JP7064148B2 - 皮革シートおよび皮革製品 - Google Patents

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Description

本発明は、縫い糸と、縫い糸の一端に結び付けられる第1縫い針と、縫い糸の他端に結び付けられる第2縫い針と、で行う平縫いにより縫製を行うための皮革シートであって、少なくとも2枚の皮革シートを重ね合わせて平縫いを行うための縫い穴が所定の間隔で並ぶ皮革シート、および、そのような皮革シートを縫製することによりなる皮革製品に関するものである。
従来より、手縫いによる皮革製品の制作を手軽に楽しむことができるレザークラフトキットが販売されている。レザークラフトキットとは、例えば、鞄や財布等の皮革製品を作るためのキットであり、所定の型に裁断された皮革シートや口金等がセットとして販売されるものである。そして、レザークラフトキットの購入者は、当該皮革シートを縫製することで、皮革製の鞄や財布を制作することができる。
ここで、皮革シートの縫製は、平縫いにより行われることが一般的である。
平縫いについて、図11~14を用いて説明する。なお、以下において図11~14に示す皮革シート100の図中に表れている面を表面側とし、その反対側の面を裏面側とする。
図11に示すように、皮革シート100は、縫い進める方向(矢印D)に沿って、等間隔に並ぶ縫い穴101A~Gを有する。この縫い穴101A~Gは、菱目打ちにより形成されるものであり、全て同一の形状である。
平縫いは、縫い糸5と、縫い糸5の一端に結び付けられる第1縫い針3と、縫い糸5の他端に結び付けられる第2縫い針4と、により行われる。なお、縫い糸5は、縫い合わせる長さの4~5倍の長さを有する。縫い合わせる長さとは、例えば図11に表される皮革シート100で言うと、皮革シート100の右端部から左端部までの長さである。また、図12~14において、縫い糸5を、第1縫い針3に結び付けられた第1縫い糸51と、第2縫い針4に結び付けられた第2縫い糸52と、で分けて表しているが、図示のために便宜上分けているのであって、実際には1本の糸である。
まず、図12に示すように、縫製を行う皮革シート100Aと皮革シート100Bを、それぞれが有する縫い穴101A~Gの位置が合うように重ね合わせ、図中右端の縫い穴101Aに、第1縫い針3または第2縫い針4を通し、第1縫い糸51と第2縫い糸52の長さを揃える。このとき、皮革シート100Aの表面側に第1縫い針3が、裏面側に第2縫い針4が配置される。
そして、図13に示すように、第2縫い針4を、皮革シート100Aと皮革シート100Bを重ねたものの裏面側から、縫い穴101Bに通す。
次に、図14に示すように、第2縫い針4を通した縫い穴101Bに、更に第1縫い針3を、皮革シート100Aの表面側から通す。このとき、既に縫い穴101Bに通している第2縫い糸52を、第1縫い針3によって傷付けないようにする必要があるため、第1縫い針3を縫い穴101Bに通す前に、第2縫い針4を矢印Fの方向に引っ張るなどして、縫い穴101Bの角に第2縫い糸52を退避させ、縫い穴101Bに、第1縫い針3を通すスペースを確保する。
縫い穴101Bに第1縫い針3を通した後は、皮革シート100Aと皮革シート100Bを重ねたものの裏面側から、第1縫い針3を、縫い穴101Cに通す。その後さらに、第2縫い針4を、皮革シート100Aの表面側から縫い穴101Cに通す、この際には、既に縫い穴101Cに通している第1縫い糸51を、第2縫い針4によって傷付けないようにするため、上記と同様に、第1縫い糸51を縫い穴101Cの角に退避させることで、縫い穴101Cに、第2縫い針4が通るスペースを確保する。
以上のように、一つの縫い穴101A~Gに対して、表面側と裏面側から縫い糸5を通すことを繰り返して縫製を行うのが、平縫いであり、図6に示すように、第1縫い糸51と第2縫い糸52が蛇行するようにして、皮革シート100Aと皮革シート100Bとを縫い合わせる。以上のような平縫いについては、下記の非特許文献1に詳しい。
野谷久仁子著 「いちばんよくわかる はじめての革手縫い」日本ヴォーグ社 2013年
しかしながら、上記従来技術には次のような問題があった。
菱目打ちにより皮革シート100に縫い穴101A~Gを形成すると、皮革シート100の復元力により、縫い穴101A~Gが想定よりも小さくなる可能性がある。すると、縫い穴101A~Gに、第1縫い針3または第2縫い針4の内の一方の縫い針を通した後に、さらに他方の縫い針を同じ縫い穴101A~Gに通す際、既に通している縫い糸5を縫い穴101A~Gの角に退避させて、当該他方の縫い針を通すためのスペースを作ろうとしても、十分にスペースを確保することができず、第1縫い針3または第2縫い針4により、縫い糸5を傷つけるおそれがある。縫い糸5が傷つくと、縫い目強さを低減させるおそれがある点で問題である。
また、縫製に慣れていない人が、上記のスペースの確保を行おうとした場合に、縫い糸5を、縫い穴101A~Gの縫い進める側に退避させたり、縫い穴101A~Gの縫い進める側とは反対側に退避させたりと、縫い穴101A~Gによって、バラバラになるおそれがある。すると、縫い穴101A~G内での第1縫い糸51と第2縫い糸52との重なり具合が、縫い穴101A~Gによってまちまちとなり、縫い糸によって構成されるステッチが見た目に美しく仕上がらず、皮革製品の意匠性を低下させるおそれがある。
本発明は、上記問題点を解決するためのものであり、縫製を行う際に、縫い糸を傷つけるおそれを低減するとともに、ステッチの見た目を美しく仕上がる皮革シートおよび皮革製品を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の皮革シートおよび皮革製品は、次のような構成を有している。
(1)縫い糸と、縫い糸の一端に結び付けられる第1縫い針と、縫い糸の他端に結び付けられる第2縫い針と、で行う平縫いにより縫製を行うための皮革シートであって、少なくとも2枚の皮革シートを重ね合わせて平縫いを行うための縫い穴が所定の間隔で並ぶ皮革シートにおいて、縫い穴は、第1縫い針または第2縫い針を通す針孔部と、針孔部に、第1縫い針または第2縫い針のどちらか一方の縫い針を通した後、さらに他方の縫い針を針孔部に通す際に、針孔部から縫い糸を退避させるためのスリット部と、からなること、を特徴とする。
(2)(1)に記載の皮革シートにおいて、スリット部は、針孔部から、縫い進める側とは反対側へ、縫い穴が並ぶ方向に対して角度をもって延伸していること、を特徴とする。
(3)(1)または(2)に記載の皮革シートにおいて、意匠面を構成する布地が積層されていること、縫い穴は、布地を貫通していること、を特徴とする。
(4)本発明の皮革製品は、(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の皮革シートを縫製することによりなることを特徴とする。
本発明の皮革シートおよび皮革製品は、上記構成を有することにより次のような作用・効果を有する。
(1)に記載の皮革シートによれば、縫製を行う際に、縫い糸を傷つけるおそれを低減するとともに、ステッチの見た目を美しく仕上げることができる。
平縫いを行う際、1つの縫い穴に対して、第1縫い針と第2縫い針を交互に通していく。第1縫い針または第2縫い針のどちらか一方の縫い針を通した後、さらに他方の縫い針を針孔部に通す際、針孔部には、第1縫い針または第2縫い針のどちらか一方の縫い針を通したことにより、既に縫い糸が通っている。しかし、縫い穴は、針孔部から縫い糸を退避させるためのスリット部を有しているため、スリット部に縫い糸を退避させることができる。よって、第1縫い針または第2縫い針のどちらか一方の縫い針を通した後、さらに他方の縫い針を針孔部に通す際にも、当該他方の縫い針により縫い糸を傷付けるおそれが低減され、ひいては縫い目強さが低下するおそれが低減される。
また、皮革製品の縫製に慣れていない人でも、縫い穴にスリット部を設けることで、必ずスリット部に縫い糸を退避させるため、縫い穴の縫い進める側に退避させたり、縫い穴の縫い進める側とは反対側に退避させたりと、縫い穴によって、バラバラになることがない。よって、ステッチが見た目にも美しく仕上がり、皮革製品の意匠性を低下させることを防ぐことが可能である。
(2)に記載の皮革シートによれば、スリット部は、針孔部から、縫い進める側とは反対側へ延伸しているため、縫い進める方向が、見た目にも分かりやすい。
また、スリット部は、縫い穴が並ぶ方向に対して角度をもって延伸しているため、第1縫い針または第2縫い針のどちらか一方の縫い針を通した後、さらに他方の縫い針を針孔部に通す際に、スリット部に退避させた縫い糸が邪魔にならず、平縫いが容易となる。
(3)に記載の皮革シートによれば、意匠面を構成する布地を含めた縫製を、見た目にも美しく仕上げることができる。
従来から、皮革シートの表面に意匠性を持たせるため、皮革シートを縫製する際に、意匠面を構成する布地を皮革シートの表面に貼り付け、当該布地とともに縫製を行う場合がある。しかし、従来の縫い穴では、平縫いを行う際に布地がよれてしまい、外観が悪くなるなど、却って意匠性を損ねるおそれがあった。
そのような中、皮革シートの表面に意匠面を構成する布地を貼り付けたものに、針孔部とスリット部からなる縫い穴を貫通させたものを用いて平縫いを行うと、布地がよれることなく見た目にも美しく縫製が可能であることを、出願人は実験により発見した。
(4)に記載の皮革製品によれば、(1)乃至(3)に記載のいずれか1つに記載の皮革シートを用いて縫製を行うことにより制作されるため、縫製の際に縫い糸が傷付くことに起因する縫い目強さの低下のおそれが低減された皮革製品となる。
また、縫製の際に、必ずスリット部に縫い糸を退避させるため、縫い穴の縫い進める側に退避させたり、縫い穴の縫い進める側とは反対側に退避させたりと、縫い穴によって、バラバラになることがない。よって、ステッチが見た目にも美しい仕上がりの皮革製品となる。
第1の実施形態に係る皮革シートを表す図である。 図1の縫い穴を拡大した図である。 図1に示す皮革シートを用いた平縫いの行い方を説明する図である。 図1に示す皮革シートを用いた平縫いの行い方を説明する図である。 図1に示す皮革シートを用いた平縫いの行い方を説明する図である。 平縫いを行ったときの縫い糸の状態を示す図である。 第2の実施形態に係る皮革シートを表す図である。 第2の実施形態に係る皮革シートを用いて平縫いを行ったときの縫い糸の状態を示す図である。 縫い穴の変形例を示す図である。 皮革製品の参考図である。 従来技術による皮革シートを表す図である。 図11に示す皮革シートを用いた平縫いの行い方を説明する図である。 図11に示す皮革シートを用いた平縫いの行い方を説明する図である。 図11に示す皮革シートを用いた平縫いの行い方を説明する図である。
本発明の皮革シートの第1の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
第1実施形態に係る皮革シート1は、縫製を行うことで、例えば図10に示すような鞄70(皮革製品の一例)とすることができるものである。鞄70の縫製を行った箇所には、後述する縫い糸5によるステッチ71A~Dが形成されている。
皮革シート1は、鞄70をなすために、所定の型に沿って裁断されたものである。また、縫い合わせる箇所には、例えば図1に示すように、縫い穴2A~2Gが設けられており、縫い穴2A~Gは、縫い進める方向(矢印D)に沿って、等間隔にならんでいる。なお、図1に示される、縫い穴2A~2Gは全て同一の形状である。また、縫い穴2A~Gが7つ並んでいるが、数はこれに限定されず、縫い合わせる長さに応じて増減される。
縫い穴2A~2Gは、例えば5mmのピッチで並んでいる(図2参照)。ただし、ピッチ寸法はこれに限定されない。ピッチが狭すぎると、縫い目強さが低下するおそれがあるため、鞄70の使用に問題の無い範囲で、縫い穴2A~2Gのピッチを調整することが可能である。
縫い穴2は、例えば2枚の皮革シート1A,1B(図3~図6参照)を重ね合わせて縫製を行うためのものであり、縫製は、平縫いにより行われる。
図1~5に示すように、縫い穴2A~Gは、平縫いを行う際に、後述する第1縫い針3または第2縫い針4を通す針孔部21と、針孔部21に、第1縫い針3または第2縫い針4のどちらか一方の縫い針を通した後、さらに他方の縫い針を針孔部21に通す際に、縫い糸5を逃がすためのスリット部22と、からなる(平縫いについての詳細は後述する)。
針孔部21は、例えばΦ1の円形状からなる。そして、スリット部22は、0.3mmの太さを有し、針孔部21から、縫い進める側とは反対側へ、縫い穴2A~Gが並ぶ方向に対して21度の角度をもって延伸している。縫い穴2の全長、即ち針孔部21の縫い進める側の端部から、スリット部22の先端までの長さは、2.5mmとなっている。ここで、針孔部21と、スリット部22とが接続している箇所は、等間隔に並ぶ縫い穴2の針孔部21の中心を結ぶ中心線CL上を外れた位置であって、針孔部21の図中下端に位置されている。
また縫い穴2はレーザにより形成される。菱目打ちで縫い穴を開けると、皮革シートの復元力により縫い穴が小さくなるおそれがあるが、レーザにより縫い穴2を形成すれば、縫い穴2の大きさは、皮革シート1の復元力の影響を受けない。
以上のような皮革シート1を用いた平縫いについて、図3~図6を用いて説明する。なお、以下において図3~5に示す皮革シート1の図中に表れている面を表面側とし、その反対側の面を裏面側とする。
平縫いは、縫い糸5と、縫い糸5の一端に結び付けられる第1縫い針3と、縫い糸5の他端に結び付けられる第2縫い針4と、により行われる。なお、縫い糸5は、例えば、ロウ引きされた麻糸であり、縫い合わせる長さの4~5倍の長さを有する。また、図3~図5において、縫い糸5を、第1縫い針3に結び付けられた第1縫い糸51と、第2縫い針4に結び付けられた第2縫い糸52と、で分けて表しているが、図示のために便宜上分けているのであって、実際には1本の糸である。さらにまた、縫い糸5の太さは、針孔部21の径と同程度の太さであるが、図3~図6においては、図示の便宜上、針孔部21の径よりも細く表している。
まず、図3に示すように、縫製を行う皮革シート1Aと皮革シート1Bを、それぞれが有する縫い穴2の位置が合うように重ね合わせ、図中右端の縫い穴2Aに、第1縫い針3または第2縫い針4を通し、第1縫い糸51と第2縫い糸52の長さを揃える。このとき、皮革シート1Aの表面側に第1縫い針3が、裏面側に第2縫い針4が配置される。
そして、図4に示すように、第2縫い針4を、皮革シート1Aの裏面側から、縫い穴2Aに隣接する縫い穴2Bに通し、第2縫い針4が、皮革シート1Aの表面側にくるようにする。
次に、図5に示すように、第2縫い針4を通した縫い穴2Bに、更に第1縫い針3を、皮革シート1Aの表面の側から通す。このとき、既に縫い穴2Bに通している第2縫い糸52を、第1縫い針3によって傷付けないようにする必要があるため、第1縫い針3を縫い穴2Bに通す前に、第2縫い針4を、スリット部22が延伸する方向(矢印F)に引っ張るなどして、第2縫い糸52を、針孔部21Bからスリット部22Bに退避させる。これにより、第1縫い針3を、第2縫い糸52に干渉させることなく、針孔部21Bに通すことが可能となる。なお、縫い糸5の太さは、スリット部22Bの太さよりも太いため、スリット部22Bは、第2縫い糸52を保持することができる。このため、第2縫い針4を矢印Fの方向に引っ張る力を緩めても、第2縫い糸52が針孔部21Bに戻ってしまうことはなく、縫製を行う者は、第1縫い針3を針孔部21Bに通すことに集中することができる。
縫い穴2Bに第1縫い針3を通した後は、皮革シート1Aの裏面側から、第1縫い針3を、縫い穴2Bに隣接する縫い穴2Cに通す。
その後さらに、第2縫い針4を、皮革シート1Aの表面側から縫い穴2Cに通す。これは、第2縫い糸52をスリット部22Bに退避させていた第2縫い糸52を針孔部21Bに戻してから行う。
そして、第2縫い針4を縫い穴2Cに通す際には、既に縫い穴2Cに通している第1縫い糸51を、第2縫い針4によって傷付けないようにするため、上記と同様に、第2縫い針4を縫い穴2Cに通す前に、第1縫い針3を、スリット部22Cが延伸する方向に引っ張るなどして、第1縫い糸51を、針孔部21Cからスリット部22Cに退避させる。これにより、第2縫い針4を、第1縫い糸51に干渉させることなく、針孔部21Cに通すことが可能となる。
以上のように、1つの縫い穴2に対して、皮革シート1の表面側と裏面側から縫い糸5(第1縫い糸51,第2縫い糸52)を通すことを繰り返して縫製を行うのが、平縫いであり、図6に示すように、第1縫い糸51と第2縫い糸52が蛇行するようにして、皮革シート1Aと皮革シート1Bとを縫い合わせる。
平縫いが行われた縫い糸5は、図2に示す中心線CL上にステッチ71A~D(図10参照)を形成する。上述の通り、針孔部21と、スリット部22とが接続している箇所が、等間隔に並ぶ縫い穴2の針孔部21の中心を結ぶ中心線CL上を外れた位置にあるため、平縫いを行う際に縫い糸5をきつく締め付けても、縫い糸5がスリット部22に逃げてしまうことがなく、縫い糸5が針孔部21のみを通った状態でステッチ71A~Dを形成するため、ステッチ71A~Dが見た目にも美しく仕上がる。
また、上記の通り、第1縫い針3または第2縫い針4のどちらか一方の縫い針を通した後、さらに他方の縫い針を針孔部21に通す際にも、当該他方の縫い針により縫い糸5を傷付けるおそれが低減されるため、鞄70の縫い目強さが低下するおそれが低減される。
さらにまた、鞄70の縫製に慣れていない人でも、縫い穴2にスリット部22を設けることで、必ずスリット部22に縫い糸5を退避させるため、縫い穴2の縫い進める側に退避させたり、縫い穴2の縫い進める側とは反対側に退避させたりと、縫い穴2によって、バラバラになることがない。よって、ステッチ71A~Dが見た目にも美しく仕上がる。
また、縫い穴2の形状は、上に説明したものに限られない。
例えば、図9に示す皮革シート50に設けられた縫い穴60A~Gのようにしても良い(縫い穴60A~Gは、全て同一形状である)。縫い穴60A~Gは、縫い穴2と同様に、針孔部601とスリット部602からなるが、スリット部602が、針孔部21の図中上端から、縫い進める側とは反対側へ、縫い穴60A~Gが並ぶ方向に対して21度の角度をもって延伸している点で、第1の実施形態とは異なっている。つまり、縫い穴60A~Gは、図1の縫い穴2を上下反転したような形状である。縫製を行う者が、左利きである場合には、縫製を行う際に右利きの者とは、皮革シートの裏表を逆に作業を行うことが考えられるため、縫い穴2を上下反転させた縫い穴60A~Gが適している。
以上説明したように、本実施形態に係る皮革シート1および皮革製品(鞄70)によれば、
(1)縫い糸5と、縫い糸5の一端に結び付けられる第1縫い針3と、縫い糸5の他端に結び付けられる第2縫い針4と、で行う平縫いにより縫製を行うための皮革シート1であって、少なくとも2枚の皮革シート1A,1Bを重ね合わせて平縫いを行うための縫い穴2が所定の間隔で並ぶ皮革シート1において、縫い穴2は、第1縫い針3または第2縫い針4を通す針孔部21と、針孔部21に、第1縫い針3または第2縫い針4のどちらか一方の縫い針を通した後、さらに他方の縫い針を針孔部21に通す際に、針孔部21から縫い糸5を退避させるためのスリット部22と、からなること、を特徴とするので、縫製を行う際に、縫い糸を傷つけるおそれを低減するとともに、ステッチ71A~Dの見た目を美しく仕上げることができる。
平縫いを行う際、1つの縫い穴2に対して、第1縫い針3と第2縫い針4を交互に通していく。第1縫い針3または第2縫い針4のどちらか一方の縫い針を通した後、さらに他方の縫い針を針孔部21に通す際、針孔部21には、第1縫い針3または第2縫い針4のどちらか一方の縫い針を通したことにより、既に縫い糸5が通っている。しかし、縫い穴2は、針孔部21から縫い糸5を退避させるためのスリット部22を有しているため、スリット部22に縫い糸5を退避させることができる。よって、第1縫い針3または第2縫い針4のどちらか一方の縫い針を通した後、さらに他方の縫い針を針孔部21に通す際にも、当該他方の縫い針により縫い糸5を傷付けるおそれが低減され、ひいては縫い目強さが低下するおそれが低減される。
また、縫製に慣れていない人でも、縫い穴2にスリット部22を設けることで、必ずスリット部22に縫い糸5を退避させるため、縫い穴2の縫い進める側に退避させたり、縫い穴2の縫い進める側とは反対側に退避させたりと、縫い穴2によって、バラバラになることがない。よって、ステッチ71A~Dが見た目にも美しく仕上がり、皮革製品(鞄70)の意匠性を低下させることを防ぐことが可能である。
(2)(1)に記載の皮革シート1において、スリット部22は、針孔部21から、縫い進める側とは反対側へ、縫い穴が並ぶ方向に対して角度をもって延伸していること、を特徴とするので、スリット部22は、針孔部21から、縫い進める側とは反対側へ延伸しているため、縫い進める方向が、見た目にも分かりやすい。
また、スリット部22は、縫い穴2が並ぶ方向に対して角度をもって延伸しているため、第1縫い針3または第2縫い針4のどちらか一方の縫い針を通した後、さらに他方の縫い針を針孔部21に通す際に、スリット部22に退避させた縫い糸5が邪魔にならず、平縫いが容易となる。
(4)皮革製品(鞄70)は、(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の皮革シート1を縫製することによりなることを特徴とするので、縫製の際に縫い糸5が傷付くことに起因する縫い目強さの低下のおそれが低減された皮革製品(鞄70)となる。
また、縫製の際に、必ずスリット部22に縫い糸5を退避させるため、縫い穴2の縫い進める側に退避させたり、縫い穴2の縫い進める側とは反対側に退避させたりと、縫い穴2によって、バラバラになることがない。よって、ステッチ71が見た目にも美しい仕上がりの皮革製品(鞄70)となる。
次に、本発明の皮革シートの第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態に係る皮革シート1は、図7(a)~(c)に示すように、表面に意匠面を構成する帆布6(布地の一例)が貼り付けられた上で、縫い穴2が、皮革シート1と帆布6とを貫通して設けられる。
帆布6は刺繍やプリント等により表面に図柄を有しており、当該帆布6を皮革シート1の表面に貼り付けることで、皮革シート1の表面に意匠性を持たせることができる。そして、帆布6を貼り付けた皮革シート1を用いて縫製を行うことで、鞄や財布等に意匠性を持たせることができる。
しかし、従来の縫い穴では、平縫いを行う際に帆布6がよれてしまい、外観が悪くなるなど、却って意匠性を損ねるおそれがあった。そのような中、皮革シート1の表面に意匠面を構成する帆布6を貼り付けたものに、針孔部21とスリット部22からなる縫い穴2を貫通させたものを用いて平縫いを行うと、帆布6がよれることなく見た目にも美しく縫製が可能であることを、出願人は実験により発見した。
帆布6が貼り付けられた皮革シート1Aと皮革シート1Bを、それぞれが有する縫い穴2の位置が合うように重ね合わせて、縫製を行う。平縫いのしかたは、第1の実施形態に係る皮革シート1を縫い合わせる場合と同様である。図8に示すように、第1縫い糸51と第2縫い糸52が蛇行するようにして、帆布6と皮革シート1Aと皮革シート1Bとを縫い合わせる。
以上説明したように、第2の実施形態に係る皮革シート1によれば、
(3)(1)または(2)に記載の皮革シート1において、意匠面を構成する布地(帆布6)が積層されていること、縫い穴2は、布地(帆布6)を貫通していること、を特徴とするので、意匠面を構成する布地を含めた縫製を、見た目にも美しく仕上げることができる。
従来から、皮革シートの表面に意匠性を持たせるため、皮革シートを縫製する際に、意匠面を構成する布地を皮革シートの表面に貼り付け、当該布地とともに縫製を行う場合がある。しかし、従来の縫い穴では、平縫いを行う際に布地がよれてしまい、外観が悪くなるなど、却って意匠性を損ねるおそれがあった。
そのような中、皮革シート1の表面に意匠面を構成する布地(帆布6)を貼り付けたものに、針孔部21とスリット部22からなる縫い穴2を貫通させたものを用いて平縫いを行うと、布地(帆布6)がよれることなく見た目にも美しく縫製が可能であることを、出願人は実験により発見した。
なお、本実施形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で様々な改良、変形が可能である。
例えば、皮革製品として鞄70を記載しているが、これに限定されるものではなく、財布やキーケース等、様々な皮革製品に変形が可能である。
1 皮革シート
2 縫い穴
3 第1縫い針
4 第2縫い針
5 縫い糸
21 針孔部
22 スリット部

Claims (4)

  1. 縫い糸と、前記縫い糸の一端に結び付けられる第1縫い針と、前記縫い糸の他端に結び付けられる第2縫い針と、で行う平縫いにより縫製を行うための皮革シートであって、少なくとも2枚の前記皮革シートを重ね合わせて前記平縫いを行うための縫い穴が所定の間隔で並ぶ皮革シートにおいて、
    前記縫い穴は、
    前記第1縫い針または前記第2縫い針を通す針孔部と、
    前記針孔部に、前記第1縫い針または前記第2縫い針のどちらか一方の縫い針を通した後、さらに他方の縫い針を前記針孔部に通す際に、前記針孔部から前記縫い糸を退避させるためのスリット部と、
    からなること、
    を特徴とする皮革シート。
  2. 請求項1に記載の皮革シートにおいて、
    前記スリット部は、前記針孔部から、縫い進める側とは反対側へ、前記縫い穴が並ぶ方向に対して角度をもって延伸していること、
    を特徴とする皮革シート。
  3. 請求項1または2に記載の皮革シートにおいて、
    意匠面を構成する布地が積層されていること、
    前記縫い穴は、前記布地を貫通していること、
    を特徴とする皮革シート。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1つに記載の皮革シートを縫製することによりなることを特徴とする皮革製品。
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