JP7032490B2 - 抗体のin vivoでの半減期のin vitroでの予測 - Google Patents

抗体のin vivoでの半減期のin vitroでの予測 Download PDF

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Description

本発明は、リコンビナント抗体技術の分野、特に、テーラーメイド抗体の分野におけるものである。本明細書には、FcRn親和性クロマトグラフィーカラムで決定された保持時間に基づいて、抗体のin vivoでの半減期を予測する方法が報告されている。
発明の背景
クラスGのヒト免疫グロブリン(IgG)は、ターゲット抗原に対する特異性を伝達する2つの抗原結合(Fab)領域と、Fcレセプターとの相互作用を担う定常領域(Fc領域)とを含有する([1、2])。ヒトIgGのサブクラス1、2、及び4は、21日の平均血清半減期を有する。この半減期は、他のどの公知の血清タンパク質の半減期よりも長い([3])。この長い半減期は、Fc領域と新生児Fcレセプター(FcRn)との間の相互作用により、主に媒介される([4、5])。これは、IgG又はFc含有融合タンパク質が幅広いクラスの治療薬として使用される理由の1つである。
新生児FcレセプターFcRnは、IgG及びアルブミン両方のホメオスタシス胎盤を通過する母方のIgG輸送、及び、抗原-IgG免疫複合体食作用において、関与する膜結合レセプターである([6、9])。ヒトFcRnは、グリコシル化クラスI主要組織適合複合体様タンパク質(α-FcRn)及びβミクログロブリン(βm)サブユニットからなるヘテロ二量体である([10])。FcRnは、Fc領域のC2-C3領域中の部位に結合し([11~14])、2つのFcRn分子は、Fc領域に同時に結合することができる([15、16])。FcRnとFc領域との間の親和性は、pH依存性である。このpH依存性は、エンドソームのpH5~6において、ナノモル濃度の親和性を示し、生理学的pHである7.4ではほとんど結合性を示さない([13、17、18])。IgGに長い半減期を伝達する基礎となるメカニズムは、3つの根本的な工程により説明することができる。まず、IgGは、種々の細胞種による非特異的飲作用に供される([19、20])。第二に、IgGは、pH5~6の酸性エンドソームにおいて、FcRnと遭遇し、結合することにより、IgGをリソソーム分解から保護する([11、21])。最後に、IgGは、7.4の生理学的pHにおいて、細胞外空間に放出される[4]。この厳密なpH依存性の結合-放出メカニズムは、IgGリサイクリングに重要であり、異なるpH値における結合特性の任意の偏りは、IgGの循環半減期に強く影響を及ぼす場合がある([22])。
また、Fab領域は、Fc領域とFcRnとの特異的相互作用に加えて、FcRn結合性に寄与することが示唆されている([23~25])。例えば、中性pHでのFab媒介性残存結合性は、一連の治療抗体の薬物動態特性と関連しており、この関連は、pH7.3においてFcRnに過剰な結合性を有するIgGには、短い終末相半減期の問題があることを示している([24])。近年、Schlothauer et al.([25])は、FcRnとIgGとの間を解離させるための生理学的条件を厳密に模倣した、新規なpH勾配FcRn親和性クロマトグラフィー法を記載している。更に、彼らは、同一のFc領域を有するIgGが、FcRnからのその解離において異なることを示し、このため、FcRn結合におけるFab領域の影響を示した。
しかしながら、Fab領域がどのようにFcRn結合に影響を及ぼすのかという基礎をなすメカニズムは、未だに解明されていない。
モノクローナル抗体の機能性を決定するための分析用FcRn親和性クロマトグラフィーが、Schlothauer, T., et al.([25])に報告されている。Wang, W., et al.([24])は、同一のFc配列を有するモノクローナル抗体が、薬物動態事象を伴って、FcRnに異なって結合し得ることを報告している。ヒトIgG1のFcドメインを含有する治療タンパク質の血清半減期のレギュレーションにおける新生児FcRnの重要性は、Suzuki, T., et al.([23])に報告されている。Igawa, T., et al.([37])は、可変領域を操作することにより、IgG抗体の除去が低下することを報告している。免疫グロブリンGのFc領域を操作して、in vivoでの抗体レベルをモデュレーションすることが、Vaccaro, C., et al.([22])に報告されている。Prabhat, P., et al.([40])は、多焦点平面顕鏡法を使用することによる、FcレセプターであるFcRnのエキソサイト―シスをもたらす細胞内リサイクリング経路の解明を報告している。モノクローナル抗体についての薬物動態、薬力学、及び免疫原性適合性評価戦略が、Putnam, W.S., et al.に報告されている([36])。Boswell, C.A., et al.([38])は、抗体組織分布及び薬物動態における電荷作用を報告している。ビオチンでの化学修飾後の放射性ヨウ化キメラTNT-1、-2、及び-3モノクローナル抗体の薬物動態特性及び生体分布が、Khawli, L.A., et al.に報告されている([35])。
国際公開公報第2013/120929号には、Fcレセプターベースの親和性クロマトグラフィーが報告されている。米国特許出願公開公報第2011/0111406号には、複数回抗原に抗原結合分子を結合させる方法が報告されている。米国特許出願公開公報第2014/0013456号には、ヒスチジン操作軽鎖抗体及びこれを生成するための遺伝子操作された非ヒト動物が報告されている。
近年、FcRn相互作用におけるFab領域の影響が議論されている([23、24、25])。
しかしながら、同じFc領域を有する抗体は、単純に、同様のPKプロファイルを有するわけではない。FcRn結合に対するFab領域の更なる寄与が報告されているが、基礎となすメカニズムは、不明なままである([47]、[24]、[25])。
Fc領域とFcRnとの特異的相互作用に加えて、Fab領域も、FcRn-IgG相互作用に寄与することが示唆されている([37、24、25])。
後に公開されたLi, B., et al.([48])は、フレームワークの選択が、分子電荷の差異により、ヒト化治療抗体の薬物動態に影響を及ぼす場合があることを報告している。
Sampei, Z., et al.([49])は、因子VIII補助因子活性の機能を模倣する、非対称二重特異性IgG抗体の特定及び多次元最適化を報告している。
Wang et al.([24])は、異なるターゲット特異性及びFab領域を有するが、同一のFc配列を有するIgGが、異なるFcRn親和性を有する場合があることを報告している。生理学的pH近くでのFab媒介性残存結合性は、一連の治療抗体の薬物動態特性と関連しており、この関連は、pH7.3においてFcRnに過剰な結合性を有するIgGには、短い終末相半減期の問題があることを示している。
近年、Schlothauer et al.([25])は、FcRnとIgGとの間を解離させるための生理学的条件を厳密に模倣した、新規なpH勾配FcRn親和性クロマトグラフィー法を記載している。更に、彼らは、同一のFc領域を有するIgGが、in vitroにおけるFcRnからのその解離において異なることを示しており、このため、FcRn-IgG相互作用におけるFab領域の影響を示した。
Benson, J.M., et al.([50])は、ウステキヌマブ:インターロイキン-12及びインターロイキン-23をターゲットとする、免疫媒介性障害の処置のためのヒトモノクローナル抗体の発見及びメカニズムを報告している。
抗体ブリアキヌマブのアミノ酸配列は、国際公開公報第2013/087911号(配列番号39及び配列番号40)に報告されている。抗体ウステキヌマブのアミノ酸配列は、国際公開公報第2013/087911号(配列番号37及び配列番号38)に報告されている。抗体ベバシズマブのアミノ酸配列は、Drug Bank entry DB00112に報告されている。
Fvドメイン中の電荷分布が、抗体-FcRn結合性に影響を及ぼし、抗体とFcRnとの間の更なる相互作用をもたらすことが見出された。これは、特にpH7.4での抗体-FcRn複合体の解離に関するFcRn結合特性を変化させることにより、抗体のFcRn依存性終末相半減期を短縮する。
本明細書に報告された一態様は、下記工程:
a)第1の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体の保持時間を決定する工程と、
b)第2の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体の保持時間を決定する工程とを含み、
これにより、工程a)で決定された保持時間と工程b)で決定された保持時間とが実質的に異なる場合、抗体のin vivoでの半減期に影響を及ぼす抗体-Fab-FcRn相互作用の存在が決定される、
抗体のin vivoでの半減期に影響を及ぼす抗体-Fab-FcRn相互作用の存在を決定する方法である。
抗体-Fab-FcRn相互作用は、抗体のFab領域とFcRnとの間の相互作用である。この相互作用は、少しでも存在する場合、抗体がFcRnと結合した後に生じる。このため、この相互作用の確立は、2工程プロセスである。第1工程において、抗体-FcRn複合体、より正確には、抗体-Fc-FcRn複合体が形成される。抗体-Fc-FcRn複合体が形成された後の第2の工程は、抗体-Fab-FcRn相互作用の確立である。これから分かるように、全長抗体についてのみ、これらの2つの相互作用、すなわち、抗体-Fc-FcRn相互作用及び抗体-Fab-FcRn相互作用を確立することができる。
本明細書に報告された一態様は、下記工程:
a)第1の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体の保持時間を決定する工程と、
b)第2の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体の保持時間を決定する工程とを含み、
これにより、工程a)で決定された保持時間と工程b)で決定された保持時間とが実質的に異なる場合、in vivoでの半減期に影響を及ぼす抗体-FcRn複合体におけるFab-FcRn相互作用の存在が決定される、
in vivoでの半減期に影響を及ぼす抗体-FcRn複合体におけるFab-FcRn相互作用の存在を決定する方法である。
本明細書に報告された別の態様は、下記工程:
a)第1の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体の保持時間を決定する工程と、
b)第2の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体の保持時間を決定する工程とを含み、
これにより、工程a)で決定された保持時間と工程b)で決定された保持時間とが実質的に異なる場合、抗体は、IgGクラスの標準的/天然の抗体と比較して相対的に短いin vivoでの半減期を有する、
抗体の相対的なin vivoでの半減期を決定する方法である。
一実施態様では、IgGクラスの抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4サブクラスの抗体である。一実施態様では、IgGクラスの抗体は、IgG1、IgG3、又はIgG4サブクラスの抗体である。一実施態様では、IgGクラスの抗体は、IgG1又はIgG4サブクラスの抗体である。一実施態様では、IgGクラスの抗体は、IgG1サブクラスの抗体である。一実施態様では、IgGクラスの抗体は、IgG4サブクラスの抗体である。
本明細書に報告された更なる態様は、下記工程:
a)第1の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの変異抗体及びその親抗体の保持時間を決定する工程と、
b)第2の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの変異抗体及びその親抗体の保持時間を決定する工程とを含み、
これにより、i)工程a)で決定された変異抗体の保持時間が、工程a)で決定されたその親抗体の保持時間より長く、ii)工程a)で決定された変異抗体の保持時間と工程b)で決定された変異抗体の保持時間とが実質的に同じである場合、その親抗体に対して変異抗体のin vivoでの半減期が長くなり、また、これにより、i)工程a)で決定された変異抗体の保持時間が、工程a)で決定されたその親抗体の保持時間より短く、ii)工程a)で決定された変異抗体の保持時間と工程b)で決定された変異抗体の保持時間とが実質的に同じである場合、その親抗体に対して変異抗体のin vivoでの半減期が短くなる、
その親抗体に対する変異抗体のin vivoでの半減期の伸長又は短縮を決定する方法である。
本明細書に報告された別の態様は、下記工程:
a)第1の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の保持時間を決定する工程と、
b)第2の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の保持時間を決定する工程とを含み、
これにより、参照抗体に対して長いin vivoでの半減期を有する抗体を選択する場合には、i)工程a)で決定された参照抗体の保持時間より長い工程a)で決定された保持時間、及び、ii)工程b)で決定された保持時間と実質的に同じ工程a)で決定された保持時間を有する抗体が選択され、また、これにより、参照抗体に対して短いin vivoでの半減期を有する抗体を選択する場合には、i)工程a)で決定された参照抗体の保持時間より短い工程a)で決定された保持時間、及び、ii)工程b)で決定された保持時間と実質的に同じ工程a)で決定された保持時間を有する抗体が選択される、
参照抗体に対して伸長又は短縮したin vivoでの半減期を有する抗体を選択する方法である。
本明細書に報告された別の態様は、
a)第1の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体の保持時間を決定する工程と、
b)第2の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体の保持時間を決定する工程とを含み、
これにより、工程b)で決定された保持時間と実質的に異ならない工程a)で決定された保持時間を有する抗体が選択され、また、これにより、抗体のin vivoでの半減期に影響を及ぼす抗体-Fab-FcRn相互作用を有さない抗体を選択する、
抗体のin vivoでの半減期に影響を及ぼす抗体-Fab-FcRn相互作用を有さない抗体を選択する方法である。
本明細書に報告された一態様は、下記工程:
a)本明細書に報告された方法により選択された、参照抗体に対して伸長又は短縮したin vivoでの半減期を有する抗体をコードする1つ以上の核酸を含む細胞を提供する工程と、
b)該細胞を培養培地中で培養し、該細胞又は該培養培地から抗体を回収することにより、抗体を製造する工程とを含む、
抗体を製造する方法である。
本明細書に報告された一態様は、下記工程:
抗体軽鎖中の27、55、及び94位(Kabatによるナンバリング)の荷電アミノ酸残基を、疎水性又は中性の親水性アミノ酸残基に変化させることにより、抗体のin vivoでの半減期を伸長する工程を含む、
抗体のin vivoでの半減期を伸長する方法である。
本明細書に報告された一態様は、下記工程:
a)塩勾配溶出による第1のpH値におけるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の保持時間を決定する工程と、
b)塩勾配溶出による第2のpH値におけるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の保持時間を決定する工程とを含み、
これにより、工程a)で決定された抗体及び参照抗体の保持時間の比が、工程b)で決定された抗体及び参照抗体の保持時間の比と実質的に異なる場合、抗体のin vivoでの半減期に影響を及ぼす抗体-Fab-FcRn相互作用の存在が決定される、
抗体のin vivoでの半減期に影響を及ぼす抗体-Fab-FcRn相互作用の存在を決定する方法である。
本明細書に報告された一態様は、下記工程:
a)変異抗体及びその親抗体について、表面プラズモン共鳴を使用して、pH6におけるK値を決定する工程と、
b)高塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの変異抗体及びその親抗体の保持時間を決定する工程とを含み、
これにより、K値が、最大10倍異なり、変異抗体とその親抗体との間で工程b)で決定された保持時間が実質的に異なる場合、抗体のin vivoでの半減期に影響を及ぼす抗体-Fab-FcRn相互作用の存在が決定される、
抗体のin vivoでの半減期に影響を及ぼす抗体-Fab-FcRn相互作用の存在を決定する方法である。
本明細書に報告された一態様は、下記工程:
a)変異抗体及びその親抗体について、表面プラズモン共鳴を使用して、pH6におけるK値を決定する工程と、
b)高塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの変異抗体及びその親抗体の保持時間を決定する工程とを含み、
これにより、K値が、最大10倍異なり、変異抗体の工程b)で決定された保持時間が、その親抗体の保持時間より短い/小さい場合、抗体は、その親抗体と比較して相対的に短いin vivoでの半減期を有し、また、これにより、K値が、最大10倍異なり、変異抗体の工程b)で決定された保持時間が、その親抗体の保持時間より長い/大きい場合、抗体は、その親抗体と比較して相対的に長いin vivoでの半減期を有する、
抗体の相対的なin vivoでの半減期を決定する方法である。
本明細書に報告された一態様は、下記工程:
a)変異抗体及びその親抗体について、表面プラズモン共鳴を使用して、pH6におけるK値を決定する工程と、
b)高塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの変異抗体及びその親抗体の保持時間を決定する工程とを含み、
これにより、K値が、最大10倍異なり、変異抗体の工程b)で決定された保持時間が、その親抗体の保持時間より短い/小さい場合、抗体は、その親抗体と比較して短いin vivoでの半減期を有し、また、これにより、K値が、最大10倍異なり、変異抗体の工程b)で決定された保持時間が、その親抗体の保持時間より長い/大きい場合、抗体は、その親抗体と比較して長いin vivoでの半減期を有する、
抗体のin vivoでの半減期の伸長又は短縮を決定する方法である。
一実施態様では、抗体は、全長抗体である。
全態様の一実施態様では、正の線形pH勾配は、約pH5.5~約pH8.8である。
全態様の一実施態様では、塩は、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、クエン酸ナトリウム、又はクエン酸カリウムから選択される。
全態様の一実施態様では、塩は、塩化ナトリウムである。
全態様の一実施態様では、第1の塩濃度は、50mM~200mMである。
全態様の一実施態様では、第1の塩濃度は、約140mMである。
全態様の一実施態様では、第2の塩濃度は、300mM~600mMである。
全態様の一実施態様では、第2の塩濃度は、約400mMである。
全態様の一実施態様では、工程a)と工程b)とで実質的に異なる保持時間は、少なくとも5%異なる。
全態様の一実施態様では、工程a)と工程b)とで実質的に異なる保持時間は、少なくとも10%異なる。
全態様の一実施態様では、工程a)と工程b)とで実質的に異なる保持時間は、少なくとも15%異なる。
全態様の一実施態様では、保持時間が工程a)と工程b)とで実質的に異なる場合、工程a)における保持時間は、工程b)におけるより大きい/長い。
全態様の一実施態様では、保持時間が工程a)と工程b)とで実質的に異なる場合、工程b)における保持時間は、工程a)におけるより小さい/短い。
全態様の一実施態様では、保持時間が工程a)と工程b)とで実質的に異なる場合、保持時間は、塩濃度の平方根の上の1(~1/SQRT(c(salt)))に比例する。
全態様の一実施態様では、親又は参照抗体は、サブクラスIgG1について、配列番号01(重鎖)及び配列番号02(軽鎖)を有する抗-IL-1R抗体、ならびに、サブクラスIgG4について、配列番号03(重鎖)及び配列番号04(軽鎖)を有する抗-IL-1R抗体である。
全態様の一実施態様では、親又は参照抗体は、サブクラスIgG1について、配列番号36(重鎖)及び配列番号37(軽鎖)を有する抗-HER2抗体、ならびに、サブクラスIgG4について、配列番号38(重鎖)及び配列番号39(軽鎖)を有する抗-HER2抗体である。
全態様の一実施態様では、親又は参照抗体は、図5に示された軽鎖及び重鎖のアミノ酸配列を有するウステキヌマブである。
全態様の一実施態様では、FcRn親和性クロマトグラフィーカラムは、新生児Fcレセプター(FcRn)とベータ-2-ミクログロブリン(b2m)との非共有複合体を含む。
全態様の一実施態様では、FcRn親和性クロマトグラフィーカラムは、新生児Fcレセプター(FcRn)とベータ-2-ミクログロブリン(b2m)との共有複合体を含む。
全態様の一実施態様では、新生児Fcレセプター(FcRn)とベータ-2-ミクログロブリン(b2m)との複合体は、固体相に結合している。
全態様の一実施態様では、固体相は、クロマトグラフィー材料である。
全態様の一実施態様では、新生児Fcレセプター(FcRn)とベータ-2-ミクログロブリン(b2m)との複合体は、ビオチン化されており、固体相は、ストレプトアビジンで誘導体化されている。
全態様の一実施態様では、ベータ-2-ミクログロブリンは、新生児Fcレセプター(FcRn)と同じ種由来である。
全態様の一実施態様では、ベータ-2-ミクログロブリンは、FcRnとは異なる種由来である。
全態様の一実施態様では、FcRnは、ヒトFcRn、カニクイザルFcRn、マウスFcRn、ラットFcRn、ヒツジFcRn、イヌFcRn、ブタFcRn、ミニブタFcRn、及びウサギFcRnから選択される。
全態様の一実施態様では、抗体は、単特異性抗体もしくは融合ポリペプチドの抗体フラグメント、又は、二重特異性抗体もしくは融合ポリペプチドの抗体フラグメント、又は、三重特異性抗体もしくは融合ポリペプチドの抗体フラグメント、又は、四重特異性抗体もしくは融合ポリペプチドの抗体フラグメントである。
一実施態様では、抗体は、クラスIgGの抗体である。一実施態様では、抗体は、サブクラスIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4の抗体である。一実施態様では、抗体は、サブクラスIgG1又はIgG4の抗体である。
発明の詳細な説明
FcRn-mAb(mAb=モノクローナル抗体)相互作用の構造解析の結果を組み合わせることにより、Fvドメイン及び特に軽鎖可変ドメイン(VL)が、FcRn-mAb解離に主な影響を提供するという結論がもたらされる。この発見は、Fvドメインが同じ抗体のFcRn結合部位から離れているため、予測されなかった。
抗体は、pH6.0での親和性において、差異を示さなかったため、Fab領域は、pH6.0での結合性に影響を有さないと考えられる。対照的に、FcRnと抗体との間の解離は、Fab領域により影響を受けた。
in vitroでのFcRn-IgG解離pHは、in vivoでの終末相半減期と直線的に関係した。まとめると、これらの発見は、より高いpH値においてより遅い解離を示す抗体は、細胞内に戻るように輸送され、その後、血液循環に戻って放出される代わりに分解されるとの仮定を支持している。
Fvドメイン中の電荷分布は、抗体-FcRn結合性に影響を及ぼし、抗体とFcRnとの間の更なる相互作用をもたらすことが見出された。これは、特にpH7.4での抗体-FcRn複合体の解離に関するFcRn結合特性を変化させることにより、抗体のFcRn依存性終末相半減期を短縮する。
I.定義
「a」及び「an」という用語は、1又は2又は3又は4又は5又は6、及び最大10を意味する。
「約」という用語は、その後に続く数値の+/-20%の範囲を意味する。一実施態様では、約という用語は、その後に続く数値の+/-10%の範囲を意味する。一実施態様では、約という用語は、その後に続く数値の+/-5%の範囲を意味する。
「含む(comprising)」という用語は、「からなる(consisting of)」という用語も含む。
「変化」という用語は、改変抗体又は融合ポリペプチドを得るための、親抗体又は融合ポリペプチド、例えば、Fc領域の少なくともFcRn結合部を含む融合ポリペプチド中の1つ以上のアミノ酸残基の突然変異(置換)、挿入(付加)、変化(誘導体化)、又は欠失を意味する。「突然変異」という用語は、指定されたアミノ酸残基が、異なるアミノ酸残基に置換されることを意味する。例えば、突然変異L234Aは、抗体Fc領域(ポリペプチド)中の234位(EUインデックスによるナンバリング)のアミノ酸残基リシンが、アミノ酸残基アラニンにより置換されること(アラニンによるリシンの置換)を意味する。
「アミノ酸突然変異」という用語は、少なくとも1つの既存のアミノ酸残基の別の異なるアミノ酸残基による置換(=アミノ酸残基の置き換え)を意味する。置き換えるアミノ酸残基は、「天然のアミノ酸残基」であることができ、アラニン(三文字表記:ala、一文字表記:A)、アルギニン(arg、R)、アスパラギン(asn、N)、アスパラギン酸(asp、D)、システイン(cys、C)、グルタミン(gln、Q)、グルタミン酸(glu、E)、グリシン(gly、G)、ヒスチジン(his、H)、イソロイシン(ile、I)、ロイシン(leu、L)、リシン(lys、K)、メチオニン(met、M)、フェニルアラニン(phe、F)、プロリン(pro、P)、セリン(ser、S)、スレオニン(thr、T)、トリプトファン(trp、W)、チロシン(tyr、Y)、及びバリン(val、V)からなる群より選択することができる。置き換えるアミノ酸残基は、「非天然のアミノ酸残基」でもよい。例えば、米国特許第6,586,207号、国際公開公報第98/48032号、同第03/073238号、米国特許出願公開公報第2004/0214988号、国際公開公報第2005/35727号、同第2005/74524号、Chin, J.W., et al., J. Am. Chem. Soc. 124 (2002) 9026-9027;Chin, J.W. and Schultz, P.G., ChemBioChem 11 (2002) 1135-1137;Chin, J.W., et al., PICAS United States of America 99 (2002) 11020-11024;及びWang, L. and Schultz, P.G., Chem. (2002) 1-10を参照のこと(全ての文献は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる)。
「アミノ酸挿入」という用語は、アミノ酸配列中の所定の位置における、少なくとも1つのアミノ酸残基の(付加的な)組み込みを意味する。一実施態様では、挿入は、1つ又は2つのアミノ酸残基の挿入であろう。挿入されたアミノ酸残基は、任意の天然又は非天然のアミノ酸残基であることができる。
「アミノ酸欠失」という用語は、アミノ酸配列中の所定の位置における、少なくとも1つのアミノ酸残基の除去を意味する。
本明細書において、「抗体」という用語は、広い意味で使用され、種々の抗体構造体を包含する。この抗体構造体は、それらが全長抗体であり、所望の抗原-及び/又はFcRN-結合活性を示す限り、モノクローナル抗体及び多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体、三重特異性抗体)を含むが、これらに限定されない。
「(抗原に対する)結合性」という用語は、in vitroアッセイ法での抗体の結合性を意味する。一実施態様では、結合性は、抗体が抗原の表面に結合し、抗原の抗体に対する結合性が表面プラズモン共鳴(SPR)により測定される、結合アッセイ法において決定される。結合性は、例えば、10-8M以下、一部の実施態様では、10-13~10-8M、一部の実施態様では、10-13~10-9Mの結合親和性(K)を意味する。
結合性は、BIAcoreアッセイ法(GE Healthcare Biosensor AB, Uppsala, Sweden)により調査することができる。結合親和性は、k(抗体/抗原複合体からの抗体が会合する速度定数)、k(解離定数)、及びK(k/k)という用語により定義される。
「バッファー物質」という用語は、例えば、酸性又は塩基性物質の付加又は放出により、溶液中で、溶液のpH値の変化を平らにすることができる物質を意味する。
「CH2-ドメイン」という用語は、ほぼEU位置231からEU位置340(KabatによるEUナンバリングシステム)に向かって伸びる抗体重鎖ポリペプチドの部分を意味する。一実施態様では、CH2ドメインは、配列番号05:
Figure 0007032490000001

のアミノ酸配列を有する。
「CH3-ドメイン」という用語は、ほぼEU位置341からEU位置446に向かって伸びる抗体重鎖ポリペプチドの部分を意味する。一実施態様では、CH3ドメインは、配列番号06:
Figure 0007032490000002

のアミノ酸配列を有する。
抗体の「クラス」は、その重鎖により保持されている定常ドメイン又は定常領域の種類を指す。抗体には、5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMが存在する。これらの幾つかは、更に、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA、及びIgAに分類することができる。種々のクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。
作用剤、例えば、医薬製剤の「有効量」は、所望の治療的又は予防的結果を達成するのに必要な用量及び期間において有効な量を指す。
「Fc融合ポリペプチド」という用語は、結合ドメイン(例えば、抗原結合ドメイン、例えば、一本鎖抗体又はポリペプチド、例えば、レセプターのリガンド)と、所望のターゲット-及び/又はプロテインA及び/又はFcRn結合活性を示す抗体Fc領域との融合物を意味する。
「ヒト起源のFc領域」という用語は、ヒンジ領域、CH2ドメイン、及びCH3ドメインの内の少なくとも一部を含有する、ヒト起源の免疫グロブリン重鎖のC末端領域を意味する。一実施態様では、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226又はPro230から、重鎖のカルボキシル末端に向かって伸びる。一実施態様では、Fc領域は、配列番号07のアミノ酸配列を有する。ただし、Fc領域のC末端リシン(Lys447)は、存在してもよいし、又は、存在しなくてもよい。本明細書において特に断らない限り、Fc領域又は定常領域中のアミノ酸残基のナンバリングは、Kabat, E.A., et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991), NIH Publication 91 3242に記載され、EUインデックスとも呼ばれる、EUナンバリングシステムに従う。Fc領域は、2つの重鎖Fc領域ポリペプチドから構成される。このポリペプチドは、ポリペプチド間ジスルフィド結合を形成するヒンジ領域のシステイン残基を介して、互いに共有結合することができる。
「FcRn」という用語は、ヒト新生児Fcレセプターを意味する。FcRnは、リボソーム分解経路からIgGを救助するのに機能し、低下したクリアランス及び伸長した半減期をもたらす。FcRnは、2つのポリペプチド:50kDa クラスI主要組織適合性複合体様タンパク質(α-FcRn)と、15kDa β2-ミクログロブリン(β2m)とからなるヘテロ二量体タンパク質である。FcRnは、IgGのFc領域のCH2-CH3部分に、高い親和性で結合する。IgGとFcRnとの間の相互作用は、厳密にpH依存性であり、1つのIgGがその2つの重鎖を介して2つのFcRn分子に結合する、1:2の化学量論で生じる(Huber, A.H., et al., J. Mol. Biol. 230 (1993) 1077-1083)。FcRn結合は、エンドソーム中において、酸性pH(pH<6.5)で生じ、IgGが、中性の細胞表面(約7.4のpH)で放出される。この相互作用のpH感受性は、エンドソームの酸性環境内でレセプターに結合することにより、細胞中に飲作用されたIgGを細胞内分解からFcRn媒介性保護するのを促進する。ついで、FcRnは、細胞表面へのIgGのリサイクリングを促進し、その結果、細胞外の中性pH環境へのFcRn-IgG複合体の露出によって、血流に放出する。
「Fc領域のFcRn結合部分」という用語は、ほぼEU位置243からEU位置261に向かって、ならびに、ほぼEU位置275からEU位置293に向かって、ならびに、ほぼEU位置302からEU位置319に向かって、ならびに、ほぼEU位置336からEU位置348に向かって、ならびに、ほぼEU位置367からEU位置393及びEU位置408に向かって、ならびに、ほぼEU位置424からEU位置440に向かって伸びる抗体重鎖ポリペプチドの部分を意味する。一実施態様では、KabatのEUナンバリングによる1つ以上の下記アミノ酸残基が改変される。
Figure 0007032490000003
「全長抗体」という用語は、ネイティブな抗体構造と実質的に同様の構造を有する抗体を意味する。全長抗体は、軽鎖可変ドメイン及び軽鎖定常ドメインを含む2つの全長抗体軽鎖と、重鎖可変ドメイン、第1の定常ドメイン、ヒンジ領域、第2の定常ドメイン、及び第3の定常ドメインを含む2つの全長抗体重鎖とを含む。全長抗体は、更なるドメイン、例えば、全長抗体の1つ以上の鎖にコンジュゲーションした、更なるscFv又はscFabを含んでもよい。これらのコンジュゲートも、全長抗体という用語に包含される。
「ヒンジ領域」という用語は、例えば、KabatのEUナンバリングシステムによる約216位から約230位に向かう、CH1ドメインとCH2ドメインとを結合する抗体重鎖ポリペプチドの部分を意味する。一実施態様では、ヒンジ領域は、KabatのEUナンバリングシステムによる残基221~230を含む短縮化ヒンジ領域である。ヒンジ領域は、通常、同一のアミノ酸配列を有する2つのポリペプチドからなる二量体分子である。ヒンジ領域は、一般的には、約25個のアミノ酸残基を含み、抗原結合領域を独立して動かせるようにフレキシブルである。ヒンジ領域は、3つのドメイン:上部、中央、及び下部ヒンジドメインに細分することができる(Roux, et al., J. Immunol. 161 (1998) 4083)。
「ホスト細胞」、「ホスト細胞株」、及び「ホスト細胞培養物」という用語は、互換的に使用され、外来性核酸が導入されている細胞を指し、このような細胞の子孫を含む。ホスト細胞は、「トランスフォーマント」及び「トランスフォーメーションされた細胞」を含む。「トランスフォーマント」及び「トランスフォーメーションされた細胞」は、初代のトランスフォーメーションされた細胞、及び継代回数に関わらずそれらから得られた子孫を含む。子孫は、親細胞に対して核酸含量が完全に同一でなくてもよく、突然変異を含有してもよい。元々トランスフォーメーションされた細胞についてスクリーニング又は選択されたのと同じ機能又は生物学的活性を有する突然変異子孫は、本明細書に含まれる。
「から得られた」という用語は、アミノ酸配列が、少なくとも1つの位置に改変を導入することにより、親アミノ酸配列から得られることを意味する。このため、得られたアミノ酸配列は、対応する親アミノ酸配列とは、少なくとも1つの対応する位置(抗体Fc領域についてのKabat EUインデックスによるナンバリング)において異なる。一実施態様では、親アミノ酸配列から得られたアミノ酸配列は、対応する位置において、1~15個のアミノ酸残基により異なる。一実施態様では、親アミノ酸配列から得られたアミノ酸配列は、対応する位置において、1~10個のアミノ酸残基により異なる。一実施態様では、親アミノ酸配列から得られたアミノ酸配列は、対応する位置において、1~6個のアミノ酸残基により異なる。同様に、得られたアミノ酸配列は、その親アミノ酸配列に対して、高いアミノ酸配列同一性を有する。一実施態様では、親アミノ酸配列から得られたアミノ酸配列は、80%以上のアミノ酸配列同一性を有する。一実施態様では、親アミノ酸配列から得られたアミノ酸配列は、90%以上のアミノ酸配列同一性を有する。一実施態様では、親アミノ酸配列から得られたアミノ酸配列は、95%以上のアミノ酸配列同一性を有する。
「ヒトFc領域ポリペプチド」という用語は、「ネイティブ」又は「野生型」のヒトFc領域ポリペプチドと同一のアミノ酸配列を意味する。「変異(ヒト)Fc領域ポリペプチド」という用語は、少なくとも1つの「アミノ酸改変」により、「ネイティブ」又は「野生型」のヒトFc領域ポリペプチドから得られたアミノ酸配列を意味する。「ヒトFc領域」は、2つのヒトFc領域ポリペプチドからなる。「変異(ヒト)Fc領域」は、2つのFc領域ポリペプチドからなり、両方とも、変異(ヒト)Fc領域ポリペプチドであることができ、又は、一方がヒトFc領域ポリペプチドであり、他方が変異(ヒト)Fc領域ポリペプチドである。
一実施態様では、ヒトFc領域ポリペプチドは、配列番号07のヒトIgG1Fc領域ポリペプチド、又は、配列番号08のヒトIgG2Fc領域ポリペプチド、又は、配列番号09のヒトIgG3Fc領域ポリペプチド、又は、配列番号10のヒトIgG4Fc領域ポリペプチドのアミノ酸配列を有する。一実施態様では、Fc領域ポリペプチドは、配列番号07又は08又は09又は10のFc領域ポリペプチドから得られ、配列番号07又は08又は09又は10のFc領域ポリペプチドと比較して、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を有する。一実施態様では、Fc領域ポリペプチドは、約1~約10個のアミノ酸突然変異、及び一実施態様では、約1~約5個のアミノ酸突然変異を含む/有する。一実施態様では、Fc領域ポリペプチドは、配列番号07又は08又は09又は10のヒトFc領域ポリペプチドに対して、少なくとも約80%の相同性を有する。一実施態様では、Fc領域ポリペプチドは、配列番号07又は08又は09又は10のヒトFc領域ポリペプチドに対して、少なくとも約90%の相同性を有する。一実施態様では、Fc領域ポリペプチドは、配列番号07又は08又は09又は10のヒトFc領域ポリペプチドに対して、少なくとも約95%の相同性を有する。
配列番号07又は08又は09又は10のヒトFc領域ポリペプチドから得られたFc領域ポリペプチドは、含有されるアミノ酸改変により定義される。このため、例えば、P329Gという用語は、配列番号07又は08又は09又は10のヒトFc領域ポリペプチドに対して、アミノ酸位置329において、プロリンからグリシンへの突然変異を有する、Fc領域ポリペプチド由来ヒトFc領域ポリペプチドを意味する。
本発明で検討された全ての重鎖位置について、ナンバリングは、EUインデックスに従う。EUインデックス又はKabatにおけるEUインデックス又はKabat EUインデックス又はEUナンバリングスキームは、抗体のEUナンバリングを指す(Edelman, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 63 (1969) 78-85、同文献は、その全体が参照により組み入れられる)。軽鎖残基のナンバリングは、Kabat命名法に従う(Kabat, E.A., et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991), NIH Publication 91 3242)。
ヒトIgG1 Fc領域ポリペプチドは、下記アミノ酸配列:
Figure 0007032490000004

を有する。
突然変異L234A、L235Aを有するヒトIgG1 Fc領域由来Fc領域ポリペプチドは、下記アミノ酸配列:
Figure 0007032490000005

を有する。
Y349C、T366S、L368A、及びY407V突然変異を有するヒトIgG1 Fc領域由来Fc領域ポリペプチドは、下記アミノ酸配列:
Figure 0007032490000006

を有する。
S354C、T366W突然変異を有するヒトIgG1 Fc領域由来Fc領域ポリペプチドは、下記アミノ酸配列:
Figure 0007032490000007

を有する。
L234A、L235A突然変異とY349C、T366S、L368A、Y407V突然変異とを有するヒトIgG1 Fc領域由来Fc領域ポリペプチドは、下記アミノ酸配列:
Figure 0007032490000008

を有する。
L234A、L235AとS354C、T366W突然変異とを有するヒトIgG1 Fc領域由来Fc領域ポリペプチドは、下記アミノ酸配列:
Figure 0007032490000009

を有する。
P329G突然変異を有するヒトIgG1 Fc領域由来Fc領域ポリペプチドは、下記アミノ酸配列:
Figure 0007032490000010

を有する。
L234A、L235A突然変異とP329G突然変異とを有するヒトIgG1 Fc領域由来Fc領域ポリペプチドは、下記アミノ酸配列:
Figure 0007032490000011

を有する。
P329G突然変異とY349C、T366S、L368A、Y407V突然変異とを有するヒトIgG1 Fc領域由来Fc領域ポリペプチドは、下記アミノ酸配列:
Figure 0007032490000012

を有する。
P329G突然変異とS354C、T366W突然変異とを有するヒトIgG1 Fc領域由来Fc領域ポリペプチドは、下記アミノ酸配列:
Figure 0007032490000013

を有する。
L234A、L235A、P329GとY349C、T366S、L368A、Y407V突然変異とを有するヒトIgG1 Fc領域由来Fc領域ポリペプチドは、下記アミノ酸配列:
Figure 0007032490000014

を有する。
L234A、L235A、P329G突然変異とS354C、T366W突然変異とを有するヒトIgG1 Fc領域由来Fc領域ポリペプチドは、下記アミノ酸配列:
Figure 0007032490000015

を有する。
ヒトIgG4 Fc領域ポリペプチドは、下記アミノ酸配列:
Figure 0007032490000016

を有する。
S228P及びL235E突然変異を有するヒトIgG1 Fc領域由来Fc領域ポリペプチドは、下記アミノ酸配列:
Figure 0007032490000017

を有する。
S228P、L235E突然変異とP329G突然変異とを有するヒトIgG1 Fc領域由来Fc領域ポリペプチドは、下記アミノ酸配列:
Figure 0007032490000018

を有する。
S354C、T366W突然変異を有するヒトIgG1 Fc領域由来Fc領域ポリペプチドは、下記アミノ酸配列:
Figure 0007032490000019

を有する。
Y349C、T366S、L368A、Y407V突然変異を有するヒトIgG1 Fc領域由来Fc領域ポリペプチドは、下記アミノ酸配列:
Figure 0007032490000020

を有する。
S228P、L235EとS354C、T366W突然変異とを有するヒトIgG1 Fc領域由来Fc領域ポリペプチドは、下記アミノ酸配列:
Figure 0007032490000021

を有する。
S228P、L235EとY349C、T366S、L368A、Y407V突然変異とを有するヒトIgG1 Fc領域由来Fc領域ポリペプチドは、下記アミノ酸配列:
Figure 0007032490000022

を有する。
P329G突然変異を有するヒトIgG1 Fc領域由来Fc領域ポリペプチドは、下記アミノ酸配列:
Figure 0007032490000023

を有する。
P329GとY349C、T366S、L368A、Y407V突然変異とを有するヒトIgG1 Fc領域由来Fc領域ポリペプチドは、下記アミノ酸配列:
Figure 0007032490000024

を有する。
P329GとS354C、T366W突然変異とを有するヒトIgG1 Fc領域由来Fc領域ポリペプチドは、下記アミノ酸配列:
Figure 0007032490000025

を有する。
S228P、L235E、P329GとY349C、T366S、L368A、Y407V突然変異とを有するヒトIgG1 Fc領域由来Fc領域ポリペプチドは、下記アミノ酸配列:
Figure 0007032490000026

を有する。
S228P、L235E、P329GとS354C、T366W突然変異とを有するヒトIgG1 Fc領域由来Fc領域ポリペプチドは、下記アミノ酸配列:
Figure 0007032490000027

を有する。
種々のヒトFc領域のアライメントを、以下に示す(EUナンバリング)。
Figure 0007032490000028
「ヒト化」抗体は、非ヒトHVR由来のアミノ酸残基とヒトFR由来のアミノ酸残基とを含むキメラ抗体を指す。特定の実施態様では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むであろうし、この場合、全て又は実質的に全てのHVR(例えば、CDR)は、非ヒト抗体のHVRに対応し、全て又は実質的に全てのFRは、ヒト抗体のFRに対応する。ヒト化抗体は、場合により、ヒト抗体から得られた抗体定常領域の少なくとも一部を含んでもよい。抗体、例えば、非ヒト抗体の「ヒト化型」は、ヒト化を受けている抗体を指す。
「個体」又は「対象」は、哺乳類である。哺乳類は、飼育動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、及びウマ)、霊長類(例えば、ヒト及び非ヒト霊長類、例えば、サル)、ウサギ、ならびにげっ歯類(例えば、マウス及びラット)を含むが、これらに限定されない。特定の実施態様では、個体又は対象は、ヒトである。
「単離された」抗体は、その天然の環境中での成分から分離されている抗体である。一部の実施態様では、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)又はクロマトグラフィー(例えば、サイズ排除クロマトグラフィー又はイオン交換もしくは逆相HPLC)により決定された場合、95%又は99%超の純度に精製される。抗体純度を評価する方法のレビューについては、例えば、Flatman, S. et al., J. Chrom. B 848 (2007) 79-87を参照のこと。
「単離された」核酸は、その天然の環境中での成分から分離されている核酸分子を指す。単離された核酸は、通常核酸分子を含有するが、核酸分子が、染色体外又はその天然の染色***置とは異なる染色***置に存在する、細胞に含有される核酸分子を含む。
本明細書で使用する場合、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体集団から得られた抗体を指す。すなわち、該集団を含む個々の抗体は、例えば、自然発生的突然変異を含有し、又は、モノクローナル抗体調製物の生成中に生じる、可能性のある変異抗体を除いて、同一であり、及び/又は、同じエピトープに結合する。このような変異体は、一般的には、少量存在する。ポリクローナル抗体調製物が、典型的には、種々の決定因子(エピトープ)に対する種々の抗体を含むのとは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の1つの決定因子に対する。このため、「モノクローナル」という修飾語は、抗体の実質的に均一な集団から得られた抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の生成を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、本発明に使用されるモノクローナル抗体は、各種の技術により調製することができる。同技術は、ハイブリドーマ法、リコンビナントDNA法、ファージ-ディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリンローカスの全部又は一部を含有するトランスジェニック動物を利用する方法を含むが、これらに限定されない。このような方法及びモノクローナル抗体を調製する他の例示的な方法は、本明細書に記載されている。
「ネイティブな抗体」は、可変性の構造を有する天然の免疫グロブリン分子を指す。例えば、ネイティブなIgG抗体は、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質であり、2つの同一の軽鎖と2つの同一の重鎖から構成される。同重鎖は、ジスルフィド結合している。N末端からC末端に向かって、各重鎖は、可変重鎖ドメイン又は重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)、続けて、3つの定常ドメイン(CH1、CH2、及びCH3)を有する。同様に、N末端からC末端に向かって、各軽鎖は、可変軽鎖ドメイン又は軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)、続けて、定常軽鎖(CL)ドメインを有する。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2種類の内の一方に割り当てることができる。
「負の線形pH勾配」という用語は、高い(すなわち、中性又はアルカリ性)pH値から開始して、より低い(すなわち、中性又は酸性)pH値で終了するpH勾配を意味する。一実施態様では、負の線形pH勾配は、約8.8のpH値で開始し、約5.5のpH値で終了する。
「非天然アミノ酸残基」という用語は、上記列記された天然アミノ酸残基以外のアミノ酸残基を意味し、ポリペプチド鎖中で、隣接するアミノ酸残基に共有結合することができる。非天然アミノ酸残基の例は、ノルロイシン、オルニチン、ノルバリン、ホモセリンである。更なる例は、Ellman, et al., Meth. Enzym. 202 (1991) 301-336に列記されている。非天然アミノ酸残基を合成する例示的な方法は、例えば、Noren, et al., Science 244 (1989) 182及び上記Ellman et al.に報告されている。
「医薬製剤」という用語は、活性成分の生物学的活性が有効であるように含有されており、該製剤が投与されるであろう対象に対して許容できない毒性を示す更なる成分を含有していない形態にある調製物を指す。
「薬学的に許容し得る担体」は、対象に対して非毒性である活性成分以外の医薬製剤中の成分を指す。薬学的に許容し得る担体は、バッファー、賦形剤、安定剤、又は保存剤を含むが、これらに限定されない。
本明細書で使用する場合、「プラスミド」という用語は、連結される別の核酸を伝播可能な核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造体としてのプラスミドと、導入されているホスト細胞のゲノム内に組み込まれているプラスミドとを含む。特定のプラスミドは、操作可能に連結している核酸の発現を指示することができる。本明細書において、このようなプラスミドは、「発現プラスミド」と呼ばれる。
「正の線形pH勾配」という用語は、低い(すなわち、より酸性)pH値で開始して、より高い(すなわち、ほぼ酸性でない、中性、又はアルカリ性)pH値で終了するpH勾配を意味する。一実施態様では、正の線形pH勾配は、約5.5のpH値で開始し、約8.8のpH値で終了する。
本明細書で使用する場合、「リコンビナント抗体」という用語は、リコンビナント手段により、調製、発現、作製、又は単離される全ての抗体(キメラ、ヒト化、及びヒト)を意味する。リコンビナント抗体は、ホスト細胞、例えば、NS0もしくはCHO細胞、又は、ホスト細胞内にトランスフェクションされたリコンビナント発現プラスミドを使用して発現されるヒト免疫グロブリン遺伝子又は抗体についてトランスジェニックな動物(例えば、マウス)から単離された抗体を含む。このようなリコンビナント抗体は、再配置された状態で、可変領域及び定常領域を有する。本明細書で報告されたリコンビナント抗体は、in vivoでの体細胞超突然変異に供することができる。このため、リコンビナント抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系VH及びVL配列から得られ、同配列に関するが、in vivoでのヒト抗体生殖系レパートリー内には天然に存在しない場合がある配列である。
「固体相」は、非流体物質を意味し、ポリマー、金属(常磁性、強磁性粒子)、ガラス、及びセラミック等の材料から形成された粒子(微小粒子及びビーズを含む);ゲル状物質、例えば、シリカ、アルミナ、及びポリマーゲル;キャピラリー(ポリマー、金属、ガラス、及び/又はセラミックで形成することができる);ゼオライト及び他の多孔性物質;電極;マイクロタイタープレート;固体ストリップ;ならびにキュベット、チューブ、又は他の分光計サンプル容器を含む。アッセイ法における固体相成分は、不活性な固体表面とは区別される。その場合、「固体支持体」は、その表面の少なくとも1つの部分を含有する。同部分は、分子と化学的に相互作用することを意図している。固体相は、定常部品、例えば、チップ、チューブ、ストリップ、キュベット、もしくはマイクロタイタープレートでもよく、又は、非定常部品、例えば、ビーズもしくは微小粒子でもよい。微小粒子は、均一なアッセイフォーマットのための固体支持体としても使用することができる。タンパク質及び他の物質の非共有又は共有付着の両方を可能にする各種の微小粒子を使用することができる。このような粒子は、ポリマー粒子、例えば、ポリスチレン及びポリ(メチルメタクリラート);金粒子、例えば、金ナノ粒子及び金コロイド;ならびにセラミック粒子、例えば、シリカ、ガラス;ならびに金属酸化物粒子を含む。例えば、Martin, C.R., et al., Analytical Chemistry-News & Features, May 1 (1998) 322A-327Aを参照のこと。同文献は、参照により本明細書に組み入れられる。一実施態様では、固体支持体は、セファロースである。
「実質的に同じ」という用語は、2つの値、例えば、2種類の異なる抗体のFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの保持時間が、互いに5%以内であること、すなわち、5%未満で異なることを意味する。例えば、80分の第1の保持時間と84分の第2の保持時間とは、実質的に同じである。一方、80分の保持時間と85分の保持時間とは、実質的に同じではなく、これらの保持時間は異なる。一実施態様では、実質的に同じは、2つの値が、互いに3.5%以内であること、すなわち、3.5%以下で異なることを意味する。一実施態様では、実質的に同じは、2つの値が、互いに2.5%以内であること、すなわち、2.5%以下で異なることを意味する。2つの値の内の小さい方は、この計算の基礎となる。
本明細書で使用する場合、「処置」(及び、その文法上の変形、例えば、「処置する」又は「処置すること」)は、処置される個体の自然経過を変える試みにおける臨床的介在を指し、予防のため、又は、臨床病理の進行中のいずれかで行うことができる。処置の望ましい効果は、疾患の発生又は再発を予防すること、兆候の緩和、疾患の直接又は間接的の病理進行のいずれかの除去、転移の予防、疾患進行速度の減速、疾患状態の緩和又は軽減、ならびに寛解又は改善された予後を含む。一部の実施態様では、本明細書で報告された抗体又はFc領域融合ポリペプチドは、疾患の発生を遅延させ、又は、疾患の進行を遅らせるのに使用される。
本願内で使用する場合、「価」という用語は、(抗体)分子中の特定数の結合部位の存在を意味する。なお、「二価」、「四価」、及び「六価」という用語はそれぞれ、(抗体)分子中の、2つの結合部位、4つの結合部位、及び6つの結合部位の存在を意味する。好ましい一実施態様において、本明細書で報告される二重特異性抗体は、「二価」である。
「可変領域」又は「可変ドメイン」という用語は、抗体のその抗原への結合に関与する抗体重鎖又は軽鎖のドメインを指す。抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれ、VH及びVL)は、概ね同様の構造を有する。各ドメインは、4つのフレームワーク領域(FR)と、3つの超可変領域(HVR)とを含む(例えば、Kindt, T.J. et al. Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., N.Y. (2007), page 91を参照のこと)。抗原結合特異性を付与するには、1つのVH又はVLドメインで十分であることができる。更に、特定の抗原に結合する抗体は、抗原に結合する抗体由来のVH又はVLドメインを使用し、相補なVL又はVHドメインそれぞれのライブラリをスクリーニングして、単離することができる。例えば、Portolano, S. et al., J. Immunol. 150 (1993) 880-887; Clackson, T. et al., Nature 352 (1991) 624-628を参照のこと。
「変異体」、「改変抗体」、及び「改変融合ポリペプチド」という用語は、親分子のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を有する分子を意味する。典型的には、このような分子は、1つ以上の変化、挿入、又は欠失を有する。一実施態様では、改変抗体又は改変融合ポリペプチドは、天然由来でないFc領域の少なくとも一部を含むアミノ酸配列を含む。このような分子は、親抗体又は親融合ポリペプチドに対して、100%未満の配列同一性を有する。一実施態様では、変異抗体又は変異融合ポリペプチドは、親抗体又は親融合ポリペプチドのアミノ酸配列に対して、約75%~100%未満、特に、約80%~100%未満、特に、約85%~100%未満、特に、約90%~100%未満、及び特に、約95%~100%未満のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。一実施態様では、親抗体又は親融合ポリペプチドと、変異抗体又は変異融合ポリペプチドとは、1つ(単独)、2つ、又は3つのアミノ酸残基で異なる。
II.本明細書に報告された方法
本発明は、少なくとも一部において、Fvドメイン中の電荷分布が抗体-FcRn結合性に影響を及ぼし、抗体とFcRnとの間の更なる相互作用をもたらすという発見に基づいている。これは、特にpH7.4での抗体-FcRn複合体の解離に関するFcRn結合特性を変化させることにより、抗体のFcRn依存性終末相半減期を短縮する。
a)新生児Fcレセプター(FcRn)
新生児Fcレセプター(FcRn)は、in vivoにおけるIgGクラスの抗体の代謝運命に重要である。FcRnは、リボソーム分解経路から野生型IgGを救助するのに機能し、低下したクリアランス及び伸長した半減期をもたらす。FcRnは、2つのポリペプチド:50kDa クラスI主要組織適合性複合体様タンパク質(α-FcRn)と、15kDa β2-ミクログロブリン(β2m)とからなるヘテロ二量体タンパク質である。FcRnは、クラスIgGの抗体の、Fc領域のCH2-CH3部分に、高い親和性で結合する。クラスIgGの抗体とFcRnとの間の相互作用は、pH依存性であり、1:2の化学量論で生じる。すなわち、1つのIgG抗体分子が、その2つの重鎖Fc領域ポリペプチドを介して、2つのFcRn分子に相互作用することができる(例えば、[16]を参照のこと)。
このため、in vitroでのIgG FcRn結合特性/特徴は、血液循環中でのそのin vivo薬物動態特性を示している。
FcRnとIgGクラスの抗体の、Fc領域との間の相互作用には、重鎖CH2ドメイン及びCH3ドメインの種々のアミノ酸残基が関与している。FcRnと相互作用するアミノ酸残基は、ほぼEU位置243とEU位置261との間、ほぼEU位置275とEU位置293との間、ほぼEU位置302とEU位置319との間、ほぼEU位置336とEU位置348との間、ほぼEU位置367とEU位置393との間、EU位置408及び、ほぼEU位置424とEU位置440との間に位置している。より具体的には、KabatのEUナンバリングによる下記アミノ酸残基が、Fc領域とFcRnとの間の相互作用に関与している。
Figure 0007032490000029
部位特異的突然変異誘発研究から、FcRnに対するIgGのFc領域中の重要な結合部位は、ヒスチジン310、ヒスチジン435、及びイソロイシン253であり、より少ない程度で、ヒスチジン433及びチロシン436であることが証明されている(例えば、Kim, J.K., et al., Eur. J. Immunol. 29 (1999) 2819-2825;Raghavan, M., et al., Biochem. 34 (1995) 14649-146579;Medesan, C., et al., J Immunol. 158 (1997) 2211-2217を参照のこと)。
FcRnに対するIgG結合性を向上させる方法は、IgGを種々のアミノ酸残基:スレオニン250、メチオニン252、セリン254、スレオニン256、スレオニン307、グルタミン酸380、メチオニン428、ヒスチジン433、及びアスパラギン434で突然変異させることにより行われてきた(Kuo, T.T., et al., J. Clin. Immunol. 30 (2010) 777-789を参照のこと)。
一部の場合では、血液循環中での短い半減期を有する抗体が望ましい。例えば、硝子体内適用の薬剤は、眼における長い半減期と、患者の循環における短い半減期を有するべきである。このような抗体は、疾患部位、例えば、眼における向上した曝露の利点も有する。
FcRn結合性とそれに関する血液循環中での半減期に影響を及ぼす種々の突然変異が公知である。マウスFc-マウスFcRn相互作用に重要なFc領域残基は、部位特異的突然変異誘発により特定されている(例えば、Dall’Acqua, W.F., et al. J. Immunol 169 (2002) 5171-5180を参照のこと)。残基I253、H310、H433、N434、及びH435(KabatによるEUナンバリング)は、この相互作用に関与している(Medesan, C., et al., Eur. J. Immunol. 26 (1996) 2533-2536;Firan, M., et al., Int. Immunol. 13 (2001) 993-1002;Kim, J.K., et al., Eur. J. Immunol. 24 (1994) 542-548)。残基I253、H310、及びH435は、ヒトFcとマウスFcRnとの相互作用に重要であることが見出された(Kim, J.K., et al., Eur. J. Immunol. 29 (1999) 2819-2825)。残基M252Y、S254T、T256Eは、タンパク質-タンパク質相互作用研究により、FcRn結合性を改善させることが、Dall‘Acqua et al.により記載されている(Dall'Acqua, W.F., et al. J. Biol. Chem. 281(2006) 23514-23524)。ヒトFc-ヒトFcRn複合体の研究から、残基I253、S254、H435、及びY436は、この相互作用に重要であることが示されている(Firan, M., et al., Int. Immunol. 13 (2001) 993-1002;Shields, R.L., et al., J. Biol. Chem. 276 (2001) 6591-6604)。Yeung, Y.A., et al.(J. Immunol. 182 (2009) 7667-7671)には、残基248~259及び301~317及び376~382及び424~437の種々の突然変異体が報告され、試験されている。例示的な突然変異体及びFcRn結合性におけるその効果を、下記表1に列記する。
Figure 0007032490000030
Figure 0007032490000031
Figure 0007032490000032
Figure 0007032490000033
Figure 0007032490000034
Fvドメイン中の電荷分布が、抗体-FcRn結合性に影響を及ぼし、抗体とFcRnとの間の更なる相互作用をもたらすことができることが見出された。これは、特にpH7.4での抗体-FcRn複合体の解離に関するFcRn結合特性を変化させることにより、抗体のFcRn依存性終末相半減期に影響を及ぼす(短縮する)。
ヒト新生児Fcレセプター(FcRn)は、IgG異化に重要な役割を果たす。in vitroでのIgG FcRn結合特性/特徴は、そのin vivo薬物動態特性を示している。このようなin vitro法は、繰り返しのin vivo研究を避けること(動物実験、時間、及び費用の削減)ができるため、抗体開発において非常に価値があるであろう。
IgG-FcRn相互作用は、プラズモン表面共鳴(SPR)アッセイ法を使用して分析することができる(Wang, W., et al., Drug Metab. Disp. 39 (2011) 1469-1477;Datta-Mannan, A., et al., Drug Metab. Disp. 40 (2012) 1545-1555;Vaughn, D.E. and Bjorkman, P.J., Biochemistry 36 (1997) 9374-9380;Raghavan, M., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92 (1995) 11200-11204;Martin, W.L. and Bjorkman, P.J., Biochemistry 38 (1999) 12639-12647)。
熱量及び非対称流れ場流動分別法も、FcRnに対するIgG結合親和性を評価するのに記載されている(Huber, A.H., et al., J. Mol. Biol. 230 (1993) 1077-1083;Pollastrini, J., et al., Anal. Biochem. 414 (2011) 88-98)。
複合体アッセイ法に加えて、SPRにより決定されるin vitroでのFcRn結合パラメータとin vivoでの抗体の血清半減期との間の相関を調査する幾つかの研究は、これまで、改善された結合反応条件及び適切なモデリングにも関わらず、このような相関を説明できていない(Gurbaxani, B., et al., Mol. Immunol. 43 (2006) 1462-1473;Gurbaxani, B.M. and Morrison, S.L., Mol. Immunol. 43 (2006) 1379-1389;Gurbaxani, B., Clin. Immunol. 122 (2007) 121-124)。
SPR技術により測定された、pH6及び中性pHでのIgG1のFcRnに対する親和性を改善するためのIgG1のFc領域の操作は、カニクイザルにおいて改善された薬物動態をもたらさなかった(Yeung, Y.A., et al., J. Immunol. 182 (2009) 7663-7671)。ただし、pH7.4でのFcRnに対する同時の顕著な結合性を伴わずに、pH6において、N434A IgG1変異体におけるFcRn親和性がわずかにのみ向上したことは、霊長類において改善された薬物動態をもたらし、これは、pH7.4でのFcRn放出の重要性を説明している(上記Yeung, Y.A.,を参照のこと)。
例えば、IgG-FcRn相互作用のSPR分析は、サンプルの予測又は予想外の結合特性を示す定性的結果を提供するが、予想外の結合性の原因のヒントも、予想外の結合性を有する抗体量の定量的推測も提供しない。
正の線形勾配溶出を使用するFcRn親和性クロマトグラフィー法は、国際公開公報第2013/120929号に報告されている。
b)FcRn-Fab電荷媒介性相互作用
Fc領域の特定の操作は、Fc領域とFcRnとの間の相互作用を変化させることにより、PKパラメータに影響を及ぼすことが公知であり、特定のPK特性を有する治療抗体を設計するのに使用されてきた[33、34]。
近年、FcRn相互作用におけるFab領域の影響が議論されてきたが、同じ野生型ヒトFc領域配列であるが、Fab領域が異なる抗体の場合に、FcRn親和性において差異を示し、PKが変化した。この相互作用のメカニズムは、不明なままである[23、24]。
FcRn媒介性IgGホメオスタシスに対するFab領域の影響因子を示すために、抗体ペアであるブリアキヌマブ(Ozespa(商標))とウステキヌマブ(Stelara(商標))とを、モデル系として使用した。ブリアキヌマブ及びウステキヌマブは両方とも、完全なヒトモノクローナルIgG1抗体である。ブリアキヌマブ及びウステキヌマブは、インターロイキン12(IL-12)及びインターロイキン23(IL-23)の同じヒトp40-サブユニットに結合し[26]、対応するマウスIL-12及びIL-23に対して交差反応性でない[27、28]。ブリアキヌマブ及びウステキヌマブはそれぞれ、V5のVκ1D生殖系ファミリーである可変重鎖及び軽鎖ドメインを有し、IgG1κ抗体、ならびに、V3のVλ1生殖系ファミリーである可変重鎖及び軽鎖ドメインを有し、IgG1λ抗体である。異なる可変ドメインに加えて、ブリアキヌマブ及びウステキヌマブは、定常ドメイン中の幾つかのアロタイプ特異的アミノ酸において差異を示す(図5を参照のこと)。ただし、これらのアミノ酸残基は、(同じ抗体の)FcRn結合領域の外側であるため、FcRn依存性PKにおいて役割を果たさないと考えることができる[11]。興味深いことに、ウステキヌマブは、22日の(報告された)中央終末相半減期を有する[29]が、一方で、ブリアキヌマブは、8~9日のみの終末相半減期を有する[26、30、31]。
c)電荷分布及びpH依存性の正味電荷
ブリアキヌマブは、7.4の生理学的pHにおいて不均一な電荷分布を示す(例えば、ウステキヌマブの公開されている結晶構造[27]及びブリアキヌマブの相同性モデルを参照のこと)。ブリアキヌマブは、Fvドメイン上に大きな正に電荷した領域を示す(図1aを参照のこと)。この領域は、ウステキヌマブには存在しない(図1bを参照のこと)。更に、FcRnは、強力で、広い負に電荷した領域を有する(図1cを参照のこと)。ただし、この領域は、同じ抗体のFc領域結合性に関与しない。ブリアキヌマブ及びウステキヌマブはそれぞれ、9.7及び9.4の算出等電点を有する。更に、ブリアキヌマブの正味電荷は、pH範囲全体にわたって、わずかにより正である(図1dを参照のこと)。
pH6.0でのブリアキヌマブ及びウステキヌマブのFcRn結合親和性は同等である。すなわち、両方の値は、最大で1桁又は規模、一実施態様では、最大5倍異なる。一方、FcRnからの解離は、非常に異なる。ブリアキヌマブ及びウステキヌマブの変異体を使用して、相互作用は、主に静電的であり、正に荷電した領域(以下を参照のこと)の範囲に相関することを示すことができる。
d)pH依存性FcRn-IgG相互作用
ブリアキヌマブ及びウステキヌマブの10個の変異体が合成され、FcRn親和性クロマトグラフィーにより、そのFcRn結合特性に関して特徴決定されている(表2を参照のこと)。変異体において、可変領域が改変されており、pH6でのFcRn結合親和性及びFcRn解離について、表面プラズモン共鳴(SPR)及びFcRn親和性クロマトグラフィーをそれぞれ使用して試験されている(表3を参照のこと)。
表2:ブリアキヌマブ及びウステキヌマブの体系的に操作された変異体。Fv、LC、及びCDR等の構造部分を、ブリアキヌマブ(明部)とウステキヌマブ(暗部)との間で交換した:mAb1~6。ブリアキヌマブのHC中の3つ及び5つの塩基性アミノ酸をそれぞれ、mAb7及びmAb8のために、(部位特異的突然変異誘発により)アラニン残基に交換した。mAb9は、軽鎖CDR中の3つの塩基性アミノ酸がアラニン残基に交換されたブリアキヌマブである。mAb10は、HC中の5つの塩基性アミノ酸の更なる交換を有するmAb9を表す。1つの塩基性アミノ酸の交換を、円で示し、交換された3つのアミノ酸を、1つの円として描画し、交換された5つのアミノ酸を、2つの円として描画する。
Figure 0007032490000035

Figure 0007032490000036
表3:全ての試験した抗体のFcRn結合親和性及び電荷分布。抗体を、FcRnカラムの保持時間に従って分取する。平衡解離定数Kを、定常状態の親和性として算出し、ウステキヌマブのKに対して正規化した。相対K値(ウステキヌマブ=1)の比較を、平均(n=3)±標準偏差(SD)として表す。pH6.0及びpH7.4でのFvドメインの等電点及び正味電荷を算出した(SaWI-Tools)。FcRnカラムの保持時間は、pH6.0又はpH7.4でのFvドメインの等電点又は正味電荷とは相関しない。
Figure 0007032490000037
pH6でのFcRn結合親和性は、11個全ての抗体について狭い範囲にある(表3を参照のこと)。平衡解離定数(K)を、ウステキヌマブに対して算出した(ウステキヌマブ=1.0)。ブリアキヌマブは、0.2の相対Kを有した。9つの変異体は、ブリアキヌマブとウステキヌマブとの間の範囲にあった。このため、異なるin vivoでの終末相半減期は、pH6.0での異なるFcRn結合性によるものではないということを結論付けることができる。
本明細書で報告された一態様は、下記工程:
a)変異抗体及びその親抗体について、表面プラズモン共鳴を使用して、pH6におけるK値を決定する工程と、
b)高塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの変異抗体及びその親抗体の保持時間を決定する工程とを含み、
これにより、K値が、最大10倍異なり、変異抗体とその親抗体との間の工程b)で決定された保持時間が、実質的に異なる場合、in vivoでの半減期に影響を及ぼす抗体-Fc-FcRn複合体における抗体-Fab-FcRn相互作用の存在が決定される、
抗体のin vivoでの半減期に影響を及ぼす抗体-Fc-FcRn複合体における抗体-Fab-FcRn相互作用の存在を決定する方法である。
本明細書に報告された一態様は、下記工程:
a)変異抗体及びその親抗体について、表面プラズモン共鳴を使用して、pH6におけるK値を決定する工程と、
b)高塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの変異抗体及びその親抗体の保持時間を決定する工程とを含み、
これにより、K値が、最大10倍異なり、変異抗体の工程b)で決定された保持時間が、その親抗体の保持時間より短い/小さい場合、抗体は、その親抗体と比較して相対的に短いin vivoでの半減期を有し、また、これにより、K値が、最大10倍異なり、変異抗体の工程b)で決定された保持時間が、その親抗体の保持時間より長い/大きい場合、抗体は、その親抗体と比較して相対的に長いin vivoでの半減期を有する、
抗体の相対的なin vivoでの半減期を決定する方法である。
本明細書に報告された一態様は、下記工程:
a)変異抗体及びその親抗体について、表面プラズモン共鳴を使用して、pH6におけるK値を決定する工程と、
b)高塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの変異抗体及びその親抗体の保持時間を決定する工程とを含み、
これにより、K値が、最大10倍異なり、変異抗体の工程b)で決定された保持時間が、その親抗体の保持時間より短い/小さい場合、抗体は、その親抗体と比較して短いin vivoでの半減期を有し、また、これにより、K値が、最大10倍異なり、変異抗体の工程b)で決定された保持時間が、その親抗体の保持時間より長い/大きい場合、抗体は、その親抗体と比較して長いin vivoでの半減期を有する、
抗体のin vivoでの半減期の伸長又は短縮を決定する方法である。
12個の抗体の溶出プロファイルを、正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性カラムを使用して分析した(図2を参照のこと)。ウステキヌマブ、及びブリアキヌマブの定常部上にウステキヌマブのFvドメインを有するmAb1は、84分付近の区別できない保持時間を示した。このことは、FvドメインがFcRnとの相互作用に影響を及ぼすことを示している。一方、ブリアキヌマブは、94分の保持時間で溶出したため、ウステキヌマブと比較して明らかに異なる保持時間を有した。ブリアキヌマブのIdeS開裂Fc領域(85.7分)とウステキヌマブ(85.2分)の区別できない保持時間は、Fc領域の役割を無視できることを示した。ウステキヌマブLC(LC=軽鎖、HC=重鎖)及びブリアキヌマブHCを含有するmAb4は、ウステキヌマブに近い保持時間を有した。このことは、FcRn結合におけるLCの影響を示す。
変異抗体mAb5及びmAb6は、ブリアキヌマブのフレームワーク上にウステキヌマブCDR(重鎖及び軽鎖の部分)を有し、及びその逆を有する。ブリアキヌマブ上にウステキヌマブCDRをグラフト化すること(mAb5)により、mAb5の保持時間は、ウステキヌマブの保持時間に近づくようにシフトした。ウステキヌマブ上にブリアキヌマブCDRをグラフト化すること(mAb6)により、ウステキヌマブにもっと近づいた溶出プロファイルが説明/表示された。
ブリアキヌマブからウステキヌマブの方向への強力な保持時間シフトが、軽鎖CDR中の3つの正に電荷した残基をアラニン残基に突然変異させたブリアキヌマブ変異体であるmAb9について観察された。
ブリアキヌマブの重鎖中の3つ及び5つの正に電荷した残基をそれぞれ、mAb7及びmAb8において突然変異させた。これらの変異体では、保持時間は、ブリアキヌマブに対してシフトした。
ウステキヌマブのHC及びブリアキヌマブのLCを含むmAb3と、ウステキヌマブの定常ドメイン上にブリアキヌマブのFvドメインを含有するmAb2とは両方とも、ブリアキヌマブの近くで溶出した。
まとめると、データから、Fvドメインは、FcRn解離に影響を及ぼし、(pH6.0での)FcRn結合に影響を及ぼさないことが示される。
FcRnカラム保持時間を、抗体の等電点及び正味電荷と整列させた。リソソームのpH6.0又は生理学的pH7.4において、FcRnカラム保持時間と、Fvドメインの等電点又は正味電荷との間には、相間を見ることができない(表3を参照のこと)。ただし、測定したFcRnカラム保持時間は、特に、軽鎖可変ドメイン周囲の正に電荷した領域の程度を共に伸長した(図2を参照のこと)。
本明細書で報告された一態様は、
抗体軽鎖中の27、55、及び94位(Kabatによるナンバリング)の荷電アミノ酸残基を、疎水性又は中性の親水性アミノ酸残基に変化させることにより、抗体のin vivoでの半減期を伸長する工程を含む、
抗体のin vivoでの半減期を伸長する方法である。
アミノ酸は、共通する側鎖特性に従って分類することができる:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性で親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向性に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;
(6)芳香族性:Trp、Tyr、Phe。
酸性及び塩基性アミノ酸残基は、荷電したアミノ酸残基のグループにまとめられる。
また、FcRnカラム保持時間を、移動相中の増大したイオン強度での種々の設定において、すなわち、増大した塩濃度の存在下において決定した。電荷媒介性相互作用は、高イオン強度条件下において、弱められるのが公知である。一方、疎水性相互作用は、典型的には、塩により強められる。ブリアキヌマブのFcRnカラム保持時間が塩の存在下で短縮され、電荷スクリーニングのデバイ-ヒュッケル法に示唆されたように、イオン強度の逆平方根に比例したことが見出された[32]。ウステキヌマブの保持時間は、基本的に影響を受けないままであった(図6を参照のこと)。このため、過剰なFcRn-ブリアキヌマブ相互作用の相当な部分が、荷電媒介性である。
上記をまとめると、操作された変異体のFcRn親和性クロマトグラフィーは、同じFvドメインを有する抗体(mAb1及びmAb2)と、同じLCを有する抗体(mAb3及びmAb4)とは、ほぼ同一のFcRnカラム保持時間で溶出することを示した。更に、ブリアキヌマブ上にウステキヌマブCDRをグラフト化すること(mAb5)により、溶出pHは、ウステキヌマブの溶出pHに近づくようにシフトする。このため、軽鎖CDRは、ブリアキヌマブのFcRn結合性に主な影響を提供する。
ウステキヌマブ上にブリアキヌマブCDRをグラフト化すること(mAb6)により、ウステキヌマブにもっと近づいた溶出プロファイルが示された。このため、理論に拘束されるものではないが、抗体-FcRn相互作用は、より小さく正に電荷した領域を形成することによるより、ブリアキヌマブの大きな正に電荷した領域を破壊することにより影響を受ける可能性がある。MDシミュレーション(以下を参照のこと)により示唆されるように、正に電荷したFvドメインとFcRn中の負に電荷した領域との間を直接安定化する相互作用は、容易に実行できる。このため、FcRn-Fv相互作用は、生理学的条件下での、FcRn-IgG複合体の通常より遅い解離をもたらすことができる。
e)ヒトFcRnトランスジェニックマウスにおける薬物動態のFcRn溶出pHとの相関
以前の研究において、抗体と内皮細胞表面上の負に電荷した基との間での静電相互作用に影響を及ぼすことにより、正味電荷が、変化した薬物動態特性のための駆動力となることが議論されてきた[35、36]。例えば、Igawa et al,[37]は、可変領域中の操作によるより低い等電点(pI)を有するIgG4抗体が、より遅い速度の流動相飲作用、続けて、低下した除去速度を有することを観察した。更に、Boswell et al.[38]は、pIの差異が、PKに影響を及ぼす少なくとも1つのユニットに必要であったと提案した。
ブリアキヌマブ、ウステキヌマブ、mAb8、及びmAb9のpIは、9.3~9.7で変動する。したがって、流動相飲作用におけるpIの差異による影響は最小であると仮定することができる。ただし、高イオン強度条件下でのブリアキヌマブのより短いFcRnカラム保持時間(上記を参照のこと)と、MDシミュレーションにおけるウステキヌマブと比較したFcRn-Fv相互作用に対するより高い静電的寄与(以下を参照のこと)とから、特異的に位置した電荷が、FcRn-IgG相互作用における主な影響因子であることができることが示される。Fvドメイン中における電荷の影響を、突然変異させたブリアキヌマブHC中の3つ(mAb7)及び5つ(mAb8)の正に電荷した残基を有する突然変異体と、軽鎖CDR中に突然変異させた3つの正に電荷した残基を有するブリアキヌマブ(mAb9)とを使用して分析した。mAb7及びmAb8は、保持時間が、ウステキヌマブの方向に小さくシフトすることを示す。このことから、電荷媒介性相互作用が確認される。一方、mAb9は、保持時間が、ウステキヌマブの方向に大きくシフトすることを示す。このため、軽鎖CDR中に特異的に位置する電荷は、FcRn解離に強力に影響を及ぼす。
ブリアキヌマブの可変ドメイン中の突然変異させた荷電残基のFcRn結合性における影響がモデュレーションされたin vivoでのPK特性に変換されるかどうかを評価するために、ヒトFcRnトランスジェニックマウスにおけるPK研究を行った。ブリアキヌマブ及びウステキヌマブと共に、ブリアキヌマブとウステキヌマブとの間のFcRnカラム保持時間を有したブリアキヌマブの2つの変異体(mAb8及びmAb9)を試験した。4つの抗体の分布及び除去プロセスは、他のIgG PK研究と一致する(図3aを参照のこと)。ブリアキヌマブは、α-期において、他の抗体より速い減少を示した。興味深いことに、ブリアキヌマブ及びウステキヌマブはそれぞれ、48時間及び137時間の終末相半減期を示した(図3bを参照のこと)。Fvドメイン中により小さい正に電荷した領域を有する変異体mAb8及びmAb9はそれぞれ、78時間及び109時間の終末相半減期を有した。統計学的有意差を、ブリアキヌマブ及びウステキヌマブ、ブリアキヌマブ及びmAb9、ならびにウステキヌマブ及びmAb8の終末相半減期間で検出することができた。ウステキヌマブ、mAb9、mAb8、及びブリアキヌマブはそれぞれ、7.4、7.5、7.7、及び7.9の溶出pHに対応して、84.3、86.2、90.1、及び93.7分で溶出した。このため、4つのIgGの終末相半減期は、in vitroでのFcRnカラム溶出pH値と直線的に相関することが見出された(図3bを参照のこと)。
PK実験において、終末相半減期を試験した。この試験は、FcRnリサイクリングが優勢である排出相において排他的に算出される[39]。4つの抗体の終末相半減期は、in vitroでのFcRnカラム溶出pHと直線的に相関する。FcRnカラム溶出pHが高いほど、終末相半減期がより短いため、このことはFcRnカラムが、in vitroでのFcRn解離のための予測/知覚ツールであることを実証する。終末相半減期とFcRnカラム溶出pHとの間の相関から、生理学的pHでの速いFcRn-IgG解離の重要性が確認される。
理論に拘束されるものではないが、FcRn-IgG複合体は、pH6.0のエンドソーム中で構築されるため、ほとんど結合しない場合には、IgGリサイクリングがほとんどなく、より速いクリアランスがもたらされる。エキソサイト-シスにより、FcRn-IgG複合体は、細胞膜に放出される。この場合、IgGとFcRnとの解離は、7.4の生理学的pHにおいて、短時間に行われる必要がある[40]。その結果、生理学的pHでの解離は、伸長した半減期にも重要である[22、40]。
このため、より高いpH値での解離が、FcRnからのより遅い解離を示すことが見出された。理論に拘束されるものではないが、このことは、血液循環に戻るように抗体を放出する代わりに、リソソーム中での抗体の分解をもたらす。
このため、IgGのFvドメイン中の電荷は、IgGとFcRnとの間の相互作用を変化させることにより、終末相半減期に影響を及ぼすことが見出された。FcRnと相互作用するFabの構造部分が位置しており、相互作用は、荷電媒介性であることが実証された。PK研究から、in vitroでのFcRn-IgG解離とin vivoでの終末相半減期との間の直線的相関が証明された。
f)FcRn-IgGモデルの分子動力学(MD)シミュレーション
ヒトFcRn-Fc複合体の相同性モデルを、公開されているラットFcRn構造をテンプレートとして使用して生成した。ブリアキヌマブ及びウステキヌマブのFvドメインの位置を、完全なIgG1(PDBコード 1HZH)の結晶構造に基づいてモデル化した。これらの相同性モデルは、1つの完全なIgG分子上にFcRn(βmを含むα-FcRn)の2つのコピーを含有する(図4aを参照のこと)。FcRnとFvドメインとの間の距離は、開始構造において40Å超であり、生理学的条件下において、約8Åのデイビー長を超える[32]。FcRn-IgG複合体の動力学を、分子動力学シミュレーションにより、100nsの期間にわたって、顕在する水及び生理学的イオン強度においてシミュレーションした。シミュレーションの経過中に、2つのFab領域の一方が、FcRnの先端に近づき、シミュレーション時間の残りの間この配置で持続した(図4b、c、dを参照のこと)。Fvドメインと相互作用することが見出されたFcRn上の領域は、今までは、IgG結合性に関与するとは説明されていなかった。驚くべきことに、MDシミュレーションにおいて、ブリアキヌマブだけでなくウステキヌマブも、FvとFcRnとが互いに相互作用するコンホーメーションが仮定された(図4b、cを参照のこと)。両複合体において、非対称な開始構造中の2種類の異なるペアのFv及びFcRnドメインが互いに接近したことが見出された。FcRn-Fv相互作用に対する静電的寄与は、ブリアキヌマブにおいて、ウステキヌマブの程度より約2倍高いことが見出された(図4eを参照のこと)。
まとめると、FcRn-IgG複合体のFabアームの固有のフレキシビリティが構造的に、FvドメインとFcRnの先端との直接的な安定化相互作用を可能にすることが見出された。
g)本発明の方法
g.i)種々の塩濃度での正の線形pH勾配による溶出
本明細書において、下記2つの工程:
a)第1の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体の保持時間を決定する工程と、
b)第2の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体の保持時間を決定する工程とを含む、方法が報告されている。
第2の塩濃度は、一般的には、第1の塩濃度より高い/大きい。このため、これらの塩濃度は、ほぼ同一でない。すなわち、これらの濃度は、少なくとも10%、一実施態様では、少なくとも20%異なる。
この方法について、単純なクロマトグラフィー法において、種々の塩濃度の存在下で得られた保持時間を比較することにより(図13を参照のこと)、又は、全長抗体及びそのFc領域の保持時間を比較することにより、抗体-Fc-FcRn複合体における抗体-Fab-FcRn相互作用の存在を決定することができる。これは、抗体-Fab-FcRn相互作用が抗体のin vivoでの半減期に影響を及ぼすため重要である。
抗体/参照抗体ペアについて、FcRn親和性クロマトグラフィーカラムでのその保持時間に関する種々の関係と、そのFcRn相互作用に関する種々の関係とが存在する。
1)抗体及び参照抗体は、工程a)及び工程b)において実質的に同じ保持時間を有する。この場合、両抗体のin vivoでの半減期は、実質的に同じであるべきである。すなわち、in vivoでの半減期は、抗体-Fab-FcRn相互作用により影響を受けない。又は
2)抗体及び参照抗体は、工程a)において実質的に同じ保持時間を有するが、工程b)において異なる保持時間を有する。この場合、抗体のin vivoでの半減期は、参照抗体のin vivoでの半減期より短い。すなわち、in vivoでの半減期は、抗体-Fab-FcRn相互作用により影響を受ける。
本抗体は、親抗体の変異抗体であることができる。この場合、参照抗体は、親抗体である。
一事例では、参照抗体は、IdeS開裂又はパパイン開裂後のそのFc領域と実質的に同じ保持時間を有する抗体である。
今日知られている多様な疾患及び将来証明されるであろう疾患をも処置する治療法を提供するために、テーラーメイド抗体及びFc領域含有ポリペプチドの必要性が存在する。
抗体のFcRn結合特性をテーラーメイドするために、FcRn相互作用に関与する残基を改変し、得られた改変抗体を試験しなければならない。要求される特徴に合致しなければ、同じプロセスを再度行う。
このため、改変抗体における特徴の変化を分析するためのin vivoでの研究を必要としない単純なクロマトグラフィー法に基づいて、改変抗体の特徴的特性の変化を予測する方法を提供するのは有益であろう。
一部の事例では、伸長した半減期を有する抗体が望ましい。例えば、処置を必要とする患者の循環中で伸長した半減期を有する薬剤は、用量を減らす、又は、投与間隔を広げる必要がある。このような抗体は、疾患部位、例えば、腫瘍に対する向上した曝露の利点も有する。
in vivoでの半減期は、FcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの保持時間と相関する。これは、特に、抗体とFcRnとの間の相互作用がほぼ、抗体Fc領域中の残基によってのみ媒介される場合に当てはまる。ただし、抗体Fc領域の外側、例えば、抗体-Fab中の残基も、FcRnと相互作用する場合でも、この相関を、更に確認する必要がある。これは、低塩濃度及び高塩濃度又はインタクトな抗体及びFv領域開裂抗体(=Fc領域)の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィー法における保持時間の変化を利用する、本明細書で報告された方法により行うことができる。保持時間が、低から高に向かう塩濃度の変化、又は、Fc領域の開裂により実質的に影響を受けない場合、抗体-Fab-FcRn相互作用は存在せず、FcRn親和性クロマトグラフィーカラムでのより長い保持時間は、伸長したin vivoでの半減期と相関する。ただし、低から高に向かう塩濃度の変化、又は、Fc領域の開裂により、保持時間が影響を受ける場合、特に、保持時間が短縮される場合、in vivoでの半減期は、FcRn親和性クロマトグラフィーカラムにおける保持時間とは異なって相関する。すなわち、FcRn親和性クロマトグラフィーカラムにおけるより長い保持時間は、生理学的pHでの低下した抗体-FcRn解離、及び、理論に拘束されるものではないが、抗体の向上したリソソーム分解のために、より短いin vivoでの半減期に相関する。
本明細書で使用されるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムは、マトリックスと、マトリックス結合クロマトグラフ官能基とを含む。この場合、このマトリックス結合クロマトグラフ官能基は、新生児Fcレセプター(FcRn)とベータ-2-ミクログロブリンとの非共有複合体を含む。
一般的には、本明細書に報告された方法のための開始点は、FcRnに対するその結合性により特徴付けられた、親又は参照抗体である。
本明細書に報告された一態様は、下記工程:
a)第1の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体の保持時間を決定する工程と、
b)第2の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体の保持時間を決定する工程とを含み、
これにより、工程a)で決定された保持時間と工程b)で決定された保持時間とが実質的に異なる場合、in vivoでの半減期に影響を及ぼす抗体-Fc-FcRn複合体における抗体-Fab-FcRn相互作用の存在が決定される、
in vivoでの半減期に影響を及ぼす抗体-Fc-FcRn複合体における抗体-Fab-FcRn相互作用の存在を決定するための本明細書に報告された方法の使用である。
本明細書に報告された一態様は、下記工程:
a)第1の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体の保持時間を決定する工程と、
b)第2の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体の保持時間を決定する工程とを含み、
これにより、工程a)で決定された保持時間と工程b)で決定された保持時間とが実質的に異なる場合、in vivoでの半減期に影響を及ぼす抗体-Fc-FcRn複合体における抗体-Fab-FcRn相互作用の存在が決定される、
in vivoでの半減期に影響を及ぼす抗体-Fc-FcRn複合体における抗体-Fab-FcRn相互作用の存在を決定する方法である。
変異抗体は、親抗体ポリペプチドと比較した場合、又は、参照抗体と比較した場合、FcRnに対する向上又は低下した結合性のいずれかを示すため、親/参照抗体と比較して、血清中での変化した半減期を有する。
一般的には、FcRnに対する向上した親和性(すなわち、親抗体又は参照抗体と比較して、FcRnカラムにおける伸長した保持時間)を有するFc領域変異体は、まず、FcRnに対する低下した親和性(すなわち、親抗体又は参照抗体と比較して、FcRnカラムにおける短縮した保持時間)を有するものと比較して、より長い血清半減期を有することが予測される。
この予測されたin vivoでの半減期を、その後確認する必要がある。この確認のために、本明細書に報告された方法を使用することができる。
伸長したin vivoでの半減期を有する抗体変異体は、哺乳類、特にヒトを処置する方法における適用を有する。この場合、例えば、慢性疾患又は障害の処置において、投与された抗体の半減期は、長いのが望ましい。
FcRnに対して低下した親和性を有する抗体変異体は、哺乳類、特にヒトを処置する方法における適用を有する。この場合、例えば、in vivoでの画像診断において、投与された抗体又は融合ポリペプチドの半減期は、短いのが望ましい。
低下したFcRn結合親和性を有する抗体変異体は、おそらく胎盤を通過できる可能性が高いため、妊婦における、特に、胎児の疾患又は障害の処置に使用することができる。加えて、低下したFcRn結合親和性は、脳、腎臓、及び/又は肝臓への適用/輸送を意図した薬剤に望ましい場合がある。
本明細書に報告された一態様は、血管系から腎臓の糸球体の上皮を通過する低下した輸送を示す抗体を特定するための、本明細書に報告された方法の使用である。
本明細書に報告された一態様は、脳から血管空間内への血液脳関門を通過する低下した輸送を示す抗体を特定するための、本明細書に報告された方法の使用である。
本明細書に報告された全態様の一実施態様では、FcRnは、ヒトFcRn、カニクイザルFcRn、マウスFcRn、ラットFcRn、ヒツジFcRn、イヌFcRn、ブタFcRn、ミニブタFcRn、及びウサギFcRnから選択される。
本明細書に報告された全態様の一実施態様では、ベータ-2-ミクログロブリンは、FcRnと同じ種由来である。
本明細書に報告された全態様の一実施態様では、ベータ-2-ミクログロブリンは、FcRnとは異なる種由来である。
一実施態様では、親抗体は、少なくとも1つの結合ドメインと、少なくとも1つのFc領域とを含む。一実施態様では、親抗体は、2つの結合ドメインと、2つのFc領域とを含む。
一実施態様では、親抗体は、生物学的作用を媒介し、細胞に対するネガティブ又はポジティブシグナルの伝達を媒介するターゲット(一実施態様では、細胞表面レセプターに結合可能なリガンド又はリガンドに結合可能な細胞表面レセプター)に特異的に結合する少なくとも1つの結合ドメインを含む。一実施態様では、親抗体は、減少又は除去のためにターゲッティングされる抗原(一実施態様では、細胞表面抗原又は可溶性抗原)に特異的な少なくとも1つの結合ドメインと、少なくとも1つのFc領域とを含む。
ターゲットに特異的に結合する抗体は、関連する抗原(例えば、精製抗原、このような抗原を含む細胞もしくは細胞抽出物、又はこのような抗原をコードするDNA)と、場合により、補助剤との複数回の皮下又は腹腔内注入により、哺乳類中に生じさせることができる。
一実施態様では、抗体は、全長抗体である。
一実施態様では、抗体は、モノクローナル抗体である。
一実施態様では、親抗体は、二重特異性抗体である。
一実施態様では、親抗体は、キメラ抗体である。
先の全態様の一実施態様では、pHは、約pH5.5から約pH8.8に向かう勾配である。
一般的には、FcRnの可溶性細胞外ドメイン(ヒトFcRnについて、配列番号33)と、C末端His-Aviタグ(配列番号34)とを、哺乳類の細胞中において、β-ミクログロブリン(ヒトベータ-2-ミクログロブリンについて、配列番号35)と共に共発現させた。非共有FcRn-ミクログロブリン複合体をビオチン化し、ストレプトアビジン誘導体化セファロースにロードした。
本明細書に報告された全態様の一実施態様では、新生児Fcレセプター(FcRn)とベータ-2-ミクログロブリンとの非共有複合体は、固体相に結合している。
一実施態様では、固体相に対する非共有複合体のコンジュゲーションは、N末端及び/又はε-アミノ基(リシン)、種々のリシンのε-アミノ基、カルボキシ-、スルフヒドリル-、ヒドロキシル-、及び/又は抗体のアミノ酸骨格のフェノール性官能基、ならびに/又は、抗体の炭水化物構造の糖アルコール基を介した化学結合により行われる。
一実施態様では、非共有複合体は、特異的結合対を介して、固体相にコンジュゲートする。一実施態様では、非共有複合体は、ビオチンにコンジュゲートし、固体相への固定化は、固体支持体固定化アビジン又はストレプトアビジンを介して行われる。
特異的結合対(第1の成分/第2の成分)は、一実施態様では、ストレプトアビジン又はアビジン/ビオチン、抗体/抗原(例えば、Hermanson, G.T., et al., Bioconjugate Techniques, Academic Press (1996)を参照のこと)、レクチン/多糖類、ステロイド/ステロイド結合タンパク質、ホルモン/ホルモンレセプター、酵素/基質、IgG/プロテインA及び/又はG等から選択される。
原理的に、任意のバッファー物質を、本明細書に報告された方法に使用することができる。
マウスFc-マウスFcRn相互作用に重要なFc残基は、部位特異的突然変異誘発により特定されている(例えば、Dall’Acqua, W.F., et al. J. Immunol 169 (2002) 5171-5180を参照のこと)。残基I253、H310、H433、N434、及びH435(KabatによるEUナンバリング)は、この相互作用に関与する(Medesan, C., et al., Eur. J. Immunol. 26 (1996) 2533;Firan, M., et al., Int. Immunol. 13 (2001) 993;Kim, J.K., et al., Eur. J. Immunol. 24 (1994) 542)。残基I253、H310、及びH435は、ヒトFcとマウスFcRnとの相互作用に重要であることが見出された(Kim, J.K., et al., Eur. J. Immunol. 29 (1999) 2819)。残基M252Y、S254T、T256Eは、タンパク質-タンパク質相互作用研究により、FcRn結合が改善されることが、Dall’Acqua et al.により説明されている(Dall'Acqua, W.F., et al. J. Biol. Chem. 281(2006) 23514-23524)。ヒトFc-ヒトFcRn複合体の研究から、残基I253、S254、H435、及びY436が、この相互作用に重要であることが示されている(Firan, M., et al., Int. Immunol. 13 (2001) 993;Shields, R.L., et al., J. Biol. Chem. 276 (2001) 6591-6604)。Yeung, Y.A., et al.(J. Immunol. 182 (2009) 7667-7671)には、残基248~259及び301~317及び376~382及び424~437の種々の突然変異体が報告され、試験されている。
Figure 0007032490000038
一実施態様では、薬学的に許容し得るバッファー物質、例えば、リン酸又はその塩、酢酸又はその塩、クエン酸又はその塩、モルホリン又はその塩、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)又はその塩、ヒスチジン又はその塩、グリシン又はその塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)又はその塩、(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)又はその塩が使用される。
一実施態様では、バッファー物質は、リン酸もしくはその塩、又は、酢酸もしくはその塩、又は、クエン酸もしくはその塩、又は、ヒスチジンもしくはその塩から選択される。
一実施態様では、バッファー物質は、10mM~500mMの濃度を有する。一実施態様では、バッファー物質は、10mM~300mMの濃度を有する。一実施態様では、バッファー物質は、10mM~250mMの濃度を有する。一実施態様では、バッファー物質は、10mM~100mMの濃度を有する。一実施態様では、バッファー物質は、15mM~50mMの濃度を有する。一実施態様では、バッファー物質は、約20mMの濃度を有する。
正の線形pH勾配のための例示的な開始溶液は、一実施態様では、pH5.5に調整された、20mM MES及び140mM NaClを含む。
正の線形pH勾配のための例示的な終了溶液は、一実施態様では、pH8.8に調整された、20mM TRIS及び140mM NaClを含む。
勾配中に、開始溶液と終了溶液との混合物が、FcRn親和性クロマトグラフィーカラムにアプライされる。これにより、正の線形勾配は、100% 開始溶液(すなわち、純粋な開始溶液)で開始して、その後、開始溶液の割合が、100%から0%に減少し、終了溶液の割合が、0%から100%に増加する。これにより、正の線形pH勾配後に、100% 終了溶液を、カラムにアプライする。
一実施態様では、開始溶液と終了溶液は、更なる塩を含む。一実施態様では、更なる塩は、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、クエン酸ナトリウム、又はクエン酸カリウムから選択される。一実施態様では、該溶液は、50mM~1000mM 更なる塩を含む。一実施態様では、該溶液は、50mM~750mM 更なる塩を含む。一実施態様では、該溶液は、50mM~500mM 更なる塩を含む。一実施態様では、該溶液は、50mM~750mM 更なる塩を含む。一実施態様では、該溶液は、約140mM~約400mM 更なる塩を含む。
一実施態様では、開始溶液と終了溶液は、塩化ナトリウムを含む。一実施態様では、開始溶液と終了溶液は、約140mM~約400mM 塩化ナトリウムを含む。
ある種の塩及びバッファー物質が、保持時間及び分解能に影響を及ぼすことが見出された。抗体をFcRnに結合させるのに最適な塩濃度を決定することができる(140mM NaCl)。塩濃度がより高い(400mM)場合、FcRnに対する結合性は、溶液のイオン強度の増大による、電荷相互作用による干渉のために低下し、より短い保持時間が得られる。
このため、本明細書に報告された方法において、工程a)及び工程b)に使用される溶液と、工程a)及び工程b)に適用される勾配と、工程a)及び工程b)におけるカラムのローディングと、工程a)及び工程b)におけるカラム寸法及びFcRn親和性クロマトグラフィー材料の量と、工程a)及び工程b)におけるFcRn親和性クロマトグラフィー材料中のFcRn親和性リガンド密度と、工程a)及び工程b)における固体相へのFcRnのコンジュゲーションと、工程a)及び工程b)におけるb2m及びFcRnの性質は、同じであるか又は同一である。このため、本明細書に報告された方法において、工程a)及び工程b)におけるFcRn親和性クロマトグラフィーは、塩濃度を除いて、同一の条件下において行われる。同塩濃度は、工程a)と工程b)との間で異なる。一実施態様では、第2の塩濃度は、第1の塩濃度より大きい。一実施態様では、第2の塩濃度は、第1の塩濃度の少なくとも2倍である。
図7から分かるように、アプライされる抗体量は、溶出ピークの曲線下面積に対して直線的な相関を示す。
8つの抗体を、完全な抗体として、かつ、酵素IdeSによる開裂後として分析した。開裂を、SDSpage及び分析用SECにより制御した。Fc領域及び抗体-Fabを、調製用SECにより分離した。
Figure 0007032490000039
一般的には、野生型Fc領域を有する抗体(IgG1又はIgG2又はIgG4)の保持時間は、実施例5の条件下において、45~49分で変動する(36個の抗原に対して35個の治療抗体について試験、データを示さず)。実施例2の条件を使用する場合、保持時間は、勾配がより長いため、約85分に伸長する。
Figure 0007032490000040
一般的には、本明細書に報告された方法及び使用における保持時間は、pH勾配の傾き及び利用される塩濃度に依存する。野生型抗体が参照として使用される場合、より弱い結合性は、より短い保持時間(=より早い溶出)により示される。一方、より強い結合性は、より長い保持時間(=より遅い溶出)により示される。
IgGのFc領域における種々の突然変異体は、FcRnカラムにおいて異なって挙動し、改変された保持時間を示す。
例えば、抗体-IGF-1R抗体突然変異体YTEは、伸長した保持時間を示す(図8を参照のこと)。
Figure 0007032490000041
本明細書に報告された一態様は、下記工程:
a)第1の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体の保持時間を決定する工程と、
b)第2の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体の保持時間を決定する工程とを含み、
これにより、工程a)で決定された保持時間と工程b)で決定された保持時間とが実質的に異なる場合、抗体は、IgG1、IgG3、又はIgG4のサブクラスの標準的/天然の抗体と比較して相対的に短いin vivoでの半減期を有する、
抗体の相対的なin vivoでの半減期を決定する方法である。
本明細書に報告された一態様は、下記工程:
a)第1の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体の保持時間を決定する工程と、
b)第2の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体の保持時間を決定する工程とを含み、
これにより、工程a)で決定された保持時間と工程b)で決定された保持時間とが実質的に異なる場合、抗体は、IgG1、IgG3、又はIgG4のサブクラスの標準的/天然の抗体と比較して相対的に短いin vivoでの半減期を有する、
抗体の相対的なin vivoでの半減期を決定するための本明細書に報告された方法の使用である。
本明細書に報告された一態様は、下記工程:
a)第1の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの変異抗体及びその親抗体の保持時間を決定する工程と、
b)第2の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの変異抗体及びその親抗体の保持時間を決定する工程とを含み、
これにより、i)工程a)で決定された変異抗体の保持時間が、工程a)で決定されたその親抗体の保持時間より大きく/長く、ii)工程a)で決定された変異抗体の保持時間と工程b)で決定された変異抗体の保持時間とが実質的に同じである場合、その親抗体に対する変異抗体のin vivoでの半減期が伸長され、また、これにより、i)工程a)で決定された変異抗体の保持時間が、工程a)で決定されたその親抗体の保持時間より小さく/短く、ii)工程a)で決定された変異抗体の保持時間と工程b)で決定された変異抗体の保持時間とが実質的に同じである場合、その親抗体に対する変異抗体のin vivoでの半減期が短縮される、
その親抗体に対する変異抗体のin vivoでの半減期の伸長又は短縮を決定する方法である。
本明細書に報告された一態様は、下記工程:
a)第1の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの変異抗体及びその親抗体の保持時間を決定する工程と、
b)第2の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの変異抗体及びその親抗体の保持時間を決定する工程とを含み、
これにより、i)工程a)で決定された変異抗体の保持時間が、工程a)で決定されたその親抗体の保持時間より大きく/長く、ii)工程a)で決定された変異抗体の保持時間と工程b)で決定された変異抗体の保持時間とが実質的に同じである場合、その親抗体に対する変異抗体のin vivoでの半減期が伸長され、また、これにより、i)工程a)で決定された変異抗体の保持時間が、工程a)で決定されたその親抗体の保持時間より小さく/短く、ii)工程a)で決定された変異抗体の保持時間と工程b)で決定された変異抗体の保持時間とが実質的に同じである場合、その親抗体に対する変異抗体のin vivoでの半減期が短縮される、
その親抗体に対する変異抗体のin vivoでの半減期の伸長又は短縮を決定するための本明細書に報告された方法の使用である。
FcRnカラムからの遅い溶出を示した抗体、すなわち、FcRnカラムでのより長い保持を有し、抗体―Fab-FcRn相互作用を示さない抗体が、より長いin vivoでの半減期を有したことが見出された(実施例6を参照のこと)。
Figure 0007032490000042
本明細書に報告された一態様は、抗体のin vivoでの半減期を決定するための本明細書に報告された方法の使用である。
野生型IgG及びFc領域中にYTE-突然変異を有するIgG変異体について行われたin vitro及びin vivoでの実験のセットは、ヒトFcRnにトラスジェニックなマウスによるin vivoでの薬物動態研究の相関と共に、FcRn親和性クロマトグラフィーにおける半定量的相関の知見を示した(Spiekerman, G.M., et al. J. Exp. Med. 196 (2002) 303-310;Dall’Acqua, W.F., et al., J. Biol. Chem. 281 (2006) 23514-23524)。YTE-突然変異は、顕著に伸長した半減期及びより遅い血漿クリアランスをもたらす。より長いin vivoでの半減期は、FcRnクロマトグラフィーにおけるより長い保持時間に対応した。近年、Fc操作トラスシズマブ変異体の伸長した半減期が、フローサイトメトリーにより測定された場合、FcRnに対するin vitroでの結合性を向上させたことが示された(Petkova, S.B., et al., Int. Immunol. 18 (2006) 1759-1769)。11倍の改善されたFcRn親和性を有する抗-VEGF IgG1抗体であるベバシズマブの変異体は、ヒトFcRnトランスジェニックマウスにおいて5倍の伸長した半減期を有し、カニクイザルにおいて3倍長い半減期を有することが示された(Zalevsky, J., et al., Nat. Biotechnol. 28 (2010) 157-159)。
抗体フォーマットは、FcRnカラムに対する結合性に影響を有さないことが示された。このことは、ノブ-into-ホールフォーマット及び幾つかの二重特異性抗体フォーマットについて示された。このため、本明細書に報告された方法は、新規な抗体フォーマットの評価に使用することができる。
一実施態様では、複合体は、モノビオチン化されている。
一実施態様では、リガンドとして新生児Fcレセプター(FcRn)とベータ-2-ミクログロブリンとの非共有複合体を含むクロマトグラフィー材料は、本明細書に報告された方法及び使用において、少なくとも100サイクルの安定性を有する。サイクルは、各方法又は使用における第1のpH値から第2のpH値に向かうpH勾配である。これにより、材料の再生のために、条件の更なる変更を、本方法又は使用の終了条件以外に必要としない。このため、一実施態様では、サイクルは、約pH5.5のpH値から約pH8.8のpH値に向かうpH勾配である。
g.ii)抗体及びそのFc領域の同じ塩濃度での正の線形pH勾配による溶出
本明細書において、下記2つの工程:
a)第1の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体の保持時間を決定する工程と、
b)第1の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体のFc領域の保持時間を決定する工程とを含む、方法が報告されている。
この方法について、抗体及びそのFc領域の保持時間を比較することにより、単純なクロマトグラフィー法において、抗体-Fc-FcRn複合体における抗体-Fab-FcRn相互作用の存在を決定することができる。Fc領域は、例えば、酵素IdeS又はパパインによる酵素的開裂により得ることができ、又は、リコンビナントに生成することができる。このことは、抗体-Fab-FcRn相互作用が、抗体のin vivoでの半減期に影響を及ぼすため重要である。
抗体/抗体-Fc領域ペアについて、FcRn親和性クロマトグラフィーカラムでのその保持時間に関する種々の関係と、同様に、そのFcRn相互作用に関する種々の関係とが存在する。
1)抗体及びそのFc領域は、実質的に同じ保持時間を有する。この場合、抗体のin vivoでの半減期は、抗体-Fab-FcRn相互作用により影響を受けない。
2)抗体及びそのFc領域は、異なる保持時間を有し、Fc領域の保持時間は、抗体の保持時間より短い。この場合、抗体のin vivoでの半減期は、抗体-Fab-FcRn相互作用により影響を受ける。
当該抗体が変異抗体である場合、更なる態様を考慮する必要がある。変異抗体では、抗体-Fc-FcRn相互作用と、抗体-Fab-FcRn相互作用とは、親抗体に対して導入された改変により変化する場合がある。
このため、親抗体、変異抗体、及びそれらの各Fc領域間に、下記の可能性のある関係が存在する(図10を参照のこと)。
1)親抗体(1)、変異抗体(3)、及びそれらのFc領域(2、4)は、実質的に同じ保持時間を有する。この場合、変異抗体のin vivoでの半減期は、i)抗体-Fab-FcRn相互作用により影響を受けず、ii)親抗体のin vivoでの半減期に対応する(図10Aを参照のこと)。
2)変異抗体(3)及びそのFc領域(4)は、異なる保持時間を有し、変異抗体のFc領域の保持時間は、変異抗体の保持時間より短く、親抗体(1)、親抗体のFc領域(2)、及び変異抗体のFc領域(4)は、実質的に同じ保持時間を有する。この場合、変異抗体のin vivoでの半減期は、i)抗体-Fab-FcRn相互作用により影響を受け、ii)親抗体のin vivoでの半減期より短い(図10Bを参照のこと)。
3)親抗体(1)及び変異抗体(3)は、異なる保持時間を有し、変異抗体のFc領域(4)の保持時間は、変異抗体(3)の保持時間と実質的に同じであり、変異抗体の保持時間は、親抗体(1)の保持時間より長い。この場合、変異抗体のin vivoでの半減期は、i)抗体-Fab-FcRn相互作用により影響を受けず、ii)親抗体のin vivoでの半減期より長い(図10Cを参照のこと)。
4)親抗体(1)及び変異抗体(3)は、異なる保持時間を有し、変異抗体のFc領域(4)の保持時間は、変異抗体(3)の保持時間と実質的に同じであり、変異抗体(3)の保持時間は、親抗体(1)の保持時間より短い。この場合、変異抗体のin vivoでの半減期は、i)抗体-Fab-FcRn相互作用により影響を受けず、ii)親抗体のin vivoでの半減期より短い。
5)親抗体(1)及び変異抗体(3)は、異なる保持時間を有し、変異抗体のFc領域(4)の保持時間は、変異抗体(3)の保持時間とは異なり、親抗体(1)及びそのFc領域(2)の保持時間とも異なり、変異抗体のFc領域(4)の保持時間は、変異抗体(3)の保持時間と親抗体(4)の保持時間との間である。この場合、変異抗体のin vivoでの半減期は、i)抗体-Fab-FcRn相互作用により影響を受け、ii)親抗体のin vivoでの半減期とは異なる(図10Dを参照のこと)。
一事例では、参照抗体は、IdeS開裂又はパパイン開裂後のそのFc領域と実質的に同じ保持時間を有する抗体である。
上記概説されたように、抗体-Fab-FcRn相互作用は、抗体のin vivoでの半減期に影響を有する場合がある。また、上記概説されたように、抗体-Fc-FcRn相互作用は、抗体のin vivoでの半減期に影響を有する場合がある。このため、両相互作用を考慮する必要がある。
例えば、Ropeenian及びAkilesh(Nat. Rev. Immunol. 7 (2007) 715-725)は、例えば、ヒト化IgG1抗体であるhu4D5(ハーセプチン;Genentech;ERBB2特異的モノクローナル抗体)変異体Asn434Ala(N434A)及び三重置換変異体Thr307Ala/Asn434Ala/Glu380Ala(T307A/N434A/Q380A)がそれぞれ、pH6.0において、野生型hu4D5抗体より、3倍及び12倍高い親和性でヒトFcRnに結合することを報告している。予期しなかったことに、FcRnトランスジェニックヒト化マウスにおいて、これら2つの変異抗体の半減期は、基本的に同等であった。この矛盾は、Ropeenian及びAkileshによれば、pH7.4でのFcRnに対する三重置換変異体の向上した親和性により説明することができる。pH7.4及びpH6.0における結合親和性が改善するFc領域突然変異は、その半減期を伸長するよりもむしろ、実際には、in vivoでの抗体のクリアランスを加速させている可能性がある。
このため、変異抗体のFc領域の保持時間が、境界保持時間より長いかどうかを、更に考慮する必要がある。理論に拘束されるものではないが、この境界保持時間は、pH7.4での相互作用がpH7.4での抗体-FcRn複合体の解離が減少するほど向上し、抗体の向上した分解をもたらす作用をもたらす(図11を参照のこと)。
本発明の一態様は、下記工程(図12を参照のこと):
a)同じ溶出条件を使用するFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの、i)抗体(3)、ii)該抗体のFc領域(4)、iii)参照抗体(1)、iv)参照抗体のFc領域(2)、及びv)Fc領域中に突然変異N434Aを有する参照抗体(5)の保持時間を決定する工程と、
b)抗体を選択する工程であって、
b-i)参照抗体(1)、変異抗体(3)、及びそれらのFc領域(2、4)が、実質的に同じ保持時間を有し、抗体の保持時間が、Fc領域中に突然変異N434Aを有する参照抗体(5)の保持時間より短い抗体を選択することにより、in vivoでの半減期が、i)抗体-Fab-FcRn相互作用により影響を受けず、ii)親抗体のin vivoでの半減期に対応する(図12Aを参照のこと)抗体を選択し、
b-ii)抗体(3)及びそのFc領域(4)が、異なる保持時間を有し、該抗体のFc領域(4)の保持時間が、抗体(3)の保持時間より短く、参照抗体(1)又はそのFc領域(2)の保持時間と同じ、又は、参照抗体(1)又はそのFc領域(2)の保持時間より長く、参照抗体(1)、参照抗体のFc領域(2)、及び抗体(3)の保持時間が、Fc領域中に突然変異N434Aを有する参照抗体(5)の保持時間より短い抗体を選択することにより、in vivoでの半減期が、i)抗体-Fab-FcRn相互作用により影響を受け、ii)参照抗体のin vivoでの半減期より短い(図12Bを参照のこと)抗体を選択し、
b-iii)参照抗体(1)及び抗体(3)が、異なる保持時間を有し、抗体のFc領域(4)の保持時間が、抗体(3)の保持時間と実質的に同じであり、抗体(3)の保持時間が、参照抗体(1)の保持時間より長く、抗体(3)の保持時間が、Fc領域中に突然変異N434Aを有する参照抗体(5)の保持時間より短い抗体を選択することにより、in vivoでの半減期が、i)抗体-Fab-FcRn相互作用により影響を受けず、ii)参照抗体のin vivoでの半減期より長い(図12Cを参照のこと)抗体を選択し、
b-iv)参照抗体(1)及び抗体(3)が、異なる保持時間を有し、抗体のFc領域(4)の保持時間が、抗体(3)の保持時間と実質的に同じであり、抗体(3)の保持時間が、参照抗体(1)の保持時間より短く、抗体(3)の保持時間が、Fc領域中に突然変異N434Aを有する参照抗体(5)の保持時間より短い抗体を選択することにより、in vivoでの半減期が、i)抗体-Fab-FcRn相互作用により影響を受けず、ii)参照抗体のin vivoでの半減期より短い(図12Dを参照のこと)抗体を選択し、
b-v)参照抗体(1)及び抗体(3)が、異なる保持時間を有し、抗体のFc領域(4)の保持時間が、抗体(3)の保持時間とは異なり、参照抗体(1)及びそのFc領域(2)の保持時間とも異なり、抗体のFc領域(3)の保持時間が、抗体(3)の保持時間と参照抗体(1)の保持時間との間であり、抗体(3)の保持時間が、Fc領域中に突然変異N434Aを有する参照抗体(5)の保持時間より短い抗体を選択することにより、in vivoでの半減期が、i)抗体-Fab-FcRn相互作用により影響を受け、ii)参照抗体のin vivoでの半減期とは異なる(図12Eを参照のこと)抗体を選択する工程、とを含む、
抗体を選択する方法である。
一実施態様では、溶出は、一定の塩濃度での正の線形pH勾配によるか、又は、一定のpH値での線形塩勾配を使用することによる。
一実施態様では、抗体は、親抗体の変異抗体であり、参照抗体は、親抗体である。一実施態様では、変異抗体は、抗体-Fab又は/及び抗体-Fc領域中のアミノ酸変化を有する。
g.iii)塩勾配による溶出
本明細書において、下記工程:
a)塩勾配溶出による第1のpH値におけるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の保持時間を決定する工程と、
b)塩勾配溶出による第2のpH値におけるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の保持時間を決定する工程とを含む、方法が報告される。
一定塩濃度でのpH勾配による溶出に加えて、一定pH値での塩勾配による溶出も、抗体-Fc-FcRn複合体における抗体-Fab-FcRn相互作用が存在するか否かを決定するのに使用することができることが見出された。
既に上記概説されたように、抗体-Fab-FcRn相互作用は、抗体-Fc-FcRn複合体が形成された後に、少しでも存在する場合、確立される二次的相互作用である。
両相互作用、すなわち、抗体-Fc-FcRn相互作用及び抗体-Fab-FcRn相互作用は、電荷媒介性非共有相互作用である。
本明細書に報告された一態様は、下記工程:
a)塩勾配溶出による第1のpH値におけるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の保持時間を決定する工程と、
b)塩勾配溶出による第2のpH値におけるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の保持時間を決定する工程とを含み、
これにより、工程a)で決定された抗体及び参照抗体の保持時間の比が、工程b)で決定された抗体及び参照抗体の保持時間の比と実質的に異なる場合、抗体のin vivoでの半減期に影響を及ぼす抗体-Fab-FcRn相互作用の存在が決定される、
抗体のin vivoでの半減期に影響を及ぼす抗体-Fab-FcRn相互作用の存在を決定する方法である。
一実施態様では、第1のpH値は、5.5である。一実施態様では、第2のpH値は、8.8である。
一実施態様では、工程a)及び工程b)における塩勾配は同一である。
一実施態様では、塩勾配は、塩化ナトリウム勾配である。
一実施態様では、塩勾配は、0mM~250mM 塩である。
h)ベバシズマブ及びベバシズマブ突然変異体
CDR中に電荷パッチを有さない別の分子は、LC-CDR中に正の電荷パッチを形成して、この位置での正の電荷が一般的に抗体のFcRn結合親和性に影響を及ぼすという上記で報告された知見を実証するのに選択される。
ベバシズマブは、LC-CDR中にわずかな電荷のみを有しているため、選択された。ブリアキヌマブを使用して特定された3つの塩基性アミノ酸残基は、アルギニン残基R27、R55、及びR94である。ベバシズマブのアミノ酸配列において、アスパラギン酸D27、ロイシンL54、及びスレオニンT93は、リシン残基に交換され、正の電荷パッチを形成する(図14を参照のこと)。
ベバシズマブ-野生型及びベバシズマブ-突然変異体のFcRn親和性クロマトグラムは、表9に示される。各保持時間は、下記表9に列記される。
Figure 0007032490000043
ベバシズマブ-野生型は、84.7分の保持時間を有する。一方、ベバシズマブ-突然変異体は、86.9分後に溶出する。このため、ベバシズマブのFv中の正の電荷パッチは、保持時間を2.2分シフトさせる。この結果から、IgG1のFv中の電荷は、一般的にFcRn結合親和性に影響を及ぼすこと、特に、FcRnからの解離が影響を受けることが示される。
電荷分布及びpH依存性正味電荷。pH7.4においてプロトン化され、2kT/eで描かれたタンパク質の等ポテンシャル表面。黒:正/負。(a)ブリアキヌマブ。軽鎖を、薄い灰色で示す。重鎖を、濃い灰色で示す。中央及び右側の画像の視野はそれぞれ、垂直及び水平軸についての回転による、左側のパネル中の視野に関する。(b)ウステキヌマブ。軽鎖及び重鎖はそれぞれ、薄い及び濃い灰色で着色されている。視野は、(a)と同一である。(c)ヒトβミクログロブリン(βm)を含む複合体におけるヒトFcRn相同性モデルの2kT/eで描かれた等ポテンシャル表面。Fcドメインを、明確性のために示す。(d)配列をベースに算出した正味電荷 vs ブリアキヌマブ及びウステキヌマブのpH。タンパク質構造を、DiscoveryStudio Proで作製した。 pH依存性FcRn-IgG相互作用。11個のIgG変異体のFcRn親和性クロマトグラムを、明確性のために、強度正規化した。pH7.4でプロトン化された構造モデルの分子表面提示を、2kT/eで描かれた等ポテンシャル表面と重ねた。視野は、図1aの右側パネルと同一であり、CDR領域に焦点を当てる。第2の水平軸は、オフラインpH測定から内挿した溶出pHを示す。 ヒトFcRnトランスジェニックマウスでの薬物動態におけるFcRn溶出pHの効果。抗体を、1群当たり6匹の動物に対して、一回のi.v.ボーラス注射(10mg/kg)として投与した。データ点は、平均±標準偏差を表す。(a)ブリアキヌマブ(オレンジ色)、ウステキヌマブ(緑色)、mAb8(紫色)、及びmAb9(青色)の血液レベル曲線。(b)終末相半減期とFcRnカラム溶出pHとの間の相関。 FcRn-IgGモデルの分子動力学シミュレーション。 (a)シミュレーション開始時のコンホーメーション。破線は、Fv領域とFcRn中の2つの例となるアミノ酸間の距離を示す。この距離は、パネル(c)中で示されるように、MDシミュレーション中に近づく。色は、図1と同一である。(b)シミュレーション終了時のコンホーメーション(t=100ns)。ボックスは、(c)に示される分子の部分を示す。(c)FcRnとFvドメインとの間の相互作用の詳細図。フレームワーク、CDR、及びFcRn残基の相互作用は、ブリアキヌマブとウステキヌマブとにおいて異なることに留意されたい。(d)シミュレーションの経過中での残基245(FcRn)と100(ウステキヌマブLC)及び29(ブリアキブマブLC)との間の距離。(e)シミュレーション終了時の相互作用エネルギー(96、97、98、99、及び100nsでのコンホーメーションの平均及び標準偏差)。「VDW」及び「静電」はそれぞれ、FcRn-Fab相互作用に対するファンデルワールス及び静電的寄与を意味する。タンパク質構造を、PyMol(商標)(Schrodinger LLC)により作製した。 ブリアキヌマブ及びウステキヌマブの軽鎖及び重鎖の配列アライメント。VH及びVL領域を、イタリック体で示す。CDRを、アスタリスク()でマークする。ハッシュ(#)は、開始構造におけるFcRnに近接した(<4Å)アミノ酸を意味する。記号
Figure 0007032490000044

は、MD目的でFcRnに対するジスルフィド架橋を確立するために、Cysに突然変異させた残基をマークする。
ブリアキヌマブ及びウステキヌマブのFcRn親和性カラム保持時間の塩依存性。ブリアキヌマブ及びウステキヌマブを、増加するNaCl量の存在下でのpH勾配溶出によるFcRn親和性カラムクロマトグラフィーに供した。データを、溶解した塩による電荷遮蔽効果を説明する逆平方根関数に当てはめる。ブリアキヌマブの保持時間は、
Figure 0007032490000045

で短縮する。一方、ウステキヌマブの保持時間は、基本的に影響を受けないままである。
本明細書に報告された、アプライした抗体とFcRnカラムを使用するクロマトグラフィーの曲線下面積との直線性。 本明細書に報告されたFcRnカラムにおける、抗-IGF-1R抗体野生型及びYTE-突然変異体のクロマトグラム。 アバスチン-野生型及びアバスチン-突然変異体のFcRn親和性クロマトグラム。 Fc領域と抗体-Fabとの抗体-FcRn相互作用に依存する、FcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの保持時間変化のスキーム。1:親抗体、2:親抗体のFc領域、3:変異抗体、4:変異抗体のFc領域;実線:完全な抗体(抗体-Fab+Fc領域)、破線:Fc領域のみ;A:野生型様Fc領域、抗体-Fab-FcRn相互作用なし;B:野生型様Fc領域、抗体-Fab-FcRn相互作用あり;C:改善されたFcRn結合性を有する操作されたFc領域、抗体-Fab-FcRn相互作用なし;D:改善されたFcRn結合性を有する操作されたFc領域、抗体-Fab-FcRn相互作用あり。 Fc領域と抗体-Fabとの抗体-FcRn相互作用に依存する、FcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの保持時間変化のスキーム。1:親抗体、2:親抗体のFc領域、3:変異抗体、4:変異抗体のFc領域;実線:完全な抗体(抗体-Fab+Fc領域)、破線:Fc領域のみ;A:野生型様Fc領域、抗体-Fab-FcRn相互作用なし;B:野生型様Fc領域、抗体-Fab-FcRn相互作用あり;C:改善されたFcRn結合性を有する操作されたFc領域、抗体-Fab-FcRn相互作用なし;D:改善されたFcRn結合性を有する操作されたFc領域、抗体-Fab-FcRn相互作用あり。 Fc領域と抗体-Fabとの抗体-FcRn相互作用に依存する、FcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの保持時間変化のスキーム。1:親抗体、2:親抗体のFc領域、3:変異抗体、4:変異抗体のFc領域;実線:完全な抗体(抗体-Fab+Fc領域)、破線:Fc領域のみ;A:野生型様Fc領域、抗体-Fab-FcRn相互作用なし;B:野生型様Fc領域、抗体-Fab-FcRn相互作用あり;C:改善されたFcRn結合性を有する操作されたFc領域、抗体-Fab-FcRn相互作用なし;D:改善されたFcRn結合性を有する操作されたFc領域、抗体-Fab-FcRn相互作用あり。 Fc領域と抗体-Fabとの抗体-FcRn相互作用に依存する、FcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの保持時間変化のスキーム。1:親抗体、2:親抗体のFc領域、3:変異抗体、4:変異抗体のFc領域;実線:完全な抗体(抗体-Fab+Fc領域)、破線:Fc領域のみ;A:野生型様Fc領域、抗体-Fab-FcRn相互作用なし;B:野生型様Fc領域、抗体-Fab-FcRn相互作用あり;C:改善されたFcRn結合性を有する操作されたFc領域、抗体-Fab-FcRn相互作用なし;D:改善されたFcRn結合性を有する操作されたFc領域、抗体-Fab-FcRn相互作用あり。 改善されたFcRn結合性を有し、抗体-Fab-FcRn相互作用を有するが、抗体-FcRn相互作用が改善されたクリアランスをもたらすため、in vivoでの半減期(境界保持時間を超える保持時間)が短縮している、操作された抗体を示すスキーム。 Fc領域と抗体-Fabとの抗体-FcRn相互作用に依存する、FcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの保持時間変化のスキーム。1:参照抗体、2:参照抗体のFc領域、3:抗体、4:抗体のFc領域;実線:完全な抗体(抗体-Fab+Fc領域)、破線:Fc領域のみ。 Fc領域と抗体-Fabとの抗体-FcRn相互作用に依存する、FcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの保持時間変化のスキーム。1:参照抗体、2:参照抗体のFc領域、3:抗体、4:抗体のFc領域;実線:完全な抗体(抗体-Fab+Fc領域)、破線:Fc領域のみ。 Fc領域と抗体-Fabとの抗体-FcRn相互作用に依存する、FcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの保持時間変化のスキーム。1:参照抗体、2:参照抗体のFc領域、3:抗体、4:抗体のFc領域;実線:完全な抗体(抗体-Fab+Fc領域)、破線:Fc領域のみ。 Fc領域と抗体-Fabとの抗体-FcRn相互作用に依存する、FcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの保持時間変化のスキーム。1:参照抗体、2:参照抗体のFc領域、3:抗体、4:抗体のFc領域;実線:完全な抗体(抗体-Fab+Fc領域)、破線:Fc領域のみ。 Fc領域と抗体-Fabとの抗体-FcRn相互作用に依存する、FcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの保持時間変化のスキーム。1:参照抗体、2:参照抗体のFc領域、3:抗体、4:抗体のFc領域;実線:完全な抗体(抗体-Fab+Fc領域)、破線:Fc領域のみ。 FcRn親和性クロマトグラフィーの保持時間の塩濃度への依存性と、抗体-Fab-FcRn相互作用。 ベバシズマブ及びベバシズマブ変異体の軽鎖可変ドメインの配列アライメント。同一及び類似するアミノ酸を、灰色で示す。CDRを、アスタリスク()でマークする。 ブリアキヌマブ、ウステキヌマブ、及びmAb1~6のIL-12相互作用。1:ブリアキヌマブ、2:ウステキヌマブ、3:mAb1、4:mAb2、5:mAb3、6:mAb4、7:mAb5、8:mAb6。 ブリアキヌマブ、ウステキヌマブ、及びmAb7~10のIL-12相互作用。1:ブリアキヌマブ、2:ウステキヌマブ、3:mAb7、4:mAb8、5:mAb9、6:mAb10。
具体的な実施態様
1.下記工程:
i)第1の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の第1の保持時間を決定し、第2の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の第2の保持時間を決定する工程、又は
ii)第1のpH値での線形塩勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の第1の保持時間を決定し、第2のpH値での線形塩勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の第2の保持時間を決定する工程、又は
iii)抗体及び参照抗体について、表面プラズモン共鳴を使用して、pH6におけるK値を決定し、高塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の保持時間を決定する工程、又は
iv)抗体及び参照抗体について、表面プラズモン共鳴を使用して、pH6におけるK値を決定し、線形塩勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の保持時間を決定する工程、又は
v)正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体及びそのFc領域の保持時間を決定する工程、又は
vi)高pH値での線形塩勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体及びそのFc領域の保持時間を決定する工程、又は
vii)抗体及びそのFc領域について、表面プラズモン共鳴を使用して、pH6におけるK値を決定し、高塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体及びそのFc領域の保持時間を決定する工程、又は
viii)抗体及びそのFc領域について、表面プラズモン共鳴を使用して、pH6におけるK値を決定し、高pH値での線形塩勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体及びそのFc領域の保持時間を決定する工程
を含み、
a)第2の保持時間と実質的に同じ第1の保持時間を有する抗体、又は
b)参照抗体のK値とは最大10倍異なるK値を有し、参照抗体の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体、又は
c)そのFc領域の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体、又は
d)そのFc領域のK値とは最大10倍異なるK値を有し、そのFc領域の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体
を選択することによる、抗体を選択する方法。
2.下記工程:
第1の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の第1の保持時間を決定し、第2の塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の第2の保持時間を決定する工程と、
a)第2の保持時間と実質的に同じ第1の保持時間を有する抗体、又は
b)参照抗体のK値とは最大10倍異なるK値を有し、参照抗体の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体、又は
c)そのFc領域の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体、又は
d)そのFc領域のK値とは最大10倍異なるK値を有し、そのFc領域の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体
を選択する工程とを含む、抗体を選択する方法。
3.下記工程:
第1のpH値での線形塩勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の第1の保持時間を決定し、第2のpH値での線形塩勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の第2の保持時間を決定する工程と、
a)第2の保持時間と実質的に同じ第1の保持時間を有する抗体、又は
b)参照抗体のK値とは最大10倍異なるK値を有し、参照抗体の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体、又は
c)そのFc領域の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体、又は
d)そのFc領域のK値とは最大10倍異なるK値を有し、そのFc領域の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体
を選択する工程とを含む、抗体を選択する方法。
4.下記工程:
抗体及び参照抗体について、表面プラズモン共鳴を使用して、pH6におけるK値を決定し、高塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の保持時間を決定する工程と、
a)第2の保持時間と実質的に同じ第1の保持時間を有する抗体、又は
b)参照抗体のK値とは最大10倍異なるK値を有し、参照抗体の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体、又は
c)そのFc領域の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体、又は
d)そのFc領域のK値とは最大10倍異なるK値を有し、そのFc領域の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体
を選択する工程とを含む、抗体を選択する方法。
5.下記工程:
抗体及び参照抗体について、表面プラズモン共鳴を使用して、pH6におけるK値を決定し、線形塩勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の保持時間を決定する工程と、
a)第2の保持時間と実質的に同じ第1の保持時間を有する抗体、又は
b)参照抗体のK値とは最大10倍異なるK値を有し、参照抗体の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体、又は
c)そのFc領域の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体、又は
d)そのFc領域のK値とは最大10倍異なるK値を有し、そのFc領域の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体
を選択する工程とを含む、抗体を選択する方法。
6.下記工程:
正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体及びそのFc領域の保持時間を決定する工程と、
a)第2の保持時間と実質的に同じ第1の保持時間を有する抗体、又は
b)参照抗体のK値とは最大10倍異なるK値を有し、参照抗体の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体、又は
c)そのFc領域の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体、又は
d)そのFc領域のK値とは最大10倍異なるK値を有し、そのFc領域の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体
を選択する工程とを含む、抗体を選択する方法。
7.下記工程:
高pH値での線形塩勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体及びそのFc領域の保持時間を決定する工程と、
a)第2の保持時間と実質的に同じ第1の保持時間を有する抗体、又は
b)参照抗体のK値とは最大10倍異なるK値を有し、参照抗体の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体、又は
c)そのFc領域の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体、又は
d)そのFc領域のK値とは最大10倍異なるK値を有し、そのFc領域の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体
を選択する工程とを含む、抗体を選択する方法。
8.下記工程:
抗体及びそのFc領域について、表面プラズモン共鳴を使用して、pH6におけるK値を決定し、高塩濃度の存在下での正の線形pH勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体及びそのFc領域の保持時間を決定する工程と、
a)第2の保持時間と実質的に同じ第1の保持時間を有する抗体、又は
b)参照抗体のK値とは最大10倍異なるK値を有し、参照抗体の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体、又は
c)そのFc領域の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体、又は
d)そのFc領域のK値とは最大10倍異なるK値を有し、そのFc領域の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体
を選択する工程とを含む、抗体を選択する方法。
9.下記工程:
抗体及びそのFc領域について、表面プラズモン共鳴を使用して、pH6におけるK値を決定し、高pH値での線形塩勾配溶出によるFcRn親和性クロマトグラフィーカラムでの抗体及びそのFc領域の保持時間を決定する工程と、
a)第2の保持時間と実質的に同じ第1の保持時間を有する抗体、又は
b)参照抗体のK値とは最大10倍異なるK値を有し、参照抗体の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体、又は
c)そのFc領域の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体、又は
d)そのFc領域のK値とは最大10倍異なるK値を有し、そのFc領域の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体
を選択する工程とを含む、抗体を選択する方法。
10.抗体のin vivoでの半減期に影響を及ぼす抗体-Fab-FcRn相互作用を含まない抗体を選択するためのものである、実施態様1~10のいずれか1つに記載の方法。
11.IgG1、IgG3、又はIgG4サブクラスの抗体と比較して相対的に長いin vivoでの半減期を有する抗体を選択するためのものであり、
更に、参照抗体又は参照Fc領域の保持時間を決定し、
a)参照抗体の第1の保持時間より長い第1の保持時間を有し、第2の保持時間と実質的に同じである第1の保持時間を有する抗体、又は
b)参照抗体のK値とは最大10倍異なるK値を有し、参照抗体の保持時間より長い保持時間を有する抗体、又は
c)そのFc領域の保持時間と実質的に同じであり、参照抗体の保持時間より長い保持時間を有する抗体、又は
d)そのFc領域のK値とは最大10倍異なるK値を有し、そのFc領域の保持時間と実質的に同じであり、参照抗体の保持時間より長い保持時間を有する抗体
を選択することによる、実施態様1、6、7、8、及び9のいずれか1つに記載の方法。
12.参照抗体に対して相対的に伸長又は短縮した抗体のin vivoでの半減期を決定するためのものであり、
更に、参照抗体又は参照Fc領域の保持時間を決定し、
更に、突然変異N434Aを有するIgG Fc領域の保持時間を決定し、
a)参照抗体の第1の保持時間より長い第1の保持時間を有し、実質的に同じであり第1の保持時間と第2の保持時間を有し、突然変異N434Aを有するFc領域の保持時間より短い第1の保持時間を有する抗体を選択することにより、相対的に長いin vivoでの半減期を有する抗体を選択し、又は
b)参照抗体のK値とは最大10倍異なるK値を有し、参照抗体の保持時間より長い保持時間を有し、突然変異N434Aを有するFc領域の保持時間より短い第1の保持時間を有する抗体を選択することにより、相対的に長いin vivoでの半減期を有する抗体を選択し、又は
c)参照抗体の第1の保持時間より短い第1の保持時間を有し、実質的に同じである第1の保持時間と第2の保持時間を有する抗体を選択することにより、相対的に短いin vivoでの半減期を有する抗体を選択し、又は
d)参照抗体のK値とは最大10倍異なるK値を有し、参照抗体の保持時間より短い保持時間を有する抗体を選択することにより、相対的に長いin vivoでの半減期を有する抗体を選択することによる、実施態様1、6、7、8、及び9のいずれか1つに記載の方法。
13.(正の)線形pH勾配が、約pH5.5~約pH8.8である、実施態様1、2、4、6、8、及び10~12のいずれか1つに記載の方法。
14.塩が、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、クエン酸ナトリウム、又はクエン酸カリウムから選択される、実施態様1~13のいずれか1つに記載の方法。
15.塩が、塩化ナトリウムである、実施態様1~14のいずれか1つに記載の方法。
16.第1の塩濃度が、50mM~200mMである、実施態様1、2、及び10~15のいずれか1つに記載の方法。
17.第1の塩濃度が、約140mMである、実施態様1、2、及び10~16のいずれか1つに記載の方法。
18.第2の塩濃度が、300mM~600mMである、実施態様1、2、及び10~17のいずれか1つに記載の方法。
19.第2の塩濃度が、約400mMである、実施態様1、2、及び10~18のいずれか1つに記載の方法。
20.線形塩勾配が、0mM 塩から500mM 塩に向かう、実施態様1、3、5、7、及び9~19のいずれか1つに記載の方法。
21.線形塩勾配が、0mM 塩から250mM 塩に向かう、実施態様1、3、5、7、及び9~20のいずれか1つに記載の方法。
22.第1のpH値が、約5.5である、実施態様1、3、及び10~21のいずれか1つに記載の方法。
23.第2のpH値が、約7.4である、実施態様1、3、及び10~22のいずれか1つに記載の方法。
24.高塩濃度が、250mM~600mMである、実施態様1、4、8、及び10~23のいずれか1つに記載の方法。
25.高塩濃度が、約400mMである、実施態様1、4、8、及び10~24のいずれか1つに記載の方法。
26.高pH値が、pH6.5~pH8.8である、実施態様1、7、及び9~25のいずれか1つに記載の方法。
27.高pH値が、約pH7.4である、実施態様1、7、及び9~26のいずれか1つに記載の方法。
28.実質的に異なる保持時間が、少なくとも5%異なる、実施態様1~27のいずれか1つに記載の方法。
29.実質的に異なる保持時間が、少なくとも10%異なる、実施態様1~28のいずれか1つに記載の方法。
30.実質的に異なる保持時間が、少なくとも15%異なる、実施態様1~29のいずれか1つに記載の方法。
31.実質的に同じ保持時間が、5%未満で異なる、実施態様1~30のいずれか1つに記載の方法。
32.実質的に同じ保持時間が、3.5%以下で異なる、実施態様1~31のいずれか1つに記載の方法。
33.実質的に同じ保持時間が、2.5%以下で異なる、実施態様1~32のいずれか1つに記載の方法。
34.保持時間が実質的に異なる場合、保持時間が、塩濃度の平方根の上の1(~1/SQRT(c(salt)))に比例する、実施態様1~33のいずれか1つに記載の方法。
35.参照抗体が、サブクラスIgG1について、配列番号01(重鎖)及び配列番号02(軽鎖)を有する抗-IL-1R抗体、ならびに、サブクラスIgG4について、配列番号03(重鎖)及び配列番号04(軽鎖)を有する抗-IL-1R抗体、又は、サブクラスIgG1について、配列番号36(重鎖)及び配列番号37(軽鎖)を有する抗-HER2抗体、ならびに、サブクラスIgG4について、配列番号38(重鎖)及び配列番号39(軽鎖)を有する抗-HER2抗体のいずれかである、実施態様1~34のいずれか1つに記載の方法。
36.FcRn親和性クロマトグラフィーカラムが、新生児Fcレセプター(FcRn)とベータ-2-ミクログロブリン(b2m)との非共有複合体を含む、実施態様1~35のいずれか1つに記載の方法。
37.FcRn親和性クロマトグラフィーカラムが、新生児Fcレセプター(FcRn)とベータ-2-ミクログロブリン(b2m)との共有複合体を含む、実施態様1~36のいずれか1つに記載の方法。
38.新生児Fcレセプター(FcRn)とベータ-2-ミクログロブリン(b2m)との複合体が、固体相に結合している、実施態様36又は37のいずれか1つに記載の方法。
39.固体相が、クロマトグラフィー材料である、実施態様38記載の方法。
40.新生児Fcレセプター(FcRn)とベータ-2-ミクログロブリン(b2m)との複合体が、ビオチン化されており、固体相が、ストレプトアビジンで誘導体化されている、実施態様36~39のいずれか1つに記載の方法。
41.ベータ-2-ミクログロブリンが、新生児Fcレセプター(FcRn)と同じ種由来である、実施態様36~40のいずれか1つに記載の方法。
42.ベータ-2-ミクログロブリンが、FcRnとは異なる種由来である、実施態様36~40のいずれか1つに記載の方法。
43.FcRnが、ヒトFcRn、カニクイザルFcRn、マウスFcRn、ラットFcRn、ヒツジFcRn、イヌFcRn、ブタFcRn、ミニブタFcRn、及びウサギFcRnから選択される、実施態様1~42のいずれか1つに記載の方法。
44.抗体が、単特異性抗体もしくは融合ポリペプチドの抗体フラグメント、又は、二重特異性抗体もしくは融合ポリペプチドの抗体フラグメント、又は、三重特異性抗体もしくは融合ポリペプチドの抗体フラグメント、又は、四重特異性抗体もしくは融合ポリペプチドの抗体フラグメントである、実施態様1~43のいずれか1つに記載の方法。
45.抗体が、全長抗体である、実施態様1~44のいずれか1つに記載の方法。
46.モノクローナル抗体である、実施態様1~45のいずれか1つに記載の抗体。
47.下記工程:
a)実施態様1~46のいずれか1つに記載の方法により選択された抗体をコードする1つ以上の核酸を含む細胞を提供する工程と、
b)該細胞を培養培地中で培養する工程と、
c)該細胞又は該培養培地から抗体を回収することにより、抗体を製造する工程とを含む、
抗体を製造する方法。
参考文献リスト
Figure 0007032490000046
Figure 0007032490000047
下記実施例、図面、及び配列を、本発明の理解を手助けするのに提供する。その真の範囲は、添付の特許請求の範囲に説明されている。変更は、本発明の本質を逸脱することなく、説明された手法においてなされ得ることが理解される。
材料及び方法
抗体
実験に使用した抗体は、ウステキヌマブ(CNTO 1275, Stelara(商標)、CAS登録番号815610-63-0、配列番号42及び43の可変ドメイン)と、ブリアキヌマブ(ABT 874, J 695, Ozespa(商標)、配列番号40及び41の可変ドメイン)と、ウステキヌマブ及びブリアキヌマブの10個の変異体及び突然変異体(以下、それぞれmAb1~mAb10と呼ぶ)とした。合計12個のIgGを調査した(表2を参照のこと)。
合成遺伝子を、ウステキヌマブ、ブリアキヌマブ、mAb5、及びmAb6について、Geneart(Life technologies GmbH, Carlsbad, CA, USA)において生成した。部位特異的突然変異誘発を、特定のアミノ酸を交換し、mAb1、mAb2、mAb7、mAb8、及びmAb9を生成するのに使用した。mAb3を、ウステキヌマブ重鎖とブリアキヌマブ軽鎖とをコードするプラスミドによりトランスフェクションした。mAb4はその逆とした。
本明細書で使用したモノクローナル抗体を、HEK293細胞中で一過性に発現した(以下を参照のこと)。精製を、プロテインAクロマトグラフィーにより、標準的な手法を使用して行った(以下を参照のこと)。
生化学的特性決定には、サイズ排除クロマトグラフィー(Waters BioSuit(商標) 250 7.8×300mm、溶出液:200mM KHPO、250mM KCl、pH7.0)及びBioAnalyzer 2100(Agilent technologies, Santa Clara, CA, USA)を使用する分子量分布分析が含まれる。
Fcフラグメントを、FabRICATOR-キット(GENOVIS, Lund, Sweden)を使用して、37℃で30分以内の抗体のIdeS消化により得た。
発現プラスミド
上記された抗体の発現のために、一過性発現(例えば、HEK293-F)細胞のための変異体の発現プラスミドを、CMV-イントロンAプロモーターによるもしくはよらないcDMA構築、又は、CMVプロモーターによるゲノム構築のいずれかに基づいて適用した。
抗体発現カセットに加えて、プラスミドは、
E.coli中でのこのプラスミドの複製を可能にする複製起点、
E.coliにアンピシリン抵抗性を付与するβ-ラクタマーゼ遺伝子、及び
真核細胞における選択マーカーとしてのMus musculus由来のジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子
を含んだ。
抗体遺伝子の転写ユニットを、下記エレメントで構成した。
5’端における固有の制限部位、
ヒトサイトメガロウイルス由来の前初期エンハンサー及びプロモーター、
続けて、cDNA構築の場合には、イントロンA配列、
ヒト抗体遺伝子の5’-非翻訳領域、
免疫グロブリン重鎖のシグナル配列、
免疫グロブリンエクソン―イントロン構築を伴うcDNA又はゲノム構築のいずれかとしてのヒト抗体鎖、
ポリアデニル化シグナル配列を伴う3’非翻訳領域、及び
3’端における固有の制限部位
抗体鎖を含む融合遺伝子を、PCR及び/又は遺伝子合成により生成し、公知のリコンビナント法及び技術、例えば、各プラスミド中の固有の制限部位を使用する核酸セグメントによる連結により構築した。サブクローニングした核酸配列を、DNAシークエンシングにより検証した。一過性トランスフェクションのために、大量のプラスミドを、トランスフォーメンションされたE. coli培養物からのプラスミド調製により調製した(Nucleobond AX, Macherey-Nagel)。
細胞培養技術
標準的な細胞培養技術を、Current Protocols in Cell Biology (2000), Bonifacino, J.S., Dasso, M., Harford, J.B., Lippincott-Schwartz, J. and Yamada, K.M. (eds.), John Wiley & Sons, Incに記載されているように使用した。
HEK293-F系における一過性トランスフェクション
抗体を、(例えば、重鎖と、対応する軽鎖とをコードする)各プラスミドによる一過性トランスフェクションにより、HEK293-F細胞(Invitrogen)を使用して、製造メーカーの説明書に従って生成した。簡潔に述べると、振とうフラスコ又は撹拌発酵槽のいずれかにおいて、血清を含まないFreeStyle(商標)293発現培地(Invitrogen)中で懸濁状に増殖させたHEK293-F細胞(Invitrogen)を、各発現プラスミドと、293 fectin(商標)又はフェクチン(Invitrogen)との混合物によりトランスフェクションした。2L振とうフラスコ(Corning)に対して、HEK293-F細胞を、600mL中に1×10個/mLの密度で播種し、120rpm、8%COでインキュベーションした。その翌日、細胞を、約1.5×10個/mLの細胞密度で、A)Opti-MEM(Invitrogen)20mL(各重鎖及び等モル比で対応する軽鎖をコードする、600μg トータルプラスミドDNA(1μg/mL)を含む)と、B)Opti-MEM 20mL+293 fectin又はフェクチン 1.2mL(2μL/mL)との混合物 約42mLによりトランスフェクションした。グルコース消費に従って、グルコース溶液を、発酵の経過中に加えた。分泌された抗体を含有する上清を、5~10日後に収集した。抗体を、上清から直接精製するか、又は、上清を、凍結及び保存するかのいずれかをした。
精製
抗体を、細胞培養上清から、MabSelectSure-Sepharose(商標)(GE Healthcare, Sweden)を使用する親和性クロマトグラフィー、ブチル-セファロース(GE Healthcare, Sweden)を使用する疎水性相互作用クロマトグラフィー、及びSuperdex 200サイズ排除(GE Healthcare, Sweden)クロマトグラフィーにより精製した。
簡潔に述べると、無菌ろ過細胞培養上清を、PBSバッファー(10mM NaHPO、1mM KHPO、137mM NaCl、及び2.7mM KCl、pH7.4)で平衡化したMabSelectSuRe樹脂上に捕捉し、平衡化バッファーで洗浄し、25mM クエン酸ナトリウム(pH3.0)で溶出した。溶出した抗体画分をプールし、2M Tris(pH9.0)で中和した。抗体プールを、疎水性相互作用クロマトグラフィーのために、1.6M 硫酸アンモニウム溶液を加えて、0.8M 硫酸アンモニウムの最終濃度にし、酢酸を使用してpHを5.0に調整することにより調製した。35mM 酢酸ナトリウム、0.8M 硫酸アンモニウム(pH5.0)によりブチル-セファロース樹脂を平衡化した後、抗体を、該樹脂にアプライし、平衡化バッファーで洗浄し、35mM 酢酸ナトリウム(pH5.0)に向かう線形勾配により溶出した。抗体含有画分をプールし、サイズ排除クロマトグラフィーにより、20mM ヒスチジン、140mM NaCl(pH6.0)により平衡化したSuperdex 200 26/60 GL(GE Healthcare, Sweden)カラムを使用して、更に精製した。抗体含有画分をプールし、Vivaspin限外ろ過装置(Sartorius Stedim Biotech S.A., France)を使用して、必要とされる濃度に濃縮し、-80℃で保存した。
Figure 0007032490000048
純度及び抗体の完全性を、マイクロ流体Labchip技術(Caliper Life Science, USA)を使用するCE-SDSにより、各精製工程後に分析した。タンパク質溶液 5μLを、HTタンパク質発現試薬キットを使用し、製造メーカーの説明書に従って、CE-SDS分析用に調製し、LabChip GXIIシステムにおいて、HTタンパク質発現チップを使用して分析した。データを、LabChip GXソフトウェアを使用して分析した。
表11:全てのmAbの生化学的特性決定の概観
濃度を、3回の測定の平均として提供する。単量体含量を、SECクロマトグラムの積分により決定する。抗体種の純度を、インタクトなmAbのCE-SDSにより、DTT還元後に決定する。疎水性を、低及び高疎水性RSに対して表す。
Figure 0007032490000049
機能性特定決定
機能性特定決定には、ブリアキヌマブ及びウステキヌマブが正しく生成され、ターゲットへの結合性も機能しているかを試験するための、ターゲット(ヒトIL-12)との相互作用分析が含まれる。mAb変異体を、Fab領域において改変し、これらの改変がターゲット結合性を変化させるかを試験する。更に、マウスIL-12/-23とのマウスPK研究に使用される抗体の相互作用を、マウス研究におけるターゲット媒介性クリアランス効果を除外するのに分析する。加えて、マウスFcγレセプターI(muFcγRI)に対する結合レベルを測定する。マウスFcγRIに対するより強い結合性は、抗原提示細胞へのより速い取込みによるPK研究におけるより速い減少をもたらす場合があるためである。
ヒトIL-12との相互作用
ブリアキヌマブ、ウステキヌマブ、及び変異体は、IL-12結合性に影響を及ぼす場合があるFab領域において構造的差異を有するため、全てのmAbの結果を、詳細に提供する。
ELISA
交差交換を有する変異体(mAb1~6)及び改変された電荷分布を有する変異体(mAb7~10)の吸光度-濃度曲線を、図15及び16それぞれに示す。各mAbの濃度を、ブリアキヌマブ検量線の当てはめを使用して算出し、ブリアキヌマブに対するIL-12結合性(ブリアキヌマブ=100%)を得た。30%以下の結合性の差異を、ブリアキヌマブと同様のIL-12に対する結合性を示すと評価した。30%以上の差異は、IL-12に対する結合性が低下したことを示す。ブリアキヌマブ、ウステキヌマブ、及び交換されたFvドメインを有するmAb(mAb1及びmAb2)は、同様のIL-12結合プロファイルを示す。ブリアキヌマブ、ウステキヌマブ、及びmAb2の結合性は、20%ウインドウの範囲であり、mAb3の結合性は、30%ウインドウの範囲である。交換されたLCを有するmAb(mAb3及びmAb4)と、交換されたCDRを有するmAb(mAb5及びmAb6)は、IL-12に結合しない。
改変された電荷分布を有するブリアキヌマブ変異体(mAb7~9)は、ブリアキヌマブに対して30%の範囲で、IL-12に結合する。これは、同様のIL-12結合性を示す。mAb10のみが、ブリアキヌマブと比較して63%の結合性で、低下したIL-12結合性を示す。
表面プラズモン共鳴
SPRを、ターゲット特異的ELISAの結果を確認するのに使用した。ウステキヌマブ及びブリアキヌマブは、ほぼ同一の会合速度定数(k)(k(ブリアキヌマブ)8×10l/Ms vs.k(ウステキヌマブ)9×10l/Ms)を有する。IL-12とmAbとの解離は、非常に遅いため、解離速度定数(k)、及びその後の、平行解離定数(K)の算出は、実際の値とは異なる場合がある。この設定における方法の限界に関わらず、算出値は、一般的な評価を提供することができ、ELISAでの結果を確認するのに使用することができる。ブリアキヌマブ及びウステキヌマブは、高い親和性でIL-12に結合し、Kは、低いnM範囲(K(ブリアキヌマブ)=0.2nM vs. K(ウステキヌマブ)=0.07nM)にある。それぞれ8×10l/Ms、6×10-5l/s、及び70pMのk、k、及びK値を有するブリアキヌマブの測定された親和性は、文献データ(k 5×10l/Ms、k 5.1×10-5l/s、K=100pM)と一致している([51])。IL-12に対するウステキヌマブの高い親和性も、文献に記載されている([52])。
表12に、ターゲット相互作用の算出された反応速度パラメータをまとめる。交換されたFvドメインを有するモノクローナル抗体(mAb1及びmAb2)と、改変された電荷分布を有するmAb(mAb7~10)は、ブリアキヌマブ及びウステキヌマブと同様のIL-12に対する親和性を有する。mAb3及びmAb5は、IL-12に結合せず、mAb4及びmAb6は、IL-12に対して非常に弱い結合性を示す。データは、ELISAでの結果と一致している。
Figure 0007032490000050
pH6.0でのFcRn-mAb親和性
を、ウステキヌマブに対して算出した(ウステキヌマブ=1.0)。K値の評価のために、差異が、ウステキヌマブ-FcRn Kに対して小数第一位より小さかった場合、mAbとFcRnとの親和性を、ウステキヌマブ-FcRn親和性と同様であると評価した。Kの差異が、ウステキヌマブ-FcRn Kに対して小数第一位より大きかった場合、Kを、異なると評価した。pH6.0でのFcRn親和性は、全てのmAbについて狭い範囲にあった。ブリアキヌマブは、0.2の相対的なKを有した。変異体は、1.1の相対的なKを有したmAb10を除いて、ブリアキヌマブとウステキヌマブとの間の範囲にあった。
Figure 0007032490000051
FcRn-mAb解離
FcRnとmAbとの解離を、SPR及びFcRn親和性クロマトグラフィーにより分析した。
SPRを使用するFcRn-mAb解離
値の評価について、1μMを下回るKを、中程度の親和性を示すと評価し、1~5μMのKを、弱い親和性を示すと評価し、5μM超のKを、FcRnに対する結合性を示さないと評価した。ブリアキヌマブ及びウステキヌマブは、pH6.0において同様の親和性を示した。ウステキヌマブは、pH6.6において非常に弱い親和性を示し、pH6.8において親和性を示さなかった。対照的に、ブリアキヌマブは、pH6.8まで中程度の親和性を示し、pH7.0において弱い親和性を示し、pH7.2において結合性を示さなかった。
Figure 0007032490000052
抗体の生化学的特性決定は、ブリアキヌマブ、ウステキヌマブ、及び変異体間で、目立った差異を示さなかった。
抗体フラグメントの生成
F(ab’)フラグメント及びFc領域フラグメントを、FabRICATOR-キット(GENOVIS, Lund, Sweden)を使用して、37℃で30分間インキュベーションすることにより調製した。得られた開裂生成物であるF(ab’)及びFc領域を、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)カラム(Superdex 200, GE Healthcare, Zurich, Switzerland)において、AKTA Explorerクロマトグラフィーシステム(GE Healthcare, Uppsala, Sweden)を使用して分離し、ピーク画分をプールした。分子量標準を、2つの開裂生成物をその保持時間に基づいて特定するのに、同じカラムに供給した。
FcRn表面プラズモン共鳴(SPR)分析
抗体のFcRnに対する結合特性を、表面プラズモン共鳴(SPR)技術により、BIAcore T100機器(BIAcore AB, Uppsala, Sweden)を使用して分析した。このシステムは、分子間相互作用の研究に十分確立されている。それは、リガンド/検体結合の連続的なリアルタイムモニタリングが可能であり、このため、種々のアッセイ設定における反応速度パラメータの決定が可能である。SPR技術は、金でコートしたバイオセンサチップの表面近くでの屈折率の測定に基づいている。屈折率の変化は、固定されたリガンドと溶液中の注入された検体との相互作用による表面での質量変化を示す。分子が表面に固定されたリガンドに結合すると、質量は増大する。解離した場合、質量は減少する。本アッセイ法では、FcRnレセプターを、BIAcore CM5-バイオセンサチップ(GE Healthcare Bioscience, Uppsala, Sweden)上に、アミンカップリングを介して、400応答単位(RU)のレベルで固定化した。このアッセイ法を、ランニング及び希釈バッファーとして、PBS、0.05% Tween20、pH6.0(GE Healthcare Bioscience)を使用して、室温で行った。200nM ネイティブ又は酸化抗体サンプルを、50μL/分の流速で室温において注入した。会合時間を、180秒とし、解離相を、360秒とった。チップ表面の再生を、HBS-P(pH8.0)の短い注入により達成した。SPRデータの評価を、注入後180秒と注入後300秒での生物学的応答シグナルの高さの比較により行った。対応するパラメータを、RU最大レベル(注入後180秒)及び後期安定性(注入終了後300秒)とする。
huFcRnとIgGとについての定常状態結合レベル及び平衡解離定数(K)を、pH6.0において、BIAcore T100 SPR機器(GE Healthcare, Little Chalfont, United Kingdom)を使用して決定した。ヒトFcRnを、BIAcore CM5-バイオセンサチップ(GE Healthcare Bioscience)上に、アミンカップリングを介して、50応答単位(RU)のレベルで固定化した。mAb5及びmAb6について、CM4-バイオセンサチップを使用した。このアッセイ法を、ランニング及び希釈バッファーとして、pH6.0に調整した0.05% Tween20を含むPBS(両方とも、Roche Diagnostics, Mannheim, Germanyから入手)を使用して、室温で行った。サンプルの濃度系列を、1500nM~23nMの範囲で調製した。各サンプルを、5μL/分の流速で注入した。600及び360秒の会合及び解離時間を、それぞれ使用した。該チップを、0.05% Tween20を含むPBS(pH7.5)の注入により再生した。平衡解離定数Kを、定常状態親和性として算出し、ウステキヌマブのKに対して正規化した。
マウス
マウスFcRn α-鎖遺伝子を欠損しているが、ヒトFcRn α-鎖遺伝子について半接合トランスジェニックなB6.Cg-Fcgrttm1DcrTg(FCGRT)276Dcrマウス(muFcRn-/- huFcRn tg+/-、系統276)を、薬物動態研究に使用した[39]。マウスの管理を、特定病原体不在条件下において行った。マウスを、Jackson Laboratory(Bar Harbor, ME, USA)から得た(メス、4~10週齢、投与時体重17~22g)。全ての動物実験について、Government of Upper Bavaria, Germanyにより承認を受け(許可番号55.2-1-54-2532.2-28-10)、AAALAC認定動物施設において、実験動物の管理及び利用に関する欧州連合基準に従って行った。動物を、標準的なケージに収容し、研究期間全体を通して、食餌及び水を自由に摂取できるようにした。
薬物動態研究
単回用量の抗体を、外側尾静脈を介して、10mg/kgの用量レベルでi.v.注射した。マウスを、3つの群に6匹のマウスずつに分け、合計9回の血清収集時点(投与後0.08、2、8、24、48、168、336、504、及び672時間)をカバーした。各マウスを、Isoflurane(商標)(CP-Pharma GmbH, Burgdorf, Germany)による浅麻酔下において行う後眼窩出血に2回供した。三回目の血液サンプルを、安楽死の時点で収集した。血液を、血清チューブ(Microvette 500Z-Gel, Sarstedt, Numbrecht, Germany)中に収集した。2時間のインキュベーション後、サンプルを、9,300gで3分間遠心分離し、血清を得た。遠心分離後、血清サンプルを、分析まで-20℃で凍結保存した。
ヒト抗体の血清濃度の決定
マウス血清中のウステキヌマブ、ブリアキヌマブ、mAb8、及びmAb9の濃度を、特異的酵素結合免疫アッセイ法により決定した。抗体に特異的なビオチン化インターロイキン12及びジゴキシゲニン-標識抗-ヒト-Fcマウスモノクローナル抗体(Roche Diagnostics, Penzberg, Germany)をそれぞれ、捕捉及び検出に使用した。ストレプトアビジンコートしたマイクロタイタープレート(Roche Diagnostics, Penzberg, Germany)を、アッセイバッファー(Roche Diagnostics, Penzberg, Germany)で希釈したビオチン化捕捉抗体で、1時間コートした。洗浄後、血清サンプルを、種々の希釈で加え、続けて、更に1時間インキュベーションした。繰返し洗浄した後、結合したヒト抗体を、検出抗体、続けて、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP:Roche Diagnostics, Penzberg, Germany)にコンジュゲートさせた抗-ジゴキシゲニン抗体とのその後のインキュベーションにより検出した。ABTS(2,2’-アジノ-ジ[3-エチルベンズチアゾリンスルホナート];Roche Diagnostics, Germany)を、HRP基質として使用し、着色反応生成物を形成した。得られた反応生成物の吸光度を、490nmでの参照波長と共に405nmで、Tecan sunriseプレートリーダー(Mannedorf, Switzerland)を使用して読み取った。
全ての血清サンプル、陽性及び陰性の対照サンプルを、2連分析し、参照標準に対して較正した。
PK分析
薬物動態パラメータを、WinNonlin(商標)1.1.1(Pharsight, CA, USA)を使用する非コンパートメント分析により算出した。
簡潔に述べると、曲線下面積(AUC0-inf)値を、抗体の非線形減少による対数台形法により算出し、最後の時点で観察された濃度からの外挿と共に、見かけの終末相速度定数λzを使用して、無限大に外挿した。
血漿クリアランスを、AUC0-infで割った線量率(D)として算出した。見かけの終末相半減期(T1/2)を、等式T1/2=ln2/λzから導いた。
統計学的分析
中心を外れた血清濃度を、Nalimov outlier検定を使用して検出し、更なる分析から除外した。
テューキーの真の有意差検定(テューキーのHSD検定)を、終末相半減期において、統計学的な有意差の分析のための統計学的検定として使用した。
pH依存性正味電荷の算出
pH依存性正味電荷(「滴定曲線」)を、オープンソースプログラムEMBOSS iepにより、全てのシステインがジスルフィド架橋に関与すると仮定して算出した。
ブリアキヌマブ相同性モデルの生成及び等ポテンシャル表面の算出
ブリアキヌマブFabフラグメントについての相同性モデルを、テンプレートとしてPDB構造1AQK[41]を使用するモデラー9v7を使用して生成した。ブリアキヌマブ及びウステキヌマブFabについての等ポテンシャル表面を、このモデル(ブリアキヌマブ)又はウステキヌマブの結晶構造(PDB ID 3HMX)からそれぞれ算出した。構造を、DiscoveryStudio Pro, Version 3.5(Accelrys Inc., San Diego, USA)におけるCHARMm force fieldによる「prepare protein」プロトコールを使用して、pH7.4及び0.145M イオン強度においてプロトン化した。静電ポテンシャルを、DiscoveryStudio Proにおける「electrostatic potential」プロトコールを使用して算出した。このプロトコールは、DelPhiプログラムを呼び出す[42]。
ブリアキヌマブ及びウステキヌマブ-FcRn複合体の分子動力学シミュレーション
完全なIgGとしてのブリアキヌマブ及びウステキヌマブの相同性モデルを、完全なIgG1の結晶構造(PDB ID 1HZH)により、テンプレートとしてグリカンを使用することなく、DiscoveryStudio Pro, Version 3.5を使用して構築した。この簡易化は、適切であったと考えられる。in vitroにおけるグリコシル化は、FcRn結合性に顕著な影響を有さないためである[43]。このテンプレート中のFabドメインを、そのC1及びCドメインのアライメント後に、上記されたFab構造により置き換えた。ヒトFcRnの相同性モデルを、テンプレートとしてラットFcRn-Fc複合体(PDB ID 1I1A)を使用して、DiscoveryStudio Proにより構築した。欠けている残基を、DiscoveryStudio Proの「prepare protein」スクリプトにより構築した。ヒトFcRnの相同性モデルを、ブリアキヌマブ及びウステキヌマブIgGモデルの両重鎖に対して、FcRn周囲5Å内にあるラットFcドメインのC-アルファ原子と、ヒトFc領域におけるその相同的な対応物とを重ねることにより、モデル化した。MDシミュレーションについて、FcRn:Fc界面(FcRn中の残基108とFc中の残基255との間、図S1)におけるジスルフィド結合を、シミュレーション中に複合体が解離するのを妨げるために導入した。得られた構造は、FcRn/β2mgヘテロ二量体の2つのコピーを有する完全なIgGを表す。
IgG-FcRn複合体の分子動力学(MD)シミュレーションを、GROMACS 4.6.2シミュレーションソフトウェアパッケージ(www.gromacs.orgから入手)[44]により、基本的にKortkhonjia et al.[45]に記載されているように行った。シミュレーションを、Linuxオペレーティングシステムで動作するコンピュータクラスターの160個のプロセッサのにおいて、平行して行った。OPLSAA force field[46]を使用し、構造を、約128’000 TIP3の水分子により完全に溶媒和した。塩化物又はナトリウム原子を加えて、系全体の電荷を中和した。周期的な境界条件による切頂八面体を、タンパク質周囲の7.5オングストローム境界と共に使用した。静電相互作用を、PME積算を使用して、1.0nmの実空間静電カットオフにより算出した。レナード-ジョーンズポテンシャルを、1.0nmでカットオフした。LINCSを使用して、全てのタンパク質結合長を制限し、2fsのタイムステップを可能にした。温度を、V-rescaleアルゴリズムを使用して、300Kで一定に保った。エネルギー最少化(ターゲット:最大力<1000kJ/mol/nm)に従って、30psでの平衡化を行った。その後、100nsの長さにわたって軌跡をシミュレーションした。
IgG-FcRn相互作用エネルギーの算出
MD軌跡中にFcRnに近づく、FcRnとFabドメインとの間の非結合相互作用に対する静電的寄与を、DiscoveryStudio Proにより算出した。エネルギー算出について、タンパク質を、上記されたのと同じ設定で、pH7.4、145mM イオン強度、及び37℃の温度でプロトン化した。構造を、最大1000ステップの「smart minimizer」プロトコールにより最小化した。その後、相互作用エネルギーを、「calculate interaction energy」プロトコールを使用して、DiscoveryStudio ProにおけるCHARMm force fieldにより算出した。顕在する水及びGBMV静電モデルを使用した。この計算を、軌跡(0ns)の開始時と、1ns間隔で96~100nsとで行った。
実施例1
FcRn親和性カラムの準備
HEK293細胞中でのFcRnの発現
FcRnを、FcRnとベータ-2-ミクログロブリンとのコード配列を含有する2つのプラスミドによるHEK293細胞のトランスフェクションにより、一過性に発現させた。トランスフェクションされた細胞を、振とうフラスコ中において、36.5℃、120rpm(振とう器振幅5cm)、湿度80%、及び7% COで培養した。該細胞を、2~3日毎に、3~4×10個/mLの密度に希釈した。
一過性発現のために、14Lのステンレス鋼製バイオリアクタを、培養容積 8Lで、36.5℃、pH7.0±0.2、pO 35%(N及び空気でガス補給、合計ガス流量 200ml・分-1)、及び100~400rpm 撹拌速度で開始した。細胞密度が20×10個/mLに達した時点で、10mg プラスミドDNA(両プラスミドの等モル量)を、Opti-MEM(Invitrogen)の400mL中で希釈した。293fectin(Invitrogen)の20mLを、この混合物に加えた。ついで、混合物を、室温で15分間インキュベーションし、その後、発酵槽に移した。翌日から、細胞に、連続モードで栄養を供給した。フィード溶液を、1日当たりに500mLの速度で加え、2g/lを上回るレベルを維持するのに必要なグルコースを加えた。上清を、トランスフェクション後7日で、11個のバケットを有するスイングヘッド遠心分離:4000rpmで90分間を使用して収集した。上清(13L)を、Sartobran Pフィルタ(0.45μm+0.2μm、Sartorius)により浄化し、FcRn ベータ-2-ミクログロブリン複合体を、それから精製した。
新生児Fcレセプターのビオチン化
3mg FcRnを、150mM 塩化ナトリウムを含有する20mM リン酸二水素ナトリウムバッファー 5.3mL中に溶解/希釈し、PBS 250μL及びcomplete protease inhibitor(complete ULTRA Tablets, Roche Diagnostics GmbH) 1錠を加えた。FcRnを、Avidityから入手したビオチン化キットを使用して、製造メーカーの説明書に従って、ビオチン化した(Bulk BIRA, Avidity LLC)。ビオチン化反応を、室温で一晩行った。
ビオチン化FcRnを、150mM NaClを含む20mM リン酸二水素ナトリウムバッファー(pH7.5)に対して、4℃で一晩透析して、過剰なビオチンを除去した。
ストレプトアビジンセファロースへの結合
ストレプトアビジンセファロースに結合させるために、1グラム ストレプトアビジンセファロース(GE Healthcare, United Kingdom)を、ビオチン化し、透析したFcRnに加え、4℃で一晩インキュベーションした。FcRn誘導体化セファロースを、XKカラム(GE Healthcare, United Kingdom) 1mLに充填した。ついで、FcRnカラムを、140mM 塩化ナトリウムを含有する20mM 2-(N-モルホリン)-エタンスルホン酸(MES)ナトリウム塩バッファー(pH5.5)で平衡化した。
実施例2
FcRn親和性カラム及びpH勾配を使用するクロマトグラフィー
レセプター誘導体化セファロースを、XKカラム(GE Healthcare) 1mLに充填し、ついで、FcRnカラムを、140mM NaClを含有する20mM 2-(N-モルホリン)-エタンスルホン酸(MES)バッファー(pH5.5)で平衡化した。
条件
カラム寸法: 50mm×5mm
ベッド高さ: 5cm
ローディング: 30μg サンプル
平衡化バッファー: 140mM NaClを含む20mM MES、pH5.5に調整
溶出バッファー: 140mM NaClを含む20mM Tris/HCl、pH8.8に調整
溶出: 7.5CV 平衡化バッファー、120分間に100% 溶出バッファー、10CV 溶出バッファー
サンプルを、20mM 2-(N-モルホリン)-エタンスルホン酸(MES)ナトリウム塩、140mM 塩化ナトリウム(pH5.5)中で調製した。各サンプルは、1注入当たりに30μg mAbを含んだ。抗体を、pH5.5から8.8に向かう線形pH勾配により、20mM 2-(N-モルホリン)-エタンスルホン酸(MES)ナトリウム塩、140mM 塩化ナトリウム(pH5.5)及び20mM トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンTRIS、140mM 塩化ナトリウム(pH8.8)を溶出液として使用し、0.5mL/分の流速で、120分以内に溶出した。FcRnカラムクロマトグラフィーは、酸性pH(pH5.5~6.0)において結合性を示し、より高いpH値において放出を示す。抗体の完全な溶出のために、pHを、勾配においてpH8.8まで上昇させる。クロマトグラムを、Chromeleonソフトウェア(Dionex, Germany)を使用することにより、手作業で積分した。実験を、室温で行った。溶出プロファイルを、280nmでの吸光度の連続的な測定により得た。特定の保持時間での溶出pHを決定するために、サンプルを、5分毎に回収し、pHを、オフラインで測定した。
実施例3
FcRn親和性カラム、pH勾配、及び高塩条件を使用するクロマトグラフィー
レセプター誘導体化セファロースを、XKカラム(GE Healthcare) 1mLに充填し、ついで、FcRnカラムを、400mM NaClを含有する20mM 2-(N-モルホリン)-エタンスルホン酸(MES)バッファー(pH5.5)で平衡化した。
条件
カラム寸法: 50mm×5mm
ベッド高さ: 5cm
ローディング: 30μg サンプル
平衡化バッファー: 400mM NaClを含む20mM MES、pH5.5に調整
溶出バッファー: 400mM NaClを含む20mM Tris/HCl、pH8.8に調整
溶出: 7.5CV 平衡化バッファー、120分間に100% 溶出バッファー、10CV 溶出バッファー
サンプルを、20mM 2-(N-モルホリン)-エタンスルホン酸(MES)ナトリウム塩、400mM 塩化ナトリウム(pH5.5)中で調製した。各サンプルは、1注入当たりに30μg mAbを含んだ。抗体を、pH5.5から8.8に向かう線形pH勾配により、20mM 2-(N-モルホリン)-エタンスルホン酸(MES)ナトリウム塩、400mM 塩化ナトリウム(pH5.5)及び20mM トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンTRIS、400mM 塩化ナトリウム(pH8.8)を溶出液として使用し、0.5mL/分の流速で、120分以内に溶出した。FcRnカラムクロマトグラフィーは、酸性pH(pH5.5~6.0)において結合性を示し、より高いpH値において放出を示す。抗体の完全な溶出のために、pHを、勾配においてpH8.8まで向上させる。クロマトグラムを、Chromeleonソフトウェア(Dionex, Germany)を使用することにより、手作業で積分した。実験を、室温で行った。溶出プロファイルを、280nmでの吸光度の連続的な測定により得た。特定の保持時間での溶出pHを決定するために、サンプルを、5分毎に回収し、pHを、オフラインで測定した。
実施例4
FcRn親和性カラム及び塩勾配を使用するクロマトグラフィー
レセプター誘導体化セファロースを、XKカラム(GE Healthcare) 1mLに充填し、ついで、FcRnカラムを、10mM 2-(N-モルホリン)-エタンスルホン酸(MES)バッファー(pH7.8)で平衡化した。
条件
カラム寸法: 50mm×5mm
ベッド高さ: 5cm
ローディング: 30μg サンプル
平衡化バッファー: 10mM MES、pH7.8に調整
溶出バッファー: 250mM NaClを含む10mM MES、pH7.8に調整
溶出: 7.5CV 平衡化バッファー、60分間に100% 溶出バッファー、10CV 溶出バッファー
サンプルを、10mM 2-(N-モルホリン)-エタンスルホン酸(MES)ナトリウム塩(pH7.8)中で調製した。各サンプルは、1注入当たりに30μg mAbを含んだ。抗体を、0nMから250nMに向かう塩化ナトリウムの線形塩濃度により、10mM 2-(N-モルホリン)-エタンスルホン酸(MES)ナトリウム塩(pH7.8)及び10mM 2-(N-モルホリン)-エタンスルホン酸(MES)ナトリウム塩、250mM 塩化ナトリウム(pH7.8)を溶出液として使用し、0.5mL/分の流速で、60分以内に溶出した。実験を、室温で行った。溶出プロファイルを、280nmでの吸光度の連続的な測定により得た。クロマトグラムを、Chromeleonソフトウェア(Dionex, Germany)を使用することにより、手作業で積分した。
実施例5
FcRn親和性カラムを使用するクロマトグラフィー
レセプター誘導体化セファロースを、XKカラム(GE Healthcare) 1mLに充填し、ついで、FcRnカラムを、150mM NaClを含有する20mM 2-(N-モルホリン)-エタンスルホン酸(MES)バッファー(pH5.5)で平衡化した。
条件
カラム寸法: 50mm×5mm
ベッド高さ: 5cm
ローディング: 50μg サンプル
平衡化バッファー: 150mM NaClを含む20mM MES、pH5.5に調整
溶出バッファー: 150mM NaClを含む20mM Tris/HCl、pH8.8に調整
溶出: 7.5CV 平衡化バッファー、30CVの間に100% 溶出バッファー、10CV 溶出バッファー
50~100μg タンパク質を含有する抗体又は融合タンパク質サンプルを、pH5.5に調整し、AKTA explorer 10 XT又はDionex Summit(Dionex, Idstein, Germany)を使用するFcRnカラムにアプライした。ついで、5cmのベッド高さを有するカラムを、20mM MES、150mM NaCl(pH5.5)の平衡化バッファー 5~10カラム量で洗浄した。親和性結合したFc含有タンパク質を、20mM Tris/HCl、150mM NaCl(pH8.8)へのpH勾配により、30カラム量で溶出した。改変抗体の完全な溶出のために、pHを、勾配において、pH8.8まで上昇させた。実験を、室温で行った。溶出プロファイルを、280nmでの吸光度の連続的な測定により得た。サンプル注入後、検体ピークXが検出器に達するのに掛かった時間を、保持時間と呼んだ。
実施例6
FcRnカラムにおける保持時間とin vivoでの半減期との相関
in vivoでの半減期を、10mg/kg(n=8)の単回i.v.投与後に、ヒトFcRnトランスジェニックC57BL/6Jマウスにおいて測定し、FcRnカラムにおける保持時間と比較した(表15を参照のこと)。FcRnカラムから遅い溶出を示した抗体は、FcRnトランスジェニックマウスにおいて、より長い半減期を有したことが見出された。
Figure 0007032490000053
実施例7
ヒトFcRn、マウスFcRn、及びカニクイザルFcRnの精製
ヘキサヒスタグ付きタンパク質を含有する澄んだ上清を、Ni-NTA親和性クロマトグラフィー樹脂(Qiagen, Hanbrechtikon, Switzerland)に、4℃でロードした。500mM NaClを含む20mM リン酸ナトリウムバッファー、pH7.4と、100mM イミダゾールを含有する20mM リン酸ナトリウムバッファーとのそれぞれによる洗浄工程後、タンパク質を、2mL/分の流速において、300mM イミダゾールを含有する同じバッファーによるバッチ溶出を使用して、AKTA Primクロマトグラフィーシステム(Amersham Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)で溶出した。画分をプールし、500mM NaClを含有するリン酸ナトリウムバッファー中において、サイズ排除クロマトグラフィー(Superdex(商標) 200, GE Healthcare, Zurich, Switzerland)で更に精製した。精製タンパク質を、Nanodrop分光計(Nanodrop Technologies, Wilmington, DE)を使用して定量し、SDS PAGEにより、MESバッファー中でのNuPAGE 4~12% Bis-Trisゲルにおいて、変性及び還元条件下で分析した。
実施例8
マウス及びカニクイザルFcRn親和性カラムクロマトグラフィー
下記表16に、カニクイザル由来のFcRnを含む親和性カラムでの例示的なヒト抗体の保持時間を提供する。データを、下記条件を使用して得た。溶出バッファー:20mM TRIS/HCl、150mM NaCl、pH8.5。更なる説明は、実施例2を参照のこと。YTE-突然変異体という用語は、三重突然変異体M252Y/S254T/T256Eを意味する。
Figure 0007032490000054
下記表17に、マウスFcRnでの例示的なヒト抗体の保持時間を提供する。データを、下記条件を使用して得た。セファロース 1mLに結合させた1.2mg レセプター。溶出バッファー:20mM TRIS/HCl、150mM NaCl、pH8.5。更なる説明は、実施例2を参照のこと。溶出バッファーのpHが9.5に調整されない限り、YTE-突然変異体を溶出することができなかったため、YTE-突然変異体は、この表には含まれていない。
Figure 0007032490000055
カニクイザルFcRn親和性カラムは、ヒト化抗体の結合性に関してヒトFcRn親和性カラムと同様に挙動した。一方、マウスFcRnカラムに対するヒト化抗体の結合性は、より遅い保持から分かるように、ヒトFcRn親和性カラムに対するより強い。
実施例9
抗体フラグメントの生成
F(ab’)フラグメント及びFc領域フラグメントを、抗体50μg当たりに1μg IdeSシステインプロテアーゼを加え、37℃で2時間インキュベーションすることにより、100mM Tris(pH8.0)で1:1希釈した全長抗体を開裂させて調製した。得られた開裂生成物であるF(ab’)及びFcを、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)カラム(Superdex 200, GE Healthcare, Zurich, Switzerland)において、AKTA Explorerクロマトグラフィーシステム(GE Healthcare, Uppsala, Sweden)で分離し、ピーク画分をプールした。2つ開裂生成物をその保持時間に基づいて特定するのに、分子量標準を同じカラムに供給した。
全長抗体の保持時間は、顕著に変動した。対照的に、全ての試験抗体の各Fc部分の保持時間は、実際には、互いに異ならなかった(1%未満)。
プラスミンを、全長抗体の開裂に使用した場合、同じ知見が得られた(データを示さず)。
実施例10
ヒトFcRnマウスにおける薬物動態研究
全ての手法を、実験動物ケア評価認証協会(www.aaalac.org)のガイドラインに従って行った。この研究は、Regional Council of Oberbayern, Germanyにより承認された。
マウスFcRnを欠損しているが、ヒトFcRnについて半接合トランスジェニックな(huFcRn(276)-/tg(30、31))、オス及びメスのC57BL/6Jマウス(バックグラウンド)を、薬物動態研究全体を通して使用した。
投与の時点で、動物は、体重17~25gであった。各抗体を、尾静脈を介して、単回静脈内ボーラス注射として与えた。マウスの限られた血液量のために、4匹のオス及び4匹のメスの各動物の3つの群は、9回のサンプリング時点、すなわち、1動物当たりに3回のサンプリング時点をカバーするのに必要であった。血液サンプルを、群1において、投与後5分、24時間、及び336時間、群2において、投与後2時間、168時間、及び504時間、ならびに、群3において、投与後8時間、48時間、672時間で採取した。血液サンプル 約100μLを、眼球後ろの穿孔により取得し、室温で60分間保存して、凝固させた。血清サンプル 少なくとも40μLを、9,300×g、4℃で3分間の遠心分離により取得し、直ちに凍結させ、アッセイするまで-20℃で保存した。
マウス血清中のヒト治療抗体の血清濃度を、投与された抗体及びその変異体の抗原結合領域(Fab)に特異的な抗原捕捉酵素結合免疫吸着アッセイ法(ELISA)により決定した。全ての試薬又はサンプルを、室温において、400rpmでの振とう器上でインキュベーションした。各洗浄工程は、三回のサイクルを含んだ。簡潔に述べると、ストレプトアビジンコートマイクロタイタープレートを、アッセイバッファーで希釈したビオチン化抗体でコートした。リン酸緩衝生理食塩水-ポリソルベート20(Tween20)での洗浄後、種々の希釈での血清サンプルを加え、1時間インキュベーションした。洗浄後、結合したヒト治療抗体を、マウスIgGと交差反応しない、ジゴキシゲニンとコンジュゲートさせたヒトFcγ特異的モノクローナル抗体Fabフラグメントとの、その後のインキュベーションにより検出した。洗浄後、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)とコンジュゲートさせた抗-ジゴキシゲニン抗体を加え、1時間インキュベーションした。洗浄後、ABTS(2,2’-アジノ-ジ[3-エチルベンズチアゾリンスルホナート];Roche Diagnostics, Germany)を、HRP基質として加え、着色反応生成物を形成した。得られた反応生成物の吸光度を、490nmでの参照波長と共に405nmで読み取った。全ての血清サンプル及び陽性又は陰性の対照サンプルを、繰返しで分析し、参照標準に対して較正した。
薬物動態パラメータを、薬物動態評価プログラムであるWinNonlin(商標)(Pharsight, St. Louis, MO, USA)version 5.2.1を使用する非コンパートメント分析により算出した。簡潔に述べると、濃度/時間曲線下面積AUC(0-672)を、時間0~無限大に向かって、線形台形則(線形内挿法)により算出した。見かけの終末相半減期(T1/2)を、等式T1/2=ln2/λzから導いた。全身クリアランス(CL)を、用量/AUCとして算出した。野生型抗体とその変異体との間での薬物動態パラメータにおける統計学的な有意差を、ANOVA分析により決定した。
マウスFcRnを欠損しているが、ヒトFcRnについて半接合トランスジェニックな(huFcRn(276)-/tg)C57BL/6Jマウスにおける薬物動態研究から、YTE突然変異が、抗体の薬物動態を向上させることが示された。統計学的有意性のレベルにおいて、YTE突然変異は、野生型抗体との比較において、1.74倍高いAUC(0-672)、1.95倍遅いクリアランス、及び2.2倍長い終末相半減期を有した(表14)。
表18:野生型抗体及びその三重突然変異体YTEについての薬物動態パラメータを、ヒトFcRnトランスジェニックマウスに対する10mg/kgの単回i.v.ボーラス注射後に、ELISAにより測定された血清濃度の非コンパートメント分析により得た。平均±SD、1群当たりにn=8。野生型抗体との比較における有意性のANOVA分析(+++、p<0.001)。AUC(0-672)は、0~672時間の血清濃度-時間曲線下面積である。
Figure 0007032490000056
実施例11
ヒトFcRnマウスにおける薬物動態研究
全ての手法を、実験動物ケア評価認証協会(www.aaalac.org)のガイドラインに従って行った。この研究は、Regional Council of Oberbayern, Germanyにより承認された。
マウスFcRnを欠損しているが、ヒトFcRnについて半接合トランスジェニックな(huFcRn(276)-/tg(30、31))、オス及びメスのC57BL/6Jマウス(バックグラウンド)を、薬物動態研究全体を通して使用した。
4つの抗体:ブリアキヌマブ、ウステキヌマブ、mAb8、及びmAb9を、in vivo研究に使用した。
各抗体を、単回静脈内ボーラス注射(10mg/kg)として与えた。マウスの限られた血液量のために、各6匹の動物の3つの群が、9回のサンプリング時点をカバーするのに必要であった。最後のサンプリング時点を、投与後4週間とした。
結果を、図3に示す。
Figure 0007032490000057
ヒトFcRnトランスジェニックマウスにおける終末相半減期の差異が異なるFcRn-mAb相互作用により生じたことを確認するために、FcRnノックアウトマウスにおける第2のin vivo研究を行った。この研究に使用したマウス数を減らすために、3つの抗体:ブリアキヌマブ、ウステキヌマブ、及びmAb9のみを使用した。
10mg/kg 抗体のi.v.投与後に、全ての抗体のクリアランスは、FcRn媒介性IgGリサイクリングが行われないため、ヒトFcRnトランスジェニックマウスにおけるより、FcRnノックアウトマウスにおいて非常に速い。アルファ及びベータ相における分割を、明確に定義できない。抗体が非常に速く除去されるためである。ブリアキヌマブは、ウステキヌマブ及びmAb9と比較して、投与後最初の数時間において、より速い分布を伴って、異なる薬物動態挙動を有することを実証することができる。これらの知見は、ヒトFcRnトランスジェニックマウスでも観察された。このことは、投与後の最初の数時間における分布プロセスが、FcRn媒介性でないことを示している。
下記PKパラメータ:AUC0-inf、Cl、VSS、及びT1/2を算出し、まとめた。
Figure 0007032490000058
ウステキヌマブ及びmAb9は、AUC0-inf、Cl、VSS、及びT1/2に関して同等である。ブリアキヌマブは、ウステキヌマブ及びmAb9より、小さいAUC0-inf、速いCl、及び短いT1/2を有する。T1/2の算出は、実際の値とは異なる場合がある。終末相半減期をより正確に算出するのには、3及び4日後の時点が必要であったであろうためである。
終末相半減期の統計学的分析を、テューキーのHSD検定を使用して算出した。統計学的な有意性を、ブリアキヌマブとウステキヌマブ間、及び、ブリアキヌマブとmAb9間の終末相半減期で検出することができた。
ADAの形成を、薬剤/ADA免疫複合体の検出により試験した。FcRnノックアウトマウスにおいて、10mg/kg ブリアキヌマブの投与は、約168~192時間(7~8日)後に、ブリアキヌマブ/ADA免疫複合体の形成をもたらした。
表21:FcRnノックアウトマウスにおけるブリアキヌマブ投与後のADA-陽性サンプル
FcRnノックアウトマウスにおける10mg/kg ブリアキヌマブのi.v.投与後の各サンプリング時点の血清濃度。ADA-陽性サンプルを、中程度及び高度な薬剤/ADA免疫複合体の形成について、それぞれ及び**として示す。
Figure 0007032490000059
mAb9の投与後に、薬剤/ADA免疫複合体も、約168時間(7日、表28)後に最初に検出された。ウステキヌマブの投与後には、ウステキヌマブ/ADA複合体は、FcRnノックアウトマウスにおいて検出されなかった(表27)。ブリアキヌマブ及びmAb9の濃度-時間曲線は、ADA形成による速い減少を示していない。ウステキヌマブ及びmAb9は、非常に類似する濃度-時間曲線を有する。このことは、mAb9投与後のADA形成がPKに影響を及ぼさないことを示している。
表22:ヒトFcRnトランスジェニックマウスにおけるブリアキヌマブの血清濃度
血清濃度を、1群当たりに6匹の動物に対する、10mg/kgの単回用量i.v.注射の投与後に決定する。ADA-陽性サンプルを、中程度及び高度な薬剤/ADA免疫複合体の形成について、それぞれ及び**として示す。
Figure 0007032490000060
表23:ヒトFcRnトランスジェニックマウスにおけるウステキヌマブの血清濃度
血清濃度を、1群当たりに6匹の動物に対する、10mg/kgの単回用量i.v.注射の投与後に決定する。ADA-陽性サンプルを、中程度及び高度な薬剤/ADA免疫複合体の形成について、それぞれ及び**として示す。
Figure 0007032490000061
表24:ヒトFcRnトランスジェニックマウスにおけるmAb8の血清濃度
血清濃度を、1群当たりに6匹の動物に対する、10mg/kgの単回用量i.v.注射の投与後に決定する。ADA-陽性サンプルを、中程度及び高度な薬剤/ADA免疫複合体の形成について、それぞれ及び**として示す。
Figure 0007032490000062
表25:ヒトFcRnトランスジェニックマウスにおけるmAb9の血清濃度
血清濃度を、1群当たりに6匹の動物に対する、10mg/kgの単回用量i.v.注射の投与後に決定する。ADA-陽性サンプルを、中程度及び高度な薬剤/ADA免疫複合体の形成について、それぞれ及び**として示す。
Figure 0007032490000063
表26:FcRnノックアウトマウスにおけるブリアキヌマブの血清濃度
血清濃度を、1群当たりに6匹の動物に対する、10mg/kgの単回用量i.v.注射の投与後に決定する。ADA-陽性サンプルを、中程度及び高度な薬剤/ADA免疫複合体の形成について、それぞれ及び**として示す。
Figure 0007032490000064
表27:FcRnノックアウトマウスにおけるウステキヌマブの血清濃度
血清濃度を、1群当たりに6匹の動物に対する、10mg/kgの単回用量i.v.注射の投与後に決定する。
Figure 0007032490000065
表28:FcRnノックアウトマウスにおけるmAb9の血清濃度
血清濃度を、1群当たりに6匹の動物に対する、10mg/kgの単回用量i.v.注射の投与後に決定する。ADA-陽性サンプルを、中程度及び高度な薬剤/ADA免疫複合体の形成について、それぞれ及び**として示す。
Figure 0007032490000066

Claims (9)

  1. 下記工程:
    ii)第1のpH値での線形塩勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の第1の保持時間を決定し、第2のpH値での線形塩勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の第2の保持時間を決定する工程、又は
    v)正の線形pH勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及びそのFc領域の保持時間を決定する工程、又は
    vi)高pH値での線形塩勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及びそのFc領域の保持時間を決定する工程
    を含む、
    抗体を選択する方法であって、
    該方法は、IgG1、IgG3、又はIgG4サブクラスの抗体と比較して増大している相対的in vivo半減期を有する抗体を選択するためのものであり
    v)及びvi)において、更に、参照抗体又は参照Fc領域の保持時間を決定し、
    a)参照抗体の第1の保持時間より長い第1の保持時間を有し、第2の保持時間と実質的に同じ第1の保持時間を有する抗体、又は
    c)そのFc領域の保持時間と実質的に同じで、参照抗体の保持時間より長い保持時間を有する抗体
    を選択することによる、方法(但し、工程ii)を含む場合に、a)を選択することによる態様を除く)。
  2. 下記工程:
    ii)第1のpH値での線形塩勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の第1の保持時間を決定し、第2のpH値での線形塩勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の第2の保持時間を決定する工程、又は
    v)正の線形pH勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及びそのFc領域の保持時間を決定する工程、又は
    vi)高pH値での線形塩勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及びそのFc領域の保持時間を決定する工程
    を含む、
    抗体を選択する方法であって、
    該方法は、参照抗体に対する抗体のin vivo半減期の相対的増大又は減少を決定するためのものであり、
    v)及びvi)において、更に、参照抗体又は参照Fc領域の保持時間を決定し、
    ii)、v)、及びvi)において、更に、突然変異N434Aを有するIgG Fc領域の保持時間を決定し、
    a)参照抗体の第1の保持時間より長い第1の保持時間を有し、実質的に同じである第1の保持時間と第2の保持時間を有し、突然変異N434Aを有するFc領域の保持時間より短い第1の保持時間を有する抗体を選択することにより、相対的に増大したin vivo半減期を有する抗体を選択することによるか、又は
    c)参照抗体の第1の保持時間より短い第1の保持時間を有し、実質的に同じである第1の保持時間と第2の保持時間を有する抗体を選択することにより、相対的に減少したin vivo半減期を有する抗体を選択することによる、方(但し、工程ii)を含む場合に、a)を選択することによる態様を除く)。
  3. 下記工程:
    ii)第1のpH値での線形塩勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の第1の保持時間を決定し、第2のpH値での線形塩勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の第2の保持時間を決定する工程、又は
    v)正の線形pH勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及びそのFc領域の保持時間を決定する工程、又は
    vi)高pH値での線形塩勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及びそのFc領域の保持時間を決定する工程
    を含み、
    a)第2の保持時間と実質的に同じ第1の保持時間を有する抗体、又は
    c)そのFc領域の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体
    を選択することによる、
    抗体を選択する方法であって、
    線形塩勾配が、0mMの塩~250mMの塩である、方(但し、工程ii)を含む場合に、a)を選択することによる態様を除く)
  4. 下記工程:
    ii)第1のpH値での線形塩勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の第1の保持時間を決定し、第2のpH値での線形塩勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の第2の保持時間を決定する工程、又は
    v)正の線形pH勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及びそのFc領域の保持時間を決定する工程、又は
    vi)高pH値での線形塩勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及びそのFc領域の保持時間を決定する工程
    を含み、
    a)第2の保持時間と実質的に同じ第1の保持時間を有する抗体、又は
    c)そのFc領域の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体
    を選択することによる、
    抗体を選択する方法であって、
    第1のpH値が、約5.5である、方(但し、工程ii)を含む場合に、a)を選択することによる態様を除く)
  5. 下記工程:
    ii)第1のpH値での線形塩勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の第1の保持時間を決定し、第2のpH値での線形塩勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の第2の保持時間を決定する工程、又は
    v)正の線形pH勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及びそのFc領域の保持時間を決定する工程、又は
    vi)高pH値での線形塩勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及びそのFc領域の保持時間を決定する工程
    を含み、
    a)第2の保持時間と実質的に同じ第1の保持時間を有する抗体、又は
    c)そのFc領域の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体
    を選択することによる、
    抗体を選択する方法であって、
    第2のpH値が、約7.4である、方(但し、工程ii)を含む場合に、a)を選択することによる態様を除く)。
  6. 下記工程:
    ii)第1のpH値での線形塩勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の第1の保持時間を決定し、第2のpH値での線形塩勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の第2の保持時間を決定する工程、又は
    v)正の線形pH勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及びそのFc領域の保持時間を決定する工程、又は
    vi)高pH値での線形塩勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及びそのFc領域の保持時間を決定する工程
    を含み、
    a)第2の保持時間と実質的に同じ第1の保持時間を有する抗体、又は
    c)そのFc領域の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体
    を選択することによる、
    抗体を選択する方法であって、
    高pH値が、約pH7.4である、方(但し、工程ii)を含む場合に、a)を選択することによる態様を除く)
  7. 下記工程:
    ii)第1のpH値での線形塩勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の第1の保持時間を決定し、第2のpH値での線形塩勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の第2の保持時間を決定する工程、又は
    v)正の線形pH勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及びそのFc領域の保持時間を決定する工程、又は
    vi)高pH値での線形塩勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及びそのFc領域の保持時間を決定する工程
    を含み、
    a)第2の保持時間と実質的に同じ第1の保持時間を有する抗体、又は
    c)そのFc領域の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体
    を選択することによる、
    抗体を選択する方法であって、
    実質的に異なる保持時間が、少なくとも5%異なる、方(但し、工程ii)を含む場合に、a)を選択することによる態様を除く)
  8. 下記工程:
    ii)第1のpH値での線形塩勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の第1の保持時間を決定し、第2のpH値での線形塩勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の第2の保持時間を決定する工程、又は
    v)正の線形pH勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及びそのFc領域の保持時間を決定する工程、又は
    vi)高pH値での線形塩勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及びそのFc領域の保持時間を決定する工程
    を含み、
    a)第2の保持時間と実質的に同じ第1の保持時間を有する抗体、又は
    c)そのFc領域の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体
    を選択することによる、
    抗体を選択する方法であって、
    実質的に同じ保持時間が、3.5%以下で異なる、方(但し、工程ii)を含む場合に、a)を選択することによる態様を除く)
  9. 下記工程:
    ii)第1のpH値での線形塩勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の第1の保持時間を決定し、第2のpH値での線形塩勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及び参照抗体の第2の保持時間を決定する工程、又は
    v)正の線形pH勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及びそのFc領域の保持時間を決定する工程、又は
    vi)高pH値での線形塩勾配溶出によるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムでの抗体及びそのFc領域の保持時間を決定する工程
    を含み、
    a)第2の保持時間と実質的に同じ第1の保持時間を有する抗体、又は
    c)そのFc領域の保持時間と実質的に同じ保持時間を有する抗体
    を選択することによる、
    抗体を選択する方法であって、
    保持時間が実質的に異なる場合、保持時間が、塩濃度の平方根上の1に比例する(~1/SQRT(c(salt)))、方(但し、工程ii)を含む場合に、a)を選択することによる態様を除く)。
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