還元電位調整水の製造装置。
  3. 前記酸化還元電位調整剤が、シュウ酸、硫化水素、ヨウ化カリウム、水素ガスから選ばれた1種又は2種以上である、請求項又はに記載のpH・酸化還元電位調整水の製造装置。
  4. 前記pH調整剤が液体であり、前記pH調整剤注入装置がポンプまたは密閉タンクと不活性ガスを用いた加圧手段である、請求項1~のいずれか一項に記載のpH・酸化還元電位調整水の製造装置。
  5. 前記酸化還元電位調整剤が液体であり、前記酸化還元電位調整剤注入装置が、ポンプまたは密閉タンクと不活性ガスを用いた加圧手段である、請求項のいずれか一項に記載のpH・酸化還元電位調整水の製造装置。
  6. 前記pH調整剤が気体であり、前記pH調整剤注入装置が、気体透過性膜モジュールまたは直接気液接触装置である、請求項1~のいずれか一項に記載のpH・酸化還元電位調整水の製造装置。
  7. 前記酸化還元電位調整剤が気体であり、前記酸化還元電位調整剤注入装置が、気体透過性膜モジュールまたは直接気液接触装置である、請求項のいずれか一項に記載のpH・酸化還元電位調整水の製造装置。
  8. 前記pH調整剤注入装置の後段に溶存酸素除去装置を設けた、請求項1~のいずれか一項に記載のpH・酸化還元電位調整水の製造装置。
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