JP7047399B2 - 積層体 - Google Patents
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Description
柔らかい触感を付与するためには、各種物品の表面にコーティング剤等を塗布する方法が知られている。例えば、特許文献1には、イソシアネート基を有するウレタン樹脂と1級アミノ基を有する化合物とを反応させる事によって得られるウレタン樹脂、シリカ、ポリビニルアルコール及び水性媒体を含有するウレタン樹脂組成物を塗布することにより、軟らかい触感を有する物品が得られることが開示されている。また、特許文献2には熱可塑性エラストマーと平均粒径1~100μmの微粒子およびビニル系化合物を含む重合性組成物を塗布することにより柔らかい触感を有する触り心地の良い触感を有する物品が得られることが開示されている。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、ソフトな触感であり、指紋痕が残らない耐指紋性に優れた積層体を提供することにある。
本願は、第1の実施形態として、ポリウレタン樹脂および微粒子を含有する被覆層と基材とを有する積層体であって、全微粒子の被覆層に対する固形分質量比が0.2~0.6であり、微粒子として、平均粒径1μm以上12μm以下、且つ10%圧縮強度1MPa以下の微粒子(a)を有し、該微粒子(a)の全微粒子に対する固形分質量比が0.25~0.75であり、被覆層表面の平均表面粗さが0.8以上2.0以下であり、被覆層表面の水滴接触角が80度以上であり、被覆層表面の動摩擦係数が0.7以上1.3以下であり、且つ、積層体の被覆層の押込み弾性率が1.0×108以上5.0×108以下であることを特徴とする積層体を開示する。
本発明の積層体(以下、「本積層体」と称することがある。)は、ポリウレタン樹脂および微粒子を含有する被覆層と、基材とを有する。
・ポリウレタン樹脂
被覆層を形成するポリウレタン樹脂は、ウレタン結合を有する重合体の総称であり、通常イソシアネート基を含む化合物と水酸基を含む化合物との重付加反応により生成される。一般に、1液性ポリウレタンと2液性ポリウレタンが主に使用されるが、保存安定性の観点から2液性ポリウレタンの使用が好ましい。
2液性ポリウレタンを樹脂成分とする場合は、ポリオール類およびポリイソシアネート類に、必要に応じて鎖伸長剤、硬化促進剤、充填材、溶剤などを添加することができる。
重付加反応の硬化には、熱硬化、紫外線や電子線等を用いた活性エネルギー線硬化などの公知の方法を用いることができる。
これらのポリイソシアネートは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
アミン系触媒としては、例えば、モノアミンであるトリエチルアミン、N,N-ジメチルシクロへキシルアミン、ジアミンであるテトラメチルエチレンジアミン、その他トリアミン、環状アミン、ジメチルエタノールアミンのようなアルコールアミン、及び、エーテルアミンなどが挙げられる。
金属系触媒としては、例えば、オクチル酸鉛、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸錫、オクチル酸亜鉛、酢酸カリウム、2エチルヘキサン酸カリウム、酢酸カルシウム、及び、ホスフィンなどが挙げられる。
これらポリオールとポリイソシアネートから得られるポリウレタン樹脂は、適度な弾性を有し耐久性も良く、以下に記述する粒子等を混合した際の混合分散性が秀でることから、良好なソフト感、触感を有する被覆層を得ることができる。
被覆層に用いる微粒子には、平均粒径が1μm以上12μm以下であり且つ10%圧縮する荷重をかけた時の強度(10%圧縮強度)が1MPa以下である微粒子(a)を含有することが必要である。
微粒子(a)の10%圧縮強度は、被覆層が適度の柔軟性を有し、ソフトな触感を付与する観点から、1MPa以下であり、0.7MPa以下が好ましく、0.5MPa以下がより好ましい。1MPa以下であることで、ざらつき感がなく肌触りのよい触感を有する積層体となる。一方、圧縮強度の下限は特には設けないが、0.01MPa以上であれば、被覆層の機械的強度と耐摩耗性を得ることができる。
先ず、微粒子をエタノール中に分散させ試料台に塗布乾燥して、粒子同士が重ならずに水平に並んだ被検体を準備し、顕微鏡観察で微粒子1個の粒子径を測定する。次いで圧縮試験モードでΦ50μmの平面圧子を用い、負荷速度0.0149mN/secで試験力4.9mNまで荷重をかけたときの粒子の変形量と試験力を測定し、粒子径が10%変形した時の試験力と試験前の粒子半径から式(1)より求める。なお、式(1)において、破壊強度係数は、JIS R1639-5に基づき2.48を用いる。
なお本発明における平均粒子径は、レーザー光回折測定原理を利用した測定装置を用いた方法で測定でき、体積基準の粒子分布におけるメディアン径のことである。
微粒子(b)としては、無機粒子、有機粒子の何れでもよく、また複数種類を用いても良い。10%圧縮強度が1MPaより大きい点から、例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子、アクリル系粒子などが挙げられる。
微粒子(b)の平均粒子径は、特に限定しないが、1μm以上20μm以下程度が好ましい。1μm以上により被覆層の強度に寄与し、20μm以下により引っ掛かりが小さく粒子の抜け落ちが起き難い。
このような微粒子(b)を含有することで、表面の滑り性や耐指紋付着性が良好となる。
本積層体に用いる基材は、特に限定されない。例えば、フィルム、シート、成形体などのプラスチック、合成皮革、板材、紙材などが挙げられる。
プラスチックフィルムに被覆層を設け積層体(積層フィルム)を作製すると、その積層フィルムを他のプラスチック製フィルム、シート、成形体や、板材、紙材に接合することが可能であり、本積層体を作製する上で工程や装置を一元化することができるので好ましい。
基材としてプラスチックフィルムを用いて被覆層を形成した本発明の積層体は、被覆層を設けたフィルムの面とは反対の面に、接合層を介して、他のプラスチック製フィルム、シート、成形体や、板材、紙材など(以下、「他の材料」と称することがある。)に接合することが可能である。
接合層としては、公知の接着性樹脂を用いることができ、基材と他の材料との接着性を有するものであれば特に限定されない。また、接合には公知の熱ラミネート、押出ラミネート、ドライラミネート等の方法を使用でき、それら方法に適した接着性樹脂を用いるとよい。中でも、熱ラミネート法は、有機溶剤等の揮発性有機化合物(VOC)を使用せずに熱のみでラミネートが可能であるため環境負荷が低い点や、また基材フィルムに接着樹脂層を予め形成しておけばそのまま熱ラミネートすることができる点から、好適である。
また、より接着性を高めるため、必要に応じて基材と接合層との間にアンカー層を設けても良い。
中でも、他の材料との接着強度や汎用性の観点から、エチレン・α-オレフィン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体が好ましい。
熱ラミネートの場合は、これらの樹脂からなる接合層を、本発明の積層フィルムの基材に用いるプラスチックフィルムの一方(被覆層を形成する側の反対側)の外層とした共押出多層フィルムを作製すればよい。
他の材料としては、プラスチック製フィルム、シート、成形体や、板材、紙材などが挙げられる。
他の材料として、紙材の種類は特に限定されず、例えば、アート紙、コート紙、上質紙、和紙、合成紙等が挙げられる。また、紙材表面には印刷印字等が施されていてもよい。紙材の厚みは特に限定されず、用途に応じて選択できるが100μm~1mmが好ましい。100μm以上により紙材の強度が十分となり易く、1mm以下により小型化、軽量化の用途に好ましい。
本発明の積層フィルムは、特に印刷面の保護および高級感の付与に好適であるため、本発明の積層体(積層フィルム)を用いた紙積層体は、ブックカバー、壁紙、化粧箱、ラベル、ポスター、コンパクトディスク(CD)ケース等に好適に用いることができる。
本積層体の被覆層の形成方法は、ポリウレタン樹脂と各種微粒子とを含有する被覆層を基材上に形成すればよく、特に限定されない。被覆層と基材とが十分な密着強度を有し、また薄い被覆層を形成させる点からは、被覆層を構成する組成物を基材表面に塗布する塗布法が好ましい。
中でも、プラスチックフィルムを基材として用いる場合は、フィルム製造後に塗布しても良いし、フィルムを逐次二軸延伸して製造する場合には縦/横の延伸工程の間に塗布しても良い。薄い厚みで均等に塗布する観点から、グラビアコーター、ダイコーターの使用が好ましく、特に多様な基材にコーティングできることや薄い厚みの塗工に適していることからグラビアコーターの使用が好ましい。
なお、グラビアロールとバックアップロールが基材を挟んで接触し、かつグラビアロールの回転方向とフィルムの搬送方向が同じ向きである方法をダイレクトグラビアコート、グラビアロールの回転方向とフィルムの搬送方向が逆の向きである方法をダイレクトリバースグラビアコートといい、これらを適宜選択して使用できる。
溶媒としては、被覆層を構成するポリウレタン樹脂の溶解性に応じて選択でき、ポリウレタン樹脂を均等に溶解できる溶媒であればよい。例えば、ケトン類、エーテル類、炭化水素類、エステル類、水、アルコール類、アミド類などが挙げられる。これらの溶媒は単独で又は二種以上の組み合わせで使用でき、混合溶媒であってもよい。これらの溶媒のうち、水、イソプロパノールなどのアルコール類、酢酸エチルなどのエステル類、トルエンなどの芳香族炭化水素類などが汎用される。
また、硬化を促進させる観点から加温工程を設けてもよく、基材と被覆層の安定性の点で温度と時間を選定するとよい。
以下、本積層体の被覆層が有する物性について説明する。
本積層体の被覆層の表面は、被覆層を構成するポリウレタン樹脂と微粒子の配合により、平均表面粗さ、最大山高さ、二乗平均平方根傾斜、及び平均山間隔等の表面形状に特徴が現れ、被覆層の触感、耐指紋性等の機能・効果に影響する。
平均表面粗さの値が0.8μm以上であれば、被覆層表面を指で触れる時の接触面積が小さく、指紋付着量が低減することにより耐指紋付着性に優れた積層体となる。一方、2.0μm以下であれば、被覆層表面のざらつきが少なく、触感が良く触り心地の良い積層体となる。
平均表面粗さ(Sa)は被覆層に含まれる微粒子の平均粒径が小さいほど低くなり、大きいほど高くなる。また被覆層の厚み方向における粒子の露出している高さが小さいほど低くなり、大きいほど高くなる。
最大山高さ(Sp)が10.5μm以上であれば、被覆層表面を指で触れる時の接触面積が小さくなり、指紋付着量が低減することにより耐指紋付着性に優れた積層体となる。一方、24.0μm以下であると、指紋汚れとなる成分を指から削り取られづらい積層体となる。
最大山高さ(Sp)の値は、被覆層に含まれる微粒子の粒子径が小さいほど低くなり、大きいほど高くなる。
二乗平均平方根傾斜(Sdq)が1.5以上であれば被覆層表面の山部の傾斜が鋭くなるため指で触れる時の接触面積が小さくなり、指紋付着量が低減することにより耐指紋付着性に優れた被覆層となる。一方、5.5以下であると、被覆層表面のざらつきが少なく触感が良く触り心地の良い被覆層となる。
二乗平均平方根傾斜(Sdq)の値は、被覆層に含まれる微粒子の平均粒径が小さいほど低くなり、大きいほど高くなる。また被覆層の厚み方向における粒子の露出している高さが小さいほど低くなり、大きいほど高くなる。
平均山間隔(Rsm)が10.0μm以上であれば被覆層表面を指で触れる時の接触面積が小さくなり、指紋付着量が低減することにより耐指紋付着性に優れた被覆層となる。一方、27.0μm未満であると、被覆層表面の微粒子の配置が適度に密集しているため、柔らかさを感じやすく触り心地の良い被覆層となる。
平均山間隔(Rsm)の値は、被覆層に含まれる微粒子の含有量が高いほど微粒子の密度が高くなるため小さくなり、微粒子の含有量が低いほど微粒子の密度が低くなるため大きくなる。
平均表面粗さ(Sa)、最大山高さ(Sp)、二乗平均平方根傾斜(Sdq)は、ISO25178に準拠して解析され、また、平均山間隔(Rsm)は、カットオフ波長80μm、カットオフ数5、評価長400μmの条件でISO4287:1997に準拠して解析される。
本積層体の被覆層の表面は、被覆層を構成するポリウレタン樹脂と微粒子の材質や配合によって所定の摩擦特性を有し、滑り性や触感、指紋付着性に影響する。
動摩擦係数が0.7以上であれば被覆層表面に指を滑らせた時にしっとりとした触感が得られる被覆層となる。一方、1.3以下であれば、被覆層表面に指を滑らせた時に指の引っ掛かりが少ない被覆層となる。
被覆層の表面の動摩擦係数の値は、被覆層表面の平均表面粗さ(Sa)が同程度である場合、被覆層に含まれる微粒子の圧縮強度が低いほど高くなり、圧縮強度が高いほど低くなる傾向にある。また被覆層表面の平均表面粗さ(Sa)が非常に低く平滑な面である場合、動摩擦係数が高くなる傾向にある。
静摩擦係数が0.7以上であれば被覆層表面に指を滑らせ始めた時に、しっとりとした触感の被覆層となる。一方、1.3以下であれば、被覆層表面に指が触れた時に、指の引っ掛かり感が少なく、軽く滑らせ始めることができる。
被覆層の表面の静摩擦係数の値は、被覆層表面の平均表面粗さ(Sa)が同程度である場合、被覆層に含まれる微粒子の圧縮強度が低いほど高くなり、圧縮強度が高いほど低くなる傾向にある。
動摩擦係数は、動摩擦区間を20mmとし得られる摩擦力から算出する。
静摩擦係数は、静摩擦区間を5mmとし得られる摩擦力から算出する。
本積層体の被覆層の水滴接触角は、80度以上であり、85度以上が好ましく、90度以上がより好ましい。上限は特に限定されないが、150度以下が好ましく、120度以下がより好ましい。
水滴接触角が80度以上であると、手指の皮脂付着が低減し、耐指紋付着性が良好となる。
本積層体の被覆層は、被覆層を構成するポリウレタン樹脂と微粒子の材質や配合が影響して、所定の押込み弾性特性を有し、触感などに影響する。
押込み弾性率を上記範囲内に調整することで、しっとりとした触感の被覆層となる。
本積層体の押込み弾性率は、被覆層に含まれる微粒子の圧縮強度が低いほど小さくなり、圧縮強度が高いほど大きくなる。また、被覆層のマトリックス部分であるポリウレタン樹脂の弾性率が低いほど小さくなり、ポリウレタン樹脂の弾性率が高いほど大きくなる。
後述のポリオール成分溶液、ポリイソシアネート硬化剤溶液、および微粒子をシンナー溶剤と混合して、溶解および分散させて塗布液を調合した。塗布液の調合は、表1に示す被覆層の固形分組成比および乾燥厚みになるように調整した。
次いで、基材としてコロナ処理したマット加工二軸延伸ポリプロピレンフィルム(厚み約13μm)を用い、バーコート法またはグラビアコート法で塗布して被覆層を形成し、積層フィルムを作製した。
バーコート法としては、枚葉に切り出したフィルムのマット加工面にワイヤーバー#6または#10を用いて塗布し、オーブンで100℃3分間乾燥して、被覆層を形成した。
グラビアコート法としては、ロール巻きフィルムを用い、塗工量が約5g/m2となるグラビア版を用いてダイレクトグラビアコート法で塗布し、温度90℃、ライン速度40m/分の条件で乾燥して、被覆層を形成した。
市販されている、ソフトタッチコートを有する二軸延伸ポリプロピレンフィルムを参考例に用いた。
・参考例1; コスモフィルム社製「ベルベットフィルム」(厚み15μm)
次いで、作製した積層フィルムの被覆層形成面の逆面に、オレフィン系接着性樹脂を介して、坪量約100g/m2の黒色紙材を熱ラミネート法で110℃の条件で熱圧着させて接合し、紙積層体を作製した。
(樹脂成分)
・ポリオール成分溶液: ポリカーボネート系ポリオール、固形分29.3%
・ポリイソシアネート硬化剤溶液:ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、固形分:58.0%
・シリカ粒子: 平均粒径2μm、10%圧縮強度約200MPa
・ポリウレタン系粒子-1: 平均粒径5μm、10%圧縮強度0.13MPa、
・ポリウレタン系粒子-2: 平均粒径7μm、10%圧縮強度0.15MPa、
・ポリウレタン系粒子-3: 平均粒径7μm、10%圧縮強度0.32MPa、
・ポリウレタン系粒子-4: 平均粒径3μm、10%圧縮強度0.39MPa、
・ポリウレタン系粒子-5: 平均粒径6μm、10%圧縮強度0.39MPa、
・ポリウレタン系粒子-6: 平均粒径3μm、10%圧縮強度0.44MPa、
・ポリウレタン系粒子-7: 平均粒径15μm、10%圧縮強度0.11MPa、
・アクリル系粒子-1: 平均粒径6μm、10%圧縮強度18MPa、
・アクリル系粒子-2: 平均粒径2.5μm、10%圧縮強度24.5MPa、
微粒子をエタノール中に分散させた後、試料台に塗布乾燥して測定用試料とし、微小圧縮試験機(島津製作所社製MCTM-500)を用いて測定した。
先ず、粒子1個に対し、対物レンズによる観察で粒子径を測定し、その後に、圧縮試験モードでΦ50μmの平面圧子を用い、負荷速度0.0149mN/secで試験力4.9mNまで荷重をかけたときの粒子の変形量と試験力を測定し、粒子径が10%変形した時の試験力と試験前の粒子半径から式(5)より求めた。また、ここで破壊強度係数を2.48とした。
(株)セイシン企業製レーザー回折粒度分布計「LMS―30」(波長680nm)を用いて微粒子の50%平均粒子径(体積基準の粒子分布におけるメディアン径)を求めた。
積層フィルムを厚み方向にイオンミリングにて断面を切り出して走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー社製、S3000)を用いて、加速電圧10.0kV、観察倍率2000倍の条件で観察し、不特定の5箇所について被覆層厚みを測定し平均値を算出した。
積層フィルムの被覆層の表面をレーザー顕微鏡(オリンパス社製、OLS4000)を用いて、共焦点方式にて、20倍の対物レンズを用いて650μm×650μmの領域を観察し、イメージ解析ソフト(イメージメトロロジー社製、SPIP)を用いて解析した。
平均表面粗さ(Sa)、最大山高さ(Sp)、二乗平均平方根傾斜(Sdq)は、ISO25178に順拠して解析した。
平均山間隔(Rsm)は、カットオフ波長80μm、カットオフ数5、評価長400μmの条件で、ISO4287:1997に準拠して解析した。
なお、測定箇所を変えて3回測定し平均値を算出した。
接触角測定装置DROP MASTER500(協和界面科学社製)を用いて、積層フィルムの被覆層の表面に蒸留水を滴下し、約30秒後の接触角を測定した。
積層フィルムを被覆層を上に向けて測定台に両面テープを用いて貼り付け、試験温度23℃、試験湿度50%の環境下で荷重20g、速度300mm/minの測定条件で摩擦力を測定した。なお、接触子にはデュロメーター硬さE22~27であるウレタンエラストマー人工皮膚(ビューラックス社製、バイオスキン 肌模型No.077-002 5T)を貼り付けた接触子を使用した。
静摩擦区間を5mm、動摩擦区間を20mmとし得られた摩擦力から、静摩擦係数及び動摩擦係数をそれぞれ算出した。なお、測定箇所を変えて5回測定し平均値を算出した。
ダイナミック超微小硬度計(島津製作所社製、DUH-W201)を用いて、三角錐圧子(稜間角115°、ベルコビッチタイプ)、試験力0.10mN(当該装置の最小試験力)、負荷速度0.047399mN/sec、負荷保持時間5secの測定条件で、積層フィルムの被覆層表面から圧子を押込み、弾性率を解析した。
なお、積層フィルムの構成により、各フィルムの押込み深さは、被覆表層表面から0.7~1μm程度であった。測定箇所を変えて5回測定し平均値を算出した。
分光光度計(日立製作所社製、U-4000)を用いて、積分球を装着、波長400~700nmの条件で、紙積層体の被覆層側の光の平均反射率を測定した。
明度L*値は、反射率スペクトルを装置付属の解析ソフトを用いて解析した。
積層フィルムの被覆層の表面を指で軽く押した後、左右に指を動かし擦ったときの総合的な触感を次の基準で評価した。なお、評価は10名で行い、7名以上が判定した評価レベルを評価結果とした。
◎ ;適度な抵抗を感じ、しっとりとした触感であり、ソフト感がある
〇 ;抵抗を少し感じ、滑らかまたはさらさらとした触感であり、ソフト感がある
〇- ;抵抗が少し強く感じ、ゴムのような触感であり、ソフト感がある
△ ;抵抗をあまり感じられず、つるつるとした触感であり、ソフト感がない
× ;ざらざらとした触感であり、ソフト感がない
積層フィルムの被覆層の表面を指で軽く押した後、左右に擦った後に、指紋が目立つかどうかを目視で観察し、次の基準で評価した。なお、評価は10名で行い、7名以上が判定した評価レベルを評価結果とした。
〇 ;指紋が付着しづらく、目立たない
△ ;指紋が付着するが、目立ち難い
× ;指紋が付着しやすく、目立つ
積層フィルムを被覆層を上に向けて試験台上に置き、蛍光灯の写り具合を目視で観察し、次の基準で評価した。なお、評価は10名で行い、7名以上が判定した評価レベルを評価結果とした。
ここで、艶消し性とは、光源の元で物品見たときに表面のテカりがないことを言い、マットな表面であることで得ることができる。
〇 ;光の反射がなく、白味を帯びていない
△ ;光の反射が小さく、少し白味を帯びている
× ;光の反射が大きく、白味を帯びている
紙積層体の光学特性から、次の基準で評価した。
〇 ;平均反射率4.0%以下、かつ明度L*値24.0以下
△ ;平均反射率4.0%超5.0%以下、かつ明度L*値24.0超25.0以下
× ;平均反射率5.0%超、または明度L*値25.0超
また、表1の結果から明らかなように、実施例1~12は触感、耐指紋付着性が良好であり、特に実施例7~9の触感が優れていた。また実施例10~12は平均山間隔(Rsm)が比較的低く、艶消し性、黒味も優れていた。一方で、比較例は、表面粗さ値、動摩擦係数、水滴接触角、および、押込み弾性率のいずれかが良好な範囲外であり触感が良好でなかった。
図1、2から、実施例10、11の被覆層の表面は、微粒子が均等に分散していることがわかる。これに対し、図3の比較例2の被覆層表面は、不定形のシリカ粒子のみが分散しており、また図4の比較例5の被覆層表面は、粒子径の大きく異なる粒子が分散して存在していることがわかる。
また、図5の実施例10の被覆層の斜視像を見ると、小粒径のシリカ粒子中に、相対的に大きな粒径のポリウレタン粒子が存在していることが見てとれる。
また、図6の実施例11の被覆層の斜視像を見ると、小粒径のシリカ、アクリル粒子中に、相対的に大きな粒径のポリウレタン粒子が存在していることが見てとれる。
Claims (4)
- ポリウレタン樹脂および微粒子を含有する被覆層と基材とを有する積層体であって、
全微粒子の被覆層に対する固形分質量比が0.2~0.6であり、
微粒子として、平均粒径1μm以上12μm以下、且つ10%圧縮強度1MPa以下の微粒子(a)を有し、該微粒子(a)の全微粒子に対する固形分質量比が0.25~0.75であり、
被覆層表面の平均表面粗さが0.8μm以上2.0μm以下であり、
被覆層表面の水滴接触角が80度以上であり、
被覆層表面の動摩擦係数が0.7以上1.3以下であり、且つ
積層体の被覆層の押込み弾性率が1.0×108 Pa以上5.0×108 Pa以下であることを特徴とする積層体。 - 前記微粒子(a)がポリウレタン系樹脂からなる、請求項1に記載の積層体。
- 前記基材がプラスチックフィルムである、請求項1または2に記載の積層体。
- 請求項3の積層体および紙材を有し、該積層体の基材側を紙材と接合してなる紙積層体。
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