配列表
添付の配列表に列挙される核酸およびアミノ酸配列は、37 C.F.R.1.822に定義されるようなヌクレオチド塩基の標準文字略語およびアミノ酸の3文字表記を使用して示されている。各核酸配列の一方の鎖のみが示されているが、相補鎖は、示された鎖に対する任意の参照によって含まれると理解される。配列表は、参照により本明細書に組み込まれる、2016年1月19日に作成された「Sequence.txt」(約344kb)と名付けられたファイルの形態でASCIIテキストファイルとして提出されている。
これまでの研究(Zimmerら J Virol 2005 79:10467~77)によって、HPIV1のマウス相対物であり、また、HPIV3と密接に関連している、センダイウイルスにおける異種遺伝子からのRSV Fタンパク質の発現が評価された。その研究によって、極めてわずかなRSV Fタンパク質しか、センダイウイルスベクター粒子中に組み込まれないと示された。研究者らは、RSV Fタンパク質のCTまたはCTおよびTMを、センダイFタンパク質由来の対応する配列と、これが外来RSV Fタンパク質のベクター粒子との相互作用の効率を改善するであろうということを前提として置換した。これらの修飾は、遺伝子操作されたRSV Fのセンダイ粒子への組込みを実際に増大したが、センダイFタンパク質遺伝子も欠失された場合のみであった。ベクターFタンパク質を欠失する必要は、ワクチン接種のための感染性弱毒化ウイルスの作製とは適合せず、また、二価ワクチンを作製するために必要とされると考えられるベクター保護抗原の1種も除去する。
本明細書に開示されるように、RSV F TMおよびCTを含むRSV Fタンパク質は、rB/HPIV3、HPIV3またはHPIV1によって発現される場合には、微量でのみベクター粒子中に組み込まれる。しかし、異種RSV Fタンパク質のTMおよびCTを、パラミクソウイルス Fタンパク質の対応するTMおよびCTと交換することが、組換えパラミクソウイルスのエンベロープへのRSV Fエクトドメイン組込みの多種多様の増大を提供し、その結果、ベクターへのRSV Fのパッケージングは、精製ビリオン1μgあたり、RSV自体のものと同等に効率的(例えば、B/HPIV3)またはより効率的(例えば、HPIV1)であった。これは、TMおよびCTが一緒に交換される場合には、またはCTが単独で交換される場合には有効であった。しかし、CT単独に特異的なキメラRSV Fの融合性の増大の予期しない効果は、TMCTが好ましいという指針を提供する。
RSV Fのベクター粒子への効率的なパッケージングは、組換えパラミクソウイルスが対象に投与された場合に、エクトドメイン(中和エピトープのすべてを有する)に対する免疫応答の誘発を著しく増大した。予期しないことに、ウイルス中和血清抗体反応は、質的に著しく増大し、これは、RSV中和活性を補体の不在下で(強中和抗体を測定する)またはその存在下で(弱中和または非中和抗体による中和を増強する)in vitroで比較することによって評価された。この予期しない抗体の質的な増大は、不完全な免疫保護を誘導すると名高いRSVにとって特に重要である。ベクター糖タンパク質のTMCTドメインを有する外来糖タンパク質の発現および有効なパッケージングは、明らかにベクター複製および形態形成を破壊する可能性を有していた:しかし、この効果が最小であった構築物が提供される。
免疫原性をさらに増大するために、融合前コンホメーションにおけるRSV Fタンパク質の安定化を評価した。融合前安定化はまた、自然に、中和エピトープの安定化を示唆する強中和抗体の増大ももたらした。ハムスターモデルでは、免疫原性および保護の増大に対する融合前安定化の効果は、TMCTによって付与される有効なパッケージングのものに付加的であると思われた。しかし、非ヒト霊長類において評価された場合には、パッケージングの効果は、融合前安定化のものよりも大きいと思われた。
RSVに対する保護を達成するという課題を考えると、最大免疫原性が望ましい。広範な実験方法によって、ベクターおよびインサート構築物のその他の態様(例えば、種々の挿入部位の使用、コドン最適化の使用および初期継代RSV Fタンパク質配列の使用)が見出され、RSV Fの発現の増大および高度膜融合性RSV Fタンパク質によって媒介される合胞体形成の細胞変性効果の低減を提供した。
臨床治験において、期待外れのRSV免疫原性しか有していなかった(Bernsteinら 2012.Pediatric Infectious Disease Journal 31:109~114)、非修飾RSV Fタンパク質を発現するrB/HPIV3をベースとするプロトタイプワクチンウイルスは、本開示の方法によって、質の低い、追加される補体の存在下でのみin vitroで中和活性を有するRSV中和血清抗体を誘導すると確認されたことは注目すべきである。対照的に、開示された構築物は、アフリカミドリザルにおいて、補体の不在下でin vitroで、RSVを効果的に中和可能な高い力価の血清抗体を誘導した。
I.用語のまとめ
特に断りのない限り、技術用語は、従来の用法に従って使用される。分子生物学における一般用語の定義は、Benjamin Lewin、Genes X、Jones & Bartlett Publishers出版、2009;およびMeyersら(編)、The Encyclopedia of Cell Biology and Molecular Medicine、Wiley-VCH出版、16巻、2008;およびその他の同様の参考文献に見出すことができる。
本明細書において、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」とは、文脈が明確に別に示さない限り、単数および複数の両方を指す。例えば、用語「抗原(an antigen)」は、単数または複数の抗原を含み、語句「少なくとも1種の抗原」と同等と考えることができる。本明細書において、用語「含む(comprises)」とは、「含む(includes)」を意味する。核酸またはポリペプチドについて与えられる、ありとあらゆる塩基の大きさまたはアミノ酸の大きさおよびすべての分子量または分子質量値は、特に断りのない限り、近似であり、便宜的に提供されるということは、さらに理解されるべきである。本明細書において記載されるものと同様または同等の多数の方法および材料が使用されるが、特定の適した方法および材料が本明細書において記載される。矛盾する場合には、用語の説明を含む本明細書が管理する。さらに、材料、方法および実施例は、単に例示的なものであって、制限であるよう意図されない。種々の実施形態の概説を容易にするために、以下の用語の説明を提供する:
アジュバント:抗原性を増強するために使用される媒体。アジュバントとして、抗原が吸着されるミネラル(ミョウバン、水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウム)の懸濁液;または油中水エマルジョン、例えば、抗原溶液が鉱油中に乳化される(フロイントの不完全アジュバント)、抗原性をさらに増強する(抗原の分解を阻害し、および/またはマクロファージの流入を引き起こす)ために死滅したマイコバクテリアを含めることもある(フロイントの完全アジュバント)が挙げられる。免疫賦活性オリゴヌクレオチド(CpGモチーフを含むものなど)も、アジュバントとして使用できる。アジュバントは、共刺激分子などの生体分子(「生物学的アジュバント」)を含む。例示的アジュバントとして、IL-2、RANTES、GM-CSF、TNF-α、IFN-γ、G-CSF、LFA-3、CD72、B7-1、B7-2、OX-40L、4-1BBL、免疫刺激複合体(ISCOM)マトリックスおよびTLR-9アゴニストなどのtoll様受容体(TLR)アゴニスト、ポリI:CまたはポリICLCが挙げられる。当業者は、アジュバントに精通している(例えば、Singh(編)Vaccine Adjuvants and Delivery Systems.Wiley-Interscience、2007を参照のこと)。アジュバントは、開示された組換え体と組み合わせて使用できる。
投与:選択された経路による組成物の対象への導入。投与は、局所であっても全身であってもよい。例えば、選択された経路が鼻腔内である場合には、組成物(開示された組換えパラミクソウイルスを含む組成物など)は、対象の鼻腔経路中に組成物を導入することによって投与される。例示的投与経路として、それだけには限らないが、経口、注射(皮下、筋肉内の、皮内、腹腔内および静脈内など)、舌下 、直腸、経皮(例えば、局所)、鼻腔内、経膣および吸入経路が挙げられる。
アミノ酸置換:ポリペプチド中のあるアミノ酸の、異なるアミノ酸との、またはゼロのアミノ酸との置き換え(すなわち、欠失)。いくつかの例では、ポリペプチド中のアミノ酸は、相同ポリペプチド由来のアミノ酸で置換される。例えば、組換え群A RSV Fポリペプチド中のアミノ酸は、群B RSV Fポリペプチド由来の対応するアミノ酸で置換される。RSV Fタンパク質中の「66E」アミノ酸への言及は、位置66のグルタミン酸残基を含むRSV Fタンパク質を指す。アミノ酸は、参照配列からの置換によって存在する場合もある。RSV Fタンパク質中の「K66E」置換への言及は、参照(例えば、天然)配列中のリシン残基と置換された位置66のグルタミン酸残基を含むRSV Fタンパク質を指す。
減弱された:「減弱された」または「減弱された表現型」を有するパラミクソウイルスは、同様の感染条件下で、参照野生型パラミクソウイルスと比較したビルレンスが低減したパラミクソウイルスを指す。減弱は、通常、同様の感染条件下で、参照野生型パラミクソウイルスの複製と比較したウイルス複製の低下と関連しており、従って、「減弱」および「制限された複製」は、同意語として使用されることが多い。いくつかの宿主(通常、実験動物を含む非天然宿主)において、疾患は、問題の参照パラミクソウイルスの感染の間は明らかではなく、ウイルス複製の制限を、減弱の代理マーカーとして使用できる。いくつかの実施形態では、減弱される組換えパラミクソウイルス(例えば、RSV、PIV3)は、同一感染条件下で、同一種の哺乳類の、それぞれ、上気道または下気道における減弱されていない野生型ウイルス力価と比較した、哺乳類の上気道または下気道におけるウイルス力価の少なくとも約100倍またはそれ以上の減少などの少なくとも約10倍またはそれ以上の減少を示す。哺乳類の例として、それだけには限らないが、ヒト、マウス、ウサギ、ラット、ハムスター、例えば、ゴールデンハムスター(Mesocricetus auratus)などおよび非ヒト霊長類、例えば、サバンナモンキー(Ceroptihecus aethiops)などが挙げられる。減弱されたパラミクソウイルスは、制限するものではないが、成長の変更、温度感受性成長、宿主域によって制限される成長またはプラークサイズの変更を含む異なる表現型を示し得る。
細胞質尾部(CT):タンパク質の末端(NまたはC末端のいずれか)を含み、細胞膜の細胞質表面またはウイルスのエンベロープから、細胞の細胞質またはエンベロープウイルス中に伸びる膜貫通タンパク質の連続領域。I型膜貫通タンパク質の場合には、CTは、タンパク質のC末端を含む。II型膜貫通タンパク質の場合には、CTは、タンパク質のN末端を含む。
縮重変異体:本開示との関連で、「縮重変異体」とは、遺伝暗号の結果として縮重である配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。20種の天然アミノ酸があり、そのほとんどは、2種以上のコドンによって指定される。従って、ヌクレオチド配列によってコードされるペプチドのアミノ酸配列が変更されない限り、ペプチドをコードするすべての縮重ヌクレオチド配列が含まれる。
遺伝子:核酸配列、通常、mRNAであろうとなかろうとRNAの転写に必要な制御配列およびコード配列を含むDNA配列。例えば、遺伝子は、プロモーター、1種またはそれ以上のエンハンサーまたはサイレンサー、RNAおよび/またはポリペプチドをコードする核酸配列、下流調節配列ならびに場合により、mRNAの発現の調節に関与するその他の核酸配列を含み得る。
異種:異なる遺伝子供給源に起因する。組換えウイルスゲノム中に含まれる異種遺伝子は、そのウイルスゲノムに起因しない遺伝子である。1つの特定の限定されない例では、RSV Fタンパク質のエクトドメインをコードする異種遺伝子は、組換えPIVベクターのゲノム中に含まれる。異種遺伝子をウイルスベクター中に導入するための方法は、当技術分野で周知であり、また、本明細書において記載されている。
宿主細胞:ベクターが増殖されることができ、その核酸が発現される細胞。細胞は、原核生物である場合も、真核生物である場合もある。この用語はまた、対象宿主細胞の任意の後代も含む。すべての後代は、複製の際に突然変異が生じ得るので、親の細胞と同一ではないこともあるということは理解される。しかし、用語「宿主細胞」が使用される場合には、このような後代が含まれる。
免疫応答:刺激に対する、B細胞、T細胞または単球などの免疫系の細胞の応答。一実施形態では、応答は、特定の抗原に対して特異的である(「抗原特異的応答」)。一実施形態では、免疫応答は、CD4+応答またはCD8+応答などのT細胞応答である。別の実施形態では、応答は、B細胞応答であり、特異的抗体の製造をもたらす。
免疫原:動物中に注射または吸収される組成物を含む、動物において抗体の製造またはT細胞応答を刺激することができる化合物、組成物または物質。免疫原は、開示された組換えパラミクソウイルスなどの異種抗原によって誘導されるものを含む、特異的体液性または細胞性免疫の産物と反応する。対象への免疫原の投与は、目的の病原体に対する感染防御免疫につながり得る。
免疫原性組成物:免疫原上に含まれる、または免疫原中に含まれる核酸分子によってコードされる、抗原に対する測定可能なT細胞応答を誘導する、または抗原に対する測定可能なB細胞応答(抗体の製造など)を誘導する免疫原を含む組成物。一例では、免疫原性組成物は、対象に投与された場合に、RSVおよび/もしくはPIVに対する測定可能なCTL応答を誘導する、またはRSVおよび/もしくはPIVに対する測定可能なB細胞応答(抗体の製造など)を誘導する開示された組換えパラミクソウイルスを含む組成物である。免疫原性組成物は、本明細書に開示されるような単離された組換えパラミクソウイルスを含み得る。in vivo使用のために、免疫原性組成物は、通常、医薬上許容される担体中に組換えパラミクソウイルスを含み、アジュバントなどのその他の薬剤も含み得る。
単離された:「単離された」生物学的成分は、その他の染色体および染色体外DNA、RNAおよびタンパク質などの成分が天然に生じるその他の生物学的成分などのその他の生物学的成分から実質的に分離または精製されている。「単離」されているタンパク質、ペプチド、核酸およびウイルスとして、標準精製法によって精製されたものが挙げられる。単離は、絶対的な純度を必要とせず、少なくとも75%、80%、90%、95%、98%、99%またはさらに99.9%単離されているなど、少なくとも50%単離されているタンパク質、ペプチド、核酸またはウイルス分子を含み得る。
連結している:用語「連結された」、「連結」および「連結している」とは、2つの分子を1つの連続分子にすること、例えば、組換え手段によって2つのポリペプチドを1つの連続するポリペプチドに連結することを指す。異種Fタンパク質のTMおよびCTと「連結された」RSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする遺伝子への言及は、遺伝子の発現が、NからC末端方向に、RSV Fエクトドメイン、TMおよびCTを含むタンパク質の製造につながるような、組換え手段による遺伝子中の、RSV Fエクトドメインをコードする核酸配列と、異種Fタンパク質のTMおよびCTをコードする核酸配列との間の遺伝子連結を指す。いくつかの実施形態では、RSV FエクトドメインのC末端残基を、TMのN末端残基と直接連結することができる(ペプチド結合によって)。いくつかの実施形態では、RSV FエクトドメインのC末端残基を、ペプチドリンカー(グリシン-セリンリンカーなど)を介してTMのN末端残基と間接的に連結することができる。
リンカー:2つの分子を1つの連続分子に連結するために使用することができる二機能性分子。ペプチドリンカーの限定されない例として、グリシン-セリンリンカーが挙げられる。
天然タンパク質、配列またはジスルフィド結合:例えば、選択的突然変異によって修飾されていないポリペプチド、配列またはジスルフィド結合。例えば、標的エピトープに対する抗原の抗原性を集中させるための、または天然タンパク質中に存在しないジスルフィド結合を、タンパク質中に導入するための選択的突然変異。天然タンパク質または天然配列はまた、野生型タンパク質または野生型配列とも呼ばれる。非天然ジスルフィド結合は、天然タンパク質中に存在しないジスルフィド結合、例えば、遺伝子工学によるタンパク質への1つまたはそれ以上のシステイン残基の導入のためにタンパク質中に形成するジスルフィド結合である。
核酸分子:RNA、cDNA、ゲノムDNAならびに上記の合成形態および混合ポリマーのセンスならびにアンチセンス鎖の両方を含み得るヌクレオチドのポリマー形態。ヌクレオチドとは、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチドまたはいずれかの種類のヌクレオチドの修飾された形態を指す。用語「核酸分子」は、本明細書において、「核酸」および「ポリヌクレオチド」と同義である。核酸分子は、普通、特に断りのない限り、少なくとも10塩基の長さである。この用語は、DNAの一本鎖および二本鎖形態を含む。ポリヌクレオチドは、天然に存在するおよび/または天然に存在しないヌクレオチド連結によって一緒に連結している天然に存在するおよび修飾されたヌクレオチドのいずれか、または両方を含み得る。
作動可能に連結された:第1の核酸配列が、第2の核酸配列と機能的関係に位置している場合に、第1の核酸配列は、第2の核酸配列と作動可能に連結している。例えば、プロモーターが、コード配列の転写または発現に影響を及ぼす場合に、プロモーターは、コード配列と作動可能に連結している。一般に、作動可能に連結された核酸配列は、連続しており、2つのタンパク質コーディング領域を接続する必要がある場合には、同一リーディングフレームにある。
パラミクソウイルス:エンベロープ非分割型マイナス鎖一本鎖RNAウイルスのファミリー。パラミクソウイルスの例として、それだけには限らないが、1、2、3、4Aおよび4B型(それぞれ、HPIV1、HPIV2、HPIV3、HPIV4AおよびHPIV4B)を含むヒトパラインフルエンザウイルス(HPIV)、マウスパラインフルエンザ1型(センダイウイルス、MPIV1)、ウシパラインフルエンザウイルス3型(BPIV3)、パラインフルエンザウイルス5(PIV5、以前は、サルウイルス5、SV5と呼ばれた)、サルウイルス41(SV41)ならびにムンプスウイルスが挙げられる。HPIV1、HPIV3、MPIV1およびBPIV3は、レスピロウイルス属に分類される。HPIV2、HPIV4、SV5、SV41およびムンプスウイルスは、ルブラウイルス属に分類される。MPIV1、PIV5およびBPIV3は、それぞれHPIV1、HPIV2およびHPIV3の動物関連物である(Chancockら、Parainfluenza Viruses、Knipeら(編)、1341~1379、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、2001)。HPIV1、HPIV2およびHPIV3は、別個の血清型に相当し、大幅な交差免疫性を誘発しない。HPIVは、クループ、肺炎または気管支炎などの呼吸器感染症の病原体である。
パラインフルエンザウイルス(PIV):記述的に一緒にグループ化されるパラミクソウイルス科に由来するいくつかのエンベロープ非分割型マイナス鎖一本鎖RNAウイルス。これは、レスピロウイルス属のメンバーのすべて(例えば、HPIV1、HPIV3)およびルブラウイルス属のいくつかのメンバー(例えば、HPIV2、HPIV4、PIV5)を含む。アブラウイルス属のメンバー(例えば、NDV)は、歴史的にPIVと呼ばれており、このグループの一部として考えられる。HPIV血清型1、2および3は、世界中で乳児および小児における重症呼吸器感染症を引き起こすことにおいて、RSVのみに次ぐ第2のものであり、HPIV3は、疾患の影響の点でHPIVのうちで最も重要である。PIVは、2種の構造モジュール:(1)ウイルスゲノムを含有する内部リボ核タンパク質コアまたはヌクレオカプシドおよび(2)外側の大まかに球形のリポタンパク質エンベロープで構成されている。PIVウイルスゲノムは、およそ15,000ヌクレオチドの長さであり、少なくとも8つのポリペプチドをコードする。これらのタンパク質は、ヌクレオカプシド構造タンパク質(属に応じてNP、NCまたはN)、リン酸化タンパク質(P)、マトリックスタンパク質(M)、融合糖タンパク質(F)、血球凝集素-ノイラミニダーゼ糖タンパク質(HN)、大型ポリメラーゼタンパク質(L)ならびにCおよびDタンパク質を含む。P遺伝子は、アクセサリータンパク質をコードする1つまたはそれ以上のさらなるオープンリーディングフレーム(ORF)を含有する。遺伝子順序は、3’-N-P-M-F-HN-L-5’であり、各遺伝子は、mRNAをコードする別個のタンパク質をコードする。HPIV1、HPIV2、HPIV3およびBPIV3ウイルスの配列などの例示的PIV株配列は、当業者に公知である。
医薬上許容される担体:有用である医薬上許容される担体は、従来のものである。Remington’s Pharmaceutical Sciences、E. W. Martinによる、Mack Publishing Co.、Easton、PA、第19版、1995には、開示される免疫原の医薬送達に適した組成物および製剤が記載されている。
一般に、担体の性質は、使用されている特定の投与様式に応じて変わる。例えば、非経口製剤は、普通、媒体として水、生理食塩水、平衡塩溶液、水性デキストロース、グリセロールなどの医薬上および生理学的に許容される流体を含む注射用流体を含む。固体組成物(例えば、散剤、丸剤、錠剤またはカプセル剤の形態)には、従来の非毒性固体担体として、例えば、医薬等級のマンニトール、ラクトース、デンプンまたはステアリン酸マグネシウムを挙げることができる。生物学的に中性の担体に加えて、投与されるべき医薬組成物は、湿潤剤または乳化剤、保存料およびpH緩衝剤など、例えば、酢酸ナトリウムまたはモノラウリン酸ソルビタンなどの微量の非毒性補助物質を含有し得る。対象への投与に適した特定の実施形態では、担体は、無菌であり、および/または所望の免疫応答を誘導するのに適した組成物の1もしくはそれ以上の測定された用量を含有する単位投与形中に懸濁されるもしくはそうでなければ含有される。また、治療目的でそれを使用するための薬物適用によって達成される。単位投与形は、例えば、滅菌内容物を含有する密閉バイアルもしくは対象への注射のためのシリンジ中、またはその後の可溶化および投与のために凍結乾燥されるか、または固体もしくは徐放投与形中であり得る。
ポリペプチド:長さまたは翻訳後修飾(例えば、グリコシル化またはリン酸化)に関わらない、アミノ酸の任意の鎖。「ポリペプチド」は、天然に存在するアミノ酸ポリマーおよび天然に存在しないアミノ酸ポリマーを含むアミノ酸ポリマーに当てはまり、ならびに、これでは、1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が、非天然アミノ酸、例えば、対応する天然に存在するアミノ酸の人工の化学的模倣物である。「残基」とは、アミド結合またはアミド結合模倣物によってポリペプチド中に組み込まれるアミノ酸またはアミノ酸模倣物を指す。ポリペプチドは、アミノ末端(N末端)の末端およびカルボキシ末端(C末端)の末端を有する。「ポリペプチド」は、ペプチドまたはタンパク質と同義的に使用され、本明細書において、アミノ酸残基のポリマーを指すように使用される。
プライム-ブーストワクチン接種:免疫応答を誘導するための、対象への、第1の免疫原性組成物(プライマーワクチン)の投与と、それに続く、第2の免疫原性組成物(ブースターワクチン)の投与を含む免疫療法。プライマーワクチン後にブースターワクチンが対象に投与され;当業者ならば、プライマーワクチンとブースターワクチンの投与の間の適した時間間隔を理解し、このような時間枠の例は、本明細書に開示されている。プライム-ブーストプロトコールにさらなる投与、例えば、第2のブーストを含めることができる。
組換え体:組換え核酸分子は、天然に存在しない配列を有し、例えば、1つまたはそれ以上の核酸置換、欠失もしくは挿入を含む、および/または2つのそうでなければ分離している配列のセグメントの人工的な組合せによって作製される配列を有するものである。この人工的な組合せは、化学合成によって、より一般的には、単離された核酸のセグメントの人工的な操作によって、例えば、遺伝子工学技術によって達成できる。
組換えウイルスは、組換え核酸分子を含むゲノムを含むものである。
組換えタンパク質は、天然に存在しない配列を有する、または2つのそうでなければ分離している配列のセグメントの人工的な組合せによって作製される配列を有するものである。いくつかの実施形態では、組換えタンパク質は、細菌もしくは真核細胞などの宿主細胞中に、または組換えウイルスのゲノム中に導入されている異種(例えば、組換え)核酸によってコードされる。
呼吸器合胞体ウイルス(RSV):パラミクソウイルス科のエンベロープ非分割型マイナス鎖一本鎖RNAウイルス。RSVゲノムは、約15,000ヌクレオチドの長さであり、糖タンパク質SH、GおよびFを含む11種のタンパク質をコードする10種の遺伝子を含む。Fタンパク質は、融合を媒介し、細胞質へのウイルスの侵入を可能にし、合胞体の形成も促進する。G糖タンパク質の抗原性の相違に主に基づいて、ヒトRSV株の2つの抗原サブグループ、AおよびBサブグループが記載されている。ウシRSVを含む、その他の種のRSV株も知られている。例示的RSV株配列は、当業者に公知である。さらに、hRSVに感染したモデル生物ならびにウシにおけるbRSV感染の使用など、種特異的RSVに感染したモデル生物を含むヒトRSV感染のいくつかのモデルも利用可能である(例えば、Bernら、Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol、301:L148~L156、2011;およびNam and Kun (編)Respiratory Syncytial Virus: Prevention Diagnosis and Treatment Nova Biomedical Nova Science Publisher、2011;およびCane(編)Respiratory Syncytial Virus Elsevier Science、2007)。
RSV融合(F)タンパク質:ウイルスおよび細胞膜の融合を促進するRSVエンベロープ糖タンパク質。実際は、RSV Fタンパク質は、F0と指定される、単一のポリペプチド前駆体およそ574アミノ酸の長さとして最初に合成される。F0は、局在性を小胞体に向けるN末端シグナルペプチドを含み、これでは、シグナルペプチド(およそ、F0の最初の22残基)はタンパク質分解によって切断される。残りのF0残基は、オリゴマー形成して、三量体を形成し、これは、やはり、2つの保存されたフューリンコンセンサス切断配列(およそF0位置109/110および136/137;例えば、RARR109(配列番号1、残基106~109)およびRKRR136(配列番号1、残基133~136))で、細胞性プロテアーゼによってタンパク質分解によってプロセシングされて、pep27ポリペプチドを切り出し、2つのジスルフィド結合断片、F1およびF2を生成する。これらの断片のうち小さい方、F2は、F0前駆体のN末端部分に起因し、およそF0の残基26~109を含む。これらの断片のうち大きい方、F1は、C末端に細胞外/内腔領域(約残基137~529)、TM(約残基530~550)およびCT(約残基551~574)を含むF0前駆体のC末端部分(およそ、残基137~574)を含む。
3つのF2-F1プロモーターは、成熟Fタンパク質においてオリゴマー形成し、これは、標的細胞膜との接触の際に、コンホメーション変化(「融合後」コンホメーションへの)をうけるように始動される準安定な「融合前」コンホメーションをとる。このコンホメーション変化は、F1ポリペプチドのN末端に位置し、宿主細胞膜と結合し、ウイルスまたは感染細胞の膜の、標的細胞膜との融合を促進する融合ペプチドとして知られる疎水性配列を露出する。
RSV Fタンパク質の細胞外部分は、F2タンパク質およびF1エクトドメインを含むRSV Fエクトドメインである。RSV Fエクトドメイン三量体は、3つのRSV Fエクトドメインのタンパク質複合体を含む。
RSV Fタンパク質は、RSV Fの融合後コンホメーションへの推移および分泌系における成熟RSV Fタンパク質への次のプロセシングにつながる膜融合事象の誘発の前は、「融合前」コンホメーションをとる。融合前コンホメーションにおける例示的 RSV Fタンパク質の3次元構造は、公知であり、例えば、参照により本明細書に組み込まれるWO2014160463に開示されている。融合前状態では、RSV Fタンパク質は、RSV F残基62~69および196~209を含み、またD25およびAM22モノクローナル抗体のエピトープも含む「抗原部位Φ」と呼ばれるその膜遠位頂端に、抗原部位を含む。従って、融合前コンホメーションにおいて安定化される組換えRSV Fタンパク質は、RSV Fタンパク質の融合前コンホメーションとは結合するが、融合後コンホメーションとは結合しない抗体、例えば、抗原部位Φ内のエピトープと特異的に結合する抗体、例えば、D25またはAM22抗体によって特異的に結合される。さらなるRSV F融合前特異的抗体として、5C4およびMPE8抗体が挙げられる。
配列同一性:アミノ酸配列間の類似性は、別に、配列同一性と呼ばれる配列間の類似性の点で表される。配列同一性は、同一性パーセント(または類似性または相同性)の点で測定されることが多く;パーセンテージが高いほど、2種の配列は、より類似している。ポリペプチドの相同体、オルソログまたは変異体は、標準法を使用してアラインされると、比較的高度の配列同一性を有する。
比較のための配列のアラインメントの方法は、当技術分野で周知である。種々のプログラムおよびアラインメントアルゴリズムが:Smith & Waterman、Adv.Appl.Math.2:482、1981;Needleman & Wunsch、J.Mol.Biol.48:443、1970;Pearson & Lipman、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444、1988;Higgins & Sharp、Gene、73:237~44、1988;Higgins & Sharp、CABIOS 5:151~3、1989;Corpetら、Nuc. Acids Res.16:10881~90、1988;Huangら.Computer Appls. in the Biosciences 8、155~65、1992;およびPearsonら、Meth.Mol.Bio.24:307~31、1994に記載されている。Altschulら、J.Mol.Biol.215:403~10、1990には、配列アラインメント法および相同性算出の詳細な考察が提示されている。
ひとたびアラインされると、マッチの数は、両配列中に同一ヌクレオチドまたはアミノ酸残基が存在する位置の数をカウントすることによって決定される。配列同一性パーセントは、マッチの数を、同定された配列において示される配列の長さによって、または、明瞭にされた長さ(同定された配列において示される配列に由来する100の連続ヌクレオチドまたはアミノ酸残基など)のいずれかによって除することと、続いて、得られた値に100を乗じることによって決定される。例えば、1554個のアミノ酸を有する試験配列とアラインされた場合に1166のマッチを有するペプチド配列は、試験配列と75.0パーセント同一である(1166÷1554*100=75.0)。配列同一性パーセント値は、小数第1位に四捨五入される。例えば、75.11、75.12、75.13および75.14は、75.1に切り捨てられ、一方で、75.15、75.16、75.17、75.18および75.19は、75.2に切り上げられる。長さ値は、常に整数となる。
NCBI Basic Local Alignment Search Tool(BLAST)(Altschulら、J.Mol.Biol.215:403、1990)は、配列解析プログラムblastp、blastn、blastx、tblastnおよびtblastxに関連して使用するために、National Center for Biotechnology Information(NCBI、Bethesda、MD)を含むいくつかの供給源からおよびインターネットで入手可能である。このプログラムを使用して配列同一性を決定する方法の説明は、インターネットでNCBIウェブサイトから入手可能である。
ポリペプチド(RSV Fエクトドメインなど)の相同体および変異体は、通常、目的のアミノ酸配列との全長アラインメントにわたってカウントされた少なくとも約75%、例えば、少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有することによって特性決定される。参照配列に対してさらに大きな類似性を有するタンパク質は、この方法によって評価された場合に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性などの同一性パーセンテージの増大を示す。配列同一性について、全配列未満が比較される場合には、相同体および変異体は、通常、10~20個のアミノ酸の短いウィンドウにわたって少なくとも80%の配列同一性を有し、参照配列に対してその類似性に応じて、少なくとも85%または少なくとも90%または95%の配列同一性を有し得る。このような短いウィンドウにわたって配列同一性を決定するための方法は、インターネットでNCBIウェブサイトから入手可能である。当業者ならば、これらの配列同一性範囲は、単に指針のために提供され;提供される範囲の外側にある強力に重大な相同体を得ることができるということは完全にあり得ると理解するであろう。
核酸配列の配列比較のために、通常、ある配列が、試験配列が比較される参照配列として作用する。配列比較アルゴリズムを使用して、試験および参照配列がコンピュータに入力されると、必要に応じて、部分配列座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメーターが指定される。デフォルトプログラムパラメーターが使用される。比較のための配列のアラインメントの方法は、当技術分野で周知である。比較のための配列の最適アラインメントは、例えば、Smith & Waterman、Adv.Appl.Math.2:482、1981の局所相同性アルゴリズムによって、Needleman & Wunsch、J.Mol.Biol.48:443、1970の相同性アラインメントアルゴリズムによって、Pearson & Lipman、Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444、1988の類似性の探索方法によって、これらのアルゴリズム(Wisconsin Genetics Software Package中のGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA、Genetics Computer Group、575 Science Dr.、Madison、WI)のコンピュータによる実施によって、または手作業によるアラインメントおよび目視検査によって(例えば、Sambrookら(Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第4版、Cold Spring Harbor、New York、2012)およびAusubelら(In Current Protocols in Molecular Biiology、John Wiley & Sons、New York、詳細な付録104、2013を参照のこと))実施できる。有用なアルゴリズムの1つの例として、PILEUPがある。PILEUPは、Feng & Doolittle、J. Mol. Evol.35:351~360、1987の進行性のアラインメントの単純化法を使用する。使用される方法は、Higgins & Sharp、CABIOS5:151~153、1989によって記載された方法と同様である。PILEUPを使用し、参照配列がその他の試験配列と比較されて、以下のパラメーター:デフォルトギャップ加重(3.00)、デフォルトギャップ長加重(0.10)および加重エンドギャップを使用して配列同一性関係パーセントが決定される。PILEUPは、例えばGCG配列解析ソフトウェアパッケージ、例えば、バージョン7.0(Devereauxら、Nuc. Acids Res.12:387~395、1984)から得ることができる。
配列同一性および配列類似性パーセントを決定するのに適しているアルゴリズムの別の例として、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムがあり、これは、Altschulら.、J.Mol.Biol.215:403~410、1990およびAltschulら、Nucleic Acids Res.25:3389~3402、1977に記載されている。BLAST解析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(ncbi.nlm.nih.gov)によって公的に入手可能である。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列のための)は、デフォルトとして、11のワード長(W)、50のアラインメント(B)、10の予測(E)、M=5、N=-4および両鎖の比較を使用する。BLASTPプログラム(アミノ酸配列のための)は、デフォルトとして3のワード長(W)および10の予測(E)およびBLOSUM62スコアリングマトリックスを使用する(Henikoff & Henikoff、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915、1989を参照のこと)。オリゴヌクレオチドは、最大約100ヌクレオチド塩基長の線形ポリヌクレオチド配列である。
本明細書において、「少なくとも90%の同一性」への言及は、指定の参照配列に対する「少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはさらには100%の同一性」を指す。
対象:生存している多細胞脊椎動物、ヒトおよび非ヒト哺乳類を含むカテゴリー。一例では、対象はヒトである。特定の例では、対象は、新生児である。さらなる例では、RSV感染の阻害を必要とする対象が選択される。例えば、対象は、感染しておらず、RSV感染のリスクにあるか、または感染し、治療の必要があるかのいずれかである。
膜貫通ドメイン(TM):細胞またはウイルスまたはウイルス様粒子の脂質二重層などの脂質二重層にまたがるアミノ酸配列。膜貫通ドメインを使用して、抗原を膜に固定することができる。いくつかの例では、膜貫通ドメインは、RSV F膜貫通ドメインである。
ワクチン:感染またはその他の種類の疾患の予防、寛解、または治療のために投与される免疫応答を刺激可能である免疫原性材料の調製。免疫原性材料は、減弱されたもしくは死滅した微生物(細菌またはウイルスなど)または抗原性タンパク質、ペプチドまたはそれらに由来するDNAを含み得る。減弱されたワクチンは、あまり病原性形態を生成しないように修飾されているが、病原性形態に対する抗体および細胞性免疫を誘発する能力はそれにもかかわらず保持する病原性の生物である。不活性化された(死滅した)ワクチンは、化学物質、熱またはその他の処理を用いて不活性化されているが、生物に対する抗体を誘発する、以前は病原性の生物である。ワクチンは、予防的(防止的または保護的)および治療的応答の両方を誘発し得る。投与方法は、ワクチンに応じて変わるが、接種、経口摂取、吸入または投与のその他の形態を含み得る。ワクチンは、免疫応答をブーストするためにアジュバントとともに投与できる。
ベクター:目的の抗原(単数または複数)のコード配列と作動可能に連結しているプロモーター(単数または複数)を有するDNAまたはRNA分子を含有し、コード配列を発現できる実体。限定されない例として、裸のまたはパッケージングされた(脂質および/またはタンパク質)DNA、裸のまたはパッケージングされたRNA、複製能力がない場合もあるウイルスもしくは細菌もしくはその他の微生物または複製能力がある場合があるウイルスもしくは細菌もしくはその他の微生物の小成分が挙げられる。ベクターは、構築物と呼ばれることもある。組換えDNAベクターは、組換えDNAを有するベクターである。ベクターは、複製起点などの宿主細胞において複製するのを可能にする核酸配列を含み得る。ベクターはまた、当技術分野で公知の1種またはそれ以上の選択マーカー遺伝子およびその他の遺伝子エレメントを含み得る。ウイルスベクターは、1種またはそれ以上のウイルスに由来する少なくともいくつかの核酸配列を有する組換え核酸ベクターである。
II.組換えウイルスベクター
複数のウイルス病原体に由来する抗原を含み、それらのウイルス病原体に対する免疫応答を誘導するために使用できる組換えパラミクソウイルスが、提供される。組換えパラミクソウイルスは、異種遺伝子をコードするゲノムを含む。組換えパラミクソウイルスは、異種ウイルス病原体の膜貫通タンパク質(例えば、ウイルスの糖タンパク質)のエクトドメインをコードする異種遺伝子を含むゲノムを含む。エクトドメインは、パラミクソウイルス由来のエンベロープタンパク質のCTまたはTMおよびCTと連結して、パラミクソウイルスエンベロープで異種ウイルス由来の膜貫通タンパク質のエクトドメインの発現を可能にすることができる。例えば、組換えパラミクソウイルスは、PIV由来のFタンパク質のTMおよびCTと連結しているRSV Fタンパク質のエクトドメインをコードする異種遺伝子を含むゲノムを含む組換えPIVであり得る。組換えパラミクソウイルスおよびその修飾のさらなる説明は、本明細書において提供される。
パラミクソウイルスゲノムは、N、P、M、F、HNおよびLタンパク質をコードする遺伝子を含む。ゲノムはまた、ゲノムプロモーターおよび抗プロモーターを、プロモーター-N、P、M、F、HN、L-抗プロモーターの順序で含む。組換えパラミクソウイルスのゲノム中に含まれる異種遺伝子は、パラミクソウイルスゲノムの遺伝子間またはプロモーターとN遺伝子もしくはL遺伝子と抗プロモーターの間の任意の位置に位置し得る。異種遺伝子を、ウイルスゲノムからの発現を促進するように適当な遺伝子開始および遺伝子終結配列によってフランキングすることができる。好ましい実施形態では、異種遺伝子を、プロモーターとN遺伝子の間またはN遺伝子とP遺伝子の間に位置付けることができる。
一実施形態では、組換えパラミクソウイルスのゲノム中に含まれる異種遺伝子は、パラミクソウイルスのFタンパク質のCTまたはTMおよびCTと連結しているI型膜貫通タンパク質(例えば、I型ウイルスの糖タンパク質)のエクトドメインをコードする。その他の実施形態では、組換えパラミクソウイルスのゲノム中に含まれる異種遺伝子は、パラミクソウイルスのHNタンパク質のCTまたはTMおよびCTと連結しているII型膜貫通タンパク質(例えば、II型ウイルスの糖タンパク質)エクトドメインをコードする。
組換えパラミクソウイルスは、例えば、組換えHPIV1、HPIV2、HPIV3、BPIV3、PIV5、センダイウイルスまたはNDVまたはそれらのキメラであり得る。このような組換えパラミクソウイルスのさらなる説明は、以下に提供される。
異種遺伝子を含むゲノムを含む組換えパラミクソウイルスを作製する一般法は、当業者に公知であり、このような方法において使用するためのウイルス配列および試薬も同様である。異種遺伝子を含む組換えPIVベクター(組換えHPIV1、HPIV2、HPIV3またはH/BPIV3ベクターなど)を作製する方法の限定されない例、ベクターを減弱する方法(例えば、組換えまたは化学的手段によって)ならびにこのような方法において使用するためのウイルス配列および試薬は、各々、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2012/0045471号;同2010/0119547号;同2009/0263883号;同2009/0017517号;同8084037号;同6,410,023号;同8,367,074号;同7,951,383号;同7,820,182号;同7704509号;同7632508号;同7622123号;同7250171号;同7208161号;同7201907号;同7192593号およびNewmanら2002 Virus genes 24:77~92、Tangら、2003 J Virol、77(20):10819~10828において提供されている。異種遺伝子を含む組換えNDVベクターを作製する方法の限定されない例ならびにこのような方法において使用するためのウイルス配列および試薬は、各々、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2012/0064112号;およびBasavarajappaら2014 Vaccine、32:3555~3563およびMcGinnesら、J.Virol.、85:366~377、2011年において提供されている。異種遺伝子を含む組換えセンダイベクターを作製する方法の限定されない例ならびにこのような方法において使用するためのウイルス配列および試薬は、各々、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、米国特許公開第20140186397号およびJonesら、Vaccine、30:959~968、2012において提供されている。
A.HPIV1ベクター
いくつかの実施形態では、組換えパラミクソウイルスは、HPIV1 N、P、C、M、F、HNおよびLタンパク質をコードするウイルスゲノムを含む組換えHPIV1であり得る。HPIV1ゲノムの核酸配列およびその中の遺伝子は、当技術分野で公知であり、遺伝子開始および遺伝子終結配列ならびにウイルスゲノムおよびアンチゲノムプロモーターなどの、遺伝子発現を制御する構造的および機能的遺伝子エレメントも同様である。例示的HPIV1 Washington/1964株ゲノム配列は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれるGenBank受託番号AF457102.1として提供される。この例示的HPIV1 Washington/1964株ゲノム配列は:
HPIV1 N、配列番号24(参照により本明細書に組み込まれる、GenBankタンパク質番号AAL89400.1)、
HPIV1 P、配列番号25(参照により本明細書に組み込まれる、GenBankタンパク質番号AAL89402.1)
HPIV1 C、配列番号26(PのORF、参照により本明細書に組み込まれる、GenBankタンパク質番号AAL89403.1)、
HPIV1 M、配列番号27(参照により本明細書に組み込まれる、GenBankタンパク質番号AAL89406.1)
HPIV1 F、配列番号28(参照により本明細書に組み込まれる、GenBankタンパク質番号AAL89407.1)
HPIV1 HN、配列番号29(参照により本明細書に組み込まれる、GenBankタンパク質番号AAL89408.1)
HPIV1 L、配列番号30(参照により本明細書に組み込まれる、GenBankタンパク質番号AAL89409.1)
として示されるN、P、C、M、F、HNおよびLタンパク質をコードする。
これらのHPIV1遺伝子の対応する遺伝子開始および遺伝子終結配列は、以下に提供される:
さらに、それぞれ、ヌクレオチド1~96および15544~15600として、GenBank受託番号AF457102.1において示されるような、HPIV2 V94株のウイルスリーダー/ゲノムプロモーターおよびトレーラー/アンチゲノムプロモーター。
組換えパラミクソウイルスは、上記で示されるようなHPIV1 N、P、C、M、F、HNおよびLタンパク質をコードする、または上記で示されるHPIV1 N、P、C、M、F、HNおよびLタンパク質に対して少なくとも90%(少なくとも95%など)の配列同一性を個々に有するHPIV1 N、P、C、M、F、HNおよびLタンパク質をコードするウイルスゲノムを含む組換えHPIV1であり得る。
いくつかの実施形態では、組換えパラミクソウイルスは、以下に示されるHPIV1 Fタンパク質TMおよびCTと連結しているI型膜タンパク質由来の組換えウイルス糖タンパク質エクトドメイン(RSV Fエクトドメインなど)をコードする、または以下に示されるようなHPIV1 Fタンパク質TMおよびCTに対して少なくとも90%(少なくとも95%など)の配列同一性を有するHPIV1 Fタンパク質TMおよびCTと連結しているI型膜タンパク質由来の組換えウイルス糖タンパク質エクトドメイン(RSV Fエクトドメインなど)をコードする異種遺伝子を含むゲノムを含む組換えHPIV1であり得る。いくつかの実施形態では、組換えパラミクソウイルスは、以下に示されるようなHPIV1 Fタンパク質CTと連結しているI型膜タンパク質由来の組換えウイルス糖タンパク質エクトドメイン(RSV Fエクトドメインなど)をコードする、または以下に示されるようなHPIV1 Fタンパク質CTに対して少なくとも90%(少なくとも95%など)の配列同一性を有するHPIV1 Fタンパク質CTと連結しているI型膜タンパク質由来の組換えウイルス糖タンパク質エクトドメイン(RSV Fエクトドメインなど)をコードする異種遺伝子を含むゲノムを含む組換えHPIV1であり得る。HPIV1 Fタンパク質TMおよびCT配列は、公知である(例えば、参照により本明細書に組み込まれるGenBank受託番号AF457102.1を参照のこと)。例示的HPIV1 Fタンパク質TMおよびCT配列は、以下として示される:
HPIV1 F TM:QIIMIIIVCILIIIICGILYYLY、配列番号31の残基1~23
HPIV1 F CT:RVRRLLVMINSTHNSPVNAYTLESRMRNPYMGNNSN、配列番号31の残基24~59
HPIV1 F TM+CT:QIIMIIIVCILIIIICGILYYLYRVRRLLVMINSTHNSPVNAYTLESRMRNPYMGNNSN、配列番号31
B.HPIV2ベクター
いくつかの実施形態では、組換えパラミクソウイルスベクターは、HPIV2 N、P、V、M、F、HNおよびLタンパク質をコードするウイルスゲノムを含む組換えHPIV2であり得る。これらのHPIV2タンパク質をコードする遺伝子の核酸配列は、当技術分野で公知であり、遺伝子開始および遺伝子終結配列ならびにウイルスゲノムおよびアンチゲノムプロモーターなどの、遺伝子発現を制御する構造的および機能的遺伝子エレメントも同様である。例示的HPIV2 V94株ゲノム配列は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるGenBank受託番号AF533010.1として提供されている。この例示的HPIV2 V94株ゲノム配列は:
HPIV2 N、配列番号32(参照により本明細書に組み込まれる、GenBank番号AF533010.1によってコードされる)
HPIV2 P、配列番号33(参照により本明細書に組み込まれる、GenBank番号AF533010.1によってコードされる)
HPIV2 V、配列番号34(PのORF、参照により本明細書に組み込まれる、GenBank番号AF533010.1によってコードされる)
HPIV2 M、配列番号35(参照により本明細書に組み込まれる、GenBank番号AF533010.1によってコードされる)
HPIV2 F、配列番号36(参照により本明細書に組み込まれる、GenBank番号AF533010.1によってコードされる)
HPIV2 HN、配列番号37(参照により本明細書に組み込まれる、GenBank番号AF533010.1によってコードされる)
HPIV2 L、配列番号38(参照により本明細書に組み込まれる、GenBank番号AF533010.1によってコードされる)
として示されるN、P、V、M、F、HNおよびLタンパク質をコードする。
これらのHPIV2遺伝子の対応する遺伝子開始および遺伝子終結配列は、以下に提供される:
さらに、GenBank受託番号AF533010.1において示されるようなHPIV2 V94株のウイルスリーダー/ゲノムプロモーターおよびトレーラー/アンチゲノムプロモーターは、それぞれ、ヌクレオチド1~175および15565~15654として示される。
組換えパラミクソウイルスは、上記で示されるようなHPIV2 N、P、V、M、F、HNおよびLタンパク質をコードする、または上記で示されるHPIV2 N、P、V、M、F、HNおよびLタンパク質に対して少なくとも90%(少なくとも95%など)の配列同一性を個々に有するHPIV2 N、P、V、M、F、HNおよびLタンパク質をコードするウイルスゲノムを含む組換えHPIV2であり得る。
いくつかの実施形態では、組換えパラミクソウイルスは、以下に示されるHPIV2 Fタンパク質TMおよびCTと連結しているI型膜タンパク質由来の組換えウイルス糖タンパク質エクトドメイン(RSV Fエクトドメインなど)をコードする、または以下に示されるようなHPIV2 Fタンパク質TMおよびCTに対して少なくとも90%(少なくとも95%など)の配列同一性を有するHPIV2 Fタンパク質TMおよびCTと連結しているI型膜タンパク質由来の組換えウイルス糖タンパク質エクトドメイン(RSV Fエクトドメインなど)をコードする異種遺伝子を含むゲノムを含む組換えHPIV2であり得る。いくつかの実施形態では、組換えパラミクソウイルスは、以下に示されるようなHPIV2 Fタンパク質CTと連結しているI型膜タンパク質由来の組換えウイルス糖タンパク質エクトドメイン(RSV Fエクトドメインなど)をコードする、または以下に示されるようなHPIV2 Fタンパク質CTに対して少なくとも90%(少なくとも95%など)の配列同一性を有するHPIV2 Fタンパク質CTと連結しているI型膜タンパク質由来の組換えウイルス糖タンパク質エクトドメイン(RSV Fエクトドメインなど)をコードする異種遺伝子を含むゲノムを含む組換えHPIV2であり得る。HPIV2 Fタンパク質TMおよびCT配列は、公知である(例えば、参照により本明細書に組み込まれるGenBank受託番号AF533010.1を参照のこと)。HPIV3 JS株由来の例示的HPIV2 Fタンパク質TMおよびCT配列は、以下として示される:
HPIV2 F TMドメイン:TLYSLSAIALILSVITLVVVGLLIAYII、配列番号39の残基1~28
HPIV2 F CT:KLVSQIHQFRALAATTMFHRENPAVFSKNNHGNIYGIS、配列番号39の残基29~66
HPIV2 F TM+CT:TLYSLSAIALILSVITLVVVGLLIAYIIKLVSQIHQFRALAATTMFHRENPAVFSKNNHGNIYGIS、配列番号39
C.HPIV3ベクター
いくつかの実施形態では、組換えパラミクソウイルスは、HPIV3 N、P、C、M、F、HNおよびLタンパク質をコードするウイルスゲノムを含む組換えHPIV3であり得る。これらのHPIV3タンパク質をコードする遺伝子の核酸配列は、当技術分野で公知であり、遺伝子開始および遺伝子終結配列ならびにウイルスゲノムおよびアンチゲノムプロモーターなどの、遺伝子発現を制御する構造的および機能的遺伝子エレメントも同様である。例示的HPIV3 JS株ゲノム配列は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるGenBank受託番号Z11575として提供されている。この例示的HPIV3 JS株ゲノム配列について、N、P、C、M、F、HNおよびLタンパク質をコードする核酸配列は、以下に示される。
HPIV3 N、配列番号40(参照により本明細書に組み込まれる、GenBank番号Z11575のヌクレオチド111~1658によってコードされる)
HPIV3 P、配列番号41(参照により本明細書に組み込まれる、GenBank番号Z11575のヌクレオチド1784~3595によってコードされる)
HPIV3 C、配列番号114(参照により本明細書に組み込まれる、GenBank番号Z11575のヌクレオチド1794~2393によってコードされる)
HPIV3 M、配列番号42(参照により本明細書に組み込まれる、GenBank番号Z11575のヌクレオチド3753~4814によってコードされる)
HPIV3 F、配列番号43(参照により本明細書に組み込まれる、GenBank番号Z11575のヌクレオチド5072~6691によってコードされる)
HPIV3 HN、配列番号44(参照により本明細書に組み込まれる、GenBank番号Z11575のヌクレオチド6806~8524によってコードされる)
HPIV3 L、配列番号45(参照により本明細書に組み込まれる、GenBank番号Z11575のヌクレオチド8646~15347によってコードされる)
いくつかの実施形態では、HPIV3ベクター中のHN遺伝子は、以下に示されるアミノ酸配列を含むHPIV3 HNタンパク質をコードする
MEYWKHTNHGKDAGNELETSMATHGNKLTNKIIYILWTIILVLLSIVFIIVLINSIKSEKAHESLLQDINNEFMEITEKIQMASDNTNDLIQSGVNTRLLTIQSHVQNYIPISLTQQMSDLRKFISEITIRNDNQEVLPQRITHDVGIKPLNPDDFWRCTSGLPSLMKTPKIRLMPGPGLLAMPTTVDGCVRTPSLVINDLIYAYTSNLITRGCQDIGKSYQVLQIGIITVNSDLVPDLNPRISHTFNINDNRKSCSLALLNIDVYQLCSTPKVDERSDYASSGIEDIVLDIVNYDGSISTTRFKNNNISFDQPYAALYPSVGPGIYYKGKIIFLGYGGLEHPINENVICNTTGCPGKTQRDCNQASHSTWFSDRRMVNSIIVVDKGLNSIPKLKVWTISMRQNYWGSEGRLLLLGNKIYIYTRSTSWHSKLQLGIIDITDYSDIRIKWTWHNVLSRPGNNECPWGHSCPDGCITGVYTDAYPLNPTGSIVSSVILDSQKSRVNPVITYSTATERVNELAILNRTLSAGYTTTSCITHYNKGYCFHIVEINHKSLNTFQPMLFKTEIPKSCS(配列番号101)
配列番号101をコードする例示的DNA配列は、以下のように提供される:
atggaatactggaagcataccaatcacggaaaggatgctggtaatgagctggagacgtctatggctactcatggcaacaagctcactaataagataatatacatattatggacaataatcctggtgttattatcaatagtcttcatcatagtgctaattaattccatcaaaagtgaaaaggcccacgaatcattgctgcaagacataaataatgagtttatggaaattacagaaaagatccaaatggcatcggataataccaatgatctaatacagtcaggagtgaatacaaggcttcttacaattcagagtcatgtccagaattacataccaatatcattgacacaacagatgtcagatcttaggaaattcattagtgaaattacaattagaaatgataatcaagaagtgctgccacaaagaataacacatgatgtaggtataaaacctttaaatccagatgatttttggagatgcacgtctggtcttccatctttaatgaaaactccaaaaataaggttaatgccagggccgggattattagctatgccaacgactgttgatggctgtgttagaactccgtctttagttataaatgatctgatttatgcttatacctcaaatctaattactcgaggttgtcaggatataggaaaatcatatcaagtcttacagatagggataataactgtaaactcagacttggtacctgacttaaatcctaggatctctcatacctttaacataaatgacaataggaagtcatgttctctagcactcctaaatatagatgtatatcaactgtgttcaactcccaaagttgatgaaagatcagattatgcatcatcaggcatagaagatattgtacttgatattgtcaattatgatggttcaatctcaacaacaagatttaagaataataacataagctttgatcaaccatatgctgcactatacccatctgttggaccagggatatactacaaaggcaaaataatatttctcgggtatggaggtcttgaacatccaataaatgagaatgtaatctgcaacacaactgggtgccccgggaaaacacagagagactgtaatcaagcatctcatagtacttggttttcagataggaggatggtcaactccatcattgttgttgacaaaggcttaaactcaattccaaaattgaaagtatggacgatatctatgcgacaaaattactgggggtcagaaggaaggttacttctactaggtaacaagatctatatatatacaagatctacaagttggcatagcaagttacaattaggaataattgatattactgattacagtgatataaggataaaatggacatggcataatgtgctatcaagaccaggaaacaatgaatgtccatggggacattcatgtccagatggatgtataacaggagtatatactgatgcatatccactcaatcccacagggagcattgtgtcatctgtcatattagactcacaaaaatcgagagtgaacccagtcataacttactcaacagcaaccgaaagagtaaacgagctggccatcctaaacagaacactctcagctggatatacaacaacaagctgcattacacactataacaaaggatattgttttcatatagtagaaataaatcataaaagcttaaacacatttcaacccatgttgttcaaaacagagattccaaaaagctgcagttaa(配列番号102)
これらのHPIV3遺伝子の対応する遺伝子開始および遺伝子終結配列は、以下に提供される:
さらに、GenBank受託番号Z11575において示されるようなHPIV3 JS株のウイルスゲノムおよびアンチゲノムプロモーターは、それぞれ、ヌクレオチド1~96(ゲノムプロモーター)およびヌクレオチド15367~15462(アンチゲノムプロモーター)として提供される。
組換えパラミクソウイルスは、上記で示されるようなHPIV3 N、P、C、M、F、HNおよびLタンパク質をコードする、または上記で示されるHPIV3 N、P、C、M、F、HNおよびLタンパク質に対して少なくとも90%(少なくとも95%など)の配列同一性を個々に有するHPIV3 N、P、C、M、F、HNおよびLタンパク質をコードするウイルスゲノムを含む組換えHPIV3であり得る。
いくつかの実施形態では、組換えパラミクソウイルスは、以下に示されるHPIV3 Fタンパク質TMおよびCTと連結しているI型膜タンパク質由来の組換えウイルス糖タンパク質エクトドメイン(RSV Fエクトドメインなど)をコードする、または以下に示されるようなHPIV3 Fタンパク質TMおよびCTに対して少なくとも90%(少なくとも95%など)の配列同一性を有するHPIV3 Fタンパク質TMおよびCTと連結しているI型膜タンパク質由来の組換えウイルス糖タンパク質エクトドメイン(RSV Fエクトドメインなど)をコードする異種遺伝子を含むゲノムを含む組換えHPIV3であり得る。いくつかの実施形態では、組換えパラミクソウイルスは、以下に示されるようなHPIV3 Fタンパク質CTと連結しているI型膜タンパク質由来の組換えウイルス糖タンパク質エクトドメイン(RSV Fエクトドメインなど)をコードする、または以下に示されるようなHPIV3 Fタンパク質CTに対して少なくとも90%(少なくとも95%など)の配列同一性を有するHPIV3 Fタンパク質CTと連結しているI型膜タンパク質由来の組換えウイルス糖タンパク質エクトドメイン(RSV Fエクトドメインなど)をコードする異種遺伝子を含むゲノムを含む組換えHPIV3であり得る。HPIV3 Fタンパク質TMおよびCT配列は公知である(例えば、GenBank番号Z11575のヌクレオチド5072~6691によってコードされるタンパク質を参照のこと)。HPIV3 JS株に由来する例示的HPIV3 Fタンパク質TMおよびCT配列は、以下として示される:
HPIV3 F TMドメイン:IIIILIMIIILFIINITIITIAI、配列番号46の残基1~23
HPIV3 F CT:KYYRIQKRNRVDQNDKPYVLTNK、配列番号46の残基24~46
HPIV3 F TM+CT:IIIILIMIIILFIINITIITIAIKYYRIQKRNRVDQNDKPYVLTNK、配列番号46
D.ウシPIV3およびキメラヒト/ウシPIV3ベクター
いくつかの実施形態では、組換えパラミクソウイルスは、BPIV3およびHPIV3由来のN、P、C、V、M、F、HNおよびLタンパク質の組合せをコードするウイルスゲノムを含むウシPIV3(BPIV3)またはキメラパラミクソウイルスであり得る。例えば、キメラウイルスゲノムは、HPIV3 FおよびHNタンパク質ならびにBPIV3 N、P、C、V、MおよびLタンパク質をコードできる。これらのHPIV3およびBPIV3タンパク質をコードする遺伝子の核酸配列は、当技術分野で公知であり、遺伝子開始および遺伝子終結配列ならびにウイルスゲノムおよびアンチゲノムプロモーターなどの、遺伝子発現を制御する構造的および機能的遺伝子エレメントも同様である。例示的BPIV3 Kansasゲノム配列は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるGenBank受託番号AF178654として提供されている。この例示的BPIV3 Kansas株ゲノム配列は、以下に示されるN、P、C、V、M、F、HNおよびLタンパク質をコードする:
BPIV3 N、配列番号47(各々、参照により本明細書に組み込まれる、GenBank番号AF178654のヌクレオチド111~1658によってコードされるGenBank受託番号:AAF28254)
BPIV3 P、配列番号48(各々、参照により本明細書に組み込まれる、GenBank番号AF178654のヌクレオチド1784~3574によってコードされるGenBank受託番号:AAF28255)
BPIV3 C、配列番号115(参照により本明細書に組み込まれる、GenBank番号AF178654のヌクレオチド1794~2399によってコードされる)
BPIV3 V、配列番号116(ヌクレオチド2500~2507に位置する遺伝子編集部位で、ヌクレオチド2505~2506の間にヌクレオチドgが挿入された、GenBank番号AF178654のヌクレオチド1784~3018によってコードされる)
BPIV3 M、配列番号49(各々、参照により本明細書に組み込まれる、GenBank番号AF178654のヌクレオチド3735~4790によってコードされるGenBank受託番号:AAF28256)
BPIV3 F、配列番号50(各々、参照により本明細書に組み込まれる、GenBank番号AF178654のヌクレオチド5066~6688によってコードされるGenBank受託番号:AAF28257)
BPIV3 HN、配列番号51(各々、参照により本明細書に組み込まれる、GenBank番号AF178654のヌクレオチド6800~8518によってコードされるGenBank受託番号:AAF28258)
BPIV3 L、配列番号52(各々、参照により本明細書に組み込まれる、GenBank番号AF178654のヌクレオチド8640~15341によってコードされるGenBank受託番号:AAF28259)
いくつかの実施形態では、キメラB/HPIV3ベクター中に含まれるHPIV3 HN遺伝子は、配列番号101もしくは配列番号44として示されるアミノ酸配列を含むHPIV3 HNタンパク質またはその変異体をコードする。配列番号101をコードする例示的DNA配列は、配列番号102として提供される。
いくつかの実施形態では、キメラB/HPIV3ベクターは、BPIV3 F遺伝子の代わりにHPIV3 F遺伝子、例えば、配列番号43として示されるHPIV3 Fアミノ酸配列またはその変異体をコードする遺伝子を含み得る。
これらのBPIV3遺伝子の対応する遺伝子開始および遺伝子終結配列は、以下に提供される:
さらに、GenBank受託番号AF178654において示されるようなBPIV3 Kansas株のウイルスゲノムおよびアンチゲノムプロモーターは、それぞれ、ヌクレオチド1~96(ゲノムプロモーター)およびヌクレオチド15361~15456(アンチゲノム プロモーター)として提供される。
HPIV3およびBPIV3ウイルス由来のN、P、C、V、M、F、HNおよびLタンパク質をコードするウイルスゲノムを含む組換えパラミクソウイルスは、上記で示されるようなHPIV3およびBPIV3 N、P、C、V、M、F、HNおよびL タンパク質の混合物をコードし得る、または個々に、上記で示されるBPIV3もしくはHPIV3 N、P、C、V、M、F、HNおよびLタンパク質に対して少なくとも90%(少なくとも95%など)の配列同一性を有する、BPIV3およびHPIV3 N、P、C、V、M、F、HNおよびLタンパク質の混合物をコードし得る。
いくつかの実施形態では、組換えパラミクソウイルスは、上記で示されるようなHPIV3 FおよびHNタンパク質ならびにBPIV3 N、P、C、V、MおよびLタンパク質をコードする、または個々に、上記で示される対応するHPIV3 FおよびHNタンパク質もしくはBPIV3 N、P、C、V、MおよびLタンパク質に対して少なくとも90%(少なくとも95%など)の配列同一性を有するHPIV3 FおよびHNタンパク質ならびにBPIV3 N、P、C、V、MおよびLタンパク質をコードするウイルスゲノムを含み得る。
いくつかの実施形態では、BPIV3に由来するN、P、C、V、M、F、HNおよびLタンパク質をコードするゲノムを含む組換えパラミクソウイルスは、以下に示されるようなBPIV3 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している、または以下に示されるようなBPIV3 Fタンパク質のTMおよびCTに対して少なくとも90%(少なくとも95%など)の配列同一性を有するTMおよびCTと連結しているI型膜タンパク質由来の組換えウイルス糖タンパク質エクトドメイン(RSV Fエクトドメインなど)をコードする異種遺伝子をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、BPIV3に由来するN、P、C、V、M、F、HNおよびLタンパク質をコードするゲノムを含む組換えパラミクソウイルスは、以下に示されるようなBPIV3 Fタンパク質のCTと連結している、または以下に示されるようなBPIV3 Fタンパク質のCTに対して少なくとも90%(少なくとも95%など)の配列同一性を有するCTと連結しているI型膜タンパク質由来の組換えウイルス糖タンパク質エクトドメイン(RSV Fエクトドメインなど)をコードする異種遺伝子をさらに含み得る。
いくつかの実施形態では、HPIV3およびBPIV3ウイルスに由来するN、P、C、V、M、F、HNおよびLタンパク質(HPIV3 FおよびHNタンパク質ならびにBPIV3 N、P、C、V、MおよびLタンパク質など)をコードするゲノムを含む組換えパラミクソウイルスは、以下に示されるようなBPIV3 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している、または以下に示されるようなBPIV3 Fタンパク質のTMおよびCTに対して少なくとも90%(少なくとも95%など)の配列同一性を有するTMおよびCTと連結しているI型膜タンパク質由来の組換えウイルス糖タンパク質エクトドメイン(RSV Fエクトドメインなど)をコードする異種遺伝子をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、HPIV3およびBPIV3ウイルスに由来するN、P、C、V、M、F、HNおよびLタンパク質をコードするゲノムを含む組換えパラミクソウイルスは、以下に示されるようなBPIV3 Fタンパク質のCTと連結している、または以下に示されるようなBPIV3 Fタンパク質のCTに対して少なくとも90%(少なくとも95%など)の配列同一性を有するCTと連結しているI型膜タンパク質由来の組換えウイルス糖タンパク質エクトドメイン(RSV Fエクトドメインなど)をコードする異種遺伝子をさらに含み得る。BPIV3 Kansas株に由来する例示的BPIV3 Fタンパク質TMおよびCT配列は:
BPIV3 F TMドメイン:ITIIIVMIIILVIINITIIVV、配列番号53の残基1~21
BPIV3 F CT: IIKFHRIQGKDQNDKNSEPYILTNRQ、配列番号 53の残基22~57
BPIV3 F TM+CT:ITIIIVMIIILVIINITIIVVIIKFHRIQGKDQNDKNSEPYILTNRQ、配列番号 53
として示される。
いくつかの実施形態では、HPIV3およびBPIV3ウイルスに由来するN、P、C、V、M、F、HNおよびLタンパク質(HPIV3 FおよびHNタンパク質ならびにBPIV3 N、P、C、V、MおよびLタンパク質など)をコードするゲノムを含む組換えパラミクソウイルスは、上記で示されるようなHPIV3 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している、または上記で示されるようなHPIV3 Fタンパク質のTMおよびCTに対して少なくとも90%(少なくとも95%など)の配列同一性を有するTMおよびCTと連結しているI型膜タンパク質由来の組換えウイルス糖タンパク質エクトドメイン(RSV Fエクトドメインなど)をコードする異種遺伝子をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、HPIV3およびBPIV3ウイルスに由来するN、P、C、V、M、F、HNおよびLタンパク質をコードするゲノムを含む組換えパラミクソウイルスは、以下に示されるようなHPIV3 Fタンパク質のCTと連結している、または以下に示されるようなHPIV3 Fタンパク質のCTに対して少なくとも90%(少なくとも95%など)の配列同一性を有するCTと連結しているI型膜タンパク質由来の組換えウイルス糖タンパク質エクトドメイン(RSV Fエクトドメインなど)をコードする異種遺伝子をさらに含み得る。
E.センダイウイルス
一実施形態では、組換えパラミクソウイルスは、センダイウイルス Fタンパク質のTMおよびCTと連結している、またはセンダイウイルス Fタンパク質のCTに対して少なくとも90%(少なくとも95%など)の配列同一性を有するTMおよびCTと連結している、I型膜タンパク質由来の組換えウイルス糖タンパク質エクトドメイン(RSV Fエクトドメインなど)をコードする異種遺伝子を含むセンダイウイルス N、P、C、V、M、F、HNおよびLタンパク質をコードする組換えウイルスゲノムを含む組換えセンダイウイルスであり得る。一実施形態では、組換えパラミクソウイルスは、センダイウイルスFタンパク質のCTと連結している、またはセンダイウイルスFタンパク質のCTに対して少なくとも90%(少なくとも95%など)の配列同一性を有するCTと連結している、I型膜タンパク質由来の組換えウイルス糖タンパク質エクトドメイン(RSV Fエクトドメインなど)をコードする異種遺伝子を含むセンダイウイルスN、P、C、V、M、F、HNおよびLタンパク質をコードする組換えウイルスゲノムを含む組換えセンダイウイルスであり得る。センダイウイルスFタンパク質TMおよびCT配列は公知である(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、GenBank受託番号BAN84670を参照のこと)。例示的センダイウイルスFタンパク質TMおよびCT配列は:
センダイF TMドメイン:VITIIVVMVVILVVIIVIIIV(配列番号103の残基1~21)
センダイF CT:LYRLRRSMLMGNPDDRIPRDTYTLEPKIRHMYTNGGFDAMAEKR(配列番号103の残基22~65)
センダイF TM+CT:VITIIVVMVVILVVIIVIIIVLYRLRRSMLMGNPDDRIPRDTYTLEPKIRHMYTNGGFDAMAEKR、配列番号103
として示される。
F.NDV
いくつかの実施形態では、組換えパラミクソウイルスは、以下に示されるようなNDV Fタンパク質のTMおよびCTと連結している、または以下に示されるようなNDV Fタンパク質のTMおよびCTに対して少なくとも90%(少なくとも95%など)の配列同一性を有するTMおよびCTと連結している、I型膜タンパク質由来の組換えウイルス糖タンパク質エクトドメイン(RSV Fエクトドメインなど)をコードする異種遺伝子を含むNDV N、P、V、M、F、HNおよびLタンパク質をコードする組換えウイルスゲノムを含む組換えNDVウイルスであり得る。いくつかの実施形態では、組換えパラミクソウイルスは、以下に示されるようなNDV Fタンパク質のCTと連結している、または以下に示されるようなNDV Fタンパク質のCTに対して少なくとも90%(少なくとも95%など)の配列同一性を有するCTと連結している、I型膜タンパク質由来の組換えウイルス糖タンパク質エクトドメイン(RSV Fエクトドメインなど)をコードする異種遺伝子を含むNDV N、P、V、M、F、HNおよびLタンパク質をコードする組換えウイルスゲノムを含む組換えNDVウイルスであり得る。NDVウイルスFタンパク質TMおよびCT配列は公知である(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、GenBank受託番号AAC28374を参照のこと)。例示的NDVウイルスFタンパク質TMおよびCT配列は、
NDV F TMドメイン:IVLTIISLVFGILSLILACYL(配列番号104の残基1~21)
NDV F CT:MYKQKAQQKTLLWLGNNTLDQMRATTKM(配列番号104の残基22~49)
NDV F TM+CT:IVLTIISLVFGILSLILACYLMYKQKAQQKTLLWLGNNTLDQMRATTKM、配列番号104
として示される。
G.異種遺伝子
組換えパラミクソウイルスベクターは、異種ウイルス病原体の1種またはそれ以上の異種エンベロープタンパク質(またはその抗原性断片)のエクトドメインをコードする1種またはそれ以上の異種遺伝子を含む組換えゲノムを含み、これでは、エクトドメインは、組換えパラミクソウイルス由来のエンベロープタンパク質のTMおよびCTと連結している。例えば、麻疹ウイルス、サブグループAもしくはサブグループB呼吸器合胞体ウイルス、ムンプスウイルス、ヒトパピローマウイルス、1型もしくは2型ヒト免疫不全ウイルス、単純ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、狂犬病ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、フィロウイルス、ブニヤウイルス、フラビウイルス、アルファウイルス、ヒトメタニューモウイルス、エボラウイルス(ザイールエボラウイルスなど)、インフルエンザウイルスまたは高度病原性コロナウイルス(SARS、MERS)由来の1種またはそれ以上の異種エンベロープタンパク質(またはその抗原性断片)を、開示された組換えパラミクソウイルスによって発現させることができる。有用なエンベロープタンパク質の例として、それだけには限らないが、麻疹ウイルスHAおよびFタンパク質、サブグループAまたはサブグループB呼吸器合胞体ウイルスF、GおよびSHタンパク質、ムンプスウイルスHNおよびFタンパク質、ヒトパピローマウイルスL1タンパク質、1型または2型ヒト免疫不全ウイルスgp160タンパク質、単純ヘルペスウイルスおよびサイトメガロウイルスgB、gC、gD、gE、gG、gH、gI、gJ、gK、gLおよびgMタンパク質、狂犬病ウイルスGタンパク質、エプスタイン・バーウイルスgp350タンパク質、フィロウイルスGタンパク質、ブニヤウイルスGタンパク質、フラビウイルスプレEおよびNS1タンパク質、ヒトメタニューモウイルス(HMPV)GおよびFタンパク質、エボラウイルスGPタンパク質、アルファウイルスEタンパク質ならびにSARSおよびMERS Sタンパク質ならびにそれらの抗原性ドメイン、断片およびエピトープが挙げられる。1種またはそれ以上の異種遺伝子または転写単位を、パラミクソウイルスウイルスゲノムまたはアンチゲノム中に挿入する例示的方法は、各々、参照により本明細書に組み込まれるWO04/027037およびUS2013/0052718に記載されている。
いくつかの実施形態では、組換えパラミクソウイルスゲノム中に含まれる異種遺伝子は、ウシRSV Fタンパク質またはヒトRSV Fタンパク質などのRSV Fタンパク質のエクトドメインをコードする。ヒトRSVは、2グループ:AおよびBに分類することができる。グループAおよびBは、主に、結合(G)および融合(F)タンパク質の配列変動性に基づいて、サブグループA1、A2、B1およびB2を含む。RSV Fエクトドメインは、任意のRSVグループ(グループAまたはグループBなど)またはサブグループA1、A2、B1もしくはB2などのRSVのサブグループに由来し得る。
サブグループA2に由来する例示的ヒトRSV Fタンパク質配列および対応するGenBank参照(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)は、以下に示されている:
RSV F A2 HEKタンパク質配列:
MELLILKANAITTILTAVTFCFASGQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKENKCNGTDAKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQSTPATNNRARRELPRFMNYTLNNAKKTNVTLSKKRKRRFLGFLLGVGSAIASGVAVSKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTSKVLDLKNYIDKQLLPIVNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMSIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNVDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELLHNVNAGKSTTNIMITTIIIVIIVILLSLIAVGLLLYCKARSTPVTLSKDQLSGINNIAFSN(配列番号1)
RSV F B1 HEKタンパク質配列、受託番号AAB82436:
MELLIHRLSAIFLTLAINALYLTSSQNITEEFYQSTCSAVSRGYFSALRTGWYTSVITIELSNIKETKCNGTDTKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQNTPAANNRARREAPQYMNYTINTTKNLNVSISKKRKRRFLGFLLGVGSAIASGIAVSKVLHLEGEVNKIKNALLSTNKAVVSLSNGVSVLTSKVLDLKNYINNQLLPIVNQQSCRISNIETVIEFQQKNSRLLEINREFSVNAGVTTPLSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSSNVQIVRQQSYSIMSIIKEEVLAYVVQLPIYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNIKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQADTCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVSLCNTDIFNSKYDCKIMTSKTDISSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKLEGKNLYVKGEPIINYYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRRSDELLHNVNTGKSTTNIMITTIIIVIIVVLLSLIAIGLLLYCKAKNTPVTLSKDQLSGINNIAFSK(配列番号2、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、GenBank受託番号AAB82436)
RSV F B1 HEK核酸配列:
auggagcugcugauccacagguuaagugcaaucuuccuaacucuugcuauuaaugcauuguaccucaccucaagucagaacauaacugaggaguuuuaccaaucgacauguagugcaguuagcagagguuauuuuagugcuuuaagaacagguugguauaccagugucauaacaauagaauuaaguaauauaaaagaaaccaaaugcaauggaacugacacuaaaguaaaacuuauaaaacaagaauuagauaaguauaagaaugcagugacagaauuacagcuacuuaugcaaaacacaccagcugccaacaaccgggccagaagagaagcaccacaguauaugaacuauacaaucaauaccacuaaaaaccuaaauguaucaauaagcaagaagaggaaacgaagauuucugggcuucuuguuagguguaggaucugcaauagcaagugguauagcuguauccaaaguucuacaccuugaaggagaagugaacaagaucaaaaaugcuuuguuaucuacaaacaaagcuguagucagucuaucaaauggggucaguguuuuaaccagcaaaguguuagaucucaagaauuacauaaauaaccaauuauuacccauaguaaaucaacagagcugucgcaucuccaacauugaaacaguuauagaauuccagcagaagaacagcagauuguuggaaaucaacagagaauucagugucaaugcagguguaacaacaccuuuaagcacuuacauguuaacaaacagugaguuacuaucauugaucaaugauaugccuauaacaaaugaucagaaaaaauuaaugucaagcaauguucagauaguaaggcaacaaaguuauucuaucaugucuauaauaaaggaagaaguccuugcauauguuguacagcuaccuaucuaugguguaauagauacaccuugcuggaaauuacacacaucaccucuaugcaccaccaacaucaaagaaggaucaaauauuuguuuaacaaggacugauagaggaugguauugugauaaugcaggaucaguauccuucuuuccacaggcugacacuuguaaaguacaguccaaucgaguauuuugugacacuaugaacaguuugacauuaccaagugaagucagccuuuguaacacugacauauucaauuccaaguaugacugcaaaauuaugacaucaaaaacagacauaagcagcucaguaauuacuucucuuggagcuauagugucaugcuaugguaaaacuaaaugcacugcauccaacaaaaaucgugggauuauaaagacauuuucuaaugguugugacuaugugucaaacaaaggaguagauacugugucagugggcaacacuuuauacuauguaaacaagcuggaaggcaagaaccuuuauguaaaaggggaaccuauaauaaauuacuaugacccucuaguguuuccuucugaugaguuugaugcaucaauaucucaagucaaugaaaaaaucaaucaaaguuuagcuuuuauucguagaucugaugaauuacuacauaauguaaauacuggcaaaucuacuacaaauauuaugauaacuacaauuauuauaguaaucauuguaguauuguuaucauuaauagcuauugguuugcuguuguauugcaaagccaaaaacacaccaguuacacuaagcaaagaccaacuaaguggaaucaauaauauugcauucagcaaauag(配列番号3、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、GenBank受託番号:AF013254.1、ヌクレオチド5666~7390)
上記の配列によって例示されるように、hRSV Fタンパク質は、顕著な配列保存を示し、hRSVサブグループにわたって85%を超える配列同一性を有する。RSV F配列の保存および知識の幅を考慮して、当業者は、種々のRSV F鎖とサブグループの間の対応するRSV Fアミノ酸位置を容易に同定できる。本明細書において開示されるアミノ酸置換の番号付けは、特に断りのない限り、配列番号1として示されるA2株由来の例示的hRSV Fタンパク質配列を参照して行われる。
例示目的で、A2株由来のRSV Fタンパク質(配列番号1)のシグナルペプチド、F2ポリペプチド、pep27、F1、F1エクトドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインは、以下として示される:
シグナルペプチド(配列番号1、残基1~22):MELLILKANAITTILTAVTFCF
F2ポリペプチド(配列番号1、残基23~109):ASGQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKENKCNGTDAKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQSTPATNNRARR
Pep27(配列番号1、残基110~136):ELPRFMNYTLNNAKKTNVTLSKKRKRR
F1(配列番号1、残基137~574):
FLGFLLGVGSAIASGVAVSKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTSKVLDLKNYIDKQLLPIVNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMSIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNVDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELLHNVNAGKSTTNIMITTIIIVIIVILLSLIAVGLLLYCKARSTPVTLSKDQLSGINNIAFSN
成熟タンパク質のF1エクトドメイン(配列番号1、残基137~529):
FLGFLLGVGSAIASGVAVSKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTSKVLDLKNYIDKQLLPIVNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMSIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNVDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELLHNVNAGKSTTNIMITT
F1膜貫通ドメイン(配列番号1、残基530~550):IIIVIIVILLSLIAVGLLLYC
F1 CT(配列番号1、残基551~574):KARSTPVTLSKDQLSGINNIAFSN
いくつかの実施形態では、組換えパラミクソウイルスゲノム中に含まれる異種遺伝子は、ヒトRSF Fタンパク質のエクトドメインをコードし、ここで、RSV Fエクトドメインは、配列番号1(WT RSV F A)、2(WT RSV F B)、12(A2 HEK)、14(A2 HEK+DS)もしくは19(A2 HEK+DS-Cav1)のうち1種のRSVエクトドメインに対して少なくとも85%(少なくとも90%もしくは少なくとも95%など)同一のアミノ酸配列を含む、または配列番号12、14もしくは19のRSVエクトドメインのアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、組換えパラミクソウイルスは、ヒト細胞における発現のためにコドン最適化されている組換えhRSV Fタンパク質をコードする異種遺伝子を含むゲノムを含み得る。例えば、組換えhRSV Fタンパク質をコードする遺伝子を、GA、DNA2.0(D2)またはGenScript(GS)最適化アルゴリズムを使用してヒト発現のためにコドン最適化することができる(実施例1を参照のこと)。ヒト細胞における発現のためにコドン最適化されているRSV Fタンパク質をコードする核酸配列の限定されない例は、以下のとおりに提供される:
GeneArt最適化されたRSV F A2 HEK DNA配列:
atggaactgctgatcctgaaggccaacgccatcacaacaatcctgaccgccgtgaccttctgcttcgccagcggccagaacatcaccgaggaattctaccagagcacctgtagcgccgtgtccaagggctacctgagcgccctgagaaccggctggtacaccagcgtgatcaccatcgagctgtccaacatcaaagaaaacaagtgcaacggcaccgacgccaaagtgaagctgatcaagcaggaactggacaagtacaagaacgccgtgaccgagctgcagctgctgatgcagtccacccccgccaccaacaaccgggccagaagagaactgccccggttcatgaactacaccctcaacaacgccaaaaagaccaacgtgaccctgagcaagaagcggaagcggcggttcctgggcttcctgctgggcgtgggcagcgccattgcctctggcgtggccgtgtctaaggtgctgcacctggaaggcgaagtgaacaagatcaagagcgccctgctgtccacaaacaaggccgtggtgtccctgagcaacggcgtgtccgtgctgacctccaaggtgctggatctgaagaactacatcgacaagcagctgctgcccatcgtgaacaagcagagctgcagcatcagcaacatcgagacagtgatcgagttccagcagaagaacaaccggctgctggaaatcacccgcgagttcagcgtgaacgccggcgtgaccacccccgtgtccacctacatgctgaccaacagcgagctgctgtccctgatcaatgacatgcccatcaccaacgaccagaaaaagctgatgagcaacaacgtgcagatcgtgcggcagcagagctactccatcatgagcatcatcaaagaagaggtgctggcctacgtggtgcagctgcccctgtacggcgtgatcgacaccccctgctggaagctgcacaccagccccctgtgcaccaccaacacaaaagagggcagcaacatctgcctgacccggaccgaccggggctggtactgcgataatgccggcagcgtgtcattctttccacaggccgagacatgcaaggtgcagagcaaccgggtgttctgcgacaccatgaacagcctgaccctgccctccgaagtgaacctgtgcaacgtggacatcttcaaccctaagtacgactgcaagatcatgaccagcaagaccgacgtgtccagctccgtgatcacctccctgggcgccatcgtgtcctgctacggcaagaccaagtgcaccgccagcaacaagaaccggggcatcatcaagaccttcagcaacggctgcgactacgtgtccaacaagggggtggacaccgtgtccgtgggcaacaccctgtactacgtgaacaaacaggaaggcaagagcctgtacgtgaagggcgagcccatcatcaacttctacgaccccctggtgttccccagcgacgagttcgacgccagcatcagccaggtcaacgagaagatcaaccagagcctggccttcatcagaaagagcgacgagctgctgcacaatgtgaatgccggcaagagcaccacaaacatcatgatcaccactatcatcatcgtgatcatcgtcatcctgctgagtctgatcgccgtgggcctgctgctgtactgcaaggccagatccacccctgtgaccctgtccaaggatcagctgtccggcatcaacaatatcgccttctccaactga(配列番号4)
GenScript最適化されたRSV F A2 HEK DNA配列:
atggaactgctgatcctgaaagccaacgctattactactatcctgaccgccgtgacattttgcttcgcatctggacagaacattactgaggaattctaccagtcaacatgcagcgccgtgtccaaaggatacctgagcgccctgcggaccggctggtatacatcagtgattactatcgagctgtccaacatcaaggaaaacaaatgtaatgggaccgacgcaaaggtgaaactgatcaagcaggagctggataagtacaaaaatgccgtgacagaactgcagctgctgatgcagtccacaccagcaactaacaatcgcgcccggagagagctgccccggttcatgaactataccctgaacaatgctaagaaaaccaatgtgacactgtccaagaaacgcaagaggcgcttcctgggatttctgctgggcgtggggtctgccatcgctagtggagtggccgtctctaaagtcctgcacctggagggcgaagtgaacaagatcaaaagcgccctgctgtccactaacaaggcagtggtcagtctgtcaaatggcgtgtccgtcctgacctctaaggtgctggacctgaaaaattatattgataagcagctgctgcctatcgtcaacaaacagagctgctccatttctaatatcgagacagtgatcgaattccagcagaagaacaatagactgctggagattaccagagagttcagcgtgaacgccggcgtcaccacacccgtgtccacctacatgctgacaaatagtgagctgctgtcactgattaacgacatgcctatcaccaatgatcagaagaaactgatgtccaacaatgtgcagatcgtcagacagcagagttactcaatcatgtctatcattaaggaggaagtcctggcctacgtggtccagctgccactgtatggcgtgatcgacaccccctgctggaaactgcatacatctcctctgtgcactaccaacacaaaggaaggaagtaatatctgcctgactcgaaccgaccggggatggtactgtgataacgcaggcagcgtgtccttctttccacaggccgagacctgcaaggtccagagcaacagggtgttctgtgacactatgaatagcctgaccctgccttccgaagtcaacctgtgcaatgtggacatctttaatccaaagtacgattgtaagatcatgactagcaagaccgatgtcagctcctctgtgattacttctctgggggccatcgtgagttgctacggaaagacaaaatgtactgccagcaacaaaaatcgcggcatcattaagaccttctccaacgggtgcgactatgtctctaacaagggcgtggatacagtgagtgtcgggaacactctgtactatgtcaataagcaggagggaaaaagcctgtacgtgaagggcgaacccatcattaacttctatgaccccctggtgttcccttccgacgagtttgatgcatctattagtcaggtgaacgaaaaaatcaatcagagtctggcctttattcggaagtcagatgagctgctgcacaacgtgaatgctggcaaatctacaactaacatcatgatcaccacaatcatcatcgtgattatcgtcattctgctgtcactgatcgctgtggggctgctgctgtactgtaaggcaagaagcaccccagtcactctgtcaaaagaccagctgtcagggattaacaacattgccttcagtaactga(配列番号5)
コドン最適化された(ヒト発現のために)配列のさらなる例は、以下に提供される。
異種遺伝子によってコードされるRSV Fタンパク質は、RSV Fタンパク質の発現、ビリオンエンベロープ上でのRSV Fタンパク質の利用可能性または例えば、融合前コンホメーションにおいてRSV Fタンパク質の安定性を改善する1つまたはそれ以上のアミノ酸置換を含み得る。いくつかの実施形態では、RSV Fタンパク質は、位置66のグルタミン酸置換、位置101のプロリン置換または両方を含み得る。例えば、RSV Fタンパク質は、K66E置換およびQ101P置換の「HEK」置換を含み得る。HEKアミノ酸置換を含むA2サブグループ由来のRSV Fタンパク質の例示的DNAおよびタンパク質配列は、以下に示されている。
HEK置換を有するRSV F A2タンパク質(RSV F_A2_HEK):配列番号1
GeneArt最適化されたRSV F_A2_HEK DNA配列:
atggaactgctgatcctgaaggccaacgccatcacaacaatcctgaccgccgtgaccttctgcttcgccagcggccagaacatcaccgaggaattctaccagagcacctgtagcgccgtgtccaagggctacctgagcgccctgagaaccggctggtacaccagcgtgatcaccatcgagctgtccaacatcaaagaaaacaagtgcaacggcaccgacgccaaagtgaagctgatcaagcaggaactggacaagtacaagaacgccgtgaccgagctgcagctgctgatgcagtccacccccgccaccaacaaccgggccagaagagaactgccccggttcatgaactacaccctcaacaacgccaaaaagaccaacgtgaccctgagcaagaagcggaagcggcggttcctgggcttcctgctgggcgtgggcagcgccattgcctctggcgtggccgtgtctaaggtgctgcacctggaaggcgaagtgaacaagatcaagagcgccctgctgtccacaaacaaggccgtggtgtccctgagcaacggcgtgtccgtgctgacctccaaggtgctggatctgaagaactacatcgacaagcagctgctgcccatcgtgaacaagcagagctgcagcatcagcaacatcgagacagtgatcgagttccagcagaagaacaaccggctgctggaaatcacccgcgagttcagcgtgaacgccggcgtgaccacccccgtgtccacctacatgctgaccaacagcgagctgctgtccctgatcaatgacatgcccatcaccaacgaccagaaaaagctgatgagcaacaacgtgcagatcgtgcggcagcagagctactccatcatgagcatcatcaaagaagaggtgctggcctacgtggtgcagctgcccctgtacggcgtgatcgacaccccctgctggaagctgcacaccagccccctgtgcaccaccaacacaaaagagggcagcaacatctgcctgacccggaccgaccggggctggtactgcgataatgccggcagcgtgtcattctttccacaggccgagacatgcaaggtgcagagcaaccgggtgttctgcgacaccatgaacagcctgaccctgccctccgaagtgaacctgtgcaacgtggacatcttcaaccctaagtacgactgcaagatcatgaccagcaagaccgacgtgtccagctccgtgatcacctccctgggcgccatcgtgtcctgctacggcaagaccaagtgcaccgccagcaacaagaaccggggcatcatcaagaccttcagcaacggctgcgactacgtgtccaacaagggggtggacaccgtgtccgtgggcaacaccctgtactacgtgaacaaacaggaaggcaagagcctgtacgtgaagggcgagcccatcatcaacttctacgaccccctggtgttccccagcgacgagttcgacgccagcatcagccaggtcaacgagaagatcaaccagagcctggccttcatcagaaagagcgacgagctgctgcacaatgtgaatgccggcaagagcaccacaaacatcatgatcaccactatcatcatcgtgatcatcgtcatcctgctgagtctgatcgccgtgggcctgctgctgtactgcaaggccagatccacccctgtgaccctgtccaaggatcagctgtccggcatcaacaatatcgccttctccaactga(配列番号6)
GenScript最適化されたRSV F_A2_HEK DNA配列:
atggaactgctgatcctgaaagccaacgctattactactatcctgaccgccgtgacattttgcttcgcatctggacagaacattactgaggaattctaccagtcaacatgcagcgccgtgtccaaaggatacctgagcgccctgcggaccggctggtatacatcagtgattactatcgagctgtccaacatcaaggaaaacaaatgtaatgggaccgacgcaaaggtgaaactgatcaagcaggagctggataagtacaaaaatgccgtgacagaactgcagctgctgatgcagtccacaccagcaactaacaatcgcgcccggagagagctgccccggttcatgaactataccctgaacaatgctaagaaaaccaatgtgacactgtccaagaaacgcaagaggcgcttcctgggatttctgctgggcgtggggtctgccatcgctagtggagtggccgtctctaaagtcctgcacctggagggcgaagtgaacaagatcaaaagcgccctgctgtccactaacaaggcagtggtcagtctgtcaaatggcgtgtccgtcctgacctctaaggtgctggacctgaaaaattatattgataagcagctgctgcctatcgtcaacaaacagagctgctccatttctaatatcgagacagtgatcgaattccagcagaagaacaatagactgctggagattaccagagagttcagcgtgaacgccggcgtcaccacacccgtgtccacctacatgctgacaaatagtgagctgctgtcactgattaacgacatgcctatcaccaatgatcagaagaaactgatgtccaacaatgtgcagatcgtcagacagcagagttactcaatcatgtctatcattaaggaggaagtcctggcctacgtggtccagctgccactgtatggcgtgatcgacaccccctgctggaaactgcatacatctcctctgtgcactaccaacacaaaggaaggaagtaatatctgcctgactcgaaccgaccggggatggtactgtgataacgcaggcagcgtgtccttctttccacaggccgagacctgcaaggtccagagcaacagggtgttctgtgacactatgaatagcctgaccctgccttccgaagtcaacctgtgcaatgtggacatctttaatccaaagtacgattgtaagatcatgactagcaagaccgatgtcagctcctctgtgattacttctctgggggccatcgtgagttgctacggaaagacaaaatgtactgccagcaacaaaaatcgcggcatcattaagaccttctccaacgggtgcgactatgtctctaacaagggcgtggatacagtgagtgtcgggaacactctgtactatgtcaataagcaggagggaaaaagcctgtacgtgaagggcgaacccatcattaacttctatgaccccctggtgttcccttccgacgagtttgatgcatctattagtcaggtgaacgaaaaaatcaatcagagtctggcctttattcggaagtcagatgagctgctgcacaacgtgaatgctggcaaatctacaactaacatcatgatcaccacaatcatcatcgtgattatcgtcattctgctgtcactgatcgctgtggggctgctgctgtactgtaaggcaagaagcaccccagtcactctgtcaaaagaccagctgtcagggattaacaacattgccttcagtaactga(配列番号7)
さらなる実施形態では、RSV Fタンパク質は、融合前コンホメーションにおいてRSV Fタンパク質のエクトドメインを安定化する1つまたはそれ以上のアミノ酸置換を含み得る。例えば、RSV Fタンパク質は、非天然ジスルフィド結合を形成し、その融合前コンホメーションにおいてRSV Fタンパク質を安定化する、位置155および290のシステイン置換の対の「DS」置換を含み得る。いくつかの実施形態では、RSV Fタンパク質は、位置190および/または207で1つまたはそれ以上の空洞を埋めて、融合前コンホメーションにおいてタンパク質を安定化するアミノ酸置換を含み得る。例えば、RSV Fタンパク質は、190F置換および/または207L置換を含み得る。いくつかの実施形態では、RSV Fタンパク質は、S190FおよびF207Lの「Cav1」置換を含み得る。いくつかの実施形態では、RSV Fタンパク質は、融合前コンホメーションにおいてタンパク質を安定化するための、S155C、S290C、S190FおよびV207LのDS-Cav1置換を含み得る。DS-Cav1アミノ酸置換を含む、A2サブグループ由来のRSV Fタンパク質(キメラTMおよび/またはCTドメインを有する)の例示的DNAおよびタンパク質配列は、配列番号10~11および21~23として示される。
融合前コンホメーションにおいてRSV Fエクトドメインを安定化するために使用できるさらなるアミノ酸置換およびタンパク質修飾は、例えば、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、WO2014160463に開示されている。HEK置換を、融合前コンホメーションにおいてRSV Fタンパク質を安定化するためのアミノ酸置換のいずれかと組み合わせることができる。
いくつかの実施形態では、組換えパラミクソウイルスゲノム中に含まれる異種遺伝子は、組換えパラミクソウイルスのFタンパク質のTMおよびCTと連結している組換えRSV Fエクトドメインをコードする。
一実施形態では、組換えパラミクソウイルスは、組換えhRSV Fエクトドメインをコードする異種遺伝子を含む組換えHPIV1ゲノムを含む組換えHPIV1である。RSV Fエクトドメインは、例えば、配列番号31の残基1~23(TM)、配列番号31の残基24~59(CT)または配列番号31(TM+CT)として示されるような、HPIV1 Fタンパク質由来のTMおよびCTと連結することができる。例示的配列は、以下に提供される:
HEKおよびDS-Cav1置換およびHPIV1 F CTドメインを含むA2株由来のhRSV Fタンパク質(RSV FA2_HEK_DS-Cav1_H1CT):
MELLILKANAITTILTAVTFCFASGQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKENKCNGTDAKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQSTPATNNRARRELPRFMNYTLNNAKKTNVTLSKKRKRRFLGFLLGVGSAIASGVAVCKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTFKVLDLKNYIDKQLLPILNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMCIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNVDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELLHNVNAGKSTTNIMITTIIIVIIVILLSLIAVGLLLYCRVRRLLVMINSTHNSPVNAYTLESRMRNPYMGNNSN(配列番号133)
GenScript最適化されたRSV F A2_HEK_DS-Cav1_H1CT DNA配列:
atggaactgctgatcctgaaagccaacgctattactactatcctgaccgccgtgacattttgcttcgcatctggacagaacattactgaggaattctaccagtcaacatgcagcgccgtgtccaaaggatacctgagcgccctgcggaccggctggtatacatcagtgattactatcgagctgtccaacatcaaggaaaacaaatgtaatgggaccgacgcaaaggtgaaactgatcaagcaggagctggataagtacaaaaatgccgtgacagaactgcagctgctgatgcagtccacaccagcaactaacaatcgcgcccggagagagctgccccggttcatgaactataccctgaacaatgctaagaaaaccaatgtgacactgtccaagaaacgcaagaggcgcttcctgggatttctgctgggcgtggggtctgccatcgctagtggagtggccgtctgcaaagtcctgcacctggagggcgaagtgaacaagatcaaaagcgccctgctgtccactaacaaggcagtggtcagtctgtcaaatggcgtgtccgtcctgaccttcaaggtgctggacctgaaaaattatattgataagcagctgctgcctatcctgaacaaacagagctgctccatttctaatatcgagacagtgatcgaattccagcagaagaacaatagactgctggagattaccagagagttcagcgtgaacgccggcgtcaccacacccgtgtccacctacatgctgacaaatagtgagctgctgtcactgattaacgacatgcctatcaccaatgatcagaagaaactgatgtccaacaatgtgcagatcgtcagacagcagagttactcaatcatgtgcatcattaaggaggaagtcctggcctacgtggtccagctgccactgtatggcgtgatcgacaccccctgctggaaactgcatacatctcctctgtgcactaccaacacaaaggaaggaagtaatatctgcctgactcgaaccgaccggggatggtactgtgataacgcaggcagcgtgtccttctttccacaggccgagacctgcaaggtccagagcaacagggtgttctgtgacactatgaatagcctgaccctgccttccgaagtcaacctgtgcaatgtggacatctttaatccaaagtacgattgtaagatcatgactagcaagaccgatgtcagctcctctgtgattacttctctgggggccatcgtgagttgctacggaaagacaaaatgtactgccagcaacaaaaatcgcggcatcattaagaccttctccaacgggtgcgactatgtctctaacaagggcgtggatacagtgagtgtcgggaacactctgtactatgtcaataagcaggagggaaaaagcctgtacgtgaagggcgaacccatcattaacttctatgaccccctggtgttcccttccgacgagtttgatgcatctattagtcaggtgaacgaaaaaatcaatcagagtctggcctttattcggaagtcagatgagctgctgcacaacgtgaatgctggcaaatctacaactaacatcatgatcaccacaatcatcatcgtgattatcgtcattctgctgtcactgatcgctgtggggctgctgctgtactgtcgagtgcggagactgctggtcatgattaacagcacccacaattcccccgtcaacgcctacacactggagtctaggatgcgcaatccttatatggggaacaatagcaactgatag(配列番号134)
HEKおよびDS-Cav1置換ならびにHPIV1 F TMおよびCTドメインを含むA2株由来のhRSV Fタンパク質(RSV F A2_HEK_DS-Cav1_H1TMCT):
MELLILKANAITTILTAVTFCFASGQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKENKCNGTDAKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQSTPATNNRARRELPRFMNYTLNNAKKTNVTLSKKRKRRFLGFLLGVGSAIASGVAVCKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTFKVLDLKNYIDKQLLPILNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMCIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNVDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELLHNVNAGKSTTNIMITTQIIMIIIVCILIIIICGILYYLYRVRRLLVMINSTHNSPVNAYTLESRMRNPYMGNNSN(配列番号135)
GenScript最適化されたRSV F A2_HEK_DS-Cav1_H1TMCT DNA配列:
atggaactgctgatcctgaaagccaacgctattactactatcctgaccgccgtgacattttgcttcgcatctggacagaacattactgaggaattctaccagtcaacatgcagcgccgtgtccaaaggatacctgagcgccctgcggaccggctggtatacatcagtgattactatcgagctgtccaacatcaaggaaaacaaatgtaatgggaccgacgcaaaggtgaaactgatcaagcaggagctggataagtacaaaaatgccgtgacagaactgcagctgctgatgcagtccacaccagcaactaacaatcgcgcccggagagagctgccccggttcatgaactataccctgaacaatgctaagaaaaccaatgtgacactgtccaagaaacgcaagaggcgcttcctgggatttctgctgggcgtggggtctgccatcgctagtggagtggccgtctgcaaagtcctgcacctggagggcgaagtgaacaagatcaaaagcgccctgctgtccactaacaaggcagtggtcagtctgtcaaatggcgtgtccgtcctgaccttcaaggtgctggacctgaaaaattatattgataagcagctgctgcctatcctgaacaaacagagctgctccatttctaatatcgagacagtgatcgaattccagcagaagaacaatagactgctggagattaccagagagttcagcgtgaacgccggcgtcaccacacccgtgtccacctacatgctgacaaatagtgagctgctgtcactgattaacgacatgcctatcaccaatgatcagaagaaactgatgtccaacaatgtgcagatcgtcagacagcagagttactcaatcatgtgcatcattaaggaggaagtcctggcctacgtggtccagctgccactgtatggcgtgatcgacaccccctgctggaaactgcatacatctcctctgtgcactaccaacacaaaggaaggaagtaatatctgcctgactcgaaccgaccggggatggtactgtgataacgcaggcagcgtgtccttctttccacaggccgagacctgcaaggtccagagcaacagggtgttctgtgacactatgaatagcctgaccctgccttccgaagtcaacctgtgcaatgtggacatctttaatccaaagtacgattgtaagatcatgactagcaagaccgatgtcagctcctctgtgattacttctctgggggccatcgtgagttgctacggaaagacaaaatgtactgccagcaacaaaaatcgcggcatcattaagaccttctccaacgggtgcgactatgtctctaacaagggcgtggatacagtgagtgtcgggaacactctgtactatgtcaataagcaggagggaaaaagcctgtacgtgaagggcgaacccatcattaacttctatgaccccctggtgttcccttccgacgagtttgatgcatctattagtcaggtgaacgaaaaaatcaatcagagtctggcctttattcggaagtcagatgagctgctgcacaacgtgaatgctggcaaatctacaactaacatcatgatcaccacacagatcattatgatcattatcgtgtgcattctgattatcattatctgtggcatcctgtactatctgtaccgagtgcggagactgctggtcatgattaacagcacccacaattcccccgtcaacgcctacacactggagtctaggatgcgcaatccttatatggggaacaatagcaactgatag(配列番号136)
一実施形態では、組換えパラミクソウイルスは、組換えhRSV Fエクトドメインをコードする異種遺伝子を含む組換えHPIV2ゲノムを含む組換えHPIV2である。RSV Fエクトドメインは、例えば、配列番号39の残基1~28(TM)、配列番号39の残基29~66(CT)または配列番号39(TM+CT)として示されるような、HPIV2 Fタンパク質由来のTMおよびCTと連結することができる。
一実施形態では、組換えパラミクソウイルスは、組換えhRSV Fエクトドメインをコードする異種遺伝子を含むゲノムを含む組換えHPIV3であり得る。組換えRSV Fエクトドメインは、例えば、配列番号46の残基1~23(TM)、配列番号46の残基24~46(CT)または配列番号46(TM+CT)として示されるような、HPIV3 Fタンパク質由来のTMおよびCTと連結することができる。例示的配列は以下に提供される:
HEKおよびDS-Cav1置換ならびにHPIV3 F CTドメイン(RSV F_HEK_DS-Cav1_H3CT)タンパク質配列を含むA2株由来のhRSV Fタンパク質:
MELLILKANAITTILTAVTFCFASGQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKENKCNGTDAKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQSTPATNNRARRELPRFMNYTLNNAKKTNVTLSKKRKRRFLGFLLGVGSAIASGVAVCKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTFKVLDLKNYIDKQLLPILNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMCIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNVDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELLHNVNAGKSTTNIMITTIIIVIIVILLSLIAVGLLLYCKYYRIQKRNRVDQNDKPYVLTNK(配列番号8)
GenScript最適化されたRSV F_HEK_DS-Cav1_H3CT DNA配列:
atggaactgctgatcctgaaagccaacgctattactactatcctgaccgccgtgacattttgcttcgcatctggacagaacattactgaggaattctaccagtcaacatgcagcgccgtgtccaaaggatacctgagcgccctgcggaccggctggtatacatcagtgattactatcgagctgtccaacatcaaggaaaacaaatgtaatgggaccgacgcaaaggtgaaactgatcaagcaggagctggataagtacaaaaatgccgtgacagaactgcagctgctgatgcagtccacaccagcaactaacaatcgcgcccggagagagctgccccggttcatgaactataccctgaacaatgctaagaaaaccaatgtgacactgtccaagaaacgcaagaggcgcttcctgggatttctgctgggcgtggggtctgccatcgctagtggagtggccgtctgcaaagtcctgcacctggagggcgaagtgaacaagatcaaaagcgccctgctgtccactaacaaggcagtggtcagtctgtcaaatggcgtgtccgtcctgaccttcaaggtgctggacctgaaaaattatattgataagcagctgctgcctatcctgaacaaacagagctgctccatttctaatatcgagacagtgatcgaattccagcagaagaacaatagactgctggagattaccagagagttcagcgtgaacgccggcgtcaccacacccgtgtccacctacatgctgacaaatagtgagctgctgtcactgattaacgacatgcctatcaccaatgatcagaagaaactgatgtccaacaatgtgcagatcgtcagacagcagagttactcaatcatgtgcatcattaaggaggaagtcctggcctacgtggtccagctgccactgtatggcgtgatcgacaccccctgctggaaactgcatacatctcctctgtgcactaccaacacaaaggaaggaagtaatatctgcctgactcgaaccgaccggggatggtactgtgataacgcaggcagcgtgtccttctttccacaggccgagacctgcaaggtccagagcaacagggtgttctgtgacactatgaatagcctgaccctgccttccgaagtcaacctgtgcaatgtggacatctttaatccaaagtacgattgtaagatcatgactagcaagaccgatgtcagctcctctgtgattacttctctgggggccatcgtgagttgctacggaaagacaaaatgtactgccagcaacaaaaatcgcggcatcattaagaccttctccaacgggtgcgactatgtctctaacaagggcgtggatacagtgagtgtcgggaacactctgtactatgtcaataagcaggagggaaaaagcctgtacgtgaagggcgaacccatcattaacttctatgaccccctggtgttcccttccgacgagtttgatgcatctattagtcaggtgaacgaaaaaatcaatcagagtctggcctttattcggaagtcagatgagctgctgcacaacgtgaatgctggcaaatctacaactaacatcatgatcaccacaatcatcatcgtgattatcgtcattctgctgtcactgatcgctgtggggctgctgctgtactgtaagtactaccgtatccagaagaggaacagagttgaccagaacgataagccatacgtgctcactaacaagtga(配列番号9)
HEKおよびDS-Cav1置換ならびにHPIV3 F TMおよびCTドメインを含むA2株由来のhRSV Fタンパク質(RSV F_HEK_DS-Cav1_H3TMCT)タンパク質配列:
MELLILKANAITTILTAVTFCFASGQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKENKCNGTDAKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQSTPATNNRARRELPRFMNYTLNNAKKTNVTLSKKRKRRFLGFLLGVGSAIASGVAVCKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTFKVLDLKNYIDKQLLPILNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMCIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNVDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELLHNVNAGKSTTNIMITTIIIILIMIIILFIINITIITIAIKYYRIQKRNRVDQNDKPYVLTNK(配列番号10)
GenScript最適化されたRSV F_HEK_DS-Cav1_H3TMCT DNA配列:
atggaactgctgatcctgaaagccaacgctattactactatcctgaccgccgtgacattttgcttcgcatctggacagaacattactgaggaattctaccagtcaacatgcagcgccgtgtccaaaggatacctgagcgccctgcggaccggctggtatacatcagtgattactatcgagctgtccaacatcaaggaaaacaaatgtaatgggaccgacgcaaaggtgaaactgatcaagcaggagctggataagtacaaaaatgccgtgacagaactgcagctgctgatgcagtccacaccagcaactaacaatcgcgcccggagagagctgccccggttcatgaactataccctgaacaatgctaagaaaaccaatgtgacactgtccaagaaacgcaagaggcgcttcctgggatttctgctgggcgtggggtctgccatcgctagtggagtggccgtctgcaaagtcctgcacctggagggcgaagtgaacaagatcaaaagcgccctgctgtccactaacaaggcagtggtcagtctgtcaaatggcgtgtccgtcctgaccttcaaggtgctggacctgaaaaattatattgataagcagctgctgcctatcctgaacaaacagagctgctccatttctaatatcgagacagtgatcgaattccagcagaagaacaatagactgctggagattaccagagagttcagcgtgaacgccggcgtcaccacacccgtgtccacctacatgctgacaaatagtgagctgctgtcactgattaacgacatgcctatcaccaatgatcagaagaaactgatgtccaacaatgtgcagatcgtcagacagcagagttactcaatcatgtgcatcattaaggaggaagtcctggcctacgtggtccagctgccactgtatggcgtgatcgacaccccctgctggaaactgcatacatctcctctgtgcactaccaacacaaaggaaggaagtaatatctgcctgactcgaaccgaccggggatggtactgtgataacgcaggcagcgtgtccttctttccacaggccgagacctgcaaggtccagagcaacagggtgttctgtgacactatgaatagcctgaccctgccttccgaagtcaacctgtgcaatgtggacatctttaatccaaagtacgattgtaagatcatgactagcaagaccgatgtcagctcctctgtgattacttctctgggggccatcgtgagttgctacggaaagacaaaatgtactgccagcaacaaaaatcgcggcatcattaagaccttctccaacgggtgcgactatgtctctaacaagggcgtggatacagtgagtgtcgggaacactctgtactatgtcaataagcaggagggaaaaagcctgtacgtgaagggcgaacccatcattaacttctatgaccccctggtgttcccttccgacgagtttgatgcatctattagtcaggtgaacgaaaaaatcaatcagagtctggcctttattcggaagtcagatgagctgctgcacaacgtgaatgctggcaaatctacaactaacatcatgatcaccacaatcatcatcatcttgatcatgatcatcatcctgttcatcatcaacatcacaatcatcaccatcgctatcaagtactaccgtatccagaagaggaacagagttgaccagaacgataagccatacgtgctcactaacaagtga(配列番号11)
一実施形態では、組換えパラミクソウイルスは、HPIV3 FおよびHNタンパク質ならびにBPIV3 N、P、C、V、MおよびLタンパク質をコードする組換えウイルスゲノムを含むキメラPIVであり、ここで、ウイルスゲノムは、例えば、配列番号53の残基1~21(TM)、配列番号53の残基22~57(CT)または配列番号53(TM+CT)として示されるような、BPIV3 Fタンパク質由来のTMおよび/またはCTと連結している組換えhRSV Fエクトドメインをコードする異種遺伝子をさらに含む。HEK、DSおよび/またはCav1置換ならびに開示された組換えパラミクソウイルスにおいて使用できるBPIV3 Fタンパク質由来の異種TMおよび/またはCTドメインを含むA2サブグループの組換えRSV Fタンパク質の例示的DNAおよびタンパク質配列が、以下に示される。
HEK置換ならびにBPIV3 F TMおよびCTドメインを含むA2株由来のhRSV Fタンパク質(RSV F_A2_HEK_B3TMCT)タンパク質配列:
MELLILKANAITTILTAVTFCFASGQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKENKCNGTDAKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQSTPATNNRARRELPRFMNYTLNNAKKTNVTLSKKRKRRFLGFLLGVGSAIASGVAVSKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTSKVLDLKNYIDKQLLPIVNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMSIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNVDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELLHNVNAGKSTTNIMITTITIIIVMIIILVIINITIIVVIIKFHRIQGKDQNDKNSEPYILTNRQ(配列番号12)
GeneArt最適化されたRSV F_A2_HEK_B3TMCT DNA配列:
atggaactgctgatcctgaaggccaacgccatcaccaccatcctgaccgccgtgaccttctgctttgccagcggccagaacatcaccgaggaattctaccagagcacctgtagcgccgtgtccaagggctacctgagcgccctgagaaccggctggtacaccagcgtgatcaccatcgagctgagcaacatcaaagaaaacaagtgcaacggcaccgacgccaaagtgaagctgatcaagcaggaactggacaagtacaagaatgccgtgaccgaactgcagctgctgatgcagagcacccccgccaccaacaaccgggccagaagagaactgcccagattcatgaactacaccctgaacaacgccaaaaagaccaacgtgaccctgagcaagaagcggaagcggcggttcctgggctttctgctgggagtgggaagcgccattgctagcggagtggccgtgtctaaggtgctgcacctggaaggcgaagtgaacaagatcaagtccgccctgctgagcaccaacaaggccgtggtgtctctgagcaacggcgtgtccgtgctgaccagcaaggtgctggatctgaagaactacatcgacaaacagctgctgcccatcgtgaacaagcagagctgcagcatcagcaacatcgagacagtgatcgagttccagcagaagaacaaccggctgctggaaatcacccgcgagttcagcgtgaacgctggcgtgaccacccccgtgtccacctacatgctgaccaacagcgagctgctgtccctgatcaacgacatgcccatcaccaacgaccagaaaaagctgatgagcaacaacgtgcagatcgtgcggcagcagagctactccatcatgagcattatcaaagaagaggtgctggcctacgtggtgcagctgcctctgtacggcgtgatcgacaccccctgctggaagctgcacaccagccctctgtgcaccaccaacaccaaagagggctccaacatctgcctgacccggaccgacagaggctggtactgcgataatgccggctccgtctcattctttccacaagccgagacatgcaaggtgcagagcaaccgggtgttctgcgacaccatgaacagcctgaccctgccctccgaagtgaatctgtgcaacgtggacatcttcaaccctaagtacgactgcaagatcatgacctccaagaccgacgtgtccagctccgtgatcacaagcctgggcgccatcgtgtcctgctacggcaagaccaagtgcaccgccagcaacaagaaccggggcatcatcaagaccttcagcaacggctgcgactacgtgtccaacaagggggtggacaccgtgtctgtgggcaacaccctgtactacgtgaacaaacaggaaggcaagagcctgtacgtgaagggcgagcccatcatcaacttctacgaccccctggtgttccccagcgacgagttcgatgccagcatctcccaagtgaacgagaagatcaaccagagcctggccttcatcagaaagtccgatgagctgctgcacaatgtgaacgccggcaagtccaccaccaatatcatgatcaccacaatcaccatcatcattgtgatgattatcatcctcgtgatcatcaacatcacaatcatcgtcgtgattattaagttccaccggatccagggcaaggaccagaacgacaagaactccgagccctacatcctgacaaaccggcagtga(配列番号13)
HEKおよびDS置換、hRSV F TM ドメインおよびBPIV3 F CTドメインを含むA2株由来のhRSV Fタンパク質(RSV F_A2_HEK_DS_B3CT)タンパク質配列:
MELLILKANAITTILTAVTFCFASGQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKENKCNGTDAKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQSTPATNNRARRELPRFMNYTLNNAKKTNVTLSKKRKRRFLGFLLGVGSAIASGVAVCKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTSKVLDLKNYIDKQLLPIVNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMCIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNVDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELLHNVNAGKSTTNIMITTIIIVIIVILLSLIAVGLLLYCIIKFHRIQGKDQNDKNSEPYILTNRQ(配列番号14)
GeneArt最適化されたRSV F_A2_HEK_DS_B3CT DNA配列:atggaactgctgatcctgaaggccaacgccatcaccaccatcctgaccgccgtgaccttctgctttgccagcggccagaacatcaccgaggaattctaccagagcacctgtagcgccgtgtccaagggctacctgagcgccctgagaaccggctggtacaccagcgtgatcaccatcgagctgagcaacatcaaagaaaacaagtgcaacggcaccgacgccaaagtgaagctgatcaagcaggaactggacaagtacaagaatgccgtgaccgaactgcagctgctgatgcagagcacccccgccaccaacaaccgggccagaagagaactgcccagattcatgaactacaccctgaacaacgccaaaaagaccaacgtgaccctgagcaagaagcggaagcggcggttcctgggctttctgctgggagtgggaagcgccattgctagcggagtggccgtgtgcaaggtgctgcacctggaaggcgaagtgaacaagatcaagtccgccctgctgagcaccaacaaggccgtggtgtctctgagcaacggcgtgtccgtgctgaccagcaaggtgctggatctgaagaactacatcgacaaacagctgctgcccatcgtgaacaagcagagctgcagcatcagcaacatcgagacagtgatcgagttccagcagaagaacaaccggctgctggaaatcacccgcgagttcagcgtgaacgctggcgtgaccacccccgtgtccacctacatgctgaccaacagcgagctgctgtccctgatcaacgacatgcccatcaccaacgaccagaaaaagctgatgagcaacaacgtgcagatcgtgcggcagcagagctactccatcatgtgcatcatcaaagaagaggtgctggcctacgtggtgcagctgcctctgtacggcgtgatcgacaccccctgctggaagctgcacaccagccctctgtgcaccaccaacaccaaagagggctccaacatctgcctgacccggaccgacagaggctggtactgcgataatgccggctccgtctcattctttccacaagccgagacatgcaaggtgcagagcaaccgggtgttctgcgacaccatgaacagcctgaccctgccctccgaagtgaatctgtgcaacgtggacatcttcaaccctaagtacgactgcaagatcatgacctccaagaccgacgtgtccagctccgtgatcacaagcctgggcgccatcgtgtcctgctacggcaagaccaagtgcaccgccagcaacaagaaccggggcatcatcaagaccttcagcaacggctgcgactacgtgtccaacaagggggtggacaccgtgtctgtgggcaacaccctgtactacgtgaacaaacaggaaggcaagagcctgtacgtgaagggcgagcccatcatcaacttctacgaccccctggtgttccccagcgacgagttcgatgccagcatctcccaagtgaacgagaagatcaaccagagcctggccttcatcagaaagtccgatgagctgctgcacaatgtgaacgccggcaagtccaccaccaatatcatgatcaccacaatcatcatcgtgattatcgtgatcctgctgagcctgatcgccgtgggcctgctgctgtactgtatcatcaagttccaccggatccagggcaaggaccagaacgacaagaactccgagccctacatcctgacaaaccggcagtga(配列番号15)
HEKおよびDS-Cav1置換、hRSV FTMドメインおよびBPIV3 F CTドメインを含むA2株由来のhRSV Fタンパク質(RSV F_A2_HEK_DS-Cav1_B3CT)タンパク質配列:
MELLILKANAITTILTAVTFCFASGQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKENKCNGTDAKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQSTPATNNRARRELPRFMNYTLNNAKKTNVTLSKKRKRRFLGFLLGVGSAIASGVAVCKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTFKVLDLKNYIDKQLLPILNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMCIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNVDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELLHNVNAGKSTTNIMITTIIIVIIVILLSLIAVGLLLYCIIKFHRIQGKDQNDKNSEPYILTNRQ(配列番号16)
GeneArt最適化されたRSV F_A2_HEK_DS-Cav1_B3CT DNA配列:
atggaactgctgatcctgaaggccaacgccatcaccaccatcctgaccgccgtgaccttctgctttgccagcggccagaacatcaccgaggaattctaccagagcacctgtagcgccgtgtccaagggctacctgagcgccctgagaaccggctggtacaccagcgtgatcaccatcgagctgagcaacatcaaagaaaacaagtgcaacggcaccgacgccaaagtgaagctgatcaagcaggaactggacaagtacaagaatgccgtgaccgaactgcagctgctgatgcagagcacccccgccaccaacaaccgggccagaagagaactgcccagattcatgaactacaccctgaacaacgccaaaaagaccaacgtgaccctgagcaagaagcggaagcggcggttcctgggctttctgctgggagtgggaagcgccattgctagcggagtggccgtgtgcaaggtgctgcacctggaaggcgaagtgaacaagatcaagtccgccctgctgagcaccaacaaggccgtggtgtctctgagcaacggcgtgtccgtgctgaccttcaaggtgctggatctgaagaactacatcgacaaacagctgctgcccatcttgaacaagcagagctgcagcatcagcaacatcgagacagtgatcgagttccagcagaagaacaaccggctgctggaaatcacccgcgagttcagcgtgaacgctggcgtgaccacccccgtgtccacctacatgctgaccaacagcgagctgctgtccctgatcaacgacatgcccatcaccaacgaccagaaaaagctgatgagcaacaacgtgcagatcgtgcggcagcagagctactccatcatgtgcatcatcaaagaagaggtgctggcctacgtggtgcagctgcctctgtacggcgtgatcgacaccccctgctggaagctgcacaccagccctctgtgcaccaccaacaccaaagagggctccaacatctgcctgacccggaccgacagaggctggtactgcgataatgccggctccgtctcattctttccacaagccgagacatgcaaggtgcagagcaaccgggtgttctgcgacaccatgaacagcctgaccctgccctccgaagtgaatctgtgcaacgtggacatcttcaaccctaagtacgactgcaagatcatgacctccaagaccgacgtgtccagctccgtgatcacaagcctgggcgccatcgtgtcctgctacggcaagaccaagtgcaccgccagcaacaagaaccggggcatcatcaagaccttcagcaacggctgcgactacgtgtccaacaagggggtggacaccgtgtctgtgggcaacaccctgtactacgtgaacaaacaggaaggcaagagcctgtacgtgaagggcgagcccatcatcaacttctacgaccccctggtgttccccagcgacgagttcgatgccagcatctcccaagtgaacgagaagatcaaccagagcctggccttcatcagaaagtccgatgagctgctgcacaatgtgaacgccggcaagtccaccaccaatatcatgatcaccacaatcatcatcgtgattatcgtgatcctgctgagcctgatcgccgtgggcctgctgctgtactgtatcatcaagttccaccggatccagggcaaggaccagaacgacaagaactccgagccctacatcctgacaaaccggcagtga(配列番号17)
GenScript最適化されたRSV F_A2_HEK_DS-Cav1_B3CT DNA配列:
atggaactgctgatcctgaaagccaacgctattactactatcctgaccgccgtgacattttgcttcgcatctggacagaacattactgaggaattctaccagtcaacatgcagcgccgtgtccaaaggatacctgagcgccctgcggaccggctggtatacatcagtgattactatcgagctgtccaacatcaaggaaaacaaatgtaatgggaccgacgcaaaggtgaaactgatcaagcaggagctggataagtacaaaaatgccgtgacagaactgcagctgctgatgcagtccacaccagcaactaacaatcgcgcccggagagagctgccccggttcatgaactataccctgaacaatgctaagaaaaccaatgtgacactgtccaagaaacgcaagaggcgcttcctgggatttctgctgggcgtggggtctgccatcgctagtggagtggccgtctgcaaagtcctgcacctggagggcgaagtgaacaagatcaaaagcgccctgctgtccactaacaaggcagtggtcagtctgtcaaatggcgtgtccgtcctgaccttcaaggtgctggacctgaaaaattatattgataagcagctgctgcctatcctgaacaaacagagctgctccatttctaatatcgagacagtgatcgaattccagcagaagaacaatagactgctggagattaccagagagttcagcgtgaacgccggcgtcaccacacccgtgtccacctacatgctgacaaatagtgagctgctgtcactgattaacgacatgcctatcaccaatgatcagaagaaactgatgtccaacaatgtgcagatcgtcagacagcagagttactcaatcatgtgcatcattaaggaggaagtcctggcctacgtggtccagctgccactgtatggcgtgatcgacaccccctgctggaaactgcatacatctcctctgtgcactaccaacacaaaggaaggaagtaatatctgcctgactcgaaccgaccggggatggtactgtgataacgcaggcagcgtgtccttctttccacaggccgagacctgcaaggtccagagcaacagggtgttctgtgacactatgaatagcctgaccctgccttccgaagtcaacctgtgcaatgtggacatctttaatccaaagtacgattgtaagatcatgactagcaagaccgatgtcagctcctctgtgattacttctctgggggccatcgtgagttgctacggaaagacaaaatgtactgccagcaacaaaaatcgcggcatcattaagaccttctccaacgggtgcgactatgtctctaacaagggcgtggatacagtgagtgtcgggaacactctgtactatgtcaataagcaggagggaaaaagcctgtacgtgaagggcgaacccatcattaacttctatgaccccctggtgttcccttccgacgagtttgatgcatctattagtcaggtgaacgaaaaaatcaatcagagtctggcctttattcggaagtcagatgagctgctgcacaacgtgaatgctggcaaatctacaactaacatcatgatcaccacaatcatcatcgtgattatcgtcattctgctgtcactgatcgctgtggggctgctgctgtactgtatcattaagttccaccggatccagggcaaggaccagaacgataaaaatagcgagccctacattctgaccaacagacag(配列番号18)
HEKおよびDS置換ならびにBPIV3 F TMおよびCTドメインを含むA2株由来のhRSV Fタンパク質(RSV F_A2_HEK_DS_B3TMCT)タンパク質配列:
MELLILKANAITTILTAVTFCFASGQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKENKCNGTDAKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQSTPATNNRARRELPRFMNYTLNNAKKTNVTLSKKRKRRFLGFLLGVGSAIASGVAVCKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTSKVLDLKNYIDKQLLPIVNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMCIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNVDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELLHNVNAGKSTTNIMITTITIIIVMIIILVIINITIIVVIIKFHRIQGKDQNDKNSEPYILTNRQ(配列番号19)
GeneArt最適化されたRSV F_A2_HEK_DS_B3TMCT DNA配列:
atggaactgctgatcctgaaggccaacgccatcaccaccatcctgaccgccgtgaccttctgctttgccagcggccagaacatcaccgaggaattctaccagagcacctgtagcgccgtgtccaagggctacctgagcgccctgagaaccggctggtacaccagcgtgatcaccatcgagctgagcaacatcaaagaaaacaagtgcaacggcaccgacgccaaagtgaagctgatcaagcaggaactggacaagtacaagaatgccgtgaccgaactgcagctgctgatgcagagcacccccgccaccaacaaccgggccagaagagaactgcccagattcatgaactacaccctgaacaacgccaaaaagaccaacgtgaccctgagcaagaagcggaagcggcggttcctgggctttctgctgggagtgggaagcgccattgctagcggagtggccgtgtgcaaggtgctgcacctggaaggcgaagtgaacaagatcaagtccgccctgctgagcaccaacaaggccgtggtgtctctgagcaacggcgtgtccgtgctgaccagcaaggtgctggatctgaagaactacatcgacaaacagctgctgcccatcgtgaacaagcagagctgcagcatcagcaacatcgagacagtgatcgagttccagcagaagaacaaccggctgctggaaatcacccgcgagttcagcgtgaacgctggcgtgaccacccccgtgtccacctacatgctgaccaacagcgagctgctgtccctgatcaacgacatgcccatcaccaacgaccagaaaaagctgatgagcaacaacgtgcagatcgtgcggcagcagagctactccatcatgtgcatcatcaaagaagaggtgctggcctacgtggtgcagctgcctctgtacggcgtgatcgacaccccctgctggaagctgcacaccagccctctgtgcaccaccaacaccaaagagggctccaacatctgcctgacccggaccgacagaggctggtactgcgataatgccggctccgtctcattctttccacaagccgagacatgcaaggtgcagagcaaccgggtgttctgcgacaccatgaacagcctgaccctgccctccgaagtgaatctgtgcaacgtggacatcttcaaccctaagtacgactgcaagatcatgacctccaagaccgacgtgtccagctccgtgatcacaagcctgggcgccatcgtgtcctgctacggcaagaccaagtgcaccgccagcaacaagaaccggggcatcatcaagaccttcagcaacggctgcgactacgtgtccaacaagggggtggacaccgtgtctgtgggcaacaccctgtactacgtgaacaaacaggaaggcaagagcctgtacgtgaagggcgagcccatcatcaacttctacgaccccctggtgttccccagcgacgagttcgatgccagcatctcccaagtgaacgagaagatcaaccagagcctggccttcatcagaaagtccgatgagctgctgcacaatgtgaacgccggcaagtccaccaccaatatcatgatcaccacaatcaccatcatcattgtgatgattatcatcctcgtgatcatcaacatcacaatcatcgtcgtgattattaagttccaccggatccagggcaaggaccagaacgacaagaactccgagccctacatcctgacaaaccggcagtga(配列番号20)
Genescript最適化されたRSV F_A2_HEK_DS_B3TMCT DNA配列:
atggaactgctgatcctgaaagccaacgctattactactatcctgaccgccgtgacattttgcttcgcatctggacagaacattactgaggaattctaccagtcaacatgcagcgccgtgtccaaaggatacctgagcgccctgcggaccggctggtatacatcagtgattactatcgagctgtccaacatcaaggaaaacaaatgtaatgggaccgacgcaaaggtgaaactgatcaagcaggagctggataagtacaaaaatgccgtgacagaactgcagctgctgatgcagtccacaccagcaactaacaatcgcgcccggagagagctgccccggttcatgaactataccctgaacaatgctaagaaaaccaatgtgacactgtccaagaaacgcaagaggcgcttcctgggatttctgctgggcgtggggtctgccatcgctagtggagtggccgtctgcaaagtcctgcacctggagggcgaagtgaacaagatcaaaagcgccctgctgtccactaacaaggcagtggtcagtctgtcaaatggcgtgtccgtcctgacctccaaggtgctggacctgaaaaattatattgataagcagctgctgcctatcgtcaacaaacagagctgctccatttctaatatcgagacagtgatcgaattccagcagaagaacaatagactgctggagattaccagagagttcagcgtgaacgccggcgtcaccacacccgtgtccacctacatgctgacaaatagtgagctgctgtcactgattaacgacatgcctatcaccaatgatcagaagaaactgatgtccaacaatgtgcagatcgtcagacagcagagttactcaatcatgtgcatcattaaggaggaagtcctggcctacgtggtccagctgccactgtatggcgtgatcgacaccccctgctggaaactgcatacatctcctctgtgcactaccaacacaaaggaaggaagtaatatctgcctgactcgaaccgaccggggatggtactgtgataacgcaggcagcgtgtccttctttccacaggccgagacctgcaaggtccagagcaacagggtgttctgtgacactatgaatagcctgaccctgccttccgaagtcaacctgtgcaatgtggacatctttaatccaaagtacgattgtaagatcatgactagcaagaccgatgtcagctcctctgtgattacttctctgggggccatcgtgagttgctacggaaagacaaaatgtactgccagcaacaaaaatcgcggcatcattaagaccttctccaacgggtgcgactatgtctctaacaagggcgtggatacagtgagtgtcgggaacactctgtactatgtcaataagcaggagggaaaaagcctgtacgtgaagggcgaacccatcattaacttctatgaccccctggtgttcccttccgacgagtttgatgcatctattagtcaggtgaacgaaaaaatcaatcagagtctggcctttattcggaagtcagatgagctgctgcacaacgtgaatgctggcaaatctacaactaacatcatgatcaccacaatcaccatcattatcgtgatgattatcattctggtcatcattaacatcacaatcattgtggtcatcattaagttccaccggattcagggcaaggaccagaacgataaaaatagcgagccctacatcctgaccaatagacagtga(配列番号137)
HEKおよびDS-Cav1置換ならびにBPIV3 F TMおよびCTドメインを含むA2株由来のhRSV Fタンパク質(RSV F_A2_HEK_DS-Cav1_B3TMCT)タンパク質配列:
MELLILKANAITTILTAVTFCFASGQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKENKCNGTDAKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQSTPATNNRARRELPRFMNYTLNNAKKTNVTLSKKRKRRFLGFLLGVGSAIASGVAVCKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTFKVLDLKNYIDKQLLPILNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMCIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNVDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELLHNVNAGKSTTNIMITTITIIIVMIIILVIINITIIVVIIKFHRIQGKDQNDKNSEPYILTNRQ(配列番号21)
GeneArt最適化されたRSV F_A2_HEK_DS-Cav1_B3TMCT DNA配列:
atggaactgctgatcctgaaggccaacgccatcaccaccatcctgaccgccgtgaccttctgctttgccagcggccagaacatcaccgaggaattctaccagagcacctgtagcgccgtgtccaagggctacctgagcgccctgagaaccggctggtacaccagcgtgatcaccatcgagctgagcaacatcaaagaaaacaagtgcaacggcaccgacgccaaagtgaagctgatcaagcaggaactggacaagtacaagaatgccgtgaccgaactgcagctgctgatgcagagcacccccgccaccaacaaccgggccagaagagaactgcccagattcatgaactacaccctgaacaacgccaaaaagaccaacgtgaccctgagcaagaagcggaagcggcggttcctgggctttctgctgggagtgggaagcgccattgctagcggagtggccgtgtgcaaggtgctgcacctggaaggcgaagtgaacaagatcaagtccgccctgctgagcaccaacaaggccgtggtgtctctgagcaacggcgtgtccgtgctgaccttcaaggtgctggatctgaagaactacatcgacaaacagctgctgcccatcttgaacaagcagagctgcagcatcagcaacatcgagacagtgatcgagttccagcagaagaacaaccggctgctggaaatcacccgcgagttcagcgtgaacgctggcgtgaccacccccgtgtccacctacatgctgaccaacagcgagctgctgtccctgatcaacgacatgcccatcaccaacgaccagaaaaagctgatgagcaacaacgtgcagatcgtgcggcagcagagctactccatcatgtgcatcatcaaagaagaggtgctggcctacgtggtgcagctgcctctgtacggcgtgatcgacaccccctgctggaagctgcacaccagccctctgtgcaccaccaacaccaaagagggctccaacatctgcctgacccggaccgacagaggctggtactgcgataatgccggctccgtctcattctttccacaagccgagacatgcaaggtgcagagcaaccgggtgttctgcgacaccatgaacagcctgaccctgccctccgaagtgaatctgtgcaacgtggacatcttcaaccctaagtacgactgcaagatcatgacctccaagaccgacgtgtccagctccgtgatcacaagcctgggcgccatcgtgtcctgctacggcaagaccaagtgcaccgccagcaacaagaaccggggcatcatcaagaccttcagcaacggctgcgactacgtgtccaacaagggggtggacaccgtgtctgtgggcaacaccctgtactacgtgaacaaacaggaaggcaagagcctgtacgtgaagggcgagcccatcatcaacttctacgaccccctggtgttccccagcgacgagttcgatgccagcatctcccaagtgaacgagaagatcaaccagagcctggccttcatcagaaagtccgatgagctgctgcacaatgtgaacgccggcaagtccaccaccaatatcatgatcaccacaatcaccatcatcattgtgatgattatcatcctcgtgatcatcaacatcacaatcatcgtcgtgattattaagttccaccggatccagggcaaggaccagaacgacaagaactccgagccctacatcctgacaaaccggcagtga(配列番号22)
GenScript最適化されたRSV F_A2_HEK_DS-Cav1_B3TMCT DNA配列:
atggaactgctgatcctgaaagccaacgctattactactatcctgaccgccgtgacattttgcttcgcatctggacagaacattactgaggaattctaccagtcaacatgcagcgccgtgtccaaaggatacctgagcgccctgcggaccggctggtatacatcagtgattactatcgagctgtccaacatcaaggaaaacaaatgtaatgggaccgacgcaaaggtgaaactgatcaagcaggagctggataagtacaaaaatgccgtgacagaactgcagctgctgatgcagtccacaccagcaactaacaatcgcgcccggagagagctgccccggttcatgaactataccctgaacaatgctaagaaaaccaatgtgacactgtccaagaaacgcaagaggcgcttcctgggatttctgctgggcgtggggtctgccatcgctagtggagtggccgtctgcaaagtcctgcacctggagggcgaagtgaacaagatcaaaagcgccctgctgtccactaacaaggcagtggtcagtctgtcaaatggcgtgtccgtcctgaccttcaaggtgctggacctgaaaaattatattgataagcagctgctgcctatcctgaacaaacagagctgctccatttctaatatcgagacagtgatcgaattccagcagaagaacaatagactgctggagattaccagagagttcagcgtgaacgccggcgtcaccacacccgtgtccacctacatgctgacaaatagtgagctgctgtcactgattaacgacatgcctatcaccaatgatcagaagaaactgatgtccaacaatgtgcagatcgtcagacagcagagttactcaatcatgtgcatcattaaggaggaagtcctggcctacgtggtccagctgccactgtatggcgtgatcgacaccccctgctggaaactgcatacatctcctctgtgcactaccaacacaaaggaaggaagtaatatctgcctgactcgaaccgaccggggatggtactgtgataacgcaggcagcgtgtccttctttccacaggccgagacctgcaaggtccagagcaacagggtgttctgtgacactatgaatagcctgaccctgccttccgaagtcaacctgtgcaatgtggacatctttaatccaaagtacgattgtaagatcatgactagcaagaccgatgtcagctcctctgtgattacttctctgggggccatcgtgagttgctacggaaagacaaaatgtactgccagcaacaaaaatcgcggcatcattaagaccttctccaacgggtgcgactatgtctctaacaagggcgtggatacagtgagtgtcgggaacactctgtactatgtcaataagcaggagggaaaaagcctgtacgtgaagggcgaacccatcattaacttctatgaccccctggtgttcccttccgacgagtttgatgcatctattagtcaggtgaacgaaaaaatcaatcagagtctggcctttattcggaagtcagatgagctgctgcacaacgtgaatgctggcaaatctacaactaacatcatgatcaccacaatcaccatcattatcgtgatgattatcattctggtcatcattaacatcacaatcattgtggtcatcattaagttccaccggattcagggcaaggaccagaacgataaaaatagcgagccctacatcctgaccaatagacagtga(配列番号23)
一実施形態では、組換えパラミクソウイルスは、組換えhRSV Fエクトドメインをコードする異種遺伝子を含む組換えセンダイウイルスゲノムを含む。このような実施形態では、RSV Fエクトドメインと連結しているTMおよびCTは、例えば、配列番号103の残基1~21(TM)、配列番号103の残基22~65(CT)または配列番号103(TM+CT)として示されるような、センダイウイルスFタンパク質由来であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、センダイウイルスTMおよび/またはCTと連結している組換えhRSV Fエクトドメインは、配列番号105~108のうち1種として示されるアミノ酸配列を含み得る。
HEK置換およびセンダイウイルス F CTドメインを含むA2株由来のhRSV Fタンパク質(RSV F_A2_HEK_SeVCT)タンパク質配列
MELLILKANAITTILTAVTFCFASGQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKENKCNGTDAKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQSTPATNNRARRELPRFMNYTLNNAKKTNVTLSKKRKRRFLGFLLGVGSAIASGVAVSKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTSKVLDLKNYIDKQLLPIVNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMSIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNVDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELLHNVNAGKSTTNIMITTIIIVIIVILLSLIAVGLLLYCLYRLRRSMLMGNPDDRIPRDTYTLEPKIRHMYTNGGFDAMAEKR(配列番号105)
HEK置換ならびにセンダイウイルス F TMおよびCTドメインを含むA2株由来のhRSV Fタンパク質(RSV F_A2_HEK_SeVTMCT)タンパク質配列MELLILKANAITTILTAVTFCFASGQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKENKCNGTDAKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQSTPATNNRARRELPRFMNYTLNNAKKTNVTLSKKRKRRFLGFLLGVGSAIASGVAVSKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTSKVLDLKNYIDKQLLPIVNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMSIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNVDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELLHNVNAGKSTTNIMITTVITIIVVMVVILVVIIVIIIVLYRLRRSMLMGNPDDRIPRDTYTLEPKIRHMYTNGGFDAMAEKR(配列番号106)
HEKおよびDS-Cav1置換ならびにセンダイウイルス F CTドメインを含むA2株由来のhRSV Fタンパク質(RSV F_A2_HEK_SeVCT)タンパク質配列
MELLILKANAITTILTAVTFCFASGQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKENKCNGTDAKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQSTPATNNRARRELPRFMNYTLNNAKKTNVTLSKKRKRRFLGFLLGVGSAIASGVAVCKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTFKVLDLKNYIDKQLLPILNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMCIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNVDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELLHNVNAGKSTTNIMITTIIIVIIVILLSLIAVGLLLYCLYRLRRSMLMGNPDDRIPRDTYTLEPKIRHMYTNGGFDAMAEKR(配列番号107)
HEKおよびDS-Cav1置換ならびにセンダイウイルス F TMおよびCTドメインを含むA2株由来のhRSV Fタンパク質(RSV F_A2_HEK_SeVTMCT)タンパク質配列
MELLILKANAITTILTAVTFCFASGQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKENKCNGTDAKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQSTPATNNRARRELPRFMNYTLNNAKKTNVTLSKKRKRRFLGFLLGVGSAIASGVAVCKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTFKVLDLKNYIDKQLLPILNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMCIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNVDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELLHNVNAGKSTTNIMITTVITIIVVMVVILVVIIVIIIVLYRLRRSMLMGNPDDRIPRDTYTLEPKIRHMYTNGGFDAMAEKR(配列番号108)
一実施形態では、組換えパラミクソウイルスは、組換えhRSV Fエクトドメインをコードする異種遺伝子を含む組換えNDVゲノムを含む。このような実施形態では、RSV Fエクトドメインと連結しているTMおよびCTは、例えば、配列番号104の残基1~21(TM)、配列番号104の残基22~49(CT)または配列番号104(TM+CT)として示されるような、NDVウイルスFタンパク質、細胞質尾部由来であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、NDV TMおよび/またはCTと連結している組換えhRSV Fエクトドメインは、配列番号109~113のうち1種として示されるアミノ酸配列を含み得る。
HEK置換およびNDV F CTドメインを含むA2株由来の hRSV Fタンパク質(RSV F_A2_HEK_NDVCT)タンパク質配列
MELLILKANAITTILTAVTFCFASGQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKENKCNGTDAKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQSTPATNNRARRELPRFMNYTLNNAKKTNVTLSKKRKRRFLGFLLGVGSAIASGVAVSKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTSKVLDLKNYIDKQLLPIVNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMSIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNVDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELLHNVNAGKSTTNIMITTIIIVIIVILLSLIAVGLLLYCMYKQKAQQKTLLWLGNNTLDQMRATTKM(配列番号109)
HEK置換ならびにNDV F TMおよびCTドメインを含むA2株由来のhRSV Fタンパク質(RSV F_A2_HEK_NDVTMCT)タンパク質配列
MELLILKANAITTILTAVTFCFASGQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKENKCNGTDAKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQSTPATNNRARRELPRFMNYTLNNAKKTNVTLSKKRKRRFLGFLLGVGSAIASGVAVSKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTSKVLDLKNYIDKQLLPIVNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMSIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNVDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELLHNVNAGKSTTNIMITTIVLTIISLVFGILSLILACYLMYKQKAQQKTLLWLGNNTLDQMRATTKM(配列番号110)
HEKおよびDS-Cav1置換ならびにNDV F CTドメインを含むA2株由来のhRSV Fタンパク質(RSV F_A2_HEK_NDVCT)タンパク質配列
MELLILKANAITTILTAVTFCFASGQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKENKCNGTDAKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQSTPATNNRARRELPRFMNYTLNNAKKTNVTLSKKRKRRFLGFLLGVGSAIASGVAVCKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTFKVLDLKNYIDKQLLPILNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMCIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNVDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELLHNVNAGKSTTNIMITTIIIVIIVILLSLIAVGLLLYCMYKQKAQQKTLLWLGNNTLDQMRATTKM(配列番号112)
HEKおよびDS-Cav1置換ならびにNDV F TMおよびCTドメインを含むA2株由来のhRSV Fタンパク質(RSV F_A2_HEK_NDVTMCT)タンパク質配列
MELLILKANAITTILTAVTFCFASGQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKENKCNGTDAKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQSTPATNNRARRELPRFMNYTLNNAKKTNVTLSKKRKRRFLGFLLGVGSAIASGVAVCKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTFKVLDLKNYIDKQLLPILNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMCIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNVDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELLHNVNAGKSTTNIMITTVITIIVVMVVILVVIIVIIIVLYRLRRSMLMGNPDDRIPRDTYTLEPKIRHMYTNGGFDAMAEKR(配列番号113)
H.組換えパラミクソウイルスのさらなる説明
特定の実施形態
いくつかの実施形態では、上流から下流に、PIVゲノムプロモーターと、それに続く、PIV N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えパラインフルエンザウイルス(PIV)を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、PIV Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、HPIV1ゲノムプロモーターと、それに続く、HPIV1 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えHPIV1を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、HPIV1 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、HPIV1ゲノムプロモーターと、それに続く、HPIV1N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えHPIV1を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、HPIV1 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、HPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、HPIV3 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えHPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、HPIV3 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、HPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、HPIV3 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えHPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、HPIV3 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、HPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、HPIV3 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えHPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、BPIV3 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、HPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、HPIV3 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えHPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、BPIV3 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、BPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、BPIV3 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えBPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、BPIV3 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、BPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、BPIV3 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えBPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、BPIV3 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、BPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、BPIV3 N、PおよびM遺伝子、HPIV3 FおよびHN遺伝子ならびにBPIV3 L遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えB/HPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、BPIV3 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、BPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、BPIV3 N、PおよびM遺伝子、HPIV3 FおよびHN遺伝子ならびにBPIV3 L遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えB/HPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子との間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、BPIV3 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、BPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、BPIV3 N、PおよびM遺伝子、HPIV3 FおよびHN遺伝子ならびにBPIV3 L遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えB/HPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、HPIV3 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、BPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、BPIV3 N、PおよびM遺伝子、HPIV3 FおよびHN遺伝子ならびにBPIV3 L遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えB/HPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子との間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、HPIV3 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、センダイウイルスゲノムプロモーターと、それに続く、センダイウイルスN、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えセンダイウイルスを含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、センダイウイルスFタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、センダイウイルスゲノムプロモーターと、それに続く、センダイウイルスN、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えセンダイウイルスを含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子との間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、センダイウイルスFタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、NDVゲノムプロモーターと、それに続く、NDV N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えNDVを含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、NDV Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、NDVゲノムプロモーターと、それに続く、NDV N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えNDVを含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、NDV Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、PIV5ゲノムプロモーターと、それに続く、PIV5 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えPIV5を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、PIV5 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、PIV5ゲノムプロモーターと、それに続く、PIV5 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えPIV5を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、PIV5 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、PIVゲノムプロモーターと、それに続く、PIV N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えパラインフルエンザウイルス(PIV)を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、PIV Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、HPIV1ゲノムプロモーターと、それに続く、HPIV1 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えHPIV1を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、HPIV1 Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、HPIV1ゲノムプロモーターと、それに続く、HPIV1N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えHPIV1を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、HPIV1 Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、HPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、HPIV3N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えHPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、HPIV3 Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、HPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、HPIV3 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えHPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、HPIV3 Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、HPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、HPIV3 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えHPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、BPIV3 Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、HPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、HPIV3 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えHPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、BPIV3 Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、BPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、BPIV3 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えBPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、BPIV3 Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、BPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、BPIV3 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えBPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、BPIV3 Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、BPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、BPIV3 N、PおよびM遺伝子、HPIV3 FおよびHN遺伝子ならびにBPIV3 L遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えB/HPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、BPIV3 Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、BPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、BPIV3 N、PおよびM遺伝子、HPIV3 FおよびHN遺伝子ならびにBPIV3 L遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えB/HPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子との間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、BPIV3 Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、BPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、BPIV3 N、PおよびM遺伝子、HPIV3 FおよびHN遺伝子ならびにBPIV3 L遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えB/HPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、HPIV3 Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、BPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、BPIV3 N、PおよびM遺伝子、HPIV3 FおよびHN遺伝子ならびにBPIV3 L遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えB/HPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子との間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、HPIV3 Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、センダイウイルスゲノムプロモーターと、それに続く、センダイウイルスN、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えセンダイウイルスを含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、センダイウイルスFタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、センダイウイルスゲノムプロモーターと、それに続く、センダイウイルスN、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えセンダイウイルスを含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子との間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、センダイウイルスFタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、NDVゲノムプロモーターと、それに続く、NDV N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えNDVを含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、NDV Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、NDVゲノムプロモーターと、それに続く、NDV N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えNDVを含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、NDV Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、PIV5ゲノムプロモーターと、それに続く、PIV5 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えPIV5を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、PIV5 Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、PIV5ゲノムプロモーターと、それに続く、PIV5 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えPIV5を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207L置換を含み、PIV5 Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、PIVゲノムプロモーターと、それに続く、PIV N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えパラインフルエンザウイルス(PIV)を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、PIV Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、HPIV1ゲノムプロモーターと、それに続く、HPIV1 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えHPIV1を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、HPIV1 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、HPIV1ゲノムプロモーターと、それに続く、HPIV1 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えHPIV1を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、HPIV1 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、HPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、HPIV3 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えHPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、HPIV3 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、HPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、HPIV3 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えHPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、HPIV3 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、HPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、HPIV3 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えHPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、BPIV3 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、HPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、HPIV3 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えHPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、BPIV3 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、BPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、BPIV3 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えBPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、BPIV3 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、BPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、BPIV3 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えBPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、BPIV3 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、BPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、BPIV3 N、PおよびM遺伝子、HPIV3 FおよびHN遺伝子ならびにBPIV3 L遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えB/HPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、BPIV3 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、BPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、BPIV3 N、PおよびM遺伝子、HPIV3 FおよびHN遺伝子ならびにBPIV3 L遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えB/HPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子との間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、BPIV3 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、BPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、BPIV3 N、PおよびM遺伝子、HPIV3 FおよびHN遺伝子ならびにBPIV3 L遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えB/HPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、HPIV3 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、BPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、BPIV3 N、PおよびM遺伝子、HPIV3 FおよびHN遺伝子ならびにBPIV3 L遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えB/HPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子との間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、HPIV3 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、センダイウイルスゲノムプロモーターと、それに続く、センダイウイルスN、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えセンダイウイルスを含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、センダイウイルスFタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、センダイウイルスゲノムプロモーターと、それに続く、センダイウイルスN、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えセンダイウイルスを含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子との間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、センダイウイルスFタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、NDVゲノムプロモーターと、それに続く、NDV N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えNDVを含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、NDV Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、NDVゲノムプロモーターと、それに続く、NDV N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えNDVを含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、NDV Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、PIV5ゲノムプロモーターと、それに続く、PIV5 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えPIV5を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、PIV5 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、PIV5ゲノムプロモーターと、それに続く、PIV5 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えPIV5を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、PIV5 Fタンパク質のTMおよびCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、PIVゲノムプロモーターと、それに続く、PIV N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えパラインフルエンザウイルス(PIV)を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、PIV Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、HPIV1ゲノムプロモーターと、それに続く、HPIV1 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えHPIV1を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、HPIV1 Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、HPIV1ゲノムプロモーターと、それに続く、HPIV1 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えHPIV1を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、HPIV1 Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、HPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、HPIV3 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えHPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、HPIV3 Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、HPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、HPIV3 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えHPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、HPIV3 Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、HPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、HPIV3 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えHPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、BPIV3 Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、HPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、HPIV3 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えHPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、BPIV3 Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、BPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、BPIV3 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えBPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、BPIV3 Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、BPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、BPIV3 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えBPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、BPIV3 Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、BPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、BPIV3 N、PおよびM遺伝子、HPIV3 FおよびHN遺伝子ならびにBPIV3 L遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えB/HPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、BPIV3 Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、BPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、BPIV3 N、PおよびM遺伝子、HPIV3 FおよびHN遺伝子ならびにBPIV3 L遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えB/HPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子との間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、BPIV3 Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、BPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、BPIV3 N、PおよびM遺伝子、HPIV3 FおよびHN遺伝子ならびにBPIV3 L遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えB/HPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、HPIV3 Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、BPIV3ゲノムプロモーターと、それに続く、BPIV3 N、PおよびM遺伝子、HPIV3 FおよびHN遺伝子ならびにBPIV3 L遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えB/HPIV3を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子との間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、HPIV3 Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、センダイウイルスゲノムプロモーターと、それに続く、センダイウイルスN、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えセンダイウイルスを含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、センダイウイルスFタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、センダイウイルスゲノムプロモーターと、それに続く、センダイウイルスN、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えセンダイウイルスを含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子との間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、センダイウイルスFタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、NDVゲノムプロモーターと、それに続く、NDV N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えNDVを含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、NDV Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、NDVゲノムプロモーターと、それに続く、NDV N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えNDVを含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、NDV Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、PIV5ゲノムプロモーターと、それに続く、PIV5 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えPIV5を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、ゲノムプロモーターと、Nタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、PIV5 Fタンパク質のCTと連結している。
いくつかの実施形態では、上流から下流に、PIV5ゲノムプロモーターと、それに続く、PIV5 N、P、M、F、HNおよびL遺伝子を含み、組換えRSV Fエクトドメインを含むI型膜タンパク質をコードする異種遺伝子をさらに含むウイルスゲノムを含む組換えPIV5を含む組換えパラミクソウイルスが提供され、これでは、異種遺伝子は、Nタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子の間に位置し、RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C置換を含み、PIV5 Fタンパク質のCTと連結している。
RSV Fエクトドメインをコードする異種遺伝子を含むウイルスゲノムを含む本明細書において開示される組換えパラミクソウイルスの実施形態のいずれか(上記で論じられる組換えパラミクソウイルスのいずれかなど)では、組換えRSV Fエクトドメインをコードする異種遺伝子は、RSV F位置1~529を含むポリペプチド配列をコードし得る。
さらなる説明
開示される組換えパラミクソウイルスは、自己複製性である、すなわち、適当な宿主細胞の感染後に複製可能である。いくつかの実施形態では、組換えパラミクソウイルスは、例えば、ヒト対象に投与された場合に減弱された表現型を有する。
組換えパラミクソウイルスの減弱は、当技術分野で公知の種々の方法を使用して、例えば、組換えパラミクソウイルスの生物学的機能の変化を引き起こし、減弱された表現型をもたらす、1つまたはそれ以上の突然変異を導入することによって達成できる。異種遺伝子の挿入はまた、減弱された表現型をもたらし得る。好ましくは、異種遺伝子をコードするゲノムを含むパラミクソウイルスは、野生型パラミクソウイルスと比較して、細胞または哺乳類において約100~5000倍またはそれ以上減弱される。
開示された組換えパラミクソウイルスは、適切な減弱、表現型復帰への抵抗性および免疫原性を確認するために、周知のin vitroおよびin vivoモデルで試験できる。in vitroアッセイでは、修飾されたパラミクソウイルスは、例えば、温度感受性複製などの1つまたはそれ以上の所望の表現型について試験できる。開示された組換えパラミクソウイルスはまた、PIVおよび/または組換えウイルス(例えば、RSV)中に含まれる異種遺伝子のウイルス病原体を用いる感染の動物モデルにおいて試験できる。さまざまな動物モデルが知られている。
組換え減弱パラミクソウイルスは、好ましくは、野生型パラミクソウイルスと比較して、細胞または哺乳類において約100~5000倍減弱される。いくつかの実施形態では、in vitroでのウイルスの複製のレベルが、広範な使用のためにウイルスワクチンの製造を提供するのに十分であることが好ましい。いくつかの実施形態では、in vitroで減弱されたパラミクソウイルスのウイルスの複製のレベルが、mlあたり、少なくとも106、より好ましくは、少なくとも107、最も好ましくは、少なくとも108であることが好ましい。減弱性突然変異は、好ましくは、安定であるものである。少なくとも2、3、4またはさらに多くの減弱性突然変異を有する組換えパラミクソウイルスがより安定である可能性が高い。
進行中の前臨床研究によって、HPIV1、HPIV2およびHPIV3を減弱するいくつかの突然変異または修飾が同定され、これは、可能性あるワクチンおよびベクター骨格として減弱された株を製造するように逆遺伝学によって導入される。HPIV骨格中に外来遺伝子を含めることもまた、それ自体減弱である。これは、ゲノム長および遺伝子数ならびに外来タンパク質の効果の増大を含むさまざまな効果により得る。適当なレベルの減弱を達成しようとする場合には、原因が何であれ、インサートの減弱効果も考慮されなければならない。
HPIV1、2および3の減弱株は、血清陰性乳幼児における臨床研究にあったか、または現在臨床研究にある(Karronら2012 Vaccine 30:3975~3981;Schmidtら 2011 Expert Rev.Respir.Med.5:515~526)。これらの減弱HPIV1、HPIV2およびHPIV3株またはそのバージョンは、異種RSV Fタンパク質を発現するための可能性あるベクターである。
減弱された表現型を提供するパラミクソウイルスのゲノムへの修飾の例は、当技術分野で公知であり、例えば、各々、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2012/0045471号;同2010/0119547号;同2009/0263883号;同2009/0017517号;同8084037号;同6,410,023号;同8,367,074号;同7,951,383号;同7,820,182号;同7704509号;同7632508号;同7622123号;同7250171号;同7208161号;同7201907号;同7192593号;同2012/0064112号;同20140186397号;ならびにNewmanら 2002 Virus genes 24:77~92、Tangら、2003 J Virol、77(20):10819~10828;Basavarajappaら 2014 Vaccine、32:3555~3563;McGinnesら、J. Virol.、85: 366~377、2011;およびJonesら、Vaccine、30:959~968、2012に記載されている。例えば、PIV3の減弱は、HPIV3由来のFおよびHNを除いてBPIV3遺伝子を含有するB/HPIV3 ウイルスなどの、ヒトを含む霊長類における宿主域制限を付与するBPIV3由来遺伝子の存在によって達成できる(Skiadopoulos MHら J Virol 77:1141~8、2003)。センダイウイルスはまた、宿主域制限のために霊長類において制限される(Jones BGら Vaccine 30:959~968 2012)。減弱の別の手段は、cp45 HPIV3ウイルスにおいてなど、複数の遺伝子において起こり得るミスセンス突然変異によって例示される(Skiadopoulos MHら J Virol第73:1374~81 1999)。減弱性点突然変異のその他の例は、以下の実施例2においてHPIV1について提供される。実施例2においてHPIV1によって例示されるような、1つまたはいくつかのコドンの欠失も、減弱表現型を付与し得る。また、実施例1において例示されるように、異種エクトドメインと連結しているベクターTMおよびCTまたはCTドメインの存在は、ベクターを強力に減弱し得る。HPIV1における減弱性突然変異のその他の例は、Bartlett EJらVirol J 4:67 2007)によって記載されており、HPIV2については、Nolan SMら、Vaccine第23:4765~4774 2005)によって記載されている。1つまたはそれ以上のアクセサリー遺伝子のすべてまたは一部の欠失も、減弱の手段である(Durbin A Virology 261:319~330 1999)。
組換え減弱パラミクソウイルスの免疫原性は、動物モデル(非ヒト霊長類、例えば、アフリカミドリザルなど)において、1回の免疫処置後におよび2回目の免疫処置後にパラミクソウイルスに対する抗体を形成する動物の数を調べることによって、ならびにその応答の規模を測定することによって評価できる。いくつかの実施形態では、組換えパラミクソウイルスは、第1の免疫処置後に動物の約60~80%が抗体を発生するおよび第2の免疫処置後に動物の約80~100%が応対を発生する場合に十分な免疫原性を有する。好ましくは、免疫応答は、発生元パラミクソウイルスおよび組換えパラミクソウイルス中に含まれる異種遺伝子が由来するウイルス病原体の両方による感染から保護する。
I.さらなるベクター
組換えRSV Fタンパク質およびそれをコードする核酸分子は、PIVベクター以外のベクターに含まれる(または発現される)ということが認められよう。例えば、プラスミドベクターおよびその他のウイルスベクターを、例えば、宿主細胞における組換えRSV Fタンパク質もしくはその断片の発現のために、または本明細書に開示されるような対象の免疫処置のために使用できる。いくつかの実施形態では、ベクターは、プライム-ブーストワクチン接種の一部として対象に投与できる。いくつかの実施形態では、ベクターは、プライム-ブーストワクチン接種において使用するためのプライマーワクチンまたはブースターワクチンなどのワクチン中に含まれる。
いくつかの例では、ベクターは、複製能力のあるおよび/または減弱されるウイルスベクターであり得る。ウイルスベクターはまた、条件的に複製能力がある場合もある。その他の例では、ウイルスベクターは、宿主細胞では複製に欠損がある。
ポリオーマ、すなわち、SV40(Madzakら、1992、J.Gen. Virol.、73:15331536)、アデノウイルス(Berkner、1992、Cur.Top.Microbiol.Immunol.、158:39~6;Berlinerら、1988、Bio Techniques、6:616~629;Gorzigliaら、1992、J. Virol.、66:4407~4412;Quantinら、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:2581~2584;Rosenfeldら、1992、Cell、68:143~155;Wilkinsonら、1992、Nucl.Acids Res.、20:2233~2239;Stratford-Perricaudetら、1990、Hum.Gene Ther.、1:241~256)、ワクシニアウイルス(Mackettら、1992、Biotechnology、24:495~499)、アデノ随伴ウイルス(Muzyczka、1992、Curr.Top.Microbiol.Immunol.、158:91~123;Onら、1990、Gene、89:279~282)、HSVおよびEBVを含むヘルペスウイルス(Margolskee、1992、Curr.Top.Microbiol.Immunol.、158:67~90;Johnsonら、1992、J.Virol.、66:29522965;Finkら、1992、Hum.Gene Ther.第3:11~19;Breakfieldら、1987、Mol.Neurobiol.、1:337~371;Fresseら、1990、Biochem.Pharmacol.、40:2189~2199)、シンドビスウイルス(H.Herweijerら、1995、Human Gene Therapy第6:1161~1167;米国特許第5,091,309号および同5,2217,879号)、アルファウイルス(S.Schlesinger、1993、Trends Biotechnol.第11:18~22;I.Frolovら、1996、Proc.Natl.Acad.Sci.USA第93:11371~11377)ならびに鳥類起源のレトロウイルス(Brandyopadhyayら、1984、Mol.Cell Biol.、4:749~754;Petropouplosら、1992、J.Virol.、66:3391~3397)、マウス起源のレトロウイルス(Miller、1992、Curr.Top.Microbiol.Immunol.、158:1~24;Millerら、1985、Mol.Cell Biol.、5:431~437;Sorgeら、1984、Mol.Cell Biol.、4:1730~1737;Mannら、1985、J.Virol.、54:401~407)およびヒト起源のレトロウイルス(Pageら、1990、J.Virol.、64:5370~5276;Buchschalcherら、1992、J.Virol.、66:2731~2739)を含む、組換えRSV Fタンパク質またはその免疫原性断片を発現するために使用できるいくつかのウイルスベクターが構築されている。バキュロウイルス(オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)核多角体病ウイルス;AcMNPV)ベクターも当技術分野で公知であり、商業的供給源(PharMingen、San Diego、Calif.;Protein Sciences Corp.、Meriden、Conn.;Stratagene、La Jolla、Calif.など)から得ることができる。
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、開示された組換えRSV Fタンパク質またはその免疫原性断片(RSV Fエクトドメインなど)を発現するアデノウイルスベクターを含み得る。種々の起源、サブタイプまたはサブタイプの混合物由来のアデノウイルスを、アデノウイルスベクターのウイルスゲノムの供給源として使用できる。非ヒトアデノウイルス(例えば、サル、チンパンジー、ゴリラ、鳥類、イヌ、ヒツジまたはウシアデノウイルス)を使用して、アデノウイルスベクターを作製できる。例えば、サルアデノウイルスを、アデノウイルスベクターのウイルスゲノムの供給源として使用できる。サルアデノウイルスは、血清型1、3、7、11、16、18、19、20、27、33、38、39、48、49、50または任意のその他のサルアデノウイルス血清型のものであり得る。サルアデノウイルスは、例えば、SV、SAdV、SAVまたはsAVなどの当技術分野で公知の任意の適した略語を使用することによって呼ぶことができる。いくつかの例では、サルアデノウイルスベクターは、血清型3、7、11、16、18、19、20、27、33、38または39のサルアデノウイルスベクターである。一例では、チンパンジー血清型C Ad3ベクターが使用される(例えば、Peruzziら、Vaccine、27:1293~1300、2009を参照のこと)。ヒトアデノウイルスを、アデノウイルスベクターのウイルスゲノムの供給源として使用できる。ヒトアデノウイルスは、種々のサブグループまたは血清型のものであり得る。例えば、アデノウイルスは、サブグループA(例えば、血清型12、18および31)、サブグループB(例えば、血清型3、7、11、14、16、21、34、35および50)、サブグループC(例えば、血清型1、2、5および6)、サブグループD(例えば、血清型8、9、10、13、15、17、19、20、22、23、24、25、26、27、28、29、30、32、33、36~39および42~48)、サブグループE(例えば、血清型4)、サブグループF(例えば、血清型40および41)、未分類血清グループ(例えば、血清型49および51)または任意のその他のアデノウイルス血清型のものであり得る。当業者は、複製能力のあるおよび複製に欠損のあるアデノウイルスベクター(単独におよび多重に複製に欠損のあるアデノウイルスベクターを含む)に精通している。多重に複製に欠損のあるアデノウイルスベクターを含む複製に欠損のあるアデノウイルスベクターの例は、米国特許第5,837,511号;同5,851,806号;同5,994,106号;同6,127,175号;同6,482,616号;および同7,195,896号ならびに国際特許出願番号WO94/28152、WO95/02697、WO95/16772、WO95/34671、WO96/22378、WO97/12986、WO97/21826およびWO03/022311に開示されている。
III.組換え法、ベクターおよび宿主細胞
本明細書において開示される組換えパラミクソウイルスおよびポリヌクレオチドは、合成および組換え法によって製造できる。従って、感染性パラミクソウイルスクローンをコードするポリヌクレオチドおよび感染性クローンを含む宿主細胞ならびに組換え法によってこのようなベクターおよび宿主細胞を作製する方法も提供される。
本明細書において開示される組換えRSV Fタンパク質のいずれかをコードする単離された核酸分子も提供される。
上記で論じたように、開示されたパラミクソウイルスまたはポリヌクレオチドは、当技術分野で周知の技術によって合成または調製される。例えば、WO94/027037およびUS20130052718を参照のこと。野生型パラミクソウイルスゲノムのヌクレオチド配列は、公知であり、例えば、GenBankでインターネットで(www-ncbi-nlm-nihgov/entrezでアクセス可能)容易に入手可能である。開示された組換えパラミクソウイルスをコードするヌクレオチド配列は、無細胞環境においてDNAポリメラーゼを使用することを含む当業者に公知の方法を使用して合成または増幅できる。さらに、当業者ならば、さまざまな機能的に同等な核酸を構築するために、配列が異なるが同一タンパク質成分をコードする核酸などの遺伝暗号を容易に使用できる。
例示的核酸は、クローニング技術によって調製できる。適当なクローニングおよび配列決定技術の例ならびに多数のクローニング演習によって熟練者を指示するのに十分な使用説明書は公知である(例えば、Sambrookら(Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第4版、Cold Spring Harbor、New York、2012およびAusubelら (In Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、New York、詳細な付録104、2013)。生物学的試薬および実験機器の製造業者からの製品情報もまた、有用な情報を提供する。このような製造業者として、SIGMA Chemical Company(Saint Louis、MO)、R&D Systems(Minneapolis、MN)、Pharmacia Amersham(Piscataway、NJ)、CLONTECH Laboratories、Inc.(Palo Alto、CA)、Chem Genes Corp.、Aldrich Chemical Company(Milwaukee、WI)、Glen Research、Inc.、GIBCO BRL Life Technologies、Inc.(Gaithersburg、MD)、Fluka Chemica-Biochemika Analytika(Fluka Chemie AG、Buchs、Switzerland)、Invitrogen(Carlsbad、CA)およびApplied Biosystems(Foster City、CA)ならびに当業者に公知の多数のその他の商業的供給源が挙げられる。
組換えパラミクソウイルスのゲノムは、得られた組換えパラミクソウイルスが、弱のレベルまたは免疫原性などの所望の生物学的機能を保持する限り、1つまたはそれ以上の変動(例えば、アミノ酸欠失、置換または挿入を引き起こす突然変異)を含み得る。配列におけるこれらの変動は、天然に存在する変動である場合もあり、当業者に公知の遺伝子工学技術の使用によってそれらが遺伝子操作される場合もある。このような技術の例は、例えば、両方とも参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、Sambrookら.(Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第4版、Cold Spring Harbor、New York、2012)およびAusubelら(In Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、New York、through supplement 104、2013)に見られる。
本明細書に記載される核酸コード化に、その生物活性を減少させることなく修飾を行うことができる。オリゴヌクレオチド媒介性(部位指定)突然変異誘発、アラニンスキャニング、PCR突然変異誘発、部位特異的突然変異誘発、カセット突然変異誘発、制限選択突然変異誘発などといった既知組換え法を使用して、アミノ酸置換、挿入および欠失を行うことができる(例えば、Sambrookら(Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第4版、Cold Spring Harbor、New York、2012)およびAusubelら(In Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、New York、詳細な付録104、2013)を参照のこと)。クローニング、発現または融合タンパク質へのターゲッティング分子の組込みを容易にするために、いくつかの修飾を行うことができる。このような修飾は、当業者に周知であり、例えば、終結コドン、開始部位を提供するためにアミノ末端に付加されるメチオニン、好都合に位置づけられた制限部位を作製するためにいずれかの末端に配置されるさらなるヌクレオチドが挙げられる。
「保存的」アミノ酸置換とは、対象に投与された場合にタンパク質の免疫応答を誘導する能力などのタンパク質の機能に実質的に影響を及ぼさない、または低減しない置換である。用語保存的変動はまた、非置換親アミノ酸の代わりの置換アミノ酸の使用を含む。さらに、当業者ならば、コードされる配列中の単一のアミノ酸または小さいパーセンテージ(例えば、5%未満、いくつかの実施形態では、1%未満)のアミノ酸を変更、付加または欠失する個々の置換、欠失または付加は、変化がアミノ酸の化学的に同様のアミノ酸での置換をもたらす保存的変動であるということを認識するであろう。
機能的に同様のアミノ酸を提供する保存的アミノ酸置換の表は、当業者に周知である。以下の6グループは、互いの保存的置換であると考えられるアミノ酸の例である:
1)アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リシン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);および
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
開示される組換えパラミクソウイルスは、生物学的サンプルから単離されたウイルスから製造できる。ポリヌクレオチドおよびベクターは、ポリメラーゼ連鎖反応などの当技術分野で公知の標準組換え法によって製造できる(Sambrookら(Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第4版、Cold Spring Harbor、New York、2012)、およびAusubelら(In Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、New York、詳細な付録104、2013))。核酸配列を変更または修飾する方法もまた、当業者に公知である。
パラミクソウイルスゲノムは、宿主における増殖のために選択マーカーを含むベクター中に連続してクローニングされたポリメラーゼ連鎖反応カセットから組み立てることができる。このようなマーカーとして、真核細胞培養のためのジヒドロ葉酸還元酵素またはネオマイシン耐性ならびに大腸菌(E.coli)およびその他の細菌において培養するためのテトラサイクリンまたはアンピシリン耐性遺伝子が挙げられる。
標準組換え法を使用して、ポリヌクレオチドを、クローニングのために再現可能なベクター中に挿入することができる。種々のベクターが公的に入手可能である。ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス粒子またはファージの形態であり得る。さまざまな手順によってベクター中に適当な核酸配列を挿入することができる。一般に、核酸は、当技術分野で公知の技術を使用して、適当な制限エンドヌクレアーゼ部位(単数または複数)中に挿入される。ベクター成分として、一般に、それだけには限らないが、1種またはそれ以上のシグナル配列、複製起点、1種またはそれ以上のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーターおよび転写終結配列が挙げられる。これらの成分のうち1つまたはそれ以上を含む適したベクターの構築は、当業者に公知である標準連結技術を使用する。
適した再現可能なベクターの例として、制限するものではないが、pUC19またはpTM1が挙げられる。ポリヌクレオチドを、例えば、T7ポリメラーゼプロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、細胞性ポリメラーゼIIプロモーターまたはSP1プロモーターなどの適当なプロモーターと作動可能に連結することができる。再現可能なベクターは、転写開始、転写終結のための部位および翻訳のためのリボソーム結合部位をさらに含み得る。
パラミクソウイルスゲノムまたはパラミクソウイルスタンパク質をコードするポリヌクレオチドから構成される組換えベクターの、例えば、細菌細胞または真核細胞などの宿主細胞への導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介性トランスフェクション、カチオン性脂質媒介性トランスフェクション、エレクトロポレーション、電気的核輸送、化学的形質導入、電気的形質導入、感染またはその他の方法によって影響を受ける。このような方法は、Sambrookら(Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第4版、Cold Spring Harbor、New York、2012)およびAusubelら (In Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、New York、詳細な付録104、2013)などの標準的な実験マニュアルに記載されている。Lipofectamine (Invitrogen、Carlsbad、Calif.)およびFuGENE 6(商標)(Roche Diagnostics、Indianapolis、Ind.)などの市販のトランスフェクション試薬も利用可能である。適した宿主細胞として、それだけには限らないが、HEp-2細胞、FRhL-DBS2細胞、LLC-MK2細胞、MRC-5細胞およびVero細胞が挙げられる。
IV.免疫原性組成物
本明細書に記載されるような組換えパラミクソウイルス(異種組換えRSV Fタンパク質をコードするゲノムを含む組換えPIVなど)および医薬上許容される担体を含む免疫原性組成物も提供される。このような組成物は、当業者に公知のさまざまな投与様式によって、例えば、鼻腔内経路によって対象に投与できる。投与可能な組成物を調製するための実際の方法は、当業者に公知または明らかであり、Remingtons Pharmaceutical Sciences、第19版、Mack Publishing Company、Easton、Pennsylvania、1995などの刊行物に、より詳細に記載されている。
従って、許容される温度範囲内での貯蔵の際の安定性の増大を促進しながら生物活性を保持するのに役立つように、本明細書に記載される組換えパラミクソウイルスを、医薬上許容される担体とともに製剤化できる。可能性ある担体として、それだけには限らないが、生理学的に平衡化された培養培地、リン酸バッファー生理食塩水溶液、水、エマルジョン(例えば、油/水または水/油エマルジョン)、種々の種類の湿潤剤、タンパク質、ペプチドもしくは加水分解物(例えば、アルブミン、ゼラチン)などの凍結保護添加物もしくは安定化剤、糖(例えば、スクロース、ラクトース、ソルビトール)、アミノ酸(例えば、グルタミン酸ナトリウム)またはその他の保護的薬剤が挙げられる。得られた水溶液は、そのまま使用するためにパッケージングでき、または凍結乾燥できる。凍結乾燥した調製物は、単回または複数回投薬のいずれかのための投与に先立って滅菌溶液と組み合わせる。
製剤化された組成物、特に、液体製剤は、それだけには限らないが、有効濃度(通常、≦1% w/v)のベンジルアルコール、フェノール、m-クレゾール、クロロブタノール、メチルパラベン、および/またはプロピルパラベンを含む、貯蔵の際の分解を防止または最小化するための静菌剤を含有し得る。静菌剤は、一部の患者にとって禁忌となり得;従って、凍結乾燥製剤は、このような成分を含有する、または含有しない溶液で再構成される。
開示の医薬組成物は、生理学的条件に近づけるために必要に応じて、医薬上許容される媒体物質として、pH調整および緩衝剤、張力調整剤、湿潤剤など、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、モノラウリン酸ソルビタンおよびオレイン酸トリエタノールアミンなどを含有し得る。
医薬組成物は、場合により、宿主の免疫応答を増強するためにアジュバントを含み得る。適したアジュバントとして、例えば、toll様受容体アゴニスト、ミョウバン、AlPO4、アルハイドロゲル、脂質Aおよびその誘導体または変異体、オイルエマルジョン、サポニン、中性リポソーム、ワクチンおよびサイトカインを含有するリポソーム、非イオン性ブロックコポリマーならびにケモカインがある。当技術分野で周知の多数のその他の適したアジュバントの中で、POE-POP-POEブロックコポリマーなどの、ポリオキシエチレン(POE)およびポリオキシプロピレン(POP)を含有する非イオン性ブロックポリマー、MPL(商標)(3-O-脱アシル化モノホスホリル脂質A;Corixa、Hamilton、IN)ならびにIL-12(Genetics Institute、Cambridge、MA)を、アジュバントとして使用できる(Newmanら、1998、Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems 15:89~142)。これらのアジュバントは、非特異的な方法で免疫系を刺激し、従って、医薬製剤に対する免疫応答を増強するのに役立つという点で利点を有する。
いくつかの実施形態では、組成物は、ある特定のRSVサブグループまたは株に由来するRSV Fエクトドメインをコードする組換えパラミクソウイルスおよびまた異なるRSVサブグループまたは株に由来するRSV Fエクトドメインをコードする組換えパラミクソウイルスを含み得る。例えば、組成物は、サブタイプAおよびサブタイプB RSVに由来する組換えRSV Fタンパク質を含む組換えパラミクソウイルスを含み得る。異なるベクターが混合物中にあり、同時に投与することができる、または別個に投与することができる。RSVの特定の株の間の交差保護の現象のために、第1の株に由来するRSV Fエクトドメインをコードするある種のパラミクソウイルスを用いる免疫処置は、同一または異なるサブグループのいくつかの異なる株に対して保護し得る。
いくつかの例では、組換えウイルスベクターまたはその組成物を、その他の病原体、特にその他の小児疾病を引き起こすものに対する保護応答を誘導するその他の医薬製剤(例えば、ワクチン)と組み合わせることが望ましいものであり得る。例えば、本明細書において記載されるような組換えパラミクソウイルスを含む組成物を、標的とされる年齢グループ(例えば、およそ1~6カ月齢の乳児)のための、予防接種諮問委員会(Advisory Committee on Immunization Practices)(ACIP;cdc.gov/vaccines/acip/index.html)によって推奨されるその他のワクチンと、同時に(通常、別個に)または逐次投与できる。これらのさらなるワクチンとして、それだけには限らないが、IN投与されるワクチンが挙げられる。そのようなものとして、本明細書に記載される組換えRSV Fタンパク質を含む組換えパラミクソウイルスは、例えば、B型肝炎(HepB)、ジフテリア、テタヌスおよび百日咳(DTaP)、肺炎球菌細菌(PCV)、b型インフルエンザ菌(Hib)、ポリオ、インフルエンザならびにロタウイルスに対するワクチンと同時にまたは逐次投与できる。
例えば、ワクチンなどの免疫原性組成物中で使用するための組換えパラミクソウイルスは、その減弱および免疫原性に基づいて選択される。これらのワクチン選択基準は、周知の方法に従って決定される。好ましくは、候補ウイルスは、安定な減弱表現型を有し、免疫処置された宿主において複製を示し、レシピエントにおいて免疫応答、好ましくは、保護的免疫応答の生成を効果的に誘発する。好ましくは、候補ウイルスは、免疫応答を刺激し、拡大し、例えば、異なるウイルス株またはサブグループに対する免疫応答を誘導し、および/または異なる免疫学的基礎(例えば、分泌対血清免疫グロブリン、細胞性免疫など)によって媒介される免疫応答を刺激する。
医薬組成物は、通常、有効量の開示されたパラミクソウイルスを含有し、従来技術によって調製できる。通常、免疫原性組成物の各用量中の組換えウイルスの量は、大きな有害な副作用を伴わずに免疫応答を誘導する量として選択される。いくつかの実施形態では、組成物を、対象において免疫応答を誘導するために、例えば、対象においてPIVおよび/またはRSV感染を防ぐために使用するための単位投与形で提供できる。単位投与形は、対象への投与のための適した単回の予め選択された投与量または2もしくはそれ以上の予め選択された単位投与量の適した著しい、もしくは測定された倍数および/または単位用量もしくはその倍数を投与するための計量機構を含有する。その他の実施形態では、組成物は、アジュバントをさらに含む。
V.免疫応答を誘発する方法
1種またはそれ以上の開示された組換えパラミクソウイルスを対象に投与することによって、対象において免疫応答を誘発する方法が本明細書において提供される。特定の例では、対象はヒトである。免疫応答は、保護的免疫応答、例えば、パラミクソウイルスまたは組換えパラミクソウイルス中に含まれる異種遺伝子のウイルスによるその後の感染を防ぐまたは低減する応答であり得る。免疫応答の誘発を使用して、ウイルス感染およびそれと関連している疾病を治療または阻害できる。いくつかの実施形態では、方法は、PIV Fタンパク質膜貫通(TM)ドメインおよび細胞質尾部と連結している組換えRSV Fエクトドメインをコードする異種遺伝子を含むウイルスゲノムを含む減弱された組換えパラインフルエンザウイルスを含む免疫原性組成物の投与を含む。
例えば、RSVおよび/またはPIVに対する曝露または曝露の可能性のために、RSVおよび/またはPIV感染などのパラミクソウイルス感染を有する、または発症するリスクにある対象が、治療のために選択される。開示された免疫原の投与後に、パラミクソウイルス感染もしくはそれと関連する症状または両方について対象をモニタリングできる。
対象への組換えパラミクソウイルスの鼻腔内投与の方法は、当業者に公知であり、投与のために対象を選択し、鼻腔内投与のための組換えパラミクソウイルスを含む免疫原性組成物を調製し、対象を組換えパラミクソウイルスに対する免疫応答について評価する方法も同様である。このような方法の例示的記載は、例えば、参照によりその全文が本明細書に組み込まれるKarronら、2012 Vaccine、30(26)、3975~3981に見出すことができる。
本開示の治療薬および方法を用いる治療が意図される通常の対象は、ヒトならびに非ヒト霊長類およびその他の動物を含む。ほぼすべてのヒトが、5歳までにRSVおよびPIVに感染するので、全出生コホートが免疫処置の関連集団として含まれる。これは、例えば、誕生から6カ月齢の、6カ月齢から5歳のいつでも、抗体の受動伝達によってその乳児を保護するために妊娠中の女性(または妊娠可能年齢の女性)、新生児またはまだ子宮内のものの家族の一員、50歳を超える対象において、免疫処置計画を開始することによって行うことができる。この開示の範囲は、母体免疫を含むものとする。いくつかの実施形態では、対象は、RSVまたはPIV3特異的抗体について血清陰性であるヒト対象である。さらなる実施形態では、対象は、6カ月齢未満、3カ月齢未満または1カ月齢未満などの1歳未満である。
重症な症状の(例えば、入院を必要とする)RSVおよび/またはPIV感染の最大リスクにある対象として、未熟児気管支肺異形成症を有する小児が挙げられ、先天性心疾患は、重症疾患に最もなりやすい。小児期および成人期の間に、疾患はより軽症になるが、下気道疾患を伴うことがあり、一般に、副鼻腔炎を合併する。入院している高齢者(例えば、65歳を超えるヒト)では、疾患重症度は増大する。重症疾患はまた、重症複合型免疫不全疾患を有する、または骨髄もしくは肺移植後の人において起こる。従って、これらの対象が、開示された組換えパラミクソウイルスの投与のために選択される。
本開示の方法に従う予防または治療のための対象を同定するために、許容されたスクリーニング方法を使用して、対象の、標的とされるもしくは疑われる疾患もしくは状態と関連するリスク因子を調べる、または既存の疾患もしくは状態の状態を調べる。これらのスクリーニング法として、例えば、標的とされるまたは疑われる疾患または状態と関連する可能性がある環境的、家族的、職業的およびその他のこのような因子を決定するための従来の後処理ならびにパラミクソウイルス感染を検出および/または特性決定するために当技術分野で利用可能であり、周知である、種々のELISAおよびその他のイムノアッセイ法などの診断方法が挙げられる。これらおよびその他の慣例の方法によって、臨床医が、本開示の方法および医薬組成物を使用する療法を必要とする患者を選択することが可能となる。これらの方法および原理に従って、組成物を、本明細書における教示または当業者に公知のその他の従来の方法に従って、独立予防または治療プログラムとして、またはその他の治療に対するフォローアップ、補助もしくは協調治療計画として投与できる。
開示された組換えパラミクソウイルスの投与は、予防または治療目的であり得る。予防的に提供する場合には、免疫原を、任意の症状に先立って、例えば、感染に先立って提供することができる。予防的投与は、任意のその後の感染を防ぐことまたは寛解させることができる免疫応答を誘発するように働く。いくつかの実施形態では、方法は、パラミクソウイルス感染に感染するリスクにある患者を選択することと、有効量の開示された組換えパラミクソウイルスを対象に投与することとを含み得る。組換えパラミクソウイルスを、パラミクソウイルスに対する予測される曝露の前に提供して、免疫応答を誘発して、ウイルスに対する曝露もしくは疑われる曝露後に、または感染の実際の開始後に、予測される重症度、感染および/または関連疾患症状の期間または程度を減弱することができる。いくつかの例では、本明細書に開示される方法を使用する治療は、対象の生存時間を延長する。
RSVおよびPIV抗原を含む開示される組換えパラミクソウイルスの、対象への投与は、対象が野生型RSVまたはPIVにその後感染する、または再感染する場合に、肺炎および細気管支炎などの重篤下気道疾患またはクループに対して保護的である免疫応答の生成を誘発することができる。天然循環型ウイルスが依然として、特に上気道において感染を引き起こすことが可能であるが、ワクチン接種の結果としての鼻炎の可能性は低減し、野生型ウイルスによるその後の感染による抵抗性のブーストの可能性がある。ワクチン接種後、in vitroおよびin vivoで相同(同一サブグループの)野生型ウイルスを中和可能である、検出可能なレベルの宿主によって生み出された血清および分泌抗体がある。多数の例では、宿主抗体はまた、異なる非ワクチンサブグループの野生型ウイルスも中和する。より高いレベルの、例えば、別のサブグループの異種株に対する交差保護を達成するために、RSVサブグループAおよびB両方の少なくとも1種の主たる株に由来するRSV Fタンパク質を含む組換えウイルスベクターを含む組成物を用いて対象にワクチン接種できる。
本明細書において開示される組換えウイルスベクターおよびその免疫原性組成物は、対象、好ましくは、ヒトにおいてウイルス中に含まれる抗原に対する免疫応答を誘導または増強するのに有効な量で対象に提供される。有効量は、所望の免疫応答をもたらすためにウイルスの何らかの成長および増殖を可能にするが、ウイルス関連症状または疾病をもたらさない。本明細書において提供される指針および当技術分野における知識に基づいて、当業者ならば、生ワクチンにおいて使用するためのウイルスの適切な量を容易に決定できる。正確な量は、いくつかの因子、例えば、対象の健康状態および体重、投与様式、ウイルスの減弱度、製剤の性質ならびに対象の免疫系が損なわれているか否かに応じて変わる。
1種またはそれ以上の開示された組換えパラミクソウイルスを含む免疫原性組成物は、協調(またはプライム-ブースト)ワクチン接種プロトコールまたはコンビナトリアル製剤において使用することができる。特定の実施形態では、新規コンビナトリアル免疫原性組成物および協調免疫処置プロトコールは、各々、RSVおよびPIVタンパク質に対する免疫応答などの抗ウイルス免疫応答の誘発に向けられた別個の免疫源または製剤を使用する。抗ウイルス免疫応答を誘発する別個の免疫原性組成物は、単一の免疫処置ステップで対象に投与される多価免疫原性組成物に組み合わせることができ、またはそれらを協調(またはプライム-ブースト)免疫処置プロトコールにおいて別個に(一価の免疫原性組成物で)投与することができる。
いくつかのブーストがあり得ることおよび各ブーストが、異なる開示された免疫原であり得ることが考慮される。いくつかの例では、ブーストは、別のブーストまたはプライムと同一免疫原であり得ることも考慮される。
開示された組換えパラミクソウイルスの投与の際、対象の免疫系は、通常、ウイルスタンパク質に特異的な抗体を製造することによって免疫原性組成物に応答する。このような応答は、免疫学的に有効な用量が対象に送達されたことを示す。
各個々の対象について、個体の必要性および免疫原性組成物を投与するか、またはその投与を監督する人物の専門的判断に従って、特定の投与計画を評価し、経時的に調整することができる。いくつかの実施形態では、対象の抗体応答は、有効投与量/免疫処置プロトコールの評価に関連して決定される。ほとんどの例では、対象から得られた血清または血漿中の抗体力価を評価することは十分となる。ブースター接種を施すか否かおよび/または個体に投与される治療薬の量を変更するか否かの決定は、少なくとも部分的に、抗体力価レベルに基づき得る。抗体力価レベルは、例えば、RSV Fタンパク質を含む抗原と結合する血清中の抗体の濃度を測定する、例えば、免疫結合アッセイに基づき得る。開示された免疫原の実際の投与量は、疾患徴候および対象の個々の状態(例えば、対象の年齢、大きさ、適応度、症状の程度、感受性因子など)、投与時間および経路、同時に投与されているその他の薬物または治療ならびに対象において所望の活性または生物学的応答を誘発するための組成物の特定の薬理学などの因子に従って変わる。投与計画は、最適予防または治療応答を提供するように調整することができる。
有効投与量の決定は、通常、動物モデル研究と、それに続くヒト臨床治験に基づき、対象における標的とされる疾患症状または状態の出現または重症度を大幅に低減する、または対象において所望の応答(中和免疫応答など)を誘発する投与プロトコールによって導かれる。これに関連して適したモデルとして、例えば、マウス、ラット、ブタ、ネコ、フェレット、非ヒト霊長類および当技術分野で公知のその他の承認された動物モデル対象が挙げられる。あるいは、有効投与量は、in vitroモデル(例えば、免疫学的および組織病理学的アッセイ)を使用して決定できる。このようなモデルを使用して、治療上有効な量の組成物(例えば、所望の免疫応答を誘発するのに、または標的とされる疾患の1種もしくはそれ以上の症状を軽減するのに有効である量)を投与するための適当な濃度および用量を決定するのに、通常の算出および調整しか必要ではない。代替実施形態では、組成物の有効量または有効用量は、治療または診断目的のいずれかで、本明細書において示されるような疾患または状態と相関している1種またはそれ以上の選択された生物学的活性を単純に阻害し、または増強し得る。一実施形態では、ウイルス投与の一般的な範囲は、ヒト対象あたり約104~約105PFUウイルスを含むヒト対象あたり約103~約107個のプラーク形成単位(PFU)またはより多くのウイルスである。
免疫応答を誘導して、感染を低減または防止する免疫原性組成物の投与は、感染が、例えば、薬剤の不在下で、または参照薬剤との比較において、少なくとも約50%、例えば、少なくとも約70%または約80%またはさらに約90%の感染が測定可能に減少される限り、このような感染を排除できるが、必ずしも完全にではない。治療と必要とするものとして、RSVおよび/またはPIVなどのパラミクソウイルスに感染している、またはその感染のリスクにある、一般集団および/または患者が挙げられる。
一例では、所望の応答は、RSVおよび/またはPIV感染または再感染を阻害するまたは低減するまたは防止することである。RSVおよび/またはPIV感染は、方法が有効であるために、完全に排除または低減または防止されることを必要としない。例えば、有効量の開示された組換えパラミクソウイルスの投与は、その後のRSVおよび/またはPIV感染を、所望の量だけ、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%またはさらに少なくとも100%低減できる(例えば、細胞の感染によって、またはRSVおよび/もしくはPIVによって感染した対象の数もしくはパーセンテージによって測定されるような)(適した対象と比較した、検出可能なRSVおよび/またはPIV感染の排除または防止)。
投与量および用量の数は、例えば、先のパラミクソウイルス感染または免疫処置によってプライムされた成人またはいずれかのものにおける設定に応じて変わり、単回用量が十分なブースターである場合もある。無感作対象では、いくつかの例では、少なくとも2用量、例えば、少なくとも3用量を施すことができる。いくつかの実施形態では、例えば、年1回のインフルエンザワクチン接種とともに、年1回のブーストを施す。
対象の免疫処置後、適当な時点で対象から血清を集め、凍結し、抗体力価のアッセイおよび/または中和試験のために保存することができる。抗体レベルの定量化は、サブタイプ特異的中和アッセイまたはELISAによって実施できる。中和活性をアッセイするための方法は、当業者に公知であり、本明細書においてさらに記載され、それだけには限らないが、プラーク減少中和(PRNT)アッセイ、マイクロ中和アッセイ、フローサイトメトリーベースのアッセイ、単一サイクル感染アッセイが挙げられる。いくつかの実施形態では、血清中和活性を、RSVまたはPIV偽ウイルスのパネルを使用してアッセイできる。血清サンプルにおいて、先に記載されるように(de Graafら、J.Virol Methods、143:169~174、2007)、PRVNアッセイによってウイルス-中和抗体力価を決定する。手短には、増強された緑色蛍光タンパク質を発現する、およそ50p.f.u.のNL/1/00またはNL/1/99を有する血清サンプルを希釈し、37℃で60分間インキュベートできる。続いて、ウイルス-血清混合物を、24ウェルプレート中のVero-118細胞に加え、37℃でインキュベートする。2時間後、上清を等量の感染培地および2%メチルセルロースの混合物によって置換する。6日後、Typhoon 9410 Variable Mode Imager(GE Healthcare)を使用して蛍光プラークをカウントする。抗体力価は、Reed & Muench、Am. J. Hyg.、27、493~497、1938の方法に従って算出された、プラーク数の50%低減をもたらす希釈として表されている。
さらなる実施形態:
項1.組換えパラミクソウイルスであって、(a)該パラミクソウイルスのFタンパク質の膜貫通ドメイン(TM)および細胞質尾部(CT)と連結している異種ウイルスのI型膜貫通タンパク質のエクトドメインをコードする異種遺伝子を含むウイルスゲノム;または(b)該パラミクソウイルスのHNタンパク質のTMおよびCTと連結している異種ウイルスのII型膜貫通タンパク質のエクトドメインをコードする異種遺伝子を含むウイルスゲノムとを含む、前記組換えパラミクソウイルス。
項2。組換えヒト/ウシパラインフルエンザウイルス3(B/HPIV3)、組換えヒトパラインフルエンザウイルス1(HPIV1)、組換えヒトパラインフルエンザウイルス2(HPIV2)、組換えヒトパラインフルエンザウイルス2(HPIV3)、組換えパラインフルエンザウイルス5(PIV5)、組換えセンダイウイルスまたは組換えニューカッスル病ウイルス(NDV)である、項1の組換えパラミクソウイルス。
項3。PIV Fタンパク質TMおよびCTと連結している組換え呼吸器合胞体ウイルス(RSV) Fエクトドメインをコードする異種遺伝子を含むウイルスゲノムを含む組換えパラインフルエンザウイルス(PIV);NDV Fタンパク質TMおよびCTと連結している組換えRSV Fエクトドメインをコードする異種遺伝子を含むウイルスゲノムを含む組換えNDV;またはセンダイウイルス Fタンパク質TMおよびCTと連結している組換えRSV Fエクトドメインをコードする異種遺伝子を含むウイルスゲノムを含む組換えセンダイウイルスを含む、項2の組換えパラミクソウイルス。
項4。PIV Fタンパク質TMおよびCTと連結している組換えRSV Fエクトドメインをコードする異種遺伝子を含むウイルスゲノムを含む組換えPIVを含む、項1~3のいずれかの組換えパラミクソウイルス。
項5。RSV Fエクトドメインは、ヒトRSV(hRSV)Fタンパク質に由来する、項4の組換えパラミクソウイルス。
項6。hRSV Fタンパク質は、サブタイプA hRSVまたはサブタイプB hRSVに由来する、項4または5の組換えパラミクソウイルス。
項7。RSV Fエクトドメインは、天然RSV Fタンパク質配列と比較して1つまたはそれ以上のアミノ酸置換によって、RSV F融合前コンホメーションにおいて安定化される、項4~6のいずれか1つの組換えパラミクソウイルス。
項8。RSV Fエクトドメインは、(a)66E;(b)101P;(c)155Cおよび290C;(d)190F;(e)207L;または(f)(a)および(b);(a)および(c);(a)および(d);(a)および(e);(a)、(d)および(e);(a)、(c)、(d)および(e);(a)、(b)および(c);(a)、(b)および(d);(a)、(b)および(e);(a)、(b)、(e)および(d);(a)、(b)、(c)、(d)および(e);(c)および(d);もしくは(c)および(e);もしくは(c)、(d)および(e)の組合せとして示されるアミノ酸を含み、ここで、アミノ酸番号付けは、配列番号1として示されるRSV Fタンパク質配列に対応する、項4~7のいずれか1つの組換えパラミクソウイルス。
項9。RSV Fエクトドメインは、(a)K66E;(b)Q101P;(c)S155CおよびS290C;(d)S190F;(e)V207L;または(f)(a)および(b);(a)および(c);(a)および(d);(a)および(e);(a)、(d)および(e);(a)、(c)、(d)および(e);(a)、(b)および(c);(a)、(b)および(d);(a)、(b)および(e);(a)、(b)、(e)および(d);(a)、(b)、(c)、(d)および(e);(c)および(d);もしくは(c)および(e);もしくは(c)、(d)および(e)の組合せとして示されるアミノ酸置換を含む、項8の組換えパラミクソウイルス。
項10。RSV Fエクトドメインは、66E、101P、155C、290C、190Fおよび207Lを含む、項8または9の組換えパラミクソウイルス。
項11。RSV Fエクトドメインは、配列番号1(WT RSV F A)、2(WT RSV F B)、12(A2 HEK)、14(A2 HEK+DS)もしくは21(A2 HEK+DS-Cav1)のうちの1つのRSV エクトドメインと少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む、または配列番号12、14もしくは21のRSVエクトドメインのアミノ酸配列を含む、項4~10のいずれか1つの組換えパラミクソウイルス。
項12。PIVは、組換えPIV1、組換えPIV2または組換えPIV3である、項4~11のいずれか1つの組換えパラミクソウイルス。
項13。組換えPIVは組換えPIV1であり、RSV Fエクトドメインと連結しているTMおよびCTは、PIV1 Fタンパク質に由来し;組換えPIVは組換えPIV2であり、RSV Fエクトドメインと連結しているTMおよびCTは、PIV2 Fタンパク質に由来し;または組換えPIVは組換えPIV3であり、RSV Fエクトドメインと連結しているTMおよびCTは、PIV3 Fタンパク質に由来する、項12の組換えパラミクソウイルス。
項14。組換えPIVは、組換えHPIV1であり、RSV Fエクトドメインと連結しているPIV F TMおよびCTは、HPIV1 Fタンパク質に由来し;組換えPIVは、組換えHPIV2であり、RSV Fエクトドメインと連結しているPIV F TMおよびCTは、HPIV2 Fタンパク質に由来し;組換えPIVは、組換えHPIV3であり、RSV Fエクトドメインと連結しているPIV F TMおよびCTは、HPIV3 Fタンパク質に由来し;または組換えPIVは、組換えB/HPIV3であり、RSV Fエクトドメインと連結しているPIV F TMおよびCTは、BPIV3 Fタンパク質に由来する、項12または13の組換えパラミクソウイルス。
項15。RSV Fエクトドメインは、hRSV Fタンパク質に由来し、TMおよびCTは、BPIV3 Fタンパク質に由来する、項4~14のいずれか1つの組換えパラミクソウイルス。
項16。組換えPIVは、組換えHPIV1であり、RSV Fエクトドメインと連結しているPIV F TMおよびCTは、配列番号31として示されるアミノ酸配列、または配列番号31と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み;組換えPIVは、組換えHPIV2であり、RSV Fエクトドメインと連結しているPIV F TMおよびCTは、配列番号39として示されるアミノ酸配列、または配列番号39と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み;組換えPIVは、組換えHPIV3であり、RSV Fエクトドメインと連結しているPIV F TMおよびCTは、配列番号46として示されるアミノ酸配列、または配列番号46と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み;または組換えPIVは、組換えB/HPIV3であり、RSV Fエクトドメインと連結しているPIV F TMおよびCTは、配列番号53として示されるアミノ酸配列、または配列番号53と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、項4~15のいずれか1つの組換えパラミクソウイルス。
項17。組換えPIVは、組換えHPIV3であり、異種遺伝子は、配列番号10として示されるアミノ酸配列もしくはそれと少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含むHPIV3 F TMおよびCTと連結しているhRSV Fエクトドメインをコードし;または組換えPIVは、組換えB/HPIV3であり、異種遺伝子は、配列番号21として示されるアミノ酸配列もしくはそれと少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含むBPIV3 F TMおよびCTと連結しているhRSV Fエクトドメインをコードする、項4~16のいずれか1つの組換えパラミクソウイルス。
項18。RSV Fエクトドメインは、hRSV Fタンパク質に由来し、組換えPIVは、HPIV3 FおよびHNタンパク質ならびにBPIV3 N、P、C、V、MおよびLタンパク質をコードするウイルスゲノムを含み、RSV Fエクトドメインと連結しているTMおよびCTは、BPIV3 Fタンパク質に由来し;組換えPIVは、HPIV1 N、P、C、M、F、HNおよびLタンパク質をコードするウイルスゲノムを含み、RSV Fエクトドメインと連結しているTMおよびCTは、HPIV1 Fタンパク質に由来し;組換えPIVは、HPIV2 N、P、V、M、F、HNおよびLタンパク質をコードするウイルスゲノムを含み、RSV Fエクトドメインと連結しているTMおよびCTは、HPIV2 Fタンパク質に由来し;または組換えPIVは、HPIV3 N、P、C、M、F、HNおよびLタンパク質をコードするウイルスゲノムを含み、RSV Fエクトドメインと連結しているTMおよびCTは、HPIV3 Fタンパク質に由来する、項4~17のいずれか1つの組換えパラミクソウイルス。
項19。PIV TMおよびCTと連結している組換えRSV Fエクトドメインは、PIVゲノムのゲノムプロモーターの下流の第1または第2の遺伝子によってコードされる、項4~18のいずれか1つの組換えパラミクソウイルス。
項20。ウイルスゲノムは、上流から下流に、PIVゲノムプロモーターと、それに続くN、P、C/V、M、F、HNおよびL遺伝子を含み;PIV TMおよびCTと連結している組換えRSV Fエクトドメインをコードする遺伝子は、ゲノムプロモーターとNタンパク質をコードする遺伝子との間またはNタンパク質をコードする遺伝子とPタンパク質をコードする遺伝子との間に位置する、項18または19の組換えパラミクソウイルス。
項21。それぞれ配列番号21、101、47、48、49、52として示されるアミノ酸配列またはそれと少なくとも90%同一の配列を含む、HPIV3 FおよびHN遺伝子ならびにBPIV3 N、P、C、V、MおよびL遺伝子をコードするウイルスゲノムを含む、項18~19のいずれか1つの組換えパラミクソウイルス。
項22。異種遺伝子は、ヒト細胞における発現のためにコドン最適化されている、先の項のいずれか1つの組換えパラミクソウイルス。
項23。組換えHPIV3であり、異種遺伝子は、HPIV3 F TMおよびCTと連結しているRSV Fエクトドメインをコードし、配列番号11(GenScript RSV F_HEK_DS-Cav1_H3TMCT)として示されるヌクレオチド配列を含み;または組換えB/HPIV3であり、異種遺伝子は、BPIV3 F TMおよびCTと連結しているRSV Fエクトドメインをコードし、配列番号22(GenArt RSV F_HEK_DS-Cav1_B3TMCT)もしくは配列番号23(GenScript RSV F_HEK_DS-Cav1_B3TMCT)として示されるヌクレオチド配列を含む、項22の組換えパラミクソウイルス。
項24。ウイルスゲノムのI型膜タンパク質のTMおよびCTと連結しているRSV Fエクトドメインをコードする異種遺伝子を含むウイルスゲノムを含む組換えウイルスベクター。
項25。RSV Fエクトドメインは、K66EおよびQ101Pアミノ酸置換を含む、項24のウイルスベクター。
項26。K66EおよびQ101Pアミノ酸置換を含むRSV Fエクトドメインをコードする異種遺伝子を含むウイルスゲノムを含む、組換えウイルスベクター。
項27。RSV Fタンパク質は、1つまたはそれ以上のアミノ酸置換によって融合前または融合後コンホメーションにおいて安定化されている、項24~26のいずれか1つのウイルスベクター。
項28。RSV Fエクトドメインは、S155C、S290C、S190FおよびV207Lアミノ酸置換によって融合前コンホメーションにおいて安定化されている、項24~27のいずれか1つのウイルスベクター。
項29。RSV Fエクトドメインは、可溶性であり、ウイルスベクターを含む宿主細胞から分泌される、項26~28のいずれか1つのウイルスベクター。
項30。組換えヒト/ウシパラインフルエンザウイルス3(B/HPIV3)、組換えヒトパラインフルエンザウイルス1(HPIV1)、組換えヒトパラインフルエンザウイルス1(HPIV2)、組換えヒトパラインフルエンザウイルス1(HPIV3)、組換えパラインフルエンザウイルス5(PIV5)、組換えセンダイウイルスまたは組換えニューカッスル病ウイルス(NDV)である、項24~29のいずれか1つのウイルスベクター。
項31。RSV Fエクトドメインは、ヒトRSV(hRSV)Fタンパク質に由来する、項24~30のいずれか1つのウイルスベクター。
項32。RSV Fタンパク質をコードする異種遺伝子は、配列番号18のヌクレオチド1~1587(GenScript最適化されたRSV F_A2_HEK_DS-Cav1_B3CT DNA配列によってコードされるエクトドメイン)として示される核酸配列を含む、項24~31のいずれか1つのウイルスベクター。
項33。組換えパラミクソウイルスまたはウイルスベクターに感染した宿主細胞によって製造されたウイルス粒子の少なくとも90%は、異種遺伝子によってコードされるエクトドメインを含むウイルスエンベロープを含む、先の項のいずれか1つの組換えパラミクソウイルスまたはウイルスベクター。
項34。減弱されている、先の項のいずれか1つの組換えパラミクソウイルスまたはウイルスベクター。
項35。先の項のいずれか1つの組換えパラミクソウイルスまたはウイルスベクターおよび医薬上許容される担体を含む免疫原性組成物。
項36。アジュバントをさらに含む、項35の免疫原性組成物。
項37。対象においてウイルスおよびそれによってコードされる異種抗原に対する免疫応答を誘発する方法であって、項35または項36の免疫原性組成物の治療上有効な量を対象に投与することを含む、前記方法。
項38。対象においてパラミクソウイルスおよびそれによってコードされる異種抗原に対する免疫応答を誘発する方法であって、項35または項36の免疫原性組成物の治療上有効な量を対象に投与することを含み、免疫原性組成物は、異種抗原をコードする異種遺伝子を含む組換えパラミクソウイルスを含む、前記方法。
項39。対象においてRSVおよびPIVに対する免疫応答を誘発する方法であって、項35または項36の免疫原性組成物の治療上有効な量を含む免疫原性組成物を対象に投与することを含み、免疫原性組成物は、RSV抗原をコードする異種遺伝子を含む組換えパラミクソウイルスを含む、前記方法。
項40。免疫応答は、保護的免疫応答である、項37~39のいずれか1つの方法。
項41。免疫原性組成物のプライム-ブースト投与を含む、項37~40のいずれか1つの方法。
項42。免疫原性組成物の鼻腔内または非経口投与を含む、項37~41のいずれか1つの方法。
項43。対象は、ヒトまたは獣医学的対象である、項37~42のいずれか1つの方法。
項44。対象は、RSVもしくはPIV感染のリスクにある、またはRSVもしくはPIV感染を有する、項37~43のいずれか1つの方法。
項45。対象は、1歳未満である、項37~44のいずれか1つの方法。
項46。項1~25のいずれか1つの組換えパラミクソウイルスのゲノムを含む核酸分子。
項47。K66EおよびQ101Pアミノ酸置換を含む、組換えRSV Fタンパク質またはその免疫原性断片。
項48。(a)S155CおよびS290C;(b)S190F;(c)V207L;または(f)(a)および(b);(a)および(c);(b)および(c);もしくは(a)、(b)および(c)の組合せをさらに含む、項47の組換えRSV Fタンパク質またはその免疫原性断片。
項49。RSV Fエクトドメインを含む、項47または項48の組換えRSV Fタンパク質の免疫原性断片。
項50。項47~49のいずれか1つの組換えRSV Fタンパク質をコードする核酸分子。
以下の実施例は、特定の実施形態の特定の特徴を例示するために示しているが、特許請求の範囲は、例証した特徴に限定すべきではない。
弱毒化されたパラインフルエンザウイルスベクターによって発現される呼吸器合胞体ウイルス(RSV)融合(F)糖タンパク質の改善された発現および免疫原性
本実施例は、初期継代ウイルス由来のRSV F配列を使用することによる組み換えB/HPIV3によって、コドン-最適化によって、安定かつ高度に免疫原性の融合前および融合後型のRSV Fによって、ならびにRSV Fタンパク質TMおよびCTを遺伝子操作することによって発現されたRSV Fの免疫原性および安定性を向上し、それによってこれがベクター粒子により効率的に組み込まれるようなアプローチを記載している。
序。投与された弱毒生RSV株は、RSVワクチンの1つのストラテジーに相当し、これらは現在、開発中である(Hurwitz.2011.Expert.Rev.Vaccines.10:1415~1433;Collins and Melero.2011.Virus Res.162:80~99;Karronら.2013.Current Topics Microbiology and Immunology 372:259~284)。弱毒生RSV株は通常は、鼻腔内(IN)経路によって投与される。しかし、弱毒は一般には、抗原合成の低下を生じ、これが免疫原性の低下を生じる。弱毒と免疫原性との間の適切なバランスを得ることは、RSVにとって困難であった。
完全な、感染性HPIVは、トランスフェクトされた細胞培養物中のクローニングされたcDNAから全体として生成される(逆遺伝学を使用する)。発現のために設計された外来遺伝子を、それがHPIV転写シグナル(遺伝子開始および遺伝子末端シグナルと呼ばれ、それぞれ各々の遺伝子の開始および終わりに位置する)に隣接され、逆遺伝学によってHPIVゲノム中に追加の遺伝子として挿入されるように改変する。次いで、外来遺伝子を、他のHPIV遺伝子のように、別のmRNAに転写する。HPIVは、いくつかの追加の外来遺伝子に適応して発現する場合がある(Skiadopoulosら.2002.Virology 297:136~152)。しかし、複数の遺伝子は、過度に弱毒化される場合があり、点突然変異を収集する場合がある(Skiadopoulosら.2002.Virology 297:136~152)。
HPIV転写は、ゲノムの3’末端で単一プロモーターで開始し、連続的に進行する。ポリメラーゼの画分は、各々の遺伝子接合部で鋳型から離れて、遺伝子転写の負の勾配が生じる。従って、プロモーター近位の遺伝子は、下流の遺伝子よりも高頻度に発現される。プロモーターに近い外来遺伝子の配置によって、発現が増大されるが、下流のベクター遺伝子の発現に影響する能力を有する。遺伝子開始もしくは遺伝子終止の転写シグナルの効率における相違、または時には存在するが理解が劣るRNA鋳型中の他の構造的特徴の効果などの他の特徴もまた、挿入された遺伝子またはオープンリーディングフレーム(ORF)の発現に予想外に影響し得る(Whelanら.2004.Current Topics Microbiology and Immunology 283:61~119)。さらに、いくつかの場合には、ウイルス構築物の特性は、まだ特定されていない因子によって大きく影響される;例えば、PIV3ベクターのP-M遺伝子接合部へのRSV F遺伝子の挿入は、実質的に温度感受性であって、かつ弱毒化されたウイルスを生じた(Liang Bら.2014.J Virol 88:4237~4250)。従って、HPIVゲノムからの発現の幅広い詳細は、一般的に公知であるが、特異的な構築物は、予測不能な結果を生じる場合がある。
以前の研究では、B/HPIV3ベクターをベクターとして使用して、RSV G遺伝子およびFタンパク質を、プロモーター後の第1および第2のゲノム位置で追加した遺伝子から発現するか、またはN遺伝子とP遺伝子との間の第2ゲノム位置における追加の遺伝子からRSV F遺伝子を発現した。後者のウイルス(MEDI-534と呼ばれる)を、血清陰性の小児での臨床研究で評価したところ、弱毒化し、十分耐容され、感染性であったが、期待よりはRSVに対して免疫原性が少なかった(Bernsteinら.2012.Pediatric Infectious Disease Journal 31:109~114)。ワクチンレシピエントから脱落したワクチンウイルスの解析によって、検体のうち約50%が、RSV F発現を摂動させることが予測される変異を有するワクチンウイルスを含むことが示された。これは、免疫原性を低下させる可能性が高い。臨床試験材料(CTM)のレトロスペクティブ解析によって、このウイルスの2.5%が、RSV Fを発現しないことが示された(Yangら.2013.Vaccine 31:2822~2827)。さらに、RSV Fインサートが、タンパク質レベルでその発現を不活性化した変異を蓄積したという観察、および増殖の間にこれらの変異が増幅されたという観察によって、RSV Fタンパク質の発現をサイレンシングする選択的な利点があることが示唆される。これは、合胞体形成を効率的に媒介する、RSV Fタンパク質の高度に融合性の性質に起因する可能性が高い。in vitroでは、これによって、細胞基質の破壊が生じ、これによってベクター複製が低下される。さらに、高レベルの外来糖タンパク質の合成は、小胞体およびエキソサイトーシス経路を通じたベクター糖タンパク質の合成、プロセシングおよび輸送を妨害する場合があり、とりわけ、ビリオン形態形成を立体的に妨害する場合がある。これらの効果は、in vitroおよびin vivoの両方で生じる場合がある。
初期継代(HEK)バージョンのRSV Fタンパク質およびコドン最適化されたバージョンのRSV Fオープンリーディングフレーム(ORF)の発現。ウイルス抗原の発現の増大は典型的には、免疫原性の向上をもたらした。ベクターの抗原をコードするORFのコドン最適化は、その発現を増大し、次にはその免疫原性を、例えば、ウイルスまたはDNAベクターから発現されたヒト免疫不全ウイルス抗原で示されたように向上する(Gaoら.2003.AIDS research and human retroviruses 19:817~823;Carneroら.2009.J Virol 83:584~597)。しかし、これらの配列変化は、翻訳の改善を超える効果、例えば、mRNAの安定性および輸送に対する効果を有する場合があり、そのため、mRNAのヌクレオチド配列を変更する効果は、複雑であり、かつ予測不能である場合がある。従って、RSV F配列のコドン最適化されたバージョンを、GeneArt(GA)アルゴリズムを使用して設計し、それがタンパク質発現を付与したか否かを決定するために評価した。
このコドン最適化ORFを設計するとき、1960年代からのRSV株A2の初期継代バージョンのアミノ酸配列は誤って使用された(Connorsら.1995.Virology 208:478~484;Whiteheadら.1998.J Virol 72:4467~4471)。1960年代由来のこの初期継代(または低継代)株は、その増殖に使用されたヒト胚腎臓(HEK)細胞培養後にHEKと呼ばれる。このHEKウイルスは、現在の高度に継代された実験室バージョンのRSV株A2とは、2つのアミノ酸アサインメントが異なった(Connorsら.1995.Virology 208:478~484;Whiteheadら.1998.J Virol 72:4467~4471)。HEKバージョンは、アサインメント66Eおよび101Pを有したが、高度に継代された実験室A2株は、アサインメント66Kおよび101Qを有した(以後、「非HEK」アサインメントと呼ぶ)(図1)。しかし、ウイルス株の間、または所定の株のストックの間の配列相違の出現は、RNAウイルスには、その変異速度を考慮すれば一般的であり、HEKの相違は以前には重要であることは知られていなかった。さらに、RSV NIHΔM2-2と呼ばれる弱毒化されたRSVワクチン中候補のHEKアサインメントの存在は、細胞培養中の複製の有効性におけるわずかな低下を伴っていた。さらに、66位置のHEKアサインメントは、RSV感染の間に合胞体形成に影響することが特定された。従って、複製の低下とのそれらの関連を考慮して、HEKアサインメントを回避することが意図された。しかし、HEKアサインメントを含むRSV Fのバージョンは、最初のコドン最適化に偶発的に使用されたので、平行なGA-最適化非HEKバージョンを構築して、2つのバージョンを比較した(図1)。2つのバージョンのRSV Fを、BPIV3遺伝子開始および遺伝子末端転写シグナルの制御下に置いて、rB/HPIV3ベクターの第2位置に挿入した(図1)。転写シグナルおよび挿入位置は、RSV Fを発現する全ての引き続くrB/HPIV3構築物で使用して、それによって全体を通じた直接比較を得た。
Vero細胞に、2つの異なるベクター(「HEK/GA-opt」および「非HEK/GA-opt」と呼ばれる)を感染させ、細胞溶解液を感染後48時間調製し、タンパク質を、変性性界面活性剤の存在下で、かつ還元条件または非還元条件下でゲル電気泳動に供した。別々のタンパク質を、ウエスタンブロッティングによって膜にトランスファーして、RSV Fに特異的な抗体を使用して解析した(図2)。これによって、HEKアサインメントの存在は、RSV Fタンパク質の発現における小さい(約2倍)が、一貫した増大を伴うことが示された(図2)。この知見の1つの非限定的な説明は、HEKアサインメントがFタンパク質安定性を増大したことが、タンパク質合成に対する効果がある場合があるが、ただし、HEKおよび非HEKバージョンのF ORFが、2つのコドンを除いて同一であったならば、可能性は少ないと思われる。さらに、非還元条件下で解析した場合、HEKアサインメントの存在は、RSV F三量体のゲル移動度の低下を伴っていた(図2)。これによって、これらのアサインメントは、Fタンパク質三量体構造を変更したことが示唆された。さらに著しいことに、RSV FのHEKバージョンの発現は、既に注記されたとおり、HEKバージョンがわずかに増大したレベルで発現された場合でさえ、非HEKバージョンと比較して合胞体形成の劇的な低下を伴った(図3)。このアッセイは、rB/HPIV3空ベクターによって感染された細胞で誘導される明白な合胞体の全般的な欠如を利用するが、ベクター由来のRSV Fタンパク質の発現は、RSV Fタンパク質の発現量と一般的に比例する合胞体形成を生じる。これによって、PIVベクターから発現されたRSV Fタンパク質の量および機能性のアッセイが得られる。HEKに関係するこれらの観察によって、HEKアサインメントは、RSV Fの合成/安定性、構造、および融合活性における相違と関連すること、ならびにこれらの効果が、任意の他のRSVタンパク質の非存在下で生じ、従って、異種ベクターからの発現に直接関連したことが示された。
HEKアサインメントは、1960年代からのRSV株A2の低継代ストックに由来するので、それらは、もとの臨床単離体の代表である可能性が高いが、非HEKアサインメントは、その後数十年にわたるin vitroの広範な継代の間に出現した。これによって、HEKバージョンのFの低融合性表現型が、もとの生物学的ウイルスをより代表することが示唆される。非HEKバージョンは、細胞培養における継代の間に選択された超融合性の改変体に相当し得る。RSV Fの高融合性バージョンは、ウイルスを不安定化し得るので、実際に好ましくない場合があるが、細胞単層における急速な増殖の実験室設定では選択され得る。GenBankデータベース中の臨床単離体からのRSV Fの226の配列を検査して、臨床単離体が通常HEKアサインメントを含むことを見出した。これは、循環中のRSVの代表であるこれらのアサインメントと一致する。いずれにしても、HEKアサインメントは、Fタンパク質発現の適度の増大をもたらし、低融合性であった形態のRSV Fをもたらした。合胞体形成における低下は、これが細胞病原性(そうでなければHPIVベクター複製、およびRSV Fインサートがサイレンシングされたベクターの好ましい選択を妨害し得る)を低下するので、有利である。従って、HEKアサインメントは、Fタンパク質のさらに天然でかつ臨床的に関連する形態に相当する三重の利点を有し、タンパク質発現の適度の増大をもたらし、RSV Fインサートをサイレンシングするための選択圧を低下する。
RSV F発現および免疫原性に対するコドン-最適化の効果もまた評価した。上記のHEK-含有およびGA-最適化バージョン(HEK/GA-opt)を、2つの他の異なるアルゴリズムによって作製された2つの他のコドン最適化RSV HEK F配列とともに使用した。多重最適化バージョンの評価は、費用および不便さを増大させ、有用であるとは示されなかったので、典型的な実施ではない。2つの他の供給源は、DNA2.0(D2)およびGenScript(GS)アルゴリズムであった;また比較のために含まれるのは、非HEK、非コドン-最適化バージョンであった(図4)。コドン最適化は、有意に向上されたRSV Fタンパク質合成を生じ、これは驚くべきことに、異なるバージョンに関しては大きさが異なった。最高の発現が、HEK-含有GenScript-最適化Fタンパク質(HEK/GS-opt)で観察され、これは、未改変のRSV F(非HEK/非opt)よりも10倍(Vero細胞)および16倍(LLC-MK2細胞)高かった(図5)。より効率的なORFを有する発現のレベルは、合胞体形成のレベルの漸増が、HEKアサイントメントの存在にもかかわらずF発現のレベルの増大と関連して証明されたほど高かったが、合胞体形成は、HEKアサイントメントの非存在下でさらにより早くかつさらに広範であったと推定される。
コドン対最適化はまた、以前に記載のアルゴリズムを使用して、Fタンパク質発現を増大する手段としても評価した(Colemanら.2008.Science 320:1784~1787)。コドン対最適化は、高い発現に関連するコドン対の頻度を増大する。しかし、これは、RSV Fの場合はなんら発現の増大を付与しなかった。
予想に反して、RSV F発現の10~16倍の増大、および合胞体形成における付随する増大は、細胞培養物中のベクター複製に有意な負の影響を有さなかった(図7)。高レベルのRSV F発現および合胞体形成は、既に注記されたように、任意の多数の工程でベクターを妨害すると予測され、この工程としては、ベクター糖タンパク質合成、プロセシング、エキソサイトーシス、ベクター粒子形成および細胞生存が挙げられるが、これは事実ではなかった。これは、特に驚くべきことであった。なぜなら、既に注記されたとおり、MEDI-534におけるRSV F遺伝子の発現をサイレンシングした蓄積および変異の増幅によって、RSV Fタンパク質の発現に対して実質的な選択圧があったことが示唆された。空ベクターと比較して、RSV Fインサートを有する全てのベクターを、適度に弱毒化した(図7)-おそらくゲノム長および遺伝子数の増大などの一般的な弱毒化効果を含む-ただし、お互いに対して同様の反応速度論で複製されて、空ベクターのピーク力価よりもわずかに低い高いピーク力価まで増殖した(図7)。ピーク力価のわずかな相違は、実験の変動に相当する可能性が高い。
in vivo複製では、rB/HPIV3ベクターの免疫原性および防御有効性を、ハムスターのモデルで評価した。ハムスターの群を、動物1匹あたり105個の組織培養感染用量(tissue-culture-infection-dose-50単位)(TCID50)という用量でrB/HPIV3ベクターを使用して鼻腔内免疫した。さらに、106プラーク形成単位(pfu)という用量で与えた野性型(wt)RSVを、RSV-特異的な免疫の誘導のための陽性対照として含んだ。wt RSV対照は、wt RSVが非弱毒化ウイルスであるという警告とともに含まれたが、このベクターは弱毒化されて、その理由のために比較的免疫原性が低い場合があった。1日あたり1ウイルスあたり6匹の動物を感染後3日目および5日目に安楽死させて、鼻甲介および肺をウイルス滴定のために収集して、複製をin vivoで測定した。これによって、RSV Fインサートを保有するベクターは、空ベクターと比較して鼻甲介(上気道)で適度に弱毒化され、実質的には肺(下気道)で弱毒化されることが示された(図8)。空ベクターと比較した弱毒化の増大は、ウイルス脱落に関するより低い値によって証明された。これはまた、3日目および5日目の力価の比較によって証明された:空ベクターに関しては、3日目および5日目の力価は匹敵したが、RSV Fを保有するベクターに関しては、3日目の力価は、5日の力価よりも低く、これによって、これらの構築物が、その最大力価を達成するのにより長くかかることが示された。驚くべきことに、RSV Fインサートを有するベクターの中でも、RSV F発現が増大しているベクターは、より低いRSV F発現を有するもの、すなわち、非HEK/非optよりも弱毒化されていなかった。従って、rB/HPIV3ベクターへのRSV Fインサートの追加は、in vivoで弱毒化されていた(おそらく、ゲノム長さまたは遺伝子数の増大などのいくつかの一般的な特徴に起因して)ただし、これは、RSV Fタンパク質の合成のレベルよりも実質的に影響されると思われなかった。
ベクターの免疫原性は、標準的なアッセイである、モルモット補体を補充した60%プラーク減少アッセイによってRSV中和抗体の血清力価を測定することによって評価した。RSV Fを発現する全てのベクターは、HEKアサインメントまたはコドン-最適化にかかわらず、同様に高い力価のRSV-中和血清抗体を誘導した(図9)。漸増するRSV F発現と関連した中和力価のわずかな進行性の増大があったが、その相違は、統計学的に有意ではなかった。対照と並行して感染させられたwT RSVは、ベクターよりも有意に高い力価のRSV-中和抗体を誘導した。しかし、RSV感染によって誘導された中和抗体は、FおよびG中和抗原の両方からの寄与を含んだが、このベクターは、中和力価に寄与するF特異的抗体のみを有したことに注目することが重要である。さらに、弱毒化されなかったwt RSV対照は、弱毒化されたベクターよりも、特に肺で(図8)、効率的に複製し、これは、その免疫原性をベクターの免疫原性と比較して増大した。
これらのベクターの防御有効性を評価するために、図9の実験由来の、6匹の動物の群の免疫されたハムスターに、動物1匹あたり106pfuのwt RSVでの鼻腔内感染で免疫30日後にチャレンジした。鼻甲介および肺を、チャレンジ後3日目で安楽死させた動物から収集して、組織ホモジネートを調製して、プラークアッセイによって評価して、チャレンジRSV複製のレベルを測定した。RSV Fを発現するベクターは、肺ではほぼ完全な防御をもたらし、鼻甲介では中間レベルの防御をもたらしたが、wt RSVは両方の解剖学的部位でほぼ完全な防御をもたらした(図10)。RSVチャレンジに対する防御有効性においてRSV Fを発現するベクターの間で有意な相違はなかった。RSVによってもたらされる防御は、Fタンパク質およびGタンパク質の両方に対する中和抗体、ならびに潜在的に全てのRSVタンパク質に対する細胞免疫からの寄与を含むが、ベクターによってもたらされる防御は、Fタンパク質のみに対する体液性免疫および細胞性免疫を含むことに注意すべきである。さらに、注記したとおり、RSVの対照は、特に肺では、その免疫原性および防除効率を増大する、免疫の間にベクターよりも高い力価まで複製した、弱毒化されていないwtウイルスであった(図8)。
これらの結果、HEKアサインメントおよびコドン最適化配列の使用から生じるRSV Fタンパク質発現の発現における10~16倍の増大は、RSV中和血清抗体の誘導における有意な増大(増大に向かう傾向は観察されたが)も、wt RSVチャレンジに対する防御における有意な増大も生じなかったことが示された。対照的に、ヒト免疫不全ウイルス抗原の発現における同様のレベルの増大は、異なる動物モデルでは他のウイルスベクターおよびDNAワクチンでの防御の向上を生じた(Gaoら.2003.AIDS research and human retrovirus 19:817~823;Carneroら.2009.J Virol 83:584~597)。以前には、rB/HPIV3ベクターでの位置1または2対6での挿入に起因する、RSV Fの発現における30~69倍の相違が、ハムスターでの防御有効性における有意な相違を誘導したことも観察されている(Liang Bら.2014.J Virol 88:4237~4250)。従って、抗原合成の増大は、免疫原性の増大を付与すると一般に考えられる。しかし、いくつかの場合には、この効果は、疑いなく検出されるほど十分に大きくない場合があり、また所定のin vivoモデルは、十分に感受性ではない場合もあるようである。従って、本研究における10~16倍の相違は、半許容的なハムスターモデルでは統計学的に有意であるのに十分な大きさの効果を誘導するには十分でない場合がある。より高いRSV F発現の有益な効果は、他の特徴と組み合わせて、または許容的なホスト、すなわち霊長類およびヒトでは、前臨床および臨床評価でのより大きいサンプルサイズで、さらに顕著である場合がある。具体的には、この研究で観察されたFタンパク質発現の10~16倍の増大は、Vero(アフリカミドリザル)またはLLC-MK2(アカゲザル)の細胞におけるものであり、ここではヒト使用のためのコドン-最適化は、ヒトに対するこれらの霊長類の比較的近い系統発生学上の関連性を考えれば、有効である可能性が高い。対照的に、in vivoの免疫原性アッセイは、ハムスターを使用し、ここではヒト使用のためのコドン最適化は、発現の増大、およびそれによる免疫原性に有効ではない場合もある。
rB/HPIV3ベクターによって発現されたRSV Fの融合前および融合後型の免疫原性の評価。全てのパラミクソウイルスFタンパク質と同様、RSV Fタンパク質は最初に、感染した細胞の表面上に最初に蓄積して、ビリオン中に組み込まれるバージョンである融合前コンホメーションにアセンブルする。融合前Fは、例えば、隣接する標的細胞膜との接触によって誘発されて、膜融合を媒介する大量のコンホメーション変化を受け、Fタンパク質は、融合後コンホメーションで終わっている(Calderら.2000.Virology 271:122~131;McLellanら.2013.Science 340:1113~1117;McLellanら.2011.J Virol 85:7788-7796;Swansonら.2011.Proc.Nat’l Acad.Sci.U.S.A.108:9619~9624)。RSV Fタンパク質は、誘発に対して極めて感受性であることがパラミクソウイルスの間で顕著であり、成熟前に容易に誘発され、これは、RSV感染性の顕著な不安定性に寄与し得る。感染した細胞中で蓄積するRSV Fタンパク質の多くがコンホメーション的には異種であり、これは、ウイルス中和抗体の誘導を減らすためのデコイとして機能し得ることも証明されている(Sakuraiら.1999.J Virol 73:2956~2962)。従って、これは、安定化されたコンホメーションでRSV Fを発現するための2つ以上の理由で利点である。
近年では、RSV Fの安定な融合後型が記載されている(McLellanら.2011.J Virol 85:7788~7796;Swansonら.2011.Proc.Nat’l Acad.Sci.U.S.A.108:9619~9624)。この安定な融合後型は、疎水性融合ペプチドの短縮、ならびにC末端膜貫通ドメイン(TM)および細胞質尾部(CT)の除去によって組み換え的に生成された(Ruiz-Arguelloら.2004.J General Virology 85:3677-3687)。TMおよびCTを欠くことで、この融合後型は、膜固定されず、分泌されるであろう。RSV Fの融合後型は、免疫原性であって防御的であることがマウスで示されている(Swansonら.2011.Proc.Nat’l Acad.Sci.U.S.A.108:9619~9624)。
しかし、RSV Fの融合前型は、融合後型よりもかなり免疫原性であると考えられる(McLellanら.2013.Science 340:1113~1117)。これは、回復期にある動物およびヒトの血清における中和活性の大部分が融合後Fタンパク質に結合せず、おそらく融合前型に特異的である抗体によってもたらされたという観察に基づく(McLellanら.2013.Science 340:1113~1117;Magroら.2012.Proc Nat’l Acad.Sci.U.S.A.109:3089~3094)。近年では、RSV Fの融合前型の構造は、決定され、構造ベースの変異を通じてこの融合前コンホメーションを安定化することが可能になる:これらの1つは、ジスルフィド結合(DS)の導入を含み、別に、三量体構造(Cav1)における予測の腔におけるアミノ酸置換を含み、これらの組み合わせは、DS-Cav1と呼ばれる(McLellanら.2013.Science 342:592~598)。組み換えのDSおよびDS-Cav1型のRSV Fタンパク質を、マウスおよびサルでのサブユニットワクチンとして評価し、融合後型よりも有意に高いレベルのRSV中和血清抗体を誘導することが示された(DS-Cav1型は、DS型よりも免疫原性である)(McLellanら.2013.Science 342:592~598)。
弱毒生rB/HPIV3ベクターから発現された場合RSV Fの融合後型および融合前型の免疫原性を評価した。融合後型および安定化された融合前型(DSおよびDS-Cav1)のRSV F(HEKアサインメントを伴う)を、GAコドン最適化して、rB/HPIV3ベクターの第2ゲノム位置に挿入した(図11)。これらを、HEK/GA-optと、およびHEK-含有のバージョン、GA-最適化Fタンパク質(これからCTおよびTMが欠失され、エクトドメイン(Ecto)を残した)と比較した(図11)。これらの構築物をまた、非HEK/非opt構築物とも比較した。
GA-最適化F ORFを、図11およびその後の実験に示すデータで使用した。GS最適化合物ORFを有する並行構築物を、ある場合には構築した(図35を参照のこと)が、まだ評価すべきである。GS-最適化ORFの優れた発現を考慮すれば(図35)、GS-最適化バージョンは、さらに免疫原性であって、かつ防御性である場合もある。また、識別子「HEK」および「GA-opt」は時には、図11およびその後の図で、ならびにその後のテキストでは、簡略にするために構築物名から省かれるが、これらの特徴の存在は、図では示されている(すなわち、「RSV Fの全ての上記のバージョンは、HEK、GA-最適化」である、図11)。
これらの種々の形態のRSV Fを有するベクターをレスキューして、各々を高い同様の力価までin vitroで増殖した(図12)。これらは、一般には、増殖の反応速度論に関してわずかに弱毒化され、空のrB/HPIV3ベクターと比較した最終の収率は、他のベクター構築物について以前に注記されたとおりであった(図7を参照のこと)。
種々の形態のRSV Fタンパク質の発現の有効性を、種々の構築物で感染させたVero細胞およびLLC-MK2細胞で評価した(図13AおよびB)。感染させた細胞培養を、感染後48時間で回収して、ウエスタンブロッティングによって解析した。天然型のRSV F(すなわち、HEK/GA-opt)は、予想どおり細胞会合していた。融合後型およびEcto型は、分泌されること、同様に細胞会合されることが見出された。融合後Fの分泌は、一貫してEcto型のものよりも効率的であった:Ecto型は、高い含量の疎水性配列を含むので、より多くが細胞会合のまま残る場合がある。予期せぬことに、DSおよびDS-Cav1型のFは、より効率的に発現された(図13B)。これらのウイルスは、同様の反応速度論を繰り返したので、そしてORFは、同様にGA最適化されたので、発現のこの増大は、DSおよびDS-Cav1型のタンパク質安定性の増大を反映した可能性が高い。タンパク質の遺伝子操作は、糖タンパク質の発現、プロセシングおよび安定性に、そしてしばしばネガティブな方式で実質的に影響し得、そのためこの生ベクターによるDSおよびDS-Cav1の効果的な発現は、容易に予測できなかった本質的な特性であった。
in vivoでのこれらのベクターの複製をハムスターで評価した(図14)。鼻甲介では、RSV Fインサートを有する全てのベクターは、空ベクターよりも適度に弱毒化された(図14A)。空ベクターと比較した弱毒化の増大は、ウイルス脱落についての値が低いことによって証明された。これはまた、3日目および5日目の力価の比較によって証明された:空ベクターに関しては、これらの値は匹敵したが、RSV Fを保有しているベクターに関しては、5日目の力価は、3日目の力価よりも高く、このことは、これらの構築物が、その最大力価に達するのにより長くかかることを示している。融合後Fを有するベクターは、他の形態のFを有するベクターよりも高い力価まで複製したが、融合前F(DS)を有するベクターは、低い力価まで複製し、これは、実験の変動に相当する場合があるか、またはベクター複製に対する公正な不同性の効果に相当する場合がある。肺では、RSV Fインサートを有する全てのベクターは、空ベクターよりも実質的にさらに弱毒化された(図14B)。鼻甲介と一致して、融合後Fを有するベクターはまた、肺における他のベクターよりもいくぶん高くまで複製したが、融合前(DS)バージョンを発現するベクターは、いくぶんかさらに弱毒化されたと思われた。完全にwtウイルスであるRSV対照は、RSV Fを発現する弱毒化されたrB/HPIV3ベクターよりも効率的に複製された;例えば、wt RSVは、それぞれ鼻甲介および肺で、融合前(DS)Fを発現するベクターよりも100倍および1000倍高い力価まで複製した。RSV-中和血清抗体力価は、60%プラーク減少アッセイによって決定した。これは2つの方法で行った:(i)追加した補体の存在下で(これは、図9に既に示されるように有用な手法である)、および(ii)補体の追加なしで(それぞれ、図15AおよびB)。追加した補体が存在することで、ウイルス-特異的な抗体の最も鋭敏な検出が得られる。なぜなら、補体は潜在的に、ビリオンに結合する全ての抗体にウイルス溶解能力を付与し、また立体的な効果を発揮し得るからである(Yoderら 2004 J Med Virol 72:688~694)。対照的に、補体依存性の中和アッセイは、補体タンパク質のウイルス溶解機能または立体効果に関与することなく、RSVを中和できる高い質の中和抗体のみを検出する。「補体なしで行う中和アッセイは、呼吸器官の生理学的条件を最も反映し得る」ことが示唆されている(Yoderら 2004 J Med Virol 72:688~694)。補体含有アッセイ(図15A)では、融合後Fを有するベクターは、これがハムスターにおいて最高の力価まで複製された場合でさえ、ベクターの中でも免疫原性が劣っていた;一方、融合前(DS)Fを有するベクターは、これが最も弱毒化された場合でさえ、試験したベクターの中でも最も免疫原性であった。補体依存性のアッセイでは(図15B)、ベクターの間で、融合前(DS)Fを発現するベクターのみが、高い力価の中和抗体を誘導した。未改変の融合後またはEctoFを有する他のベクターで、高い質の中和抗体を誘導するのに効果的であったものはなかった。wt RSV対照は、補体含有および補体依存性のアッセイの両方で中和された抗体を誘導するのに効果的であった。著しいことに、融合前(DS)Fを有するベクターは、高品質のRSV中和抗体を誘導するのにおいてwt RSVと統計学的に同様であった(図15B)。これは、注目すべきである。なぜならこの弱毒化されたベクターは、弱毒化されていないwt RSVよりも100~1000倍少ない効率で複製し、wt RSVによって付与された中和活性は、RSV Gタンパク質からの寄与の追加があった。これによって、RSV Fの融合前(DS)型を発現するベクターは、極めて有効な中和抗体を誘導するのに極めて強力であって、免疫原性が高かったことが示唆される。
これらのベクターの防御有効性を評価するために、図15の実験由来の免疫されたハムスターを、動物1匹あたり106pfuのwt RSVを使用した鼻腔内感染によって免疫後30日チャレンジした。その動物を感染の3日後に屠殺して、鼻甲介および肺を、回収してプラーク滴定によってアッセイした組織ホモジネートに処理した(図16)。鼻甲介では(図16A)、非HEK/非opt F、またはHEK/GA-opt、またはEcto Fを発現する構築物は、適度なレベルの防御をもたらしたが、融合後Fおよび特に融合前(DS)Fは、いくぶんかさらに防御的であった。肺では(図16B)、全てのベクター構築物が、RSVチャレンジに対して、もたらす防御が最低であった融合後型を除いて、実質的な防御を提供した(図16B)。wt RSV対照は、鼻甲介ではほぼ完全に近い防御を、および肺では完全な防御を提供した;しかし既に注記されたとおり、wt RSVは、細胞免疫の潜在的な抗原として全てのRSVタンパク質を発現することおよび最大1000倍、より効率的に複製することに加えて、FおよびG中和抗原の両方を発現するという利点を有した(図14)。
DS構築物に対するCav-1変異の追加によって、サブユニットワクチンとして免疫原性の増大がもたらされ(McLellanら.2013.Science 342:592~598)、これは、ウイルスベクターから発現された融合前RSV Fの免疫原性をさらに増強することが予測される。また、RSV FのDSおよびDS-Cav1型は、発現に最大の増大を提供した、GS最適化の状況で免疫原性および防御効率に関してはまだ評価することが残っている(図5および図6)。これらのさらなる構築物が構築されて、回収され、作業用プールとして調製された(図35)。
rB/HPIV3ベクターのビリオン粒子への組み込みを容易にすることによってRSV Fタンパク質の免疫原性を強化する。ウイルス様粒子(VLP)またはアデノ随伴ウイルス粒子への抗原の組み込みは、それらの免疫原性を増大することが示されている(Rybnikerら.2012.J Virol 86:13800~13804;McGinnesら.2011.J Virol 85:366~377)。しかし、感染性ウイルスのウイルスエンベロープへの異種抗原の組み込みがその免疫原性を増強し得るか否かは不明であった。rB/HPIV3によって発現された場合、天然のRSV Fタンパク質(すなわち、HEK/GA-opt)をごく微量のベクター粒子に組み込む(下を参照のこと)。
Zimmerら(Zimmerら J Virol 2005 79:10467~77)による以前の研究では、HPIV1のマウス関連であり、またHPIV3に密接に関連する、センダイウイルスに追加された遺伝子からのRSV Fタンパク質の発現を評価した。その研究によって、rB/HPIV3と同様、極めて小さいRSV Fタンパク質がセンダイウイルスベクター粒子に組み込まれたことが示された。研究者らは、CTまたはCTプラスTMのRSV Fタンパク質を、センダイFタンパク質由来の対応する配列によって、これがベクター粒子との外来RSV Fタンパク質の相互作用の有効性を改善するという前提で、置き換えた。これらの改変は、センダイ粒子への遺伝子操作されたRSV Fの組み込みを実際に増大したが、ただしセンダイFタンパク質遺伝子が欠失された場合のみであった。ベクターFタンパク質を欠失するためのその要件は、本研究では望ましくない。なぜなら、rB/HPIV3からベクターFタンパク質を欠くことは、特にin vivoでその複製特性を実質的に変更する能力を有し、またHPIV3防御的抗原の1つも除去する。
このストラテジーが適切ではないであろうことを示すこの明らかな先例にもかかわらず、RSV Fタンパク質がベクター(PIV)Fタンパク質のもので置き換えられたCTまたはCTプラスTMを有したrB/HPIV3構築物を作製した(これによって、それぞれ、B3CTおよびB3TMCTと呼ばれる構築物が生じた、図17)。rB/HPIV3由来のTMおよびCT領域は、それぞれ21アミノ酸および26アミノ酸の長さであった。本研究の構築物は、天然のFタンパク質中にHEKアサインメントおよびGA最適化を含んだFタンパク質のバージョン(HEK/GA-opt)で、およびまた融合前DSおよびDS-Cav1型でも行った(図17)。(GA-最適化F ORFを使用した)。全てのキメラF遺伝子を、上記の構築物との直接比較のためにrB/HPIV3の第2位置に挿入した。
全てのウイルスは、逆遺伝学によって容易に回復した。RSV Fのパッケージング効率およびその改変された誘導体を定量するために、スクロース精製したウイルスを、ウエスタンブロット解析のために調製して、粒子中のRSV Fの量を決定した(図18)。等量の各々のスクロース精製ストック(1サンプルあたり0.5ugのタンパク質)を、変性、還元ゲル電気泳動に供して、ウエスタンブロッティングによって解析した。これによって、非キメラ Fタンパク質(HEK/GA-opt由来)は、rB/HPIV3ビリオン中に比較的劣った組み込みを有したことが示された(図18、レーン2)。しかし、B3CTおよびB3TMCT改変は、組み込み効率を19~20倍まで劇的に向上した(図18、レーン3および4)。実際、等しいタンパク質量のwt RSVビリオンと比較した場合(図18、レーン5)、ベクター粒子中の組み込まれたB3CTおよびB3TMCT Fタンパク質の量は、RSV粒子中の天然のFの量に等しいと思われた。同様に、パッケージングの有効性の向上はまた、B3CTまたはB3TMCTとのRSV Fのキメラの融合前(DS)型についても観察された(図18、レーン6および7)。従って、rB/HPIV3ベクターへのRSV F B3CTおよびB3TMCTの効率的なパッケージングは、ベクターFタンパク質の欠失を必要とせず、従って、センダイの前例とは劇的に異なった。
RSV Fのパッケージングはまた、RSV-特異的な抗体および免疫-金標識を使用した透過電子顕微鏡(TEM)で検査した(図19A~F)。RSV粒子の表面上のRSV Fスパイクを標識した(図19A)が、標識は空のrB/HPIV3ベクターの表面では観察できなかった(図19B)。天然のRSV Fの極めて限られた標識を、極めてわずかな天然のFが、ウエスタンブロット解析によって、精製されたrB/HPIV3ビリオン中で検出されたことを示す図18の結果と一致して、ベクターエンベロープ中で検出した(図19C)。対照的に、B3CTまたはB3TMCTとのキメラFを発現するベクターは、標識の増強を示し(図19Dおよび図19E)ており、これはベクターエンベロープへのこれらのキメラ型の効率的なパッケージングを示す。同様に、B3TMCTとの融合前(DS)RSV Fはまた、ベクター粒子へ効率的にパッケージングされた(図19F)。これによって、B3CTおよびB3TMCT改変が、rB/HPIV3粒子へのRSV Fの組み込みの劇的な増大を生じたことが確認された。さらに、これによって、組み込まれたRSV Fタンパク質が、真正のRSV粒子のものと外見的に同様の免疫学的に活性な表面スパイクで存在したことが示された。さらに、安定化された融合前DS Fタンパク質がまたビリオン表面で効率的に出現した。
ベクター粒子へのRSV F B3CTおよびB3TMCTのパッケージングの高い効率によって、これがベクター複製を減弱する可能性が惹起された。なぜなら、ビリオン表面は、効率性のために組織化されて、表面タンパク質についてのその能力が限られており、その結果表面タンパク質の組成物中の変化が減弱されると一般には仮定されるためであり、特に、改変されたB3CTおよびB3TMCT RSV Fタンパク質は、内部ビリオンタンパク質と相互作用すると考えられるベクターのFタンパク質のCTまたはTMCT領域を含んだからである。例えば、ベクターエンベロープ中へのRSV Fの効率的な組み込みが、ベクターHNおよびF糖タンパク質を置き代える場合があり、またはベクター成分の間の相互作用を妨害する場合もある(例えば、ビリオンアセンブリの間のベクターFおよびHN糖タンパク質と内部Mタンパク質との間、またはウイルス進入を効率的に開始するように相互作用しなければならないベクターFとHNタンパク質との間)。驚くべきことに、RSV F B3CTおよびB3TMCTを保有する全てのベクターは、in vitroで高い力価まで効率的に複製し、この高い力価はTMおよびCTに対して改変されていないRSV Fタンパク質を有するベクターのものとは識別可能であることが見出された(HEK/GA-opt、図20)。従って、ベクター粒子へのRSV Fの組み込み増大に起因した、低下の証拠はin vitroでの複製ではなんらなかった。in vitroでの効率的なベクター複製は、効率的なワクチン製造および臨床評価に必須であるので、このことは重要である。組み込みの高い有効性は、RSV Fの発現をサイレンシングする変異について強力な選択圧を課すことはないことも示唆される。
rB/HPIV3ベクターによるRSV Fのキメラ型の細胞内発現は、ウエスタンブロットによって試験した。これは、感染48時間後に回収したVero細胞で評価した(図21)。興味深いことに、B3CTおよびB3TMCTバージョンのFは、両方とも効率的に発現され、実際、天然のF(すなわち、HEK/GA-opt)よりもわずかに効率的に発現されるようであった(図21A)。さらに、DSまたはDS-Cav1改変は、前に注記されたとおり(図13B)、発現をさらに増大する(図21B)ようであった。これらの効果は、相加的であるようであった、なぜならB3CTまたはB3TMCTを有するDSまたはDS-Cav1構築物は、DSまたはDS-Cav1単独を有するものよりもさらに効率的に発現されたからである。この発現増大は、ワクチン目的には有利であり得る。なぜなら発現増大によって高レベルの抗原が得られるからである。注記したとおり、タンパク質遺伝子操作およびドメインスワッピングは、糖タンパク質の発現、プロセシングおよび安定性に負に影響する能力を有し、そのためこの生ベクターによって、DS、DS-Cav1、B3CT、およびB3TMCT改変を有するこれらの糖タンパク質の効率的な発現は、容易には予測されなかった特性であった。
これらの構築物がVero細胞で合胞体形成を誘導する能力をアッセイした。予期せぬことに、B3CT置換を保有するRSV Fは、超融合性の表現型を示し、一方で、B3TMCT置換を保有するものは、低融合性である天然のF(例えば、HEK/GA-opt)に似ていた(図22;また図3も参照のこと)。インキュベーションの延長の際、B3TMCTは、細胞単層中で合胞体形成を誘導し、これはやはり機能的であって、コンホメーション的にインタクトであったことが示される。これらの知見によって、B3CTおよびB3TMCT構築物の間で、B3TMCT構築物の方が、広範な合胞体形成および得られた細胞病理学が、細胞基質を成熟前に破壊することによってin vitroでおよびin vivoでベクター産生を低下し得、また成熟前の誘発に起因して感染性の安定性を妨害し得るおかげで好ましいことが示唆された。細胞単層中で合胞体を誘導した融合前DS型はなかった。これは全く予期せぬことではなかった。なぜなら、融合前Fタンパク質の安定化バージョンは、融合を媒介するのに必要な大きなコンホメーション変化を受ける能力が低いはずであるからである。これらの知見によって、融合前DS型のRSV Fが実際に、ベクター感染細胞の状況では実質的に安定化されたことが示唆される。
B3CTおよびB3TMCT RSV F構築物を発現するベクターの複製を、ハムスターで鼻腔内感染によって検査した(図23)。非HEK非最適化(非HEK/非opt)であったF、またはHEKおよびGA-最適化(HEK/GA-opt)であったFを有するベクターを、空のrB/HPIV3ベクターと比較して鼻甲介中で幾分かさらに弱毒化し、これによってインサートの弱毒化効果を図示する。空ベクターと比較した弱毒化の増大は、ウイルス脱落について低い値で証明された。これはまた、3日目および5日目の力価の比較によって証明された:空ベクターに関して、これらの値は匹敵したが、RSV Fを保有するベクターについては、3日目の力価は、5日目の力価よりも低く、このことは、これらの構築物が、その最大力価に達するにはより長くかかることを示している)。B3CTもしくはB3TMCT、またはB3CT(DS/B3CT)もしくはB3TMCT(DS/B3TMCT)との融合前F(DS)を発現するベクターは、鼻甲介では実質的に(そしてほとんどの場合は有意に)さらに弱毒化された(図23A)。これは、ベクター粒子へのRSV Fタンパク質の組み込みの弱毒化効果を反映する可能性が高い:この弱毒化効果は、in vitroでは観察されなかった(図20)。肺では、RSV Fを発現する全てのベクターは実質的に、空ベクターと比較してさらに弱毒化された(図23B)。低融合性B3CT構築物は、並行した安定化DS/B3CT構築物よりも鼻甲介および肺の両方で有意にさらに弱毒化されており、このことは、融合の増大が実際に、これらの条件下でin vivoで弱毒化されていた(すなわち、複製を妨害した)ことを示唆していることは注目すべきである。これが、ハムスターのような半許容的な宿主では証明された場合、ヒト宿主で実質的にさらに顕著である場合がある。弱毒化されなかったwt RSV(A2)対照は、弱毒化されたベクターと比較して、鼻甲介では100~1000倍高い力価まで、および肺では1000~10,000倍高い力価まで複製した。
ベクターの免疫原性は、追加された補体の有りまたは無しにおける60%プラーク減少アッセイによるRSV中和抗体のためにハムスター血清を分析することによって決定した(それぞれ、図24AおよびB)。B3CTまたはB3TMCT改変を有するFタンパク質を発現する全ての構築物は、補体の存在下で検出したRSV中和血清抗体のかなりの力価を誘導した(図24A)。融合前DS変異とB3CTまたはB3TMCTとを組み合わせた構築物は、DS変異なしの平行な構築物と比較して、ある程度高いレベルの中和抗体を生じた。補体の存在下でアッセイした場合(図24A)、弱毒化されたベクター構築物の全てが、非弱毒化wt RSVと比較して低い力価のRSV-中和抗体を誘導したが、注記したとおり、wt RSVは、G中和抗原のさらなる寄与という利点を有し、かつ弱毒化されたベクターよりも100倍~10,000倍効率的に複製した。
補体なしで行ったアッセイのバージョンでは(図24B)、3つのベクターが、これらの条件下で検出されたRSV-中和抗体、すなわち、B3TMCT Fを発現するもの、ならびにB3CTおよびB3TMCT改変を含む融合前DS Fを発現するものを効率的に誘導した。B3TMCTおよびDS/B3TMCT構築物は、wt RSVよりもいくぶんか高い品質のRSV中和血清抗体を誘導したが、この相違は、有意ではなかった。それにもかかわらず、この知見は、ベクターが2つのRSV中和抗原のうちの1つのみを発現した条件では顕著であって、wt RSVと比較して10倍から10,000倍劣った効率で複製した(図22)。B3TMCTベクターと対照的に、B3CTは、補体の非存在下でアッセイした場合、B3TMCTと同様の効率でビリオン中に組み込まれた場合でさえ(図18)、有意な抗体応答を誘導しなかった(図24B)。同様に、DS/B3CTはまた、B3TMCT、DSよりも免疫原性が低かった(図24B)。これによって、B3TMCTは、B3CTと比較してRSV Fの構造的にまたは抗原的に優れた形態であり得ることが示され、またこれは、B3CTの超融合性表現型が、その発現および免疫原性をin vivoで低下したということであり得る。これらの研究によって、B3TMCTは、RSV Fの免疫原性を大きく向上したことが明確に示された。
ベクターの防御的有効性を評価するために、免疫されたハムスターに、106pfuのwt RSVを免疫後30日で鼻腔内チャレンジした(図25)。免疫原性データと一致して、B3CTは、鼻甲介および肺の両方で防御性が劣っていた。B3TMCTは、RSVチャレンジに対してさらに防御性であって、DS/B3TMCTは、ベクター構築物の最も防御性なもの(ただし相違は小さい)であって、免疫されたハムスターのうち1匹だけが、鼻甲介で検出可能なRSV複製を示しており、全てが肺で完全に防御されており、非弱毒化wt RSV対照によって付与されたのと同様の防御を提供した(図24)。DS/B3TMCT構築物とwt RSVとの間の防御有効性の匹敵するレベルは特に顕著であった、なぜならwt RSVは、DS/B3TMCTよりも2~4対数力価高く複製し、FおよびG RSV中和抗原の両方を発現し、かつ全てのRSVタンパク質を、細胞免疫のための潜在的な抗原として発現した。これによって、RSV F(DS/B3TMCT)のパッケージングされた融合前型を有するrB/HPIV3ベクターは、極めて高い免疫原性および防御性であることが示される。
ハムスターにおけるrB/HPIV3-RSV-F構築物の安定性。臨床研究におけるMEDI-534の遺伝的不安定性を伴う経験を考慮して(Yangら 2013 Vaccine 31:2822~2827)、重要な問題は、RSV Fインサートの発現が、in vivoで複製の間に安定なままであったか否かであった。図8、14および23におけるハムスターで解析された12の異なるrB/HPIV3-RSV-F構築物の全ての遺伝的安定性をアッセイした。感染後3日目および5日目で収集した肺および鼻甲介の組織ホモジネートを、ウイルスプラーク中のRSV Fタンパク質およびベクタータンパク質の発現を同時に検出し得る蛍光二重染色プラークアッセイによって解析した(図26)。このアッセイでは、RSV F発現は、赤色蛍光によって可視化されたF特異的抗体で検出し、PIV3抗原の発現を、緑色蛍光によって可視化された、HPIV3-特異的な抗血清(精製されたHPIV3ビリオンで超免疫されたウサギ由来)で検出した。融合されたとき、RSV Fの発現を維持したrB/HPIV3プラークは、黄色に見えたが、RSV Fインサートの発現を失っているプラークは緑のままであった(図26)。この解析によって、RSV Fインサートは一般的にハムスターでの複製の間安定であることが示された(図26)。ほとんどのサンプルに関して、より高く希釈したウェルで回収されたウイルスの全て(個々のプラークが識別される)が、黄色のプラークとして見られ、従って、RSV Fタンパク質を発現した。他の検体のサブセットでは、プラークのサブセットにおけるRSV Fの発現の散在性の喪失があり、それによって、わずかな率の緑のプラークが生じた(通常は<12%)。さらに、RSV Fの発現の喪失は、時間とともに漸増したという証拠はなく;言い換えれば、3日目に比較して5日目からの検体の発現の喪失の頻度が高いことは無かった。単一の場合に、3日目からの単一の鼻甲介検体中での発現の喪失が高レベルであったが(14%の残りの発現、9番の群におけるハムスター511番)、同じ動物由来の肺検体は100%発現を有した。一般には、これによって、RSV Fインサートの発現は、試験された構築物の全てについて実質的に安定であることが示された。不釣合いに不安定となった構築物は出現しなかったことも示された。従って、高レベルのRSV Fの発現および合胞体形成、またはRSVの安定化型の発現、またはrB/HPIV3ベクターのために弱毒化されたベクター粒子への改変されたFの高レベルの組み込みが、RSV Fの発現がサイレンシングされた変異体の出現を支持することは無いようであった。
図1~図26で記載され評価された12 rB/HPIV3構築物をさらに、潜在的な温度感受性表現型について評価した。各々のベクターについて、等しいアリコートを、メチルセルロース下で32、35、36、37、38、39、および40℃でプラークにした(図27)。プラーク形成における100倍以上の低下は、その温度での温度感受性の指標であった。空のrB/HPIV3ベクターは、40℃で温度感受性(ts)であったが(図27)、HPIV3もBPIV3もこの温度でtsではなかった。これによって、キメラ化(すなわち、BPIV3骨格へのHPIV3 FおよびHN遺伝子の置き換え)は、わずかなts表現型をもたらしたことが示される。さらにRSV Fインサートを含んだあらゆるベクターは、37~38℃でtsであって、これによって追加の遺伝子の存在によってts表現型が増強されたことが示される。最もtsであった構築物は、B3CT、B3TMCT、およびDS/B3CTであった(図27において、7、8、12番)。これは、ウイルス粒子へのRSV Fのパッケージングがこの表現型を増強したことを意味した。1つの可能性のある説明は、ベクター中のRSV Fの存在が、その粒子を温度上昇に対していくぶんか不安定でかつ影響を受けやすくさせたということであったろう。RSV Fの効率的なパッケージングを有する残りの構築物、すなわち、DS/B3TMCT(図27における構築物13)は、わずかにtsが劣り、これによって、DSおよびB3TMCTに関連する低融合性の表現型が、不安定性をある程度まで改善したことが示唆されている。まとめると、これらの知見によって、構築物の設計次第で、弱毒化を付与するか、または弱毒化を軽減する手段が提供され、いずれにしても、ワクチンウイルスを設計するのに重要な情報が提供される。
アカゲザルにおける選択されたrB/HPIV3-RSV-F構築物の評価。ベクターの複製、免疫原性および防御有効性に対する「DS」および「B3TMCT」変異の効果をさらに検討するために、2つの候補(HEK/GA-opt/DSおよびHEK/GA-opt/DS/B3TMCT)を、アカゲザルでの複製および免疫原性について評価した(図28)。未改変のRSV Fを有するB/HPIV3ベクター(非HEK/非opt)を、比較のためのベースライン対照として含んだ。霊長類における研究の費用および倫理的懸念を考慮して、限られた数の構築物を評価した。サルを、組み合わせたINおよび気管内(IT)経路によって、全部で2×106のTCID50の各々のrBHPIV3ベクターを使用して免疫した。鼻咽頭スワブおよび気管洗浄液サンプルを示した日に収集して(図29)ウイルス脱落を複製の指標としてモニターした。血清を0、14、21、および28日目に収集した。全ての動物を28日目に、wt RSVをINおよびITを使用して、1部位あたり106pfuでチャレンジして、血清サンプルを35および56日目に収集した。
非HEK/非optおよびHEK/GA-opt/DSウイルスは、上気道および下気道において1mlあたり約105および103のTCID50単位のピーク力価まで複製した(それぞれ、図29Aおよび図29B)。対照的に、HEK/GA-opt/DS/B3TMCT構築物はアカゲザルの上気道および下気道の両方で劇的にさらに弱毒化された(図29Aおよび図29B)。これによって、B3TMCTは、rB/HPIV3構築物に対する実質的な弱毒を付与することが示されたが、DS変異は、有意な弱毒を付与するとは思われなかった。従って、ハムスターで弱毒を付与するB3TMCT改変の軽度の傾向(図23)は非ヒト霊長類では実質的に大きかった。
注記したとおり、血清を0、14、21、28、35、および56日目に収集した。rB/HPIV3ベクターに特異的な血清抗体を、HPIV3に対する60%プラーク減少アッセイによって解析した(図30)。これによって、高度に弱毒化されたHEK/GA-opt/DS/B3TMCT構築物に対するベクター特異的な中和血清抗体応答は、非HEK/非optおよびHEK/GA-opt/DS構築物と比較して遅く、かつ幾分か低下されたことが示された。これは、抗原負荷の低下が免疫原性を低下するという予測と一致している。28日後、力価は、さらに同様になり、予想どおり、28日目のRSVチャレンジからのベクター特異的な免疫をブーストすることはなかった(なぜならRSVはなんらベクター抗原を含まなかったからであった)。
RSV-特異的な中和血清抗体応答は、補体の有りおよび無しで行ったプラーク減少アッセイで定量された(それぞれ、図31および32)。補体の存在下でのアッセイによって、RSV-中和血清抗体がより急速に、かつ他の2つの構築物についてよりもHEK/GA-opt/DS/B3TMCT構築物に対する応答で有意に高い力価まで誘導された(図31)。RSV-特異的な中和血清抗体のより大きい誘導は、注目すべきであって、かつ驚くべきである。なぜならこの構築物は、複製においてさらにいっそう高く制限されたからであった(図29)。ハムスターで以前にアッセイされた時(図24)、この構築物は、統計学的に有意ではなかったHEK/GA-opt/DSと比較して明白な増大を有した:非ヒト霊長類で観察されたより大きい増大は、ハムスターモデルが、これらのヒトおよびウシ/ヒトウイルスについて感度の劣るモデルであるという概念と一致している。例えば、HEK/GA-opt/DS/B3TMCT構築物に対する応答におけるアカゲザルでのRSV-中和血清抗体のより大きい誘導がまた、アッセイを、補体の非存在下で行って28日目に高品質の抗体を測定した時、観察された:実際に、他の2つの構築物に対するこの構築物についての力価の相違は、補体の存在下で観察されたものよりも実質的に大きかった(図32)。まとめると、これらの結果によって、DS変異は、RSV中和血清抗体の量を実質的に増大しない(図31)が、品質は増大した(図32)ことが示されたが、B3TMCT改変のさらなる添加は、RSV-中和血清抗体の量(図31)および質(図32)の両方を劇的に増大した。
28日目に投与されたRSVチャレンジウイルスは、全てのベクターによって完全に制限され、感染性チャレンジRSVは、任意の動物由来の鼻咽頭のスワブおよび気管洗浄液サンプルから回収される場合があり、従って、この実験は、これらのウイルスの比較の特性にさらなる情報を提供しなかった。実験動物における短期RSVチャレンジに対する完全な防御が時に観察される。なぜならこれらのモデルにおけるRSV複製の半許容的な性質によって、複製の制限が容易になるからである。RSV特異的な抗体応答は継続して、28日後に増大したが、この応答が一次感染またはチャレンジに起因したか否かは明確ではない。
蛍光二重染色プラークアッセイを使用して、RSV Fタンパク質の発現のために、ピーク脱落の時間であった、4、5および6日目にアカゲザルから回収したウイルスを解析した。データのまとめを図33に示す。この解析によって、RSV Fインサートが一般的に、サルでの複製の間に安定であることが示された。その結果は、ハムスターの研究について図26に示される結果と極めて同様であった。アカゲザル由来のほとんどのサンプルに関して、ほぼ全ての回収されたウイルスが、黄色のプラークとして見られ、従って、RSV Fタンパク質を発現した。いくつかの検体でのRSV F発現の散在性の喪失があった(所定の検体における回収されたプラークのうち典型的には10%未満)。発現の喪失が時間と共に有意に増大したという証拠はなく、早期の時点では、時折、発現の喪失の証拠が観察されたが、同じ動物から後の時点では観察されなかった。特定の構築物が別の構築物に対してRSV F発現の不釣り合いに大きい喪失と関連していたという証拠もなかった。例えば、HEK/GA-opt/B3TMCTの発現が、rB/HPIV3ベクターについて大きく減弱されたにもかかわらず、RSV Fの発現が失われたウイルスの選択の増大という証拠はなかった。
GenScript(GS)最適化を有するRSV Fのエクトドメイン(アミノ酸1~513、TMおよびCTドメインを欠いている)を発現し、かつHEKアサインメントおよびDS-Cav1改変を含むrB/HPIV3ベクターもまた生成された。エクトドメインを、そのC末端で三量体安定化フォールドオン配列が続く連結された4アミノ酸、すなわち、構築物19番に融合した(HEK/GS-opt/DS-Cav1/[1-513]Foldon)。この形態の融合前RSV Fは、マウスおよびアカゲザルにおいてサブユニットワクチンとして以前に評価された(McLellanら.2013.Science 342:592~598)。このRSV Fタンパク質は、構築物8番(HEK/GA-opt/Ecto)に似ているが、ただしGS最適化に起因するさらに効率的な翻訳の改善、DS-Cav1改変に起因する優れた免疫原性、およびフォールドオン安定化ドメインに起因するより大きい三量体安定性を伴う部分的に分泌された型として、発現されるべきである。この構築物を使用して、分泌されたDS-Cav1型が、膜アンカー型、すなわち、16番(HEK/GS-opt/DS-Cav1)およびビリオン組み込み型、すなわち18番(HEK/GS-opt/DS-Cav1/B3TMCT)と比較して、どの程度免疫原性であるかを比較する。
この研究からのポイント:(1)ハムスターモデルは、便利だが、種々の構築物を使用した、複製、発現および免疫原性における変化に対していくらか非感受性である場合があり、これらの構築物と関連する効果、例えば、弱毒化および免疫原性が、これらのワクチン構築物を意図しているヒト宿主において実質的に大きい場合がある。例えば、HEK/GA-opt/DS/B3TMCT構築物における3TMCT改変の存在は、ハムスターモデルにおいて弱毒化に適度の増大しか付与しないが(図23)、これは真正のヒト宿主とさらに密接に関係するアカゲザルで実質的にさらに弱毒化されていた(図29)。さらに、HEK/GA-opt/DS/B3TMCTと他の構築物との間のRSV-中和抗体の免疫原性における相違は、その構築物がアカゲザルにおいて実質的にさらに弱毒化されたにもかかわらず(図29)、ハムスター(図24)においてよりもアカゲザルで実質的に大きかった(図31)。従って、HEK/GA-opt/DS/B3TMCTの1pfuあたりの固有の免疫原性は、ハムスターにおいてよりもアカゲザルでかなり大きいことがみられ、従って、ヒトでは同様に大きい場合がある。ハムスターにおけるこの見かけの非感受性によって、例えば、ハムスターモデルが、RSV F発現における16倍の増大と関連する免疫原性の相違を確実には提供しなかった理由が説明される(図9)。ヒト使用のためのコドン最適化が、霊長類に比較したハムスターモデルにおける免疫原性の低下に寄与する場合がある、霊長類細胞(およびヒトのワクチン接種された人)と比較してハムスターにおける発現では匹敵する増大をもたらすことがない場合もあることも注目されるべきである。(2)別のテーマは、RSV Fによって誘導された合胞体形成の量を減らすための望ましい状況であった。in vitroでは、合胞体形成は、単層培養物中で複製を制限することはないようであったが、製造に使用されたマイクロキャリア細胞培養系における因子になる可能性もあり、そのため、合胞体形成を制御することは賢明なようである。構築物のほとんどでは、HEKアサインメントが存在し、これは、合胞体形成を強力に抑制した。DSおよびDS-Cav1構築物は、HEKアサインメントと同様に、また合胞体形成を強力に抑制し、それによって、予測されない利益を提供した。上方制御された合胞体形成と関連した1つの構築物、すなわちHEK/GA-opt/B3CTは、複製(図23)および免疫原性(図24)の低下をハムスターで示し、これによって、合胞体形成の増大が、in vivoで有害である場合もあることが示される。これは、霊長類宿主ではさらに顕著である場合もある。従って、GS-opt、HEK、DSまたはDS-Cav1、およびB3TMCTの組み合わせは、合胞体形成の2つの抑制因子(HEKおよびDS-Cav1)の状況では、および超融合性ではなかったパッケージングシグナルの存在下では(B3TMCT)、最高レベルのRSV Fの発現(HEKプラスGS-opt、さらに、Fタンパク質蓄積の増大を提供すると思われた融合前Fタンパク質の安定化)をもたらす組み合わせとして特定された。(3)2つの特徴(すなわちB3TMCTおよびDS変異)は独立して、高品質のRSV中和血清抗体の実質的な誘導を伴っていた。アカゲザル研究によって、B3TMCTは、ヒトにおける予測されるワクチン能力に関連して、霊長類宿主においてこれらの2つの因子のさらに重要なものであることが示唆された(図32)。重要なことに、B3TMCT改変はまた、RSV-中和血清抗体応答の量を劇的に増大した(図31)。(4)予期せぬことに、かつ偶発的に、RSV Fの発現およびパッケージングを改善した特徴は、二重免疫蛍光アッセイによって評価した場合、RSV Fの発現の喪失について重要な選択圧を付与することは無い様であった。既に注記したとおり、RSV Fインサートの発現の喪失は、MEDI-534で問題であったが、本研究では多数の特徴を使用して、MEDI-534で使用されなかった融合を下方制御し、これは、RSV Fインサートを安定化するのに重要な役割を果たした場合もある。さらに、パッケージングシグナルの2つの重複するセットを評価することによって、超融合性であったものを特定して回避すること、ならびに実質的に融合が低下したものを特定して選択することが可能であった。(5)免疫原性を増大するのにおける重要な因子として特に出現したB3TMCT改変。HEK、GA-optまたはGS-opt、およびDSまたはDS-Cav1改変は二次的な改善として出現した。B3TMCTは、注記されたとおり、アカゲザルでベクターを強力に弱毒化する効果を有した。高度に弱毒化されたrB/HPIV3ベクターの状況でのこの改変の使用は、実質的に過剰弱毒化されると思われたベクターを生じた。しかし、逆遺伝学を使用して、B3TMCT Fタンパク質(所望により、HEK、プラスGA-またはGS-opt、プラスDSまたはDS-Cav1改変を有する)を、弱毒化の少ないベクター骨格、例えば、野性型HPIV1、2、もしくは3、または1つまたはそれ以上の公知の安定化された弱毒化変異を保有するバージョンと組み合わせて、弱毒化の少ない構築物が作製される。rB/HPIV3中のB3TMCT構築物は、極めて過剰弱毒化されているにもかかわらず、極めて高度に免疫原性であったので、10倍から100倍よく複製するこのタンパク質を発現する構築物は、適切に弱毒化され、および実質的にさらに免疫原性でなければならない。
RSV FのORFおよびタンパク質の改変バージョンを発現する組み換えrB/HPIV3ベクターを使用する追加のアッセイ
追加のアッセイを行って、以下を評価した:(i)DS融合前安定化変異およびB3TMCTパッケージングシグナルを含む構築物のGS-optバージョン、ならびに(ii)DS変異と組み合わされた2つの腔充填変異体S190FおよびV270Lを含む、DS-Cav1融合前安定化変異。アッセイされたFタンパク質はまた、2つのHEKアミノ酸アサインメントを含み、これが上記のようなA2株の初期継代(HEK-7と呼ばれる)のものと同一のアミノ酸配列を生じる。これらのアッセイによって以下が示される:
1.DS-Cav1およびB3TMCTは独立して、in vivo防御に最も関連すると考えられる、有意なレベルの補体依存性RSV中和抗体を誘導する能力を付与する。
2.DS-Cav1プラスB3TMCTの組み合わせは、免疫原性のさらなる増大を生じる。
3.2つの最も免疫原性の構築物は、HEK/GA-opt/DS-Cav1/B3TMCT(図53、第7群)およびHEK/GS-opt/DS-Cav1/B3TMCT(第10群)であって、これは、コドン最適化の供給源でのみ異なり、GS-optは、最も免疫原性であるようであった。
4.HEK/GA-opt/DS-Cav1/B3TMCT(第7群)およびHEK/GS-opt/DS-Cav1/B3TMCT(図53、第10群)は、ペアワイズ比較では統計学的に識別不能であったが、HEK/GS-opt/DS-Cav1/B3TMCT(図53、第10群)の方は、wt RSVよりも有意に免疫原性であった。これらの知見によって、HEK/GS-opt/DS-Cav1/B3TMCT(第10群)は、特に補体を添加する必要性なしで検出される高度に効率的な中和抗体について、ハムスターモデルでは、最も免疫原性の構築物であり(図53)、従って、GS-optおよびDS-Cav1によるさらなる改変は、免疫原性を増大するようであった。これはまた、ハムスターチャレンジ研究では最も防御的構築物であった。
5.大型プラーク表現型および弱毒化を付与する変異を獲得するためのrB/HPIV3ベクターについての性向を、ベクターHNタンパク質中の3つのヌクレオチドおよび2つのアミノ酸変異によって本質的に排除した。
6.HEK/GS-opt/DS-Cav1/B3TMCTインサートを、第1の遺伝子位置(プレ-N)から発現して、Vero細胞で効率的に複製した構築物を、高い割合のRSV F発現を有する調製物中で得られ、RSV Fタンパク質が効率的に発現される。
動物研究のまとめ。図35によって、示したとおり、ハムスターでの2つの異なる研究でおよびアカゲザルでの2つの異なる研究で評価した構築物を示す:「第1のハムスター研究」は、図8~9、14~16、および23~26を包含し;「第1NHP研究」は、図29~図33を包含し;「第2ハムスター研究」は、図51~図54を包含し;「第2のNHP研究」は、図55および57を包含する。
GA-optウイルスのin vitroのマルチサイクル複製。図46および図47は、HEK/GA-opt/DS-Cav1構築物のマルチサイクル複製を、それ自体の上に、またはB3TMCTパッケージングシグナル(図35の構築物13番および15番)をさらに追加して、空ベクターと比較して図示する。これは、ワクチン製造のために使用した細胞基質である、アフリカミドリザル腎臓Vero細胞(図46)において、およびVero細胞とは異なり、典型的には、I型インターフェロンを発現するためのウイルス感染によって誘導される、一般的な実験室細胞株である、アカゲザル腎臓LLC-MK2細胞(B)において行った。この実験によって、2つのDS-Cav1-含有構築物(B3TMCTの有りまたは無し)が効率的に、かつお互いに対して同様に複製し、空ベクターと比較して適度に弱毒化されたことが示された。この適度の弱毒化にかかわらず、両方のDS-Cav1-含有構築物が、107TCID50/mlより高い力価まで複製した。このパターンの適度の弱毒化は、異なるバージョンのRSV Fを発現する他のrB/HPIV3ベクターで得られた結果と極めて類似していた(例えば、図7、12、および20)。従って、これらの結果によって、これらの改変されたインサートを保有するrB/HPIV3が、ワクチン製造にとって十分満足である効率的な方式で複製することが示された。
GS-optウイルスのin vitroでのマルチサイクル複製。図48は、さらなる追加のDS-Cav1(16番)、DS-Cav1/B3TMCT(18番)の組み合わせ、およびDS-Cav1の組み合わせ、エクトドメイン1~513、およびエクトドメインオリゴマー化を生成するためのC末端「フォールドオン」ドメイン(19番)を有するバージョンと比較したHEK/GS-opt骨格(図35の構築物5番)のマルチサイクル複製を比較のための空ベクターとともに図示する。Vero(図48A)およびLLC-MK2(B)細胞における評価によって、種々の形態のRSV Fを発現するベクターが、極めて類似の反応速度論および収率で複製し、空ベクターと比較して適度に弱毒化されることが示された。それらは全てが、細胞培養物中で107 TCID50/mLより高い力価まで複製した。これらの結果によって、これらの改変されたインサートを保有するrB/HPIV3が、ワクチン製造に十分満足である効率的な方式で複製することが示された。
GA-およびGS-optウイルスのin vitroにおけるマルチサイクル複製。図49は、GA-最適化またはGS-最適化であることで異なる構築物の対のマルチサイクル複製を図示する:具体的には:HEK/GS-opt/DS-Cav1対HEK/GA-opt/DS-Cav1(頂部パネル、図35由来の、それぞれ構築物16番および13番)、ならびにHEK/GS-opt/DS-Cav1/B3TMCT対HEK/GA-opt/DS-Cav1/B3TMCT(底部パネル、図35由来、それぞれ、構築物18番および15番)。構築物の2つの対を、各々Vero細胞(図49A、C)およびLLC-MK2細胞(B,D)で評価した。GS-opt構築物は時に、特にはインキュベーションの最初の3~4日の間、GA-opt構築物よりもわずかに、より効率的に複製した(例えば、図49Cおよび 49D)。
in vitroにおけるRSV Fの発現。図50は、Vero細胞およびLLC-MK2細胞におけるrB/HPIV3構築物によるRSV Fおよびベクタータンパク質の発現を図示する。これによって、HEK/GA-opt(図50,レーン2;図35、構築物3番)対HEK/GS-opt(図50、レーン3;図35、構築物5)による発現を比較する:実施例1(図5)に記載の結果と一致して、GS-最適化は、RSV Fタンパク質のいくらか大きい発現が生じた。HEK/GS-opt構築物をまた、さらに、DS-Cav1(図50、レーン3;図35、構築物16番)、またはDS-Cav1/B3TMCT(図50、レーン5;図35、構築物18番)、またはDS-Cav1/(1-513)Foldon(図50,レーン8;図35、構築物19番)を含んだバージョンと比較した。また、比較のために含まれるのは、wt RSV感染した細胞(図50,レーン6)またはモック感染した細胞(レーン7)であった。この結果によって、各々のGS-opt構築物が、効率的なRSV Fの発現を指向したことが示され、実際、wt RSVが発現したよりもはるかに多くのRSV Fを発現した(図50、レーン6)。全長DS-Cav1 Fタンパク質をコードする3つのGS-opt構築物を感染させた細胞(図50、レーン4、5、および8)は、RSV Fタンパク質のF0前駆体のいくぶんか大きい蓄積を有し、これによって、その融合前安定化が、切断の効率をわずかに低下し得ることが示唆された。しかし一般には、各々の構築物は、RSV Fタンパク質を発現するのに極めて効率的であった。融合前Foldon構築物、HEK/GS-opt/DS-Cav1/(1-513)Foldon(図50、レーン8)は、培地中にごく部分的に分泌され(図50A、下側パネル)、その分泌型は全体的に、切断されたF1鎖であったが(図4A、下部パネル、レーン8)、全ての細胞会合型は、未切断のF0(図4A、上側パネル、BおよびC、レーン8)。RSV Fの他の試験された形態で、培地上清中で検出されたものはなく、このことはそれらが分泌されなかったことを示した。DS-Cav1/(1-513)Foldon構築物の効率的でない切断および分泌は予想されなかった。なぜなら、この三量体化ドメインは、精製されたFタンパク質を調製するために以前に首尾よく使用されているからである(McLellanら Science 2013 Nov 1;342(6158):592~8.doi:10.1126/science.1243283)。これによって、ベクターの構築物による外来タンパク質の発現が、予測不能である場合もあることが図示され、ただし本明細書における複数の構築物の詳細な評価は、多数の適切な、首尾よい構築物の特定につながる包活的な評価を提供する。
ハムスターの研究。B3TMCT、DS、およびDS-Cav1のさらなる追加を含んだ多数のGA-optおよびGS-opt構築物(この構築物は、図35において、「第2ハムスター研究」として特定される)を、複製の効率(図51)、RSV Fタンパク質の発現の安定性、RSV-中和血清抗体の刺激(図52および53)、およびRSVチャレンジに対する防御有効性(図54)についてハムスターで評価した。
ハムスターでの複製。GA-optおよびGS-opt構築物を、ハムスターの上気道(鼻甲介)および下気道(肺)での複製について評価した(図51)。鼻甲介では、HEK/GA-opt/B3TMCT(第5群)およびHEK/GA-opt/DS/B3TMCT(第6群)は、他よりも制限された。肺では、B3TMCT(HEK/GA-opt/B3TMCT、第5群、HEK/GA-opt/DS/B3TMCT、第6群、およびHEK/GA-opt/DS-Cav1/B3TMCT、第7群)を有するGA-opt構築物を、さらに制限した。同様に、B3TMCTを有するGS-opt構築物、すなわち、HEK/GS-opt/DS-Cav1/B3TMCT(第10群)をまた、HEK/GS-opt/DS-Cav1(第9群)よりも弱毒化した。これらの観察によって、B3TMCTは、弱毒化のレベルを増大することが示唆された。さらに、GA-opt構築物は、GS-opt構築物よりも弱毒化されるようであった。例えば、DS-Cav1およびDS-Cav1/B3TMCTのGS-opt構築物、すなわち、HEK/GS-opt/DS-Cav1(第9群)およびHEK/GS-opt/DS-Cav1/B3TMCT(第10群)は、LRTにおいて、5.0および4.2 Log10TCID50/gという平均ピーク力価(等価なGA-opt構築物の平均力価、すなわち、4.0および3.4 Log10TCID50/g(第4群および第7群)よりも高かった)まで複製した。これによって、GS-opt RSV Fインサートは、GA-opt RSV Fよりも弱毒化が劣ったことが示唆された。
RSV Fタンパク質の発現の安定性。in vivoにおけるそれらの複製の間のrB/HPIV3ベクターによるRSV F発現の安定性を、免疫後5日目で回収した免疫されたハムスターの鼻甲介および肺のサンプルを分析することによって、二重染色プラークアッセイで評価した。ほとんどのサンプル(107のうち92)は、RSVをやはり発現している90%超の複製されたベクターを有した;107のうち6つが、89~80%のRSV Fを発現するベクターを有した;107のうち9が、79%未満のRSV Fを発現する複製されたベクターを有した;7つのサンプルのみが、50%超のRSV F発現を失っているベクターを有した。RSV F発現を失っている50%超のベクターを有するこれらの7つのサンプルのうち、4つが、GA-opt構築物、3つがGS-opt構築物であった。GA-opt、またはGS-opt、またはDS、またはDS-Cav1、またはTMCTが、不安定性の何らかの特定の増大と関連するという証拠はなかった。個々の調製物の間の不安定性の種々のレベルは、特定の構築物に大きく依存している散在性の変異を反映し、したがって、各々構築物のいくつかの独立した調製物の評価は、RSV Fタンパク質の発現の割合が極めて高い1つまたはそれ以上を特定する可能性が高い。
RSV-中和血清抗体の力価。RSV中和血清抗体力価は、モルモット補体を添加する(図52)か、または補体の存在なしで(図53)RSV中和アッセイによって決定した。補体を追加して行ったアッセイは、通常は、RSVおよびHPIV3中和アッセイについて使用する。なぜなら、補体が、そうでなければin vitroで中和されない場合もある、抗体に対するウイルス溶解および立体障害能力を付与し得るおかげで、このアッセイによってウイルス特異的な抗体の鋭敏な検出が可能になるからである(Yoderら J Med Virol 72:688~694、2004)。対照的には、補体の非存在下でin vitroでRSVを中和する抗体は、防御に最も関連することが示唆され(Yoderら J Med Virol 72:688~694,2004)、以前の研究は、RSVチャレンジに対する、より高いレベルの防御と関連していた(Liangら J Virol 89:9499~9510、2015)。追加の補体のin vitro依存性で中和する抗体は、「高品質」であり、かつ質的に優れた免疫原性の指標であると考えられる。
補体依存性アッセイ(図52)では、RSV Fを発現する全てのrB/HPIV3ベクターは、劣った免疫原性のHEK/GS-opt/DS-Cav/(1-513)Foldon構築物を除いて高い力価のRSV中和抗体を誘導した。GS-opt構築物は、GA-opt構築物のそれらの対応物よりもRSV血清中和抗体の高い力価を誘導した(HEK/GS-opt/DS-Cav1については11.0 Log2 PRNT60、(第9群) 対 HEK/GA-opt/DS-Cav1(第4群)について10.2 Log2 PRNT60;HEK/GS-opt/DS-Cav1/B3TMCTについて11.8 Log2 PRNT60、(第10群) 対 HEK/GA-opt/DS-Cav1/B3TMCTについて10.4 Log2 PRNT60、(第7群))。補体依存性アッセイ(図52)では、wt RSV(ゴールデンスタンダード)程度に統計学的に免疫原性であった3つの構築物は、GS-opt構築物HEK/GS-opt(第8群)、HEK/GS-opt/DS-Cav1(第9群)、およびHEK/GS-opt/DS-Cav1/B3TMCT(第10群)であったことは注目に値することであった。
補体依存性アッセイ(図53)では、天然型のRSV F(非HEK/非optおよび HEK/GS-opt)を発現するベクターは、実施例1由来の結果を確認および拡張する、検出可能なRSV中和抗体を誘導しなかった。融合前安定化変異(DS、DS-Cav1)およびパッケージングシグナルB3TMCTは、高品質のRSV中和抗体の免疫原性を独立して増大した(例えば、B3TMCTの非存在下におけるDSおよび/またはCav1を有する構築物は、第3群、4群および9群で例証されるが、DS/Cav-1の非存在下におけるB3TMCTを有する構築物は、第5群で例証される)。融合前安定化変異プラスB3TMCTの組み合わせは、免疫原性の追加的改善を有し、この改善は、GA-optおよびGS-opt構築物(例えば、第6、7および10群)で観察された。補体依存性アッセイでは、HEK/GS-opt/DS-Cav1/B3TMCT構築物(第10群)は、低い力価(6.8 Log2 PRNT60)を誘導したが、有意に低くはなかったそのGA-opt対応物 HEK/GA-opt/DS-Cav1/B3TMCT(第7群)を除いて任意の他のベクターによって誘導されたよりも有意に高い力価のRSV-中和血清抗体(7.6 Log2 PRNT60)を誘導した。しかし、HEK/GS-opt/DS-Cav1/B3TMCT構築物(第10群)によって誘導された抗体力価は(ただし、HEK/GA-opt/DS-Cav1/B3TMCT(第7群)は違うが)、wt RSV(12群)の抗体力価よりも有意に高く、従って、HEK/GS-opt/DS-Cav1/B3TMCT構築物(第10群)は、高い品質のRSV中和抗体についてベクターおよびwt RSVの間で最も免疫原性であった。
RSVチャレンジ。免疫されたハムスターに、wt RSVをINチャレンジして、防御効率を評価した(図54)。図54に示されるとおり、全てのRSV F発現ベクターが(DS-Cav1/(1-513)Foldon構築物を除いて)、URT(図54A)およびLRT(図54B)における有意な防御を誘導した。DS-Cav1/(1-513)Foldonによる防御の欠失は、RSV血清中和アッセイ(図52および図53)で示される、その劣った免疫原性と一致していた。wt RSVでもたらされた無菌免疫と比較して、HEK/GS-opt/DS-Cav1/B3TMCTは、全ての試験したベクターの間で最高の防御を付与し、これは、wt RSVにほぼ等しかった:このベクターが免疫した1匹のハムスターだけが、検出可能なwt RSVを有し、鼻甲介では極めて低レベルでしかなかった。HEK/GS-opt/DS-Cav1/B3TMCT(第10群)の防御有効性は、鼻甲介ではwt RSV(第12群)の有効性と統計学的に識別不能であったが、HEK/GA-opt/DS-Cav1/B3TMCT(第7群)は、有意に防御が劣り、前者の構築物が最も免疫原性の構築物であるという概念を支持する。wt RSVに対する防御におけるこの等価性は顕著である。なぜなら、wt RSVは、2つの中和抗原、GおよびFを発現し、また細胞免疫の潜在的な抗原として全てのウイルスタンパク質を発現するが、このベクターは、RSV Fタンパク質しか発現しないからである。細胞免疫は、げっ歯類におけるRSVチャレンジ研究で強力な防御を付与することが示された(例えば、Connorsら J Virol 66:1277~1281 1992)。
アカゲザルにおける評価。ハムスターで最大の免疫原性を有する3つのベクターを選択して、アカゲザルでのそれらの複製および免疫原性を評価した(図55)。これらの構築物は、HEK/GA-opt/DS/B3TMCT(図55の頂部の構築物)を含み、これは、第1NHP研究で特に有効であることが特定された(実施例1における、図28~32)。第2の構築物は、HEK/GA-opt/DS-Cav1/B3TMCTであって、これは、DSの代わりにDS-Cav1を有することを除けば第1の構築物と同じである。第3の構築物はHEK/GS-opt/DS-Cav1/B3TMCTであって、これはGA-optの代わりにGS-optを有するという点で前の構築物とは異なる。これらの後者の2つの構築物は、最高力価の「高品質」RSV-中和血清抗体を図53で誘導した。
アカゲザルでの複製。GA-optおよびGS-optバージョンのHEK/DS-Cav1/B3TMCTを有する平行な構築物は、鼻咽頭のスワブでサンプリングした場合、URTにおいて同様の反応速度論で複製した(図56A)。しかし、これと同じことは、気管洗浄液でサンプリングした場合、LRTでは観察されなかった:GS-optバージョンは、GA-optバージョンよりも弱毒化が少なかった(図56B)。これらの結果は、図51においてハムスターで観察されたものと一致している。DS対DS-Cav1を有する並行構築物の比較に関して(HEK/GA-opt/DS/B3TMCT 対 HEK/GA-opt/DS-Cav1/B3TMCT)、前者のウイルスは、URTではさらに弱毒化された(図56A);しかし、それらは、LRTでは同様の効率で複製した(図56B)ことは注目に値する。これらの結果はまた、図51においてハムスターで観察されたものと一致している。HEK/GA-opt/DS/B3TMCTは、第1NHP研究で試験した同じ構築物と比較して、この研究ではURTおよびLRTの両方で有意に高い力価(約10倍高い)まで複製した(図29、実施例1)。前の研究でのサル(図29)は、図56で使用されるサルよりも6歳上で、かつ体重が2~3倍大きかった。これらのウイルスの複製は、若いサルではさらに効率的である場合があるか、または相違は、これらの2つの実験の間の変動を反映し得る。
RSV-中和血清抗体。図56における3つのベクターは、アカゲザルではわずかに異なる効率で複製したが、それらは、補体依存性(図57A)および補体非依存性(図57B)アッセイで決定された、匹敵する高レベルのRSV-中和血清抗体を誘導した。
第1遺伝子位置でのRSV Fの挿入。実施例1および本実施例における前のB/HPIV3-RSV-F構築物の全てが、ベクターのNとP遺伝子との間の、第2の遺伝子位置に挿入されたRSV遺伝子を含んだ。第1の位置での未改変のRSV Fの挿入は、RSV Fタンパク質の増殖の障害または発現の安定性の低下というなんら明らかな問題を伴わなかった。最適化された、遺伝子操作型のRSV Fが、効率的である場合があるか、かつ第1の遺伝子位置から安定に発現されるか否かを検討した。具体的には、HEK/GS-opt/DS-Cav1/B3TMCTバージョンのRSV Fを、プレ-N位置に挿入した(図58A)。
ベクターの表現型の不安定性を付与した、HNにおける2つのアミノ酸アサインメントの特定および改変。rB/HPIV3ベクターは、in vitroで継代の際に表現型不安定性を示すことが以前に注記された(Liangら J Virol 88:4237~4250)。具体的には、かなりの割合のベクターが、継代の間に大型プラークの表現型を獲得した。これは、異なるインサートおよび空ベクターとともに生じ、このことは、これがベクター単独の特性であって、外来遺伝子に特異的ではなかったことを示している。6つのクローニングされた大プラークウイルスのゲノム全体の配列解析によって、各々がHNでH552Qミスセンス変異を、同様に、Fで3つの異なるミスセンス変異のうちの1つを、およびいくつかの場合にはLで1つまたは2つのミスセンス変異を獲得していたことが示された(Liangら J Virol 88:4237~4250)。11の追加の大型プラーククローンの部分的な配列決定によって、これらのうち7つが、HNにおいてH552Q変異を含むが、他の4つはお互いに、HN中に4つの他のミスセンス変異のうちの1つを含むことが示された(N240K、P241L、R242K、またはF558L)。HPIV3 HNタンパク質の結晶構造との比較(Lawrenceら J Mol Biol 335:1343~1357 2004)によって、全てのこれらのHN変異が、HN球状の頭部の二量体境界に位置することが示された。さらに、H552Q変異は、ノイラミニダーゼ処理細胞に対する増殖によって選択され、大型プラーク表現型を有し、シアル酸含有受容体に対して高い結合活性を有し、Fタンパク質の増強された誘因を有し、げっ歯類で弱毒化されていたHPIV3改変体で以前に記載された(Mosconaら J Virol 67:6463~6468;Porottoら J Virol 81:3216~3228;Palermoら J Virol 83:6900~6908)。これによって、rB/HIPIV3ベクター中のHPIV3 HN遺伝子の偶発性の変異が同様であって、かつおそらくVero細胞についてrB/HPIV3ベクターの結合親和性を増大したという理由で選択されたことが示唆されたことが示唆された。しかし、大型プラーク表現型がin vivoで実質的な弱毒化を伴ったという他者による観察(Mosconaら J Virol 67:6463~6468;Porottoら J Virol 81:3216~3228;Palermoら J Virol 83:6900~6908)は、これが過剰な弱毒化をもたらす可能性が高いので、本発明のベクターに関して不利であろう。HPIV3逆遺伝学系は、HN遺伝子で2つの変異を含んだ:T263Iミスセンス変異をもたらすcDNAクローン中の偶発性のC7589Tヌクレオチド変異(完全なアンチゲノム配列に対する)、ならびにマーカーとして意図的に導入されたP370T変異をもたらすC7913AおよびA7915T変異があった(Durbinら Virology 235:323~332、1997)。この後者のミスセンス変異は、2つの利用可能なHPIV3-中和モノクローナル抗体(MAb423/6および170/7)によって認識されるエピトープを除去するように設計された。これらの変異は、それらの野性型アサインメント、すなわち7593C(263T)および7913C+7915A(370P)に対して修復された(図58B)。顕著なことに、これらの変化は、Vero細胞での継代の間に大型プラーク表現型の獲得を妨げた(示さず)。従って、HPIV3 HN遺伝子を保有するさらなるベクター構築物(限定するものではないが、rB/HPIV3-およびHPIV3-ベースのベクターを含む)は好ましくは、これらのアサインメントを含むべきである。例えば、I263TおよびT370P変異が、図58Aに示されるHEK/GS-opt/DS-Cav1/B3TMCT/プレ-N構築物中に組み込まれた。HPIV3 HN遺伝子を保有する目的の全てのベクターは、263Tおよび370Pアサインメントを含むように改変する。
ウイルス回収。プレ-N位置に挿入されたHEK/GS-opt/DS-Cav1/B3TMCTを有するrB/HPIV3ベクター(図58A)を、回収して、8.2 log10TCID50/mLの力価に増殖し、従って、ワクチン製造に重要である、ウイルス収率に関する増殖制限はわずかであるかまたは全くなかった。このウイルスのプラークサイズは一般には、第2位置(示さず)に挿入された同じバージョンのRSV Fよりも小さく、これによって、ウイルス収率では明らかでない、増殖に対するわずかな制限があったことが示される。
RSV Fタンパク質の発現の安定性。ウイルスの2つの調製物を、二重染色プラークアッセイによって解析して、RSV Fタンパク質の発現の安定性を評価した。CL20aおよびCL24aと命名された、2つの独立のレスキューされたウイルスプールの二重染色のプラーク表現型を行った。プラークアッセイを、10倍連続希釈ウイルスで感染させた24ウェルプレート中で、Vero単層上で行った。感染させた単層に、0.8%のメチルセルロースを含有する培地を積層し、32℃で6日間インキュベートした。氷冷の80%メタノール中で固定した後、単層を、RSV Fに対する3つのマウスモノクローナル抗体(1129、1109、1243)、およびウサギ抗HPIV3過免疫血清の混合物とともにインキュベートし、続いてIRDye 680(赤、RSV Fを検出する)コンジュゲートヤギ抗マウスおよびIRDye 800(緑、HPIV3を検出する)コンジュゲートヤギ抗ウサギ抗体とともにインキュベーションした。
1つの調製物は、細胞培養物中での継代後に安定であったが、第2の調製物は、約40%のウイルス中で緑染色を有し、従って、RSV F発現の喪失の証拠があった。これらの結果によって、RSV F発現の喪失が生じる場合があり、かつウイルス複製において増幅されてもよいことが示され、ただし、これは散在性であると思われ、かつ注意深いモニタリングによって、高い割合の発現を有する調製物を特定できる。
細胞内タンパク質発現。プレ-N位置からのRSV Fの発現を、Vero細胞(図59A)およびLLC-MK2細胞(図59B)で解析した。Vero細胞では、HEK/GS-opt/DS-Cav1/B3TMCTバージョンのRSV Fを、F1およびF0鎖として発現し(図59A)、プレ-N位置からの総発現は、N-P位置から発現されたものに匹敵した。しかし、LLC-MK2細胞では(図59B)、このバージョンのRSV FをF0鎖として優先的に発現させ、プレ-Nからの発現は実質的に、N-P位置のものより効率的であった(図59B、レーン3、4、5)。両方の種類の細胞では、このバージョンのRSV Fは、未改変のRSV Fよりもかなり高いレベルで発現された(非HEK/非opt、図59A、59B、レーン3および4対レーン6)。
二価のHPIV1/RSVワクチンとして、ヒト呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の融合F糖タンパク質を発現する弱毒化ヒトパラインフルエンザウイルス1型(HPIV1)
本実施例は、2つの弱毒化されたrHPIV1骨格の3つのゲノム位置由来のRSV
F抗原を発現する弱毒生rHPIV1ベクターのRSVワクチンの開発および前臨床評価を図示する。ハムスターにおける前臨床評価によって、rHPIV1 CΔ170-F1ベクター(弱毒化欠失変異(CΔ170)をP/C遺伝子中に保有し、かつRSV Fをプレ-N位置から発現する)は、十分に弱毒化され、安定であり、かつRSVおよびHPIV1に対して免疫原性であり、RSVチャレンジ感染に対する有意な防御を提供したことが示された。この研究によって、rHPIV1を、RSVワクチンベクターとして使用して、2つの主な小児期疾患に対して二重の防御を達成し得ることが実証された。
序。RSVの弱毒化株を含むRSVワクチンと比較して、RSVタンパク質を発現する弱毒生HPIVベクター(例えば、HPIV1から開発されたベクター)を含むRSVワクチンは、いくつかの利点をもたらす。ベクターとして用いられるRSVおよびHPIV血清型に対する二価ワクチンを提供することが1つの利点である。これは重要である。なぜなら、注記されたとおり、HPIVはまた重要な、小児呼吸器疾患の未制御の因子であって、RSVの特徴と重複する疫学的および病理学的な特徴を有する。従って、組み合わせたHPIV/RSVワクチンは、小児呼吸器疾患に対するカバーを広くするであろう理論的組み合わせである。さらに、RSV感染性は、取扱いの間に不安定性にする傾向に関しては悪評があり、ワクチンの開発、製造および送達を複雑にする。HPIVは実質的にさらに安定であり、これによって、その必要性が最大である発展途上国にRSVワクチンを広げるために重要である場合がある。in vitroで増殖したRSVは、製造を複雑にする長いフィラメントを形成する場合が多いが、HPIVは、それより小さい球状の粒子を形成する。RSVは、HPIVと比べて、本質的にさらに病原性であり、さらに可能性としては免疫抑制性であることもある場合があり、これは、HPIVベクターのRSVワクチンの別の利点であろう。これによって、また、げっ歯類において、弱毒生RSV株に対して引き続き投与されたブーストとしてのHPIVベクターのワクチンの使用は、同じ弱毒化RSV株の第2用量よりも免疫原性であったことも見出された。従って、一次免疫から生じるRSV特異的免疫は、HPIVベクターのウイルスのものよりも効率的に弱毒化RSV株の第2用量の複製を制限すると予測される場合があり、HPIVベクターのRSVワクチンの別の潜在的な利点が示される。
HPIV1ゲノムは、マイナス鎖RNAの一本鎖である。これは、短い3’リーダー領域に続いて、N、P、C、M、F、HN、およびLタンパク質をコードする6遺伝子、ならびに短いトレーラー領域からなる。各々の遺伝子は、主なウイルスタンパク質:N、核タンパク質;P、リンタンパク質;M、内部マトリックスタンパク質;F、融合糖タンパク質;HN、ヘマグルチニン-ノイラミニダーゼ糖タンパク質;およびL、メジャーポリメラーゼサブユニットをコードする。さらに、P遺伝子は、宿主インターフェロン(IFN)応答を阻害し、かつアポトーシスをブロックする1セットのカルボキシ-コ-末端Cアクセサリータンパク質を発現する重複するORFを保持する(Bartlettら.2008.J virology 82:8965-8977)。他の非区分のマイナス鎖RNAウイルスと同様、HPIV1転写は、3’末端プロモーターで開始し、一連のモノシストロン性mRNAを生成する遺伝子末端(GE)遺伝子間(IG)遺伝子開始(GS)シグナルによって調節された開始-停止プロセスでゲノムを下に進行させる。転写を低下する3’から5’への勾配があり、プロモーター近位の遺伝子は、より高レベルで発現された(Nagai.1999.Reviews in medical virology 9:83-99)。他のパラミクソウイルスと同様、完全な感染性の複製コンピテントなHPIV1は、トランスフェクトされたcDNA由来の細胞培養物中で回収される(逆遺伝学)。
前の研究では、RSV Fタンパク質についてのベクターとしてウシおよびヒトのPIV3のキメラの開発を記載している(Schmidtら 2000 J Virol 74:8922~8929;Schmidtら 2001 J Virol 75:4594~4603;Schmidtら 2002 J Virol 76:1088~1089;Tangら 2002 J Virol 78:11198~11207;Bernsteinら 2012 Pediatr Infect Dis 31:109~114;実施例1も参照のこと)。このウイルスは、rB/HPIV3と呼ばれ、霊長類のBPIV3の弱毒化表現型と、HPIV3の主な中和抗原とを組み合わせる、HPIV3のものによって、逆遺伝学を使用してFおよびHN遺伝子が置き代えられたBPIV3(Schmidtら 2001 J Virol 75:4594~4603;Schmidtら 2002 J Virol 76:1088~1089;Tangら 2002 J Virol 78:11198~11207;Bernsteinら 2012 Pediatr Infect Dis 31:109~114)からなり、rB/HPIV3は、RSV FおよびG遺伝子を効率的に発現することが示された。血清陰性の小児におけるRSVおよびHPIV3についての二価ワクチンとしてのリードrB/HPIV3/RSV-F構築物の臨床評価によって、これは感染性であって、十分耐容され、弱毒化されたが、期待されるよりもRSV Fに対して免疫原性が低いことが示された(Bernsteinら 2012 Pediatr Infect Dis 31:109~114)。これは、RSV Fインサートの発現をサイレンシングした臨床トライアル材料における遺伝子不安定性に対して少なくとも部分的に起因するようであった(Yangら.2013.Vaccine 31:2822~2827)。しかし、さらなる研究は、RSV Fインサートを安定化し、ベクター構築物の種々のパラメーターを特徴付けて最適化することによって免疫原性の増大を得るために進行中である(Liangら.2014.J virology 88:4237-4250)。HPIV1は、RSV F抗原を発現するための別の魅力的なベクターである。具体的には、HPIV1は、RSVまたはHPIV3よりも小児ではいくぶんか後に感染し(Counihanら.2001.Pediatric infectious disease journal 20:646~653;Reedら.1997.J Infect Dis 175:807~813)、そのためHPIV1ベクターのRSVワクチンを、弱毒生RSVまたはrB/HPIV3ベクターのワクチンの後に使用して、RSVに対する免疫応答がブーストされるであろう。
本研究では、RSV Fタンパク質を発現するHPIV1ベクターのワクチンを開発するための2つのパラメーターを評価した(図36および42):(i)2つの異なる弱毒化HPIV1骨格を比較して、(ii)HPIV1ベクターの第1、第2、および第3のゲノム位置でのRSV F遺伝子の挿入を比較した。第1のパラメーター、弱毒化のレベルは、それが安全性に対しておよび逆に免疫原性に対して関連するので重要である。具体的には、HPIV1ベクターは、非病原性であって、十分耐容されるように、十分弱毒化されなければならないが、満足に免疫原性であるためには十分な抗原を複製し、かつ発現しなければならない。HPIVベクターに対するRSV Fのような外来遺伝子の添加によってまた、典型的には弱毒化が付与され、かつまた、温度感受性(ts)表現型(Liangら.2014.J virology 88:4237-4250)が付与され、かつインサートおよび特異的な弱毒化変異(単数可)の組み合わせ効果が決定されなければならなかった。本研究で使用される2つの異なるHPIV1骨格は各々が、前の研究(1、3、25)で開発された単一の弱毒化変異(CΔ170またはLY942A)を含んだ(1、3、25)。これらの変異の各々は、in vivoで適度に弱毒化されることが示されている(Bartlettら.2006.Vaccine 24:2674~2684;Bartlettら.2007.Virology J 4:67;Newmanら.2004.J Virol 78:2017~2028)。CΔ170変異は、非温度感受性である。これは、Cタンパク質が、宿主のI型インターフェロン応答およびアポトーシスを阻害する能力を低下し(Bartlettら.2006.Vaccine 24:2674~2684;Bartlettら.2008.J virology 82:8965~8977;Newmanら.2004.J Virol 78:2017~2028)、これがウイルス弱毒化を生じる。弱毒化の機構は、構築物の固有の免疫原性を増大する能力を有する。なぜならCにおけるこの変異は、宿主インターフェロン応答およびアポトーシス応答を増大し、その両方が免疫原性を増大する能力を有するからである。CΔ170変異は、重複するPおよびC ORF中の6ヌクレオチド欠失からなる。C ORFでは、これは、2つのアミノ酸の欠失、および第3のアミノ酸の置換を生じるが(具体的には、三つ組み168-RDF-170は、単一アミノ酸Sに変化された)、重複するP ORFでは、これは、2つのアミノ酸の欠失を生じる(172-GF-173)。欠失変異は、安定性増大を有すると考えられる。なぜなら、それらは、同じ部位の復帰突然変異のリスクが低いことに起因して、より大きい遺伝子型および表現型の安定性を付与するからである。LY942A変異は、温度感受性である。これは、L ORFにおけるミスセンス変異(942-Y~A)であって、これは、直接証明されたように(McAuliffeら 2004.J Virol 78:2029~2036)、脱弱毒化されるために高度に抵抗性であるように3nt置換を含むように設計された(図42)。(ii)本研究で検討された第2のパラメーター(HPIVゲノム中の外来遺伝子の挿入の位置)は、重要である。なぜなら、これは、外来遺伝子の発現のレベルに影響し、同様にそのベクターに対するその弱毒化の影響にも影響するからである。HPIVゲノムでは、プロモーターにより近いRSV F遺伝子の挿入は、転写勾配に起因して、より高いレベルの発現を提供すると期待されよう。しかし、外来遺伝子がプロモーターに近いほど、影響し得る下流ベクター遺伝子の数は多い。なぜなら、これらのベクター遺伝子の各々が、現在、プロモーターからさらに除去された1つの位置であり、結果として発現効率が低いからである。さらに、第1の位置における外来遺伝子の配置は、プロモーターの機能に影響する能力を有する。外来遺伝子の挿入はまた、予測できない効果を有し得る。これは、また、ゲノム長および遺伝子数の増大などの効果を通じて減弱し得る。
6つのウイルス(2つの異なる弱毒化HPIV1骨格中のRSV Fの3つの異なる挿入部位に相当する)を構築し、逆遺伝学によってレスキューし、in vitro複製、ならびにRSV Fおよびベクタータンパク質の発現について解析した。ハムスターモデルを使用して、in vivoの複製(上気道および下気道)、ワクチンウイルス安定性、免疫原性、およびwt RSVチャレンジに対する防御を評価した。
材料および方法
細胞およびウイルス。LLC-MK2(ATCC CCL-7)アカゲザル腎臓およびVero(ATCC CCL-81)アフリカミドリザル腎臓細胞株を、5%ウシ胎仔血清(FBS;HyClone/Logan、UT)および1mMのL-グルタミン(Life Technologies)を補充したGlutaMAX(Life Technologies,Grand Island,NY)を含むOpti-MEMI培地中で維持した。BSR T7/5細胞は、T7 RNAポリメラーゼを構成的に発現するベビーハムスター腎臓21(BHK-21)細胞である(Buchholzら.1999.J Virol 73:251~259)。これらの細胞は、10%のFBS、2mMのL-グルタミンおよび2%のMEMアミノ酸(Life Technologies)を補充したGlasgow最小必須培地(GMEM;Life Technologies)中で維持した。培地にはまた、継代1つおきに2%ジェネティシン(Life Technologies)を補充して、T7ポリメラーゼ構築物を保有する細胞を選択した。
HPIV1を、LLC-MK2細胞中で増殖させた。ウイルス接種前に、5%FBSを含有する培地中で増殖したLLC-MK2細胞を、1×リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いて2回洗浄して、FBSを除去した。HPIV1による感染は常に、1.2%トリプシン(TrypLE Select;Life Technologies)、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン(Life Technologies)および1mMのL-グルタミンを含有する無血清のOpti-MEMI培地中で行った。感染させた細胞を、細胞変性効果の出現まで32℃でインキュベートした。ウイルスストック回収に関して、培養上清を回収して、1500rpmで10分間4℃で遠心分離することによって清澄化した。ウイルスストックのアリコートを、ドライアイス上で急速凍結して、-80℃で保管した。HPIV1力価を、上記のように1.2%トリプシンを含有する無血清Opti-MEMI培地を用いてLLC-MK2細胞上で96ウェルプレート中で10倍階段希釈によって決定し、続いて32℃で7日間インキュベーションした。感染された細胞を、モルモット赤血球を用いて赤血球吸着(HAD)によって検出し、力価を、前に記載のとおり(Bartlettら.2006.Vaccine 24:2674~2684)、log10組織培養感染用量50%(TCID50/ml)として算出した。各々のウイルスの温度感受性(ts)表現型は、前に記載のとおり(Skiadopoulosら.1999.Vaccine 18:503~510)32、35、36、37、38、39および40℃でそれらの複製効率を評価することによって研究した。各々のウイルスの滴定は、上記のように、LLC-MK2細胞の96ウェルの複製プレート中で行い、7日間種々の温度で温度制御水浴中で、密閉容器中でインキュベートした。力価を、HADによって決定して、TCID50/mlとして報告した。
RSV F抗原を発現するrHPIV1-CΔ170およびrHPIV1-LY942Aウイルスの設計。rHPIV1ウイルスは、野性型(wt)HPIV1株 Washington/20993/1964(GenBank accession AF457102)(Newmanら.2002.Virus Genes 24:77~92)由来の逆遺伝学システムを用いて構築した。HPIV1の組み換え全長アンチゲノムcDNAクローン(pFLC)を、3つの追加の固有の制限部位を含むように部位指向性突然変異誘発によって改変した:MluI(ACGCGT、プレ-N位置、ヌクレオチド数113~118)、AscI(GGCGCGCC、N-P位置、ヌクレオチド数1776~1783)およびNotI(GCGGCCGC、P-M位置、ヌクレオチド数3609~3616)。2つの弱毒化cDNA骨格を、CΔ170(Bartlettら.2007.Virology J 4:67)またはLY942A(Bartlettら.2007.Virology J 4:67;McAuliffeら.2004.J virology 78:2029~2036)のいずれかの変異を、それぞれP/CまたはL ORFの中に、QuikChange Lightning Mutagensis Kit(Agilent、Santa Clara、CA)を、製造業者の指示に従って用いて導入することによって生成した。以下の突然変異誘発プライマーを使用して、弱毒化されたHPIV1骨格を生成した。HPIV1 CΔ170変異に関しては、フォワードプライマーは、AAGAAGACCAAGTTGAGCCAGAAGAGGTACGAAG(配列番号121)であり、かつリバースプライマーは、CTTCGTACCTCTTCTGGCTCAACTTGGTCTTCTT(配列番号122)であった。これらのプライマーは、6つの規則を維持しながらP/C ORF(図42)と比較して17位置と18位置との間に6-ヌクレオチド欠失(GGATTT)を導入した(Calainら.1993.J Virol 67:4822~4830;Kolakofskyら.1998.J Virol 72:891~899)。前に記載のとおり(Bartlettら.2007.Virology J 4:67)、P/C ORF中のCΔ170欠失は、R168S置換、ならびに169~170位置からのDおよびFの欠失を含み、RDFからSへのCタンパク質のアミノ酸配列における変化を生じる。この変異はまた、位置172~173へのG残基およびF残残基の2つの欠失を含むP ORFにも影響する。LY942A変異に関しては、フォワードプライマーは、CCAGCTAACATAGGAGGGTTCAACGCGATGTCTACAGCTAGATGTTTTGTC(配列番号123)であって、リバースプライマーは、GACAAAACATCTAGCTGTAGACATCGCGTTGAACCCTCCTATGTTAGCTGG(配列番号124)であった。これらのプライマー配列では、L ORF中のaa942における変異部位TAT(Y)~GCG(A)には下線を付す。突然変異誘発プライマー対は、精製されたPAGE 2-Stepであった(Operon,Huntsville,AL)。次いで、配列決定によって決定した、所望の変異を有するクローンをプラスミドmaxiprep(EndoFree Plasmid Maxi Kit;Qiagen)によって精製して、全体に配列決定した。CΔ170またはLY942A変異のいずれかを有するrHPIV1 pFLCを、MluI、AscI、またはNotI酵素(New England Biolabs,Ipswich MA)で消化して、Calf Intestinal Phosphatase(New England Biolabs)で処理して、ゲル抽出(QIAEX II Gel Extraction Kit;Qiagen,Valencia CA)によって精製した。
HEKアミノ酸アサインメントを有する株A2由来のRSV F遺伝子:それぞれaa位置66および101のGluおよびPro(Whiteheadら.1998.J virology 72:4467~4471)を、ヒトコドン用法について最適化した(GeneArt,Life Technologies,Grand Island,NY)。RSV F遺伝子インサートは、(図36)HPIV1転写調節性配列:独立した転写物としてRSV F発現を可能にする遺伝子末端(GE)-遺伝子間(IG)-遺伝子開始(GS)シグナルを含むように設計した。全ての構築のために、RSV F遺伝子インサートを、HPIV1 N GE(AAGTAAGAAAAA、配列番号125)およびP GS(AGGGTGAATG、配列番号126)配列を、保存されたIG配列(CTT)とともに含み、一方ではP GSについて+1位相を維持するように設計した。RSV Fインサートを、それぞれ、第1のプレ-N(F1)、第2のN-P(F2)、または第3のP-M(F3)位置での挿入のために、HPIV1 FLC中のものに対して相補的な対応する隣接するMluI、AscI、またはNotI制限部位を用いてPCRによって生成した(図36)。以下のPCRプライマーを用いて、RSV Fインサートを生成した。第1のF1遺伝子位置中への挿入のためにMluI制限部位を含むRSV F断片に関して、フォワードプライマーは、ACGCGTCCCGGGAACAATGGAACTGCTGATCCTGAAGGCCAACGCC(配列番号127)であり、かつリバースプライマーは、ACGCGTCGTACGCATTCACCCTAAGTTTTTCTTACTTTCTATCAGTTGGAGAAGGCGATATTGTTGATGCCGG(配列番号128)であった。第2のF2遺伝子位置中への挿入のためにAscI制限部位を含むRSV F断片に関して、フォワードプライマーは、GGCGCGCCCCCGGGAACAATGGAACTGCTGATCCTGAAGGCCAACGCC(配列番号129)であって、およびリバースプライマーは、GGCGCGCCCGTACGCCATTCACCCTAAGTTTTTCTTACTTGATTCTATCAGTTGGAGAAGGCGATATTGTTGATGCCGG(配列番号130)であった。第3のF3遺伝子位置中への挿入のためにNotI制限部位を含むRSV F断片に関して、フォワードプライマーは、GCGGCCGCCCGGGAAGTAAGAAAAACTTAGGGTGAATGAACAATGGAACTGCTGATCCTGAAGGCCAACGCC(配列番号131)であって、リバースプライマーは、GCGGCCGCCGTACGCTATCAGTTGGAGAAGGCGATATTGTTGATGCCGG(配列番号111)であった。
RSV F抗原を発現するrHPIV1 CΔ170およびrHPIV1 LY942Aウイルスの回復。第1(HPIV1 CΔ170-F1)、第2(HPIV1 CΔ170-F2)、および第3(HPIV1 CΔ170-F3)位置からRSV Fを発現するrHPIV1 CΔ170骨格、ならびに第1(HPIV1 LY942A-F1)、第2(HPIV1 LY942A-F2)、および第3(HPIV1 LY942A-F3)位置からRSV Fを発現するrHPIV1 LY942Aウイルスを、cDNAから、HPIV1逆遺伝学システム(Newmanら.2002.Virus Genes 24:77~92)を使用することによって、T7 RNAポリメラーゼを構成的に発現するBSR T7/5細胞中でレスキューした(Buchholzら.1999.J.Virology 73:251~259)。このrHPIV1 cDNAは、Washington/20993/1964(HPIV1 WASH/64)臨床単離体由来である。BSR T7/5細胞は、6ウェルプレート中で90%コンフルエンシーまで増殖させ、アンチゲノムpFLCプラスミド(5ug)を用いて同時トランスフェクトして、以前に記載のとおり(Bartlettら.2005.Vaccine 23:4631~4646;Newmanら.2002.Virus Genes 24:77~92)、Lipofectamine 2000(20ul)(Life Technologies)を用いて、それぞれ、HPIV1 N、PおよびLタンパク質を発現するpTM-N(0.8ug)、pTM-P(0.8ug)およびpTM-L(0.1ug)支持プラスミドとともにレスキューさせた。トランスフェクトされた細胞を37℃で一晩インキュベートして、OptiMEM培地(Life Technologies,Grand Island,NY)を用いて2回洗浄し、新鮮なOptiMEM(1mMのL-グルタミンおよび1.2%トリプシン含有)を細胞に添加した後に、32℃でインキュベーションした。トランスフェクションの48時間後、細胞を、培地中への擦り落とすことによって回収し、細胞懸濁物を、OptiMEM、1mMのL-グルタミン、1.2%トリプシン(Life Technologies)中で、LLC-MK2細胞の50%コンフルエント単層に添加し、32℃でインキュベートした。ウイルスを、7日後に回収して、さらに32℃でLLC-MK2細胞中で1継代(HPIV1-CΔ170)または2継代(HPIV1-LY942A)によってさらに増幅した。ウイルス力価を、上記のように96ウェルプレート中で、LLC-MK2細胞での10倍連続希釈によって決定した。全ての組み換えウイルスを配列決定して、偶発性の変異の欠失を確認した。このために、ウイルスRNAを、ウイルスストックから抽出して(QiaAmp Viral RNA Mini Kit;Qiagen,Valencia,CA)、RNaseなしのDNase I(Qiagen)を用いて処置して、ウイルスレスキューに用いたプラスミドDNAを取り除いた。RNAを逆転写し(SuperScript First-Strand Synthesis System for RT-PCR;Invitrogen/Life Technologies)、および重複するゲノム領域は、RT-PCR(Advantage-HF 2 PCR Kit;Clontech Laboratories)によって増幅した。逆転写酵素を欠くRT-PCR対照を、全てのウイルスに含み、これによって、増幅産物は、ウイルスRNA由来であること、およびウイルス回復に用いられるpFLC cDNAに由来しないことが示された。各々のウイルス構築物のゲノム配列は、重複する、増幅したRT-PCR生成物の直接サンガー配列決定によって決定した。配列の読み取りを整列させて、ゲノム配列は、Sequencher program-version 5.1を用いてアセンブルした(Gene Codes Corporation,Ann Arbor,MI)。
Vero細胞およびLLC-MK2細胞におけるキメラrHPIV1ウイルスの複製。6ウェルプレート中のVero細胞またはLLC-MK2細胞単層の三連のウェルを、0.01 TCID50という感染の多重度(MOI)で、RSV F(F1、F2、またはF3)を発現するHPIV1(CΔ170またはLY942A)ウイルス、または空のHPIV1 CΔ170もしくはHPIV1 LY942Aベクター、またはwt HPIV1を用いて感染させた。培養物を32℃でインキュベートした。全部で2mlの細胞培養上清培地からの0.5mlのアリコートを、各々のウェルから24時間間隔で収集し、新鮮培地で置き換えた。そのサンプルを急速凍結させて、-80℃で保管した。ウイルス力価(log10 TCID50/ml)は、LLC-MK2細胞での連続希釈によって、続いて、上記のHADによる感染細胞の検出によって決定した。
ウエスタンブロッティングによるRSV FおよびHPIV1ベクタータンパク質発現の解析。Vero細胞(1×106)に、3つのゲノム位置(F1、F2、またはF3)のいずれかからRSV Fを発現するHPIV1 CΔ170またはHPIV1 LY942A構築物を感染させた。空のHPIV1 CΔ170およびHPIV1 LY942Aベクター、wt HPIV1、およびモック処置細胞を、対照として用いた。感染は、1細胞あたり5TCID50というMOIで行い、32℃でインキュベートした。感染後(感染後)48時間で、単層を、PBSを用いて2回洗浄して、400ulの1×LDSサンプル緩衝液(Life Technologies)を用いて溶解した。電気泳動のために、溶解液を、1×還元試薬(Life Technologies)との混合および37℃で30分間のインキュベーションによって還元して変性した。還元された変性された溶解液(40μl)を、4~12%のBis-Tris NuPAGEゲル(Novex-Life Technologies)にロードして、電気泳動を、1×MOPS緩衝液中で行った。タンパク質を、iBlotタンパク質転写システム(Life Technologies)を用いてPVDF膜に転写した。膜を、Licorブロッキング緩衝液(Licor Inc.Lincoln,NE)中で1時間ブロックして、マウスモノクローナルRSV F特異的な抗体(ab43812;Abcam,Cambridge,MA)およびウサギポリクローナルHPIV1 N特異的な抗体(HPIV1-N-485)を、ブロッキング緩衝液中で、1:1000希釈で用いてプローブした。HPIV1-N-485を、前に記載のとおり(Bartlettら.2010.Vaccine 28:767~779)、アミノ酸(aa)残基485~499のNにまたがるKLHコンジュゲートのNペプチドによるウサギの免疫によって生成した。同じ設定の溶解液で行った複製ブロットを、KLHコンジュゲートペプチドによるウサギの反復免疫によって惹起され、1:200希釈で使用されたHPIV1 P(SKIA-1)、F(SKIA-15)、またはHN(SKIA-13)についてウサギポリクローナル血清でプローブした。上記の抗体との一晩のインキュベーション後、膜を4×で、各々5分洗浄し、続いて、Licorブロッキング緩衝液で希釈した二次抗体とともに1時間インキュベーションした。対応する赤外線色素コンジュゲート二次抗体は、ヤギ抗マウスIRDye 680LTおよびヤギ抗ウサギIRDye800CW(LiCor)であった。膜をスキャンして、ブロット画像を、Odyssey赤外線画像化システム(LiCor)を用いて獲得した。3つの独立した実験由来のタンパク質バンドの蛍光強度を、Licor画像解析スイート(Image Studio)を使用することによって定量して、F3ウイルスに対して、RSV FまたはHPIV1ベクタータンパク質(N、P、F、およびHN)の発現として報告した。
蛍光二重染色プラークアッセイによって決定したRSV Fを発現するビリオンのパーセンテージ。赤外線蛍光ベースの2色プラークアッセイを開発して、Vero細胞単層上でRSV Fを発現するHPIV1ベクターによって形成されるプラーク中のRSV FおよびHPIV1タンパク質の発現を同時に検出した。各々のウイルスは、1mMのL-グルタミンおよび1.2%トリプシンを含むOptiMEM培地中で10倍連続希釈し、100μlの各希釈液を、24ウェルプレート中で増殖したVero細胞単層二倍で添加した。接種された細胞を、振盪器で32℃で2時間インキュベートし、その後、0.8%メチルセルロース(Sigma Aldrich,St.Louis,MO)、1mMのL-グルタミン、4%トリプシン、100U/mlペニシリン、および100μg/mlのストレプトマイシンを含有する積層OptiMEMI培地を各々のウェルに添加した。ウイルスサンプル由来の動物組織に関して、Timentin(200mg/ml)、Ampicillin(100mg/ml)、クレオシン(Cleocin)(150mg/ml)、およびアンホテリシン(Amphotericin)B(250μg/ml)を、ペニシリンおよびストレプトマイシンの代わりに、メチルセルロース重層に含めた。32℃で6日間のインキュベーション後、細胞を、80%冷メタノールを用いて2回固定した。rHPIV1-RSV Fプラークを、前に記載のとおり(Murphyら.1990.Vaccine 8:497~502)、各々1:2000希釈で3つのRSV F特異的なモノクローナル抗体およびHPIV1特異的なヤギポリクローナル抗体(ab20791;Abcam)のLicorブロッキング緩衝液の中で1:1600希釈での混合物とともに同時免疫染色することによって、感染されたVero細胞単層上で検出した。1時間のインキュベーション後、細胞を、1mlのブロッキング緩衝液を用いて1回洗浄し、赤外線色素コンジュゲートのヤギ抗マウス680LTおよびロバ抗ヤギ800CW(LiCor)を、各々ブロッキング緩衝液中に1:800希釈で含有する二次抗体混合物とともにインキュベートした。細胞を1×PBSを用いて2回洗浄し、同時染色したプラークの画像をOdyssey赤外線画像化システム(LiCor)上でプレートをスキャンすることによって獲得した。50プラーク未満を含むウェルを分析のために選択し、RSC F発現について陽性のrHPIV1プラークのパーセンテージを決定した。このアッセイを使用して、ワクチン接種物において、およびin vivo複製後のハムスターから単離されたウイルス中でRSV Fを発現する集団のパーセントを決定することによってRSV F発現の安定性を評価した。
ハムスター研究
ハムスターにおけるウイルス複製。全ての動物研究は、国立衛生研究所(NIH)の動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)(IACUC)によって承認された。感染後3日目および5日目の各々のウイルスのin vivo複製、および免疫原性を、ハムスターで評価した。6週齢のゴールデンシリアンハムスターを、それぞれ、血球凝集抑制(HAI)アッセイおよびRSV中和アッセイによって、免疫前血清を解析することによって、HPIV1およびRSVについて血清陰性であると確認した(Coatesら.1966.Am J Epidemiol 83:299~313;Coatesら.1966.J Bacteriol 91:1263~1269;van Wyke Coelinghら.1988.J Infect Dis 157:655~662)。1ウイルスあたり6匹のハムスターの群を麻酔して、動物1匹あたり105 TCID50のウイルスを含有する、0.1mlのL15培地(Life Technologies)を鼻腔内に接種した。複製を評価するために、ハムスターを感染後3日目および5日目に安楽死させて、鼻甲介および肺をウイルス滴定のために収集した。チメンチン(Timentin)(200mg/ml)、アンピシリン(Ampicillin)(100mg/ml)、クレオシン(Cleocin)(150mg/ml)、およびアンホテリシン(Amphotericin)B(250 ug/ml)を含むL15培地中の組織ホモジネートを、LLC-MK2細胞での連続希釈によって滴定し、続いて、HADによってウイルス感染を検出した。ウイルス力価は、ハムスター組織1グラムあたりのTCID50として報告した。組織ホモジネートはまた、Vero細胞でプラークアッセイによって滴定し、上記のような蛍光二重染色プラークアッセイを用いることによってRSV FおよびHPIV1タンパク質の発現について染色した。結果を、RSV Fを発現するHPIV1プラークのパーセントとして報告した。
免疫原性
RSVおよびHPIV1に対する血清中のウイルス中和抗体(NAb)の誘導[60%プラーク減少中和試験(PRNT60)]。ワクチン候補の免疫原性を評価するために、ハムスターを上記のように免疫して、血清を免疫後28日でハムスターから収集した。RSV特異的な中和抗体(NAb)の力価は、eGFP発現性RSV(Munirら.2008.J Virol 82:8780~8796)を使用して、前に記載のように(Coatesら.1966.Am J Epidemiol 83:299~313)Vero細胞でPRNT60によって決定した。ハムスター血清を、56℃で30分間インキュベートして、補体タンパク質を不活性化し、続いて96ウェルプレート中でOpti-MEMI、2%FBS、1×ゲンタマイシン培地中で連続希釈した。Opti-MEM、2%FBS、1×ゲンタマイシン、10%モルモット補体中で希釈したRSV-eGFP(Yoderら.2004.J medical virology 72:688~694)(Lonza,Walkersville,MD)をさらに、等容積の連続希釈された血清サンプルとの混合によって1:1希釈し、続いて37℃で30分インキュベーションした。100μlの容積の血清-ウイルス混合物を、24ウェルプレート中で増殖されたVero細胞に添加し、ウイルスを32℃で振盪器上で2時間吸着させた。Opti-MEMI、8%メチルセルロース、2%FBS、1×ゲンタマイシンの積層を、添加して、5~6日間インキュベートし、プラーク形成を可能にした。単層上のRSVプラークを、Typhoon Imagerを用いて画像を走査および獲得することによって可視化した(GE Healthcare,Piscataway,NJ)。各々のサンプルのプラークカウントを、決定して、NAb力価を、上記のとおり決定した(Coatesら.1966.Am J Epidemiol 83:299~313)。HPIV1-特異的なNAbの力価はまた、以下の改変を有するGFP発現性rHPIV1を用いて、RSVについて記載されるとおりの方法を用いて、Vero細胞上で60%プラーク減少アッセイによって決定した:第1、HPIV1中和アッセイの場合、モルモット補体は、ウイルスを中和することが見出されたので、使用せず、第2に、接種されたVero細胞を、血清を除去するためにウイルス吸着後に1×PBSで2回洗浄し、そして第3に、4%トリプシンを含有し、かつFBSを欠いているメチルセルロース積層培地を使用した。
ワクチン候補物がRSV感染に対して防御する能力を、106PFUのwt RSV株A2を含有する0.1mlのL15培地を用いる鼻腔内接種による免疫後30日でハムスターのチャレンジ感染によって試験した。ハムスターを安楽死させて、鼻甲介および肺をチャレンジ後3日目で回収し、これらの組織中のチャレンジRSVのウイルス負荷を、Vero細胞でのプラークアッセイによって決定した(Durbinら.2003.Clinical infectious diseases 37:1668~1677;Luongoら.2013.J virology 87:1985~1996)。
結果
3つの異なるゲノム位置からRSV Fタンパク質を発現する2つの弱毒化HPIV1骨格(rHPIV1 CΔ170およびrHPIV1 LY942A)の作製。2つの弱毒化HPIV1骨格を調製し、これは、脱弱毒化に対する安定性のために設計された、異なる、前に特定された弱毒化変異(すなわち、CΔ170およびLY942A)を各々が含んだ(序、図36および42)。CΔ170変異は、温度感受性を付与しないが、LY942A変異は、温度感受性変異であった。次に、株A2のRSV F ORFは、ヒト発現のためにコドン最適化されて、HPIV1遺伝子開始および遺伝子末端シグナルの制御下であるように遺伝子操作し、rHPIV1 CΔ170およびrHPIV1 LY942A骨格中に、3つの異なる、平行なゲノム位置で:すなわち第1遺伝子位置(プレ-N、rHPIV1 CΔ170-F1およびrHPIV1 LY942A-F1を生成);第2遺伝子位置(N-P、rHPIV1 CΔ170-F2およびrHPIV1 LY942A-F2を生成):および第3遺伝子位置(P-M、rHPIV1 CΔ170-F3およびrHPIV1 LY942A-F3を生成)で挿入した(図36)。各々の構築物は、「6規則(rule of six)」に従う(Calainら.1993.J Virol 67:4822~4830)。各々のベクター遺伝子は、そのもとの六量体スペーシングを維持し、一方、F1、F2、およびF3インサートは、それぞれ、もとのN、P、およびP遺伝子のもとの六量体スペーシングを仮定した。RSV Fタンパク質はまた、HEKアミノ酸アサインメント、GluおよびProを、それぞれ、66および101残基で保持し(Whiteheadら.1998.J virology 72:4467~4471)、これは、株A2の初期継代由来のRSV Fの配列と一致し、また、ほとんどの他の臨床単離体とも一致している。
rHPIV1/RSV Fウイルスを、逆遺伝学によって回収した。全てのウイルスを、rHPIV1 LY942A-F2構築物を除いて容易にレスキューし、これは、低い効率で回収され、ワーキングプールを作製するには多数の継代が必要であると思われた。各々のウイルスの完全な配列を決定して、偶発性の変異がないことを確認した。全てのrHPIV1/RSV-Fウイルスワーキングプールは、rHPIV1 LY942A-F2ウイルスを除いて見かけの偶発性の変異は無かった:このウイルスに関して、9つのクローンをレスキューし、そのうちの1つだけが、偶発性の変異を欠く正確なゲノム配列を有した。他の8つのクローンは、偶発性の変異を含み、これは、HPIV1 N遺伝子の下流のHPIV1転写シグナル(N遺伝子末端-遺伝子間-P遺伝子開始)および先行するRSV F ORFにおいて優勢であった。平行なrHPIV1 LY942A-F2およびrHPIV1 CΔ170-F2構築物の第2の位置におけるRSV F遺伝子の挿入部位は同一であったので、これによって、前者のウイルスによる問題は、それ自体による挿入部位ではなく、LY942A変異(例えば、変更したポリメラーゼ機能)に特異的であったことが示唆される。
VeroおよびLLC-MK2細胞におけるHPIV1/RSV Fウイルスの複製。HPIV1/RSVウイルスの複製は、Vero細胞(図37Aおよび37C)およびLLC-MK2細胞(図37Bおよび37D)中で、それらの多段階増殖反応速度論を決定することによってin vitroで評価した。細胞に、0.01 TCID50というMOIで感染させて、32℃でインキュベートした。上清を、7日にわたって24時間間隔で回収して、ウイルス力価をHADによって決定し、TCID50/mlとして報告した(図37)。スチューデントのt検定を使用して、感染後(p.i.)2日目および7日目についてwt HPIV1に対する各々のウイルスの力価の間の相違の統計学的有意差を決定した。7日目に、全てのウイルスが、Vero細胞中で7.2 log10 TCID50/ml、LLC-MK2細胞では、7.4 log10 TCID50/mlよりも大きい最終力価まで複製し、ウイルスの間はわずかな相違であって、両方の細胞株では、wt HPIV1と比較して統計学的に有意ではなかった(図37)。しかし、相違は、より早期の時点で、特に感染後(p.i.)2日目で観察された。rHPIV1 CΔ170ウイルスの場合(図37AおよびB)には、rHPIV1 CΔ170空ベクターおよびrHPIV1 CΔ170-F3は、感染後2日目で両方の細胞株中でwt HPIV1と同様に複製した。しかし、rHPIV1 CΔ170-F1の複製は、Vero細胞(p<0.001)およびLLC-MK2細胞(p<0.05)で有意に低下し、およびrHPIV1CΔ170-F2のものは、Vero細胞で有意に低下した(p<0.01)。rHPIV1 LY942Aウイルス(図37Cおよび37D)について、rHPIV1 LY942A空ベクターの複製は、Vero細胞ではwt rHPIV1のものより有意に低く、ただし、両方とも感染後2日目のLLC-MK2細胞で同様の力価まで増殖した。wt rHPIV1と比較した複製の高度に有意な低下(p<0.0001)が、Vero細胞でrHPIV1 LY942A-F1、-F2および-F3ウイルスで観察された。同様に、rHPIV1 LY942A-F1、-F2、および-F3ウイルスは、LLC-MK2細胞での複製の有意な低下(それぞれp<0.01、p<0.0001、およびp<0.01)を示した。Vero細胞では、rHPIV1 LY942A-F1は、その親のrHPIV1 LY942A空ベクターと同じ速度で増殖したが、rHPIV1 LY942A-F2および-F3ウイルスの増殖(図37C)は、比較的低下し、ただし、キメラウイルスの間のこれらの相違は、統計学的に有意ではなかった。
キメラrHPIV1/RSV-FウイルスによるRSV FおよびHPIVベクタータンパク質の発現。RSV Fタンパク質ならびにHPIV1ベクターN、P、FおよびHNタンパク質の発現は、ウエスタンブロット解析によって全てのウイルスについて評価した。Vero細胞を5 TCID50というMOIで感染させ、32℃で48時間インキュベートした。変性および還元された溶解液を、SDS-PAGEおよびウエスタンブロットに供し、各々の個々のタンパク質に特異的な抗体を用いて解析した。RSV Fは、最初に、ジスルフィド連結F1およびF2サブユニットへのフリン様プロテアーゼによる翻訳後切断であるF0前駆体として翻訳される。RSV Fに特異的なモノクローナル抗体での免疫染色によって、F0(70kD)およびF1(48kD)の両方が検出された。HPIV1 N、P、F、およびHNタンパク質を、対応する抗ペプチドポリクローナル抗体で検出した。3つの独立した実験のうち1つからの代表的なブロットを、図38Aに示し、3つ全ての実験からの結果を、それぞれ図38Bおよび図38CのrHPIV1 CΔ170および rHPIV1 LY942A構築物について定量し、値を各々のシリーズ中のF3構築物のものに対して1.0として正規化した。
HPIV1 CΔ170-F1、-F2、およびF3ウイルスは、かなりの量のRSV
Fを発現し(図38A,レーン1-3、および図38B)、これはタンパク質のバンド定量によって示されるように、F3と比較した場合、F1およびF2についてごくわずかに高く(図38B)、相違は統計学的に有意ではなかった。従って、予期せぬことに、F1からF3の発現の3’-5’極性勾配は観察されなかった。しかし、対照的に、RSV F発現の強力な極性の勾配が、HPIV1 LY942Aウイルスの場合に観察され、F1ウイルスによるRSV Fの発現は、F2(p<0.01)およびF3(p<0.05)ウイルスと比較して有意に高かった(図38A、レーン5-6、および図38C)。
ベクターN、P、F、およびHNタンパク質の発現は、wt HPIV1、空ベクター、ならびにF1、F2、およびF3構築物について、CΔ170およびLY942Aシリーズについて評価した。一般には、CΔ170変異は、ベクタータンパク質発現には影響せず、rHPIV1 CΔ170空ベクターは、wt rHPIV1のものと同様のベクタータンパク質発現プロフィールを有したという結果であった(図38B)。RSV Fを発現する3つのバージョンのrHPIV1CΔ170ベクターの場合、F3ウイルスは、N、P、F、およびHNを、空のrHPIV1CΔ170ベクターのレベルと同様のレベルで発現した。F2ウイルスは、空のrHPIV1CΔ170ベクターと同様のNタンパク質を発現したが、P、F、およびHNタンパク質の発現の低下を示し、そのうち、HNの低下のみが、空ベクターと比較して統計学的に有意であった。F1ウイルスは、空ベクターに比較して、N(p<0.05)、P(p<0.01)、F(p<0.05)、およびHN(p<0.05)を含む全てのベクタータンパク質で有意な低下を実証した。従って、rHPIV1 CΔ170ベクターへのRSV F遺伝子の挿入は、F3ウイルスを除いて下流ベクター遺伝子の発現を低下した。F1およびF2ウイルスの両方が、Vero細胞の感染の間早期に有意に低下した複製を示し(図37A)、およびベクタータンパク質の低下の合成によって、妥当な説明が得られる。
CΔ170変異とは対照的に、LY942A変異は、ベクタータンパク質の発現に影響した:具体的には、wt HPIV1と比較して、rHPIV1 LY942A空ベクターは、Pタンパク質(p<0.05)、Fタンパク質(p<0.05)、およびHNタンパク質(P<0.01)の発現が有意に低下しており、Nタンパク質については有意な相違はなかった(図38A、C)。RSV Fを発現するrHPIV1 LY942Aの3つのバージョンの場合、F3ウイルスは、空ベクター骨格と比較してベクタータンパク質の量が軽度に低下していたが、有意な低下はなかった。興味深いことに、有意なベクタータンパク質低下のこの欠失は、rHPIV1 CΔ170-F3ウイルスと一致しており、F3インサート位置が、ベクタータンパク質発現を妨害せず、ベクターを妨害する部位が最小である部位を提供することが示唆される。F2ウイルスは他方では、rHPIV1 LY942A空ベクターと比較して、N、P、F、およびHNタンパク質において、極めて顕著でかつ有意な低下を示した。比較すると、rHPIV1 CΔ170-F2ウイルスはまた、P、F、およびHNタンパク質の発現の低下を示したが、Nタンパク質の発現の低下は示さなかった。これは、予測された。なぜなら、第2のF2位置のNの後ろの挿入は、3’-5’極性転写勾配に起因して下流遺伝子の発現を低下すると予想されるが、上流のN遺伝子は、観察されたとおり影響されないと予想されるからである。しかし、予期せぬことにrHPIV1 LY942A-F2の場合、RSV Fは、N遺伝子の下流に挿入されたが、Nタンパク質の発現もネガティブに影響された。rHPIV1 LY942A-F1は、Nタンパク質の場合にのみ有意に低下した発現を有したが、P、F、およびHNタンパク質の発現は、rHPIV1 LY942A空ベクターの発現と匹敵していた。
rHPIV1/RSV-Fベクターによる合胞体形成の比較。in vitroでのRSV感染の特徴は、RSV Fタンパク質によって媒介される特徴的な合胞体形成である。wt HPIV3またはrHPIV1 CΔ170またはLY942A空ベクターによるLLC-MK2細胞単層の感染は、明白な合胞体形成を誘導しなかった(図39、それぞれパネルI、D、またはH)。尖鋭な対比で、高レベルのRSV Fタンパク質を発現するHPIV1ベクター、すなわち、rHPIV1 CΔ170-F1および-F2ウイルス(図39Aおよび図39B)およびrHPIV1-LY942A-F1ウイルス(図39E)は、高レベルの合胞体を誘導した。合胞体形成は、RSV Fタンパク質の発現のレベルが、F1およびF2ウイルスを用いたよりもごくわずかに低い場合でさえ(図38)、rHPIV1 CΔ170-F3ウイルス(図39C)では証明されなかった(図38)。合胞体形成はまた、rHPIV1-LY942A-F2および-F3ウイルスでは証明されておらず(図39Fおよび39G)、これは、極めて低いレベルのRSV Fタンパク質を発現した(図38)。この機能的なアッセイ(合胞体形成)によって、HPIV1ベクターから発現されたRSV Fタンパク質が折り畳まれて、正確にプロセシングされ、細胞表面で活性形態で蓄積することが示唆される。
さらに、CΔ170変異は、第2の細胞変性効果、すなわちアポトーシス増大と関連していた。これは、rHPIV1-CΔ170空ベクターで最も明白であった(図39D)、なぜならアポトーシスの増強は、合胞体形成の非存在下でさらに容易に観察されたからである。CΔ170変異に起因するアポトーシスの誘導の増強は、高レベルのRSV-Fの発現にかかわらず(図38B)、rHPIV1-LY942A-F3ウイルスがなぜ合胞体形成を誘導するのに効果的ではないかが説明される(図39C):CΔ170-媒介性の強化されたアポトーシスと関連する細胞の丸まり(例えば、図39D)は、合胞体形成に必須の細胞間接触を低下し得ることを示唆することが合理的であるが、他の構築物を伴うRSV Fの極めて効率的な発現によって、合胞体形成がアポトーシス効果を克服するのに十分早期に開始することが可能になる場合がある(例えば、図39B対図39C)。
図39でのLLC-MK2細胞で行った観察は、Vero細胞でも得られた。
rHPIV1/RSV-Fウイルスの温度感受性。注記したとおり、CΔ170変異は、以前の研究ではts表現型を付与しなかったが、LY942A変異は、ts表現型を付与した(McAuliffeら.2004.J virology 78:2029~2036;Newmanら.2004.J Virol 78:2017~2028)。HPIVベクターへのRSV Fの挿入はまた、ts表現型を付与することが示された(Liangら.2014.J virology 88:4237~4250)。従って、HPIV1/RSV-F構築物をts表現型の存在および大きさに関して評価した。具体的には、10倍連続希釈物を調製して、LLC-MK2細胞を感染するのに使用して、7つの複製物中で、32、35、36、37、38、39、および40℃でインキュベートした。ウイルス力価は、モルモット赤血球を用いてHADによって決定し、力価は、log10TCID50/mlとして報告した(図43)。32℃の許容温度での力価と比較した各々の制限温度での力価の低下(log10)を算出した。所定のウイルスについてのシャットオフ温度は、最低制限温度として規定し、ここで32℃に対するその温度でのウイルス力価の平均log10低下は、同じ2つの温度でのwt rHPIV1の低下と比較して、≧2.0 log10であった(Bartlettら.2005.Vaccine 23:4631~4646)。ts表現型は、≦40℃というシャットオフ温度を有すると規定した。
CΔ170変異は、以前の研究ではts表現型を付与しなかったが、本研究では、rHPIV1 CΔ170空ベクターは、40℃というシャットオフ温度を有し(図39)、従って、wt HPIV1と比較してtsであったが、効果は小さかった。rHPIV1 CΔ170-F2および-F3構築物はまた、40℃のシャットオフ温度を有し、従って、空ベクターと有意に異なることはなかった。しかし、rHPIV1 CΔ170-F1ウイルスは、39℃という、より低いシャットオフ温度を有した(図43)。本研究では、rHPIV1 LY942A空ベクターは、以前の研究でのこの変異と関連する35~37℃という値と同様の36℃のシャットオフ温度を有した(McAuliffeら JVI 78:2029~2036、2004;Bartlettら Virol J 4:67、2007)。rHPIV1 LY942A-F1および-F2構築物は、空ベクターよりもtsであって、35℃のシャットオフ温度であったが、rHPIV1 LY942A-F3ベクターは、空ベクターと同じ36℃のシャットオフ温度を有した(図43)。従って、いずれかの弱毒化された骨格のF1位置へのRSV F遺伝子の挿入は、ts表現型を増大し、いずれかの骨格のF3位置への挿入は、ts表現型を増大せず、F2位置への挿入は、LY942A骨格についてのみ表現型を増大した。
RSV-Fを発現するワクチン接種物へのビリオンのパーセンテージ(in vitroでのワクチン安定性)。rHPIV1/RSV-F構築物のワーキングプールを、蛍光二重染色プラークアッセイを用いて個々のウイルスプラーク中でのRSV F発現の頻度について評価した。Vero細胞に、10倍連続希釈したウイルスを接種し、32℃の許容温度でメチルセルロース積層下で6日間プラークを形成させた。ウイルスプラークを、3つのRSV F特異的マウスモノクローナル抗体およびヤギHPIV1特異的ポリクローナル抗血清の混合物を使用することによって、RSV FおよびHPIV1タンパク質について同時免疫染色した(材料および方法を参照のこと)。一次抗体を、赤色および緑色の赤外色素とコンジュゲートした抗マウス-IgGおよび抗ヤギ-IgG二次抗体を用いて検出し、RSV Fを発現するHPIV1プラークのパーセンテージを決定した。総数140、77、および59のプラークを、それぞれ、rHPIV1 CΔ170-F1、-F2、および-F3についてカウントし、全てが、RSV Fタンパク質を発現する100%のHPIV1プラークを有することを見出した。F1は、F2およびF3よりも小さいサイズのプラークを生じたが、F2およびF3プラークのサイズは、お互いと同様であった。全部で214、70、および192のプラークを、RSV F抗原を発現するHPIV1プラークのうち100%、100%および97%を示した、それぞれrHPIV1 LY942A-F1、-F2、および-F3についてカウントした。全体として、rHPIV1 LY942Aウイルスは、rHPIV1 CΔ170ウイルスと比べてかなり小さいサイズのプラークを形成した。このアッセイは、許容温度(32℃)で行うので、小さい方のプラーク表現型(比較的さらに弱毒化された表現型およびより遅い伝播を示唆する)は、ts効果ではない場合もあることが示唆される。これはまた、それらの比較的遅い複製プロファイルとも一致していた(図37)。
ハムスターの呼吸器官におけるrHPIV1/RSV-Fウイルスの複製。ウイルスを、それがハムスターの上気道および下気道(それぞれURTおよびLRT)で複製する能力について評価した。ハムスターに、1動物あたり105 TCID50/0.1mlの用量で鼻腔内接種した。ウイルス複製を評価するために、ハムスターを、感染後3日目および5日目に安楽死させ(1日あたり1ウイルスあたり6動物)、鼻甲介(URT)および肺(LRT)を収集した。個々の鼻甲介および肺のホモジネートを、HADアッセイを用いてLLC-MK2細胞で滴定によってウイルス複製のために分析し、その力価をlog10TCID50/mlとして報告した。ウイルス力価は、URT(図40A)およびLRT(図40B)中で、それぞれ白抜き三角および黒塗りの丸として3日目および5日目について示される。各々の記号は個々の動物に相当する。
全体として、RSV Fを発現する全てのrHPIV1ベクターについてのピークウイルス力価は、wt HPIV1の力価より低く、このことは、骨格変異の弱毒化効果(CΔ170またはLY942A)、および挿入されたRSV F遺伝子の効果を示唆している。URTでは、rHPIV1 CΔ170空ベクターは、5日目に有意に弱毒化され3日目には弱毒化されないが、wt HPIV1と比較して肺では両日ともに有意に制限された。URTでは、有意な複製の低下が、rHPIV1 CΔ170-F1については3日目にのみ(p<0.05)、rHPIV1 CΔ170-F2については両日で観察された(p<0.0001);-F3は、両日とも、wt rHPIV1のものと同様のレベルで複製した。rHPIV1 CΔ170-F1、-F2、および-F3は全てが、3日目および5日目の肺で有意に(p<0.0001)弱毒化された;F1およびF3は、全てで検出不能であって、F2は6匹の動物のうち5匹では検出できなかった。rHPIV1 LY942A空ベクター複製は、3日目に有意に低下し、URTでは5日目にはウイルスは検出されなかったが、肺では両日とも検出されたウイルスはなく、このことは、LY942A変異のts表現型と一致した有意な弱毒化を示唆している(McAuliffeら.2004.J virology 78:2029~2036)(図43)。rHPIV1 LY942A-F1、-F2、および-F3ウイルスはまた、3日目および5日目にURTおよび肺の両方で有意に(p<0.0001)弱毒化され、ウイルス複製はほとんどの動物で検出不能であった。
以前には、AGMで強力に弱毒化されることが実証され(Bartlettら.2007.Virology J 4:67)、血清陰性の小児で過剰に弱毒化されたHPIV1ワクチン候補(rHPIV1-CR84G/Δ170HN553ALY942A)を、開発中のワクチン候補物の複製比較のため、および弱毒化のレベルを評価するために対照として含んだ。予想どおり、このウイルスは、ハムスターでは有意に弱毒化され3日目および5日目にURTおよび肺で複製は観察されなかった。本研究で開発された構築物のほとんどは、弱毒化されたが、検出可能な複製は、小児で過剰に弱毒化された、前のワクチン候補よりもいくぶんか弱毒化が弱いことが示唆され、これによって、本研究で開発された構築物は、適切な弱毒化表現型を有し得ることが示唆される。第2のゲノム位置(rB/HPIV3-F2)からRSV Fを発現するキメラウシ/ヒトPIV3は、生のRSVワクチンとして開発されている(序、および実施例1)。臨床試験では、このワクチン候補物は、安全かつ十分耐容されたレベルの複製を有する6~24月齢のRSV血清陰性小児中で安全であることが見出された(Bernsteinら.2012.Pediatric infectious disease journal 31:109~114)。rB/HPIV3-F2ウイルスは、試験されているrHPIV1ワクチン候補の弱毒および免疫原性の比較のアセスメントのための参照ウイルスとして含まれた。両日のrHPIV1 CΔ170-F1、-F2、または-F3の複製レベルは、URTおよび肺の両方においてrB/HPIV3-F2のものと統計学的に同様であるか、または有意に低かった。同様に、rHPIV1 LY942A-F1、-F2、および-F3ウイルスはまた、rB/HPIV3-F2と比較して、3日目および5日目にURTおよび肺の両方で有意に低下した複製を示した。これらのデータによって、CΔ170またはLY942A骨格変異のいずれかを有するHPIV1ベクターは、in vivoで十分に弱毒化されることが示唆され、かつrB/HPIV3-F2ウイルスに対して同様であるか、またはそれより弱毒化されている複製表現型が示される。
URTでは、全てのウイルスについての力価(複製されなかったrHPIV1 LY942A-F1および-F3を除く)は、5日目には、3日目よりも高かった(図40A)。対照的に、rB/HPIV3-F2は、5日目にピーク力価を得た。全体として、肺では、RSV Fを発現する全てのベクターは、感染後3日目および5日目にwt HPIV1と比較して有意に(p≦0.0001)制限された(図40B)、また5日目にrB/HPIV3-F2と比較して有意に制限された。
in vivo複製後のキメラrHPIV1ウイルスによるRSV Fタンパク質発現の安定性。RSV Fの発現をサイレンシングするウイルスの正の選択は、RSV F免疫原性を損なう場合があるin vivoの複製の間に生じる場合がある(Yangら.2013.Vaccine 31:2822~2827)。変異は、RSV F ORFの中で、またはその発現を制御する調節性転写シグナルで生じ得、その結果、RSV Fタンパク質発現が低下されるか、または除かれる。in vivo安定性のためのrHPIV1ベクターを評価するために、Vero細胞に、感染したハムスターの鼻甲介および肺の連続希釈ホモジネートを感染させた。蛍光二重免疫染色プラークアッセイを行って、RSV Fを発現するウイルス粒子のパーセンテージを決定した。肺での複製の欠失と一致して(図40B)、肺ホモジネート中でRSV Fを発現する全てのベクターについて検出できたプラークはなかった。同様に、複製が劣るせいで、URT中でRSV Fを発現するrHPIV1 LY942Aウイルスについて、検出可能なプラークはなかった。URT中で効率的に複製された、rHPIV1 CΔ170ウイルスについての安定性の結果を示す(図44)。これらのウイルスは、感染後3日目および5日目でRSV Fを発現する全体として98%超のプラークでin vivo複製後に安定であった。分析した30のサンプルのうち、29が100%を有し、かつサンプルの1つだけがRSV Fを発現する98%(2%損失)のPFUを有した。これらのデータによって、RSV Fを発現するrHPIV1 CΔ170ベクターは、ハムスターモデルではかなり安定であることが示唆され、少なくとも5日間のin vivo複製後にRSV F発現がサイレンシングされた変異体の選択の証拠は示されなかった。
免疫原性
RSV Fを発現するキメラrHPIV1ウイルスによる免疫は、RSVおよびHPIV1に対する血清ウイルス中和抗体(NAb)を誘導する。RSV Fを発現するrHPIV1ウイルスの免疫原性を決定するために、1ウイルスあたり6つのハムスターの群を、動物1匹あたり105 TCID50を用いて鼻腔内に接種した。wt RSV、rHPIV1 CΔ170、rHPIV1 LY942A、およびrB/HPIV3-F2を、対照として含んだ。免疫されたハムスター由来の血清を、感染後28日目で収集し、RSVおよびHPIV1に対するNAb力価をPRNT60アッセイによって決定した(図45)。rHPIV1 CΔ170-F1、-F2、および-F3は、お互いに統計学的に異なることはない力価でRSV特異的NAbを誘導した。これは、驚くべきことではない。なぜなら全ての3つのウイルスが、同様のレベルのRSV Fタンパク質発現を示したからである(図38Aおよび38B)。rHPIV1 CΔ170-F1および-F2は、-F3ウイルスよりもわずかに高いRSV F発現を有したが、この相違は、統計学的に有意ではなかった(図38B)。同様に、-F1および-F2ウイルスはまた、感染の間に合成されたRSV Fの量とおそらく関連している-F3ウイルスよりも比較的高い融合活性および合胞体形成を示した(図39A~39C)。統計学的に有意ではないが、NAb力価は、発現されたRSV Fの量ではなくそれらのin vivo複製プロファイルとさらに一致するF2と比較してF1およびF3ウイルスに関してわずかに高いようである(図40A)。rHPIV1 CΔ170-F1、-F2、および-F3によって誘導されるRSV NAb力価はrB/HPIV3-F2によって誘導される力価よりも有意に低かった(rB/HPIV3-F2と比較したこれらのウイルスの有意に低下した複製からおそらく生じる相違)(図40Aおよび図40B)。
rHPIV1 LY942A-F1、-F2、および-F3ウイルスは、RSVに対してNAb応答を誘導できなかった。これは、rHPIV1 LY942A-F1がVero細胞のin vitro感染に対してrHPIV1 CΔ170-F1、-F2、および-F3のものと同様のRSV F発現を示したので予測されなかった(図38A)。しかし、LY942A変異は、高度に弱毒化され、36℃というシャットオフ温度でts表現型を付与したことに注目することが重要である(図43)。LY942A変異体ウイルスは、ハムスターでは示す複製が最小であるかまたは検出不能であったと予想された(体温:36.7~38.3℃;メルク・マニュアル(The Merck Manual))。骨格表現型と一致して、rHPIV1 LY942A-F1、-F2、および-F3はまた、それぞれ、35℃、35℃、および36℃というシャットオフ温度でtsであって、これによって、F1およびF2位置でのRSV Fの挿入は、シャットオフ温度を1℃ずつ低下し、それらをさらにtsにさせたことが示される。従って、rHPIV1 LY942A-F1は、許容温度でrHPIV1 CΔ170-F1、-F2、および-F3ウイルスのレベルと匹敵するレベルでRSV Fを発現できたが(図38A)、RSV NAbを誘導することは、おそらくその強力なts表現型およびin vivoでの複製が不能なせいでできなかった。rHPIV1 LY942A-F2および-F3ウイルスは、見たところ、2つの交絡因子を有した:それらは比較的劣ったRSV F発現を示し(図38Aおよび図38C)、さらにtsであって、in vivoで複製せず(図40Aおよび図40B)、RSV NAb応答の欠失を生じた。従って、rHPIV1 LY942A-F1、-F2、および-F3ウイルスは、それらの過剰な弱毒化ts表現型ならびに複製および免疫原性のin vivoでの欠失という理由で、免疫原性ではなく、ワクチン候補物を生成しなかった。
ハムスターにおけるHPIV1特異的なNAb応答はまた、PRNT60アッセイによっても評価した(図45)。全体として、HPIV1 NAb力価のレベルは、RSV NAb力価に比較して低かった。この方法で示すとおり、モルモット補体は、RSVの中和アッセイに含まれたが、HPIV1中和アッセイからは、それがHPIV1を中和するので除外された。補体の欠失は、一般的に低下したHPIV1 NAb力価の理由である場合がある。rHPIV1 CΔ170-F2および-F3ウイルスは、検出可能なレベルのHPIV1 NAbを誘導しなかった。rHPIV1 CΔ170空ベクターおよびrHPIV1 CΔ170-F1のみが、検出可能なHPIV1-特異的なNAb応答を誘導し、これは、お互いと統計学的に異なることはない力価であった。これは、期待と正反対であった。なぜなら、全てのベクタータンパク質の発現は、rHPIV1 CΔ170-F1について有意に低下されたからである(図38Aおよび図38B)。これはまた、F2またはF3ウイルスと比較して1Cによる低いシャットフ温度を有し、かつこれは、F3ウイルスのレベルと同様のレベルでin vivoで複製した。従って、rHPIV1 CΔ170-F1は、-F3ウイルスと比較して、同様または弱いHPIV1特異的なNAb応答を誘導すると期待された。しかし、CΔ170-F2の劣ったHPIV1免疫原性は、FおよびHNタンパク質のその低下した発現(図38B)ならびにURTおよびLRTにおける劣った複製(図40)と一致していた。HPIV1 NAb応答の欠失は、CΔ170-F3ウイルスについては予想されなかった。これは、全てのHPIV1タンパク質を、空ベクターのものと同様のレベルで発現し(図38Aおよび図38B)、同様に複製し、そして空ベクターのものと同様のシャットオフ温度を有したが、検出可能なNAb応答は示さなかった。
全てのrHPIV1 LY942Aウイルス(空ベクターを含む)は、検出可能なレベルのHPIV1特異的なNAbを誘導しなかった。全てのrHPIV1 LY942Aウイルスが、低下したレベルのHPIV1タンパク質をin vitroで発現し(図38Aおよび図38C)、in vivoでは劣った複製を示すか、または複製を示さなかった。これと一致して、これらのウイルスはまた、RSVに対する免疫原性の欠失も示した
。それらの劣った免疫原性は、おそらく、それらの強力なts表現型の結果(図43)およびin vivo複製がないこと(図40)の結果である。
RSV Fを発現するrHPIV1ベクターによる免疫は、wt RSVチャレンジに対する防御を提供する。ハムスターを、上記のようにRSV Fを発現するrHPIV1で免疫して、106PFUのwt RSVを使用して免疫後30日目でチャレンジした。ハムスターをチャレンジ後3日目で安楽死させて、鼻甲介および肺の中のRSV力価を、Vero細胞でプラークアッセイによって決定して、チャレンジRSV複製に対する防御を評価した(図41Aおよび図41B)。RSV感染および複製に対するワクチン候補によって得られる防御は、それらがRSV特異的な血清NAbを誘導する能力と相関した。rHPIV1 CΔ170-F1および-F3は、RSV複製に対して有意な防御を提供し、かつrHPIV1 CΔ170空ベクターと比較してURTにおいて有意に低下した(それぞれ、p<0.0001およびp<0.05)RSV力価を示し、-F2ウイルスは効果を有さなかった。肺では、全ての3つのrHPIV1 CΔ170-F1、-F2、および-F3ウイルスは、rHPIV1 CΔ170空ベクターと比較して平均RSV力価を低下し、-F1ウイルスによるRSV低下のみが、統計学的に有意であった(p<0.05)。予想どおり、rB/HPIV3-F2は、URT(P<0.0001)および肺(p<0.05)において、RSVチャレンジに対して有意な防御を提供し、これは、前の報告と一致していた(Liangら.2014.J virology 88:4237~4250、および実施例1)。
rB/HPIV3-F2ウイルスとrHPIV1ワクチン候補との統計学的比較によって、rHPIV1 CΔ170-F1によってもたらされる防御は、URTおよび肺の両方でrB/HPIV3-F2の防御と統計学的に同様であったことが示された。rHPIV1 CΔ170-F1は、ハムスターにおいて、感染後3日目でrB/HPIV3-F2の力価と同様の力価まで複製したが、感染後5日目で有意に低下した複製を示し、これによって、rHPIV1 CΔ170-F1は、in vivoで十分に弱毒化されることが示唆される。これによって、rB/HPIV3-F2のものと同様にRSVチャレンジに対して防御するその能力とともに、rHPIV1 CΔ170-F1は、弱毒化および免疫原性の所望の特徴を有することが示され、かつ弱毒生RSVワクチン候補としてさらにさらに開発されるべきであることが示された。
rHPIV1 LY942A-F1、-F2、および-F3ウイルスは、URTおよび肺中でRSVチャレンジに対する防御を提供せず、rHPIV1 LY942A空ベクターのものと同様のチャレンジRSVロードを示した。これは、RSVに対するin vivo複製および免疫原性のそれらの欠失と一致していた。
考察
げっ歯類および/または非ヒト霊長類において免疫原性であった、弱毒化および/またはts変異を保有するrHPIV1の種々の弱毒化バージョンは以前に開発された。それぞれ、6ヌクレオチドの欠失および3ヌクレオチドの置換を含むCΔ170またはLY942A変異のいずれかを含む2つの弱毒化rHPIV1骨格をアッセイした。RSV Fは、適切に弱毒化され、さらに十分に免疫原性であり、wt RSVチャレンジに対して防御する構築物を特定する目的で各々の骨格の第1、第2、または第3のゲノム位置に挿入された。RSV Fを発現する全てのrHPIV1ウイルスを、逆遺伝学によって首尾よくレスキューした。Vero細胞およびLLC-MK2細胞における増殖反応速度論によって、全てのウイルスが、感染後7日目で決定された極めて類似でかつ統計学的に識別できない最終力価まで増殖したことが示された(図37)。しかし、複製の有意な相違が、2日目に両方の細胞株で観察された。LY942A変異は、少なくともVero細胞ではCΔ170変異よりも強力な弱毒化効果を有すると思われた。予想に反して、rHPIV1CΔ170ウイルスは、IFN-I欠損Vero細胞と比較して、I型インターフェロン(IFN-I)補体LLC-MK2中では弱毒化されなかった。RSV Fを発現するrHPIV1CΔ170のうちで、wt HPIV1と比較した有意な弱毒化が、Vero細胞において-F1および-F2ウイルスについて(図37A)およびLLC-MK2細胞において-F1について(図37B)観察されたが、-F3複製は、空ベクターおよびwt HPIV1と同様であった。これらのデータによって、-F1または-F2ウイルスにおいて3’近位位置により近いRSV Fの挿入は、弱毒化されるが、この効果は、一過性であって、全てのウイルスは、同様の最終の力価まで増殖した(図37Aおよび図37B)。-F1、-F2および-F3を含む全てのrHPIV1 LY942A骨格ベクターは、7日目に同様の最終力価まで増殖した。しかし、それらはまた、2日、3日および4日目でVero細胞およびLLC-MK2細胞の両方で複製の低下を示したが、5~7日間のwt HPIV1に対して同様であった。RSV Fインサートが誘導した弱毒化は、rHPIV1CΔ170ベクターと比較してrHPIV1LY942Aについてかなり大きく(図37D)、これによって、RSV Fインサートが既に有意に弱毒化された骨格に対してより強力な弱毒化効果を有することが示される。
全てのウイルスを、それらが32℃の許容温度でインキュベートされた感染されたVero細胞のウエスタンブロット解析によってRSV Fタンパク質を発現する能力について検査した。HPIV1 N、P、F、およびHNタンパク質の発現をまた評価して、ベクタータンパク質発現に対する種々の位置でのRSV F挿入の効果を決定した。予期せぬことに、RSV F発現の極性勾配は、rHPIV1CΔ170ベクターに関しては観察されなかった。rHPIV1CΔ170-F1は、試験した全てのベクタータンパク質の有意に低下された発現を実証した。同様に、Nタンパク質を除いて、rHPIV1CΔ170-F2はまた、P、F、およびHNタンパク質の発現の低下を示した(図38Aおよび図38B)。これと一致して、-F1および-F2ウイルスは両方とも、感染の間早期にVero細胞中で複製の低下を示した(図37A)。これらのデータによって、F1およびF2ウイルスについて、ベクタータンパク質合成の低下およびその後の弱毒化された複製の組み合わせ効果は、RSV F発現の低下およびその極性勾配の欠失を担う場合があることが示唆される。rHPIV1 CΔ170-F3は、その遠位ゲノム位置におそらく起因して、F1およびF2と比較してRSV F発現のわずかな低下を示した。RSV F発現プロファイルは、rHPIV1 LY942Aベクターに関してかなり異なっており、これによって、F2およびF3と比較して、有意に高いRSV F発現を示すF1ウイルスで発現の強力な極性の勾配が実証された(図38Aおよび図38C)。予想どおり、第1の位置におけるRSV Fの挿入は、F1ベクターについてのNタンパク質発現を有意に低下したが、P、FおよびHNタンパク質は、影響されず、それらの空のベクター対応物の発現と同様の発現を有した(図38Aおよび図38C)。rHPIV1 LY942A-F2が示すRSV Fの発現は極めて劣っており、同様に全てのベクタータンパク質が示された(図38Aおよび図38C)。上記のとおり、このウイルスは、高度に弱毒化された表現型およびレスキューの間の変異の蓄積に起因してレスキューすることが最も困難であった。しかし、実験で最後に使用したウイルスは、ゲノム配列決定によって確認された偶発性の変異は有さなかった。従って、rHPIV1 LY942A骨格中のF2位置におけるRSV Fの挿入は、ウイルスでかなり有害であると思われ、このことは、RSV Fを含む試験された全てのベクタータンパク質の大幅に有意な低下を示す。この結果についての非限定的な説明の1つは、これがインサート位置の組み合わせた効果であり、骨格を高度に弱毒化したことである。なぜならこのような効果は、rHPIV1 CΔ170-F2について観察されなかったからである。その増殖の反応速度論(図37C-37D)を参照して、rHPIV1LY942A-F2は、全てのrHPIV1 LY942Aベクターのうち最も弱毒化された。従って、ベクタータンパク質合成の全体的な低下は、その複製を有意に低下し、その結果、RSV F発現の低下が生じたと思われる。rHPIV1 LY942A-F3ウイルスは、空ベクターと同様のレベルでベクタータンパク質を発現したが、F1と比較してRSV F発現の10倍を超える低下を示した(図38Aおよび図38C)。これによって、第3ゲノム位置でのRSV F挿入は、ベクタータンパク質発現に負に影響しなかったことが示され(図38Aおよび図38C)、ただし、極性の転写勾配におけるその遠位位置におそらく起因して、劣ったRSV F発現が実証された。
天然のRSV Fは、合胞体形成を生じる近接する、感染させた細胞の原形質膜融合を生じる。HPIV1ベクターFタンパク質は、合胞体形成を生じず、従って、これは、RSV Fの機能性および天然型、ならびに発現の量の指標として用いられる。rHPIV1 CΔ170またはLY942Aベクターから発現されたRSV Fによる合胞体の形成を、Vero細胞およびLLC-MK2細胞で評価した。単層中のほとんどの細胞の融合を示す過剰な合胞体形成は、rHPIV1 CΔ170-F1および-F2を用いて、ならびにrHPIV1 LY942A-F1を用いて観察され(図39)、このことは、組み換えRSV Fタンパク質が、機能的でありかつ恐らく天然のコンホメーションであることを示唆している。rHPIV1 CΔ170-F3ならびにLY942A-F2および-F3は、おそらく、明白な合胞体形成は示さなかった。合胞体形成の程度は、ウエスタンブロットによって検出されたRSV F発現のレベルと一致していた(図38A~図38C)。
ts表現型は、in vivoでウイルス複製に重要な役割を果たし、それによって免疫原性が決定されるので、RSV Fを発現するベクターのts表現型を評価した。40℃でさえtsではないwt HPIV1とは対照的に、rHPIV1 CΔ170およびLY942A骨格は、それぞれ40℃および36℃でtsであった(図43)。注目すべきは、F1でのrHPIV1 CΔ170における、およびF1またはF2位置でのrHPIV1 LY942AにおけるRSV Fの挿入は、シャットオフ温度を1℃ずつ下げ、それによって、それらはわずかにさらにtsとなったことである。この効果は、HPIV1に固有ではない場合がある。なぜなら、同様の効果が、以前の研究、Liangら.2014.J virology 88:4237~4250において、rB/HPIV3ベクターへのRSV F挿入で観察されたからであった)。ts表現型の増強は、rHPIV1 LY942A-F2について観察されたが、rHPIV1 CΔ170-F2については観察されず、このことで、外来遺伝子の挿入によって、既に有意にtsであるウイルスのts表現型が増強されることが示される。
rHPIV1ベクターは、それらの複製および免疫原性を評価するためにハムスターにおいて評価した。全てのrHPIV1 LY942Aウイルスは、過剰に弱毒化されて、ウイルス複製はほとんどの動物のURTおよび肺で検出不能であった。これは、35~36℃のシャットオフ温度を有するそれらの高度にtsの表現型と一致している。複製できないことは、RSV F挿入に起因するものではないようだが、それらのts表現型の影響である可能性が高い。なぜなら空ベクターでさえ肺では複製せず、URTでの複製は劣っていたからである。rHPIV1 CΔ170-F1、-F2、および-F3は、全体として高度に制限されており、肺では検出不能であったが、空のrHPIV1 CΔ170ベクターは、低レベルの複製を示し、これは、wt HPIV1のものよりも有意に低く、これによってRSV Fインサートの存在は、肺において既に弱毒化されたrHPIV1 CΔ170骨格に対して追加の弱毒化の影響を有したことが示唆される。肺とは対照的に、全てのrHPIV1 CΔ170ベクターは、全ての動物のURTで十分複製した。F1およびF2ウイルスは、ただしF3ではないが、wt HPIV1と比較して有意に弱毒化されており、F2は、F1よりも弱毒化されていた。これは予想されなかった。なぜなら、一般に、ゲノムの3’末端により近い挿入は、より高い弱毒化を生じるからである。これはまた、in vitroにおけるF1およびF2(ただしF3ではない)の比較的遅い初期増殖と一致しており(図37)、これによって、F1および特にはF2
位置でのRSV Fの挿入は、追加的な弱毒化効果を有することが示される。F1ウイルスは、所望の程度の弱毒化を有すると思われるが、F2およびF3ウイルスは、それぞれ過剰弱毒化および過小弱毒化されている。
弱毒化と免疫原性との間の最適のバランスを得ることは、弱毒生ワクチンによるチャレンジである。弱毒化されたrHPIV1ベクターが十分弱毒化されたか否かを評価するために、それらの複製を、第2のゲノム位置からRSV Fを発現するリーディングRSVワクチンベクターである、rB/HPIV3-F2の複製と比較した(Liangら.2014.J virology 88:4237~4250)。3日目および5日目のrHPIV1 CΔ170-F1、-F2、または-F3の複製は、URTおよび肺の両方で、rB/HPIV3-F2の複製と統計学的に同様であるか、または有意に低かった。これによって、RSV Fの挿入と一緒のCΔ170変異が、少なくともこの動物モデルで、所望のレベルの弱毒化を達成したらしく、その結果3つの全てのベクターが肺で高度に制限されるが、免疫原性に必要であるURTにおけるrB/HPIV3-F2と同様の弱毒化された複製を実証することが示唆される。
RNAウイルスベクターのワクチンで遭遇した困難は、in vivoでの外来抗原遺伝子の不安定性である(Yangら.2013.Vaccine 31:2822~2827)。変異は、エラー・プローン(error prone)ポリメラーゼ、およびインサートの発現を維持する必要性の欠失に起因して生成する。RNA依存性RNAポリメラーゼの背信のせいで得られた外来抗原における何らかの変異は、それらが選択性の利点を提供するにつれて正に選択される。免疫後のin vivoでのRSV F発現の安定性を決定するために、ハムスターの呼吸組織から回収されたウイルスを、蛍光二重染色プラークアッセイによって解析した。これは、URTにおいて検出可能な複製を示したHPIV1 CΔ170-F1、-F2、およびF3ウイルスについてのみ行ってもよい(図44)。サンプルのほとんどについて、安定なRSV F発現は、RSV F発現が98%プラークについて検出された1つのHPIV1 CΔ170-F1サンプルを除いて、3つ全てのウイルスについて観察された。これらのデータによって、rHPIV1 CΔ170ベクターが、in vivo複製の間にRSV Fの安定な発現を維持することが示された。
rHPIV1ベクターの免疫原性は、PRNT60アッセイを行うことによって評価した。RSVのアッセイは、補体単独によるHPIV1の直接中和のおかげで、HPIV1中和アッセイから除去したモルモット補体の存在下で行った。rHPIV1 CΔ170-F1、-F2、および-F3は、それぞれ、7.3、4.7、および6.7というPRNT60(log2)力価でRSV中和抗体を誘導した(図45)。F1は最高の抗体力価を実証したが、これは、F2およびF3によって誘導される抗体力価と統計学的に同様であった。これらの力価は、rB/HPIV3-F2またはwt RSV対照によって誘導される力価よりも有意に低く、これはURTおよび肺の両方で、それらの全体的に比較的低下した複製という結果である場合がある。rHPIV1 LY942A-F1、F2、およびF3ウイルスは、検出可能なRSVまたはHPIV1中和抗体応答を誘導せず、これは、in vivoにおいてそれらの複製が欠けていることと一致していた。rHPIV1 CΔ170-F1のみ(およびF2でもF3でもない)は、検出可能なHPIV1中和抗体を誘導した。これは予測不能であった。なぜなら、F2およびF3は、ハムスターで複製を示し(図40)およびRSV NAbを誘導したからであった。上記で示されるとおり、モルモット補体(PRNT60読み出しを増強することが公知)は、HPIV1中和アッセイには含まれない場合がある。全体的な低いHPIV1抗体力価および検出可能な応答の欠失は、ハムスター中で複製されたウイルスでさえ、補体を欠くアッセイの、より弱い感度に起因する場合がある。
RSV感染に対するベクターの防御有効性を決定するために、全ての免疫されたハムスターを、1匹の動物あたり高用量(106pfu)のwt RSVを用いて免疫後30日目で鼻腔内にチャレンジした。チャレンジに対する保護は、鼻甲介および肺におけるRSV複製を決定することによって評価した(図41Aおよび図41B)。保護は免疫原性と直接相関した(図45)。RSV NAb力価と高度に一致して、rHPIV1 CΔ170-F1は、F3よりも保護的であって、防御はF2によって提供されなかった。保護は、URTおよび肺の両方でF1について、およびF3についてはURTでのみ統計学的に有意であった。重要なことに、rHPIV1 CΔ170-F1は、URTおよび肺における防御を与え、これはrB/HPIV3-F2とは統計学的に識別できなかった。これは、いくぶん予想されなかった。なぜなら、rHPIV1 CΔ170-F1は、rB/HPIV3-F2のものよりも有意に低いRSV Nab力価を誘導し、これによって、比較的低いNAb力価が、同様の防御を達成するために十分であったことが示唆される。この解釈は、コットンラットの呼吸器官でのRSV複製が、血清Nab力価が1:100以上であった場合に低下されるという証拠によって支持される(Princeら.1985.J Virol 55:517~520)。やはり、それらでセロコンバージョンがないことと一致して、rHPIV1 LY942A-F1、F2、およびF3は、チャレンジに対してなんら防御を提供せず、空のベクターのものと同様のRSVロードを有した。これらのデータによって、rHPIV1 LY942Aベクターは、それらのts表現型に起因して過剰弱毒化され、ハムスター中で複製を生じず、RSVおよびHPIV1の両方の免疫原性の欠失を生じたことが明確に示される。対照的に、rHPIV1 CΔ170ベクターは、肺で高度に制限されるが、URTでは複製した。本研究で試験されたベクターの中で、rHPIV1 CΔ170-F1は、十分に弱毒化され、まだRSVに対して十分に免疫原性であると思われる。ハムスター中で過剰に弱毒化されると思われた構築物は、さらに許容される霊長類宿主で評価した場合、さらに適切に行われることが認識される。
まとめると、本実施例は、挿入された遺伝子からRSV F抗原を発現するために適切な見込みのある弱毒化された骨格として、rHPIV1 CΔ170を特定した。rHPIV1 CΔ170ベクターのF1(プレ-N)ゲノム位置が、RSV Fを挿入するために試験された位置の間で好ましかったことが体系的にも決定された。この研究によってまた、rHPIV1 CΔ170-F1は、見込みのあるワクチン候補であり、かつ以下のいくつかの所望の特徴を保有することが実証された:(i)これは、非ヒト霊長類(3)における弱毒化のために十分特徴付けられた骨格に基づく、(ii)これは、ワクチン製造のための本質的な特徴である、wt HPIV1のものと同様の最終力価までVero細胞中で複製した、(iii)RSV Fの挿入は、これを、空のCΔ170骨格よりもわずかに多く、rB/HPIV3-F2と同様のレベルまで弱毒化し、(iv)この構築物は、in vivo複製後に安定であって、RSV F発現を維持した、そして(v)これは、最も免疫原性のHPIV1ベクターであって、最高のRSVおよびHPIV1中和抗体力価を誘導し、かつまたwt RSVチャレンジに対して最も防御的であった。
この知見によって、RSVおよびHPIV1に対する粘膜免疫のための二価ワクチンとしてRSV Fを発現するHPIV 1ベクターを使用することが可能であることが示される。HPIV1ベクターのRSVワクチンは、一次RSVワクチンとして、または生弱毒化RSVによって最初に誘導された免疫をブーストするために用いられる。HPIV1ベクターのRSVワクチンアプローチは、弱毒化されたRSV株の開発に関連する内因性の問題を取り除き、かつ資源の限られた状況でさえRSV免疫プログラムが容易にできる。
RSV Fタンパク質の最適化バージョンを発現するrHPIV1-CΔ170ベクターの開発
本実施例は、改変されたRSV Fエクトドメインをコードする遺伝子をHPIV1ベクター骨格中に挿入して、RSV Fエクトドメインをそのエンベロープ上で発現し、弱毒化されており、伝染性であり、かつ防御抗体応答を誘導できる組み換えウイルスを生成できるということを示すアッセイを示す。F2位置はまた、有効な挿入部位として特定された。これらの知見は、以下を示す:
1.HPIV1 F TMCTドメインの操作上の境界を特定した(図60)。
2.HPIV1 F TMCTドメインを、組み換えRSV Fエクトドメイン、例えば、HEK/GS-opt/DS-Cav1に対して追加して、細胞表面で効率的に発現され、抗RSV-F抗体と反応性であるタンパク質が達成される。
3.HPIV1 F TMCT(HEK/GS-opt/DS-Cav1/H1TMCT)を含むRSV Fを、HPIV1ベクター粒子に効率的にパッケージングした(すなわち、RSVよりも1μgのビリオンタンパク質あたり高いレベルで、図64)。これは、センダイウイルスでの以前の研究に基づいた予測と完全に反しており(HPIV1のマウスの類、従っておそらくは、閉じた予測モデル)、ここではセンダイウイルスCTまたはTMCTを含むRSV Fは、内因性センダイウイルスFタンパク質が欠失された場合のみ、粒子中に効率的にパッケージングされた(Zimmerら 2005 J Virol 79:10467~10477)。
3.HEK/GS-opt/DS-Cav1およびHEK/GS-opt/DS-Cav1/H1TMCT型のRSV Fタンパク質を、第1または第2の遺伝子位置に挿入して、RSV Fを安定に発現し、in vitroで効率的に複製し(図63)、およびベクター粒子中に効率的に組み込まれるベクター構築物(HPIV1 F TMCTが存在する場合、図64)を生成することができる。
4.予期せぬことに、F1位置またはF2位置のいずれかが、融合性であるRSV Fタンパク質を発現するのに効率的である(例えば、HEK/GA-opt、実施例2)が、F2位置は、非融合性であったRSV Fの細胞内発現について特に効率的であった(例えば、HEK/GS-opt/DS-Cav1)。
5.rHPIV1-CΔ170-F2/HEK/GS-opt/DS-Cav1およびrHPIV1-CΔ170-F2/HEK/GS-opt/DS-Cav1/H1TMCT構築物を、RSV Fタンパク質を効率的に発現するもの、および、特に後者の場合は、RSV Fをベクター粒子中へ効率的に組み込んだものとして特定した。
HEK/GS-opt/DS-Cav1。本実施例では、rHPIV1-CΔ170ベクターを用いて、RSV Fタンパク質のさらに改変されたバージョンを発現した。全てのインサートが、RSV Fを含み、これは、ヒト発現について、Genescript(GS-opt)によってコドン最適化され、2つのHEKアミノ酸アサインメント、すなわち、GluおよびProを、残基66および101で有した。さらに、HEK/GS-opt RSV Fタンパク質は、安定化された融合前変異DS(S155CおよびS290C)およびCav1(S190F、およびV207L)を含んで、RSV F融合前頭部および抗原性部位Φ(RSV-中和抗体の優勢を担うことが示された)を安定化した(McLellanら 2013 Science 342:592~598)。
HPIV1 TMCT。さらに、HEK/GS-opt/DS-Cav1 RSV Fタンパク質のバージョンを作製し、ここではそのTMCTドメインを、HPIV1 Fタンパク質のものによって置き換えた。HPIV1 TMおよびCTドメインの組成は、以前には決定されていなかった。図60は、RSV Fタンパク質(頂部のライン)およびHPIV1 Fタンパク質(第2のライン)のTMおよびCTドメインを示し、かつキメラを示しており、ここではRSV Fタンパク質の予想されるエクトドメインがHPIV1 Fタンパク質の予測されるTMCTドメインに結合される。これは、HPIV1 F-特異的なTMCTドメインが、ウイルスアセンブリの間に他のベクタータンパク質とさらに効率的に相互作用して、キメラRSV Fタンパク質の組み込みを促進することを前提として、HPIV1ベクターへのRSV Fタンパク質の組み込みを増大する目的で行った。
rHPIV1-CΔ170ベクター構築物。図61および図62は、構築物であって、ここで実施例2由来のrHPIV1-CΔ170ベクターを用いて、第1の遺伝子位置(F1)中に位置する、2つのインサートのいずれかを許容する構築物を示す:発現されたRSV F HEK/GS-opt/DS-Cav1、rHPIV1-CΔ170-F1/HEK/GS-opt/DS-Cav1を生成(図61および62、頂部構築物);またはRSV F HEK/GS-opt/DS-Cav1/H1TMCT、rHPIV1-CΔ170-F1/HEK/GS-opt/DS-Cav1/H1TMCT(底部構築物)を生成。これらの2つの構築物は、第2の構築物中のRSV Fは、HPIV1 Fタンパク質由来のTMCTを有するという点でのみ異なることに注意のこと。図62は、いずれかのインサートを、rHPIV1-CΔ170ベクターの第2の遺伝子位置(F2)に入れている2つの並行構築物を示す。全てのウイルスは、六量体のゲノムヌクレオチド長を保持するように設計した(6つの規則(rule of six))(Kolakofskyら 1998 J Virol 72:891~899)。各々のベクター遺伝子は、その野性型六量***相(phasing)を維持した;F1およびF2インサートは、それぞれ、N遺伝子およびP遺伝子の六量***相を有した。
ウイルスの回収。4つの構築物を、BHK BSR T7/5細胞(T7 RNAポリメラーゼを構成的に発現するベビーハムスター腎臓細胞(Buchholzら 1999 J Virol 73:251~259))、各々の全長抗ゲノムプラスミドならびにHPIV1 N、P、およびLタンパク質を発現する3つの発現プラスミドとを同時トランスフェクトすることによってレスキューした。HPIV1およびRSV Fタンパク質の同時発現を検出する二重染色プラークアッセイを行って、RSV F発現の安定性を決定した。プラークのかなりの部分が、RSV Fタンパク質を効率的に発現した。これらの同じ4つの調製物を、自動化配列決定(これによって、プライマーによって隠された、3’および5’末端でのそれぞれ22ヌクレオチドおよび26ヌクレオチドを除いて、その全体で各々のゲノムが解析された)によってコンセンサス配列解析に供した。このウイルスは、この方法によって検出可能な偶発性の変異がないことが見出された。
in vitroでのマルチサイクル複製。4つの回収されたウイルス(すなわち、HEK/GS-opt/DS-Cav1、F1またはF2位置で、H1TMCTの有りまたは無し)を、三連で各々のウイルスを用いて1細胞あたり0.01 TCID50というMOIでVero細胞を感染すること、および培養上清を7日間にわたって24時間ごとに収集することによってin vitroでのマルチサイクル複製について評価した。収集されたサンプル中のウイルス力価は、LLC-MK2細胞での連続希釈および赤血球吸着アッセイによって決定した。RSV Fインサートを有する全てのベクターは、wt HPIV1およびrHPIV1-CΔ170と比較して比較的弱毒化されており、約7.0 TCID50/mLの最終力価まで増殖した(図63)。F1/DS-Cav1およびF1/DS-Cav1/H1TMCT(注、名称のうち「HEK/GS-opt」の部分は、テキストおよび図では、簡略化のために省略してもよい)は、感染後(p.i.)1日目および2日目で(複製の対数期の間)F2/DS-Cav1およびF2/DS-Cav1/H1TMCTよりも遅く複製したが、F2/DS-Cav1およびF2/DS-Cav1/H1TMCTと同様であった7日目(回収日)までに高力価に達した。従って、全ての構築物は、高い最終力価まで増殖し、これはVero細胞でのワクチン製造の影響を受け易い。
ベクタービリオンへのタンパク質の組み込み。wt HPIV1、およびrHPIV1-CΔ170空ベクターにそった4つの構築物のセットをLLC-MK2細胞中で増殖させて、スクロース勾配遠心分離によって精製した。wt RSVを、Vero細胞中で増殖し、続いてスクロース勾配精製して、対照として含めた。約1μgの各々のスクロース-精製したウイルスを、RIPA緩衝液中で溶解し、還元して、変性して、SDS-PAGEおよびウエスタンブロット解析に供した。RSV Fタンパク質およびHPIV1タンパク質(N、F、およびHN)を、マウスモノクローナル(Abcam)およびウサギポリクローナルペプチド-特異的抗体(実施例2を参照のこと)をそれぞれ、前に記載されたようなそれらの対応する赤外線色素コンジュゲート二次抗体とともに用いて検出した(実施例2;Mackowら 2015 J Virol 89:10319~10332)(図64)。それぞれ、第1および第2位置から全長RSV Fを発現した、F1/DS-Cav1およびF2/DS-Cav1精製したビリオンの解析によって、HPIV1ベクタービリオンにおいてRSV Fの検出可能なパッケージングは実証されなかった(図64、頂部パネル、レーン3および5)。対照的に、F1/DS Cav1-H1TMCTおよびF2/DS Cav1-H1TMCTビリオンの両方とも(図64,レーン4および6)、かなりの組み込みを示し、これは、F2/DS Cav1-H1TMCTよりもF1/DS Cav1-H1TMCTについて高かった。興味深いことに、両方のH1TMCTバージョンとも、ビリオンタンパク質の1μgあたりwt RSV(図64、レーン7)と比較してビリオン中でパッケージングされた多量のRSV Fを示す。
同じ実験で、HPIV1ベクタービリオン中へのHPIV1 N、HN、およびFタンパク質の組み込みも評価した(図64)。HPIV1 Nタンパク質のビリオン組み込みは、いかなるインサートの発現によってもほとんど影響されなかった(図64、頂部からの第2パネル)。HNタンパク質は、F1/DS-Cav1/H1TMCT、F2/DS-Cav1、およびF2/DS-Cav1/H1TMCT構築物については低下した(図64、頂部からの第3のパネル、レーン4、5、および6)。HPIV1 Fタンパク質のビリオン組み込みは、F2/DS-Cav1およびF2/DS-Cav1/H1TMCTについて低下し(図64、頂部からの第4のパネル、レーン5および6)。HPIV1 Fタンパク質についての抗血清は、HPIV1 Fタンパク質のCTドメインの最後の18アミノ酸を含むペプチドに対して惹起され、従ってこの抗血清は、HPIV1 F0およびF1タンパク質に加えて、HPIV1 Fタンパク質TMCTを含むRSV Fタンパク質の形態、すなわちF1/DS-Cav1/H1TMCTおよびF2/DS-Cav1/TMCTを検出した。RSV Fバンドの特定は、抗RSV Fモノクローナル抗体との同時染色によって確認された;これによって、RSV Fが、実際にHPIV1 F TMCTドメインとともに発現されることが確認される。
細胞内タンパク質発現。次に、ベクター感染細胞中でのRSV Fタンパク質およびHPIV1ベクタータンパク質の細胞内発現を評価した。Vero細胞に、各々の構築物を用いて1細胞あたり10 TCID50のMOIで感染させ、32℃で48時間インキュベートした。細胞タンパク質を、1×LDS緩衝液を用いて単層の直接溶解によって回収し、還元し、変性して、SDS-PAGEおよびウエスタンブロット解析に供した(図65)。RSV FおよびHPIV1タンパク質を、図64に記載されたのと同じ抗体を用いることによって検出した。全ての構築物は、感染された細胞中でRSV Fタンパク質を発現可能であった;F2/DS-Cav1/H1TMCTは、最高の発現を有し、それに続くのがF2/DS-Cav1、F1/DS-Cav1/H1TMCT、およびF1/DS-Cav1であった(図65、レーン4、3、2、および1)。第1遺伝子位置へのRSV Fインサートの挿入が、最高レベルの発現を生じるであろう(転写の勾配に起因して)という期待に反して、F1/DS-Cav1およびF1/DS-Cav1/H1TMCTウイルス(図64、レーン1および2)は、F2ウイルスと比較して低下したRSV F発現を有した(レーン3および4)。既に注記されたとおり、F1ウイルスは、低下したRSV F発現におそらく起因して、F2ウイルスよりも指数関数増殖の間にいくぶんかさらに遅く複製した(図63)。F1ウイルスを感染された細胞中のRSV Fの細胞内発現の低いレベルは、ビリオン組み込みプロファイルと対照的であり(図64)、これによって、F2/DS-Cav1/H1TMCTと比較して、F1/DS-Cav1/H1TMCTについてのRSV Fのさらに高い組み込みが示される(レーン4対6)。F1およびF2位置の両方で、TMCTを有するDS-Cav1が、DS-Cav1単独よりもいくぶんか高いレベルで発現され、これによって、TMCTが、タンパク質またはmRNA転写物をさらに安定にすることによってRSV F発現を増強し得ることが示唆される。同様の効果がまた、B/HPIV3ベクターを感染されたVero細胞においてBPIV3 F TMCTを有するRSV Fでも観察された(図50A)。これはまた、HPIV1 N、P、F、およびHNタンパク質の細胞内発現が、F2ウイルスと比較してF1ウイルスについて極めて低かったこともまた注目すべきである(図65、第2、第3、および第4のパネル、レーン1および2対3および4)。これによって、F1ウイルスについて極めて低い遺伝子発現が明らかになるが(図65、レーン1および2)、見かけ上作製されるRSV Fタンパク質は、HPIV1 TMCTを保有するRSV Fの場合には、HPIV1ビリオン中に極めて効率的に組み込まれた(図64,レーン4)。
本発明の実験におけるF1ウイルスによる低下したRSV F発現は、実施例2で報告された結果とは対照的であって、これには、この同じベクターの第1の遺伝子位置からのRSV Fタンパク質のHEK/GA-opt型の発現を含んだ。その場合、RSV Fタンパク質の細胞内発現は効率的であって、F1対F2の構築物について極めて似ていたが、HPIV1ベクタータンパク質の発現は、いくぶんか、F1対F2について低下しており、ただしそれほど大幅ではなかった(図38A、左の最初の2つのレーン、および図38B)。相違は、図38で発現されたRSV Fのバージョンは、融合性であって、これは、細胞の単層を通じてウイルスがさらに効率的に伝播することを補助し得、かつさらに大きいタンパク質合成を生じるさらに効率的な感染を促進できるが、図64で発現されたFタンパク質は、融合前コンホメーションで凍結されたDS-Cav1バージョンであり、従って非融合性であるということである場合がある。DS-Cav1を発現する構築物は、効率的には伝播しない場合があり、各々の感染された細胞は、よりRSVタンパク質を作製し得、これによって、より高レベルのビリオン組み込みが説明される。しかし、比較的高いMOIの感染が各々の実験に用いられた(5というMOI)ので、細胞の大部分が、感染されて、伝播が重要な因子ではなかったかもしれない。従って、F1位置からのFタンパク質のDS-Cav1型の細胞内発現の低下は、予想されず、F2位置をベクター使用にさらに適切な可能性が高いとして指す。
RSV Fタンパク質の最適化バージョンを発現するwt rHPIV3株JSベクターの開発
上記で考察されるとおり、RSV F HEK/GA-opt/DS構築物に対するBPIV3 Fタンパク質のTMCTの追加(B3TMCT)は、アカゲザルにおいてrB/HPIV3ベクターの実質的な弱毒化を生じた(図29)。B3TMCTに起因してハムスターでの弱毒化の証拠があった(図51)。これによって、B3TMCTがrB/HPIV3ベクターを過剰弱毒化させる能力が惹起された。1つの解決法は、弱毒化が少ないウイルス、例えば、wt HPIV3をベクターとして用いることである。さらに、HPIV3ベクターを用いた場合(すなわち、骨格遺伝子の全てが、HPIV3に由来する)、これは、HPIV3に対する細胞免疫についての抗原としてHPIV3タンパク質の完全な補体を提供し、従って、HPIV3ベースのベクターは、rB/HPIV3ベースのベクターよりもHPIV3に対して防御性であることができる。本実施例で考察される知見によって、予期せぬことに、RSV FインサートF1-HEK/GS-opt/DS-Cav1/H3TMCTの発現の安定性が、TMCTを欠くそのバージョン、すなわちF1-HEK/GS-opt/DS-Cav1よりも安定であると考えられた。これは、予想に反していた。なぜなら、ベクター粒子への組み込みは、RSV F発現の維持に対して追加の選択圧をもたらすと期待されたが、これは観察されなかったからであった。
wt rHPIV3 JS株ベクター。野性型(wt)組み換え(r)HPIV3 JS株(これはまた、rB/HPIV3についてのFおよびHN遺伝子の供給源でもあった)を、ベクターとして選択した。このウイルスの生物学的バージョンは以前には、まだ特定されるべきである1つまたはそれ以上の偶発性弱毒化変異におそらく起因して、以前に評価された株と比較して(Kapikianら 1961 JAMA 178:123~127)成体で自然に弱毒化されることが示された(Clementsら.J Clin Microbiol 29:1175-1182、1991)。このウイルスの組み換えバージョン(rHPIV3)は、HPIV3逆遺伝学システムが確立された場合に導入されたHN(A263TおよびT370P)中に2つの変異を有する。本研究では、rHPIV3ベクターを、rB/HPIV3ベクターによる大きいプラーク形成を妨げることが見出されたHNタンパク質において263Tおよび370Pのアミノ酸アサインメントを含むように改変した(その改変は、図58Bに詳細に示された)。さらに、rHPIV3ベクターを、第1遺伝子位置中のRSV F(または潜在的には任意の他のインサート)の挿入のための、103~109位置での固有のBlpI部位の創出(図67A、頂部構築物)、または第2の遺伝子位置におけるRSV Fの挿入のための位置1675~1682での固有のAscI部位の創出(図67B、頂部構築物)によって改変した。
HEK/GS-opt/DS-Cav1+/-H3TMCT。wt rHPIV3 JSベクターを用いて、RSV F HEK/GS-opt/DS-Cav1タンパク質をそのままで、またはRSV Fタンパク質のTMCTドメインを、HPIV3 Fタンパク質のものと置き換えたさらなる改変とともに発現した(H3TMCTと呼ぶ、図66)。RSV Fタンパク質の状況でのHPIV3 Fタンパク質(H3TMCT)のTMおよびCTドメインの活性は、未知であった。図66によって、またH3TMCTがRSV Fタンパク質中へ導入されたキメラも示される。
RSV Fを発現する4つのrHPIV3ベースの構築物発現の例を図67に示す。具体的にはこの例は以下である:
第1遺伝子位置(F1)に挿入されたHEK/GS-opt/DS-Cav1(図67A);
第1遺伝子位置(F1)に挿入されたHEK/GS-opt/DS-Cav1/H3TMCT(図67A);
第2遺伝子位置(F2)に挿入されたHEK/GS-opt/DS-Cav1(図67B);
第2遺伝子位置(F2)に挿入されたHEK/GS-opt/DS-Cav1/H3TMCT(図67B)。
これらのRSV FのORFは、図67のTMCTが、HPIV3タンパク質由来のH3TMCTであることを除いて、図61および図62のrHPIV1-CΔ170ベクターに挿入されたのと同じであることに注意のこと。さらに、図67の各々のRSV Fインサートは、別のmRNAとして発現についてHPIV3転写シグナルの制御下であった。ヌクレオチド番号付け(図67)は、各々の最終構築物の完全なアンチゲノムRNA配列に対する。全てのウイルスは、六量体ゲノム長および野性型六量***相を維持するように設計された;F1およびF2インサートは、それぞれ、もとのNおよびP遺伝子の六量***相(正常には、第1および第2の遺伝子位置にある)を有した。全てのインサートは、合成的に誘導された(Genscript)。
ウイルスおよび二重染色解析の回収。ウイルスを、全長抗ゲノムプラスミドおよび3つの発現プラスミド(HPIV3 N、P、およびLタンパク質を発現する)の各々を用いてBHK BSR T7/5細胞を同時トランスフェクトすることによってレスキューした。全てのウイルスを、首尾よくレスキューして、および2つのP2(すなわち、第2継代)ウイルスストックを、4つの構築物の各々について調製した。
実施例1~4に示される結果に対するコメント
以下の実施例によって、いくつかの異なるPIVベクターシステム(rB/HPIV3、rHPIV1、およびrHPIV3 JSを含む)を用いて、追加された遺伝子としてRSV Fタンパク質を効率的に発現できることが示される。変異体のパネルを構築して、ベクター(例えば、インサート位置、弱毒のレベルなど)およびRSV Fインサート(例えば、融合前安定化、ベクター粒子へのパッケージングなど)による種々の変動を体系的に評価した。変異体のパネルを細胞培養物中で、ハムスター中で、および非ヒト霊長類中で詳細な分析に供して、発現レベル、in vitroおよびin vivoの安定性、in vivoの弱毒化、免疫原性、および防御効率に関して有効な変異体を特定した。
以前の研究で、RSV Fのような高度に融合性のタンパク質が、非区分のマイナス鎖ウイルスベクター中で不安定化される場合がある(それらの高レベルの合胞体形成は、ベクター複製を妨害するので)ことが示された:例えば,麻疹ウイルスの融合Fタンパク質は、原型の水疱性口内炎ウイルス(VSV)によって発現された場合「極めて不安定性」であることが示された(Quinones-Kochsら 2001 Virology 287;427~435)。呼吸器合胞体ウイルスは、高レベルの合胞体形成に関して悪評高いので、そして高レベルの合胞体形成は実際、機能的なRSV Fタンパク質がPIVベクターから発現された場合に観察された(例えば、実施例1)ので、このウイルスがin vitroでベクター複製を妨害しなかったことは極めて驚くべきことであった。従って、開示された構築物の複製の効率によって、Vero細胞では効率的なワクチン製造が可能になる。さらに、低下した(HEKアサインメント)または本質的に排除された(DS,DS-Cav1)全体的な合胞体形成を導入された改変が導入され、これによって、高レベルの合胞体形成に起因する問題を未然に防ぐであろう。
複数の特異的なストラテジーを実証して、HEKアサインメントの包含、コドン最適化、およびプロモーター近位位置での配置を含む外来RSV F遺伝子の発現を増大した。しかし、その結果は、必ずしも予測可能ではなく、本開示で提供される過度の実験の重要性を示している。さらに、第1の遺伝子位置からの発現は、最高レベルの発現を生じると期待されるが、これは、DS-Cav1変異に起因して非融合性であったRSV Fタンパク質をそれが発現する場合、HPIV1ベクターにはあてはまらなかった(図65)。従って、ベクターの性質およびインサートの性質は、新規な特徴を生じることに寄与した。
弱毒化の多数の平均を検討し、これには、ウシ/ヒトキメラrB/HPIV3の使用、天然に弱毒化されたHPIV3 JS株の使用、およびHPIV1(CΔ170およびLY942A)で例証された安定化されたポイントおよび欠失変異の使用も含んでいた。さらに、外来のインサートの存在によって、いくつかの環境で弱毒化が得られ、B3TMCT改変が実質的に弱毒化された。従って、試薬および生物学的特徴付けによって、ある範囲の有用な弱毒表現型を示すベクターが得られる。重要なことに、目的のベクターは、ワクチン製造のために必要な、Vero細胞における効率的な複製および安定性を保持していたことが示された。
RSV Fインサートの発現の安定性は、以前の構築物での主要な問題であった(Bernsteinら 2012、Pediatr Infect Dis 31:109~114)。しかし、本開示で記載された改変された構築物は実質的に安定であった。合胞体形成を低減するかまたは阻害するような要因は、安定性に寄与する可能性が高い。いくつかの場合には、予測不能な因子が特定された。例えば、rB/HPIV3ベクター中のHN遺伝子は、大きいプラーク表現型を生じた実質的な不安定性を示すことが見出された。しかし、この問題は、HN遺伝子ではI263TおよびT370P置換によって排除された(図58)。安定性に関する予期せぬ知見の別の例は、rHPIV3 JSのF1位置から発現されたHEK/GS-opt/DS-Cav1/H3TMCT構築物の組み合わせによるRSV F発現の安定性の増大であった(図68A)。F1位置からの発現は、高レベルの発現のおかげで、最も不安定であったと予想された場合もあるが、これは、観察はされなかった。ベクターへのRSV Fタンパク質のパッケージングはまた、発現の喪失に関する選択圧を生じることも予想された場合があるが、これは観察されなかった。
2つの改変が、免疫原性の増大のために主に重要であることが示された:すなわち、RSV Fタンパク質の融合前コンホメーションを安定化する変異体DSおよびCav1、ならびにベクター粒子への外来糖タンパク質の効率的な組み込みを指向するパッケージングシグナルとして機能するTMCT改変。融合前コンホメーションで安定化されたRSV Fが効率的に発現され、かつウイルス感染と適合するか否かは未知であったが、これは正しかった。TMCTパッケージングシグナルが、高程度の効率のパッケージング(これは並行して試験したRSV粒子のパッケージングと等しいかまたは超えた)と連動したことも驚くべきことであった。高度に効率的なパッケージングは、内因性のFおよびHN表面糖タンパク質を置き代えることなどによって、ベクター粒子の産生を破壊しなかったことも驚くべきことであった。
特に予期されなかったのは、一方ではDSおよびDS-Cav1改変、ならびに他方ではTMCT改変が各々、in vivoでの防御に最も関連すると考えられる高品質RSV-中和抗体の産生の極めて大きい増大をもたらしたという知見であった。これらの2種類の改変は、異なる機構を通じてこの効果を達成する可能性が高かった:特に、DSおよびCav1改変は恐らく、抗原性部位Φを安定化することによってそれらの効果を有するが、TMCTによって媒介されるパッケージングは、抗原提示の増大を提供する、粒子型で生成されたRSV F抗原の緊密にパッケージングされた高度に反復的なアレイを提供する可能性が高い。重要なことに、これらの効果は、非ヒト霊長類で極めて明白であって(図31)、補体依存性抗体に関して単一の初回用量から250超の逆数力価を生じる。さらに、2つの効果(DS-Cav1およびTMCT)は、ある程度まで相加的であった。
記載した方法および組成物の正確な詳細は、記載した実施形態の趣旨から逸脱することなく、変更されても、または改変されてもよいことが明白である。本発明者らは、添付の特許請求の範囲の範囲および趣旨内におさまる全てのこのような改変形態および変形形態を特許請求する。