JP7056652B2 - 化学強化ガラス - Google Patents

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Description

本発明は化学強化ガラスに関する。
デジタルカメラ、携帯電話または携帯情報端末PDA(Personal Digital Assistants)等のフラットパネルディスプレイ装置において、ディスプレイの保護および美観を高めるために、画像表示部分よりも広い領域となるように薄い板状のカバーガラスをディスプレイの前面に配置することが行われている。ガラスは理論強度が高いものの、傷がつくことで強度が大幅に低下するため、強度が求められるカバーガラスには、イオン交換等によりガラス表面に圧縮応力層を形成した化学強化ガラスが用いられている。
フラットパネルディスプレイ装置に対する軽量化および薄型化の要求に伴い、カバーガラス自身も薄くすることが要求されている。したがってカバーガラスには、その目的を満たすために表面及び端面ともにさらなる強度が求められる。
化学強化ガラスの表面強度を向上するためには、圧縮応力層の深さを深くすることが求められ、従来、低温で長時間化学強化処理することにより圧縮応力層の深さを深くし、表面強度を向上している(例えば、特許文献1)。
また、化学強化ガラスの表層における水素濃度プロファイルを特定の範囲とすること、及び、ガラス表面の性状が特定値以上であることで、化学強化後のガラス表面を研磨あるいはフッ酸を用いたエッチング処理をせずともガラスの面強度が飛躍的に向上することが知られている(特許文献2)。
また、ガラスの強度に関し、ガラス中の水素(水分)の存在によってガラスの強度が低下することが知られている(非特許文献1、2)。
日本国特開2016-084282号公報 日本国特開2015-166312号公報
S.ITO et.al., "Crack Blunting of High-Silica Glass", Journal of the American Ceramic Society, Vol.65, No.8,(1982), 368-371 Won-Taek Han et. al., "Effect of residual water in silica glass on static fatigue", Journal of Non-CrystallineSolids, 127, (1991) 97-104
特許文献1に記載の方法では、400℃以上の高温で短時間化学処理することにより生産性を向上でき、圧縮応力層の深さを深くすることができるが、面強度が低下するという問題がある。また、化学強化処理後に研磨処理することにより、面強度の向上を図っているが、研磨によってガラス表面が傷つき、強度がかえって低下してしまうおそれがある。さらに、研磨によってガラスの反りが増大するおそれがある。
さらに、特許文献2に記載のガラスは、化学強化ガラスの表層における水素濃度プロファイルが特定の範囲であり、かつ、表面粗さが特定値以上であることにより面強度が向上したガラス板を提供するが、リンを含有するガラスにおいては、ガラス組成に含まれるリンが電気的に水との親和性が高いこと、及び、リンの含有量が多いガラスは耐水性が劣り、水により浸食されやすいことから、水素濃度プロファイルに影響を与えるため、文献2に開示される水素濃度プロファイルの範囲では面強度が十分向上していない問題がある。
したがって、本発明は、強度向上に影響を及ぼすリンを含有するガラス組成を有するガラスに対して、高温で長時間の化学強化処理をしても、表層の圧縮応力層深さを十分に備え、十分な面強度を得ることができ、化学強化後に、研磨処理をしなくてもガラスの面強度が低下するのを効果的に抑制する化学強化ガラスを提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、リンを含有する特定のガラス組成を有する化学強化ガラスにおいて、表面粗さ(Ra)を特定値以上とし、化学強化ガラスの表層における圧縮応力層の深さを特定値以上とし、化学強化ガラスの最表面からの特定深さにおける平均水素濃度を特定の範囲とすることで、高温で長時間化学強化処理した後の化学強化ガラス表面を研磨あるいはフッ酸を用いたエッチング処理をせずともガラスの面強度が飛躍的に向上すること、及び、面強度の信頼性が向上することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は以下の通りである。
<1>ガラスの表層にイオン交換法により形成された圧縮応力層を有する化学強化ガラスであって、
表面粗さ(Ra)が0.50nm以上であり、圧縮応力層の深さが55μm以上であり、前記ガラスが、酸化物基準のモル%で表示した組成で、SiOを55.5~76.5%、Alを5~20%、NaOを8~25%、Pを0.1%以上含有するガラスであり、
前記化学強化ガラスの最表面から深さXの領域における水素濃度Y1が、X1=0.10~0.25(μm)において下記関係式(I)を満たし、
前記化学強化ガラスの最表面から深さXの領域における水素濃度Y2が、X2=0.25~0.4(μm)において下記関係式(II)を満たし、
ボールオンリング試験により下記条件で測定した面強度F(N)が、ガラス板の板厚t(mm)に対して、F≧1200×tである化学強化ガラス。
Y1=aX1+b (I)
[式(I)における各記号の意味は下記の通りである。
Y1:水素濃度(HO換算、mol/L)
X1:ガラス最表面からの深さ(μm)
:-1.700~-0.500
:0.100~0.460]
Y2=aX2+b (II)
[式(II)における各記号の意味は下記の通りである。
Y2:水素濃度(HO換算、mol/L)
X2:ガラス最表面からの深さ(μm)
:-0.200~-0.010
:0.050~0.150]
ボールオンリング試験条件:
板厚t(mm)のガラス板を、直径30mm、接触部が曲率半径2.5mmの丸みを持つステンレスリング上に配置し、該ガラス板に直径10mmの鋼球体を接触させた状態で、該球体を静的荷重条件下で該リングの中心に荷重し、ガラスが破壊された際の破壊荷重(単位N)をBOR強度とし、該BOR強度の20回の測定平均値を面強度Fとする。ただし、ガラスの破壊起点が、該球体の荷重点から2mm以上離れている場合は、平均値算出のためのデータより除外する。
<2>前記化学強化ガラスの最表面からの深さX1=0.10~0.25μmの領域における、平均水素濃度cが0.050~0.180mol/Lであり、深さX2=0.2~0.5μmの領域における、平均水素濃度cが0.020~0.080mol/Lである、<1>に記載の化学強化ガラス。
<3>表面に研磨傷を有さない<1>または<2>に記載の化学強化ガラス。
<4>前記ガラスは、アルカリ土類金属RO(ROはMgO+CaO+SrO+BaOである)を1%以上含有する<1>~<3>のいずれか1に記載の化学強化ガラス。
<5>表面圧縮応力が100MPa以上である<1>~<4>のいずれか1に記載の化学強化ガラス。
<6>内部引張応力が72MPa以下である<1>~<5>のいずれか1に記載の化学強化ガラス。
<7>圧縮応力層の深さが55μm以上である<1>~<6>のいずれか1に記載の化学強化ガラス。
本発明の特定のガラス組成を有する化学強化ガラスによれば、圧縮応力層の深さが特定値以上であり、表面粗さ(Ra)が特定値以上であり、且つガラスの表層における水素濃度プロファイルを特定の範囲とすることにより、高温で長時間の化学強化処理をしても、化学強化後のガラス表面を研磨せずともガラスの面強度を大幅に向上させること、及び、面強度の信頼性を向上することができる。
図1(a)~(d)は、本発明に係る化学強化ガラスの製造工程を表す模式図である。 図2は、ボールオンリング試験の方法を説明するための概略図である。 図3Aは実施例1、実施例3、実施例5および比較例1で得られた化学強化ガラスの水素濃度プロファイル、図3Bは実施例1、実施例3、実施例5および比較例1で得られた化学強化ガラスの水素濃度プロファイルを示す。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
ここで、本明細書において“質量%”と“重量%”、“質量ppm”と“重量ppm”とは、それぞれ同義である。また、単に“ppm”と記載した場合は、“重量ppm”のことを示す。
又、本明細書において数値範囲を示す「~」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用され、特段の定めがない限り、以下本明細書において「~」は、同様の意味をもって使用される。
<化学強化ガラス>
本発明に係る化学強化ガラスは、ガラスの表層にイオン交換法により形成された圧縮応力層を有する化学強化ガラスであって、表面粗さ(Ra)が0.50nm以上であり、圧縮応力層の深さが55μm以上であり、前記ガラスが、酸化物基準のモル%で表示した組成で、SiOを55.5~76.5%、Alを5~20%、NaOを8~25%、Pを0.1%以上含有するガラスであり、前記化学強化ガラスの最表面から深さXの領域における水素濃度Y1が、X1=0.10~0.25(μm)において下記関係式(I)を満たし、前記化学強化ガラスの最表面から深さXの領域における水素濃度Y2が、X2=0.25~0.4(μm)において下記関係式(II)を満たし、ボールオンリング試験により下記条件で測定した面強度F(N)が、ガラス板の板厚t(mm)に対して、F≧1200×tであることを特徴とする。
Y1=aX1+b (I)
〔式(I)における各記号の意味は下記の通りである。
Y1:水素濃度(HO換算、mol/L)
X1:ガラス最表面からの深さ(μm)
:-1.700~-0.500
:0.100~0.460〕
Y2=aX2+b (II)
〔式(II)における各記号の意味は下記の通りである。
Y2:水素濃度(HO換算、mol/L)
X2:ガラス最表面からの深さ(μm)
:-0.200~-0.010
:0.050~0.150〕
ボールオンリング試験条件:
板厚t(mm)のガラス板を、直径30mm、接触部が曲率半径2.5mmの丸みを持つステンレスリング上に配置し、該ガラス板に直径10mmの鋼球体を接触させた状態で、該球体を静的荷重条件下で該リングの中心に荷重し、ガラスが破壊された際の破壊荷重(単位N)をBOR強度とし、該BOR強度の20回の測定平均値を面強度Fとする。ただし、ガラスの破壊起点が、該球体の荷重点から2mm以上離れている場合は、平均値算出のためのデータより除外する。
また、本発明の化学強化ガラスは、ガラスの最表面からの深さX1=0.10~0.25μmの領域における、平均水素濃度cが好ましくは0.050~0.180mol/Lであり、深さX2=0.25~0.4μmの領域における、平均水素濃度cが好ましくは0.020~0.080mol/Lである。
〔圧縮応力層の深さ〕
圧縮応力層とは、原料であるガラスを硝酸カリウム等の無機塩と接触させることによって、ガラス表面のNaイオンと溶融塩中のKイオンとがイオン交換されることで形成される高密度層のことである。
圧縮応力層の深さ(以下DOCとも言う)は、EPMA(electron probe micro analyzer)または表面応力計(例えば、折原製作所製FSM-6000)等を用いて測定することができる。
本発明の化学強化ガラスは圧縮応力層の深さ(DOC)が、十分な強度を付与する観点から、55μm以上であり、好ましくは60μm以上であり、より好ましくは65μm以上である。また上限は特に制限されないが、典型的には140μm以下である。
後述する酸処理工程やアルカリ処理工程によって、除去される低密度層の厚さは10nm程度から大きくても実施例のとおり1000nm程度であるため、本発明の化学強化ガラスの圧縮応力層の深さ(DOC)は、化学強化工程において形成された圧縮応力層の深さ(DOC)と、酸処理工程やアルカリ処理工程の後の圧縮応力層の深さ(DOC)は、略同一である。
〔表面粗さ〕
本発明の化学強化ガラスは、さらに、AFM表面観察によって測定される測定範囲1μm×0.5μmにおける表面粗さ(Ra)が0.50nm以上である。好ましくは0.55nm以上であり、より好ましくは0.60nm以上である。また、好ましくは1.50nm以下であり、より好ましくは1.40nm以下であり、さらに好ましくは1.30nm以下である。
表面粗さが前記下限以上であることにより、面強度の高い化学強化ガラスとすることができる。ガラス表面がある程度の表面粗さを有することで、応力集中が抑制され、強度が上がることが推測される。なお、従来の研磨していない化学強化ガラス板の表面粗さは通常0.15nm以上、0.20nm未満である。
〔水素濃度〕
ガラスの強度に関し、ガラス中の水素(水分)の存在によってガラスの強度が低下することは知られているが、本発明者らは、化学強化処理後に強度が低下することがあり、その主原因は雰囲気中の水分がガラスに侵入することにより化学的欠陥が生成するためであることを見出した。また、この現象は化学強化に限らず、ガラスの製造工程において昇温工程を経ることにより発生することも見出されている。
ガラス中の水素濃度が高いと、ガラスのSi-O-Siの結合ネットワークの中に水素がSi-OHの形で入り、Si-O-Siの結合が切れる。ガラス中の水素濃度が高いとSi-O-Siの結合が切れる部分が多くなり、化学的欠陥が生成され易くなり、強度が低下すると考えられる。
上記関係式(I)は、最表面からの深さX1=0.10~0.25μmの領域において成り立つものである。イオン交換により形成される圧縮応力層の厚さは、化学強化の程度によるが、55~140μmの範囲で形成される。そして、ガラスへの水素の侵入深さは、拡散係数、温度および時間に従い、水素の侵入量はこれらに加えて雰囲気中の水分量が影響する。化学強化後の水素濃度は、最表面が最も高く、圧縮応力層が形成されていない深部(バルク)にかけて徐々に低下する。上記関係式(I)はその低下具合を規定したものであるが、最表面(X1=0μm)では、経時変質により水分濃度が変化する可能性があるため、その影響がないと考えられる近表面(X1=0.10~0.25μm)の領域において成り立つものとした。また、本発明の化学強化ガラスはリンを含有する組成を有するため、近表面の水素濃度に特徴を有する。
式(I)において、aは水素濃度の低下具合を規定する傾きである。aの範囲は-1.700~-0.500であり、好ましくは-1.650~-0.500であり、より好ましくは-0.800~-0.500である。
式(I)において、bは最表面(X1=0μm)における水素濃度に相当する。bの範囲は0.100~0.460であり、好ましくは0.140~0.460であり、より好ましくは0.140~0.450である。
さらに、本発明の化学強化ガラスは、上記関係式(II)を満たすものである。上記関係式(II)は、最表面からの深さX2=0.25~0.4μmの領域において成り立つものである。式(II)は近表面を定義したX1よりさらに板厚方向に対して深い範囲での水素濃度の低下具合を規定したものである。
式(II)において、aは水素濃度の低下具合を規定する傾きである。aの範囲は-0.200~-0.010であり、好ましくは-0.150~-0.010であり、より好ましくは-0.130~-0.050である。
式(II)において、bは最表面からの特定深さにおける近表面(X2=0.25μm)における水素濃度に相当する。bの範囲は0.050~0.150であり、好ましくは0.045~0.145であり、より好ましくは0.040~0.140である。
一般的に、ガラスの強度低下は、外部からの機械的な圧力によりガラス表面に存在する微小クラックが伸展することが原因と考えられている。非特許文献2によれば、クラックの先端のガラス構造がSi-OHリッチな状態であるほど、クラックが伸展しやすいと考察されている。クラックの先端が雰囲気中に暴露されていると仮定すれば、クラックの先端のSi-OH量は、ガラス最表面の水素濃度と正の相関を示すと推測される。従って、最表面の水素濃度に相当するbおよびbは上記に示す程度の範囲が好ましい。
図3Aおよび図3Bに示す通り、化学強化工程を経たガラスについては、水素の侵入深さに顕著な違いが認められなかった。水素の侵入深さは化学強化工程条件に依存して変化する可能性が高いが、仮に変化しないとすれば、最表面の水素濃度に相当するbおよびbと水素濃度の低下具合を規定する傾きに相当するaには負の相関が現れる。従って、aおよびaは上記に示す程度の範囲が好ましい。
このように、本発明では、表層の水素濃度に着目し、表層の水素濃度とその低下具合を特定の範囲に規定することで、化学強化ガラスの強度を大幅に向上できることを見出したものである。
〔水素濃度プロファイル測定方法〕
ここで、ガラスの水素濃度プロファイル(HO濃度、mol/L)とは以下の分析条件下で測定したプロファイルである。
ガラス基板の水素濃度プロファイルの測定には二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometory:SIMS)を用いた。SIMSにて定量的な水素濃度プロファイルを得る場合には、水素濃度既知の標準試料が必要である。標準試料の作製方法および水素濃度定量方法を以下に記す。
1)測定対象のガラス基板の一部を切り出す。
2)切り出したガラス基板の表面から50μm以上の領域を研磨あるいはケミカルエッチングによって除去する。除去処理は両面とも行う。すなわち、両面での除去厚みは100μm以上となる。この除去処理済みガラス基板を標準試料とする。
3)標準試料について赤外分光法(Infrared spectroscopy:IR)を実施し、IRスペクトルの3550cm-1付近のピークトップの吸光度高さA3550および4000cm-1の吸光度高さA4000(ベースライン)を求める。
4)標準試料の板厚d(cm)をマイクロメーターなどの板厚測定器を用いて測定する。
5)文献Aを参考に、ガラスのHOの赤外実用吸光係数εpract(L/(mol・cm))を75とし、式1を用いて標準試料の水素濃度(HO換算、mol/L)を求める。
標準試料の水素濃度 = (A3550-A4000)/(εpract・d)・・・式1
文献A)S. Ilievski et al., Glastech. Ber. Glass Sci. Technol., 73 (2000) 39.
測定対象のガラス基板と上記の方法によって得られた水素濃度既知の標準試料を同時にSIMS装置内へ搬送し、順番に測定を行い、および30Siの強度の深さ方向プロファイルを取得する。その後、プロファイルから30Siプロファイルを除して、30Si強度比の深さ方向プロファイルを得る。標準試料の30Si強度比の深さ方向プロファイルより、深さ1μmから2μmまでの領域における平均30Si強度比を算出し、この値と水素濃度との検量線を、原点を通過するように作成する(1水準の標準試料での検量線)。この検量線を用い、測定対象のガラス基板のプロファイルの縦軸の30Si強度比を水素濃度へ変換する。これにより、測定対象のガラス基板の水素濃度プロファイルを得る。なお、SIMSおよびIRの測定条件は以下の通りである。
〔SIMSの測定条件〕
装置:アルバック・ファイ社製 ADEPT1010
一次イオン種:Cs
一次イオンの加速電圧:5kV
一次イオンの電流値:500nA
一次イオンの入射角:試料面の法線に対して60°
一次イオンのラスターサイズ:300×300μm
二次イオンの極性:マイナス
二次イオンの検出領域:60×60μm(一次イオンのラスターサイズの4%)
ESA Input Lens:0
中和銃の使用:有
横軸をスパッタ時間から深さへ変換する方法:分析クレータの深さを触針式表面形状測定器(Veeco社製Dektak150)によって測定し、一次イオンのスパッタレートを求める。このスパッタレートを用いて、横軸をスパッタ時間から深さへ変換する。検出時のField Axis Potential:装置ごとに最適値が変化する可能性がある。バックグラウンドが十分にカットされるように測定者が注意しながら値を設定する。
〔IRの測定条件〕
装置:Thermo Fisher Scientific社製Nic-plan/Nicolet 6700、分解能:8cm-1、積算:64、検出器:TGS検出器
上記分析条件により測定したガラスの水素濃度プロファイル(HO濃度、mol/L)から関係式(I)を導くには、以下の手順による。0.10から0.25μmの深さ領域の水素濃度プロファイルに対して線形近似を行う。得られた近似直線の式を関係式(I)とする。
また、a及びbを制御する手段としては、例えば、化学強化工程における融剤濃度、ナトリウム濃度、温度、時間等を変更することが挙げられる。
また、本発明に係る化学強化ガラスは、近表面(最表面からの深さX=0.10~0.25μm)の領域における、平均水素濃度cが0.050~0.180mol/Lであることが好ましい。平均水素濃度がかかる範囲であることで、高い面強度を有することに加え、面強度の信頼性も向上すると考えられる。なお、平均水素濃度cは前述の水素濃度プロファイルから得ることができる。
上記分析条件により測定したガラスの水素濃度プロファイル(HO濃度、mol/L)から関係式(II)を導くには、以下の手順による。0.25から0.4μmの深さ領域の水素濃度プロファイルに対して線形近似を行う。得られた近似直線の式を関係式(II)とする。
また、a及びbを制御する手段としては、例えば、化学強化工程における融剤濃度、ナトリウム濃度、温度、時間等を変更することが挙げられる。
また、本発明に係る化学強化ガラスは、最表面からの深さX=0.25~0.4μmの領域における、平均水素濃度cが0.020~0.080mol/Lであることが好ましい。平均水素濃度がかかる範囲であることで、高い面強度を有することに加え、面強度の信頼性も向上すると考えられる。なお、平均水素濃度cは前述の水素濃度プロファイルから得ることができる。
本発明の化学強化ガラスの表面圧縮応力値(CS)は、100MPa以上であることが好ましく、より好ましくは200MPa以上であり、さらに好ましくは300MPa以上である。また上限は特に制限されないが、典型的には1200MPa以下である。
圧縮応力値は、EPMA(electron probe micro analyzer)または表面応力計(例えば、折原製作所製FSM-6000)等を用いて測定することができる。圧縮応力値は、日本国特開2016-142600号公報に開示される応力プロファイル算出方法を用いて算出することができる。
本発明の化学強化ガラスは、内部引張応力(CT)が72MPa以下であることが好ましく、より好ましくは62MPa以下であり、さらに好ましくは52MPa以下である。また下限は特に制限されないが、典型的には20MPa以上である。応力分布を測定し、その応力分布を厚みで積分し、CT値を求めた。
本発明の化学強化ガラスは、化学強化工程の前にガラス表面を研磨する研磨工程が行われて製造されてもよい。ここで、本発明における研磨とは、砥粒を用いてガラス表面を削ることにより平滑化することをいう。
(ガラス強度)
本発明の化学強化ガラスの強度は、ボールオンリング試験により評価することができる。
(ボールオンリング試験)
本発明の化学強化ガラスは、ガラス板を直径30mm、接触部が曲率半径2.5mmの丸みを持つステンレスからなるリング上に配置し、該ガラス板に直径10mmの鋼からなる球体を接触させた状態で、該球体を静的荷重条件下で該リングの中心に荷重するボールオンリング(Ball on Ring;BOR)試験により測定したBOR強度F(N)で評価する。
本発明の化学強化ガラスは、F≧1200×tであり、F≧1400×tであることがより好ましい[式中、Fはボールオンリング試験により測定したBOR強度(N)であり、tはガラス基板の板厚(mm)である。]。BOR強度F(N)がかかる範囲であることにより、薄板化した場合にも優れた強度を示す。
図2に、本発明で用いたボールオンリング試験を説明するための概略図を示す。ボールオンリング(Ball on Ring;BOR)試験では、ガラス板1を水平に載置した状態で、SUS304製の加圧治具2(焼入れ鋼、直径10mm、鏡面仕上げ)を用いてガラス板1を加圧し、ガラス板1の強度を測定する。
図2において、SUS304製の受け治具3(直径30mm、接触部の曲率R2.5mm、接触部は焼入れ鋼、鏡面仕上げ)の上に、サンプルとなるガラス板1が水平に設置されている。ガラス板1の上方には、ガラス板1を加圧するための、加圧治具2が設置されている。本実施の形態においては、ガラス板1の上方から、ガラス板1の中央領域を加圧する。
本実施の形態においては、実施例及び比較例後に得られたガラス板1の上方から、ガラス板1の中央領域を加圧する。なお、試験条件は下記の通りである。
加圧治具2の下降速度:1.0(mm/min)
この時、ガラスが破壊された際の、破壊荷重(単位N)をBOR強度とし、20回の測定の平均値を面強度F(N)とする。ただし、ガラス板の破壊起点がボール押しつけ位置より2mm以上離れている場合は、平均値算出のためのデータより除外する。
本発明の化学強化ガラスは、上記のように高い面強度を有することに加え、さらに、面強度の信頼性も高いものである。本発明の化学強化ガラスでは面強度のばらつきが少ない。その理由は定かではないが、ガラス表層付近の水素(水分)濃度がわずかに高いことによるものと推測される。
本発明の化学強化ガラスは、表面に研磨傷を有さないことが好ましい。ここで、本発明における研磨とは、砥粒を用いてガラス表面を削ることにより平滑化することをいう。また、研磨傷の有無はAFM(Atomic Force Microscope;原子間力顕微鏡)による表面観察によって判別することができ、10μm×5μm領域内に長さ5μm以上幅0.1μm以上のスクラッチが2本以上存在しないという場合に、表面に研磨傷がない状態ということができる。
<化学強化ガラスの製造方法>
本発明に係る化学強化ガラスを製造する方法(以下、本発明の方法ともいう。)の一態様を以下に説明するが、本発明はこれに限定されない。なお、特に言及しない限り、ガラスの組成は酸化物基準のモル百分率で表記する。
本発明の化学強化ガラスの製造方法としては、例えば、硝酸ナトリウムおよび硝酸カリウムの少なくとも一方を含む無機塩にガラスを接触させてイオン交換する化学強化工程と、前記化学強化工程後のガラスを、pHが7未満である酸性の溶液に接触させて酸処理する酸処理工程を含む製造方法が挙げられる。以下、各工程について説明する。
(化学強化工程)
本発明の化学強化ガラスを得る化学強化工程は、10質量%水溶液としたときの水素イオン指数(pH)が7.5以上10.5以下であり、且つ硝酸ナトリウムおよび硝酸カリウムの少なくとも一方を含む無機塩にガラスを接触させて、前記ガラス中のNaと前記無機塩中のKとをイオン交換してガラス表面に圧縮応力層を形成し、さらに該圧縮応力層の表層が改質して低密度化された低密度層を形成する工程である。
無機塩は、10質量%水溶液としたときの水素イオン指数(pH)が7.5以上であり、好ましくは8.0以上であり、より好ましくは8.5以上である。また、10質量%水溶液としたときの水素イオン指数(pH)が10.5以下であり、好ましくは10.0以下であり、より好ましくは9.5以下である。
無機塩のpHを前記範囲とすることで、無機塩中のOHによってガラスのSi-O-Si結合を適度に切断し、ガラス表面に圧縮応力層の表層が改質した低密度層を形成することができる。無機塩のpHは、25℃にて、堀場製作所製ハンディータイプpHメーターD-71S等のpHメーターを用いて測定することができる。
無機塩は、KNO、NaNO、KCO、NaCO、KHCO、NaHCO、KOHまたはNaOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の塩を含有することが好ましく、上記塩の含有量により、無機塩のpHを適宜調整することがきる。
無機塩は硝酸ナトリウムおよび硝酸カリウムの少なくとも一方を含む。無機塩に硝酸ナトリウムおよび硝酸カリウムの少なくとも一方を含有することで、ガラスの歪点以下で溶融状態となり、かつ化学強化処理を施すときの一般的な温度領域においてハンドリングが容易となる。無機塩に硝酸ナトリウムを含むことで、CTlimit以下で、DOCが大きな化学強化ガラスを得られる。なお、CTlimit値は、経験的に-38.7×ln(t)+48.2[MPa]であることが知られている。ここで、tはガラスの板厚を表し、単位はmmである。
無機塩における硝酸ナトリウムの含有量は1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは5質量%以上である。ここで、無機塩における硝酸ナトリウムの含有量は、無機塩が液体状態の液相塩のナトリウム濃度をいう。なお、無機塩における硝酸ナトリウムの含有量の上限としては特に制限はない。
無機塩における硝酸ナトリウムの含有量が1質量%以上であることで、ガラスの歪点以下で溶融状態となり、且つ化学強化処理を施すときの一般的な温度領域においてハンドリングが容易となる。無機塩における硝酸ナトリウムの含有量は、所望の表面圧縮応力値(CS、単位はMPa)が得られるよう適宜調整して決められる。
無機塩は、硝酸ナトリウムまたは硝酸カリウムの他に、本発明の効果を阻害しない範囲で他の化学種を含んでいてもよく、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ホウ酸ナトリウムおよびホウ酸カリウム等のアルカリ塩化塩並びにアルカリホウ酸塩などが挙げられる。これらは単独で添加しても、複数種を組み合わせて添加してもよい。
上記無機塩にKNOを含有する場合は、無機塩におけるKNOの含有量は、0.2質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.4質量%以上であり、さらに好ましくは0.6質量%以上である。また、10.0質量%以下であることが好ましく、より好ましくは8.0質量%以下であり、さらに好ましくは6.0質量%以下である。KNOの含有量を前記範囲とすることにより、10質量%水溶液としたときの無機塩のpHを7.5以上10.5以下とすることができる。
無機塩にガラスを接触させる方法としては、ペースト状の無機塩を塗布する方法、無機塩の水溶液をガラスに噴射する方法、融点以上に加熱した溶融塩の塩浴にガラスを浸漬させる方法などが可能であるが、これらの中では、溶融塩に浸漬させる方法が好ましい。
本発明の方法で使用されるガラスは、ナトリウム、かつ、リンを含有するガラスである。具体的には、酸化物基準のモル%で表示した組成で、SiOを55.5~76.5%、Alを5~20%、NaOを8~25%、Pを0.1%以上含有するガラスである。なお、該ガラスは、アルカリ土類金属RO(ROはMgO+CaO+SrO+BaOである)を1%以上含有してもよい。
ガラスの製造方法は特に限定されず、所望のガラス原料を連続溶融炉に投入し、ガラス原料を好ましくは1500~1600℃で加熱溶融し、清澄した後、成形装置に供給した上で溶融ガラスを板状に成形し、徐冷することにより製造することができる。
なお、ガラスの成形には種々の方法を採用することができる。例えば、ダウンドロー法(例えば、オーバーフローダウンドロー法、スロットダウン法およびリドロー法等)、フロート法、ロールアウト法およびプレス法等の様々な成形方法を採用することができる。
ガラスの厚みは、特に制限されるものではないが、化学強化処理を効果的に行うために、3mm以下であることが好ましく、より好ましくは2mm以下であり、さらに好ましくは1mm以下である。
また、本発明の方法で使用されるガラスの形状は特に限定されない。例えば、均一な板厚を有する平板形状、表面と裏面のうち少なくとも一方に曲面を有する形状および屈曲部等を有する立体的な形状等の様々な形状のガラスを採用することができる。
本発明の方法で使用されるガラスの組成の具体例としては、例えば、以下のガラスの組成が挙げられる。
(i)酸化物基準のモル%表示で、SiOを55.5~76.5%、Alを12~20%、NaOを8~25%、Pを2.5%以上含有するガラス。
(ii)酸化物基準のモル%表示で、SiOを57~76.5%、Alを12~18%、NaOを8~25%、Pを2.5~10%含有するガラス。
(iii)酸化物基準のモル%表示で、SiOを56~72%、Alを5~18%、Bを0~15%、Pを0.1~10%、NaOおよびKOの含有量の合計が3~30%含有するガラス。
さらに、(i)~(iii)のガラスは、それぞれ、アルカリ土類金属RO(ROはMgO+CaO+SrO+BaOである)を1%以上含有してもよい。
化学強化処理は、溶融塩浴内でガラスを無機塩の溶融塩に浸漬し、ガラス中の金属イオン(Naイオン)を、溶融塩中のイオン半径の大きな金属イオン(Kイオン)と置換することで行われる。このイオン交換によってガラス表面の組成を変化させ、ガラス表面が高密度化した圧縮応力層20を形成することができる[図1(a)~図1(b)]。このガラス表面の高密度化によって圧縮応力が発生することから、ガラスを強化することができる。
本発明の方法における化学強化工程では、化学強化するとき、10質量%水溶液としたときの水素イオン指数(pH)が7.5以上10.5以下であり、且つ硝酸ナトリウムおよび硝酸カリウムの少なくとも一方を含む無機塩を用いて化学強化処理することにより、無機塩中のOHによってガラスのSi-O-Si結合が適度に切断され、圧縮応力層の表層が改質して低密度化された低密度層10を形成することとなる[図1(b)~図1(c)]。
なお実際には、化学強化ガラスの密度は、ガラスの中心に存在する中間層30(バルク)の外縁から圧縮応力層表面に向かって徐々に高密度化してくるため、中間層30と圧縮応力層20との間には、密度が急激に変化する明確な境界はない。ここで中間層とは、ガラス中心部に存在し、圧縮応力層に挟まれる層を表す。この中間層は圧縮応力層とは異なり、イオン交換がされていない層である。
化学強化工程は、具体的には、次のように行うことができる。化学強化工程では、ガラスを予熱し、溶融塩を化学強化の処理温度に調整する。次いで予熱したガラスを溶融塩中に所定の時間浸漬した後、ガラスを溶融塩中から引き上げて、放冷する。なお、ガラスには、化学強化処理の前に用途に応じた形状加工、例えば、切断、端面加工および穴あけ加工などの機械的加工を行うことが好ましい。
ガラスの予熱温度は、溶融塩を浸漬する温度に依存するが、一般に100℃以上であることが好ましい。
化学強化を行う温度は、深いDOCを備えた化学強化ガラスを得る観点から、400℃以上であることが好ましく、より好ましくは450℃以上であり、さらに好ましくは470℃以上である。化学強化を行う温度の上限は特に制限されないが典型的には、被強化ガラスの歪点(通常500~600℃)以下が好ましい。
ガラスの溶融塩への浸漬時間は、化学強化温度によるが、深いDOCを備えた化学強化ガラスを得る観点から、2時間以上が好ましく、より好ましくは4時間以上であり、さらに好ましくは8時間以上である。上限は特に制限されないが、通常48時間以下であり、24時間以下であることが生産性の観点より好ましい。
化学強化工程後のガラスの表層に形成される圧縮応力層の深さ(DOC)は、ガラスに十分な強度を付与する観点から、55μm以上であることが好ましく、より好ましくは60μm以上であり、さらに好ましくは65μm以上である。なお、上述したように、化学強化工程において形成された圧縮応力層の深さと、後述する酸処理工程やアルカリ処理工程の後の圧縮応力層深さは略同一である。したがって、酸処理工程または、酸処理工程およびアルカリ処理工程を経た後における、圧縮応力層の深さも、同様の観点から55μm以上が好ましく、60μm以上がより好ましく、65μm以上がさらに好ましい。
本発明の化学強化ガラスの圧縮応力値は、100MPa以上であることが好ましく、より好ましくは200MPa以上であり、さらに好ましくは300MPa以上である。また上限は特に制限されないが、典型的には1200MPa以下である。
圧縮応力層の深さは、EPMA(electron probe micro analyzer)または表面応力計(例えば、折原製作所製FSM-6000)等を用いて測定することができる。
低密度層は、後述する酸処理工程により除去されるため、低密度層が厚いほどガラス表面が除去されやすい。したがって低密度層の厚みはガラス表面除去量の観点から10nm以上が好ましく、20nm以上がより好ましい。低密度層の厚みは化学強化工程における溶融塩中のナトリウム濃度、温度または時間等により制御することができる。
酸処理工程で低密度層を除去した後、アルカリ処理を行うことによって、更に低密度層を除去することができる。
低密度層の密度はガラス表面除去性の観点から、イオン交換された圧縮応力層よりも深い領域(バルク)の密度に比べて低いことが好ましい。
低密度層の厚みはX線反射率法(X-ray-Reflectometry:XRR)によって測定した周期(Δθ)から求めることができる。低密度層の密度はXRRによって測定した臨界角(θc)により求めることができる。なお、簡易的には走査型電子顕微鏡(SEM)でガラスの断面を観察することによって、低密度層の形成と層の厚みを確認することも可能である。
化学強化工程においては、10質量%水溶液としたときの水素イオン指数(pH)が7.5以上10.5以下であり、且つ硝酸ナトリウムおよび硝酸カリウムの少なくとも一方を含む無機塩による上記した化学強化処理と組み合わせて、上記した化学強化処理と、無機塩の組成、水素イオン指数、化学強化する温度および化学強化する時間の条件のうち少なくとも一つの条件を変更した化学強化処理工程を上記した化学強化処理工程の前後に複数回行ってもよい。
化学強化工程後は工水、イオン交換水等を用いてガラスの洗浄を行う。中でもイオン交換水が好ましい。洗浄の条件は用いる洗浄液によっても異なるが、イオン交換水を用いる場合には0~100℃で洗浄することが付着した塩を完全に除去させる点から好ましい。
(酸処理工程)
酸処理工程では、化学強化工程後に洗浄したガラスに対して、さらに酸処理を行う。ガラスの酸処理は、水素イオン指数(pH)が7.0未満である酸性の溶液中にガラスを接触させることによって行う。
酸処理に用いる溶液は酸性であれば特に制限されずpH7.0未満であればよく、用いられる酸が弱酸であっても強酸であってもよい。具体的には、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、炭酸またはクエン酸等の酸が好ましい。これらの酸は単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。
酸処理を行う温度は、用いる酸の種類や濃度、時間によっても異なるが、100℃以下で行うことが好ましい。また、低密度層を除去しやすくする観点から、20℃以上で行うことが好ましい。酸処理を行う時間は、用いる酸の種類や濃度、温度によっても異なるものの、10秒~5時間が生産性の点から好ましく、1分~2時間がより好ましい。
酸処理を行う溶液の濃度は、用いる酸の種類や時間、温度によって異なるものの、容器腐食の懸念が少ない濃度が好ましく、具体的には0.1質量%~20質量%が好ましい。
酸処理の条件としては、具体的には、例えば、化学強化工程後のガラスを好ましくは35~75℃の好ましくは0.1質量%~10質量%硝酸水溶液に、好ましくは1~15分間接触させる条件が挙げられる。
上記酸処理により、ガラス表面の低密度化が加速され、低密度層の一部又は全部が除去された表層が露出する[図1(c)および図1(d)]。これにより面強度が顕著に向上した化学強化ガラスを得ることができる。さらに、低密度層が除去されることでガラス表面に存在していた傷も同時に除去されるので、この点も強度向上に寄与すると考えられる。
(アルカリ処理工程)
続いて、酸処理後にアルカリ処理を行ってもよい。アルカリ処理を行うことにより、酸処理のみの場合と比較して、低密度層の除去量を増加させて面強度をさらに高めることが出来る。
アルカリ処理に用いる溶液は塩基性であれば特に制限されずpH7.0超過であればよく、弱塩基を用いても強塩基を用いてもよい。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウム等の塩基が好ましい。これらの塩基は単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。
アルカリ処理を行う温度は、用いる塩基の種類や濃度、時間によっても異なるが、0~100℃が好ましく、10~80℃がより好ましく、20~60℃が特に好ましい。かかる温度範囲であればガラスが腐食するおそれがなく好ましい。
アルカリ処理を行う時間は、用いる塩基の種類や濃度、温度によっても異なるものの、10秒間~5時間が生産性の点から好ましく、1分間~2時間がより好ましい。アルカリ処理を行う溶液の濃度は、用いる塩基の種類や時間、温度によって異なるものの、ガラス表面除去性の観点から0.1質量%~20質量%が好ましい。
アルカリ処理の条件としては、具体的には、例えば、酸処理工程後のガラスを好ましくは35~75℃の好ましくは0.1質量%~10%質量%水酸化ナトリウム水溶液に、好ましくは1~15分間接触させる条件が挙げられる。
上記アルカリ処理により、酸処理工程後のガラスと比較して、低密度層がさらに除去された表層が露出する。これにより面強度がさらに向上した化学強化ガラスを得ることができる。また、ガラス表面に存在していた傷もさらに除去されるので、この点もさらなる面強度向上に寄与すると考えられる。
なお、上記酸処理工程およびアルカリ処理工程の間や、アルカリ処理工程の終了後に、化学強化工程後の洗浄工程と同様の洗浄工程を有することが好ましい。
なお、除去される低密度層の量は、酸処理工程、並びに酸処理工程およびアルカリ処理工程の少なくとも一方の条件による。図1(d)には、低密度層10が全て除去された態様を示すが、低密度層10の一部が除去され一部が残存していてもよい。強度向上の観点からは、低密度層の全部が取り除かれずとも効果を得ることができる。
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、各実施例および比較例について、各工程の有無を表1に示す。
<実施例1>
(化学強化処理工程)
溶融塩浴としてSUS製のカップに硝酸カリウム、亜硝酸カリウム、および硝酸ナトリウムを加え、マントルヒーターで450℃まで加熱して、硝酸カリウム以外の成分として、0.93重量%亜硝酸カリウム、および55重量%硝酸ナトリウムを含有する無機塩pHが9.4である溶融塩を調製した。50mm×50mm、板厚0.80mmのアルミノシリケートガラスA用意し、200~400℃に予熱した後、450℃の溶融塩に14時間浸漬しイオン交換処理した。その後、400℃に加熱した0.37重量%硝酸ナトリウムを含有する無機塩のpHが6.1である溶融塩に15分間浸漬し、化学強化処理した。得られた化学強化ガラスは水洗いし、次の工程に供した。なお、無機塩の組成について、表1に示す組成の他はKNOとして合計100質量%とした。また、無機塩のpHは、10質量%水溶液としたときのpHを25℃にて堀場製作所製ハンディータイプpHメーターD-71Sにより測定した値である。
アルミノシリケートガラスA組成(酸化物基準のモル%表示):SiOを56.1%、Alを17.2%、NaOを16.8%、Pを6.8%、アルカリ土類金属RO(ROはMgO+CaO+SrO+BaOである)を2.5%以上
(酸処理工程)
6質量%の硝酸水溶液をビーカーに用意し、ウォーターバスを用いて40℃に温度調整を行った。前記化学強化処理工程で得られたガラスを、調整した硝酸水溶液中に120秒間浸漬させ、酸処理を行い、その後純水で数回洗浄した後、エアブローにより乾燥した。こうして得られたガラスを次の工程に供した。
<実施例2>
酸処理工程の後に下記アルカリ処理を行った以外は、実施例1と同様にし、実施例2の化学強化ガラスを得た。
(アルカリ処理工程)
4.0重量%の水酸化ナトリウム水溶液をビーカーに用意し、ウォーターバスを用いて40℃に温度調整を行った。酸処理工程で得られたガラスを、調整した水酸化ナトリウム水溶液中に120秒間浸漬させ、アルカリ処理を行い、その後純水で数回洗浄した後、エアブローにより乾燥した。
<実施例3>
化学強化処理工程を下記工程のように行った以外は、実施例1と同様にし、実施例3の化学強化ガラスを得た。
(化学強化処理工程)
溶融塩浴としてSUS製のカップに硝酸カリウムと硝酸ナトリウムを加え、マントルヒーターで450℃まで加熱して、硝酸カリウム以外の成分として、0.56重量%亜硝酸カリウムおよび55重量%硝酸ナトリウムを含有する無機塩のpHが8.6である溶融塩を調製した。50mm×50mm、板厚0.80mmのアルミノシリケートガラスA用意し、200~400℃に予熱した後、450℃の溶融塩に14時間浸漬しイオン交換処理した。
<実施例4>
酸処理工程の後に、実施例2と同様のアルカリ処理工程を行った以外は、実施例3と同様にし、実施例4の化学強化ガラスを得た。
<実施例5>
化学強化処理工程を下記工程のように行った以外は、実施例1と同様にし、実施例5の化学強化ガラスを得た。
(化学強化処理工程)
溶融塩浴としてSUS製のカップに硝酸カリウムと硝酸ナトリウムを加え、マントルヒーターで500℃まで加熱して、硝酸カリウム以外の成分として、0.93重量%亜硝酸カリウムおよび55重量%硝酸ナトリウムを含有する無機塩のpHが9.2である溶融塩を調製した。50mm×50mm、板厚0.80mmのアルミノシリケートガラスA用意し、200~400℃に予熱した後、450℃の溶融塩に5時間浸漬しイオン交換処理した。その後、400℃に加熱した0.74重量%硝酸ナトリウムを含有する無機塩のpHが6.1である溶融塩に15分間浸漬し、化学強化処理した。
<実施例6>
酸処理工程の後に、実施例2と同様のアルカリ処理工程を行った以外は、実施例5と同様にし、実施例6の化学強化ガラスを得た。
<比較例1>
酸処理工程を行わなかった以外は、実施例1と同様にし、比較例1の化学強化ガラスを得た。
<比較例2>
硝酸カリウム以外の成分として、0.93重量%亜硝酸カリウムおよび55重量%硝酸ナトリウムを含有する無機塩のpHが9.4である溶融塩とし、酸処理工程を行わなかった以外は、実施例3と同様にし、比較例2の化学強化ガラスを得た。
<比較例3>
化学強化処理工程を下記工程のように行った以外は、実施例3と同様にし、比較例3の化学強化ガラスを得た。
(化学強化処理工程)
溶融塩浴としてSUS製のカップに硝酸カリウムと硝酸ナトリウムを加え、マントルヒーターで450℃まで加熱して、硝酸カリウム以外の成分として、0.04重量%亜硝酸カリウムおよび0.74重量%硝酸ナトリウムを含有する無機塩のpHが6.7である溶融塩を調製した。50mm×50mm、板厚0.80mmのアルミノシリケートガラスA用意し、200~400℃に予熱した後、450℃の溶融塩に2時間浸漬しイオン交換処理した。
<比較例4>
酸処理工程を行わなかった以外は、実施例5と同様にし、比較例4の化学強化ガラスを得た。
<比較例5>
酸処理工程を行わず、下記研磨工程を行った以外は、実施例1と同様にし、比較例5の化学強化ガラスを得た。
(研磨工程)
研磨スラリーとして、平均粒子直径(d50)が1μmの酸化セリウムを水に分散させてスラリーを作製し、得られたスラリーを用いて、硬度(ショアA硬度)が74の不織布研磨パッドにより圧力0.1kPaの条件で、平板ガラスの両面を合計約6μm研磨した。
得られた化学強化ガラスについて各種評価を行った。結果を表1に示す。表1において空欄は未評価であることを示す。また、図3Aおよび図3Bに実施例1、実施例3および実施例5で得られた化学強化ガラス並びに比較例1で得られたガラスの水素濃度プロファイルを示す。
<評価方法>
本実施例と比較例における各種評価は以下に示す分析方法により行った。
(表面除去量)
ガラスの除去量の厚みは、薬液処理(酸処理およびアルカリ処理)前後の重量を分析用電子天秤(HR-202i;AND製)により測定し、次の式を用いて厚み換算することにより求めた。
(片面あたりの除去量の厚み)=[(処理前重量)-(処理後重量)]/(ガラス比重)/処理面積/2
このとき、硝材(ガラスA)のガラス比重は次のとおりであり、これら値を用いて計算した。
ガラスA:2.42(g/cm
(表面圧縮応力・圧縮応力層の深さ)
表面圧縮応力値(CS)および圧縮応力層の深さ(DOC、単位はμm)は、折原製作所社製表面応力計(FSM-6000)を用いて測定した。圧縮応力値(CS)および圧縮応力層の深さ(DOC)は、日本国特開2016-142600号公報に開示される応力プロファイル算出方法を用いて算出した。
(表面粗さ)
測定範囲1μm×0.5μmにおける表面粗さはAFMを用いて下記条件にて表面観察することにより測定した。
〔AFMの測定条件〕
装置:Bruker社製NanoscopeV+MultiMode8またはDimension ICON
モード:ScanAsystモード
プローブ:RTESPA(バネ定数:40N/m)
Samples/Line:256
Lines:128
Scan Rate:1Hz
測定視野:1×0.5μm(汚染のないところを狙う)
(研磨傷)
研磨傷の有無はAFM(Atomic Force Microscope;原子間力顕微鏡)による表面観察によって判別した。10μm×5μm領域内に長さ5μm以上、幅0.1μm以上のスクラッチが2本以上存在しないという場合に、表面に研磨傷がない状態とした。
(面強度)
ガラス面強度はボールオンリング[Ball on Ring(BOR)]試験により測定した。図2に、本発明で用いたボールオンリング試験を説明するための概略図を示す。ガラス板1(以下の実施例ではアルミノシリケートガラスA)を水平に載置した状態で、SUS304製の加圧治具2(焼入れ鋼、直径10mm、鏡面仕上げ)を用いてガラス板1を加圧し、ガラス板1の強度を測定した。
図2において、SUS304製の受け治具3(直径30mm、接触部の曲率R2.5mm、接触部は焼入れ鋼、鏡面仕上げ)の上に、サンプルとなるガラス板1が水平に設置されている。ガラス板1の上方には、ガラス板1を加圧するための、加圧治具2が設置されている。
実施例及び比較例により得られたガラス板1の上方から、ガラス板1の中央領域を加圧した。なお、試験条件は下記の通りである。
加圧治具2の下降速度:1.0(mm/min)
この時、ガラスが破壊された際の、破壊荷重(単位N)をBOR強度とし、該BOR強度の20回の測定の平均値を面強度F(N)とした。ただし、ガラス板の破壊起点が該球体(加圧冶具)の荷重点から2mm以上離れていた場合は、平均値算出のためのデータより除外した。
面強度F(N)は、ガラス板の板厚t(mm)に依存する、そのためここでは、ガラス板の板厚t(mm)により規格化(正規化)することにより比較をする。ガラス板の板厚t(mm)により規格化(正規化)した値をa(単位N/mm)とした。a値は、式:a=F/tにて算出される。
(引張応力)
引張応力値(CT、単位MPa)は、日本国特開2016-142600号公報に開示される応力プロファイル算出方法を用いて、応力分布を測定し、その応力分布を厚みで積分し、算出した。
(水素濃度)
上述の〔水素濃度プロファイル測定方法〕にて記載した方法に従い、水素濃度プロファイルを測定し、関係式(I)および式(II)と平均水素濃度(c値およびc値)を導出した。
Figure 0007056652000001
表1に示すように、本発明の化学強化ガラスである実施例1~6の化学強化ガラスは、比較例1~5で得られた化学強化ガラスに比べ、高温で長時間の化学強化処理をしても、圧縮応力層の深さ(DOC)が深く、面強度が優れていることがわかった。
また、表面粗さ(Ra)が0.50nm以上であり、深さが55μm以上である圧縮応力層を有し、ガラスの表層における水素濃度cとcが特定の範囲である実施例1、3および5で得られた化学強化ガラスは、比較例1~5で得られた化学強化ガラスに比べ、表面の改質層の除去量を高めることができ、面強度が著しく改善された。
本発明を特定の態様を参照して詳細に説明したが、本発明の精神と範囲を離れることなく様々な変更および修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。なお、本出願は、2017年4月26日付けで出願された日本特許出願(特願2017-087404)に基づいており、その全体が引用により援用される。また、ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。
10 低密度層
20 圧縮応力層
30 中間層
1 ガラス板
2 加圧治具
3 受け治具

Claims (7)

  1. ガラスの表層にイオン交換法により形成された圧縮応力層を有する化学強化ガラスであって、
    表面粗さ(Ra)が0.50nm以上であり、
    圧縮応力層の深さが55μm以上であり、
    前記ガラスが、酸化物基準のモル%で表示した組成で、SiOを55.5~76.5%、Alを5~20%、NaOを8~25%、Pを0.1%以上含有するガラスであり、
    前記化学強化ガラスの最表面から深さXの領域における水素濃度Y1が、X1=0.10~0.25(μm)において下記関係式(I)を満たし、
    前記化学強化ガラスの最表面から深さXの領域における水素濃度Y2が、X2=0.25~0.4(μm)において下記関係式(II)を満たし、
    ボールオンリング試験により下記条件で測定した面強度F(N)が、ガラス板の板厚t(mm)に対して、F≧1200×tである化学強化ガラス。
    Y1=aX1+b (I)
    [式(I)における各記号の意味は下記の通りである。
    Y1:水素濃度(HO換算、mol/L)
    X1:ガラス最表面からの深さ(μm)
    :-1.700~-0.500
    :0.100~0.460]
    Y2=aX2+b (II)
    [式(II)における各記号の意味は下記の通りである。
    Y2:水素濃度(HO換算、mol/L)
    X2:ガラス最表面からの深さ(μm)
    :-0.200~-0.010
    :0.050~0.150]
    ボールオンリング試験条件:
    板厚t(mm)のガラス板を、直径30mm、接触部が曲率半径2.5mmの丸みを持つステンレスリング上に配置し、該ガラス板に直径10mmの鋼球体を接触させた状態で、該球体を静的荷重条件下で該リングの中心に荷重し、ガラスが破壊された際の破壊荷重(単位N)をBOR強度とし、該BOR強度の20回の測定平均値を面強度Fとする。ただし、ガラスの破壊起点が、該球体の荷重点から2mm以上離れている場合は、平均値算出のためのデータより除外する。
  2. 前記化学強化ガラスの最表面からの深さX1=0.10~0.25μmの領域における、平均水素濃度cが0.050~0.180mol/Lであり、
    深さX2=0.25~0.4μmの領域における、平均水素濃度cが0.020~0.080mol/Lである、請求項1に記載の化学強化ガラス。
  3. 表面に研磨傷を有さない請求項1または2に記載の化学強化ガラス。
  4. 前記ガラスは、アルカリ土類金属RO(ROはMgO+CaO+SrO+BaOである)を1%以上含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の化学強化ガラス。
  5. 表面圧縮応力が100MPa以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の化学強化ガラス。
  6. 内部引張応力が72MPa以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の化学強化ガラス。
  7. 圧縮応力層の深さが55μm以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載の化学強化ガラス。
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