JP7046383B2 - 力学特性試験方法及び計測装置 - Google Patents

力学特性試験方法及び計測装置 Download PDF

Info

Publication number
JP7046383B2
JP7046383B2 JP2019526936A JP2019526936A JP7046383B2 JP 7046383 B2 JP7046383 B2 JP 7046383B2 JP 2019526936 A JP2019526936 A JP 2019526936A JP 2019526936 A JP2019526936 A JP 2019526936A JP 7046383 B2 JP7046383 B2 JP 7046383B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
indenter
test piece
test
contact
displacement
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019526936A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2019004211A1 (ja
Inventor
達也 宮島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Publication of JPWO2019004211A1 publication Critical patent/JPWO2019004211A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7046383B2 publication Critical patent/JP7046383B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01QSCANNING-PROBE TECHNIQUES OR APPARATUS; APPLICATIONS OF SCANNING-PROBE TECHNIQUES, e.g. SCANNING PROBE MICROSCOPY [SPM]
    • G01Q60/00Particular types of SPM [Scanning Probe Microscopy] or microscopes; Essential components thereof
    • G01Q60/24AFM [Atomic Force Microscopy] or apparatus therefor, e.g. AFM probes
    • G01Q60/36DC mode
    • G01Q60/366Nanoindenters, i.e. wherein the indenting force is measured
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N3/00Investigating strength properties of solid materials by application of mechanical stress
    • G01N3/40Investigating hardness or rebound hardness
    • G01N3/42Investigating hardness or rebound hardness by performing impressions under a steady load by indentors, e.g. sphere, pyramid

Landscapes

  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Radiology & Medical Imaging (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Nanotechnology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Investigating Strength Of Materials By Application Of Mechanical Stress (AREA)

Description

本発明は、力学特性試験方法及び計測装置に関し、より具体的には、インデンテーション試験により、試験体の力学特性を評価する試験方法及び計測装置に関する。
インデンテーション試験は、圧子と呼ばれる治具を各種材料の試験体の表面に押し付けることにより形成される窪みの状況から、材料の硬さや弾性率などの各種力学特性を評価する試験技術である。
圧子を試験体の表面に押し付ける際、試験する材料の弾性変形の範囲内であれば、その変形挙動から弾性率が評価できる。さらに、圧子直下に発生する応力が弾性限界を超えると、試験体に塑性変形が誘起され、除荷後に圧痕として表面から観察される。この圧痕の大きさと最大負荷荷重値から試験体の硬さが評価できる。弾性率や硬さは、圧子と試験体表面とを接触させた際の力学刺激応答の指標の一つである。
一般的な金属類では、塑性が全変形挙動を支配するため、圧痕の大きさは、最大負荷荷重時と除荷後とでは同じ寸法である。一方、弾塑性体や粘弾性体のように塑性以外の成分が変形挙動において無視できない材料では、除荷中に弾性回復するために除荷後の圧痕の大きさは、最大負荷荷重時よりも減少することが知られている。
したがって、未知試料の力学特性を厳密に解析するには、圧子と試験体表面とが接触している状況下で該試料はどの様な窪みを形成しているのかを知ること、すなわち、その場で力学刺激応答特性を計測することが必要である。
また、試験体に圧子で負荷した際に生じる窪みの種類には、その周辺部に見られる表面変形の形態の違いに注目して「沈み込み型」と「盛り上がり型」があることが知られており、試験体の表面に荷重が負荷されて形成される窪みを定量表現するには、元の表面からの深さだけでなく、接触面積も計測する必要がある。
試験体の表面に荷重が負荷されている状態の力学刺激応答として窪みの深さを計測できる計装化ナノインデンテーション試験法がある。この試験法では、全ての試料の窪みは、完全弾性体の「沈み込み型」の接触深さを有する窪みが形成されているとする仮定が置かれている。現在の計装化ナノインデンテーション技術では圧入深さと負荷荷重との関係から接触面積を推算する汎用近似法を用いているが、「盛り上がり型」の接触面積を知ることができないという最大の弱点を抱えている。窪みの深さを計測する計装化ナノインデンテーション法は、「盛り上がり型」の接触面積を演算することができないため、「盛り上がり型」の表面変形を示す弾塑性体を解析することに問題がある。
試験体の表面に荷重が負荷されている状態で力学刺激応答として窪みの投影接触面積を光学的に計測できる顕微インデンテーション試験法がある。この試験法は、圧子と試験体表面とを接触させた際の力学刺激応答特性をその場で直接的に評価する手法である。顕微インデンテーション試験法は、窪みが「沈み込み型」であるか「盛り上がり型」であるかに関係無く、両方の表面変形様式に対して投影接触面積が計測できる(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、および、非特許文献6)。
特開2005-195357号公報(特許第4317743号公報) 実用新案登録第3182252号公報 特開2015-175666号公報 特願2016-016555号公報 特開2017-146294号公報
T. Miyajima and M. Sakai、Optical indentation microscopy ‐ a new family of instrumented indentation testing, Philosophical Magazine、86巻、5729頁~5737頁(2006) 羽切教雄、逆井基次、宮島達也「顕微インデンターの開発と圧子力学への応用」、材料、56巻、6号、510頁~515頁(2007) 逆井基次「粘弾性圧子力学の構築とミクロ領域におけるレオロジー計測」、日本レオロジー学会誌、39巻、1‐2号、7頁~15頁(2011) N. Hakiri、A. Matsuda、and M. Sakai、Instrumented indentation microscope applied to the elastoplastic indentation contact mechanics of coating/substrate composites、Journal of Materials Research、24巻、6号、1950頁~1959頁(2009) 峯田才覚、三浦誠司、岡和彦、宮島達也、「In-situ Brinell インデンテーションによるMg-Y単結晶の塑性変形挙動観察」、日本金属学会誌、81巻、4号、196頁~205頁(2017) T. Mineta、S. Miura、K. Oka、and T. Miyajima、Plastic deformation behavior of Mg-Y alloy single crystals observed using in situ Brinell indentation、Materials Transactions、59巻、4号、206頁~211頁(2018)
しかしながら、レンズを用いて可視光をスポットに絞り像観察する方式の光学顕微鏡の水平方向の分解能は、光が持つ波動性に起因する回折限界があるため、従来の顕微インデンテーション試験法では、原理上、可視光の波長の半分以下であるサブミクロン領域までに限定され、該光学顕微鏡を用いてナノ領域での力学刺激応答特性を評価することが難しい場合があった。
本発明は、このような従来技術の実情を鑑みてなされたもので、既知の形状と力学特性を持つ圧子と未知試料の試験体表面とを接触させた際の力学刺激応答特性を、該試料が有する力学特性を反映して圧子が変形する様子を、可視光をレンズで絞る像観察方式の光学顕微鏡を用いることなく、ナノ領域で評価する技術を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明によれば、下記の技術的手段および技術的手法が提供される。
[1]測定試料の試験体の表面に圧子を押し込んで接触させた状態で、圧子の試験体側と反対の面の形状変化を計測することによって、測定試料の力学特性を評価する力学特性試験方法。
[2]前記圧子と、前記試験体と、表面観察プローブを備えた走査型プローブ顕微鏡と、を有する顕微インデンテーション試験機を用いて、
前記走査型プローブ顕微鏡により、前記圧子の先端を、前記試験体の表面に前記圧子を押し込んで接触させた状態で、前記圧子の前記試験体側と反対の面の形状変化を計測する、[1]の力学特性試験方法。
[3]前記顕微インデンテーション試験機と、計測制御装置と、情報処理装置とを有する力学特性計測装置を用いて、
前記計測制御装置により、
前記試験体の表面と前記圧子の先端との位置関係を計測し、
前記試験体と前記圧子との押し込みが所定の圧入深さとなるように位置制御し、
前記圧子の背面を観察する前記走査型プローブ顕微鏡を制御し、
前記情報処理装置により、
前記顕微インデンテーション試験機から前記表面観察プローブの背面の表面情報を受け取り、表面変形量もしくは表面変位分布として解析し、
解析された表面変形量もしくは表面変位分布を記憶装置に記憶し、
前記記憶装置に記憶された既知の力学特性を有する前記圧子を用いた前記顕微インデンテーション試験機による顕微インデンテーション試験の結果から、未知試料の試験体の力学特性を評価することを特徴とする[2]の力学特性試験方法。

[4]前記圧子の前記試験体表面との接触中心点を基準とし、前記圧子の前記試験体側と反対の面に対して接触中心点から垂直に降ろした点の変位もしくはその点からの距離を関数とする変位分布を計測する[1]から[3]のいずれかの力学特性試験方法。
[5]測定試料の試験体に押し込む圧子と、
圧子の測定試料側と反対の面の形状変化を計測する計測手段と、を備えた力学特性計測装置。
[6]顕微インデンテーション試験機を備え、この顕微インデンテーション試験機は、
前記圧子と、
前記試験体と、
前記圧子の先端を、前記試験体の表面に前記圧子を押し込んで接触させた状態で、前記圧子の前記試験体側と反対の面の形状変化を計測する、表面観察プローブを備えた走査型プローブ顕微鏡を有し、
前記計測手段は、前記走査型プローブ顕微鏡を含む、[5]の力学特性計測装置。
[7]前記顕微インデンテーション試験機と、計測制御装置と、情報処理装置とを備え、
前記計測制御装置は、
前記試験体の表面と前記圧子の先端との位置関係を計測する変位計測装置と、
前記試験体と前記圧子との接触が所定の圧入深さとなるように位置制御する精密位置決め装置と、
前記圧子の背面を観察する前記走査型プローブ顕微鏡を制御する表面解析装置を有し、
前記情報処理装置は、
前記顕微インデンテーション試験機から前記表面観察プローブの背面の表面情報を受け取り、三次元の表面変形量もしくは表面変位分布として解析する表面解析部と、
前記表面解析部で解析された表面変形量もしくは表面変位分布を記憶する記憶装置を有し、
前記記憶装置に記憶された既知の力学特性を有する前記圧子を用いた、前記顕微インデンテーション試験機による顕微インデンテーション試験の結果から、未知試料の試験体の力学特性を評価することを特徴とする[6]の力学特性計測装置。

[8]前記圧子と、前記表面観察プローブの探針とが縦方向に配列した縦型二重構造を有する請求項[6]又は[7]の力学特性計測装置。[9]前記表面観察プローブは、片持ち梁方式により前記走査型プローブ顕微鏡のXYZ走査機構に、前記XYZ走査機構と連動できるように取り付けられている、[6]から[8]のいずれかの力学特性計測装置。

[10]前記走査型プローブ顕微鏡は、前記圧子の前記試験体表面との接触中心点を基準とし、圧子の試験体側と反対の面に対して接触中心点から垂直に降ろした点の変異もしくはその点からの距離を関数とする変位分布を計測するように構成されている、[6]から[9]のいずれかの力学特性計測装置。
本発明によれば、既知の形状と力学特性を持つ圧子と未知試料の試験体表面とを接触させた際の力学刺激応答特性を、ナノ領域で評価する技術が提供される。
本発明の一実施形態に係る顕微インデンテーション試験機において、圧子先端と試験体表面とが接触する状況において圧子背面の変位変化を計測するプローブの配置の一例を説明する図である。 本発明の一実施形態に係るインデンテーション試験機を含む、インデンテーション・システムの基本構成の一例を説明するブロック図である。 本発明の一実施形態に係るインデンテーション試験機の構成の一例を説明する図である。 球面圧子を用いた実施例1について、試験体への押し込み量と球面圧子背面の変位変化の関係を、有限要素解析した結果の一例を説明する図である。 球面圧子を用いた実施例1について、試験体の弾性率と試験体への押し込み量が圧子背面の変位変化に及ぼす効果を、有限要素解析した結果の一例を説明する図である。 球面圧子を用いた実施例1について、試験体と球面圧子との弾性率比と圧子背面の変位変化の関係を、有限要素解析した結果の一例を説明する図である。 球面圧子を用いた実施例1について、所定の試験体への押し込み量において、計測された球面圧子背面の変位変化の最大値から、試験体と圧子との弾性率比を求め、その値と既知である圧子の弾性率との積から、未知試料の弾性率を解析する一例を説明する図である。 円錐圧子を用いた実施例2について、試験体への押し込み量と圧子背面の変位変化の関係を、有限要素解析した結果の一例を説明する図である。 円錐圧子を用いた実施例2について、試験体と圧子との弾性率比と圧子背面の変位変化の関係を、有限要素解析した結果の一例を説明する図である。 円錐圧子を用いた実施例2について、試験体の弾性率と試験体への押し込み量が圧子背面の変位変化に及ぼす効果を、有限要素解析した結果の一例を説明する図である。 円錐圧子を用いた実施例2について、所定の試験体への押し込み量において、計測された球面圧子背面の変位変化の最大値から、試験体と圧子との弾性率比を求め、その値と既知である圧子の弾性率との積から、未知試料の弾性率を解析する一例を説明する図である。 球面圧子を用いた実施例3について、球面圧子をポリウレタン製とし、試験体をポリウレタン及びアルミニウム合金とし、試験体への定荷重負荷方式の追加重量と球面圧子背面の変位変化の関係を、実験した結果の例を説明する図である。 球面圧子を用いた実施例3について、球面圧子をポリウレタン製とし、試験体をポリウレタン及びアルミニウム合金とし、球面圧子の背面変位分布を、所定の負荷荷重によって決まる球面圧子の押し込み量で規格化した値で表示し、試験体への定荷重負荷方式の追加重量と谷の深さ(***)の負荷荷重依存性の関係を、実験した結果の例を説明する図である。 球面圧子を用いた実施例3について、試験体への定荷重負荷において、所定の追加重量で計測された圧子背面変位の***変化量から、試験体と圧子との弾性率比を求め、その値と既知である圧子の弾性率との積から、未知試料の弾性率を解析する一例を説明する図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の力学特性計測装置の一実施形態に係る顕微インデンテーション試験機の圧子部を説明する図である。本実施形態に係るインデンテーション試験装置(顕微インデンテーション試験機)の圧子部は、力学試験用圧子(以下、圧子とも称する)4と圧子の試験体側と反対の面の形状変化を計測する計測手段の探針(プローブ、以下、単にプローブ又は表面観察プローブとも称する)20とが縦方向に配列した縦型二重プローブ構造となる。ここには、図1(A)として先端が球面である圧子(以下、球面圧子と称す)、及び図1(B)として先端が円錐である圧子(以下、円錐圧子と称す)が例示されている。
図1には、この二重構造を反映し二つの直交座標が描かれており、圧子のための座標系は(Xi, Zi)であり、原点((Xi, Zi)=(0, 0))は圧子4の先端と試験体5の表面が接触する位置である。圧子4の先端を試験体5の表面に押し込む試験ではZiはマイナスの符号をとる。また、表面観察プローブのための座標系は(Xm, Zm)であり、原点((Xm, Zm)=(0, 0))は表面観察プローブ20の先端と圧子4の背面が接触する位置である(厳密には、例えば計測手段が走査型トンネル顕微鏡の場合、プローブ先端と圧子の表面とはトンネル電流が流れるサブナノメートルオーダーの隙間があり力学的には接触していない)。圧子4の先端を試験体5の表面に押し込む試験では、圧子4の背面は***するように盛り上がるため、Zmはプラスの符号となる。
図1には、例として、半径rの中実な球体を高さHにおいて切り取った形状の球面圧子(A)、及び、中実な円錐形状であり面傾斜角がβ、高さがHである円錐圧子(B)が描かれている。
圧子の先端は一つの突起を持つ形状であり、例えば、球面、三角錐、四角錐、または、円錐である。図1に示す圧子4の構造は中実であるが、殻(シェル)でも良い。しかし、その背面は平滑であることが必要である。
圧子4の作製方法は、例えば、ナノインプリント、電解研磨法、ウエットエッチング、ドライエッチング、プラズマエッチング、フォトリソグラフィー、マイクロマシニング、などから選択して利用でき、サブミクロンからナノメートルオーダーの極小な先端曲率半径を持たせることができる。さらに、マイクロマシニング技術によれば、梁構造(カンチレバー)を持つ計測手段(例えば走査型プローブ顕微鏡)のプローブ20と接触用の圧子4を同時に作り込むことが可能となる。
計測手段は圧子4の背面の変位を観察するために用いる装置であり、そのプローブ20は圧子4の移動に対して連動できるように設置されており、常に圧子4の背面を監視できる。このことにより、圧子4が試験体5と接触した瞬間を圧子4の背面の変形として捉えることができる。さらに、圧子4を試験体5に押し込む過程において、圧子4のZ軸方向の変位を形状変化として計測することができる。計測手段は、例えば、後述の走査型プローブ顕微鏡6を含むものであってよく、更に計測制御装置2もしくはその構成要素(変位計測装置7、精密位置決め装置8、表面解析装置9等)、情報処理装置3もしくはその構成要素(表面解析部13、記憶装置16等)から選ばれる1種以上を含むものであってもよい。
すなわち、本発明の力学特性計測装置の一実施形態である顕微インデンテーション試験装置によれば、圧子4の先端を試験体5の表面に所定の押し込み深さまで接触させ、その接触中心点を基準とし、圧子4の試験体側と反対の面に対して接触中心点から垂直に降ろした点の変位もしくはその点からの距離を関数とする変位分布を計測手段により計測することによって、従来の光学顕微鏡を用いる方法では困難であったナノ領域での力学特性を評価することができる。該変位分布は、サブナノメートル以下の精度で計測できる汎用の各種の走査型プローブ顕微鏡が利用でき、例えば、走査型トンネル顕微鏡、原子間力顕微鏡、走査型近接場光学顕微鏡などから選択することができる。一般的な走査型プローブ顕微鏡の水平方向分解能はナノメートール以下、垂直方向分解能はサブナノメートル以下であり、光学顕微鏡では不可能であった測定確度の高いナノ領域での観察ができる。
図2は、本発明の一実施形態に係る顕微インデンテーション試験装置を含む、インデンテーション・システムの基本構成の一例を説明するブロック図である。
図2に示すインデンテーション・システムは、顕微インデンテーション試験機1と、計測制御装置2と、情報処理装置(電子計算機)3で構成される。
顕微インデンテーション試験機1は、圧子4と、試験体5と、その先端を試験体5の表面に接触させる圧子4の背面を観察する走査型プローブ顕微鏡6(以下、プローブ顕微鏡ともいう)、とから構成される。
計測制御装置2は、試験体5の表面と圧子4の先端との位置関係を計測する変位計測装置7と、試験体5と圧子4との接触が所定の圧入深さとなるよう位置制御する精密位置決め装置8、圧子4の背面を観察するプローブ顕微鏡6を制御する表面解析装置9、により構成される。
情報処理装置3はコンピュータ(電子計算機)であり、入出力I/F(Interface)10、CPU(Central Processing Unit)11、条件設定部12、表面解析部13、特性値演算部14、位置制御部15、および、記憶装置16により構成される。情報処理装置3の有する各要素は、バス(Bus)によって接続されている。
情報処理装置3の表面解析部13で使用される解析プログラムは記憶装置16に格納されており、試験条件である接触変位量を設定するように入出力I/F10を通してユーザーに入力を促し、さらに、コンピュータのメモリなどの主記憶装置上に展開されて実行を行う。同様に、情報処理装置3の位置制御部15で使用される位置制御プログラムは記憶装置16に格納されており、試験条件である接触変位量を設定するように入出力I/F10を通してユーザーに入力を促し、さらに、コンピュータのメモリなどの主記憶装置上に展開されて実行を行う。
特性値演算部14で使用される演算プログラムは、記憶装置16に格納されており、条件設定部12を通して、圧子4の種類とその弾性率などの試験条件を設定するように入出力I/F10を通してユーザーに入力を促し、さらに、表面解析部13で解析された圧子4の背面変形の値と、記憶装置16に格納されている事前に実施された有限要素解析の結果から試験条件に合致するデータを選択し、コンピュータのメモリなどの主記憶装置上に展開されて実行を行う。
図3は、圧子の背面変位の変化を計測する装置として機能する走査型プローブ顕微鏡を備えた本発明の一実施形態に係る顕微インデンテーション試験装置の基本構成の一例である。
次に、顕微インデンテーション試験装置により、試験中の圧子の背面変位を精密に計測する機構について説明する。
<顕微インデンテーション試験装置の構造>
図3は、本発明の一実施形態に係る顕微インデンテーション試験装置の機能構成の一例である。なお、以下では、図2に示すインデンテーション・システムの構成例も適宜参照して説明する。
ここでは、プローブ顕微鏡6の一例として、「光てこ」方式の原子間力顕微鏡が描かれているが、これに限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
表面観察プローブ20は片持ち梁方式によりXYZ走査機構21に取り付けられており、選択した範囲内を高速に走査し表面情報を収集する。表面情報とは表面観察プローブ20の背面の位置情報である。表面情報はレーザ22と分割フォトダイオード23によって検出され、電流・電圧変換回路24とフィードバック回路25を経て情報処理装置3の表面解析部13に転送される。さらに、位置情報は解析プログラムにより三次元の表面変位分布として解析される。そして、数値化された背面変形量もしくは変位分布は、情報処理装置3の記憶装置16に書き込まれる。
表面解析装置9によって制御されるプローブ顕微鏡6(走査型プローブ顕微鏡)の表面観察プローブ20の軸は、圧子4と試験体5との接触部とを結ぶ軸と一致するように配置する。こうすることで、圧子4を試験体5に接触させた際に圧子4の背面が変形する挙動をプローブ顕微鏡6で観察することが可能となる。
すなわち、本実施形態に係る顕微インデンテーション試験装置によれば、圧子4の先端を試験体5の表面に所定の押し込み深さまで接触させ、その接触中心点を基準とし、圧子4の試験体側と反対の面に対して接触中心点から垂直に降ろした点の変位もしくはその点からの距離を関数とする変位分布をプローブ顕微鏡6により計測することによって、従来の光学顕微鏡を用いる方法では困難であったナノ領域での力学特性を評価することができる。
試験体5の表面位置は、試験体5を載せた試験体保持台27を粗動機構26により上下させることにより、圧子4の先端に接近させることができる。さらに、近接量である空隙の絶対値は粗動機構26に設置した変位計測装置7を用いて計測され、情報処理装置3に転送し、表示させることができる。ただし、圧子4が試験体5と接触した接触点を空隙のゼロ点とする較正をあらかじめ実施しておく必要がある。この接触を検知する手法は種々の方法から選択することができるが、例えば、プローブ顕微鏡6が圧子4の背面の変位を捉えた事象を接触点の検出に利用することができる(詳細は実施例の項に記載する)。
精密位置決め装置8を微動させることによって圧子4の先端を試験体5の表面に接触させる。情報処理装置3の条件設定部12で設定した所定の数値となるよう、変位計測装置7と精密位置決め装置8によって精密に調整される。このことにより、インデンテーション試験の圧入量(押し込み量)は確定される。圧入量を一定に保持するため、情報処理装置3の位置制御部15は、変位計測装置7の計測値に基づいて条件設定部12で設定した所定の数値となるよう、精密位置決め装置8に対してフィードバック制御を掛けるクローズドループ機能を備えている。
接触で生じる負荷値が大きいほど、すなわち、試験体5の表面への押し込み量が多いほど、圧子4の背面変形量は大きい。したがって、精度良く圧子4の背面変形を定量計測するには精密位置決め装置8が微動する移動量を大きくさせることになる。この際、圧子4を試験体5の表面に押し込む移動にともないプローブ顕微鏡6の走査機構21も連動して移動する配置とすることで、圧子4が試験体5の表面に押し込む変位量はキャンセルされ、圧子背面の変形のみが計測される。圧子4と表面観察プローブ20が相対的に同じ位置となる装置配置により、表面観察プローブ20は圧子4の背面を常に観察できる。
次に、実施例により本発明を詳細に説明する。
本発明の課題について、数値解析として有限要素法を選択し解析的に課題を検証した。有限要素解析は、弾塑性変形を含む接触問題に関し既に有効性が認められたソルバーとして、ここでは大規模有限要素法解析プログラム(FrontISTR)を選択した。接触の解析は非線形静解析にステップ解析を組み合わせて実施した。
有限要素法による計算をするに先立ち、前処理として、汎用のコンピューター・アプリケーション・ソフトウェア(CAD)を用いてモデル作成とメッシュ作成を実施した。ここでの要素数は約6万から約10万程度とした。さらに、有限要素解析の後処理として、汎用の可視化用コンピューター・アプリケーション・ソフトウェアを用いて計算結果を図示させた。
<実施例1>
図1(A)に示した球面圧子を有する顕微インデンテーション試験装置を用いた解析内容の詳細を記載する。
球面圧子の球面の形状は直径がD、半径がrである中実の球体の表面である。球面圧子の高さHは、直径Dの1/4である(以下、1/4D球面圧子とも称す)。球面圧子のヤング率Eiは1000MPaに固定し、試験体のヤング率Esを250、500、750、1000、1500MPaと変化させた。また、球面圧子と試験体のポアソン比は0.0とした。
有限要素法による解析では寸法の絶対値に意味はないが、ここでは直径Dとして10ミクロン、球面圧子の高さHは2.5ミクロンを選択した。また、試験体は圧子と接触する面の縦Bと横Wが正方形の中実の直方体とした。ここでは、縦Bと横Wは10ミクロン、高さhは5ミクロンとした。また、球面圧子の試験体への圧入量の設定値として、50、100、200、300、400、500 nmと変化させた。
図4は、球面圧子と試験体ともにヤング率が同じ値1000MPaである条件において、試験体への押し込み量を増大させた際の球面圧子の背面の変位分布に注目して有限要素解析した結果であり、接触中心からの距離Lを横軸として示した図である。
圧子先端を試験体表面に押し込む試験であるため、圧子と試験体との間隔は狭くなり、球面圧子の背面の変位を示すZ軸変位量はマイナスの符号をとる。このことから、各条件における変位分布の解析結果について見てみると、解析された圧子背面の座標には設定値からのズレΔZが発生しており、すなわち、そのズレΔZは背面が***するように盛り上がっていること、さらに、そのズレΔZの最大値は接触点の真裏の背面(X=0)であることが判る。図4の右の図は、左の図に示された結果から試験体への圧入量の設定値で規格化して表示したものである。
試験体への押し込み量の増大とともに球面圧子背面の変位は増大しており、圧入量500nmに対し接触点の背面では37.6nmの***がある。一般的な走査型プローブ顕微鏡の垂直方向分解能はサブナノメートル以下であるので、高い精度で変位分布を計測できることが判る。
図5は、球面圧子のヤング率Eiを1000MPaに固定した条件において、試験体のヤング率Esを種々に変化させ(500、750、1000、1500MPa)、さらに、圧子先端の試験体表面への圧入量を種々に変化させた例(50、100、200、300、400、500 nm)において、球面圧子の背面の変位分布に注目して有限要素解析した結果であり、接触中心からの距離Lを横軸として示した図である。
図6は、球面圧子のヤング率Eiを1000MPaに固定し、圧子先端の試験体表面への圧入量(-Z)を500nmとした条件において、試験体のヤング率Esを種々に変化させた例(250、500、750、1000、1500MPa)、すなわち、試験体と球面圧子との弾性率比を0.25から1.5まで種々変化させ、球面圧子の背面の変位分布に注目して有限要素解析した結果であり、接触中心からの距離Lを横軸として示した図である。
図6の右の図は、左の図に示された結果を試験体への圧入量の設定値で規格化して再表示したものである。試験体のヤング率Esが増大するにつれ、球面圧子背面の最大変位量は増大している。球面圧子の背面で見られる***は、試験体のヤング率が高い場合(Es = 1500 MPa)、46.7nmであった。一方、球面圧子の背面で見られる***が一番小さい場合(Es = 250 MPa)、試験体の接触点の背面では24.4nmの***があるため、一般的な走査型プローブ顕微鏡を用いて変位分布を高い精度で計測できることが判る。
図7は、既知のヤング率を持つ球面圧子を用いた顕微インデンテーション試験の結果から未知試料の試験体のヤング率を評価するための検量線である。上述して来たように、球面圧子の背面で見られる***は試験体への押し込み量及び試験体と圧子とのヤング率比で一律に決まる。したがって、図7中に示した2本の矢印が例示するように、所定の試験体への押し込み量(-Z)において計測された球面圧子背面の変位変化の最大値から、試験体と圧子とのヤング率比Es/Eiが求められる。さらに、その値に対して既知である圧子の弾性率Eiを積算することによって未知試料の弾性率Esが評価できる。
<実施例2>
図1(B)に示した円錐圧子を有する顕微インデンテーション試験装置を用いた解析内容の詳細を記載する。
円錐圧子の形状は面傾斜角βが19.7度である中実の円錐(コーン)である。この角度は一般的なバーコビッチ型三角錐圧子と同一の圧子圧入量の時、同じ体積となる等価円錐から定められた値である。この面傾斜角(β=19.7)と円錐圧子背面の円の直径(D=10.0ミクロン)とから、圧子背面の高さHは1.79ミクロンとした。本実施例では、円錐圧子のヤング率Eiは1000MPaに固定し、試験体のヤング率Esを250、500、750、1000、1500MPaと変化させた。また、円錐圧子と試験体のポアソン比は0.0とした。
試験体は圧子と接触する面の縦Bと横Wが正方形の中実の直方体とした。ここでは、縦Bと横Wは10ミクロン、高さhは5ミクロンとした。また、球面圧子の試験体への圧入量の設定値として、50、100、200、300、360、450、500 nmと変化させた。
図8は、円錐圧子と試験体ともにヤング率が同じ値1000MPaである条件において、試験体への押し込み量を増大させた際の円錐圧子の背面の変位分布に注目して有限要素解析した結果であり、接触中心からの距離Lを横軸として示した図である。
圧子先端を試験体表面に押し込む試験であるため、圧子と試験体との間隔は狭くなり、円錐圧子の背面の変位を示すZ軸変位量はマイナスの符号をとる。このことから、各条件における変位分布の解析結果について見てみると、解析された圧子背面の座標には設定値からのズレΔZが発生しており、すなわち、そのズレΔZは背面が***していること、さらに、そのズレΔZの最大値は接触点の真裏の背面(X=0)であることが判る。図8の右の図は、左の図に示された結果から試験体への圧入量の設定値で規格化して再表示したものである。
試験体への押し込み量の増大とともに円錐圧子背面の変位は増大しており、圧入量500nmに対し接触点の背面では35.9nmの***がある。一般的な走査型プローブ顕微鏡の垂直方向分解能はサブナノメートル以下であるので、高い精度で変位分布を計測できることが判る。
図9は、円錐圧子のヤング率Eiを1000MPaに固定した条件において、試験体のヤング率Esを種々に変化させ(500、750、1000、1500MPa)、さらに、圧子先端の試験体表面への圧入量を種々に変化させた例(50、100、200、300、360、450、500 nm)において、円錐圧子の背面の変位分布に注目して有限要素解析した結果であり、接触中心からの距離Lを横軸として示した図である。
図10は、円錐圧子のヤング率Eiを1000MPaに固定し、圧子先端の試験体表面への圧入量(-Z)を500nmとした条件において、試験体のヤング率Esを種々に変化させた例(250、500、750、1000、1500MPa)、すなわち、試験体と円錐圧子との弾性率比を0.25から1.5まで種々変化させ、円錐圧子の背面の変位分布に注目して有限要素解析した結果であり、接触中心からの距離Lを横軸として示した図である。
図10の右の図は、左の図に示された結果を試験体への圧入量の設定値で規格化して再表示したものである。試験体のヤング率Esが増大するにつれ、球面圧子背面の最大変位量は増大している。球面圧子の背面で見られる***は、試験体のヤング率が高い場合(Es = 1500 MPa)、40.9nmであった。一方、球面圧子の背面で見られる***が一番小さい場合(Es = 250 MPa)、試験体の接触点の背面では13.7nmの***があるため、一般的な走査型プローブ顕微鏡を用いて変位分布を高い精度で計測できることが判る。
図11は、既知のヤング率を持つ円錐圧子を用いた顕微インデンテーション試験の結果から未知試料の試験体のヤング率を評価するための検量線である。上述して来たように、円錐圧子の背面で見られる***は試験体への押し込み量及び試験体と圧子とのヤング率比で一律に決まる。したがって、図11中に示した2本の矢印が例示するように、所定の試験体への押し込み量(-Z)において計測された円錐圧子背面の変位変化の最大値から、試験体と圧子とのヤング率比Es/Eiが求められる。さらに、その値に対して既知である圧子の弾性率Eiを積算することによって未知試料の弾性率Esが評価できる。
<実施例3>
図1(A)に示した球面圧子を有する顕微インデンテーション試験装置を用いた実験内容の詳細を記載する。
この実施例では、図1(A)に示した表面観察プローブ20としてレーザ光を選択し、反射式のCCDレーザ変位計(キーエンス製、LK-G35、レーザ波長:650nm)と自動駆動機構(シグマ光機製、SGSP20-85)とにより走査型プローブ顕微鏡を構成した。Z軸方向の変位計測の繰り返し精度は10nmである。
球面圧子の球面の形状は直径Dが44mmの中実の球体の表面であり、球面圧子の高さHは16mmである。球面圧子の材質はポリウレタンであり、球面圧子のヤング率Eiは230kPaに固定した。試験体の材質はポリウレタンとアルミニウム合金とし、ポリウレタンは、ヤング率Esが100、510kPaと異なる2種類を選択した。アルミニウム合金のヤング率Esは70 GPaである。
試験体に対する球面圧子の圧入量は、死荷重による定荷重制御方式とした。球面圧子自体の重量は13.44gf(131.8mN)であり、それに追加する重りの重量(以下、追加重量とも称す)を、0gf(追加重量なし、0mN)、5.28gf(51.8mN)もしくは10.48gf(102.8mN)とした。よって、試験体の表面に負荷される総荷重は、13.44gf(131.8mN)、18.72gf(183.6mN)、23.92gf(234.6mN)となる。
なお、本実施例に関して記載する負荷力は、「1kgf=9.80665N」に従って換算されることが理解される。
図12は、低弾性体の代表としてポリウレタン(ヤング率Es:100kPa)を、高弾性体の代表としてアルミニウム合金(ヤング率Es:70GPa)を試験体として選択し、両者を比較するために重ねて図示したものである。実験は、試験体に球面圧子のみを載せた場合(追加重量を搭載しない場合)を基準(以下、Referenceとも称す)とし、順次、追加重量を搭載させた状態(図中、5.28gf、10.48gfと示す)における球面圧子の背面変位分布を計測した。
図13は、試験体としてヤング率Esが100、もしくは、510kPaである2種類のポリウレタンとヤング率Esが70 GPaであるアルミニウム合金の球面圧子の背面変位分布である。この図では、球面圧子の背面変位分布は、所定の負荷荷重によって決まる球面圧子の押し込み量(-Z)で規格化した値(-Z/Z)で表示してあるため、球面圧子背面の***が谷として図示される。試験体に負荷する荷重を増大させると、各図における谷はより深く、すなわち、***が大きくなることが判る。また、その***の最大値は、圧子と試験体との接触点の真裏の背面(X=0)であることが判る。さらに、***の負荷荷重依存性、すなわち、Referenceからの***変化(谷の深さ変化)と追加重量との関係に注目すると、試験体のヤング率が高いほど、同じ追加重量に対する***変化量ΔZ’x=0が大きいことが判る。
図14は、図13の***変化量ΔZ’x=0を縦軸に、球面圧子のヤング率Eiと試験体のヤング率Esとの比Es/Eiを横軸にプロットした図である。この図は、既知のヤング率を持つ球面圧子を用いた顕微インデンテーション試験の結果から未知試料の試験体のヤング率を評価するための検量線である。図14中に示した2本の矢印が例示するように、所定の追加重量で計測された圧子背面変位の***変化量ΔZ’x=0から、試験体と圧子とのヤング率比Es/Eiが求められる。さらに、その値に対して既知である圧子の弾性率Eiを積算することによって未知試料の弾性率Esが評価できる。
以上、本発明の好ましい実施形態を、添付の図面を参照して例示の実施例により詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
1 顕微インデンテーション試験機
2 計測制御装置
3 情報処理装置(電子計算機)
4 圧子
5 試験体
6 プローブ顕微鏡
7 変位計測装置
8 精密位置決め装置
9 表面解析装置
10 入出力I/F
11 CPU
12 条件設定部
13 表面解析部
14 特性値演算部
15 位置制御部
16 記憶装置
20 表面観察プローブ
21 XYZ走査機構
22 レーザ
23 分割フォトダイオード
24 電流・電圧変換回路
25 フィードバック回路
26 粗動機構
27 試験体保持台

Claims (10)

  1. 測定試料の試験体の表面に圧子を押し込んで接触させた状態で、圧子の試験体側と反対の面の形状変化を計測することによって、測定試料の力学特性を評価する工程を含み、
    前記圧子のうち前記試験体に接触する側の先端は、一つの突起を持つ形状であることを特徴とする力学特性試験方法。
  2. 前記圧子と、前記試験体と、表面観察プローブを備えた走査型プローブ顕微鏡と、を有する顕微インデンテーション試験機を用いて、
    前記走査型プローブ顕微鏡により、前記圧子の先端を、前記試験体の表面に前記圧子を押し込んで接触させた状態で、前記圧子の前記試験体側と反対の面の形状変化を計測する請求項1に記載の力学特性試験方法。
  3. 前記顕微インデンテーション試験機と、計測制御装置と、情報処理装置とを有する力学特性計測装置を用いて、
    前記計測制御装置により、
    前記試験体の表面と前記圧子の先端との位置関係を計測し、
    前記試験体と前記圧子との押し込みが所定の圧入深さとなるように位置制御し、
    前記圧子の背面を観察する前記走査型プローブ顕微鏡を制御し、
    前記情報処理装置により、
    前記顕微インデンテーション試験機から前記表面観察プローブの背面の表面情報を受け取り、表面変形量もしくは表面変位分布として解析し、
    解析された表面変形量もしくは表面変位分布を記憶装置に記憶し、
    前記記憶装置に記憶された既知の力学特性を有する前記圧子を用いた前記顕微インデンテーション試験機による顕微インデンテーション試験の結果から、未知試料の試験体の力学特性を評価することを特徴とする請求項2に記載の力学特性試験方法。
  4. 前記圧子の前記試験体表面との接触中心点を基準とし、前記圧子の前記試験体側と反対の面に対して接触中心点から垂直に降ろした点の変位もしくはその点からの距離を関数とする変位分布を計測する請求項1から3のいずれか一項に記載の力学特性試験方法。
  5. 測定試料の試験体に押し込む圧子と、
    圧子の試験体側と反対の面の形状変化を計測する計測手段と、を備え、
    前記圧子のうち前記試験体に接触する側の先端は、一つの突起を持つ形状であることを特徴とする力学特性計測装置。
  6. 顕微インデンテーション試験機を備え、この顕微インデンテーション試験機は、
    前記圧子と、
    前記試験体と、
    前記圧子の先端を、前記試験体の表面に前記圧子を押し込んで接触させた状態で、前記圧子の前記試験体側と反対の面の形状変化を計測する、表面観察プローブを備えた走査型プローブ顕微鏡を有し、
    前記計測手段は、前記走査型プローブ顕微鏡を含む、請求項5に記載の力学特性計測装置。
  7. 前記顕微インデンテーション試験機と、計測制御装置と、情報処理装置とを備え、
    前記計測制御装置は、
    前記試験体の表面と前記圧子の先端との位置関係を計測する変位計測装置と、
    前記試験体と前記圧子との接触が所定の圧入深さとなるように位置制御する精密位置決め装置と、
    前記圧子の背面を観察する前記走査型プローブ顕微鏡を制御する表面解析装置を有し、
    前記情報処理装置は、
    前記顕微インデンテーション試験機から前記表面観察プローブの背面の表面情報を受け取り、三次元の表面変形量もしくは表面変位分布として解析する表面解析部と、
    前記表面解析部で解析された表面変形量もしくは表面変位分布を記憶する記憶装置を有し、
    前記記憶装置に記憶された既知の力学特性を有する前記圧子を用いた、前記顕微インデンテーション試験機による顕微インデンテーション試験の結果から、未知試料の試験体の力学特性を評価する、請求項6に記載の力学特性計測装置。
  8. 前記圧子と、前記表面観察プローブの探針とが縦方向に配列した縦型二重構造を有する請求項6又は7に記載の力学特性計測装置。
  9. 前記表面観察プローブは、片持ち梁方式により前記走査型プローブ顕微鏡のXYZ走査機構に、前記XYZ走査機構と連動できるように取り付けられている、請求項6から8のいずれか一項に記載の力学特性計測装置。
  10. 前記走査型プローブ顕微鏡は、前記圧子の前記試験体表面との接触中心点を基準とし、
    圧子の試験体側と反対の面に対して接触中心点から垂直に降ろした点の変位もしくはその点からの距離を関数とする変位分布を計測するように構成されている、請求項6から9のいずれか一項に記載の力学特性計測装置。
JP2019526936A 2017-06-28 2018-06-26 力学特性試験方法及び計測装置 Active JP7046383B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017126201 2017-06-28
JP2017126201 2017-06-28
PCT/JP2018/024193 WO2019004211A1 (ja) 2017-06-28 2018-06-26 力学特性試験方法及び計測装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2019004211A1 JPWO2019004211A1 (ja) 2020-04-30
JP7046383B2 true JP7046383B2 (ja) 2022-04-04

Family

ID=64742332

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019526936A Active JP7046383B2 (ja) 2017-06-28 2018-06-26 力学特性試験方法及び計測装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP7046383B2 (ja)
WO (1) WO2019004211A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111220454B (zh) * 2020-03-19 2022-06-21 重庆大学 一种半固态合金成形性能检测装置及方法
CN112924275B (zh) * 2021-01-25 2022-06-24 武汉大学 一种微力测量装置、其制备方法及原位力学测试的方法
CN113324846A (zh) * 2021-05-28 2021-08-31 中国人民解放军国防科技大学 固体推进剂的加速老化试验方法和装置

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001153775A (ja) 1999-11-30 2001-06-08 Univ Kansai 押込硬さ試験方法及び押込硬さ試験装置
US20050154540A1 (en) 2004-01-14 2005-07-14 The Hong Kong Polytechnic University Method of determining elastic modulus
JP2009115775A (ja) 2007-10-16 2009-05-28 Jfe Steel Corp 張り剛性測定用圧子、張り剛性測定方法および装置
JP3182252U (ja) 2012-12-28 2013-03-14 独立行政法人産業技術総合研究所 力学特性計測試験装置
WO2016194985A1 (ja) 2015-06-02 2016-12-08 国立研究開発法人産業技術総合研究所 インデンテーション・クリープ試験を行うための計測装置、試験方法、物性評価プログラム、及び当該物性評価プログラムを記録した記録媒体
JP2016217799A (ja) 2015-05-18 2016-12-22 国立大学法人名古屋大学 薄肉被検査材の変形抵抗同定方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11230974A (ja) * 1998-02-17 1999-08-27 Olympus Optical Co Ltd プローブ及びその作製方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001153775A (ja) 1999-11-30 2001-06-08 Univ Kansai 押込硬さ試験方法及び押込硬さ試験装置
US20050154540A1 (en) 2004-01-14 2005-07-14 The Hong Kong Polytechnic University Method of determining elastic modulus
JP2009115775A (ja) 2007-10-16 2009-05-28 Jfe Steel Corp 張り剛性測定用圧子、張り剛性測定方法および装置
JP3182252U (ja) 2012-12-28 2013-03-14 独立行政法人産業技術総合研究所 力学特性計測試験装置
JP2016217799A (ja) 2015-05-18 2016-12-22 国立大学法人名古屋大学 薄肉被検査材の変形抵抗同定方法
WO2016194985A1 (ja) 2015-06-02 2016-12-08 国立研究開発法人産業技術総合研究所 インデンテーション・クリープ試験を行うための計測装置、試験方法、物性評価プログラム、及び当該物性評価プログラムを記録した記録媒体

Also Published As

Publication number Publication date
WO2019004211A1 (ja) 2019-01-03
JPWO2019004211A1 (ja) 2020-04-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Herrmann et al. Progress in determination of the area function of indenters used for nanoindentation
Claverley et al. A vibrating micro-scale CMM probe for measuring high aspect ratio structures
JP7046383B2 (ja) 力学特性試験方法及び計測装置
Baker Between nanoindentation and scanning force microscopy: measuring mechanical properties in the nanometer regime
Sagadevan et al. Novel Analysis on the Influence of Tip Radius and Shape of the Nanoindenter on the Hardness of Materials
Chung et al. Lateral force calibration: Accurate procedures for colloidal probe friction measurements in atomic force microscopy
Čech et al. Examination of Berkovich indenter tip bluntness
Wang et al. Principle and methods of nanoindentation test
Li et al. A MEMS nanoindenter with an integrated AFM cantilever gripper for nanomechanical characterization of compliant materials
Krier et al. Introduction of the real tip defect of Berkovich indenter to reproduce with FEM nanoindentation test at shallow penetration depth
Cai et al. An ultra-precision tool nanoindentation instrument for replication of single point diamond tool cutting edges
Jarzabek et al. Elastic modulus and fracture strength evaluation on the nanoscale by scanning force microscope experiments
Chen et al. Small scale, grain size and substrate effects in nano-indentation experiment of film–substrate systems
Huang et al. Mechanical characterization of thin film materials with nanoindentation measurements and FE analysis
Sun et al. Determination of the elastic modulus of adherent cells using spherical atomic force microscope probe
JP2017146294A (ja) 圧子透過式試験体表面観察装置、観察方法及び動画像解析・装置制御・特性値演算用プログラム
Wang et al. Finite element modelling of atomic force microscope cantilever beams with uncertainty in material and dimensional parameters
Huang et al. Nanoindentation measurements on low-k porous silica thin films spin coated on silicon substrates
Su et al. Investigation of near-surface mechanical properties of materials using atomic force microscopy
JP3675406B2 (ja) マイクロ材料試験装置及びこれによる力学特性評価方法
Maslenikov et al. Mapping of mechanical properties of nanostructured materials using a piezoresonance probe
Danzebrink et al. Dimensional nanometrology at PTB
Hoffman Measuring the elastic modulus of polymers using the atomic force microscope
JP7067686B1 (ja) 表面分析方法、表面分析システム、および表面分析プログラム
Jamal et al. Materials characterisation part II: tip geometry of the Vickers indenter for microindentation tests

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200217

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201208

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210720

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210917

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20211029

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220308

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220315

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7046383

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150