JP7047652B2 - 感放射線性樹脂組成物およびその用途 - Google Patents

感放射線性樹脂組成物およびその用途 Download PDF

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Description

本発明は、感放射線性樹脂組成物およびその用途に関する。
半導体素子には、一般に層間絶縁膜、スペーサー、保護膜、カラーフィルタ用のパターン化された着色膜(本明細書において「着色パターン膜」ともいう)等の硬化膜が用いられている。前記硬化膜の形成材料としては、パターン化された硬化膜(本明細書において「パターン膜」ともいう)を形成するための工程数が少なく、かつ高い表面硬度が得られることから、感放射線性樹脂組成物が広く用いられている。
感放射線性樹脂組成物としては、例えば、カルボキシ基およびエポキシ基を含む共重合体を含有する感放射線性樹脂組成物が知られている(特許文献1参照)。また、アルコキシシリル基を有するラジカル重合性モノマーと、酸性基を有するラジカル重合性モノマーとをラジカル共重合してなるポリマーを含有するポジ型感光性組成物が知られている(特許文献2参照)。
特開2001-354822号公報 特開2013-101240号公報
本発明者らは、芳香環に直接結合したアルコキシシリル基を有する重合体成分と感放射線性化合物とを含有する感放射線性樹脂組成物が放射線感度に優れ、前記組成物を用いることにより解像度に優れるパターン膜を得ることができることを見出した。しかしながら、前記組成物においては、保存安定性および金属配線に対する腐食性が問題となることがある。
本発明の課題は、放射線感度および保存安定性に優れており、解像度が高く金属配線に対する腐食性が低いパターン膜を得ることのできる感放射線性樹脂組成物、パターン膜およびその製造方法、半導体素子、ならびに表示装置を提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、以下の構成を有する感放射線性樹脂組成物により前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば以下の[1]~[11]に関する。
[1]同一のまたは異なる重合体中に、芳香環と当該芳香環に直接結合したアルコキシシリル基とを含む構造単位(I)、および酸性基を含む構造単位(II)を有する重合体成分(A)と、感放射線性化合物(B)と、有機溶媒(D)と、水(E)とを含有し、前記水(E)の含有量が10wtppm以上800wtppm以下であることを特徴とする感放射線性樹脂組成物。
[2]前記水(E)の含有量が550wtppm以下である前記[1]の感放射線性樹脂組成物。
[3]前記水(E)の含有量が250wtppm以下である前記[1]または[2]の感放射線性樹脂組成物。
[4]前記重合体成分(A)が、前記構造単位(I)および前記構造単位(II)から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する重合体と同一のまたは異なる重合体中に、架橋性基を含む構造単位(III)をさらに有する前記[1]~[3]のいずれか1項の感放射線性樹脂組成物。
[5]前記構造単位(I)が、置換又は非置換の、ベンゼン環、ナフタレン環またはアントラセン環と、当該環に直接結合した-SiR3で表される基(前記Rは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、またはアルコキシ基であり;但し、前記Rの少なくとも1つは、アルコキシ基である)とを含む構造単位である前記[1]~[4]のいずれか1項の感放射線性樹脂組成物。
[6]ポジ型である前記[1]~[5]のいずれか1項の感放射線性樹脂組成物。
[7]前記[1]~[6]のいずれか1項の感放射線性樹脂組成物から形成された、パターン化された硬化膜。
[8]層間絶縁膜である前記[7]のパターン化された硬化膜。
[9]前記[1]~[6]のいずれか1項の感放射線性樹脂組成物の塗膜を基板上に形成する工程(1)と、前記塗膜の一部に放射線を照射する工程(2)と、放射線が照射された前記塗膜を現像する工程(3)と、現像された前記塗膜を加熱する工程(4)とを有する、パターン化された硬化膜の製造方法。
[10]前記[7]または[8]のパターン化された硬化膜を備える半導体素子。
[11]前記[10]の半導体素子を備える表示装置。
本発明によれば、放射線感度および保存安定性に優れており、解像度が高く金属配線に対する腐食性が低いパターン膜を得ることのできる感放射線性樹脂組成物、パターン膜およびその製造方法、半導体素子、ならびに表示装置を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
[感放射線性樹脂組成物]
本発明の感放射線性樹脂組成物(以下「本発明の組成物」ともいう)は、同一のまたは異なる重合体中に、芳香環と当該芳香環に直接結合したアルコキシシリル基とを含む構造単位(I)、および酸性基を含む構造単位(II)を有する重合体成分(A)と、感放射線性化合物(B)と、有機溶媒(D)と、水(E)とを含有する。
<重合体成分(A)>
重合体成分(A)は、同一のまたは異なる重合体中に構造単位(I)および構造単位(II)を有する。構造単位(I)および(II)は、それぞれ、同一の重合体に含まれていてもよく、異なる重合体に含まれていてもよい。
《構造単位(I)》
構造単位(I)は、芳香環と、当該芳香環に直接結合したアルコキシシリル基とを含む。芳香環に直接結合したアルコキシシリル基とは、アルコキシシリル基におけるケイ素原子が芳香環の環炭素原子に結合していることを意味する。
感放射線性化合物(B)として後述する感放射線性酸発生剤を用いる場合、本発明の組成物は、構造単位(I)により、高感度のポジ型感放射線特性を発揮することができる。この理由は、以下のように推測される。構造単位(I)は、芳香環に直接結合したアルコキシシリル基を含む。本発明の組成物の塗膜に放射線を照射した際、感放射線性酸発生剤から発生する酸を触媒とした大気中または現像液中の水との加水分解反応によって、アルコキシシリル基からシラノール基(Si-OH)が生じる。シラノール基は芳香環に結合していることから、シラノール基の縮合反応が阻害され、シラノール基が安定化して存在することができる。このため、シラノール基により放射線照射領域のアルカリ現像液に対する溶解性が高まる。このように、本発明の組成物は、ポジ型感放射線特性を発揮することができる。一方、アルコキシシリル基が芳香環に直接結合していない構造の場合、形成されるシラノール基が不安定であり、シロキサンへの縮合が生じる。このため、放射線照射領域が不溶化(ネガ化)し、ポジ型感放射線特性が発揮されない。また、構造単位(I)は、芳香環を含むことにより、得られるパターン膜の耐熱性等の諸特性をより高めることができる。
また、感放射線性化合物(B)として後述する感放射線性塩基発生剤を用いる場合、本発明の組成物は、構造単位(I)により、高感度のネガ型感放射線特性を発揮することができる。これは、本発明の組成物の塗膜に放射線を照射した際、感放射線性塩基発生剤から発生する塩基が触媒となり、ポリシロキサンが形成されるためであると推測される。
構造単位(I)は、1種の構造単位であっても、複数種の構造単位であってもよい。
アルコキシシリル基は、-SiR3で表される基が好ましい。前記Rは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、またはアルコキシ基である。但し、前記Rの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つ全てが、アルコキシ基である。構造単位(I)において、芳香環に直接結合したアルコキシシリル基数は、通常は1~9、好ましくは1~7、より好ましくは1~5、さらに好ましくは1である。
アルコキシシリル基が直接結合した芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環が挙げられ、ベンゼン環およびナフタレン環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
前記芳香環には、前述したアルコキシシリル基以外の置換基が結合していてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基が挙げられる。置換基は1種であっても2種以上であってもよく、ひとつでも複数であってもよい。
以下、前記Rおよび置換基における各基を説明する。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基が挙げられる。アルキル基の炭素数は、好ましくは1~12、より好ましくは1~6、さらに好ましくは1~3である。メチル基がより好ましい。
アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基が挙げられる。アリール基の炭素数は、好ましくは6~20、より好ましくは6~10である。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基が挙げられる。アルコキシ基の炭素数は、好ましくは1~6、より好ましくは1~3である。メトキシ基およびエトキシ基がより好ましく、メトキシ基がさらに好ましい。
前記Rのうちアルコキシ基ではない基としては、アルキル基またはヒドロキシ基が好ましい。
-SiR3で表される基としては、具体的には、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリプロポキシシリル基、ジメトキシヒドロキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシエチルシリル基、メトキシジメチルシリル基が好ましい。
構造単位(I)としては、例えば、式(1)で表される構造単位が挙げられる。
Figure 0007047652000001
式(1)中、RAは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、シアノ基またはトリフルオロメチル基であり、好ましくは水素原子またはメチル基である。R1は、前述した、アルコキシシリル基が直接結合した芳香環であり、Xに前記芳香環が結合している。Xは、単結合または2価の有機基である。
2価の有機基としては、例えば、炭素数1~20の2価の鎖状炭化水素基、炭素数3~20の2価の脂環式炭化水素基、炭素数6~20の2価の芳香族炭化水素基等の2価の炭化水素基;エステル結合(-COO-)、前記2価の炭化水素基とオキシ基(-O-)とが結合してなる基、これらの基を組み合わせた基が挙げられる。
Xとしては、単結合および-COO-*(*は、R1中の芳香環との結合位置を示す)が好ましく、単結合がより好ましい。
構造単位(I)としては、例えば、式(I-1)~(I-20)で表される構造単位が挙げられる。
Figure 0007047652000002
式(I-1)~(I-20)中、RAは、式(1)中のRAと同義である。
《構造単位(II)》
構造単位(II)は、酸性基を有する。例えば、重合体成分(A)は、構造単位(I)を有する重合体と同一のまたは異なる重合体中に、構造単位(II)を有することができる。構造単位(II)は、1種の構造単位であっても、複数種の構造単位であってもよい。構造単位(II)により、重合体成分(A)の現像液に対する溶解性を高めたり、硬化反応性を高めたりすることができる。
酸性基の酸解離定数としては、例えば、pKa≦12が好ましく、pKa≦10がより好ましく、pKa≦8がさらに好ましい。酸性基としては、例えば、炭素原子に結合した水素原子の少なくとも一つが電子求引性基に置換されたヒドロキシアルキル基、窒素原子に結合した水素原子の少なくとも一つが電子求引性基に置換されたアミノ基、カルボキシ基、スルホ基、フェノール性水酸基、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基およびスルホンアミド基から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。電子求引性基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、カルボニル基が挙げられる。酸性基としては、ヒドロキシフッ素化アルキル基、マレイミド基、カルボキシ基、スルホ基、フェノール性水酸基、リン酸基、ホスホン酸基およびホスフィン酸基から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ヒドロキシフッ素化アルキル基、マレイミド基、カルボキシ基およびスルホ基から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。前記酸解離定数は、構造単位(II)を与える単量体における酸性基の25℃、H2O(水)中の酸解離定数として測定することができる。
ヒドロキシフッ素化アルキル基としては、式(2):-C(R2)(R3)OHで表される基が好ましい。前記式中、R2は、フッ素原子または炭素数1~4のフッ素化アルキル基である。R3は、水素原子、フッ素原子、炭素数1~4のアルキル基または炭素数1~4のフッ素化アルキル基である。前記基は、特に良好な現像性や、後述する構造単位(III)中の架橋性基との良好な架橋反応性を発揮することができる。
炭素数1~4のフッ素化アルキル基としては、例えば、ジフルオロメチル基、2,2-ジフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、パーフルオロエチルメチル基、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロブチル基;トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基等のパーフルオロアルキル基が挙げられる。
炭素数1~4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基が挙げられる。
2としては、炭素数1~4のフッ素化アルキル基が好ましく、パーフルオロアルキル基がより好ましく、トリフルオロメチル基がさらに好ましい。R3としては、水素原子、フッ素原子および炭素数1~4のフッ素化アルキル基が好ましく、水素原子および前記フッ素化アルキル基がより好ましく、前記フッ素化アルキル基がさらに好ましく、パーフルオロアルキル基がとりわけ好ましく、トリフルオロメチル基が特に好ましい。このような態様であると、好適な酸性基となるため良好な架橋反応が生じ、耐薬品性等の得られるパターン膜の諸特性をさらに高めることができる。ヒドロキシフッ素化アルキル基含有モノマーとしては、例えば、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-(4-ビニルフェニル)-プロパン-2-オールが挙げられる。
構造単位(II)としては、例えば、不飽和カルボン酸に由来する構造単位、マレイミドに由来する構造単位、ビニルスルホン酸に由来する構造単位が挙げられる。
前記不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α-クロロアクリル酸、ケイ皮酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸;コハク酸モノ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]、フタル酸モノ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]等の2価以上の多価カルボン酸のモノ[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]エステルが挙げられ、好ましくは不飽和モノカルボン酸、より好ましくは(メタ)アクリル酸である。
一実施態様において、アルカリ現像性の観点から、前記不飽和カルボン酸は、芳香環を有しない不飽和カルボン酸であることが好ましく、すなわち、例えば4-ビニル安息香酸および4-ビニルフェニルプロピオン酸等の芳香族不飽和カルボン酸ではないことが好ましい。芳香族不飽和カルボン酸の場合、構造単位(I)と構造単位(II)とでπ-πスタッキング現象が生じ、アルカリ現像性が発現しにくくなることがある。
《構造単位(III)》
重合体成分(A)は、架橋性基を含む構造単位(III)をさらに有することが好ましい。例えば、重合体成分(A)は、構造単位(I)および/または(II)を有する重合体と同一のまたは異なる重合体中に、構造単位(III)を有することができる。構造単位(III)は、1種の構造単位であっても、複数種の構造単位であってもよい。構造単位(III)により、硬化反応性や得られるパターン膜の耐熱性を高めることができる。
架橋性基とは、アルコキシシリル基および酸性基以外の基であって、例えば加熱条件下において同種の基同士(例えばエポキシ基同士)で反応して共有結合を形成することができる基をいう。架橋性基としては、例えば、オキシラニル基(1,2-エポキシ構造)、オキセタニル基(1,3-エポキシ構造)等のエポキシ基、環状カーボネート基、メチロール基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基が挙げられる。これらの中でも、オキシラニル基、オキセタニル基およびメチロール基が好ましく、オキシラニル基およびオキセタニル基がより好ましく、オキシラニル基がさらに好ましい。
オキシラニル基を含む構造単位(III)としては、例えば、式(III-1)~(III-7)、(III-18)で表される構造単位が挙げられる。オキセタニル基を含む構造単位(III)としては、例えば、式(III-8)~(III-11)で表される構造単位が挙げられる。環状カーボネート基を含む構造単位(III)としては、例えば、下記式(III-12)~(III-16)で表される構造単位が挙げられる。メチロール基を含む構造単位(III)としては、例えば、式(III-17)で表される構造単位が挙げられる。
Figure 0007047652000003
式(III-1)~(III-18)中、RCは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基である。
(メタ)アクリロイル基を含む構造単位(III)としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレンジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート等のジ(メタ)アクリレート化合物;トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレート化合物;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等のペンタ(メタ)アクリレート化合物等の単量体に由来する構造単位が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基またはビニル基を含む構造単位(III)としては、例えば、カルボキシ基を含む構造単位にエポキシ基含有不飽和化合物を反応させて得られる構造単位、エポキシ基を含む構造単位に(メタ)アクリル酸を反応させて得られる構造単位、ヒドロキシ基を含む構造単位にイソシアネート基を含む(メタ)アクリル酸エステルまたはビニル化合物を反応させて得られる構造単位、酸無水物を含む構造単位に(メタ)アクリル酸を反応させて得られる構造単位も挙げられる。
《構造単位(IV)》
重合体成分(A)は、構造単位(I)~(III)以外の構造単位(IV)をさらに有してもよい。例えば、重合体成分(A)は、構造単位(I)~(III)のいずれか一つ以上を有する重合体と同一のまたは異なる重合体中に、構造単位(IV)を有することができる。構造単位(IV)は、1種の構造単位であっても、複数種の構造単位であってもよい。構造単位(IV)により、重合体成分(A)のガラス転移温度を調整し、熱硬化時のメルトフロー性や得られるパターン膜の機械的強度、耐薬品性を向上させることができる。
構造単位(IV)を与える単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸鎖状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸脂環含有エステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、N-置換マレイミド化合物、不飽和ジカルボン酸ジエステル、不飽和芳香族化合物が挙げられ、その他、ビシクロ不飽和化合物、テトラヒドロフラン骨格、フラン骨格、テトラヒドロピラン骨格またはピラン骨格を有する不飽和化合物、その他の不飽和化合物を挙げることもできる。
(メタ)アクリル酸鎖状アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸n-ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸n-ステアリルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸脂環含有エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル、(メタ)アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボロニルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アリールエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルが挙げられる。
N-置換マレイミド化合物としては、例えば、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-tert-ブチルマレイミド等のN-アルキル基置換マレイミド;N-シクロヘキシルマレイミド等のN-シクロアルキル基置換マレイミド;N-フェニルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-(9-アクリジニル)マレイミド、N-ヒドロキシフェニルマレイミド等のN-芳香環含有基置換マレイミドが挙げられる。
不飽和ジカルボン酸ジエステルとしては、例えば、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチルが挙げられる。不飽和芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、p-メトキシスチレン、α-メチル-p-ヒドロキシスチレンが挙げられる。その他の不飽和化合物としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニルが挙げられる。
これらの中でも、構造単位(IV)としては、(メタ)アクリル酸鎖状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸脂環含有エステル、N-置換マレイミド化合物、および不飽和芳香族化合物に由来する構造単位が好ましい。
《各構造単位の含有割合》
重合体成分(A)における全構造単位に対する構造単位(I)の含有割合の下限としては、10質量%が好ましく、20質量%がより好ましく、25質量%がさらに好ましい。一方、この上限としては、80質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、60質量%がさらに好ましい。このような態様であると、本発明の組成物は、より良好な感放射線特性を発揮しつつ、得られるパターン膜の耐熱性をより向上させることができる。
重合体成分(A)における全構造単位に対する構造単位(II)の含有割合の下限としては、3質量%が好ましく、5質量%がより好ましく、7質量%がさらに好ましく;この上限としては、50質量%が好ましく、40質量%がより好ましく、30質量%がさらに好ましい。このような態様であると、本発明の組成物は、より良好な感放射線特性を発揮しつつ、得られるパターン膜の諸特性等をより向上させることができる。
重合体成分(A)が構造単位(III)を有する場合、重合体成分(A)における全構造単位に対する構造単位(III)の含有割合の下限としては、5質量%が好ましく、10質量%がより好ましく、20質量%がさらに好ましく;この上限としては、70質量%が好ましく、60質量%がより好ましい。このような態様であると、本発明の組成物は、感放射線性特性や、得られるパターン膜の諸特性をよりバランスよく高めることができる。
重合体成分(A)が構造単位(IV)を有する場合、重合体成分(A)における全構造単位に対する構造単位(IV)の含有割合の下限としては、5質量%が好ましく、10質量%がより好ましく;この上限としては、50質量%が好ましく、40質量%がより好ましい。このような態様であると、耐薬品性等を効果的に向上させることができる。
重合体成分(A)は、例えば、NMR分析により測定した各構造単位の含有量が上記要件を満たす限り、1種の重合体からなってもよく、2種以上の重合体からなってもよい。2種以上の重合体からなる場合(ブレンド物)は、ブレンド物全体に対する各構造単位の含有割合(測定値)が上記要件を満たしていればよい。
重合体成分(A)としては、例えば、構造単位(I)および(II)を有する共重合体、構造単位(I)を有する重合体と構造単位(II)を有する重合体との混合物、構造単位(I)、(II)および(III)を有する共重合体、構造単位(I)および(II)を有する共重合体と構造単位(III)を有する重合体との混合物、構造単位(I)を有する重合体と構造単位(II)および(III)を有する重合体との混合物、構造単位(I)を有する重合体と構造単位(II)を有する重合体と構造単位(III)を有する重合体との混合物が挙げられる。前記の重合体または共重合体は、さらに構造単位(IV)を有してもよい。
なお、構造単位(I)および(II)を有する共重合体というときは、同一の重合体が構造単位(I)および(II)を有することを意味する。その他の共重合体についても同様である。
また、構造単位(I)および(II)を有する共重合体と、構造単位(II)および(III)を有する共重合体との混合物など、異なる重合体中に、同種の構造単位が含まれるものであってもよい。前記の共重合体は、さらに構造単位(IV)を有してもよい。
重合体成分(A)としては、構造単位(I)および(II)を有する共重合体が好ましく、構造単位(I)、(II)および(III)を有する共重合体がより好ましく、構造単位(I)、(II)、(III)および(IV)を有する共重合体がさらに好ましい。また、保存安定性の観点からは、構造単位(I)および(II)を有する共重合体の方が、構造単位(I)を有する重合体と構造単位(II)を有する重合体との混合物よりも好ましい。その他の混合物の場合も、保存安定性の観点からは、対応する構造単位を有する共重合体の方が当該混合物よりも好ましい。
《重合体成分(A)の合成方法》
重合体成分(A)は、例えば所定の各構造単位に対応する単量体を、ラジカル重合開始剤を使用し、適当な重合溶媒中で重合することにより製造できる。なお、通常、重合の際の各単量体の配合比は、得られる重合体成分(A)において、対応する構造単位の含有割合と一致する。また、重合体成分(A)としては、複数種の重合体をそれぞれ合成し、その後、これらの複数種の重合体を混合して用いることもできる。
重合温度は、通常は30~180℃とすることができる。
重合時間は、通常は30分~8時間である。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)が挙げられる。ラジカル重合開始剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合溶媒としては、例えば、後述する有機溶媒(D)として列挙した有機溶媒が挙げられる。重合溶媒は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合溶媒が調製される感放射線性樹脂組成物中の有機溶媒(D)と同じ場合、上記重合で得られた重合体溶液をそのまま用いたり、得られた重合体溶液に有機溶媒(D)を追加したりすることで、感放射線性樹脂組成物の調製に供してもよい。この場合、得られる組成物中の水(E)の含有量を低減するために、重合溶媒として後述する方法を用いて乾燥させた有機溶媒を用いることもできる。
《重合体成分(A)の物性、含有割合》
重合体成分(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、1,000~30,000が好ましい。また、重合体成分(A)のMwとGPC法によるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、1~3が好ましい。
本発明の組成物の全固形分に占める重合体成分(A)の含有量の下限は、50質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、90質量%がさらに好ましく;この上限は、99質量%が好ましく、97質量%がより好ましい。このような態様であると、本発明の組成物は感放射線性特性や得られるパターン膜の諸特性(例:解像度)をより効果的に高めることができる。なお、全固形分とは、有機溶媒(D)および水(E)以外の全成分をいう。
<感放射線性化合物(B)>
感放射線性化合物(B)(以下「成分(B)」ともいう)としては、例えば、放射線照射を含む処理によって酸を発生する化合物である感放射線性酸発生剤、放射線照射を含む処理によって塩基を発生する化合物である感放射線性塩基発生剤が挙げられ、前記酸発生剤が好ましい。放射線としては、例えば、紫外線、遠紫外線、可視光線、X線、電子線が挙げられる。前記処理としては、成分(B)の種類によっては放射線照射のみでよく、また水接触処理が必要な場合もある。
本発明の組成物から形成される塗膜に対する放射線照射処理等によって、成分(B)に基づき照射部に酸または塩基が発生し、この酸または塩基の作用に基づき重合体成分(A)のアルカリ現像液への溶解性が変わる。
感放射線性酸発生剤としては、例えば、オキシムスルホネート化合物、オニウム塩、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、カルボン酸エステル化合物、キノンジアジド化合物が挙げられる。
オキシムスルホネート化合物、オニウム塩、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物およびカルボン酸エステル化合物の具体例としては、例えば、特開2014-157252号公報の段落[0078]~[0106]や国際公開第2016/124493号に記載された化合物が挙げられ、これらの酸発生剤は本明細書に記載されているものとする。また、これらの酸発生剤とキノンジアジド化合物とを併用することもできる。
オキシムスルホネート化合物について例示すると、例えば、(5-プロピルスルホニルオキシイミノ-5H-チオフェン-2-イリデン)-(2-メチルフェニル)アセトニトリル、(5-オクチルスルホニルオキシイミノ-5H-チオフェン-2-イリデン)-(2-メチルフェニル)アセトニトリル、(カンファースルホニルオキシイミノ-5H-チオフェン-2-イリデン)-(2-メチルフェニル)アセトニトリル、(5-p-トルエンスルホニルオキシイミノ-5H-チオフェン-2-イリデン)-(2-メチルフェニル)アセトニトリル、(2-[2-(4-メチルフェニルスルホニルオキシイミノ)]-2,3-ジヒドロチオフェン-3-イリデン]-2-(2-メチルフェニル)アセトニトリル)、2-(オクチルスルホニルオキシイミノ)-2-(4-メトキシフェニル)アセトニトリルが挙げられる。
具体例としては、BASF社製のIrgacure PAG121が挙げられる。
スルホンイミド化合物について例示すると、例えば、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(カンファスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(4-メチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(2-トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(4-フルオロフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N-(カンファスルホニルオキシ)フタルイミド、N-(2-トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N-(2-フルオロフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N-(カンファスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、4-メチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、トリフルオロメタンスルホン酸-1,8-ナフタルイミドが挙げられる。
キノンジアジド化合物としては、例えば、ナフトキノンジアジド化合物が挙げられ、フェノール性水酸基を1つ以上有する化合物と、1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドまたは1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸アミドとの縮合物である。
フェノール性水酸基を1つ以上有する化合物の具体例としては、例えば、特開2014-186300号公報の段落[0065]~[0070]に記載された化合物が挙げられ、これらの化合物は本明細書に記載されているものとする。1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとしては、1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドが好ましく、1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸クロリド、1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリドがより好ましい。1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸アミドとしては、2,3,4-トリアミノベンゾフェノン-1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸アミドが好ましい。
キノンジアジド化合物の具体例としては、例えば、4,4'-ジヒドロキシジフェニルメタン、2,3,4,2',4'-ペンタヒドロキシベンゾフェノン、トリ(p-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1-トリ(p-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、1,3-ビス[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]ベンゼン、1,4-ビス[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]ベンゼン、4,6-ビス[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]-1,3-ジヒドロキシベンゼンおよび4,4'-[1-[4-[1-[4-ヒドロキシフェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノールから選ばれる化合物と、1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸クロリドまたは1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリドとのエステル化合物が挙げられる。
感放射線性塩基発生剤としては、放射線照射によりアミンを発生する塩基発生剤が好ましい。前記アミンとしては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミンが挙げられ、また1官能アミン、多官能アミンのいずれでもよい。
放射線照射によりアミンを発生する塩基発生剤としては、例えば、オルトニトロベンジルカルバメート化合物、α,α-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジルカルバメート化合物、その他のカルバメート化合物、アシルオキシイミノ化合物、コバルトアミン錯体が挙げられる。放射線照射によりアミンを発生する塩基発生剤の具体例としては、例えば、特開2017-097378号公報の段落[0104]~[0105]、特開2017-133006号公報の段落[0045]に記載された化合物が挙げられ、これらの化合物は本明細書に記載されているものとする。
感放射線性塩基発生剤の具体例としては、例えば、[〔(2,6-ジニトロベンジル)オキシ〕カルボニル]シクロヘキシルアミン、N-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン、ビス[〔(2-ニトロベンジル)オキシ〕カルボニル]ヘキサン-1,6-ジアミン、N-(2-ニトロベンジルオキシ)カルボニル-N-シクロヘキシルアミン、9-アントリルメチル N,N-ジエチルカルバメート、9-アントリルメチル N-シクロヘキシルカルバメート、9-アントリルメチル N,N-ジシクロヘキシルカルバメート、O-カルバモイルヒドロキシアミド、O-カルバモイルオキシム、4-(メチルチオベンゾイル)-1-メチル-1-モルホリノエタン、(4-モルホリノベンゾイル)-1-ベンジル-1-ジメチルアミノプロパン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノンが挙げられる。
成分(B)は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の組成物において、成分(B)の含有量は、重合体成分(A)100質量部に対して、通常は0.05~30質量部、好ましくは0.05~26質量部、より好ましくは0.05~20質量部である。
<密着助剤(C)>
密着助剤(C)(以下「成分(C)」ともいう)は、得られるパターン膜と基板との接着性を向上させる成分である。成分(C)としては、カルボキシ基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、オキシラニル基、オキセタニル基、メルカプト基等の反応性官能基を有する官能性シランカップリング剤が好ましい。官能性シランカップリング剤としては、例えば、トリメトキシシリル安息香酸、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-エチル-3-オキセタニルメトキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランが挙げられる。
成分(C)は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
成分(C)を用いる場合の、本発明の組成物中の成分(C)の含有量は、重合体成分(A)100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましい。
<その他の成分>
本発明の組成物は、重合体成分(A)および成分(B)の他、他の成分をさらに含有することができる。他の成分としては、例えば、酸化防止剤、界面活性剤、架橋性化合物および重合開始剤から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
本発明の組成物において、全固形分に占める、重合体成分(A)、成分(B)および成分(C)以外の成分の合計含有割合の上限としては、20質量%が好ましいことがあり、15質量%がより好ましいことがあり、10質量%がさらに好ましいことがある。
<有機溶媒(D)>
有機溶媒(D)としては、本発明の組成物が含有する各成分を均一に溶解または分散し、上記各成分と反応しない有機溶媒が用いられる。
有機溶媒(D)としては、例えば、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソアミルアルコール、オクタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶媒;酢酸ブチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル等のエステル溶媒;エチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル溶媒;N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド溶媒;メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒が挙げられる。
有機溶媒(D)は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の組成物中の有機溶媒(D)の含有割合は、通常は5~95質量%、好ましくは10~90質量%、より好ましくは15~85質量%である。
<水(E)>
本発明の組成物は、水(E)を含有する。
本発明の組成物における水(E)の含有量は、800wtppm以下であり、好ましくは550wtppm以下、より好ましくは250wtppm以下である。また、水(E)の含有量は、10wtppm以上であり、好ましくは15wtppm以上、より好ましくは20wtppm以上、さらに好ましくは200wtppm以上である。水(E)の含有量は、カールフィッシャー水分量計を用いて測定することができる。水(E)の含有量が前記上限値以下であると、保存安定性や金属配線腐食耐性、後述するPCDマージンに優れる。水(E)の含有量が前記下限値未満であると、放射線感度が低下し、また後述するPEDマージンが小さくなる傾向にある。
また、本発明の組成物中に水(E)が多量に存在すると、前記組成物の保存安定性および基板への密着性が低下するとともに、例えば前記組成物を金属配線上に塗布する場合、金属配線が腐食しやすくなることがある。前記腐食については、前記水(E)が感放射線性酸発生剤と金属配線との媒体として働くことで、金属配線が腐食されるからであると考えられる。
本発明の組成物では水(E)の含有量が800wtppm以下であることから、組成物の保存安定性および基板への密着性が高く、しかも例えば組成物が塗布される金属配線の腐食性、すなわち組成物から形成された絶縁膜の金属配線腐食性が低くなっている。
<感放射線性樹脂組成物の調製方法>
本発明の組成物は、例えば、重合体成分(A)、成分(B)、および必要に応じて成分(C)、その他の成分を所定の割合で混合し、有機溶媒(D)に溶解して調製する。調製した感放射線性樹脂組成物は、例えば孔径0.2μm程度のフィルタで濾過することが好ましい。
本発明の組成物中の水(E)の含有量には、有機溶媒(D)等の原材料に含まれる水に由来する水分量も含まれる。本発明の組成物における水(E)の含有量を800wtppm以下とするためには、例えば、有機溶媒(D)として、モレキュラーシーブスを用いて乾燥させた有機溶媒や、水素化カルシウムを用いて蒸留乾燥させた有機溶媒、オルトギ酸トリメチルを用いて蒸留乾燥させた有機溶媒を用いる方法、固形分の含有成分や得られた組成物をトルエン等の有機溶媒を用いて共沸脱水する方法、減圧蒸留する方法が挙げられる。また、重合体成分(A)を減圧乾燥で乾燥させることもできる。
<感放射線性樹脂組成物の用途>
本発明の組成物は、良好な感放射線特性を発揮し放射線感度に優れ、また保存安定性に優れている。前記組成物を用いることにより、解像度が高く、金属配線に対する腐食性が低く、基板に対する密着性に優れるパターン膜を得ることができる。特に前記組成物は、後述する実施例に記載のPCD(Post Coating Delay)マージンおよびPED(Post Exposure Delay)マージンが大きく、パターン膜の不良率を下げて歩留りを向上させることができ、製造作業性に優れている。
したがって、前記組成物は、層間絶縁膜、スペーサー、保護膜、カラーフィルタ用着色パターン膜等の半導体素子用硬化膜の形成材料、特に層間絶縁膜の形成材料として好適に用いることができる。前記半導体素子としては、例えば、表示素子が挙げられる。
[パターン膜]
本発明のパターン膜は、本発明の組成物から形成される。前記パターン膜としては、例えば、層間絶縁膜、スペーサー、保護膜、カラーフィルタ用着色パターン膜等の半導体素子用硬化膜が挙げられる。前記パターン膜の製造方法としては、好ましくは下記製造方法が挙げられる。前記パターン膜の膜厚は、通常は0.1~10μm、好ましくは0.5~5μm、より好ましくは0.5~3μmである。
[パターン膜の製造方法]
本発明のパターン膜の製造方法は、本発明の組成物の塗膜を基板上に形成する工程(1)と、前記塗膜の一部に放射線を照射する工程(2)と、放射線が照射された前記塗膜を現像する工程(3)と、現像された前記塗膜を加熱する工程(4)とを有する。
<工程(1)>
工程(1)では、本発明の組成物を用い、基板上に塗膜を形成する。具体的には、溶液状の前記組成物を基板表面に塗布し、好ましくはプレベークを行うことにより有機溶媒(D)を除去して塗膜を形成する。
基板としては、例えば、ガラス基板、シリコン基板、プラスチック基板、およびこれらの表面に各種金属薄膜が形成された基板が挙げられる。プラスチック基板としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン等のプラスチックからなる樹脂基板が挙げられる。基板は、塗膜との密着性を向上させるため、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)処理等の疎水化表面処理がされていてもよい。
塗布方法としては、例えば、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法、インクジェット法が挙げられる。
プレベークの条件としては、各含有成分の種類、含有割合等によっても異なるが、例えば、60~130℃で30秒間~10分間程度とすることができる。形成される塗膜の膜厚は、プレベーク後の値として、0.1~10μmが好ましい。
<工程(2)>
工程(2)では、前記塗膜の一部に放射線を照射する。具体的には、工程(1)で形成した塗膜に所定のパターンを有するマスクを介して放射線を照射する。このとき用いられる放射線としては、例えば、紫外線、遠紫外線、可視光線、X線、電子線が挙げられる。紫外線としては、例えば、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、i線(波長365nm)が挙げられる。これらの放射線のうち、紫外線が好ましく、紫外線の中でもg線、h線およびi線のいずれか一つ以上を含む放射線がより好ましい。放射線の露光量としては、0.1~10,000J/m2が好ましい。高感度化のために、放射線照射前に、塗膜を水等の液体でぬらしてもよい。
また、ネガ型の感放射線性樹脂組成物を用いる場合は、放射線照射後に加熱処理を行うこともできる。以下、この処理を「PEB処理」ともいう。PEB条件は、感放射線性樹脂組成物中の各成分の種類、配合割合、樹脂膜の厚さ等によって異なるが、通常は70~150℃、好ましくは80~120℃で、1~60分間程度である。
<工程(3)>
工程(3)では、放射線が照射された前記塗膜を現像する。具体的には、工程(2)で放射線が照射された塗膜に対して、現像液を用いて現像を行って、ポジ型の場合は放射線の照射部分を、ネガ型の場合は放射線の未照射部分を除去する。高感度化のために、現像前に、塗膜を水等の液体でぬらしてもよい。
現像液は、通常はアルカリ現像液であり、例えば塩基性化合物の水溶液が挙げられる。塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n-プロピルアミン、ジエチルアミン、ジエチルアミノエタノール、ジ-n-プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノナンが挙げられる。前記水溶液における塩基性化合物の濃度は、例えば0.1~10質量%である。前記水溶液にメタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液、または感放射線性樹脂組成物を溶解可能な各種有機溶媒を少量含むアルカリ水溶液を現像液として用いてもよい。
現像方法としては、例えば、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法、シャワー法が挙げられる。現像温度および現像時間としては、例えばそれぞれ20~30℃、30~120秒とすることができる。
なお、現像後、パターニングされた塗膜に対して流水洗浄によるリンス処理を行うことが好ましい。また、次いで、高圧水銀灯等による放射線を全面に照射(後露光)することにより、塗膜中に残存する感放射線性化合物(B)の分解処理を行ってもよい。この後露光における露光量としては、2,000~10,000J/m2が好ましい。
<工程(4)>
工程(4)では、現像された前記塗膜を加熱する。これにより、重合体成分(A)の硬化反応を促進して、硬化膜を形成することができる。加熱方法としては、例えば、オーブンやホットプレート等の加熱装置を用いて加熱する方法が挙げられる。加熱温度は、例えば120~250℃である。加熱時間は、加熱機器の種類により異なるが、例えば、ホットプレート上で加熱処理を行う場合には5~40分、オーブン中で加熱処理を行う場合には10~80分である。
以上のようにして、目的とするパターン膜を基板上に形成することができる。パターン膜におけるパターンの形状としては、凹凸構造を有する形状であれば特に限定されないが、例えば、ライン・アンド・スペースパターン、ドットパターン、ホールパターン、格子パターンが挙げられる。
[半導体素子]
本発明の半導体素子は、前記パターン膜、好ましくは前記パターン膜からなる層間絶縁膜を備えている。前記層間絶縁膜は、半導体素子中の配線間を絶縁する膜として機能する。本発明の半導体素子は、公知の方法を用いて製造することができる。本発明の半導体素子は、前記パターン膜を備えているため、表示素子、発光ダイオード(LED)、太陽電池等の電子デバイスに好適に用いることができる。
[表示装置]
本発明の表示装置は、前記半導体素子を備えている。本発明の表示装置は、前記半導体素子を備えているため、表示装置として実用面で要求される一般的特性を満足する。本発明の表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置が挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。特に言及しない限り、「部」は「質量部」を意味する。
[重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)]
重合体のMwおよびMnは、下記方法により測定した。
・測定方法:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法
・装置:昭和電工社のGPC-101
・GPCカラム:島津ジーエルシー社のGPC-KF-801、GPC-KF-802、
GPC-KF-803およびGPC-KF-804を結合
・移動相:テトラヒドロフラン
・カラム温度:40℃
・流速:1.0mL/分
・試料濃度:1.0質量%
・試料注入量:100μL
・検出器:示差屈折計
・標準物質:単分散ポリスチレン
[単量体]
共重合体の合成で用いた単量体は以下のとおりである。
《構造単位(I)を与える単量体》
・STMS:スチリルトリメトキシシラン
・SDMS:スチリルジメトキシヒドロキシシラン
・STES:スチリルトリエトキシシラン
・TMSPhMA:トリメトキシシリルフェニルメタクリレート
・VNTMS:ビニルナフチルトリメトキシシラン
・VNDMS:ビニルナフチルジメトキシヒドロキシシラン
《構造単位(II)を与える単量体》
・MA:メタクリル酸
・HFA:1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-(4-ビニルフェニル)-プロパン-2-オール
・MI:マレイミド
《構造単位(III)を与える単量体》
・OXMA:OXE-30(大阪有機化学工業社製)
(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレート
・GMA:メタクリル酸グリシジル
・VBG:p-ビニルベンジルグリシジルエーテル
・ECHMA:3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート
・EDCPMA:メタクリル酸[3,4-エポキシトリシクロ(5.2.1.02,6)デカン-9-イル]
《構造単位(IV)を与える単量体》
・MMA:メタクリル酸メチル
・EMA:メタクリル酸エチル
・PMI:N-フェニルマレイミド
・MPTS:3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
<重合体成分(A)の合成>
[合成例1]重合体成分(A-1)の合成
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)10部およびモレキュラーシーブス4A(和光純薬工業社製)を用いて水分量50wtppmに乾燥させたプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200部を仕込んだ。引き続き、スチリルトリメトキシシラン30部、メタクリル酸10部、メタクリル酸グリシジル30部、およびメタクリル酸メチル30部を仕込み、窒素置換した後、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度を5時間保持することにより、重合体成分(A-1)を含有する重合体溶液を得た。この重合体溶液の固形分濃度は34.1質量%であり、重合体成分(A-1)のMwは11,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であった。
[合成例2~19]重合体成分又は構成重合体(A-2)~(A-19)の合成
表1に示す種類および配合量(質量部)の各成分を用いたこと以外は合成例1と同様の手法にて、重合体成分(A-1)と同等の固形分濃度、重量平均分子量および分子量分布を有する重合体成分又はその構成重合体(A-2)~(A-19)を含む重合体溶液を得た。用いた重合溶媒は、表2および3記載の有機溶媒(D)と同一種である。
Figure 0007047652000004
<感放射線性樹脂組成物の調製>
感放射線性樹脂組成物の調製に用いた重合体成分(A)、感放射線性化合物(B)、密着助剤(C)および有機溶媒(D)を以下に示す。
《重合体成分(A)》
A-1~A-19:合成例1~19で合成した
重合体成分又は構成重合体(A-1)~(A-19)
《感放射線性化合物(B)》
B-1:トリフルオロメタンスルホン酸-1,8-ナフタルイミド
B-2:Irgacure PAG121(BASF社製)(2-[2-(4-メチルフェニルスルホニルオキシイミノ)]-2,3-ジヒドロチオフェン-3-イリデン]-2-(2-メチルフェニル)アセトニトリル)
B-3:4,4'-[1-[4-[1-[4-ヒドロキシフェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール(1.0モル)と1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリド(2.0モル)との縮合物
B-4:1,1,1-トリ(p-ヒドロキシフェニル)エタン(1.0モル)と1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリド(2.0モル)との縮合物
B-5:N-(2-ニトロベンジルオキシ)カルボニル-N-シクロヘキシルアミン
B-6:トリフルオロメタンスルホン酸オキシムエステル(国際公開第2016/124493号記載のOS17)
B-7:メタンスルホン酸オキシムエステル(国際公開第2016/124493号記載のOS25)
《密着助剤(C)》
C-1:3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン
C-2:2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
《有機溶媒(D)》
D-1:モレキュラーシーブス4A(和光純薬工業社製)を用いて水分量50wtppmに乾燥させたプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
D-2:モレキュラーシーブス4A(和光純薬工業社製)を用いて水分量50wtppmに乾燥させたジエチレングリコールメチルエチルエーテル(EDM)
D-3:ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(EDM)
D-4:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
D-5:水素化カルシウムを用いて蒸留乾燥させたプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
<感放射線性樹脂組成物の調製>
[実施例1]
重合体成分(A-1)を含有する重合体溶液に、重合体成分(A-1)100部(固形分)に相当する量に対して、感放射線性酸発生剤(B-1)1部および密着助剤(C-1)3部を混合し、最終的な固形分濃度が30質量%となるように、モレキュラーシーブス4A(和光純薬工業社製)を用いて水分量50wtppmに乾燥させた有機溶媒(D-1)で希釈した。次いで、孔径0.2μmのメンブランフィルタで濾過して、感放射線性樹脂組成物を調製した。この感放射線性樹脂組成物の水分量をカールフィッシャー水分量計を用いて測定したところ、250wtppmであった。
[実施例2~23、比較例1~2、4~6]
表2および3に示す種類および配合量(質量部)の各成分を用いたこと以外は実施例1と同様の手法にて、実施例2~23および比較例4~6の感放射線性樹脂組成物を調製した。表2および3に示す種類および配合量(質量部)の各成分を用い、有機溶媒の乾燥処理を省略したこと以外は実施例1と同様の手法にて、比較例1~2の感放射線性樹脂組成物を調製した。
[比較例3]
重合体成分(A-10)を含有する重合体溶液に、重合体成分(A-10)100部(固形分)に相当する量に対して、感放射線性酸発生剤(B-1)1部および密着助剤(C-1)3部を混合した後、組成物中の有機溶媒を減圧下で除去した。トルエン10部を加え減圧下で1時間共沸脱水する操作を3回繰り返した後、水素化カルシウムを用いて蒸留乾燥させた有機溶媒(D-5)を用いて固形分濃度が30質量%となるように溶解させた。次いで、孔径0.2μmのメンブランフィルタで濾過して、比較例3の感放射線性樹脂組成物を調製した。この感放射線性樹脂組成物の水分量をカールフィッシャー水分量計を用いて測定したところ、3wtppmであった。
表2および3中、(A)~(C)欄の括弧内の数値は、各成分の配合量(質量部)である。
Figure 0007047652000005
Figure 0007047652000006
<評価>
実施例1~23および比較例1~6の感放射線性樹脂組成物から硬化膜を形成し、以下に説明する手法により、下記項目を評価した。評価結果を表2および3に示す。実施例21ではネガ用パターンマスクを用い、それ以外の例ではポジ用パターンマスクを用いた。
[放射線感度]
スピンナーを用い、60℃で60秒間HMDS処理したシリコン基板上に感放射線性樹脂組成物を塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして平均膜厚3.0μmの塗膜を形成した。この塗膜に、幅10μmのライン・アンド・スペースパターンを有するパターンマスクを介して、水銀ランプを用いて365nmの紫外線を照射した。次いで、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38質量%水溶液よりなる現像液を用い、25℃で60秒現像処理を行った後、超純水で1分間流水洗浄を行った。このとき、幅10μmのライン・アンド・スペースパターンを形成可能な最小露光量を測定した。この測定値が300J/m2未満の場合に放射線感度が良好であり、300J/m2以上の場合に放射線感度が不良であると評価できる。
[保存安定性の評価]
調製した感放射線性樹脂組成物を遮光・密閉性の容器に封入した。25℃で7日間経過後容器を開封し、[放射線感度]の測定を行い、7日間保管前後での放射線感度(最小露光量)の増加率を計算した。この値が5%未満の場合をAA、5%以上10%未満の場合をA、10%以上20%未満の場合をB、20%以上の場合または解像に至らなかった場合をCと判定した。AA、AまたはBの場合に保存安定性が良好であり、Cの場合に保存安定性が不良であると評価できる。
[基板密着性の評価]
スピンナーを用い、HMDS処理を実施していないシリコン基板上に感放射線性樹脂組成物を塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして平均膜厚3.0μmの塗膜を形成した。この塗膜に、幅1~50μmのライン・アンド・スペースパターンを有するパターンマスクを介して、水銀ランプによって365nmにおける露光量が400J/m2の紫外線を照射した。次いで、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38質量%水溶液よりなる現像液を用い、25℃で60秒現像処理を行った後、超純水で1分間流水洗浄を行った。このとき、基板上から剥がれずに残っているライン・アンド・スペースパターンの最少幅を測定した。前記測定値が10μm未満の場合に基板密着性が良好(A)であり、10μm以上15μm未満の場合に基板密着性がやや良好(B)であり、15μm以上の場合または解像に至らなかった場合に基板密着性が不良(C)であると評価できる。
[配線腐食耐性の評価]
スピンナーを用い、10μm間隔で金属配線がパターニングされたガラス基板上に感放射線性樹脂組成物を塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして平均膜厚3.0μmの塗膜を形成した。次いで、基板外周部の塗膜を除去して金属配線を露出させ、水銀ランプによって365nmにおける積算照射量が9,000J/m2となるように上記塗膜を露光し、露光した基板をクリーンオーブン内にて200℃で30分加熱することにより、基板配線上に絶縁膜を形成した。この基板の金属配線露出部に電極を接続し、絶縁膜に18Vの電圧を印加し、60℃、湿度90%に設定した恒温恒湿槽中で3日間保管後、金属配線の状態を光学顕微鏡を用いて観察した。このとき、金属配線の腐食率(面積基準)が15%未満の場合をA、15%以上25%未満の場合をB、25%以上の場合をCと判定した。金属配線の腐食率がAまたはBの場合に配線腐食耐性が良好であり、Cの場合に配線腐食耐性が不良であると評価できる。
[PCDマージンおよびPEDマージンの評価]
スピンナーを用い、60℃で60秒間HMDS処理したシリコン基板上に感放射線性樹脂組成物を塗布した後、(1a)90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして平均膜厚3.0μmの塗膜を形成し、(2a)この塗膜に、幅10μmのライン・アンド・スペースパターンを有するパターンマスクを介して、水銀ランプを用いて365nmの紫外線を照射し、(3a)紫外線照射後の塗膜に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38質量%水溶液よりなる現像液を用い、25℃で60秒現像処理を行った後、超純水で1分間流水洗浄を行った。なお、PCD(Post Coating Delay)マージン評価の場合は上記(1a)の後、上記(2a)の前に、またPED(Post Exposure Delay)マージン評価の場合は上記(2a)の後、上記(3a)の前に、前記塗膜を室温で1時間放置する工程を加えた。このとき、幅10μmのライン・アンド・スペースパターンを形成可能な最小露光量を測定した。この測定値を[放射線感度]の測定値と比較し、最小露光量の増加率が5%未満の場合をA、5%以上10%未満の場合をB、10%以上の場合または解像に至らなかった場合をCと判定した。AまたはBの場合にPCD、PEDマージンが良好であると評価でき、Cの場合にPCD、PEDマージンが不良であると評価できる。
[最小解像度の測定]
スピンナーを用い、60℃で60秒間HMDS処理したシリコン基板上に感放射線性樹脂組成物を塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして平均膜厚3.0μmの塗膜を形成した。この塗膜に一辺1~10μmのスクウェアパターンを有するパターンマスクを介して、水銀ランプを用いて365nmの紫外線を、各々[放射線感度]で最適化した最小露光量×1.5倍の露光量で照射した。次いで、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38質量%水溶液よりなる現像液を用い、25℃で60秒現像処理を行った後、超純水で1分間流水洗浄を行った。このとき、スクウェアパターンが形成可能な最小マスクサイズを測定した。この測定値が4μm未満の場合に解像性が良好であり、4μm以上の場合に解像性が不良であると評価できる。
表2および3に示されるように、実施例の各感放射線性樹脂組成物は良好な放射線感度を有し、実用特性として放射線感度、保存安定性、基板密着性、配線腐食耐性、PCDマージン、PEDマージン、解像性のいずれも良好であることがわかる。一方、比較例の感放射線樹脂組成物においては、全ての特性が良好であるものはなかった。

Claims (10)

  1. 同一のまたは異なる重合体中に、芳香環と当該芳香環に直接結合したアルコキシシリル基とを含む構造単位(I)、および酸性基を含む構造単位(II)を有する重合体成分(A)と、
    感放射線性酸発生剤と、
    有機溶媒(D)と、
    水(E)とを含有し、
    前記水(E)の含有量が10wtppm以上800wtppm以下であり、
    前記感放射線性酸発生剤が、オキシムスルホネート化合物、オニウム塩、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、およびカルボン酸エステル化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするポジ型感放射線性樹脂組成物。
  2. 前記水(E)の含有量が550wtppm以下である請求項1のポジ型感放射線性樹脂組成物。
  3. 前記水(E)の含有量が250wtppm以下である請求項1または2のポジ型感放射線性樹脂組成物。
  4. 前記重合体成分(A)が、前記構造単位(I)および前記構造単位(II)から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する重合体と同一のまたは異なる重合体中に、架橋性基を含む構造単位(III)をさらに有する請求項1~3のいずれか1項のポジ型感放射線性樹脂組成物。
  5. 前記構造単位(I)が、置換又は非置換の、ベンゼン環、ナフタレン環またはアントラセン環と、当該環に直接結合した-SiR3で表される基(前記Rは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、またはアルコキシ基であり;但し、前記Rの少なくとも1つは、アルコキシ基である)とを含む構造単位である請求項1~4のいずれか1項のポジ型感放射線性樹脂組成物。
  6. 請求項1~のいずれか1項のポジ型感放射線性樹脂組成物から形成された、パターン化された硬化膜。
  7. 層間絶縁膜である請求項のパターン化された硬化膜。
  8. 請求項1~のいずれか1項のポジ型感放射線性樹脂組成物の塗膜を基板上に形成する工程(1)と、前記塗膜の一部に放射線を照射する工程(2)と、放射線が照射された前記塗膜を現像する工程(3)と、現像された前記塗膜を加熱する工程(4)とを有する、パターン化された硬化膜の製造方法。
  9. 請求項またはのパターン化された硬化膜を備える半導体素子。
  10. 請求項の半導体素子を備える表示装置。
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