一例として示す鉄筋トラス付きデッキプレート10の部分拡大斜視図である図1等の添付の図面を参照し、本発明に係るスラブ施工方法の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、鉄筋トラス付きデッキプレート10から作られたデッキプレートユニットU1を部分的に示す斜視図であり、図3は、補強鉄筋を取り付けた鉄筋トラス付きデッキプレート10Aの部分拡大斜視図である。図4は、補強鉄筋を取り付けたデッキプレートユニットU1を部分的に示す斜視図である。図1,2では、縦方向(交差方向)を矢印A、幅方向(一方向)を矢印Bで示し、上下方向を矢印Cで示す。
スラブ施工方法は、鉄筋トラス付きデッキプレート10を使用し、ユニット作成工程、高さレベル調整工程、補強鉄筋連結工程、ユニット設置工程、端部連結工程、梁一体構造物構築工程を実施することで、建造物(建物)の所定の階層(1階~n階)のPC梁34a,34b,35a,35bの間の施工スペースS,S1~S3に所定面積のコンクリートスラブ44(天井スラブや床スラブ、屋根スラブ等)を施工するとともに、コンクリートスラブ44を補強するためのPC梁34a,34bと一体になった梁一体構造物45を構築する。
スラブ施工方法に使用する鉄筋トラス付きデッキプレート10は、図1に示すように、所定面積を有する縦方向へ長い鉄板ベース11と、鉄板ベース11に設置されて縦方向へ延びる2つの鉄筋トラス12とから形成されている。鉄板ベース11は、幅方向へ延びる両端縁部13と、縦方向へ延びる両側縁部14と、略フラットな上面15および下面16とを有する。鉄板ベース11には、無地の鉄板やその下面16に所定のデザイン(図示せず)が印刷(プリント)された鉄板が使用されている。鉄板ベース11の面積に特に限定はなく、構築するコンクリートスラブ44の大きさに応じてその面積を自由に設定することができる。
それら鉄筋トラス12は、鉄板ベース11の上面15において幅方向へ略等間隔離間して並んでいる。それら鉄筋トラス12は、同形同大であり、鉄板ベース11を幅方向へ二分した各領域のうち、一方の領域の略中央と他方の領域の略中央とに設置されている。それら鉄筋トラス12は、1本の上端筋17(鉄棒)と2本(一対)の下端筋18(鉄棒)と2本(一対)のラチス筋19(鉄棒)とから形成されている。上端筋17や下端筋18、ラチス筋19は、鉄を延伸して作られた断面円形の鉄棒、または、その周面に複数の節(リブ)を有する異形金属棒(異形鉄筋)から作られている。なお、鉄板ベース11に設置する鉄筋トラス12の数に時に制限はなく、鉄板ベース11の面積や鉄筋トラス12の大きさにより、鉄板ベース11に3つ以上の鉄筋トラス12が設置されていてもよい。
鉄板ベース11には、その上面から上方へ凸となる複数の凸条20が形成されている。凸条20は、上端筋17を挟んで上端筋17の幅方向両側に位置し、鉄板ベース11の上面15において縦方向へ延びている。それら凸条20は、鉄板ベース11の一部分を幅方向内方へ折り曲げ、鉄板ベース11の一部分をその上面15から上方へ向かって山折りし、山折りした部分において鉄板ベース11の下面16どうしを隙間なく圧接し、または、所定の隙間を開けることで作られている。凸条20の上下方向の高さ寸法は、5~10mmの範囲で調節される。
鉄板ベース11の一方の側縁部14には、第1フック21(第1係合部)が作られ、他方の側縁部14には、第2フック22(第2係合部)が作られている。第1フック21は、鉄板ベース11の一方の側縁部14を鉄板ベース11の上面15に向かって幅方向内方へ折り曲げることから作られている。第2フック22は、鉄板ベース11の他方の側縁部14を鉄板ベース11の下面16に向かって幅方向内方へ折り曲げることから作られている。各鉄板ベース11は、一方の鉄板ベース11の第1フック21と他方の鉄板ベース11の第2フック22とを係合させることで、各鉄板ベース11を幅方向へ連結することができる。
鉄筋トラス12の上端筋17は、幅方向に隣接する凸条20の間であって鉄板ベース11の両端縁部13の間に位置し、鉄板ベース11の上面15から上方へ所定寸法離間して縦方向へ直状に延びている。各鉄筋トラス12において幅方向へ並ぶ上端筋17の縦方向の長さ寸法は略同一であり、それら上端筋17が並行に並んでいる。鉄筋トラス12の下端筋18は、鉄板ベース11の上面15から上方へ所定寸法離間して縦方向へ直状に延びている。それら下端筋18は、上端筋17の下方かつ上端筋17の幅方向両側であって鉄板ベース11の上面15と上端筋17との間に配置されている。それら下端筋18は、鉄板ベース11の両端縁部13の間に位置し、鉄板ベース11の上面15から上方へ所定寸法離間して縦方向へ直状に延びている。各鉄筋トラス12において幅方向へ並ぶ下端筋18の縦方向の長さ寸法は略同一であり、それら下端筋18が並行に並んでいる。
それらラチス筋19は、幅方向に隣接する凸条20の間に位置するとともに、鉄板ベース11と上端筋17との間に位置し、上下方向へ波状に曲折(起伏)を繰り返しながら縦方向へ延びている。それらラチス筋19は、上端筋17を挟んで幅方向へ対称型に配置されている。ラチス筋18は、上端筋17の側に位置する上方凸部23と、鉄板ベース11の上面15の側に位置する下方凹部25と、上方凸部23および下方凹部25の間において前後方向へ傾斜して延びる中間部24とを有する。ラチス筋19は、鉄板ベース11に対して垂直ではなく、鉄板ベース11に対して所定角度で傾斜し、その上方凸部23から下方凹部25に向かって横方向へ末広がりになっている。
それらラチス筋19の上方凸部23は、凸状に折り曲げられ、上方へ向かって凸となるように曲折している。上方凸部23は、上端筋17の周面に当接し、上方凸部23のうちの上端筋17と交差する部分(交差箇所)が上端筋17にスポット溶接によって溶着(固定)されている。それらラチス筋19の中間部24は、下端筋18の内側に位置し、中間部24のうちの下端筋18と交差する部分(交差箇所)が下端筋17にスポット溶接によって溶着(固定)されている。
それらラチス筋19の下方凹部25は、凹状に折り曲げられ、下方へ向かって凹となるように曲折している。下方凹部25には、鉄板ベース11の上面15と並行するように幅方向外方へ折り曲げられた屈曲部分26が形成されている。下方凹部25の屈曲部分26は、幅方向外方へ向かって弧を画き、その一部が凸条20から幅方向外方へ突出するとともに、凸条20と二点で交差している。屈曲部分26のうちの凸条20と交差する交差箇所が凸条20にスポット溶接によって溶着(固定)されている。屈曲部分26は、鉄板ベース11の上面15から上方へ所定寸法離間している。
なお、ラチス筋19の下方凹部25を折り曲げることなく、ラチス筋19の下方凹部25に屈曲部分26が形成されていなくてもよい。この場合は、ラチス筋19の下方凹部25のうちの凸条20と交差する箇所が凸条20にスポット溶接によって溶着(固定)される。また、鉄板ベース11に凸条20が形成されていなくてもよい。この場合は、ラチス筋19の下方凹部25の屈曲部分26が鉄板ベース11の上面15にスポット溶接によって溶着(固定)され、または、ラチス筋19の下方凹部25が鉄板ベース11の上面15にスポット溶接によって溶着(固定)される。
図示はしていないが、鉄筋トラス12が1本の上端筋17(鉄棒)と1本(一対)の下端筋18(鉄棒)と1本(一対)のラチス筋19(鉄棒)とから形成されていてもよい。この場合、ラチス筋19の上方凸部23の上端筋17と交差する部分(交差箇所)が上端筋17にスポット溶接によって溶着(固定)され、ラチス筋19の中間部24の下端筋18と交差する部分(交差箇所)が下端筋18にスポット溶接によって溶着(固定)されるとともに、ラチス筋19の下方凹部25の屈曲部分26の凸条20と交差する部分(交差箇所)が凸条20にスポット溶接によって溶着(固定)される。
スラブ施工方法では、鉄筋トラス付きデッキプレート10を工場において制作し、制作した鉄筋トラス付きデッキプレート10を建造物の建設現場に搬入するとともに、複数本の補強鉄筋27(こぼれ筋)、複数本のスラブ補強筋28、複数本の吊り上げ筋29(段取り筋)を搬入する。補強鉄筋27やスラブ補強筋28、吊り上げ筋29は、鉄を延伸して作られた断面円形の鉄棒、または、その周面に複数の節(リブ)を有する異形金属棒(異形鉄筋)から作られている。
スラブ施工方法では、最初に、搬入されたそれら鉄筋トラス付きデッキプレート10からデッキプレートユニットU1を作る(組み立てる)ユニット作成工程が実施される。ユニット作成工程では、建設現場に隣接する地上の作業スペース(図示せず)において、複数の鉄筋トラス付きデッキプレート10を一方向(幅方向)へ連結し、コンクリートスラブ44を施工する階層の施工スペースSに対応する所定面積のデッキプレートユニットU1を作る。ユニット作成工程では、一方の鉄筋トラス付きデッキプレート10の第1フック21と他方のデッキプレート10の第2フック22とを係合させ(嵌め込み)、一方向(幅方向)へ並ぶ複数のデッキプレート10から形成された複数のデッキプレートユニットU1が作られる。
ユニット作成工程が終了すると、高さレベル調整工程および補強鉄筋連結工程が実施される。高さレベル調整工程および補強鉄筋連結工程では、建設現場に隣接する地上の作業スペースにおいて、鉄筋トラス12の上端筋17と下端筋18との間に延びるラチス筋19の中間部24の間の挿入空間に複数の補強鉄筋27を一方向(幅方向)へ向かって挿通し、デッキプレートユニットU1の両側方域30を形成するそれら鉄筋トラス付きデッキプレート10の両端部(両端域)に一方向(幅方向)へ直状に延びる複数の補強鉄筋27を配置しつつ、それら補強鉄筋27の鉄筋トラス付きデッキプレート10(鉄板ベース11の上面15)に対する上下方向の高さレベルをPC梁34a,34bのPC鋼材40の上下方向の高さレベルと略同一に調整する。
補強鉄筋連結工程では、高さレベルを調節した後、高さレベルが略同一のそれら補強鉄筋27を交差方向(縦方向)へ略等間隔離間させた状態で並べ(配筋し)、結束線(図示せず)を利用してそれら補強鉄筋27を鉄筋トラス12のラチス筋19の中間部24に連結し、両側方域30にそれら補強鉄筋27が連結されたデッキプレートユニットU1を作る。それら補強鉄筋27は、デッキプレートユニットU1の両側方域30において、交差方向(縦方向)へ略等間隔離間しつつ、鉄筋トラス12の上端筋17や下端筋18、ラチス筋19と交差して一方向(幅方向)へ直状に延びる。なお、両側方域30を除くデッキプレートユニットU1の残余域31(両側方域30の間の域)には補強鉄筋27は配筋されない。
補強鉄筋連結工程では、PC梁34a,34bの梁面37と梁面37から交差方向(縦方向)へ所定寸法離間した箇所との間に延びる鉄筋トラス付きデッキプレート10の鉄筋トラス12に交差方向(縦方向)へ略等間隔離間したそれら補強鉄筋27を連結する。梁面37から交差方向(縦方向)へ所定寸法離間した箇所は、梁面37から1~2mの範囲である。
さらに、鉄筋トラス12の上端筋17と下端筋18との間に延びるラチス筋19の中間部24の間の挿入空間に一対の吊り上げ筋29(段取り筋)を一方向(幅方向)へ向かって挿通し、デッキプレートユニットU1の両側方域30を除く残余域31に一方向(幅方向)へ延びるそれら吊り上げ筋29を配置しつつ、吊り上げ筋29を鉄筋トラス12の下端筋18に結束線(図示せず)を利用して連結する。それら吊り上げ筋29は、鉄筋トラス12の上端筋17や下端筋18、ラチス筋19と交差して一方向(幅方向)へ直状に延びる。次に、それら吊り上げ筋29の所定の位置に少なくとも複数個の吊り上げ用フック46を取り付ける。なお、吊り上げ筋29(段取り筋)をデッキプレートユニットU1の両側方域30に配置してもよく、吊り上げ筋29を鉄筋トラス12の上端筋17またはラチス筋19に連結してもよい。
それら補強鉄筋27のデッキプレートユニットU1(鉄筋トラス付きデッキプレート10の鉄板ベース11の上面15)に対する上下方向の高さレベルとPC梁34a,34bのPC鋼材41の上下方向の高さレベルとを略同一にすることなく、結束線を利用してそれら補強鉄筋27を鉄筋トラス12のラチス筋19の中間部24に連結する場合がある。また、それら補強鉄筋27を交差方向(縦方向)へ略等間隔離間させることなく、それら補強鉄筋27を交差方向(縦方向)へ所定寸法離間(不規則に離間)させた状態で、結束線を利用してそれら補強鉄筋27を鉄筋トラス12のラチス筋19の中間部24に連結する場合がある。さらに、それら補強鉄筋27がラチス筋19の中間部24ではなく、上端筋17と下端筋18とのいずれかに連結される場合もあり、それら補強鉄筋27が上端筋17とラチス筋19との交差箇所における上端筋17およびラチス筋19に連結され、それら補強鉄筋27が下端筋18とラチス筋19との交差箇所における下端筋18およびラチス筋19に連結される場合もある。
高さレベル調整工程および補強鉄筋連結工程が終了すると、仮置き工程が実施される。仮置き工程では、ユニット設置工程の準備や端部連結工程の準備が終了するまでの間、建設現場に隣接する地上の仮置きスペース(図示せず)に複数のデッキプレートユニットU1を上下方向へ積み重ねた状態で所定期間仮置きをする。仮置き工程におけるデッキプレートユニットU1の仮置き手順の一例を説明すると、以下のとおりである。
吊り上げ筋29(段取り筋)に取り付けた吊り上げ用フック46にワイヤーロープ32を掛け、クレーン33の玉掛にワイヤーロープ32を掛けた後、クレーン33によってデッキプレートユニットU1を地上から空中に吊し上げ、地上の仮置きスペースにそのデッキプレートユニットU1を移動させた後、そのデッキプレートユニットU1を仮置きスペースに降ろす。さらに、次のデッキプレートユニットU1をクレーンによって空中に吊し上げ、そのデッキプレートユニットU1を先に仮起きしたデッキプレートユニットU1の上に積み重ね、仮置きスペースに複数のデッキプレートユニットU1を上下方向へ積み重ねる。
上下に積み重なるデッキプレートユニットU1では、下方に位置するデッキプレートユニットU1の上端筋17の上に上方に位置するデッキプレートユニットU1の鉄板ベース11が当接する。仮置き工程では、建造する建造物の層階の施工スペースS,S1~S3の数だけデッキプレートユニットU1を作り、それらデッキプレートユニットU1を施工順(最上に位置するデッキプレートユニットU1が1番に施工されるユニットU1、最下に位置するデッキプレートユニットU1が最後に施工されるユニットU1)に仮置き場所に積み重ねる。補強鉄筋27が設置されたそれらデッキプレートユニットU1は、仮置きスペースにおいて上下方向へ積み重ねられた状態で保管される。なお、仮置き工程を実施することなく、補強鉄筋連結工程において補強鉄筋27を鉄筋トラス12に連結した後、ユニット設置工程や端部連結工程を実施する場合もある。
図5は、ユニット設置工程の一例を示す斜視図であり、図6は、図5から続くユニット設置工程の斜視図である。図7は、図6のユニット設置工程を示すデッキプレートユニットU1の正面図であり、図8は、端部連結工程の一例を示す部分拡大平面図である。図9は、ユニット設置工程および端部連結工程が終了した施工スペースSの一例を示す平面図であり、図10は、梁一体構造物構築工程の一例を示すデッキプレートユニットU1の正面図である。図5(吊り上げ途中)では、デッキプレートユニットU1を抽象的に示し、鉄筋トラス12や補強鉄筋27、スラブ補強筋28の図示を省略している。
仮置き工程(仮置き工程を実施しない場合は補強鉄筋連結工程)が終了すると、ユニット設置工程が実施される。ユニット設置工程では、鉄筋トラス12のラチス筋19の中間部24にそれら補強鉄筋27が連結されたデッキプレートユニットU1をクレーン33(所定の吊り上げ手段)によって建造物のコンクリートスラブ44を施工する階層に搬入する。
仮置き工程によって仮置かれたデッキプレートユニットU1(仮置き工程を実施しない場合は、補強鉄筋連結工程によって補強鉄筋が取り付けられたデッキプレートユニットU1)の吊り上げ筋29(段取り筋)に取り付けた吊り上げ用フック46にワイヤーロープ32を掛け、クレーン33の玉掛にワイヤーロープ32を掛けた後、クレーン33によってデッキプレートユニットU1を空中に吊し上げ、コンクリートスラブ44を施工する建造物の階層の施工スペースSに搬入(移送)する(図5参照)。図9に示す建造物では、各階層に1つの施工スペースSが画成されている。
施工スペースSに搬入されたデッキプレートユニットU1は、クレーン33から所定階層の施工スペースSに降ろされ、施工スペースSに載置される。施工スペースSは、交差方向(縦方向)に対向するPC梁34a,34bと一方向(幅方向)に対向するPC梁35a,35bとに囲まれた略四角形の空間である。一方向(幅方向)に対向するそれらPC梁35a,35bには、一方向(幅方向)へ延びる複数のアンカーボルト36が取り付けられ、または、一方向(幅方向)へ延びる複数の連結鉄筋36(鉄筋)が配筋されている。それらPC梁35a,35bに取り付けられた各アンカーボルト36またはそれらPC梁35a,35bに配筋された各連結鉄筋36(鉄筋)は、交差方向(縦方向)へ所定間隔離間(等間隔離間)した状態で並んでいる。
ユニット設置工程では、デッキプレートユニットU1を形成するそれら鉄筋トラス付きデッキプレート10の両端近傍がPC梁34a,34bの梁面37近傍に載置される(図6参照)。鉄筋トラス付きデッキプレート10の端縁近傍に取り付けられた端部材38とPC梁34a,34bのフープ筋39とがフック筋40(連結手段)によって連結されることで、施工スペースSにおいてデッキプレートユニットU1がPC梁34a,34bに連結固定される(図7参照)。なお、連結手段に特に制限はなく、鉄筋どうしを連結する他の連結手段によってデッキプレートユニットU1をPC梁34a,34bの各鉄筋に連結固定することができる。
ユニット設置工程では、連結手段によってデッキプレートユニットU1をPC梁34a,34bの鉄筋(フープ筋39)に連結固定すると同時に、鉄筋トラス付きデッキプレート10(デッキプレートユニットU1)に一方向(幅方向)へ延びる複数のスラブ補強筋28を配筋する。それらスラブ補強筋28を交差方向(縦方向)へ等間隔離間させた状態(または交差方向(縦方向)へ所定寸法離間(不規則に離間)させた状態)で鉄筋トラス付きデッキプレート10の上端筋17の上に配置し、結束線(図示せず)を利用してそれらスラブ補強筋28を鉄筋トラス12の上端筋17に連結する。それらスラブ補強筋28は、デッキプレートユニットU1において、鉄筋トラス12の上端筋17や下端筋18、ラチス筋19と交差して一方向(幅方向)へ直状に延びる。
ユニット設置工程が終了すると(デッキプレートユニットU1を施工スペースSに設置した後)、端部連結工程が実施される。端部連結工程では、図8に示すように、一方向(幅方向)に対向するそれらPC梁35a,35bに取り付けられた複数のアンカーボルト36にそれら補強鉄筋27の両端部42およびスラブ補強筋28の両端部が取り付けられる。または、一方向(幅方向)に対向するそれらPC梁35a,35bに配筋された複数の連結鉄筋36(鉄筋)にそれら補強鉄筋27の両端部42およびスラブ補強筋28の両端部が取り付けられる。なお、端部連結工程がユニット設置工程と同時(デッキプレートユニットU1の設置と略同時)に行われてもよい。
ユニット設置工程および端部連結工程が終了すると、梁一体構造物構築工程が実施される。梁一体構造物構築工程では、ユニット設置工程によって施工スペースSに設置固定されたデッキプレートユニットU1の上面15とPC梁34a,34b,35a,35bの上面とに所定の被り寸法でコンクリート43を打設し、コンクリート43を所定期間養生する(図10参照)。梁一体構造物構築工程が終了すると、交差方向(縦方向)に対向するPC梁34a,34bと一方向(幅方向)に対向するPC梁35a,35bとの間の施工スペースSにコンクリートスラブ44が構築されるとともに、PC梁34a,34b(PC鋼材41、鉄筋、コンクリート43)と一体になった梁一体構造物45が構築される。
梁一体構造物45は、図10に示すように、PC梁34a,34bと、デッキプレートユニットU1の両側方域30を形成する鉄筋トラス付きデッキプレート10の両端部(PC梁34a,34bの梁面37と梁面37から縦方向(交差方向)へ所定寸法離間した箇所との間)と、PC梁34a,34bのPC鋼材41の高さレベルと略同一の高さレベルの複数の補強鉄筋27、硬化したコンクリート43とから形成されている。梁一体構造物45は、構築されたコンクリートスラブ44の強度(引っ張り強度や圧縮強度、せん断強度)をPC梁34a,34bとともに向上させる。
スラブ施工方法は、コンクリートスラブ44の施工に使用する複数の鉄筋トラス付きデッキプレート10を地上の作業スペースにおいて一方向(幅方向)へ連結し、コンクリートスラブ44を施工する建造物の所定の階層の施工スペースSに対応する所定面積のデッキプレートユニットU1を作り、地上の作業スペースにおいて、デッキプレートユニットU1の両側方域30を形成するそれら鉄筋トラス付きデッキプレート10の両端部(両端域)に一方向へ延びる複数の補強鉄筋27を配置しつつ、それら補強鉄筋27をそれら鉄筋トラス付きデッキプレート10の両端部(両端域)に位置する鉄筋トラス12に連結し、鉄筋トラス12にそれら補強鉄筋27が連結されたデッキプレートユニットU1を所定の吊り上げ手段によってコンクリートスラブ44を施工する階層の施工スペースSに搬入し、交差方向(縦方向)に対向するPC梁34a,34bと一方向(幅方向)に対向するPC梁35a,35bとの間の施工スペースSにデッキプレートユニットU1を配置しつつ、それら鉄筋トラス付きデッキプレート10の両端近傍を所定の連結手段によってPC梁34a,34bの梁面37近傍に設置し、デッキプレートユニットU1の上面15とPC梁34a,34b,35a,35bの上面とに所定の被り寸法でコンクリート43を打設し、施工スペースSにコンクリートスラブ44を構築するとともに、PC梁34a,34bと一体になった梁一体構造物45を構築するから、建造物のPC梁34a,34b,35a,35bの間の施工スペースSにコンクリートスラブ44を施工すると同時に、コンクリートスラブ44を補強するための梁一体構造物45(PC梁34a,34b、デッキプレートユニットU1の両側方域30を形成する鉄筋トラス付きデッキプレート10(鉄板ベース11や上下端筋17,18、ラチス筋19を含む)の両端部(両端域)、PC梁34a,34bのPC鋼材41の高さレベルと略同一の高さレベルの補強鉄筋27、コンクリート43から形成されてPC梁34a,34bと一体になった梁一体構造物45)を構築することができる。
スラブ施工方法は、コンクリートスラブ44と同時に梁一体構造物45を構築することによって、PC梁34a,34bと一体になった梁一体構造物45(PC梁34a,34b、デッキプレートユニットU1の両側方域30を形成する鉄筋トラス付きデッキプレート10(鉄板ベース11や上下端筋17,18、ラチス筋19を含む)の両端部(両端域)、PC梁34a,34bのPC鋼材41の高さレベルと略同一の高さレベルの補強鉄筋27、コンクリート43から形成されてPC梁34a,34bと一体になった梁一体構造物45)を作ることができ、PC梁34a,34bと一体になった梁一体構造物45を作ることで、PC梁34a,34b,35a,35bの間の施工スペースSに施工された面積が大きい(大スパン)コンクリートスラブ44の強度(引っ張り強度や圧縮強度、せん断強度)を確保することができ、PC梁34a,34b,35a,35bの間に梁一体構造物45につながる十分な強度(引っ張り強度や圧縮強度、せん断強度)を有するコンクリートスラブ44を作ることができる。
図11は、第1補強鉄筋27aを取り付けた他の一例の第1デッキプレートユニットU2を部分的に示す斜視図であり、図12は、第2補強鉄筋27bを取り付けた他の一例の第2デッキプレートユニットU3を部分的に示す斜視図である。図13は、ユニット設置工程の他の一例を示す第1デッキプレートユニットU2,U3,U4の正面図であり、図14は、ユニット設置工程の他の一例を示す第2デッキプレートユニットU2,U3,U4の正面図である。図15は、ユニット設置工程および端部連結工程が終了した第1~第3施工スペースS1~S3の他の一例を示す平面図であり、図16は、梁一体構造物構築工程の他の一例を示すデッキプレートユニットU2,U3,U4の正面図である。図17は、梁一体構造物構築工程の他の一例を示すデッキプレートユニットU2,U3,U4の正面図である。図11,12では、縦方向(交差方向)を矢印A、幅方向(一方向)を矢印Bで示し、上下方向を矢印Cで示す。図14では、鉄筋トラス12やスラブ補強筋28、吊り上げ筋29の図示を省略している。
図11~図16に示すスラブ施工方法におけるユニット作成工程は、図1において説明したユニット作成工程と同一である。図11~図16に示すスラブ施工方法において、ユニット作成工程が終了すると、高さレベル調整工程および補強鉄筋連結工程が実施される。高さレベル調整工程および補強鉄筋連結工程では、地上の作業スペースにおいて、第1デッキプレートユニットU2の一方の側方域30aを形成するそれら鉄筋トラス付きデッキプレート10の鉄筋トラス12の上端筋17と下端筋18との間に延びるラチス筋19の中間部24の間の挿入空間に複数の第1補強鉄筋27を一方向(幅方向)へ向かって挿通する。第1デッキプレートユニットU2の一方の側方域30aを形成するそれら鉄筋トラス付きデッキプレート10の一方の端部(一方の端域)に一方向(幅方向)へ直状に延びるそれら第1補強鉄筋27aを配置しつつ、それら第1補強鉄筋27aの鉄筋トラス付きデッキプレート10(鉄板ベース11の上面15)に対する上下方向の高さレベルをPC梁34aのPC鋼材41の上下方向の高さレベルと略同一に調整する。
高さレベルを調節した後、それら第1補強鉄筋27aを鉄筋トラス付きデッキプレート10の一方の端部(一方の端域)に位置する鉄筋トラス12に連結(配筋)する。それら第1補強鉄筋27aは、第1デッキプレートユニットU2の一方の側方域30aにおいて、交差方向(縦方向)へ略等間隔離間しつつ、鉄筋トラス12の上端筋17や下端筋18、ラチス筋19と交差して一方向(幅方向)へ直状に延びる。
さらに、地上の作業スペースにおいて、ユニット)の他方の側方域30bを形成するそれら鉄筋トラス付きデッキプレート10の鉄筋トラス12の上端筋17と下端筋18との間に延びるラチス筋19の中間部24の間の挿入空間に複数の第2補強鉄筋27bを一方向(幅方向)へ向かって挿通する。第3デッキプレートユニットU3(第nデッキプレートユニット)の他方の側方域30bを形成するそれら鉄筋トラス付きデッキプレート10の他方の端部(他方の端域)に一方向(幅方向)へ直状に延びるそれら第2補強鉄筋27bを配置しつつ、それら第2補強鉄筋27bの鉄筋トラス付きデッキプレート10(鉄板ベース11の上面15)に対する上下方向の高さレベルをPC梁のPC鋼材34bの上下方向の高さレベルと略同一に調整する。
高さレベルを調節した後、それら第2補強鉄筋27bを鉄筋トラス付きデッキプレート10の他方の端部(他方の端域)に位置する鉄筋トラス12に連結(配筋)する。それら第2補強鉄筋27bは、第3デッキプレートユニットU3の他方の側方域30bにおいて、交差方向(縦方向)へ略等間隔離間しつつ、鉄筋トラス12の上端筋17や下端筋18、ラチス筋19と交差して一方向(幅方向)へ直状に延びる。
補強鉄筋連結工程では、高さレベルが略同一のそれら第1および第2補強鉄筋27a,27bを交差方向(縦方向)へ略等間隔離間させた状態で並べ、結束線(図示せず)を利用して第1および第2補強鉄筋27a,27bを鉄筋トラス12のラチス筋19の中間部24に連結し、一方の側方域30aにそれら第1補強鉄筋27aが連結された第1デッキプレートユニットU2を作るとともに、他方の側方域30bにそれら第2補強鉄筋27bが連結された第3デッキプレートユニットU3を作る。なお、補強鉄筋連結工程を実施せずに、補強鉄筋27a,27bが連結されていないユニット作成工程によって作られた第2デッキプレートユニットU4を別途用意する。
第1デッキプレートユニットU2では、一方の側方域30aを除く残余域31と他方の側方域とには第1補強鉄筋27aは配筋されない。第3デッキプレートユニットU3では、他方の側方域30bを除く残余域31と一方の側方域とには第2補強鉄筋27bは配筋されない。補強鉄筋連結工程では、PC梁34a,34bの梁面37と梁面37から交差方向(縦方向)へ所定寸法離間した箇所との間に延びる鉄筋トラス付きデッキプレート10の鉄筋トラス12に交差方向(縦方向)へ略等間隔離間した第1および第2補強鉄筋27a,27bを連結する。梁面37から交差方向(縦方向)へ所定寸法離間した箇所は、梁面37から1~2mの範囲である。
鉄筋トラス12の上端筋17と下端筋18との間に延びるラチス筋19の中間部24の間の挿入空間に一対の吊り上げ筋29(段取り筋)を一方向(幅方向)へ向かって挿通し、デッキプレートユニットU2,U3,U4(第1~第nデッキプレートユニット)の両側方域を除く残余域31に一方向(幅方向)へ延びるそれら吊り上げ筋29を配置しつつ、吊り上げ筋29を鉄筋トラス12の下端筋18に結束線(図示せず)を利用して連結する。それら吊り上げ筋29は、鉄筋トラス12の上端筋17や下端筋18、ラチス筋19と交差して一方向(幅方向)へ直状に延びる。次に、それら吊り上げ筋29の所定の位置に少なくとも複数個の吊り上げ用フック46を取り付ける。なお、吊り上げ筋29(段取り筋)をデッキプレートユニットU2,U3,U4の両側方域に配置してもよく、吊り上げ筋29を鉄筋トラス12の上端筋17またはラチス筋19に連結してもよい。
それら第1および第2補強鉄筋27a,27bの第1および第3デッキプレートユニットU2,U3(鉄筋トラス付きデッキプレート10の鉄板ベース11の上面15)に対する上下方向の高さレベルとPC梁34a,34bのPC鋼材41の上下方向の高さレベルとを略同一にすることなく、結束線を利用して第1および第2補強鉄筋27a,27bを鉄筋トラス12のラチス筋19の中間部24に連結する場合がある。また、それら第1および第2補強鉄筋27a,27bを交差方向(縦方向)へ略等間隔離間させることなく、第1および第2補強鉄筋27a,27bを交差方向(縦方向)へ所定寸法離間(不規則に離間)させた状態で、結束線を利用して第1および第2補強鉄筋27a,27bを鉄筋トラス12のラチス筋19の中間部24に連結する場合がある。
さらに、それら第1および第2補強鉄筋27a,27bがラチス筋19の中間部24ではなく、上端筋17と下端筋18とのいずれかに連結される場合もあり、それら第1および第2補強鉄筋27a,27bが上端筋17とラチス筋19との交差箇所における上端筋17およびラチス筋19に連結され、それら第1および第2補強鉄筋27a,27bが下端筋18とラチス筋19との交差箇所における下端筋18およびラチス筋19に連結される場合もある。
高さレベル調整工程および補強鉄筋連結工程が終了すると、仮置き工程が実施される。仮置き工程では、ユニット設置工程の準備や端部連結工程の準備が終了するまでの間、建設現場に隣接する地上の仮置きスペースに複数の第1デッキプレートユニットU2や第3デッキプレートユニットU3、第2デッキプレートユニットU4を上下方向へ積み重ねた状態で所定期間仮置きをする。仮置き工程における第1~第3デッキプレートユニットU2,U3,U4の仮置き手順は、デッキプレートユニットU1のそれと同一であるから、デッキプレートユニットU1の仮置き手順の説明を援用し、デッキプレートユニットU2,U3,U4における仮置き手順の説明は省略する。
仮置き工程では、建造する建造物の層階の施工スペースS1~S3の数だけデッキプレートユニットU2,U3,U4を作り、それらデッキプレートユニットU2,U3,U4を施工順に仮置き場所に積み重ねる。なお、仮置き工程を実施することなく、補強鉄筋連結工程において補強鉄筋27を鉄筋トラス12に連結した後、ユニット設置工程や端部連結工程を実施する場合もある。
仮置き工程(仮置き工程を実施しない場合は補強鉄筋連結工程)が終了すると、ユニット設置工程が実施される。ユニット設置工程では、鉄筋トラス12のラチス筋19の中間部24にそれら第1および第2補強鉄筋27a,27bが連結された第1および第3デッキプレートユニットU2,U3、補強鉄筋27a,27bが連結されていない第2デッキプレートユニットU4をクレーン33(所定の吊り上げ手段)によって建造物のコンクリートスラブ44を施工する階層に搬入する。
仮置き工程によって仮置かれたデッキプレートユニットU2,U3,U4(仮置き工程を実施しない場合は、補強鉄筋連結工程によって第1および第2補強鉄筋27a,27bが取り付けられた第1および第3デッキプレートユニットU2,U3やユニット作成工程によって作られた第2デッキプレートユニットU4)の吊り上げ筋29(段取り筋)に取り付けた吊り上げ用フック46にワイヤーロープ32を掛け、クレーン33の玉掛にワイヤーロープ32を掛けた後、クレーン33によって第1~第3デッキプレートユニットU2,U3,U4を空中に吊し上げ、コンクリートスラブ44を施工する建造物の階層の施工スペースS1~S3に搬入(移送)する(図5援用)。図15に示す建造物では、各階層に交差方向(縦方向)へ並ぶ3つの施工スペースS1~S3が画成されている。
施工スペースS1~S3に搬入された第1~第3デッキプレートユニットU2,U3,U4は、クレーン33から所定階層の所定の施工スペースS1~S3に降ろされ、それら施工スペースS1~S3に載置される。施工スペースS1は、交差方向(縦方向)に対向するPC梁34a(本梁)と小梁47aと一方向(幅方向)に対向するPC梁35a,35bとに囲まれた略四角形の空間である。施工スペースS2は、交差方向(縦方向)に対向する小梁47a,47bどうしと一方向(幅方向)に対向するPC梁35a,35bとに囲まれた略四角形の空間である。施工スペースS3は、交差方向(縦方向)に対向する小梁47bとPC梁34b(本梁)と一方向(幅方向)に対向するPC梁35a,35bとに囲まれた略四角形の空間である。一方向(幅方向)に対向するそれらPC梁35a,35bには、一方向(幅方向)へ延びる複数のアンカーボルト36が取り付けられ、または、一方向(幅方向)へ延びる複数の連結鉄筋36(鉄筋)が配筋されている。
ユニット設置工程において、第1デッキプレートユニットU2を形成するそれら鉄筋トラス付きデッキプレート10の両端近傍が施工スペースS1を画成するPC梁34aの梁面37近傍と小梁47aの梁面近傍とに載置される。第2デッキプレートユニットU4を形成するそれら鉄筋トラス付きデッキプレート10の両端近傍が施工スペースS2を画成する各小梁47a,47bの梁面近傍に載置される。さらに、第3デッキプレートユニットU3を形成するそれら鉄筋トラス付きデッキプレート10の両端近傍が施工スペースS3を画成する小梁47bの梁面近傍とPC梁34bの梁面近傍とに載置される。
鉄筋トラス付きデッキプレート10の端縁近傍に取り付けられた端部材38とPC梁34aのフープ筋39とがフック筋40(連結手段)によって連結されるとともに、端部材38と小梁47aのフープ筋39とがフック筋40(連結手段)によって連結されることで、施工スペースS1において第1デッキプレートユニットU2がPC梁34aと小梁47aとに連結固定される。鉄筋トラス付きデッキプレート10の端縁近傍に取り付けられた端部材38と小梁47a,47bのフープ筋39とがフック筋40(連結手段)によって連結されることで、施工スペースS2において第3デッキプレートユニットU4がそれら小梁47a,47bに連結固定される。
鉄筋トラス付きデッキプレート10の端縁近傍に取り付けられた端部材38と小梁47bのフープ筋39とがフック筋40(連結手段)によって連結されるとともに、端部材38とPC梁34bのフープ筋39とがフック筋40(連結手段)によって連結されることで、施工スペースS3において第3デッキプレートユニットU3がPC梁43bと小梁47bとに連結固定される。連結手段に特に制限はなく、鉄筋どうしを連結する他の連結手段によってデッキプレートユニットU2,U3,U4をPC梁34a,34bや小梁47あ、47bの各鉄筋に連結固定することができる。
ユニット設置工程では、連結手段によって第1~第3デッキプレートユニットU2,U3,U4をPC梁34a,34bや小梁47a,47bの各鉄筋に連結固定すると同時に、それら鉄筋トラス付きデッキプレート10(第1~第3デッキプレートユニットU2,U3,U4)に一方向(幅方向)へ延びる複数のスラブ補強筋28を配筋する。それらスラブ補強筋28を交差方向(縦方向)へ等間隔離間させた状態(または交差方向(縦方向)へ所定寸法離間(不規則に離間)させた状態)で鉄筋トラス付きデッキプレート10の上端筋17の上に配置し、結束線(図示せず)を利用してそれらスラブ補強筋28を鉄筋トラス12の上端筋17に連結する。それらスラブ補強筋28は、デッキプレートユニットU2,U3,U4において、鉄筋トラス12の上端筋17や下端筋18、ラチス筋19と交差して一方向(幅方向)へ直状に延びる。
ユニット設置工程が終了すると(第1~第3デッキプレートユニットU2,U3,U4を施工スペースS1~S3に設置した後)、端部連結工程が実施される。端部連結工程では、一方向(幅方向)に対向するそれらPC梁35a,35bに取り付けられた複数のアンカーボルト36にそれら第1および第2補強鉄筋27a,27bの両端部42およびスラブ補強筋28の両端部が取り付けられる。または、一方向(幅方向)に対向するそれらPC梁35a,35bに配筋された複数の連結鉄筋36(鉄筋)にそれら第1および第2補強鉄筋27a,27bの両端部42およびスラブ補強筋28の両端部が取り付けられる(図8参照)。なお、端部連結工程がユニット設置工程と同時(第1~第3デッキプレートユニットU2~U4の設置と略同時)に行われてもよい。
ユニット設置工程および端部連結工程が終了すると、梁一体構造物構築工程が実施される。梁一体構造物構築工程では、ユニット設置工程によって施工スペースS1~S3に設置固定された第1~第3デッキプレートユニットU2~U4の上面15とPC梁34a,34b,35a,35bおよび小梁47a,47bの上面とに所定の被り寸法でコンクリート43を打設し、コンクリート43を所定期間養生する(図16参照)。梁一体構造物構築工程が終了すると、交差方向(縦方向)に対向するPC梁34a,34bと一方向(幅方向)に対向するPC梁35a,35bとの間の施工スペースS1~S3にコンクリートスラブ44が構築されるとともに、PC梁34a,34b(PC鋼材41、鉄筋、コンクリート43)と一体になった梁一体構造物45が構築される。
梁一体構造物45は、図16,17に示すように、PC梁34a,34bと、第1および第3デッキプレートユニットU2,U3の側方域30a,30bを形成する鉄筋トラス付きデッキプレート10の各端部(PC梁34a,34bの梁面37と梁面37から縦方向(交差方向)へ所定寸法離間した箇所との間)と、PC梁34a,34bのPC鋼材41の高さレベルと略同一の高さレベルの複数の第1および第2補強鉄筋27a,27bと、硬化したコンクリート43とから形成されている。梁一体構造物45は、構築されたコンクリートスラブ44の強度(引っ張り強度や圧縮強度、せん断強度)をPC梁34a,34bとともに向上させる。
スラブ施工方法は、コンクリートスラブ44の施工に使用する複数の鉄筋トラス付きデッキプレート10を地上の作業スペースにおいて一方向(幅方向)へ連結し、コンクリートスラブ44を施工する建造物の所定の階層の第1~第3施工スペースS1~S3(第1~第n施工スペース)に対応する所定面積の第1~第3デッキプレートユニットU2,U3,U4(第1~第nデッキプレートユニット)を作り、地上の作業スペースにおいて、第1デッキプレートユニットU2の一方の側方域30aを形成するそれら鉄筋トラス付きデッキプレート10の一方の端部(一方の端域)に一方向(幅方向)へ延びる複数の第1補強鉄筋27aを配置しつつ、それら第1補強鉄筋27aをそれら鉄筋トラス付きデッキプレート10の一方の端部に位置する鉄筋トラス12に連結し、第3デッキプレートユニットU3(第nデッキプレートユニット)の他方の側方域30bを形成するそれら鉄筋トラス付きデッキプレート10の他方の端部(他方の端域)に一方向(幅方向)へ延びる複数の第2補強鉄筋27bを配置しつつ、それら第2補強鉄筋27bをそれら鉄筋トラス付きデッキプレート10の他方の端部に位置する鉄筋トラス12に連結し、鉄筋トラス12に第1および第2補強鉄筋27a,27bが連結された第1および第3デッキプレートユニットU2,U3を含む各デッキプレートユニットU2~U4を所定の吊り上げ手段によってコンクリートスラブ44を施工する階層の施工スペースS1~S3に搬入し、交差方向(縦方向)に対向するPC梁34a,34bと一方向(幅方向)に対向するPC梁35a,35bとの間の第1~第3施工スペースS1~S3(第1~第n施工スペース)に第1~第3デッキプレートユニットU2~U4を交差方向(縦方向)へ隣接させた状態で配置しつつ、それら鉄筋トラス付きデッキプレート10の両端近傍を所定の連結手段によってPC梁34a,34bの梁面37近傍に設置し、第1~第3デッキプレートユニットU2~U4の上面15とPC梁34a,34b,35a,35bおよび小梁47a,47bの上面とに所定の被り寸法でコンクリートを打設し、第1~第3施工スペースS1~S3にコンクリートスラブ44を構築するとともに、PC梁34a,34bと一体になった梁一体構造物45を構築するから、建造物のPC梁34a,34b,35a,35bの間の第1~第3施工スペースS1~S3にコンクリートスラブ44を施工すると同時に、コンクリートスラブ44を補強するための梁一体構造物45(一方のPC梁34a、第1デッキプレートユニットU2の一方の側方域30aを形成する鉄筋トラス付きデッキプレート10の一方の端部(一方の端域)、PC梁34aのPC鋼材41の高さレベルと略同一の高さレベルの第1補強鉄筋27a、コンクリート43から形成されてPC梁34aと一体になった梁一体構造物45、他方のPC梁34b、第3デッキプレートユニットU3の他方の側方域30bを形成する鉄筋トラス付きデッキプレート10の他方の端部(他方の端域)、PC梁34bのPC鋼材41の高さレベルと略同一の高さレベルと第2補強鉄筋27B、コンクリート43から形成されてPC梁34bと一体になった梁一体構造物45)を構築することができる。
スラブ施工方法は、コンクリートスラブ44と同時にそれら梁一体構造物45を構築することによって、PC梁34a,34bと一体になった梁一体構造物45(一方のPC梁34a、第1デッキプレートユニットU2の一方の側方域30aを形成する鉄筋トラス付きデッキプレート10の一方の端部(一方の端域)、PC梁34aのPC鋼材41の高さレベルと略同一の高さレベルの第1補強鉄筋27a、コンクリート43から形成されてPC梁34aと一体になった梁一体構造物45、他方のPC梁34b、第3デッキプレートユニットU3の他方の側方域30bを形成する鉄筋トラス付きデッキプレート10の他方の端部(他方の端域)、PC梁34bのPC鋼材41の高さレベルと略同一の高さレベルと第2補強鉄筋27B、コンクリート43から形成されてPC梁34bと一体になった梁一体構造物45)を作ることができ、PC梁34a,34bと一体になったそれら梁一体構造物45を作ることで、PC梁34a,34b,35a,35bの間に施工された面積が大きい(大スパン)コンクリートスラブ44の強度(引っ張り強度や圧縮強度、せん断強度)を確保することができ、PC梁34a,34b,35a,35bの間に梁一体構造物45につながる十分な強度(引っ張り強度や圧縮強度、せん断強度)を有するコンクリートスラブ44を作ることができる。
図18は、補強鉄筋27を取り付けた他の一例のデッキプレートユニットU5を部分的に示す斜視図であり、図19は、ユニット設置工程の他の一例を示すデッキプレートユニットU5の正面図であり、図20は、梁一体構造物構築工程の他の一例を示すデッキプレートユニットU5の正面図である。図18に示すデッキプレートユニットU5が図1のそれと異なるところは、デッキプレートユニットU5の両側方域30を形成するそれら鉄筋トラス付きデッキプレート10の両端部(両端域)に交差方向(縦方向)へ略等間隔離間した複数の補強鉄筋27が連結されているとともに、上下方向へ略等間隔離間した複数の補強鉄筋27が連結されている点にある。
ユニット作成工程によってデッキプレートユニットU5が作られた後の高さレベル調整工程および補強鉄筋連結工程では、鉄筋トラス12の上端筋17と下端筋18との間に延びるラチス筋19の中間部24の間の挿入空間に複数の補強鉄筋27を一方向(幅方向)へ向かって挿通しつつ、デッキプレートユニットU5の両側方域30を形成するそれら鉄筋トラス付きデッキプレート10の両端部(両端域)に一方向(幅方向)へ延びる複数の補強鉄筋27を配置する。それら補強鉄筋27のうちの一部の鉄筋27の鉄筋トラス付きデッキプレート10(鉄板ベース11の上面15)に対する上下方向の高さレベルをPC梁34a,34bのPC鋼材40の上下方向の高さレベルと略同一に調整する。
補強鉄筋連結工程では、補強鉄筋27の高さレベルを調節した後、高さレベルが略同一のそれら補強鉄筋27を交差方向(縦方向)へ略等間隔離間させた状態で並べる。さらに、交差方向(縦方向)へ並べた補強鉄筋27を除く残余の鉄筋27を鉄筋トラス12の上端筋17と下端筋18との間に上下方向へ略等間隔離間させた状態で並べる。交差方向(縦方向)へ略等間隔離間して並ぶそれら補強鉄筋27を結束線(図示せず)を利用して鉄筋トラス12のラチス筋19の中間部24に連結し、上下方向へ略等間隔離間して並ぶそれら補強鉄筋27を結束線(図示せず)を利用して下端筋18に連結する。
補強鉄筋連結工程では、交差方向(縦方向)と上下方向とに離間したそれら補強鉄筋27が両側方域30に連結されたデッキプレートユニットU5を作る。それら補強鉄筋27は、デッキプレートユニットU5の両側方域30において、交差方向(縦方向)へ略等間隔離間するとともに上下方向へ略等間隔離間しつつ、鉄筋トラス12の上端筋17や下端筋18、ラチス筋19と交差して一方向(幅方向)へ直状に延びる。両側方域30を除くデッキプレートユニットU5の残余域31(両側方域30の間の域)には補強鉄筋27は配筋されない。
それら補強鉄筋27を連結する範囲は、PC梁34a,34bの梁面37と梁面37から交差方向(縦方向)へ所定寸法離間した箇所との間に延びる鉄筋トラス付きデッキプレート10の鉄筋トラス12の両端部(両端域)(梁面37から1~2mの範囲)である。デッキプレートユニットU5に対する吊り上げ筋29(段取り筋)の配筋や吊り上げ用フック46の取り付けは、デッキプレートユニットU1に対するそれらと同一であるから、図1のデッキプレートユニットU1の説明を援用し、それらの説明は省略する。
それら補強鉄筋27のデッキプレートユニットU5(鉄筋トラス付きデッキプレート10の鉄板ベース11の上面15)に対する上下方向の高さレベルとPC梁34a,34bのPC鋼材41の上下方向の高さレベルとを略同一にすることなく、交差方向(縦方向)と上下方向とに並ぶ複数の補強鉄筋27を鉄筋トラス12のラチス筋19の所定の箇所に連結する場合がある。
また、それら補強鉄筋27を交差方向(縦方向)と上下方向とへ略等間隔離間させることなく、それら補強鉄筋27を交差方向(縦方向)と上下方向とへ所定寸法離間(不規則に離間)させた状態で、それら補強鉄筋27を鉄筋トラス12のラチス筋19の所定の箇所に連結する場合がある。
さらに、それら補強鉄筋27がラチス筋19の中間部24ではなく、上端筋17と下端筋18とのいずれかに連結される場合もあり、それら補強鉄筋27が上端筋17とラチス筋19との交差箇所における上端筋17およびラチス筋19に連結され、それら補強鉄筋27が下端筋18とラチス筋19との交差箇所における下端筋18およびラチス筋19に連結される場合もある。
高さレベル調整工程および補強鉄筋連結工程が終了すると、仮置き工程が実施される。仮置き工程におけるデッキプレートユニットU5の仮置き手順は、デッキプレートユニットU1のそれと同一であるから、デッキプレートユニットU1の仮置き手順の説明を援用し、デッキプレートユニットU5における仮置き手順の説明は省略する。仮置き工程(仮置き工程を実施しない場合は補強鉄筋連結工程)が終了すると、デッキプレートユニットU5を施工スペースSに設置固定するユニット設置工程が実施される。ユニット設置工程におけるデッキプレートユニットU5の設置手順は、デッキプレートユニットU1のそれと同一であるから、デッキプレートユニットU1の設置手順の説明を援用し、デッキプレートユニットU5における設置手順の説明は省略する。なお、ユニット設置工程では、鉄筋トラス付きデッキプレート10(デッキプレートユニットU5)に一方向(幅方向)へ延びる複数のスラブ補強筋28が配筋される。
ユニット設置工程が終了すると、端部連結工程が実施される。端部連結工程では、一方向(幅方向)に対向するそれらPC梁35a,35bに取り付けられた複数のアンカーボルト36に交差方向(縦方向)と上下方向とへ並ぶ補強鉄筋27の両端部42および交差方向(縦方向)並ぶスラブ補強筋28の両端部が取り付けられる。または、一方向(幅方向)に対向するそれらPC梁35a,35bに配筋された複数の連結鉄筋36(鉄筋)に交差方向(縦方向)と上下方向とへ並ぶ補強鉄筋27の両端部42および交差方向(縦方向)並ぶスラブ補強筋28の両端部が取り付けられる。
ユニット設置工程および端部連結工程が終了すると、梁一体構造物構築工程が実施される。デッキプレートユニットU5を使用した梁一体構造物構築工程の梁一体構造物構築手順は、デッキプレートユニットU1を使用したそれと同一であるから、デッキプレートユニットU1の梁一体構造物構築手順の説明を援用し、デッキプレートユニットU5における梁一体構造物構築手順の説明は省略する。
梁一体構造物構築工程が終了すると、交差方向(縦方向)に対向するPC梁34a,34bと一方向(幅方向)に対向するPC梁35a,35bとの間の施工スペースS(図9参照)にコンクリートスラブ44が構築されるとともに、PC梁34a,34b(PC鋼材41、鉄筋、コンクリート43)と一体になった梁一体構造物45が構築される。 梁一体構造物45は、図20に示すように、PC梁34a,34bと、デッキプレートユニットU5の両側方域30を形成する鉄筋トラス付きデッキプレート10の両端部(PC梁34a,34bの梁面37と梁面37から縦方向(交差方向)へ所定寸法離間した箇所との間)と、交差方向(縦方向)と上下方向とへ並ぶ複数の補強鉄筋27、硬化したコンクリート43とから形成されている。梁一体構造物45は、構築されたコンクリートスラブ44の強度(引っ張り強度や圧縮強度、せん断強度)をPC梁34a,34bとともに向上させる。なお、デッキプレートユニットU5を利用したスラブ施工方法は、デッキプレートユニットU1を利用したスラブ施工方法と同一の効果を有する。
図21は、第1補強鉄筋27aを取り付けた他の一例の第1デッキプレートユニットU6を部分的に示す斜視図であり、図22は、ユニット設置工程の他の一例を示す第1デッキプレートユニットU6の正面図である。図23は、第2補強鉄筋27bを取り付けた他の一例の第2デッキプレートユニットU7を部分的に示す斜視図であり、図24は、ユニット設置工程の他の一例を示す第2デッキプレートユニットU7の正面図である。図25は、梁一体構造物構築工程の他の一例を示すデッキプレートユニットU6の正面図であり、図26は、梁一体構造物構築工程の他の一例を示すデッキプレートユニットU7の正面図である。
図21に示す第1デッキプレートユニットU6が図11のそれと異なるところは、第1デッキプレートユニットU6の一方の側方域30aを形成するそれら鉄筋トラス付きデッキプレート10の一方の端部(一方の端域)に交差方向(縦方向)へ略等間隔離間した複数の第1補強鉄筋27aが連結されているとともに、上下方向へ略等間隔離間した複数の第1補強鉄筋27aが連結されている点にある。
図24に示す第2デッキプレートユニットU7が図12のそれと異なるところは、第2デッキプレートユニットU7の他方の側方域30bを形成するそれら鉄筋トラス付きデッキプレート10の他方の端部(他方の端域)に交差方向(縦方向)へ略等間隔離間した複数の第2補強鉄筋27bが連結されているとともに、上下方向へ略等間隔離間した複数の第2補強鉄筋27bが連結されている点にある。
ユニット作成工程によって第1デッキプレートユニットU6が作られた後の高さレベル調整工程および補強鉄筋連結工程では、鉄筋トラス12の上端筋17と下端筋18との間に延びるラチス筋19の中間部24の間の挿入空間に複数の第1補強鉄筋27aを一方向(幅方向)へ向かって挿通しつつ、デッキプレートユニットU6の一方の側方域30aを形成するそれら鉄筋トラス付きデッキプレート10の一方の端部(一方の端域)に一方向(幅方向)へ延びる複数の第1補強鉄筋27aを配置する。それら第1補強鉄筋27aのうちの一部の鉄筋27aの鉄筋トラス付きデッキプレート10(鉄板ベース11の上面15)に対する上下方向の高さレベルをPC梁34a,34bのPC鋼材40の上下方向の高さレベルと略同一に調整する。
ユニット作成工程によって第2デッキプレートユニットU7が作られた後の高さレベル調整工程および補強鉄筋連結工程では、鉄筋トラス12の上端筋17と下端筋18との間に延びるラチス筋19の中間部24の間の挿入空間に複数の第2補強鉄筋27bを一方向(幅方向)へ向かって挿通しつつ、デッキプレートユニットU7の他方の側方域30bを形成するそれら鉄筋トラス付きデッキプレート10の他方の端部(他方の端域)に一方向(幅方向)へ延びる複数の第2補強鉄筋27bを配置する。それら第2補強鉄筋27bのうちの一部の鉄筋27bの鉄筋トラス付きデッキプレート10(鉄板ベース11の上面15)に対する上下方向の高さレベルをPC梁34a,34bのPC鋼材40の上下方向の高さレベルと略同一に調整する。
補強鉄筋連結工程では、第1および第2補強鉄筋27a,27bの高さレベルを調節した後、高さレベルが略同一の第1および第2補強鉄筋27a,27bを交差方向(縦方向)へ略等間隔離間させた状態で並べる。さらに、交差方向(縦方向)へ並べた第1および第2補強鉄筋27a,27bを除く残余の鉄筋27a,27bを鉄筋トラス12の上端筋17と下端筋18との間に上下方向へ略等間隔離間させた状態で並べる。交差方向(縦方向)へ略等間隔離間して並ぶ第1および第2補強鉄筋27a,27bを結束線(図示せず)を利用して鉄筋トラス12のラチス筋19の中間部24に連結し、上下方向へ略等間隔離間して並ぶ第1および第2補強鉄筋27a,27bを結束線(図示せず)を利用して下端筋18に連結する。
補強鉄筋連結工程では、交差方向(縦方向)と上下方向とに離間したそれら第1補強鉄筋27aが一方の側方域30aに連結されたデッキプレートユニットU6を作る。それら第1補強鉄筋27aは、デッキプレートユニットU6の一方の側方域30aにおいて、交差方向(縦方向)へ略等間隔離間するとともに上下方向へ略等間隔離間しつつ、鉄筋トラス12の上端筋17や下端筋18、ラチス筋19と交差して一方向(幅方向)へ直状に延びる。側方域30aを除くデッキプレートユニットU6の残余域31には第1補強鉄筋27aは配筋されない。
補強鉄筋連結工程では、交差方向(縦方向)と上下方向とに離間したそれら第2補強鉄筋27bが他方の側方域30bに連結されたデッキプレートユニットU7を作る。それら第2補強鉄筋27bは、デッキプレートユニットU7の他方の側方域30bにおいて、交差方向(縦方向)へ略等間隔離間するとともに上下方向へ略等間隔離間しつつ、鉄筋トラス12の上端筋17や下端筋18、ラチス筋19と交差して一方向(幅方向)へ直状に延びる。側方域30bを除くデッキプレートユニットU7の残余域31には第2補強鉄筋27bは配筋されない。
第1および第2補強鉄筋27a,27bを連結する範囲は、PC梁34a,34bの梁面37と梁面37から交差方向(縦方向)へ所定寸法離間した箇所との間に延びる鉄筋トラス付きデッキプレート10の鉄筋トラス12の両端部(両端域)(梁面37から1~2mの範囲)である。デッキプレートユニットU6やデッキプレートユニットU7に対する吊り上げ筋29(段取り筋)の配筋や吊り上げ用フック46の取り付けは、デッキプレートユニットU2やデッキプレートユニットU3に対するそれらと同一であるから、図11,12のデッキプレートユニットU2,U3の説明を援用し、それらの説明は省略する。
第1および第2補強鉄筋27a,27bのデッキプレートユニットU6,U7(鉄筋トラス付きデッキプレート10の鉄板ベース11の上面15)に対する上下方向の高さレベルとPC梁34a,34bのPC鋼材41の上下方向の高さレベルとを略同一にすることなく、交差方向(縦方向)と上下方向とに並ぶ複数の第1および第2補強鉄筋27a,27bを鉄筋トラス12のラチス筋19の所定の箇所に連結する場合がある。
また、第1および第2補強鉄筋27a,27bを交差方向(縦方向)と上下方向とへ略等間隔離間させることなく、第1および第2補強鉄筋27a,27bを交差方向(縦方向)と上下方向とへ所定寸法離間(不規則に離間)させた状態で、第1および第2補強鉄筋27a,27bを鉄筋トラス12のラチス筋19の所定の箇所に連結する場合がある。
さらに、第1および第2補強鉄筋27a,27bがラチス筋19の中間部24ではなく、上端筋17と下端筋18とのいずれかに連結される場合もあり、第1および第2補強鉄筋27a,27bが上端筋17とラチス筋19との交差箇所における上端筋17およびラチス筋19に連結され、第1および第2補強鉄筋27a,27bが下端筋18とラチス筋19との交差箇所における下端筋18およびラチス筋19に連結される場合もある。
高さレベル調整工程および補強鉄筋連結工程が終了すると、仮置き工程が実施される。仮置き工程におけるデッキプレートユニットU6やデッキプレートユニットU7の仮置き手順は、デッキプレートユニットU1のそれと同一であるから、デッキプレートユニットU1の仮置き手順の説明を援用し、デッキプレートユニットU6,U7における仮置き手順の説明は省略する。仮置き工程(仮置き工程を実施しない場合は補強鉄筋連結工程)が終了すると、デッキプレートユニットU6を施工スペースS1に設置固定するとともに、デッキプレートユニットU7を施工スペースS3に設置固定するユニット設置工程が実施される。ユニット設置工程におけるデッキプレートユニットU6,U7の設置手順は、デッキプレートユニットU2やデッキプレートユニットU3のそれと同一であるから、デッキプレートユニットU2,U3の設置手順の説明を援用し、デッキプレートユニットU6,U7における設置手順の説明は省略する。なお、ユニット設置工程では、鉄筋トラス付きデッキプレート10(デッキプレートユニットU6,U7)に一方向(幅方向)へ延びる複数のスラブ補強筋28が配筋される。
ユニット設置工程が終了すると、端部連結工程が実施される。端部連結工程では、一方向(幅方向)に対向するそれらPC梁35a,35bに取り付けられた複数のアンカーボルト36に交差方向(縦方向)と上下方向とへ並ぶ第1および第2補強鉄筋27a,27bの両端部42および交差方向(縦方向)並ぶスラブ補強筋28の両端部が取り付けられる。または、一方向(幅方向)に対向するそれらPC梁35a,35bに配筋された複数の連結鉄筋36(鉄筋)に交差方向(縦方向)と上下方向とへ並ぶ第1および第2補強鉄筋27a,27bの両端部42および交差方向(縦方向)並ぶスラブ補強筋28の両端部が取り付けられる。
ユニット設置工程および端部連結工程が終了すると、梁一体構造物構築工程が実施される。デッキプレートユニットU6やデッキプレートユニットU7を使用した梁一体構造物構築工程の梁一体構造物構築手順は、デッキプレートユニットU2やデッキプレートユニットU3を使用したそれと同一であるから、デッキプレートユニットU2,U3の梁一体構造物構築手順の説明を援用し、デッキプレートユニットU6,U7における梁一体構造物構築手順の説明は省略する。
梁一体構造物構築工程が終了すると、交差方向(縦方向)に対向するPC梁34a,34bと一方向(幅方向)に対向するPC梁35a,35bとの間の施工スペースS1~S3(図15参照)にコンクリートスラブ44が構築されるとともに、PC梁34a,34b(PC鋼材41、鉄筋、コンクリート43)と一体になった梁一体構造物45が構築される。梁一体構造物45は、図25,26に示すように、PC梁34a,34bと、第1および第3デッキプレートユニットU6,U7の側方域30a,30bを形成する鉄筋トラス付きデッキプレート10の各端部(PC梁34a,34bの梁面37と梁面37から縦方向(交差方向)へ所定寸法離間した箇所との間)と、交差方向(縦方向)と上下方向とへ並ぶ複数の第1および第2補強鉄筋27a,27bと、硬化したコンクリート43とから形成されている。梁一体構造物45は、構築されたコンクリートスラブ44の強度(引っ張り強度や圧縮強度、せん断強度)をPC梁34a,34bとともに向上させる。なお、デッキプレートユニットU6,U7を利用したスラブ施工方法は、デッキプレートユニットU2,U3を利用したスラブ施工方法と同一の効果を有する。