JP7043071B2 - 電流測定装置およびインバータ - Google Patents

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Description

本発明は、インバータからの出力電流を測定する技術に関するものである。
電気自動車やハイブリッド車では、大容量の電池が搭載される。電池からの直流は、インバータにより交流に変換され、交流電動機に供給され、車輪を駆動する。
このインバータからの出力電流を監視する電流測定装置は、インバータからの出力線を一次側とし、二次側に抵抗を接続して、抵抗の電圧を測定することで、インバータからの出力線に流れる電流を測定するものである。
また、他の電流測定装置として、磁性体コアとホール素子を用いるものや、シャント抵抗での電圧降下を測定するものなどがある。
このような電流を測定する電流測定装置として、特許文献1に記載されたものが知られている。
特許文献1に記載の半導体スイッチ内の電流を測定する電流センサは、測定される電流が流れる導体を介して周りに位置する非磁性のトロイダルコアに巻回されたコイルと、トロイドを通過する導体を流れる電流の時間微分に比例するコイル巻線の開放端子間電圧に応じた電流を積分する積分器と、サイクルごとに一度積分器をリセットする制御回路とを備えたものである。
米国特許第5015945号明細書
しかし、電流トランスやホール素子を用いた場合では、いずれも磁性体コアの磁気飽和が発生して、正確に測定できないおそれがある。従って、100A以上の大電流を測定するときには、大電流でも磁気飽和しない大型の磁性体コアが必要となる。大型の磁性体コアは、インバータよりも大きくなってしまうため、小型化が阻害される。
また、電流測定装置にシャント抵抗を用いた場合には、シャント抵抗を流れる電流が損失となるため、やはり大電流では使用できない。また、ノイズによる影響が大きいため、精度が低い。
特許文献1に記載の電流センサでは、非磁性のトロイダルコアを用いているため磁気飽和の制限について回避できる。この電流センサを用いて、インバータの出力電流を測定しようとすると、図13に示す回路構成となる。
図13に示すように、インバータ150は、電池151からの一方の電源線152と他方の電源線153との間に直列接続された上アーム154と下アーム155とを備えている。電流センサ160は、非磁性体のトロイダルコアに巻かれたコイル161の出力が、オペアンプによる積分器162に接続されている。
インバータ150の上アーム154と下アーム155からの合成された電流はコイル161によって微分される。そして、積分器162によって積分されることで、積分器162の積分値が電流値となって出力される。
しかし、自動車におけるインバータでは、直流から数百Hzの周波数帯域の電流が出力されるため、積分器162のドループ特性のため、電流の測定が困難である。
これは、コイル161と交錯する磁束の変化量が電圧に反映されるため、低い周波数では電圧の変化が少なく、出力電圧が小さい。このため電圧とノイズとの分離が原理的に困難であるためである。また、オペアンプで構成された積分器162では、キャパシタ放電抵抗とキャパシタの時定数以下の時定数の変化は計測できない。
そこで本発明は、インバータからの出力電流が大電流で、低い周波数であっても、出力電流を測定することが可能な電流測定装置およびインバータを提供することを目的とする。
本発明の電流測定装置は、電源からの一方の電源線と他方の電源線との間に直列接続された上アームおよび下アームを備えたインバータからの出力電流を検知する電流測定装置であって、前記一方の電源線と前記上アームとの間の第1配線、または前記他方の電源線と前記下アームとの間の第2配線のいずれか一方を取り囲む空芯コイル、または両方の配線をそれぞれに取り囲む一対の空芯コイルと、前記空芯コイルからの出力を積分する積分回路と、前記積分回路からの出力であって、前記上アームまたは前記下アームのターンオン時の出力およびターンオフ時の出力の絶対値を取り、ピーク同士を時系列的に結ぶ、またはピークから所定時間経過後の絶対値を結ぶことにより直線近似を行う近似値算出回路とを備えたことを特徴とする。
本発明の電流測定装置によれば、インバータからの出力電流が低周波であっても、上アームと下アームとのそれぞれに流れる電流の変化は、出力電流の1周期の間に頻繁に発生するため、高周波として扱うことができる。従って、空芯コイルが上アームと下アームとのそれぞれに流れる電流の変化を微分として出力し、積分回路が積分することで、アームのターンオン時およびターンオフ時の電流値を検出することができる。
また、前記積分回路からの出力であって、前記上アームまたは前記下アームのターンオン時の出力およびターンオフ時の出力の絶対値同士を平均する近似値算出回路を備えることができる。
空芯コイルからのターンオン時およびターンオフ時のピーク波形となる電流は、離散的で変動幅が大きいため、その代わりとして、近似値算出回路が近似値を算出して連続した電流値とすることで、インバータの出力電流の変化に応じた電流値とすることができる。
前記積分回路からの電流値に基づいて算出されたターンオン時に想定される電流値と、前記積分回路からのターンオン時の実際の電流値との差、または前記積分回路からの電流値に基づいて算出されたターンオフ時に想定される電流値と、前記積分回路からのターンオフ時の実際の電流値との差のいずれか一方、または両方を算出するリプル成分算出回路を備えることができる。リプル成分算出回路が、ターンオン時に想定される電流値と実際の電流値との差、またはターンオフ時に想定される電流値と、ターンオフ時の実際の電流値との差を算出することによって、リプル成分を算出することができる。
前記一対の空芯コイルに接続されたそれぞれの前記積分回路からの出力の和および/または差を算出し、しきい値と比較する故障検出回路を備えることができる。
上アームと下アームとの電流の和の値がある値以上に変化した場合は、本発明の電流測定装置の各部品やインバータに故障が起こった場合と判断できるため、故障検出回路がそれぞれの積分回路からの出力の和を算出し、しきい値と比較することで、故障を検出することができる。また、上アームまたは下アームにおける、ターンオン時およびターンオフ時の積分回路の出力の差が、ある範囲を超えて急に大きくなった場合に、短絡電流等の大電流が、上アームまたは下アームに流れている可能性がある。そのため、故障検出回路にて、それぞれの積分回路からの出力値の差を算出し、しきい値と比較することで、故障を検出することができる。
前記積分回路からの出力であって、前記上アームまたは前記下アームのいずれか一方、または両方のターンオン時および/またはターンオフ時を含む直前の出力と、ピーク値を含む直後の出力の差を算出する補正回路を備えたものとすることができる。補正回路がターンオン時およびターンオフ時を含む直前の出力と、ピーク値を含む直後の出力の差を算出する。そうすることで、直前の出力にバイアスが掛かっていても、直後のピーク値から除去することができるため、正確なピーク値を算出することができる。
前記積分回路からの出力であって、前記上アームまたは前記下アームのいずれか一方、または両方のターンオン時を含む直前の出力と、逆回復期間が終了したときの出力の差を算出する補正回路を備えたものとすることができる。補正回路が、ターンオン時の直後における測定を、逆回復期間後とすることで、オーバーシュートによる影響を排除することができる。
前記積分回路からの出力であって、前記上アームまたは前記下アームのいずれか一方、または両方のターンオフ時を含む直前の出力と、フォール期間後のテール期間を待ったときの出力との差を算出する補正回路を備えたものとすることができる。補正回路が、ターンオフ時の直後における測定を、フォール期間後のテール期間を待って行うことで、後段の回路が過小な値を参照してしまうことを回避することができる。
前記積分回路からの出力であって、前記上アームまたは前記下アームのいずれか一方、または両方のターンオン時および/またはターンオフ時を含む直前を第1タイミング、スイッチング時間経過時からスイッチング周期の終わりまでの間のタイミングを第2タイミングとしたときの前記第1タイミングから前記第2タイミングまでの出力を積算し、平均化する補正回路を備えたものとすることができる。補正回路が、ターンオン時の直後における測定を、スイッチング時間(逆回復期間)後とすることで、オーバーシュートによる影響を排除することができる。
本発明のインバータは、本発明の電流測定装置の積分回路からの出力信号と、前記上アーム、または前記下アームのスイッチング信号とにより、前記出力電流が流れ出る方向、または前記出力電流が流れ込む方向のいずれかを判定する制御部を備えたことを特徴とする。
本発明のインバータによれば、本発明の電流測定装置の積分回路からの出力信号だけでは、出力電流が流れ出る方向なのか、出力電流が流れ込む方向なのかが判別できない。そこで、制御部が上アームまたは下アームのスイッチングを制御するスイッチング信号によりターンオン時かターンオフ時かを判断することにより、出力電流がいずれか方向に流れているかを判定することができる。
本発明は、アームのターンオン時およびターンオフ時の電流値を検出することができるため、インバータからの出力電流が大電流で、低い周波数であっても、出力電流を測定することが可能である。
本実施の形態1に係る電流測定装置と、電流測定装置が出力電流を測定するインバータと、インバータが電源を供給する三相交流モータとを示す図である。 図1に示す電流測定装置の動作を説明するための波形の図であり、第3アームが出力する電流波形とインバータの出力電流の平均値の波形とを示す図である。 図1に示す電流測定装置の動作を説明するための波形の図であり、下アームに流れる電流波形を示す図である。 図1に示す電流測定装置の動作を説明するための波形の図であり、空芯コイルからの出力電圧波形を示す図である。 図1に示す電流測定装置の動作を説明するための波形の図であり、積分回路(不完全積分回路)からの出力波形を示す図である。 近似値算出回路による近似電流値の算出方法を説明するための図であり、積分回路(不完全積分回路)からの波形の絶対値を示す図である。 近似値算出回路による近似電流値の算出方法を説明するための図であり、図2Eに示す波形からピーク同士を時系列的に結んだ直線近似の波形を示す図である。 近似値算出回路による近似電流値の算出方法を説明するための図であり、積分回路(不完全積分回路)からの出力の絶対値を取った波形を示す図である。 リプル成分算出回路によるリプル成分の算出方法を説明するための電流波形を示す図である。 本発明の実施の形態2に係る電流測定装置の補正回路を説明するための図である。 図5に示す補正回路の動作を説明するための波形の図であり、下アームに流れる電流を示す電流波形を示す図である。 図5に示す補正回路の動作を説明するための波形の図であり、積分回路(不完全積分回路)からの出力波形を示す図である。 図5に示す補正回路の動作を説明するための波形の図であり、補正回路が補正する際の下アームのターンオフ時の直前および直後を説明するための図6BのA部拡大図である。 本発明の実施の形態3に係る電流測定装置の補正回路を説明するための図である。 図7に示す補正回路の動作を説明するための波形の図であり、下アームに流れる電流を示す電流波形を示す図である。 図7に示す補正回路の動作を説明するための波形の図であり、積分回路(不完全積分回路)からの出力波形を示す図である。 図7に示す補正回路の動作を説明するための波形の図であり、補正回路が補正する際の下アームのターンオン時の直前および直後を説明するための図8BのB部拡大図である。 本発明の実施の形態4に係る電流測定装置の補正回路を説明するための図である。 図9に示す補正回路の動作を説明するための波形の図であり、下アームに流れる電流を示す電流波形を示す図である。 図9に示す補正回路の動作を説明するための波形の図であり、積分回路(不完全積分回路)からの出力波形を示す図である。 図9に示す補正回路の動作を説明するための波形の図であり、補正回路が補正する際の下アームのターンオフ時の直前および直後を説明するための図10BのC部拡大図である。 本発明の実施の形態5に係る電流測定装置の補正回路を説明するための図である。 図11に示す補正回路の動作を説明するための波形の図であり、下アームに流れる電流を示す電流波形を示す図である。 図11に示す補正回路の動作を説明するための波形の図であり、図12Aに示す電流の波形からスイッチング周期を切り出し拡大した図である。 図11に示す補正回路の動作を説明するための波形の図であり、ターンオン時およびターンオフ時を拡大した波形の図である。 図11に示す補正回路の動作を説明するための波形の図であり、積分回路(不完全積分回路)からの出力波形を示す図である。 図11に示す補正回路の動作を説明するための波形の図であり、補正回路が補正する際の下アームのターンオン時を説明するための図12Bの一部を拡大した出力波形を示す図である。 従来の電流測定装置を説明するための図である。
10 インバータ
11 第1アーム
12 第2アーム
13 第3アーム
111,121,131 上アーム
112,122,132 下アーム
14 制御部
20 電流測定装置
21,22 空芯コイル
23 測定回路
231 積分回路
232 近似値算出回路
233 リプル成分算出回路
234 故障検出回路
235,236,237,238 補正回路
BT 電池
MT 三相交流モータ
LH 電源線
LL グランド線
L1 第1配線
L2 第2配線
L3 第3配線
iu,iv,iw 出力電流
vu1,vu2,vv1,vv2,vw1,vw2 誘導起電力
i_low,i_high 電流
Su1,Su2,Sv1,Sv2,Sw1,Sw2 ゲート信号
Suout,Svout,Swout 信号
Xw1avg,Xw2avg 信号
n,tn-2 ターンオフ時
n-1,tn+1 ターンオン時
Xn,Xn-1,Xn-2,Xn+1,Xon,Xoff 電流値
off,Lon 直線
rip リプル成分
Xw1rip,Xw2rip 信号
0 第1タイミング
1 第2タイミング
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る電流測定装置およびインバータを図面に基づいて説明する。
図1に示すインバータ10は、電池BTからの直流を交流に変換して三相交流モータMTを駆動するものである。
インバータ10は、各相の電流を出力する3つのアームである第1アーム11から第3アーム13が、電池BTからの一方の電源線(電池BTの正極側の電源線LH)と他方の電源線(電池BTの負極側のグランド線LL)との間に、並列に接続されている。
第1アーム11から第3アーム13は、上アーム111,121,131と下アーム112,122,132とが、直列に接続されている。
上アーム111~131は、電源線LHに第1配線L1により接続されている。下アーム112~132は、グランド線LLに第2配線L2により接続されている。上アーム111~131と下アーム112~132との間は、第3配線L3により接続されている。
上アーム111~131と、下アーム112~132とは、スイッチング素子と還流ダイオードとにより構成されている。スイッチング素子は、半導体デバイスにより形成されている。例えば、スイッチング素子は、バイポーラトランジスタ、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などが使用できる。特に、大電流が流せ、スイッチング速度が早い、IGBTが望ましい。
インバータ10は、この上アーム111~131および下アーム112~132のスイッチングを制御する制御部14を備えている。
制御部14は、電流測定装置20からの信号Suout,Svout,Swoutに基づいて、第1アーム11から第3アーム13のスイッチング信号となるゲート信号Su1,Su2,Sv1,Sv2,Sw1,Sw2を制御して、各アーム11~13の第3配線L3からの出力電流iu,iv,iwの電流値および周波数を調整する。
電流測定装置20は、インバータ10が出力する電流を測定して、測定結果を各相に、信号Suout,Svout,Swoutをインバータ10へ出力する。
電流測定装置20は、電源線LHと上アーム111~131との間の第1配線L1と、グランド線LLと下アーム112~132との間の第2配線L2との両方の配線をそれぞれに取り囲む一対の空芯コイル21,22を各相に備えている。本実施の形態1では、空芯コイル21,22として、ロゴスキーコイルを使用している。
また、電流測定装置20は、各相の空芯コイル21,22に発生した誘導電圧vu1,vu2,vv1,vv2,vw1,vw2に基づいて、出力電流iu,iv,iwを測定する測定回路23を各相に備えている。
測定回路23は、空芯コイル21,22にて発生した誘導起電力vu1,vu2,vv1,vv2,vw1,vw2を積分する積分回路231と、積分回路231の出力に接続された、近似値算出回路232、リプル成分算出回路233および故障検出回路234とを備えている。
積分回路231は、演算増幅器を積分器として機能させてアナログ処理としたり、AD変換してデジタル処理としたりすることができる。デジタル処理する場合には、空芯コイル21,22からの波形の面積を求める演算回路とすることで、演算回路を積分演算させることができる。
近似値算出回路232は、出力電流iu,iv,iwの平均電流を算出する機能を備えている。リプル成分算出回路233は、出力電流iu,iv,iwに含まれるリプル成分を算出する機能を備えている。故障検出回路234は、上アーム111~131に流れる電流と、下アーム112~132に流れる電流を比較する機能を備えている。
故障検出回路234は、差動入力の演算増幅器を使用することができる。
以上のように構成された本発明の実施の形態1に係る電流測定装置20の動作を図面に基づいて説明する。
インバータ10の制御部14が、第1アーム11から第3アーム13のスイッチング素子のオン状態とオフ状態を切り替えるゲート信号Su1,Su2,Sv1,Sv2,Sw1,Sw2を出力する。上アーム111~131のスイッチング素子がオン状態、下アーム112~132のスイッチング素子がオフ状態のときに、上アーム111~131に電流i_highが流れ、上アーム111~131のスイッチング素子がオフ状態、下アーム112~132のスイッチング素子がオン状態のときに、電流i_lowが流れる。
電流i_highと電流i_lowとの合成電流により、出力電流iu,iv、iwが三相交流となって、インバータ10から三相交流モータMTへ出力される。図2Aに示すように、出力電流iu,iv、iw(i_out)は、電流i_highと電流i_lowとを合成した電流であるため、鋸刃状の波形となり、擬似的な正弦波となる。
インバータ10からの出力電流iu,iv、iwによって三相交流モータMTが回転する。
ここで、電流測定装置20による電流測定の動作を説明する。なお、電流測定は、第3アーム13の下アーム132に装着された空芯コイル22と、第3アーム13を対象に測定する測定回路23を例に説明する。第1アーム11および第2アーム12に装着された他の空芯コイル21,22と、第1アーム11および第2アーム12に流れる電流を測定する他の測定回路23は動作が同じであるため省略する。
第3アーム13の下アーム132とグランド線LLとの間の第2配線L2には、図2Bに示すような電流i_lowが流れる。
この電流i_lowは、スイッチング素子がオン状態からオフ状態(ターンオフ時)となると電流が遮断され、流れなくなる。オフ状態からオン状態(ターンオン時)になると、急激に電流i_lowが流れ始めた後に、図2Bでは、徐々に増加して、オフ状態となるときより多くの電流が流れ、再びオフ状態となり電流が遮断される。
図1に示すように、第2配線L2を空芯コイル22により取り囲んでいるため、第2配線L2に流れる電流によって空芯コイル22に誘導起電力が発生する。この誘導起電力のピーク値は、図2Cに示すような、下アーム132に流れる電流i_lowの微分に比例する電圧となる。
しかし、この誘導起電力の波形は、下アーム132のスイッチングの遅れや、空芯コイル22が不完全微分回路であるため、振幅が無限で幅が0の波形とならず、ターンオフ時およびターンオン時に急激に変化する、振幅が有限で、幅を有するピーク波形となる。
測定回路23では、空芯コイル22からの出力が積分回路231に入力される。積分回路231により、空芯コイル22からの出力が積分されることで、積分回路231から図2Dに示すような出力信号が出力される。この出力信号のターンオン時およびターンオフ時のピーク値が第3アーム13の出力電流iwの電流値を示す。なお、図2Dでは、積分回路231が反転型であるため、出力の方向を逆に示している。
図2Dに示す例では、積分回路231により空芯コイル22からの出力が積分されて電圧値が上昇してピークとなるが、積分回路231は、演算増幅器を積分器として機能させた不完全積分回路であるため、電圧が急激に低下するとコンデンサの放電により、出力波形は徐々に減衰する。しかし、積分回路231が不完全積分回路であっても、ピークが検出できれば、このピーク値が電流i_low,i_highのターンオン時およびターンオフ時の電流に比例するため問題は無い。
このように、出力電流iwが低周波であっても、上アーム111~131と下アーム112~132とのそれぞれに流れる電流i_low,i_highの変化は、出力電流iwの1周期の間に頻繁に発生するため、高周波として扱うことができる。従って、空芯コイル21,22が電流i_low,i_highの変化を微分として出力し、積分回路231が積分することで、第1アーム11~第3アーム13のターンオン時およびターンオフ時の電流値を、積分回路231からの電圧値として検出することができる。従って、電流測定装置20は、インバータ10からの出力電流iu,iv,iwが大電流で、低い周波数であっても、出力電流iu,iv,iwを測定することが可能である。
積分回路231は、上アーム131側を信号Svw1、下アーム側をSvw2として、インバータ10へ出力する。
次に、積分回路231からの出力は、近似値算出回路232に入力される。近似値算出回路232では、まず、積分回路231による不完全積分後の波形(図2D参照)を、下アーム132のターンオン時の出力およびターンオフ時の出力の絶対値を取る(図2E参照)。具体的にはターンオン時の波形信号のマイナス値をプラス値に変換する。
次に、近似値算出回路232では、絶対値の波形(図2E参照)に変換した後、図2Fに示すようにターンオン時とターンオフ時のピーク同士を時系列的に直線で結ぶことで電流値に変換する。
インバータ回路などの電力変換器は、負荷がモータの巻き線などの場合が多い。そのため、電流値が急激に変化しない。従って、積分回路231からの波形に対して絶対値を取り、直線近似を行うことにより、電流値への変換が可能である。
この場合はピーク同士を直線で結んでいるが、ノイズ除去のためにピークから所定時間経過時の絶対値を直線で近似するようにしてもよい。
この所定時間は、ターンオン時であれば、上アームおよび下アームの逆回復期間(リバースリカバリ期間)とすることができる。また、ターンオフ時であれば、上アームおよび下アームにおけるフォール期間後のテール期間とすることができる。また、所定時間は、ピーク波形への影響を考慮して、任意に設定することができる。
このように近似値算出回路232が、離散的で変動幅が大きいピーク値の代わりとして、直線近似により連続した電流値とすることで、出力電流iu,iv,iw(図1参照)の変化に応じた電流値とすることができる。
また、近似値算出回路232では、下アーム132のターンオン時の出力およびターンオフ時の出力の絶対値同士を平均して近似した電流値を算出することもできる。以下、積分回路231からの出力されたピーク時の電圧値を、電流値と読み替えて説明する。
図3に示すように、近似値算出回路232は、まず、最初に現れるターンオフ時tn-2の電流値Xn-2を保持する。次に現れるターンオン時tn-1の電流値Xn-1は、図2Dに示すようにマイナス値であるため、近似値算出回路232が絶対値を取ると、プラス値となる。そして、近似値算出回路232は、ターンオン時tn-1まで保持された電流値Xn-2とターンオン時tn-1の電流値Xn-1との平均を算出する。この平均値が、次のターンオフ時tnまでの出力電流iu,iv,iwの近似電流値となる。
このように近似値算出回路232が、離散的で変動幅が大きいピーク値の代わりとして、近似値を算出して連続した電流値とすることで、出力電流iu,iv,iwの変化に応じた電流値とすることができる。近似値算出回路232は、第3アーム13の上アーム131および下アーム132に流れる電流の近似電流値を信号Xw1avg,Xw2avgとしてインバータ10へ出力する。
積分回路231からの出力は、リプル成分算出回路233に入力される。リプル成分算出回路233では、ターンオン時に想定される電流値と実際の電流値との差、ターンオフ時に想定される電流値と実際の電流値との差を算出する。
ターンオン時に想定される電流値とは、図4に示すように連続するターンオフ時tn-2とtnと、その時のそれぞれの電流値Xn-2,Xnとから、直線Loffの方程式を求め、この方程式から求められたターンオン時tn-1の電流値Xonである。
同様に、ターンオフ時に想定される電流値とは、連続するターンオン時tn-1とtn+1と、その時のそれぞれの電流値Xn-1,Xn+1とから、直線Lonの方程式を求め、この方程式から求められたターンオフ時tnの電流値Xoffである。
ここで、直線Loffは、2点の座標(x1,y1)、(x2,y2)から、この2点を結ぶ直線の方程式(式(1)参照)に基づいて、式(2)のように表すことができる。
Figure 0007043071000001
・・・(1)
Figure 0007043071000002
・・・(2)
従って、ターンオン時tn-1における推定される電流値Xonは、式(3)により推定することができる。
Figure 0007043071000003
・・・(3)
しかし、ターンオン時tn-1における実際の電流値はXn-1であったため、その差をXon-Xn-1により算出することで、ターンオン時tn-1から次のターンオフ時tn-1までの期間のリプル成分をXripとすることができる。
また、ターンオフ時tnの電流値Xoffも同様にして、式(4)により推定することができる。
Figure 0007043071000004
・・・(4)
そして、ターンオフ時tnにおける実際の電流値がXnであったため、その差をXoff-Xnにより算出することで、リプル成分Xripを求めることができる。
このようにして、リプル成分算出回路233は、リプル成分Xripを求め、第3アーム13の上アーム131側のリプル成分を信号Xw1ripとし、下アーム132側のリプル成分を信号Xw2ripとしてインバータ10へ出力する。
本実施の形態1では、リプル成分算出回路233は、ターンオン時とターンオフ時の両方のリプル成分を算出しているが、いずれか一方のリプル成分を算出するようにしても、出力電流に含まれるリプル成分の目安となる。しかし、より正確に、リプル成分を測定するためには、ターンオン時とターンオフ時の両方を算出する方が望ましい。
積分回路231からの出力は、故障検出回路234に入力される。故障検出回路234では、上アーム131側の積分回路231からの出力と、下アーム132側の積分回路231からの出力との差および和を算出する。
インバータ10が正常に動作している場合は、例えば、上アーム131または下アーム132における、ターンオン時およびターンオフ時の積分回路231の出力の和は、原理的にほぼ0となる。これは出力に接続された負荷は一般に誘導負荷であり急峻な電流の変化がなく、また上アーム131と下アーム132の電流(i_high,i_low)の和が出力電流iwとなることから、上アーム131と下アーム132との電流の和は急峻な電流の変化がない。従って、積分回路231の出力の和もノイズ分を除いて小さい値となる。
しかし、上アーム131と下アーム132との電流の和の値がある値以上に変化した場合は、空芯コイル21,22や積分回路231の演算増幅器などの電流測定装置20の各部品や、インバータ10に故障が起こった場合と判断できる。
従って、故障検出回路234にて、一対の空芯コイル21,22に接続されたそれぞれの積分回路231からの出力値の和から、ノイズ成分をフィルタ等で除去し、その値をモニタし、予め設定されたしきい値と比較し、しきい値以上か否かを判断することによって故障を検出することができる。
また、例えば、上アーム131または下アーム132における、ターンオン時およびターンオフ時の積分回路231の出力の差が、ある範囲を超えて急に大きくなった場合に、短絡電流等の大電流が、上アーム131または下アーム132に流れている可能性がある。
従って、故障検出回路234にて、一対の空芯コイル21,22に接続されたそれぞれの積分回路231からの出力値の差をモニタし、予め設定されたしきい値と比較し、しきい値以上か否かを判断することによって故障を検出することができる。
以上のように構成することで、上アームと下アームに個別に判断回路を設ける必要が無く、簡単な構成で故障を検出できる。
故障検出回路234では、電流i_highと電流i_lowとの和がしきい値より大きい、および差がしきい値より大きいときに、異常を検出した信号Xwfailとしてインバータ10へ出力したりすることができる。なお、本実施の形態では、電流i_highと電流i_lowとの和および差の両方をモニタしているが、いずれか一方でもよい。また、信号Xwfailを和のときの異常と差のときの異常との両方を兼ねているが、信号線を分けて、和のときの異常と差のときの異常とを別々に通知するようにしてもよい。
インバータ10では、制御部14が電流測定装置20からの信号Suout,Svout,Swoutに基づいて、第1アーム11から第3アーム13へのゲート信号Su1,Su2,Sv1,Sv2,Sw1,Sw2を制御する。
積分回路231からの出力信号では、上アーム111~131に流れる電流i_highまたは下アーム112~132に流れる電流i_lowは、三相交流モータMTへ流れ出る方向のときのターンオフ時と、三相交流モータMTから流れ込む方向のターンオフ時とのそれぞれで、図2Cに示すようなピーク波形が発生する。また、ターンオン時も同様である。
従って、積分回路231からの出力信号だけでは、三相交流モータMTへ流れ出るときのスイッチングなのか、三相交流モータMTから流れ込むときのスイッチングなのかが、インバータ10では判別できない。
そこで、インバータ10の制御部14では、上アーム111~131を制御するゲート信号Su1,Sv1,Sw1がオン状態のときに、電流i_highは上アーム111~131から三相交流モータMTへ流れ出る状態であると判別できる。また、ゲート信号Su1,Sv1,Sw1がオフ状態のときに、電流i_highは上アーム111~131から三相交流モータMTから流れ込む状態であると判別できる。
同様にして、下アーム112~132を制御するゲート信号Su2,Sv2,Sw2がオン状態のときに、電流i_lowは下アーム112~132から三相交流モータMTへ流れ出る状態であると判別できる。また、ゲート信号Su2,Sv2,Sw2がオフ状態のときに、電流i_lowは下アーム112~132から三相交流モータMTから流れ込む状態であると判別できる。
このように、制御部14は、ゲート信号によって、積分回路231からの出力信号が、上アーム111~131および下アーム112~132に対するいずれの電流の向きのものかを判別することができる。
本実施の形態1では、アーム11~13へのゲート信号によって、電流の向きの判別を行っていたが、空芯コイル21,22を、アーム11~13のスイッチング素子側と、還流ダイオード側との2個に分けて配置することで、還流ダイオード側の空芯コイルによって、電流の向きの判別を行うようにしてもよい。
なお、本実施の形態1では、三相交流を三相交流モータに供給するインバータを例に、電流測定装置の説明をしたが、インバータはアームを一つ備えた単相交流を出力するものとしたり、三相交流以外の多相交流を出力するものとしたりすることができる。
また、本実施の形態1では、上アーム111~131用と、下アーム112~132用にそれぞれ空芯コイル21,22を装着しているが、電流測定装置に故障検出回路234を備えなければ、空芯コイル21,22はいずれか一方でもよい。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る電流測定装置を図面に基づいて説明する。
本実施の形態2に係る電流測定装置では、積分回路の後段に、補正回路が接続されている。図5では、第3アームの下アーム132用の空芯コイル21に接続された積分回路231の出力に接続された補正回路235を示しているが、本実施の形態2に係る電流測定装置では、各上アーム用、各下アーム用として、この補正回路235が積分回路231の出力に接続されている。以下、第1アーム11~第3アーム13を代表して、下アーム132を例に説明する。
この補正回路235には、図1に示すインバータ10における制御部14から、第3アーム13の下アーム132のターンオンおよびターンオフを指示するスイッチング信号となるゲート信号Sw2が接続されている。
下アーム132は、ターンオフ時に電流が遮断され、ターンオン時に通電するため、電流i_lowが図6Aに示すように流れる。この電流i_lowを空芯コイル22により微分し、不完全積分回路である積分回路231によって積分することで、図6Bに示すようなターンオン時およびターンオフ時にピークとなり、その後に減衰する尖鋭な波形となる。
しかし、この図6Bのピーク波形を微視的にみると、バイアスが掛かっている場合がある。そうなると、ピーク波形のピーク値にバイアスが加算されるため、本来のピーク値が正確に測定できず、近似値算出回路232での平均電流の算出や、リプル成分算出回路233でのリプル成分の算出に支障が生じるおそれがある。
そこで、図6Cに示すように、補正回路235では、積分回路231からの、下アーム132のターンオン時とターンオフ時との直前の値を保持して、直後のピーク値を検出したときに、直前の値と直後のピーク値との出力差を算出する。
補正回路235は、ターンオン時とターンオフ時とをゲート信号Sw2により判断する。
このように補正回路235がターンオン時およびターンオフ時を含む直前の出力と、ピーク値を含む直後の出力の差を算出する。そうすることで、積分回路231からの正確なピーク値を算出することができる。
ここで、不完全積分回路により構成された積分回路231の時定数は、上アーム111,121,131と、下アーム112,122,132による半導体素子のスイッチング時間の逆数より短いものとしている。そうすることで、上アームおよび下アームのターンオン時およびターンオフ時のスイッチングに、積分回路231を追従させやすくすることができる。
なお、本実施の形態2では、補正回路235が、ターンオン時およびターンオフ時の両方について、出力の差を算出しているが、いずれか一方でもよい。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る電流測定装置を図面に基づいて説明する。
図7に示すように、本実施の形態3に係る電流測定装置では、実施の形態2と同様に、積分回路231の後段に、補正回路236が接続されている。
この補正回路236は、図8A~図8Cに示すように、上アームおよび下アームのターンオン時の直後の出力差を算出するときに、上アームおよび下アームの逆回復期間(リバースリカバリ期間)trrを待ってから積分回路231からの出力値の測定を行う。例えば、スイッチングが始まってから逆回復期間trrが終了するまでの期間を、上アームおよび下アームをIGBTとすれば、耐圧1000Vあたり500nsとすることができる。例えば、耐圧2000VのIGBTであれば補正回路236は、直後としての積分回路231からの出力値の測定を1μs後とすることができる。
なお、図8Cにおいては、便宜上、波形の上下を反転させて示している。
これは、直後の測定が逆回復期間trr内であると、例えば、下アーム132であれば、下アーム132のターンオン時に、上アーム131のダイオードに流れる順方向電流が逆方向に切り替わるが、そのときキャリア移動により逆方向の電流が一瞬流れるため、この一瞬の電流が下アーム132に流れ、オーバーシュートとなって、積分回路231が過大な値を出力する可能性があるためである。
従って、補正回路236が、ターンオン時の直後における測定を、逆回復期間trr後とすることで、オーバーシュートによる影響を排除することができる。
このとき、ターンオン時の直前の値は、ターンオン時とする。直前の値を、ターンオン時としても、上アームまたは下アームが、ゲート信号によるスイッチングに遅延が生じるため問題は無い。
また、ターンオン時の出力値とすることによって、測定する2つの時点の間隔を最短とすることができるので、正確な測定が可能である。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る電流測定装置を図面に基づいて説明する。
図9に示すように、本実施の形態4に係る電流測定装置では、実施の形態2と同様に、積分回路231の後段に、補正回路237が接続されている。
この補正回路237は、図10A~図10Cに示すように、上アームおよび下アームのターンオフ時の直後の出力差を算出するときに、上アームおよび下アームにおけるフォール期間tfall後のテール期間ttailを待ってから積分回路231からの出力値の測定を行う。例えば、スイッチング開始からテール期間ttailを終了までの期間を、上アームおよび下アームをIGBTとすれば、耐圧1000Vあたり500nsとすることができる。
これは、例えば、上アームおよび下アームがIGBTである場合では、ターンオフ時に、コレクタ-エミッタ間の電圧が上昇してもコレクタ側に残る過剰なキャリアが再結合で消滅するまでに時間を要する。そのため、電流が完全に遮断できずに一定期間電流が流れるため、出力値の測定がフォール期間tfallを過ぎてもテール期間ttail内であると、後段の回路が過小な値を検出してしまうおそれがあるからである。
従って、補正回路237が、ターンオフ時の直後における測定を、フォール期間tfall後のテール期間ttailを待って行うことで、後段の回路が過小な値を参照してしまうことを回避することができる。
このとき、ターンオン時およびターンオフ時の直前の値は、実施の形態3と同様に、ターンオフ時とすることができる。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5に係る電流測定装置を図面に基づいて説明する。
図11に示すように、本実施の形態5に係る電流測定装置では、実施の形態2と同様に、積分回路231の後段に、補正回路238が接続されている。
この補正回路238は、積分回路231からの出力波形の一定期間を積算し、その積算した値を積算期間で割ることで平均化するというものである。
例えば、図1に示す下アーム132は、ターンオフ時に電流が遮断され、ターンオン時に通電するため、電流i_lowが図12Aに示すように流れる。
この図12Aに示す電流の波形からスイッチング周期(ターンオンから次のターンオン、またはターンオフから次のターンオフまでの期間)を切り出し拡大したものが図12Bである。図12Bでは、下アーム132に流れる電流i_lowを実線、下アーム132の両端の電圧を点線で示している。
図12Cでは、図12Bに示すターンオン時およびターンオフ時を拡大した波形である。
図12Dでは、この電流i_lowを空芯コイル22により微分し、不完全積分回路である積分回路231によって積分したときの波形である。ターンオン時およびターンオフ時にピークとなり、その後に減衰する尖鋭な波形となる。図12Eは、図12DのD部を拡大した図である。
図12Cから判るように、ターンオン時では、スイッチング時間(逆回復期間)オーバーシュートとなって過大な電流が流れる。これは、図12Eに示すように、空芯コイル22からの信号を積分回路231によって積分した出力でも、オーバーシュートが同様に現れる。積分回路231からオーバーシュートとなる過大な値が出力されると、近似値算出回路232や、リプル成分算出回路233の演算に影響を与えてしまう。
そこで、補正回路238では、式(5)に示すように、ターンオン時を含む直前(第1タイミングt0)からスイッチング時間以降(第2タイミングt1)までを積算して平均化する。
Figure 0007043071000005
・・・(5)
ここで、第1タイミングt0は、補正回路238が、電圧値をAD変換してメモリにデジタル値を格納して演算するものであれば、出力波形が立ち上がったタイミングとすることができる。また、補正回路238がアナログ回路により構成されたものであれば、出力波形の立ち上がりを検出したタイミングとすることができる。
第2タイミングt1は、スイッチング時間経過時から、スイッチング周期の終わりまでとすることができる。従って、第1タイミングt0から第2タイミングt1までの積分時間は、式(6)に示す関係となるように設定することができる。
スイッチング時間≦積分時間(t1-t0)≦スイッチング周期・・・(6)
本実施の形態では、積分時間(ns)として、半導体耐圧(V)/2としている。また、スイッチング周期の1/40とすることができる。更に、逆回復期間trrの10倍以上(測定誤差5%以内)とすることができる。
このように、補正回路238が、ターンオン時の直後における測定を、スイッチング時間(逆回復期間trr)後とすることで、オーバーシュートによる影響を排除することができる。そうすることで、波形の振動や逆回復期間の影響を少なくすることができる。
なお、図12Eにおいては、波形がオーバーシュートした状態を図示しているが、図8Cと同様に、便宜上、波形の上下を反転させて示している。
上記例では、下アーム132のターンオン時について説明したが、ターンオフ時も、ターンオン時を含む直前(第1タイミングt0)からスイッチング時間以降(第2タイミングt1)までを積分して平均化することで、ターンオン時と同様に、後段の回路にターンオフ時の影響を低下させることができる。
なお、本実施の形態2~5では、スイッチング(ターンオン、ターンオフ)のタイミングをゲート信号(例えば、下アーム132へのゲート信号Sw2。)から行っているが、簡便な方法として、積分回路231の出力の立ち上がり、立下りや、空芯コイル21,22センサの出力の立ち上がり、立下りを、トリガ回路で検出して、ゲート信号によるスイッチングのタイミング信号と代替えすることできる。この場合、精度が下がるものの、回路の構成と接続配線が簡便になるため、コストの低減を図ることができる。
本発明は、インバータを使用する全ての装置に好適であり、特に、電気自動車のインバータに最適である。

Claims (8)

  1. 電源からの一方の電源線と他方の電源線との間に直列接続された上アームおよび下アームを備えたインバータからの出力電流を検知する電流測定装置であって、
    前記一方の電源線と前記上アームとの間の第1配線、または前記他方の電源線と前記下アームとの間の第2配線のいずれか一方を取り囲む空芯コイル、または両方の配線をそれぞれに取り囲む一対の空芯コイルと、
    前記空芯コイルからの出力を積分する積分回路と、
    前記積分回路からの出力であって、前記上アームまたは前記下アームのターンオン時の出力およびターンオフ時の出力の絶対値を取り、ピークから、ターンオン時であれば逆回復期間経過時点、ターンオフ時であればフォール期間あとのテール期間経過時点の絶対値を結ぶことにより直線近似を行う近似値算出回路とを備えた電流測定装置。
  2. 前記積分回路からの電流値に基づいて算出されたターンオン時に想定される電流値であり、連続するターンオフ時と、その時のそれぞれの電流値とによる座標から直線の方程式を求め、この方程式から求められたターンオン時の電流値と、前記積分回路からのターンオン時の実際の電流値との差、または前記積分回路からの電流値に基づいて算出されたターンオフ時に想定される電流値であり、連続するターンオン時と、その時のそれぞれの電流値とから直線の方程式を求め、この方程式から求められたターンオフ時の電流値と、前記積分回路からのターオフ時の実際の電流値との差のいずれか一方、または両方を算出するリプル成分算出回路を備えた請求項1記載の電流測定装置。
  3. 前記一対の空芯コイルに接続されたそれぞれの前記積分回路からの出力の和および/または差を算出し、しきい値と比較して、前記空芯コイル、前記積分回路または前記インバータの故障を検出する故障検出回路を備えた請求項1記載の電流測定装置。
  4. 前記積分回路からの出力であって、前記上アームまたは前記下アームのいずれか一方、または両方における、ターンオン時またはターンオフ時からピーク時直前までの出力と、ピーク値を含む直後の出力の差を算出して、前記近似値算出回路への出力とする補正回路を備えた請求項1からのいずれかの項に記載の電流測定装置。
  5. 前記積分回路からの出力であって、前記上アームまたは前記下アームのいずれか一方、または両方における、ターンオン時からピーク時直前までの出力と、逆回復期間が終了したときの出力の差を算出して、前記近似値算出回路への出力とする補正回路を備えた請求項1からのいずれかの項に記載の電流測定装置。
  6. 前記積分回路からの出力であって、前記上アームまたは前記下アームのいずれか一方、または両方における、ターンオフ時からピーク時直前までの出力と、フォール期間あとのテール期間後の出力との差を算出して、前記近似値算出回路への出力とする補正回路を備えた請求項1からのいずれかの項に記載の電流測定装置。
  7. 前記積分回路からの出力であって、前記上アームまたは前記下アームのいずれか一方、または両方における、ターンオン時またはターンオフ時からピーク時直前までを第1タイミング、逆回復期間経過時からのスイッチング周期であり、ターンオンから次のターンオン、またはターンオフから次のターンオフまでのスイッチング周期の終わりまでの間のタイミングを第2タイミングとしたときの、前記第1タイミングから前記第2タイミングまでの出力を積算し、平均化して、前記近似値算出回路への出力とする補正回路を備えた請求項1からのいずれかの項に記載の電流測定装置。
  8. 前記請求項1から7のいずれかの項に記載の電流測定装置の積分回路からの出力信号と、前記上アーム、または前記下アームのスイッチング信号とにより、前記出力電流が流れ出る方向、または前記出力電流が流れ込む方向のいずれかを判定する制御部を備えたインバータ。
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