JP7025936B2 - ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、ポリカーボネート樹脂に特定のリン酸エステル系化合物、ポリオルガノシロキサン成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分を有する複合ゴム系グラフト共重合体を配合することにより、耐衝撃性や難燃性に優れた樹脂組成物が得られると記載されている。また、特許文献2には、芳香族ポリカーボネート樹脂に、リン系難燃剤、ポリフルオロエチレン樹脂及び特定の多層構造重合体を配合してなる樹脂組成物は、難燃性や熱安定性、耐衝撃性に優れ、外観改善効果があるため、大型成形品や薄肉成形品として有用であることが記載されている。さらに、特許文献3には、耐衝撃性、成形性、流動性に優れた材料として、ポリカーボネート樹脂、複合ゴム系グラフト共重合体、リン酸エステル化合物及びポリテトラフルオロエチレンからなる難燃性樹脂組成物が記載されている。
中でもリン系難燃剤によって難燃化されたポリカーボネート/スチレン系樹脂アロイ組成物は、リン系難燃剤の可塑化効果により成形性に非常に優れるため、薄肉、大型成形品を得るためには最も一般的な組成物である(例えば特許文献4~6参照)。
しかし、特にOA機器、家電製品等においては、小型化、軽量化、高機能化等を目的としてその成形品は年々薄肉化されており、より高い成形性を得るために、加工温度を上げなくてはならず、また滞留時間が延びる傾向にあるため、上述のようなポリカーボネート/スチレン系樹脂アロイでは、高い衝撃強度を維持することができない、または黄変が起こり所望の色相の成形品が得られないという課題を有している。
このように、ポリカーボネート/スチレン系樹脂アロイでは、難燃性、耐衝撃性、さらに高温成形に耐え得る熱安定性を有し、さらに色相や耐湿熱性に優れることが求められている。
本発明は、以下のポリカーボネート樹脂組成物及び成形品に関する。
[2]ホスファイト系酸化防止剤(D)がビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト及び/又はビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトである上記[1]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[3]さらに、コア/シェル型エラストマー(F)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、1~20質量部含有する上記[1]または[2]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[4]さらに、タルク(G)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、1~10質量部含有する上記[1]~[3]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[5]さらに、白色顔料(H)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.01~7質量部含有する上記[1]~[4]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[6]白色顔料(H)が酸化チタンである上記[5]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[7]ホスファイト系酸化防止剤(D)と、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール及び/又は2,4-ビス-(α,α-ジメチルベンジル)フェノール(E)の含有量の合計が、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.002~1質量部である上記[1]~[6]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[8]2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール及び/又は2,4-ビス-(α,α-ジメチルベンジル)フェノール(E)とホスファイト系酸化防止剤(D)の質量比(E)/(D)が0.001~1である上記[1]~[7]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[9]上記[1]~[8]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
なお、本明細書において、「~」とは、特に断りのない限り、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。また、「部」とは、特に断りのない限り、質量基準に基づく質量部を表す。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いるポリカーボネート樹脂(A)の種類に制限はない。また、ポリカーボネート樹脂(A)は、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用してもよい。
ポリカーボネート樹脂は、式:-[-O-X-O-C(=O)-]-で示される炭酸結合を有する基本構造の重合体である。式中、Xは一般には炭化水素であるが、種々の特性付与のためヘテロ原子、ヘテロ結合の導入されたXを用いてもよい。
1,2-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,4-ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;
2,5-ジヒドロキシビフェニル、2,2’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
α,α’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ジイソプロピルベンゼン、
1,3-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)(4-プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-ナフチルエタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ドデカン、
等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,4-ジメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,5-ジメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-プロピル-5-メチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-tert-ブチル-シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-tert-ブチル-シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-フェニルシクロヘキサン、
等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;
4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;
4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;
等が挙げられる。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール、2-メチル-2-プロピルプロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、デカン-1,10-ジオール等のアルカンジオール類;
ポリカーボネート樹脂(A)の分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]は、通常10000以上、好ましくは14000以上、より好ましくは15000以上であり、また、通常40000以下、好ましくは33000以下、より好ましくは30000以下である。粘度平均分子量を前記範囲の下限値以上とすることにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度をより向上させることができ、機械的強度の要求の高い用途に用いる場合により好ましいものとなる。一方、粘度平均分子量を前記範囲の上限値以下とすることにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の流動性低下を抑制して改善でき、成形加工性を高めて成形加工を容易に行えるようになる。
なお、粘度平均分子量の異なる2種類以上のポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、粘度平均分子量が上記の好適な範囲外であるポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物が含有してもよいグラフト共重合体(B)は、芳香族ビニル単量体成分(b1)、シアン化ビニル単量体成分(b2)、ジエン系ゴム質重合体成分(b3)を含むグラフト共重合体である。グラフト共重合体(B)は、好ましくは、芳香族ビニル単量体成分(b1)40~80質量%、シアン化ビニル単量体成分(b2)10~30質量%、ジエン系ゴム質重合体成分(b3)10~50質量%及びその他の単量体成分(b4)0~30質量%からなることが好ましい。
芳香族ビニル単量体成分(b1)のグラフト共重合体(B)中の割合は、グラフト共重合体(B)100質量%中、好ましくは40~80質量%の範囲であり、より好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、特に好ましくは55質量%以上であり、より好ましくは75質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下、特に好ましくは65質量%以下である。
シアン化ビニル単量体成分(b2)のグラフト共重合体(B)中の割合は、グラフト共重合体(B)100質量%中、好ましくは10~30質量%の範囲であり、より好ましくは12質量%以上、さらに好ましくは14質量%以上、特に好ましくは15質量%以上であり、より好ましくは28質量%以下、さらに好ましくは26質量%以下、特に好ましくは25質量%以下である。
その他の単量体成分(b4)のグラフト共重合体(B)中の割合は、グラフト共重合体(B)100質量%中、好ましくは0~30質量%の範囲であり、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
グラフト共重合体(B)の好ましい含有量は、第1の態様では、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、10~40質量部であり、より好ましくは12質量部以上、さらに好ましくは15質量部以上、特に好ましくは18質量部以上であり、好ましくは35質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下、特に好ましくは27質量部以下であり、より好ましくは12~35質量部、さらに好ましくは15~30質量部、特に好ましくは18~27質量部である。
また、グラフト共重合体(B)を含まない、あるいは少量含有する第2の態様でのグラフト共重合体(B)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0質量部または0質量部超10質量部未満であることが好ましく、0質量部以上8質量部未満であることが好ましく、0質量部以上6.5質量部未満がさらに好ましく、0質量部以上5質量部未満であることが特に好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、難燃剤としてリン酸エステル化合物(C)を含有する。リン酸エステル化合物(C)としては、低分子であっても、オリゴマーであっても、ポリマーであってもよいが、熱安定性の面から、一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物が特に好ましい。
トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、クレジルジフェニルホスフェート(CDP)、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート(EHDP)、tert-ブチルフェニルジフェニルホスフェート、ビス-(tert-ブチルフェニル)フェニルホスフェート、トリス-(tert-ブチルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ビス-(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート、トリス-(イソプロピルフェニル)ホスフェート等の芳香族リン酸エステル類;
レゾルシノールビス-ジフェニルホスフェート(RDP)、レゾルシノールビス-ジキシレニルホスフェート(RDX)、ビスフェノールAビス-ジフェニルホスフェート(BDP)、ビフェニルビス-ジフェニルホスフェート等の縮合リン酸エステル類;
等が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ホスファイト系酸化防止剤(D)を含有する。ホスファイト化合物は、一般式:P(OR)3で表される3価のリン化合物であり、Rは、1価又は2価の有機基を表す。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール及び/又は2,4-ビス-(α,α-ジメチルベンジル)フェノール(E)を含有する。
2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール及び/又は2,4-ビス-(α,α-ジメチルベンジル)フェノール(E)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.00001~0.1質量部であり、好ましくは0.00005質量部以上、より好ましくは0.0001質量部以上、さらに好ましくは0.0002質量部以上、特に好ましくは0.0003質量部以上であり、さらに好ましくは0.0004質量部以上であり、また、好ましくは0.09質量以下であり、より好ましくは0.08質量部以下であり、さらに好ましくは0.07質量部以下であり、好ましくは0.0002~0.09質量部、より好ましくは0.0003~0.08質量部、さらに好ましくは0.0003~0.07質量部である。2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール及び/又は2,4-ビス-(α,α-ジメチルベンジル)フェノール(E)の含有量が、0.00001質量部未満の場合は色相、耐湿熱性が不十分となり、0.1質量部を超える場合は耐衝撃性や耐湿熱性が悪化しやすい。
また、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール及び/又は2,4-ビス-(α,α-ジメチルベンジル)フェノール(E)とホスファイト系酸化防止剤(D)の含有量の質量比(E)/(D)は0.001~1であることが好ましく、0.005~0.8がより好ましく、0.01~0.5がさらに好ましく、0.02~0.5が特に好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、コア/シェル型エラストマー(F)を含有する。
コア/シェル型のエラストマーとしては、コア/シェル型グラフト共重合体タイプのものが好ましく、ポリブタジエン等のジエン系ゴム、ポリブチルアクリレート系ゴム、ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとからなるIPN型複合ゴム等から選ばれる少なくとも1種のゴム成分をコア層とし、その周囲に(メタ)アクリル酸エステルを共重合して形成されたシェル層からなるコア/シェル型グラフト共重合体が挙げられる。
フェニルメタクリレート、ナフチルメタクリレート等のアリールメタクリレート;
グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有メタクリレート;等が挙げられるが、中でも耐熱性とポリカーボネート樹脂とのバランスの面よりメタクリル酸アルキルエステルが好ましく、メチルメタクリレートがより好ましい。
なお、上記(メタ)アクリル酸エステル化合物は1種又は2種以上を使用することができる。
スチレン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル類;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;
メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
マレイミド、N-メチルマレイミド、N-フェニルマレイミド等のマレイミド化合物;
マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等のα,β-不飽和カルボン酸化合物やそれらの無水物(例えば無水マレイン酸等);
等が挙げられる。
エチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブタンジオールジアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート等の多価アルコールの不飽和カルボン酸エステル類;
アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル等の不飽和カルボン酸アリルエステル;
ジアリルフタレート、ジアリルセバケート、トリアリルトリアジン等のジ及びトリアリル化合物等の架橋性単量体を併用することもできる。
なお、平均粒径は重合終了後のグラフト共重合体溶液を動的光散乱法にて測定した時の体積平均粒子径D50によって求められる。測定は、例えば、日機装社製「マイクロトラック粒度分析計9230UPA」を用いることができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、白色顔料(G)を含むことも好ましい。白色顔料を含有することにより、樹脂成形品を白度をすることが可能になる。白色顔料としては、酸化チタン、ZnS、ZnO等が例示され、酸化チタンがより好ましい。
白色顔料を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物はフルオロポリマーを含有することが好ましい。
フルオロポリマーとしては、例えば、フルオロオレフィン樹脂が挙げられる。フルオロオレフィン樹脂は、通常フルオロエチレン構造を含む重合体あるいは共重合体である。具体例としてはジフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合樹脂、テトラフルオロエチレン/パーフルアルキルビニルエーテル共重合樹脂等が挙げられる。中でも好ましくはテトラフルオロエチレン樹脂等が挙げられる。このフルオロエチレン樹脂としては、フィブリル形成能を有するフルオロエチレン樹脂が挙げられる。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は離型剤を含有することが好ましい。
離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200~15000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが好ましく挙げられる。
また、前記の脂肪族炭化水素の数平均分子量は、好ましくは5,000以下である。
なお、脂肪族炭化水素は、単一物質であってもよいが、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記の範囲内であれば使用できる。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール及び/又は2,4-ビス-(α,α-ジメチルベンジル)フェノール(E)以外のフェノール系化合物を含んでもよい。
その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3’’,5,5’,5’’-ヘキサ-tert-ブチル-a,a’,a’’-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン,2,6-ジ-tert-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノール、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニルアクリレート、2,4-ジ-tert-ブチルフェノールなどが挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上述したもの以外にその他の樹脂や添加剤等を含有してもよい。
その他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン-アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル-エチレンプロピレン系ゴム-スチレン共重合体(AES樹脂)などのスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂等が挙げられる。
なお、その他の樹脂は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
ただし、その他の樹脂を含有する場合の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、20質量部以下とすることが好ましく、10質量部以下がより好ましく、さらには5質量部以下、特には3質量部以下とすることが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、通常、任意の形状に成形して成形体として用いる。この成形体の形状、模様、色彩、寸法などに制限はなく、その成形体の用途に応じて任意に設定すればよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、高温の成形条件下であっても、熱安定性が優れる。本発明のポリカーボネート樹脂組成物が、グラフト共重合体(B)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、10~40質量部含有する場合では、樹脂温度が260℃以上というような高温の成形条件下であっても、熱安定性が優れるので、樹脂温度を265℃以上、特には270℃以上で射出成形することが可能となる。この際の樹脂温度の上限は好ましくは280℃程度である。本発明のポリカーボネート樹脂組成物が、グラフト共重合体(B)の含有量が、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0~10質量部の場合には、樹脂温度が290℃以上というような高温の成形条件下であっても、熱安定性が優れるので、樹脂温度を290℃以上、特には300℃以上で射出成形することが可能である。この際の樹脂温度の上限は好ましくは320℃程度である。
[樹脂ペレット製造]
上記表1に記したC成分以外の各成分を、後記表2~6に記した割合(全て質量部で記載)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製二軸押出機(TEX30α)に上流のフィーダーより供給し、さらにC成分を、表2~6に記した割合(質量部)で、バレルの途中より供給しながら、回転数250rpm、吐出量40kg/時間、バレル温度260℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、樹脂組成物のペレットを得た。
上述の製造方法で得られたペレットを80℃で5時間乾燥させた後、住友重機械工業社製の射出成形機(SE100DU型)を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度40℃の条件で射出成形し、長さ125mm、幅13mm、厚さが1.5mmのUL94-5V試験用試験片を成形した。
同様に上述の製造方法で得られたペレットを80℃で5時間乾燥させた後、日精樹脂工業社製の射出成形機(NEX80III、型締め力80T)を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度40℃の条件で射出成形し、ISO多目的試験片(3mm)を成形した。
各樹脂組成物の難燃性の評価は、上記で得られたUL試験用試験片(1.5mm厚)を、温度23℃、湿度50%の恒温室の中で48時間調湿し、UL94-5V規格に準拠して行った。
上述の方法で得られた270℃成形ISO多目的試験片(3mm)を用い、ISO179に準拠してノッチ付シャルピー衝撃強度(単位:kJ/m2)を測定し評価した。
上述の製造方法で得られたペレットを80℃で5時間乾燥させた後、住友重機械工業社製射出成形機(SE100DU型)を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度40℃で射出成形し、厚さ1.0mm、2.0mm、3.0mmの部分をそれぞれ有する3段プレートを得た。
3段プレートの厚さ3.0mmの部分について、コニカミノルタ社製の分光測色計(CM3600d)を用い、光源をD65、視野を10度に設定し、SCI通常測定モードにて、初期色相(初期b値)を測定した。
次に3段プレートを、65℃、湿度85%で1000時間保持した後、湿熱試験後の色相(湿熱試験後b値)を測定した。
以上の評価結果を以下の表2~6に示す。
[樹脂ペレット製造]
前記表1に記したC成分以外の各成分を、後記表7に記した割合(全て質量部で記載)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製二軸押出機(TEX30α)に上流のフィーダーより供給し、さらにC成分を、表7に記した割合(質量部)で、バレルの途中より供給しながら、回転数250rpm、吐出量40kg/時間、バレル温度260℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、樹脂組成物のペレットを得た。
上述の製造方法で得られたペレットを80℃で5時間乾燥させた後、住友重機械工業社製射出成形機(SE100DU型)を用いて、シリンダー温度300℃、金型温度40℃の条件で射出成形し、長さ125mm、幅13mm、厚さが0.8mmのUL試験用試験片を成形した。
同様に上述の製造方法で得られたペレットを80℃で5時間乾燥させた後、住友重機械工業社製の射出成形機(NEX80III、型締め力80T)を用いて、シリンダー温度300℃、金型温度40℃の条件で射出成形し、ISO多目的試験片(3mm)を成形した。
各樹脂組成物の難燃性の評価は、上記で得られたUL試験用試験片を、温度23℃、湿度50%の恒温室の中で48時間調湿し、UL94-V規格に準拠して行った。
湿熱試験後の色相(湿熱試験後b値)を評価した。
評価結果を以下の表7に示す。
Claims (8)
- ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、
芳香族ビニル単量体成分(b1)、シアン化ビニル単量体成分(b2)及びジエン系ゴム質重合体成分(b3)を含むグラフト共重合体(B)0~40質量部、
リン酸エステル化合物(C)10~30質量部、ホスファイト系酸化防止剤(D)0.001~1.0質量部、及び2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール及び/又は2,4-ビス-(α,α-ジメチルベンジル)フェノール(E)0.00001~0.1質量部を含有し、ホスファイト系酸化防止剤(D)がビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト及び/又はビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトであることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。 - さらに、コア/シェル型エラストマー(F)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、1~20質量部含有する請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- さらに、タルク(G)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、1~10質量部含有する請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- さらに、白色顔料(H)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.01~7質量部含有する請求項1~3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 白色顔料(H)が酸化チタンである請求項4に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- ホスファイト系酸化防止剤(D)と、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール及び/又は2,4-ビス-(α,α-ジメチルベンジル)フェノール(E)の含有量の合計が、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.002~1質量部である請求項1~5のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール及び/又は2,4-ビス-(α,α-ジメチルベンジル)フェノール(E)とホスファイト系酸化防止剤(D)の質量比(E)/(D)が0.001~1である請求項1~6のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1~7のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
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