JP7025136B2 - 制振筺体 - Google Patents

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Description

本発明は、電子機器等が収納される筐体の構造に係り、特に、車両や船舶等の移動体に搭載して使用される制御盤筐体の耐振性向上に有効な技術に関する。
車両や船舶等の移動体の上にゴムブッシュ等を介して設置された制御盤は、移動体からの作用により揺動し、やがて経年疲労により特に溶接部に亀裂が発生することがある。これが筐体の剛性低下を引き起こし、設計値の範囲を超えて筐体が変形することで想定外の塵埃や水分が侵入し、錆発生や絶縁不良による電気品故障が発生する。
例えば、マイニングトラック等の電気駆動式ダンプトラック用の制御盤は、重量が数トン規模の構造物であり、通常はダンプトラックの車体フレーム上に設置されている。ダンプトラックは、鉱物資源採掘現場のような路面が整備されていない環境で連続使用されることが多いため、ダンプトラック稼働時に前後、左右、上下に制御盤を強く揺らす力が断続的に常時加わり、制御盤筺体フレームに亀裂が発生することがある。
また、ダンプトラック用の制御盤は一般的に底面のみで支持され、所謂、片持ち梁の形態となっており、制御盤の重量を支えているベース部分にかかる負担が非常に大きい。ベース部分の強度を増すために、ベース部分をより頑丈に製作する必要があるが、その反面、保守性や製造性の観点から、制御盤筺体の軽量化や、制御盤の部品交換、筺体フレームの補修等が容易に行えることが望まれる。
また、本発明の適用先の一つとして想定される電子装置用筐体には耐震性が求められており、IEC(国際電気標準会議:International Electrotechnical Commission)やJIS等で規定された耐震規格に準じた設計が行われている。筐体設計においては、強度を制約条件として、重量を最小化する必要があるが、一般に、筐体強度を増すと重量も増加し、重量増によって、製造、輸送、据付コスト等が増加し製品価格が高くなる。需要者の費用負担を低く抑えるには、重量を極力増やさずに、筐体強度を担保することが重要である。
本技術分野の背景技術として、例えば、特許文献1のような技術がある。特許文献1には、非免震構造建物と免震構造建物とを連結制震装置で連結した免震構造に関する記述があり、その一例が図3、図8、図9に示されている。
また、特許文献2には、基礎の上に固定された振動特性の異なる二棟の建物間に、対向する壁に対して水平面内において45°の角度でオイルダンパを装着した建物の制震構造に関する記述があり、その一例が図1、図2、図4に示されている。
また、特許文献3には、2つの制震装置をX字状に組み合わせたものを複数配置して構成した制震構造体により、隣り合う二棟の構造物を連結した制震構造に関する記述があり、その一例が図1、図2に示されている。
また、特許文献4には、高さ及び固有周期が同等な二棟の建物A、Bを対象に、当該建物Aに回転慣性質量ダンパーを付加すると共に、当該建物Aと他方の建物Bとをダンパーとバネにより連結した連結制震構造に関する記述があり、その一例が図1、図2に示されている。連結制振構造は建物に対する発明が多く、建物の互いの重さを利用して、長周期地震動により生じる建物の変位を減ずることを特徴としている。
特開2002-266517号公報 特開平11-270188号公報 特開2004-285599号公報 特許第5382457号公報
前述の過酷な環境で使用されるマイニングトラックは、保守点検時以外は昼夜連続で稼働させることが多いため、定期的な保守点検は欠かせないが、保守点検にかかる時間を最小限にしたいという要求がある。
また、電気駆動式ダンプトラックに搭載される制御盤は、防水、防塵、耐震構造としているが、一般的な電気品と比較して故障のリスクが高く、筺体フレームの構造強度も含めて、高信頼性が要求されている。電気駆動式ダンプトラック用制御盤の設計課題は、ダンプトラックの製品寿命内に故障しないことである。
本発明が解決しようとする課題は、制御盤揺動時の変形抑制と衝撃力の低減であり、その際の制約条件としては、移動体の最高速度や積載重量への影響を抑えるために機器の重量増加を最低限とすること、及び、電気品やその冷却系統へのせん断応力やねじり応力等の機械的なダメージの増加を避けることである。
そこで、本発明の目的は、電子機器が収納される筐体において、重量増加を最小限に抑えつつ、揺動時の変形抑制と衝撃力の低減が可能な耐振性の高い制振筺体を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、移動体上に設置され、複数の電子機器を収納する制振筐体であって、一体のベース部材と、前記ベース部材上に固定された第1の筐体と、前記ベース部材上に低剛性支持部材を介して配置された第2の筐体と、を備え、前記第1の筐体と前記第2の筐体は、互いに隣接して配置され、前記第1の筐体と前記第2の筐体間に、前記第2の筐体の移動を制限するダンパーを有し、前記ダンパーは、前記第1の筐体の側面と対向する前記第2の筐体の側面に沿った方向への、前記第2の筐体の移動を制限し、前記第1の筐体は、第1分割部と第2分割部に分割して前記ベース部材上に固定され、前記第2の筐体は、前記第1分割部と前記第2分割部の間に配置され、前記ダンパーは、前記第1分割部と前記第2の筐体間、前記第2分割部と前記第2の筐体間にそれぞれ設けられ、前記制振筐体全体に揺動が生じた場合、前記第1分割部と前記第2分割部の変位に対して前記第2の筐体がそれを打ち消すように変位することで前記制振筐体全体の変位を抑制し、かつ、前記ダンパーにより前記第1分割部と前記第2分割部と前記第2の筐体間の相対変位を抑制することを特徴とする。
本発明によれば、電子機器が収納される筐体において、重量増加を最小限に抑えつつ、揺動時の変形抑制と衝撃力の低減が可能な耐振性の高い制振筺体を実現できる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明によって明らかにされる。
本発明の一実施形態に係る制振筐体の概略構成図である。 図1AにおけるA-A’方向矢視図である。 従来の一体型筐体とした制御盤の一例を示す図である。 動吸振器構造の一例を示す図である。 図3AにおけるB-B’方向矢視図である。 制振モデルの一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る制振筐体の概略構成図である。 本発明の一実施形態に係る制振筐体の概略構成図である。 本発明の一実施形態に係る制振筐体の概略構成図である。 図7Aの貫通孔に設けられるダクトの一例を示す図である。 解析モデルでのシミュレーションによる本発明の効果を示す図である。 解析モデルでのシミュレーションによる本発明の効果を示す図である。 シミュレーションに用いた解析モデルを示す図である。 シミュレーションに用いた解析モデルを示す図である。
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。なお、各図面において、同一の構成については同一の符号を付し、重複する部分についてはその詳細な説明は省略する。
図1Aから図4を参照して、実施例1の制振筐体について説明する。図1Aは本実施例の制振筐体の概略構成を示す斜視図であり、図1Bは図1Aの制振筐体の正面図(A-A’方向矢視図)である。図2は比較のために示す従来の一体型筐体とした制御盤を示す図である。図3Aは図1Aの制振筐体による作用を概念的に示す図であり、図3Bは図3Aの制振筐体の正面図(B-B’方向矢視図)である。また、図4は本実施例の制振構造の概念モデルを示す図である。
本実施例の制振筐体は、図1Aに示すように、主要な構成として、制御盤筐体本体を乗せるベース部材101、ベース部材101上に固定された第1の筐体の一部分102、ベース部材101上に固定された第1の筐体の別の一部分103、振動伝達を抑制するためのゴムブッシュ等のインシュレータ104、インシュレータ104を介してベース部材101上に配置された第2の筐体105、第1の筐体102,103の各側面に対向する第2の筐体105の側面に沿った方向(すなわち、第1の筐体102,103および第2の筐体105を正面(A-A’方向)から見た場合の前後方向)への第2の筐体105の移動を制限するダンパー108,109を備えている。第1の筐体102,103は、それぞれ固定部材106,107によりベース部材101に固定されている。
図1Bは図1Aを筐体の真正面(A-A’方向)から見た図であり、第2の筐体105が、ベース部材101或いは第1の筐体102,103とは剛結合されておらず、ゴムブッシュ等のインシュレータ104およびダンパー108,109を介して繋がっている様子を、図1Aを補足するために示したものである。
従来の一般的な制御盤筐体は、図2に示すような一体型筐体構造を取っている。従来は、図2に示すように、制御盤筐体本体を乗せるベース部材201、ベース部材201上に固定された制御盤筐体本体202,203、制御盤筐体本体202,203の各収納スペースに収納された電気装置(電子機器)等204、および電気装置(電子機器)等204にアクセスするための扉205などで構成されている。
図2の例では、制御盤筐体本体202と203はそれぞれ独立した筐体ではあるが、最終的に製品として組み上げられ、製品が稼働するシーンにおいてはベース部材201に剛に固定され、構造強度上は一体物として振る舞う。制御盤は製造や据付の観点、或いは、移動体に搭載して利用される観点から、軽量化や省スペース化が望まれるが、強度とのトレードオフのために、実験や計算機を用いたシミュレーションにより極力最適化を図っている。
しかしながら、様々な稼働条件下において、定常的に強い揺れに晒されると共に、想定外の衝撃振動を受けるリスクもあり、ある程度の余裕を持たせた安全設計が必要である。そのため、特にベース部分は板厚にして、更に各所に補強材を入れる等して対応することになり、重量増の要因となっている。このようにして設計したものであっても、全質量が1点(特定の箇所)に集中するような衝撃荷重が繰り返しかかったような場合には、疲労の蓄積による部材の破断等が発生し、故障や製品寿命低下を招くことになる。
そこで、本実施例では、図1Aに示すように、先ず、制御盤筐体を複数の部位に分割して質量を分散させる。ここでは、第1の筐体の一部分(第1分割部)102と第1の筐体の別の一部分(第2分割部)103の二つの部位に分割する例で説明する。その上で第1の筐体102,103と第2の筐体105の変形モードの違い、及び、衝撃力を受けた際に、第2の筐体105がその場所に留まろうとする慣性力、とを利用して筐体の変形量を抑制する。
第2の筐体105は、ゴムブッシュ等の剛性の低い支持部材(インシュレータ104)を介してベース部材101に接合されており、この低剛性支持された第2の筐体105とその他の部分(第1の筐体の一部分(第1分割部)102と第1の筐体の別の一部分(第2分割部)103)とを、筐体の自由端側に設けたダンパー108,109を介して結合した構造とすることで、低剛性支持された第2の筐体105の変位を抑制している。即ち、第2の筐体105とその他の部分には、固有周期が異なることによる変位差と、慣性力の影響による変位差が生じるので、ダンパー108,109がそのエネルギーを吸収して互いの振動を打消し合う。
図3A,図3Bは動吸振器の構造の一例である。図3Bは図3Aを正面(B-B’方向)から見たものであり同じ構造物を示している。動吸振器とは、制振対象の構造物に、その構造物と固有周波数がほぼ等しい質量体301を、吊り302とダンパー303を用いて取り付け、制振対象の構造物に振動が加わった際に、共振作用により質量体301が振動を開始して、次第に変位エネルギーが質量体301側に移動することで、制振対象の構造物の変位を収める。
本実施例においては、インシュレータ104により低剛性支持された第2の筐体105は、動吸振器構造における質量体301の如くに作用して変位を相殺するものであるが、更に、第1の筐体102,103と第2の筐体105とを連結するダンパー108,109によって、筐体間の相対変位を抑えることができる。
なお、低剛性支持された第2の筐体105は、変位を抑制せずに自由振動させた場合、変位が過大になる可能性があるため、例えば筐体間の相対変位を10mm以下となるように、ダンパー108,109のパラメータで制限するのがより望ましい。
図4は本実施例の制振構造の概念モデルを示したものである。符号401,402,403は質量体であり、この内符号402は、ゴムブッシュ等の剛性の低い支持部材(インシュレータ104)を介してベース部材101に接合された第2の筐体105に相当し、ここではゴムブッシュ等のインシュレータ104の代わりにダンパー404とバネ405で表している。そして、401と403が、それぞれ第1の筐体の一部分(第1分割部)102と第1の筐体の別の一部分(第2分割部)103に相当し、質量体402にそれぞれダンパー406とバネ407を介して結合された構造となっている。
図4の概念モデルに示すように、本実施例の制御盤筐体は、全体に搖動が生じた場合、図3A,図3Bの動吸振器構造と同様に作用し、質量体401,403の変位に対して質量体402がそれを打ち消すように変位し、制御盤筐体全体の変位を抑制することができる。また、ダンパー406およびバネ407の作用により、各質量体401,402,403間の相対変位を抑えることができる。
図9Aの各解析モデル(No.1~No.5)を用いたシミュレーションによる本発明の効果の検証結果を図8A,図8Bに示す。図8Aは加振開始からの応力値(最大主応力)の変化を時系列に示し、図8Bは加振開始からの変形量(筐体角部のY方向の相対変位)を時系列に示している。
シミュレーションによる解析は、図9Bに示す解析モデルを作成して行った。制御盤筐体を縦に大きく三分割し、中央部分を低剛性支持筐体部とした。また、各部屋(収納部)に電子機器を想定した質量体を配置した。実際の制御盤ではIGBTユニットや整流器、水冷ユニット等が収納されるため重量は一様ではないが、各部屋に収納される電子機器を同じ重量とすることで共振が起き易くなり、検証上はより厳しい条件となるため、全て180kgとした。筐体の材料である鋼材の板厚等は実物を参考にして適宜設定し、ベース部材からの振動を抑制するための低剛性支持部材(インシュレータ)の配置は低剛性支持筐体部の底面に4か所とし、弾性ゴム(ヤング率:2MPa)を使用した。筐体同士が隣接している面に平行な方向への揺れが大きくなるため、ここでは筐体の前後方向(Y方向)の揺れを抑制するダンパー配置とした。
また、解析モデルへの加振は、筐体の前後方向(Y方向)及び上下方向(Z方向)にそれぞれ片振幅0.002m、周波数100Hzの正弦波1波を強制変位として与え、加振開始から2秒経過後までの挙動を線形時刻歴応答解析により求めた。減衰モデルはRayleigh型減衰とし、構造物の内部で発生する微小な摩擦などを考慮するための剛性比例型減衰係数(β減衰係数)は0.05とした。
その結果、図8Aに示すように何れの解析ケースとも加振開始から0.011秒後に最大応力が発生し、その後2秒後までにゼロに収束した。また変形量の変化では、図8Bに示すように、No.5のケースでは他のケースより0.002秒~0.003秒遅れて変形量のピークが現れていることが確認できた。
各解析ケースの最大応力値と最大変形量を表1に示す。
Figure 0007025136000001
先ず、No.1とNo.2のケースを比較してみると、No.2は単に筐体を三分割しただけでダンパー等を全く設けていない状態であり、最大応力と最大変形はNo.1(従来の制御盤筐体)とほぼ同じ傾向になっている。固有値の違いによりNo.2の方が若干大きい値になっているが、他の解析ケースと比べれば差は少ない。
次に、低剛性支持部材(インシュレータ)の有無による影響を見てみると、これはNo.2とNo.4のケースで最大応力が23%低減、最大変形が29%低減しており、また、No.3とNo.5のケースでも最大応力が33%低減、最大変形が48%低減しているので、低剛性支持部材(インシュレータ)によって応力及び変形を低減する効果があると考えられる。
さらに、ダンパーの有無による影響を見てみると、これはNo.2とNo.3のケースで最大応力が21%低減、最大変形が26%低減しており、また、No.4とNo.5のケースでも最大応力が32%低減、最大変形が46%低減しているので、ダンパーによっても応力及び変形を低減する効果があると考えられる。
また、No.1とNo.5(筐体を三分割し、低剛性支持部材とダンパーを併用するベストモード)のケースを比較すると、最大応力が45%低減、最大変形が59%低減しており、5つの解析ケースのうちで、最大応力、最大変形ともに最小であることから、低剛性支持部材(インシュレータ)とダンパーを併用する効果があると考えられる。
以上の結果から、制御盤筐体を複数の部位に分割し、剛性支持部材(インシュレータ)とダンパーを併用することで、変形モードの違いと慣性力を利用して応力と変形を低減できることが確認できた。衝撃荷重のような短周期振動を受けた際に、低剛性支持された筐体には、慣性力の影響によって短時間の変位遅延が生じ、それがベース部材に固定された筐体の変位を抑制する。この時、停止時間(最大変形に至るまでの時間)が延長されるので、衝撃加速度が低減される。解析結果No.5のケースが他のケースより0.002秒~0.003秒遅れて変形量のピークが現れているのは、この挙動が再現されたことによるものと考えられる。
以上説明したように、本実施例によれば、制御盤筐体を複数の部位に分割し、変形モードの違いと慣性力を利用して制振することにより筐体の変形量を抑制することができる。
なお、上記の各特許文献が主に連結制振構造によって地震のような長周期振動を対象として変位を抑制する機構であるのに対して、本実施例は、低剛性支持された筐体が動吸振構造における補助質量体として作用して振動を相殺すると共に、低剛性支持された筐体には、慣性力の影響による短時間の変位遅延が生じ、ベース部材に固定された筐体に追随して変位することで、衝撃荷重のような短周期振動における変位相殺にも対応することができる。
また、電動アクチュエータ等を使わないパッシブな構成であるため、車両や船舶等の移動体の最高速度や積載量に影響を及ぼす重量増加を最小限に抑えられる。更に、一体型筐体から分割型筐体にすることで、製造、運搬コストの削減が期待できる。
図5を参照して、実施例2の制振筐体について説明する。図5は本実施例の制振筐体の概略構成を示す斜視図であり、図1Aの変形例である。
本実施例の制振筐体は、図5に示すように、インシュレータ104に替えて、第2の筐体105とベース部材101の間に第2の筐体105を支持するための第2の筐体105の底面とほぼ同じ面積を有する板状の支持部材501を備える点で実施例1の制振筐体とは異なる。
支持部材501は、ブチルゴム等の衝撃吸収性に優れた材質で製作するとより制振効果が高まるが、一般的なゴム素材でも良い。板状の構造部材とすることで施工が容易になり、また、第2の筐体105の底面全体をカバーできるため、第2の筐体105の底面構造を軽量、簡素化できる。
また、支持部材501は、材質の異なる複数の層からなる積層構造体として荷重に対する変位に異方性を持たせるようにしても良い。即ち、第2の筐体105の変位を主に水平方向のみに制限することで、車両や船舶等の移動体の加減速時や進路変更時における前後、左右方向の揺れに重み付けした制振が可能となる。
図6を参照して、実施例3の制振筐体について説明する。図6は本実施例の制振筐体の概略構成を示す斜視図であり、図1Aの別の変形例である。
本実施例の制振筐体は、図6に示すように、第1の筐体の各側面に対向する第2の筐体の側面に沿った方向(前後方向)への第2の筐体の移動を制限するダンパー108,109に替えて、第2の筐体105の左右方向(横方向)への変位を抑制するダンパー601を備える点で実施例1の制振筐体とは異なる。
実施例1の図1A,図1Bに示すダンパー108、109は、紙面前後方向の変位を抑制する形態であったが、本実施例のダンパー601は紙面左右方向の変位を抑制する。変位を抑制する方向は、制御盤を設置する向きと、移動体がどのように動くかによって決定すれば良く、必要に応じて、前後左右方向のダンパーを併用しても良い。
図7Aおよび図7Bを参照して、実施例4の制振筐体について説明する。図7Aは本実施例の制振筐体の概略構成を示す斜視図であり、図1Aのさらに別の変形例である。図7Bは図7Aの貫通孔701,702に設けられるダクト703の一例を示している。
本実施例の制振筐体は、図7Aに示すように、第1の筐体102と第2の筐体105の間、及び第1の筐体103と第2の筐体105の間にそれぞれ貫通孔701,702を備える点で実施例1の制振筐体とは異なる。
制御盤では、例えば、水冷配管や電気配線が筐体を跨いで配置される場合があり、本実施例のように、分割した筐体間に貫通孔を設けることで、配管や配線を筐体を跨いで配置することができる。
この貫通孔は、筐体の側面に設けられるが、防水、防塵のために、貫通口部分には、例えば図7Bに示すようなダクト703を取り付け、水冷配管や電気配線を通す。このダクト703は、本発明の変位抑制制御に影響を与えないような柔軟な材質とするのが望ましい。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各実施例において、ベース部材は筐体を製造する上で必要とするが、本発明の原理としてはベース部材がない場合も有効であり、例えば、車両や船舶等の移動体の床上にベース部材を用いずに直接筐体を設置するような場合も本発明の効果を得ることができる。
101…ベース部材、
102…第1の筐体の一部分(第1分割部)
103…第1の筐体の別の一部分(第2分割部)
104…インシュレータ
105…第2の筐体
106,107…固定部材
108,109…ダンパー
201…ベース部材
202,203…制御盤筐体本体
204…電気装置(電子機器)等
205…扉
301…(動吸振器の)質量体
302…(動吸振器の質量体を支える)吊り
303…(動吸振器の質量体を支える)ダンパー
401,402,403…質量体
404…(第2の筐体を支える)ダンパー
405…(第2の筐体を支える)バネ
406…(第1の筐体と第2の筐体を連結する)ダンパー
407…(第1の筐体と第2の筐体を連結する)バネ
501…板状の支持部材
601,602…ダンパー
701,702…貫通孔
703…ダクト。

Claims (5)

  1. 移動体上に設置され、複数の電子機器を収納する制振筐体であって、
    一体のベース部材と、
    前記ベース部材上に固定された第1の筐体と、
    前記ベース部材上に低剛性支持部材を介して配置された第2の筐体と、を備え、
    前記第1の筐体と前記第2の筐体は、互いに隣接して配置され、
    前記第1の筐体と前記第2の筐体間に、前記第2の筐体の移動を制限するダンパーを有し、
    前記ダンパーは、前記第1の筐体の側面と対向する前記第2の筐体の側面に沿った方向への、前記第2の筐体の移動を制限し、
    前記第1の筐体は、第1分割部と第2分割部に分割して前記ベース部材上に固定され、
    前記第2の筐体は、前記第1分割部と前記第2分割部の間に配置され、
    前記ダンパーは、前記第1分割部と前記第2の筐体間、前記第2分割部と前記第2の筐体間にそれぞれ設けられ
    前記制振筐体全体に揺動が生じた場合、前記第1分割部と前記第2分割部の変位に対して前記第2の筐体がそれを打ち消すように変位することで前記制振筐体全体の変位を抑制し、かつ、前記ダンパーにより前記第1分割部と前記第2分割部と前記第2の筐体間の相対変位を抑制することを特徴とする制振筐体。
  2. 請求項1に記載の制振筐体であって、
    前記ダンパーは、前記第1の筐体の側面と対向する前記第2の筐体の側面に垂直な方向への、前記第2の筐体の移動を制限することを特徴とする制振筐体。
  3. 請求項1または2に記載の制振筐体であって、
    前記低剛性支持部材は、前記第2の筐体の底面と略同一の面積を有する板状のゴム弾性体であることを特徴とする制振筐体。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の制振筐体であって、
    前記低剛性支持部材は、材質の異なる複数の層からなる積層構造体であることを特徴とする制振筐体。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の制振筐体であって、
    前記第1の筐体と前記第2の筐体を貫通する貫通孔を有し、
    前記貫通孔にダクトが設けられることを特徴とする制振筐体。
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