JP7085383B2 - 炭素繊維強化樹脂組成物及びその成形物 - Google Patents
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(1)230℃、21.18Nにおけるメルトマスフローレイト(MFR)が5~150g/10minであること及び
(2)上記ポリオレフィン系樹脂と混合したときのモルフォロジーが、ポリオレフィン系樹脂を連続相とし、オレフィン系軟質樹脂成分を分散相とした海島構造を形成し、かつ分散相の平均長さが0.1~10μmであること、を満足し、
上記炭素繊維の配合率が、炭素繊維、ポリオレフィン系樹脂、オレフィン系軟質樹脂成分及び密着性付与剤の合計に対し、10~50質量%であることを特徴とする炭素繊維強化樹脂組成物である。
そして、エチレン-プロピレンブロックコポリマー及び/又は酸変性ポリプロピレンが適するものとしてある。
本明細書において、ポリオレフィン系樹脂を(A)成分と、オレフィン系軟質樹脂成分を(B)成分と、密着性付与剤を(C)成分と、炭素繊維を(D)成分ともいう。(A)、(B)及び(C)成分を含み、(D)成分を含まない混合物をポリオレフィン系樹脂組成物ともいい、さらに(D)を加えた(A)、(B)、(C)及び(D)成分の混合物を炭素繊維強化樹脂組成物ともいう。
ポリオレフィン系樹脂は単純なエチレンやプロピレン等のオレフィンを含むモノマーから得られる樹脂であり、酸変性等の変性や異相共重合等の反応が行われていない未変性タイプのものが適する。
これらのオレフィンを1種類だけ重合させた単独重合体(ホモポリマー)でもよいし、2種類以上を共重合させた共重合体(コポリマー)でもよい。共重合体の例としては、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-ブテン共重合体、プロピレン-ペンテン共重合体、プロピレン-ヘキセン共重合体、プロピレン-オクテン共重合体のような二元共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン共重合体、エチレン-プロピレン-ヘキセン共重合体のような三元共重合体等が挙げられる。この中でもプロピレンの単独重合体であるプロピレンホモポリマーが特に好ましい。
本明細書においてMFRの測定条件は特に断らない限り、(B)成分の測定条件と同じである。
オレフィン系軟質樹脂成分を構成するオレフィンの具体的な例としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、2-メチル-1-プロペン、1-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、2-エチル-1-ブテン、2,3-ジメチル-1-ブテン、2-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、3,3-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、メチル-1-ヘキセン、ジメチル-1-ペンテン、エチル-1-ペンテン、トリメチル-1-ブテン、1-オクテン等を挙げることができる。
この海島構造とは、ポリオレフィン系樹脂からなる相が連続相をなし、オレフィン系軟樹脂質成分からなる相が連続相中に分散して分散相となっている構造を意味する。海島構造となることは、両者は完全には相溶しないことを意味する。
密着性付与剤は、樹脂と繊維の密着性を改善する作用を有する。したがって、ポリオレフィン系樹脂と相溶性を有する単位と、繊維との接着性を高める単位、好ましくは水酸基のような極性基含有単位とを有するものであればよい。しかし、(B)成分のオレフィン系軟質樹脂成分であることはない。
より好ましくは、酸変性ポリオレフィン系樹脂単位及びエポキシ樹脂単位を有し、酸変性ポリオレフィン系樹脂単位とエポキシ樹脂単位がエステル構造で結合されていて、しかもエポキシ樹脂単位中に2級水酸基が含有される樹脂である。
酸変性ポリオレフィン系樹脂の好ましい変性内容は上記の酸変性PPに対するものと同様であり、無水マレイン酸が特に好ましい。
ポリグリシジルアミン化合物としては、例えば、ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、メタキシレンジアミン型エポキシ樹脂、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、アニリン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
ポリグリシジルエステル化合物としては、例えば、ダイマー酸型エポキシ樹脂、ヘキサヒドロフタル酸型エポキシ樹脂、トリメリット酸型エポキシ樹脂等が挙げられる。
脂環式エポキシ化合物としては、セロキサイド2021(ダイセル化学工業株式会社製)等の脂肪族環状エポキシ樹脂等が挙げられる。
その他変性エポキシ樹脂としては、例えば、ウレタン変性エポキシ樹脂、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂、エポキシ変性ポリブタジエンゴム誘導体、CTBN変性エポキシ樹脂、エポキシ変性ポリエステル樹脂、エポキシ変性メラミン樹脂、ポリビニルアレーンポリオキシド(例えば、ジビニルベンゼンジオキシド、トリビニルナフタレントリオキシド等)、リン含有エポキシ樹脂等が挙げられる。
エステル結合は、IR吸収スペクトルを測定することで、C=O伸縮による吸収が1735~1750cm-1に観測できることで確認できる。
エポキシ樹脂単位中に含まれる2級水酸基の有無は、IR吸収スペクトルを測定することで、O-H伸縮による吸収が3200~3600cm-1にブロードなピークとして観測できることで確認できる。
炭素繊維は、従来公知の種々の炭素繊維を使用することができ、市販のものを好適に用いることできる。例えば、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、気相成長系炭素繊維及びこれらの黒鉛化繊維が挙げられる。なお、PAN系炭素繊維は、ポリアクリロニトリル繊維を原料とする炭素繊維であり、ピッチ系炭素繊維は、石油タールや石油ピッチを原料とする炭素繊維であり、セルロース系炭素繊維は、ビスコースレーヨンや酢酸セルロース等を原料とする炭素繊維であり、気相成長系炭素繊維は、炭化水素等を原料とする炭素繊維である。本発明で使用する炭素繊維の種類は、特に制限はない。また、この炭素繊維は単独で使用するのみならず、複数の種類のものを混合して使用しても良い。
ここで、繊維直径とは、繊維束を構成するモノフィラメント数で平均化した平均直径のことをいう。モノフィラメント直径とは、モノフィラメントを繊維軸方向と垂直方向にカットした際に得られる断面の長手方向と短手方向の平均値とする。
また、炭素繊維の円周方向の断面形状は特に限定するものではない。真円でもよく、楕円でもよく、これらが2つ合わさった様な格好のいわゆるキドニー断面形状であってもよい。また円周部に凹凸が有る波状形状でも構わない。凹凸はモノフィラメント直径に対して10%以内程度であればよい。このような円周方向の表面に凹凸形状が有る炭素繊維としては、例えば、TR50S(三菱ケミカル株式会社製)等が挙げられる。
ここで、繊維長とは、炭素繊維強化樹脂組成物に含まれる繊維を任意に100本以上抽出して長さを測定し、その平均繊維長のこととする。炭素繊維強化樹脂組成物の寸法は、これがペレット状である場合は、ペレットの寸法をいう。
一方、被覆等の表面処理としては、いわゆるサイジング処理が挙げられる。接着性や収束性、濡れ性の向上を目的として、後述する種々のエポキシ化合物等を1種類又は2種類以上を組み合わせることで処理しても良い。また、必要に応じてウレタン系、オレフィン系、アクリル系、ナイロン系、ブタジエン系又はエポキシ系等の収束剤を使用してもよい。
また、コスト的には(A)成分を主成分とし、(B)成分を50質量%未満、好ましくは2質量%以上、30質量%未満とし、(C)成分を10質量%未満、好ましくは2質量%以上、10質量%未満とすることが有利である。
ポリオレフィン系樹脂組成物のMFRは特に限定するものではないが、50~100g/10minが好ましい。50g/minより低すぎると、ポリオレフィン系樹脂組成物自体の成形加工性が悪化し、例えば、成形体としたときにショートショットや、ウェルド強度の低下に繋がる恐れがある。加えて炭素繊維強化複合材料とする際に、炭素繊維への樹脂の含浸性が低すぎるため製造方法や製造条件が著しく限定されてしまう。一方で100g/minより高すぎると例えば、成形体としたときにバリが生じ、外観品質の悪化に繋がる恐れがある。
本発明の炭素繊維強化樹脂組成物の製造方法については、特に限定するものではないが、従来公知の方法を好適に用いることができる。単繊維が収束されてなるトウの形態、繊維束が任意の長さに切断されたチョップドの形態、チョップドよりも更に細かく分断されたミルドの形態等の炭素繊維に樹脂分を含浸させ複合化させることにより、押出・射出成形が可能ないわゆる炭素繊維強化ペレットとする製造方法や、繊維束を編み織物状としたクロスの形態、トウを開繊し一方向に引き揃え横糸補助糸で保持した形態、短繊維状の炭素繊維をマット又は不織布状に加工した形態等の炭素繊維に樹脂を含浸させ複合化させることにより、プレス成型が可能ないわゆるプリプレグシート・スタンパブルシートとする製造方法等が挙げられる。成形加工性と強度発現の両立の観点から炭素繊維強化ペレットが好ましく、特にトウを用い炭素繊維強化ペレットとしたいわゆる長繊維強化ペレットが特に好ましい。
繊維強化樹脂ペレットの変形としては、パウダー状、フレーク状でも構わない。
また、2台以上の押出機(押出し部)を使用し、そのうち1台以上の押出機には樹脂と樹脂の分解剤を投入してもよい。更に、押出機の少なくとも1箇所に樹脂と樹脂の分解剤を投入してもよい。
本発明の成形物を成形する方法としては、射出成形法、押出成形法、中空成形法、圧縮成形法、射出圧縮成形法、ガス注入射出成形法、発泡射出成形法等の公知の成形法をなんら制限なく適用できる。特に射出成形法、圧縮成形法及び射出圧縮成形法が好ましい。成形温度は、通常、好ましくは150~250℃、より好ましくは160℃~220℃の範囲で行うことができる。そのため、樹脂成分は、こうした成形温度域において適切な溶融粘度を示す材料が選定される。
JIS K 7210-1999に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
(2)引張降伏強さ、引張破壊強さ、引張弾性率、引張破壊歪:
万能材料試験機(インストロン社製、5582型)を使用した。室温にて、掴み部を含めた全長215mm、幅10mm、厚み4mmの寸法のダンベル試験片を、チャック間114mm、速度50mm/min.で引張試験を行い、得られた応力-歪線図から引張降伏強さ、引張破壊強さ、引張弾性率、引張破壊歪を求めた。
(3)曲げ強さ、曲げ弾性率:
全自動曲げ試験機(株式会社東洋精機製作所製、ベンドグラフ試験機)を使用した。室温にて、長さ80mm、幅10mm、厚み4mmの寸法の棒状試験片を速度2mm/min.で3点曲げ試験を行い、得られた応力-歪線図から曲げ強さ、曲げ弾性率を求めた。
(4)衝撃強さ:
シャルピー衝撃試験機(株式会社安田精機製作所製、No.258PC-S)を使用した。室温にて、試験片長手方向をMD方向とし、板厚を貫通する深さ2mmのVノッチを有した、長さ80mm、幅10mm、厚み4mmの衝撃試験片でシャルピー衝撃試験を行った。試験片の破壊前後でのハンマー位置エネルギーの差から吸収エネルギーを求め、シャルピー衝撃値とした。
(5)吸収エネルギー:
面衝撃試験機(JTトーシ製、IITM-18)を使用した。室温にて板厚およそ2.5mm、縦横寸法が70mmの試験片で行った。直径40mmの有孔支持台に板状試験片を載置し、孔部中心の直上1mの高さから先端のRが20mmのストライカを落下させた。ストライカが板状試験片を貫通するときの荷重-時間曲線からJIS K 7211-2に記載された計算式で荷重-変位曲線に換算した後、荷重を変位の全区間で積分した値を、試験片の破壊に要する吸収エネルギーとして評価した。
(6)荷重たわみ温度:
荷重たわみ温度試験機(株式会社安田精機製作所製、No.148-HDPC-3)を使用した。長さ80mm、幅10mm、厚み4mmの多目的試験片に対し、スパン64mmで曲げ応力を与えた状態で油槽の温度を120℃/min.の速度で昇温し、規定のたわみ量(0.34mm)に達した時の温度を荷重たわみ温度とした。
A-1:ポリプロピレンホモポリマー(日本ポリプロ株式会社製、SA08、MFR85g/10min)
(オレフィン系軟質樹脂成分)
B-1:ブロックPP(日本ポリプロ株式会社製、BC10HRF、曲げ弾性率1100MPa、MFR111g/10min)
B-2:無水マレイン酸変性PP(三菱ケミカル株式会社製、モディックP565、曲げ弾性率600MPa、MFR5.7g/10min)
B-3:無水マレイン酸変性PP(三菱ケミカル株式会社製、モディックP555、曲げ弾性率1200MPa、MFR6.2g/10min)
B-4:水添スチレン系熱可塑性エラストマー(旭化成株式会社製、タフテックH1062、曲げ弾性率26MPa、MFR4.5g/10min)
PMA-H1000P:無水マレイン酸変性PP(東洋紡株式会社製、PMA-H1000P曲げ弾性率1400MPa、MFR200g/10min以上)
YP-70:BPA/BPF共重合型フェノキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製、フェノトートYP-70)
2E4MZ-A:イミダゾール系触媒(四国化成工業株式会社製、キュアゾール2E4MZ-A)
オレフィン系軟質樹脂成分(B-1~B-4)20部とポリオレフィン系樹脂A―1 80部とをそれぞれドライブレンドした混合物を、2軸混錬押出成形機(日本製鋼所製、TEM26SS)に投入した後、200℃での溶融混合を行った。バレル先端のダイス口から吐出されたストランドを水槽で冷却した後、ペレタイザーで凡そ3mm長にカットし、さらに放冷してオレフィン系軟質樹脂成分とポリオレフィン系樹脂の混合物のペレットを得た。得られたペレットを、射出成形機(株式会社日本製鋼所製、J180AD)を用い、シリンダー温度230℃、金型温度40℃で射出成型して成形物を得た。得られた成形物の表面を、ミクロトームを使って平滑化する面出しを行って、モルフォロジー観察用及び分散相長さ測定用の試験片を得た。得られた試験片をBrukerAXS製Dimension Icon型SPM装置を用いて、23℃にて観察を行った。なお、プローブには先端曲率半径が10nm、ばね定数42N/mのBruker製TESPA NCHVをセットしタッピングモードでスキャンして観察した。観察の結果得られた位相イメージから100個の分散相長さを測定し、各分散相長さを算術平均して平均長さを算出した。その結果を表1に示した。
ここで、モルフォロジーを模式的に表した図1で説明する。100が海島構造であり、110が連続相を、120が分散相を表している。また、分散相の最大長さ及び最小長さとは、121及び122でそれぞれ表した距離のことである。
PMA-H1000Pを70部、YP-70を30部、2E4MZ-Aを1部ドライブレンドして混合物を得た後、その混合物を予めバレル内を170~200℃に予備加熱しておいた2軸混錬押出成形機(上記)に投入して溶融混合を行った。溶融混合終了後、バレル先端のダイス口から吐出されたストランドを水槽で冷却したあと、ペレタイザーで凡そ3mm長にカットし、さらに放冷して、密着性付与剤C-1を得た。得られた密着性付与剤のエステル結合に由来するピーク及び密着性付与剤の原料であるエポキシ樹脂の2級水酸基に由来するピークが有ることをFT-IRで確認した。
ポリオレフィン系樹脂としてA-1 72部、オレフィン系軟質樹脂成分としてB-1 23部、密着性付与剤としてC-1 5部をドライブレンドして混合物を得た後、その混合物を用いて、合成例1と同様な装置に、同様な操作を行い、組成物P1を得た。
表2に示した配合比に変更した以外は実施例1と同様な操作を行い、組成物P2~P10を得た。
表3に示した配合比に変更した以外は参考例1と同様な操作を行い、組成物HP1~HP6を得た。
予めバレル内を170~230℃に予備加熱しておいた2軸混錬押出成形機(上記)に、メーンホッパーからポリオレフィン系樹脂組成物として組成物P1を70部供給し、次いでその下流のサイドホッパーから炭素繊維(三菱ケミカル株式会社製、チョップドファイバー、φ7μm、3mm長)を30部となるよう供給し、溶融混合を行った。バレル先端のダイス口から吐出されたストランドを水槽で冷却したあと、ペレタイザーで凡そ3mm長にカットし、さらに放冷して、炭素繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットを、射出成形機(上記)を用い、シリンダー温度230℃、金型温度40℃、背圧15MPaで射出成型することで成形物を得た。得られた成形物の機械物性を表4に示した。
表4に示した組成物に変更した以外は実施例1と同様な操作を行い、成形物を得た。得られた成形物の機械物性を表4に示した。
表5に示した組成物に変更した以外は実施例1と同様な操作を行い、成形物を得た。得られた成形物の機械物性を表5に示した。
表6に示した配合比に変更した以外は参考例1と同様な操作を行い、組成物P11~P13及びHP7を得た。
予めバレル内を170~230℃に予備加熱しておいた2軸混錬押出成形機(上記)に、メーンホッパーからポリオレフィン系樹脂組成物として組成物P11を60部供給し、次いでその下流のサイドホッパーから炭素繊維(三菱ケミカル製、チョップドファイバー、φ7μm、6mm長)を40部となるよう供給し、溶融混合を行った。バレル先端のダイス口から吐出されたストランドを水槽で冷却したあと、ペレタイザーで凡そ3mm長にカットし、さらに放冷して、炭素繊維強化樹脂組成物のペレットCP11を得た。
ポリオレフィン系樹脂組成物として比較参考例1及び7で得られたHP1及びHP7を用いた以外は実施例11と同様な操作を行い、炭素繊維強化樹脂組成物のペレットHCP1及びHCP7を得た。
実施例11で得られたペレットCP11 75部と、参考例12で得られた組成物P12 25部とをドライブレンドして炭素繊維の含有率が30質量部となるような混合物を得た後、射出成形機(株式会社日本製鋼所製、J220AD)を用い、シリンダー温度230℃、金型温度40℃、背圧3MPaで射出成型することで成形物を得た。成形後の(A)~(C)の組成比と機械物性を表7に示した。
組成物を参考例13で得られた組成物P13に替えた以外は、実施例12と同様の操作を行い、成形物を得た。成形後の(A)~(C)の組成比と機械物性を表7に示した。
ペレットを比較例7及び8で得られたHCP1及びHCP7に、組成物を比較参考例1で得られた組成物HP1に替えた以外は、実施例12と同様の操作を行い、成形物を得た。成形後の(A)~(C)の組成比と機械物性を表7に示した。
110 連続相
120 分散相
Claims (5)
- 炭素繊維、ポリオレフィン系樹脂、オレフィン系軟質樹脂成分及び密着性付与剤を必須成分とする炭素繊維強化樹脂組成物であって、
上記密着性付与剤が、酸変性ポリオレフィン系樹脂単位及びエポキシ樹脂単位を有し、酸変性ポリオレフィン系樹脂単位とエポキシ樹脂単位がエステル構造で結合されていること及びエポキシ樹脂単位中に2級水酸基が含有されている樹脂であり、サイジング剤として炭素繊維を表面処理するものではなく、
上記ポリオレフィン系樹脂が、ポリプロピレンホモポリマーであり、
上記オレフィン系軟質樹脂成分が、エチレン-プロピレンブロックコポリマー及び/又は酸変性ポリプロピレンであり、かつ、下記条件
(1)230℃、21.18Nにおけるメルトマスフローレイトが5~150g/10minであること、及び
(2)上記ポリオレフィン系樹脂と混合したときのモルフォロジーが、ポリオレフィン系樹脂を連続相とし、オレフィン系軟質樹脂成分を分散相とした海島構造を形成し、かつ分散相の平均長さが0.1~10μmであること、
を満足し、上記炭素繊維の配合率が、炭素繊維、ポリオレフィン系樹脂、オレフィン系軟質樹脂成分及び密着性付与剤の合計に対し、10~50質量%であることを特徴とする炭素繊維強化樹脂組成物。 - 上記オレフィン系軟質成分の23℃での曲げ弾性率が100~1600MPaである請求項1に記載の炭素繊維強化樹脂組成物。
- 上記ポリオレフィン系樹脂、オレフィン系軟質樹脂成分及び密着性付与剤を、それぞれ(A)、(B)及び(C)とするとき、それぞれの配合率が、(A)、(B)及び(C)の合計に対し、(A)0.1~97.5質量%、(B)2~75質量%及び(C)0.5~70質量%である請求項1に記載の炭素繊維強化樹脂組成物。
- 上記配合率が、(A)、(B)及び(C)の合計に対し、(A)40~90質量%、(B)2~49質量%及び(C)1~20質量%である請求項3に記載の炭素繊維強化樹脂組成物。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の炭素繊維強化樹脂組成物の成形物。
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