以下に本開示の実施形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
図1に示すように、本実施形態の連動システムは、作業機としてのマルノコ10、及び、マルノコ10と連動運転される、電気機器としての集塵機20、を備える。
集塵機20は、タンク22の上部に、ACモータ及び吸い込みファンを内蔵した集塵機本体30を載置した構成となっている。そして、タンク22からは、商用電源等の交流電源から電力供給を受けるための電源コード24が引き出されている。
集塵機本体30に内蔵されたACモータは、電源コード24を介して接続される交流電源からの供給電力により駆動されて、吸い込みファンを回転させる。吸い込みファンは、ACモータにより回転されると、タンク22の吸込口26に接続されたホース28を介して、ホース28の先端部分の周囲の粉塵等を外気と共に吸い込み、タンク22内を通過させて集塵機本体30から排気する。
なお、タンク22内と集塵機本体30との間には、フィルタが設けられており、ホース28を介して吸い込まれた粉塵等は、フィルタで捕捉されてタンク22内に集塵される。
マルノコ10は、モータを内蔵したマルノコ本体12と、マルノコ本体12から突出された回転軸に装着された円板状の鋸刃14と、マルノコ本体12に装着されて鋸刃14を覆うブレードケース16とを備える。そして、ブレードケース16には、集塵機20の吸込口26から引き出されたホース28の先端部分が接続されている。
このため、使用者がマルノコ10を操作して被加工材を切断しているときに、集塵機20を連動運転させれば、切断作業によって被加工材から発生する粉塵を、集塵機20に吸引させることができる。
一方、集塵機本体30には、マルノコ10等の作業機と連動運転させるために、作業機に交流電力を供給するためのコンセント32と、コンセント32から作業機に流れる負荷電流を検出して、ACモータを駆動する制御部34が収納されている。
このため、例えば、作業機が交流駆動式の作業機であれば、作業機のACプラグを集塵機20のコンセント32に差し込むことで、作業機の運転時に、集塵機20を連動運転させることができる。
これに対し、本実施形態のマルノコ10は、マルノコ本体12にバッテリパック40の装着部18が設けられており、この装着部18に装着されたバッテリパック40から供給される直流電力にて、モータを駆動するように構成されている。
そして、マルノコ10には、使用者の操作によってモータが駆動されているとき(換言すれば被加工材の切断作業時)に、集塵機20等の電気機器を連動運転させる指令信号を無線送信する、送信機42が設けられている。
また、集塵機20のコンセント32には、送信機42から送信された連動運転の指令信号を受信して、所定の負荷電流を流す連動アダプタ50が装着される。
この連動アダプタ50は、コンセント32に差し込むことで集塵機20と電気的に接続されるACプラグ52と、送信機42から送信された連動運転の指令信号を受信し、ACプラグ52を介して集塵機20から負荷電流を供給させるアダプタ本体54とを備える。なお、ACプラグ52は、アダプタ本体54から引き出された電源コード53の先端に設けられている。
図2に示すように、アダプタ本体54には、ACプラグ52がコンセント32に差し込まれているとき、電源コード53を介してコンセント32から供給される交流電圧を全波整流する全波整流部60が備えられている。なお、全波整流部60は、整流用の4つのダイオードにて構成されるブリッジ回路(所謂ダイオードブリッジ)にて構成されている。
そして、全波整流部60にて全波整流された整流電圧は、負荷抵抗部62、スイッチ部64、及び電流検出部66の直列回路に印加される。
ここで、負荷抵抗部62は、集塵機20側で作業機の作動を検出可能な負荷電流を流すための電気負荷であり、負荷電流を通電可能な抵抗にて構成されている。
また、スイッチ部64は、負荷抵抗部62、スイッチ部64、及び電流検出部66の直列回路にて構成される負荷抵抗部62への負荷電流の通電経路を、導通/遮断するためのものであり、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)にて構成されている。なお、スイッチ部64は、FET等のスイッチング素子にて構成されていてもよい。
また、電流検出部66は、この通電経路に流れる負荷電流を検出するためのものであり、例えば、この通電経路に直列に接続された電流検出用の抵抗を備え、抵抗の両端電圧を負荷電流の検出信号として出力するように構成される。
そして、電流検出部66からの検出信号は、スイッチ部64をオン・オフさせる制御部70、及び、過電流保護部79に入力される。
なお、過電流保護部79は、電流検出部66にて検出された負荷電流が予め設定された過電流判定用の閾値を越えたときに、スイッチ部64を強制的にオフさせ、負荷抵抗部62に過電流が流れるのを防止する。
また、負荷抵抗部62には、サーミスタ等からなる温度検出部78が設けられており、温度検出部78からの検出信号(負荷抵抗部62の温度)も、制御部70に入力される。
また、全波整流部60からの整流電圧の出力端子には、負荷電流通電用の直列回路とは別に、集塵機20のコンセント32からACプラグ52に供給される交流電圧のゼロクロス点を検出するための、ゼロクロス検出部68が接続されている。そして、ゼロクロス検出部68からのゼロクロス点の検出信号も、制御部70に入力される。
なお、ゼロクロス検出部68には、全波整流部60にて全波整流された整流電圧が印加されることから、ゼロクロス検出部68は、その整流電圧がゼロとなるタイミングをゼロクロス点として検出するように構成されている。
また、全波整流部60からの整流電圧の出力端子には、逆流防止用のダイオード72を介して、制御電源部74が接続されている。制御電源部74は、全波整流部60からの整流電圧にて、制御部70等、アダプタ本体54の内部回路を動作させるための電源電圧(直流定電圧)を生成する電源回路である。
そして、制御電源部74への整流電圧の入力経路には、例えば、整流電圧を抵抗にて分圧することで、整流電圧の電圧値(換言すれば交流電圧の電圧値)を検出し、その検出電圧を制御部70に入力する電源電圧検出部76が設けられている。
制御部70は、CPU、ROM、RAM等を含むマイクロコントローラ(MCU)にて構成されており、マルノコ10の送信機42から連動運転の指令信号が送信されているときに、負荷抵抗部62に負荷電流を流す制御処理を実施する。
また、制御部70は、この制御処理を実施するに当たって、ゼロクロス検出部68にて検出される交流電圧のゼロクロス点、及び、電源電圧検出部76にて検出される交流電圧の電圧値を利用する。
また、制御部70は、温度検出部78にて検出される負荷抵抗部の温度、及び、電流検出部66にて検出される負荷電流の電流値に基づき、負荷抵抗部62の過熱状態を判定して、スイッチ部64を強制的にオフさせる保護処理も実施する。
次に、アダプタ本体54には、マルノコ10の送信機42から送信された連動運転の指令信号を受信する受信部80、及び、使用者が連動アダプタ50の動作設定を手動で行うのに利用する操作部82が設けられている。
なお、操作部82は、連動アダプタ50の動作モードを、後述するモード1、モード2、モード3の何れかに順次切り換えて設定するためのスイッチにて構成されている。
そして、制御部70には、受信部80からの受信信号を入力するための受信入力部86、及び、操作部82からの操作信号を入力するための操作入力部88が接続されている。
受信部80は、アダプタ本体54とは別体で構成され、アダプタ本体54に対し着脱自在に装着される。そして、受信部80に、制御電源部74から電源供給を行うようにすると、受信部80がアダプタ本体54に装着されていないときに、受信部80への電力供給端子に使用者が触り、感電したり、制御電源部74が故障したりすることが考えられる。
そこで、連動アダプタ50には、ACプラグ52からの交流電圧の入力経路から、交流電圧を取り込み、絶縁トランスにて電圧変換した後、受信部80駆動用の電源電圧を生成するよう構成された、絶縁電源部90が設けられている。
そして、受信部80には、この絶縁電源部90から電源供給を行うことで、使用者が受信部80への電力供給端子に触った際の安全性を確保するようにされている。また、操作部82も使用者が直接操作する部分であるため、絶縁電源部90は、操作部82への電源供給も行うようにされている。
また、受信部80及び操作部82への電源供給を、絶縁電源部90を介して行うようにしても、受信部80と受信入力部86との間、或いは、操作部82と操作入力部88との間を、信号線にて直接接続するように構成すると、安全性を確保できなくなることが考えられる。
このため、本実施形態では、受信部80と受信入力部86の間、及び、操作部82と操作入力部88との間は、発光素子と受光素子とで構成されるフォトカプラを介して接続されている。従って、受信部80と受信入力部86の間、及び、操作部82と操作入力部88との間も、電気的に絶縁されることになり、安全性を確保することができる。
なお、ACプラグ52からの交流電圧の入力経路には、サージアブソーバとして、バリスタ56が設けられており、バリスタ56により、内部回路を外来ノイズから保護するようにされている。
また、制御部70には、例えば、LEDを点灯することにより、操作部82を介して設定される動作モードを表示するための表示部84が接続されている。
次に、操作部82を介して設定可能な動作モードは、本実施形態の連動アダプタ50を利用して連動運転可能な集塵機20の種類(詳しくは集塵機20における連動運転判定用の負荷電流の検出特性)に応じて、図3に示す3種類の動作モードが用意されている。
この内、モード1は、ゼロクロス検出部68によるゼロクロス点(図3に示す時点t0)の検出周期(つまり、交流電圧の1/2周期)毎に、ゼロクロス点検出後、一定期間W1はスイッチ部64をオフ状態にする。そして、その後、次のゼロクロス点までの一定期間W2は、スイッチ部64をオン状態にするように設定されている。
また、モード2は、スイッチ部64をオン・オフさせる時間割合はモード1と異なるものの、モード1と同様、交流電圧の1/2周期毎に、一定期間W1はスイッチ部64をオフ状態にし、その後、一定期間W2は、スイッチ部64をオン状態にするように設定されている。
また、モード3は、交流電圧の1/2周期毎に、ゼロクロス点検出後、短時間(W1)待ってからスイッチ部64をオン状態にし、その後、一定期間W2が経過すると、スイッチ部64をオフ状態にするように予め設定されている。
なお、モード3において、ゼロクロス点検出後、短時間待ってスイッチ部64をオン状態にするのは、コンセント32に本来接続される交流駆動式電動工具のモータに流れる電流が、電圧位相に対し0.1ms程度遅れるためである。つまり、モード3では、この遅れ時間分だけ通電しない制御を行うために、ゼロクロス点検出後、短時間待ってスイッチ部64をオンするようにしている。
そして、制御部70のメモリ(ROM)には、モード1~3毎に、交流電圧のゼロクロス点が検出されてからスイッチ部64をオフする期間W1と、期間W1経過後、スイッチ部64をオンする期間W2が、設定データとして記憶されている。
なお、図3に示す設定データの期間W1、W2は、交流電圧の周波数が50Hzで、1/2周期が10msであるときに、スイッチ部64をオン・オフさせる際の、ゼロクロス点検出直後のオフ時間と次のオン時間を表している。
また、モード2は、交流電圧の1/2周期毎にスイッチ部64のオン・オフ状態を切り換えるだけでなく、この切り換えにより負荷抵抗部62に負荷電流を流す通電実施制御を一定期間W3実施するように設定される。
そして、一定期間W3が経過すると、その後一定期間W4、スイッチ部64をオフ状態に保持して負荷電流の通電を停止する通電停止制御を実施し、その後は、一定期間W3、W4が経過する度に、通電実施制御と通電停止制御とを交互に実施するように設定される。
このため、モード2の設定データには、図3に示すように、通電実施制御と通電停止制御を交互に実施するための期間W3、W4を表す時間が設定されている。そして、モード1,3の設定データにおいては、期間W3、W4が0に設定されている。
なお、モード2で通電実施制御と通電停止制御を実施する期間W3、W4は、交流電圧の1周期よりも長い時間が設定されているが、通電実施制御の期間W3は、集塵機20側で連動運転を実施すると判定できればよいので、交流電圧の1周期に設定してもよい。
また、通電停止制御を実施する期間W4は、集塵機20側で、所定の負荷電流が検出されなくなってからACモータの駆動を停止するまでの運転継続時間よりも短くなるように設定すればよい。
そして、この期間W4を長くすればするほど、連動運転のために負荷抵抗部62に流す電流量(実効電流)を小さくして、消費電力を低減することができる。但し、この期間W4を交流電圧の1周期に設定しても、通電実施制御を連続的に実施する場合に比べて、消費電力を低減することができることから、期間W4についても、期間W3と同様、交流電圧の1周期に設定してもよい。
次に、制御部70において、集塵機20をマルノコ10と連動運転させるために実行される制御処理について説明する。
図4に示すように、制御処理が開始されると、S110にて、操作部82の操作によって現在設定されている動作モードをチェックし、S120にて、電源電圧検出部76から交流電圧の現在の電圧値Vnowを読み込む。
そして、S130では、現在の動作モードに対応した設定データから、オフ期間W1とオン期間W2を読み込み、各期間W1,W2を交流電圧の電圧値Vnowを用いて補正し、補正後の期間W1,W2を、タイマにて計時するためのタイマ値としてセットする。
つまり、図3に示すように、集塵機20のコンセント32から供給される交流電圧が低下すると、スイッチ部64のオン期間W2中に負荷抵抗部62に流れる負荷電流の電流量が低下して、集塵機20側で連動運転を判定できなくなることがある。
そこで、スイッチ部64のオン期間中に負荷抵抗部62に流れる電流量が、集塵機20側で連動運転を判定するのに要する電流量となるように、各期間W1,W2を補正し、タイマ値としてセットするのである。
なお、S130では、設定データに対応した基準電圧値Vrefと現在の電圧値Vnowとの比率に基づき、現在の電圧値Vnowが基準電圧値Vrefよりも低い場合には、オン期間W2が長くなるように、各期間W1,W2を補正する。また、現在の電圧値Vnowが基準電圧値Vrefよりも高い場合には、オン期間W2が短くなるように、各期間W1,W2を補正する。
次に、S140では、動作モードに対応した設定データから、通電実施制御の期間W3及び通電停止制御の期間W4を読み込み、これら各期間W3,W4をタイマにて計時するためのタイマ値としてセットする。
こうして、各期間W1~S4のタイマ値をセットすると、S150に移行し、受信部80にて、マルノコ10の送信機42から送信されてくる連動運転の指令信号が受信されているか否かを判断する。そして、連動運転の指令信号が受信されていなければ、S110に移行し、連動運転の指令信号が受信されていれば、S160に移行する。
S160では、ゼロクロス検出部68にて交流電圧のゼロクロス点が検出されたか否かを判断することにより、ゼロクロス点が検出されるのを待機する。また、ゼロクロス点が検出されると、S170に移行し、その後、タイマ値としてセットしたオフ期間W1が経過したか否か判断することで、オフ期間W1が経過するのを待機する。
S170にて、オフ期間W1が経過したと判断されると、S180に移行して、スイッチ部64をオフ状態からオン状態に切り換え、負荷抵抗部62への負荷電流の通電を開始し、S190に移行する。
S190では、S180にて、スイッチ部64をオン状態に切り換えてから、タイマ値としてセットしたオン期間W2が経過したか否かを判断する。そして、S190にて、オン期間W2は経過していないと判断されると、S200に移行して、温度検出部78にて検出された負荷抵抗部62の温度は正常であるか否か、詳しくは、予め設定された上限温度よりも低いか否かを判断する。
S200にて、負荷抵抗部62の温度は上限温度よりも低く、正常であると判断されると、S210に移行して、電流検出部66にて検出された負荷電流は、上限値よりも低く、正常であるか否かを判断する。そして、S210にて、負荷電流は上限値よりも低く、正常であると判断されると、再度S190に移行して、オン期間W2が経過したか否かを判断する。
次に、S200又はS210にて、負荷抵抗部62の温度又は負荷電流が異常であると判断されると、S220に移行して、スイッチ部64をオフ状態に切り換え、表示部84に異常状態を表示するエラー処理を実行し、当該制御処理を終了する。
また、S190にてオン期間W2が経過したと判断されると、S230に移行して、スイッチ部64をオフ状態に切り換え、負荷電流の通電を停止する。そして、続くS240では、S140にてタイマ値としてセットした通電実施制御の期間W3が経過したか否かを判断し、期間W3が経過していなければ、S110に移行する。また、S240にて、通電実施制御の期間W3が経過したと判断されると、S260に移行する。
S260では、S110と同様、操作部82の操作によって現在設定されている動作モードをチェックし、S270に移行する。そして、S270では、動作モードが変更されているか否かを判断し、動作モードが変更されていれば、S120に移行する。
また、S270にて、動作モードは変更されていないと判断されると、S280に移行して、S150と同様、受信部80にて、マルノコ10の送信機42から送信されてくる連動運転の指令信号が受信されているか否かを判断する。
そして、指令信号が受信されていなければ、S110に移行し、指令信号が受信されていれば、S290に移行して、S240にて期間W3が経過したと判定されてから、S140にてタイマ値としてセットした通電停止制御の期間W4が経過したか否かを判断する。
そして、S290にて、通電停止制御の期間W4が経過したと判断されると、S110に移行し、通電停止制御の期間W4は経過していないと判断されると、S260に移行する。
このように、制御部70が図4に示す手順で制御処理を実行することで、使用者が操作部82を操作して設定した動作モードに応じて、スイッチ部64のオン・オフ状態が、交流電圧の電圧変化に同期して切り換えられる。
また、モード1~3の各動作モードでのスイッチ部64の制御パターンは、図3に示すように予め設定されており、スイッチ部64は、交流電圧の1/2周期毎に所定の時間割合でオン・オフされる。
従って、本実施形態の連動アダプタ50によれば、上述した従来の連動アダプタに比べ、集塵機20をマルノコ10と連動運転させるために、負荷抵抗部62に負荷電流の電流量(換言すれば実効電流)を低減して、消費電力を抑制することができる。また、負荷抵抗部62に流れる負荷電流を低減できることから、負荷抵抗部62の発熱量を抑制し、連動アダプタ50を小型化することができる。
また、連動アダプタ50の動作モードは、連動アダプタ50を用いて連動運転される集塵機20の負荷電流の検出特性に応じて、複数のモード1~3が設定されており、使用者は、操作部82を操作して、その動作モードを選択できる。
このため、使用者は、集塵機20の種類に応じて、連動アダプタ50の動作モードを選択することで、集塵機20を連動運転させるために負荷抵抗部62に流す負荷電流の通電期間を最小限に設定し、連動アダプタ50の消費電力を抑制することができる。
また特に、モード2では、集塵機20の連動運転時の動作特性に応じて、通電実施制御と、通電停止制御を交互に実施するように、スイッチ部64の制御パターンが設定されている。このため、モード2では、他のモード1、3に比べて、連動運転のために負荷抵抗部62に流す電流量をより少なくすることができる。
また、本実施形態の連動アダプタ50は、操作部82を操作して動作モードを切り換えることで、複数種類の集塵機20を連動運転させることができるため、使用者による使い勝手を向上できる。
[変形例]
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示の連動アダプタ50は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実現することができる。
例えば、上記実施形態では、集塵機20の種類に応じて、集塵機20側での負荷電流の検出特性に対応した複数の動作モードを設定し、使用者が、その複数の動作モードの一つを選択するものとして説明した。
これに対し、図5に示すように、スイッチ部64の制御パターンとして、各種集塵機20で負荷電流が検出されて連動運転すると判定される一つの制御パターンを設定するようにしてもよい。
そして、このようにすれば、マルノコ10からの連動運転の指令を受信すると、予め設定された一つの制御パターンで、スイッチ部64のオン・オフ状態を切り換えるようにすればよく、動作モードの設定変更を不要にして、使用者の使い勝手を高めることができる。
そこで、次に、上記実施形態の変形例として、図5の制御パターン及びこの制御パターンに従いスイッチ部64をオン・オフさせて負荷抵抗部62に負荷電流を流す制御処理について説明する。
図5に示すスイッチ部64の制御パターンは、交流電圧の1/2周期毎に、スイッチ部64をオンさせるオン期間が2回発生するように設定される。
また、2回目のオン期間(後半の通電オン期間)は、交流電圧の1周期よりも長い所定期間W5、W6毎に、負荷電流が大電流及び小電流に交互に切り換わるように設定されている。
つまり、期間W5では、交流電圧の1/2周期毎に、1/2周期の前半では上記実施形態のモード3と同じオン期間W2だけ、スイッチ部64をオンし、1/2周期の後半では上記実施形態のモード2と同じオン期間W2だけ、スイッチ部64をオンする。
また、期間W6では、交流電圧の1/2周期毎に、1/2周期の前半では上記実施形態のモード3と同じオン期間W2だけ、スイッチ部64をオンし、1/2周期の後半では上記実施形態のモード1と同じオン期間W8だけ、スイッチ部64をオンする。
従って、変形例の制御パターンでスイッチ部64をオン・オフさせれば、上記実施形態で動作モードを切り換えることにより通電される負荷電流を、一つの制御パターンで流すことができるようになる。
なお、期間W5の制御パターンの設定データは、ゼロクロス点検出後、スイッチ部64をオフするオフ期間W1と、オフ期間W1の経過後、スイッチ部64をオンするオン期間W2と、オン期間W2の経過後、スイッチ部64をオフするオフ期間W3と、オフ期間W3経過後、次のゼロクロス点までスイッチ部64をオンするオン期間W4とにより設定されている。
また、期間W6の制御パターンの設定データは、ゼロクロス点検出後のオフ期間W1と、オン期間W2は、期間W5における設定データと同じであり、オン期間W2の経過後、スイッチ部64をオフするオフ期間W7は、期間W5におけるオフ期間W3よりも長くなり、オフ期間W7の経過後、次のゼロクロス点までスイッチ部64をオンするオン期間W8が、期間W5におけるオン期間W4よりも短くなるように設定されている。
この結果、期間W6では、期間W5に比べて、交流電圧の1/2周期内に流れる負荷電流の電流量が低減されることになる。
次に、図5に示す制御パターンで、スイッチ部64をオン・オフさせて、負荷抵抗部62に負荷電流を流す際に、制御部70にて実行される制御処理について説明する。
図6A、図6Bに示すように、この制御処理では、まず、S310にて、受信部80によりマルノコ10の送信機42から送信されてくる連動運転の指令信号が受信されているか否かを判断することにより、連動運転の指令信号が受信されるのを待機する。
そして、連動運転の指令信号が受信されていれば、S320に移行し、電源電圧検出部76から交流電圧の現在の電圧値Vnowを読み込む。
次に、S330では、S320で読み込んだ現在の電圧値Vnowを用いて、制御パターンで規定されている期間W1~W4、W7及びW8を補正する。
この補正は、交流電圧の電圧変動によって、負荷抵抗部62に流れる負荷電流が変動するのを防止するための処理であり、上述したS130と同様、制御パターンの設定データに対応した基準電圧値Vrefと現在の電圧値Vnowとの比率に基づき、各期間W1~W4、W7及びW8を補正する。
また、S330では、補正後の期間W1~W4、W7及びW8を、タイマにて計時するためのタイマ値としてセットする。
また次に、S340では、制御パターンの設定データから、大電流通電用及び小電流通電用の期間W5、W6を読み込み、各期間W5,W6をタイマにて計時するためのタイマ値としてセットする。
こうして、各期間W1~W8のタイマ値をセットすると、S350に移行し、ゼロクロス検出部68にて交流電圧のゼロクロス点が検出されたか否かを判断することにより、ゼロクロス点が検出されるのを待機する。
また、ゼロクロス点が検出されると、S360に移行し、その後、タイマ値としてセットしたオフ期間W1が経過したか否か判断することで、オフ期間W1が経過するのを待機する。
そして、S360にて、オフ期間W1が経過したと判断されると、S370に移行して、スイッチ部64をオフ状態からオン状態に切り換え、負荷抵抗部62への負荷電流の通電を開始し、S380に移行する。
S380では、S370にて、スイッチ部64をオン状態に切り換えてから、タイマ値としてセットしたオン期間W2が経過したか否かを判断する。そして、S380にて、オン期間W2は経過していないと判断されると、S390に移行して、温度検出部78にて検出された負荷抵抗部62の温度は正常であるか否かを判断する。
S390にて、負荷抵抗部62の温度は上限温度よりも低く、正常であると判断されると、S400に移行して、電流検出部66にて検出された負荷電流は、正常であるか否かを判断する。そして、S400にて、負荷電流は上限値よりも低く、正常であると判断されると、再度S380に移行して、オン期間W2が経過したか否かを判断する。
なお、S390又はS400にて、負荷抵抗部62の温度又は負荷電流が異常であると判断されると、S470に移行して、スイッチ部64をオフ状態に切り換え、表示部84に異常状態を表示するエラー処理を実行し、当該制御処理を終了する。
また、S380にてオン期間W2が経過したと判断されると、S410に移行して、スイッチ部64をオフ状態に切り換え、負荷電流の通電を停止する。そして、続くS420では、S410にてスイッチ部64をオフしてから、タイマ値としてセットしたオフ期間W3が経過したか否かを判断することで、オフ期間W3が経過するのを待機する。
S420にて、オフ期間W3が経過したと判断されると、S430に移行して、スイッチ部64をオン状態に切り換え、続くS480にて、スイッチ部64をオン状態に切り換えてから、タイマ値としてセットしたオン期間W4が経過したか否かを判断する。
そして、S480にて、オン期間W4は経過していないと判断されると、S450に移行して、温度検出部78にて検出された負荷抵抗部62の温度は正常であるか否かを判断する。
また、S450にて、負荷抵抗部62の温度は上限温度よりも低く、正常であると判断されると、S460に移行して、電流検出部66にて検出された負荷電流は、正常であるか否かを判断する。
そして、S460にて、負荷電流は上限値よりも低く、正常であると判断されると、再度S480に移行して、タイマ値としてセットされているオン期間W4が経過したか否かを判断する。
なお、S450又はS460にて、負荷抵抗部62の温度又は負荷電流が異常であると判断されると、S470に移行して、エラー処理を実行し、当該制御処理を終了する。
次に、S480にて、タイマ値としてセットしたオン期間W4が経過したと判断されると、S490に移行して、スイッチ部64をオフ状態に切り換え、続くS500にて、受信部80により連動運転の指令信号が受信されているか否かを判断する。
S500にて、連動運転の指令信号は受信されていないと判断されると、S310に移行し、連動運転の指令信号は受信されていると判断されると、S510に移行し、期間W5のタイマ値として、0秒を設定する。
そして、続くS530では、期間W5が経過したと判定してから、タイマ値として設定されている期間W6が経過したか否かを判断する。そして、S530にて期間W6は経過していないと判断されると、S580にて、電源電圧検出部76から交流電圧の現在の電圧値Vnowを読み込み、続くS590にて、その読み込んだ現在の電圧値Vnowを用いて、制御パターンで規定されている期間W7,W8を補正する。
また、S590では、補正後の期間W7,W8を、期間W3,W4のタイマ値としてセットし、S570に移行する。
なお、S590にて、補正後の期間W7,W8を期間W3,W4のタイマ値としてセットするのは、スイッチ部64の制御パターンを、小電流通電用の制御パターンに変更し、上述したS350~S490の処理にて、スイッチ部64を変更後の制御パターンにて駆動できるようにするためである。
次に、S530にて、期間W6が経過したと判断されると、S540に移行して、期間W5,W6のタイマ値をセットした後、S550に移行する。また、S510にて、期間W5は経過していないと判断された場合にも、S550に移行する。
そして、S550では、電源電圧検出部76から交流電圧の現在の電圧値Vnowを読み込み、続くS560にて、その読み込んだ現在の電圧値Vnowを用いて、制御パターンで規定されている期間W3,W4を補正する。
また、S560では、補正後の期間W3,W4を、期間W3,W4のタイマ値としてセットし、S570に移行する。また、S570では、S580又はS550にて読み込んだ現在の電圧値Vnowに基づき、期間W1,W2を補正し、期間W1,W2のタイマ値としてセットする。そして、S570の処理を実行すると、S350に移行し、S350以降の処理を実行する。
このように図6A,図6Bの制御処理を実行することにより、図5に示した制御パターンで、スイッチ部64を制御し、負荷抵抗部62に、種類の異なる複数の集塵機20をマルノコ10と連動運転させることのできる、負荷電流を流すことができる。
[第2実施形態]
次に、本開示の第2実施形態について説明する。
本実施形態の連動アダプタは、第1実施形態の連動アダプタ50と略同様の構成をしており、第1実施形態と異なる点は、アダプタ本体54に、負荷抵抗部62を冷却するためのファンが設けられている点である。
そこで、本実施形態では、ファンの駆動方法等、第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と同じ部分については説明を省略する。
図7に示すように、アダプタ本体54には、冷却用のファンが一体的に組み付けられたファンモータ92が設けられている。このため、アダプタ本体54には、制御電源部74から電源供給を受けて、ファンモータ92を駆動するための駆動回路94が設けられている。
なお、駆動回路94は、ファンモータ92への通電経路に設けられたFET96と、制御部70からの駆動信号によりオン状態となって、FET96のゲートをローレベルにし、FET96をオンさせるトランジスタ98と、抵抗とにより構成されている。
また、ファンモータ92は、モータの回転に応じてパルス信号を出力するよう構成されており、そのパルス信号(回転パルス)は、制御部70に入力される。
また、全波整流部60から負荷抵抗部62への通電経路には、通電制御用のスイッチ部(以下、通電用スイッチ)64と電流検出部66に加えて、保護用スイッチ65が設けられている。保護用スイッチ65は、通電用スイッチ64が故障しても、負荷抵抗部62への通電経路を遮断できるようにするために設けられている。
また、表示部84は、動作モードを3つのLEDの点灯により表示するためのモード表示部84Aと、1つのLEDの点灯によりエラー表示を行うためのエラー表示部84Bとで構成されている。
次に、制御部70は、第1実施形態と略同様の手順で制御処理を実行するが、本実施形態では、ファンモータ92が備えられているので、図8に示すように、S140にてタイマ値をセットした後、S600のファンモータ制御処理を実行する。
また、S600のファンモータ制御処理を実行した後は、S800に移行して、通電用スイッチ64及び保護用スイッチ65にて構成されるスイッチ部の故障診断処理を実行し、S150に移行する。
そして、S160にて、ゼロクロス検出部68にて交流電圧のゼロクロス点が検出されたと判断されると、S165に移行して、ファンモータ制御処理又はスイッチ部故障診断処理にてファンモータ92又はスイッチ部の故障が検出されているか否かを判断する。
S165にて、ファンモータ92及びスイッチ部は正常であると判断されると、S170に移行し、S165にて、ファンモータ92又はスイッチ部が故障していると判断されると、S220に移行して、エラー表示部84BのLEDを点灯させる。
なお、S220では、S200又はS210にて検出温度又は検出電流が異常であると判断された場合にも、エラー表示部84BのLEDを点灯させて、エラー表示を行う。
また、負荷抵抗部62への通電経路に、通電用スイッチ64と保護用スイッチ65とが設けられているため、S180及びS230にて負荷電流の通電を制御する際には、保護用スイッチ65をオン状態に保持し、通電用スイッチ64をオン・オフさせる。
そして、S150にて、受信部80において連動運転の指令信号が受信されていないと判断された場合には、S250にて、通電用スイッチ64と保護用スイッチ65とをオフさせ、S110に移行する。
次に、S600にて実行されるファンモータ制御処理について説明する。
図9に示すように、ファンモータ制御処理では、まずS610にて、現在、ファンモータ92の駆動中であるか否かを判断する。そして、ファンモータ92の駆動中でなければ、S620に移行して、受信部80にて連動運転の指令信号が受信されているか否かを判断する。
S620にて、指令信号が受信されていると判断されると、S630にてファンモータ92を駆動して、ファンモータ制御処理を一旦終了する。また、S620にて、指令信号は受信されていないと判断されると、そのままファンモータ制御処理を終了する。
次に、S610にて、現在、ファンモータ92の駆動中であると判断されると、S640に移行して、ファンモータ92から入力される回転パルスに基づき、ファンモータ92が正常に回転しているか否かを判断する。
そして、S640にて、ファンモータ92は正常に回転していると判断されると、S650に移行して、停止時間計測カウントをクリアし、S660に移行する。S660では、温度検出部78にて検出された負荷抵抗部62の温度は所定温度以上の高温であるか否かを判断する。
S660にて、負荷抵抗部62は高温であると判断されると、S670に移行して、指令信号なし時間カウントをクリアし、ファンモータ制御処理を一旦終了する。また、S660にて、負荷抵抗部62は高温ではないと判断されると、S680に移行して、受信部80にて連動運転の指令信号が受信されているか否かを判断する。
そして、S680にて、指令信号が受信されていると判断されると、S670に移行して、指令信号なし時間カウントをクリアし、ファンモータ制御処理を一旦終了する。また、S680にて、指令信号は受信されていないと判断されると、S690に移行して、指令信号なし時間カウントを更新(インクリメント)し、S700に移行する。
S700では、S690にて更新される指令信号なし時間カウントの値から、指令信号が受信されない時間が、所定時間(T1)以上経過しているか否かを判断する。そして、所定時間(T1)以上経過していれば、S710に移行して、ファンモータ92の駆動を停止し、ファンモータ制御処理を一旦終了する。また、S700にて、指令信号が受信されない時間が、所定時間(T1)以上経過していないと判断されると、そのまま、ファンモータ制御処理を一旦終了する。
なお、指令信号なし時間カウントは、指令信号が受信されているときだけでなく、負荷抵抗部62が高温である場合にもクリアされるので、負荷抵抗部62が所定温度よりも低くなるまでは、更新(インクリメント)されない。
従って、ファンモータ92は、負荷抵抗部62が高温であるときには、回転し続け、負荷抵抗部62の温度が低下して、指令信号が受信されない時間が所定時間(T1)以上経過すると、停止されることになる。
次に、S640にて、ファンモータ92は正常に回転していないと判断された場合、つまり、ファンモータ92が停止しているか、極めて低速で回転している場合には、S720に移行し、停止時間計測カウントを更新(インクリメント)する。
そして、続くS730では、停止時間計測カウントの値から、ファンモータ92の停止状態(詳しくは停止しているか極めて低速で回転している状態)が継続しているか否かを判断し、ファンモータ92の停止状態が継続していなければ、S660に移行する。
また、S730にて、ファンモータ92の停止状態(詳しくは停止しているか極めて低速で回転している状態)が継続していると判断されると、S740に移行し、ファンモータ92の故障を検出して、その旨を記憶し、S710に移行する。
つまり、ファンモータ92の停止状態が一定時間以上継続している場合には、ファンモータ92が故障していると判断して、ファンモータ92の駆動を停止する。
このようにファンモータ制御処理においては、受信部80で連動運転の指令信号が受信されるとファンモータ92の駆動を開始し、その後、指令信号が受信されなくなって、所定時間(T1)以上継続すると、ファンモータ92の駆動を停止する。また、負荷抵抗部62の温度が高い場合には、ファンモータ92の駆動を継続し、負荷抵抗部62の温度が低下して、所定時間(T1)以上経過すると、ファンモータ92の駆動を停止する。
従って、本実施形態によれば、連動運転のために負荷抵抗部62に通電されても、負荷抵抗部62の発熱によりアダプタ本体54が温度上昇するのを抑えることができる。また、ファンモータ92の駆動停止後、負荷抵抗部62の熱によって、アダプタ本体54が温度上昇することも抑制できる。
次に、S800にて実行されるスイッチ部故障診断処理について説明する。
図10に示すように、スイッチ部故障診断処理では、S810にて、受信部80にて指令信号が受信されて、指令信号なしの状態から、指令信号ありの状態に変化したか否かを判断する。
そして、S810にて、指令信号のなしからありへの状態変化があったと判断されると、S820に移行し、S810にて、状態変化はないと判断されると、スイッチ部故障診断処理を終了する。
S820では、通電用スイッチ64をオン状態、保護用スイッチ65をオフ状態にして、S830に移行する。そして、S830では、電流検出部66により電流が検出されておらず、オフ状態にした保護用スイッチ65は負荷電流の通電経路を正常に遮断できているかを判断する。
S830にて、電流検出部66による電流検出は正常であると判断されると、S840に移行して、通電用スイッチ64をオフ状態、保護用スイッチ65をオン状態にして、S850に移行する。そして、S850では、電流検出部66により電流が検出されておらず、オフ状態にした通電用スイッチ64は負荷電流の通電経路を正常に遮断できているかを判断する。
S850にて、電流検出部66による電流検出は正常であると判断されると、通電用スイッチ64及び保護用スイッチ65は、共に正常であると判断して、S860に移行する。そして、S860では、通電用スイッチ64及び保護用スイッチ65をオフ状態にして、スイッチ部故障診断処理を終了する。
また、S830若しくはS850にて、電流検出部66による電流検出は異常であると判断された場合には、保護用スイッチ65若しくは通電用スイッチ64が故障しているので、S870に移行して、スイッチ部の故障を記憶し、S860に移行する。
つまり、スイッチ部故障診断処理では、通電用スイッチ64及び保護用スイッチ65の何れか一方をオフ状態にして、電流検出部66にて負荷電流が検出されているか否かを判断することで、オフ状態にしたスイッチ部の故障を検出する。
そして、スイッチ部故障診断処理で、通電用スイッチ64若しくは保護用スイッチ65の故障が検出されるか、ファンモータ制御処理にて、ファンモータ92の故障が検出されると、S165の判定処理にて故障が判定されて、負荷抵抗部62への通電が禁止される。また、この場合には、S220のエラー処理にて、エラー表示部84Bへのエラー表示が実施される。
従って、使用者は、集塵機20を連動運転させることができないときに、エラー表示部84Bのエラー表示によって、その原因は、連動アダプタ50の故障であることを確認することができる。
なお、S220でのエラー処理において、エラー表示を行う際には、単に負荷抵抗部62への通電を停止するだけでなく、受信部80にて連動運転の指令信号が受信されている間、継続してエラー表示を行うようにするとよい。また、受信部80にて連動運転の指令信号が受信されなくなってから、一定時間が経過するまでの間、継続してエラー表示を行うようにしてもよい。
このようにすれば、使用者が連動アダプタ50から離れた位置にいて、エラー表示を直ぐに確認できない場合であっても、使用者に対し、連動アダプタ50の故障を通知できるようになる。また、S220において、エラー表示を行う際には、同時にブザーを鳴動させる等、音でエラーを通知するようにしてもよい。
また、S220でのエラー処理においては、検出した故障内容に応じて、エラーの表示方法やブザーの鳴動パターン等を変えることで、故障内容を通知するようにしてもよい。具体的には、例えば、ファンの故障は赤点灯又はブザーの鳴動により通知し、スイッチの故障は赤点滅又はブザーの断続鳴動による通知する、というように、故障内容に応じてエラーの通知方法を変更するようにしてもよい。この結果、使用者は故障内容を検知できるようになる。
また、S220でのエラー処理は、電源電圧検出部76にて検出される電源電圧が動作保証範囲外であるとき、或いは、電源電圧の周波数が動作保証範囲外であるときにも、実行するようにしてもよい。
また、S220でのエラー処理は、エラー表示を行うだけでなく、無線通信により工具側にエラーを通知するようにしてもよい。このようにすれば、工具側でエラーを報知することができるようになり、使用者は、その報知によって、連動アダプタ50の故障をより確実に検知できるようになる。
次に、本実施形態の連動アダプタ50(詳しくはアダプタ本体54)の構造について説明する。
図11に示すように、アダプタ本体54は、負荷抵抗部62及びファンモータ92を含む上記各部を、長方形状の筐体100内に収納することにより構成されている。
筐体100は、上側ケース101と下側ケース102とに分割されており、これら2つのケース101、102の開口部分を重ねて、ねじで連結することにより、内部空間を有する一つの筐体として組み立てられる。
図11Aに示すように、上側ケース101において下側ケース102と対向する外壁面には、筐体100に収納された受信部80を外から覆う保護カバー80Aが設けられている。
これに対し、受信部80は、図12に示すように、筐体100内で、受信入力部86側のコネクタ86Aに装着されている。このため、使用者は、保護カバー80Aを開くことで、コネクタ86Aに対し、受信部80を着脱できるようになる。
また図11Bに示すように、図11Aにおいて下方に位置し、筐体の長手方向に沿った側壁には、モード表示部84A及びエラー表示部84Bを構成するLEDと操作部82を構成するスイッチが組み付けられた操作パネル85が設けられている。
受信部80及び操作パネル85は、筐体の長手方向中心部から一方向(図では左方向)に偏った位置に配置されている。そして、図11A~図11Cに示すように、受信部80及び操作パネル85が設けられた2つの外壁面と、下側ケース102において上側ケース101と対向する外壁面には、ファンモータ92の回転により外気を筐体内に吸入するための吸気口104が設けられている。
吸気口104は、各外壁面において、筐体100の長手方向中心部から受信部80及び操作パネル85とは反対側(図では右方向)に偏った位置に配置されている。
これは、図12に示すように、筐体100内で、負荷抵抗部62が、筐体100の長手方向中心部から受信部80及び操作パネル85とは反対側に偏った位置に配置されているためである。
つまり、本実施形態では、筐体100の3つの外壁面に設けられた吸気口104にて、筐体100内の負荷抵抗部62を3方向から囲み、各吸気口104から筐体100内に吸入された外気が負荷抵抗部62に直接当たるようにしている。
また、図11Eに示すように、筐体100において、吸気口104が設けられた長手方向一端側(図では右方向一端側)の側壁には、ファンモータ92の回転により筐体100内の空気を外に排出するための排気口105が設けられている。そして、ファンモータ92は、筐体100内で、負荷抵抗部62と排気口105との間に配置されている。
このため、ファンモータ92の回転により各外壁面の吸気口104から吸入された外気は、筐体100内で負荷抵抗部62を冷却させた後、ファンモータ92を通って、排気口105から排出されることになる。
よって、負荷電流が通電されることにより負荷抵抗部62が発熱しても、高温の空気が筐体100に留まるのを抑制し、負荷抵抗部62を効率よく放熱させることができる。
また、吸気口104は、筐体100の3つの外壁面に設けられているため、連動アダプタ50を集塵機20等の電気機器に装着した際に、吸気口104の全てが閉塞されることはない。このため、本実施形態によれば、筐体100内に外気を吸入する経路を確保し、負荷抵抗部62を冷却することができる。
また、筐体100において、排気口105が設けられる側壁には、電源コード53を挿通するための挿通孔107が設けられており、挿通孔107には、電源コード53を保護し、固定するための保護部材106が嵌合されている。
従って、電源コード53は、保護部材106により筐体100に固定された状態で、筐体100の挿通孔107から引き出されることになり、排気口105付近に物体が存在する場合に、排気口105が物体により閉塞されるのを抑制できる。
つまり、物体が排気口105との対向位置にあるとき、物体は排気口105を閉塞する前に、電源コード53に当たることから、物体により排気口105が閉塞されるのを抑制できる。
よって、本実施形態によれば、排気口105による内部空気の排気経路を確保し、負荷抵抗部62の冷却効果が損なわれるのを抑制できる。
また、図12に示すように、筐体100内には、負荷抵抗部62とは別に、制御部70等を構成する各種電子部品が実装された回路基板71が収納されている。このため、筐体100内では、負荷抵抗部62と回路基板71とが、図12に点線で示すリード線120を介して接続されることになる。
ところで、リード線120が負荷抵抗部62に当たると、負荷抵抗部62の熱でリード線120の被覆が劣化することが考えられる。そして、リード線120の被覆が劣化すると、負荷電流の通電経路が周囲の導体に接触し、連動アダプタ50が故障することがある。
特に、本実施形態では、図13に示すように、負荷抵抗部62が、抵抗器62Aと放熱用のヒートシンク62Bとで構成されているため、負荷抵抗部62の熱でリード線120の被覆が劣化すると、負荷電流の通電経路がヒートシンク62Bに接触して、故障する。
そこで、下側ケース102及び上側ケース101において、互いに対向する内壁には、回路基板71と負荷抵抗部62との間に配置されて、回路基板71側に配線されたリード線120が負荷抵抗部62に接触するのを阻止するリブ121、122が設けられている。
また、リブ121,122は、一枚の板で構成すると、リード線120が負荷抵抗部62に接触するのをより確実に防止できる。しかし、このようにすると、負荷抵抗部62の周囲での空気の流路が遮断されて、冷却効果が損なわれる。そこで、リブ121,122は、それぞれ、一部が切り欠かれて、複数に分離されることにより、負荷抵抗部62の周囲で空気の流れができて、負荷抵抗部62を冷却できるようにされている。
一方、図11D、図12及び図13に示すように、筐体100において、排気口105が設けられる側壁とは反対側の側壁には、使用者が頭部を摘んで回動操作することのできるねじ110を介して、L字状に形成されたフック112が固定されている。
フック112は、L字を呈する2つの板面の内、一方を、ねじ110を介して筐体100の側壁に固定した状態でスライドさせて、他方を、筐体100に対し接離できるように、ねじ110の挿通孔が長孔112Aになっている。
このため、フック112は、図14Aに示すように、筐体100の外壁に沿って固定することもできるし、図14Bに示すように、筐体100から引き出した状態で固定することもできる。
そして、フック112が筐体100から引き出された状態では、フック112を孔や突起に引っ掛けることで、アダプタ本体54を所望の位置に固定できる。例えば、図15に示すように、集塵機20にフック112を掛けることのできる孔36がある場合には、筐体100からフック112を引き出し、その孔36に引っ掛けることで、アダプタ本体54を集塵機20に装着することができる。
なお、図13に示すように、ねじ110は、筐体100側に設けられたナット114に螺合して、締め付けることで、フック112を筐体100に固定できるようになる。
この場合、ナット114を筐体100内に設けるようにすると、ねじ110とナット114の螺合が外れた場合に、ナット114が脱落して、ナット114が筐体100で移動することがある。そして、ナット114が筐体110を移動すると、上述した筐体内の回路を短絡させてしまうことがあるので、筐体100を分解して補修作業を行わなければならない。
そこで、本実施形態では、図13に示すように、筐体100に、筐体100の外からナット114を挿入可能な間隙109を設け、その間隙109にナット114を挿入することで、ナット114を筐体100に固定できるようにされている。
この結果、ねじ110とナット114との螺合が外れても、筐体100を分解するような面倒な補修作業を行う必要がない。
また、間隙109は、ねじ110を介して筐体100に組み付けられるフック112で隠すことで、ねじ110をナット114から外したときに、ナット114が脱落するのを抑制するようにされている。
また次に、筐体100において、ねじ110及びフック112を挟む両側には、上側ケース101と下側ケース102とを連結するねじを挿通するための棒状の連結部108が設けられている。そして、この連結部108と筐体100との間には、図16に示すように、固定用のバンド130を挿通可能な隙間が形成されている。
従って、連結部108と筐体100との間の隙間に所望長さのバンド130を通すことで、バンド130を介して、アダプタ本体54を、集塵機20等の電気機器に取り付けることができる。またこの場合、使用者は、バンド130を持って連動アダプタ50を所望の場所に移動させることができるので、連動アダプタ50の使い勝手を向上できる。
一方、モード表示部84A及びエラー表示部84BのLEDと操作部82のスイッチが組み付けられた操作パネル85は、筐体100の長手方向一端側に配置されることから、使用者は、アダプタ本体54を把持した状態で、操作部82を操作できる。
そして、操作部82を操作することにより、連動アダプタ50の動作モードが切り換えられ、モード表示部84Aを構成するLEDの点灯状態が変化して、切換後の動作モードが表示される。
従って、使用者がアダプタ本体54を把持して、操作部82を操作しているときに、モード表示部84AのLEDが使用者の手で隠れることがないようにするとよい。また、エラー表示部84BのLEDについても、使用者がアダプタ本体54を把持しているときに、使用者の手で隠れることがないようにするとよい。
そこで、本実施形態では、図11Bに示すように、操作パネル85において、操作部82のスイッチが、筐体100の長手方向の中心に近い位置に配置され、モード表示部84A及びエラー表示部84BのLEDが、筐体100の長手方向の端部側に配置されている。
このため、使用者は、アダプタ本体54を把持した状態で、モード表示部84A及びエラー表示部84BのLEDの点灯状態を容易に確認できるようになり、この結果、連動アダプタ50の使い勝手を向上することができる。
以上、本開示の実施形態及び変形例について説明したが、本開示は上述の実施形態或いは変形例に限定されることはなく、種々変形して実施することができる。
例えば、上記実施形態では、連動アダプタ50を利用して連動運転させる電気機器は、集塵機20であり、集塵機20を連動運転させる作業機は、マルノコ10であるものとして説明した。
しかし、本開示の連動アダプタ50は、コンセント32に流れる負荷電流を検出して運転を開始するよう構成された電気機器であれば、上記実施形態と同様に利用して、作業機と連動運転させることができる。
また、電気機器を連動運転させる作業機は、マルノコ10以外の電動作業機であってもよいし、例えば、エンジンカッタ、エアグラインダ等、エンジンやエアモータによって駆動される作業機であってもよい。なお、いずれの場合であっても、作業機には、作動時に連動運転の指令を出力する機器を設ける必要はある。
但し、連動運転の指令を出力する機器は、上記実施形態のような無線信号送信用の送信機42であってもよいし、信号線を介して指令信号を出力する機器であってもよい。
また、上記実施形態では、動作モードを、使用者が操作する操作部82を介して、設定できるものとして説明したが、動作モードの設定・変更は、使用者が所持する携帯端末等を利用して実施できるようにしてもよい。
[参考例]
ところで、上記実施形態及び変形例では、負荷電流を負荷抵抗部62に流すことで、電気器を作業機と連動運転させるものとして説明したが、図17又は図18に示すように、負荷電流を流す電気負荷として、コンデンサ等からなる容量性負荷58を用いてもよい。
つまり、連動アダプタ50において、ACプラグ52からの交流電圧の入力経路に、容量性負荷58を設け、スイッチ部64をオンすることで、容量性負荷に交流電流を流すように構成するのである。
このように構成すれば、容量性負荷58に、交流電圧に対して位相が90°進んだ交流電流(無効電流)を流し、電気機器に対し低損失で負荷電流を流すことができるようになる。従って、負荷電流を流すことで、発熱等の問題が発生するのを抑制し、連動アダプタ50を小型化することができる。
なお、図17に示す連動アダプタ50は、全波整流部60から整流電圧の出力経路に、スイッチ部64を設け、受信部80からの指令信号を受光素子にて構成された受信入力部86にて受信するように構成されている。
そして、指令信号の受信時に受信入力部86の受光素子がオン状態となることにより、制御電源部74から供給される直流電圧が、スイッチ部64のゲートに接続されたバイアス回路202に印加されて、スイッチ部64がオン状態となり、負荷電流が流れるようになっている。
この場合、バイアス回路202は、抵抗R1とR2の分圧回路にて構成できる。また、制御電源部74は、ツェナーダイオードZDと、ダイオード72からツェナーダイオードZDに逆バイアス電圧を印加することで、降伏電流を流す抵抗R0と、ツェナーダイオードZDに降伏電流が流れることによって生じる電源電圧を安定化させるコンデンサC0とを用いて構成できる。
従って、電気機器に負荷電流を流す電気負荷として、コンデンサ等の容量性負荷を利用すれば、連動アダプタ50の構成を極めて簡単にすることができる。
また、図18に示す連動アダプタ50は、図17に示した連動アダプタ50に対し、発振部204と、受信入力部86の受光素子に流れる受光電流を電圧に変換する抵抗R2を設けることにより構成されている。
この連動アダプタ50によれば、発振部204の発振周波数を、交流電圧の周波数よりも高い周波数に設定することで、発振部204からの出力にて、交流電圧の1周期毎に複数回スイッチ部64をオン・オフさせることができる。
このため、容量負荷58を介して流れる負荷電流の通電期間を短くして、より低損失で、負荷電流を流すことができる。
なお、上記実施形態若しくは変形例における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。