以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
図1は、本実施形態に係る飛行システムの模式図である。図1に示すように、本実施形態に係る飛行システム1は、飛行体10と地上設備12とを有している。飛行体10は、本実施形態では、地上Gから打ち上げられて宇宙空間に到達し、宇宙空間を航行するロケットである。飛行体10は、打ち上げられるまで、すなわち離陸するまでは、地上Gに待機しており、地上設備12に接続されている。地上設備12は、地上Gに設けられた設備であり、言い換えれば、飛行体10の外部に設けられている。飛行体10は、地上設備12からの制御により、燃料の充填などの離陸準備や、離陸前の点検などがなされる。図1に示すように、飛行体10は、離陸準備が完了したら、地上設備12と切り離されて、地上Gから打ち上げられて離陸し、上空及び宇宙空間を航行する。
図2、図3A及び図3Bは、本実施形態に係る制御システムの模式的なブロック図である。図2に示すように、飛行体10は、制御システム14を備えている。制御システム14は、飛行体10に設けられる機器の集合体であり、飛行体10の離陸(打ち上げ)及び航行を制御する。図2に示すように、制御システム14は、制御機器22と、複数の動作機器24と、第1データ収集機器32と、第2データ収集機器34と、第1無線通信部42と、第2無線通信部44と、第1ネットワーク52と、第2ネットワーク54と、制御ネットワーク60と、信号線66、68とを有している。また、地上設備12は、地上制御機器12Aを備えている。地上制御機器12Aは、制御システム14と共に、システム16を構成している。なお、制御機器22と動作機器24とは、飛行体を動作させるための機器20であるということができる。
ここで、図2は、飛行体10の離陸前の状態、すなわち地上Gに待機している状態を示しており、さらに言えば、飛行体10の打ち上げ準備を行っている準備状態の状態を示している。図2に示すように、準備状態においては、飛行体10が、地上設備12に接続された状態となっている。飛行体10は、準備状態で打ち上げ準備が完了した後、離陸前状態に切り替わり、離陸前状態に切り替わった後、地上設備12から切り離されて離陸し、フライト状態となる。図3Aは、離陸前状態、言い換えれば、打ち上げの準備が完了して、実際に打ち上げを開始する際の状態を示す。また、図3Bは、フライト状態、言い換えれば、離陸後の状態、すなわち航行している状態を示している。図3Bに示すように、離陸後においては、飛行体10が、地上設備12から切り離された状態となっている。
(準備状態での制御)
最初に、図2に基づき、準備状態での制御システム14の制御について説明する。図2に示すように、第1ネットワーク52は、飛行体10内に設けられる有線のネットワークであり、全ての機器20と第1データ収集機器32とを接続している。より詳しくは、第1ネットワーク52は、制御機器22と、それぞれの動作機器24と、第1データ収集機器32とに接続されることで、制御機器22と、動作機器24と、第1データ収集機器32とを相互に接続している。また、第1ネットワーク52は、準備状態を含む離陸前においては、コネクタC1、C2を介して、地上制御機器12Aにも接続されている。すなわち、第1ネットワーク52は、離陸前の地上待機時においては、制御機器22と、動作機器24と、第1データ収集機器32と、地上制御機器12Aとを、相互に接続している。
第1ネットワーク52は、有線のネットワーク、すなわち回線であり、より詳しくは、イーサネット(登録商標)である。ただし、第1ネットワーク52は、有線のネットワークであれば、イーサネットに限られないし、さらに言えば有線のネットワークに限られず、無線のネットワークであってよい。
また、図2に示すように、第2ネットワーク54は、飛行体10内に設けられる有線のネットワークであり、全ての機器20と第2データ収集機器34とを接続している。より詳しくは、第2ネットワーク54は、制御機器22と、それぞれの動作機器24と、第2データ収集機器34とに接続されることで、制御機器22と、動作機器24と、第2データ収集機器34とを相互に接続している。また、第2ネットワーク54は、準備状態を含む離陸前においては、コネクタC1、C2を介して、地上制御機器12Aにも接続されている。第2ネットワーク54は、離陸前の地上待機時においては、制御機器22と、動作機器24と、第2データ収集機器34と、地上制御機器12Aとを、相互に接続している。
第2ネットワーク54は、第1ネットワーク52に対し非接続のネットワークであり、言い換えれば、第1ネットワーク52に対して独立している。第2ネットワーク54は、有線のネットワーク、すなわち回線であり、より詳しくは、イーサネットである。ただし、第2ネットワーク54は、有線のネットワークであれば、イーサネットに限られないし、さらに言えば有線のネットワークに限られず、無線のネットワークであってよい。以下、第1ネットワーク52と第2ネットワーク54とを区別しない場合は、ネットワーク50と記載する。
図2に示すように、地上制御機器12Aは、地上設備12に設けられている。地上制御機器12Aは、準備状態において、ネットワーク50を介して制御システム14に接続されており、制御システム14を制御している。本実施形態では、地上制御機器12Aは、演算装置、すなわちCPU(Central Processing Unit)や、記憶部などを備えたコンピュータシステムである。例えば、地上制御機器12Aは、複数台のコンピュータ、シーケンサ、及びプログラマブルコントローラなどの装置を有する複合的なシステムであるが、1台の装置で構成されていてもよい。地上制御機器12Aは、飛行体10の制御に特化されたコンピュータシステムであることが好ましい。なお、地上制御機器12Aは、準備状態において、制御システム14を制御するが、離陸前状態及びフライト状態においては、制御システム14を制御しない。
より詳しくは、地上制御機器12Aは、準備状態において、ネットワーク50を介して、制御機器22及び動作機器24に制御コマンドを出力して、制御機器22及び動作機器24に制御コマンドに基づく動作を実行させる。地上制御機器12Aは、所定の周期毎に、制御機器22及び動作機器24に制御コマンドを出力する。制御コマンドとは、制御システム14が備える各機器(制御機器22、動作機器24、第1データ収集機器32、及び第2データ収集機器34)が実行する動作内容が記載された信号である。なお、地上制御機器12Aは、第1ネットワーク52及び第2ネットワーク54の両方を用いて制御コマンドを出力しているが、第1ネットワーク52及び第2ネットワーク54のいずれかを用いて制御コマンドを出力してもよい。
制御機器22は、飛行体10内に設けられて、動作機器24を制御するための機器である。本実施形態では、制御機器22は、演算装置、すなわちCPU(Central Processing Unit)や、記憶部などを備えたコンピュータシステムである。制御機器22は、飛行体10の制御に特化されたコンピュータであることが好ましい。例えば、制御機器22は、複数台のコンピュータ、シーケンサ、及びプログラマブルコントローラなどの装置を有する複合的なシステムであるが、一台の装置で構成されていてもよい。なお、制御機器22は、準備状態においては、航行及び離陸の制御を動作機器24に対して行わず、後述する離陸前状態において、離陸の制御を動作機器24に対して行い、後述するフライト状態において、航行の制御を作機器24に対して行う。なお、制御機器22は、準備状態において、例えば燃料の充填作業など、離陸及び航行の準備のための制御を、動作機器24に対して行う。
図2に示すように、動作機器24は、飛行体10内に設けられて、制御コマンドで指示された動作を実行することで、飛行体10を作動させる機器である。動作機器24は、準備状態においては、地上制御機器12Aから、ネットワーク50を介して制御コマンドを受信する。動作機器24は、受信した制御コマンドに基づいて、飛行体10の打ち上げ準備を実行する。動作機器24は、所定の周期毎に受信した制御コマンドにより、所定の周期毎に動作内容を更新する。動作機器24としては、例えば、飛行体10の燃料を燃焼するエンジンや、飛行体10の姿勢を制御する機器などが挙げられる。なお、図2の例では、動作機器24は3つであったが、動作機器24の数はそれに限られない。
図2の例では、制御機器22が1つであり、また、1つの動作を行う(1種類の)動作機器24も、それぞれ1つである。ただし、制御システム14は、同じ機能の制御機器22を、複数(例えば2つ)設けてもよいし、同じ動作を行う動作機器24を、それぞれ複数(例えば2つづつ)設けてもよい。この場合、1つの制御機器22及び1つの動作機器24が、通常用いられる機器となり、他の1つの制御機器22及び他の1つの動作機器24が、バックアップ用の機器となる。このように、機器20(制御機器22及び動作機器24)は、冗長性を有してもよい。
第1データ収集機器32は、準備状態において、第1ネットワーク52を介して、制御機器22及び動作機器24からモニタデータを収集する。第1データ収集機器32は、所定の周期毎に、モニタデータを取得する。モニタデータは、制御機器22及び動作機器24の状況を示すデータであり、例えば、制御機器22が出力した制御コマンドの内容を示すデータや、動作機器24のステータス(動作状態)を示すデータである。詳しくは後述するが、モニタデータとしては、定常モニタデータと、解析用モニタデータとがある。
また、第1データ収集機器32は、準備状態において、第1ネットワーク52を介して、地上制御機器12Aに、収集したモニタデータを送信する。第1データ収集機器32は、収集したモニタデータを、所定の周期毎に送信する。地上制御機器12Aは、逐次取得したモニタデータにより、機器20の状態を把握し、それに基づき、機器20に送信する制御コマンドを決定して送信する。なお、第1データ収集機器32は、モニタデータの収集と送付との方式は、所定の周期毎に行うものに限られず、例えばイベント駆動型など、任意の方式であってよい。また、第1データ収集機器32は、モニタデータに基づき、収集や送信の周期を可変に設定できるようにしてもよい。
さらに、第1データ収集機器32は、準備状態において、第1無線通信部42を介した無線通信によっても、地上制御機器12Aに、収集したモニタデータを送信する。第1データ収集機器32は、収集したモニタデータを、所定の周期毎に送信する。すなわち、第1データ収集機器32は、準備状態において、第1ネットワーク52を介して、収集したモニタデータを地上制御機器12Aに送信しつつ、無線通信を介して、同じモニタデータを地上制御機器12Aに送信する。
より詳しくは、第1無線通信部42は、信号線66を介して第1データ収集機器32に接続されたアンテナと送信機とを有する装置である。第1無線通信部42は、地上制御機器12Aと無線通信可能に構成されている。第1データ収集機器32は、収集したモニタデータを、信号線66を介して第1無線通信部42に出力する。第1データ収集機器32は、第1無線通信部42に出力したモニタデータを、無線通信を介して、地上制御機器12Aに送信する。なお、信号線66は、有線の回線であるが、ネットワーク50と接続されていない。
図2に示すように、第2データ収集機器34は、準備状態において、第2ネットワーク54を介して、制御機器22及び動作機器24からモニタデータを収集する。第2データ収集機器34は、所定の周期毎に、逐次モニタデータを取得する。すなわち、第2データ収集機器34は、第1データ収集機器32と同じ機能を有する機器であり、第1データ収集機器32と同じデータを収集する。ただし、第2データ収集機器34は、第1データ収集機器32と接続されておらず、第1データ収集機器32のデータの収集経路(第1ネットワーク52)と異なる経路である第2ネットワーク54を介して、データを収集する。このように、第2データ収集機器34は、第1データ収集機器32のバックアップ用の機器であるといえる。
第2データ収集機器34は、準備状態において、第2ネットワーク54を介して、地上制御機器12Aに、収集したモニタデータを送信する。第2データ収集機器34は、収集したモニタデータを、所定の周期毎に送信する。ただし、第2データ収集機器34も、第1データ収集機器32と同様に、モニタデータの収集と送付との方式は、所定の周期毎に行うものに限られず、例えばイベント駆動型など、任意の方式であってよい。また、第2データ収集機器34は、モニタデータに基づき、収集や送信の周期を可変に設定できるようにしてもよい。
さらに、第2データ収集機器34は、準備状態において、第2無線通信部44を介した無線通信によっても、地上制御機器12Aに収集したモニタデータを送信する。第2データ収集機器34は、収集したモニタデータを、所定の周期毎に送信する。すなわち、第2データ収集機器34は、準備状態において、第2ネットワーク54を介して、収集したモニタデータを地上制御機器12Aに送信しつつ、無線通信を介して、同じモニタデータを地上制御機器12Aに送信する。
より詳しくは、第2無線通信部44は、信号線68を介して、第2データ収集機器34に接続されたアンテナと送信機とを有する装置である。第2無線通信部44は、地上制御機器12Aと無線通信可能に構成されている。第2データ収集機器34は、収集したモニタデータを、信号線68を介して第2無線通信部44に出力する。第2データ収集機器34は、第2無線通信部44に出力したモニタデータを、無線通信を介して、地上制御機器12Aに送信する。なお、信号線68は、有線の回線であるが、ネットワーク50及び信号線66と接続されていない。
このように、第2データ収集機器34は、第1データ収集機器32と同じモニタデータを収集し、そのモニタデータを地上制御機器12Aに送信する。ただし、制御機器22及び動作機器24が冗長性を有している場合、第1データ収集機器32は、通常用いられる制御機器22及び動作機器24からモニタデータを取得し、第2データ収集機器34は、第1データ収集機器32がモニタデータを収集したものとは別の、バックアップ用の制御機器22及び動作機器24から、モニタデータを取得してもよい。
以下、第1データ収集機器32と第2データ収集機器34とを互いに区別しない場合は、データ収集機器30と記載する。そして、第1無線通信部42と第2無線通信部44とを互いに区別しない場合は、無線通信部40と記載する。データ収集機器30は、第1データ収集機器32と第2データ収集機器34との2つを有することで、冗長性を備えている。データ収集機器30は、ネットワーク50を介して、制御機器22及び動作機器24からモニタデータを収集するといえる。そして、データ収集機器30は、準備状態において、ネットワーク50を介して、収集したモニタデータを地上制御機器12Aに送信しつつ、無線通信部40を介した無線通信により、収集したモニタデータを地上制御機器12Aに送信するといえる。
(離陸前状態での制御)
次に、図3Aに基づき、離陸前状態での制御システム14の制御について説明する。図3Aは、飛行体10の離陸前の状態を示しており、飛行体10が自律的に離陸しようとしている状態である。
制御機器22は、準備状態においては、離陸及び航行のための制御を動作機器24に対して行っていなかったが、離陸前状態においては、動作機器24の離陸のための制御を行う。制御機器22は、離陸前状態において、制御ネットワーク60を介して動作機器24に制御コマンドを出力して、動作機器24に制御コマンドに基づく動作を実行させる。制御機器22は、所定の周期毎に、動作機器24に制御コマンドを送信する。制御ネットワーク60は、第1制御ネットワーク62と、第2制御ネットワーク64とを有する。第1制御ネットワーク62は、全ての機器20と第1データ収集機器32とを接続するネットワークであるが、第1ネットワーク52とは異なり、地上制御機器12Aとは接続可能となっておらず、地上制御機器12Aと接続されていないし、第1ネットワーク52及び第2ネットワーク54にも接続されていない。同様に、第2制御ネットワーク64は、全ての機器20と第2データ収集機器34とを接続するネットワークであるが、第2ネットワーク54とは異なり、地上制御機器12Aとは接続可能となっておらず、地上制御機器12Aと接続されていないし、第1ネットワーク52及び第2ネットワーク54にも接続されていない。また、第1ネットワーク62と第2制御ネットワーク64とも接続されていない。また、制御ネットワーク60、すなわち第1制御ネットワーク62と第2制御ネットワーク64とは、ネットワーク50及び信号線66、64にも接続されておらず、ネットワーク50及び信号線66、64に対して独立している。すなわち、制御ネットワーク60、すなわち第1制御ネットワーク62と第2制御ネットワーク64とは、互いに別々の通信経路を形成しており、ネットワーク50及び信号線66、64に対しても、別の通信経路を形成している。このように、制御機器22は、離陸前状態における動作機器24の制御に、ネットワーク50を用いず、別経路の制御ネットワーク60を用いる。また、制御機器22は、上述の準備状態における動作機器24の制御にも、ネットワーク50を用いず、別経路の制御ネットワーク60を用いる。なお、制御ネットワーク60、すなわち第1制御ネットワーク62と第2制御ネットワーク64とは、例えばイーサネットなどの有線の信号線、さらに言えば有線のネットワークであるが、無線のネットワークであってよい。また、第2制御ネットワーク64は、第1制御ネットワーク62のバックアップ用のネットワークであり、通常は、第1制御ネットワーク62が用いられ、第2制御ネットワーク64は用いられなくてもよい。
動作機器24は、離陸前状態において、制御機器22から、制御ネットワーク60を介して制御コマンドを受信する。動作機器24は、受信した制御コマンドに基づいて、飛行体10を離陸させる。動作機器24は、所定の周期毎に受信した制御コマンドにより、所定の周期毎に動作内容を更新する。
第1データ収集機器32は、離陸前状態においても、第1ネットワーク52を介して、制御機器22及び動作機器24からモニタデータを収集する。第1データ収集機器32は、所定の周期毎に、逐次モニタデータを取得する。
第1データ収集機器32は、離陸前状態において、第1無線通信部42を介した無線通信によって、地上制御機器12Aに収集したモニタデータを送信する。第1データ収集機器32は、収集したモニタデータを、所定の周期毎に送信する。さらに、第1データ収集機器32は、離陸前状態において、第1ネットワーク52を介して、地上制御機器12Aに収集したモニタデータを送信する。すなわち、第1データ収集機器32は、離陸前状態においてモニタデータを地上制御機器12Aに送信する際に、第1ネットワーク52と、第1無線通信部42を介した無線通信との両方を用いる。このように離陸前状態でも第1ネットワーク52の通信を用い続けることで、例えば離陸直前まで、離陸中止の要否判断を、適切に行うことができる。
第2データ収集機器34は、離陸前状態においても、第2ネットワーク54を介して、制御機器22及び動作機器24からモニタデータを収集する。第2データ収集機器34は、所定の周期毎に、逐次モニタデータを取得する。
第2データ収集機器34は、離陸前状態において、第2無線通信部44を介した無線通信によって、地上制御機器12Aに収集したモニタデータを送信する。第2データ収集機器34は、収集したモニタデータを、所定の周期毎に送信する。さらに、第2データ収集機器34は、離陸前状態において、第2ネットワーク54を介して、地上制御機器12Aに収集したモニタデータを送信する。すなわち、第2データ収集機器34は、離陸前状態においてモニタデータを地上制御機器12Aに送信する際に、第2ネットワーク54と、第2無線通信部44を介した無線通信との両方を用いる。このように、第2データ収集機器34は、離陸前状態においても、第1データ収集機器32と同じモニタデータを収集し、収集したモニタデータを、地上制御機器12Aに送信する。
このように、データ収集機器30は、離陸前状態において、ネットワーク50と無線通信との両方により、収集したモニタデータを地上制御機器12Aに送信するといえる。
(フライト状態での制御)
次に、図3Bに基づき、フライト状態での制御システム14の制御について説明する。図3Bは、飛行体10の離陸後の状態を示しており、飛行体10が自律的に航行している状態である。図3Bに示すように、離陸後の航行時においては、飛行体10が、地上設備12から切り離された状態となっている。
図3Bに示すように、第1ネットワーク52は、離陸時に、コネクタC1とコネクタC2との接続が解除されることで、地上制御機器12Aと切り離される。従って、第1ネットワーク52は、フライト状態においては、制御システム14(制御機器22及び動作機器24及び第1データ収集機器32)と、地上制御機器12Aとの接続が解除され、制御システム14と地上制御機器12Aとを非接続の状態にする。なお、第1ネットワーク52は、フライト状態(離陸後の航行時)においても、制御機器22と、動作機器24と、第1データ収集機器32との接続を維持している。
また、図3Bに示すように、第2ネットワーク54は、離陸時に、コネクタC1とコネクタC2との接続が解除されることで、地上制御機器12Aと切り離される。従って、第2ネットワーク54は、フライト状態においては、制御システム14(制御機器22及び動作機器24及び第2データ収集機器34)と、地上制御機器12Aとの接続が解除され、制御システム14と地上制御機器12Aとを非接続の状態にする。なお、第2ネットワーク54は、フライト状態(離陸後の航行時)においても、制御機器22と、動作機器24と、第2データ収集機器34との接続を維持している。
制御機器22は、フライト状態においては、動作機器24の航行のための制御を行う。制御機器22は、フライト状態において、制御ネットワーク60を介して動作機器24に制御コマンドを出力して、動作機器24に制御コマンドに基づく動作を実行させる。制御機器22は、所定の周期毎に、動作機器24に制御コマンドを送信する。このように、制御機器22は、フライト状態における動作機器24の制御にも、ネットワーク50を用いず、別経路の制御ネットワーク60を用いる。
動作機器24は、フライト状態において、制御機器22から、制御ネットワーク60を介して制御コマンドを受信する。動作機器24は、受信した制御コマンドに基づいて、飛行体10を航行させる。動作機器24は、所定の周期毎に受信した制御コマンドにより、所定の周期毎に動作内容を更新する。
第1データ収集機器32は、フライト状態においても、第1ネットワーク52を介して、制御機器22及び動作機器24からモニタデータを収集する。第1データ収集機器32は、所定の周期毎に、逐次モニタデータを取得する。
第1データ収集機器32は、フライト状態において、第1無線通信部42を介した無線通信によって、地上制御機器12Aに収集したモニタデータを送信する。第1データ収集機器32は、収集したモニタデータを、所定の周期毎に送信する。ただし、第1データ収集機器32は、フライト状態において、収集したモニタデータを、第1ネットワーク52を介して地上制御機器12Aに出力することはしない。すなわち、第1データ収集機器32は、フライト状態においてモニタデータを地上制御機器12Aに送信する際に、第1ネットワーク52を用いず、第2無線通信部44を介した無線通信を用いる。
第2データ収集機器34は、フライト状態においても、第2ネットワーク54を介して、制御機器22及び動作機器24からモニタデータを収集する。第2データ収集機器34は、所定の周期毎に、逐次モニタデータを取得する。
第2データ収集機器34は、フライト状態において、第2無線通信部44を介した無線通信によって、地上制御機器12Aに収集したモニタデータを送信する。第2データ収集機器34は、収集したモニタデータを、所定の周期毎に送信する。ただし、第2データ収集機器34も、フライト状態において、収集したモニタデータを、第2ネットワーク54を介して地上制御機器12Aに出力することはしない。すなわち、第2データ収集機器34は、フライト状態においてモニタデータを地上制御機器12Aに送信する際に、第2ネットワーク54を用いず、第2無線通信部44を介した無線通信を用いる。このように、第2データ収集機器34は、フライト状態においても、第1データ収集機器32と同じモニタデータを収集し、収集したモニタデータを、地上制御機器12Aに送信する。
このように、データ収集機器30は、フライト状態において、ネットワーク50を介さず、無線通信により、収集したモニタデータを地上制御機器12Aに送信するといえる。以上が、準備状態と離陸前状態とフライト状態とにおける、制御システム14の動作である。
(準備状態からフライト状態への切り替え)
次に、準備状態からフライト状態への切り替えについて説明する。図4は、準備状態からフライト状態への切り替えを説明するフローチャートである。図4に示すように、システム16は、離陸前の準備状態において、地上制御機器12Aが、ネットワーク50を介して動作機器24に制御コマンドを出力して、動作機器24を制御する(ステップS10)。システム16は、地上制御機器12Aによって動作機器24を制御して、飛行体10の打ち上げ(離陸)の準備を行う。また、システム16は、動作機器24を制御しつつ、データ収集機器30により、ネットワーク50を介して、機器20のモニタデータを収集する。そして、データ収集機器30は、ネットワーク50と無線通信とを介して、収集したモニタデータを地上制御機器12Aに送信する。
システム16は、動作機器24を制御した後、打ち上げの準備が完了したかを判断し(ステップS12)、打ち上げの準備が完了したと判断しない場合(ステップS12;No)、すなわち打ち上げの準備が完了しない場合、ステップS10に戻り、飛行体10の打ち上げの準備を続ける。システム16は、打ち上げの準備が完了したと判断した場合(ステップS12;Yes)、準備状態から離陸前状態に切り替える(ステップS14)。この場合、地上制御機器12Aが、制御ネットワーク60を介して、離陸前状態(フライトモード)に切り替える旨の信号を、各機器20に対して送信する。地上制御機器12Aは、機器20毎、すなわち1つの機器ごとに、打ち上げの準備が完了したかを判断し、機器20毎に、離陸前状態に切り替える旨の信号を送信する。システム16は、全ての機器20が離陸前状態に切り替わる旨の信号を受信したら、制御機器22が、ネットワーク50を介して動作機器24に制御コマンドを出力して、動作機器24を制御する(ステップS16)。すなわち、システム16は、離陸前状態に切り替わった際に、動作機器24を制御する主体を、地上制御機器12Aから制御機器22に切り替える。その後、制御機器22は、動作機器24を制御して飛行体10を離陸させて、離陸により、コネクタC1とコネクタC2との接続が解除されたフライト状態となる(ステップS18)。制御機器22は、離陸後には、飛行体10の航行を制御する。すなわち、制御機器22は、飛行体10の打ち上げと、大気中及び宇宙空間における飛行体10の航行とを制御する。
なお、システム16は、離陸前であれば、離陸前状態に切り替わった後に準備状態へ戻すことを可能に設定されていてもよい。この場合、システム16は、地上制御機器12Aと各機器20とを個別に接続する配線が設けられる。すなわち、この配線は、機器20毎に設けられることが好ましい。この配線は、ネットワーク50に接続されず、ネットワーク50から独立されている配線である。地上制御機器12Aは、機器20を準備状態に戻す場合は、準備状態に戻す旨の緊急の信号を、この配線を介して送信する。この信号を受信した機器20は、準備状態に戻る。準備状態からフライト状態への切り替えは、以上のように行われる。
(準備状態における信号の送受信のタイミング)
ここで、システム16は、所定の周期毎に、ネットワーク50を介して、制御コマンドやモニタデータなどの各種信号を送受信する。以下においては、各種信号の送受信のタイミングの例を説明する。
まず、準備状態における信号の送受信について説明する。図5は、準備状態における各種信号の送受信のタイミングチャートである。図5に示すように、システム16は、周期T中の予め定められたタイミング及び順番で、ネットワーク50を介して、各種信号の送受信を行う。そして、システム16は、周期T毎に、各種信号を更新して、各種信号の送受信を続ける。周期Tは、予め定められた期間であり、例えば1/32秒となる。すなわち、システム16は、32Hzの周波数で、各種信号の送受信を行っている。ただし、周期Tの長さは、これに限られず任意である。また、図5では、説明の便宜上、動作機器24の数を1つとしているが、他の動作機器24も、その動作機器24と同じタイミングで信号の送受信を行っている。また、図5では、データ収集機器30も1つとしているが、第1データ収集機器32と第2データ収集機器34との双方が、図5に示したタイミングで信号の送受信を行っている。
図5に示すように、準備状態においては、周期Tの最初のタイミングt0において、制御機器22が、動作機器24とデータ収集機器30(第1データ収集機器32及び第2データ収集機器34)と地上制御機器12Aとに、ネットワーク50を介して、同期信号S1を送信する。動作機器24とデータ収集機器30と地上制御機器12Aとは、制御機器22からの同期信号S1を、ネットワーク50を介して受信する。同期信号S1は、周期Tの始まりのタイミングを示すクロック信号である。なお、図5において、信号が破線で囲まれた機器が、信号を送信する側の機器を指しており、信号が実線で囲まれた機器が、信号を受信する側を指している。すなわち、制御機器22は、同期信号S1が破線で囲まれているので、同期信号S1を送信する側の機器であるといえる。ただし、準備状態においては、地上制御機器12Aが、制御機器22と動作機器24とデータ収集機器30とに、同期信号S1を送信してもよい。
制御機器22は、同期信号S1を送信したら、前回周期のモニタデータの送信準備を行う。すなわち、制御機器22は、同期信号S1を送信したら、1つ前の周期Tにおいて検出したモニタデータを抽出して、データ収集機器30に送信するための準備を始める。動作機器24は、同期信号S1を受信したら、前回周期のモニタデータの送信準備を行う。すなわち、制御機器22は、同期信号S1を受信したら、1つ前の周期Tにおいて検出したモニタデータを抽出して、データ収集機器30に送信するための準備を始める。
地上制御機器12Aは、同期信号S1を受信したことをトリガとして、制御機器22と動作機器24とデータ収集機器30とに、制御コマンドS2を送信する。すなわち、地上制御機器12Aは、同期信号S1を受信した後のタイミングt1において、制御機器22と動作機器24とデータ収集機器30とに、ネットワーク50を介して、制御コマンドS2を送信する。上述のように、制御コマンドS2は、制御システム14が備える各機器(制御機器22、動作機器24及びデータ収集機器30)が実行する動作内容が記載された信号である。さらに言えば、地上制御機器12Aは、制御機器22と各動作機器24とデータ収集機器30と毎に、すなわち1つの機器毎に、個別の制御コマンドS2を生成する。地上制御機器12Aは、それぞれの制御コマンドS2を、各機器に送信する。なお、図5の例では、地上制御機器12Aは、全ての機器に、同じタイミングt2で、制御コマンドS2を送信しているが、制御コマンドS2を送信するタイミングを機器毎にずらしてもよい。
制御機器22は、制御コマンドS2を受信したら、今回の周期Tにおける制御を実行する。すなわち、制御機器22は、制御コマンドS2を受信したら、今回の周期Tにおいて受信した制御コマンドS2で指示された制御の実行を開始する。同様に、動作機器24は、制御コマンドS2を受信したら、今回の周期Tにおける制御を実行する。すなわち、動作機器24は、制御コマンドS2を受信したら、今回の周期Tにおいて受信した制御コマンドS2で指示された制御の実行を開始する。
データ収集機器30は、制御コマンドS2を受信したら、定常モニタデータS3を、地上制御機器12Aに送信する。定常モニタデータS3は、制御機器22及び動作機器24のステータスを示すデータであり、地上制御機器12Aが、周期T毎に定常的に確認するデータである。さらに言えば、定常モニタデータS3は、予め定められたパラメータの計測データであり、周期T毎に同じパラメータ(同じ箇所)を測定したデータであるといえる。従って、制御機器22及び動作機器24は、予め定めたパラメータの測定データである定常モニタデータS3を、周期T毎に検出する。
より詳しくは、データ収集機器30は、制御コマンドS2を受信したことをトリガとして、地上制御機器12Aに定常モニタデータS3aを送信する。定常モニタデータS3aとは、データ収集機器30が前回の周期Tで収集した定常モニタデータS3である。すなわち、データ収集機器30は、制御コマンドS2の受信後のタイミングt2において、ネットワーク50を介して、地上制御機器12Aに定常モニタデータS3aを送信する。後述するように、データ収集機器30は、タイミングt2より後のタイミングで、定常モニタデータS3を受信する。従って、データ収集機器30が送信する定常モニタデータS3aは、データ収集機器30が前回の周期Tで受信した定常モニタデータS3となる。言い換えれば、データ収集機器30は、受信した定常モニタデータS3を、次の周期Tにおけるタイミングt2で、地上制御機器12Aに送信する。なお、上述したように、定常モニタデータS3は、周期T毎に同じパラメータの計測データであるため、定常モニタデータS3のデータサイズは、周期T毎に同じとなる。
また、データ収集機器30は、タイミングt2において、無線通信部40による無線通信を介しても、地上制御機器12Aに定常モニタデータS3aを送信する。すなわち、データ収集機器30は、タイミングt2において、ネットワーク50(図5中の実線矢印)と無線通信(図5中の破線矢印)とを介して、地上制御機器12Aに定常モニタデータS3aを送信する。なお、データ収集機器30は、ネットワーク50での送信と無線通信での送信とを、同じタイミングとしているが、異なるタイミングとしてもよい。
地上制御機器12Aは、データ収集機器30から送信された定常モニタデータS3aを取得し、取得した定常モニタデータS3aに基づき、次の周期Tにおける制御コマンドS2を生成する。
データ収集機器30は、定常モニタデータS3aを送信した後のタイミングt3において、ネットワーク50を介して、制御機器22及び動作機器24に、データ要求信号S3Pを送信する。データ要求信号S3Pは、制御機器22及び動作機器24に、定常モニタデータS3を送信させるトリガとなる信号である。なお、データ収集機器30は、全ての機器20(制御機器22及び動作機器24)に、同じタイミングt3で、データ要求信号S3Pを送信しているが、データ要求信号S3Pを送信するタイミングを機器20毎にずらしてもよい。
制御機器22及び動作機器24は、データ要求信号S3Pを受信したことをトリガとして、ネットワーク50を介して、データ収集機器30に、定常モニタデータS3bを送信する。より詳しくは、制御機器22及び動作機器24は、データ要求信号S3Pを受信したことをトリガとして、それぞれ予め定められたタイミングで、定常モニタデータS3bを送信する。すなわち、定常モニタデータS3bをデータ収集機器30に送信するタイミングは、機器20毎に異なる。図5の例では、タイミングt5で制御機器22が送信し、その後で動作機器24が送信しているが、予め定められたタイミングで送信されれば、定常モニタデータS3bを送信する順番は、任意である。例えば、制御機器22及び動作機器24は、データ要求信号S3Pをそれぞれ異なるタイミングで受信し、受信したことをトリガとして定常モニタデータS3bを送信することで、それぞれ異なるタイミングで定常モニタデータS3bを送信してもよい。ここで、定常モニタデータS3bは、前回の周期Tで測定された定常モニタデータS3であり、今回の周期Tで同期信号S1の送受信後に、制御機器22及び動作機器24が送信準備を行った定常モニタデータS3である。
データ収集機器30は、ネットワーク50を介して、制御機器22及び動作機器24から、定常モニタデータS3bを順次受信する。データ収集機器30は、次の周期Tのタイミングt2において、受信した定常モニタデータS3bを、地上制御機器12Aに送信する。従って、地上制御機器12Aは、2つ前の周期Tで測定された定常モニタデータS3を受信するといえる。
地上制御機器12Aは、定常モニタデータS3bがデータ収集機器30に受信された後のタイミングt5において、ネットワーク50を介して、制御機器22及び動作機器24に、データ要求信号S4Pを送信する。データ要求信号S4Pは、制御機器22及び動作機器24に、解析用モニタデータS4を送信させるトリガとなる信号である。なお、地上制御機器12Aは、全ての機器20(制御機器22及び動作機器24)に、同じタイミングt6で、データ要求信号S4Pを送信しているが、データ要求信号S4Pを送信するタイミングを機器毎にずらしてもよい。さらに言えば、地上制御機器12Aは、全ての機器20のうち、どの機器20に対してデータ要求信号S4Pを送信するか、任意に決定してもよく、この場合、データ要求信号S4Pを送信する機器20は、全ての機器20のうち少なくとも1つであるといえる。
解析用モニタデータS4は、制御機器22及び動作機器24のステータスを示すデータであるが、定常モニタデータS3と異なるデータであり、地上制御機器12Aが、飛行体10の運用完了後(航行終了後)に確認するデータである。すなわち、解析用モニタデータS4は、地上制御機器12Aが周期T毎に確認するデータでは無く、後の解析のために用いるデータである。解析用モニタデータS4の内容は、予め定められたパラメータの計測データでなく、周期T毎にパラメータが異なる場合がある。また、解析用モニタデータS4は、周期T毎に計測されない場合もある。解析用モニタデータS4としては、例えば、航行中の技術データなどが挙げられる。さらに言えば、解析用モニタデータS4は、技術評価を行って機体設計にフィードバックさせるためのデータであるといえる。準備状態における解析用モニタデータS4は、試験データであり、後述のフライト状態における解析用モニタデータS4は、機器20の点検結果を示すデータである。
制御機器22及び動作機器24は、データ要求信号S4Pを受信したことをトリガとして、ネットワーク50を介して、地上制御機器12Aに、解析用モニタデータS4bを送信する。より詳しくは、制御機器22及び動作機器24は、データ要求信号S4Pを受信したことをトリガとして、それぞれ予め定められたタイミングで、解析用モニタデータS4bを送信する。すなわち、解析用モニタデータS4bを地上制御機器12Aに送信するタイミングは、機器20毎に異なる。図5の例では、タイミングt6で制御機器22が送信し、その後で動作機器24が送信しているが、予め定められたタイミングで送信されれば、解析用モニタデータS4bを送信する順番は、任意である。例えば、制御機器22及び動作機器24は、データ要求信号S4Pをそれぞれ異なるタイミングで受信し、受信したことをトリガとして解析用モニタデータS4bを送信することで、それぞれ異なるタイミングで解析用モニタデータS4bを送信してもよい。ここで、解析用モニタデータS4bは、前回の周期Tまでに測定(取得)が完了した解析用モニタデータS4であり、今回の周期Tで同期信号S1の送受信後に、制御機器22及び動作機器24が送信準備を行った解析用モニタデータS4である。
このように、準備状態において、モニタデータのうちの定常モニタデータS3は、データ収集機器30に収集されて、データ収集機器30から地上制御機器12Aに送信される。一方、準備状態において、モニタデータのうちの解析用モニタデータS4は、データ収集機器30を経由せず、機器20から直接、地上制御機器12Aに送信される。
地上制御機器12Aは、ネットワーク50を介して、制御機器22及び動作機器24から、解析用モニタデータS4bを順次受信する。従って、地上制御機器12Aは、1つ以上前の周期Tまでに測定された(測定が完了した)解析用モニタデータS4を受信するといえる。なお、地上制御機器12Aは、次の周期Tの制御コマンドS2の生成に、受信した解析用モニタデータS4を用いない。解析用モニタデータS4は、飛行体10の運行が完全に終わった後などに、次の運行などの解析のために用いられる。また、上述したように、解析用モニタデータS4は、周期T毎に異なるパラメータとなる場合がある。従って、解析用モニタデータS4のデータ量は、周期T毎に異なる場合がある。
地上制御機器12Aが解析用モニタデータS4を受信したら、周期Tは終了し、次の周期Tが開始する。次の周期T以降も、同様の順番で信号の送受信が行われる。すなわち、システム16は、準備状態において、予め定めた周期T毎に、動作機器24及びデータ収集機器30に、ネットワーク50を介して同期信号S1を出力する。そして、制御コマンドS2とモニタデータとは、同期信号S1が出力されるタイミングt0と、その次の周期Tの同期信号S1が出力されるタイミングt0との間の期間に、予め定められた順番で、ネットワーク50を介して送受信されている。システム16は、予め定めた順番やタイミングで、ネットワーク50を介して各種信号を送受信するため、各種信号を適切に送受信することができる。
(フライト状態における信号の送受信のタイミング)
次に、フライト状態における信号の送受信について説明する。図6は、フライト状態における各種信号の送受信のタイミングチャートである。
図6に示すように、フライト状態において、制御機器22は、タイミングt0において、制御機器22が、動作機器24とデータ収集機器30とに、それぞれの制御ネットワーク60を介して、同期信号S1を送信する。すなわち、制御機器22は、フライト状態における信号の送信に、ネットワーク50を使用せず制御ネットワーク60を使用する。
制御機器22は、同期信号S1を送信したら、前回周期のモニタデータの送信準備を行う。すなわち、制御機器22は、同期信号S1を送信したら、1つ前の周期Tにおいて検出したモニタデータを抽出して、データ収集機器30に送信するための準備を始める。動作機器24は、同期信号S1を受信したら、前回周期のデータの送信準備を行う。すなわち、制御機器22は、同期信号S1を受信したら、1つ前の周期Tにおいて検出したモニタデータを抽出して、データ収集機器30に送信するための準備を始める。
データ収集機器30は、同期信号S1を受信したことをトリガとして、前回の周期Tで収集したモニタデータを、地上制御機器12Aに送信する。データ収集機器30は、同期信号S1を受信した後のタイミングt2において、無線通信部40による無線通信で、地上制御機器12Aに定常モニタデータS3aを送信する。
また、フライト状態においては、後述するように、データ収集機器30が、解析用モニタデータS4を取得している。データ収集機器30は、定常モニタデータS3aを送信した後のタイミングt2aにおいて、無線通信部40による無線通信で、地上制御機器12Aに解析用モニタデータS4aを送信する。地上制御機器12Aは、データ収集機器30から無線通信で送信された定常モニタデータS3aと解析用モニタデータS4aとを、取得する。
データ収集機器30は、定常モニタデータS3a及び解析用モニタデータS4aを送信した後のタイミングt3において、ネットワーク50を介して、制御機器22及び動作機器24に、データ要求信号S3Pを送信する。制御機器22及び動作機器24は、データ要求信号S3Pを受信したら、準備状態と同様のそれぞれのタイミング(タイミングt4以降)で、ネットワーク50を介して、データ収集機器30に、定常モニタデータS3bを送信する。データ収集機器30は、ネットワーク50を介して、制御機器22及び動作機器24から、定常モニタデータS3bを順次受信する。
データ収集機器30は、定常モニタデータS3bを受信した後のタイミングt5において、ネットワーク50を介して、制御機器22及び動作機器24に、データ要求信号S4Pを送信する。データ収集機器30は、全ての機器20(制御機器22及び動作機器24)に、同じタイミングt6で、データ要求信号S4Pを送信しているが、データ要求信号S4Pを送信するタイミングを機器毎にずらしてもよい。
制御機器22及び動作機器24は、データ要求信号S4Pを受信したことをトリガとして、ネットワーク50を介して、データ収集機器30に、解析用モニタデータS4bを送信する。より詳しくは、制御機器22及び動作機器24は、データ要求信号S4Pを受信したことをトリガとして、準備状態と同様のそれぞれのタイミングで、解析用モニタデータS4bを送信する。このように、フライト状態における解析用モニタデータS4bの送信タイミングは、準備状態と同じである。しかし、フライト状態においては、解析用モニタデータS4bの送信先が、準備状態と異なり、データ収集機器30となる。なお、データ収集機器30は、このタイミングで取得した解析用モニタデータS4bを、次の周期Tのタイミングt2aにおいて、地上制御機器12Aに送信する。
また、制御機器22は、タイミングt4aにおいて、動作機器24に、それぞれの制御ネットワーク60を介して、制御コマンドS2を送信する。タイミングt4aは、定常モニタデータS3bを送信したタイミングt4と、解析用モニタデータS4bを送信するタイミングとの間のタイミングである。ただし、タイミングt4aは、同期信号S1の送信のタイミングt0より後であれば、任意のタイミングでよい。
動作機器24は、制御コマンドS2を受信したら、今回の周期Tにおける制御を実行する。すなわち、動作機器24は、制御コマンドS2を受信したら、今回の周期Tにおいて受信した制御コマンドS2で指示された制御の実行を開始する。
データ収集機器30が解析用モニタデータS4bを受信したら、周期Tは終了し、次の周期Tが開始する。次の周期T以降も、同様の順番で信号の送受信が行われる。すなわち、システム16は、フライト状態においても、予め定めた周期T毎に、動作機器24及びデータ収集機器30に、ネットワーク50を介して同期信号S1を出力する。そして、制御コマンドS2とモニタデータとは、同期信号S1が出力されるタイミングt0と、その次の周期Tの同期信号S1が出力されるタイミングt0との間の期間に、予め定められた順番で、ネットワーク50を介して送受信されている。
また、準備状態及びフライト状態も両方において、各種信号は、タイミングt1からタイミングt7のそれぞれのタイミングにおいて、送信されている。すなわち、システム16は、ネットワーク50を用いて信号の送受信を行う際に、各種信号の送信の順番及びタイミングを予め定めており、各種信号の送信の順番及びタイミングを、周期T毎に同じとしている。さらに、ネットワーク50は、固有のプロトコルが用いられている。従って、ネットワーク50を用いて通信する際に、信号の種類が多くなり過ぎることが抑制されて、確実に必要な信号の送受信が可能となる。
なお、離陸前状態においては、定常モニタデータS3aと解析用モニタデータS4aとを、無線通信に加え、ネットワーク50で行う点以外は、図6と同様に信号の送受信が行われる。ネットワーク50で定常モニタデータS3aと解析用モニタデータS4aとを送信するタイミングは、それぞれタイミングt4とタイミングt6とであることが好ましい。
以上説明したように、本実施形態に係る制御システム14は、飛行体10を制御する制御システムであって、複数の機器20と、データ収集機器30と、ネットワーク50とを有する。機器20は、飛行体10に設けられて、飛行体10を動作させる。データ収集機器30は、飛行体10に設けられて、機器20からのデータであるモニタデータを収集する。ネットワーク50は、複数の機器20とデータ収集機器30とを接続するネットワークである。ネットワーク50は、飛行体10の地上待機時において、飛行体10の外部に設けられる地上設備12に接続され、飛行体10の航行時に、地上設備12から切り離される。機器20は、飛行体10の地上待機時において、ネットワーク50を介して、地上設備12から、機器20を制御するための制御コマンドS2を受信する。データ収集機器30は、飛行体10の地上待機時において、ネットワーク50を介して、機器20からモニタデータを受信して、受信したモニタデータを、ネットワーク50を介して地上設備12に送信し、飛行体10の航行時において、ネットワーク50を介して、機器20からモニタデータを受信して、受信したモニタデータを、ネットワーク50とは異なる通信経路である無線通信により、地上設備12に送信する。
ここで、飛行体10は、離陸前の地上待機時には、地上設備12によって、離陸の準備のための制御がなされる。従って、飛行体10は、地上設備12と有線通信するためのインターフェイスを備える必要がある。しかし、飛行体10は、離陸後の航行時には、地上設備12と切り離されるため、自身で自律的に制御を行う。そのため、地上設備12と有線通信するためのインターフェイスは、離陸後には不要となる。それに対し、本実施形態に係る制御システム14は、地上設備とのインターフェイスとして、ネットワーク50を備える。ネットワーク50は、離陸前においては、飛行体10の機器20及びデータ収集機器30と、地上設備12とに接続される。そして、離陸前において、ネットワーク50は、地上設備12からの制御コマンドを、機器20まで伝達する。そして、離陸前において、ネットワーク50は、機器20のモニタデータを、データ収集機器30まで伝達し、データ収集機器30が収集したモニタデータを、地上設備12まで伝達する。さらに、離陸後においては、ネットワーク50は、機器20のモニタデータを、データ収集機器30まで伝達する。
このように、本実施形態に係るネットワーク50は、離陸前は、モニタデータと制御コマンドとの通信に用いられ、さらに、離陸後においても、データ収集機器30へのモニタデータの伝達に用いられる。従って、このネットワーク50は、地上設備とのインターフェイス以外の機能も保持することとなり、離陸後も用いられる。従って、本実施形態に係る制御システム14は、離陸後にデータ収集機器30へのモニタデータの伝達する配線を、別途設けることが不要となり、重量の増加を抑制することができる。さらに、このようなネットワーク50を用いて通信を行うことで、飛行体10を適切に制御することができる。従って、本実施形態に係る制御システム14によると、飛行体10を適切に制御しつつ、重量の増加を抑制することができる。
また、機器20は、飛行体10を動作させる動作機器24と、動作機器24を制御する制御機器22と、を有している。動作機器24は、飛行体10の航行時において、ネットワーク50と異なる通信経路である有線の制御ネットワーク60を介して、制御コマンドS2を前記動作機器24に出力することで、動作機器24を動作させる。この制御システム14は、離陸後においては、制御機器22によって動作機器24を制御することで、適切に自律航行が可能となる。さらに、制御機器22は、モニタデータの伝達に用いるネットワーク50と異なる通信経路で、動作機器24を制御する。この制御システム14は、制御が複雑となる自律航行において、専用の配線で制御を行うことで、より正確な航行制御が可能となる。
また、制御機器22又は地上設備12は、予め定めた周期T毎に、動作機器24及びデータ収集機器30に、ネットワーク50を介して同期信号S1を出力する。制御コマンドS2とモニタデータとは、同期信号S1が出力されるタイミングt0とその次の同期信号S1が出力されるタイミングt0との間の期間に、予め定められた順番で、ネットワーク50を介して送受信される。制御システム14は、予め定めた順番で、ネットワーク50を介して各種信号を送受信するため、各種信号を適切に送受信することができる。特に、飛行体10が宇宙空間を航行する場合、高い安全性が要求されるため、制御やモニタリングのための信号を、確実に送受信する必要が、特に高くなる。このような場合に、予め定めた順番で、ネットワーク50を介して各種信号を送受信することで、信号を確実に送受信することができ、安全性を高めることができる。
また、データ収集機器30は、飛行体10の地上待機時において、受信したモニタデータを、無線通信によっても地上設備12に送信する。この制御システム14は、モニタデータを地上設備12に送信する際に、ネットワーク50と無線通信との両方を使用する。すなわち、制御システム14は、同じモニタデータを、ネットワーク50と無線通信との両方を用いて送信する。従って、この制御システム14は、ネットワーク50から送信されたモニタデータと無線通信で送信されたモニタデータを照合することで、ネットワーク50と無線通信とが適切に送信可能な状態になっているかを確認することができる。従って、この制御システム14によると、信号を確実に送受信することができる。
また、データ収集機器30は、飛行体10内に複数設けられる。ネットワーク50は、第1ネットワーク52と第2ネットワーク54とを有する。第1ネットワーク52は、第1データ収集機器32と機器20とに接続される。第2ネットワーク54は、第2データ収集機器34と機器20とに接続され、第1ネットワーク52に接続されない。この制御システム14は、ネットワークとデータ収集機器を複数有することで、適切に冗長性を持たせることができる。なお、データ収集機器30は、必ずしも複数設けられなくてもよく、同様に、ネットワーク50も、必ずしも複数設けられなくてもよい。
また、飛行体10は、宇宙空間を航行するロケットである。そして、飛行体10は、制御システム14を備える。従って、この飛行体10は、適切に航行可能となりつつ、重量の増加を抑制することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。