JP7075328B2 - 木目調床材及び床面構造 - Google Patents
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Description
このような木目調床材は、表面に凹凸を形成することにより、木目模様に立体感を持たせたものが知られている。例えば、特許文献1には、基材の表面に模様印刷を施した模様印刷シートを貼着してなる建築板において、該模様印刷シートの模様が耐摩耗性の高いインクと耐摩耗性の低いインクとで形成されるとともに、耐摩耗性の低いインク部分がブラシ等で適度に摩耗除去されて該模様印刷シートの表面に木目調の凹凸模様が形成されている建築板が開示されている。かかる建築板は、凸部が木目の筋の流れ模様を成している。
一方、前記長状凸部の突出高さを可及的に小さくすると、清掃し易くなるが、木目の立体感が消失する。
本発明の好ましい木目調床材は、前記複数の凸列が、木目の流れ方向と略直交する方向である幅方向において並列されており、1つの凸列の凸部の谷部位のうち70%以上の谷部位が、当該凸列に隣接する凸列の凸部の谷部位と幅方向において揃っている。
本発明の好ましい木目調床材は、前記凸列が、2つ以上の山部位と前記山部位の間の谷部位とを有する凸部を含む。
本発明の床面構造は、木目模様が表出された床材が敷設された屋内床面と、前記屋内床面に隣接した屋外又は半屋外床面と、を有し、上記いずれかの木目調床材が、前記屋内床面に敷設された床材と木目の流れ方向を一致させて、前記屋外又は半屋外床面に敷設されている。
本明細書において、ある層の「表面」は、木目調床材を敷設する床面から遠い側の面を指し、「裏面」は、その反対側(床材を敷設する床面に近い側)の面を指す。
本明細書において、「~」で表される数値範囲は、「~」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。複数の下限値と複数の上限値が別個に記載されている場合、任意の下限値と任意の上限値を選択し、「~」で結んだ範囲とすることができるものとする。
また、各図における、厚み及び大きさなどの寸法は、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
図1は、本発明の木目調床材1の平面図であり、図2は、その断面図である。ただし、図1及び図2では、木目調床材1の表面に形成された凸列を図示していない。
図1に示すように、木目調床材1は、平面視長尺帯状に形成されている。本明細書において、長尺帯状は、長手方向の長さが短手方向の長さに比して十分に長い長方形状であり、例えば、長手方向の長さが短手方向の長さの2倍以上、好ましくは4倍以上である。長尺帯状の木目調床材1は、通常、ロールに巻かれて保管・運搬に供され、施工現場において、所望の形状に裁断して使用される。もっとも、本発明の木目調床材1は、長尺帯状のシートに限られず、平面視正方形状などの枚葉状に形成された、いわゆるタイル形態であってもよい(図示せず)。
本発明の木目調床材1の厚みは、適宜設定できるが、例えば、1.5mm~5mmであり、好ましくは、2mm~4mmである。なお、前記厚みは、床材1の最大厚み(凸部の山部位が形成された部分の厚み)を意味する。
本発明の木目調床材1の層構成は、特に限定されないが、例えば、図2に示すように、表面側から順に、表面樹脂層2と、本体層4と、を有し、好ましくは、表面側から順に、表面樹脂層2と、化粧層3と、本体層4と、を有する。
必要に応じて、表面樹脂層2の表面に、保護層(図示せず)が形成されていてもよい。
表面樹脂層2は、発泡されていてもよく、発泡されていなくてもよい。綺麗な木目の筋形状を表出できることから、表面樹脂層2は発泡されていない非発泡体であることが好ましい。
表面樹脂層2は、透明(無色透明又は有色透明)でもよく、不透明でもよい。裏面側に化粧層3が設けられる場合にはその化粧層3を透視できるようにするため、表面樹脂層2は、透明であることが好ましく、無色透明であることがより好ましい。
表面樹脂層2の厚みは、特に限定されず、例えば、0.1mm~1mmであり、好ましくは、0.15mm~0.5mmである。なお、前記厚みは、表面樹脂層2の最大厚み(凸部の山部位が形成された部分の厚み)を意味する。
前記化粧層3は、意匠印刷シート、意匠性が付与された熱可塑性樹脂層、転写層などが挙げられる。もっとも、化粧層3は、これら例示の層に限られず、デザインを表すことができる層であればその他任意のものを用いることができる。
前記化粧層3の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.05mm~1mmであり、好ましくは0.1mm~0.5mmである。
繊維補強層41は、経時的な収縮や膨張による木目調床材1の寸法変化を抑制するための層である。
繊維補強層41としては、繊維を含む不織布、繊維を織った又は編んだ織布などが挙げられる。繊維は、特に限定されず、ガラス繊維やカーボン繊維などの無機繊維、ポリエステル繊維などの剛性繊維、羊毛や綿などの天然繊維などの繊維が挙げられる。強度が高く、温度による寸法変動が少ない点から、繊維補強層41は、ガラス繊維を含むガラス不織布又はガラス繊維を含むガラス織布を用いることが好ましく、ガラス不織布を用いることがより好ましい。
接合樹脂としては、繊維補強層41、裏面樹脂層42及び表面樹脂層2(又は化粧層3)の何れにも接合するものであれば特に限定されず、従来公知の樹脂を用いることができる。接合樹脂としては、表面樹脂層2で例示したような熱可塑性樹脂が挙げられ、中でも、塩化ビニル系樹脂を主成分とする樹脂が好ましく、ペースト塩化ビニル系樹脂を主成分とする樹脂がより好ましい。
接合樹脂を含む繊維補強層41の厚みは、特に限定されず、例えば、0.1mm~1mmであり、好ましくは、0.2mm~0.5mmである。
なお、必要に応じて、裏面樹脂層42の裏面にエンボス加工が施されていてもよい(図示せず)。
裏面樹脂層42の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.5mm~4mmであり、好ましくは1mm~3mmである。
図3は、本発明の木目調床材1の表面に形成された複数の凸列を拡大し且つ模式的に表した平面図であり、図4は、図3の丸囲い部分IVの更なる拡大模式平面図である。図5及び図6は、1つの凸列を木目の流れ方向に沿って縦断したときの端面図(図4のV-V線の端面図及び図4のVI-VI線の端面図)であり、図7は、複数の凸列を幅方向に沿って横断したときの端面図(図4のVII-VII線の端面図)である。
なお、実際の製品では、表面樹脂層2の表面に形成された凹凸(凸部5及び凹部62など)に対応して表面樹脂層2のみならず化粧層3の厚みも変化するが、図5乃至図7の端面図においては、便宜上、化粧層3を均一な厚みで表していることに留意されたい。
具体的には、1つの凸列は、木目の流れ方向に断続的に形成された複数の凸部5の集合からなる。1つの凸列は、巨視的に見ると、木目の1つの筋を表出している。図3に示す矢印は、1つの凸列を指し示している。
ここで、木目の流れ方向は、再現する天然木の秋材部が延びる方向を意味し、必ずしも直線的な方向性を意味するものではなく、再現した秋材部に相当する筋が延びる方向を意味する。また、幅方向は、前記木目の流れ方向と略直交する方向をいう。前記秋材部とは、天然木の年輪を構成する一部であり、濃色でかつ硬質の部分をいい、春部材とは、淡色でかつ軟質の部分をいう。図3及び図4では、紙面の左右方向を流れ方向とし、紙面の上下方向を幅方向としている。
図1では、木目の流れ方向は、長尺帯状の木目調床材1の短手方向にほぼ沿っている。もっとも、木目の流れ方向が、長尺帯状の木目調床材1の長手方向にほぼ沿っていてもよく、或いは、木目調床材1の長手方向に鋭角に交わる方向にほぼ沿っていてもよい。
凸列を構成する複数の凸部5は、木目の流れ方向において断続的に形成されている。換言すると、木目の流れ方向において隣接する凸部5,5の間には、途切れ部61が形成されている。これによって、足裏へのグリップ力が増加し、特に流れ方向への防滑性を高めることができる。
前記途切れ部61は、木目の流れ方向において、各凸部5,5間に形成された凹みであり、前記凹部62は、幅方向において各凸部5,5間に形成された凹みである。途切れ部61と凹部62は、清掃性が向上することから、同一平面上にあることが好ましい。
図3の矢印に示すように、各凸列は、幅方向において均等に配置されておらず、凸列が密な領域及び凸列が粗な領域を有する。凸列が粗な領域においては、凹部62が比較的大きな面積を占めている。
なお、凹凸は、凹と凸の相対的な関係で決定されるものであり、前記凸部5は、前記凹部62及び途切れ部61を基準として、表面側に突出した部分である。図3及び図4において、平面視における凸部5の輪郭(つまり、凸部5の平面視形状)を明瞭な実線で表しているが、実際の製品においては、凸部5と途切れ部61及び凹部62とは、連続的に凹凸の高さが変化していることに留意されたい。凸部5は、断面視で角が丸く形成されている(角取りされている)ことが好ましい。これによって、ゴミなどの微粒子類が凸部5を乗り越え易くなり、清掃性が良くなる。
途切れ部61が幅方向において不揃いである場合には、清掃時に箒などの清掃用具で幅方向に掃くと、ゴミや砂などの微粒子類が幅方向に振れながら移動するので、広い範囲を一度に清掃することができる。また、途切れ部61が幅方向において不揃いである場合には、幅方向への防滑性に優れる上、巨視的に見た場合に途切れ部61が目立ち難くなり、より天然木に近い外観を有する木目調床材1を提供できる。他方、途切れ部61が幅方向において揃っている場合には、清掃時に箒などの清掃用具で幅方向に掃くと、微粒子類が効率よく幅方向に移動して除去される。
前記所定割合は、次のようにして計測するものとする。(a)木目調床材1の表面の10cm×10cmの範囲の中から、幅方向に隣接する2つの凸列を任意に特定し、そのうちの1つの凸列の途切れ部61の個数を計測し、これを全体の個数とする。(b)前記1つの凸列の途切れ部61の中で、もう1つの凸列の途切れ部61と不揃いとなっている個数を計測し、これを不揃いの個数とする。(c)所定割合〔%〕=(不揃いの個数/全体の個数)×100、によって不揃いとなった途切れ部61を計測するものとする。
例えば、図3に示すように凸列を構成する各凸部5の平面視形状は、異なっているが、殆どの凸部5は、木目の流れ方向に概ね延びる長状である点において共通している。ただし、幾つかの凸部5は、平面視で点状になっているものもある。殆どの凸部5が、木目の流れ方向に概ね延びる長状であり、各凸部5の平面視形状が異なっているため、天然木に近い外観を表出できる。
なお、各凸列を構成する複数の凸部5は、その多くが各凸列毎に独立しているが、例えば、図3の符号Aに示す一部の隣接する凸列は、凸部5が繋がっている場合もある。
例えば、図4の凸部5aは、2つの幅広部位72と、2つの幅狭部位71と、を有する。同図の凸部5bは、3つの幅広部位72と、その3つの幅広部位72の間にそれぞれ配置された2つの幅狭部位71と、を有する。同図の凸部5cは、2つの幅広部位72と、その2つの幅広部位72の間に配置された1つの幅狭部位71と、を有する。例えば、図3の凸部5dは、流れ方向において実質的に幅の広狭がなく、概念的には幅広部位72及び幅狭部位71を有さない。平面視における幅広部位72及び幅狭部位71を有する凸部5やそれらを有さない凸部5が任意に混在されていることにより、天然木に近い外観を有する木目調床材1を構成できる。
前記幅広部位72及び幅狭部位71を有する凸部5の割合は、次のようにして計測するものとする。(a)木目調床材1の表面の10cm×10cmの範囲の中の凸部5の個数を計測し、これを全体の個数とする。(b)前記範囲の凸部5の中で、幅広部位72及び幅狭部位71を有する凸部5の個数を計測し、これを広狭を有する凸部5の個数とする。(c)幅広部位72及び幅狭部位71を有する凸部5の割合〔%〕=(広狭を有する凸部5の個数/全体の個数)×100、によって計測するものとする。以下、この計測方法を、凸部割合計測方法という。
図4に、山部位75の頂面に、便宜上、ドットを付している。図4において、平面視における凸部5の輪郭(つまり、凸部5の平面視形状)を表した無端状の実線で囲われる中でドットを付していない領域は、谷部位76の頂面及び傾斜面を表している。
本発明の木目調床材1において、幾つかの凸部5は、1つの山部位75と1つの谷部位76を有し、幾つかの凸部5は、2つ以上の山部位75と1つの谷部位76を有し、幾つかの凸部5は、2つ以上の山部位75と2つ以上の谷部位76を有し、幾つかの凸部5は、谷部位76を有さない。
厚み方向における山部位75及び谷部位76を有する凸部5及びそれらを有さない凸部5が任意に混在されていることにより、天然木に近い外観を有する木目調床材1を構成できる。
前記凸部5aにおいて、複数の山部位75は、突出高さが全て同じでもよく、異なっていてもよい。例えば、前記凸部5aは、突出高さの異なる山部位75を含んでいる。例えば、1つの山部位751(以下、高山部位751という)は、他の山部位752(以下、低山部位752という)よりも突出高さが大きい。高山部位751は、凸部5aの中で最も突出高さが大きい部位である。一方、前記凸部5bにおいては、全ての山部位75の突出高さは略同じである。山部位75及び谷部位76を有する凸部5において、前述の高山部位751及び低山部位752を有しているものもあれば、突出高さが同じの複数の山部位75を有するものもある。
谷部位76の突出高さH3の下限値は、特に限定されないが、木目の筋形状を表出させる観点から、高山部位751の突出高さH1の0.2倍以上であり、好ましくは0.3倍以上であり、より好ましくは0.4倍以上である。谷部位76の突出高さH3が前記下限値以上であると、凸部5の長状が損なわれることなく、木目の筋形状を表出できる。
山部位75の流れ方向の寸法は、例えば0.5mm~3mmであり、好ましくは1mm~2mmである。谷部位76の流れ方向の寸法は、例えば1.5mm~4mmであり、好ましくは2mm~3mmである。流れ方向における谷部位76の寸法は、山部位75の寸法よりも大きくすることが好ましい。これによって、ゴミなどの微粒子類が谷部位76を乗り越え易くなり、幅方向への清掃性を高めることができる。
前記山部位75及び谷部位76を有する凸部5の割合〔%〕は、上記凸部割合計測方法の「幅広部位72及び幅狭部位71を有する凸部5」及び「広狭を有する凸部5」を「山部位75及び谷部位76を有する凸部5」及び「高低差を有する凸部5」に読み替えて計測するものとする。
好ましくは、幅方向において隣接する凸列の凸部5,5のうち、少なくとも一部の凸部5の谷部位76が幅方向で揃っていることが好ましい。前記隣接する凸列の凸部5,5の谷部位76が幅方向において揃っているとは、1つの凸部5の谷部位76の幅方向延長線上に、それに隣接する凸列の凸部5の谷部位76が位置していることをいう。
例えば、図4においては、殆どの凸部5の谷部位76が幅方向において揃っている。
前記所定割合は、次のようにして計測するものとする。(a)木目調床材1の表面の10cm×10cmの範囲の中から、幅方向に隣接する2つの凸列を任意に特定し、そのうちの1つの凸列の凸部5の谷部位76の個数を計測し、これを全体の個数とする。(b)前記1つの凸列の凸部5の谷部位76の中で、もう1つの凸列の凸部5の谷部位76と揃っている個数を計測し、これを揃いの個数とする。(c)所定割合〔%〕=(揃いの個数/全体の個数)×100、によって幅方向に揃った谷部位76を計測するものとする。
図5及び図6に示す凸部5a,5bは、少なくとも1つの幅広部位72が山部位75となっており、少なくとも1つの幅狭部位71が谷部位76となっている凸部5の一例である。
少なくとも1つの幅広部位72が山部位75となり且つ少なくとも1つの幅狭部位71が谷部位76となっている凸部5の割合は、上記凸部割合計測方法の「幅広部位72及び幅狭部位71を有する凸部5」及び「広狭を有する凸部5」を「少なくとも1つの幅広部位72が山部位75となり且つ少なくとも1つの幅狭部位71が谷部位76となっている凸部5」に読み替えて計測するものとする。
また、凹部62及び途切れ部61の表面は、平面状(平滑面)であるが、凹部62の表面の所々に、木目の流れ方向に延びる微細な筋状の突起が形成されている(この筋状の突起は図示せず)。前記微細な筋状の突起は、天然木の導管溝を再現したものである。前記筋状の突起の突出高さは、清掃性の観点から約50μm以下であることが好ましい。これによって、清掃性を維持しつつ、さらに木質感の向上を図ることができる。
本発明の木目調床材1は、従来公知の製法に従って作製できる。
例えば、表面樹脂層2の表面に、エンボス版で複数の凸部5を有する凸列を形成する。
本発明の木目調床材1の凸部5を形作るエンボス版は、例えば、次のような方法で得ることができる。
エンボス版としては、通常、円柱状のロールが用いられる。エンボス版の作製に際しては、円柱状のロールに、凸部5に対応する版凹みを形成することによって、凸部5を形作るエンボス版が得られる。
この腐食工程を1回以上行うことによって、凸部5を形作るエンボス版が得られる。ロールの腐食工程の回数は、特に限定されず、例えば1回~8回である。腐食工程の繰り返し回数が多いほどより複雑な形状の凹凸を形成することができる。
腐食液にて複数回浸食された箇所(つまり、腐食液が複数回重なって塗布された箇所)は、例えば、高山部位を形成できる版凹みとなり、2回分の腐食液にて浸食された箇所(つまり、腐食液が2回重なって塗布された箇所)は、例えば、低山部位を形成できる版凹みとなり、1回分の腐食液にて浸食された箇所は、例えば、谷部位を形成できる版凹みとなる。
腐食液の種類及び濃度などを調整することにより、角取りされた凸部5を形成できる版凹みとすることができる。
腐食液及びレジストを綺麗に除去すると、表面に版凹みが形成されたエンボス版が得られる。エンボス版の表面に形成された版凹みは、木目調床材1の凸部5に対応し、版凹み以外の部分は、木目調床材1の凹部及び途切れ部に対応する。
なお、エンボス版にヘアライン的な微細エンボスを形成すると、凹部6に上述の微細な筋状の突起が形成された木目調床材1を得ることができる。エンボス版にヘアライン的な微細エンボスを形成する方法としては、上述の腐食液を用いた版の腐食工程の他、エンボス版の表面に対するサンドブラスト加工、サンドペーパー加工、ヘアライン加工などが挙げられる。
また、エンボス版に微細な梨地エンボスを形成すると、上述の梨地処理がなされた凸部5を形成できる。
このようにして、本発明の木目調床材1の製造に用いるエンボス版を得ることができる。
エンボス版を押圧する際は、表面樹脂層2を加熱することが好ましい。例えば、加熱されたエンボス版を用いて表面樹脂層2を押圧してもよいし、エンボス版を押圧する直前に、別途の加熱装置を用いて、表面樹脂層2を加熱してもよい。その際の加熱温度は、表面樹脂層2を構成する樹脂成分に応じて適宜設定されるが、通常、130℃~200℃程度である。得られた木目調床材1は、通常、ロールに巻き取られ、保管・搬送に供される。
本発明の木目調床材1は、例えば、商業施設などの屋内、屋外又は半屋外の床面、マンションなどの廊下やバルコニーなどの屋外又は半屋外の床面、階段などの屋内、屋外又は半屋外の床面などの各種床面に敷設して使用される。特に、本発明の木目調床材1は、箒やブラシなどの清掃用具を用いて清掃することが多い屋外又は半屋外の床面に敷設することが効果的である。なお、半屋外は、庇のような屋根が付いているが、壁面部分が解放されているような場所を含む。以下、屋外又は半屋外床面を単に「屋外床面」と記す。
例えば、本発明の木目調床材1は、屋内床面に隣接している屋外床面に敷設して使用され、或いは、屋内床面に隣接している屋外床面及び前記屋内床面の双方に敷設して使用され、或いは、屋外床面に隣接している屋内床面に敷設して使用される。屋内床面に隣接している屋外又は半屋外床面としては、例えば、マンションの部屋に繋がるバルコニー部分などが挙げられる。
図示例では、本発明の木目調床材1は、屋外床面に敷設されており、その屋外床面に隣接した屋内床面には、本発明以外の木目模様が表出された床材9が敷設されている。木目模様が表出された床材9は、公知の木目床材を用いることができ、例えば、木目プリント床材、木質フローリング材(天然材又は集成材から形成されたフローリング材)、上記特許文献1の床材などの公知のものが挙げられる。
好ましくは、前記屋外床面に敷設された本発明の木目調床材1と、屋内床面に敷設された公知の床材9は、それらの木目の流れ方向が一致するように敷設される。屋内床面と屋外床面に敷設された2つの床材1,9の木目の流れ方向が一致していることにより、両床材1,9の一体感が増し、意匠性が高まる。
図示例では、木目調床材1は、上述のように木目の流れ方向が床材の短手方向とされているものであり、床材9は、木目の流れ方向が床材の長手方向とされた木目模様が表出されているものである。従って、木目調床材1の長手方向と床材9の長手方向が直交するように、床材1,9が敷設されているが、両床材1,9の木目の流れ方向は一致している。
また、平面視形状が異なる様々な凸部5が形成されているので、歩行時に足裏が滑り難く、特に、高低差を有する凸部5(山部位75及び谷部位76を有する凸部5)を含んでいるので、防滑性に特に優れている。
具体的には、従来の木目調床材は、木目の流れ方向に延びる凸列を有するので、木目調床材の表面を、その流れ方向に箒やブラシなどの清掃用具にて掃くと、ゴミや砂などの微粒子類が滞留しにくく掃き出されていく。しかし、従来の木目調床材では、幅方向に清掃用具にて掃いた場合に、微粒子類が滞留し易く、清掃性に劣っているという欠点がある。
図9は、本発明の木目調床材1の清掃時の状況を概念的に説明するための参考平面図である(山部位75の頂面にドットを付している)。あくまで参考図であるので、凸部の平面視形状などは、実際のものとは異なっている。
図9を参照して、木目調床材1の表面を清掃用具にて幅方向に掃くと、隣接する凸列の途切れ部61が幅方向において不揃いとされている箇所において、隣接する凸列の間(つまり凹部62)に存在する微粒子類のうち途切れ部61の幅方向側方に位置する微粒子類が、途切れ部61から掃き出されていくようになる。途切れ部61から幅方向に掃き出される微粒子類の移動を白抜き矢印で示している。
加えて、凸列を構成する複数の凸部5のうち少なくとも一部が、幅狭部位71と幅広部位72とを有するので、幅方向に掃いた際に、微粒子類が幅狭部位71に集まるようになる。幅狭部位71に集まる微粒子類の移動を細矢印で示している。
上記木目調床材1は、少なくとも1つの幅広部位72が山部位75となり且つ少なくとも1つの幅狭部位71が谷部位76となっている凸部5を有しているので、幅狭部位71に集まった微粒子類は、立体的に谷部位76となった幅狭部位71を乗り越えて幅方向に掃き出され易くなる。
このように、本発明の木目調床材1は、清掃性に優れているものである。
(1)表面樹脂層
無色透明なサスペンジョン塩化ビニル樹脂。
(2)化粧層
意匠印刷シート。塩化ビニル製フィルムに公知のインキを用いて意匠印刷層が印刷されたもの。
(3)繊維補強層
ペースト塩化ビニル樹脂が含浸されたガラスマット。
(4)裏面樹脂層
塩化ビニル樹脂。
上記(1)乃至(4)の各層を予めそれぞれ準備し、表面側から順に(1)乃至(4)を積層し、約150℃に加熱してこれらを一体化させた。このようにして、厚み約0.3mmの表面樹脂層/厚み約0.2mmの化粧層/厚み約0.3mmの繊維補強層/厚み約1.3mmの裏面樹脂層という層構成の積層体を形成した。この積層体を、加熱されたエンボスロール間に通して、表面樹脂層に木目の筋形状を成す複数の凸列を形成した。前記エンボスロール(ロール状のエンボス版)として、突出高さが0.55mmの山部位と突出高さが0.4mmの谷部位とを有する凸部を形成できるものを使用した。前記凸列は、途切れ部を介して流れ方向に断続的に形成された複数の凸部からなり、各凸列の途切れ部は、多くの箇所で幅方向において不揃いとなっていた。また、各凸部の平面視形状は全て異なっていた。これらの複数の凸部は、幅広部位が山部位で且つ幅狭部位が谷部位である凸部、幅広部位及び幅狭部位を有する凸部、山部位及び谷部位を有する凸部を含んでいた。
実施例1で作製した木目調床材を、縦×横=約8cm×約10cmに裁断し、その表面を撮影した写真図を、図10に示す。
実施例1の製法と同様にして、図10のような複数の凸列が表面樹脂層に形成された木目調床材を作製した。ただし、実施例2では、突出高さが0.5mmの山部位と突出高さが0.4mmの谷部位とを有する凸部を形成できるエンボスロールを使用した。
得られた木目調床材は、凸部の山部位の突出高さが上記実施例1とは異なっている点を除いて、実施例1と略同じであった。
実施例1の製法と同様にして、図10のような複数の凸列が表面樹脂層に形成された木目調床材を作製した。ただし、実施例3では、突出高さが0.5mmの凸部(つまり、谷部位を有さず、高さ変化のない凸部)を形成できるエンボスロールを使用した。
得られた木目調床材は、凸部の突出高さが一定であり且つ凸部が谷部位を有さない点を除いて、実施例1と略同じであった。
実施例1の製法と同様にして、図10のような複数の凸列が表面樹脂層に形成された木目調床材を作製した。ただし、実施例4では、突出高さが0.8mmの山部位と突出高さが0.65mmの谷部位とを有する凸部を形成できるエンボスロールを使用した。
得られた木目調床材は、凸部の山部位及び谷部位の各突出高さが上記実施例1とは異なっている点を除いて、実施例1と略同じであった。
実施例1の木目調床材から、任意の箇所を10cm×10cmに裁断することにより、計測用サンプル片を得た。この計測用サンプル片の表面を目視して、凸部の谷部位に相当する箇所を、幅方向に沿って切断し、その切断面に存在する切断された谷部位の突出高さを計測した。前記計測は、切断面をマイクロスコープ(拡大倍率:50倍)にて拡大して行った。この場合の突出高さは、凹部から切断された谷部位の頂面までの長さである。任意に異なる10箇所の谷部位を目視で選択し、それぞれの突出高さを計測し、その10個の計測値の中の最小値を谷部位の突出高さとした。前記計測用サンプル片の表面を目視して、凸部の山部位に相当する箇所を、幅方向に沿って切断し、その切断面に存在する切断された山部位の突出高さを、同様にして計測した。この場合の突出高さは、凹部から切断された山部位の頂面までの長さである。任意に異なる10箇所の山部位を目視で選択し、それぞれの突出高さを計測し、その10個の計測値の中の最大値を山部位の突出高さとした。実施例1の谷部位及び山部位の突出高さを表1に示す。
ただし、実施例3の木目調床材については、谷部位を有さない凸部を形成したので、谷部位の突出高さの計測は行わなかった。
表1の通り、実施例1乃至4で作製した木目調床材は、何れも、ほぼ設計通りの突出高さを有する凸部が形成されていた。
実施例1乃至4のそれぞれの木目調床材から、任意の箇所を30cm×30cmに裁断することにより、試験用サンプル片をそれぞれ得た。
23℃、湿度50%RH、大気圧下で、各試験用サンプル片の表面(凸部が形成された面)のほぼ中央部に、平均粒径30μmのアルミナ粒子15gを載せた後、試験用サンプル片の重量を測定した。測定後、直ちに、市販の化繊ホウキ(箒の穂の素材がポリプロピレン)を用いて、凸列と直交する方向である幅方向に4回掃いた後、試験用サンプル片の重量を測定した。下記式から、粒子の除去率[%]を計算した。
アルミナ粒子残量[g]=アルミナ粒子を載せた直後の試験用サンプル片の重量-ホウキで掃いた直後の試験用サンプル片の重量。
除去率[%]=100-アルミナ粒子残量[g]÷15[g]×100。
なお、表1の清掃性の評価欄において、除去率が95%以上である場合を○とし、除去率が90%以上95%未満である場合を△と表記している。
実施例1及び2と実施例3との対比から、谷部位を有する凸部が形成された木目調床材の方が、清掃性により優れていることが判る。
実施例1及び2と実施例4との対比から、山部位及び谷部位の突出長さが大きすぎない方が、清掃性により優れていることが判る。木目の筋形状を表出しつつ、より清掃性に優れた木目調床材を構成するために、山部位の突出高さは、0.3mm~0.7mmが良く、好ましくは0.4mm~0.65mm、より好ましくは0.4mm~~0.6mmが良いと考えられ、谷部位の突出高さは、0.1mm~0.5mmが良く、好ましくは0.15mm~0.45mm、より好ましくは0.2mm~0.4mmが良いと考えられる。
2 表面樹脂層
3 化粧層
4 本体層
5,5a,5b,5c,5d,5e 凸部
61 途切れ部
62 凹部
71 幅狭部位
72 幅広部位
75,751,752 山部位
76 谷部位
Claims (5)
- 木目の筋形状を成す複数の凸列を有し、樹脂を主体とする木目調床材であって、
前記凸列が、木目の流れ方向において、途切れ部を有して断続的に形成された複数の凸部から構成されており、
前記凸列を構成する複数の凸部の一部又は全部が、突出高さの大きい山部位と、前記山部位よりも突出高さが小さい谷部位と、を有し、
前記山部位のうち最も突出高さの大きい部位が、高さ0.2mm~0.8mmであり、
前記谷部位の突出高さが、前記最も突出高さの大きい部位の高さの0.2倍以上0.9倍未満である、木目調床材。 - 前記凸列を構成する複数の凸部の一部又は全部が、平面視で、幅狭部位と、前記幅狭部位よりも幅の大きい幅広部位と、を有し、
前記山部位が、前記幅広部位に形成され、且つ、前記谷部位が、前記幅狭部位に形成されている、請求項1に記載の木目調床材。 - 前記複数の凸列が、木目の流れ方向と略直交する方向である幅方向において並列されており、
1つの凸列の凸部の谷部位のうち70%以上の谷部位が、当該凸列に隣接する凸列の凸部の谷部位と幅方向において揃っている、請求項1または2に記載の木目調床材。 - 前記凸列が、2つ以上の山部位と前記山部位の間の谷部位とを有する凸部を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の木目調床材。
- 木目模様が表出された床材が敷設された屋内床面と、前記屋内床面に隣接した屋外又は半屋外床面と、を有し、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の木目調床材が、前記屋内床面に敷設された床材と木目の流れ方向を一致させて前記屋外又は半屋外床面に敷設されている、床面構造。
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