JP7047399B2 - 積層体 - Google Patents

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本発明は、被覆層と基材とを有する積層体に関する。
従来より、冷蔵庫、テレビ等の家電製品、インストルメンツパネル、エアバックカバー等の自動車内外装部材、壁紙、化粧箱、書籍、ラベル等の紙材等の表面には、光沢性やマット感等の美観や、基材や印刷面の保護の目的で、オレフィン系等のプラスチックが用いられている。更に、これら直接手を触れる物品には、手で触れた時の触感が柔らかく、指紋の付着痕が残らない耐指紋性にも優れたものが求められている。
柔らかい触感を付与するためには、各種物品の表面にコーティング剤等を塗布する方法が知られている。例えば、特許文献1には、イソシアネート基を有するウレタン樹脂と1級アミノ基を有する化合物とを反応させる事によって得られるウレタン樹脂、シリカ、ポリビニルアルコール及び水性媒体を含有するウレタン樹脂組成物を塗布することにより、軟らかい触感を有する物品が得られることが開示されている。また、特許文献2には熱可塑性エラストマーと平均粒径1~100μmの微粒子およびビニル系化合物を含む重合性組成物を塗布することにより柔らかい触感を有する触り心地の良い触感を有する物品が得られることが開示されている。
特開2016-121212号公報 特開2014-84346号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている樹脂組成物は粒子として比較的硬いシリカを使用しているためソフト感が十分ではなく、また特許文献2に開示されている樹脂組成物は耐指紋付着性に不具合があった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、ソフトな触感であり、指紋痕が残らない耐指紋性に優れた積層体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、以下の実施形態を完成させた。
本願は、第1の実施形態として、ポリウレタン樹脂および微粒子を含有する被覆層と基材とを有する積層体であって、全微粒子の被覆層に対する固形分質量比が0.2~0.6であり、微粒子として、平均粒径1μm以上12μm以下、且つ10%圧縮強度1MPa以下の微粒子(a)を有し、該微粒子(a)の全微粒子に対する固形分質量比が0.25~0.75であり、被覆層表面の平均表面粗さが0.8以上2.0以下であり、被覆層表面の水滴接触角が80度以上であり、被覆層表面の動摩擦係数が0.7以上1.3以下であり、且つ、積層体の被覆層の押込み弾性率が1.0×10以上5.0×10以下であることを特徴とする積層体を開示する。
第1の実施形態において、前記微粒子(a)がポリウレタン系樹脂からなることが好ましい。
第1の実施形態において、基材がプラスチックフィルムであることが好ましい。
本願は、第2の実施形態として、第1の実施形態の積層体および紙材を有し、該積層体の基材側を紙材と接合してなる紙積層体を開示する。
本発明の積層体は、表面を手指で触れた時の触感が良く、耐指紋性に優れている。
実施例10の積層体の被覆層表面の拡大画像(レーザー顕微鏡による拡大画像)である。 実施例11の積層体の被覆層表面の拡大画像(レーザー顕微鏡による拡大画像)である。 比較例2の積層体の被覆層表面の拡大画像(レーザー顕微鏡による拡大画像)である。 比較例5の積層体の被覆層表面の拡大画像(レーザー顕微鏡による拡大画像)である。 実施例10の積層体の被覆層表面の斜視像(レーザー顕微鏡による斜視像)である。 実施例11の積層体の被覆層表面の斜視像(レーザー顕微鏡による斜視像)である。
<積層体>
本発明の積層体(以下、「本積層体」と称することがある。)は、ポリウレタン樹脂および微粒子を含有する被覆層と、基材とを有する。
以下、本発明の積層体を構成する原料について説明する。
(被覆層)
・ポリウレタン樹脂
被覆層を形成するポリウレタン樹脂は、ウレタン結合を有する重合体の総称であり、通常イソシアネート基を含む化合物と水酸基を含む化合物との重付加反応により生成される。一般に、1液性ポリウレタンと2液性ポリウレタンが主に使用されるが、保存安定性の観点から2液性ポリウレタンの使用が好ましい。
2液性ポリウレタンを樹脂成分とする場合は、ポリオール類およびポリイソシアネート類に、必要に応じて鎖伸長剤、硬化促進剤、充填材、溶剤などを添加することができる。
重付加反応の硬化には、熱硬化、紫外線や電子線等を用いた活性エネルギー線硬化などの公知の方法を用いることができる。
ポリオール類としては、主にポリマーポリオール類が使用される。前記ポリマーポリオール類としては、例えば、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエーテルエステル系ポリオールなどが挙げられる。基材との密着性と触感の観点から、ポリカーボネート系ポリオールまたはポリエステル系ポリオールが好ましい。
ポリイソシアネート類としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、及び、ポリイソシアネート誘導体などが挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及び、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロへキシルイソシアネート)、水添キシリレンジイソシアネート、及び、ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、及び、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネートなどが挙げられる。ポリイソシアネート誘導体としては、例えば、ダイマーやトリマーなどの多量体、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、及び、ウレットジオンなどが挙げられる。これらのポリイソシアネートは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのポリイソシアネートのうち、安定性などの観点から、無黄変タイプのジイソシアネート又はその誘導体、例えば、脂肪族ジイソシアネート、イソホロジイソシアネート、及び、水添キシリレンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネートなどが好ましい。
これらのポリイソシアネートは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
鎖伸長剤としては、例えば、脂肪族ジオール、脂環族ジオールなどのジオール、アルカノールアミン類、ジアミン類、脂環族ジアミン類、芳香族ジアミン類、及び、芳香脂肪族ジアミン類などが使用される。これらの鎖伸長剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
硬化促進剤としては、アミン系触媒や金属触媒などが挙げられる。
アミン系触媒としては、例えば、モノアミンであるトリエチルアミン、N,N-ジメチルシクロへキシルアミン、ジアミンであるテトラメチルエチレンジアミン、その他トリアミン、環状アミン、ジメチルエタノールアミンのようなアルコールアミン、及び、エーテルアミンなどが挙げられる。
金属系触媒としては、例えば、オクチル酸鉛、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸錫、オクチル酸亜鉛、酢酸カリウム、2エチルヘキサン酸カリウム、酢酸カルシウム、及び、ホスフィンなどが挙げられる。
本積層体に用いるポリウレタン樹脂は、ポリオール類とポリイソシアネート類との重付加反応により得られる。ポリオール類としては耐熱性、耐加水分解性、耐候性、耐油性、耐摩耗性の観点から、ポリカーボネートジオール等のポリカーボネート系ポリオールが好ましく、また数平均分子量500~4000程度が好ましい。数平均分子量が500未満であると塗膜の柔軟性が低下する可能性があり、また数平均分子量が4000を超えるとポリイソシアネート類との反応性が遅くなり乾燥に時間がかかるため生産性が低下する恐れがある。ポリイソシアネート類については黄変しないことや耐候性に優れることからヘキサメチレンジイソシアネートからの誘導体が好ましく、ビウレット体、イソシアヌレート体(三量体)、アダクト体、二官能型等を用いることができる。ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体は、弾性、耐候性の点から好適である。
これらポリオールとポリイソシアネートから得られるポリウレタン樹脂は、適度な弾性を有し耐久性も良く、以下に記述する粒子等を混合した際の混合分散性が秀でることから、良好なソフト感、触感を有する被覆層を得ることができる。
・微粒子
被覆層に用いる微粒子には、平均粒径が1μm以上12μm以下であり且つ10%圧縮する荷重をかけた時の強度(10%圧縮強度)が1MPa以下である微粒子(a)を含有することが必要である。
微粒子(a)の10%圧縮強度は、被覆層が適度の柔軟性を有し、ソフトな触感を付与する観点から、1MPa以下であり、0.7MPa以下が好ましく、0.5MPa以下がより好ましい。1MPa以下であることで、ざらつき感がなく肌触りのよい触感を有する積層体となる。一方、圧縮強度の下限は特には設けないが、0.01MPa以上であれば、被覆層の機械的強度と耐摩耗性を得ることができる。
微粒子の10%圧縮強度は、微小圧縮試験機(島津製作所社製MCTM-500)を用いて測定することができる。
先ず、微粒子をエタノール中に分散させ試料台に塗布乾燥して、粒子同士が重ならずに水平に並んだ被検体を準備し、顕微鏡観察で微粒子1個の粒子径を測定する。次いで圧縮試験モードでΦ50μmの平面圧子を用い、負荷速度0.0149mN/secで試験力4.9mNまで荷重をかけたときの粒子の変形量と試験力を測定し、粒子径が10%変形した時の試験力と試験前の粒子半径から式(1)より求める。なお、式(1)において、破壊強度係数は、JIS R1639-5に基づき2.48を用いる。
Figure 0007047399000001
微粒子(a)の平均粒子径は1μm以上12μm以下であり、好ましくは2μm以上10μm以下、より好ましくは3μm以上8μm以下である。微粒子(a)の平均粒子径が1μm以上であることで、手指で触れた時のソフトタッチ感が良好となり、また、艶消し性や黒い基材や紙材と重ねた時の黒味の見え方が良くなり易い。一方、12μm以下であることで、指で触れた時の引っ掛かり感が小さいと共に、耐摩耗性が良好な積層体を得ることができ、また、被覆層の厚みを1~15μm程度に設計する場合に、摩擦による粒子脱落が起き難い。
なお本発明における平均粒子径は、レーザー光回折測定原理を利用した測定装置を用いた方法で測定でき、体積基準の粒子分布におけるメディアン径のことである。
微粒子(a)としては、無機粒子、有機粒子の何れでもよく、また複数種類を用いてもよい。10%圧縮強度が1MPa以下である点から、例えば、ポリウレタン系粒子、ポリ(メタ)アクリル酸エステルなどのアクリル系粒子等の有機粒子が好ましい。また、これら有機粒子は、化学構造中に架橋構造を含んでいてもよい。優れた触感の被覆層を得られるという観点から、ポリウレタン系粒子であることが特に好ましい。
被覆層に含有する微粒子は、微粒子(a)の他に、10%圧縮強度が1MPaより大きい粒子(b)を含有することが好ましい。
微粒子(b)としては、無機粒子、有機粒子の何れでもよく、また複数種類を用いても良い。10%圧縮強度が1MPaより大きい点から、例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子、アクリル系粒子などが挙げられる。
微粒子(b)の平均粒子径は、特に限定しないが、1μm以上20μm以下程度が好ましい。1μm以上により被覆層の強度に寄与し、20μm以下により引っ掛かりが小さく粒子の抜け落ちが起き難い。
このような微粒子(b)を含有することで、表面の滑り性や耐指紋付着性が良好となる。
被覆層に含まれる微粒子全体の平均粒子径は、1μm以上12μm以下が好ましく、2μm以上10μm以下がより好ましい。1μm以上とすることで好適な触感を付与でき、かつ被覆層強度が増す。また12μm以下とすることで、指で触れた時の引っ掛かり感が小さく、かつ耐摩耗性の良好な積層体を得ることができる。
微粒子(a)(b)の形状としては、球状、楕円球体状や、多角錘形状、立方体状、直方体状、板状などの多角形体や、棒状、不定形状などが挙げられる。これらの形状のうち、滑り性や、優れた柔らかみがあり優れた触感を得られる点から、球状又は楕円球体状が好ましく、真球状又は略真球状が特に好ましい。
被覆層に含有する全微粒子の被覆層に対する固形分質量比は、0.2以上0.6以下である。下限は0.25以上が好ましく、0.3以上がより好ましい。上限は0.55以下が好ましく、0.5以下がより好ましく、0.48以下がさらに好ましく、0.45以下が特に好ましい。0.2以上により触感が良好となり、0.6以下により、粒子濃度が過剰とならないことからザラザラ感が生じず、また粒子脱落の起き難い良好な耐摩耗性が得られる。
また、被覆層に含有する微粒子(a)の被覆層に対する固形分質量比は、下限は0.05以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.15以上が更に好ましい。上限は0.45以下が好ましく、0.4以下がより好ましく、0.35以下が更に好ましい。
微粒子(a)の被覆層に含有する全微粒子に対する固形分質量比は、0.25以上0.75以下である。下限は0.4以上が好ましく、0.5以上がより好ましい。上限は0.75以下が好ましく、0.73以下がより好ましい。10%圧縮強度の小さく比較的軟質な微粒子(a)の含有比率が0.25以上であることにより手指で触れた時のソフト感が良好であり、一方、0.75以下であることにより、10%圧縮強度が大きく比較的硬質な微粒子(b)等の含有比率が高いため滑り性が良好となる。
被覆層は、必要に応じて、粒子形状を有さない、その他の添加剤等を含有していても良い。例えば、造膜助剤、架橋剤、硬化促進剤、可塑剤、帯電防止剤、ワックス、界面活性剤、光安定剤、流動調整剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光触媒性化合物、艶消し剤、染料、着色剤、無機顔料、有機顔料、体質顔料等の各種の添加剤等を使用することができる。
本積層体の被覆層の厚みは、使用される用途に応じて適宜選定できるが、1μm以上15μm以下程度が好ましい。より好ましくは、下限は3μm以上、上限は10μm以下である。1μm以上により柔らかい触感が得られ易く、また粒子の欠落懸念が低減される。一方、15μm以下により、薄い厚みでソフトな触感と適度な滑り性、耐付着性を兼備でき、被覆層製造の材料や工程の削減ができる。
(基材)
本積層体に用いる基材は、特に限定されない。例えば、フィルム、シート、成形体などのプラスチック、合成皮革、板材、紙材などが挙げられる。
プラスチックフィルムに被覆層を設け積層体(積層フィルム)を作製すると、その積層フィルムを他のプラスチック製フィルム、シート、成形体や、板材、紙材に接合することが可能であり、本積層体を作製する上で工程や装置を一元化することができるので好ましい。
本発明の積層フィルムの基材に用いるプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。単層構成、多層構成の何れでもよく、また無延伸、一軸延伸、二軸延伸のいずれのフィルムでもよく、公知のインフレーション法、Tダイ法で製造される。
ポリオレフィン系樹脂としては、主としてオレフィンに由来する構成単位(以下「オレフィン単位」と称す場合がある。)からなる重合体又は共重合体であり、好ましくはオレフィン単位が全構成単位の90質量%以上であるポリオレフィンである。具体的には、エチレン若しくはプロピレンの単独重合体、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン等の共重合体、等を挙げることができる。
中でも、本発明の積層フィルムを壁紙、紙袋、ラベル、ポスター、化粧箱、ブックカバー、コンパクトディスク(CD)ケース等に用いる場合は、透明性、機械強度、柔軟性などの点から、基材として二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いることが好ましい。また、接合層を一方(被覆層を形成する側の反対側)の外層に設けた共押出多層ポリプロピレンフィルムを用いると、基材と接合層を同時に成形できるので製造工程と材料を低減でき、好ましい。
また、ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが挙げられる。特に、本発明の積層フィルムを化粧品包装紙器に用いる場合には、二軸延伸ポリエステルフィルムの剛性、張りのある性質から、紙器の美観性、高級感の向上に有効であり、また、エアカッターを用いた加工に使用できる。更に、耐熱性にも優れることから、高温乾燥による乾燥時間の短時間化や、高温硬化促進剤の使用による塗布液のポットライフの長時間化を可能とする。
本発明の積層フィルムのプラスチックフィルムの厚みは、特に限定されず、用途に応じて、適宜選定することできる。例えば5μm以上100μm以下程度が好ましく、下限は10μm以上がより好ましく、上限は50μm以下がより好ましく、30μm以下が更に好ましい。5μm程度以上であれば、十分なフィルム強度が得られ、100μm以下であれば、小型化・軽量化が求められる用途に対しても好適に使用できる。
本発明の積層フィルムにおいて、基材のプラスチックフィルムに対する被覆層の厚みの比率は、用途に応じて適宜調整可能であるが、被覆層/基材=1/20~3/2であることが好ましく、被覆層/基材=1/15~2/3であることがより好ましい。この範囲内とすることで良好な触感を得ることができる。
<他の材料との接合体>
基材としてプラスチックフィルムを用いて被覆層を形成した本発明の積層体は、被覆層を設けたフィルムの面とは反対の面に、接合層を介して、他のプラスチック製フィルム、シート、成形体や、板材、紙材など(以下、「他の材料」と称することがある。)に接合することが可能である。
(接合層)
接合層としては、公知の接着性樹脂を用いることができ、基材と他の材料との接着性を有するものであれば特に限定されない。また、接合には公知の熱ラミネート、押出ラミネート、ドライラミネート等の方法を使用でき、それら方法に適した接着性樹脂を用いるとよい。中でも、熱ラミネート法は、有機溶剤等の揮発性有機化合物(VOC)を使用せずに熱のみでラミネートが可能であるため環境負荷が低い点や、また基材フィルムに接着樹脂層を予め形成しておけばそのまま熱ラミネートすることができる点から、好適である。
また、より接着性を高めるため、必要に応じて基材と接合層との間にアンカー層を設けても良い。
接合層を構成する接着性樹脂としては、熱ラミネート用、押出ラミネート用には、例えばエチレン・α-オレフィン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられる。スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン共重合体、天然ゴム系、アクリル系等のエラストマーを混合してもよい。さらに、接着性を高めるため、例えば、カルボキシル基や酸無水物基等の官能基又は極性基を含むように変性された樹脂がより好ましい。これらの接着性樹脂は単独で又は二種以上の組み合わせで使用でき、用途に応じて選択することができる。
中でも、他の材料との接着強度や汎用性の観点から、エチレン・α-オレフィン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体が好ましい。
熱ラミネートの場合は、これらの樹脂からなる接合層を、本発明の積層フィルムの基材に用いるプラスチックフィルムの一方(被覆層を形成する側の反対側)の外層とした共押出多層フィルムを作製すればよい。
ドライラミネート用には、公知のウレタン系、アクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、酢酸ビニル系、セルロール系等のドライラミネート用接着性樹脂が挙げられる。それらに用いる硬化剤は特に限定されず、例えば、公知のイソシアネート系、メラミン系、オキサゾリン系、アジリジン系、エポキシ系等を使用することができる。
接合層の厚みは特に限定されないが、1~100μmが好ましい。下限は3μm以上がより好ましく、上限は50μm以下がより好ましく、30μm以下が更に好ましい。1μm以上により良好な接着強度が得られ易い。100μm以下により十分な接着性や耐熱性等を得られ易く、薄肉化することができる。
(他の材料)
他の材料としては、プラスチック製フィルム、シート、成形体や、板材、紙材などが挙げられる。
他の材料として、紙材の種類は特に限定されず、例えば、アート紙、コート紙、上質紙、和紙、合成紙等が挙げられる。また、紙材表面には印刷印字等が施されていてもよい。紙材の厚みは特に限定されず、用途に応じて選択できるが100μm~1mmが好ましい。100μm以上により紙材の強度が十分となり易く、1mm以下により小型化、軽量化の用途に好ましい。
本発明の積層フィルムは、特に印刷面の保護および高級感の付与に好適であるため、本発明の積層体(積層フィルム)を用いた紙積層体は、ブックカバー、壁紙、化粧箱、ラベル、ポスター、コンパクトディスク(CD)ケース等に好適に用いることができる。
<積層体の製造方法>
本積層体の被覆層の形成方法は、ポリウレタン樹脂と各種微粒子とを含有する被覆層を基材上に形成すればよく、特に限定されない。被覆層と基材とが十分な密着強度を有し、また薄い被覆層を形成させる点からは、被覆層を構成する組成物を基材表面に塗布する塗布法が好ましい。
塗布方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、バーコーター、グラビアコーター、ダイコーター、ロールコーター、コンマコーター、ナイフコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、キスコーター、シャワーコーター、フローコーター、スピンコーターを用いた方法、ディッピング、スクリーン印刷、スプレー、刷毛塗り、アプリケーター等が挙げられる。
中でも、プラスチックフィルムを基材として用いる場合は、フィルム製造後に塗布しても良いし、フィルムを逐次二軸延伸して製造する場合には縦/横の延伸工程の間に塗布しても良い。薄い厚みで均等に塗布する観点から、グラビアコーター、ダイコーターの使用が好ましく、特に多様な基材にコーティングできることや薄い厚みの塗工に適していることからグラビアコーターの使用が好ましい。
グラビアコートは、ロール版の外周面に凹状のセルが形成されたグラビアロールを使用した塗布方法であり、グラビアロールに塗工液を供給した後、ドクター刃を用いて不要な塗工液を掻き取り除去し、フィルムなどの基材を挟んでグラビアロールと対向する側にあるバックアップロールを押圧することによりに基材とグラビアロールを接触させ、その後に引き剥がすことでグラビアロール版のセルに充填された塗工液が基材に転写することで基材に塗工液を塗布することができる。
なお、グラビアロールとバックアップロールが基材を挟んで接触し、かつグラビアロールの回転方向とフィルムの搬送方向が同じ向きである方法をダイレクトグラビアコート、グラビアロールの回転方向とフィルムの搬送方向が逆の向きである方法をダイレクトリバースグラビアコートといい、これらを適宜選択して使用できる。
グラビアロールのセルの形状は、斜線型、ピラミッド型、格子型、亀甲型などを使用でき、塗工液の粘度などの特性によって選択できる。また塗工厚みをセルの深度と塗工液の固形分濃度から調整することができる。
また、プラスチックフィルムを基材として用い、薄い厚みで均等に塗布する観点から、被覆層を構成する組成物は溶媒を含んで調整することが好ましく、組成物を塗工し溶媒を乾燥させて被覆層を形成することが好ましい。
溶媒としては、被覆層を構成するポリウレタン樹脂の溶解性に応じて選択でき、ポリウレタン樹脂を均等に溶解できる溶媒であればよい。例えば、ケトン類、エーテル類、炭化水素類、エステル類、水、アルコール類、アミド類などが挙げられる。これらの溶媒は単独で又は二種以上の組み合わせで使用でき、混合溶媒であってもよい。これらの溶媒のうち、水、イソプロパノールなどのアルコール類、酢酸エチルなどのエステル類、トルエンなどの芳香族炭化水素類などが汎用される。
溶媒の乾燥は、例えば、40~150℃、好ましくは60℃~120℃、さらに好ましくは70℃~90℃程度の温度で行ってもよく、基材の厚みや熱安定性、工程速度等により乾燥温度を適宜選定することができる。
また、硬化を促進させる観点から加温工程を設けてもよく、基材と被覆層の安定性の点で温度と時間を選定するとよい。
なお、被覆層を構成する組成物の塗布性や、被覆層と基材との接着性を改良するため、被覆層を形成する前に予め基材表面に化学処理や放電処理等の表面処理を施しても良い。また、表面特性をさらに改良するため、被覆層形成後に放電処理を施しても良い。
<積層体の被覆層の物性>
以下、本積層体の被覆層が有する物性について説明する。
(被覆層の表面形状)
本積層体の被覆層の表面は、被覆層を構成するポリウレタン樹脂と微粒子の配合により、平均表面粗さ、最大山高さ、二乗平均平方根傾斜、及び平均山間隔等の表面形状に特徴が現れ、被覆層の触感、耐指紋性等の機能・効果に影響する。
平均表面粗さ(Sa)は、二次元の算術平均粗さ(Ra)を三次元に拡張したもので、測定領域の山部谷部の平均であり、以下の式(2)から求められる。ここで表面をXY面、高さ方向をZ軸とした時、Aは定義された領域(画像全体とする)、Z(x,y)は画像点(x,y)の高さ0の面からの高さである。
Figure 0007047399000002
本積層体の被覆層表面の平均表面粗さ(Sa)は0.8μm以上2.0μm以下であり、下限は1.0μm以上が好ましく、上限は1.8μm以下が好ましい。
平均表面粗さの値が0.8μm以上であれば、被覆層表面を指で触れる時の接触面積が小さく、指紋付着量が低減することにより耐指紋付着性に優れた積層体となる。一方、2.0μm以下であれば、被覆層表面のざらつきが少なく、触感が良く触り心地の良い積層体となる。
平均表面粗さ(Sa)は被覆層に含まれる微粒子の平均粒径が小さいほど低くなり、大きいほど高くなる。また被覆層の厚み方向における粒子の露出している高さが小さいほど低くなり、大きいほど高くなる。
最大山高さ(Sp)は、二次元の最大山高さ(Rp)を三次元に拡張したもので、測定領域における高さ0となる面からの高さの最大値である。
本積層体の被覆層の表面の最大山高さ(Sp)は10.5μm以上24.0μm以下が好ましい。下限は11.0μm以上がより好ましく、12.0μm以上が更に好ましい。上限は、20.0μm以下がより好ましく、18.0μm以下が更に好ましい。
最大山高さ(Sp)が10.5μm以上であれば、被覆層表面を指で触れる時の接触面積が小さくなり、指紋付着量が低減することにより耐指紋付着性に優れた積層体となる。一方、24.0μm以下であると、指紋汚れとなる成分を指から削り取られづらい積層体となる。
最大山高さ(Sp)の値は、被覆層に含まれる微粒子の粒子径が小さいほど低くなり、大きいほど高くなる。
二乗平均平方根傾斜(Sdq)は、測定領域における局部傾斜の二乗平均平方根であり、粗さ曲面の傾斜の度合いを表し、以下の式(3)から求められる。ここで表面をXY面、高さ方向をZ軸とした時、Aは定義された領域(画像全体とする)、Z(x,y)は画像点(x,y)の高さ0の面からの高さである。
Figure 0007047399000003
本積層体の被覆層の表面の二乗平均平方根傾斜(Sdq)は1.5以上5.5以下が好ましい。下限は2.0以上がより好ましく、2.5以上が更に好ましい。上限は5.0以下がより好ましい。
二乗平均平方根傾斜(Sdq)が1.5以上であれば被覆層表面の山部の傾斜が鋭くなるため指で触れる時の接触面積が小さくなり、指紋付着量が低減することにより耐指紋付着性に優れた被覆層となる。一方、5.5以下であると、被覆層表面のざらつきが少なく触感が良く触り心地の良い被覆層となる。
二乗平均平方根傾斜(Sdq)の値は、被覆層に含まれる微粒子の平均粒径が小さいほど低くなり、大きいほど高くなる。また被覆層の厚み方向における粒子の露出している高さが小さいほど低くなり、大きいほど高くなる。
平均山間隔(Rsm)は、基準長さにおける輪郭曲面要素の長さの平均であり、表面の凹凸間隔を表し、以下の式(4)から求められる。ここで断面をX軸、高さ方向をZ軸とした場合、Xs:基準長さにおける輪郭曲線要素の長さ、m:基準長さにおける輪郭曲線要素の数とする。
Figure 0007047399000004
本発明の積層体の被覆層の平均山間隔(Rsm)は10.0μm以上27.0μm未満が好ましい。下限は12.0μm以上がより好ましく、上限は25μm以下がより好ましい。
平均山間隔(Rsm)が10.0μm以上であれば被覆層表面を指で触れる時の接触面積が小さくなり、指紋付着量が低減することにより耐指紋付着性に優れた被覆層となる。一方、27.0μm未満であると、被覆層表面の微粒子の配置が適度に密集しているため、柔らかさを感じやすく触り心地の良い被覆層となる。
平均山間隔(Rsm)の値は、被覆層に含まれる微粒子の含有量が高いほど微粒子の密度が高くなるため小さくなり、微粒子の含有量が低いほど微粒子の密度が低くなるため大きくなる。
表面形状の測定は、レーザー顕微鏡(オリンパス社製、OLS4000)を用いて、共焦点方式にて、20倍の対物レンズを用いて650μm×650μmの領域で計測し、イメージ解析ソフト(イメージメトロロジー社製、SPIP)を用いて解析される。
平均表面粗さ(Sa)、最大山高さ(Sp)、二乗平均平方根傾斜(Sdq)は、ISO25178に準拠して解析され、また、平均山間隔(Rsm)は、カットオフ波長80μm、カットオフ数5、評価長400μmの条件でISO4287:1997に準拠して解析される。
(被覆層の摩擦係数)
本積層体の被覆層の表面は、被覆層を構成するポリウレタン樹脂と微粒子の材質や配合によって所定の摩擦特性を有し、滑り性や触感、指紋付着性に影響する。
本積層体の被覆層の表面の動摩擦係数は、0.7以上1.3以下である。好ましくは、下限は0.8以上、上限は1.2以下である。
動摩擦係数が0.7以上であれば被覆層表面に指を滑らせた時にしっとりとした触感が得られる被覆層となる。一方、1.3以下であれば、被覆層表面に指を滑らせた時に指の引っ掛かりが少ない被覆層となる。
被覆層の表面の動摩擦係数の値は、被覆層表面の平均表面粗さ(Sa)が同程度である場合、被覆層に含まれる微粒子の圧縮強度が低いほど高くなり、圧縮強度が高いほど低くなる傾向にある。また被覆層表面の平均表面粗さ(Sa)が非常に低く平滑な面である場合、動摩擦係数が高くなる傾向にある。
本積層体の被覆層の表面の静摩擦係数は、0.7以上1.3以下が好ましい。より好ましくは、下限は0.8以上、上限は1.2以下である。
静摩擦係数が0.7以上であれば被覆層表面に指を滑らせ始めた時に、しっとりとした触感の被覆層となる。一方、1.3以下であれば、被覆層表面に指が触れた時に、指の引っ掛かり感が少なく、軽く滑らせ始めることができる。
被覆層の表面の静摩擦係数の値は、被覆層表面の平均表面粗さ(Sa)が同程度である場合、被覆層に含まれる微粒子の圧縮強度が低いほど高くなり、圧縮強度が高いほど低くなる傾向にある。
本発明において動摩擦係数と静摩擦係数は、試験温度23℃、試験湿度50%の環境下で荷重20g、速度300mm/minの測定条件で、インテスコ社摩擦係数測定器を使用して測定した。接触子にはデュロメーター硬さE22~27であるウレタンエラストマー人工皮膚(ビューラックス社製、バイオスキン(肌模型No.077-002 5T)を貼り付けた接触子を用いて試験を行う。
動摩擦係数は、動摩擦区間を20mmとし得られる摩擦力から算出する。
静摩擦係数は、静摩擦区間を5mmとし得られる摩擦力から算出する。
(水滴接触角)
本積層体の被覆層の水滴接触角は、80度以上であり、85度以上が好ましく、90度以上がより好ましい。上限は特に限定されないが、150度以下が好ましく、120度以下がより好ましい。
水滴接触角が80度以上であると、手指の皮脂付着が低減し、耐指紋付着性が良好となる。
(押込み弾性率)
本積層体の被覆層は、被覆層を構成するポリウレタン樹脂と微粒子の材質や配合が影響して、所定の押込み弾性特性を有し、触感などに影響する。
本積層体の押込み弾性率は1.0×10Pa以上5.0×10Pa以下である。下限は1.5×10Pa以上が好ましく、上限は4.5×10Pa以下が好ましい。
押込み弾性率を上記範囲内に調整することで、しっとりとした触感の被覆層となる。
本積層体の押込み弾性率は、被覆層に含まれる微粒子の圧縮強度が低いほど小さくなり、圧縮強度が高いほど大きくなる。また、被覆層のマトリックス部分であるポリウレタン樹脂の弾性率が低いほど小さくなり、ポリウレタン樹脂の弾性率が高いほど大きくなる。
押込み弾性率は、ダイナミック超微小硬度計(島津製作所社製、DUH-W201)を用いて、三角錐圧子(稜間角115°、ベルコビッチタイプ)、最小試験力0.10mN、負荷速度0.047399mN/sec、負荷保持時間5secの測定条件で測定できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
<積層フィルムの作製;実施例1~12、比較例1~8>
後述のポリオール成分溶液、ポリイソシアネート硬化剤溶液、および微粒子をシンナー溶剤と混合して、溶解および分散させて塗布液を調合した。塗布液の調合は、表1に示す被覆層の固形分組成比および乾燥厚みになるように調整した。
次いで、基材としてコロナ処理したマット加工二軸延伸ポリプロピレンフィルム(厚み約13μm)を用い、バーコート法またはグラビアコート法で塗布して被覆層を形成し、積層フィルムを作製した。
バーコート法としては、枚葉に切り出したフィルムのマット加工面にワイヤーバー#6または#10を用いて塗布し、オーブンで100℃3分間乾燥して、被覆層を形成した。
グラビアコート法としては、ロール巻きフィルムを用い、塗工量が約5g/mとなるグラビア版を用いてダイレクトグラビアコート法で塗布し、温度90℃、ライン速度40m/分の条件で乾燥して、被覆層を形成した。
<積層フィルム;市販品>
市販されている、ソフトタッチコートを有する二軸延伸ポリプロピレンフィルムを参考例に用いた。
・参考例1; コスモフィルム社製「ベルベットフィルム」(厚み15μm)
<紙積層体の作製>
次いで、作製した積層フィルムの被覆層形成面の逆面に、オレフィン系接着性樹脂を介して、坪量約100g/mの黒色紙材を熱ラミネート法で110℃の条件で熱圧着させて接合し、紙積層体を作製した。
<被覆層の配合成分>
(樹脂成分)
・ポリオール成分溶液: ポリカーボネート系ポリオール、固形分29.3%
・ポリイソシアネート硬化剤溶液:ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、固形分:58.0%
[微粒子]
・シリカ粒子: 平均粒径2μm、10%圧縮強度約200MPa
・ポリウレタン系粒子-1: 平均粒径5μm、10%圧縮強度0.13MPa、
・ポリウレタン系粒子-2: 平均粒径7μm、10%圧縮強度0.15MPa、
・ポリウレタン系粒子-3: 平均粒径7μm、10%圧縮強度0.32MPa、
・ポリウレタン系粒子-4: 平均粒径3μm、10%圧縮強度0.39MPa、
・ポリウレタン系粒子-5: 平均粒径6μm、10%圧縮強度0.39MPa、
・ポリウレタン系粒子-6: 平均粒径3μm、10%圧縮強度0.44MPa、
・ポリウレタン系粒子-7: 平均粒径15μm、10%圧縮強度0.11MPa、
・アクリル系粒子-1: 平均粒径6μm、10%圧縮強度18MPa、
・アクリル系粒子-2: 平均粒径2.5μm、10%圧縮強度24.5MPa、
被覆層に用いた微粒子、作製した被覆層、積層フィルム、紙積層体に関する物性測定は、以下の方法で行った。
<微粒子の10%圧縮強度>
微粒子をエタノール中に分散させた後、試料台に塗布乾燥して測定用試料とし、微小圧縮試験機(島津製作所社製MCTM-500)を用いて測定した。
先ず、粒子1個に対し、対物レンズによる観察で粒子径を測定し、その後に、圧縮試験モードでΦ50μmの平面圧子を用い、負荷速度0.0149mN/secで試験力4.9mNまで荷重をかけたときの粒子の変形量と試験力を測定し、粒子径が10%変形した時の試験力と試験前の粒子半径から式(5)より求めた。また、ここで破壊強度係数を2.48とした。
Figure 0007047399000005
<微粒子の平均粒径>
(株)セイシン企業製レーザー回折粒度分布計「LMS―30」(波長680nm)を用いて微粒子の50%平均粒子径(体積基準の粒子分布におけるメディアン径)を求めた。
<被覆層の厚み>
積層フィルムを厚み方向にイオンミリングにて断面を切り出して走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー社製、S3000)を用いて、加速電圧10.0kV、観察倍率2000倍の条件で観察し、不特定の5箇所について被覆層厚みを測定し平均値を算出した。
<被覆層の表面形状>
積層フィルムの被覆層の表面をレーザー顕微鏡(オリンパス社製、OLS4000)を用いて、共焦点方式にて、20倍の対物レンズを用いて650μm×650μmの領域を観察し、イメージ解析ソフト(イメージメトロロジー社製、SPIP)を用いて解析した。
平均表面粗さ(Sa)、最大山高さ(Sp)、二乗平均平方根傾斜(Sdq)は、ISO25178に順拠して解析した。
平均山間隔(Rsm)は、カットオフ波長80μm、カットオフ数5、評価長400μmの条件で、ISO4287:1997に準拠して解析した。
なお、測定箇所を変えて3回測定し平均値を算出した。
<被覆層の水滴接触角>
接触角測定装置DROP MASTER500(協和界面科学社製)を用いて、積層フィルムの被覆層の表面に蒸留水を滴下し、約30秒後の接触角を測定した。
<被覆層の動摩擦係数、静摩擦係数>
積層フィルムを被覆層を上に向けて測定台に両面テープを用いて貼り付け、試験温度23℃、試験湿度50%の環境下で荷重20g、速度300mm/minの測定条件で摩擦力を測定した。なお、接触子にはデュロメーター硬さE22~27であるウレタンエラストマー人工皮膚(ビューラックス社製、バイオスキン 肌模型No.077-002 5T)を貼り付けた接触子を使用した。
静摩擦区間を5mm、動摩擦区間を20mmとし得られた摩擦力から、静摩擦係数及び動摩擦係数をそれぞれ算出した。なお、測定箇所を変えて5回測定し平均値を算出した。
<積層体(積層フィルム)の押込み弾性率>
ダイナミック超微小硬度計(島津製作所社製、DUH-W201)を用いて、三角錐圧子(稜間角115°、ベルコビッチタイプ)、試験力0.10mN(当該装置の最小試験力)、負荷速度0.047399mN/sec、負荷保持時間5secの測定条件で、積層フィルムの被覆層表面から圧子を押込み、弾性率を解析した。
なお、積層フィルムの構成により、各フィルムの押込み深さは、被覆表層表面から0.7~1μm程度であった。測定箇所を変えて5回測定し平均値を算出した。
<光学特性;平均反射率、明度L*値>
分光光度計(日立製作所社製、U-4000)を用いて、積分球を装着、波長400~700nmの条件で、紙積層体の被覆層側の光の平均反射率を測定した。
明度L*値は、反射率スペクトルを装置付属の解析ソフトを用いて解析した。
<触感>
積層フィルムの被覆層の表面を指で軽く押した後、左右に指を動かし擦ったときの総合的な触感を次の基準で評価した。なお、評価は10名で行い、7名以上が判定した評価レベルを評価結果とした。
◎ ;適度な抵抗を感じ、しっとりとした触感であり、ソフト感がある
〇 ;抵抗を少し感じ、滑らかまたはさらさらとした触感であり、ソフト感がある
〇- ;抵抗が少し強く感じ、ゴムのような触感であり、ソフト感がある
△ ;抵抗をあまり感じられず、つるつるとした触感であり、ソフト感がない
× ;ざらざらとした触感であり、ソフト感がない
<耐指紋付着性>
積層フィルムの被覆層の表面を指で軽く押した後、左右に擦った後に、指紋が目立つかどうかを目視で観察し、次の基準で評価した。なお、評価は10名で行い、7名以上が判定した評価レベルを評価結果とした。
〇 ;指紋が付着しづらく、目立たない
△ ;指紋が付着するが、目立ち難い
× ;指紋が付着しやすく、目立つ
<艶消し性>
積層フィルムを被覆層を上に向けて試験台上に置き、蛍光灯の写り具合を目視で観察し、次の基準で評価した。なお、評価は10名で行い、7名以上が判定した評価レベルを評価結果とした。
ここで、艶消し性とは、光源の元で物品見たときに表面のテカりがないことを言い、マットな表面であることで得ることができる。
〇 ;光の反射がなく、白味を帯びていない
△ ;光の反射が小さく、少し白味を帯びている
× ;光の反射が大きく、白味を帯びている
<黒味>
紙積層体の光学特性から、次の基準で評価した。
〇 ;平均反射率4.0%以下、かつ明度L*値24.0以下
△ ;平均反射率4.0%超5.0%以下、かつ明度L*値24.0超25.0以下
× ;平均反射率5.0%超、または明度L*値25.0超
Figure 0007047399000006
実施例1~11、比較例2~5では、被覆層の表面を指で擦ったりしても、被覆層がよれたり剥がれたりせず、十分な密着性があった。一方で実施例12、比較例6~8では被覆層に対する全粒子の比率が高いためか、被覆層の表面を指で擦ったりすると、被覆層が剥がれてしまい、十分な密着性が得られなかった。
また、表1の結果から明らかなように、実施例1~12は触感、耐指紋付着性が良好であり、特に実施例7~9の触感が優れていた。また実施例10~12は平均山間隔(Rsm)が比較的低く、艶消し性、黒味も優れていた。一方で、比較例は、表面粗さ値、動摩擦係数、水滴接触角、および、押込み弾性率のいずれかが良好な範囲外であり触感が良好でなかった。
図1、2から、実施例10、11の被覆層の表面は、微粒子が均等に分散していることがわかる。これに対し、図3の比較例2の被覆層表面は、不定形のシリカ粒子のみが分散しており、また図4の比較例5の被覆層表面は、粒子径の大きく異なる粒子が分散して存在していることがわかる。
また、図5の実施例10の被覆層の斜視像を見ると、小粒径のシリカ粒子中に、相対的に大きな粒径のポリウレタン粒子が存在していることが見てとれる。
また、図6の実施例11の被覆層の斜視像を見ると、小粒径のシリカ、アクリル粒子中に、相対的に大きな粒径のポリウレタン粒子が存在していることが見てとれる。

Claims (4)

  1. ポリウレタン樹脂および微粒子を含有する被覆層と基材とを有する積層体であって、
    全微粒子の被覆層に対する固形分質量比が0.2~0.6であり、
    微粒子として、平均粒径1μm以上12μm以下、且つ10%圧縮強度1MPa以下の微粒子(a)を有し、該微粒子(a)の全微粒子に対する固形分質量比が0.25~0.75であり、
    被覆層表面の平均表面粗さが0.8μm以上2.0μm以下であり、
    被覆層表面の水滴接触角が80度以上であり、
    被覆層表面の動摩擦係数が0.7以上1.3以下であり、且つ
    積層体の被覆層の押込み弾性率が1.0×10 Pa以上5.0×10 Pa以下であることを特徴とする積層体。
  2. 前記微粒子(a)がポリウレタン系樹脂からなる、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記基材がプラスチックフィルムである、請求項1または2に記載の積層
  4. 請求項3の積層体および紙材を有し、該積層体の基材側を紙材と接合してなる紙積層体。
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