以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略断面図であり、ここではタンデム方式のカラープリンターについて示している。カラープリンター100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa~Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
これらの画像形成部Pa~Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dがそれぞれ配設されており、さらに図1において時計回り方向に回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa~Pdに隣接して設けられている。
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電装置2a~2dによって感光体ドラム1a~1dの表面を一様に帯電させる。次いで露光装置5によって画像データに応じて光照射し、各感光体ドラム1a~1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a~3dには、トナーコンテナ4a~4dによりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤(以下、単に現像剤ともいう)が所定量充填されており、現像装置3a~3dによって感光体ドラム1a~1d上に現像剤中のトナーが供給され、静電的に付着する。これにより、露光装置5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
そして、一次転写ローラー6a~6dにより一次転写ローラー6a~6dと感光体ドラム1a~1dとの間に所定の転写電圧で電界が付与され、感光体ドラム1a~1d上のシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。一次転写後に感光体ドラム1a~1dの表面に残留したトナー等はクリーニング装置7a~7dにより除去される。
トナー像が転写される転写紙Pは、画像形成装置100内の下部に配置された用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12aおよびレジストローラー対12bを介して転写紙Pが所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラー9と中間転写ベルト8のニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送される。トナー像が二次転写された転写紙Pは定着部13へと搬送される。
定着部13に搬送された転写紙Pは、定着ローラー対13aにより加熱及び加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、そのまま(或いは分岐部14によって反転搬送路18に振り分けられ、両面に画像が形成された後)排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
図2は、カラープリンター100に搭載される本発明の第1実施形態に係る現像装置3aの側面断面図である。なお、図2は図1の背面側から見た状態を示しており、現像装置3a内の各部材の配置は図1と左右が逆になっている。また、以下の説明では図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aを例示するが、画像形成部Pb~Pdに配置される現像装置3b~3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。
図2に示すように、現像装置3aは、トナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤(以下、単に現像剤と呼ぶ)が収納される現像容器(ケーシング)20を備えており、現像容器20は仕切壁20aによって攪拌搬送室20b、供給搬送室20cに区画されている。攪拌搬送室20b及び供給搬送室20cには、トナーコンテナ4a(図1参照)から供給されるトナー(正帯電トナー)をキャリアと混合して攪拌し、帯電させるための攪拌搬送スクリュー25及び供給搬送スクリュー26がそれぞれ回転可能に配設されている。
そして、攪拌搬送スクリュー25及び供給搬送スクリュー26によって現像剤が攪拌されつつ軸方向(図2の紙面と垂直な方向)に搬送され、仕切壁20aの両端部に形成された現像剤通過路(図3参照)を介して攪拌搬送室20b、供給搬送室20c間を循環する。即ち、攪拌搬送室20b、供給搬送室20c、現像剤通過路によって現像容器20内に現像剤の循環経路が形成されている。
現像容器20は図2の右斜め上方に延在しており、現像容器20内において供給搬送スクリュー26の上方にはトナー供給ローラー30が配置され、トナー供給ローラー30の右斜め上方には現像ローラー31が対向配置されている。そして、現像ローラー31は現像容器20の開口側(図2の右側)において感光体ドラム1aに対向しており、それぞれの回転軸周りに関してトナー供給ローラー30、現像ローラー31は図2において反時計回り方向に回転する。
攪拌搬送室20bには、攪拌搬送スクリュー25と対面してトナー濃度センサー28が配置されている。トナー濃度センサー28は、現像剤中のキャリアに対するトナーの割合(T/C)を検知するものであり、例えば、現像容器20内における現像剤の透磁率を検出する透磁率センサーが用いられる。本実施形態においては、トナー濃度センサー28により現像剤の透磁率を検出し、その検出結果に相当する電圧値を後述する制御部(図示せず)に出力するよう構成されており、制御部によってトナー濃度センサー28の出力値からトナー濃度が決定されるようになっている。制御部は、決定されたトナー濃度に応じて現像剤補給モーター(図示せず)に制御信号を送信し、トナーコンテナ4aから現像剤補給口20f(図3参照)を介して攪拌搬送室20bに所定量のトナーおよびキャリアが補給される。
トナー供給ローラー30は、図2において反時計回り方向に回転する非磁性の回転スリーブと、回転スリーブに内包される複数の磁極を有する固定マグネット体で構成されている。
現像ローラー31は、図2において反時計回り方向に回転する円筒状の現像スリーブと、現像スリーブ内に固定された現像ローラー側磁極で構成されており、トナー供給ローラー30と現像ローラー31とはその対面位置(対向位置)において所定のギャップをもって対向している。現像ローラー側磁極は、固定マグネット体の対向する磁極(主極)と異極性である。
また、現像容器20には穂切りブレード33がトナー供給ローラー30の長手方向(図2の紙面と垂直な方向)に沿って取り付けられており、穂切りブレード33は、トナー供給ローラー30の回転方向(図2の反時計回り方向)において、現像ローラー31とトナー供給ローラー30との対向位置よりも上流側に位置付けられている。そして、穂切りブレード33の先端部とトナー供給ローラー30表面との間には僅かな隙間(ギャップ)が形成されている。
現像ローラー31には、直流電圧(以下、Vslv(DC)という)及び交流電圧(以下、Vslv(AC)という)が印加され、トナー供給ローラー30には、直流電圧(以下、Vmag(DC)という)及び交流電圧(以下、Vmag(AC)という)が印加されている。これらの直流電圧及び交流電圧は、現像バイアス電源からバイアス制御回路(いずれも図示せず)を経由して現像ローラー31及びトナー供給ローラー30に印加される。
前述のように、攪拌搬送スクリュー25及び供給搬送スクリュー26によって、現像剤が攪拌されつつ現像容器20内の攪拌搬送室20b及び供給搬送室20cを循環してトナーを帯電させ、供給搬送スクリュー26によって現像剤がトナー供給ローラー30に搬送される。そして、トナー供給ローラー30上に磁気ブラシ(図示せず)を形成し、トナー供給ローラー30上の磁気ブラシは穂切りブレード33によって層厚規制された後、トナー供給ローラー30と現像ローラー31との対向部分に搬送され、トナー供給ローラー30に印加されるVmag(DC)と現像ローラー31に印加されるVslv(DC)との電位差ΔV、及び磁界によって現像ローラー31上にトナー薄層を形成する。
現像ローラー31上のトナー層厚は現像剤の抵抗やトナー供給ローラー30と現像ローラー31との回転速度差等によっても変化するが、ΔVによって制御することができる。ΔVを大きくすると現像ローラー31上のトナー層は厚くなり、ΔVを小さくすると薄くなる。現像時におけるΔVの範囲は一般的に100V~350V程度が適切である。
トナー供給ローラー30上の磁気ブラシとの接触によって現像ローラー31上に形成されたトナー薄層は、現像ローラー31の回転によって感光体ドラム1aと現像ローラー31との対向部分(対向領域)に搬送される。現像ローラー31にはVslv(DC)及びVslv(AC)が印加されているため、感光体ドラム1aとの間の電位差によってトナーが飛翔し、感光体ドラム1a上の静電潜像が現像される。
現像に用いられずに残ったトナーは、再度現像ローラー31とトナー供給ローラー30との対向部分に搬送され、トナー供給ローラー30上の磁気ブラシによって回収される。そして、磁気ブラシは固定マグネット体の同極部分でトナー供給ローラー30から引き剥がされた後、供給搬送室20c内に落下する。
その後、トナー濃度センサー28の検知結果に基づいて現像剤補給口20f(図3参照)から所定量の現像剤が補給され、供給搬送室20c及び攪拌搬送室20bを循環する間に再び適正なトナー濃度で均一に帯電された二成分現像剤となる。この現像剤が再び供給搬送スクリュー26によりトナー供給ローラー30上に供給されて磁気ブラシを形成し、穂切りブレード33へ搬送される。
現像容器20における図2の右側壁において現像ローラー31の近傍には、現像容器20の内側に突出する断面三角形状のトナー受け支持部材35が設けられている。図2に示すように、トナー受け支持部材35は現像容器20の長手方向(図2の紙面と垂直な方向)に沿って配置されており、トナー受け支持部材35の上面はトナー供給ローラー30及び現像ローラー31に対向するとともに、現像ローラー31からトナー供給ローラー30方向に向かって下方に傾斜する壁部を構成している。トナー受け支持部材35の上面には長手方向に沿って、現像ローラー31から引き剥がされて落下するトナーを受けるトナー受け部材37が取り付けられている。
図3は、第1実施形態の現像装置3aの攪拌部を示す平面断面図(図2のXX′矢視断面図)である。現像容器20には、前述のように、攪拌搬送室20bと、供給搬送室20cと、仕切壁20aと、上流側連通部20d、及び下流側連通部20eが形成され、その他に、現像剤補給口20fと、第1現像剤排出部20gと、上流側壁部20h、及び下流側壁部20iが形成されている。なお、攪拌搬送室20bにおいて、図3の左側を上流側、図3の右側を下流側とし、また、供給搬送室20cにおいて、図3の右側を上流側、図3の左側を下流側とする。従って、連通部及び側壁部は、供給搬送室20cを基準として上流及び下流と呼称している。
仕切壁20aは、現像容器20の長手方向に延びて攪拌搬送室20bと供給搬送室20cを並列させるように仕切っている。仕切壁20aの長手方向の右側端部は、上流側壁部20hの内壁部とともに上流側連通部20dを形成し、一方、仕切壁20aの長手方向の左側端部は、下流側壁部20iの内壁部とともに下流側連通部20eを形成している。現像剤は、攪拌搬送室20b、上流側連通部20d、供給搬送室20c、及び下流側連通部20eを順次通過して現像容器20内を循環する。
現像剤補給口20fは、現像容器20の上部に設けられたトナーコンテナ4a(図1参照)から新たなトナー及びキャリアを現像容器20内に補給するための開口であり、攪拌搬送室20bの上流側(図3の左側)に配置される。
第1現像剤排出部20gは、トナー及びキャリアの補給によって攪拌搬送室20b及び供給搬送室20c内で余剰となった現像剤を排出するための部分であり、供給搬送室20cの下流側で供給搬送室20cの長手方向に連続して円筒状に設けられるパイプ状搬送路である。
攪拌搬送室20b内に配置される攪拌搬送スクリュー25は、回転軸25bと、回転軸25bに一体に設けられ、回転軸25bの軸方向に一定のピッチで螺旋状に形成される第1螺旋羽根25aとを有する。また、第1螺旋羽根25aは、攪拌搬送室20bの長手方向の両端部側まで延び、上流側及び下流側連通部20d、20eにも対向して設けられている。回転軸25bは現像容器20の上流側壁部20hと下流側壁部20iに回転可能に軸支されている。
供給搬送室20c内に配置される供給搬送スクリュー26は、回転軸26bと、回転軸26bに一体に設けられ、回転軸26bの軸方向に第1螺旋羽根25aと同じピッチで第1螺旋羽根25aとは逆方向を向く(逆位相の)羽根で螺旋状に形成される第2螺旋羽根26aとを有する。また、第2螺旋羽根26aは、磁気ローラー21の軸方向長さ以上の長さを有し、更に、上流側連通部20dに対向する位置まで延びて設けられている。回転軸26bは、回転軸25bと平行に配置され、現像容器20の上流側壁部20hと下流側壁部20iに回転可能に軸支されている。
また、回転軸26bには、第2螺旋羽根26aとともに、減速搬送部51、規制部52及び排出羽根53が一体に配設されている。
減速搬送部51は、第2螺旋羽根26aと同方向を向く複数(ここでは3枚)の羽根で螺旋状に形成されている。減速搬送部51を構成する螺旋羽根は、第2螺旋羽根26aの外径と同じサイズで第2螺旋羽根26aのピッチより小さく設定されている。
規制部52は、供給搬送室20c内で下流側に搬送された現像剤を塞き止め、且つ、所定量以上になった現像剤を第1現像剤排出部20gに搬送する。規制部52は、回転軸26bに設けられる螺旋羽根からなり、第2螺旋羽根26aと逆方向を向く(逆位相の)羽根で螺旋状に形成され、且つ、第2螺旋羽根26aの外径と略同じで第2螺旋羽根26aのピッチより小さく設定されている。また、規制部52は、下流側壁部20i等の現像容器20の内壁部と規制部52の外周部において所定量の隙間を形成している。この隙間から余剰の現像剤が排出される。
第1現像剤排出部20g内の回転軸26bには排出羽根53が設けられている。排出羽根53は、第2螺旋羽根26aと同じ方向を向く螺旋状の羽根からなるが、第2螺旋羽根26aよりピッチが小さく、また羽根の外周が小さくなっている。従って、回転軸26bが回転すると、排出羽根53も回転し、規制部52を乗り越えて第1現像剤排出部20g内に搬送された余剰現像剤は、図3の左側に送られて、現像容器20外に排出されるようになっている。なお、排出羽根53、規制部52、及び第2螺旋羽根26aは合成樹脂によって回転軸26bと一体に成型される。また、第1現像剤排出部20gの下部には廃トナー搬送パイプ(図示せず)に連通する排出口65が形成されている。
現像容器20の外壁には、歯車61~64が配設されている。歯車61、62は回転軸25bに固定され、歯車64は回転軸26bに固定されている。歯車63は現像容器20に回転可能に保持されており、歯車62、64に噛合している。歯車63にはクラッチが内蔵されており、攪拌搬送スクリュー25および供給搬送スクリュー26を別個に駆動可能となっている。
新たに現像剤を補給していない現像時には、現像剤は、攪拌搬送室20bから、上流側連通部20d、供給搬送室20c、及び下流側連通部20eと循環しながら攪拌されて、攪拌された現像剤がトナー供給ローラー30に供給される。
現像によってトナーが消費されると、現像剤補給口20fから攪拌搬送室20b内にトナーとキャリアとを含む現像剤が補給される。補給された現像剤は、現像時と同様に、第1螺旋羽根25aによって、攪拌搬送室20b内を矢印P方向に搬送され、その後、上流側連通部20dを通って供給搬送室20c内に搬送される。更に、第2螺旋羽根26aによって、現像剤は、供給搬送室20c内の現像剤を矢印Q方向に搬送され、減速搬送部51に搬送される。回転軸26bの回転にともなって規制部52が回転すると、規制部52によって、第2螺旋羽根26aによる現像剤搬送方向とは逆方向の搬送力が現像剤に付与される。減速搬送部51において搬送速度が減速された現像剤は、規制部52の上流側に位置する減速搬送部51近傍で塞き止められて嵩高となり、余剰の現像剤(現像剤補給口20fから補給された現像剤とほぼ同量)が規制部52を乗り越えて第1現像剤排出部20gを介して現像容器20の外部に排出される。
図4は、第1実施形態の現像装置3aに用いられるトナー受け支持部材35を現像容器20の内側(図2の左側)から見た斜視図、図5は、トナー受け支持部材35の分解斜視図である。
トナー受け部材37は板金製であって、長手方向に沿って屈曲部37aが形成された屈曲形状であり、屈曲部37aを挟んで現像ローラー31(図2参照)に対向するトナー受け面37bと、トナー供給ローラー30に対向する略垂直なトナー落下面37cとに区画される。また、トナー受け部材37は2本のコイルバネ40を介して樹脂製の支持部材本体36に支持されている。具体的には、トナー受け部材37の両端部の2箇所にコイルバネ40の一端が係合する係合部37dが折り曲げ形成されており、コイルバネ40の他端にはバネ台座39(図8参照)が装着されている。バネ台座39は支持部材本体36のバネ台座保持部36aに保持される。また、トナー受け部材37の略中央部には振動発生装置42を支持するホルダー保持部37eが折り曲げ形成されている。
振動発生装置42内には振動モーター43(図6参照)と、振動モーター43の駆動を制御するための回路や電子部品が実装された基板(図示せず)が配置されており、振動モーター43に電力を供給するためのリード線45が接続されている。
トナー受け部材37の表面にはシート部材41a、41b(図7参照)が貼り付けられている。シート部材41a、41bは、トナー受け部材37へのトナー付着を抑制するために、トナー受け部材37よりもトナーが付着し難い材質で形成されている。シート部材41a、41bの材質としては、例えばフッ素樹脂製シート等が挙げられる。
シート部材41aは穂切りブレード33側の支持部材本体36とトナー受け部材37との境界を含むトナー受け部材37の表面(トナー落下面37c)を覆うように貼り付けられている。また、シート部材41bはシール部材44側の支持部材本体36とトナー受け部材37との境界、係合部37d、およびホルダー保持部37eを含むトナー受け面37bの全域を覆うように貼り付けられている。シート部材41a、41bは、トナー受け面37b、トナー落下面37cへのトナーの付着を抑制するとともに、支持部材本体36とトナー受け部材37との境界からトナー受け支持部材35の内部へのトナーの進入や、トナーの進入に起因する振動モーター43の動作不良を防止する。
また、支持部材本体36の上端にはフィルム状のシール部材44が設けられている。シール部材44は、先端部が感光体ドラム1aの表面に接触するように支持部材本体36の長手方向(図4の左右方向)に延在しており、現像容器20(図2参照)内のトナーが外部に漏出しないように遮蔽する機能を有している。
図6は、図5における振動発生装置42の分解斜視図である。振動発生装置42は、振動モーター43と、振動モーター43が固定されるモーター取付板42aとカバー部材42bとで構成され、振動モーター43の出力軸43aには加振用ウェイト50が固定されている。また、振動モーター43は出力軸43aがトナー受け部材37の長手方向に沿うように固定されている。
加振用ウェイト50は、振動モーター43の出力軸43aに対し非対称な形状(例えばカム形状)となっている。出力軸43aが所定以上の速度で回転するとき、加振用ウェイト50には不均一な遠心力が加わる。この遠心力が出力軸43aに伝達されることにより、振動モーター43が振動する。なお、加振用ウェイト50の形状はカム形状に限定されず、出力軸43aに対し重心がずれるような任意の形状とすることができる。
図7および図8は、第1実施形態の現像装置3aに用いられるトナー受け支持部材35の内部構成を示す側面断面図である。なお、図7はトナー受け支持部材35の振動モーター43付近の断面(図5のXX′矢視断面)を示し、図8はトナー受け支持部材35のコイルバネ40を含む断面(図5のYY′矢視断面)を示している。
トナー受け部材37は現像ローラー31に対向するトナー受け面37bがトナー供給ローラー30側から感光体ドラム1a側に向かって上り勾配となるように傾斜し、トナー供給ローラー30に対向するトナー落下面37cが略垂直になるように配置されている。また、トナー受け面37bに堆積したトナーが重力や現像装置3aの駆動に伴う振動等によって自然に落下しないように、トナー受け面37bの角度や表面粗さ(摩擦係数)が調整されている。
図7および図8に示すように、トナー受け部材37はトナー供給ローラー30側の端縁37fのみが支持部材本体36に当接しており、反対側(感光体ドラム1a側)の端縁37gは自由端となっている。そして、トナー受け面37bの幅方向(図7の左右方向)の略中央部は振動発生装置42を介して支持部材本体36に支持されている。これにより、トナー受け部材37は端縁37fを支点として揺動可能に構成されている。また、振動モーター43は、出力軸43aがトナー受け部材37の長手方向と略平行になるように配置されている。
本実施形態の現像装置3a~3dは、非画像形成時に振動発生装置42により現像装置3a~3d内のトナー受け部材37を振動させてトナー受け面37bに堆積したトナーを振るい落とすトナー回収モードを実行可能である。具体的には、非画像形成時に振動モーター43の出力軸43aを高速回転(例えば10,000rpm程度)させることにより、加振用ウェイト50も出力軸43aと共に高速回転する。このとき、加振用ウェイト50には不均一な遠心力が加わるため、出力軸43aを介して振動モーター43およびモーター取付ホルダー42を含む振動発生装置40が振動する。そして、振動発生装置40が取り付けられたトナー受け部材37も振動する。具体的には、トナー受け部材37のトナー受け面37bは端縁37dを支点として端縁37eに向かうにつれて振幅が大きくなるように振動する。このトナー受け部材37の振動により、トナー受け面37bの端縁37g側に堆積したトナーは端縁37f側(白矢印方向)に跳ね上げられ、少しずつ端縁37f側に移動する。
トナー受け面37bの振動により、図8に示すように、トナー受け面37bに堆積したトナーTはトナー受け面37bの傾斜に沿って下方(図8の白矢印方向)に滑り落ち、略垂直なトナー落下面37cとトナー供給ローラー30とで挟まれた領域Rに自由落下する。領域Rに落下したトナーの一部は、そのまま穂切りブレード33とトナー供給ローラー30の隙間を通過して供給搬送室20c内に落下する。
本実施形態では、領域Rに落下したトナーを供給搬送室20cへ戻すために、非画像形成時に現像ローラー31およびトナー供給ローラー30を画像形成時とは逆方向(図7の時計回り方向)に回転(逆回転)させる。トナー供給ローラー30を逆回転させることにより、領域Rに落下して穂切りブレード33の先端に堆積したトナーはトナー供給ローラー30の磁気ブラシによって掻き取られ、トナー供給ローラー30の表面に連れ回りしてトナー供給ローラー30と穂切りブレード33との隙間を通過し、固定マグネット体の同極部分でトナー供給ローラー30から引き剥がされた後、供給搬送室20cへ強制的に戻される。
トナー受け部材37を振動させるタイミングとしては、印字動作の終了毎に行っても良いし、印字枚数が所定枚数に到達した時点や現像装置3a内の温度が所定以上になった時点等、所定のタイミングで行うようにしても良い。また、トナー受け部材37を振動させるタイミングと現像ローラー31およびトナー供給ローラー30を逆回転(または順回転)させるタイミングは同じでも異なっていても良い。また、所定の印字枚数に到達する毎にトナー受け部材37を振動させることにより、印字枚数に応じてトナー受け部材37の振動が自動的に実行される。従って、ユーザー自身がトナー受け部材37の振動を手動で設定する必要がなくなり、設定ミスや設定忘れ、或いは不必要な振動の実行を回避することができる。
ところで、トナー受け部材37に堆積したトナーは現像容器20内に浮遊する飛散トナーであり、帯電的に不安定なトナーである。そのため、トナー受け部材37から振るい落とされたトナーを含む現像剤がトナー供給ローラー30上に磁気ブラシを形成し、トナー供給ローラー30から現像ローラー31へトナーが移動して現像に用いられるとかぶり画像等の不具合を発生させる可能性がある。
そこで、本発明では、トナー回収モードの実行によりトナー受け部材37上に堆積したトナーが振動により現像容器20内に回収された時に、回収トナーを多く含む現像剤を強制的に現像装置3aの外部へ排出する現像剤排出モードを実行することとしている。以下、第1実施形態の現像装置3aにおけるトナー回収モードおよび強制排出モードの実行手順について詳細に説明する。なお、現像装置3b~3dにおいても全く同様の手順でトナー回収モードおよび強制排出モードが実行される。
先ず、前述したように所定のタイミングでトナー受け部材37を振動させてトナー受け面37bに堆積したトナーを振るい落とすトナー回収モードを実行する。トナー受け部材37から滑り落ちたトナーは供給搬送室20cへ戻される。
次に、トナー回収モードに続いて強制排出モードを実行する。図9は、第1実施形態の現像装置3aにおいて現像剤排出モードを実行したときの攪拌部を示す平面断面図である。本実施形態の現像装置3aでは、攪拌搬送スクリュー25の駆動を停止し、供給搬送スクリュー26のみを駆動させて強制排出モードを実行する。供給搬送室20cにおいては供給搬送スクリュー26の駆動によって矢印Q方向の搬送力が発生するが、攪拌搬送室20bにおいては攪拌搬送スクリュー25が停止しているため搬送力が発生しない。
これにより、供給搬送室20cから攪拌搬送室20bへの現像剤の循環が滞留し、下流側連通部20e付近に現像剤の滞留Gが発生する。その結果、規制部52付近で現像剤の嵩が局所的に上昇するため、一部の現像剤が規制部52を乗り越えて第1現像剤排出部20gから現像容器20の外部に排出される。従って、新たな現像剤の補給による現像剤の嵩上昇を待たずに、第1現像剤排出部20gから現像剤を排出することができる。
この強制排出モードをトナー回収モードの後に行うことにより、回収トナーが供給搬送室20cへ戻されたタイミングに応じて現像剤の排出を行うことができ、帯電量の不安定な回収トナーを効率良く排出することができる。従って、現像剤中のトナーの帯電不良によるかぶり画像やトナー飛散を効果的に抑制することができる。
また、上記実施形態では攪拌搬送スクリュー25の駆動を停止させたが、攪拌搬送スクリュー25の回転速度を通常よりも減速させることにより、現像剤の滞留を発生させることでも同様の効果が得られる。
強制排出モードの実行タイミングは、非画像形成時であれば特に限定されないが、トナー回収モードの実行によって振動発生装置42を動作させ、トナー受け部材37上の堆積トナーを現像容器20内に回収させたタイミングが好ましい。また、現像装置3aの使用条件や環境条件等によって強制排出モードの実行タイミングを変更してもよい。
また、回収トナーはトナー供給ローラー30の長手方向全域で回収されるため、強制排出モードの実行時間はトナー供給ローラー30の上流側端部から第1現像剤排出部20gまでの現像剤の搬送時間以上に設定する事が好ましい。搬送時間は、強制排出モードにおける現像剤の循環速度とトナー供給ローラー30の上流側端部(図9の右端部)から第1現像剤排出部20gまでの距離とを用いて算出可能である。
図10は、本発明の第2実施形態に係る現像装置3aの攪拌部の構成を示す平面断面図である。本実施形態では、現像剤の補給時に余剰の現像剤を排出する第1現像剤排出部20g(第1現像剤排出部)に加えて、強制排出モードの実行時に現像剤を排出する第2現像剤排出部20j(第2現像剤排出部)を備えている。現像装置3aの攪拌部の他の部分の構成、トナー受け部材37付近の構成は図2~図8に示した第1実施形態と同様である。
図10に示すように、画像形成時においては攪拌搬送スクリュー25の回転によって攪拌搬送室20bに矢印P方向の搬送力が発生し、供給搬送スクリュー26の回転によって供給搬送室20cに矢印Q方向の搬送力が発生する。現像容器20内のトナーの消費に伴い現像剤補給口20fから新たな現像剤が補給されると、現像容器20内のキャリアは画像形成によって消費されないため、補給された現像剤(キャリア)分だけ、現像装置3a内の現像剤の嵩が上昇し、供給搬送スクリュー26から攪拌搬送スクリュー25へ現像剤が搬送される時に余剰の現像剤が規制部52を乗り越えて第1現像剤排出部20gを介して排出される。
即ち、現像剤は現像容器20内を図10の反時計回り方向に循環しており、供給搬送室20c内の現像剤は第2現像剤排出部20jと反対方向に搬送されるため、第2現像剤排出部20jに向かうことはない。また、第2現像剤排出部20j内の排出羽根53は供給搬送スクリュー26の第2螺旋羽根26aと同じ方向(同位相)を向くため、排出羽根53は第2現像剤排出部20jから供給搬送室20cに向かう方向の搬送力を発生させる。そのため、第2現像剤排出部20jから現像剤が排出されない。
本実施形態では、攪拌搬送スクリュー25および供給搬送スクリュー26を逆回転させることにより強制排出モードを実行する。図11は、第2実施形態の現像装置3aにおいて強制排出モードを実行したときの攪拌部の平面断面図である。攪拌搬送スクリュー25および供給搬送スクリュー26を逆回転させると、現像容器20内の現像剤の循環方向が時計回り方向に切り替わる。その結果、供給搬送室20c内の現像剤は第2現像剤排出部20jに向かう方向に搬送される。また、第2現像剤排出部20j内の排出羽根53は供給搬送室20cから第2現像剤排出部20jに向かう方向の搬送力を発生させる。これにより、供給搬送スクリュー26から攪拌搬送スクリュー25へ現像剤が受け渡される時に現像剤の一部が第2現像剤排出部20jを介して排出される。
この強制排出モードをトナー回収モードの後に行うことにより、第1実施形態と同様に回収トナーが供給搬送室20cへ戻されたタイミングに応じて現像剤の排出を行うことができ、帯電量の不安定な回収トナーを効率良く排出することができる。従って、現像剤中のトナーの帯電不良によるかぶり画像やトナー飛散を効果的に抑制することができる。強制排出モードの実行タイミングについても第1実施形態と同様に設定することができる。
また、回収トナーはトナー供給ローラー30の長手方向全域で回収されるため、強制排出モードの実行時間はトナー供給ローラー30の下流側端部(図11の左端部)から第2現像剤排出部20jまでの現像剤の搬送時間以上に設定することが好ましい。搬送時間は、強制排出モードにおける現像剤の循環速度とトナー供給ローラー30の下流側端部から第2現像剤排出部20jまでの距離とを用いて算出可能である。
図12は、第2実施形態の変形例の現像装置3aにおいて強制排出モードを実行したときの攪拌部の平面断面図である。本変形例では、供給搬送スクリュー26から攪拌搬送スクリュー25の受け渡し部である上流側連通部20dと対向する攪拌搬送室20bの側面に第2現像剤排出部20jを設けている。現像装置3aの他の部分の構成は図10に示した第2実施形態と同様である。
本変形例においても、画像形成時においては攪拌搬送スクリュー25の回転によって攪拌搬送室20bに矢印P方向の搬送力が発生し、供給搬送スクリュー26の回転によって供給搬送室20cに矢印Q方向の搬送力が発生する。即ち、上流側連通部20dにおいて攪拌搬送室20bから供給搬送室20cへ現像剤が受け渡されるため、第2現像剤排出部20jから現像剤が排出されない。
一方、攪拌搬送スクリュー25および供給搬送スクリュー26を逆回転させる強制排出モードを実行すると、図12に示すように現像容器20内の現像剤の循環方向が時計回り方向に切り替わる。その結果、上流側連通部20dにおいて供給搬送室20cから攪拌搬送室20bへ現像剤が受け渡されるため、供給搬送室20c内の現像剤は第2現像剤排出部20jに向かう方向に搬送され、現像剤の一部が第2現像剤排出部20jを介して排出される。この強制排出モードをトナー回収モードの後に行うことにより、回収トナーが供給搬送室22へ戻されたタイミングに応じて現像剤の排出を行うことができる。
なお、図12に示した変形例では上流側連通部20dと対向する攪拌搬送室20bの側面に第2現像剤排出部20jを設けたが、第2現像剤排出部20jを設ける位置はこれに限定されるものではない。例えば、下流側連通部20eと対向する供給搬送室20cの側面に第2現像剤排出部20jを設けることもできる。即ち、攪拌搬送スクリュー25および供給搬送スクリューを正回転させたときの現像容器20内の現像剤の搬送方向に対し垂直、且つ上流側となる現像容器20の側面に第2現像剤排出部20jを設けることで、攪拌搬送スクリュー25および供給搬送スクリュー26を逆回転させたときに第2現像剤排出部20jを介して現像剤を排出することができる。
その他本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記各実施形態に示したトナー受け支持部材35やトナー受け部材37の形状や構成は一例であって上記実施形態に特に限定されるものではなく、これらは現像装置3a~3dの構成等に応じて適宜設定することができる。以下、実施例を用いて本発明の効果を更に詳細に説明する。
図2、図3に示した第1実施形態の現像装置3a~3dにおいて、攪拌搬送スクリュー25を停止させ、供給搬送スクリュー26のみを回転させて第1現像剤排出部20gから現像剤が排出されるかどうかを確認した。なお、試験は感光体ドラム1aおよび現像装置3aを含むシアンの画像形成部Paにおいて行った。
試験機の条件として、プロセス線速を160mm/sec、感光体ドラム1aの直径を30mm、トナー供給ローラー30、現像ローラー31の直径をそれぞれ16mmとし、感光体ドラム1aに対する現像ローラー31の線速比(S/D)を1.8とした。また、現像剤のトナーとキャリアとの比率(T/C)を10%とした。
攪拌搬送スクリュー25の第1螺旋羽根25aは、外径13mm、ピッチ30mmであり、供給搬送スクリュー26の第2螺旋羽根26aは、外径13mm、ピッチ30mmである。また、規制部52は、外径12mm、ピッチ5mmの2枚の逆巻き(逆位相)の螺旋羽根で構成されており、規制部52と第2搬送室22dとの間隔は1.5mmである。排出羽根53は、外径8mm、ピッチ5mmの螺旋羽根であり、排出羽根53と第1現像剤排出部22gとの間隔は1mmである。
そして、攪拌搬送スクリュー25および供給搬送スクリュー26を回転数330rpmで回転させて現像剤を循環搬送している状態と、攪拌搬送スクリュー25のみを停止させた状態とで、第1現像剤排出部20gからの現像剤の排出状況を確認した。
試験の結果、攪拌搬送スクリュー25および供給搬送スクリュー26の両方を回転させている状態では第1現像剤排出部20gからの現像剤の排出は確認されなかった。これに対し、攪拌搬送スクリュー25のみを停止させた状態では、現像剤搬送方向に対し供給搬送室20cの下流側において現像剤の滞留が発生し、第1現像剤排出部20gからの現像剤の排出が確認された。この結果より、トナー回収モードの実行後に攪拌搬送スクリュー25のみを停止させる強制排出モードを実行することで回収トナーを含む現像剤を排出できることが確認された。
図10、図11に示した第2実施形態の現像装置3a~3dにおいて、攪拌搬送スクリュー25および、供給搬送スクリュー26を逆回転させて第2現像剤排出部20jから現像剤が排出されるかどうかを確認した。なお、試験は感光体ドラム1aおよび現像装置3aを含むシアンの画像形成部Paにおいて行った。
試験機の条件、攪拌搬送スクリュー25の第1螺旋羽根25a、供給搬送スクリュー26の第2螺旋羽根26aおよび規制部52の構成は第1実施形態と同様とし、第2現像剤排出部22jの構成は第1現像剤排出部22gと同様とした。そして、攪拌搬送スクリュー25および供給搬送スクリュー26を回転数330rpmで正回転させて現像剤を循環搬送している状態と、攪拌搬送スクリュー25および供給搬送スクリュー26を回転数330rpmで逆回転させた状態とで、第2現像剤排出部20jからの現像剤の排出状況を確認した。
試験の結果、画像形成時における攪拌搬送スクリュー25および供給搬送スクリュー26を正回転させている状態では第2現像剤排出部20jからの現像剤の排出は確認されなかった。これに対し、攪拌搬送スクリュー25および供給搬送スクリュー26を逆回転させた状態では、第2現像剤排出部20jに向かう現像剤の流れが発生し、第2現像剤排出部20jからの現像剤の排出が確認された。この結果より、トナー回収モードの実行後に攪拌搬送スクリュー25および供給搬送スクリュー26を逆回転させる強制排出モードを実行することで回収トナーを含む現像剤を排出できることが確認された。