JP7052922B2 - 磁気素子及び磁気記録アレイ - Google Patents

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Description

本発明は、磁気素子及び磁気記録アレイに関する。本願は、2019年7月5日に、日本に出願された特願2019-126005に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
微細化に限界が見えてきたフラッシュメモリ等に代わる次世代の不揮発性メモリに注目が集まっている。例えば、MRAM(Magnetoresistive Random
Access Memory)、ReRAM(Resistive Randome Access Memory)、PCRAM(Phase Change Random
Access Memory)等が次世代の不揮発性メモリとして知られている。
MRAMは、磁化の向きの変化によって生じる抵抗値変化をデータ記録に利用している。データ記録は、MRAMを構成する磁気抵抗変化素子のそれぞれが担っている。例えば、特許文献1には、データ記録層内における磁壁を移動させることで、多値のデータを記録することができる磁気抵抗変化素子(磁壁移動素子)が記載されている。
また例えば、特許文献2には、スピン軌道トルクを利用してデータの書き換え(磁化の反転)を行う磁気抵抗変化素子(SOT素子)が記載されている。特許文献2は、金属含有層21上に積層される積層体SB1の側面を傾斜させることで、SOT素子の消費電力の増大を防いでいる。
特許第5397384号公報 特許第6275806号公報
磁壁移動素子は、磁壁の位置でデータを多値又はアナログに記録する。多値又はアナログにデータを記録するためには、磁壁は緩やかに移動することが好ましい。磁壁が外力に対して敏感な場合、わずかな外力を印加するだけでデータが大きく変化してしまうためである。磁壁移動素子の抵抗面積積(RA)を大きくすると、磁壁の移動速度は緩やかになる。磁壁移動素子の抵抗面積積(RA)は、例えば、非磁性層の厚みを厚くすることで実現される。
一方で、非磁性層の厚みが厚い場合にミリング等により、特許文献2のように積層体の側面を傾斜させようとすると、非磁性層の影となる部分が増え、裾となる部分の幅が広くなってしまう。積層体の裾となる部分の幅が広くなると磁壁が移動する配線層の断面積が大きくなる。磁壁は磁化が反転することで移動し、磁化反転に要する最低限の電流密度は臨界電流密度と言われる。磁壁が移動する配線層の断面積が大きくなると、臨界度を確保するために必要な電流量が増加し、磁壁移動素子の動作電流が大きくなり、結果として消費電力が増大する。
またこの問題は磁壁移動素子に限られない。例えば、特許文献2に記載のSOT素子においても、ミリング等の際に非磁性層の影となる導電層の裾が広くなる。導電層の断面積が大きいと、同じ電流を流した時の導電層の電流密度が小さくなり、結果としてSOT素子の動作電流が大きくなる。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、動作電流を小さくすることができる磁気素子及び磁気記録アレイを提供する。
(1)第1の態様にかかる磁気素子は、第1方向に延び、強磁性体を含む配線層と、前記配線層に対して第2方向に積層された非磁性層とを、備え、前記配線層は、前記第1方向と直交する切断面において、前記第2方向に対して傾斜する側面を有し、前記側面は、前記第2方向に対する傾斜角が不連続となる屈曲点を一つ以上有し、前記屈曲点のうち前記非磁性層から最も離れた位置にある第1屈曲点を挟んで、前記非磁性層から遠い第1傾斜面の前記傾斜角は、前記非磁性層に近い第2傾斜面の前記傾斜角より小さい。
(2)上記態様にかかる磁気素子における前記配線層は、前記非磁性層に近い位置から第1強磁性層、磁気記録層、非磁性の下地層を順に有してもよい。
(3)上記態様にかかる磁気素子における前記配線層は、前記非磁性層に近い位置から第1強磁性層、導電層を順に有してもよい。
(4)上記態様にかかる磁気素子において、前記第1屈曲点は、前記第1強磁性層の側面に位置してもよい。
(5)上記態様にかかる磁気素子において、前記第1屈曲点は、前記磁気記録層の側面に位置してもよい。
(6)上記態様にかかる磁気素子において、前記第1屈曲点は、前記下地層の側面に位置してもよい。
(7)上記態様にかかる磁気素子において、前記第1屈曲点は、前記導電層の側面に位置してもよい。
(8)上記態様にかかる磁気素子において、前記第1屈曲点は、前記第1強磁性層と前記磁気記録層との境界に位置してもよい。
(9)上記態様にかかる磁気素子において、前記第1屈曲点は、前記磁気記録層と前記下地層との境界に位置してもよい。
(10)上記態様にかかる磁気素子において、前記第1屈曲点は、前記第1強磁性層と前記導電層との境界に位置してもよい。
(11)上記態様にかかる磁気素子の前記第1方向と直交する切断面の前記第1方向及び第2方向と直交する第3方向において、前記非磁性層の端部と前記第1屈曲点との距離は、前記配線層の端部と前記第1屈曲点との距離より長くてもよい。
(12)上記態様にかかる磁気素子の前記第1方向と直交する切断面において、前記非磁性層の端部と前記第1屈曲点との前記第2方向における距離は、前記配線層の端部と前記第1屈曲点と前記第2方向における距離より長くてもよい。
(13)上記態様にかかる磁気素子において、前記屈曲点のうち前記第1屈曲点の次に前記非磁性層から離れた位置にある第2屈曲点を挟んで、前記非磁性層から遠くに位置する第2傾斜面の前記傾斜角は、前記非磁性層の近くに位置する第3傾斜面の前記傾斜角より大きくてもよい。
(14)上記態様にかかる磁気素子の前記第1方向と直交する切断面の前記第1方向及び第2方向と直交する第3方向において、前記第1屈曲点と前記第2屈曲点との距離は、前記配線層の端部と前記第1屈曲点との距離より長くてもよい。
(15) 上記態様にかかる磁気素子の前記第1方向と直交する切断面において、前記第1屈曲点と前記第2屈曲点との前記第2方向における距離は、前記配線層の端部と前記第1屈曲点との前記第2方向における距離より長くてもよい。
(16) 上記態様にかかる磁気素子において、前記第1屈曲点は前記第1方向に延びてもよい。
(17)上記態様にかかる磁気素子において、前記非磁性層の抵抗面積積(RA)が1×10Ωμm以上であってもよい。
(18)上記態様にかかる磁気素子において、前記配線層の前記非磁性層と反対側の面に、絶縁層をさらに備えてもよい。
(19)上記態様にかかる磁気素子において、前記非磁性層の前記配線層と反対側に、第2強磁性層をさらに備えてもよい。
(20)第2の態様にかかる磁気記録アレイは、上記態様にかかる磁気素子を複数有する。
上記態様にかかる磁気素子及び磁気記録アレイは、動作電流を小さくすることができる。
第1実施形態に係る磁気記録アレイの構成図である。 第1実施形態に係る磁気記録アレイの特徴部の断面図である。 第1実施形態に係る磁壁移動素子のxz面における断面図である。 第1実施形態に係る磁壁移動素子のyz面における断面図である。 第1実施形態に係る磁壁移動素子の平面図である。 第1実施形態に係る磁壁移動素子の製造工程の一部を図示した断面図である。 第1実施形態に係る磁壁移動素子の製造工程の一部を図示した断面図である。 比較例に係る磁壁移動素子のyz面における断面図である。 第1変形例に係る磁壁移動素子のyz面における断面図である。 第2変形例に係る磁壁移動素子のyz面における断面図である。 第3変形例に係る磁壁移動素子のyz面における断面図である。 第4変形例に係る磁壁移動素子のyz面における断面図である。 第2実施形態に係る磁壁移動素子のyz面における断面図である。 第3実施形態に係る磁壁移動素子のxz面における断面図である。 第3実施形態に係る磁壁移動素子のyz面における断面図である。
以下、本実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
まず方向について定義する。+x方向、-x方向、+y方向及び-y方向は、後述する基板Sub(図2参照)の一面と略平行な方向である。+x方向は、後述する配線層10が延びる方向であり、後述する第1導電層40から第2導電層50へ向かう方向である。-x方向は、+x方向と反対の方向である。+x方向と-x方向を区別しない場合は、単に「x方向」と称する。x方向は、第1方向の一例である。+y方向は、x方向と直交する一方向である。-y方向は、+y方向と反対の方向である。+y方向と-y方向を区別しない場合は、単に「y方向」と称する。y方向は、第3方向の一例である。+z方向は、後述する基板Subから磁壁移動素子100へ向かう方向である。-z方向は、+z方向と反対の方向である。+z方向と-z方向を区別しない場合は、単に「z方向」と称する。z方向は、第2方向の一例である。また本明細書で「x方向に延びる」とは、例えば、x方向、y方向、及びz方向の各寸法のうち最小の寸法よりもx方向の寸法が大きいことを意味する。他の方向に延びる場合も同様である。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態にかかる磁気記録アレイの構成図である。磁気記録アレイ200は、複数の磁壁移動素子100と、複数の第1配線Wp1~Wpnと、複数の第2配線Cm1~Cmnと、複数の第3配線Rp1~Rpnと、複数の第1スイッチング素子110と、複数の第2スイッチング素子120と、複数の第3スイッチング素子130とを備える。磁気記録アレイ200は、例えば、磁気メモリ、積和演算器、ニューロモーフィックデバイスに利用できる。磁壁移動素子100は、磁性素子の一例である。
<第1配線、第2配線、第3配線>
第1配線Wp1~Wpnは、書き込み配線である。第1配線Wp1~Wpnは、電源と1つ以上の磁壁移動素子100とを電気的に接続する。電源は、使用時に磁気記録アレイ200の一端に接続される。
第2配線Cm1~Cmnは、共通配線である。共通配線は、データの書き込み時及び読み出し時の両方に用いることができる配線である。第2配線Cm1~Cmnは、基準電位と1つ以上の磁壁移動素子100とを電気的に接続する。基準電位は、例えば、グラウンドである。第2配線Cm1~Cmnは、複数の磁壁移動素子100のそれぞれに設けられてもよいし、複数の磁壁移動素子100に亘って設けられてもよい。
第3配線Rp1~Rpnは、読み出し配線である。第3配線Rp1~Rpnは、電源と1つ以上の磁壁移動素子100とを電気的に接続する。電源は、使用時に磁気記録アレイ200の一端に接続される。
<第1スイッチング素子、第2スイッチング素子、第3スイッチング素子>
図1に示す第1スイッチング素子110、第2スイッチング素子120、第3スイッチング素子130は、複数の磁壁移動素子100のそれぞれに接続されている。磁壁移動素子100にスイッチング素子が接続されたものを半導体装置と称する。第1スイッチング素子110は、磁壁移動素子100のそれぞれと第1配線Wp1~Wpnとの間に接続されている。第2スイッチング素子120は、磁壁移動素子100のそれぞれと第2配線Cm1~Cmnとの間に接続されている。第3スイッチング素子130は、磁壁移動素子100のそれぞれと第3配線Rp1~Rpnとの間に接続されている。
第1スイッチング素子110及び第2スイッチング素子120をONにすると、所定の磁壁移動素子100に接続された第1配線Wp1~Wpnと第2配線Cm1~Cmnとの間に書き込み電流が流れる。第1スイッチング素子110及び第3スイッチング素子130をONにすると、所定の磁壁移動素子100に接続された第2配線Cm1~Cmnと第3配線Rp1~Rpnとの間に読み出し電流が流れる。
第1スイッチング素子110、第2スイッチング素子120及び第3スイッチング素子130は、電流の流れを制御する素子である。第1スイッチング素子110、第2スイッチング素子120及び第3スイッチング素子130は、例えば、トランジスタ、オボニック閾値スイッチ(OTS:Ovonic Threshold Switch)のように結晶層の相変化を利用した素子、金属絶縁体転移(MIT)スイッチのようにバンド構造の変化を利用した素子、ツェナーダイオード及びアバランシェダイオードのように降伏電圧を利用した素子、原子位置の変化に伴い伝導性が変化する素子である。
第1スイッチング素子110、第2スイッチング素子120、第3スイッチング素子130のいずれかは、同じ配線に接続された磁壁移動素子100で、共用してもよい。例えば、第1スイッチング素子110を共有する場合は、第1配線Wp1~Wpnの上流に一つの第1スイッチング素子110を設ける。例えば、第2スイッチング素子120を共有する場合は、第2配線Cm1~Cmnの上流に一つの第2スイッチング素子120を設ける。例えば、第3スイッチング素子130を共有する場合は、第3配線Rp1~Rpnの上流に一つの第3スイッチング素子130を設ける。
図2は、第1実施形態に係る磁気記録アレイ200の特徴部分の断面図である。図2は、図1における一つの磁壁移動素子100を配線層10のy方向の幅の中心を通るxz平面で切断した断面である。
図2に示す第1スイッチング素子110及び第2スイッチング素子120は、トランジスタTrである。トランジスタTrは、ゲート電極Gと、ゲート絶縁膜GIと、基板Subに形成されたソース領域S及びドレイン領域Dと、を有する。基板Subは、例えば、半導体基板である。第3スイッチング素子130は、電極Eと電気的に接続され、例えば、紙面奥行き方向(-y方向)に位置する。
トランジスタTrのそれぞれと磁壁移動素子100とは、接続配線Cwを介して、電気的に接続されている。接続配線Cwは、導電性を有する材料を含む。接続配線Cwは、z方向に延びる。接続配線Cwは、例えば、絶縁層90の開口部に形成されたビア配線である。
磁壁移動素子100とトランジスタTrとは、接続配線Cwを除いて、絶縁層90によって電気的に分離されている。絶縁層90は、多層配線の配線間や素子間を絶縁する絶縁層である。絶縁層90は、例えば、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、炭化シリコン(SiC)、窒化クロム、炭窒化シリコン(SiCN)、酸窒化シリコン(SiON)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)等である。絶縁層90は、例えば、後述する配線層10の非磁性層20と反対側に位置する。
「磁壁移動素子」
図3は、磁壁移動素子100を配線層10のy方向の中心を通るxz平面で切断した断面図である。磁壁移動素子100は、配線層10と非磁性層20と第2強磁性層30と第1導電層40と第2導電層50とを有する。
「配線層」
配線層10は、x方向に延びる部分であり、通電できる部分を含む。配線層10は、例えば、z方向からの平面視で、x方向が長軸、y方向が短軸の矩形である。配線層10は、非磁性層20を挟んで、第2強磁性層30と対向する。配線層10は、例えば、第1導電層40と第2導電層50とに亘って、絶縁層90上に積層される。絶縁層90により配線層10に沿って電流が流れる。配線層10は強磁性体を含み、非磁性層20側に強磁性層を有する。
配線層10は、例えば、第1強磁性層12、磁気記録層14、下地層16を有する。第1強磁性層12、磁気記録層14、下地層16の順に、非磁性層20に近い位置にある。
磁気記録層14は、内部の磁気的な状態の変化により情報を磁気記録可能な層である。磁気記録層14は、内部に第1磁区14Aと第2磁区14Bとを有する。第1磁区14Aの磁化M14Aと第2磁区14Bの磁化M14Bとは、例えば、反対方向に配向する。第1磁区14Aと第2磁区14Bとの境界が磁壁17である。磁気記録層14は、磁壁17を内部に有することができる。磁気記録層14は、例えば第1磁区14Aの磁化M14Aが+z方向に配向し、第2磁区14Bの磁化M14Bが-z方向に配向している。
以下、磁化がz軸方向に配向した例を用いて説明するが、磁気記録層14、第1強磁性層12及び第2強磁性層30の磁化はx軸方向に配向してもよいし、xy面内のいずれかの方向に配向していてもよい。磁化がz方向に配向する場合は、磁化がxy面内に配向する場合より磁壁移動素子100の消費電力、動作時の発熱が抑制される。また磁化がz方向に配向する場合は、磁化がxy面内に配向する場合より同じ強度のパルス電流を印加した際における磁壁17の移動幅が小さくなる。一方で、磁化がxy面内のいずれかに配向する場合は、磁化がz方向に配向する場合より磁壁移動素子100の磁気抵抗変化幅(MR比)が大きくなる。
第1磁区14Aと第2磁区14Bとの比率は、磁壁17が移動すると変化する。磁壁17は、磁気記録層14のx方向に書き込み電流を流すことによって移動する。例えば、磁気記録層14の+x方向に書き込み電流(例えば、電流パルス)を印加すると、電子は電流と逆の-x方向に流れるため、磁壁17は-x方向に移動する。第1磁区14Aから第2磁区14Bに向って電流が流れる場合、第2磁区14Bでスピン偏極した電子は、第1磁区14Aの磁化M14Aを磁化反転させる。第1磁区14Aの磁化M14Aが磁化反転することで、磁壁17は-x方向に移動する。
磁気記録層14は、磁性体により構成される。磁気記録層14は、Co、Ni、Pt、Pd、Gd、Tb、Mn、Ge、Gaからなる群から選択される少なくとも一つの元素を有することが好ましい。磁気記録層14に用いられる材料として、例えば、CoとNiの積層膜、CoとPtの積層膜、CoとPdの積層膜、MnGa系材料、GdCo系材料、TbCo系材料が挙げられる。MnGa系材料、GdCo系材料、TbCo系材料等のフェリ磁性体は飽和磁化が小さく、磁壁17を移動するために必要な閾値電流が小さくなる。またCoとNiの積層膜、CoとPtの積層膜、CoとPdの積層膜は、保磁力が大きく、磁壁17の移動速度が遅くなる。
第1強磁性層12は、磁気記録層14と非磁性層20との間に位置する。第1強磁性層12は、磁気記録層14と磁気結合する。第1強磁性層12は、磁気記録層14と磁気結合することで、磁気記録層14の磁気状態を反映する。第1強磁性層12と磁気記録層14とが強磁性カップリングする場合は、第1強磁性層12の磁気状態は磁気記録層14の磁気状態と同一になる。第1強磁性層12と磁気記録層14とが反強磁性カップリングする場合は、第1強磁性層12の磁気状態は磁気記録層14の磁気状態と反対になる。
第1強磁性層12は、第2強磁性層30と対向し、磁気抵抗変化を生み出す。第2強磁性層30の磁化と第1強磁性層12の磁化との相対角の違いにより、磁壁移動素子100の抵抗値は変化する。第1強磁性層12は、磁気記録層14の磁気状態を反映し、第1磁区12Aと第2磁区12Bとに区分される。第1磁区12Aの磁化M12Aは、例えば第2強磁性層30の磁化M30と同じ方向(平行)であり、第2磁区12Bの磁化M12Bは、例えば第2強磁性層30の磁化M30と反対方向(反平行)である。z方向からの平面視で第2強磁性層30と重畳する部分における第1磁区12Aの面積が広くなると、磁壁移動素子100の抵抗値は低くなる。反対に、z方向からの平面視で第2強磁性層30と重畳する部分における第2磁区12Bの面積が広くなると、磁壁移動素子100の抵抗値は高くなる。
第1強磁性層12の磁化は、所定の外力が印加された際に第2強磁性層30の磁化よりも配向方向が変化しやすい。所定の外力は、例えば外部磁場により磁化に印加される外力や、スピン偏極電流により磁化に印加される外力である。第1強磁性層12は、磁化自由層と呼ばれることがある。
第1強磁性層12は、強磁性体を含む。第1強磁性層12は、例えば、第2強磁性層30との間で、コヒーレントトンネル効果を得やすい材料を含む。第1強磁性層12は、例えば、Cr、Mn、Co、Fe及びNiからなる群から選択される金属、これらの金属を1種以上含む合金、これらの金属とB、C、及びNの少なくとも1種以上の元素とが含まれる合金等を含む。第1強磁性層12は、例えば、Co-Fe、Co-Fe-B、Ni-Feである。
第1強磁性層12は、例えば、ホイスラー合金でもよい。ホイスラー合金はハーフメタルであり、高いスピン分極率を有する。ホイスラー合金は、XYZ又はXYZの化学組成をもつ金属間化合物であり、Xは周期表上でCo、Fe、Ni、あるいはCu族の遷移金属元素または貴金属元素であり、YはMn、V、CrあるいはTi族の遷移金属又はXの元素種であり、ZはIII族からV族の典型元素である。ホイスラー合金として例えば、CoFeSi、CoFeGe、CoFeGa、CoMnSi、CoMn1- FeAlSi1-b、CoFeGe1-cGa等が挙げられる。
下地層16は、磁気記録層14の第1強磁性層12と反対側に位置する。下地層16は非磁性体からなる。下地層16は、磁気記録層14の結晶構造を規定するための層である。下地層16が所定の構造であることで、磁気記録層14の結晶性が高まり、磁気記録層14の磁化の配向性が高まる。所定の構造は磁気記録層14の結晶構造にもよるが、例えば、アモルファス、(001)配向したNaCl構造、ABOの組成式で表される(002)配向したペロブスカイト構造、(001)配向した正方晶構造または立方晶構造である。
下地層16は、導体又は絶縁体である。下地層16は導体であることが好ましい。下地層16が導体の場合、下地層16の厚みは、磁気記録層14の厚みより薄いことが好ましい。下地層16の厚みが厚いと、配線層10を流れる電流の多くが下地層16を流れ、磁壁17を移動させるのに必要な電流量が増加する。下地層16は、例えば、Ta、Ru、Pt、Ir、Rh、W、Pd、Cu、Au、Cuを含む。
配線層10は、第1強磁性層12を有さなくてもよい。この場合、磁気記録層14の磁化と第2強磁性層30の磁化との相対角の違いにより、磁壁移動素子100の抵抗値は変化する。この場合、磁気記録層14は、第2強磁性層30との間でコヒーレントトンネル効果を得やすく、かつ、磁壁17の移動速度が遅くなる保磁力の大きな材料により構成されることが好ましい。また配線層10は、下地層16を有さなくてもよい。
図4は、磁壁移動素子100を図3におけるA-A面で切断した断面図である。配線層10の側面11は、z方向に対してy方向に傾斜する。側面11は、屈曲点を一つ以上有する。屈曲点は、z方向に対する傾斜角が不連続となる点である。不連続とは、側面11の接線の傾斜角が一定ではないこと又は連続的に変化しないことを意味する。
屈曲点は、具体的に以下の手順で確認する。まず磁壁移動素子100の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で撮像する。透過型電子顕微鏡像は、磁壁移動素子100のサイズにもよるが、側面11の形状が十分確認できる倍率で行う。次いで、絶縁層90の部分の輝度と磁気記録層14の部分の輝度とを抽出し、その中間値を規定する。そして、中間値を閾値として撮像した画像を二値化する。次いで、二値化した画像における側面11の接線の傾斜角を、側面11をy方向に10等分した11か所で求める。そして、測定点の位置と測定点における傾斜角とをグラフにプロットし、近似直線が途中で折れ曲がっている場合、この点が屈曲点となる。
非磁性層20から最も離れた位置にある屈曲点を第1屈曲点B1と称する。図4に示す側面11は屈曲点が一つであり、この屈曲点が第1屈曲点B1となる。また第1屈曲点B1を基準に非磁性層20から離れる傾斜面を第1傾斜面11A、第1屈曲点B1を基準に非磁性層20に向かう傾斜面を第2傾斜面11Bと称する。第1傾斜面11Aと第2傾斜面11Bは、第1屈曲点B1を挟む。図4に示す磁壁移動素子100において、第1屈曲点B1は、磁気記録層14と下地層16との境界に位置する。
第1傾斜面11A及び第2傾斜面11Bは、平坦面でも湾曲面でもよい。第1傾斜面11A及び第2傾斜面11Bが平坦面の場合、yz平面において第1傾斜面11A及び第2傾斜面11Bは直線となり、第1傾斜面11A及び第2傾斜面11Bが湾曲面の場合、yz平面において第1傾斜面11A及び第2傾斜面11Bは曲線となる。図4では、第1傾斜面11A及び第2傾斜面11Bが湾曲面の場合を例示している。
第1傾斜面11Aのz方向に対する傾斜角θ1は、第2傾斜面11Bのz方向に対する傾斜角θ2より小さい。ここで、第1傾斜面11A及び第2傾斜面11Bが湾曲面の場合、第1屈曲点B1の近傍における接線のz方向の傾きを傾斜角θ1、θ2とする。
また第1屈曲点B1と非磁性層20の端部e1とのy方向の距離L1は、例えば、第1屈曲点B1と配線層10の端部e2とのy方向の距離L2より長い。また第1屈曲点B1と非磁性層20の端部e1とのz方向の高さH1は、例えば、第1屈曲点B1と配線層10の端部e2とのz方向の高さH2より長い。z方向の高さH1,H2は、端部e1、e2から第1屈曲点B1を通るxy平面に下した垂線の距離である。
また図5は、磁壁移動素子100の平面図である。第1屈曲点B1は、x方向に延びる。第1屈曲点B1がx方向に延びるとは、x方向のいずれの位置で配線層10をyz平面で切断しても第1屈曲点B1を有するということを意味する。また第1屈曲点B1は、x方向に連続する。第1屈曲点B1がx方向に連続するとは、z方向からの平面視で、第1屈曲点B1が連続する直線又は曲線として確認できることを意味する。また図5において第1屈曲点B1は、x方向に沿う直線として確認できる。第1屈曲点B1のy方向及びz方向の位置が一定の場合、第1屈曲点B1はx方向に沿う直線として確認される。
「非磁性層」
非磁性層20は、配線層10と第2強磁性層30との間に位置する。非磁性層20は、配線層10の一面に積層される。
非磁性層20は、例えば、非磁性の絶縁体、半導体又は金属からなる。非磁性の絶縁体は、例えば、Al、SiO、MgO、MgAl、およびこれらのAl、Si、Mgの一部がZn、Be等に置換された材料である。これらの材料は、バンドギャップが大きく、絶縁性に優れる。非磁性層20が非磁性の絶縁体からなる場合、非磁性層20はトンネルバリア層である。非磁性の金属は、例えば、Cu、Au、Ag等である。非磁性の半導体は、例えば、Si、Ge、CuInSe、CuGaSe、Cu(In,Ga)Se等である。
非磁性層20の厚みは、例えば、20Å(2nm)以上であり、25Å(2.5nm)以上であることが好ましく、30Å(3nm)以上であることがより好ましい。非磁性層20の厚みが厚いと、屈曲点の形成が容易になる。また非磁性層20の厚みが厚いと、磁壁移動素子100の抵抗面積積(RA)が大きくなる。磁壁移動素子100の抵抗面積積(RA)は、例えば、1×10Ωμm以上であり、1×10Ωμm以上であることが好ましく、1×10Ωμm以上であることがより好ましい。磁壁移動素子100の抵抗面積積(RA)は、一つの磁壁移動素子100の素子抵抗と磁壁移動素子100の素子断面積(非磁性層20をxy平面で切断した切断面の面積)の積で表される。
「第2強磁性層」
第2強磁性層30は、非磁性層20に面する。第2強磁性層30は、一方向に配向した磁化M30を有する。第2強磁性層30の磁化M30は、所定の外力が印加された際に第1強磁性層12の磁化よりも配向方向が変化しにくい。所定の外力は、例えば外部磁場により磁化に印加される外力や、スピン偏極電流により磁化に印加される外力である。第2強磁性層30は、磁化固定層、磁化参照層と呼ばれることがある。
第2強磁性層30は、第1強磁性層12と同様の材料により構成される。
第2強磁性層30の膜厚は、第2強磁性層30の磁化容易軸をz方向とする(垂直磁化膜にする)場合は、1.5nm以下とすることが好ましく、1.0nm以下とすることがより好ましい。第2強磁性層30の膜厚を薄くすると、第2強磁性層30と他の層(非磁性層20)との界面で、第2強磁性層30に垂直磁気異方性(界面垂直磁気異方性)が付加され、第2強磁性層30の磁化がz方向に配向しやすくなる。
第2強磁性層30の磁化容易軸をz方向とする(垂直磁化膜にする)場合は、第2強磁性層30をCo、Fe、Niからなる群から選択された強磁性体とPt、Pd、Ru、Rhからなる群から選択された非磁性体との積層体とすることが好ましく、Ir、Ruからなる群から選択された中間層を積層体のいずれかの位置に挿入することがより好ましい。強磁性体と非磁性体を積層すると垂直磁気異方性を付加することができ、中間層を挿入することによって第2強磁性層30の磁化がz方向に配向しやすくなる。
第2強磁性層30の非磁性層20と反対側の面に、スペーサ層を介して、反強磁性層を設けてもよい。第2強磁性層30、スペーサ層、反強磁性層は、シンセティック反強磁性構造(SAF構造)となる。シンセティック反強磁性構造は、非磁性層を挟む二つの磁性層からなる。第2強磁性層30と反強磁性層とが反強磁性カップリングするとことで、反強磁性層を有さない場合より第2強磁性層30の保磁力が大きくなる。反強磁性層は、例えば、IrMn,PtMn等である。スペーサ層は、例えば、Ru、Ir、Rhからなる群から選択される少なくとも一つを含む。
「第1導電層及び第2強磁性層」
第1導電層40及び第2導電層50は、配線層10に接続される。第1導電層40及び第2導電層50は、例えば、接続配線Cwと配線層10との接続部である。第1導電層40は例えば配線層10の第1端部に接続され、第2導電層50は例えば配線層10の第2端部に接続される。磁壁移動素子100が第1導電層40及び第2導電層50を有さない場合は、接続配線Cwと配線層10とが直接接続される。
第1導電層40及び第2導電層50は、例えば、磁性体を含む。第1導電層40の磁化の向きは、第2導電層50の磁化の向きと異なる。第1導電層40及び第2導電層50は、第1導電層40及び第2導電層50の近傍の磁気記録層14の磁化を固定する。第1導電層40の近傍の磁気記録層14の磁化と、第2導電層50の近傍の磁気記録層14の磁化と、が異なる方向に固定されることで、磁気記録層14に磁壁17が生じる。
第1導電層40及び第2導電層50は、例えば、Cr、Mn、Co、Fe及びNiからなる群から選択される金属、これらの金属を1種以上含む合金、これらの金属とB、C、及びNの少なくとも1種以上の元素とが含まれる合金等を含む。第1導電層40及び第2導電層50は、例えば、Co-Fe、Co-Fe-B、Ni-Fe等である。また第1導電層40及び第2導電層50は、シンセティック反強磁性構造(SAF構造)でもよい。シンセティック反強磁性構造は、非磁性層を挟む二つの磁性層からなる。二つの磁性層はそれぞれ磁化が固定されており、固定された磁化の向きは反対である。
磁壁移動素子100の各層の磁化の向きは、例えば磁化曲線を測定することにより確認できる。磁化曲線は、例えば、MOKE(Magneto Optical Kerr Effect)を用いて測定できる。MOKEによる測定は、直線偏光を測定対象物に入射させ、その偏光方向の回転等が起こる磁気光学効果(磁気Kerr効果)を用いることにより行う測定方法である。
次いで、磁気記録アレイ200の製造方法について説明する。磁気記録アレイ200は、各層の積層工程と、各層の一部を所定の形状に加工する加工工程により形成される。各層の積層は、スパッタリング法、化学気相成長(CVD)法、電子ビーム蒸着法(EB蒸着法)、原子レーザデポジッション法等を用いることができる。各層の加工は、フォトリソグラフィー等を用いて行うことができる。
まず基板Subの所定の位置に、不純物をドープしソース領域S、ドレイン領域Dを形成する。次いで、ソース領域Sとドレイン領域Dとの間に、ゲート絶縁膜GI、ゲート電極Gを形成する。ソース領域S、ドレイン領域D、ゲート絶縁膜GI及びゲート電極GがトランジスタTrとなる。
次いで、トランジスタTrを覆うように絶縁層90を形成する。また絶縁層90に開口部を形成し、開口部内に導電体を充填することで接続配線Cwが形成される。第1配線Wp、第2配線Cmは、絶縁層90を所定の厚みまで積層した後、絶縁層90に溝を形成し、溝に導電体を充填することで形成される。
第1導電層40及び第2導電層50は、例えば、絶縁層90及び接続配線Cwの一面に、強磁性層、非磁性層、強磁性層を順に積層し、第1導電層40及び第2導電層50となる部分以外を除去することで形成できる。除去された部分は、例えば、絶縁層90で埋める。
図6は、第1実施形態に係る磁壁移動素子100の製造工程の一部を図示した断面図である。図6に示すように、第1導電層40及び第2導電層50を挟む位置にある絶縁層90上に、下地層86、強磁性層84、強磁性層82、非磁性層83、強磁性層85を順に積層する。加工後に下地層86は下地層16となり、強磁性層84は磁気記録層14となり、強磁性層82は第1強磁性層12となり、非磁性層83は非磁性層20となり、強磁性層85は第2強磁性層30となる。次いで、強磁性層85の上の一部に、レジストRを形成する。レジストRは、例えば、作製したい配線層10の形状に合わせて、x方向に延ばして形成する。
次いで、レジストRを介して積層体を所定の形状に加工する。積層体の加工は、2回に分けて行う。1回目の加工は、図6に示すようにxy平面に対して斜め方向からイオンビーム87を照射する。イオンビーム87をxy平面に対して斜め方向から照射するのは、例えば、強磁性層85の一部が非磁性層83の側面にかかり、加工後の第2強磁性層30と配線層10とが短絡することを防ぐためである。レジストRの影となる領域はミリングが進行しづらく、配線層80の側面81はz方向に対して傾斜する(図7参照)。
また抵抗面積積(RA)を大きくするために、非磁性層83の厚みを厚くすると、その分だけレジストRの絶縁層90に対する高さ位置が高くなり、レジストRの影となる領域が増える。レジストRの影となる領域が増えると、配線層80の裾がy方向に広がる。
図7は、第1実施形態に係る磁壁移動素子100の製造工程の一部を図示した断面図である。次いで、図7に示すように、積層体の2回目の加工を行う。2回目の加工は、図7に示すように、y方向に広がる配線層80の裾の部分に向ってイオンビーム88を照射する。イオンビーム88のxy平面に対する入射角(z方向に対する傾き角)は、一回目のイオンビーム87より小さくする。例えば、イオンビーム88をxy平面に対して略垂直に照射する。イオンビーム88により配線層80の裾の一部が除去される。その結果、図4に示す磁壁移動素子100が形成される。1回目の加工で第2傾斜面11Bが形成され、2回目の加工で第1傾斜面11Aが傾斜される。第1傾斜面11Aと第2傾斜面11Bとの境界が第1屈曲点B1となる。
第1実施形態に係る磁壁移動素子100によれば、磁壁移動素子100にデータを書き込む際に必要な電流量を低減できる。
図8は、比較例に係る磁壁移動素子101のyz面における断面図である。比較例に係る磁壁移動素子101は、配線層15の側面13が屈曲点を有していない点が、第1実施形態に係る磁壁移動素子100と異なる。比較例に係る磁壁移動素子101は、二回目の加工を行う前の図7に示す形状と等しい。配線層15は、側面13が屈曲点を有さないため、y方向に裾が広がっている。配線層15は、第1実施形態に係る配線層10と比較して領域R1分だけ面積が広い。領域R1は、図7における2回目の加工で除去された部分に対応する。
磁壁移動素子100にデータを書き込む場合、配線層10のx方向に電流を流す。配線層10のx方向に流した電流は、磁壁17の位置を移動させ、磁壁移動素子100にデータを書き込む。磁壁17は、磁気記録層14の磁化が反転することで移動する。磁化は、配線層10を流れる電流が反転電流密度を超えると反転する。第1実施形態に係る磁壁移動素子100と比較例に係る磁壁移動素子101の反転電流密度は等しい。磁気記録層14の磁化を反転させる場合に配線層10、15に流す電流の最小値は、反転電流密度に配線層10、15の断面積を乗じた値である。第1実施形態に係る磁壁移動素子100は、領域R1分だけ配線層10に流す電流量を比較例1に係る磁壁移動素子101より小さくできる。
磁壁移動素子100は集積され磁気メモリとして用いられる場合が多い。それぞれの磁壁移動素子100にデータを書き込む際に必要な電流量が増えると、磁気メモリの消費電力が増加する。領域R1に流れる電流分を削減するだけでも、一つの磁壁移動素子100の消費電力を5%程度削減できる。磁気メモリは、多数の磁壁位相素子100が集合したものであり、領域R1に流れる電流分を削減するだけでも、磁気メモリ全体としては消費電力を大きく低減できる。
また第1屈曲点B1の位置を磁気記録層14と下地層16との境界に設定すると、磁壁移動素子100の不良の発生確率を低減し、製造時の歩留まりを向上できる。磁壁移動素子100の不良の一例として、第1強磁性層12と第2強磁性層30との短絡がある。短絡の大きな原因の一つは、非磁性層20の側面に導電性の付着物が付着することである。導電性の付着物は、積層体の2回目の加工時において付着する場合が多い。例えば、導電性の層にイオンビーム88を照射することで導電性の物質が飛散し、非磁性層20の側面に付着する。下地層16は、磁気記録層14及び下地層16と比較して非磁性層20との距離が遠い。そのため、下地層16を加工した際の飛散物は、非磁性層20の側面に付着しにくい。
また第1屈曲点B1の位置を磁気記録層14と下地層16との境界に設定することで、磁界の局所的な集中を抑制できる。屈曲点は、側面11に生じる角部である。磁界は角部に集中しやすい。磁界は、磁性層の磁化状態に影響を及ぼす。磁性層の磁化状態は、例えば、磁壁移動素子100の磁気抵抗変化率(MR比)、磁壁17の移動に影響を及ぼす。下地層16は非磁性体であり、下地層16と磁気記録層14の界面に屈曲点が存在すると、磁界の局所的な集中を抑制できる。
また第1屈曲点B1の位置を磁気記録層14と下地層16との境界に設定することで、磁気記録層14及び第1強磁性層12の磁化が乱れることを抑制できる。磁化は、界面の影響を強く受ける。側面11は、屈曲点を境に傾斜角が変化する。屈曲点が磁気記録層14又は第1強磁性層12の側面に位置すると、傾斜面の傾斜角の変化に伴い、その近傍の磁化状態が乱れ、データの安定性が低下する。下地層16は非磁性体であり、下地層16と磁気記録層14の界面に屈曲点が存在すると、磁化の乱れを抑制できる。
また第1屈曲点B1の位置を磁気記録層14と下地層16との境界に設定することで、磁気記録層14及び第1強磁性層12の磁化の安定性を高め、データの安定性を高めることができる。磁気記録層14及び第1強磁性層12の側面には、加工時にピニングサイトが形成される。ピニングサイトは、磁化が所定の方向に配向した状態を維持しようとする。ピニングサイトは、例えば、加工時に形成されたミキシング層である。磁化が所定の方向に維持されると、予期せぬ外力等が加わった場合でも磁化反転が生じず、データを長期に安定的に保持できる。
また第1屈曲点B1の位置を磁気記録層14と下地層16との境界に設定することで、磁壁移動素子100の反転電流密度を下げることができる。第1屈曲点B1の近傍では、加工時に材料のミキシングが生じ、磁気記録層14に含まれる磁性元素の一部が、下地層16に含まれる場合がある。下地層16に含まれる磁性元素はスピンの散乱因子となり、下地層16にスピン軌道相互作用が強く作用する。スピン軌道相互作用は、スピンホール効果を誘起し、電流の流れ方向と直交する方向(z方向)にスピン流を発生させる。スピン流は、下地層16から磁気記録層14にスピンを注入し、磁気記録層14の磁化にスピン軌道トルクを与える。スピン軌道トルクは、磁気記録層14及び第1強磁性層12の磁化反転をアシストし、磁壁移動素子100の反転電流密度が低下する。
また第1屈曲点B1と非磁性層20の端部e1との距離L1を、第1屈曲点B1と配線層10の端部e2との距離L2より長くすると、磁壁移動素子100の不良の発生確率を低減し、かつ、データを書き込む際に必要な電流量を低減できる。距離L1が長くなると、加工した際の飛散物が非磁性層20の側面に付着しにくくなる。また除去される領域R1の面積を大きくすると距離L2が短くなり、領域R1の面積が大きくなると除去される領域R1分だけ配線層10に流す電流量を小さくできる。
第1屈曲点B1と非磁性層20の端部e1との距離L1を、第1屈曲点B1と配線層10の端部e2との距離L2より長くすると、磁化をより安定的に保持することができる。磁性層(第1強磁性層12及び磁気記録層14)の側面は、ピニングサイトとなりうる。ピニングサイトにより磁化が固定されている領域が広いほど、磁化の安定性が高まり、データをより安定的に保持できる。ピニングサイトが形成される領域は加工時に露出している磁性層の表面積の大きさに依存する。距離L1を距離L2より長くすると、磁性層に形成されるピニングサイトの領域が大きくなる。
また第1屈曲点B1と非磁性層20の端部e1との高さH1を、第1屈曲点B1と配線層10の端部e2との高さH2より長くすると、磁壁移動素子100の不良の発生確率を低減できる。高さH1が長くなると、加工した際の飛散物が非磁性層20の側面に付着しにくくなる。
また第1屈曲点B1と非磁性層20の端部e1との高さH1を、第1屈曲点B1と配線層10の端部e2との高さH2より長くすると、磁気ノイズの磁性層(第1強磁性層12及び磁気記録層14)への影響を低減できる。屈曲点は、側面11に生じる角部である。磁界は角部に集中しやすく、角部を境に形状が異なることで磁化が乱れ磁気ノイズが発生する。磁気ノイズは、磁性層の磁化状態に影響を及ぼす。磁性層の磁化状態は、例えば、磁壁移動素子100の磁気抵抗変化率(MR比)、磁壁17の移動に影響を及ぼす。高さH1を高さH2より高くすると、相対的に底面から高さH2の範囲内に含まれる磁性体の量(磁化量)が少なくなり、磁化の乱れが抑制される。
第1実施形態に係る磁気記録アレイ200及び磁壁移動素子100の一例について詳述したが、第1実施形態に係る磁気記録アレイ200及び磁壁移動素子100は、本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
(第1変形例)
図9は、第1変形例に係る磁壁移動素子100Aのyz面における断面図である。磁壁移動素子100Aは、第1屈曲点B1が下地層16の側面に位置する点が、磁壁移動素子100と異なる。磁壁移動素子100と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省く。
第1変形例に係る磁壁移動素子100Aは、データを書き込む際に必要な電流量を低減できる。また第1屈曲点B1が下地層16の側面に位置すると、非磁性層20への飛散物の付着を抑制でき、磁壁移動素子100の不良の発生確率を低減できる。また下地層16は非磁性体であり、屈曲点に磁界が局所的に集中することを抑制でき、磁気記録層14及び第1強磁性層12の磁化の乱れを抑制できる。
第1屈曲点B1が下地層16の側面に位置すると、磁壁移動素子100の反転電流密度を下げることができる。屈曲点の近傍では、結晶構造の対称性が崩れる。結晶構造の対称性の崩れは、下地層16内に内場を生み出し、下地層16にスピン軌道相互作用が強く作用する。スピン軌道相互作用は、スピンホール効果を誘起し、電流の流れ方向と直交する方向(z方向)にスピン流を発生させる。スピン流は、下地層16から磁気記録層14にスピンを注入し、磁気記録層14の磁化にスピン軌道トルクを与える。スピン軌道トルクは、磁気記録層14及び第1強磁性層12の磁化反転をアシストし、磁壁移動素子100の反転電流密度が低下する。
(第2変形例)
図10は、第2変形例に係る磁壁移動素子100Bのyz面における断面図である。磁壁移動素子100Aは、第1屈曲点B1が磁気記録層14の側面に位置する点が、磁壁移動素子100と異なる。磁壁移動素子100と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省く。
第2変形例に係る磁壁移動素子100Bは、データを書き込む際に必要な電流量を低減できる。また第1屈曲点B1が磁気記録層14の側面に位置すると、磁壁17の移動速度を小さくできる。屈曲点の近傍は、ミキシングの影響によりピニングサイトとなり、磁壁17が動きにくくなる。外力に対して磁壁17が動く幅が小さくなると、磁壁移動素子100Bが複数の磁化状態を選択できるようになり、より多値にデータを記録できるようになる。
また第1屈曲点B1が下地層16の側面に位置すると、加工時に下地層16に磁性元素がミキシングする場合がある。上述のように磁性元素は、スピンの散乱因子となる。スピンが散乱するとスピン軌道相互作用が増強され、電流に対するスピン流の生成効率が高くなる。
なお、磁性金属の添加量が増大し過ぎると、発生したスピン流が添加された磁性金属によって散乱され、結果としてスピン流が減少する場合がある。添加される磁性金属のモル比はスピン軌道トルク配線を構成する元素の総モル比よりも十分小さい方が好ましい。添加される磁性金属のモル比は、全体の3%以下であることが好ましい。添加される磁性金属の割合は、屈曲点の位置を変えることによって制御することができる。
(第3変形例)
図11は、第3変形例に係る磁壁移動素子100Cのyz面における断面図である。磁壁移動素子100Cは、第1屈曲点B1が磁気記録層14と第1強磁性層12との境界に位置する点が、磁壁移動素子100と異なる。磁壁移動素子100と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省く。
第3変形例に係る磁壁移動素子100Cは、データを書き込む際に必要な電流量を低減できる。また第1屈曲点B1が磁気記録層14と第1強磁性層12との境界に位置することで、磁気記録層14及び第1強磁性層12の磁化の乱れを抑制できる。
また第1屈曲点B1が磁気記録層14と第1強磁性層12との境界に位置することで、磁気記録層14の面内において磁化の配向方向に違いが生じることを抑制できる。磁化は界面の影響を受けやすい。側面11の近傍の磁化は、側面11の影響を受けて、例えばz方向からy方向に傾く。第1屈曲点B1が磁気記録層14と第1強磁性層12との境界に位置すると、磁気記録層14の側面は、第1傾斜面11Aに属する。第1傾斜面11Aのz方向に対する傾斜角θ1は、第2傾斜面11Bのz方向に対する傾斜角θ2より小さい。磁化が第1傾斜面11Aに沿って配向することで、磁気記録層14のy方向の中心と第1傾斜面11Aの近傍における磁化の配向方向の違いを小さくできる。
例えば、磁化のz方向に対する傾き角は、磁気記録層14のy方向の中心に向かうにつれて小さくなる。磁化のz方向に対する傾きが解消されるのに要する領域を緩和領域と称する。磁気記録層14の側面の傾斜角が大きいと、緩和領域のy方向の幅が広くなり、緩和領域が第2強磁性層30とz方向に重なる領域まで侵入する。緩和領域が第2強磁性層30とz方向に重なる領域まで侵入すると、磁壁移動素子の磁気抵抗変化率(MR比)が小さくなる。磁壁移動素子100Cは、第1屈曲点B1が磁気記録層14と第1強磁性層12との境界に位置し、磁気記録層14の側面のz方向に対する傾斜角を小さいため、磁気抵抗変化率(MR比)が大きい。
(第4変形例)
図12は、第4変形例に係る磁壁移動素子100Dのyz面における断面図である。磁壁移動素子100Dは、第1屈曲点B1が第1強磁性層12の側面に位置する点が、磁壁移動素子100と異なる。磁壁移動素子100と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省く。
第4変形例に係る磁壁移動素子100Dは、データを書き込む際に必要な電流量を低減できる。また第1屈曲点B1が第1強磁性層12の側面に位置することで、第1強磁性層12及び磁気記録層14の側面のz方向に対する傾斜角を小さくでき、磁気抵抗変化率(MR比)を大きくできる。
また第1屈曲点B1が第1強磁性層12の側面に位置すると、除去される領域R1の面積を大きくでき、配線層10に流す電流量をより小さくできる。
[第2実施形態]
図13は、第2実施形態に係る磁壁移動素子102のyz面における断面図である。磁壁移動素子102は、側面11が第2屈曲点B2を有する点が、磁壁移動素子100と異なる。
側面11は、二つの屈曲点を有する。非磁性層20から最も離れた位置にある屈曲点を第1屈曲点B1と称し、第1屈曲点B1の次に非磁性層20から最も離れた位置にある屈曲点を第2屈曲点B2と称する。また第1屈曲点B1を基準に非磁性層20側から離れる傾斜面を第1傾斜面11A、第1屈曲点B1を基準に非磁性層20に向かう傾斜面を第2傾斜面11Bと称し、第2屈曲点B2を基準に非磁性層20側に向かう傾斜面を第3傾斜面11Cと称する。第2傾斜面11Bは、第2屈曲点B2を基準に非磁性層20から離れる傾斜面でもある。図13に示す磁壁移動素子102において、第1屈曲点B1は、磁気記録層14と下地層16との境界に位置し、第2屈曲点B2は、磁気記録層14と第1強磁性層12との境界に位置する。
第1傾斜面11A、第2傾斜面11B及び第3傾斜面11Cは、平坦面でも湾曲面でもよい。図13では、第1傾斜面11A、第2傾斜面11B及び第3傾斜面11Cが湾曲面の場合を例示している。
第1傾斜面11Aのz方向に対する傾斜角θ1は、第2傾斜面11Bのz方向に対する傾斜角θ2より小さい。また第2傾斜面11Bのz方向に対する傾斜角θ3は、第3傾斜面11Cのz方向に対する傾斜角θ4より大きい。ここで第2傾斜面11Bのz方向に対する傾斜角は、第1傾斜面11Aとの対比においては第1屈曲点B1の近傍における接線のz方向の傾きであり、第3傾斜面11Cとの対比においては第2屈曲点B2の近傍における接線のz方向の傾きである。
また第1屈曲点B1と第2屈曲点B2とのy方向の距離L3は、例えば、第1屈曲点B1と配線層10の端部e2とのy方向の距離L2より長い。また第1屈曲点B1と第2屈曲点B2とのz方向の高さH3は、例えば、第1屈曲点B1と配線層10の端部e2とのz方向の高さH2より長い。
第2屈曲点B2は、例えば、イオンビーム87、88に対する第1強磁性層12と磁気記録層14とのエッチングレートの違いにより形成することができる。また第2屈曲点B2が層の界面に存在しない場合は、加工を複数回に分けて行うことで形成できる。
第2実施形態に係る磁壁移動素子102は、データを書き込む際に必要な電流量を低減できる。また第2屈曲点B2を有することで、第1傾斜面11Aと非磁性層20との距離を離すことができ、第1傾斜面11Aを加工時に飛散物が非磁性層20の側面に付着することを抑制できる。
また屈曲点を形成するために、複数回の加工を行うことで、磁壁移動素子102の不良の発生確率を低減し、製造時の歩留まりを向上できる。イオンビームを複数回加工すると、先の加工で非磁性層20の側面に付着した飛散物を、後の加工で再度除去できる。またイオンビームの照射角度を段階的に加工面に対して垂直に近づけることで、側面11の形状を整えつつ、非磁性層20の側面に付着した飛散物を除去できる。短絡の原因となりうる飛散物を除去することで、磁壁移動素子102の不良の発生確率が低減し、製造時の歩留まりが向上する。
[第3実施形態]
第3実施形態に係る磁気メモリは、磁壁移動素子をSOT素子に置き換えている点が異なる。図14は、第3実施形態に係るSOT素子103のxz面における断面図である。SOT素子は、磁性素子の一例である。
SOT素子103は、配線層60と非磁性層20と第2強磁性層30と第1導電層40と第2導電層50とを有する。非磁性層20、第2強磁性層30、第1導電層40及び第2導電層50の構成は、第1実施形態に係る磁壁移動素子と同様である。ただし、SOT素子103の場合、非磁性層20の厚みは、磁壁移動素子の場合より薄いことが好ましく、非磁性層20の厚みは、例えば、20Å(2nm)以下である。
配線層60は、第1強磁性層62と導電層64とを有する。第1強磁性層62、導電層64の順に、非磁性層20に近い位置にある。
第1強磁性層62は、磁性体を含み、磁化M62を有する。第1強磁性層62は、第2強磁性層12と同様の材料を用いることができる。図14では、第1強磁性層62のx方向の長さが導電層64と一致する場合を図示したが、第1強磁性層62のx方向の長さは導電層64より短くてもよい。
導電層64は、スピン軌道トルク配線と言われる場合がある。導電層64は、電流が流れる際のスピンホール効果によってスピン流を発生させ、第1強磁性層62にスピンを注入する。導電層64は、例えば、第1強磁性層62の磁化M62を反転できるだけのスピン軌道トルク(SOT)を第1強磁性層62の磁化M62に与える。第1強磁性層62の磁化M62は、スピン軌道トルク(SOT)を受けて磁化反転する。
導電層64は、電流が流れる際のスピンホール効果によってスピン流を発生させる機能を有する金属、合金、金属間化合物、金属硼化物、金属炭化物、金属珪化物、金属燐化物のいずれかを含む。
導電層64は、例えば、主元素として非磁性の重金属を含む。主元素とは、配線20を構成する元素のうち最も割合の高い元素である。導電層64は、例えば、イットリウム(Y)以上の比重を有する重金属を含む。非磁性の重金属は、原子番号39以上の原子番号が大きく、最外殻にd電子又はf電子を有するため、スピン軌道相互作用が強く生じる。スピンホール効果はスピン軌道相互作用により生じ、導電層64内にスピンが偏在しやすく、スピン流が発生しやすくなる。 導電層64は、例えば、Au、Hf、Mo、Pt、W、Taからなる群から選択されるいずれかを含む。
図15は、SOT素子103を図14におけるA-A面で切断した断面図である。配線層60の側面61は、z方向に対してy方向に傾斜する。側面61は、屈曲点を一つ以上有する。図14に示す側面61は、第1屈曲点B1を一つ有するが、2つ以上の屈曲点を有してもよい。
第1屈曲点B1は、第1傾斜面61Aと第2傾斜面61Bとに挟まれる。第1傾斜面61Aは、第1屈曲点B1を基準に第2傾斜面61Bより非磁性層20から離れている。図15に示すSOT素子103において、第1屈曲点B1は、導電層64の側面にある。第1屈曲点B1は、第1強磁性層62の側面にあってもよく、第1強磁性層62と導電層64との境界にあってもよい。第1傾斜面61A及び第2傾斜面61Bは、平坦面でも湾曲面でもよい。
第1傾斜面61Aのz方向に対する傾斜角θ1は、第2傾斜面61Bのz方向に対する傾斜角θ2より小さい。非磁性層20の端部e1、配線層60の端部e2及び第1屈曲点B1との位置関係は、磁壁移動素子の場合と同様である。
SOT素子103の場合、非磁性層20の厚みが薄く、第1実施形態に係る磁壁移動素子100と同様の方法では、屈曲点を形成しにくい。SOT素子103の場合は、例えば、配線層60を2段階成膜することで屈曲点を作製する。具体的には、まず屈曲点となる厚みまで、第1層を成膜する。そして第1層を加工し、所定の形状にした後、周囲を絶縁層で埋める。次いで、第1層の上に第2層を成膜し、第2層を加工する。第1層と第2層が合わさって、配線層60となる。成膜及び加工を2段階に行うことで、側面の形状を自由に設計でき、屈曲点を作製できる。
SOT素子103が導電層64に屈曲点B1を有する場合、導電層64を流れる電流の密度が高くなり、第1強磁性層62の磁化M62が反転しやすくなる。またSOT素子103が第1強磁性層62に屈曲点B1を有する場合、屈曲点B1の近傍における磁化M の傾きがその他の部分と異なる。そのため、屈曲点B1近傍の磁化M62が磁化反転のきっかけとなって磁化反転が進み、第1強磁性層62の磁化M62が反転しやすくなる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、第1実施形態から第3実施形態における特徴的な構成をそれぞれ組み合わせてもよい。また第2屈曲点B2が磁気記録層14と第1強磁性層12との境界に位置する場合を例示したが、第2屈曲点B2の位置はこの位置に限られない。また上記では、屈曲点が一つ又は二つの場合を例示したが、屈曲点の数は二つより多くてもよい。
図6及び図7に示すように、下地層86、強磁性層84、強磁性層82、非磁性層83、強磁性層85を順に積層し、イオンビーム87、88を2回に分けて照射し、磁壁移動素子を作製した。磁壁移動素子は、非磁性層83の厚みを変えて、複数種類作製した。非磁性層83は、MgOとした。得られた磁壁移動素子のRA及び動作電流を求めた。以下、その結果を表1示す。
Figure 0007052922000001
比較例1及び2は、非磁性層の厚みが薄く、図6及び図7に示す方法で屈曲点を形成することが難しかった。また比較例1及び2は、RAが低く、磁壁移動素子(例えば、ニューロモーフィックデバイスとして用いる場合)には適していなかった。
実施例1は屈曲点を形成できたが、屈曲点を挟む第1傾斜面と第2傾斜面との傾斜角の差が小さかった。そのため、動作電流の低減効果は、実施例2~5より小さかった。また実施例1は、磁壁移動素子に適用できる最低限のRAを有していた。
実施例2~4は、明確な屈曲点を形成でき、動作電流の低減効果も十分得られた。また実施例2~4は、磁壁移動素子に適用するのに適したRAを有していた。
実施例5は、明確な屈曲点を形成でき、動作電流の低減効果も十分得られた。一方で、実施例5の磁壁移動素子は、RAが大きかった。
10、15、60、80 配線層
11、13、61、81 側面
11A、61A 第1傾斜面
11B、61B 第2傾斜面
11C 第3傾斜面
12、62 第1強磁性層
12A、14A 第1磁区
12B、14B 第2磁区
14 磁気記録層
16、86 下地層
17 磁壁
20 非磁性層
30 第2強磁性層
40 第1導電層
50 第2導電層
64 導電層
82、84、85 強磁性層
83 非磁性層
87、88 イオンビーム
90 絶縁層
100、100A、100B、100C、100D、101、102 磁壁移動素子
110 第1スイッチング素子
120 第2スイッチング素子
130 第3スイッチング素子
200 磁気記録アレイ
B1 第1屈曲点
B2 第2屈曲点
e1、e2 端部
L1、L2、L3 距離

Claims (20)

  1. 第1方向に延び、強磁性体を含む配線層と、
    前記配線層に対して第2方向に積層された非磁性層とを、備え、
    前記配線層は、前記第1方向と直交する切断面において、前記第2方向に対して傾斜する側面を有し、
    前記側面は、前記第2方向に対する傾斜角が不連続となる屈曲点を一つ以上有し、
    前記屈曲点のうち前記非磁性層から最も離れた位置にある第1屈曲点を挟んで、前記非磁性層から遠い第1傾斜面の前記傾斜角は、前記非磁性層に近い第2傾斜面の前記傾斜角より小さい、磁気素子。
  2. 前記配線層は、前記非磁性層に近い位置から第1強磁性層、磁気記録層、非磁性の下地層を順に有する、請求項1に記載の磁気素子。
  3. 前記配線層は、前記非磁性層に近い位置から第1強磁性層、導電層を順に有する、請求項1に記載の磁気素子。
  4. 前記第1屈曲点は、前記第1強磁性層の側面に位置する、請求項2又は3に記載の磁気素子。
  5. 前記第1屈曲点は、前記磁気記録層の側面に位置する、請求項2に記載の磁気素子。
  6. 前記第1屈曲点は、前記下地層の側面に位置する、請求項2に記載の磁気素子。
  7. 前記第1屈曲点は、前記導電層の側面に位置する、請求項3に記載の磁気素子。
  8. 前記第1屈曲点は、前記第1強磁性層と前記磁気記録層との境界に位置する、請求項2に記載の磁気素子。
  9. 前記第1屈曲点は、前記磁気記録層と前記下地層との境界に位置する、請求項2に記載の磁気素子。
  10. 前記第1屈曲点は、前記第1強磁性層と前記導電層との境界に位置する、請求項3に記載の磁気素子。
  11. 前記第1方向と直交する切断面における前記第1方向及び第2方向と直交する第3方向において、前記非磁性層の端部と前記第1屈曲点との距離は、前記配線層の端部との前記第1屈曲点との距離より長い、請求項1~10のいずれか一項に記載の磁気素子。
  12. 前記第1方向と直交する切断面において、前記非磁性層の端部と前記第1屈曲点との前記第2方向における距離は、前記配線層の端部と前記第1屈曲点との前記第2方向における距離より長い、請求項1~11のいずれか一項に記載の磁気素子。
  13. 前記屈曲点のうち前記第1屈曲点の次に前記非磁性層から離れた位置にある第2屈曲点を挟んで、前記非磁性層から遠くに位置する第2傾斜面の前記傾斜角は、前記非磁性層の近くに位置する第3傾斜面の前記傾斜角より大きい、請求項1~12のいずれか一項に記載の磁気素子。
  14. 前記屈曲点は、前記第1屈曲点の次に前記非磁性層から離れた位置に第2屈曲点をさらに備え、
    前記第1方向と直交する切断面における前記第1方向及び第2方向と直交する第3方向において、前記第1屈曲点と前記第2屈曲点との距離は、前記配線層の端部と前記第1屈曲点との距離より長い、請求項11に記載の磁気素子。
  15. 前記第1方向と直交する切断面において、前記第1屈曲点と前記第2屈曲点との前記第2方向における距離は、前記配線層の端部と前記第1屈曲点との前記第2方向における距離より長い、請求項13又は14に記載の磁気素子。
  16. 前記第1屈曲点は前記第1方向に延びる、請求項1~15のいずれか一項に記載の磁気素子。
  17. 前記非磁性層の抵抗面積積(RA)が1×10Ωμm以上である、請求項2に記載の磁気素子。
  18. 前記非磁性層の厚みが2.0nm以上である、請求項2に記載の磁気素子。
  19. 前記配線層の前記非磁性層と反対側の面に、絶縁層をさらに備える、請求項1~18のいずれか一項に記載の磁気素子。
  20. 前記非磁性層の前記配線層と反対側に、第2強磁性層をさらに備える、請求項1~18のいずれか一項に記載の磁気素子を複数有する、磁気記録アレイ。
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