JP7043949B2 - T.Fe推定方法、T.Fe制御方法、転炉吹錬制御装置、およびプログラム - Google Patents

T.Fe推定方法、T.Fe制御方法、転炉吹錬制御装置、およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、T.Fe推定方法、T.Fe制御方法転炉吹錬制御装置およびプログラムに関する。
転炉では、酸素などを吹き込むことによって、溶銑に含まれる炭素やりんなどを除去する(吹錬処理)。除去された炭素はCOガスとして炉外に排出され、りんは転炉内のスラグの一部となる。特許文献1および特許文献2には、スラグ中のFeOなどの成分の量を推定することによって、吹錬処理終了時の溶鋼中のりん濃度を安定して低位に維持したり、りんなどを除去するために用いられる媒溶剤の使用量を低減したりする技術が記載されている。
特開2013-60659号公報 特開2016-188404号公報
一方、転炉での吹錬処理において、スラグ中のT.Fe(全鉄分濃度)は溶鋼の歩留まりおよび品質に影響する指標である。具体的には、吹錬処理が進行して溶鋼中の炭素濃度が低下し、臨界炭素濃度を下回った吹錬処理の終盤に、スラグ中のT.Feは上昇する傾向にある。しかしながら、吹錬処理終了時のT.Feが高すぎることは、すなわち溶鋼中のFeがそれだけ少なく、歩留まりが低いということである。
その一方で、何らかの手段によってスラグ中のT.Feを低下させた場合、溶銑からりんを除去するための脱りん反応において反応促進剤として作用するスラグ中のFeOが減少することになるため、溶銑からりんが十分に除去されない(脱りん不良)可能性もある。この観点から、近年では脱りん不良の防止のためにスラグ中のT.Feを高めに維持する操業が行われることもある。
とはいえ、上記の通りスラグ中のT.Feが高すぎると溶鋼の歩留まりが低くなるため、脱りん不良を生じない範囲で可能な限り低いT.Feを維持することが望ましい。また、T.Feが高すぎると溶鋼の温度が上昇し、転炉内の耐火物の損耗が大きくなるという点からも、T.Feを適切な範囲に制御することは重要である。しかしながら、上記の特許文献1および特許文献2には、特に吹錬処理の終盤において、スラグ中のT.Feを高い精度で推定し、かつ制御する方法については記載されていない。
そこで、本発明は、転炉における吹錬処理時のスラグ中のT.Feを高い精度で推定するT.Fe推定方法および統計モデル生成方法、T.Feを適切に制御することを可能にするT.Fe制御方法、ならびにこれらの方法を実現する転炉吹錬制御装置、統計モデル生成装置、およびプログラムを提供することを目的とする。
本発明のある観点によれば、転炉における吹錬処理時のスラグ中のT.Fe推定方法であって、転炉内の溶鋼温度および溶鋼炭素濃度の測定値を取得する工程と、溶鋼温度および溶鋼炭素濃度を説明変数に含む統計モデルを用いてスラグ中のT.Feの推定値を算出する工程とを含む、T.Fe推定方法が提供される。
上記の構成によれば、転炉の操業要因を説明変数とした統計モデルを用いることによって、吹錬処理時のスラグ中のT.Feを高い精度で推定することができる。また、T.Feの推定の精度が高ければ、推定結果に基づくT.Feの制御も適切に実行することができる。
上記のT.Fe推定方法において、説明変数は、転炉への酸化鉄含有副原料の投入量をさらに含んでもよい。
上記のT.Fe推定方法は、転炉の排ガス成分濃度および排ガス流量の測定値を取得する工程をさらに含み、説明変数は、前チャージの吹錬処理後に転炉内に残されたスラグが再利用される量をさらに含んでもよい。
上記のT.Fe推定方法において、説明変数は、少なくとも排ガス成分濃度および排ガス流量に基づいて算出される、スラグ中にFeと結合して取り込まれている酸素原単位を含んでもよい。
本発明の別の観点によれば、転炉における吹錬処理時のスラグ中のT.Fe制御方法であって、上記のT.Fe推定方法によって得られたスラグ中のT.Feの推定値と、スラグ中のT.Feの目標値とに基づいて、転炉への酸化鉄含有副原料の投入量を算出する工程を含む、T.Fe制御方法が提供される。
上記の構成によれば、統計モデルにおける知見に基づいて、酸化鉄含有副原料の投入量を用いてT.Feを制御することで、より効果的なT.Feの制御が可能になる。
上記のT.Fe制御方法において、酸化鉄含有副原料の投入量を算出する工程は、スラグ中のT.Feの推定値がスラグ中のT.Feの目標値に一致するように算出される酸化鉄含有副原料の第1の投入量と、転炉内の溶鋼温度が目標値に一致するように算出される酸化鉄含有副原料の第2の投入量とのうち、いずれか少ない方を転炉への酸化鉄含有副原料の投入量とする工程を含んでもよい。
上記のT.Fe制御方法は、第1の投入量が第2の投入量よりも少ない場合に、第2の投入量と第1の投入量との差分に基づいて、転炉への酸化鉄含有副原料以外の冷材の投入量を算出する工程をさらに含んでもよい。
上記のT.Fe制御方法は、第1の投入量が第2の投入量よりも多い場合に、第1の投入量と第2の投入量との差分に基づいて、スラグ中のT.Feの推定値をスラグ中のT.Feの目標値に一致させるための操業要因の調節量を算出する工程をさらに含んでもよい。
本発明のさらに別の観点によれば、転炉内の溶鋼温度および溶鋼炭素濃度の測定値を取得する手段と、溶鋼温度および溶鋼炭素濃度を説明変数に含む統計モデルを用いて前記転炉における吹錬処理時のスラグ中のT.Feの推定値を算出する手段とを備える、転炉吹錬制御装置が提供される。
上記の転炉吹錬制御装置は、スラグ中のT.Feの推定値と、スラグ中のT.Feの目標値とに基づいて、転炉への酸化鉄含有副原料の投入量を算出する手段をさらに備えてもよい。
本発明のさらに別の観点によれば、転炉内の溶鋼温度および溶鋼炭素濃度の測定値を取得する手段、ならびに溶鋼温度および溶鋼炭素濃度を説明変数に含む統計モデルを用いて転炉における吹錬処理時のスラグ中のT.Feの推定値を算出する手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムが提供される。
上記のプログラムは、さらに、スラグ中のT.Feの推定値と、スラグ中のT.Feの目標値とに基づいて、転炉への酸化鉄含有副原料の投入量を算出する手段としてコンピュータを機能させてもよい。
本発明のさらに別の観点によれば、転炉内の溶鋼温度および溶鋼炭素濃度の測定値を取得する工程と、転炉における吹錬処理時のスラグ中のT.Feの測定値を取得する工程と、溶鋼温度および溶鋼炭素濃度の測定値、ならびにスラグ中のT.Feの測定値に基づいて、スラグ中のT.Feを目的変数とする統計モデルの説明変数に含まれる溶鋼温度および溶鋼炭素濃度に対応するパラメータを決定する工程とを含む、統計モデル生成方法が提供される。
本発明のさらに別の観点によれば、転炉内の溶鋼温度および溶鋼炭素濃度の測定値を取得する手段と、転炉における吹錬処理時のスラグ中のT.Feの測定値を取得する手段と、溶鋼温度および溶鋼炭素濃度の測定値、ならびにスラグ中のT.Feの測定値に基づいて、スラグ中のT.Feを目的変数とする統計モデルの説明変数に含まれる溶鋼温度および溶鋼炭素濃度に対応するパラメータを決定する手段とを含む、統計モデル生成装置が提供される。
本発明のさらに別の観点によれば、転炉内の溶鋼温度および溶鋼炭素濃度の測定値を取得する手段、転炉における吹錬処理時のスラグ中のT.Feの測定値を取得する手段、ならびに溶鋼温度および溶鋼炭素濃度の測定値と、スラグ中のT.Feの測定値とに基づいて、スラグ中のT.Feを目的変数とする統計モデルの説明変数に含まれる溶鋼温度および溶鋼炭素濃度に対応するパラメータを決定する手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムが提供される。
以上で説明したように、本発明によれば、転炉における吹錬処理時のスラグ中のT.Feを高い精度で推定し、さらにT.Feを適切に制御することができる。
本発明の一実施形態に係る転炉吹錬制御装置を含む精錬設備の概略的な構成を示す図である。 本発明の一実施形態におけるT.Fe管理処理の例を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態における統計モデルの使用、および統計モデルの説明変数の設定の効果について説明するためのグラフである。 本発明の一実施形態における統計モデルの使用、および統計モデルの説明変数の設定の効果について説明するためのグラフである。 本発明の一実施形態における統計モデルの使用、および統計モデルの説明変数の設定の効果について説明するためのグラフである。 本発明の一実施形態における統計モデルの使用、および統計モデルの説明変数の設定の効果について説明するためのグラフである。 本発明の一実施形態における統計モデルの使用、および統計モデルの説明変数の設定の効果について説明するためのグラフである。 本発明の一実施形態における統計モデルの使用、および統計モデルの説明変数の設定の効果について説明するためのグラフである。 本発明の一実施形態におけるT.Feの目標値の決定手法について説明するためのグラフである。 本発明の一実施形態におけるT.Feの制御値決定処理の例を示すフローチャートである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(精錬設備の構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る転炉吹錬制御装置を含む精錬設備の概略的な構成を示す図である。図1に示されるように、精錬設備1は、転炉設備10と、計測制御装置20と、転炉吹錬制御装置30とを含む。以下、各部についてさらに説明する。
転炉設備10は、転炉11と、上吹きランス12と、煙道13と、羽口14と、投入装置15とを含む。転炉設備10では、転炉11の炉口から挿入された上吹きランス12が、転炉11内の溶銑111に酸素ガス121を供給する。一次精錬の脱炭処理では、溶銑111内の炭素が酸素ガス121と反応することによってCOガスまたはCOガスになり、これらのガスは煙道13を経由して排出される。脱炭処理を経た溶銑111は、溶鋼112として次工程に送られる。また、脱炭処理では、溶銑111内のりんおよびケイ素も酸素ガス121、またはスラグ113に含まれる副原料と反応し、スラグ113中に取り込まれて安定化する。一方、羽口14からは窒素ガスやアルゴンガスなどの底吹きガス141が吹き込まれて溶銑111を攪拌し、上記の反応を促進する。投入装置15は、スラグ113を構成する生石灰、および溶鋼112の温度を調節するための冷材を含む副原料151を転炉11内に投入する。なお、副原料151が粉体である場合は、上吹きランス12を用いて酸素ガス121とともに吹き込むことも可能である。
計測制御装置20は、転炉設備10における精錬処理に関する各種の計測、および精錬処理の制御を実行する。具体的には、計測制御装置20は、計測系として、サブランス21と、排ガス分析計22と、排ガス流量計23とを含む。サブランス21は、上吹きランス12とともに転炉11の炉口から挿入され、先端に設けられた測定装置を脱炭処理中の所定のタイミングで溶鋼112に浸漬させることによって、炭素濃度を含む溶鋼112の成分濃度(溶鋼中の炭素濃度を溶鋼炭素濃度と称する)、および溶鋼112の温度(溶鋼温度とも称する)などを測定する。このようなサブランス21を用いた測定を、以下の説明ではサブランス測定ともいう。排ガス分析計22は、煙道13を経由して排出されるガスの成分を分析する。具体的には、排ガス分析計22は、排ガスに含まれるCO、COおよびOの濃度(各成分の濃度を排ガス成分濃度と称する)を測定する。一方、排ガス流量計23は、煙道13を経由して排出されるガスの流量(排ガス流量と称する)を測定する。上記のサブランス測定の結果、および排ガス分析計22および排ガス流量計23の測定結果は、転炉吹錬制御装置30に送信される。
一方、計測制御装置20は、制御系として、ランス駆動装置24と、酸素供給装置25と、底吹きガス供給装置26と、投入制御装置27とを含む。ランス駆動装置24は、上吹きランス12を上下方向に駆動する。これによって、上吹きランス12の高さ、すなわち転炉11内で酸素ガス121が供給される位置の溶銑111からの距離を調節することができる。酸素供給装置25は、上吹きランス12に酸素ガス121を供給する。供給される酸素ガス121の流量は調節可能である。底吹きガス供給装置26は、羽口14に底吹きガス141を供給する。供給される底吹きガス141の流量も調節可能である。投入制御装置27は、投入装置15による副原料151の投入を制御する。具体的には、投入制御装置27は、副原料151の投入のタイミングおよび投入量を制御する。上記のランス駆動装置24、酸素供給装置25、底吹きガス供給装置26、および投入制御装置27の動作は、いずれも、転炉吹錬制御装置30から受信される制御信号に従って実行される。
転炉吹錬制御装置30は、通信部31と、演算部32と、記憶部33と、入出力部34とを含む。通信部31は、計測制御装置20の各要素と有線または無線で通信する各種の通信装置であり、計測制御装置20において得られた測定結果を受信するとともに、計測制御装置20に制御信号を送信する。演算部32は、プログラムに従って各種の演算を実行する演算装置である。演算装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)を含む。プログラムは、演算装置のROM、または記憶部33に格納される。演算部32は、プログラムに従って動作することによって、T.Fe推定部321およびT.Fe制御部322として機能する。記憶部33は、各種のデータを格納することが可能なストレージである。記憶部33には、例えば操業要因データ331、目標データ332、およびパラメータ333が格納される。これらのデータは、例えば初期データとして格納されるのに加えて、演算部32における演算の結果に従って随時更新される。入出力部34は、ディスプレイまたはプリンタなどの出力装置と、キーボード、マウス、またはタッチパネルなどの入力装置とを含む。出力装置は、例えば、T.Fe推定部321によって推定されたT.Feなどの値を出力する。入力装置は、例えば、T.Fe制御部322が実行する制御に関する指示入力を取得する。
ここで、転炉吹錬制御装置30におけるT.Feの推定および制御の処理の説明に先立って、記憶部33に格納されるデータについてより具体的に説明する。上記のように、記憶部33には、操業要因データ331、目標データ332、およびパラメータ333が格納されている。操業要因データ331は、転炉11の各種の操業要因に関するデータである。例えば、操業要因データ331は、チャージごとの初期の溶銑重量、溶銑成分(炭素、ケイ素、りん、およびマンガンなど)の濃度、溶銑温度、溶銑率などの溶銑111に関する情報が含まれる。ここで、溶銑111に関する情報は、サブランス測定の測定対象や測定タイミングなどの結果を含んでもよい。操業要因データ331には、副原料151の成分やチャージごとの投入量などの情報が含まれてもよい。さらに、操業要因データ331には、上吹きランス12による酸素ガス121の吹き込み量の情報、および羽口14からの底吹きガス141の吹き込み量の情報が含まれてもよい。一方、目標データ332は、脱炭処理後、およびサブランス測定時などにおける溶銑111(または溶鋼112)中の目標成分濃度、および目標温度などを含む。パラメータ333は、後述するT.Feの推定モデルのパラメータを含む。
(T.Fe管理処理)
図2は、本発明の一実施形態におけるT.Fe管理処理の例を示すフローチャートである。T.Fe管理処理は、転炉吹錬の開始タイミングで開始される。図示された例では、まず、転炉吹錬制御装置30のT.Fe推定部321が、初期データを取得する(ステップS11)。ここで、初期データは、当該チャージの初期の溶銑重量および溶銑率、後述する再利用スラグ量、ならびに記憶部33に格納された目標データ332およびパラメータ333を含む。その後、T.Fe推定部321は、排ガスデータの取得(ステップS12)と副原料データの取得(ステップS13)を繰り返す。ここで、排ガスデータは、計測制御装置20に含まれる排ガス分析計22および排ガス流量計23によって測定される排ガス成分濃度および排ガス流量の測定値を含む。副原料データは、投入制御装置27によって投入された副原料の成分組成および投入量を含む。
転炉吹錬の途中で所定のタイミングでサブランス測定が実行されるまで、上記のステップS12,S13が繰り返される。サブランス測定が終了すると(ステップS14)、T.Fe推定部321は、サブランス測定のデータを取得し(ステップS15)、ステップS11~S13およびステップS15で取得されたデータを説明変数とするT.Fe推定処理を実行する(ステップS16)。ここで、サブランス測定で取得されたデータは、溶鋼温度および溶鋼炭素濃度の測定値を含む。さらに、T.Fe制御部322が、ステップS15における推定の結果に基づいて、T.Fe制御値決定処理を実行し(ステップS17)、さらに決定された制御値に従って計測制御装置20の制御を実行する(ステップS18)。なお、ステップS17,S18におけるT.Fe制御処理の詳細については後述する。
その後、吹錬処理が終了するまで(ステップS19)、排ガスデータの取得(ステップS12)、副原料データの取得(ステップS13)、T.Fe推定処理(ステップS16)、およびT.Fe制御処理(ステップS17,S18)が繰り返される。なお、原則、サブランス測定は1回しか行われないため、ステップS14,S15の処理は、繰り返されない。本実施形態では、このようなT.Fe推定処理及びT.Fe制御処理が、サブランス測定から吹錬処理の終了までの間に逐次実行される。
上記のステップS16におけるT.Fe推定処理について、以下でさらに説明する。本実施形態では、スラグ113中のT.Feを目的変数とし、上述したような転炉11の操業要因を説明変数とする統計モデル(重回帰モデル)を用いて、T.Feが推定される。ここで、目的変数をk、説明変数をX(j=1,2,・・・,N)、説明変数に対応するパラメータをα、定数項をαとすると、統計モデルは、以下の式(1)で表される。また、パラメータαおよび定数項αは、過去に収集した目的変数および説明変数のデータセットを多数準備しておき、公知の手法(例えば最小二乗法)を適用することにより決定することができる。目的変数および説明変数のデータセットを収集する過程では、転炉吹錬制御装置30の通信部31が、説明変数になる溶鋼温度および溶鋼炭素濃度などの測定値を取得するとともに、別途提供される測定装置からスラグ中のT.Feの測定値を取得する。また、演算部32が、取得された測定値に基づいて各説明変数に対応するパラメータを決定する。この場合、転炉吹錬制御装置30は、統計モデル生成装置として機能する。
Figure 0007043949000001
統計モデルの説明変数Xには、例えば以下の表1に示すような転炉11の操業要因が含まれる。
Figure 0007043949000002
本実施形態では、さらに、統計モデルの説明変数Xとして、以下のような値が用いられうる。
・再利用スラグ量および成分
再利用スラグ量は、前チャージの吹錬処理後に転炉11内に残されたスラグ113が次チャージで再利用される量を示す。また、再利用スラグ成分は、次チャージで再利用されるスラグの成分を示す。再利用スラグ量は直接的に測定することが困難であるため、カテゴリ変数として扱われる。具体的には、例えば、以下の表2に示すようなカテゴリ変数を設定し、オペレータが目視によって決定したカテゴリに対応する変数を転炉吹錬制御装置30の入出力部34を介して入力してもよい。再利用スラグ成分は、前チャージで排滓されたスラグの成分濃度の測定値から特定することができる。
Figure 0007043949000003
・Fe結合酸素原単位
Fe結合酸素原単位は、スラグ113中にFeと結合して取り込まれている酸素原単位を示す。Fe結合酸素原単位は、計測制御装置20に含まれる排ガス分析計22によって測定されるCO濃度hCO、CO濃度hCO2、およびO濃度hO2(いずれも%)、ならびに排ガス流量計23によって測定される排ガス流量Qtotal(Nm/hr)に基づいて、以下で説明するような計算過程によって算出される。
まず、i番目のサンプリング周期における排ガス中のCO流量QCO、CO流量QCO2、O流量QO2、およびN流量QN2(いずれもNm/hr)を以下の式(2)~(5)を用いて算出する。なお、idelayは排ガス流量Qtotalの測定から排ガス分析計22による排ガスの成分濃度の測定までの遅延時間に対応する。
Figure 0007043949000004
次に、i番目のサンプリング周期における転炉11内でのCO発生量doutCOおよびCO発生量doutCO2(いずれもNm/hr)を以下の式(6)および(7)を用いて算出する。上述のように、脱炭処理では溶銑111内の炭素が上吹きランス12から吹き込まれた酸素ガス121と反応することによってCOガスまたはCOガスになるが、COの一部は外部から煙道13に流入した空気中のOと反応してCOになる。式(6)および(7)により、転炉11内で発生し、空気中のOと反応する前のCOガスおよびCOガスの量(すなわち、上吹きランス12から吹き込まれた酸素ガス121とのみ反応して発生したCOガスおよびCOガスの量)が算出される。
Figure 0007043949000005
ここで、i番目のサンプリング周期における転炉11内の酸素離脱量doutO2(Nm/hr)は、式(8)に示すように、CO発生量VCOおよびCO発生量VCO2をOの量に換算することによって算出される。
Figure 0007043949000006
一方、i番目のサンプリング周期における転炉11内の酸素供給量dinO2(Nm/hr)は、上吹きランス12によって吹き込まれる酸素ガス121の流量FO2、および副原料151に含まれる酸素を酸素ガスの流量に換算したFsub_O2(いずれもNm/hr)に基づいて、以下の式(9)によって算出される。
Figure 0007043949000007
上記の式(9)で算出された酸素供給量dinO2から、式(8)で算出された酸素離脱量doutO2を差し引くことによって、式(10)に示すようにi番目のサンプリング周期における残留酸素量dresO2(Nm/s)が算出できる。残留酸素量dresO2は、転炉11内の溶銑111に供給された酸素のうち、炭素以外と反応した酸素の量とみなすことができる。溶銑111で、炭素以外に酸素と反応する主な成分は鉄とケイ素である。従って、式(11)に示すように、残留酸素量dresO2を積算した上で、ケイ素と反応してスラグ中にSiOとして取り込まれているSi結合酸素量VO2_SiO2(Nm)を差し引き、さらに溶鋼量Wst(ton)で割ることによって、Fe結合酸素原単位VO2_FeO(Nm/ton)を算出することができる。なお、Si結合酸素量VO2_SiO2は、例えば表1に示した溶銑[Si](%)に基づいて算出することができる。
Figure 0007043949000008
・酸化鉄含有副原料の投入量
酸化鉄含有副原料の投入量は、投入装置15による副原料151の投入量のうち、酸化鉄含有副原料、具体的には例えば鉄鉱石、塊成鉱、およびスケールなどの投入量を示す。酸化鉄含有副原料は、サブランス測定後、吹錬処理の終了前に、溶鋼温度を下げるための冷材として投入される。
(統計モデルおよび説明変数の効果)
図3~図8は、本発明の一実施形態における統計モデルの使用、および統計モデルの説明変数の設定の効果について説明するためのグラフである。上述のように、本実施形態に係る転炉吹錬制御装置30では、スラグ中のT.Feを推定するために、精錬設備1における各種の操業要因を説明変数Xとする統計モデル(重回帰モデル)を用いる。まず、このような統計モデルをT.Feの推定に使用すること自体によって、推定の精度が向上する。また、説明変数Xに特定の操業要因を含めることによって、推定の精度はさらに向上する。
具体的には、鉄鉱石、塊成鉱、およびスケールなどの酸化鉄含有副原料の投入量、再利用スラグ量、およびFe結合酸素原単位を説明変数に含めることによっても推定の精度が向上する。図3~図7のそれぞれに示されたケースは、上記の観点に基づき、スラグ中のT.Feの推定に統計モデルを用いた場合と用いなかった場合、および統計モデルが特定の説明変数を含む場合と含まない場合とが比較可能なように設定されている。
図3には、ケース0として、統計モデルを用いずに公知の手法(酸素に関する物質収支に基づく方法)でスラグ中のT.Feを推定した場合のT.Feの推定値と実測値との関係が示されている。一方、図4には、ケース1として、統計モデルを用いてスラグ中のT.Feを推定した場合のT.Feの推定値と実測値との関係が示されている。ただし、ケース1では、酸化鉄含有副原料の投入量、再利用スラグ量、およびFe結合酸素原単位をいずれも説明変数に含まない統計モデルが使用されている。図5には、ケース2として、ケース1の統計モデルの説明変数に酸化鉄含有副原料の投入量を追加した場合のT.Feの推定値と実測値との関係が示されている。図6には、ケース3として、ケース2の統計モデルの説明変数に再利用スラグ量を追加した場合のT.Feの推定値と実測値との関係が示されている。図7には、ケース4として、ケース3の統計モデルの説明変数にFe結合酸素原単位を追加した場合のT.Feの推定値と実測値との関係が示されている。なお、図3~図7のそれぞれに図において、T.Feの推定値および実測値は正規化されている。
図8には、上記のケース0~ケース4のそれぞれにおけるT.Feの推定値と実測値との間の標準偏差SD(%)が示されている。図示されているように、T.Feの推定に統計モデルを用いなかったケース0に比べて統計モデルを用いたケース1では標準偏差SDが小さくなっている。このことから、統計モデルが上記で例示した説明変数を含まない場合でも、スラグ中のT.Feの推定に統計モデルを使用したことによって推定の精度が向上することがわかる。また、ケース2、ケース3、およびケース4では、それぞれ酸化鉄含有副原料の投入量、再利用スラグ量、およびFe結合酸素原単位を統計モデルの説明変数に追加したことによって標準偏差SDが段階的に小さくなっており、それぞれの説明変数が個別に推定の精度を向上させるのに寄与していることがわかる。
(T.Feの制御処理)
図9は、本発明の一実施形態におけるT.Feの目標値の決定手法について説明するためのグラフである。上記で図2を参照して説明したように、本実施形態では、サブランス測定後に逐次実行されるT.Fe推定処理(ステップS16)の結果に基づいてT.Fe制御値決定処理(ステップS17)が実行され、さらに制御値に基づいて計測制御装置20の制御が実行される(ステップS18)。ここで、ステップS17,S18のT.Fe制御処理は、スラグ中のT.Feが目標値に一致するように、計測制御装置20の各部を制御する処理である。T.Feの目標値は、例えば、図9に示すように、溶鋼中のりん濃度(以下では[P]と示す)の目標値に応じて決定される。より具体的には、当該チャージにおける溶鋼中の[P]の目標値が予め決定されており、この[P]の目標値を実現可能な範囲で最も低いT.Feの値を目標値に設定する。
スラグ中のT.Feを制御するために、上吹きランス12の高さや、上吹きランス12によって吹き込まれる酸素ガス121の量、羽口14から吹き込まれる底吹きガス141の量を調節するのが有効であることは既に知られている。加えて、本実施形態では、スラグ中のT.Feを制御するために、投入装置15によって投入される副原料151のうち、鉄鉱石、塊成鉱、およびスケールなどの酸化鉄含有副原料の投入量を調節する。酸化鉄含有副原料は、上記で図5および図8に示したように、T.Feを推定するための統計モデルの説明変数に用いられると、推定の精度が向上する。統計モデルにおいて精度の向上に寄与する説明変数は、すなわち、目的変数であるスラグ中のT.Feの変動に大きな影響を与える操業要因であるといえる。また、上述のように、酸化鉄含有副原料はサブランス測定後に冷材として投入されるため、T.Feの推定結果に基づいて投入量を調節することが可能である。
ここで、酸化鉄含有副原料を用いたT.Feの制御処理の説明に先立って、一般的な吹錬処理における副原料の投入量の決定方法について説明する。吹錬処理における酸素ガス121の吹き込み量や副原料151の投入量は、スタティック制御とダイナミック制御の組み合わせによって決定される。スタティック制御では、吹錬処理が予定通りに進行した場合の物質(酸素)収支と熱収支を表す数式モデルを用いて、吹錬処理の開始前に、終了時の溶鋼成分濃度および溶鋼温度が目標値に一致するように酸素ガス121の吹き込み量や副原料151の投入量が決定される。一方、ダイナミック制御では、サブランス測定による吹錬中の溶鋼温度や炭素濃度の実測値に基づく再計算によって、スタティック制御によって決定された酸素ガス121の吹き込み量や副原料151の投入量が修正される。具体的には、例えば、ダイナミック制御によって目標炭素濃度を満足するための酸素ガス121の吹き込み量を再計算し、再計算された量の酸素ガス121を吹き込むと溶鋼温度が目標値を超えることが予想される場合に、溶鋼温度を目標値まで下げるために副原料151として冷材、すなわち酸化鉄含有副原料が投入される。
図10は、本発明の一実施形態におけるT.Feの制御値決定処理の例を示すフローチャートである。図示された例では、まず、転炉吹錬制御装置30のT.Fe制御部322が、ダイナミック制御によって決定される溶鋼温度制御のための鉄鉱石投入量WFeOre_dynが0よりも大きい、すなわち溶鋼温度を目標値に一致させるために冷材の投入が必要と判断されているか否かを判定する(ステップS21)。なお、図示された例では、冷材の酸化鉄含有副原料として鉄鉱石が使用されている。塊成鉱やスケールなどの他の酸化鉄含有副原料が鉄鉱石とともに、または鉄鉱石の代わりに使用される場合も同様の制御が可能である。
上記のステップS21で、投入量WFeOre_dynが0、すなわち冷材の投入が不要と判断されている場合、鉄鉱石の投入量を調節することはできないため、T.Fe制御部322は鉄鉱石投入量以外の操業要因の調節量を算出する(ステップS22)。具体的には、T.Fe制御部322は、吹錬終了時のT.Feを目標値に一致させるために、上吹きランス12の高さ調節量や、上吹きランス12によって吹き込まれる酸素ガス121の調節量、羽口14から吹き込まれる底吹きガス141の調節量を算出する。これらの調節量は、例えば以下の式(12)~(15)によって算出される。なお、T.Fediffは、T.Feの差分を示し、T.Fecalcは、吹錬終了時のT.Feの推定値を示し、T.Fetargetは、T.Feの目標値を示す。また、Δlanceは、上吹きランス12の高さ調節量を示し、ΔFO2は、酸素ガス121の調節量を示し、ΔFbottomは、底吹きガス141の調節量を示す。ここで、αlance、αFO2、およびαFbottomは、それぞれの調節量とT.Feの変化との関係を表す係数で、予め操業実績データに基づいて設定されている。上記の式(1)の統計モデルの説明変数に上記の量が含まれる場合には、統計モデルのパラメータαを係数として利用してもよい。
Figure 0007043949000009
上記の例では、上吹きランス12の高さ調節量Δlance、酸素ガス121の調節量ΔFO2、底吹きガス141の調節量ΔFbottomの順に制御値が算出される。式(12)に示すT.Feの差分T.Fediffは、吹錬終了時のT.Feの推定値T.Fecalcから目標値T.Fetargetを引いたものである。この差分T.Fediffを解消すること、すなわちT.Fediffだけ超過、または不足しているT.Feを目標値T.Fetargetに一致させることが、上吹きランス12の高さ調節量Δlanceだけで可能な場合には、式(13)に示すように上吹きランス12の高さ調節量Δlanceだけが決定される。一方、上吹きランス12の高さ調節量を最大値Δlancemaxに設定しても差分T.Fediffが解消されない場合には、式(14)に示すように最大値Δlancemaxを設定した上で酸素ガス121の調節量ΔFO2が算出される。以下、同様に、酸素ガス121の調節量を最大値ΔFO2maxに設定しても差分T.Fediffが解消されない場合には、式(15)に示すように底吹きガス141の調節量ΔFbottomが算出される。
一方、ステップS21で投入量WFeOre_dynが0よりも大きい、すなわち溶鋼温度を目標値に一致させるために冷材の投入が必要と判断されている場合、T.Fe制御部322は、T.Fe制御のための鉄鉱石投入量WFeOre_T.Feを算出する(ステップS23)。例えば、T.Fe制御部322は、T.Fe推定部321がT.Feを推定するのに使用した統計モデルにおいて鉄鉱石投入量の説明変数を変化させることによって、スラグ中のT.Feの推定値が目標値に一致するような投入量WFeOre_T.Feを算出する。より具体的には、投入量WFeOre_T.Feは、式(12)で算出されたT.Feの差分T.Fediffを用いて、以下の式(16)によって算出される。なお、αFeOreは、鉄鉱石投入量とT.Feの変化との関係を表す係数で、予め操業実績データに基づいて設定されている。鉄鉱石投入量が統計モデルの説明変数に含まれる場合、パラメータαを係数として利用してもよい。
Figure 0007043949000010
次に、T.Fe制御部322は、ステップS23で算出されたT.Fe制御のための鉄鉱石投入量WFeOre_T.Feが、溶鋼温度制御のための鉄鉱石投入量WFeOre_dynよりも少ないか、多いかを判定する(ステップS24)。ここで、投入量WFeOre_dynは、転炉11内の溶鋼温度が目標値に一致するように算出されている。転炉11に投入された鉄鉱石は、T.Feを低下させると同時に溶鋼温度も低下させるため、転炉11への鉄鉱石投入量WFeOreは、上記の投入量WFeOre_dynおよび投入量WFeOre_T.Feのいずれをも超えないように設定することが望ましい。そこで、以下で説明するように、T.Fe制御部322は、投入量WFeOre_T.Feおよび投入量WFeOre_dynのうち、いずれか少ない方(等しい場合はどちらでもよい)を転炉11への鉄鉱石投入量WFeOreに設定する。
具体的には、T.Fe制御部322は、ステップS24で投入量WFeOre_T.Feが投入量WFeOre_dynよりも少ない場合、投入装置15による転炉11への鉄鉱石投入量WFeOreに投入量WFeOre_T.Feを設定する(ステップS25)。これによって、スラグ中のT.Feの推定値は、目標値に一致する。その一方で、この場合、吹錬終了までの間における鉄鉱石の投入量が、冷材として必要と判断されている投入量WFeOre_dynよりも少なくなるため、吹錬終了時の溶鋼温度が目標値を超えることが予想される。そこで、T.Fe制御部322は、鉄鉱石などの酸化鉄含有副原料以外の代替冷材の転炉11への投入量Waltを算出する(ステップS26)。代替冷材は、例えば石灰石であり、溶鋼温度を下げる作用を有する一方で、酸化鉄を含有しないためスラグ中のT.Feには影響を及ぼさない。代替冷材の投入量Waltは、例えば以下の式(17)によって算出される。ここで、ηFeOreおよびηaltは、それぞれ鉄鉱石および代替冷材の冷却効率である。
Figure 0007043949000011
一方、T.Fe制御部322は、ステップS24で投入量WFeOre_T.Feが投入量WFeOre_dynよりも多い場合、投入装置15による鉄鉱石投入量WFeOreに溶鋼温度制御のための投入量WFeOre_dynを設定する(ステップS27)。これによって、吹錬終了時の溶鋼温度が目標値に一致する。その一方で、鉄鉱石の投入量が、スラグ中のT.Feの推定値を目標値に一致させる投入量WFeOre_T.Feよりも少なくなるため、吹錬終了時のスラグ中のT.Feは目標値を超えることが予想される。そこで、T.Fe制御部322は、ステップS22と同様に、鉄鉱石投入量以外の操業要因の調節量を算出する(ステップS28)。具体的には、T.Fe制御部322は、式(18)に示すように、投入量WFeOre_T.Feと投入量WFeOre_dynとの差分に相当するT.Feの差分T.Fediffを算出し、差分T.Fediffが解消されるように、上記の式(13)~(15)に基づいて上吹きランス12の高さ調節量Δlanceや、上吹きランス12によって吹き込まれる酸素ガス121の量、羽口14から吹き込まれる底吹きガス141の量を算出する。
Figure 0007043949000012
上記で説明したような本発明の一実施形態では、転炉11の操業要因を説明変数とした統計モデルを用いることによって、吹錬処理時のスラグ113中のT.Feを高い精度で推定することができる。統計モデルでは、特定の説明変数、具体的には酸化鉄含有副原料の投入量、再利用スラグ量および成分、またはFe結合酸素原単位を用いることで、推定の精度をさらに向上させることができる。T.Feの推定の精度が高ければ、推定結果に基づくT.Feの制御も適切に実行することができる。さらに、上記の統計モデルにおける知見に基づいて、酸化鉄含有副原料の投入量を用いてT.Feを制御すれば、より効果的なT.Feの制御が可能になる。
なお、上記で説明した本発明の一実施形態では、T.Fe推定方法およびT.Fe制御方法が実行されるのに加えて、既に説明したように、過去に取得した目的変数および説明変数のデータセットに基づいて統計モデルのパラメータαおよび定数項αを決定する方法が実行される。この方法は、溶鋼温度および溶鋼炭素濃度などの各説明変数に対応するパラメータを決定する工程を含む統計モデル生成方法である。また、本発明の一実施形態では、コンピュータである転炉吹錬制御装置30を、スラグ中のT.Feの推定値を算出するための各手段、および酸化鉄含有副原料の投入量を算出する手段として機能させるためのプログラム、ならびに転炉吹錬制御装置30を統計モデル生成装置の各手段として機能させるためのプログラムが提供される。プログラムは、例えば転炉吹錬制御装置30の演算部32に含まれるROM、もしくは記憶部33に格納されるか、または転炉吹錬制御装置30において読み取り可能な記憶媒体に格納される。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1…精錬設備、10…転炉設備、11…転炉、12…上吹きランス、13…煙道、14…羽口、15…投入装置、16…サブランス、20…計測制御装置、21…サブランス、22…排ガス分析計、23…排ガス流量計、24…ランス駆動装置、25…酸素供給装置、26…底吹きガス供給装置、27…投入制御装置、30…転炉吹錬制御装置、31…通信部、32…演算部、33…記憶部、34…入出力部、111…溶銑、112…溶鋼、113…スラグ、121…酸素ガス、141…底吹きガス、151…副原料、321…T.Fe推定部、322…T.Fe制御部、331…操業要因データ、332…目標データ、333…パラメータ。

Claims (12)

  1. 転炉における吹錬処理時のスラグ中のT.Fe推定方法であって、
    前記転炉内の溶鋼温度および溶鋼炭素濃度の測定値を取得する工程と、
    前記転炉への副原料の投入量を含む副原料データを取得する工程と、
    前記溶鋼温度前記溶鋼炭素濃度および前記副原料の投入量を説明変数に含む統計モデルを用いて前記スラグ中のT.Feの推定値を算出する工程と
    を含み、
    前記副原料データを取得する工程および前記T.Feの推定値を算出する工程を吹錬処理の終了まで逐次実行する、T.Fe推定方法。
  2. 前記副原料に、酸化鉄含有副原料まれる、請求項1に記載のT.Fe推定方法。
  3. 前記説明変数は、前チャージの吹錬処理後に前記転炉内に残されたスラグが再利用される量をさらに含む、請求項1または請求項2に記載のT.Fe推定方法。
  4. 前記転炉の排ガス成分濃度および排ガス流量の測定値を取得する工程をさらに含み、
    前記説明変数は、少なくとも前記排ガス成分濃度および前記排ガス流量に基づいて算出される、前記スラグ中にFeと結合して取り込まれている酸素原単位をさらに含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のT.Fe推定方法。
  5. 転炉における吹錬処理時のスラグ中のT.Fe制御方法であって、
    請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のT.Fe推定方法によって得られた前記スラグ中のT.Feの推定値と、前記スラグ中のT.Feの目標値とに基づいて、前記転炉への酸化鉄含有副原料の投入量を算出する工程を含む、T.Fe制御方法。
  6. 前記酸化鉄含有副原料の投入量を算出する工程は、前記スラグ中のT.Feの推定値が前記スラグ中のT.Feの目標値に一致するように算出される前記酸化鉄含有副原料の第1の投入量と、前記転炉内の溶鋼温度が目標値に一致するように算出される前記酸化鉄含有副原料の第2の投入量とのうち、いずれか少ない方を前記転炉への酸化鉄含有副原料の投入量とする工程を含む、請求項5に記載のT.Fe制御方法。
  7. 前記第1の投入量が前記第2の投入量よりも少ない場合に、前記第2の投入量と前記第1の投入量との差分に基づいて、前記転炉への前記酸化鉄含有副原料以外の、溶鋼温度を下げる作用を有する一方で酸化鉄を含有しない冷材の前記転炉への投入量を算出する工程をさらに含む、請求項6に記載のT.Fe制御方法。
  8. 前記第1の投入量が前記第2の投入量よりも多い場合に、前記第1の投入量と前記第2の投入量との差分に基づいて、前記スラグ中のT.Feの推定値を前記スラグ中のT.Feの目標値に一致させるための、上吹きランスの高さ調節量、上吹きランスによって吹き込まれる酸素ガスの調節量、または羽口から吹き込まれる底吹きガスの調節量を含む、前記酸化鉄含有副原料以外の投入量以外の操業要因の調節量を算出する工程をさらに含む、請求項6または請求項7に記載のT.Fe制御方法。
  9. 転炉内の溶鋼温度および溶鋼炭素濃度の測定値を取得する手段と、
    前記転炉への副原料の投入量を含む副原料データを取得する手段と、
    前記溶鋼温度前記溶鋼炭素濃度および前記副原料の投入量を説明変数に含む統計モデルを用いて前記転炉における吹錬処理時のスラグ中のT.Feの推定値を算出する手段と
    を備え
    前記副原料データを取得する手段および前記T.Feの推定値を算出する手段は吹錬処理の終了まで逐次処理を実行する、転炉吹錬制御装置。
  10. 前記スラグ中のT.Feの推定値と、前記スラグ中のT.Feの目標値とに基づいて、前記転炉への酸化鉄含有副原料の投入量を算出する手段をさらに備える、請求項9に記載の転炉吹錬制御装置。
  11. 転炉内の溶鋼温度および溶鋼炭素濃度の測定値を取得する手段、
    前記転炉への副原料の投入量を含む副原料データを取得する手段、ならびに
    前記溶鋼温度前記溶鋼炭素濃度および前記副原料の投入量を説明変数に含む統計モデルを用いて前記転炉における吹錬処理時のスラグ中のT.Feの推定値を算出する手段
    としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
    前記副原料データを取得する手段および前記T.Feの推定値を算出する手段は吹錬処理の終了まで逐次処理を実行するプログラム
  12. さらに、前記スラグ中のT.Feの推定値と、前記スラグ中のT.Feの目標値とに基づいて、前記転炉への酸化鉄含有副原料の投入量を算出する手段として前記コンピュータを機能させる、請求項11に記載のプログラム。
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