以下、本発明の実施形態に係る車両の車線変更支援装置について図面を参照しながら説明する。
本発明の実施形態に係る車線変更支援装置は、車両(以下において、他の車両と区別するために、「自車両」と称呼される場合がある。)に適用され、図1に示すように、運転支援ECU10、電動パワーステアリングECU20、メータECU30、ステアリングECU40、エンジンECU50、ブレーキECU60、および、ナビゲーションECU70を備えている。
これらのECUは、マイクロコンピュータを主要部として備える電気制御装置(Electric Control Unit)であり、CAN(Controller Area Network)100を介して相互に情報を送信可能及び受信可能に接続されている。本明細書において、マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ及びインターフェースI/F等を含む。CPUはROMに格納されたインストラクション(プログラム、ルーチン)を実行することにより各種機能を実現するようになっている。これらのECUは、幾つか又は全部が一つのECUに統合されてもよい。
また、CAN100には、車両状態を検出する複数種類の車両状態センサ80、および、運転操作状態を検出する複数種類の運転操作状態センサ90が接続されている。車両状態センサ80は、例えば、車両の走行速度を検出する車速センサ、車両の前後方向の加速度を検出する前後加速度センサ、車両の横方向の加速度を検出する横加速度センサ、および、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサなどである。
運転操作状態センサ90は、アクセルペダルの操作量を検出するアクセル操作量センサ、ブレーキペダルの操作量を検出するブレーキ操作量センサ、ブレーキペダルの操作の有無を検出するブレーキスイッチ、操舵角を検出する操舵角センサ、操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ、および、変速機のシフトポジションを検出するシフトポジションセンサなどである。
車両状態センサ80、および、運転操作状態センサ90によって検出された情報(センサ情報と呼ぶ)は、CAN100に送信される。各ECUにおいては、CAN100に送信されたセンサ情報を、適宜、利用することができる。尚、センサ情報は、特定のECUに接続されたセンサの情報であって、その特定のECUからCAN100に送信される場合もある。例えば、アクセル操作量センサは、エンジンECU50に接続されていてもよい。この場合、エンジンECU50からアクセル操作量を表すセンサ情報がCAN100に送信される。例えば、操舵角センサは、ステアリングECU40に接続されていてもよい。この場合、ステアリングECU40から操舵角を表すセンサ情報がCAN100に送信される。他のセンサにおいても同様である。また、CAN100を介在させることなく、特定のECU間における直接的な通信により、センサ情報の授受が行われる構成が採用されてもよい。
運転支援ECU10は、ドライバーの運転支援を行う中枢となる制御装置であって、車線変更支援制御を実施する。
運転支援ECU10には、図2に示すように、中央前方周辺センサ11FC、右前方周辺センサ11FR、左前方周辺センサ11FL、右後方周辺センサ11RR、および、左後方周辺センサ11RLが接続される。各周辺センサ11FC,11FR,11FL,11RR,11RLは、レーダセンサであり、その検出領域が互いに異なるだけで、基本的には、互いに同じ構成である。以下、各周辺センサ11FC,11FR,11FL,11RR,11RLを個々に区別する必要が無い場合には、それらを周辺センサ11と呼ぶ。
周辺センサ11は、レーダ送受信部と信号処理部(図示略)とを備えており、レーダ送受信部が、ミリ波帯の電波(以下、「ミリ波」と称呼する。)を放射し、放射範囲内に存在する立体物(例えば、他車両、歩行者、自転車、建造物など)によって反射されたミリ波(即ち、反射波)を受信する。信号処理部は、送信したミリ波と受信した反射波との位相差、反射波の減衰レベル及びミリ波を送信してから反射波を受信するまでの時間等に基づいて、自車両と立体物との距離、自車両と立体物との相対速度、自車両に対する立体物の相対位置(方向)等を表す情報(以下、周辺情報と呼ぶ)を所定時間の経過毎に取得して運転支援ECU10に供給する。この周辺情報によって、自車両と立体物との距離における前後方向成分と横方向成分、および、自車両と立体物との相対速度における前後方向成分と横方向成分とを検出することができる。
図2に示すように、中央前方周辺センサ11FCは、車体のフロント中央部に設けられ、自車両の前方領域に存在する立体物を検出する。右前方周辺センサ11FRは、車体の右前コーナー部に設けられ、主に自車両の右前方領域に存在する立体物を検出し、左前方周辺センサ11FLは、車体の左前コーナー部に設けられ、主に自車両の左前方領域に存在する立体物を検出する。右後方周辺センサ11RRは、車体の右後コーナー部に設けられ、主に自車両の右後方領域に存在する立体物を検出し、左後方周辺センサ11RLは、車体の左後コーナー部に設けられ、主に自車両の左後方領域に存在する立体物を検出する。以下、周辺センサ11によって検出される立体物を物標と呼ぶこともある。
周辺センサ11は、本実施形態においては、レーダセンサであるが、それに代えて、例えば、クリアランスソナーなど、他のセンサを採用することもできる。
また、運転支援ECU10には、カメラセンサ12が接続されている。カメラセンサ12は、カメラ部、および、カメラ部によって撮影して得られた画像データを解析して道路の白線を認識するレーン認識部を備えている。カメラセンサ12(カメラ部)は、自車両の前方の風景を撮影する。カメラセンサ12(レーン認識部)は、認識した白線に関する情報を運転支援ECU10に供給する。
運転支援ECU10は、カメラセンサ12から供給された情報に基づいて、図3に示すように、自車両Cの走行している車線における左右の白線WLの幅方向の中心位置となる車線中心ラインCLを設定する。また、運転支援ECU10は、車線中心ラインCLのカーブの曲率Cuを演算する。
また、運転支援ECU10は、左右の白線WLで区画される車線における自車両Cの位置および向きを演算する。例えば、運転支援ECU10は、図3に示すように、自車両Cの基準点P(例えば、重心位置)と車線中心ラインCLとのあいだの道路幅方向の距離Dy、つまり、自車両Cが車線中心ラインCLに対して道路幅方向にずれている距離Dyを演算する。この距離Dyを横偏差Dyと呼ぶ。また、運転支援ECU10は、車線中心ラインCLの方向と自車両Cの向いている方向とのなす角度、つまり、車線中心ラインCLの方向に対して自車両Cの向いている方向が水平方向にずれている角度θyを演算する。この角度θyをヨー角θyと呼ぶ。以下、曲率Cu、横偏差Dy、および、ヨー角θyを表す情報(Cu、Dy、θy)を車線関連車両情報と呼ぶ。
また、カメラセンサ12は、自車両の車線に限らず隣接する車線も含めて、検出した白線の種類(実線、破線)、隣り合う左右の白線間の距離(車線幅)、白線の形状など、白線に関する情報についても運転支援ECU10に供給する。白線が実線の場合は、車両がその白線を跨いで車線変更することは禁止されている。一方、白線が破線(一定の間隔で断続的に形成されている白線)の場合は、車両がその白線を跨いで車線変更することは許可されている。こうした車線関連車両情報(Cu、Dy、θy)、および、白線に関する情報を総称して車線情報と呼ぶ。
尚、本実施形態においては、運転支援ECU10が車線関連車両情報(Cu、Dy、θy)を演算するが、それに代えて、カメラセンサ12が車線関連車両情報(Cu、Dy、θy)を演算して、その演算結果を運転支援ECU10に供給する構成であってもよい。
また、カメラセンサ12は、画像データに基づいて自車両の前方に存在する立体物を検出することもできるため、車線情報に加えて、前方の周辺情報を演算により取得するようにしてもよい。この場合、例えば、中央前方周辺センサ11FC、右前方周辺センサ11FR、および、左前方周辺センサ11FLによって取得された周辺情報と、カメラセンサ12によって取得された周辺情報とを合成して、検出精度の高い前方の周辺情報を生成する合成処理部(図示略)を設け、この合成処理部で生成された周辺情報を、自車両の前方の周辺情報として運転支援ECU10に供給するようにするとよい。
運転支援ECU10には、ブザー13が接続されている。ブザー13は、運転支援ECU10からのブザー鳴動信号を入力して鳴動する。運転支援ECU10は、ドライバーに対して運転支援状況を知らせる場合、および、ドライバーに対して注意を促す場合等においてブザー13を鳴動させる。
運転支援ECU10は、周辺センサ11から供給された周辺情報、カメラセンサ12の白線認識に基づいて得られた車線情報、車両状態センサ80にて検出された車両状態、および、運転操作状態センサ90にて検出された運転操作状態等に基づいて、車線変更支援制御を実施する。
運転支援ECU10には、ドライバーによって操作される設定操作器14が接続されている。設定操作器14は、ドライバーが各種の設定を行うために使われる共通の操作器であって、例えば、図5に示すように、操舵ハンドルSWH(この例ではパッド部分の右側)に設けられている。運転支援ECU10は、設定操作器14の設定信号を入力して、各種の設定処理を行う。この設定操作器14は、例えば、プッシュ式スイッチであって、プッシュ操作によってオン信号を出力するタイプであるが、それに代えて、例えば、中立位置から「Yes」位置と「No」位置とに選択操作(例えば、スライド操作など)可能な選択スイッチであって、操作位置に応じた選択信号を出力するタイプなど、種々の操作器を採用することができる。尚、設定操作器14の設けられる位置は、操舵ハンドルSWHに限るものでは無く、ドライバーが運転席に着座した状態で操作できる位置であればどこでもよい。
更に、運転支援ECU10には、ドライバーによって操作されるスタンバイ操作器15が接続されている。スタンバイ操作器15は、運転支援ECU10の制御状態を非スタンバイ状態からスタンバイ状態に切り替えるための操作器である。スタンバイ操作器15は、例えば、図5に示すように、操舵ハンドルSWH(この例ではパッド部分の左側)に設けられている。スタンバイ操作器15は、例えば、プッシュ式ボタンであって、プッシュ操作されている間、オン信号を運転支援ECU10に出力する。運転支援ECU10は、スタンバイ操作器15から出力されるオン信号が検出された場合に、ドライバーのスタンバイ要求(制御状態を非スタンバイ状態からスタンバイ状態に移行させる要求)を検出する。以下、ドライバーがスタンバイ要求する操作(スタンバイ操作器15のプッシュ操作)をスタンバイ操作と呼ぶ。尚、スタンバイ操作器15の設けられる位置は、操舵ハンドルSWHに限るものでは無く、ドライバーが運転席に着座した状態で操作できる位置であればどこでもよい。
電動パワーステアリングECU20は、電動パワーステアリング装置の制御装置である。以下、電動パワーステアリングECU20をEPS・ECU(Electric Power Steering ECU)20と呼ぶ。EPS・ECU20は、モータドライバ21に接続されている。モータドライバ21は、転舵用モータ22に接続されている。転舵用モータ22は、図示しない車両の「操舵ハンドル、操舵ハンドルに連結されたステアリングシャフト及び操舵用ギア機構等を含むステアリング機構」に組み込まれている。EPS・ECU20は、ステアリングシャフトに設けられた操舵トルクセンサによって、ドライバーが操舵ハンドルに入力した操舵トルクを検出し、この操舵トルクに基づいて、モータドライバ21の通電を制御して、転舵用モータ22を駆動する。このアシストモータの駆動によってステアリング機構に操舵トルクが付与されて、ドライバーの操舵操作をアシストする。
また、EPS・ECU20は、CAN100を介して運転支援ECU10から操舵指令を受信した場合には、操舵指令で特定される制御量で転舵用モータ22を駆動して操舵トルクを発生させる。この操舵トルクは、上述したドライバーの操舵操作(ハンドル操作)を軽くするために付与される操舵アシストトルクとは異なり、ドライバーの操舵操作を必要とせずに、運転支援ECU10からの操舵指令によってステアリング機構に付与されるトルクを表す。
メータECU30は、表示器31、および、左右のウインカー32(ウインカーランプを意味する。ターンランプと呼ばれることもある)に接続されている。表示器31は、例えば、運転席の正面に設けられたマルチインフォーメーションディスプレイであって、車速等のメータ類の計測値の表示に加えて、各種の情報を表示する。例えば、メータECU30は、運転支援ECU10から運転支援状態に応じた表示指令を受信すると、その表示指令で指定された画面を表示器31に表示させる。尚、表示器31としては、マルチインフォーメーションディスプレイに代えて、あるいは、加えて、ヘッドアップディスプレイ(図示略)を採用することもできる。ヘッドアップディスプレイを採用する場合には、ヘッドアップディスプレイの表示を制御する専用のECUを設けるとよい。
また、メータECU30は、ウインカー駆動回路(図示略)を備えており、CAN100を介してウインカー点滅指令を受信した場合には、ウインカー点滅指令で指定された方向(右、左)のウインカー32を点滅させる。また、メータECU30は、ウインカー32を点滅させている間、ウインカー32が点滅状態であることを表すウインカー点滅情報をCAN100に送信する。従って、他のECUにおいては、ウインカー32の点滅状態を把握することができる。
ステアリングECU40は、ウインカーレバー41、および、手放しセンサ42に接続されている。ウインカーレバー41は、ウインカー32を作動(点滅)させるための操作器であり、ステアリングコラムに設けられている。ウインカーレバー41は、右回り操作方向、および、左回り操作方向のそれぞれについて、支軸周りに2段の操作ストロークにて回動可能に設けられる。
ウインカーレバー41は、図4に示すように、右回り操作方向、および、左回り操作方向のそれぞれについて、中立位置PNから第1ストローク回動した(支軸Oの周りに第1角度θW1回動した)位置である第1操作位置P1L(P1R)と、中立位置PNから第1操作位置P1L(P1R)よりも深い第2ストローク回動した(支軸Oの周りに第2角度θW2(>θW1)回動した)位置である第2操作位置P2L(P2R)とに選択的に操作可能に構成される。中立位置PNは、ウインカーレバー41が操作されていない状態である位置、つまり、ウインカー32が消灯する位置である。
ウインカーレバー41は、ドライバーによって第1操作位置P1L(P1R)にまで倒された場合には、ドライバーにクリック感を与えるとともに、その状態からウインカーレバー41への操作力が解除されると、バネ等の戻し機構(図示略)によって機械的に中立位置PNに戻される。また、ウインカーレバー41は、ドライバーによって第2操作位置P2L(P2R)にまで倒された場合には、機械的なロック機構(図示略)によって、操作力が解除されても第2操作位置P2L(P2R)で保持される。
ウインカーレバー41は、第1操作位置P1L(P1R)に倒されている場合にのみオンする第1スイッチ411L(411R)と、第2操作位置P2L(P2R)に倒されている場合にのみオンする第2スイッチ412L(412R)とを備えている。
第1スイッチ411L(411R)は、ウインカーレバー41が第1操作位置P1L(P1R)に位置しているあいだ、オン信号をステアリングECU40に送信し、第2スイッチ412L(412R)は、ウインカーレバー41が第2操作位置P2L(P2R)に位置しているあいだ、オン信号をステアリングECU40に送信する。上記説明において、符号に括弧を付している操作位置およびスイッチは、右回り操作方向に関する操作位置およびスイッチを表している。
ウインカーレバー41は、第2操作位置P2L(P2R)に保持されている状態で、操舵ハンドルが逆回転して中立位置に戻された場合、あるいは、ドライバーがウインカーレバー41を中立位置方向に戻し操作した場合に、ロック機構によるロックが解除されて中立位置PNに戻される。つまり、ウインカーレバー41は、第2操作位置P2L(P2R)に操作された場合、従来から一般的に実施されているウインカー点滅装置と同様な作動をする。以下、ウインカーレバー41が第1操作位置P1L(P1R)にまで倒される操作を「浅押し操作」と呼び、ウインカーレバー41が第2操作位置P2L(P2R)にまで倒される操作を「深押し操作」と呼ぶ。
こうした2段の操作ストロークにてスイッチ信号が切り替わるウインカーレバー41については、例えば、特開2005-138647等にて知られており、本実施形態においても、そうした公知の構成を採用することができる。
ステアリングECU40は、ウインカーレバー41の浅押し操作の有無、つまり、第1スイッチ411L(411R)のオン/オフ状態を表すモニタ信号、および、ウインカーレバー41の深押し操作の有無、つまり、第2スイッチ411L(411R)のオン/オフ状態を表すモニタ信号を運転支援ECU10に送信する。以下、第1スイッチ411L(411R)のオン/オフ状態を表すモニタ信号を「浅押し操作モニタ信号」と呼び、第2スイッチ411L(411R)のオン/オフ状態を表す「深押し操作モニタ信号」と呼ぶ。この浅押し操作モニタ信号、および、深押し操作モニタ信号には、ウインカーレバー41の操作方向(左右方向)を特定する信号も含まれている。
また、ステアリングECU40は、第1スイッチ411L(411R)がオンしているあいだ、ウインカーレバー41が操作された方向のウインカー32を点滅させる。ウインカー32を点滅させるにあたって、ステアリングECU40は、第1スイッチ411L(411R)がオンしているあいだ、メータECU30に対して、ウインカーレバー41の操作方向(左右方向)を指定したウインカー点滅指令を送信する。メータECU30は、ウインカー点滅指令を受信しているあいだ、指定された方向のウインカー32を点滅させる。従って、ドライバーは、ウインカーレバー41を浅押し操作することによって、ウインカー32を点滅させることができる。
尚、ステアリングECU40は、第1スイッチ411L(411R)がオンしている期間が予め設定された最小点滅時間よりも短い場合(つまり、ウインカー32の点滅回数が最小点滅回数よりも少ない場合)には、上記最小点滅時間が確保されるように、最小点滅時間だけメータECU30にウインカー点滅指令を送信するようにしてもよい。この場合には、ドライバーは、ウインカーレバー41を瞬時的に浅押し操作するだけで、ウインカー32を設定回数(最小点滅回数)だけ点滅させることができる。また、ステアリングECU40は、第1スイッチ411L(411R)がオンした場合、第1スイッチ411L(411R)がオンしている時間に関係なく、常に、ウインカー32が設定回数だけ点滅するように、設定回数分の時間だけメータECU30にウインカー点滅指令を送信するように構成されていてもよい。
また、ステアリングECU40は、第2スイッチ412L(412R)がオンしているあいだ、操作方向のウインカー32を点滅させる。この場合、ステアリングECU40は、メータECU30に対して、第2スイッチ412L(412R)がオンしているあいだ、操作方向(左右方向)を指定したウインカー点滅指令を送信する。メータECU30は、ウインカー点滅指令を受信しているあいだ、指定された方向のウインカー32を点滅させる。従って、ウインカーレバー41が深押し操作された場合には、深押し操作の開始からウインカーレバー41の戻し操作あるいは操舵ハンドルの戻し操作が行われるまでのあいだ、ウインカー32の点滅が継続される。
運転支援ECU10は、浅押し操作モニタ信号、および、深押し操作モニタ信号を受信する。運転支援ECU10は、浅押し操作モニタ信号のオン継続時間(第1スイッチ411L(411R)がオンしている継続時間、すなわち、ウインカーレバー41が第1操作位置P1L(P1R)に保持されている継続時間)を計測し、オン継続時間が予め設定した支援要求確定時間(例えば、1秒)以上であるか否かを判定する。
運転支援ECU10は、浅押し操作モニタ信号のオン継続時間が支援要求確定時間以上継続すると、ドライバーの車線変更支援要求を確定させる。このウインカーレバー41の支援要求確定時間以上継続した浅押し操作をLCA要求操作と呼ぶ。運転支援ECU10は、LCA要求操作が行われたことを検出することで、ドライバーの車線変更支援要求を検出する。
車線変更支援制御は、LCA要求操作の検出に基づいて開始される。
尚、本実施形態においては、ウインカーレバー41は、深押し操作が行われた場合、ドライバーが操作力を解除してもその位置でロックされるが、それに代えて、深押し操作が行われた場合も、浅押し操作と同様に、ドライバーが操作力を解除したときに機械的な戻し機構(図示略)によって自動的に中立位置に戻される構成であってもよい。この構成の場合、ステアリングECU40は、第2スイッチ412L(412R)がオン状態からオフ状態に切り替わっても、操舵角に基づいて操舵ハンドルが中立位置近傍に戻ることを検出するまでの期間は、操作方向のウインカー32のウインカー点滅指令の送信を継続する。
手放しセンサ42は、ドライバーが操舵ハンドルを握っていないことを検出するセンサである。手放しセンサ42は、ドライバーが操舵ハンドルを握っているか否かを表す手放し検出信号をCAN100を介して運転支援ECU10に送信する。運転支援ECU10は、車線変更支援制御の実行中において、ドライバーの操舵ハンドルを握っていない状態が予め設定された手放し判定時間以上継続した場合、「手放し状態」であると判定する。運転支援ECU10は、手放し状態であると判定した場合、ブザー13を鳴動させて、ドライバーに対して注意喚起する。この注意喚起を、手放し警告と呼ぶ。
エンジンECU50は、エンジンアクチュエータ51に接続されている。エンジンアクチュエータ51は内燃機関52の運転状態を変更するためのアクチュエータである。本実施形態において、内燃機関52はガソリン燃料噴射・火花点火式・多気筒エンジンであり、吸入空気量を調整するためのスロットル弁を備えている。エンジンアクチュエータ51は、少なくとも、スロットル弁の開度を変更するスロットル弁アクチュエータを含む。エンジンECU50は、エンジンアクチュエータ51を駆動することによって、内燃機関52が発生するトルクを変更することができる。内燃機関52が発生するトルクは図示しない変速機を介して図示しない駆動輪に伝達されるようになっている。従って、エンジンECU50は、エンジンアクチュエータ51を制御することによって、自車両の駆動力を制御し加速状態(加速度)を変更することができる。
ブレーキECU60は、ブレーキアクチュエータ61に接続されている。ブレーキアクチュエータ61は、ブレーキペダルの踏力によって作動油を加圧する図示しないマスタシリンダと、左右前後輪に設けられる摩擦ブレーキ機構62との間の油圧回路に設けられる。摩擦ブレーキ機構62は、車輪に固定されるブレーキディスク62aと、車体に固定されるブレーキキャリパ62bとを備える。ブレーキアクチュエータ61は、ブレーキECU60からの指示に応じてブレーキキャリパ62bに内蔵されたホイールシリンダに供給する油圧を調整し、その油圧によりホイールシリンダを作動させることによりブレーキパッドをブレーキディスク62aに押し付けて摩擦制動力を発生させる。従って、ブレーキECU60は、ブレーキアクチュエータ61を制御することによって、自車両の制動力を制御することができる。
ナビゲーションECU70は、自車両の現在位置を検出するためのGPS信号を受信するGPS受信機71、地図情報等を記憶した地図データベース72、および、タッチパネル(タッチパネル式ディスプレイ)73を備えている。ナビゲーションECU70は、GPS信号に基づいて現時点の自車両の位置を特定するとともに、自車両の位置及び地図データベース72に記憶されている地図情報等に基づいて各種の演算処理を行い、タッチパネル73を用いて経路案内を行う。
地図データベース72に記憶されている地図情報には、道路情報が含まれている。道路情報には、その道路の区間毎における道路の形状を示すパラメータ(例えば、道路の曲がり方の程度を示す道路の曲率半径又は曲率、道路の車線幅など)が含まれている。また、道路情報には、自動車専用道路であるか否かを区別することができる道路種別情報、車線数情報、および、中央分離帯が設けられているか否かを区別することができる中央分離帯情報も含まれている。
<車線変更支援制御(LCA)>
車線変更支援制御は、自車両の周囲を監視して安全に車線変更が可能であると判定された後に、自車両の周囲を監視しつつ、自車両が現在走行している車線から隣接する車線に移動するように操舵トルクをステアリング機構に付与して、ドライバーの操舵操作(車線変更操作)を支援する制御である。従って、車線変更支援制御によれば、ドライバーの操舵操作(ハンドル操作)を必要とせずに、自車両の走行する車線を変更することができる。以下、車線変更支援制御をLCA(レーン・チェンジ・アシスト)と呼ぶ。
<目標軌道の演算>
運転支援ECU10は、LCAを実施する場合に、カメラセンサ12から供給される現時点の車線情報、および、自車両の車両状態および基づいて、自車両の目標軌道を演算する。目標軌道は、目標車線変更時間に基づいて、目標車線変更時間をかけて、自車両を、現在走行している車線(元車線と呼ぶ)から、元車線に隣接する車線変更支援要求方向の車線(目標車線と呼ぶ)の幅方向中心位置(最終目標横位置と呼ぶ)にまで移動させる軌道である。目標軌道は、例えば、図6に示すような形状となる。目標軌道は、元車線の車線中心ラインCL(図3参照)を基準として、LCAの作動開始時点からの経過時間tに対する自車両の目標横位置yを使って表される。
本実施形態においては、目標横位置yは、次式(1)に示す目標横位置関数y(t)によって演算される。この横位置関数y(t)は、経過時間tを用いた5次関数である。
y(t)=a・t5+b・t4+c・t3+d・t2+e・t+f ・・・(1)
ここで、定数a,b,c,d,e,fは、演算時における、自車両の走行状態、車線情報、および、目標車線変更時間等に基づいて決定される。本実施形態においては、予め記憶された車両モデルを使って、自車両の走行状態、車線情報、および、目標車線変更時間を車両モデルに入力することによって、滑らかな目標軌道が得られるような上記a,b,c,d,e,fが算出される。その算出されたa,b,c,d,e,fを式(1)に代入することにより目標横位置関数y(t)が得られる。目標横位置関数y(t)に、LCAの開示時刻からの経過時間tを代入することで、その時点における目標横位置が求められる。この場合、fは、t=0、つまり、LCA開始時の自車両の初期横位置を表すため、横偏差Dyと等しい値に設定される。
また、目標横位置yは、5次の関数を用いて演算される必要は無く、任意に設定した関数を用いて求めてもよい。
<目標舵角の演算>
運転支援ECU10は、目標舵角を演算し、その目標舵角が得られるように操舵トルクを発生させる。この目標舵角の演算に当たっては、上記式(1)で表される目標軌道の形状に基づいて目標曲率Cu*、目標ヨー角θy*、および、目標横偏差Dy*が決定される。
運転支援ECU10は、LCAの制御量として下記の(2)式により、目標舵角θlca*を所定の演算周期にて演算する。
θlca*=Klca1・Cu*+Klca2・(θy*-θy)+Klca3・(Dy*-Dy)
+Klca4・Σ(Dy*-Dy) …(2)
ここで、θyおよびDyは、現時点(演算時)における車線関連車両情報(Cu、Dy、θy)で表される値が用いられる。Klca1,Klca2,Klca3,Klca4は制御ゲインである。
右辺第1項は、目標軌道の形状から決まる目標曲率Cu*に応じて決定されるフィードフォワード的に働く舵角成分である。右辺第2項は、目標軌道の形状から決まる目標ヨー角θy*と実ヨー角θyとの偏差を小さくするようにフィードバック的に働く舵角成分である。右辺第3項は、目標軌道の形状から決まる目標横偏差Dy*と実横偏差Dyとの偏差を小さくするようにフィードバック的に働く舵角成分である。右辺第4項は、目標横偏差Dy*と実横偏差Dyとの偏差の積分値Σ(Dy*-Dy)を小さくするようにフィードバック的に働く舵角成分である。
運転支援ECU10は、目標舵角θlca*を演算するたびに、その目標舵角θlca*を表す操舵指令をEPS・ECU20に送信する。これにより、自車両が目標軌道に沿って走行し、車線変更が行われる。
<LCAの実施許可条件>
LCAは、上述したように、車線変更支援要求の検出(LCA要求操作の検出)によって開始される。このLCAの実施に当たっては、以下の条件が設けられている。
その一つは、道路条件である。具体的には、LCAの実施が許可される道路(以下、作動対象道路と呼ぶ)は、「片側2車線以上であること」、「歩行者および自転車が進入できないこと」、および、「中央分離帯が形成されていること」という条件を満足しなければならない。
もう一つは、LCAは、自車両が作動対象道路上に位置するときに、スタンバイ操作器の操作(スタンバイ操作)によって、車線変更支援装置の制御状態を非スタンバイ状態からスタンバイ状態に移行させた後に、ウインカーレバーによるLCA要求操作によって開始できる、という条件である。また、スタンバイ操作によってスタンバイ状態に移行した後であっても、自車両が作動対象道路から退出した場合には、制御状態をスタンバイ状態から非スタンバイ状態に戻さなければならないという条件も加わっている。
LCAは、これらの条件が満足されている状況において実施される。
このようなことから、ドライバーは、LCAを実施させる場合、スタンバイ操作とLCA要求操作とを行う必要がある。つまり、ドライバーは、自車両が作動対象道路に進入した後、スタンバイ操作を行って車線変更支援装置の制御状態を非スタンバイ状態からスタンバイ状態に移行させておき、このスタンバイ状態において、LCA要求操作を行う必要がある。LCAは、このLCA要求操作によるLCAの要求が運転支援ECU10で受け付けられると開始される。
<スタンバイ状態切替制御ルーチン>
運転支援ECU10は、自身の制御状態を非スタンバイ状態とスタンバイ状態とに切り替えるスタンバイ状態切替制御処理を実施する。図7は、スタンバイ状態切替制御ルーチンを表す。運転支援ECU10は、スタンバイ状態切替制御ルーチンを所定の演算周期で繰り返し実施する。
運転支援ECU10は、スタンバイ状態切替制御ルーチンを開始すると、まず、ステップS11において、自車両の位置している道路(自車走行道路と呼ぶ)が作動対象道路であるか否かについて判定する。例えば、地図データベース72に記憶されている地図情報に作動対象道路であるか否かを判別できる道路情報が含まれている場合には、運転支援ECU10は、自車両の現在の位置情報と、地図情報(道路情報)とに基づいて、自車走行道路が作動対象道路であるか否かについて判定する。
あるいは、カメラセンサ12によって得られた画像データを解析して、自車走行道路が作動対象道路であるか否かについて判定してもよい。
あるいは、外部から送信される道路情報(例えば、電波路側機から送信される道路情報、あるいは、車両情報センタから送信される道路情報)を受信して、自車走行道路が作動対象道路であるか否かについて判定してもよい。この場合、車線変更支援装置は、例えば、外部から送信される道路情報を受信する受信機を備え、この受信機で受信した道路情報をCAN100を介して運転支援ECU10に供給する構成を備えていればよい。
運転支援ECU10は、自車走行道路が作動対象道路でないと判定した場合(S11:No)、その処理をステップS12に進めて、スタンバイ操作完了フラグFを値「0」に設定する。このスタンバイ操作完了フラグFは、スタンバイ操作が完了しているか否かを表すフラグであって、値「1」によりスタンバイ操作が完了していることを表し、値「0」によりスタンバイ操作が完了していないことを表す。スタンバイ操作完了フラグFの初期値は「0」である。
続いて、運転支援ECU10は、ステップS13において、制御状態を非スタンバイ状態に設定してスタンバイ状態切替制御ルーチンを一旦終了する。運転支援ECU10は、スタンバイ状態切替制御ルーチンを所定の演算周期で繰り返す。従って、自車両が作動対象道路に進入していない状況では、上述した処理(S11,S12,S13)が繰り返される。
こうした処理が繰り返され、自車両が作動対象道路に進入すると、運転支援ECU10は、ステップS11において「Yes」と判定し、その処理をステップS14に進める。運転支援ECU10は、ステップS14において、スタンバイ操作器15によるスタンバイ操作が検出されたか否かについて判定する。スタンバイ操作が検出されない場合(S14:No)、運転支援ECU10は、その処理をステップS16に進めて、スタンバイ操作完了フラグFが値「1」であるか否かについて判定する。
この場合、スタンバイ操作完了フラグFは値「0」であるため、運転支援ECU10は、「No」と判定して、その処理をステップS13に進める。従って、制御状態は、そのまま非スタンバイ状態に維持される。
自車両が作動対象道路を走行中に、ドライバーがスタンバイ操作器15を使ってスタンバイ操作を行うと、運転支援ECU10は、スタンバイ要求を検出する。この場合、運転支援ECU10は、ステップS14において「Yes」と判定し、その処理をステップS15に進める。運転支援ECU10は、ステップS15において、スタンバイ操作完了フラグFを値「1」にセットする。続いて、運転支援ECU10は、その処理をステップS16に進めて、スタンバイ操作完了フラグFが値「1」であるか否かについて判定する。
この場合、スタンバイ操作完了フラグFは値「1」に設定されているため、運転支援ECU10は、「Yes」と判定し、その処理をステップS17に進め、制御状態をスタンバイ状態に設定する。従って、運転支援ECU10の制御状態が非スタンバイ状態からスタンバイ状態に切り替えられる。
運転支援ECU10は、制御状態をスタンバイ状態に設定すると、スタンバイ状態切替制御ルーチンを一旦終了する。
運転支援ECU10は、スタンバイ状態切替制御ルーチンを所定の演算周期で繰り返す。この場合、スタンバイ操作完了フラグFが値「1」に設定されているため、ドライバーがスタンバイ操作器15の操作を解除しても(S14:No)、自車両が作動対象道路上に存在するあいだは、そのまま制御状態がスタンバイ状態に維持される(S16:Yes、S17)。
こうした処理が繰り返されている途中で、自車両が作動対象道路から退出すると、運転支援ECU10は、ステップS11において、「No」と判定する。従って、スタンバイ操作完了フラグFがゼロクリア(1→0)され、それまでの制御状態がスタンバイ状態であったか否かに関係なく、非スタンバイ状態に設定される(S13)。
<非スタンバイ通知制御ルーチン>
LCAは、制御状態がスタンバイ状態におかれている状況において、LCA要求操作が検出された場合に実施される。しかし、ドライバーは、LCA要求操作の前にスタンバイ操作行う必要があることを認識していなかったり、スタンバイ操作の方法を知らなかったりする可能性がある。そうした場合には、ドライバーは、LCA要求操作を行っても車線変更支援を受けることができない。
そこで、運転支援ECU10は、スタンバイ状態切替制御ルーチン(図7)と並行して、図8に示す非スタンバイ通知制御ルーチンを所定の演算周期で繰り返し実施する。
運転支援ECU10は、非スタンバイ通知制御ルーチンを開始すると、まず、ステップS21において、LCA要求操作が検出されたか否かについて判定する。LCA要求操作が検出されない場合、運転支援ECU10は、非スタンバイ通知制御ルーチンを一旦終了する。
運転支援ECU10は、こうした処理を繰り返し実施し、LCA要求操作が検出されると(S21:Yes)、その処理をステップS22に進めて、現時点における自身の制御状態がスタンバイ状態であるか否かについて判定する。この場合、運転支援ECU10は、上述したスタンバイ状態切替制御ルーチンで設定されている現時点のスタンバイ操作完了フラグFを読み込んで、スタンバイ状態(F=1)であるか非スタンバイ状態(F=0)であるか判断する。
運転支援ECU10は、制御状態がスタンバイ状態でなければ(S22:No)、その処理をステップS23に進めて、自車走行道路が作動対象道路であるか否かについて判定する。自車走行道路が作動対象道路でない場合(S23:No)、運転支援ECU10は、その処理をステップS24に進めて、LCAの要求を受け付けできない旨をドライバーに通知する。
この場合、運転支援ECU10は、メータECU30に対して、LCA受付不可表示指令を送信する。メータECU30は、LCA受付不可表示指令を受信すると、表示器31に、LCAの要求が受け付けられなかったことを表すメッセージあるいはアイコンを表示する。尚、この場合、運転支援ECU10は、LCA受付不可表示指令の送信と同時に、ブザー13を鳴動させるとよい。
一方、自車走行道路が作動対象道路である場合(S23:Yes)、運転支援ECU10は、その処理をステップS25に進める。運転支援ECU10は、ステップS25において、非スタンバイ状態であるためLCAの要求を受け付けできない旨をドライバーに通知する。
この場合、運転支援ECU10は、メータECU30に対して、非スタンバイLCA受付不可表示指令を送信する。メータECU30は、非スタンバイLCA受付不可表示指令を受信すると、表示器31に、非スタンバイ状態であるためにLCAの要求が受け付けられなかったことを表すメッセージあるいはアイコンを表示する。尚、この場合、運転支援ECU10は、非スタンバイLCA受付不可表示指令の送信と同時に、ブザー13を鳴動させるとよい。
続いて、運転支援ECU10は、その処理をステップS26に進めて、スタンバイ状態に切り替える方法をドライバーに通知する。この場合、運転支援ECU10は、メータECU30に対して、スタンバイ操作方法表示指令を送信する。メータECU30は、スタンバイ操作方法表示指令を受信すると、表示器31に、スタンバイ状態へ移行させるための操作方法を表示する。例えば、メータECU30は、操舵ハンドルの左側に設けられているプッシュスイッチ(スタンバイ操作器15)をプッシュ操作するように案内する表示を表示器31に表示する。
ドライバーは、車線変更支援を受けたい場合には、表示器31に表示されたスタンバイ状態へ移行させるための操作方法を見て、制御状態をスタンバイ状態に移行させたうえで、LCA要求操作を行う。
このステップS25,S26の処理を実施する運転支援ECU10が、本発明の情報提供手段に相当する。
運転支援ECU10は、ステップS24あるいはステップS26の処理を実施すると、非スタンバイ通知制御ルーチンを一旦終了する。
運転支援ECU10は、こうした処理を繰り返し実施し、再度、LCA要求操作が検出されると(S21:Yes)、その処理をステップS22に進めて、現時点における自身の制御状態がスタンバイ状態であるか否かについて判定する。運転支援ECU10は、制御状態がスタンバイ状態である場合(S22)、その処理をステップS27に進めて、LCAの要求を受け付ける。これにより、運転支援ECU10は、LCAを開始する。
この場合、運転支援ECU10は、メータECU30に対して、LCA受付表示指令を送信する。メータECU30は、LCA受付表示指令を受信すると、表示器31に、LCAの要求が受け付けられたこと、つまり、LCAが開始されることを表すメッセージあるいはアイコンを表示する。
運転支援ECU10は、LCAを開始すると、周辺センサ11およびカメラセンサ12により隣接車線の状況を確認して、自車両を安全に車線変更させることができると判定されるまで待機し、自車両を安全に車線変更させることができると判定した場合に、ステアリング機構に操舵トルクを付与することによって操舵輪を転舵して自車両を隣接車線に移動させる。
また、運転支援ECU10は、LCAの実施中においては、メータECU30に対して、ウインカー操作方向のウインカー32の点滅指令を送信する。ウインカー32は、LCAが起動される前から、ウインカーレバー41の浅押し操作に伴ってステアリングECU40から送信される点滅指令によって点滅するが、ステアリングECU40から送信される点滅指令が停止されても、LCAの完了直前まで、運転支援ECU10からの点滅指令によって、そのまま点滅を継続する。
運転支援ECU10は、LCAの実施中は、非スタンバイ通知制御ルーチンを実施しない。そして、LCAが完了すると、再び、非スタンバイ通知制御ルーチンを所定の演算周期で繰り返す。
以上説明した本実施形態の車線変更支援装置によれば、LCA要求操作が検出されたときに、制御状態が非スタンバイ状態であり、かつ、自車両が作動対象道路上に位置している場合には、ドライバーに対してLCAの要求を受け付けできない旨の報知が行われる(S25)。このため、ドライバーは、このままでは車線変更支援を受けられないことを知ることができる。
それと合わせて、スタンバイ状態へ移行させるための操作方法が表示器31に表示される(S26)。従って、ドライバーは、スタンバイ状態に移行させるための操作方法を知っていなくても、表示器31に表示された操作方法に基づいて、容易にスタンバイ状態に設定することができる。
尚、本実施形態においては、LCAの要求を受け付けできない旨の通知(S25)と、スタンバイ状態に切り替える方法の通知(S26)とを分けて実施しているが、それらを合体して処理してもよい。
<非スタンバイ通知制御ルーチンの変形例>
次に、非スタンバイ通知制御ルーチンの変形例について説明する。図9は、非スタンバイ通知制御ルーチンの変形例を表すフローチャートである。実施形態の非スタンバイ通知制御ルーチン(図8)と共通する処理については、図面に共通のステップ符号を付して説明を省略する。運転支援ECU10は、スタンバイ状態切替制御ルーチン(図7)と並行して、図9に示す非スタンバイ通知制御ルーチンを所定の演算周期で繰り返し実施する。
運転支援ECU10は、ステップS25において、非スタンバイ状態であるためLCAの要求を受け付けできない旨をドライバーに通知すると、続いて、その処理をステップS30に進める。
運転支援ECU10は、ステップS30において、スタンバイ状態に切り替えることをドライバーに提案する。この場合、運転支援ECU10は、ブザー13を鳴動させるとともに、メータECU30に対してスタンバイ移行提案表示指令を送信する。メータECU30は、スタンバイ移行提案表示指令を受信すると、表示器31に、スタンバイ状態へ移行させる提案(スタンバイ状態に移行させるか否かを問うメッセージ)を表示する。例えば、メータECU30は、表示器31に、「スタンバイ状態に入れますか?」というメッセージを表示する。
このように、ドライバーに対してスタンバイ状態への移行要求の有無について回答操作するように案内する表示が、本発明の回答操作案内情報の提供に相当する。また、ステップS25,S30の処理を実施する運転支援ECU10が、本発明の情報提供手段に相当する。
車線変更支援装置が搭載された車両においては、LCAに限らず、表示器31に表示された質問(選択事項)については、設定操作器14の操作によって回答することができる。従って、このステップS30の提案(質問)に対しても、ドライバーは、設定操作器14の操作によって回答することができる。
例えば、設定操作器14によって承諾操作(この例ではプッシュ操作)が行われた場合には、ドライバーの意思によって、非スタンバイ状態からスタンバイ状態に移行させる操作が行われたものと見做すことができる。そこで、運転支援ECU10は、表示器31にスタンバイ状態へ移行させる提案を表示してから所定時間経過するまでの間に設定操作器14によって承諾操作(この例ではプッシュ操作)が行われた場合には、その承諾操作をスタンバイ操作と見做す。
続いて、運転支援ECU10は、ステップS31において、ドライバーが承諾操作を行ったか否かについて判定する。この場合、運転支援ECU10は、表示器31にスタンバイ状態へ移行させる提案を表示してから所定時間経過するまでの間に設定操作器14によって承諾操作が行われたか否かについて判定する。承諾操作が行われた場合(S31:Yes)、運転支援ECU10は、ステップS32において、スタンバイ操作完了フラグFを値「1」に設定して、非スタンバイ通知制御ルーチンを一旦終了する。また、承諾操作が行われなかった場合(S31:No)、運転支援ECU10は、ステップS32の処理をスキップして非スタンバイ通知制御ルーチンを一旦終了する。
運転支援ECU10は、非スタンバイ通知制御ルーチンを所定の演算周期で繰り返し実施する。従って、承諾操作が検出された場合(S31:Yes)には、再度、LCA要求操作が検出されたタイミング(S21:Yes)で、LCAの要求が受け付けられてLCAが開始される(S27)。運転支援ECU10は、LCAの実施中は、非スタンバイ通知制御ルーチンを実施しない。そして、LCAが完了すると、再び、非スタンバイ通知制御ルーチンを所定の演算周期で繰り返す。
以上説明した変形例の非スタンバイ通知制御ルーチンによれば、LCA要求操作が検出されたときに、制御状態が非スタンバイ状態であり、かつ、自車両が作動対象道路上に位置している場合には、ドライバーに対してLCAの要求を受け付けできない旨の報知が行われる(S25)。このため、ドライバーは、このままでは車線変更支援を受けられないことを知ることができる。
それと合わせて、スタンバイ状態への移行要求の有無について回答操作するように案内される(S30)。従って、ドライバーは、設定操作器14を使って、スタンバイ状態への移行要求の有無について回答操作をすることができる。この回答操作が承諾操作である場合(S31:Yes)に、運転支援ECU10は、制御状態を非スタンバイ状態からスタンバイ状態に移行させる(S32)。これにより、ドライバーは、スタンバイ状態に移行させるための操作方法を知っていなくても、表示器31に表示された案内に従って設定操作器14を操作することにより、容易にスタンバイ状態に設定することができる。
尚、この変形例においては、LCAの要求を受け付けできない旨の通知(S25)と、スタンバイ状態への移行要求の有無についての回答操作の案内(S30)とを分けて実施しているが、それらを合体して処理してもよい。
以上、本実施形態および変形例に係る車両の車線変更支援装置について説明したが、本発明は上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態においては、ドライバーへの通知(情報提供)を表示器31を用いて行っているが、音声アナウンス等、他の手法を使って実施することもできる。
また、例えば、LCAの制御方法については、種々知られている他の制御方法を採用することもできる。