JP7069392B1 - 耐熱性を備えたrfタグ - Google Patents
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塗装ラインに設置された乾燥炉の乾燥温度は高温(例えば、150℃以上)であり、これに対応するため、周囲が樹脂等のカバーで覆われた耐熱仕様のRFタグの使用が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
なお、例えば、製鉄所においては、鋼板等の製造ラインに酸洗工程(鋼板表面のスケールを洗い流す工程)があり、耐酸性(耐薬品性)を備えたRFタグも求められていた。
まず、RFタグを加熱炉で加熱処理した後に取出して、その表面温度の推移を調査した結果を、図8を参照しながら説明する。なお、RFタグは、ICチップとアンテナが基材に配置されたインレイ全体が、耐熱性を備えたカバー(樹脂(PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)や耐熱ナイロン等)で構成)で覆われたものであり(インレイがカバーで封止されており)、ここでは、3種類の耐熱仕様(175℃:◆、250℃:■、300℃:▲)のRFタグを使用した。
図8に示すように、耐熱仕様の温度が高いほど、RFタグ(周囲を覆うカバー)の表面温度の低下(降下)に時間を要することが分かった。即ち、耐熱仕様のRFタグは、カバーの内部(ICチップ近傍)が熱せられにくいが、熱せられると冷めにくい傾向がある。
図9に示すように、RFタグの加熱処理の回数が2回までは、動作復帰に10分程度を要することが分かった。なお、RFタグの加熱処理の回数が3回以降(特に、4回、5回)では、動作復帰に要する時間が短くなっているが、これは、インレイをカバーで封止する際にカバー内に混入した気体の熱膨張により、カバーの一部が破損して開口部が形成され、この形成された開口部によってRFタグの内部の冷却が行われたことによるものと推測される。
なお、RFタグのICチップは、温度が150℃位までは、一定の導電率を有するため半導体として動作可能であるが、150℃を超えると、導電率が低下して単なる抵抗体となる性質がある。このため、RFタグが加熱されても、ICチップが150℃以下となるような構成とすることも必要である。
本発明は、以上の知見をもとになされたものであり、その要旨は以下の通りである。
前記シート状基材は耐熱性を備え、前記インレイが、珪酸を主成分とする耐熱性ガラスでコーティングされ、該耐熱性ガラスの表面が外部に露出している。
ここで、RFタグは更に耐薬品性を備えることが好ましい。
本発明に係る耐熱性を備えたRFタグにおいて、前記シート状基材はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)製であることが好ましい。
本発明に係る耐熱性を備えたRFタグにおいて、前記シート状基材はコート紙であり、該コート紙に前記耐熱性ガラスが含浸されている(コート紙の表面には更に、耐熱性ガラスがコーティングされている)ことが好ましい。
また、前記通気部は、前記インレイの厚み方向であって、前記カバー部材の一端面又は両端面に、前記通気孔Aに連続して形成された通気溝を、更に有するのがよい。
そして、前記通気部は、前記カバー部材に、前記インレイの厚み方向とは直交する方向に、前記通気孔Aに連通して形成された通気孔Bを、更に有するのがよい。
従って、簡単な構成で安定したトラッキングを実現可能なRFタグを提供できる。
また、シート状基材がポリエーテルエーテルケトン製(以下、PEEK製とも記載)である場合、例えば、塗装ラインに設置された乾燥炉で、乾燥温度が200℃~260℃(滞留時間は最長約40分)程度である環境(特に、250℃超の環境)において有効である。
そして、シート状基材がコート紙である場合、コストの低減が図れ、しかも、このコート紙に耐薬品性を備える耐熱性ガラスが含浸される(コート紙の表面には更に、耐熱性ガラスがコーティングされている)ことで、コート紙の脆弱性を補強でき、インレイの耐熱性と耐薬品性の向上が図れる。
これにより、従来のように、加熱に伴う気体の熱膨張によってカバー部材が破損するという問題がなくなり、カバー部材を用いても、インレイの冷却効率を向上できるため、RFタグの動作復帰に要する時間を短縮できる。
図1(A)~(D)、図2(A)、(B)に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る耐熱性を備えたRFタグ(以下、単にRFタグとも記載)10は、ICチップ(IC素子、半導体)11とアンテナ12がシート状基材13上に配置されたインレイ(ドライインレイ)14を有するものであり、従来よりも、耐熱性が高められると共に、動作復帰に要する時間を短縮できるものである。なお、図1(A)~(D)、図2(A)、(B)では、説明の便宜上、RFタグ10やこれに用いるインレイ14のサイズを変更している(後述する図3、図4(A)~(C)、図5(A)~(C)も同様)。
以下、詳しく説明する。
なお、RFタグは更に、薬品が存在する環境下(雰囲気)の使用に適した耐薬品性を備える場合もあるが、RFタグの使用環境に応じて、耐薬品性は備えなくてもよい(耐熱性のみ備えればよい)。ここで、薬品とは、主として酸(硫酸や塩酸、硝酸等)を意味するが、特に限定されるものではない。
上記した高温の環境としては、具体的には、自動車の製造工場における塗装ライン(乾燥炉)や、製鉄所の製鋼工場(鍋)等があり、また、薬品が存在する環境としては、例えば、製鉄所における酸洗工程等があるが、特に限定されるものではなく、高温の環境下、更には、薬品が存在する環境下であれば、例えば、化学工場の製造ラインや食品の製造工場等でもよい。
ICチップ11(ケイ素(Si)ベース)は周知の構造のものであり、シート状基材13上に貼着された導電性金属(銅箔やアルミニウム箔等)で構成したアンテナ12と接続され、送受信器(図示しない)から電波を受信することで得られる起電力により、内部に特別に記憶された識別コードを無線で外部に送信する構造となっている。
シート状基材13は、耐熱性を有するものであり、例えば、300℃以上の高温環境ではポリイミド製(熱硬化性ポリイミド製)のフィルム(薄板や箔、以下同じ)を使用することが好ましいが、これより低温の環境ではポリエーテルエーテルケトン(PEEK)製のフィルムを使用することが好ましく、更に低温(例えば、150℃以上200℃以下)の環境ではコート紙で構成するのがよい。このように、シート状基材は、RFタグを使用する環境に応じて適宜選択でき、特に限定されるものではなく、例えば、フッ素樹脂(PTFE:ポリテトラフルオロエチレン)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エポキシガラス(ガラエポ)等で構成されたシート(薄板や箔)や他の紙等で構成することもできる。
また、シート状基材をPEEK製とする場合、アンテナは、PEEKの線膨張係数に近い銅製とすることが好ましい(アルミニウム製でもよい)。
そして、シート状基材をコート紙で構成する場合、アンテナは、コート紙(後述する耐熱性ガラスが含浸したコート紙)の線膨張係数と同等のアルミニウム製とすることが好ましい。このコート紙は、例えば、上質紙の表面に白色顔料を塗布(コート)して光沢を出した紙であって、発火点は約450℃であり、上記した高温の環境に耐え得る(耐熱性を有する)ものである。
なお、本実施の形態では、例えば、シート状基材13の厚みが約80μm程度、アンテナ12の厚みが約100μm程度、ICチップ11の厚みが約200μm程度、であるが、特に限定されるものではなく、RFタグを使用する対象物等に応じてインレイの各部位の厚みを種々変更できる。
この耐熱性ガラス15は、M2O・nSiO2の一般式で表され、塗布前の液の状態で、MがNa、K、Li、Csのいずれかである珪酸(珪酸アルカリ)を主体(20~50重量%)とし、更に金属アルコート(MSiOn)存在下において、例えば0.01~1.0モル/kgのアンモニウムイオン、0.01~1.0モル/kgのハロゲンイオンを添加したものに、必要に応じてアルコールで希釈したものを使用するのが好ましい。なお、アンモニウムイオン、ハロゲンイオンは、浸透性を向上させるために添加したもので、必ずしも必須の成分ではない。
使用する耐熱性ガラス15としては、具体的には、株式会社日興が発売するテリオスコート(登録商標)NP360Gが好ましい。このテリオスコートNP360Gは、主成分がSiO2、耐熱温度が700℃、比重が1.05の性質を有するものである。
上記したインレイ14をコーティングする耐熱性ガラス15の厚み(インレイ14の表面を覆った部分の平均厚み)は、インレイ14の表面全体を覆っていれば、特に限定されるものではないが、例えば、100μm以下程度(好ましくは、下限が10μm程度、上限が50μm程度)であればよい。
なお、耐熱性ガラス15のコーティング方法としては、液状の耐熱性ガラスにインレイ14を浸漬(ドブ漬け)する方法があるが、コーティングできれば特に限定されるものではなく、例えば、インレイ14を配置した型枠内に、液状の耐熱性ガラスを流し込んで硬化させる方法等もある。
カバー部材16は、耐熱性及び絶縁性を備えた材質で構成されている。具体的には、前記したシート状基材を構成するフッ素樹脂やPEEK等を使用できるが、耐熱性や耐薬品性、経済性を考慮すれば、フッ素樹脂を使用することが好ましい。なお、カバー部材は、RFタグの使用環境に応じて材質を選択することで、RFタグが耐熱性のみを備える構成(耐薬品性はなくてもよい)とすることができる。
このように、耐熱性ガラス15の表面をカバー部材16で覆うことにより、例えば、インレイ14の保持、RFタグ10の取付け対象物(導電性を備えた金属製)に対するスペーサ、近接設備との接触や干渉によるインレイ14の破損防止、等の役割を果たすことができる。
このカバー部材の形状や構成は、耐熱性ガラスの表面の一部が外気に曝された状態でインレイ全体を覆うことができれば、特に限定されるものではなく、例えば、2枚の板材を接着剤で貼付けてもよく、また、1つのカバー部材で構成(例えば、カバー部材の厚み方向中央にインレイを挿通可能な差込み穴を形成)することもできる。
この通気部20は、インレイ14の厚み方向に形成された3つ(複数)の通気孔(通気孔Aの一例)21~23を有している。
3つの通気孔21~23は同一形状であり、平面視して矩形状(正方形状でもよい)となって、インレイ14のICチップ11が配置された中央部と、その両側(インレイ14の長手方向(以下、X方向とも記載)両側)に、カバー部材16を貫通するように、それぞれ形成されている。この各通気孔21~23は、平面視してインレイ14の長手方向とは直交する方向(以下、Y方向とも記載)の内幅が、インレイ14のY方向の幅よりも広くなっている。
通気孔24は、インレイ14のX方向に沿ってカバー部材16の一端から他端まで(図1(A)~(C)においてはカバー部材16(上側の板材17の下端部)の左端面から右端面まで)、全ての通気孔21~23を連通するように形成されている。なお、下側の板材18上のインレイ14は、通気孔24のY方向中央部(上側の板材17)に設けられた直線状の突起部28により板材18上に押付けられ、カバー部材16からの脱落が防止されているが、インレイのカバー部材からの脱落を防止できれば、突起部の構成は特に限定されるものではなく、例えば、点状に複数箇所設けることもできる。
他の通気孔25~27はそれぞれ、インレイ14のY方向に沿ってカバー部材16の一端から他端まで(図1(B)においてはカバー部材16(上側の板材17の下端部)の手前側端面から奥側端面まで)、通気孔21~23を通過するように形成されている。
例えば、乾燥炉や加熱炉でRFタグを使用する場合、高温になったRFタグが常温の外気に曝されれば、対流によって上昇気流が発生する。そこで、この空気の循環を促進するため、インレイを覆うカバー部材に鉛直方向へ通じる通気孔を設けることで、RFタグ内部に外気を流しICチップの温度降下を速めることができる。
具体的には、対象物に取付けられたRFタグ10が水平状態(X方向とY方向が水平方向)にある場合、主としてRFタグ10(インレイ14)の厚み方向に形成(鉛直方向に配置)された3つの通気孔21~23により、RFタグ10の厚み方向に外気を流すことができる。
また、対象物に取付けられたRFタグ10がX方向に沿って垂直状態にある場合、主としてRFタグ10のX方向に形成(鉛直方向に配置)された通気孔24により、RFタグ10のX方向に外気を流すことができ、RFタグ10がY方向に沿って垂直状態にある場合、主としてRFタグ10のY方向に形成(鉛直方向に配置)された3つの通気孔25~27により、RFタグ10のY方向に外気を流すことができる。
なお、RFタグ10の向きが斜めの場合は、上記した複数の通気孔21~27の組合せにより、RFタグ10に外気を流すことができる。
通気溝29は断面凹状(下方に開口)となって、インレイ14のX方向に沿ってカバー部材16の一端から他端まで(図1(A)~(C)においてはカバー部材16(下側の板材18の下端部)の左端面から右端面まで)、全ての通気孔21~23を通過(交差)して連続するように形成されている。
他の通気溝30~32は同一形状であり、それぞれ断面凹状(下方に開口)となって、インレイ14のY方向に沿ってカバー部材16の一端から他端まで(図1(B)においてはカバー部材16(下側の板材18の下端部)の手前側端面から奥端面まで)、通気孔21~23を通過するように形成されている。
なお、通気溝の構成は特に限定されるものではなく、例えば、図3に示すRFタグ10a(通気部20a)のように、カバー部材16aを構成する下側の板材18のみならず、上側の板材17aの上端面にも形成することができる(即ち、カバー部材16aの両端面に形成することができる)。ここで、通気孔21a~23a(通気孔Aの一例、通気孔21~23と略同様の構成)にそれぞれ連続して形成された4つ(複数)の通気溝29a~32aは、カバー部材16に形成された通気溝29~32と同様の構成であるが、例えば、形状や個数が異なる構成でもよい。
これにより、RFタグを対象物に取付けるに際し、カバー部材の厚み方向のいずれの面を対象物の表面に取付けた場合でも、各通気溝を介して外気の流れを形成できるため、利用し易い。
インレイ14をコーティングする耐熱性ガラス15の表面は、カバー部材41(カバー部材16と同様の材質)で覆われている。なお、カバー部材41は、インレイ14を、耐熱性ガラス15を介して厚み方向両側から挟込むようにして配置された、平面視して矩形状(同一形状)の2枚の板材42、43で構成され、板材42、43を8個のねじ19により締結することで、耐熱性ガラス15でコーティングされたインレイ14と板材42、43とを一体化している。
この通気部44は、インレイ14の厚み方向に形成された通気孔(通気孔Aの一例)45と、通気孔22、23を有している。なお、通気孔45は、平面視して矩形状(正方形状でもよい)となって、インレイ14のICチップ11が配置された中央部に、カバー部材41を貫通するように形成されている。この通気孔45は、インレイ14のX方向とY方向の各内幅が、他の通気孔22、23よりも狭く、しかも、Y方向の内幅が、インレイ14のY方向の幅よりも狭くなっている。
通気孔46は、インレイ14のX方向に沿って、カバー部材41(上側の板材42の下端部)の左端面から右端面まで、全ての通気孔45、22、23を連通するように形成されている。なお、図4(A)~(C)に記載された符号28aは、前記した突起部28と同様の機能を有する突起部である。
通気孔47は、インレイ14のY方向に沿って、カバー部材41(上側の板材42の下端部)の手前側端面から奥側端面までを通過するように形成されている。
通気溝48は断面凹状(下方に開口)となって、インレイ14のX方向に沿って、カバー部材41(下側の板材43の下端部)の左端面から右端面まで、全ての通気孔45、22、23を通過(交差)して連続するように形成されている。
通気溝49は、断面凹状(下方に開口)となって、その断面が通気溝31、32よりも小さく、インレイ14のY方向に沿ってカバー部材41(下側の板材43の下端部)の手前側端面から奥端面まで)、通気孔45を通過するように形成されている。
インレイ14をコーティングする耐熱性ガラス15の表面は、カバー部材61(カバー部材16と同様の材質)で覆われている。なお、カバー部材61は、インレイ14を、耐熱性ガラス15を介して厚み方向両側から挟込むようにして配置された、平面視して矩形状(同一形状)の2枚の板材62、63で構成され、板材62、63を8個のねじ19により締結することで、耐熱性ガラス15でコーティングされたインレイ14と板材62、63とを一体化している。
この通気部64は、前記した通気孔21を有している(通気孔21の両側には、図1(A)~(D)に示す通気孔22、23は形成されていない)。
また、通気部64は、カバー部材61に、インレイ14の側方に通気孔21に連通して形成された通気孔25を有している(図1(A)~(D)に示す通気孔24、26、27は形成されていない)。
更に、通気部64は、インレイ14の厚み方向であって、カバー部材61を構成する下側の板材63の下端面に、通気孔21に連続して形成された通気溝30を有している(図1(A)~(D)に示す通気溝29、31、32は形成されていない)。
なお、上記した構成では、2枚の板材62、63の対向面(通気孔21を除く領域)が耐熱性ガラス15でコーティングされたインレイ14の表面に接触するため、前記した突起部28(突起部28a)は不要である。
そして、コンピュータにより送受信器を操作し読取動作を行わせると、送受信器は、所定の高周波電流をアンテナへ送出し、この高周波電流がアンテナに給電されると、アンテナから電波が放射される。この電波は、RFタグ10を動作させる質問波である。
上記した送受信器は、既存のRFタグリーダ(リーダ/ライタ)と同様の構成である。
これにより、RFタグ10を動作させることができる。
送受信器は、この高周波電流を復調し、RFタグ10のデータを読取る。
上記した動作が、コンピュータに予め設定されたプログラムに基づいて行われ、得られたデータがコンピュータに送られ保存される。
これにより、対象物のトラッキングを実施できる。
まず、RFタグを加熱炉で280℃に加熱処理した後に取出し、その表面温度の推移を調査した結果を、図6を参照しながら説明する。
使用したRFタグは、ICチップとアンテナがシート状基材(PEEK製)に配置されたインレイ全体が耐熱性ガラス(テリオスコート(登録商標)NP360G)でコーティングされ、更に、このインレイ全体を覆う耐熱性ガラスの表面がカバー部材(フッ素樹脂製:片側の厚みが3mm)で覆われたものであり、ここでは、実施例に係る3種類のRFタグ(□印、▲印、■印)と、比較例に係る1種類のRFタグ(○印)を使用した。この実施例に係る3種類のRFタグは、カバー部材に形成された通気部(通気孔)の大きさを種々変更したものであり、□印(開口(大))は図1(A)~(D)、▲印(開口(中))は図4(A)~(C)、■印(開口(小))は図5(A)~(C)にそれぞれ相当し、一方、比較例に係る1種類のRFタグは、カバー部材に通気部が形成されていないもの(開口無し)である。
また、比較のため、前記した図8に示す従来の耐熱仕様(300℃)のRFタグを、市販品として示している。
図6に示すように、カバー部材に通気部を形成したことにより、RFタグの冷却効果が顕著になることが分かった。特に、RFタグの冷却効果は、通気部の開口の大きさが大きいほど顕著であった。
これは、カバー部材に通気部(通気性)を設けたことで、加熱炉から取出した際の外気との温度差による「対流」を応用した効果が得られたことによるものと考えられる。
使用したRFタグは、上記した実施例に係る3種類のRFタグと、比較例に係る1種類のRFタグ(開口無しA)である。また、比較のため、片側の厚みを5mmとしたRFタグ(開口無しB)を、250℃×1Hr加熱処理した結果も記載している。
図7に示すように、カバー部材に通気部を形成することで、通気部を形成しない場合と比較して、動作復帰に要する時間を大幅に短縮できることが分かった。特に、RFタグの動作復帰に要する時間は、開口無しでは6分以上要しているが、通気部の開口の大きさが大きくなるに伴って短縮でき、開口の大きさが最も大きい場合では、1分程度まで短縮できることが分かった。
これは、上記した図6から分かった、通気部の形成によるRFタグの冷却速度の向上効果によるものと考えられる。
なお、以上に示した通気部を形成したカバー部材によるRFタグの冷却効果は、例えば、インレイを構成するシート状基材、インレイをコーティングする耐熱性ガラス、また、耐熱性ガラスの表面を覆うカバー部材の各材質に影響されることなく、同様の傾向が得られた。
従って、高温の環境(例えば、150℃以上)であっても、更には、薬品が存在する環境であっても、安定したトラッキングを実現できる。
前記実施の形態においては、インレイをコーティングする耐熱性ガラスの表面を、耐熱性及び絶縁性を備えたカバー部材で覆った場合について説明したが、例えば、RFタグの取付け対象が金属でない場合(導電性を有しない場合)は、カバー部材を用いなくてもよい。この場合、RFタグは図2に示す構成(カバー部材がない状態)となり、耐熱性ガラスの表面全体が、外部に露出することになる(外気に曝されることになる)。
そして、前記実施の形態において、カバー部材に形成した通気部の構成は、必要な冷却効率が得られれば特に限定されるものではなく、例えば、通気部を構成する通気孔や通気溝の個数や形状を種々変更することができる。
Claims (9)
- ICチップとアンテナがシート状基材に配置されたインレイを有する耐熱性を備えたRFタグであって、
前記シート状基材は耐熱性を備え、前記インレイが、珪酸を主成分とする耐熱性ガラスでコーティングされ、該耐熱性ガラスの表面が外部に露出していることを特徴とする耐熱性を備えたRFタグ。 - 請求項1記載の耐熱性を備えたRFタグにおいて、更に耐薬品性を備えたことを特徴とする耐熱性を備えたRFタグ。
- 請求項1又は2記載の耐熱性を備えたRFタグにおいて、前記シート状基材はポリイミド製であることを特徴とする耐熱性を備えたRFタグ。
- 請求項1又は2記載の耐熱性を備えたRFタグにおいて、前記シート状基材はポリエーテルエーテルケトン製であることを特徴とする耐熱性を備えたRFタグ。
- 請求項1又は2記載の耐熱性を備えたRFタグにおいて、前記シート状基材はコート紙であり、該コート紙に前記耐熱性ガラスが含浸されていることを特徴とする耐熱性を備えたRFタグ。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載の耐熱性を備えたRFタグにおいて、前記インレイをコーティングする前記耐熱性ガラスの表面は、耐熱性及び絶縁性を備えたカバー部材で覆われ、該カバー部材には、前記耐熱性ガラスの表面の一部を外気に曝す通気部が形成されていることを特徴とする耐熱性を備えたRFタグ。
- 請求項6記載の耐熱性を備えたRFタグにおいて、前記通気部は、前記インレイの厚み方向に形成された通気孔Aを有することを特徴とする耐熱性を備えたRFタグ。
- 請求項7記載の耐熱性を備えたRFタグにおいて、前記通気部は、前記インレイの厚み方向であって、前記カバー部材の一端面又は両端面に、前記通気孔Aに連続して形成された通気溝を、更に有することを特徴とする耐熱性を備えたRFタグ。
- 請求項7又は8記載の耐熱性を備えたRFタグにおいて、前記通気部は、前記カバー部材に、前記インレイの厚み方向とは直交する方向に、前記通気孔Aに連通して形成された通気孔Bを、更に有することを特徴とする耐熱性を備えたRFタグ。
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