JP7024217B2 - 樹脂成形体 - Google Patents
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Description
本実施形態に用いられるPVA系重合体としては、酢酸ビニルの単独重合体のけん化物などに代表される未変性のPVA樹脂を好ましく使用することができるが、本発明の効果を阻害しない範囲で、酢酸ビニルにおけるビニルエステルに対して、他のビニル化合物を共重合することも可能である。PVA系重合体は、酢酸ビニルモノマーを重合反応によりポリマー化し、さらにけん化して作製された樹脂である。部分的に変性基を導入し、耐水性や耐溶剤性、耐熱性、バリア性、柔軟性等の機能性を付与したものを用いても構わない。
本実施形態で用いられるセルロース繊維は、樹脂成形体中で平均繊維幅が3nm以上200nm以下という高分散状態を維持したものである。ただし、繊維幅200nmを超える比較的大きなサイズのセルロース繊維を含むと、繊維幅が可視光の波長に近づくために成形体の透明性低下を招くとともに、表面積低下やセルロースの絡み合いが低下することで機械特性の低下を引き起こす場合がある。そのため、セルロース繊維の平均繊維幅は100nm以下がより好ましく、20nm以下がさらに好ましい。また、セルロース繊維の製法上、平均繊維幅3nm未満のセルロース繊維であって機械強度や均一に優れた特性を有するものを製造することは困難なため、平均繊維幅は3nm以上であることが好ましい。
本実施形態において、所望する特性を有する樹脂成形体を得るために、架橋剤の選定は特に重要である。すなわち、架橋剤を含まず、PVA系重合体とセルロース繊維から成る樹脂成形体は、高い機械特性や低い線膨張係数を示すが、さらに本実施形態に係る架橋剤を用いることにより、高温下での低い線膨張係数の保持や耐水性の大幅な向上といった特性を発現することができる。本実施形態に用いられる架橋剤としては、少なくともPVA系重合体と架橋反応を起こすものを用いることができ、更にセルロース繊維と架橋反応を起こすものが好ましい。PVA系重合体やセルロース繊維の水酸基を足掛りとすることにより、架橋構造を形成することができる。水酸基に対して良好な反応性を示す官能基として、イソシアネートやメチロール基、カルボキシル基を用いることができるが、反応性や安定性の面から、特にカルボン酸またはカルボン酸無水物を有する架橋剤が好ましい。PVA系重合体やセルロース繊維の水酸基と架橋剤に含まれるカルボン酸との反応により、強固な架橋構造が形成される。
本実施形態における樹脂成形体は、PVA系重合体と、セルロース繊維と、架橋剤とを含有する樹脂成形体形成用溶液を用いて樹脂基材等にコーティングして形成することが好ましい。PVA系重合体、セルロース繊維、架橋剤が溶液中で支障の出ない範囲で十分に溶解或いは分散されている限りにおいて溶液の調製方法は限定されず、それぞれ水溶液或いは水分散体として予め調製して混合してもよく、PVA系重合体の水溶液に架橋剤、セルロース繊維を逐次添加してもよく、或いは、架橋剤水溶液にPVA系重合体、セルロース繊維を添加してもよく、セルロース繊維の水分散体中にPVA系重合体、架橋剤を添加して溶液を調製してもよい。PVA系重合体及び架橋剤の溶液中での分散性を上げるため、調製段階において加熱しても構わない。セルロース繊維は、調製した酸化セルロース溶液を任意の方法を用いて分散処理しても構わない。
以下の手順により、樹脂成形体の作製を行った。
(1)試薬・材料
セルロース: 漂白クラフトパルプ(フレッチャー チャレンジ カナダ「MACHENZIE」)
TEMPO: 市販品(東京化成工業社製、純度98%)
次亜塩素酸ナトリウム: 市販品(和光純薬社製、Cl:5%)
臭化ナトリウム: 市販品(和光純薬社製)
乾燥重量10gの漂白クラフトパルプを2lのガラスビーカー内のイオン交換水500ml中に一晩静置し、パルプを膨潤させた。ここにTEMPO0.1gと臭化ナトリウム1gを添加して攪拌し、パルプ懸濁液とした。さらに攪拌しながらセルロース重量当たり5mmol/gの次亜塩素酸ナトリウムを添加した。この際、約1Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加してパルプ懸濁液のpHを約10.5に保持した。その後、2時間反応させ、エタノール10gを添加して反応を停止させ、セルロースにカルボキシル基が導入された酸化セルロースを得た。なお、この際導入されたカルボキシル基は反応媒中に残存する反応試薬に由来するナトリウムイオンを対イオンとした塩を形成した。続いて0.5Nの塩酸を滴下してpHを2まで低下させた。次に、ガラスフィルターを用いてセルロースをろ別し、さらに0.05Nの塩酸で3回洗浄してカルボキシル基をカルボン酸とした後に純水で5回洗浄し、固形分濃度20%の湿潤状態の酸化セルロースを得た。得られた酸化セルロースは、水酸化ナトリウムによる中和滴定からセルロースの乾燥重量1g当たりのカルボキシル基量は1.6mmolと算出された。
上記により調製した酸化セルロースを固形分濃度5%となるよう水を加えて懸濁液とし、ここにアルカリ種として水酸化ナトリウムを加え、pH9.5に調整し2時間攪拌した後ガラスフィルターを用いて酸化セルロースをろ別した。
酸化セルロースを分散媒となる水に加え、ミキサー(大阪ケミカル社製、アブソルートミル、14,000rpm)を用いて1時間処理することによりセルロース繊維の水分散体を得た。得られた分散体の660nmにおける光線透過率は94%を示した。また、このときのセルロース繊維の平均繊維幅は4nmであった。
(5)溶液の調製
PVA(クラレ社製PVA-117、平均重合度1,700、けん化度99.0mol%)と、架橋剤としてメチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体(International Specialty Products社製GANTREZ AN119、平均分子量130,000)とを熱水に溶解した。次に、このPVA及び架橋剤の溶液と上述したセルロース繊維の水分散体とを、PVAとセルロース繊維と架橋剤との固形分重量比がこの順に85:5:10となるように混合し、固形分濃度15wt%の溶液を得た。
調製した上記の溶液をPETフィルム(ルミラーT60(厚さ75μm):東レ)にアプリケーターにて塗工してオーブンにて120℃で10分間乾燥した後にPETフィルムを剥離することで、20μm厚の樹脂成形体を作製した。
PVAとセルロース繊維と架橋剤との固形分重量比がこの順に80:10:10となるように調製した他は実施例1と同様の条件にて樹脂成形体を作製した。
架橋剤として、イソブチレン無水マレイン酸共重合体(クラレ社製イソバン110、平均分子量170,000)を用いた他は実施例1と同様の条件にて樹脂成形体を作製した。
PVAとして、PVA(クラレ製PVA-105、平均重合度500、けん化度99.0mol%)を用いた他は実施例1と同様の条件にて樹脂成形体を作製した。
架橋剤として、マレイン酸(和光純薬社製)を用いた他は実施例1と同様の条件にて樹脂成形体を作製した。
架橋剤として、イソブチレン無水マレイン酸共重合体(クラレ社製イソバン600、平均分子量6,500)を用いた他は実施例1と同様の条件にて樹脂成形体を作製した。
架橋剤として、乳酸チタンキレート(マツモトファインケミカル社製TC-310)を用いた他は実施例1と同様の条件にて樹脂成形体を作製した。
PVAとして、PVA-217(平均重合度1,700、けん化度89.0mol%)を用いた他は実施例1と同様の条件にて樹脂成形体を作製した。
TEMPO酸化処理において反応時間を10分間とし、カルボキシル基の含有量がセルロース繊維の乾燥重量1g当たり0.5mmolである酸化セルロースを用いた他は実施例1と同様の条件にて樹脂成形体を作製した。なお、このときのセルロース繊維の平均繊維幅は500nmであった。
実施例1~4及び、比較例1~5について、作製条件を後述の表1に、評価結果を表2に示した。
得られた樹脂成形体について、UV-VIS分光光度計(島津製作所社製、UV3600)を用いて波長660nmにおける光透過率(%)を測定した。
得られた樹脂成形体について、15mm幅、70mm長さの短冊状に切り出し、恒温恒湿槽付き引張試験機(テスター産業社製、TE-7001)を用いてチャック間隔50mm、試験速度5mm/minにて温度23℃、相対湿度50%の環境下で最大強度(N/mm2)及び破断伸び(%)を測定した。なお、測定前に予め2日間測定環境にて調湿した。
得られた樹脂成形体について、4mm幅、25mm長さの短冊状に切り出し、熱機械的分析装置(セイコーインスツルメンツ社製、TMA/SS6100)を用いて15℃から200℃まで昇温速度5℃/分、荷重20mN、酸素雰囲気下で昇温し、30℃から100℃および100℃から160℃までのサンプル伸びから平均線膨張係数を算出した。
耐水性を評価するため、水溶出試験を実施した。得られた樹脂成形体について、50mm角の正方形状に切り出した4枚のサンプルを予め100℃にて3時間乾燥させた。これを水を入れたサンプル瓶内に浸漬させて40℃のオーブン内で2日間保管した後に乾燥させた。水浸漬前後の乾燥重量の変化を水不溶化率として算出した。なお、試験期間中に水を2回取り替えた。
Claims (3)
- ポリビニルアルコール系重合体とセルロース繊維と架橋剤とを含む樹脂成形体であって、
前記ポリビニルアルコール系重合体のけん化度が90mol%以上100mol%未満であり、
前記樹脂成形体に含まれる前記セルロース繊維の含有量は、0.5重量%以上40重量%未満であり、
前記セルロース繊維の水酸基の一部がカルボキシル基により置換されてなり、且つ、前記樹脂成形体中の前記セルロース繊維の平均繊維幅が3nm以上200nm以下であり、
前記架橋剤は、カルボン酸またはカルボン酸無水物を有し、重量平均分子量10,000以上5,000,000未満のポリマーよりなり、
前記架橋剤が有するカルボン酸の官能基数は、前記ポリビニルアルコール系重合体及び前記セルロース繊維が有する水酸基の官能基数に対して、1%以上50%未満であり、
前記樹脂成形体が自立膜であり、且つ、前記樹脂成形体の膜厚が1μm以上100μm未満であることを特徴とする、樹脂成形体。 - 前記セルロース繊維におけるカルボキシル基の含有量が、前記セルロース繊維の乾燥重
量1g当たり0.8mmol以上3.0mmol以下であることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂成形体。 - 30℃から100℃および100℃から160℃における平均線膨張係数がいずれも20ppm/℃以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の樹脂成形体。
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