JP7047652B2 - 感放射線性樹脂組成物およびその用途 - Google Patents
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Description
[1]同一のまたは異なる重合体中に、芳香環と当該芳香環に直接結合したアルコキシシリル基とを含む構造単位(I)、および酸性基を含む構造単位(II)を有する重合体成分(A)と、感放射線性化合物(B)と、有機溶媒(D)と、水(E)とを含有し、前記水(E)の含有量が10wtppm以上800wtppm以下であることを特徴とする感放射線性樹脂組成物。
[2]前記水(E)の含有量が550wtppm以下である前記[1]の感放射線性樹脂組成物。
[3]前記水(E)の含有量が250wtppm以下である前記[1]または[2]の感放射線性樹脂組成物。
[4]前記重合体成分(A)が、前記構造単位(I)および前記構造単位(II)から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する重合体と同一のまたは異なる重合体中に、架橋性基を含む構造単位(III)をさらに有する前記[1]~[3]のいずれか1項の感放射線性樹脂組成物。
[5]前記構造単位(I)が、置換又は非置換の、ベンゼン環、ナフタレン環またはアントラセン環と、当該環に直接結合した-SiR3で表される基(前記Rは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、またはアルコキシ基であり;但し、前記Rの少なくとも1つは、アルコキシ基である)とを含む構造単位である前記[1]~[4]のいずれか1項の感放射線性樹脂組成物。
[6]ポジ型である前記[1]~[5]のいずれか1項の感放射線性樹脂組成物。
[7]前記[1]~[6]のいずれか1項の感放射線性樹脂組成物から形成された、パターン化された硬化膜。
[8]層間絶縁膜である前記[7]のパターン化された硬化膜。
[9]前記[1]~[6]のいずれか1項の感放射線性樹脂組成物の塗膜を基板上に形成する工程(1)と、前記塗膜の一部に放射線を照射する工程(2)と、放射線が照射された前記塗膜を現像する工程(3)と、現像された前記塗膜を加熱する工程(4)とを有する、パターン化された硬化膜の製造方法。
[10]前記[7]または[8]のパターン化された硬化膜を備える半導体素子。
[11]前記[10]の半導体素子を備える表示装置。
[感放射線性樹脂組成物]
本発明の感放射線性樹脂組成物(以下「本発明の組成物」ともいう)は、同一のまたは異なる重合体中に、芳香環と当該芳香環に直接結合したアルコキシシリル基とを含む構造単位(I)、および酸性基を含む構造単位(II)を有する重合体成分(A)と、感放射線性化合物(B)と、有機溶媒(D)と、水(E)とを含有する。
重合体成分(A)は、同一のまたは異なる重合体中に構造単位(I)および構造単位(II)を有する。構造単位(I)および(II)は、それぞれ、同一の重合体に含まれていてもよく、異なる重合体に含まれていてもよい。
構造単位(I)は、芳香環と、当該芳香環に直接結合したアルコキシシリル基とを含む。芳香環に直接結合したアルコキシシリル基とは、アルコキシシリル基におけるケイ素原子が芳香環の環炭素原子に結合していることを意味する。
アルコキシシリル基は、-SiR3で表される基が好ましい。前記Rは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、またはアルコキシ基である。但し、前記Rの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つ全てが、アルコキシ基である。構造単位(I)において、芳香環に直接結合したアルコキシシリル基数は、通常は1~9、好ましくは1~7、より好ましくは1~5、さらに好ましくは1である。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基が挙げられる。アルキル基の炭素数は、好ましくは1~12、より好ましくは1~6、さらに好ましくは1~3である。メチル基がより好ましい。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基が挙げられる。アルコキシ基の炭素数は、好ましくは1~6、より好ましくは1~3である。メトキシ基およびエトキシ基がより好ましく、メトキシ基がさらに好ましい。
-SiR3で表される基としては、具体的には、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリプロポキシシリル基、ジメトキシヒドロキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシエチルシリル基、メトキシジメチルシリル基が好ましい。
構造単位(I)としては、例えば、式(1)で表される構造単位が挙げられる。
構造単位(I)としては、例えば、式(I-1)~(I-20)で表される構造単位が挙げられる。
構造単位(II)は、酸性基を有する。例えば、重合体成分(A)は、構造単位(I)を有する重合体と同一のまたは異なる重合体中に、構造単位(II)を有することができる。構造単位(II)は、1種の構造単位であっても、複数種の構造単位であってもよい。構造単位(II)により、重合体成分(A)の現像液に対する溶解性を高めたり、硬化反応性を高めたりすることができる。
前記不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α-クロロアクリル酸、ケイ皮酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸;コハク酸モノ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]、フタル酸モノ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]等の2価以上の多価カルボン酸のモノ[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]エステルが挙げられ、好ましくは不飽和モノカルボン酸、より好ましくは(メタ)アクリル酸である。
重合体成分(A)は、架橋性基を含む構造単位(III)をさらに有することが好ましい。例えば、重合体成分(A)は、構造単位(I)および/または(II)を有する重合体と同一のまたは異なる重合体中に、構造単位(III)を有することができる。構造単位(III)は、1種の構造単位であっても、複数種の構造単位であってもよい。構造単位(III)により、硬化反応性や得られるパターン膜の耐熱性を高めることができる。
重合体成分(A)は、構造単位(I)~(III)以外の構造単位(IV)をさらに有してもよい。例えば、重合体成分(A)は、構造単位(I)~(III)のいずれか一つ以上を有する重合体と同一のまたは異なる重合体中に、構造単位(IV)を有することができる。構造単位(IV)は、1種の構造単位であっても、複数種の構造単位であってもよい。構造単位(IV)により、重合体成分(A)のガラス転移温度を調整し、熱硬化時のメルトフロー性や得られるパターン膜の機械的強度、耐薬品性を向上させることができる。
N-置換マレイミド化合物としては、例えば、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-tert-ブチルマレイミド等のN-アルキル基置換マレイミド;N-シクロヘキシルマレイミド等のN-シクロアルキル基置換マレイミド;N-フェニルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-(9-アクリジニル)マレイミド、N-ヒドロキシフェニルマレイミド等のN-芳香環含有基置換マレイミドが挙げられる。
重合体成分(A)における全構造単位に対する構造単位(I)の含有割合の下限としては、10質量%が好ましく、20質量%がより好ましく、25質量%がさらに好ましい。一方、この上限としては、80質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、60質量%がさらに好ましい。このような態様であると、本発明の組成物は、より良好な感放射線特性を発揮しつつ、得られるパターン膜の耐熱性をより向上させることができる。
なお、構造単位(I)および(II)を有する共重合体というときは、同一の重合体が構造単位(I)および(II)を有することを意味する。その他の共重合体についても同様である。
重合体成分(A)は、例えば所定の各構造単位に対応する単量体を、ラジカル重合開始剤を使用し、適当な重合溶媒中で重合することにより製造できる。なお、通常、重合の際の各単量体の配合比は、得られる重合体成分(A)において、対応する構造単位の含有割合と一致する。また、重合体成分(A)としては、複数種の重合体をそれぞれ合成し、その後、これらの複数種の重合体を混合して用いることもできる。
重合時間は、通常は30分~8時間である。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)が挙げられる。ラジカル重合開始剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合溶媒が調製される感放射線性樹脂組成物中の有機溶媒(D)と同じ場合、上記重合で得られた重合体溶液をそのまま用いたり、得られた重合体溶液に有機溶媒(D)を追加したりすることで、感放射線性樹脂組成物の調製に供してもよい。この場合、得られる組成物中の水(E)の含有量を低減するために、重合溶媒として後述する方法を用いて乾燥させた有機溶媒を用いることもできる。
重合体成分(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、1,000~30,000が好ましい。また、重合体成分(A)のMwとGPC法によるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、1~3が好ましい。
感放射線性化合物(B)(以下「成分(B)」ともいう)としては、例えば、放射線照射を含む処理によって酸を発生する化合物である感放射線性酸発生剤、放射線照射を含む処理によって塩基を発生する化合物である感放射線性塩基発生剤が挙げられ、前記酸発生剤が好ましい。放射線としては、例えば、紫外線、遠紫外線、可視光線、X線、電子線が挙げられる。前記処理としては、成分(B)の種類によっては放射線照射のみでよく、また水接触処理が必要な場合もある。
具体例としては、BASF社製のIrgacure PAG121が挙げられる。
本発明の組成物において、成分(B)の含有量は、重合体成分(A)100質量部に対して、通常は0.05~30質量部、好ましくは0.05~26質量部、より好ましくは0.05~20質量部である。
密着助剤(C)(以下「成分(C)」ともいう)は、得られるパターン膜と基板との接着性を向上させる成分である。成分(C)としては、カルボキシ基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、オキシラニル基、オキセタニル基、メルカプト基等の反応性官能基を有する官能性シランカップリング剤が好ましい。官能性シランカップリング剤としては、例えば、トリメトキシシリル安息香酸、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-エチル-3-オキセタニルメトキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランが挙げられる。
成分(C)を用いる場合の、本発明の組成物中の成分(C)の含有量は、重合体成分(A)100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましい。
本発明の組成物は、重合体成分(A)および成分(B)の他、他の成分をさらに含有することができる。他の成分としては、例えば、酸化防止剤、界面活性剤、架橋性化合物および重合開始剤から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
有機溶媒(D)としては、本発明の組成物が含有する各成分を均一に溶解または分散し、上記各成分と反応しない有機溶媒が用いられる。
本発明の組成物中の有機溶媒(D)の含有割合は、通常は5~95質量%、好ましくは10~90質量%、より好ましくは15~85質量%である。
本発明の組成物は、水(E)を含有する。
本発明の組成物における水(E)の含有量は、800wtppm以下であり、好ましくは550wtppm以下、より好ましくは250wtppm以下である。また、水(E)の含有量は、10wtppm以上であり、好ましくは15wtppm以上、より好ましくは20wtppm以上、さらに好ましくは200wtppm以上である。水(E)の含有量は、カールフィッシャー水分量計を用いて測定することができる。水(E)の含有量が前記上限値以下であると、保存安定性や金属配線腐食耐性、後述するPCDマージンに優れる。水(E)の含有量が前記下限値未満であると、放射線感度が低下し、また後述するPEDマージンが小さくなる傾向にある。
本発明の組成物は、例えば、重合体成分(A)、成分(B)、および必要に応じて成分(C)、その他の成分を所定の割合で混合し、有機溶媒(D)に溶解して調製する。調製した感放射線性樹脂組成物は、例えば孔径0.2μm程度のフィルタで濾過することが好ましい。
本発明の組成物は、良好な感放射線特性を発揮し放射線感度に優れ、また保存安定性に優れている。前記組成物を用いることにより、解像度が高く、金属配線に対する腐食性が低く、基板に対する密着性に優れるパターン膜を得ることができる。特に前記組成物は、後述する実施例に記載のPCD(Post Coating Delay)マージンおよびPED(Post Exposure Delay)マージンが大きく、パターン膜の不良率を下げて歩留りを向上させることができ、製造作業性に優れている。
本発明のパターン膜は、本発明の組成物から形成される。前記パターン膜としては、例えば、層間絶縁膜、スペーサー、保護膜、カラーフィルタ用着色パターン膜等の半導体素子用硬化膜が挙げられる。前記パターン膜の製造方法としては、好ましくは下記製造方法が挙げられる。前記パターン膜の膜厚は、通常は0.1~10μm、好ましくは0.5~5μm、より好ましくは0.5~3μmである。
本発明のパターン膜の製造方法は、本発明の組成物の塗膜を基板上に形成する工程(1)と、前記塗膜の一部に放射線を照射する工程(2)と、放射線が照射された前記塗膜を現像する工程(3)と、現像された前記塗膜を加熱する工程(4)とを有する。
工程(1)では、本発明の組成物を用い、基板上に塗膜を形成する。具体的には、溶液状の前記組成物を基板表面に塗布し、好ましくはプレベークを行うことにより有機溶媒(D)を除去して塗膜を形成する。
プレベークの条件としては、各含有成分の種類、含有割合等によっても異なるが、例えば、60~130℃で30秒間~10分間程度とすることができる。形成される塗膜の膜厚は、プレベーク後の値として、0.1~10μmが好ましい。
工程(2)では、前記塗膜の一部に放射線を照射する。具体的には、工程(1)で形成した塗膜に所定のパターンを有するマスクを介して放射線を照射する。このとき用いられる放射線としては、例えば、紫外線、遠紫外線、可視光線、X線、電子線が挙げられる。紫外線としては、例えば、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、i線(波長365nm)が挙げられる。これらの放射線のうち、紫外線が好ましく、紫外線の中でもg線、h線およびi線のいずれか一つ以上を含む放射線がより好ましい。放射線の露光量としては、0.1~10,000J/m2が好ましい。高感度化のために、放射線照射前に、塗膜を水等の液体でぬらしてもよい。
工程(3)では、放射線が照射された前記塗膜を現像する。具体的には、工程(2)で放射線が照射された塗膜に対して、現像液を用いて現像を行って、ポジ型の場合は放射線の照射部分を、ネガ型の場合は放射線の未照射部分を除去する。高感度化のために、現像前に、塗膜を水等の液体でぬらしてもよい。
工程(4)では、現像された前記塗膜を加熱する。これにより、重合体成分(A)の硬化反応を促進して、硬化膜を形成することができる。加熱方法としては、例えば、オーブンやホットプレート等の加熱装置を用いて加熱する方法が挙げられる。加熱温度は、例えば120~250℃である。加熱時間は、加熱機器の種類により異なるが、例えば、ホットプレート上で加熱処理を行う場合には5~40分、オーブン中で加熱処理を行う場合には10~80分である。
以上のようにして、目的とするパターン膜を基板上に形成することができる。パターン膜におけるパターンの形状としては、凹凸構造を有する形状であれば特に限定されないが、例えば、ライン・アンド・スペースパターン、ドットパターン、ホールパターン、格子パターンが挙げられる。
本発明の半導体素子は、前記パターン膜、好ましくは前記パターン膜からなる層間絶縁膜を備えている。前記層間絶縁膜は、半導体素子中の配線間を絶縁する膜として機能する。本発明の半導体素子は、公知の方法を用いて製造することができる。本発明の半導体素子は、前記パターン膜を備えているため、表示素子、発光ダイオード(LED)、太陽電池等の電子デバイスに好適に用いることができる。
本発明の表示装置は、前記半導体素子を備えている。本発明の表示装置は、前記半導体素子を備えているため、表示装置として実用面で要求される一般的特性を満足する。本発明の表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置が挙げられる。
[重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)]
重合体のMwおよびMnは、下記方法により測定した。
・測定方法:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法
・装置:昭和電工社のGPC-101
・GPCカラム:島津ジーエルシー社のGPC-KF-801、GPC-KF-802、
GPC-KF-803およびGPC-KF-804を結合
・移動相:テトラヒドロフラン
・カラム温度:40℃
・流速:1.0mL/分
・試料濃度:1.0質量%
・試料注入量:100μL
・検出器:示差屈折計
・標準物質:単分散ポリスチレン
[単量体]
共重合体の合成で用いた単量体は以下のとおりである。
《構造単位(I)を与える単量体》
・STMS:スチリルトリメトキシシラン
・SDMS:スチリルジメトキシヒドロキシシラン
・STES:スチリルトリエトキシシラン
・TMSPhMA:トリメトキシシリルフェニルメタクリレート
・VNTMS:ビニルナフチルトリメトキシシラン
・VNDMS:ビニルナフチルジメトキシヒドロキシシラン
《構造単位(II)を与える単量体》
・MA:メタクリル酸
・HFA:1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-(4-ビニルフェニル)-プロパン-2-オール
・MI:マレイミド
《構造単位(III)を与える単量体》
・OXMA:OXE-30(大阪有機化学工業社製)
(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレート
・GMA:メタクリル酸グリシジル
・VBG:p-ビニルベンジルグリシジルエーテル
・ECHMA:3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート
・EDCPMA:メタクリル酸[3,4-エポキシトリシクロ(5.2.1.02,6)デカン-9-イル]
《構造単位(IV)を与える単量体》
・MMA:メタクリル酸メチル
・EMA:メタクリル酸エチル
・PMI:N-フェニルマレイミド
・MPTS:3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
[合成例1]重合体成分(A-1)の合成
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)10部およびモレキュラーシーブス4A(和光純薬工業社製)を用いて水分量50wtppmに乾燥させたプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200部を仕込んだ。引き続き、スチリルトリメトキシシラン30部、メタクリル酸10部、メタクリル酸グリシジル30部、およびメタクリル酸メチル30部を仕込み、窒素置換した後、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度を5時間保持することにより、重合体成分(A-1)を含有する重合体溶液を得た。この重合体溶液の固形分濃度は34.1質量%であり、重合体成分(A-1)のMwは11,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であった。
表1に示す種類および配合量(質量部)の各成分を用いたこと以外は合成例1と同様の手法にて、重合体成分(A-1)と同等の固形分濃度、重量平均分子量および分子量分布を有する重合体成分又はその構成重合体(A-2)~(A-19)を含む重合体溶液を得た。用いた重合溶媒は、表2および3記載の有機溶媒(D)と同一種である。
感放射線性樹脂組成物の調製に用いた重合体成分(A)、感放射線性化合物(B)、密着助剤(C)および有機溶媒(D)を以下に示す。
《重合体成分(A)》
A-1~A-19:合成例1~19で合成した
重合体成分又は構成重合体(A-1)~(A-19)
《感放射線性化合物(B)》
B-1:トリフルオロメタンスルホン酸-1,8-ナフタルイミド
B-2:Irgacure PAG121(BASF社製)(2-[2-(4-メチルフェニルスルホニルオキシイミノ)]-2,3-ジヒドロチオフェン-3-イリデン]-2-(2-メチルフェニル)アセトニトリル)
B-3:4,4'-[1-[4-[1-[4-ヒドロキシフェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール(1.0モル)と1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリド(2.0モル)との縮合物
B-4:1,1,1-トリ(p-ヒドロキシフェニル)エタン(1.0モル)と1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリド(2.0モル)との縮合物
B-5:N-(2-ニトロベンジルオキシ)カルボニル-N-シクロヘキシルアミン
B-6:トリフルオロメタンスルホン酸オキシムエステル(国際公開第2016/124493号記載のOS17)
B-7:メタンスルホン酸オキシムエステル(国際公開第2016/124493号記載のOS25)
《密着助剤(C)》
C-1:3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン
C-2:2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
《有機溶媒(D)》
D-1:モレキュラーシーブス4A(和光純薬工業社製)を用いて水分量50wtppmに乾燥させたプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
D-2:モレキュラーシーブス4A(和光純薬工業社製)を用いて水分量50wtppmに乾燥させたジエチレングリコールメチルエチルエーテル(EDM)
D-3:ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(EDM)
D-4:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
D-5:水素化カルシウムを用いて蒸留乾燥させたプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
[実施例1]
重合体成分(A-1)を含有する重合体溶液に、重合体成分(A-1)100部(固形分)に相当する量に対して、感放射線性酸発生剤(B-1)1部および密着助剤(C-1)3部を混合し、最終的な固形分濃度が30質量%となるように、モレキュラーシーブス4A(和光純薬工業社製)を用いて水分量50wtppmに乾燥させた有機溶媒(D-1)で希釈した。次いで、孔径0.2μmのメンブランフィルタで濾過して、感放射線性樹脂組成物を調製した。この感放射線性樹脂組成物の水分量をカールフィッシャー水分量計を用いて測定したところ、250wtppmであった。
表2および3に示す種類および配合量(質量部)の各成分を用いたこと以外は実施例1と同様の手法にて、実施例2~23および比較例4~6の感放射線性樹脂組成物を調製した。表2および3に示す種類および配合量(質量部)の各成分を用い、有機溶媒の乾燥処理を省略したこと以外は実施例1と同様の手法にて、比較例1~2の感放射線性樹脂組成物を調製した。
重合体成分(A-10)を含有する重合体溶液に、重合体成分(A-10)100部(固形分)に相当する量に対して、感放射線性酸発生剤(B-1)1部および密着助剤(C-1)3部を混合した後、組成物中の有機溶媒を減圧下で除去した。トルエン10部を加え減圧下で1時間共沸脱水する操作を3回繰り返した後、水素化カルシウムを用いて蒸留乾燥させた有機溶媒(D-5)を用いて固形分濃度が30質量%となるように溶解させた。次いで、孔径0.2μmのメンブランフィルタで濾過して、比較例3の感放射線性樹脂組成物を調製した。この感放射線性樹脂組成物の水分量をカールフィッシャー水分量計を用いて測定したところ、3wtppmであった。
表2および3中、(A)~(C)欄の括弧内の数値は、各成分の配合量(質量部)である。
実施例1~23および比較例1~6の感放射線性樹脂組成物から硬化膜を形成し、以下に説明する手法により、下記項目を評価した。評価結果を表2および3に示す。実施例21ではネガ用パターンマスクを用い、それ以外の例ではポジ用パターンマスクを用いた。
スピンナーを用い、60℃で60秒間HMDS処理したシリコン基板上に感放射線性樹脂組成物を塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして平均膜厚3.0μmの塗膜を形成した。この塗膜に、幅10μmのライン・アンド・スペースパターンを有するパターンマスクを介して、水銀ランプを用いて365nmの紫外線を照射した。次いで、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38質量%水溶液よりなる現像液を用い、25℃で60秒現像処理を行った後、超純水で1分間流水洗浄を行った。このとき、幅10μmのライン・アンド・スペースパターンを形成可能な最小露光量を測定した。この測定値が300J/m2未満の場合に放射線感度が良好であり、300J/m2以上の場合に放射線感度が不良であると評価できる。
調製した感放射線性樹脂組成物を遮光・密閉性の容器に封入した。25℃で7日間経過後容器を開封し、[放射線感度]の測定を行い、7日間保管前後での放射線感度(最小露光量)の増加率を計算した。この値が5%未満の場合をAA、5%以上10%未満の場合をA、10%以上20%未満の場合をB、20%以上の場合または解像に至らなかった場合をCと判定した。AA、AまたはBの場合に保存安定性が良好であり、Cの場合に保存安定性が不良であると評価できる。
スピンナーを用い、HMDS処理を実施していないシリコン基板上に感放射線性樹脂組成物を塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして平均膜厚3.0μmの塗膜を形成した。この塗膜に、幅1~50μmのライン・アンド・スペースパターンを有するパターンマスクを介して、水銀ランプによって365nmにおける露光量が400J/m2の紫外線を照射した。次いで、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38質量%水溶液よりなる現像液を用い、25℃で60秒現像処理を行った後、超純水で1分間流水洗浄を行った。このとき、基板上から剥がれずに残っているライン・アンド・スペースパターンの最少幅を測定した。前記測定値が10μm未満の場合に基板密着性が良好(A)であり、10μm以上15μm未満の場合に基板密着性がやや良好(B)であり、15μm以上の場合または解像に至らなかった場合に基板密着性が不良(C)であると評価できる。
スピンナーを用い、10μm間隔で金属配線がパターニングされたガラス基板上に感放射線性樹脂組成物を塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして平均膜厚3.0μmの塗膜を形成した。次いで、基板外周部の塗膜を除去して金属配線を露出させ、水銀ランプによって365nmにおける積算照射量が9,000J/m2となるように上記塗膜を露光し、露光した基板をクリーンオーブン内にて200℃で30分加熱することにより、基板配線上に絶縁膜を形成した。この基板の金属配線露出部に電極を接続し、絶縁膜に18Vの電圧を印加し、60℃、湿度90%に設定した恒温恒湿槽中で3日間保管後、金属配線の状態を光学顕微鏡を用いて観察した。このとき、金属配線の腐食率(面積基準)が15%未満の場合をA、15%以上25%未満の場合をB、25%以上の場合をCと判定した。金属配線の腐食率がAまたはBの場合に配線腐食耐性が良好であり、Cの場合に配線腐食耐性が不良であると評価できる。
スピンナーを用い、60℃で60秒間HMDS処理したシリコン基板上に感放射線性樹脂組成物を塗布した後、(1a)90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして平均膜厚3.0μmの塗膜を形成し、(2a)この塗膜に、幅10μmのライン・アンド・スペースパターンを有するパターンマスクを介して、水銀ランプを用いて365nmの紫外線を照射し、(3a)紫外線照射後の塗膜に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38質量%水溶液よりなる現像液を用い、25℃で60秒現像処理を行った後、超純水で1分間流水洗浄を行った。なお、PCD(Post Coating Delay)マージン評価の場合は上記(1a)の後、上記(2a)の前に、またPED(Post Exposure Delay)マージン評価の場合は上記(2a)の後、上記(3a)の前に、前記塗膜を室温で1時間放置する工程を加えた。このとき、幅10μmのライン・アンド・スペースパターンを形成可能な最小露光量を測定した。この測定値を[放射線感度]の測定値と比較し、最小露光量の増加率が5%未満の場合をA、5%以上10%未満の場合をB、10%以上の場合または解像に至らなかった場合をCと判定した。AまたはBの場合にPCD、PEDマージンが良好であると評価でき、Cの場合にPCD、PEDマージンが不良であると評価できる。
スピンナーを用い、60℃で60秒間HMDS処理したシリコン基板上に感放射線性樹脂組成物を塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして平均膜厚3.0μmの塗膜を形成した。この塗膜に一辺1~10μmのスクウェアパターンを有するパターンマスクを介して、水銀ランプを用いて365nmの紫外線を、各々[放射線感度]で最適化した最小露光量×1.5倍の露光量で照射した。次いで、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38質量%水溶液よりなる現像液を用い、25℃で60秒現像処理を行った後、超純水で1分間流水洗浄を行った。このとき、スクウェアパターンが形成可能な最小マスクサイズを測定した。この測定値が4μm未満の場合に解像性が良好であり、4μm以上の場合に解像性が不良であると評価できる。
Claims (10)
- 同一のまたは異なる重合体中に、芳香環と当該芳香環に直接結合したアルコキシシリル基とを含む構造単位(I)、および酸性基を含む構造単位(II)を有する重合体成分(A)と、
感放射線性酸発生剤と、
有機溶媒(D)と、
水(E)とを含有し、
前記水(E)の含有量が10wtppm以上800wtppm以下であり、
前記感放射線性酸発生剤が、オキシムスルホネート化合物、オニウム塩、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、およびカルボン酸エステル化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするポジ型感放射線性樹脂組成物。 - 前記水(E)の含有量が550wtppm以下である請求項1のポジ型感放射線性樹脂組成物。
- 前記水(E)の含有量が250wtppm以下である請求項1または2のポジ型感放射線性樹脂組成物。
- 前記重合体成分(A)が、前記構造単位(I)および前記構造単位(II)から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する重合体と同一のまたは異なる重合体中に、架橋性基を含む構造単位(III)をさらに有する請求項1~3のいずれか1項のポジ型感放射線性樹脂組成物。
- 前記構造単位(I)が、置換又は非置換の、ベンゼン環、ナフタレン環またはアントラセン環と、当該環に直接結合した-SiR3で表される基(前記Rは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、またはアルコキシ基であり;但し、前記Rの少なくとも1つは、アルコキシ基である)とを含む構造単位である請求項1~4のいずれか1項のポジ型感放射線性樹脂組成物。
- 請求項1~5のいずれか1項のポジ型感放射線性樹脂組成物から形成された、パターン化された硬化膜。
- 層間絶縁膜である請求項6のパターン化された硬化膜。
- 請求項1~5のいずれか1項のポジ型感放射線性樹脂組成物の塗膜を基板上に形成する工程(1)と、前記塗膜の一部に放射線を照射する工程(2)と、放射線が照射された前記塗膜を現像する工程(3)と、現像された前記塗膜を加熱する工程(4)とを有する、パターン化された硬化膜の製造方法。
- 請求項6または7のパターン化された硬化膜を備える半導体素子。
- 請求項9の半導体素子を備える表示装置。
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