JP7038184B2 - 熱硬化性離型コーティング剤及び積層体、並びに積層体の製造方法 - Google Patents

熱硬化性離型コーティング剤及び積層体、並びに積層体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱硬化性離型コーティング剤及び積層体に関するものであり、より具体的には、非シリコーン系の離型剤を用いた、離型性、加熱後の離型性等に優れた熱硬化性離型コーティング剤、及びこれを用いた離型層を有する積層体、並びに積層体の製造方法に関する。
樹脂フィルムの少なくとも片面に離型層を設けた積層体は、粘着剤などの塗工面を保護するセパレーターや、パネル部材製造工程用フィルム、セラミック電子部品製造工程用フィルムのような光学・電子部品製造工程用や樹脂成型品の製造工程用フィルム、加飾用の転写フィルム等として、広く用いられている。離型層を有する積層体はポリエステルフィルム等のフィルム基材の少なくとも片面に離型性を有する離型コーティング剤を塗工して形成されるものであり、離型コーティング剤としては、従来からシリコーン系の離型剤を用いた離型コーティング剤が用いられている。
しかしながら、シリコーン系の離型剤を用いた場合には、被着体へのシリコーンの移行により例えば電子機器の誤作動等が惹起される等の、シリコーンによる汚染の問題が認識されるようになり、非シリコーン系の離型剤を用いた離型コーティング剤や離型フィルムの開発が求められている。
例えば、特許文献1では、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、(A)熱硬化性樹脂と(B)飽和脂肪酸で変性したアルキド樹脂からなる離型層を設けてなる離型フィルムが開示されている。また特許文献2及び特許文献3では、メチル化メラミン樹脂と特定のポリオールに酸触媒を組み合わせた熱硬化性離型コーティング剤及び離型フィルムが開示されている。しかしながら、従来の非シリコーン系の離型コーティング剤を用いた場合には、離型フィルムの剥離性能が必ずしも十分ではない場合があった。
また、離型コーティング剤による離型層を有する積層体として、例えば、転写箔の離型層の表面形状がマット調になっていることにより、成形同時加飾法で成形後に転写箔を剥離した際に、成形品表面に離型層の表面形状が転写され、成形品表面に凹凸形状を付与し得る積層体が提案されている(特許文献4参照)。しかしながら、離型コーティング剤の貯蔵安定性や塗装作業性、離型性能が十分ではないことがあった。
特開平10-6459号公報 特開2017-78161号公報 特開2018-115224号公報 特開平04-125198号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、離型性に優れた非シリコーン系の熱硬化性離型コーティング剤、及びこれを用いた離型層を有する積層体、並びに積層体の製造方法を提供しようとするものである。
かかる状況の下、本発明者らは鋭意研究した結果、アクリルポリオール、架橋剤、及び離型剤を含有する熱硬化性離型コーティング剤において、特定の離型剤を特定量含有させることによって、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、ガラス転移温度Tgが50~135℃の範囲内であるアクリルポリオール(A)、架橋剤(B)、及び離型剤(C)を含有する熱硬化性離型コーティング剤であって、前記離型剤(C)が、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル化物及びヒドロキシ脂肪酸エステル化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有し、前記離型剤(C)の固形分含有量が、前記アクリルポリオール(A)及び前記架橋剤(B)の合計樹脂固形分を基準として、0.5~40質量%の範囲内である、熱硬化性離型コーティング剤、及び前記コーティング剤を離型層として設けてなる積層体、並びに積層体の製造方法に関する。
本発明によれば、シリコーンによる汚染の問題がなく、離型性に優れる熱硬化性離型コーティング剤を提供することができる。また、本発明によれば、さらに貯蔵安定性、塗装作業性等にも優れる熱硬化性離型コーティング剤を提供することができる。本発明の別の態様によれば、前記熱硬化性離型コーティング剤を用いた離型層を備えた積層体、及びその製造方法を提供することができる。
本発明に係る熱硬化性離型コーティング剤は、特定のガラス転移温度の範囲内のアクリルポリオール(A)、架橋剤(B)、及び特定の離型剤(C)を含み、かつ、前記特定の離型剤(C)の含有量が特定の範囲内にある組成物である。
<アクリルポリオール(A)>
アクリルポリオール(A)としては、従来公知のものを制限なく使用できるが、例えば、水酸基含有重合性不飽和モノマー及び該水酸基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマーを含有する混合物を、それ自体既知の方法、例えば、塊状重合法や有機溶媒中での溶液重合法、水中でのエマルション重合法等の方法により共重合せしめることによって得られるアクリルポリオールを使用することができる。
水酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル化物や、該多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル化物にε-カプロラクトンを開環重合した化合物等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。これらの中でも、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを特に好適に使用することができる。
その他の共重合可能な重合性不飽和モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドメチルエーテル、N-メチロールアクリルアミドブチルエーテル等の(メタ)アクリルアミド又はその誘導体;2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムブロマイド等の第4級アンモニウム塩基含有モノマー;2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等の(メタ)アクリルアミド-アルカンスルホン酸、2-スルホエチル(メタ)アクリレート等のスルホアルキル(メタ)アクリレート;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン;アリルメタクリレート等の多ビニル化合物;γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等の加水分解性シリル基含有重合性不飽和モノマー等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートを特に好適に使用することができる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。また、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル又はメタクリロイルを意味し、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。
アクリルポリオール(A)の水酸基価は、硬化性、相溶性の観点から、1~200mgKOH/gの範囲内が好ましく、2~150mgKOH/gの範囲内がより好ましい。また、前記アクリルポリオールの重量平均分子量は、相溶性、ブロッキング性の観点から、3,000~100,000、好ましくは4,000~80,000、さらに好ましくは5,000~50,000の範囲内である。また、前記アクリルポリオール(A)のガラス転移温度は加熱後の離型性、ブロッキング性の観点から、50~135℃、特には65~120℃、さらに特には70~100℃であることが好ましい
なお、本明細書において、ガラス転移温度Tgは下記式により算出される値である。
1/Tg(K)=W/T+W/T+・・・W/T
Tg(℃)=Tg(K)-273
式中、W、W、・・・Wnは各モノマーの質量分率であり、T、T・・・Tは各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度Tg(K)である。
なお、各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度は、POLYMER HANDBOOK Fourth Edition,J.Brandrup,E.h.Immergut,E.A.Grulke編(1999年)による値であり、該文献に記載されていないモノマーのガラス転移温度は、該モノマーのホモポリマーを重量平均分子量が50,000程度になるようにして合成し、そのガラス転移温度を示差走査型熱分析により測定したときの値を使用する。
また本明細書において、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定した保持時間(保持容量)を、同一条件で測定した分子量既知の標準ポリスチレンの保持時間(保持容量)によりポリスチレンの分子量に換算して求めた値である。カラムは、「TSKgel G-4000H×L」、「TSKgel G-3000H×L」、「TSKgel G-2500H×L」、「TSKgel G-2000H×L」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフランとN,N-ジメチルホルムアミドの混合液、測定温度;40℃、流速;1ml/分、検出器;RIの条件で行ったものである。
アクリルポリオール(A)としては、市販品を用いても構わない。具体的には、例えば、三井化学株式会社製のオレスターQ164、Q167-40、Q174、Q171、Q602、Q602、Q185、Q177、Q166、Q193、Q182、Q187、Q189、Q186や、住友バイエルウレタン株式会社製のデスモフェンA160X、A160SN、A165BA/X、A265BA、A365BA/X、A450MPA/X、A450BA、A565X、A575X、A665BA/X、大成化工株式会社製のアクリット6519MB、6TH-419、6KR-404T、6614MA、6416MA、6BS-309L、6AN-303、6BF-203、6LQ-724、6KW-713、6KW-720、6KW-801、東栄化成株式会社製のアクリルポリオールTZ#9511、TZ#4599、Z#9516、TZ#9515、TZ#9519等が挙げられる。
<架橋剤(B)>
本発明に係る熱硬化性離型コーティング剤は架橋剤(B)を含有する。本発明における架橋剤(B)としては、加熱によりアクリルポリオール(A)と反応して架橋硬化を生じるものであれば特に制限なく使用することができる。このような架橋剤としては、例えば、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂等のアミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂等を挙げることができ、なかでもメラミン樹脂、ポリイソシアネート化合物、ベンゾグアナミン樹脂が好適に用いられる。
上記メラミン樹脂としては、メチロール化メラミンのメチロール基の一部又は全部を炭素数1~8の1価アルコール、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、i-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、i-ブチルアルコール、2-エチルブタノール、2-エチルヘキサノール等で、エーテル化した部分エーテル化又はフルエーテル化メラミン樹脂が挙げられる。
メラミン樹脂の市販品としては、例えばサイメル202、サイメル232、サイメル235、サイメル238、サイメル254、サイメル266、サイメル267、サイメル272、サイメル285、サイメル301、サイメル303、サイメル303LF、サイメル325、サイメル327、サイメル350、サイメル370、サイメル701、サイメル703、サイメル1141、マイコート506(以上、オルネクスジャパン社製)、ユーバン20SE60(三井化学株式会社製)等が挙げられる。
ベンゾグアナミン樹脂は、ベンゾグアナミンとアルデヒドとの反応によって得られるメチロール化ベンゾグアナミン樹脂が挙げられる。アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。また、このメチロール化ベンゾグアナミン樹脂を1種又は2種以上のアルコールによってエーテル化したものも上記ベンゾグアナミン樹脂に包含される。エーテル化に用いられるアルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2-エチルブタノール、2-エチルヘキサノール等の1価アルコールが挙げられる。これらのうち、なかでもメチロール化ベンゾグアナミン樹脂のメチロール基の少なくとも一部を炭素数1~4の1価アルコールでエーテル化してなるベンゾグアナミン樹脂が好適である。
上記ベンゾグアナミン樹脂の具体例としては、例えば、マイコート102、マイコート105、マイコート106(以上、いずれもオルネクスジャパン社製)、ニカラックSB-201、ニカラックSB-203、ニカラックSB-301、ニカラックSB-303、ニカラックSB-401(以上、いずれも三和ケミカル社製)などのメチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂;サイメル1123(以上、オルネクスジャパン社製)などのメチルエーテルとエチルエーテルとの混合エーテル化ベンゾグアナミン樹脂;マイコート136(以上、オルネクスジャパン社製)、ニカラックSB-255、ニカラックSB-355、ニカラックBX-37、ニカラックBX-4000(以上、いずれも三和ケミカル社製)などのメチルエーテルとブチルエーテルとの混合エーテル化ベンゾグアナミン樹脂;マイコート1128(以上、オルネクスジャパン社製)などのブチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂などを挙げることができる。
尿素樹脂は、尿素とホルムアルデヒドとの縮合反応で得られ、溶剤又は水に溶解又は分散できる。
ポリイソシアネート化合物としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート及びシクロペンタンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート;該ポリイソシアネートのビユーレットタイプ付加物、イソシアヌル環タイプ付加物;これらのポリイソシアネートと低分子量もしくは高分子量のポリオール化合物(例えば、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールなど)とをイソシアネート基過剰で反応させてなる遊離イソシアネート基含有プレポリマーなどを挙げることができる。
さらに、ポリイソシアネート化合物としては、上記ポリイソシアネート化合物の遊離イソシアネート基をフェノール化合物、オキシム化合物、活性メチレン化合物、ラクタム化合物、アルコール化合物、メルカプタン化合物、酸アミド系化合物、イミド系化合物、アミン系化合物、イミダゾール系化合物、尿素系化合物、カルバミン酸系化合物、イミン系化合物などのブロック剤で封鎖したブロック化ポリイソシアネート化合物も使用することができる。
これらの架橋剤はそれぞれそれ単独で又は2種以上併用して使用することができるが、硬化性の点から、ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂及びベンゾグアナミン樹脂から選ばれる少なくとも1種が好ましく、硬化性、加熱後の離型性の観点からポリイソシアネート化合物及び/又はメラミン樹脂が、初期の離型性と加熱後の離型性の観点からはベンゾグアナミン樹脂が、特に好適である。また、架橋剤(B)の使用量は、アクリルポリオール(A)の樹脂固形分を基準として、15~150質量%の範囲が好ましく、40~100質量%の範囲が特に好ましい。ポリイソシアネート化合物を使用する場合その使用量としては、ポリイソシアネート化合物イソシアネート基と、熱硬化性樹脂の有する水酸基との当量比(NCO/OH)が、通常0.5~1.5、特に0.8~1.3の範囲内となるよう比率を選択して配合量が調整されることが好適である。
熱硬化性離型コーティング剤は硬化触媒を含有しても良い。架橋剤(B)として、メラミン樹脂又はベンゾグアナミン樹脂を用いる場合の硬化触媒としては、例えば、カルボン酸、スルホン酸、リン酸のような酸触媒等を挙げることができ、なかでもドデシルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等が好ましく用いられる。架橋剤(B)がポリイソシアネート化合物である場合には、硬化触媒の中でもウレタン硬化触媒として公知のもの(例えば、有機錫化合物、アミン化合物、有機酸など)を用いることができる。
上記硬化触媒を含有する場合の含有量は、硬化性、貯蔵安定性(ポットライフ)の観点から、アクリルポリオール(A)及び架橋剤(B)の合計固形分100質量部に対して、通常0.1~30質量部であり、1~25質量部であることが好ましい。熱硬化性離型コーティング剤の全固形分に対しては10質量%未満が好ましく、0.01~5質量%が好ましい。本明細書において、固形分とは不揮発分を意味するものであり、試料から、水、有機溶剤等の揮発する成分を除いた残渣を意味する。固形分は、試料の質量に固形分濃度を乗じて算出することができる。固形分濃度は、試料3グラムを105℃、3時間乾燥させた残さの質量を、乾燥前の質量で除することにより測定することができる。
<離型剤(C)>
本発明に用いる離型剤(C)は、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル化物及びヒドロキシ脂肪酸エステル化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を特定量用いることを特徴とする。
高級脂肪酸
前記高級脂肪酸としては、それ自体既知のものを使用することができる。脂肪酸とは、長鎖炭化水素の1価のカルボン酸であり一般式CCOOHで表せるものであり、炭素数12個以上のものを高級脂肪酸(長鎖脂肪酸)と呼ぶ。高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸(炭素数12、融点43.2、分子量200.31g/mol)、ステアリン酸(炭素数18、融点69.3℃、284.48g/mol)、イソステアリン酸(炭素数18、融点165℃、284.48g/mol)、パルチミン酸(炭素数16、融点62.9℃、256.43g/mol)、ミリスチン酸(炭素数14、融点54.4℃、228.37g/mol)、アラキジン酸(炭素数20、融点75.5℃、312.53g/mol)、ベヘニン酸(炭素数22、融点80℃、340.58g/mol)等の飽和脂肪酸、オレイン酸(炭素数18、融点13.4℃、282.47g/mol)、リノール酸(炭素数18、融点-5℃、280.45g/mol)、α-リノレン酸(炭素数18、融点-11℃、278.43g/mol)、エイコセン酸(炭素数18、融点23℃、310.51g/mol)、エルカ酸(炭素数22、融点33.8℃、338.57g/mol)等の不飽和脂肪酸、リシノール酸(炭素数18、融点5.5℃、298.461g/mol)、12-ヒドロキシステアリン酸(炭素数18、融点75℃、300.48g/mol)等のヒドロキシ脂肪酸、又は牛脂、牛乳脂、豚脂、魚脂、アマニ油、オリーブ油、コーン油、ゴマ油、米ぬか油、サフラワー油、大豆油、ナタネ油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、ひまわり油、綿実油、ヤシ油、落花生油等の動植物油等から得られる脂肪酸(アルカン酸)等が挙げられる。これらの高級脂肪酸は単独で用いてよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に使用する高級脂肪酸の分子量範囲としては、180~500が好ましく、特に200~400が好ましい。また、高級脂肪酸の融点は、-60~100℃の範囲内であることが好ましく、-20~90℃の範囲内が特に好ましい。
高級脂肪酸の中でも、剥離性の観点から、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
高級脂肪酸アミド
高級脂肪酸アミドは、分子内に長鎖脂肪酸基とアミド基とを有する化合物であり、本発明に使用される高級脂肪酸アミドとしては、前記の高級脂肪酸とアンモニア又はアミンとが脱水縮合した構造を有するアミド化合物を使用することができる。
アミンとしては、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等のアミン化合物を挙げることができる。また、炭素数が1から10までの脂肪族1級ジアミン、例えばメチレンジアミン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン等のジアミン化合物も好適に使用できる。
好ましい高級脂肪酸アミドの例としては、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、アラキン酸アミド、ベヘン酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミド等の高級飽和脂肪酸アミド;オレイン酸アミド、エイコセン酸アミド、エルカ酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、N-オレイルパルミチン酸アミド、N-ステアリルオレイン酸アミド、N-ステアリルエルカ酸アミド等の高級不飽和脂肪酸アミド;及びエチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、m-キシリレンビスステアリン酸アミド、N-N’-ジステアリルイソフタル酸アミド等のビスアミド化合物が挙げられる。
これらの高級脂肪酸アミドは単独で用いてよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。高級脂肪酸アミドの分子量範囲としては、180~1500の範囲が好ましく、特に200~1000の範囲が好ましい。また、高級脂肪酸アミドの融点は、30~350℃の範囲内であることが好ましく、35~250℃の範囲内であることが特に好ましい。
高級脂肪酸アミドの中でも、耐熱性・剥離性の観点から、ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミドから選ばれる少なくとも一種が特に好ましく用いられる。
高級脂肪酸エステル化物
高級脂肪酸エステル化物は、例えば、前記高級脂肪酸の項に記載の脂肪酸(ただし、ヒドロキシ脂肪酸は除く)をさらに、一価のアルコール及び/又は多価アルコールなどのアルコール成分と反応させエステル化反応させたものを使用することができる。具体的には、高級脂肪酸と一価のアルコールとを反応させた高級脂肪酸モノエステル化物、高級脂肪酸と二価アルコールとを反応させた高級脂肪酸ジエステル化物、3価のアルコールとを反応させた高級脂肪酸トリエステル化物などが挙げられる。
前記アルコール成分としては、1分子中に2個以上の水酸基を有する多価アルコールを使用することができる。該多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、3-メチル-1,2-ブタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、2,3-ジメチルトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、3-メチル-4,3-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,4-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールFなどの2価アルコール;これらの2価アルコールにε-カプロラクトンなどのラクトン類を付加したポリラクトンジオール;ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレートなどのエステルジオール類;ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどのポリエーテルジオール類;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、トリグリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、ソルビトール、マンニットなどの3価以上のアルコール;これらの3価以上のアルコールにε-カプロラクトンなどのラクトン類を付加させたポリラクトンポリオール類等が挙げられる。
また、上記多価アルコール以外のアルコール成分を使用することも出来る。かかるアルコール成分としては、特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ステアリルアルコール、2-フェノキシエタノール等のモノアルコール;プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、「カージュラE10」(商品名、HEXION Specialty Chemicals社製、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステル)等のモノエポキシ化合物と酸を反応させて得られたアルコール化合物等が挙げられる。
高級脂肪酸エステル化物の分子量は、好ましくは1000g/mol未満であり、より好ましくは180~500g/molの範囲である。
高級脂肪酸エステル化物の融点は、-25~80℃が好ましく、-20~75℃の範囲内が特に好ましい。
高級脂肪酸エステル化物として特に好ましい化合物としては、高級脂肪酸モノエステル化物、高級脂肪酸ジエステル化物及び高級脂肪酸トリエステル化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましく、特に高級脂肪酸モノエステル化物が好ましい。
高級脂肪酸モノエステル化物としては、中でも、ステアリン酸ブチルエステル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソトリデシルから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
高級脂肪酸ジエステル化物としては、中でも、ペンタエリスリトールジステアレート、ポリエチレングリコールジステアレートが好ましい。
高級脂肪酸トリエステル化物としては、中でもトリメチロールプロパントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、ポリオキシエチレントリイソステアリン酸が好ましい。
ヒドロキシ脂肪酸エステル化物
ヒドロキシ脂肪酸エステル化物は、分子内に水酸基を有する脂肪酸(ヒドロキシ脂肪酸と称することがある)の縮合物であり、分子内に水酸基を有する脂肪酸の自己縮合物や、該自己縮合物と多価アルコールとの縮合反応で得られるエステル基含有化合物なども含まれる。
軽剥離化及び優れた塗膜外観が両立できる点から、水酸基を有する脂肪酸が、2-ヒドロキシステアリン酸、3-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、硬化ヒマシ油脂肪酸、及びヒマシ油脂肪酸等の炭素数18の脂肪族ヒドロキシカルボン酸が好ましく、入手の容易性から12-ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸がより好ましい。12-ヒドロキシステアリン酸は、工業的には硬化ヒマシ油を加水分解して製造するか、リシノール酸を水素化することで得られる。リシノール酸は、ヒマシ油のけん化によって得られる。なお、上記加水分解から得られる12-ヒドロキシステアリン酸には、不純物として少量のステアリン酸やパルミチン酸が含まれるが、これらは本発明のコーティング剤に含まれていても良い。また、ヒドロキシ脂肪酸は1種でもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ヒドロキシ脂肪酸エステル化物の水酸基価(JIS K0070。以下、水酸基価というときは同様。)は、特に限定されないが、軽剥離化の点から、10~50mgKOH/gが好ましく、同様の点から20~40mgKOH/gがより好ましい。また、ヒドロキシ脂肪酸エステル化物の数平均分子量(ゲルパーメーションクロマトグラフ法によるポリスチレン換算値、以下、数平均分子量という場合は同様)も、特に限定されないが、硬化膜の軽剥離化及び優れた塗膜外観が両立できる点から、500~3,000程度が好ましく、1,000~2,000程度がより好ましい。さらに、ヒドロキシ脂肪酸エステル化物は、硬化膜の軽剥離化及び優れた塗膜外観が両立できる点から、水酸基を有する脂肪酸の2~10量体であるのが好ましく、4~8量体がより好ましい。
離型剤(C)としては、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル化物及びヒドロキシ脂肪酸エステル化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、離型剤(C)の含有量は、その固形分含有量として、アクリルポリオール(A)及び架橋剤(B)の合計樹脂固形分に対して、0.5~40質量%の範囲内であり、好ましくは0.6~37質量%の範囲内であり、より好ましくは1.0~35質量%の範囲内である。離型剤(C)の含有量を特定量とすることにより、剥離性に優れる熱硬化性離型コーティング剤とすることができる。
特に、熱硬化性離型コーティング剤の全固形分に対して、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル化物及びヒドロキシ脂肪酸エステル化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の含有量は、0.1~27質量%がより好ましく、0.5~25質量%がさらに好ましい。
<粒子(D)>
本発明の熱硬化性離型コーティング剤には、粒子(D)を含有させてもよい。このような粒子(D)を含有させることにより、熱硬化性離型コーティング剤によって形成される離型層表面に凹凸効果を付与して、マット化した離型層表面とすることができる。粒子(D)の材質としては、特段の制限はなく、無機粒子、有機粒子又は無機有機複合粒子のいずれであっても使用できる。使用する粒子の形状としては、球状、塊状、棒状、扁平状等挙げられるが、光沢調整並びに均一な転写性の発現の観点からは球状であることが好ましく、真球状であることが特に好ましい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
このような粒子(D)の例としては、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナなどの無機粒子、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ウレア樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-アクリル共重合体、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂及びベンゾグアナミン樹脂などの有機粒子を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、粒子(D)としては、メラミン樹脂、シリコーン樹脂及びアクリル樹脂を特に好適に使用することができ、中でもアクリル樹脂が好適である。
粒子(D)の平均粒子径は、光沢調整と転写性の観点から、0.1μm~10μmであることが好ましく、0.2μm~9.0μmであることがより好ましい。なお、本発明における粒子(D)の平均粒子径は、レーザー散乱法に従い測定されたD50値のものである。D50値とは体積基準の粒度分布から、小粒径側からの積算粒径分布が50%となる粒径のことである。本明細書において、粒子(D)の体積基準の粒度分布はレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「マイクロトラックNT3300」(商品名、日機装社製)を使用して測定された。その際、前処理として粒子をアセトン及びイソプロピルアルコールの混合溶剤に加えて1分間超音波をかけることによって分散し、粒子濃度を装置に設定された所定の透過率範囲となる濃度に調整した。
熱硬化性離型コーティング剤に粒子(D)を含有させる場合、その含有量は、光沢調整と転写性の観点から、アクリルポリオール(A)及び架橋剤(B)の合計樹脂固形分を基準として、好ましくは0.5~100質量%、より好ましくは1~60質量%であり、さらに好ましくは2~55質量%である。
<熱硬化性離型コーティング剤>
上記離型剤(C)を、その固形分含有量が、アクリルポリオール(A)及び架橋剤(B)の合計樹脂固形分を基準として、0.5~40質量%の範囲内で配合することにより、離型性、加熱後の離型性に優れ、貯蔵安定性が向上した非シリコーン系の熱硬化性離型コーティング剤とすることができる。離型剤(C)の配合量は、アクリルポリオール(A)及び架橋剤(B)の合計樹脂固形分を基準として、好ましくは0.6~37質量%の範囲内であり、さらに好ましくは1.0~35質量%の範囲内である。
本発明の熱硬化性離型コーティング剤は、アクリルポリオール(A)、架橋剤(B)、離型剤(C)と、必要に応じて硬化触媒、粒子(D)とを混合して、得られた混合物を適宜希釈、攪拌することにより調整することができる。
架橋剤(B)として、ブロック化されていないポリイソシアネート化合物を用いる場合には、それらを使用直前に混合することが好ましい。
離型剤(C)が常温(25℃)で固形の場合には、アクリルポリオール(A)や公知の分散剤などとあらかじめ分散混合してもよく、塗装直前にコーティング剤を適温例えば、常温以上に温めてもよい。
また、アクリルポリオール(A)と離型剤(C)との使用比率は、加熱後の離型性向上の観点から、樹脂固形分を基準として、好ましくは100:0.5~100:100の範囲内であり、より好ましくは100:0.9~100:66の範囲内である。
熱硬化性離型コーティング剤の全固形分に対する、アクリルポリオール(A)及び架橋剤(B)の樹脂固形分の含有量は、50質量%以上、60質量%以上、又は75質量%以上とすることができ、98.5質量%以下、95質量%以下、又は90質量%以下とすることができる。
本発明における熱硬化性離型コーティング剤は、所望により溶媒で希釈してもよく、さらに必要に応じて公知の各種添加剤を配合してもよい。また、前記アクリルポリオール(A)及びヒドロキシ脂肪酸エステル化物以外のその他のポリオール成分を含有してもよい。
その他のポリオール成分を含有する場合は、その含有量は剥離性と硬化性の観点から、アクリルポリオール(A)及び架橋剤(B)の合計樹脂固形分を基準として、75質量部以下であることが好ましく、0.1~55質量%の範囲内がより好ましく、1~45質量%の範囲内がさらに好ましい。
その他のポリオール成分としては、特に、他の性能、特に硬化性、加熱後の剥離性と基材密着性のバランスの観点から、ポリエステルジオール及びポリカーボネートジオールから選ばれる少なくとも1種のジオール化合物(E)を含有してもよい。
ポリカーボネートジオール
ポリカーボネートジオールは、例えば、ジオール成分とカルボニル化剤とを反応させることによって得ることができる。ポリカーボネートジオールを構成するカルボニル化剤としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ホスゲン等を挙げることができる。ポリカーボネートジオールのジオール成分としては、脂肪族ジオール、脂環族ジオール等が挙げられ、具体例としては、1,4-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール等の脂肪族ジオール、1,4-シクロヘキサンジオール等の脂環族ジオール、ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート等のエステルジオール類やビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオールが挙げられる。ポリカーボネートジオールは、耐候性の観点から、骨格に芳香族基を含まないことが好ましく、脂肪族ポリカーボネートジオールが好ましい。
ポリカーボネートジオールは、市販品を用いても構わない。市販品としては、例えば、Duranolシリーズ(商標)旭化成(株)社製)、Bayer MaterialScience AGシリーズ(レーヴァークーゼン、ドイツ)のDesmophen(登録商標)シリーズ又はEternacoll(登録商標)シリーズ(宇部興産株社製)、プラクセル(登録商標)CDシリーズ(ダイセル化学工業(株)製)などが挙げられる。
ポリカーボネートジオールの水酸基価は、50~500mgKOH/gの範囲内が好ましく、100~400mgKOH/gの範囲内がより好ましく、150~250mgKOH/gの範囲内がさらに好ましい。
ポリカーボネートジオールの数平均分子量としては、100~3000g/molの範囲内が好ましく、220g/mol~2250g/molの範囲内がさらに好ましい。
ポリカーボネートジオールを含有する場合の含有量としては、前記アクリルポリオール(A)及び前記架橋剤(B)の合計樹脂固形分を基準として、特に基材密着、剥離性、硬化性の観点から、0.1~70質量%の範囲内が好ましく、1~50質量%の範囲内がより好ましい。
ポリエステルジオール
ポリエステルジオールは、ジオール成分と酸成分が脱水縮合してできた化合物を挙げることができる。前記ヒドロキシ脂肪酸エステル化物とは異なる化合物である。ポリエステルジオールとしては、例えば、ジカルボン酸(例えばアジピン酸、コハク酸、セバチン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸など)とグリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサンなど)とを縮重合させたもの等があげられる。
ポリエステルジオールは、市販品を用いても構わない。例えば、FLEXOREZ(登録商標)シリーズ(KING INDUSTRIES社製)、ポリライト(登録商標)シリーズ(DIC株式会社製)などを挙げることができる。
ポリエステルジオールの水酸基価は、50~500mgKOH/gの範囲内が好ましく、100~400mgKOH/gの範囲内がより好ましく、150~250mgKOH/g範囲内がさらに好ましい。
ポリエステルジオールの数平均分子量としては、100~3000g/molの範囲内が好ましく、220g/mol~2250g/molの範囲内がより好ましい。
ポリエステルジオールを含有する場合の含有量としては、前記アクリルポリオール(A)及び前記架橋剤(B)の合計樹脂固形分を基準として、特に基材密着、剥離性、硬化性の観点から、0.1~70質量%の範囲内が好ましく、1~50質量%の範囲内がより好ましい。
溶媒としては、ヘプタン、トルエン、キシレン、オクタン、ミネラルスピリット等の炭化水素系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエステル系有機溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、イソブタノール等のアルコール系有機溶剤;n-ブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系有機溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル系有機溶剤;芳香族石油系有機溶剤等を挙げることができる。これらの溶媒は1種で又は2種以上を組合せて使用することができる。なかでも、熱硬化性離型コーティング剤の塗れ性、相溶性及び貯蔵安定性の点から、炭化水素系有機溶剤とグリコールエーテル系、エステル系、ケトン系及びアルコール系有機溶剤から選ばれる少なくとも1種の有機溶剤を併用することが好ましい。併用する場合のその含有比率としては、例えば炭化水素系有機溶剤/グリコールエーテル系、エステル系、ケトン系及びアルコール系有機溶剤から選ばれる少なくとも1種の有機溶剤の質量比率が1/99~99/1、好ましくは30/50~80/20で適宜調整できる。
前記溶媒の含有量としては、熱硬化性離型コーティング剤の全配合成分の合計質量に対して、1~99質量%、好ましくは30~95質量%、さらに好ましくは50~90質量%となる範囲内で調整されることが望ましい。
また、添加剤としては、例えば、本発明の離型性に影響を与えない範囲で、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、レオロジーコントロール剤、表面調整剤、界面活性剤、体質顔料(平均粒子径が0.1~10μの範囲内の粒子(D)に該当するものを除く。)、易滑剤、脱泡剤、帯電防止剤、防曇剤、着色剤、骨材、分散剤等が使用できる。このような添加剤を含有する場合の添加量としては、熱硬化性離型コーティング剤の全配合成分の合計質量に対して10質量%以下が好ましく、通常0.1~10質量%、好ましくは0.5~5質量%の範囲内である。
本発明の熱硬化性離型コーティング剤は、離型剤としてシリコーン化合物を含まなくても、離型性、加熱後の離型性に優れる離型層を形成することができ、シリコーンによる汚染の心配のない非シリコーン系(ノンシリコーン系)離型コーティング剤として用いることができるが、シリコーン化合物を含むことを排除するものではない。ただし、シリコーン化合物による汚染等の不具合を防止する観点から、本発明の熱硬化性離型コーティング剤は、実質的にシリコーン化合物を含有しないことが好ましい。実質的にシリコーン化合物を含有しないとは、具体的には本発明の熱硬化性離型コーティング剤による離型層に含まれるシリコーン化合物が、1質量%未満、好ましくは全く含有しないものである。なお、前述した粒子(D)に含まれるシリコーン樹脂系粒子は、ここでいうシリコーン化合物からは除外される。
<積層体>
本発明の熱硬化性離型コーティングを、各種公知の基材の少なくとも片面に塗布して離型層を形成することにより、離型層を有する積層体が得られる。基材としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ナイロン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン・ビニルアルコ-ル共重合体(EVOH)、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリイミド樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑型樹脂フィルムなどの樹脂基材を挙げることができる。これらの中でも加工性、コスト及び耐熱性の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムが特に好ましい。またこれら樹脂フィルムは、必要に応じて紫外線吸収剤、充填剤、熱安定剤、着色剤などを含むものであってもよい。更に該樹脂フィルム表面には、例えば、コロナ処理等の表面処理を施すことができる。樹脂フィルムの膜厚は、通常、約1~350μmの範囲内で適宜選択できる。
離型層は、本発明の熱硬化性離型コーティング剤を、例えば樹脂フィルム等の樹脂基材上の両面又は片面に塗工し、乾燥・硬化させて形成される。塗工方法は特に制限はなく、例えば、バーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、リバースロールコーター、ナイフコーター、ダイコーター等の、各種公知の手段を用いることができる。乾燥・硬化条件にも特段の制限はないが、通常100~160℃において5~150秒加熱することにより硬化させることができる。セッティング及び/又はプレヒートを施してもよい。セッティングは、通常、塗装された被塗物をほこりのない雰囲気に室温で30秒~600秒放置することにより行うことができる。プレヒートは、通常、塗装された被塗物を乾燥炉内で、通常40~90℃、好ましくは50~70℃の温度で、30秒~30分間加熱することにより行うことができる。
本発明の熱硬化性離型コーティング剤による離型層の厚みとしては、初期からの離型性発現の観点及び加熱後の離型性の点から、乾燥塗膜の膜厚として0.1~10μmの範囲内が好ましく、0.2~9μmの範囲内がより好ましく、0.5~8μmの範囲内がさらに好ましい。
また、本発明の熱硬化性離型コーティング剤が粒子(D)を含む場合には、本発明の熱硬化性離型コーティング剤を用いて形成される離型層の形成面に、粒子(D)により生じる凹凸形状を付与することが可能であり、このような凹凸形状によりマット化効果を付与することができる。この場合の離型層の形成面の光沢度は、用途に応じて適宜選択できるが、例えばJIS-Z8741による60度鏡面光沢度として、80%未満、60%未満、又は40%未満とすることができる。また、この場合の熱硬化性離型コーティング剤による離型層の厚みとしては、0.1~10μmの範囲内が好ましく、0.2~9μmの範囲内がより好ましい。
本発明の熱硬化性離型コーティングを用いて凹凸形状を付与した離型層を有する積層体は、前記離型層上にさらに硬化性樹脂層を形成し、離型層表面の凹凸形状を硬化性樹脂層表面に転写させることにより、凹凸形状を付与された表面を有する硬化性樹脂層を製造するために用いることができる。
このような硬化性樹脂層を形成する硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等の光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等の従来公知の硬化性樹脂から適宜選択して使用することができ、これらの混合物であってもよい。このような硬化性樹脂の例としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテル樹脂、メラミン樹脂等であって、水酸基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、アミノ基、エポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基等の架橋性官能基を有している硬化性樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、上記で説明したアクリルポリオール(A)と架橋剤(B)の組み合わせを構成成分として含有する熱硬化性樹脂を用いてもよい。これらのなかでも、転写性の観点から、光硬化樹脂が特に好ましい。
また、離型層上に硬化性樹脂層を設け、この硬化性樹脂層上にさらに樹脂基材等の基材を積層させた場合は、前記硬化性樹脂層と離型層とを剥離させることにより、硬化性樹脂層と前記基材とを備えた積層体を製造することができる。このような基材としては、従来公知の基材を特段の制限なく使用することができるが、好ましい例としては、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、セラミック、ガラス、銅箔等を挙げることができる。また、前記製造方法には、前記硬化性樹脂層を、加熱硬化及び/又はUV硬化により硬化させる工程をさらに含むことができる。硬化性樹脂層を硬化させる工程は、硬化性樹脂層と離型層とを剥離させる前に行うことが離型性の点から、好ましい。
加熱と活性エネルギー線照射とは併せて行ってもよく、活性エネルギー線の照射源からの熱(例えばランプが発する熱)を熱源としてもよい。さらに、加熱の後に活性エネルギー線照射を行う際には、被塗物が熱を帯びた状態(余熱を持った状態)で活性エネルギー線照射を行ってもよい。
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、これらにより限定されない。各例において、「部」及び「%」は、特記しない限り、質量基準による。また、塗膜の膜厚は硬化被膜に基づく。
<アクリルポリオールの製造>
(製造例1)
攪拌機、温度計、還流冷却器を備えた反応容器に、キシレン150部を仕込み、液中に窒素ガスを吹き込みながら反応温度105℃に昇温した。次いで、メチルメタクリレート 87.5部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート 12.5部及びパーブチルO 0.5部の混合液を反応温度105℃に維持しながら5時間かけて滴下した。その後、メチルエチルケトンで希釈して固形分45質量%のアクリルポリオール(A-1)溶液を得た。得られたメチルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート系のアクリルポリオール(A-1)の水酸基価は60mgKOH/g、ガラス転移温度は98℃、重量平均分子量は34,000であった。
(製造例2)
攪拌機、温度計、還流冷却器を備えた反応容器に、キシレン150部を仕込み、液中に窒素ガスを吹き込みながら反応温度110℃に昇温した。次いで、メチルメタクリレート 87.5部、2-ヒドロキシエチルアクリレート 12.5部及びパーブチルO 3.5部の混合液を反応温度110℃に維持しながら5時間かけて滴下した。その後、メチルエチルケトンで希釈して固形分50質量%のアクリルポリオール(A-2)溶液を得た。水酸基含有重合性不飽和モノマーを必須の共重合成分とするアクリルポリオール(A-2)の水酸基価は90mgKOH/g、ガラス転移温度は72℃、重量平均分子量は13,000であった。
(製造例3)
温度計、撹拌機、還流冷却管、窒素導入口を備えたガラス製4つ口フラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 17部、メチルシクロヘキサン 12部の混合溶液を入れ、撹拌しながら窒素気流下145℃まで昇温した。145℃に達したところで下記混合モノマー溶液を4時間かけて滴下し、さらに滴下終了後145℃の温度に1時間保持した。その後酢酸イソブチル37部で希釈しアクリルポリオール溶液(A-3)を得た。
<混合モノマー溶液>
スチレン 25部
t-ブチルメタクリレート 9部
イソボルニルアクリレート 35部
2-エチルヘキシルアクリレート 3部
2-ヒドロキシエチルメタクリレート 28部
ジ-t-アミルパーオキサイド 5部
得られたアクリルポリオール溶液(A-3)の樹脂固形分は65%であり、樹脂の重量平均分子量は5700、ガラス転移温度78℃、樹脂固形分あたりの水酸基価120.8mgKOH/gであった。
(製造例4)
温度計、撹拌機、還流冷却管、窒素導入口を備えたガラス製4つ口フラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 17部、メチルシクロヘキサン 12部の混合溶液を入れ、撹拌しながら窒素気流下145℃まで昇温した。145℃に達したところで下記混合モノマー溶液を4時間かけて滴下し、さらに滴下終了後145℃の温度に1時間保持した。その後酢酸イソブチル37部で希釈しアクリルポリオール溶液(A-11)を得た。
<混合モノマー溶液>
メタクリル酸 25部
メチルメタクリレート 65部
2-ヒドロキシエチルメタクリレート 10部
ジ-t-アミルパーオキサイド 5部
得られたアクリルポリオール溶液(A-11)の樹脂固形分は65%であり、樹脂の重量平均分子量は4900、ガラス転移温度123℃、樹脂固形分あたりの水酸基価43.2mgKOH/gであった。
≪熱硬化性離型コーティング剤≫
(実施例1)熱硬化性離型コーティング剤 No.1
製造例1で得られたアクリルポリオールNo.A-1を133.3部(固形分60質量部)、架橋剤No.B-1としてサイメル303LF〔商品名、オルネクスジャパン社製、フルエーテル型メチル化メラミン樹脂、固形分100質量%〕を40部、離型剤No.C-1として、ベヘニン酸7.0部(固形分100質量%)、酸触媒としてパラトルエンスルホン酸2.0部(固形分100質量%)を、固形分が22%になるようにメチルエチルケトン/プロピレングリコールモノメチルエーテル(60/40)混合溶液で希釈し攪拌して熱硬化性離型コーティング剤No.1を得た。
≪離型層を有する積層フィルムの形成方法≫
前記得られた熱硬化性離型コーティング剤No.1を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ100μm)に乾燥塗膜2μmとなるよう塗布し、150℃で2分間乾燥させた。得られたフィルムにアクリル系粘着テープ(日東電工株式会社製No.31Bテープ)を2kgのゴムローラーにて圧着させながら貼り合わせ、23℃、50%相対湿度で1時間静置することにより、熱硬化性離型コーティング剤から形成された離型層を有する積層体No.1を得た。得られた積層体を各種試験に供した。試験結果と評価結果をあわせて表1-1に示す。
(実施例2~28及び比較例1~9)
実施例1において、熱硬化性離型コーティング剤の配合を表1-1、表1-2のとおりにし、得られた各熱硬化性離型コーティング剤を用いて実施例1と同様に各積層体No.2~37を作製し、各種試験に供した。試験結果と評価結果をあわせて表1-1、表1-2に示す。
Figure 0007038184000001
Figure 0007038184000002
表中の各成分の詳細は下記のとおりである。
アクリルポリオールNo.A-1:製造例1で得られたアクリルポリオール〔水酸基価60mgKOH/g、ガラス転移温度98℃、重量平均分子量34,000、固形分45質量%〕、
アクリルポリオールNo.A-2:製造例2で得られたアクリルポリオール〔水酸基価90mgKOH/g、ガラス転移温度72℃、重量平均分子量13,000、固形分50質量%〕、
アクリルポリオールNo.A-3:製造例3で得られたアクリルポリオール〔水酸基価120mgKOH/g、ガラス転移温度78℃、重量平均分子量5,700、固形分65質量%〕、
アクリルポリオールNo.A-4:アクリナールTZ#9515、製品名、東栄化成株式会社製、アクリルポリオール〔水酸基価180mgKOH/g、ガラス転移温度83℃、重量平均分子量80,000、固形分35質量%〕、
アクリルポリオールNo.A-5:アクリナールTZ#9520、製品名、東栄化成株式会社製、アクリルポリオール〔水酸基価70mgKOH/g、ガラス転移温度55℃、重量平均分子量40,000、固形分45質量%〕、
アクリルポリオールNo.A-6:アクリナールYB#6932、製品名、東栄化成株式会社製、アクリルポリオール〔水酸基価65mgKOH/g、ガラス転移温度68℃、重量平均分子量100,000固形分40質量%〕
アクリルポリオールNo.A-7:アクリナールTZ#9522、製品名、東栄化成株式会社製、アクリルポリオール〔水酸基価40mgKOH/g、ガラス転移温度51℃、重量平均分子量40,000、固形分52質量%〕
アクリルポリオールNo.A-8:アクリナールXB#6422、製品名、東栄化成株式会社製、アクリルポリオール〔水酸基価43mgKOH/g、ガラス転移温度49℃、重量平均分子量75,000、固形分40質量%〕
ウレタン変性ポリエステルポリオールNo.A-9:バイロンUR-1700、商品名、東洋紡株式会社製、ポリエステル樹脂〔水酸基価19mgKOH/g、ガラス転移温度92℃、重量平均分子量16,000、固形分30質量%〕、
アクリルポリオールNo.A-10:アクリルポリオール#6KW-700、商品名、〔水酸基価10mgKOH/g、ガラス転移温度102℃、重量平均分子量65,000、固形分36.5質量%〕、
アクリルポリオールNo.A-11:製造例4で得られたアクリルポリオール〔水酸基価43.2mgKOH/g、ガラス転移温度123℃、重量平均分子量4,900、固形分65質量%〕、
ポリエステルジオールNo.A-12:FLEXOREZ 188、商品名、KING INDUSTRIES社製、エステルジオール、固形分100質量%、水酸基価230mgKOH/g、ガラス転移温度-32℃、数平均分子量460、
ポリエステルジオールNo.A-13:FLEXOREZ A308、商品名、KING INDUSTRIES社製、エステルジオール、固形分100質量%、水酸基価260mgKOH/g、ガラス転移温度-59℃、数平均分子量520、
ポリカーボネートジオールNo.A-14:DURANOL T5650J、商品名、旭化成株式会社製、ポリカーボネートジオール、固形分100質量%、水酸基価140mgKOH/g、ガラス転移温度―65℃、数平均分子量800、
架橋剤No.B-1:サイメル303LF、商品名、オルネクスジャパン社製、フルエーテル型メチル化メラミン樹脂、固形分100%、
架橋剤No.B-2:サイメル1123、商品名、オルネクスジャパン社製、フルエーテル型メチルエーテルとエチルエーテルとの混合エーテル化ベンゾグアナミン樹脂、固形分100%、
離型剤No.C-1:ベヘニン酸、高級脂肪酸、炭素数22、C2143COOH、固形分100質量%、融点80.0℃、
離型剤No.C-2:ステアリン酸、高級脂肪酸、炭素数18、C1735COOH、固形分100質量%、融点69.3℃、
離型剤No.C-3:パルミチン酸、高級脂肪酸、炭素数16、C1531COOH、固形分100質量%、融点62.9℃、
離型剤No.C-4:ラウリン酸、高級脂肪酸、炭素数12、C1123COOH、固形分100質量%、融点43.2℃、
離型剤No.C-5:α-リノレン酸、高級脂肪酸、炭素数18、CHCH(CH=CHCH(CHCOOH、固形分100質量%、融点-11℃、
離型剤No.C-6:オレイン酸アミド、高級脂肪酸アミド、炭素数18、CH3(CH27CH=CH(CH27CONH2、固形分100質量%、融点72~77℃、
離型剤No.C-7:エチレンビスステアリン酸アミド、高級脂肪酸アミド、炭素数38、分子式C387622、飽和脂肪酸ビスアミド、融点142℃、分子量593.01g/mol、
離型剤No.C-8:ステアリン酸ブチルエステル、高級脂肪酸エステル、炭素数22.分子式C22442、分子量340.59g/mol融点23℃
離型剤No.C-9:パルチミン酸2-エチルヘキシル、高級脂肪酸エステル、炭素数24、分子式C24482、分子量368.65g/mol融点2℃、
離型剤No.C-10:12-ヒドロキシステアリン酸の自己縮合物、ヒドロキシ脂肪酸エステル化物、数平均分子量1500g/mol、固形分100質量%、0℃で液体
離型剤No.C-11:ステアリン酸アルミニウム、高級脂肪酸金属塩、固形分100質量%、融点160℃、
離型剤No.C-12:ステアリン酸亜鉛、高級脂肪酸金属塩、固形分100質量%、融点140℃、
また、表1に記載の評価試験は下記のとおりである。
<評価試験>
試験項目1:塗料外観
表に記載した配合組成の各熱硬化性離型コーティング剤をそれぞれ別個の密封容器に入れ、液温が35℃の温度となるようにして1時間静置した後、液温を室温(25℃)に戻した際の塗料の状態を目視により評価した。
◎ :沈降、静置前と比べ液体の相分離又は析出が全く認められない、
〇 :液温が室温になった際に、若干沈降、静置前と比べ液体の相分離又は析出が認められるが、塗装に支障はないレベル
〇-:液温が35℃において、沈降、静置前と比べ液体の相分離又は析出が若干認められるが塗装に支障はないレベル
× :液温が35℃において、沈降又は結晶の析出又は静置前と比べ液体の相分離が顕著に認められ、塗装に支障がある。
試験項目2:硬化性
各熱硬化性離型コーティング剤をポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ100μm)に乾燥塗膜2μmとなるよう塗布し、無荷重にて乾燥炉にて150℃で2分乾燥させた。得られた各塗膜面に、4枚重ねのガーゼにメチルエチルケトンをしみ込ませて、荷重1kgにて5、10、50又は100往復こすり、各塗膜面の外観変化を目視観察し下記基準にて評価し、結果を下記表に示した。
◎ :100往復で、塗膜面に全く変化が認められない
○ :100往復で、塗膜面にわずかにこすった跡が認められる
〇-:50往復で、塗膜面にわずかにこすった跡が認められる
△ :10往復で、こすった跡が明確に認められる
× :5往復で、こすった跡が明確に認められる。
試験項目3:剥離力(常温、初期)
熱硬化性離型コーティング剤の塗膜を有する各積層フィルムを25mm幅にカットした試験用積層フィルムを23℃、50%相対湿度の条件下で、引張試験機を用いて剥離角度T型、剥離速度300mm/minの条件にて剥離力を測定した。
◎:剥離力100mN/25mmを超えて3,500mN/25mm以下
〇:剥離力3,500を超えて7,000mN/25mm以下
〇-:剥離力7,000を超えて10,500mN/25mm以下
△:剥離力10,500を超えて14,000mN/25mm以下
×:剥離力14,000を超えて20,000mN/25mm以下
試験項目4:剥離力(加熱後)
熱硬化性離型コーティング剤の塗膜を有する各積層フィルムを25mm幅にカットした試験用積層フィルムを、無荷重にて乾燥炉にて70℃で1時間加熱した。その後、23℃、50%相対湿度で1時間静置して室温に戻してから、試験項目1と同様にして剥離力を測定した。剥離力(加熱処理後)を下記基準にて評価した。
◎:剥離力100N/25mmを超えて5,000mN/25mm以下
〇:剥離力5,000N/25mmを超えて10,000mN/25mm以下
〇-:剥離力10,000N/25mmを超えて15,000mN/25mm以下
△:剥離力15,000N/25mmを超えて20,000mN/25mm以下
×:剥離することができない
試験項目5:ブロッキング性
各熱硬化性離型コーティング剤をポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ100μm)に乾燥塗膜2μmとなるよう塗布し、無荷重にて乾燥炉にて150℃で2分乾燥させたフィルムを4cm×3cmの大きさに2枚裁断し、塗装面と未塗装面を合わせて、6kgの圧力下、温度40℃、50%相対湿度で24時間放置した後の剥れ具合(剥し易さ)を以下の基準により評価した。
〇:抵抗なく剥すことができる
△:剥す際、わずかに抵抗がある
×:剥す際の抵抗が大きい。
試験項目6:残留接着率
上記の試験項目1の剥離力の測定で剥離させたアクリル系粘着テープ(日東電工株式会社製No.31Bテープ)をSUS板に貼り付け、上記の引張試験機により180度の角度、剥離速度0.3m/分でアクリル系粘着テープ(日東電工株式会社製No.31Bテープ)を引張り、剥離させるのに要する力F(N/25mm)を測定した。比較として未使用のアクリル系粘着テープ(日東電工株式会社製No.31Bテープ)をSUS板に貼り付け、Fの測定と同様にして、剥離させるのに要する力F0(N/25mm)を測定した。式:F/F0×100により残接(%)を計算して、剥離力測定後のアクリル系粘着テープ(日東電工株式会社製No.31Bテープ)は、未使用のアクリル系粘着テープ(日東電工株式会社製No.31Bテープ)と比較して何%の接着力が残っているかを評価した。
粘着テープの粘着剤表面が離型シートにより汚染された場合、粘着テープの再粘着性が低下し、粘着テープとしての性能を損なう。すなわち、残留接着率は高い方が好ましい。
◎ :残留接着率が95%以上
〇 :残留接着率が90%以上95%未満
〇-:残留接着率が85%以上90%未満
△ :残留接着率が80%以上85%未満
× :残留接着率が80%未満。
(実施例29)熱硬化性離型コーティング剤 No.38
アクリルポリオールNo.A-1を133.3部(固形分60質量部)、架橋剤No.B-1としてサイメル303LF〔商品名、オルネクスジャパン社製、フルエーテル型メチル化メラミン樹脂、固形分100質量%〕を40部、離型剤No.C-2として、ステアリン酸7.0部(固形分100質量%)、粒子No.D-1として、テクポリマー SSX-101を1.0部(固形分)、及び酸触媒としてパラトルエンスルホン酸2.0部(固形分100質量%)を、固形分が22%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテル混合溶液で希釈し攪拌して熱硬化性離型コーティング剤No.38を得た。
≪離型層を有する積層体の形成方法≫
前記得られた熱硬化性離型コーティング剤No.38を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ100μm)に乾燥塗膜2μmとなるよう塗布し、150℃で2分間乾燥させた。得られたフィルムにアクリル系粘着テープ(日東電工株式会社製No.31Bテープ)を2kgのゴムローラーにて圧着させながら貼り合わせ、23℃、50%相対湿度で1時間静置することにより、熱硬化性離型コーティング剤から形成された離型層を有する積層体No.38を得た。得られた積層体を各種試験に供した。試験結果と評価結果をあわせて表2に示す。
(実施例30~46、比較例10、比較例11)
実施例29において、熱硬化性離型コーティング剤の配合と乾燥膜厚を表2-1、表2-2のとおりにし、各熱硬化性離型コーティング剤を用いて実施例29と同様に各積層体No.39~57を作製し、各種試験に供した。試験結果と評価結果をあわせて表2-1、表2-2に示す。
Figure 0007038184000003
Figure 0007038184000004
表中の各成分の詳細は下記の通り
架橋剤No.B-3:マイコート506、商品名、オルネクスジャパン社製、フルエーテル型ブチル化メラミン樹脂、固形分100%、
架橋剤No.B-4:タケネートD-110N、商品名、三井化学社製、メタキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、NCO% 11.5%、固形分75%、
粒子No.D-1:テクポリマーSSX-101、商品名、球状有機微粒子、アクリル樹脂系粒子、平均粒子径1μm、架橋ポリメタクリル酸メチル、真比重:1.20、屈折率:1.49、耐熱性:250~270℃、
粒子No.D-2:テクポリマーSSX-105、球状有機微粒子、アクリル樹脂系粒子、平均粒子径5μm、架橋ポリメタクリル酸メチル、真比重:1.20、屈折率:1.49、耐熱性:250~270℃、
粒子No.D-3:エポスター S6、球状有機微粒子、メラミン樹脂系粒子、平均粒子径0.4μm、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、真比重:1.50、屈折率:1.66、
粒子No.D-4:エポスター S12、球状有機微粒子、メラミン樹脂系粒子、平均粒子径1.2μm、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、真比重:1.50、屈折率:1.66、
粒子No.D-5:トスパール120、球状有機微粒子、シリコーン樹脂系粒子、平均粒子径2.0μm、真球状シリコーン微粒子。
粒子No.D-6:DEUTORON MK、球状有機微粒子、平均粒子径3.5μm、真球状ウレア微粒子。
粒子No.D-7:ACEMATT OK―607、球状無機微粒子、平均粒子径4.4μm、真球状シリカ微粒子。
なお、試験項目1~6は前述のとおりである。また、表2-1、表2-2に記載の試験項目は下記のとおりである。
試験項目7:鏡面光沢度(60°グロス)
上記で得られた試験板について、離型層の形成面の鏡面光沢度を、光沢計(micro-TRI-gloss、BYK-Gardner社製)を用いて60°グロス値を測定した。
◎:60°グロス値が40%未満、
〇:60°グロス値が40%以上60%未満、
〇-:60°グロス値が60%以上80%未満
△:60°グロス値が80%以上~110%未満
×:60°グロス値が110%以上
試験項目8:転写性
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート支持フィルム上に、表2に記載の熱硬化性離型コーティング剤組成物溶液を表2に記載の乾燥膜厚となるようにバーコーターで塗布した後、150℃で1分間乾燥した。その後、アクリルポリオールNo.A-1を 133.3部(固形分60質量部)、架橋剤No.B-1としてサイメル303LF〔商品名、オルネクスジャパン社製、フルエーテル型メチル化メラミン樹脂、固形分100質量%〕を40部(離型剤が含まれていない組成物)比較例3で得た組成物の固形分22%に希釈した熱硬化性コーティング剤溶液を乾燥膜厚10μmになるようにバーコーターで塗装した後、150℃で1分間乾燥し23℃、50%相対湿度で1時間静置することにより、支持フィルム上に熱硬化性離型コーティング剤から形成された離型層と硬化性樹脂層を有する積層体を得た。アクリル系粘着テープ(日東電工株式会社製No.31Bテープ)を積層体の硬化性樹脂層面上に70℃、1kg荷重で貼り付け、23℃、50%相対湿度で1時間静置することにより、支持フィルム状に離型層、硬化性樹脂層及びアクリル系粘着テープの順に積層された積層体を得た。上記の引張試験機により180度の角度、剥離速度0.3m/分でアクリル系粘着テープ(日東電工株式会社製No.31Bテープ)を引張り、離型層と硬化性樹脂層との界面で剥離させた。剥離した硬化性樹脂層及びアクリル系粘着テープからなる積層体を目視にて評価した。
〇:離型層からの粒子の脱落がなく、かつ、硬化樹脂層表面に良好な艶消し外観が認められる
×:離型層からの粒子の脱落が確認され、硬化樹脂層に艶消し外観が得られないもしくは得られても不均一で意匠として好ましくない外観が認められる。
以上、本発明の実施形態及び実施例について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。

Claims (13)

  1. ガラス転移温度Tgが50~135℃の範囲内であるアクリルポリオール(A)、架橋剤(B)、及び離型剤(C)を含有する熱硬化性離型コーティング剤であって、前記離型剤(C)が、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル化物及びヒドロキシ脂肪酸エステル化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有し、ここで高級脂肪酸は炭素数12以上の脂肪酸であり、前記離型剤(C)の固形分含有量が、前記アクリルポリオール(A)及び前記架橋剤(B)の合計樹脂固形分を基準として、0.5~40質量%の範囲内である、熱硬化性離型コーティング剤。
  2. 平均粒子径が0.1~10μの範囲内の粒子(D)をさらに含有する、請求項1に記載の熱硬化性離型コーティング剤。
  3. 前記アクリルポリオール(A)及びヒドロキシ脂肪酸エステル化物以外のポリオール成分をさらに含み、前記アクリルポリオール(A)及びヒドロキシ脂肪酸エステル化物以外のポリオール成分が、ポリエステルジオール及びポリカーボネートジオールから選ばれる少なくとも1つのジオール化合物(E)を含む、請求項1又は請求項2に記載の熱硬化性離型コーティング剤。
  4. 前記離型剤(C)が、高級脂肪酸モノエステル化物及び高級脂肪酸アミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱硬化性離型コーティング剤。
  5. 前記架橋剤(B)が、メラミン樹脂、ポリイソシアネート樹脂及びベンゾグアナミン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む架橋剤である、請求項1~4のいずれか一項に記載の熱硬化性離型コーティング剤。
  6. 前記アクリルポリオール(A)の重量平均分子量が3,000~50,000である、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱硬化性離型コーティング剤。
  7. 前記粒子(D)が、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ウレア樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-アクリル共重合体、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂及びベンゾグアナミン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の材料を含む球状有機微粒子である、請求項2~6のいずれか一項に記載の熱硬化性離型コーティング剤。
  8. 前記粒子(D)が無機粒子である、請求項2~6のいずれか一項に記載の熱硬化性離型コーティング剤。
  9. 樹脂基材の少なくとも片面に、請求項1~8のいずれか一項に記載の熱硬化性離型コーティング剤によって形成された離型層を設けてなる、積層体。
  10. 前記離型層の形成面のJIS-Z8741による60度鏡面光沢度が80%未満である、請求項9に記載の積層体。
  11. 樹脂基材の少なくとも片面に、請求項1~8のいずれか一項に記載された熱硬化性離型コーティング剤を塗布し離型層を形成する工程、
    前記離型層上に、硬化性樹脂層を少なくとも1層設ける工程、及び
    前記硬化性樹脂層と離型層を剥離させる工程、
    を含む積層体の製造方法。
  12. 前記硬化性樹脂層を、さらに加熱硬化及び/又はUV硬化により硬化させる工程、を含む請求項11に記載の積層体の製造方法。
  13. 前記離型層の表面が凹凸形状を有し、前記硬化性樹脂層の表面が、前記離型層表面の凸凹形状が転写されることによって賦形される、請求項11又は請求項12に記載の積層体の製造方法。
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