JP7056652B2 - 化学強化ガラス - Google Patents
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Description
<1>ガラスの表層にイオン交換法により形成された圧縮応力層を有する化学強化ガラスであって、
表面粗さ(Ra)が0.50nm以上であり、圧縮応力層の深さが55μm以上であり、前記ガラスが、酸化物基準のモル%で表示した組成で、SiO2を55.5~76.5%、Al2O3を5~20%、Na2Oを8~25%、P2O5を0.1%以上含有するガラスであり、
前記化学強化ガラスの最表面から深さXの領域における水素濃度Y1が、X1=0.10~0.25(μm)において下記関係式(I)を満たし、
前記化学強化ガラスの最表面から深さXの領域における水素濃度Y2が、X2=0.25~0.4(μm)において下記関係式(II)を満たし、
ボールオンリング試験により下記条件で測定した面強度F(N)が、ガラス板の板厚t(mm)に対して、F≧1200×t2である化学強化ガラス。
Y1=a1X1+b1 (I)
[式(I)における各記号の意味は下記の通りである。
Y1:水素濃度(H2O換算、mol/L)
X1:ガラス最表面からの深さ(μm)
a1:-1.700~-0.500
b1:0.100~0.460]
Y2=a2X2+b2 (II)
[式(II)における各記号の意味は下記の通りである。
Y2:水素濃度(H2O換算、mol/L)
X2:ガラス最表面からの深さ(μm)
a2:-0.200~-0.010
b2:0.050~0.150]
ボールオンリング試験条件:
板厚t(mm)のガラス板を、直径30mm、接触部が曲率半径2.5mmの丸みを持つステンレスリング上に配置し、該ガラス板に直径10mmの鋼球体を接触させた状態で、該球体を静的荷重条件下で該リングの中心に荷重し、ガラスが破壊された際の破壊荷重(単位N)をBOR強度とし、該BOR強度の20回の測定平均値を面強度Fとする。ただし、ガラスの破壊起点が、該球体の荷重点から2mm以上離れている場合は、平均値算出のためのデータより除外する。
<2>前記化学強化ガラスの最表面からの深さX1=0.10~0.25μmの領域における、平均水素濃度c1が0.050~0.180mol/Lであり、深さX2=0.2~0.5μmの領域における、平均水素濃度c2が0.020~0.080mol/Lである、<1>に記載の化学強化ガラス。
<3>表面に研磨傷を有さない<1>または<2>に記載の化学強化ガラス。
<4>前記ガラスは、アルカリ土類金属RO(ROはMgO+CaO+SrO+BaOである)を1%以上含有する<1>~<3>のいずれか1に記載の化学強化ガラス。
<5>表面圧縮応力が100MPa以上である<1>~<4>のいずれか1に記載の化学強化ガラス。
<6>内部引張応力が72MPa以下である<1>~<5>のいずれか1に記載の化学強化ガラス。
<7>圧縮応力層の深さが55μm以上である<1>~<6>のいずれか1に記載の化学強化ガラス。
本発明に係る化学強化ガラスは、ガラスの表層にイオン交換法により形成された圧縮応力層を有する化学強化ガラスであって、表面粗さ(Ra)が0.50nm以上であり、圧縮応力層の深さが55μm以上であり、前記ガラスが、酸化物基準のモル%で表示した組成で、SiO2を55.5~76.5%、Al2O3を5~20%、Na2Oを8~25%、P2O5を0.1%以上含有するガラスであり、前記化学強化ガラスの最表面から深さXの領域における水素濃度Y1が、X1=0.10~0.25(μm)において下記関係式(I)を満たし、前記化学強化ガラスの最表面から深さXの領域における水素濃度Y2が、X2=0.25~0.4(μm)において下記関係式(II)を満たし、ボールオンリング試験により下記条件で測定した面強度F(N)が、ガラス板の板厚t(mm)に対して、F≧1200×t2であることを特徴とする。
Y1=a1X1+b1 (I)
〔式(I)における各記号の意味は下記の通りである。
Y1:水素濃度(H2O換算、mol/L)
X1:ガラス最表面からの深さ(μm)
a1:-1.700~-0.500
b1:0.100~0.460〕
Y2=a2X2+b2 (II)
〔式(II)における各記号の意味は下記の通りである。
Y2:水素濃度(H2O換算、mol/L)
X2:ガラス最表面からの深さ(μm)
a2:-0.200~-0.010
b2:0.050~0.150〕
ボールオンリング試験条件:
板厚t(mm)のガラス板を、直径30mm、接触部が曲率半径2.5mmの丸みを持つステンレスリング上に配置し、該ガラス板に直径10mmの鋼球体を接触させた状態で、該球体を静的荷重条件下で該リングの中心に荷重し、ガラスが破壊された際の破壊荷重(単位N)をBOR強度とし、該BOR強度の20回の測定平均値を面強度Fとする。ただし、ガラスの破壊起点が、該球体の荷重点から2mm以上離れている場合は、平均値算出のためのデータより除外する。
圧縮応力層とは、原料であるガラスを硝酸カリウム等の無機塩と接触させることによって、ガラス表面のNaイオンと溶融塩中のKイオンとがイオン交換されることで形成される高密度層のことである。
本発明の化学強化ガラスは、さらに、AFM表面観察によって測定される測定範囲1μm×0.5μmにおける表面粗さ(Ra)が0.50nm以上である。好ましくは0.55nm以上であり、より好ましくは0.60nm以上である。また、好ましくは1.50nm以下であり、より好ましくは1.40nm以下であり、さらに好ましくは1.30nm以下である。
ガラスの強度に関し、ガラス中の水素(水分)の存在によってガラスの強度が低下することは知られているが、本発明者らは、化学強化処理後に強度が低下することがあり、その主原因は雰囲気中の水分がガラスに侵入することにより化学的欠陥が生成するためであることを見出した。また、この現象は化学強化に限らず、ガラスの製造工程において昇温工程を経ることにより発生することも見出されている。
ここで、ガラスの水素濃度プロファイル(H2O濃度、mol/L)とは以下の分析条件下で測定したプロファイルである。
1)測定対象のガラス基板の一部を切り出す。
2)切り出したガラス基板の表面から50μm以上の領域を研磨あるいはケミカルエッチングによって除去する。除去処理は両面とも行う。すなわち、両面での除去厚みは100μm以上となる。この除去処理済みガラス基板を標準試料とする。
3)標準試料について赤外分光法(Infrared spectroscopy:IR)を実施し、IRスペクトルの3550cm-1付近のピークトップの吸光度高さA3550および4000cm-1の吸光度高さA4000(ベースライン)を求める。
4)標準試料の板厚d(cm)をマイクロメーターなどの板厚測定器を用いて測定する。
5)文献Aを参考に、ガラスのH2Oの赤外実用吸光係数εpract(L/(mol・cm))を75とし、式1を用いて標準試料の水素濃度(H2O換算、mol/L)を求める。
標準試料の水素濃度 = (A3550-A4000)/(εpract・d)・・・式1
文献A)S. Ilievski et al., Glastech. Ber. Glass Sci. Technol., 73 (2000) 39.
装置:アルバック・ファイ社製 ADEPT1010
一次イオン種:Cs+
一次イオンの加速電圧:5kV
一次イオンの電流値:500nA
一次イオンの入射角:試料面の法線に対して60°
一次イオンのラスターサイズ:300×300μm2
二次イオンの極性:マイナス
二次イオンの検出領域:60×60μm2(一次イオンのラスターサイズの4%)
ESA Input Lens:0
中和銃の使用:有
横軸をスパッタ時間から深さへ変換する方法:分析クレータの深さを触針式表面形状測定器(Veeco社製Dektak150)によって測定し、一次イオンのスパッタレートを求める。このスパッタレートを用いて、横軸をスパッタ時間から深さへ変換する。1H-検出時のField Axis Potential:装置ごとに最適値が変化する可能性がある。バックグラウンドが十分にカットされるように測定者が注意しながら値を設定する。
装置:Thermo Fisher Scientific社製Nic-plan/Nicolet 6700、分解能:8cm-1、積算:64、検出器:TGS検出器
本発明の化学強化ガラスの強度は、ボールオンリング試験により評価することができる。
本発明の化学強化ガラスは、ガラス板を直径30mm、接触部が曲率半径2.5mmの丸みを持つステンレスからなるリング上に配置し、該ガラス板に直径10mmの鋼からなる球体を接触させた状態で、該球体を静的荷重条件下で該リングの中心に荷重するボールオンリング(Ball on Ring;BOR)試験により測定したBOR強度F(N)で評価する。
加圧治具2の下降速度:1.0(mm/min)
この時、ガラスが破壊された際の、破壊荷重(単位N)をBOR強度とし、20回の測定の平均値を面強度F(N)とする。ただし、ガラス板の破壊起点がボール押しつけ位置より2mm以上離れている場合は、平均値算出のためのデータより除外する。
本発明に係る化学強化ガラスを製造する方法(以下、本発明の方法ともいう。)の一態様を以下に説明するが、本発明はこれに限定されない。なお、特に言及しない限り、ガラスの組成は酸化物基準のモル百分率で表記する。
本発明の化学強化ガラスを得る化学強化工程は、10質量%水溶液としたときの水素イオン指数(pH)が7.5以上10.5以下であり、且つ硝酸ナトリウムおよび硝酸カリウムの少なくとも一方を含む無機塩にガラスを接触させて、前記ガラス中のNaと前記無機塩中のKとをイオン交換してガラス表面に圧縮応力層を形成し、さらに該圧縮応力層の表層が改質して低密度化された低密度層を形成する工程である。
(i)酸化物基準のモル%表示で、SiO2を55.5~76.5%、Al2O3を12~20%、Na2Oを8~25%、P2O5を2.5%以上含有するガラス。
(ii)酸化物基準のモル%表示で、SiO2を57~76.5%、Al2O3を12~18%、Na2Oを8~25%、P2O5を2.5~10%含有するガラス。
(iii)酸化物基準のモル%表示で、SiO2を56~72%、Al2O3を5~18%、B2O3を0~15%、P2O5を0.1~10%、Na2OおよびK2Oの含有量の合計が3~30%含有するガラス。
さらに、(i)~(iii)のガラスは、それぞれ、アルカリ土類金属RO(ROはMgO+CaO+SrO+BaOである)を1%以上含有してもよい。
酸処理工程では、化学強化工程後に洗浄したガラスに対して、さらに酸処理を行う。ガラスの酸処理は、水素イオン指数(pH)が7.0未満である酸性の溶液中にガラスを接触させることによって行う。
続いて、酸処理後にアルカリ処理を行ってもよい。アルカリ処理を行うことにより、酸処理のみの場合と比較して、低密度層の除去量を増加させて面強度をさらに高めることが出来る。
(化学強化処理工程)
溶融塩浴としてSUS製のカップに硝酸カリウム、亜硝酸カリウム、および硝酸ナトリウムを加え、マントルヒーターで450℃まで加熱して、硝酸カリウム以外の成分として、0.93重量%亜硝酸カリウム、および55重量%硝酸ナトリウムを含有する無機塩pHが9.4である溶融塩を調製した。50mm×50mm、板厚0.80mmのアルミノシリケートガラスA用意し、200~400℃に予熱した後、450℃の溶融塩に14時間浸漬しイオン交換処理した。その後、400℃に加熱した0.37重量%硝酸ナトリウムを含有する無機塩のpHが6.1である溶融塩に15分間浸漬し、化学強化処理した。得られた化学強化ガラスは水洗いし、次の工程に供した。なお、無機塩の組成について、表1に示す組成の他はKNO3として合計100質量%とした。また、無機塩のpHは、10質量%水溶液としたときのpHを25℃にて堀場製作所製ハンディータイプpHメーターD-71Sにより測定した値である。
アルミノシリケートガラスA組成(酸化物基準のモル%表示):SiO2を56.1%、Al2O3を17.2%、Na2Oを16.8%、P2O5を6.8%、アルカリ土類金属RO(ROはMgO+CaO+SrO+BaOである)を2.5%以上
6質量%の硝酸水溶液をビーカーに用意し、ウォーターバスを用いて40℃に温度調整を行った。前記化学強化処理工程で得られたガラスを、調整した硝酸水溶液中に120秒間浸漬させ、酸処理を行い、その後純水で数回洗浄した後、エアブローにより乾燥した。こうして得られたガラスを次の工程に供した。
酸処理工程の後に下記アルカリ処理を行った以外は、実施例1と同様にし、実施例2の化学強化ガラスを得た。
(アルカリ処理工程)
4.0重量%の水酸化ナトリウム水溶液をビーカーに用意し、ウォーターバスを用いて40℃に温度調整を行った。酸処理工程で得られたガラスを、調整した水酸化ナトリウム水溶液中に120秒間浸漬させ、アルカリ処理を行い、その後純水で数回洗浄した後、エアブローにより乾燥した。
化学強化処理工程を下記工程のように行った以外は、実施例1と同様にし、実施例3の化学強化ガラスを得た。
(化学強化処理工程)
溶融塩浴としてSUS製のカップに硝酸カリウムと硝酸ナトリウムを加え、マントルヒーターで450℃まで加熱して、硝酸カリウム以外の成分として、0.56重量%亜硝酸カリウムおよび55重量%硝酸ナトリウムを含有する無機塩のpHが8.6である溶融塩を調製した。50mm×50mm、板厚0.80mmのアルミノシリケートガラスA用意し、200~400℃に予熱した後、450℃の溶融塩に14時間浸漬しイオン交換処理した。
酸処理工程の後に、実施例2と同様のアルカリ処理工程を行った以外は、実施例3と同様にし、実施例4の化学強化ガラスを得た。
化学強化処理工程を下記工程のように行った以外は、実施例1と同様にし、実施例5の化学強化ガラスを得た。
(化学強化処理工程)
溶融塩浴としてSUS製のカップに硝酸カリウムと硝酸ナトリウムを加え、マントルヒーターで500℃まで加熱して、硝酸カリウム以外の成分として、0.93重量%亜硝酸カリウムおよび55重量%硝酸ナトリウムを含有する無機塩のpHが9.2である溶融塩を調製した。50mm×50mm、板厚0.80mmのアルミノシリケートガラスA用意し、200~400℃に予熱した後、450℃の溶融塩に5時間浸漬しイオン交換処理した。その後、400℃に加熱した0.74重量%硝酸ナトリウムを含有する無機塩のpHが6.1である溶融塩に15分間浸漬し、化学強化処理した。
酸処理工程の後に、実施例2と同様のアルカリ処理工程を行った以外は、実施例5と同様にし、実施例6の化学強化ガラスを得た。
酸処理工程を行わなかった以外は、実施例1と同様にし、比較例1の化学強化ガラスを得た。
硝酸カリウム以外の成分として、0.93重量%亜硝酸カリウムおよび55重量%硝酸ナトリウムを含有する無機塩のpHが9.4である溶融塩とし、酸処理工程を行わなかった以外は、実施例3と同様にし、比較例2の化学強化ガラスを得た。
化学強化処理工程を下記工程のように行った以外は、実施例3と同様にし、比較例3の化学強化ガラスを得た。
(化学強化処理工程)
溶融塩浴としてSUS製のカップに硝酸カリウムと硝酸ナトリウムを加え、マントルヒーターで450℃まで加熱して、硝酸カリウム以外の成分として、0.04重量%亜硝酸カリウムおよび0.74重量%硝酸ナトリウムを含有する無機塩のpHが6.7である溶融塩を調製した。50mm×50mm、板厚0.80mmのアルミノシリケートガラスA用意し、200~400℃に予熱した後、450℃の溶融塩に2時間浸漬しイオン交換処理した。
酸処理工程を行わなかった以外は、実施例5と同様にし、比較例4の化学強化ガラスを得た。
酸処理工程を行わず、下記研磨工程を行った以外は、実施例1と同様にし、比較例5の化学強化ガラスを得た。
(研磨工程)
研磨スラリーとして、平均粒子直径(d50)が1μmの酸化セリウムを水に分散させてスラリーを作製し、得られたスラリーを用いて、硬度(ショアA硬度)が74の不織布研磨パッドにより圧力0.1kPaの条件で、平板ガラスの両面を合計約6μm研磨した。
本実施例と比較例における各種評価は以下に示す分析方法により行った。
ガラスの除去量の厚みは、薬液処理(酸処理およびアルカリ処理)前後の重量を分析用電子天秤(HR-202i;AND製)により測定し、次の式を用いて厚み換算することにより求めた。
(片面あたりの除去量の厚み)=[(処理前重量)-(処理後重量)]/(ガラス比重)/処理面積/2
このとき、硝材(ガラスA)のガラス比重は次のとおりであり、これら値を用いて計算した。
ガラスA:2.42(g/cm3)
表面圧縮応力値(CS)および圧縮応力層の深さ(DOC、単位はμm)は、折原製作所社製表面応力計(FSM-6000)を用いて測定した。圧縮応力値(CS)および圧縮応力層の深さ(DOC)は、日本国特開2016-142600号公報に開示される応力プロファイル算出方法を用いて算出した。
測定範囲1μm×0.5μmにおける表面粗さはAFMを用いて下記条件にて表面観察することにより測定した。
〔AFMの測定条件〕
装置:Bruker社製NanoscopeV+MultiMode8またはDimension ICON
モード:ScanAsystモード
プローブ:RTESPA(バネ定数:40N/m)
Samples/Line:256
Lines:128
Scan Rate:1Hz
測定視野:1×0.5μm2(汚染のないところを狙う)
研磨傷の有無はAFM(Atomic Force Microscope;原子間力顕微鏡)による表面観察によって判別した。10μm×5μm領域内に長さ5μm以上、幅0.1μm以上のスクラッチが2本以上存在しないという場合に、表面に研磨傷がない状態とした。
ガラス面強度はボールオンリング[Ball on Ring(BOR)]試験により測定した。図2に、本発明で用いたボールオンリング試験を説明するための概略図を示す。ガラス板1(以下の実施例ではアルミノシリケートガラスA)を水平に載置した状態で、SUS304製の加圧治具2(焼入れ鋼、直径10mm、鏡面仕上げ)を用いてガラス板1を加圧し、ガラス板1の強度を測定した。
加圧治具2の下降速度:1.0(mm/min)
この時、ガラスが破壊された際の、破壊荷重(単位N)をBOR強度とし、該BOR強度の20回の測定の平均値を面強度F(N)とした。ただし、ガラス板の破壊起点が該球体(加圧冶具)の荷重点から2mm以上離れていた場合は、平均値算出のためのデータより除外した。
面強度F(N)は、ガラス板の板厚t(mm)に依存する、そのためここでは、ガラス板の板厚t(mm)により規格化(正規化)することにより比較をする。ガラス板の板厚t(mm)により規格化(正規化)した値をa(単位N/mm2)とした。a値は、式:a=F/t2にて算出される。
引張応力値(CT、単位MPa)は、日本国特開2016-142600号公報に開示される応力プロファイル算出方法を用いて、応力分布を測定し、その応力分布を厚みで積分し、算出した。
上述の〔水素濃度プロファイル測定方法〕にて記載した方法に従い、水素濃度プロファイルを測定し、関係式(I)および式(II)と平均水素濃度(c1値およびc2値)を導出した。
20 圧縮応力層
30 中間層
1 ガラス板
2 加圧治具
3 受け治具
Claims (7)
- ガラスの表層にイオン交換法により形成された圧縮応力層を有する化学強化ガラスであって、
表面粗さ(Ra)が0.50nm以上であり、
圧縮応力層の深さが55μm以上であり、
前記ガラスが、酸化物基準のモル%で表示した組成で、SiO2を55.5~76.5%、Al2O3を5~20%、Na2Oを8~25%、P2O5を0.1%以上含有するガラスであり、
前記化学強化ガラスの最表面から深さXの領域における水素濃度Y1が、X1=0.10~0.25(μm)において下記関係式(I)を満たし、
前記化学強化ガラスの最表面から深さXの領域における水素濃度Y2が、X2=0.25~0.4(μm)において下記関係式(II)を満たし、
ボールオンリング試験により下記条件で測定した面強度F(N)が、ガラス板の板厚t(mm)に対して、F≧1200×t2である化学強化ガラス。
Y1=a1X1+b1 (I)
[式(I)における各記号の意味は下記の通りである。
Y1:水素濃度(H2O換算、mol/L)
X1:ガラス最表面からの深さ(μm)
a1:-1.700~-0.500
b1:0.100~0.460]
Y2=a2X2+b2 (II)
[式(II)における各記号の意味は下記の通りである。
Y2:水素濃度(H2O換算、mol/L)
X2:ガラス最表面からの深さ(μm)
a2:-0.200~-0.010
b2:0.050~0.150]
ボールオンリング試験条件:
板厚t(mm)のガラス板を、直径30mm、接触部が曲率半径2.5mmの丸みを持つステンレスリング上に配置し、該ガラス板に直径10mmの鋼球体を接触させた状態で、該球体を静的荷重条件下で該リングの中心に荷重し、ガラスが破壊された際の破壊荷重(単位N)をBOR強度とし、該BOR強度の20回の測定平均値を面強度Fとする。ただし、ガラスの破壊起点が、該球体の荷重点から2mm以上離れている場合は、平均値算出のためのデータより除外する。 - 前記化学強化ガラスの最表面からの深さX1=0.10~0.25μmの領域における、平均水素濃度c1が0.050~0.180mol/Lであり、
深さX2=0.25~0.4μmの領域における、平均水素濃度c2が0.020~0.080mol/Lである、請求項1に記載の化学強化ガラス。 - 表面に研磨傷を有さない請求項1または2に記載の化学強化ガラス。
- 前記ガラスは、アルカリ土類金属RO(ROはMgO+CaO+SrO+BaOである)を1%以上含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の化学強化ガラス。
- 表面圧縮応力が100MPa以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の化学強化ガラス。
- 内部引張応力が72MPa以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の化学強化ガラス。
- 圧縮応力層の深さが55μm以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載の化学強化ガラス。
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