JP7021503B2 - 脂肪族ジアミンの製造方法 - Google Patents
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カルボン酸ジアミンの製造方法としては、ジカルボン酸類を減炭させてジアミンを得る方法が知られている。例えば、ジカルボン酸を強酸中でアジ化ナトリウムと反応させ、シュミット転位によりアミンを得る方法(例えば、特許文献1)がある。しかし、アジ化ナトリウムのようなアジド化合物は爆発性があるため、この方法は安全性に問題があり、操作も煩雑になる。
他の方法として、ジカルボン酸アミドを臭素のアルカリ水溶液で処理し、ホフマン転位によりジアミンを得る方法(例えば、非特許文献1、特許文献2~4)が知られている。しかし、臭素は毒性が強く、取り扱いが難しいために大量合成には不向きである、また、環境に悪影響のある臭素化合物が副生するおそれがあり、精製工程が複雑になる可能性があるという問題を有している。これに対し、特許文献4では塩素を用いる方法も記載されている。
したがって、本発明の課題は、安全性、収率、および簡便性の少なくとも一つの点で改良された脂肪族ジアミンの製造方法を提供することである。
前記塩基と前記脂肪族ジアミドとのモル比が、塩基/脂肪族ジアミド(モル比)=1.8~6.0である、脂肪族ジアミンの製造方法。
[2] 前記次亜塩素酸ナトリウムとして、次亜塩素酸ナトリウム五水和物を用いる、[1]に記載の製造方法。
[3] 前記次亜塩素酸ナトリウムは、水酸化ナトリウム水溶液に塩素ガスを導入することにより合成される、[1]に記載の製造方法。
[4] 前記混合溶媒における水とアルコ-ルとの混合比率が、水/アルコ-ル(重量比)=1/0.1~1/10である、[1]~[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5] 前記アルコ-ルは、メタノ-ル、エタノ-ル、プロパノ-ル、およびブタノ-ルから選択される少なくとも1種である、[1]~[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6] 前記脂肪族ジアミドと前記次亜塩素酸ナトリウムとを0~20℃で反応させる工程(a)、および
次いで、20~100℃の温度に昇温する工程であって、前記昇温前、昇温中または昇温後に追加の水を添加する、工程(b)を含む、[1]~[5]のいずれかにに記載の製造方法。
[7] 工程(b)において、20~60℃の温度に昇温し、前記昇温前、昇温中または昇温後に前記追加の水を添加し、次いで、60~100℃の温度に昇温することを含む、[6]に記載の製造方法。
[8] 工程(b)において、前記昇温前に前記追加の水を添加する、[6]または[7]に記載の製造方法。
[9] 最終溶液に含まれる水とアルコ-ルとの混合比率が水/アルコ-ル(重量比)=1/0.01~1/10となるように、前記追加の水が添加される、[6]~[8]のいずれかに記載の製造方法。
[10] 追加の水の添加前の混合溶媒における水とアルコ-ルとの混合比率が、水/アルコ-ル(重量比)=1/1~1/5であり、
追加の水の添加後の最終溶液における水とアルコ-ルとの混合比率が、水/アルコ-ル(重量比)=1/0.01~1/5である、[6]~[9]のいずれかに記載の製造方法。
[11] 前記塩基が水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、および水酸化マグネシウムから選択される少なくとも1種である、[1]~[10]のいずれかに記載の製造方法。
[12] 前記脂肪族ジアミンが、オクタメチレンジアミンまたはシクロヘキサンジアミンである、[1]~[11]のいずれかに記載の製造方法。
例えば、本発明の方法は、以下の一以上の効果を有する。
(1)炭素数5~11の脂肪族ジアミンを、改善された収率で製造し得る。
(2)昇温条件および/または反応溶媒中の水割合を制御することにより、収率が向上し、および/または、副生成物の生成が抑制され得る。
(3)安全かつ簡便に脂肪族ジアミンを製造することができる。特に、次亜塩素酸ナトリウム五水和物を用いることで、安全性および取扱い易さの向上が図られる。
上記式(2)および(2)’中、nは、1~3の整数である。nは、反応性の面で、好ましくは、1~2である。
具体的には、実施形態の製造方法では、以下の反応式に従って、式(1)または式(2)で表される脂肪族ジアミドからそれぞれ式(1)’または式(2)’で表される脂肪族ジアミンが形成されると考えられる。まず、式(1)または式(2)で表される脂肪族ジアミドのアミド基(-CONH2)の水素原子の一つと次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)の塩素原子とが置換して-CONHClとなり、それぞれ式(1a)または式(2a)で表される中間体(以下、「中間体(1a)」または「中間体(2a)」ともいう)が生成される。次いで、-CONHClが熱転位してイソシアネ-ト基(-NCO)となり、それぞれ式(1b)または式(2b)で表される中間体(以下、「中間体(1b)」または「中間体(2b)」ともいう)が生成される。さらに、イソシアネ-ト基(-NCO)が加水分解されてアミノ基(-NH2)となり、それぞれ、目的物である式(1)’または式(2)’で表される脂肪族ジアミン(以下、単に「脂肪族ジアミン」ともいう)が形成される。
なお、下記式において、mおよびnは上記式(1)および式(1)’、または、式(2)および(2)’の定義と同一である。
式(2)の脂肪族ジアミドの例は、シクロヘキサンジアミド、シクロへプタンジアミド、シクロオクタンジアミドである。中でも、シクロヘキサンジアミド、シクロヘプタンジアミド、特に、シクロヘキサンジアミド(例えば、シクロヘキサン-1,4-ジアミド)であり得る。
2NaOH+Cl2→NaOCl+NaCl+H2O (i)
上記反応により生成する次亜塩素酸ナトリウムの量(水溶液中の濃度)および反応に使用される水酸化ナトリウムの量は導入する塩素ガス量から算出することができる。
また、市販品の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いることもできる。次亜塩素酸ナトリウム水溶液の塩素濃度は、特に限定されないが、安定性と入手のし易さの観点で、5~15重量%程度の濃度が好ましい。
なお、反応溶液に直接塩素を導入して次亜塩素酸ナトリウムを発生させる場合には、溶媒に添加する塩基は、脂肪酸ジアミドと次亜塩素酸ナトリウムとの反応に必要な塩基に加えて、次亜塩素酸ナトリウムへの転換に必要な量の水酸化ナトリウムを添加することが好ましい。
なお、反応溶媒として、アルコールのみを使用して脂肪族ジアミドと次亜塩素酸ナトリウムとの反応を行った場合には、塩基の溶解性が悪化し、依然として反応が進行しない傾向があることが分かった。また、その際の主生成物はウレタン化合物(後述する式(1c)および(2c)の化合物)であり、目的物であるジアミンを得るためには更に加水分解の工程を必要とするため、操作が煩雑になる。
例えば、好ましい実施形態は以下の通りである。水およびアルコ-ルの混合溶媒に塩基を溶解し、液温を0~20℃に保ち(特に好ましくは氷冷し)、液温を同温度に保ちながら(特に好ましくは氷冷しながら)次亜塩素酸ナトリウム(好ましくは次亜塩素酸ナトリウム五水和物)を添加し、液温を温度が0~20℃に保たれるように(特に好ましくは氷冷しながら)脂肪酸ジアミドを徐々に(例えば0~3時間かけて)添加する。その後、液温を同温度に保ちながら(特に好ましくは氷冷しながら)、0.5~4時間(好ましくは1~2時間、より好ましくは1~1.5時間)保持する。かかる形態によれば収率向上の利点がある。
例えば、好ましい実施形態は以下の通りである。水およびアルコ-ルの混合溶媒に塩基としての水酸化ナトリウムを溶解し、液温を0~20℃に保ち(特に好ましくは氷冷し)、液温を同温度に保ちながら(特に好ましくは氷冷しながら)塩素を導入して次亜塩素酸ナトリウム含有反応溶液を得、液温を温度が0~20℃に保たれるように(特に好ましくは氷冷しながら)脂肪酸ジアミドを徐々に(例えば0~3時間かけて)添加する。その後、液温を同温度に保ちながら(特に好ましくは氷冷しながら)、0.5~4時間(好ましくは1~2時間、より好ましくは1~1.5時間)保持する。かかる形態によれば収率向上の利点がある。
例えば、好ましい実施形態は以下の通りである。水およびアルコ-ルの混合溶媒に塩基としての水酸化ナトリウムを溶解し、液温を0~20℃に保ち(特に好ましくは氷冷し)、液温を同温度に保ちながら(特に好ましくは氷冷しながら)脂肪酸ジアミドを添加し、液温を温度が0~20℃に保たれるように(特に好ましくは氷冷しながら)塩素ガスを徐々に(例えば0~3時間かけて)導入する。その後、液温を同温度に保ちながら(特に好ましくは氷冷しながら)、0~4時間(好ましくは1分~2時間)保持する。かかる形態によれば生成する次亜塩素酸ナトリウムの分解を抑制しつつ、効率的に反応に活用できる利点がある。
その後、-NCOを有する中間体(1b)および(2b)が加水分解されてアミノ基(-NH2)を有する目的物である脂肪族ジアミンが得られる。
このように、脂肪族ジアミドと次亜塩素酸ナトリウムとから中間体(1a)または(2a)を得る工程と、中間体(1a)または(2a)から熱転位反応および加水分解反応を経て脂肪族ジアミンを得る工程との2段階で温度調整を行うことで、収率の向上および副生成物の抑制が図られる。
例えば、好ましい実施形態は、上記脂肪族ジアミドと次亜塩素酸ナトリウムとの反応工程後に、20~60℃(より好ましくは40~60℃)の温度に昇温して一定時間保持し(工程(b1))、次いで、60~100℃(より好ましくは60~80℃)の温度に昇温すること(工程(b2))を含む。加水分解反応は一般に高温(例えば60℃以上)で反応が進行しやすく、工程(b2)において主として進行すると考えられる。したがって、このような多段階の温度調節を行うことで、中間体(1a)または(2a)から中間体(1b)または(2b)への熱転位反応が十分に進行し、その後高温での加水分解が行われる態様となるため、収率のさらなる向上および副生成物の抑制が図られる。
反応時間は特に制限されないが、一例をあげると、工程(b1)の反応時間(昇温後の保持時間)が例えば1分~3時間(好ましくは1分~2.5時間、より好ましくは1分~2時間)であり、工程(b2)の反応時間(昇温後の保持時間)が例えば1分~3時間(好ましくは1分~2.5時間、より好ましくは1分~2時間)である。
特に好ましくは、工程(b)において、昇温前に前記追加の水が添加される。すなわち、好ましい一実施形態は、上記工程(a)後、追加の水を添加した後に、20~60℃(より好ましくは40~60℃)の温度に昇温する工程(b1)、および、次いで60~100℃(より好ましくは60~80℃)の温度に昇温する工程(b2)を含む。昇温前に追加の水を添加し、さらに2段階の温度調整を行うことにより、熱転位反応および加水分解反応を効果的に行うとともに、熱転位反応後の分解しやすい中間体(1b)または(2b)の生成後、副生成物(特に、後述するウレタン化合物)の生成を抑制しつつ、速やかに加水分解されて脂肪族ジアミン(1)’または(2)’を得ることができ、脂肪族ジアミンの反応収率が一層向上し得る。
強酸の使用量は、加水分解反応が進行し得る量であれば特に制限されないが、例えば、中間体(1b)または(2b)1モルに対して、通常、1.8~6.0モル、好ましくは2.0~3.0モルである。なお、酸を作用させて中間体(1b)または(2b)を加水分解した場合には、生成物が、脂肪族ジアミンの酸付加体として存在する場合がある。該酸付加物は、塩基で洗浄等することにより除去し得る。
酸性条件で加水分解反応を行う場合、反応性の点で、反応溶液のpHは好ましくは1~5である。
塩基の使用量は、加水分解反応が進行し得る量であれば特に制限されないが、例えば、中間体(1b)または(2b)1モルに対して、通常、1.8~6モル、好ましくは2.0~3.0モルである。工程(a)から連続して加水分解を行う場合には、反応溶液中の塩基量がかかる範囲にあれば、追加の塩基のさらなる添加は不要である。一方、工程(a)後に中間体の単離等を行った場合など、加水分解工程において、塩基が存在しない、または、塩基の量が不足している場合には、反応溶液塩基量が上記範囲となるように、追加の塩基を添加することが好ましい。
塩基性条件で加水分解反応を行う場合、反応性の点で、反応溶液のpHは好ましくは9~14である。
例えば、上記中間体(1b)および(2b)、ならびに、中間体(1c)および(2c)は反応溶液から単離し得る。具体的には、該反応溶液をイソプロピルエ-テル等の溶媒で抽出し、エバポレ-タ-などで溶媒を留去することで単離可能である。例えば、当該中間体(1b)もしくは(2b)、または、中間体(1c)もしくは(2c)の単離をした後に、加水分解工程を行なってもよい。ただし、中間体(1b)もしくは(2b)、または、中間体(1c)もしくは(2c)を単離することなくそのまま加水分解工程をすることが操作の簡便性および反応収率の点から好ましい。
抽出溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、クロロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエタンおよびテトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンおよびヘプタン等の炭化水素類;ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素類;ならびにジエチルエ-テル、イソプロピルエ-テル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジフェニルエ-テル、ベンジルエ-テルおよびtert-ブチルエ-テル等のエ-テル類などが挙げられる。
式(1)’の脂肪族ジアミンの例は、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、へプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミンである。中でも、ペンタンジアミン、ヘキサンジアミン、ヘプタンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナンジアミン、特に、オクタメチレンジアミンであり得る。
式(2)’の脂肪族ジアミンの例は、シクロヘキサンジアミン、シクロへプタンジアミン、シクロオクタンジアミンである。中でも、シクロヘキサンジアミン、シクロヘプタンジアミン、特に、シクロヘキサンジアミン(シクロヘキサン-1,4-ジアミン)であり得る。
%は特記しない限り重量パーセントを示す。
合成例1
300mL容の3つロフラスコに、アセトン150.1gおよび酢酸アンモニウム33.1g(0.43mol)を添加した。この溶液を液温が30℃程度になるように滴下量を調整しながらセバシン酸ジクロリド27.9g(0.12mol)をゆっくり滴下した。滴下終了後、42℃で1時間保持した。吸引濾過によって析出した固体を分離し、水およびメタノールで順に洗浄し、乾燥させ、15.9gのデカンジアミド(セバシン酸ジアミド)を白色固体として得た(収率67.9モル%)。
得られた化合物の同定はガスクロマトグラフィー質量分析法により行った。
実施例1
300mL容の4つロフラスコに、水24.2gおよびメタノール76.0gを添加し、次いで、氷冷下で3.0gのNaOHを添加し、さらに、氷冷下で17.3gの次亜塩素酸ナトリウム五水和物を添加した。次に、液温が、5℃以下を保つように、氷冷下で、合成例1で得たデカンジアミド6.0gを少しずつ添加し、添加終了後、氷冷下で1時間保持した。次に、この反応溶液に50.2gの水を添加した後、30分かけて50~55℃に加熱し30分間保持した後、45分かけて70~75℃に加熱し、2時間保持した。反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、オクタメチレンジアミンの反応収率は75モル%であった。
300mL容の4つロフラスコに、水24.1gおよびメタノール76.0gを添加し、次いで、氷冷下で3.0gのNaOHを添加し、さらに、氷冷下で17.3gの次亜塩素酸ナトリウム五水和物を添加した。次に、液温が、5℃以下を保つように、氷冷下で、合成例1で得たデカンジアミド6.0gを少しずつ添加し、添加終了後、氷冷下で1時間保持した。次に、この反応溶液を40分かけて55℃に加熱し、1時間保持した。水50gを0.5時間の間に5回に分けて添加し、その後2時間保持した。反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、オクタメチレンジアミンの反応収率は31モル%であった。
300mL容の4つロフラスコに、水24gおよびメタノール76gを添加し、次いで、氷冷下で15.0gの次亜塩素酸ナトリウム五水和物を添加した。次に、液温が、5℃以下を保つように、氷冷下で、合成例1で得たデカンジアミド6.0gを少しずつ添加し、添加終了後、氷冷下で1時間保持した。反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、オクタメチレンジアミンの生成が確認できなかったため、反応を中止した。
300mL容の4つロフラスコに、水100.3gを添加し、次いで、氷冷下で3.0gのNaOHを添加し、さらに、氷冷下で17.3.0gの次亜塩素酸ナトリウム五水和物を添加した。次に、液温が、5℃以下を保つように、氷冷下で、合成例1で得たデカンジアミド6.0gを少しずつ添加し、添加終了後、氷冷下で1時間保持した。次に、この反応溶液に50.3gの水を添加し、55℃に加熱し45分間保持した後、70~80℃に加熱し、3時間保持した。反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、オクタメチレンジアミンの生成が確認できなかったため、反応を中止した。
300mL容の4つロフラスコに、水24.3gおよびメタノール78.8gを添加し、次いで、氷冷下で7.3gのNaOHを添加し、さらに、氷冷下で15.3gの次亜塩素酸ナトリウム五水和物を添加した。次に、液温が、5℃以下を保つように、氷冷下で、合成例1で得たデカンジアミド6.0gを少しずつ添加し、添加終了後、氷冷下で1時間保持した。次に、この反応溶液を74℃に加熱し2時間保持した後、12.0gの水と12.1gのNaOHを添加し、更に6時間20分間保持した。反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、オクタメチレンジアミンの生成が確認できなかったため、反応を中止した。
水およびアルコ-ルを含む混合溶媒中、特定量の水酸化ナトリウム(NaOH)の存在下で、脂肪族ジアミドと次亜塩素酸ナトリウムとを反応させた場合(実施例1~2)に、炭素数5~11の脂肪族ジアミンを安全かつ簡便に製造することができることが確認された。
追加の水を添加した後の昇温を2段階で行った実施例1は、昇温を1段階で行い、追加の水を昇温後に添加した実施例2と比較して、収率が有意に向上した。
塩基が存在しない比較例1、および、塩基と前記脂肪族ジアミドとのモル比が6.0を超える比較例3では、ほとんど反応が進行せず、収率が著しく低いものとなった。
反応溶媒として水を用いた比較例2においてもほとんど反応が進行せず、収率が著しく低いものとなった。
Claims (10)
- 前記次亜塩素酸ナトリウムとして、次亜塩素酸ナトリウム五水和物を用いる、請求項1に記載の製造方法。
- 前記次亜塩素酸ナトリウムは、水酸化ナトリウム水溶液に塩素ガスを導入することにより合成される、請求項1に記載の製造方法。
- 前記混合溶媒における水とアルコ-ルとの混合比率が、水/アルコ-ル(重量比)=1/0.1~1/10である、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記アルコ-ルは、メタノ-ル、エタノ-ル、プロパノ-ル、およびブタノ-ルから選択される少なくとも1種である、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
- 工程(b)において、20~60℃の温度に昇温し、前記20~60℃の温度への昇温前に前記追加の水を添加し、次いで、60~100℃の温度に昇温することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
- 最終溶液に含まれる水とアルコ-ルとの混合比率が水/アルコ-ル(重量比)=1/0.01~1/10となるように、前記追加の水が添加される、請求項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
- 追加の水の添加前の混合溶媒における水とアルコ-ルとの混合比率が、水/アルコ-ル(重量比)=1/1~1/5であり、
追加の水の添加後の最終溶液における水とアルコ-ルとの混合比率が、水/アルコ-ル(重量比)=1/0.01~1/5である、請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法。 - 前記塩基が水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、および水酸化マグネシウムから選択される少なくとも1種である、請求項1~8のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記脂肪族ジアミンが、オクタメチレンジアミンである、請求項1~9のいずれか一項に記載の製造方法。
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