JP7065980B2 - 積層体 - Google Patents

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Description


本開示は、積層体に関する。

屋内又は屋外に設置されて長期間にわたって使用される装置、建材等は、様々な環境に曝されるため、徐々に埃、塵、砂利等が堆積したり、風雨時の雨水に濡れたりする等して、予定されている機能及び性能が損なわれる場合がある。

例えば、自動車のヘッドランプ等の車両灯具において、灯室内に高湿度の空気が入り込み、外気や降雨等によってレンズが冷やされ、内面に水分が結露することによって曇りが生じることがある。その結果、車両灯の輝度が低下し、またレンズ面の美観が損なわれることによりユーザーの不快感を引き起こす場合がある。

このようなレンズの曇りを防ぐために、曇りが発生する部位に防曇塗料を塗布する方法が知られている。防曇性材料を塗布して形成される層(防曇層)としては、表面を超親水にすることで水滴を水層に変える親水型と、吸水性材料を使用することで、水滴を吸収する吸水型が知られている。

上記に関連する技術としては、例えば、特許文献1に、第1の孔を有する第1の厚み部、及び第1の孔と異なる第2の孔を有する第2の厚み部を含むナノ孔性コーティングを含む表面が記載されている。

特許文献2は、透明基板上に吸水性層が形成されており、上記吸水性層の上に多孔質無機層が形成されている防曇反射防止光学物品において、上記多孔質無機層が吸水性層側から、吸水性層との密着性を向上させる為の親水性無機物層、上記親水性無機物層との密着性を向上させる無機物層反射防止機能を発現する為の低屈折率の無機物層、表面硬度を高くする為の無機物層、の順に構成されている防曇反射防止光学物品が記載されている。

特許文献3は、基材と、上記基材上の少なくとも一部に設けられた防曇層とを有し、上記防曇層が、シロキサンバインダーと、シリカ粒子と、吸水性有機高分子とを含有し、上記防曇層が上記シリカ粒子の堆積した構造を有し、かつ防曇層表面に上記シリカ粒子による凹凸構造を有し、かつ防曇層内部に空隙を有し、上記防曇層の膜密度が、0.80g/cm以上1.40g/cm以下であり、上記防曇層の膜厚が、1μmを超え10μm以下である積層体が記載されている。

特表2011-524289号公報 特開平11-052104号公報 国際公開第2018/092544号

防曇層が吸水型である場合には、吸水量が良好であるほど防曇性能に優れるところ、従来から優れた吸水性を目的とする吸水型防曇性材料が提供されている。

しかし、上記のような防曇性材料は、車載のヘッドライトカバー内部、リアライトカバー内部等の、人の手に触れられない箇所での適用に留まっている。上記のような防曇性材料をフロントガラス等の人の手が触れられる箇所に適用しようとすると、防曇層の耐擦性が不足する場合があり、防曇層の機能を維持することが困難となることがあるからである。

また、上記特許文献3のようにヒドロキシエチルセルロース(HEC)を用いる場合には、HECとアルコキシシランとの相溶性は低い傾向にあり、これに起因してHECの偏在により透明性が低下する原因となり得る。

HECを用いずに防曇層を構成しようとすると、防曇層の厚みが厚い場合に、アルコキシシランを脱水縮合する際に生じる圧縮力によって防曇層にクラックが生じてしまう可能性が高まることが懸念される。そのため、HECを用いずに防曇層を構成する場合には比較的薄い層しか形成できず、層が薄い場合には吸水量が少なくなる傾向があるため、吸水性の低下に起因して防曇性が低下する可能性がある。

特許文献1及び特許文献2に記載の発明は、コーティングの厚みが薄く、良好な吸水性を期待できないため、防曇性に劣る可能性が高い。また、特許文献1及び特許文献2には、耐擦性について記載がない。

特許文献3に記載の発明のように、テトラメトキシシラン(TMOS)オリゴマー等を用いて脱水縮合を促進しすぎると、脱水縮合する際に生じる圧縮力によって防曇層にクラックが生じる可能性がある。そのため、脱水縮合を大きく促進することができず、縮合によるバインダーの結合部位が少なくなるため、耐擦性を低下させる一因となる。

本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、防曇性及び耐擦性に優れる積層体を提供することである。

なお、防曇性とは、積層体の曇りの程度を表す性質を指し、上記曇りには、表面が水滴等で覆われて曇る場合のほか、ヘイズも含む。

上記課題を解決する手段には、以下の態様が含まれる。

<1> 基材と、上記基材上の少なくとも一部に設けられた防曇層と、を有し、上記防曇層が内部に空隙を含み、上記基材から上記防曇層へ向かう方向を基準として、上記基材から近い側半分の上記防曇層に含まれる上記空隙の平均空隙径が、上記基材から遠い側半分の上記防曇層に含まれる上記空隙の平均空隙径の20%以下であり、上記防曇層の厚みが1μm以上30μm以下であり、上記防曇層がシリカ粒子を含み、上記防曇層の露出面における法線方向からみた投影面積に占める上記シリカ粒子の面積率が55%~95%である積層体である。

<2> 上記防曇層が無機バインダーを含有し、上記無機バインダーが、分子中にアルコキシシリル基を3つ有する3官能シロキサンの脱水縮合物、又は分子中にアルコキシシリル基を2つ有する2官能のシロキサンの脱水縮合物である<1>に記載の積層体である。

<3>上記防曇層が、吸水性高分子を、上記防曇層の全質量に対して1質量%以下含有する、又は吸水性高分子を含有しない<1>又は<2>に記載の積層体である。

<4>上記防曇層の吸水量が、1.0mg/cm以上26.5mg/cm以下である<1>~<3>のいずれか1つに記載の積層体である。

<5>上記防曇層の露出面の水接触角が、25°以下である<1>~<4>のいずれか1つに記載の積層体である。

<6>上記防曇層は、複数の層からなる<1>~<5>のいずれか1つに記載の積層体である。

<7>上記基材が、ガラス、ポリカーボネート樹脂又はアクリル樹脂を含む<1>~<6>のいずれか1つに記載の積層体である。

<8>上記防曇層が、塗布層である<1>~<7>のいずれか1つに記載の積層体。

<9>上記基材と上記防曇層の間に、接着層を有する<1>~<8>のいずれか1つに記載の積層体である。

本開示の一実施形態によれば、防曇性及び耐擦性に優れる積層体を提供することができる。

以下において、本開示の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。

なお、本開示において、数値範囲を示す「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。

本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。

また、本開示における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。

また、本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。

更に、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。

また、本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により、溶媒THF(テトラヒドロフラン)、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。

本開示において、「溶媒」とは、水、有機溶剤、及び水と有機溶剤との混合溶媒を意味する。

本開示における「固形分」との語は、溶媒を除く成分を意味し、溶媒以外の低分子量成分等の液状成分も、本開示における「固形分」に含まれる。

本開示において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念である。

以下、本開示を詳細に説明する。

≪積層体≫

本開示の積層体は、基材と、上記基材上の少なくとも一部に設けられた防曇層と、を有し、上記防曇層が内部に空隙を含み、上記基材から上記防曇層へ向かう方向を基準として、上記基材から近い側半分の上記防曇層に含まれる上記空隙の平均空隙径が、上記基材から遠い側半分の上記防曇層に含まれる上記空隙の平均空隙径の20%以下であり、上記防曇層の厚みが1μm以上30μm以下であり、上記防曇層がシリカ粒子を含み、上記防曇層の露出面における法線方向からみた投影面積に占める上記シリカ粒子の面積率が55%~95%である。

特許文献3に記載の発明のように、シリカ粒子、バインダーとしてTMOS(テトラメトキシシラン)オリゴマー及びHEC(ヒドロキシエチルセルロース)を含む2~3μmの積層体が知られており、吸水性が良好で防曇性に優れるとされている。また、層表面の親水性が良好なため、防曇層への吸水量が飽和して表面に水があふれても、防曇層表面に良好な水膜を形成して防曇効果を発現することができる。

上記の技術は例えば、車のヘッドライト又はリアライトカバーの内部等の人の手に触れない部分には適用できるものの、例えば車のフロント、サイド又はリアのガラス等の人の手に触れる部分に適用するには、耐擦性を考慮する必要がある。

また、特許文献3のようにヒドロキシエチルセルロース(HEC)を用いる場合には、HECとアルコキシシランとの相溶性は低い傾向にあり、これに起因してHECの偏在により透明性が低下する原因となり得る。

HECを用いずに防曇層を構成しようとすると、防曇層の厚みが厚い場合に、アルコキシシランを脱水縮合する際に生じる圧縮力によって防曇層にクラックが生じてしまう可能性が高まることが懸念される。そのため、HECを用いずに防曇層を構成する場合には比較的薄い層しか形成できず、層が薄い場合には吸水量が少なくなる傾向があるため、吸水性の低下に起因して防曇性が低下する可能性がある。

これに対し、本開示では、防曇層の表面に存在するシリカ粒子の面積率を高めることで、層表面の親水性を向上させることができ、かつ、耐擦性を良好にすることができる。また、基材から近い側半分の防曇層に含まれる空隙の平均空隙径が、基材から遠い側半分の防曇層に含まれる空隙の平均空隙径の20%以下である構造とすることで、積層体の表面から基材へ向かう方向(厚み方向)に、防曇層に含まれる空隙径が小さくなるように防曇層中に空隙径の勾配を設け、層中に毛管力を生じさせるので、吸水性を向上させることができる。結果として、防曇性能を高めることができる。

<防曇層>

本開示における防曇層は、内部に空隙を含み、上記基材から上記防曇層へ向かう方向(厚み方向)を基準として、上記基材から近い側半分の上記防曇層に含まれる上記空隙の平均空隙径が、上記基材から遠い側半分の上記防曇層に含まれる上記空隙の平均空隙径の20%以下であり、上記防曇層の厚みが1μm以上30μm以下であり、上記防曇層がシリカ粒子を含み、上記防曇層の露出面における法線方向からみた投影面積に占める上記シリカ粒子の面積率が55%~95%である。

防曇層は、1層からなる層であってもよく、複数の層からなる層であってもよい。

防曇層は少なくとも一部が露出した露出面を有することが好ましい。ここで露出とは積層体において基材や他の層に覆われていないことを意味する。

(シリカ粒子の面積率)

上記防曇層は、シリカ粒子の堆積した構造とすることができ、また、表面にシリカ粒子による凹凸構造を有している。本開示において、防曇層の露出面における法線方向からみた投影面積に占めるシリカ粒子の面積率が55%~95%である。

上記面積率が55%以上であることで、層表面の親水性を向上させることができ、かつ、耐擦性を良好にすることができる。

上記面積率が95%以下であることで、防曇層内部への吸水性を良好にすることができる。また、上記面積率が95%以下であることで、ヘイズを良好にすることができる。

上記の観点から、防曇層の露出面における法線方向からみた投影面積に占めるシリカ粒子の面積率は60%~90%であることが好ましく、65%~85%であることがより好ましい。

なお、防曇層の露出面における法線方向からみた投影面積に占めるシリカ粒子の面積率は、走査型電子顕微鏡(例えば、JSM-7500F、日本電子株式会社製)を用いて防曇層の表面の投影画像を観察し、シリカ粒子の露出面の面積の合計を求めることができる。

そして、合計の面積を投影画像の観察領域の面積で除算して百分率を算出することで求めることができる。

面積率を上記範囲とする方法としては、例えば、層の表面に存在するシリカ粒子の粒子径を小さくしてシリカ粒子の面積率を高める方法が挙げられる。

(平均空隙径)

本開示における防曇層は、内部に空隙を含み、基材から上記防曇層へ向かう方向を基準として、上記基材から近い側半分の上記防曇層に含まれる上記空隙の平均空隙径が、上記基材から遠い側半分の上記防曇層に含まれる上記空隙の平均空隙径の20%以下である。

これによって、積層体の表面から基材へ向かう方向に、層に含まれる空隙径を小さくする勾配を形成することで、層中に毛管力を生じさせることができ、吸水性を向上させることができる。結果として、防曇性能を高めることができる。

上記と同様の観点から、上記基材から近い側半分の上記防曇層に含まれる上記空隙の平均空隙径が、上記基材から遠い側半分の上記防曇層に含まれる上記空隙の平均空隙径の15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。

なお、「半分」とは、防曇層の厚み方向を基準として、防曇層の厚みの2分の1の位置から厚み方向に対して垂直な方向に防曇層を切断した場合の切断位置をいう。

本開示において、平均空隙径は、以下の方法により測定することができる。

防曇層表面と直交する方向に任意の1箇所を切断し、切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより、空隙径を測定する。

切断面のSEM画像(倍率50,000倍)において、任意に選択した200個の空隙に対して、それぞれ円相当径を算出し、その平均値を空隙径とする。

基材から上記防曇層へ向かう方向を基準として、上記基材から近い側半分の上記防曇層に含まれる上記空隙の平均空隙径が、上記基材から遠い側半分の上記防曇層に含まれる上記空隙の平均空隙径の20%以下である防曇層を作製する方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。

1層で防曇層を作製する場合には、防曇層の表面から基材に向かう方向に、平均空隙径が漸減するように作製すればよい。例えば、2次粒径(1次粒子の凝集体)に多峰性の粒度分布を有する粒子を用い、粒径による沈降性の違い(粒径が大きいほど沈降により下に沈む効果)を利用し、作製することができる。但し、容易に平均空隙径の勾配を設ける点では、2層以上の防曇層を重ねて作製する方法が好ましい。2層以上を重ねて防曇層を作製する場合には、平均空隙径が異なる層を複数用意して、基材の上に基材から遠い位置から基材に向かって平均空隙径が小さくなるように(基材側から順次平均空隙径が大きくなるように)各層を重ねればよい。

(厚み)

本開示における防曇層の厚みは、1μm以上30μm以下である。これによって、防曇層の吸水性、水垂れ跡抑制性、及び透明性を向上させることができる。

防曇層の吸水性、水垂れ跡抑制性、及び透明性の観点から、1.2μm以上25μm以下であることが好ましく、1.3μm以上20μm以下であることがより好ましく、1.5μm以上4.0μm以下であることが特に好ましい。

厚みが1μm以上であることで、防曇層の空隙の積算量が大きくなり、吸水量が増加するので、防曇層の耐汚染性が向上すると考えられる。厚みが30μm未満であることで、防曇層の膨潤と溶解の量が抑えられ、水垂れ跡発生を抑制できると考えられる。また、透明性にも優れる防曇層とすることができる。

なお、防曇層が複数の層を有する場合、防曇層の厚みは各層の合計の厚みを指す。

防曇層の厚みの測定方法は、以下の通りである。

積層体の防曇層に対する垂直方向断面を透過型電子顕微鏡により観察し、防曇層の厚みを面内のランダムな10点で測定し、その平均値を防曇層の厚みとする。

-シリカ粒子-

防曇層は、シリカ粒子を含む。

シリカ粒子は、防曇層の物理耐性及び親水性の向上に寄与する。すなわち、シリカ粒子は、防曇層において硬いフィラーとして機能し、かつ、粒子表面のヒドロキシ基の作用によって防曇層の親水性を向上し得る。シリカ粒子としては、中実シリカ粒子(中空部分を有しないシリカ粒子)、中空シリカ粒子等が挙げられるが、物理耐性の観点から中実シリカ粒子を用いることが好ましい。

中実シリカ粒子としては、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。

ヒュームドシリカは、ケイ素原子を含む化合物を気相中で酸素及び水素と反応させることによって得ることができる。原料となるケイ素化合物としては、ハロゲン化ケイ素(例えば、塩化ケイ素)等が挙げられる。

コロイダルシリカは、原料化合物を加水分解及び縮合するゾルゲル法により合成することができる。コロイダルシリカの原料化合物としては、アルコキシケイ素(例えば、テトラエトキシシラン)、ハロゲン化シラン化合物(例えば、ジフェニルジクロロシラン)等が挙げられる。

シリカ粒子の形状は、特に限定されず、球状、板状、針状、鎖状、ネックレス状(数珠状)等の形状が挙げられる。ここでいう「球状」には、真球状の他、回転楕円体、卵形等の形状も含まれる。

これらの中でも、吸水性の観点から、球状、鎖状、及び、ネックレス状よりなる群から選ばれた形状であることが好ましく、鎖状、又は、ネックレス状であることがより好ましく、鎖状であることが特に好ましい。

シリカ粒子の大きさは、特に限定されない。例えば、水垂れ跡抑制性、耐汚染性及び基材密着性の観点から、シリカ粒子の平均一次粒子径は、1nm以上100nm以下であることが好ましく、5nm以上50nm以下であることがより好ましく、10nm以上20nm以下であることが特に好ましい。

シリカ粒子の平均一次粒子径は、シリカ粒子の形状が球状又は断面楕円等の略球状である場合には、分散したシリカ粒子を透過型電子顕微鏡により観察し、得られた写真から300個以上のシリカ粒子について投影面積を測定し、投影面積から円相当径を求め、得られた円相当径をシリカ粒子の平均一次粒子径とする。シリカ粒子の形状が球状又は略球状ではない場合には、その他の方法、例えば、動的光散乱法を用いて、シリカ粒子の平均一次粒子径を求める。

シリカ粒子としては、市販品を用いることができる。

シリカ粒子の市販品の例としては、日産化学工業(株)製のスノーテックス(登録商標)シリーズ〔例えば、スノーテックスOXS、スノーテックスO、スノーテックスO-40、スノーテックスOL、スノーテックスPS-SO、スノーテックスOUP〕、エボニック社製のAEROSIL(登録商標)シリーズ、ナルコケミカル社製のNalco(登録商標)シリーズ〔例えば、Nalco(登録商標)8699〕、扶桑化学工業(株)製のクォートロンPLシリーズ(例えば、PL-1)等が挙げられる。

上記防曇層は、シリカ粒子を、1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。上記防曇層がシリカ粒子を2種以上含む場合には、形状、平均一次粒子径等が互いに異なるシリカ粒子を併用してもよい。

上記防曇層におけるシリカ粒子の含有量は、防曇層の全質量に対して、10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、20質量%以上70質量%以下であることがより好ましく、40質量%以上65質量%以下であることが更に好ましい。上記範囲であると、硬度、耐傷性及び耐衝撃性により優れ、かつ、所望の親水性を有する防曇層を形成することができる。

(吸水性高分子)

本開示における防曇層が、吸水性高分子を、防曇層の全質量に対して1質量%以下含有し、又は吸水性高分子を含有しないことが好ましい。吸水性高分子の含有量は、防曇層の全質量に対して0質量%~1質量%が好ましい。

これによって、吸水性高分子(特にヒドロキシエチルセルロース(HEC))を多量に用いる場合の問題点である、吸水性高分子とアルコキシシランとの相溶性が不足していることに起因する吸水性高分子の偏在による透明性の劣化、及び吸水性高分子の溶出に起因する耐溶剤性の低下を回避することができる。

上記の観点から、上記防曇層において吸水性高分子を、防曇層の全質量に対して1質量%以下含有し、又は含有しないことがより好ましく、含有しないことが更に好ましい。

本開示における「吸水性高分子」とは、溶解度パラメータの値(SP値)が19MPa1/2以上である高分子である。

また、上記吸水性高分子のSP値は、防曇性及び耐汚染性の観点から、20MPa1/2以上であることが好ましく、25MPa1/2以上であることがより好ましく、30MPa1/2以上であることが特に好ましい。また、上限値は、40MPa1/2以下であることが好ましい。

本開示におけるSP値は、Hoy法で測定した溶解度パラメータの値を表している。Hoy法は、POLYMER HANDBOOK FOURTH EDITION(Wiley社)に記載されている。

上記吸水性高分子の重量平均分子量は、1,000以上であることが好ましい。また、上記重量平均分子量の上限値は、特に制限はないが、200万以下であることが好ましい。

上記吸水性高分子として具体的には、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。

これらの中でも、防曇性及び耐汚染性の観点から、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリビニルピロリドン、及び、ポリエチレングリコールよりなる群から選ばれた少なくとも1種の有機高分子であることが好ましく、ヒドロキシエチルセルロース、及び、ポリビニルピロリドンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の高分子であることがより好ましい。

上記防曇層が吸水性高分子を含む場合、吸水性高分子を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。

(無機バインダー)

本開示における防曇層は無機バインダーを含有することができる。

これによって、防曇層により良好な耐擦性を付与することができる。

無機バインダーとしては、シロキサンバインダー、アルミナ水和物バインダー、リン酸金属塩バインダー等を挙げることができる。

中でも耐擦性の点からシロキサンバインダーが好ましい。

-シロキサンバインダー-

上記防曇層は、シロキサンバインダーを含有することができる。

シロキサンバインダーは、シロキサンオリゴマーを縮合反応させて得られる化合物の少なくとも1種を含むことが好ましい。

本開示におけるシロキサンオリゴマーとしては、1種のシラン化合物を用いて得られた部分加水分解縮合物、及び2種以上のシラン化合物を用いて得られた部分共加水分解縮合物を用いることができる。以下、これらの化合物を「部分(共)加水分解縮合物」と称することがある。

なお、シラン化合物とは、加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物である。シリル基は加水分解してシラノール基となり、シラノール基は脱水縮合してシロキサン結合が生成する。

この場合、部分(共)加水分解縮合物としては、上記したようなシラン化合物の2量体~100量体、好ましくは2量体~50量体、更に好ましくは2量体~20量体とした化合物が好適に使用でき、2種以上のシラン化合物を原料とする部分(共)加水分解縮合物を使用することも可能である。シラン化合物の2量体とは、シラン化合物2モルに水1モルを作用させてアルコール2モルを脱離させ、ジシロキサン単位とした化合物である。

なお、このような部分(共)加水分解縮合物はシリコーンアルコキシオリゴマーとして市販されている化合物を使用してもよく、また、常法に基づき、加水分解性シラン化合物に対し当量未満の加水分解水を反応させた後に、アルコール、及び塩酸等の副生物を除去することによって製造したものを使用してもよい。シリコーンアルコキシオリゴマーは、例えば、信越化学工業(株)などから市販されている。

本開示において、シロキサンオリゴマーは、分子末端にアルコキシシリル基を有することが好ましい。分子末端にアルコキシシリル基を有するシロキサンオリゴマーとしては、分子中にアルコキシシリル基を4つ有する4官能のシロキサンオリゴマーを始め、3官能または2官能のシロキサンオリゴマーを使用することができる。上記の中でも、耐擦性及び防曇性の点から、3官能または2官能のシロキサンオリゴマーが好ましい。

なお、本開示において、シロキサンオリゴマーの官能数は、アルコキシシリル基の数を指す。

さらに上記の中でも、無機バインダーが、少なくとも分子中にアルコキシシリル基を3つ又は2つ有する、3官能又は2官能のシロキサンの脱水縮合物であることが好ましい。

この理由は、特に、上述のように本開示における防曇層が、吸水性高分子を、防曇層の全質量に対して1質量%以下含有(「吸水性高分子を実質的に含まない」ともいう。)し、又は含有しない場合には、防曇層の厚みが厚い場合に、4官能のアルコキシシランを用いて脱水縮合すると、脱水縮合の際に生じる圧縮力によって防曇層にクラックが生じてしまう可能性が高くなる傾向にある。

そうすると、吸水性高分子を、防曇層の全質量に対して1質量%以下含有し、又は含有しない場合には比較的薄い層しか形成できないため、層が薄い場合には吸水量が少なくなる傾向があり、吸水性の悪化が懸念される。

本発明者は、上記の課題に対し鋭意検討した結果、TMOS(テトラメトキシシラン)等の4官能のアルコキシシランではなく、3官能又は2官能のアルコキシシランを用いて、脱水縮合反応をさらに促進させることで、より良好な耐擦性を実現できると考えた。そして、本発明者は、4官能のアルコキシシランを縮合した場合と比較して、3官能のアルコキシシランを脱水縮合する場合の反応部位は比較的少なく、脱水縮合反応を促進しても防曇層を圧縮する力を比較的抑制することができることを見出した。これによって、例えば吸水性高分子を防曇層の全質量に対して1質量%以下含有し、又は含有しない場合であっても、4官能のアルコキシシランの脱水縮合を促進した場合に生じる圧縮力によるクラックの発生を抑えつつ、層内の空隙を保持しやすくすることができる。結果として吸水性をより高めることができる。

4官能のシロキサンオリゴマーとしては、下記式1で表される化合物を含む市販品を用いることができる。

4官能のシロキサンオリゴマーの市販品の例としては、三菱化学(株)のMKC(登録商標)シリケートMS51〔R、R、R、及びR:メチル基、nの平均:5〕、MKC(登録商標)シリケートMS56〔R、R、R、及びR:メチル基、nの平均:11〕、MKC(登録商標)シリケートMS57〔R、R、R、及びR:メチル基、nの平均:13〕、MKC(登録商標)シリケートMS56S〔R、R、R、及びR:メチル基、nの平均:16〕、MKC(登録商標)メチルシリケート53A〔R、R、R、及びR:メチル基、nの平均:7〕、MKC(登録商標)エチルシリケート40〔R、R、R、及びR:エチル基、nの平均:5〕、MKC(登録商標)エチルシリケート48〔R、R、R、及びR:エチル基、nの平均:10〕、MKC(登録商標)EMS485〔R、R、R、及びR:メチル基及びエチル基が50%ずつ、nの平均:10〕等が挙げられる。

Figure 0007065980000001

3官能のシロキサンオリゴマーの市販品としては、例えば、KBE-403(3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、信越シリコーン(株)製)、KBM-403(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン(株)製)、KBE-503(3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、信越シリコーン(株)製)、KBM-503(3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン(株)製)、KBM-603(N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン(株)製)、KBM-803(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン(株)製)、KBM-903(3-アミノプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン(株)製)、KBE-903(3-アミノプロピルトリエトキシシラン、信越シリコーン(株)製)、KBM-1003(ビニルトリメトキシシラン、信越シリコーン(株)製)、KBE-1003(ビニルトリエトキシシラン、信越シリコーン(株)製)、KBM-1403(p-スチリルトリメトキシシラン、信越シリコーン(株)製)等が挙げられる。

2官能のシロキサンオリゴマーの市販品としては、例えば、KBE-402(3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、信越シリコーン(株)製)、KBM-402(3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、信越シリコーン(株)製)、KBE-502(3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、信越シリコーン(株)製)、KBM-502(3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、信越シリコーン(株)製)、KBM-602(N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、信越シリコーン(株)製)、KBM-802(3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、信越シリコーン(株)製)等が挙げられる。

上記防曇層は、シロキサンオリゴマーの加水分解物の縮合物を、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。

また、シロキサンオリゴマーとして、1種のみ用いてもよいし、2種以上併用してもよい。

上記防曇層における無機バインダーの含有量は、防曇層の全質量に対して、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましい。

また、上記防曇層における無機バインダーの含有量は、防曇層の全質量に対して、80質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが更に好ましい。

上記防曇層における無機バインダーの含有量が、防曇層の全質量に対して、1質量%以上であると、基材との密着性及び耐汚染性に優れる防曇層を形成することができる。また、上記防曇層における無機バインダーの含有量が、防曇層の全質量に対して、1質量%以上80質量%以下であると、表面の水接触角が低く抑えられるため、耐汚染性が良好な防曇層を形成することができる。

-その他の成分-

上記防曇層は、必要に応じて、上記にて説明した成分以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、基材との密着性向上に寄与する密着助剤、帯電防止剤、後述する防曇コート用組成物に用いられる上記以外の成分等が挙げられる。

<<帯電防止剤>>

上記防曇層は、帯電防止剤を含むことが好ましい。

上記防曇層において、帯電防止剤は、防曇層に対して、帯電防止性を付与することにより、汚染物質の付着を抑制し、より耐汚染性を向上する目的で用いられる。

帯電防止剤としては、特に限定されず、帯電防止機能を有する化合物から、適宜選択することができる。界面活性を示す化合物又は界面活性を示さない化合物のいずれであってもよい。帯電防止剤としては、例えば、イオン性の界面活性剤、金属酸化物粒子等が挙げられる。

なお、ここでいう金属酸化物粒子には、既述のシリカ粒子は含まれない。

イオン性の界面活性剤は、例えば、塗布により上記防曇層を形成する場合に、膜面付近に偏析しやすい性質があるため、少量で効果が期待できる。また、金属酸化物粒子は、膜に帯電防止性を与えるために比較的多量を必要とされる場合があるが、無機物であるため、膜の耐傷性を高める点で適している。

イオン性の界面活性剤としては、アルキル硫酸塩〔ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等〕、アルキルベンゼンスルホン酸塩〔ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム等〕、アルキルスルホコハク酸塩〔ジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム等〕、などのアニオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤を挙げられる。

金属酸化物粒子としては、酸化スズ粒子、アンチモンドープ酸化スズ粒子、スズドープ酸化インジウム粒子、酸化亜鉛粒子等が挙げられる。

金属酸化物粒子の形状は、特に限定されず、球状であってもよく、板状であってもよく、針状であってもよい。

金属酸化物粒子は、屈折率が大きく、平均一次粒子径が大きいと、透過光の過度の散乱による損失が発生しやすいため、平均一次粒子径が100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることが更に好ましい。

金属酸化物粒子の平均一次粒子径の測定は、シリカ粒子の平均一次粒子径の測定方法と同様に、金属酸化物粒子を透過型電子顕微鏡により観察し、得られた写真から300個以上の金属酸化物粒子について投影面積を測定し、投影面積から円相当径を求め、得られた円相当径を金属酸化物粒子の平均一次粒子径とする。防曇層中に存在する金属酸化物粒子については、防曇層に対する垂直方向の断面を観察し、平均一次粒子径を算出する。後述する防曇コート組成物中の金属酸化物粒子についてはスライドガラス上に5μLの組成物を滴下し、自然乾燥させた後、ガラス表面を観察し、平均一次粒子径を算出する。

上記防曇層が帯電防止剤を含む場合、帯電防止剤を、1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。

上記防曇層としてイオン性の界面活性剤を含む場合、上記防曇層中のイオン性の界面活性剤の含有量は、防曇コート用組成物の全固形分に対して、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましい。

また、上記防曇層中のイオン性の界面活性剤の含有量は、イオン性の界面活性剤を含むことによる耐汚染性の向上効果の観点から、上記防曇層の全質量に対して、0.01質量%以上であることが好ましい。

なお、上記防曇層中のイオン性の界面活性剤の含有量が、上記防曇層の全質量に対して、0.01質量%以上5質量%以下であると、シリカ粒子の凝集を抑制しつつ、防汚性に優れる防曇層を形成することができる。

上記防曇層が帯電防止剤として金属酸化物粒子を含む場合、上記防曇層中の金属酸化物粒子の含有量は、上記防曇層の全質量に対して、40質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。

また、上記防曇層中の金属酸化物粒子の含有量は、金属酸化物粒子を含むことによる膜の防汚性の向上効果の観点から、上記防曇層の全質量に対して1質量%以上であることが好ましい。

なお、上記防曇層中の金属酸化物粒子の含有量が、上記防曇層の全質量に対して1質量%以上40質量%以下であると、上記防曇層を塗布により形成する場合の成膜性を損なうことなく、上記防曇層に対して効果的に帯電防止性を付与することができる。

(密着助剤)

上記防曇層は、密着助剤を含んでいてもよい。

密着助剤は、防曇層と基材(特に、ポリカーボネート基材又はポリメチルメタクリレート基材)との密着性向上に寄与する。

また、本開示における密着助剤は、上記吸水性有機高分子として機能するものであってもよい。

密着助剤としては、分子内にシロキサン構造を有しない膜形成性成分、例えば、膜形成性の高分子化合物が挙げられ、より具体的には、ウレタン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリリン酸塩、メタリン酸塩等の、末端に極性基(水酸基、カルボキシ基、リン酸基、スルホン酸基、アミノ基等)を有する化合物が挙げられる。

これらの中でも、密着助剤としては、防曇層と基材との密着性がより良好であるという観点から、末端に水酸基、カルボキシ基、及びリン酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物が好ましく、ウレタン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、及びポリリン酸塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、ウレタン系樹脂及び(メタ)アクリル系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂が更に好ましい。

ウレタン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリオール骨格とポリイソシアネート骨格とで形成されるソフトセグメント/ハードセグメント構造を有するポリウレタン等が挙げられる。

ウレタン系樹脂としては、市販品を用いることができる。

ウレタン系樹脂の市販品の例としては、三井化学(株)のタケラック(登録商標)Wシリーズ、WSシリーズ、WDシリーズ、三洋化成工業(株)のパーマリン(登録商標)シリーズ、ユーコート(登録商標)シリーズ、ユープレン(登録商標)シリーズ等が挙げられる。

本開示において、「(メタ)アクリル系樹脂」とは、アクリル酸に由来する構成単位、メタクリル酸に由来する構成単位、アクリル酸エステルに由来する構成単位、及びメタクリル酸エステルに由来する構成単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む重合体をいう。

(メタ)アクリル系樹脂としては、アクリル酸の単独重合体(即ち、ポリアクリル酸)、メタクリル酸の単独重合体(即ち、ポリメタクリル酸)、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、及びメタクリル酸エステル等よりなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体を含む共重合体などが挙げられる。

これらの中でも、(メタ)アクリル系樹脂としては、ポリアクリル酸が好ましい。ポリアクリル酸の重量平均分子量は、25,000以上5,000,000以下であることが好ましく、50,000以上2,000,000以下であることがより好ましく、150,000以上1,000,000以下であることが更に好ましい。

ポリアクリル酸の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定することができる。

ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による測定は、測定装置として、HLC-8120GPC及びSC-8020(いずれも東ソー(株))を用い、カラムとして、TSKgel(登録商標)Super HM-H(6.0mmID×15cm、東ソー(株))を2本用い、溶離液として、THF(テトラヒドロフラン)を用いることにより測定することができる。また、測定条件としては、試料濃度を0.5質量%、流速を0.6mL/min、サンプル注入量を10μL、及び測定温度を40℃とし、示唆屈折計(RI)検出器を用いて行うことができる。

検量線は、東ソー(株)の「標準試料TSK standard,polystyrene」:「A-500」、「F-1」、「F-10」、「F-80」、「F-380」、「A-2500」、「F-4」、「F-40」、「F-128」、及び「F-700」の10サンプルから作製されたものを用いることができる。

ポリリン酸塩としては、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム等が挙げられる。

接着層は、密着助剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。

密着助剤の含有量は、基材と防曇層の密着性の観点から、上記防曇層の全質量に対して、0.001質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上1質量%以下であることがより好ましく、0.05質量%以上0.5質量%以下であることが更に好ましい。

(防曇層の吸水量)

防曇層の吸水量は、1.0mg/cm以上26.5mg/cm以下であることが好ましい。これによって防曇性を良好に保つことができる。

上記の観点から、防曇層の吸水量は、2.0mg/cm以上22.0mg/cm以下であることがより好ましく、3.5mg/cm以上20.0mg/cm以下であることがさらに好ましい。

本開示において吸水量は、例えば、以下の方法により測定できる。

60℃の湯浴を用意し、得られた積層体の防曇層の予め定めた5cm×5cmの領域のみに温浴からの蒸気を当て、蒸気を当てた後、25℃50%RHの環境下で積層体を垂直に立てて、水垂れが生じない上限条件での質量増加量を測定し、蒸気を当てた単位面積当たりの質量増加量を吸水量(mg/cm)とする。

(防曇層の露出面の水接触角)

防曇層の露出面の親水性の点から、防曇層の露出面の水接触角が25°以下であることが好ましい。

同様の観点から、防曇層の露出面の水接触角が20°以下であることがより好ましく、15°以下であることがさらに好ましい。

なお、防曇層の露出面の水接触角は、協和界面化学(株)製DM-501によって、25℃における表面上の水滴の接触角(0.2秒後)として測定される。

(膜密度)

上記防曇層の膜密度は、0.80g/cm以上1.40g/cm以下であることができる。上記防曇層の膜密度は、防曇性、耐汚染性及び水垂れ跡抑制性の観点から、0.80g/cm以上1.40g/cm以下であることが好ましく、0.90g/cm以上1.35g/cm以下であることがより好ましく、1.05g/cm以上1.30g/cm以下であることが特に好ましい。

防曇層の膜密度は、以下の方法により測定する。

100cm分の測定する積層体を用意し、質量を測定する。また、積層体断面の透過型電子顕微鏡(SEM)画像から防曇層の膜厚を測定する。SEMによる測定膜厚は上記積層体において、面内のランダムな10点を平均したものである。次に、防曇層を削り取り、削り取った後の基材の質量を測定する。

防曇層を削り取った後の基材の単位面積当たりの質量をxg/cm、最初に測定した積層体の単位面積当たりの質量をyg/cmとし、SEMから測定された積層体の膜厚をzcmとした場合、防曇層の膜密度は以下の方法で算出される。

防曇層の膜密度[g/cm]=(y-x)[g/cm]/z[cm]

なお、上記防曇層の膜密度は、上記防曇層の嵩密度ともいうことができる。

上記防曇層中において、シリカ粒子の固形質量をB、上記無機バインダーの固形質量をCとした場合、下記関係式(B)を満たすことが好ましい。

0.15≦C/B≦2.00 関係式(B)

上記関係式(B)を満たすことで、好ましい膜密度を有する防曇層が形成される。

また、耐汚染性、水垂れ跡抑制性、及び、基材密着性の観点から、上記防曇層中において、上記シリカ粒子の固形質量をB、上記無機バインダーの固形質量をCとした場合、下記関係式(B1)を満たすことが好ましく、下記関係式(B2)を満たすことがより好ましい。

0.15≦C/B≦1.50 関係式(B1)

0.20≦C/B≦1.30 関係式(B2)

C/Bが0.15以上であることで、防曇層中のシリカ粒子を固定している無機バインダー量が好ましい割合となり、基材密着性が良好となる。また、防曇層の膨潤と溶解による水垂れ跡の発生を抑制できると考えられる。C/Bが2.00以下であることで、防曇層中に空隙が生じ、取り込める水分量が多くなり、防曇性および耐汚染性が向上すると考えられる。

防曇性、耐汚染性、及び、水垂れ跡抑制性の観点から、上記防曇層中において、上記吸水性有機高分子の固形質量をA、上記シリカ粒子の固形質量をBとした場合、下記関係式 (A)を満たすことが好ましく、(A1)を満たすことがより好ましく、下記関係式(A2)を満たすことが更に好ましい。

0.01≦A/B≦0.20 関係式(A)

0.02≦A/B≦0.15 関係式(A1)

0.04≦A/B≦0.10 関係式(A2)

A/Bが0.01以上であることで、防曇層中の吸水性有機高分子の含有割合が大きくなることにより、防曇層中に空隙が生じ、積層体の吸水量が大きくなり、防曇層の耐汚染性が向上すると考えられる。A/Bが0.20以下であることで、防曇層中のシリカ粒子による親水性を維持した上で、防曇層の膨潤、溶解による水垂れ跡発生を抑制できると考えられる。

<基材>

本開示に係る積層体は、基材を有する。

また、本開示に係る積層体は、上記基材上の少なくとも一部に設けられた防曇層を有する。上記防曇層は、基材の一部に設けられていても、全面に設けられていてもよい。また、上記防曇層は、基材に直接接していても、いなくともよいが、本開示に係る積層体は、防曇層の基材密着性に優れるため、基材に直接接していることが好ましい。

基材の材料としては、特に限定されず、ガラス、樹脂(すなわち、プラスチック)、金属、セラミックス等の各種材料から適宜選択して用いることができる。また、基材の材料としては、複数の材料から形成される複合材料を用いることもできる。例えば、基材の材料は、ガラス及び樹脂材料を含み、ガラスと樹脂材料とが混在して複合化した複合材、複数種の樹脂材料が混練又は貼合された樹脂複合材等であってもよい。

また、基材としては、樹脂基材が好適に挙げられる。例えば、自動車のライトの保護材、及び監視カメラの保護材には、樹脂基材が用いられることが多い。

基材の材料が樹脂材料である場合、基材としては、光及び熱に対する耐久性に優れ、かつ、上記防曇層との間で、基材の透明性を維持しつつ、密着性に優れた積層体を形成できるという観点から、アクリル樹脂基材、ポリカーボネート基材又はポリエチレンテレフタレート基材であることが好ましく、密着性により優れた積層体を形成できるという観点から、アクリル樹脂基材、又は、ポリカーボネート基材であることがより好ましく、ポリカーボネート基材又はポリメチルメタクリレート基材が特に好ましい。

密着性に優れる積層体を形成できるという観点から、基材がガラス又は樹脂であることが好ましく、ガラス、ポリカーボネート樹脂又はアクリル樹脂であることがより好ましい。

基材の厚さや形状は、特に限定されず、適用対象に応じて、適宜設定される。

また、基材の表面には、必要に応じ、表面処理が施されていてもよい。表面処理方法としては、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。

<積層体の用途>

本開示に係る積層体は、種々の用途に用いることができる。具体的には、例えば、監視カメラ、照明、センサー灯具等を保護するための保護材(所謂、保護カバー);自動車、二輪車等の車両の車庫の屋根材;道路標識等の標識;高速道路路肩設置用、鉄道用等の防音壁;自動車、二輪車等の車両のボディー;自動車の窓ガラス、ミラー、ライトの保護材(例えば、レンズ)などに対して、防曇性等の機能を付与するために、好適に用いることができる。

これらの中でも、本開示に係る積層体は、自動車のライト(ヘッドライト、テールランプ、ドアミラーウィンカーライト等)の保護材、及び監視カメラの保護材に対して、より好適に用いることができる。

一般に、自動車は、ライトとライトを保護するためのレンズとを含んで構成されるライトユニットを備えている。このライトユニットにおいて使用される、ガラスやプラスチック等の透明基材は、基材を挟んで内面と外面の温湿度の差により、一方の表面が露点以下になった場合、又は、基材に対して急激な温湿度変化が起こった場合(沸騰水蒸気が基材に接触した場合や、低温部から高温多湿の環境に移った場合等)に雰囲気中の水分が水滴として付着し、基材表面は結露する。その結果、結露した水滴により光の散乱が起こる、いわゆる「曇り」が発生することがある。このような「曇り」がヘッドライトやリアライトで生じた場合、外観が著しく損なわれる。このような曇りは、保護カバーを有する監視カメラ(すなわち、ハウジング一体型監視カメラ)の保護カバーでも生じ、この場合は視認性や安全性が著しく損なわれる。本開示に係る積層体は、透明性に優れることから、自動車のライト及び監視カメラの外観、機能及び性能を損なわず、かつ、耐汚染性及び基材密着性に優れることから、優れた防曇性を長期間にわたって保つことができる。

さらに本開示の積層体は、耐擦性が顕著に良好であることから、上記の中でも自動車のフロント、サイド、リア、ルーフ、車載ウインドウ等の人の手に触れる箇所に対しても、好適に用いることができる。

(積層体の製造方法)

本開示に係る積層体の製造方法は、本開示に係る積層体を製造できればよく、特に限定されるものではない。

本開示に係る積層体の製造方法は、後述する防曇コート用組成物を基材上に塗布し、乾燥する方法であることが好ましい。即ち、防曇層が防曇コート用組成物の塗布によって形成された塗布層であることが好ましい。

また、本開示に係る積層体は、例えば、基材上に、防曇コート用組成物を付与することにより防曇層を形成することを含む方法により、好適に製造することができる。

また、防曇層は、1層からなる層であってもよく、複数の層からなる層であってもよい。

基材上に、防曇コート用組成物を付与する方法としては、特に限定されず、好ましくは塗布法である。基材上に、防曇コート用組成物を塗布する塗布法としては、特に限定されず、スプレー塗布、刷毛塗布、ローラー塗布、バー塗布、ディップ塗布(所謂、浸漬塗布)等の公知の塗布法を適用することができる。これらの中でも、塗布法としては、曲面、凹凸等の様々な表面形状を有する立体構造体へ塗布する場合には、スプレー塗布が好ましい。

防曇コート用組成物をスプレー塗布により基材に塗布する場合、基材のセット方法は、特に限定されない。基材の形状に応じて、基材の向きを、塗布方向に対して、水平方向、垂直方向等、適宜変更しながら塗布することができる。塗布膜厚をより均一にするためには、スプレーノズルと基材との距離が等間隔となる位置にスプレーノズルを配置して基材に塗布することが好ましく、また、スプレーノズルと基材との距離を10mm以上1,000mm以下とすることが好ましい。

防曇コート用組成物の塗布装置への供給方式は、圧送型、吸上型、及び重力型のいずれの方式を用いることもできる。

スプレーノズルのノズル口径は、0.1mmφ以上1.8mmφ以下であることが好ましく、エア圧は、0.02MPa以上0.60MPa以下であることが好ましい。このような条件で塗布することで、塗布膜厚をより均一にすることができる。なお、スプレー塗布によって、更に好適な塗布膜を形成するためには、エア量、防曇コート用組成物の噴出量、パターン開き等の調整が必要である。

防曇コート用組成物をスプレー塗布により基材に塗布する場合、エア量は5L(リットル)/分以上600L/分以下であることが好ましく、塗料噴出量は5L/分以上600L/分以下であることが好ましく、パターン開きは40mm以上450mm以下であることが好ましい。

スプレー塗布においては、塗布時の環境も塗布膜の形成に影響する。温度条件としては15℃以上35℃以下であることが好ましく、湿度条件としては80%RH以下であることが好ましい。

清浄度は、特に限定されないが、例えば、塗布環境中の微粒子(即ち、パーティクル)による面状故障を抑制する観点から、クラス10,000以上の清浄度が好ましく、クラス1,000以上の清浄度であることがより好ましい。

防曇コート用組成物の塗布量は、特に限定されず、防曇コート用組成物中の固形分の濃度、所望の膜厚等に応じて、操作性等を考慮し、適宜設定することができる。例えば、防曇コート用組成物の塗布量は、1mL/m以上400mL/m以下であることが好ましく、2mL/m以上100mL/m以下であることがより好ましく、4mL/m以上40mL/m以下であることが更に好ましく、6mL/m以上20mL/m以下であることが特に好ましい。上記範囲であると、塗布精度が良好となる。

本開示では、防曇層を形成する場合、防曇層表面から基材に向かう方向に平均空隙径が減少する勾配を有するように形成する。

上記勾配を有する防曇層は、例えば、以下の方法により作製できる。

1層で防曇層を作製する場合には、防曇層の表面から基材に向かう方向に、平均空隙径が漸減するように作製すればよい。例えば、2次粒径(1次粒子の凝集体)に多峰性の粒度分布を有する粒子を用い、粒径による沈降性の違い(粒径が大きいほど沈降により下に沈む効果)を利用し、作製することができる。但し、容易に平均空隙径の勾配を設ける点では、2層以上の防曇層を重ねて作製する方法が好ましい。2層以上を重ねて防曇層を作製する場合には、平均空隙径が異なる層を複数用意して、基材の上に基材から遠い位置から基材に向かって平均空隙径が小さくなるように(基材側から順次平均空隙径が大きくなるように)各層を重ねればよい。

本開示の積層体の製造方法において、防曇層が複数の層を含む場合には、基材に塗布された防曇コート用組成物により形成された層の上に、さらに上記と同様の方法により防曇コート用組成物を塗布することができる。

これによって、平均空隙径の異なる層を重ねることができ、例えば、上述の基材から上記防曇層へ向かう方向を基準として、上記基材から近い側半分の上記防曇層に含まれる上記空隙の平均空隙径が、上記基材から遠い側半分の上記防曇層に含まれる上記空隙の平均空隙径の20%以下である防曇層を形成することができる。

本開示に係る積層体の製造方法は、基材上に付与した防曇コート用組成物を乾燥することを含むことが好ましい。

防曇コート用組成物の乾燥は、加熱装置を用いて行なってもよい。加熱装置としては、目的の温度に加熱することができれば、特に限定されることなく、公知の加熱装置をいずれも用いることができる。加熱装置としては、オーブン、電気炉等の他、製造ラインに合わせて独自に作製した加熱装置を用いることができる。

なお、本開示に係る積層体の製造方法は、防曇層が複数の層を含む場合には、防曇コート用組成物により各層を形成した後に乾燥してもよく、各層について逐次乾燥してもよい。本開示に係る積層体の製造方法は、各層の密着性の観点から、各層について逐次乾燥することが好ましい。

防曇コート用組成物の乾燥条件は、特に限定されず、塗布膜の硬化性も考慮し、適宜設定することができる。

防曇コート用組成物の乾燥は、所定の設定温度を一定に保った恒温条件にて行ってもよいし、段階的に温度条件を変えて行ってもよい。

前者の場合における防曇コート用組成物の乾燥条件としては、防曇コート用組成物を、表面温度を20℃以上150℃以下にして1分間~60分間加熱する乾燥条件が好ましく、表面温度を40℃以上150℃以下にして1分間~60分間加熱する乾燥条件がより好ましく、表面温度を60℃以上150℃以下にして1分間~60分間加熱する乾燥条件が更に好ましい。

後者の場合における防曇コート用組成物の乾燥は、予備乾燥と本乾燥とに分けて行うことが好ましい。予備乾燥の条件としては、表面温度を20℃以上60℃以下にして5秒間~10分間加熱する条件が好ましい。

なお、表面温度は、赤外線温度計等により測定することができる。

防曇コート用組成物の乾燥を、乾燥風を吹き付けることにより行う場合、乾燥風の風量は、基材に到達した場合の最適温度を考慮して、適宜設定することができる。しかし、乾燥ムラを考慮すると、可能な限り風量を抑えることが好ましく、無風、即ち、基材に直接乾燥風が当たらない条件で乾燥を行うことがより好ましい。

なお、防曇コート用組成物を塗布した基材は、基材の形状に応じて、台座の上に直置き(即ち、平置き)して乾燥してもよいし、立てかけて乾燥してもよいし、吊るして乾燥してもよい。

塗布に使用した後のスプレーガンの部品、塗布装置等の洗浄は、シンナー等の溶剤、水、アルコール、界面活性剤などを使用してもよい。また、スケール等が付着した汚れ、残存した防曇コート用組成物等を効果的に洗浄するためには、酸性又はアルカリ性の水溶液を用いて洗浄することが好ましく、pH3.0以下の水溶液又はpH8.0以上の水溶液を用いて洗浄することがより好ましい。洗浄液の温度は、常温以上が好ましく、50℃以上であることがより好ましい。

防曇コート用組成物の保管容器は、特に限定されず、一斗缶、ローヤル缶等の金属製容器であってもよいし、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂製の容器であってもよい。

防曇コート用組成物の保管温度は、0℃以上50℃以下であることが好ましい。

(防曇コート用組成物)

防曇コート用組成物は、本開示に係る積層体における防曇層を形成することができる組成物であれば特に制限はないが、シリカ粒子と、無機バインダーとを含有することが好ましい。

防曇コート用組成物におけるシリカ粒子及び無機バインダーの好ましい態様は、上述した本開示に係る積層体の防曇層におけるシリカ粒子及び無機バインダーの好ましい態様と、下記以外については同様である。

防曇コート用組成物における無機バインダーの含有量は、防曇コート用組成物の全固形分に対して、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましい。

また、防曇コート用組成物における無機バインダーの含有量は、防曇コート用組成物の全固形分に対して、80質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが更に好ましい。

防曇コート用組成物における無機バインダーの含有量が、防曇コート用組成物の全固形分に対して、1質量%以上であると、基材との密着性及び耐汚染性に優れる防曇層を形成することができる。また、防曇コート用組成物における無機バインダーの含有量が、防曇コート用組成物の全固形分に対して、1質量%以上80質量%以下であると、表面の水接触角が低く抑えられるため、耐汚染性が良好な防曇層を形成することができる。

防曇コート用組成物におけるシリカ粒子の含有量は、防曇コート用組成物の全固形分に対して、10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、20質量%以上70質量%以下であることがより好ましく、40質量%以上65質量%以下であることが更に好ましい。上記範囲であると、硬度、耐傷性及び耐衝撃性により優れ、かつ、所望の親水性を有する防曇層を形成することができる。

<ケトン系溶剤>

防曇コート用組成物は、ケトン系溶剤を含むことが好ましい。

防曇コート用組成物において、ケトン系溶剤は、基材との密着性の向上に寄与する。

ケトン系溶剤としては、特に限定されず、アセトン、ジアセトンアルコール、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等が挙げられる。

ケトン系溶剤は、より透明性に優れる膜を形成することができるという観点から、SP値(溶解度パラメーター)が10.0MPa1/2以上のケトン系溶剤であることが好ましい。なお、ケトン系溶剤のSP値の上限は、特に限定されず、基材への塗布性(例えば、ハジキ等の面状故障が生じ難い性質など)の観点から、13.0MPa1/2以下であることが好ましい。

SP値が10.0MPa1/2以上のケトン系溶剤の具体例を以下に示す。但し、本実施形態は、以下の具体例に限定されない。また、SP値の測定方法は、上述した方法を用いる。下記の具体例の後ろのカッコ内の数値は、SP値(単位:MPa1/2)を示す。

アセトン(10.0)、ジアセトンアルコール(10.2)、アセチルアセトン(10.3)、シクロペンタノン(10.4)。

これらの中でも、ジアセトンアルコール(4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン)を含むことが好ましい。

防曇コート用組成物は、ケトン系溶剤を、1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。

防曇コート用組成物中のケトン系溶剤の含有量は、1質量%以上95質量%以下が好ましく、透明性及び基材密着性の観点から、2質量%以上50質量%以下がより好ましく、3質量%以上10質量%以下が特に好ましい。防曇コート用組成物中のケトン系溶剤の含有量は、使用する基材の種類、防曇コート用組成物中に含まれる素材の溶解性などに応じて、適宜設定することができる。

<水>

防曇コート用組成物は、透明性及び基材密着性の観点から、水を含むことが好ましい。

防曇コート用組成物における水の含有量は、特に限定されず、適宜設定することができる。

透明性及び基材密着性の観点から、防曇コート用組成物に含まれる溶媒の全質量に対して、1質量%以上70質量%以下の量の水を含むことが好ましく、10質量%以上65質量%以下の量の水を含むことがより好ましく、20質量%以上60質量%以下の量の水を含むことが更に好ましい。

<特定溶剤>

防曇コート用組成物は、更に、アルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、及びエーテル系溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶剤(以下、「特定溶剤」ともいう。)を含むことが好ましい。

防曇コート用組成物は、既述のケトン系溶剤に加えて、更に特定溶剤を含むことで、より密着性に優れる膜を形成することができる。

本開示において、「アルコール系溶剤」とは、炭化水素の1つの炭素原子に1つのヒドロキシ基が置換した構造の溶剤をいう。

本開示において、「グリコールエーテル系溶剤」とは、1分子内に1つのヒドロキシ基と少なくとも1つのエーテル基とを有する構造の溶剤をいう。

本開示において、「エーテル系溶剤」とは、1分子内にヒドロキシ基を有さず、かつ、少なくとも1つのエーテル基を有する構造の溶剤をいう。

アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、n-ブタノール、n-プロパノール、2-プロパノール、tert-ブタノール、2-ブタノール、ベンジルアルコール、2-メチル-1-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール等が挙げられる。

グリコールエーテル系溶剤としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、ジエチレングリコールモノへキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ジプロピレングリコールメチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等が挙げられる。

エーテル系溶剤としては、イソプロピルエーテル、1,4-ジオキサン、tert-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,2ジメトキシエタン、ジエチルエーテル等が挙げられる。

防曇コート用組成物が特定溶剤を含む場合、特定溶剤を、1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。

防曇コート用組成物が特定溶剤を含む場合、防曇コート用組成物中の特定溶剤の含有量は、特に限定されるものではない。

防曇コート用組成物中の特定溶剤の含有量は、基材への塗布性(例えば、ハジキ等の面状故障が生じ難い)の観点から、防曇コート用組成物に含まれる溶媒の全質量に対して、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましく、40質量%以上が特に好ましい。

また、防曇コート用組成物中の特定溶剤の含有量は、基材との密着性の観点から、防曇コート用組成物に含まれる溶媒の全質量に対して、75質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、55質量%以下が更に好ましい。

防曇コート用組成物が特定溶剤を含む場合、防曇コート用組成物中における、ケトン系溶剤の含有量に対する特定溶剤の含有量(即ち、アルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、及びエーテル系溶剤の合計含有量)の比率は、基材への塗布性及び基材との密着性の観点から、質量基準で、0.1~51.4であることが好ましい。防曇コート用組成物中における、ケトン系溶剤の含有量に対する特定溶剤の含有量の比率は、使用する基材の種類、防曇コート用組成物中に含まれる素材の溶解性などに応じて、適宜設定することができる。

防曇コート用組成物における溶媒の総含有量は、防曇コート用組成物の経時における安定性を良好に保つ観点で、防曇コート用組成物の全質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。

<その他の成分>

防曇コート用組成物は、必要に応じて、上記にて説明した成分以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、防曇コート用組成物の粘度を調整する粘度調整剤、特定シロキサン化合物の加水分解物の縮合反応を促進する触媒(以下、「縮合促進触媒」ともいう。)、界面活性剤、pH調整剤、上述した防曇層に含んでいてもよいその他の成分(帯電防止剤など)等が挙げられる。

-粘度調整剤-

防曇コート用組成物は、粘度調整剤を更に含んでいてもよい。

防曇コート用組成物が粘度調整剤を含むと、防曇コート用組成物の粘度が高まり、塗布の際に液垂れが生じ難くなり、塗装適性が向上する。

また、本開示における粘度調整剤は、上記吸水性有機高分子として機能するものであってもよい。

粘度調整剤としては、特に限定されず、公知の増粘剤、粘度の高い溶剤等が挙げられる。粘度調整剤は、防曇コート用組成物を基材に付与する方法に応じて、適宜選択することができる。

増粘剤としては、特に限定されず、防曇コート用組成物に含まれる溶媒の種類に応じて、適宜選択することが好ましい。増粘剤としては、比較的少量の使用で増粘効果が得られるという観点から、重量平均分子量が3,000以上10,000,000以下の増粘剤が好ましい。

なお、ここでいう増粘剤には、既述のウレタン系樹脂及び(メタ)アクリル系樹脂は含まれない。

増粘剤の重量平均分子量は、既述のポリアクリル酸の重量平均分子量と同様の方法により測定することができる。

増粘剤としては、具体的には、(株)成和化成製のSEPIGEL 305、ビックケミー社製のDISPERBYK(登録商標)410、411、415、420、425、428、430、431、7410ET、7411ES、7420ES、大阪有機化学工業(株)製のコスカットGA468、無機系材料〔ケイ酸塩(水溶性ケイ酸アルカリ)、モンモリロナイト、有機モンモリロナイト、コロイド状アルミナ等〕、繊維素誘導体系材料(カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、タンパク質系材料(カゼイン、カゼイン酸ソーダ、カゼイン酸アンモニウム等)、アルギン酸系材料(アルギン酸ソーダ等)、ポリビニル系材料(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルベンジルエーテル共重合物等)、ポリエーテル系材料(プルロニックポリエーテル、ポリエーテルジアルキルエステル、ポリエーテルジアルキルエーテル、ポリエーテルウレタン変性物、ポリエーテルエポキシ変性物等)、無水マレイン酸共重合体系材料(ビニルエーテル-無水マレイン酸共重合物の部分エステル、乾性油脂肪酸アリルアルコールエステル-無水マレイン酸のハーフエステル等)などが挙げられる。また、増粘剤としては、上記以外にも、ポリアマイドワックス塩、アセチレングリコール、ゼンタンガム、分子末端若しくは側鎖に極性基を有するオリゴマー又はポリマー等が挙げられる。

防曇コート用組成物が粘度調整剤として増粘剤を更に含む場合、増粘剤を、1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。

防曇コート用組成物が粘度調整剤として増粘剤を含む場合、防曇コート用組成物中の増粘剤の含有量は、防曇コート用組成物の全質量に対して、0.01質量%以上40質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上10質量%以下であることが更に好ましい。

粘度調整剤としては、形成される膜中に粘度調整剤成分が残存しない点において、粘度の高い溶剤が好ましい。

本開示において、「粘度の高い溶剤」とは、例えば、25℃における粘度が30mPa/s以上の溶剤をいう。

なお、本開示における粘度は、東機産業(株)製B型粘度計(型式:TVB-10)を用いて測定した値である。

粘度の高い溶剤としては、例えば、グリコール系溶剤が挙げられる。

本開示において、「グリコール系溶剤」とは、炭化水素の2つ以上の炭素原子にそれぞれ1つずつヒドロキシ基が置換した構造の溶剤をいう。

グルコール系溶剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。

これらの中でも、グルコール系溶剤としては、シリカ粒子の分散性及び塗布した際の乾燥性の観点から、プロピレングリコール及びジプロピレングリコールから選ばれる少なくとも1種が好ましい。

防曇コート用組成物が粘度調整剤としてグリコール系溶剤を更に含む場合、グリコール系溶剤を、1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。

防曇コート用組成物が粘度調整剤としてグリコール系溶剤を含む場合、防曇コート用組成物中のグリコール系溶剤の含有量は、防曇コート用組成物に含まれる溶媒の全質量に対して、40質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。

グリコール系溶剤の含有量が、防曇コート用組成物に含まれる溶媒の全質量に対して40質量%以下であると、塗布の際に防曇コート用組成物の液垂れが生じることを抑制しつつ、密着性に優れる膜を形成することができる。

また、防曇コート用組成物中のグリコール系溶剤の含有量は、グリコール系溶剤を更に含むことによる塗装適性の向上効果の観点から、防曇コート用組成物に含まれる溶媒の全質量に対して、0.1質量%以上であることが好ましい。

防曇コート用組成物が粘度調整剤を更に含む場合、増粘剤と粘度の高い溶剤とを併用して粘度を調整してもよい。防曇コート用組成物の最適な粘度は、基材への塗布方法によって異なるが、例えば、スプレー塗布の場合には、防曇コート用組成物の粘度は、2mPa/s以上200mPa/s以下であることが好ましく、3mPa/s以上100mPa/s以下であることがより好ましく、4mPa/s以上50mPa/s以下であることが更に好ましい。

-縮合触媒-

防曇コート用組成物は、特定シロキサン化合物の加水分解物の縮合反応を促進する触媒(すなわち、縮合触媒)を含むことが好ましい。

防曇コート用組成物は、縮合触媒を含むことで、より耐久性に優れた膜を形成することができる。本開示においては、基材上に防曇コート用組成物を付与した後、付与した防曇コート用組成物を乾燥させて水分を減少させることに伴い、防曇コート用組成物中の特定シロキサン化合物の加水分解物が有するヒドロキシ基の少なくとも一部が互いに縮合して、縮合物を形成することで、安定な膜が形成される。また、防曇コート用組成物は、縮合触媒を含むことで、より速やかに膜を形成することができる。

縮合触媒としては、特に限定されず、酸触媒、アルカリ触媒、有機金属触媒等の触媒が挙げられる。

酸触媒としては、硝酸、塩酸、硫酸、酢酸、リン酸、クロロ酢酸、蟻酸、シュウ酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、ジノニルナフタレンモノスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリリン酸塩、メタリン酸塩等が挙げられる。

これらの中でも、酸触媒としては、リン酸、トルエンスルホン酸、ポリリン酸塩、及びメタリン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。

アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、炭酸水素ナトリウム、尿素等が挙げられる。

これらの中でも、アルカリ触媒としては、重曹及び尿素から選ばれる少なくとも1種が好ましい。

有機金属触媒としては、アルミニウムビス(エチルアセトアセテート)モノ(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート等のアルミニウムキレート化合物;ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)等のジルコニウムキレート化合物;チタニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、チタニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)等のチタンキレート化合物;ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクチエート等の有機スズ化合物、アルミニウムエチレート、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムsec-ブチレート等のアルミニウムアルコキシド;チタン(IV)エトキシド、チタンイソプロポキシド、チタン(IV)n-ブトキシド等のチタンアルコキシド;ジルコニウム(IV)エトキシド、ジルコニウム(IV)n-プロポキシド、ジルコニウム(IV)n-ブトキシド等のジルコニウムアルコキシドなどが挙げられる。

これらの中でも、有機金属触媒としては、アルミニウムキレート化合物、チタンキレート化合物、及びジルコニウムキレート化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。

上記の中でも、縮合触媒としては、得られる防曇層のクラック抑制性の観点から、有機金属触媒がより好ましく、アルミニウムキレート化合物(例えば、アルミキレートD、川研ファインケミカル(株)製、1質量%エタノール希釈溶液)が更に好ましい。

防曇コート用組成物が縮合触媒を含む場合、縮合触媒を、1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。

防曇コート用組成物が縮合触媒を含む場合、防曇コート用組成物中の縮合触媒の含有量は、防曇コート用組成物の全固形分に対して、0.1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、1質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。上記範囲であると、透明性に優れる防曇層をより速やかに形成することができる。

また、防曇コート用組成物中のアルミニウムキレート化合物の含有量は、防曇コート用組成物の全固形分に対して、0.1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、1質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。上記範囲であると、クラック抑制性及び透明性に優れる防曇層をより速やかに形成することができる。

-界面活性剤-

防曇コート用組成物は、界面活性剤を含むことが好ましい。

防曇コート用組成物は、界面活性剤を含むことで、汚染物質の付着防止性、即ち、防汚性に優れる膜を形成することができる。

なお、ここでいう界面活性剤には、既述の帯電防止剤として挙げた、界面活性を示し、かつ、帯電防止機能を有する化合物(すなわち、イオン性の界面活性剤)は含まれない。

防曇コート用組成物では、帯電防止剤が界面活性を示すか示さないかに関わらず、帯電防止剤と界面活性剤とを併用してもよい。

帯電防止剤が界面活性を示さない化合物である場合には、水洗浄性の観点から、防曇コート用組成物は、界面活性剤を含むことが好ましい。帯電防止剤が界面活性を示す化合物である場合には、防汚性をより向上させる観点から、防曇コート用組成物は、帯電防止剤とは別に界面活性剤を含むことが好ましい。

防曇コート用組成物は、界面活性剤を含むことにより、形成される膜の防汚性が高まるのみならず、例えば、膜を塗布により形成する場合の塗布性が高まる。詳細には、防曇コート用組成物が界面活性剤を含むと、防曇コート用組成物の表面張力が低下するため、膜の均一性がより高まる。

-非イオン性界面活性剤-

界面活性剤としては、例えば、非イオン性界面活性剤が挙げられる。

帯電防止剤としてイオン性の界面活性剤を用いる場合、防曇コート用組成物中にイオン性の界面活性剤が過剰に存在すると、系内の電解質量が増えてシリカ粒子の凝集を招きやすいことから、非イオン性界面活性剤を併用することが好ましい。但し、非イオン性界面活性剤は、必ずしもイオン性の界面活性剤と併用する必要はなく、界面活性剤として非イオン性界面活性剤を単独で含んでもよい。

非イオン性界面活性剤としては、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ポリアルキレングリコールモノアルキルエステル、ポリアルキレングリコールモノアルキルエステル・モノアルキルエーテル等が挙げられる。非イオン性界面活性剤の具体的な例としては、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル、ポリエチレングリコールモノステアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノセチルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウリルエステル、ポリエチレングリコールモノステアリルエステル等が挙げられる。

防曇コート用組成物が非イオン性界面活性剤を含む場合、非イオン性界面活性剤としては、親水性及び防汚性により優れる防曇層を形成するという観点から、HLB値(親水親油バランス)が15より大きい非イオン性界面活性剤(以下、「特定非イオン性界面活性剤」ともいう。)が好ましい。

防曇コート用組成物が特定非イオン性界面活性剤を含むと、形成される防曇層の親水性がより向上し、疎水性成分である汚染物質(例えば、シリコーン)の付着防止性が良好となる。

特定非イオン性界面活性剤のHLB値は、15.5以上であることが好ましく、16以上であることがより好ましく、17以上であることが更に好ましく、18以上であることが特に好ましい。

特定非イオン性界面活性剤のHLB値の上限は、特に限定されず、例えば、20以下が好ましい。

界面活性剤のHLB値(Hydrophile-Lipophile Balance)とは、界面活性剤の親水親油バランスのことである。

本開示における界面活性剤のHLB値は、グリフィン法(全訂版 新・界面活性剤入門、p128)により以下の式(I)で定義され、算術により求められる値である。

界面活性剤のHLB値=(親水基部分の分子量/界面活性剤の分子量)×20・・・(I)

特定非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシアルキレンアリールエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、ソルビタン誘導体、ポリオキシアルキレンアリールエーテルのホルマリン縮合物、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルのホルマリン縮合物、ポリエチレングリコール等が挙げられる。

これらの中でも、特定非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが特に好ましい。

特定非イオン性界面活性剤におけるポリオキシアルキレンアルキルエーテルのアルキル基としては、例えば、炭素数が1~36の直鎖型アルキル基又は炭素数が3~36の分岐型のアルキル基が挙げられる。

また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのオキシアルキレン部は、親水性に特に優れる膜を形成することができるという観点から、ポリオキシエチレンであることが好ましい。また、特定非イオン性界面活性剤が有するポリオキシエチレン構造単位数は、6以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、15以上であることが更に好ましく、20以上であることが特に好ましい。また、ポリオキシエチレン構造単位数は、例えば、溶解性の観点から、100以下とすることができる。

特定非イオン性界面活性剤がポリオキシアルキレンアルキルエーテルである場合、下記の式(II)で表される界面活性剤が好ましい。

RO-(C0)m-H・・・(II)

式(II)中、mは、6~100の整数を表す。Rは、炭素数1~36の直鎖型アルキル基又は炭素数3~36の分岐型アルキル基を表す。

特定非イオン性界面活性剤としては、市販品を用いることができる。特定非イオン性界面活性剤の市販品の例としては、日本エマルジョン(株)のEMALEX 715(HLB値:15.6)、EMALEX 720(HLB値:16.5)、EMALEX 730(HLB値:17.5)、EMALEX 750(HLB値:18.4)(いずれも商品名、ポリオキシエチレンラウリルエーテル)、花王(株)のレオドールTW-P120(商品名、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、HLB値:15.6)、三洋化成工業(株)のPEG2000(商品名、HLB値:19.9)等が挙げられる。

防曇コート用組成物が非イオン性界面活性剤を含む場合、非イオン性界面活性剤を、1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。

防曇コート用組成物が非イオン性界面活性剤(好ましくは、特定非イオン性界面活性剤)を含む場合、防曇コート用組成物中の非イオン性界面活性剤の含有量は、防曇コート用組成物の全固形分に対して、0.01質量%以上15質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上10質量%以下であることが更に好ましい。上記範囲であると、形成される防曇層の親水性が良好となり、疎水性成分である汚染物質(例えば、シリコーン)の付着防止性が良好となる。

-イオン性界面活性剤-

界面活性剤としては、例えば、イオン性界面活性剤が挙げられる。

イオン性界面活性剤としては、リン酸基及びカルボキシ基の少なくとも一方を有するイオン性界面活性剤(以下、「特定イオン性界面活性剤」ともいう。)が好ましい。

防曇コート用組成物が特定イオン性界面活性剤を含むと、特定イオン性界面活性剤が有するリン酸基及びカルボキシ基の少なくとも一方の官能基が酸吸着性基として機能し、既述のシリカ粒子の表面に吸着する。この吸着により、シリカ粒子の分散安定性が向上する。また、この吸着により、シリカ粒子の表面への疎水性成分の吸着が抑制されるため、シリカ粒子に起因する良好な親水性が損なわれず、良好な防汚性が保持される。

特定イオン性界面活性剤は、シリカ粒子との吸着性を考慮すると、アニオン性界面活性剤であることが好ましく、疎水性基として、炭素数1~36の炭化水素基、シクロへキシル基、シクロブチル基等の脂肪族環状炭化水素基、及び、スチリル基、ナフチル基、フェニル基、フェニレンエーテル基等の芳香族炭化水素基から選ばれる疎水性基を有し、かつ、酸吸着性基として、リン酸基及びカルボキシ基の少なくとも一方を有する化合物であることがより好ましい。なお、既述の疎水性基は、更に、置換基を有していてもよい。

特定イオン性界面活性剤は、酸吸着基として、リン酸基及びカルボキシ基から選ばれる少なくとも1種の官能基のみを有していることが好ましい。すなわち、特定イオン性界面活性剤は、スルホン酸基、硫酸基等のリン酸基及びカルボキシ基以外の酸吸着基を有していないことが好ましい。

リン酸基を有する特定イオン性界面活性剤としては、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が挙げられる。

カルボキシ基を有する特定イオン性界面活性剤としては、N-アシルアミノ酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、脂肪族カルボン酸塩、脂肪族ジカルボン酸塩、重量平均分子量が25,000未満のポリカルボン酸系共重合体、重量平均分子量が25,000未満のマレイン酸系共重合体等が挙げられる。

特定イオン性界面活性剤の酸価は、シリカ粒子の分散安定性及び疎水性成分の吸着抑制性の観点から、180mgKOH/g以下であることが好ましく、100mgKOH/g以下であることがより好ましい。

特定イオン性界面活性剤の酸価の下限は、特に限定されず、例えば、3mgKOH/gであることが好ましい。

本開示における特定イオン性界面活性剤の酸価は、指示薬の滴定により測定することができる。具体的には、JIS(日本工業規格)K 0070に記載の方法に従い、特定イオン性界面活性剤の固形分1g中の酸成分を中和する水酸化カリウムのmg数を測定して算出することにより求められる値である。

特定イオン性界面活性剤としては、市販品を用いることができる。特定イオン性界面活性剤の市販品の例としては、BYK社製のDISPERBYK(登録商標)-2015(酸吸着性基:カルボキシ基、酸価:10mgKOH/g、固形分:40質量%)、DISPERBYK(登録商標)-180(酸吸着性基:リン酸基、酸価:94mgKOH/g)、エボニック社のTEGO(登録商標)Dispers660C(酸吸着性基:リン酸基、酸価:30mgKOH/g)、BYK(登録商標)-P104(酸吸着性基:カルボキシ基、酸価:180mgKOH/g)等が挙げられる。

防曇コート用組成物がイオン性界面活性剤を含む場合、イオン性界面活性剤を、1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。

防曇コート用組成物がイオン性界面活性剤(好ましくは、特定イオン性界面活性剤)を含む場合、防曇コート用組成物中のイオン性界面活性剤の含有量は、防曇コート用組成物の全固形分に対して、0.05質量%以上50質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上15質量%以下であることが更に好ましい。上記範囲であると、シリカ粒子の凝集防止効果、及び疎水性成分の吸着防止効果がより良好となり、イオン性界面活性剤を含むことによる親水性膜の防汚性向上効果が得やすくなる。

<防曇コート用組成物の調製方法>

防曇コート用組成物は、無機バインダーと、シリカ粒子と、必要に応じて、ケトン系溶剤と、水と、既述の任意成分とを混合することにより調製することが好ましい。

例えば、防曇コート用組成物の調製方法としては、まず、無機バインダーを、水を含む溶媒と混合し、無機バインダーの加水分解物を形成させ、無機バインダーの加水分解物を含む加水分解液を調製することが好ましい。

次いで、得られた加水分解液に、ケトン系溶剤及びシリカ粒子を添加する。この際、所望により、既述の任意成分である特定溶剤、ポリアクリル酸、グリコール系溶剤、界面活性剤、縮合触媒、帯電防止剤等を添加することができる。

無機バインダーとしてシロキサンバインダーを用いる場合、シロキサンバインダーの加水分解反応は、室温(25℃)でも進行するが、反応促進のために、シロキサンバインダーと水とを接触させて混合液を調製した後、得られた混合液を30℃~50℃程度に加温してもよい。加水分解反応の反応時間は長い方がより反応が進行するため好ましい。十分に加水分解反応を進行させるという観点からは、加温状態で1時間~36時間反応させることも好ましい。

また、シロキサンバインダーの加水分解反応を促進する触媒を、シロキサンバインダー及び水を含む混合液中に共存させることで、半日程度でも親水性に必要なシロキサンバインダーの加水分解物を得ることが可能である。

シロキサンバインダーの加水分解反応は可逆反応であるため、シロキサンバインダーの加水分解物を含む混合液から水が除かれると、シロキサンバインダーの加水分解物のヒドロキシ基間における縮合反応が開始し、進行する。したがって、シロキサンバインダー及び水(好ましくは過剰量の水)を含む混合液中で、無機バインダーの加水分解反応を進行させてシロキサンバインダーの加水分解物を得た場合、得られた加水分解物を単離せずに混合液のまま、シリカ粒子等と混合し、防曇コート用組成物を調製することが好ましい。

なお、保存等によって防曇コート用組成物中の水分量が低下すると、シロキサンバインダーの加水分解物の縮合反応が進行することがあるため、防曇コート用組成物には、シロキサンバインダーの加水分解物の縮合反応物が含まれている場合がある。

以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。

<バインダー母液A1の調製>

下記各成分を混合し、混合物を得た。上記混合物を、40℃で7時間以上撹拌した。これにより、3官能シロキサンオリゴマー母液A1を調製した。

エタノール(溶媒):22.90質量部

KBE-403(3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、信越シリコーン(株)製):25.10質量部

アルミキレートD(縮合触媒(アルミニウムキレート化合物)、川研ファインケミカル(株)製、1質量%エタノール希釈溶液):0.27質量部

水(溶媒):48.62重量部

酢酸(富士フイルム和光純薬(株)製、特級):3.09質量部

<バインダー母液A2の調製>

下記各成分を混合し、混合物を得た。上記混合物を、25℃で24時間以上撹拌した。

これにより、4官能シロキサンオリゴマー母液A2を調製した。

エタノール(溶媒):25.24質量部

MKC(登録商標)シリケートMS51(テトラエチルオルソシランオリゴマー、三菱ケミカル(株)製):23.30質量部

水(溶媒):48.54重量部

酢酸(富士フイルム和光純薬(株)製、特級):2.91質量部

<バインダー母液A3の調製>

下記各成分を混合し、混合物を得た。上記混合物を、40℃で12時間以上撹拌した。

これにより、2官能シロキサンオリゴマー母液A3を調製した。

エタノール(溶媒):22.90質量部

KBE-402(3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、信越シリコーン(株)製):25.10質量部

アルミキレートD(縮合触媒(アルミニウムキレート化合物)、川研ファインケミカル(株)製、1質量%エタノール希釈溶液):0.27質量部

水(溶媒):48.62重量部

酢酸(富士フイルム和光純薬(株)製、特級):3.09質量部

<シリカ分散液B1の調製>

下記の各成分を混合することで、シリカ分散液B1を調製した。

エタノール(溶媒):21.93質量部

スノーテックス(登録商標)OXS(平均一次粒子径4-6nmの球状シリカ粒子分散液、日産化学(株)製、10質量%水希釈溶液):20.40質量部

<シリカ分散液B2の調製>

下記の各成分を混合することで、シリカ分散液B2を調製した。

エタノール(溶媒):21.93質量部

スノーテックス(登録商標)O(平均一次粒子径10-15nmの球状シリカ粒子分散液、日産化学(株)製、10質量%水希釈溶液):20.40質量部

<シリカ分散液B3の調製>

下記の各成分を混合することで、シリカ分散液B3を調製した。

エタノール(溶媒):21.93質量部

スノーテックス(登録商標)O-40(平均一次粒子径20-25nmの球状シリカ粒子分散液、日産化学(株)製、10質量%水希釈溶液):20.40質量部

<シリカ分散液B4の調製>

下記の各成分を混合することで、シリカ分散液B4を調製した。

エタノール(溶媒):21.93質量部

スノーテックス(登録商標)OL(平均一次粒子径40-50nmの球状シリカ粒子分散液、日産化学(株)製、10質量%水希釈溶液):20.40質量部

<シリカ分散液B5の調製>

下記の各成分を混合することで、シリカ分散液B5を調製した。

エタノール(溶媒):21.93質量部

スノーテックス(登録商標)OUP(平均一次粒子径40-100nmの鎖状シリカ粒子分散液、日産化学(株)製、10質量%水希釈溶液):20.40質量部

<シリカ分散液B6の調製>

下記の各成分を混合することで、シリカ分散液B6を調製した。

エタノール(溶媒):21.93質量部

スノーテックス(登録商標)PS-SO(平均一次粒子径80-120nmのパールネックレス状シリカ粒子分散液、日産化学(株)製、10質量%水希釈溶液):20.40質量部

<塗布液1の調製>

下記の各成分を混合することで、塗布液1(3官能シラノール、平均一次粒子径4-6nm球状シリカ)を調製した。

バインダー母液A1:40.15質量部

ジアセトンアルコール(溶媒):28.90質量部

アルミキレートD(縮合触媒(アルミニウムキレート化合物)、川研ファインケミカル(株)製、1質量%エタノール希釈溶液):2.22質量部

シリカ分散液B1:195.55質量部

<塗布液2の調製>

下記の各成分を混合することで、塗布液2(3官能シラノール、平均一次粒子径10-15nm球状シリカ)を調製した。

バインダー母液A1:40.15質量部

ジアセトンアルコール(溶媒):28.90質量部

アルミキレートD(縮合触媒(アルミニウムキレート化合物)、川研ファインケミカル(株)製、1質量%エタノール希釈溶液):2.22質量部

シリカ分散液B2:195.55質量部

<塗布液3の調製>

下記の各成分を混合することで、塗布液3(3官能シラノール、平均一次粒子径20-25nm球状シリカ)を調製した。

バインダー母液A1:40.15質量部

ジアセトンアルコール(溶媒):28.90質量部

アルミキレートD(縮合触媒(アルミニウムキレート化合物)、川研ファインケミカル(株)製、1質量%エタノール希釈溶液):2.22質量部

シリカ分散液B3:195.55質量部

<塗布液4の調製>

下記の各成分を混合することで、塗布液4(3官能シラノール、平均一次粒子径40-50nm球状シリカ)を調製した。

バインダー母液A1:40.15質量部

ジアセトンアルコール(溶媒):28.90質量部

アルミキレートD(縮合触媒(アルミニウムキレート化合物)、川研ファインケミカル(株)製、1質量%エタノール希釈溶液):2.22質量部

シリカ分散液B4:195.55質量部

<塗布液5の調製>

下記の各成分を混合することで、塗布液5(3官能シラノール、平均一次粒子径40-100nm鎖状シリカ)を調製した。

バインダー母液A1:40.15質量部

ジアセトンアルコール(溶媒):28.90質量部

アルミキレートD(縮合触媒(アルミニウムキレート化合物)、川研ファインケミカル(株)製、1質量%エタノール希釈溶液):2.22質量部

シリカ分散液B5:195.55質量部

<塗布液6の調製>

下記の各成分を混合することで、塗布液6(3官能/4官能シラノール(20/80;質量比)、平均一次粒子径4-6nm球状シリカ)を調製した。

バインダー母液A2:32.12質量部

バインダー母液A1:8.03質量部

ジアセトンアルコール(溶媒):28.90質量部

アルミキレートD(縮合触媒(アルミニウムキレート化合物)、川研ファインケミカル(株)製、1質量%エタノール希釈溶液):2.22質量部

シリカ分散液B1:195.55質量部

<塗布液7の調製>

下記の各成分を混合することで、塗布液7(3官能/4官能シラノール(20/80;質量比)、平均一次粒子径20-25nm球状シリカ)を調製した。

バインダー母液A2:32.12質量部

バインダー母液A1:8.03質量部

ジアセトンアルコール(溶媒):28.90質量部

アルミキレートD(縮合触媒(アルミニウムキレート化合物)、川研ファインケミカル(株)製、1質量%エタノール希釈溶液):2.22質量部

シリカ分散液B3:195.55質量部

<塗布液8の調製>

下記の各成分を混合することで、塗布液8(3官能/4官能シラノール(20/80;質量比)、平均一次粒子径40-100nm鎖状シリカ)を調製した。

バインダー母液A2:32.12質量部

バインダー母液A1:8.03質量部

ジアセトンアルコール(溶媒):28.90質量部

アルミキレートD(縮合触媒(アルミニウムキレート化合物)、川研ファインケミカル(株)製、1質量%エタノール希釈溶液):2.22質量部

シリカ分散液B5:195.55質量部

<塗布液9の調製>

下記の各成分を混合することで、塗布液9(2官能シラノール、平均一次粒子径4-6nm球状シリカ)を調製した。

バインダー母液A3:40.15質量部

ジアセトンアルコール(溶媒):28.90質量部

アルミキレートD(縮合触媒(アルミニウムキレート化合物)、川研ファインケミカル(株)製、1質量%エタノール希釈溶液):2.22質量部

シリカ分散液B1:195.55質量部

<塗布液10の調製>

下記の各成分を混合することで、塗布液10(3官能シラノール、平均一次粒子径80-120nmパールネックレス状シリカ)を調製した。

バインダー母液A1:40.15質量部

ジアセトンアルコール(溶媒):28.90質量部

アルミキレートD(縮合触媒(アルミニウムキレート化合物)、川研ファインケミカル(株)製、1質量%エタノール希釈溶液):2.22質量部

シリカ分散液B6:195.55質量部

<塗布液11の調製>

下記の各成分を混合することで、塗布液11(3官能シラノール、平均一次粒子径4-6nm球状シリカ)を調製した。

バインダー母液A1:40.15質量部

エチレングリールモノ-t-ブチルエーテル(溶媒):18.00質量部

ジエチレングリコール(溶媒):10.90質量部

アルミキレートD(縮合触媒(アルミニウムキレート化合物)、川研ファインケミカル(株)製、1質量%エタノール希釈溶液):2.22質量部

シリカ分散液B1:195.55質量部

<塗布液12の調製>

下記の各成分を混合することで、塗布液12(3官能シラノール、平均一次粒子径20-25nm球状シリカ)を調製した。

バインダー母液A1:40.15質量部

エチレングリールモノ-t-ブチルエーテル(溶媒):18.00質量部

ジエチレングリコール(溶媒):10.90質量部

アルミキレートD(縮合触媒(アルミニウムキレート化合物)、川研ファインケミカル(株)製、1質量%エタノール希釈溶液):2.22質量部

シリカ分散液B3:195.55質量部

<塗布液13の調製>

下記の各成分を混合することで、塗布液13(4官能シラノール、吸水性高分子、平均一次粒子径40-100nm鎖状シリカ)を調製した。

バインダー母液A2:20.10質量部

ヒドロキシエチルセルロースSP200(吸水性高分子、東京化成工業(株)製、25質量%水/エタノール=1/1希釈液):20.05質量部

ジアセトンアルコール(溶媒):28.90質量部

アルミキレートD(縮合触媒(アルミニウムキレート化合物)、川研ファインケミカル(株)製、1質量%エタノール希釈溶液):2.22質量部

シリカ分散液B2:195.55質量部

<塗布液14の調製>

温度計、攪拌装置、窒素導入管及び冷却管を備えた反応容器に、イソプロパノールを50.00質量部、N,N-ジメチルアクリルアミドを80質量部、メチルメタクリレートを5.00質量部、N-メチロールアクリルアミドを1.50質量部仕込み、窒素ガスを吹き込みながら65℃に加熱し、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイドの炭化水素希釈品(パーロイル(登録商標)355(S)、日本油脂(株)製:0.27gをイソプロパノール30gに溶解させたもの)を1時間かけて滴下した。同時に、メチルメタクリレート15gをイソプロパノール150gに溶解させたものを3時間かけて滴下した。さらに6時間重合を行った後、80℃に昇温し、その温度で1時間重合を行って有機高分子溶液1を得た。

さらに、上記有機高分子溶液1を32.30質量部、イソプロパノールを27.70質量部、メチルエチルケトンを30.00質量部、ソルフィット(登録商標)(3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノ-ル、クラレ(株)製)を10.00質量部加えて固形分を10質量%に調整し、p-トルエンスルホン酸を0.2質量部、BYK(商標登録)302(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ビックケミー・ジャパン(株)製)を0.1質量部混合し、塗布液14(無機バインダー及びシリカ粒子なし、吸水性高分子のみ)を得た。

<塗布液15の調製>

下記の各成分を混合し、塗布液15(4官能シラノール、吸水性高分子、平均一次粒子径10-15nm、球状シリカ)を得た。

テトラエトキシシラン:0.06質量部

水:0.19質量部

エタノール:15.75質量部

スノーテックス(登録商標)IPA-ST(球状シリカ粒子分散液、日産化学(株)製、30質量%水希釈溶液):2.00質量部

<塗布液16の調製>

下記の各成分を混合することで、塗布液16(3官能シラノール、平均一次粒子径10-15nm球状シリカ)を調製した。

バインダー母液A1:160.45質量部

ジアセトンアルコール(溶媒):28.90質量部アルミキレートD(縮合触媒(アルミニウムキレート化合物)、川研ファインケミカル(株)製、1質量%エタノール希釈溶液):2.22質量部

シリカ分散液B2:75.25質量部

<塗布液17の調製>

下記の各成分を混合することで、塗布液17(3官能シラノール、平均一次粒子径40-100nm、鎖状シリカ)を調製した。

バインダー母液A1:4.02質量部

ジアセトンアルコール(溶媒):28.90質量部

アルミキレートD(縮合触媒(アルミニウムキレート化合物)、川研ファインケミカル(株)製、1質量%エタノール希釈溶液):2.22質量部

シリカ分散液B5:231.68質量部

(実施例1~14、及び、比較例1~10)

<積層体の作製>

実施例1~実施例14、及び、比較例1~比較例10において、表1~表3に記載の基材上に表1~表3に記載の塗布液を、スプレーガン(形式:W-101-101G、アネスト岩田(株))を用いて塗布した。塗布後、塗布液を塗布した基材を、25℃にて1分間静置した。静置後、塗布した液を表1~表3に記載の条件で乾燥させて、基材上に、表1~表3に記載の膜厚の防曇層を備える各実施例及び比較例における積層体を作製した。

なお、異なる防曇コート層を重ねて形成する場合には、上記同様に、25℃、1分間整置した後、表1~表3に記載の条件で塗布、乾燥し各実施例及び比較例における積層体を作製した。

[評価]

上記にて調製した塗布液(防曇コート用組成物)及び作製した積層体を用いて、以下の性能評価を行った。結果を表1~表3に示す。

平均空隙径、膜厚、吸水量及び水接触角は既述の方法と同様の方法により測定した。

(呼気防曇性、スチーム防曇性)

40℃の湯浴を準備し、雰囲気温度25℃、相対湿度50%の条件下で、積層体の膜の5cm四方の範囲にのみ、湯浴の水面との距離を5cmに保った状態で湯浴の蒸気を1分間当てた。その後目視により外観を観察することで、スチーム防曇性を評価した。

また、上記40℃の湯浴を呼気に変更した以外は上記と同様の方法で、呼気防曇性を評価した。

下記の評価基準において、「A」及び「B」が実用上許容されるレベルである。

<評価基準>

A:曇りが認められず、積層体を通して観察できる透過像に歪みが全くない。

B:曇りが認められず、積層体を通して観察できる透過像にわずかに歪みがある。

C:曇りが認められず、積層体を通して観察できる透過像に歪みがある。

D:曇りが認められる。

(透明性)

ヘイズメーター(型番:NDH 5000、日本電色工業(株)製)を用いて、積層体のヘイズ(Haze)を測定し、得られた測定値を、透明性を評価する指標とした。基材による差異を除去するため、へイズ値は積層体での測定値から基材のみのヘイズ値を引くことで算出した。測定は、積層体の基材面、すなわち積層体の膜が形成されている面とは反対側の面を光源に向けて測定し、防曇性の指標とした。

本評価試験において、ヘイズの測定値は低いほど、透明性に優れる積層体であることを意味する。また、積層体の透明性が優れるということは、膜の透明性が優れることを意味する。

下記の評価基準において、「A」、「B」、及び「C」が実用上許容されるレベルである。

<評価基準>

A:ヘイズが0.8%未満であった。

B:ヘイズが0.8%以上1.2%未満であった。

C:ヘイズが1.2%以上2.1%未満であった。

D:ヘイズが2.1%以上であった。

(鉛筆硬度)

防曇材料として、各実施例及び比較例において作製した積層体を10cm×10cmの大きさにカットしたサンプルを用意し、上記サンプルの防曇層を有する面をJIS K 5600 5-4(1999)の条件で鉛筆硬度試験を行い、H以上を合格とした。

(耐水擦過性)

各実施例及び比較例において作製した積層体を10cm×10cmの大きさにカットしたサンプルを用意し、上記サンプルの防曇層を有する面を水で湿らせた綿布で擦り、日本電色工業株式会社製の分光ヘイズメーターSH7000にて擦過試験前後のヘイズ値の差分を測定することによって耐擦過性を評価した。値が小さいほど、耐擦過性が良好であることを示す。下記の評価基準のうち、B以上であれば実用上問題がない。

<評価基準>

A:擦過試験前後のヘイズ値の差分は1.0%未満である。

B:僅かに擦った綿布に塗布液が移り、擦過試験前後のヘイズ値の差分は1.0%以上2.0%未満である。

C:大きく擦った綿布に塗布液が移り、擦過試験前後のヘイズ値の差分は2.0%以上5.0%未満である。

D:擦り部の防曇層の剥離が目視で分かり、擦過試験前後のヘイズ値の差分は5.0%以上である。

(耐溶剤擦過性)

水をガソリン(昭和シェル石油株式会社製)に変更した以外は上記の耐水擦過性と同様の方法、及び同様の評価基準で耐溶剤擦過性を評価した。

Figure 0007065980000002

Figure 0007065980000003

Figure 0007065980000004

表1~表3に記載の各基材の詳細を以下に示す。

コモグラス(登録商標):ポリメチルメタクリレート基板(PMMA、商品名:コモグラスCG P、厚さ:1mm、大きさ:10cm×10cm、(株)クラレ製)

カーボグラス(登録商標):ポリカーボネート基板(PC、商品名:カーボグラス(登録商標)C-110、厚さ:0.5mm、大きさ:10cm×10cm、旭硝子(株)製)

OA-10:ガラス基板(無アルカリガラス、商品名:OA-10,厚さ:1mm、大きさ:10cm×10cm、日本電気硝子(株)製)

表1~表3中の処方の欄において、「-」は項目に該当するものがないことを意味する。表3中の比較例3及び比較例4は空隙が発生しないため、B/A比の欄を「-」としている。

表1~表3に示すように、実施例1~実施例14は、防曇性及び耐擦性に優れていた。中でも、無機バインダーが3官能又は2官能のシロキサンの脱水縮合物である実施例1は、無機バインダーとして4官能のシロキサンの脱水縮合物を含む実施例9よりも、耐擦性に優れていた。

基材から近い側半分の防曇層に含まれる空隙の平均空隙径が、基材から遠い側半分の防曇層に含まれる空隙の平均空隙径の20%を超える比較例1及び比較例2は防曇性に劣っていた。また、基材から近い側半分の防曇層に含まれる空隙の平均空隙径が、基材から遠い側半分の防曇層に含まれる空隙の平均空隙径と同様である比較例3及び比較例4も防曇性に劣っていた。また、吸水性高分子を1質量%超含む比較例3及び比較例4は耐溶剤擦過性に劣っていた。

膜厚が30μm超である比較例7は、ヘイズが劣っており、膜厚が1μm未満である比較例8は防曇性に劣っていた。

Claims (8)

  1. 基材と、
    前記基材上の少なくとも一部に設けられた防曇層と、
    を有し、
    前記防曇層が内部に空隙を含み、
    前記基材から前記防曇層へ向かう方向を基準として、前記基材から近い側半分の前記防曇層に含まれる前記空隙の平均空隙径が、前記基材から遠い側半分の前記防曇層に含まれる前記空隙の平均空隙径の20%以下であり、
    前記防曇層の厚みが1μm以上30μm以下であり、
    前記防曇層がシリカ粒子を含み、前記防曇層の露出面における法線方向からみた投影面積に占める前記シリカ粒子の面積率が55%~95%であり、
    前記防曇層が無機バインダーを含有し、
    前記無機バインダーが、分子中にアルコキシシリル基を3つ有する3官能シロキサンの脱水縮合物、又は分子中にアルコキシシリル基を2つ有する2官能のシロキサンの脱水縮合物である積層体。
  2. 前記防曇層が、吸水性高分子を、前記防曇層の全質量に対して1質量%以下含有する、又は吸水性高分子を含有しない請求項に記載の積層体。
  3. 前記防曇層の吸水量が、1.0mg/cm以上26.5mg/cm以下である請求項1又は請求項2に記載の積層体。
  4. 前記防曇層の露出面の水接触角が、25°以下である請求項1~請求項のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記防曇層は、複数の層からなる請求項1~請求項のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記基材が、ガラス、ポリカーボネート樹脂又はアクリル樹脂を含む請求項1~請求項のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 前記防曇層が、塗布層である請求項1~請求項のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 前記シリカ粒子の平均一次粒子径が、1nm~100nmである請求項1~請求項のいずれか1項に記載の積層体。
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