JP7016139B2 - ミシン目入り積層フィルム、積層ラミネートフィルムそれを用いた包装材料および製造方法 - Google Patents

ミシン目入り積層フィルム、積層ラミネートフィルムそれを用いた包装材料および製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ミシン目入り積層フィルム層に関する。
包装材料に易開封性を付与するため、基材フィルムにミシン目を入れることは従来から行われてきた。たとえば特許文献1に開示されているように、インキ層が形成されたミシン目入りフィルム、接着剤層、熱シールができるフィルム層という構成の包装材料であり、その製造方法は、ドライラミネート法と押出しラミネート法が開示されている。
ミシン目入り包装材料をドライラミネート法で製造する場合、熱シールができるフィルム層に接着剤層を塗布、乾燥して形成し、インキ層が形成されたミシン目入りフィルムを貼り合せていたが、生産性が低く、接着性に劣る場合があった。生産性と接着性の面から、押出ラミネート法での製造が望まれていた。
押出ラミネート法の場合、インキ層が形成されたミシン目入りフィルムに接着剤を塗布、乾燥して形成した接着層面に熱溶融樹脂を押出機から押出して積層フィルムを形成した。
特開2011-031439号公報
しかしながら、特許文献1に開示されているような2液硬化型ウレタン系樹脂接着剤や従来から用いられているポリブタジエン系接着剤は、粘着性があるため、ミシン目の孔を通り抜けた接着剤がガイドロールに付着し、付着した接着剤がフィルムや設備を汚染するだけでなく、時にはミシン目入りフィルムに貼りついてしまい、ガイドロールでフィルムにテンションがかかると、ミシン目でフィルムが切れてしまうという製造トラブルを引き起こす場合があった。また、2液硬化型ウレタン系やポリブタジエン系の接着剤は粘着性があり耐ブロッキング性に劣るため、ロール状に巻き取る際、滑り性が悪くフィルムにシワが発生したり、巻き出し時にフィルムがブロッキングしてしまい巻き出せないという問題が生じることがあった。
一方、従来から用いられている接着剤の一つであるポリエチレンイミン系接着剤は、光が長時間照射されることで、経時的に接着強度が低下することがあった。
本発明は、上記のような問題点を解決するものであって、ミシン目入り基材フィルムに接着剤をインライン工程で塗布し、ガイドロールでフィルムにテンションをかけながら乾燥して接着層を形成したとしても、操業上問題なく押出しラミネート法でポリオレフィン樹脂層を形成できるものであり、積層フィルムはシワがなくロール状に巻き取ることができ、ブロッキングすることなく巻き出して用いることができるものであり、長時間光が照射した場合でも、経時的な接着強度低下を抑制できるミシン目入り積層フィルムを提供しようとするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定組成の酸変性ポリオレフィン樹脂を含有する接着層をミシン目入り基材フィルムに積層することで、押出ラミネート法で操業性よく生産でき、ミシン目を付与する前の積層フィルムについては一旦ロール状に巻き取り、ブロッキングすることなく巻き出して、ミシン目を付与することができ、さらに得られた積層フィルムは耐光性に優れ、易開封性を有した積層フィルムが上記課題を解決することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、下記のとおりである。
(1)ミシン目入り基材フィルムに酸変性ポリオレフィン樹脂を含む接着層が積層されてなることを特徴とするミシン目入り積層フィルム。
(2)ミシン目入り基材フィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルム、またはポリエチレンフィルムであることを特徴とする(1)記載のミシン目入り積層フィルム。
(3)(1)または(2)に記載のミシン目入り積層フィルムの接着層面に、ポリオレフィン樹脂層が積層されてなることを特徴とする積層ラミネートフィルム。
(4)(3)に記載された積層ラミネートフィルムにおいて、ミシン目入り基材フィルムが最外層であることを特徴とする包装材料。
(5)ミシン目入り基材フィルムに酸変性ポリオレフィン樹脂を含む接着剤を塗布、乾燥して接着層を積層することを特徴とする(1)または(2)に記載の積層フィルムの製造方法。
(6)ミシン目入り基材フィルムに酸変性ポリオレフィン樹脂を含む接着剤をインライン工程で塗布し、ガイドロールでテンションをかけながら乾燥し接着層を積層することを特徴とする(1)または(2)に記載の積層フィルムの製造方法。
(7)ミシン目入り積層フィルムの接着層面上に、溶融したポリオレフィン樹脂を押出ラミネートして積層することを特徴とする(3)に記載の積層ラミネートフィルムの製造方法。
本発明のミシン目入り積層フィルムは、ミシン目入り基材フィルムに接着剤を塗布した際にミシン目の孔から接着剤が通り抜けてガイドロールに接着剤が付着したとしても、ガイドロールに付着した接着剤と基材フィルムが貼りつかないことから、フィルムにテンションがかかったとしてもミシン目を起点に切れてしまうことなく、インライン工程での押出ラミネートの連続生産性に優れている。また、滑り性および耐ブロッキング性に優れているため、接着層を形成した積層フィルムをシワの発生なくロール状に巻き取ることができ、巻き出し時もブロッキングすることなく巻き出して用いることができる。さらに、長時間光が照射される環境下においても接着強度の経時的な低下が抑制できる(以下、耐光性という)ものであり、包装材料の外側に好適に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のミシン目入り積層フィルムは、ミシン目入り基材フィルムの少なくとも一方の面に接着層が形成されたものである。
本発明において、接着層は酸変性ポリオレフィン樹脂を含む必要がある。
酸変性ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィン成分としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のアルケンや、ノルボルネン等のシクロアルケンが挙げられ、これらの混合物を用いることもできる。中でもエチレン、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン等の炭素数2~6のアルケンが好ましく、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン等の炭素数2~4のアルケンが特に好ましい。また、2種類以上のオレフィン成分が共重合されていてもよい。
酸変性ポリオレフィン樹脂におけるオレフィン成分の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。オレフィン成分の含有量が50質量%未満では、ポリオレフィン樹脂との密着性を損なうことがある。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、後述する樹脂の水性化(液状化)の点から、また密着性の点から、酸変性されていることが必要であり、酸変性成分が不飽和カルボン酸成分であることが好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂における不飽和カルボン酸成分の含有量は、0.1質量%以上であることが好ましく、0.1~25質量%であることがより好ましく、0.5~15質量%であることがさらに好ましく、1~8質量%であることが特に好ましく、1~5質量%であることが最も好ましい。
不飽和カルボン酸成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、アクリル酸、無水マレイン酸がより好ましい。
不飽和カルボン酸成分は、酸変性ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されず、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂との密着性を向上させる理由から、(メタ)アクリル酸エステル成分を含有することが好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂における(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量は、40質量%以下であることが好ましく、良好な密着性を持たせるために、35質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましく、25質量%以下であることが最も好ましい。(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量が40質量%を超えると、オレフィン由来の樹脂の性質が失われ、ポリオレフィン樹脂との密着性が低下することがある。
(メタ)アクリル酸エステル成分としては、(メタ)アクリル酸と炭素数1~30のアルコールとのエステル化物が挙げられ、中でも入手のし易さの点から、(メタ)アクリル酸と炭素数1~20のアルコールとのエステル化物が好ましい。そのような化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの混合物を用いてもよい。この中で、ポリオレフィン樹脂層との密着性の点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチルがより好ましく、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルがより好ましく、アクリル酸エチルが特に好ましい。(なお、「(メタ)アクリル酸~」とは、「アクリル酸~またはメタクリル酸~」を意味する。)
また、上記成分以外に他の成分を酸変性ポリオレフィン樹脂全体の10質量%以下程度、含有していてもよい。他の成分としては、ジエン類、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類ならびにビニルエステル類を塩基性化合物等でケン化して得られるビニルアルコール、ハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビリニデン類、2-ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、置換スチレン、一酸化炭素、二酸化硫黄などが挙げられ、これらの混合物を用いることもできる。
酸変性ポリオレフィン樹脂の具体例としては、エチレン-アクリル酸エステル-無水マレイン酸共重合体、エチレン-プロピレン-無水マレイン酸共重合体、エチレン-ブテン-無水マレイン酸共重合体、プロピレン-ブテン-無水マレイン酸共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン-無水マレイン酸共重合体、エチレン-プロピレン-アクリル酸エステル-無水マレイン酸共重合体、エチレン-ブテン-アクリル酸エステル-無水マレイン酸共重合体、プロピレン-ブテン-アクリル酸エステル-無水マレイン酸共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン-アクリル酸エステル-無水マレイン酸共重合体、プロピレン-無水マレイン酸共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体などが挙げられ、中でもエチレン-アクリル酸エステル-無水マレイン酸共重合体、プロピレン-ブテン-無水マレイン酸共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン-無水マレイン酸共重合体、エチレン-プロピレン-無水マレイン酸共重合体が最も好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂が、エチレン(a1)-アクリル酸エステル(a4)-無水マレイン酸(a5)共重合体である場合、質量比(a1/a4/a5)は、95/4/1~50/40/10であることが好ましく、94/5/1~60/36/4であることがより好ましく、92/7/1~62/35/3であることが特に好ましい。
プロピレン(a2)-ブテン(a3)-無水マレイン酸(a5)共重合体である場合、質量比(a2/a3/a5)は、95/4/1~53/40/7であることが好ましく、94/5/1~60/34/6であることがより好ましく、92/7/1~62/33/5であることが特に好ましい。
プロピレン(a2)-エチレン(a1)-ブテン(a3)-無水マレイン酸(a5)共重合体である場合、質量比(a2/a1/a3/a5)は、95/3/1/1~50/15/28/7であることが好ましい。
エチレン(a1)-プロピレン(a2)-無水マレイン酸(a5)共重合体である場合、質量比(a1/a2/a5)は、1/98/1~50/40/10であることが好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、分子量の目安となる190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.01~500g/10分であることが好ましく、0.1~400g/10分であることがより好ましく、1~300g/10分であることがさらに好ましく、5~200g/10分であることが特に好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂のメルトフローレートが0.01g/10分未満では、樹脂の水性化が困難となることがある。一方、酸変性ポリオレフィン樹脂のメルトフローレートが500g/10分を超えると、得られる接着層は硬くてもろくなる傾向にあり、接着層の割れにより、密着性が低下しやすくなる。
酸変性ポリオレフィン樹脂として、アルケマ社製のボンダインシリーズ、エボニック社製のベストプラストシリーズ、ダウ・ケミカル社製のプリマコールシリーズ、三洋化成社製のユーメックス、三井化学社製のアドマ―シリーズ、東洋紡社製のトーヨータックなどの市販品を使用することができる。また、後述のように水系の塗布液とする場合には、市販の水系のものを使用することができ、日本製紙ケミカル社製のスーパークロンシリーズ(E-723、E-503など)、住友精化社製のザイクセンシリーズ(ザイクセンA、ザイクセンL)、三井化学社製のケミパールシリーズ(S-100、S-75Nなど)、東洋紡社製のハードレンシリーズ(EH-801、TD-15B)等を使用することができる。
本発明の積層フィルムを構成する接着層は、滑り性付与の観点から、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、水溶性高分子を0~3質量部含有することが好ましく、0~2質量部含有することがより好ましく、0~1質量部含有することがさらに好ましい。接着層は、水溶性高分子の含有量が3質量部を超えると、基材フィルムとポリオレフィン樹脂層との接着性が低下する傾向にある。さらに、包装材料とした場合、水を内容物とした時の耐内容物性が低下する傾向にある。
接着層の滑り性は、ロール状に巻き取る際の巻き取りやすさおよび巻き出しやすさの観点から、動摩擦係数(μ)が0.2~0.7であることが好ましく、0.25~0.5であることがより好ましく、0.3~0.45であることがさらに好ましく、0.3~0.4 であることが特に好ましい。接着層の動摩擦係数(μ)が0.7を超えると、積層フィルムはロール状に巻き取る際にシワが発生したり、巻き出し時のブロッキングが発生することがある。0.2未満であると、巻き取ったロールは、傾けた際に積層フィルムが滑り『タケノコ』状になり、作業性が低下することがある。
水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、変性デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびその塩、ポリエチレングリコール、ゼラチン、アミノ基を有する水溶性アクリル系共重合体、アラビアゴム等が挙げられる。
中でも、水溶性高分子は、基材フィルムとポリオレフィン樹脂層との接着性と滑り性とを両立する観点から、ポリビニルアルコールまたはポリエチレングリコールが好ましく、ポリビニルアルコールがより好ましい。
ポリビニルアルコールとしては、ビニルエステルの重合体を完全または部分ケン化したものなどが挙げられる。ケン化方法としては、公知のアルカリケン化法や酸ケン化法を採用することができる。中でも、メタノール中で水酸化アルカリを使用して加アルコール分解する方法が好ましい。
ビニルエステルとしては、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどが挙げられる。中でも酢酸ビニルが工業的に最も好ましい。
ポリビニルアルコールのケン化度としては、滑り性向上の観点から、80~99.9モル%が好ましく、90~99.9モル%がより好ましく、95~99.9モル%がさらに好ましい。80モル%未満であると、滑り性が低下し、積層フィルムをロール状に巻き取る際にシワが発生しやすくなることがある。
ポリビニルアルコールの平均重合度としては、57以上が好ましく、57~6820がより好ましく、455~4545がさらに好ましく、500~2500が特に好ましく、500~1000が最も好ましい。
また、ポリビニルアルコールの重量平均分子量は、前記平均重合度にビニルアルコールの分子量44を乗じることで算出され、2500以上が好ましく、2500~300000がより好ましく、20000~200000がさらに好ましく、22000~110000が特に好ましく、22000~44000が最も好ましい。重量平均分子量が2500未満であると滑り性が低下する場合がある。また、重量平均分子量が300000を超えると水性分散体とした場合の粘度が高くなりすぎる傾向がある。
また、本発明の効果を損ねない範囲で、ビニルエステルに対し他のビニル化合物を共重合することも可能である。他のビニル化合物であるビニル系モノマーとしては、クロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和モノカルボン酸およびそのエステル、塩、無水物、アミド、ニトリル類や;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸およびその塩;エチレンなど炭素数2~30のα-オレフィン類;アルキルビニルエーテル類;ビニルピロリドン類、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。エチレンを共重合した場合、即ち、エチレン-ビニルアルコール共重合体の場合のエチレンの含有量としては、密着性の観点から50モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましい。
なお、ポリビニルアルコールとしては、市販のものが使用できる。具体的には、日本酢ビ・ポバール社製の「J-ポバール」、クラレ社製の「クラレポバール」「エクセバール」、電気化学工業社製の「デンカ ポバール」などを好適に用いることができる。
本発明の積層フィルムを構成する接着層は、基材フィルムとの密着性の観点から、ポリウレタン樹脂を含有することが好ましく、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、ポリウレタン樹脂を1~50質量部含有することがより好ましく、5~40質量部含有することがさらに好ましく、10~30質量部含有することが特に好ましく、20~30質量部含有することが最も好ましい。接着層は、ポリウレタン樹脂の含有量が50質量部を超えると、液安定性や耐内容物性能、滑り性が低下する傾向にある。特に、包装材料とした場合、水を内容物とした時の耐内容物性が低下する傾向にある。
ポリウレタン樹脂は、主鎖中にウレタン結合を含有する高分子であり、例えばポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応で得られるものが挙げられる。
ポリウレタン樹脂を合成するためのポリオール化合物としては、特に限定されず、例えば、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、メチル-1,5-ペンタンジオール、1,8-オクタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの低分子量グリコール類、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの低分子量ポリオール類、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド単位を有するポリオール化合物、ポリエーテルジオール類、ポリエステルジオール類などの高分子量ジオール類、ビスフェノールAやビスフェノールFなどのビスフェノール類、ダイマー酸のカルボキシル基を水酸基に転化したダイマージオール等が挙げられる。
また、ポリウレタン樹脂を合成するためのポリイソシアネート化合物としては、芳香族、脂肪族および脂環族の公知ジイソシアネート類の1種または2種以上の混合物を用いることができる。ジイソシアネート類の具体例としては、トリレンジジイソシアネート、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメリールジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジジイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート、およびこれらのアダクト体、ビウレット体、イソシアヌレート体などが挙げられる。また、ジイソシアネート類にはトリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどの3官能以上のポリイソシアネート類を用いてもよい。
市販のポリウレタン樹脂としては、日本ミラクトラン社製のミラクトランシリーズなどが挙げられ、水系のものとしては、三井武田社製のタケラックシリーズ、旭電化工業社製のアデカボンタイターシリーズ、第一工業製薬社製のスーパーフレックスシリーズ、大日本インキ化学工業社製のハイドランシリーズ等が挙げられる。
本発明において好適に使用できるポリウレタン樹脂には、ポリエーテル型、ポリエステル型、ポリカーボネート型が挙げられ、耐薬品性を改善するため、架橋剤と反応できるカルボン酸やヒドロキシル基を含有していてもよい。
また、ポリウレタン樹脂のTgについても特に限定されるものではないが、接着性の観点から、-40~30℃の範囲内で選択すればよい。
本発明の積層フィルムにおける接着層の量は、接着面に対して、0.01~5g/mであることが好ましく、0.02~3g/mであることがより好ましく、0.03~2g/mであることがさらに好ましく、0.1~1g/mであることが特に好ましく、0.2~0.5g/mであることが最も好ましい。接着層の量が0.01g/m未満では、十分な接着性が得られない傾向にあり、一方、5g/mを超えると、経済的に不利となる傾向にある。
接着層を形成する手法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、酸変性ポリオレフィン樹脂を含有する塗布液を作製し、これを塗布、乾燥することによって接着層を形成する方法や、酸変性ポリオレフィン樹脂を含有する樹脂組成物を溶融し、シート状としたものを接着層として用いる方法が挙げられる。本発明では、上記好ましい接着層の量を満足するため、酸変性ポリオレフィン樹脂の塗布液を塗布して乾燥する方法が好ましい。塗布液の固形分濃度としては、1~15質量%であることが好ましく、2~13質量%であることがより好ましく、3~10質量%であることがさらに好ましく、4~9質量%であることが特に好ましく、5~8質量%であることが最も好ましい。塗布液の固形分濃度が1質量%未満の場合は、ポリオレフィン樹脂層との密着性が低下傾向にあり、一方、15質量%を超えるとミシン目の穴が埋まり、易開封性が悪化する傾向にある。
前記、塗布液により接着層を形成する場合の、酸変性ポリオレフィン樹脂を含有する塗布液の製造方法について説明する。
前記塗布液は、酸変性ポリオレフィン樹脂が、溶媒に溶解および/または分散したものであり、その溶解および/または分散方法は特に限定されない。
塗布液に用いる溶媒は、水溶性のもの(水を含む)であっても非水溶性のものであってもよい。ただし地球環境、職場環境問題の観点から、水および/または水溶性の溶媒が好ましい。
水溶性の溶媒としては、20℃における水に対する溶解性が50g/L以上の溶媒である。水溶性の溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、n-アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec-アミルアルコール、tert-アミルアルコール、1-エチル-1-プロパノール、2-メチル-1-ブタノール、n-ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸-n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸-sec-ブチル、酢酸-3-メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等のエステル類、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体、さらには、3-メトキシ-3-メチルブタノール、3-メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチルなどが挙げられ、これらは単独であっても、2種類以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、沸点が140℃以下の揮発性の水溶性有機溶媒を用いることが、接着層を形成する際に残存を少なくするために好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノールなどが挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、後述するような方法で、水および/または水溶性の溶媒(水性媒体という)中に分散または溶解させることで、水性分散体に加工することが可能であり、これを接着剤として用いることができる。この水性分散体は、水性媒体中に、酸変性ポリオレフィン樹脂が主に分散した状態で含有する。
酸変性ポリオレフィン樹脂を含む接着剤について説明する。
本発明における接着剤は、酸変性ポリオレフィン樹脂を含む水性分散体であることが好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、水性媒体中に分散し水性分散体に加工することが可能である。分散させる方法としては、自己乳化法や強制乳化法など公知の分散方法を採用すればよい。なお、上述したように、酸変性ポリオレフィン樹脂の分散の際に、予め不揮発性水性化助剤を原料として特定量仕込み、酸変性ポリオレフィン樹脂と一括して水性分散化させる方法を採用してもよい。
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体は、水性媒体中で酸変性ポリオレフィン樹脂の不飽和カルボン酸成分を塩基性化合物によって中和することで得られるアニオン性の水性分散体を使用することが、接着性の観点から好ましい。
また、酸変性ポリオレフィン樹脂の不飽和カルボン酸成分を中和するのに用いる塩基性化合物としては、アンモニア、トリエチルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N-メチル-N,N-ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3-エトキシプロピルアミン、3-ジエチルアミノプロピルアミン、sec-ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、3-メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属等が挙げられる。なお、塩基性化合物は2種以上を混合して使用してもよく水性分散体に含まれていてもよい。これらの中でも、沸点が140℃以下の揮発性の塩基性化合物を用いることが、接着層を形成する際に残存を少なくするために好ましい。具体的には、アンモニア、トリエチルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミンなどが挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂と上述したポリウレタン樹脂や水溶性高分子を含有する接着剤の製造方法は、特に限定されないが、酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体とポリウレタン樹脂の水溶液または水性分散体や水溶性高分子の水溶液を、個別に作製しておいてからそれぞれを混合する方法や、水性媒体に固形の酸変性ポリオレフィン樹脂とポリウレタン樹脂や水溶性高分子とを一括して仕込み、同一の系内で両者を分散、溶解する方法などを採用することができる。
本発明における接着剤は、本発明の効果を損ねない限りにおいて、酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、水溶性高分子以外の樹脂(その他の樹脂という)が含有されていてもよく、具体的には接着剤の固形分に対して30質量%以下の範囲で含有されていることが好ましい。その他の樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニデン、スチレン-マレイン酸樹脂、スチレン-ブタジエン樹脂、ポリブタジエン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、変性ナイロン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。
さらに接着剤には、架橋剤が含有されていてもよい。架橋剤としては、多価イソシアネート化合物、多価メラミン化合物、尿素化合物、多価エポキシ化合物、多価カルボジイミド化合物、多価オキサゾリン基含有化合物、多価ヒドラジド化合物、多価ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤などが挙げられる。これらの含有量は、滑り性を考慮して適宜決定すればよいが、具体的には、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、20質量部以下の範囲で含有されていることが好ましい。
上記のような、その他の樹脂や架橋剤は、水性分散体への添加、混合のしやすさの観点から、水溶性または水性分散性のものを用いることが好ましい。
接着剤の塗布方法としては、公知の方法、例えばグラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法などが挙げられる。
本発明の積層フィルムの製造方法について説明する。
本発明の積層フィルムは、ミシン目加工が施されたミシン目入り基材フィルムに接着剤を塗布、乾燥して接着層を積層する製造方法で製造できるものであり、ミシン目を付与する前の基材フィルムに接着剤を塗布、乾燥して接着層を積層し、その後ミシン目加工を施してミシン目入り積層フィルムにする方法でも製造できる。
具体的には、ミシン目入りの基材フィルムに酸変性ポリオレフィン樹脂を含む接着剤をインライン工程で塗布した後、ガイドロールでフィルムにテンションをかけながら乾燥することでミシン目入り基材フィルムに接着層を積層した本発明の積層フィルムを形成することができる。
接着剤を基材フィルム面に均一に塗布し、媒体の一部または全てを乾燥し、均一な塗膜、即ち接着層を基材フィルム表面に密着させて形成する際、媒体の全てを乾燥させることが、接着性を良好にする観点から好ましい。乾燥のための加熱処理の条件としては、温度は、50℃以上であることが必要であり、50~110℃が好ましく、80~105℃がより好ましく、90~100℃がさらに好ましく、時間は、0.5秒以上であることが必要であり、0.5~10秒が好ましく、0.7~8秒がより好ましく、1~5秒がさらに好ましい。
基材フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)などのポリエステル樹脂フィルム、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、ナイロン6、ポリ-p-キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)などのポリアミド樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、ポリアクリルニトリル樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、これらの複層体(例えば、ナイロン6/MXD6ナイロン/ナイロン6、ナイロン6/エチレン-ビニルアルコール共重合体/ナイロン6)や混合体などが用いられ、機械的強度や寸法安定性を有するものが好ましい。特に、これらの中で二軸方向に任意に延伸されたフィルムが好ましく用いられる。
本発明の基材フィルムは、公知の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、易接着コート剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤などを含んでいてもよく、その他の材料と積層する場合の密着性を向上させるために、前処理としてフィルムの表面をコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、薬品処理、溶剤処理などしてもよい。
本発明のミシン目入り基材フィルムは、上記基材フィルムに任意の方法でミシン目加工が施されたフィルムであり、基材フィルムにミシン目加工を施す工程は、接着層を積層する前でも、接着層を積層した後でもよい。本発明では、積層フィルムに易開封性を付与するためにミシン目加工を施すものであるためミシン目の形状としては、特に限定されるものではない。
本発明のミシン目入り基材フィルムは、印刷が施されたインキ層を形成していてもよい。
ミシン目入り基材フィルムの製造方法は、公知の方法を用いることができる。たとえば、ロール状フィルムから巻出して、多色グラビア印刷機にて一面側に印刷を施してインキ層を形成し、グラビア印刷機の最終印刷部においてロールにミシン目刃をフィルムの進行方向と同じ方向または直交する方向に設け、当該ロールを回転させることにより、上記ミシン目刃により、基材フィルムの一定間隔毎にミシン目を貫通形成し、再びロール状に巻き取る方法が挙げられる。
ミシン目入り基材フィルムの厚みは、加工性を考慮して決定すればよく、特に制限されないが、実用的には1~300μmの範囲で、用途によっては300μm以上のものを採用すればよい。
本発明のミシン目入り積層フィルムの接着層上にポリオレフィン樹脂層を積層することにより、包装材料として使用することができる。本発明のポリオレフィン樹脂層は、フィルムにコシを付与するための中間層とし、さらに内側に他の層を設けることもでき、最内層として形成する場合は、シーラント層として用いることもできる。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L-LDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)などのポリエチレン、酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン、酸変性ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、エチレン-ビニルアセテート共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマーなどのポリオレフィン樹脂などが挙げられる。ポリオレフィン樹脂の低温シール性の観点からポリエチレン系樹脂が好ましく、安価であることからポリエチレンが特に好ましい。
ポリオレフィン樹脂層の厚みは、特に限定されないが、包装材料への加工性や接着層との接着性などの観点から、10~60μmが好ましく、15~40μmがより好ましい。
また、ポリオレフィン樹脂層に高低差が5~20μmの凸凹を設けることで、ポリオレフィン樹脂層の滑り性や包装材料の引き裂き性を付与することが可能である。
本発明の積層ラミネートフィルムを包装材料として用いる際には、フィルムのコシを付与するため他の層を設けてもよい。他の層としては特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂フィルムが好ましく、ポリオレフィン樹脂層側に設けることを考慮すると積層のしやすさの観点でCPP、LLPE、LDPEなどのポリオレフィン樹脂フィルムがより好ましい。
ポリオレフィン樹脂層に前記他の層を設ける方法は特に限定されるものではないが、例えばサンドラミネート法が好適に用いることができる。
本発明の積層フィルムの接着層上にポリオレフィン樹脂層を積層する方法としては、特に限定されないが、接着層とポリオレフィン樹脂フィルムとを熱によってラミネートする方法(熱ラミネート、ドライラミネート)や、ポリオレフィン樹脂を溶融させて接着層上に押出し、冷却固化させて積層する方法(押出ラミネート法)などが挙げられ、生産性、接着性の観点から押出ラミネート法が好ましい。
押出ラミネート法の溶融ポリオレフィン樹脂温度は、接着性を良好にする観点から、200~400℃であることが好ましく、250~350℃であることがより好ましく、280~330℃であることがさらに好ましい。また、押出しの際の溶融ポリオレフィン樹脂には、接着性を向上させたりライン速度を向上させるために、オゾン処理などの処理を施しても構わない。
ポリオレフィン樹脂層は、本発明のミシン目入り積層フィルムの製造直後にインラインで、ポリオレフィン樹脂を溶融押出して接着層上に積層してもよく、また、製造した本発明のミシン目入り積層フィルムを一旦ロール状に巻き取って保管や輸送したのち、オフラインで接着層上に積層してもよい。本発明の積層フィルムは耐ブロッキング性に優れているため、ロール状で保管するだけでなく枚葉で幾枚も重ねて保管や輸送したのち、オフラインで接着層上に積層してもよい。
本発明の包装材料は、通常、ミシン目入り基材フィルム層を外側に、ポリオレフィン樹脂層を内側(内容物側)にして使用できる。包装材料は、易引裂性やハンドカット性、剛性、耐衝撃性、耐ピンホール性など用途によって要求される性能を付与するため、他の層を積層することもできる。たとえば、ミシン目入り基材フィルム層の外側に、熱可塑性樹脂層、紙層、不織布層などを設けてもよく、内側には金属箔や熱可塑性樹脂層、紙層、シーラント層などを設けてもよい。他の層を積層する方法としては公知の方法、たとえば、他の層との層間に接着剤層を設けてドライラミネート法、熱ラミネート法、ヒートシール法や押出しラミネート法などを採用すればよい。接着剤としては、1液タイプのウレタン系接着剤、2液タイプのウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、酸変性ポリオレフィンの水性分散体などを用いることが可能である。また、本発明における接着層を形成するための水性分散体を他の層の接着に用いても特に構わない。
本発明の包装材料には、バリア層を積層させてもよい。バリア層を有する積層フィルムを使用して得られる包装材料は、液体や気体を遮断して、包装された内容物を保存することができる。
バリア層を構成する金属箔や蒸着層が挙げられ、アルミニウム、銅またはステンレス鋼などの金属が好ましい。バリア層の厚みは、特に限定されないが、経済的な面から3~50μmであることが好ましい。
バリア層表面は、酸化膜が形成されていてもよい。
包装材料に他の層を積層した具体的な構成としては、たとえば、基材層(ミシン目入り)/印刷層/接着層/バリア層(金属箔、金属蒸着、無機蒸着など)/接着層/シーラント層、基材層(ミシン目入り)/印刷層/接着層/ポリオレフィン樹脂層/接着層/バリア層(金属箔、金属蒸着、無機蒸着など)/接着層/シーラント層といった、一般的な包装材料や蓋材、詰め替え容器、医薬包材などに好適に用いることができる構成や、基材層(ミシン目入り)/印刷層/接着層/シーラント層といった乾燥物などの包装材料としてに好適に用いることが可能な構成などが挙げられる。これら積層体は、必要に応じて、印刷層やトップコート層などを設けてあっても構わない。
包装材料の態様としては、三方シール袋、四方シール袋、ガセット包装袋、ピロー包装袋、ゲーベルトップ型の有底容器、テトラクラシック、ブリュックタイプ、チューブ容器(ラミネートチューブ)、紙カップ(胴部と底部のブランク板を作製し、該ブランク板をカップ成形機で筒状の胴部と、該胴部の一方の開口端に底部を成形、熱接着してなる紙カップ容器など)、蓋材など種々あり、最内層のシーラント層にポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂製チャックを設けて、チャック付き包装袋とすることもできる。本発明における接着層を形成するための水性分散体はその様なチャックとの接着性にも優れる。さらに深絞り成型にも適している。
本発明の積層フィルムから作製できる包装材料は、様々な内容物に対して良好な耐性を有していることから、特に、揮発性を有する内容物や刺激性の強い内容物の包装材料として好適であり、中でも香り成分、香辛料成分、薬効成分を有する製品や電解液の包装材料として最適である。具体的には、アルコール(例えば50質量%以上の高濃度アルコール)、アルコール飲料、酸化防止剤、亜硫酸塩、芳香剤、香料、入浴剤(液体タイプ、粉末タイプ)、香辛料(チョウジ、唐辛子)、湿布剤、貼付剤、医薬品、電池電解液、トイレタリー製品、界面活性剤、シャンプー、リンス、洗剤、車用洗浄剤、パーマ液、防虫剤、殺虫剤、消毒液、消臭剤、育毛剤、食酢、歯磨き剤、化粧品、現像液、毛染め剤、歯磨き粉、美容エキス、マスタード、食酢、油、カレー、粉末キムチの素、タバスコ(キダチトウガラシを原料とした香辛料、登録商標)、塩基性物質を含んだ物、酸性物物質を含んだ物の包装材料に好適に使用される。
本発明のミシン目入り積層フィルムは、包装材料以外の用途にも使用することができる。包装材料以外の用途としては、例えば、断熱フィルム部材などの建材用途、太陽電池素子材料部材、照明部材、フィルムコンデンサ部材などの電子部材用途などが挙げられる。
以下に実施例によって本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらによって限定されるものではない。
1.接着層構成成分、水性分散体の特性
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂の構成
H-NMR分析装置(日本電子社製、ECA500、500MHz)より求めた。テトラクロロエタン(d)を溶媒とし、120℃で測定した。
(2)酸変性ポリオレフィン樹脂のメルトフローレート(MFR)
JIS K7210:1999記載の方法に準じて行った。
酸変性ポリオレフィン樹脂A-1(ボンダインHX-8290)、A-4(プリマコール)については190℃、2160g荷重で測定し、酸変性ポリオレフィン樹脂A-2、A-3については160℃、2160g荷重で測定した。
(3)酸変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量
酸変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は、GPC分析(東ソー社製HLC-8020、カラムはSHODEX社製KF-804L2本、KF805L1本を連結して用いた。)を用い、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、流速1ml/min、40℃の条件で測定した。約10mgのポリオレフィン樹脂をテトラヒドロフラン5.5mLに溶解し、PTFEメンブランフィルターでろ過したものを測定用試料とした。ポリスチレン標準試料で作成した検量線から重量平均分子量を求めた。テトラヒドロフランに溶解し難い場合は、オルトジクロロベンゼンで溶解した。
(4)水性分散体の分散粒子の数平均粒子径(mn)、体積平均粒子径(mw)
マイクロトラック粒度分布計(日機装社製、UPA150、MODEL No.9340、動的光散乱法)を用いて求めた。粒子径算出に用いる樹脂の屈折率は1.50とした。
(5)ポリビニルアルコールのケン化度および平均重合度
JIS K6726:1994記載の方法に準じて測定した。
(6)ポリビニルアルコールの重量平均分子量
ポリビニルアルコールの平均重合度とビニルアルコールの分子量44とから、次式でポリビニルアルコールの重量平均分子量を算出した。
重量平均分子量=平均重合度×44
2.ミシン目入り積層フィルムの特性
(1)ポリオレフィン樹脂層との密着性
実施例、比較例で得られた水性分散体のうち、オレフィン成分の主成分がプロピレンである酸変性ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体は、延伸ポリプロピレンフィルム(東セロ社製、OPU-1、厚み50μm(以下、PP))の未処理面上に、また、オレフィン成分の主成分がエチレンである酸変性ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体は、ポリエチレンフィルム(タマポリ社製、V-1、厚み30μm(以下、PE))の未処理面上に、乾燥後の塗布量が約2g/mになるように、それぞれメイヤーバーで塗工して塗膜を得た。100℃で60秒間乾燥した後、塗膜面に粘着テープ(ニチバン社製TF-12)を貼り付けた後、勢いよくテープを剥離した。塗膜面の状態を目視で観察して、以下のように評価した。
○:塗膜に全く剥がれがなかった。
△:塗膜の一部に剥がれが生じた。
×:塗膜の全て剥がれた。
本発明においては、○であるものを実用に耐えうるものとした。
(2)滑り性
JIS K7125記載の方法に準じて、実施例、比較例で作製した積層フィルムについて、接着層面同士の動摩擦係数(μ)を測定した。
積層フィルムをロール状に巻き取る際の巻き取りやすさおよび巻き出しやすさの観点から、動摩擦係数(μ)は実用的には0.2~0.7であることが求められており、0.25~0.5であることが好ましく、0.3~0.45であることがより好ましく、0.3~0.4 であることがさらに好ましい。
(3)耐ブロッキング性
PETフィルム(ユニチカ社製 エンブレット 12μm)に乾燥後厚みが1μmになるようにコートを行い、90℃/30秒で乾燥を行った。その後、未コートPETフィルムをコート面に置いて、40℃/3kg・f/cmの条件で3日間放置して、未コートPETフィルムを持ち上げて、ブロッキング評価を行った。
○:コートフィルムが持ち上がらず、簡単に剥離
△:1cm程度持ち上げるとコートフィルムから剥離
×:コートフィルムが剥離しない
(4)加工適性
ミシン目入り積層フィルムのミシン目孔を通り抜けた接着剤が金属板に付着し、付着した接着剤がミシン目入り積層フィルムと貼りつかず加工適性を有するかを試験した。
金属板の上にミシン目入りPETフィルムを重ね、ミシン目入りPETフィルムに接着剤を乾燥後の塗布量が約0.5g/mになるようにメイヤーバーでコートし、50℃、60秒乾燥した。その後、ミシン目入りPETフィルムを金属板から剥がし、ミシン目部分が切れずに金属板から剥がせるかどうかを確認した。なお、n数は10点で行った。
なお、ミシン目入りPETフィルムは、PETフィルム(ユニチカ社製 エンブレット 12μm)にOLFA ミシン目カッター28にてミシン目をTD方向で付けて作製した。
○:ミシン目で切れることなく積層フィルムが金属板から剥がすことができる
×:金属板から剥がす際に1回でもミシン目で切れて剥がせなかった
3.包装材料の特性
(1)接着性評価(初期)
ミシン目入りPETフィルム/接着層/ポリオレフィン樹脂層(PEまたはPPフィルム)の構成を有する包装材料を、15mm幅で切り出し、1日後、引張り試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機2020型)を用い、20℃、65%RHの雰囲気中、引張り速度100mm/分、引張り角度180度で塗膜の剥離強度を測定することで、ミシン目入りPETフィルムと、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムからなるポリオレフィン樹脂層との接着性を評価した。
本発明においては、ミシン目入りPETフィルムとポリオレフィン樹脂層との剥離強度が、10N/15mm以上であるものが、実用に耐えうるものである。
(2)易カット性
ミシン目入りPETフィルム/接着層/ポリオレフィン樹脂層(PEまたはPPフィルム)の構成を有する包装材料を作製し、ミシン目に沿って手で引き裂き易カット性を確認した。
○:ミシン目に沿って、簡単にカット
△:ミシン目に沿ってカットできるが、時々ポリオレフィン樹脂層の伸びが発生
×:ポリオレフィン樹脂層の伸びが発生して、カットできない
(3)耐光性評価
ミシン目入りPETフィルム/接着層/ポリオレフィン樹脂層(PEまたはPPフィルム)の構成を有する積層ラミネートフィルムを15mm幅で切り出し、20℃、65%RH環境下の室内にて基材フィルムであるミシン目入りPETフィルム側の真上1mの高さから40Wの白色蛍光灯(1000ルクスの照度)を30日間照射し続けた。その後、引張り試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機2020型)を用い、20℃、65%RHの雰囲気中、引張り速度100mm/分、引張り角度180度で塗膜の剥離強度を測定することで、ミシン目入りPETフィルムと、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムからなるポリオレフィン樹脂層との接着強度を測定した。評価は、光照射前である前記(1)接着性評価(初期)からの強度保持率を算出して評価した。なお、強度保持率が100%を超えた場合(耐光試験後に強度向上した場合)も100%と記載する。
光照射後強度保持率(%)=(光照射後の剥離強度)/(光照射前の剥離強度)×100
本発明において、ミシン目入りPETフィルムとポリオレフィン樹脂層との剥離強度が、光照射後においても90%の強度保持率を有するものが、実用的に耐えうるものである。
(4)耐内容物性
ミシン目入りPETフィルム/接着層/ポリオレフィン樹脂層(PEまたはPPフィルム)の構成を有する積層ラミネートフィルムを2枚用い、ポリオレフィン樹脂層を内側としシール幅10mmで三方をヒートシールした。内容物として水、50%エタノールをそれぞれ5gずつ入れ、残り一方をシール幅10mmでヒートシールすることで、内容物が密封された包装袋を作製した。60℃で2週間保持した後開封し、密封に使用した包装材料の剥離強度を上記(1)と同様にして測定し、耐内容物性を評価した。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、以下のものを使用した。
1.酸変性ポリオレフィン樹脂
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂A-1
アルケマ社製、ボンダインHX-8290(エチレン/アクリル酸エチル/無水マレイン酸=80/18/2(質量%))を用いた。
(2)酸変性ポリオレフィン樹脂A-2
プロピレン-ブテン-エチレン三元共重合体(ヒュルスジャパン社製、ベストプラスト708、プロピレン/ブテン/エチレン=64.8/23.9/11.3(質量%))280gを4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下で加熱溶融させた後、系内温度を170℃に保って撹拌下、酸成分として無水マレイン酸32.0g、ラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド6.0gをそれぞれ1時間かけて加え、その後1時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して酸変性ポリオレフィン樹脂A-2(プロピレン/ブテン/エチレン/無水マレイン酸=60.7/22.4/10.6/6.3(質量%))を得た。
(3)酸変性ポリオレフィン樹脂A-3
プロピレン-ブテン共重合体(質量比:プロピレン/1-ブテン=80/20)280gを4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下でキシレン470gに加熱溶解させた後、系内温度を140℃に保って攪拌下、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸40.0gとラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド28.0gをそれぞれ2時間かけて加え、その後6時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。析出させた樹脂を、トリエチルアミンのアセトン溶液(質量比:トリエチルアミン/アセトン=1/4)で1回洗浄し、その後アセトンで洗浄することで未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して、酸変性ポリオレフィン樹脂A-3を得た。
(4)酸変性ポリオレフィン樹脂A-4
ダウ・ケミカル社製、プリマコール5980I(エチレン/アクリル酸=80/20(質量%))を用いた。
2.酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体の製造
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E-1
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリオレフィン樹脂A-1、60.0gのイソプロパノール、4.5g(樹脂中の無水マレイン酸のカルボキシル基に対して1.8倍当量)のトリエチルアミンおよび175.5gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140~145℃に保ってさらに20分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E-1を得た。この際、フィルター上に樹脂はほとんど残っていなかった。
(2)酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E-2
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリオレフィン樹脂A-2、45.0gのエチレングリコール-n-ブチルエーテル、6.9gのN,N-ジメチルエタノールアミンおよび188.1gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白黄色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E-2を得た。この際、フィルター上に樹脂はほとんど残っていなかった。
(3)酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E-3
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリオレフィン樹脂A-3、45.0gのエチレングリコール-n-ブチルエーテル、8.0gのN,N-ジメチルエタノールアミン(DMEA)および137.0gの蒸留水を、ガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を160℃に保ってさらに60分間撹拌した。
その後、空冷にて内温が40℃になるまで冷却し、開封して、40.0gのイソプロパノール、5.0gのトルエンおよび30.0gの蒸留水を添加した。その後、密閉し、撹拌翼の回転速度を300rpmとして系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した。
そして、空冷にて回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、微白濁の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E-3を得た。この際、フィルター上に樹脂はほとんど残っていなかった。
(4)酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E-4
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリオレフィン樹脂A-4、16.8gのTEA、および223.2gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を130℃に保ってさらに30分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、微白色の酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E-4を得た。この際、フィルター上に樹脂はほとんど残っていなかった。
得られた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体の特性とその製造に用いた酸変性ポリオレフィン樹脂の特性を表1に示す。
Figure 0007016139000001
ポリウレタン樹脂の水性分散体(U-1)
スーパーフレックス550(Tg:-15℃ 平均粒子径:0.13μm 固形分濃度:45質量% 第一工業製薬製、以下550)
水溶性高分子の水溶液
水溶性高分子としてポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール社製VC-10、重合度1000、重量平均分子量44000、ケン化度99.5モル%)を用い、水を加えて加熱、攪拌によって8質量%ポリビニルアルコール水溶液を得た。
ポリエチレンイミン系接着剤(C-1)
日本曹達社製の『チタボンド』T-100を使用した。固形分濃度:10%、
ポリブタジエン系接着剤(B-1)
日本曹達社製の『チタボンド』T-180Eを使用した。固形分濃度:10%
2液硬化型ウレタン系接着剤(D-1)
DIC社製の主剤『ディックドライ』LX-401A(固形分濃度60%)、硬化剤SP-60(固形分濃度60%)を使用した。
主剤/硬化剤=1/1(液重量比)で混合後に、酢酸エチルにて10%まで希釈をして使用した。
実施例1
酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E-1に、固形分濃度が10質量%となるようにアルコールを加え攪拌して接着剤を調製した。
(ミシン目入りPETフィルム/接着層からなる積層フィルムの作製)
得られた接着剤を、ミシン目入りPETフィルムに乾燥後の塗布量が約0.5g/mになるようにメイヤーバーでコートし、90℃で5秒間乾燥して、ミシン目入りPETフィルム上に接着層が形成された積層フィルムを得た。
(ミシン目入りPETフィルム/接着層/ポリオレフィン樹脂層からなる積層ラミネートフィルムの作製)
得られた積層フィルムの接着層面に、ポリエチレン樹脂を押出ラミネートし、積層ラミネートフィルムを得た。
(包装材料の作製)
得られた2枚の積層ラミネートフィルムを用い、ポリオレフィン樹脂層同士を重ね合わせてヒートシールすることで、ミシン目入りPETフィルム/接着層/ポリオレフィン樹脂層からなる構成の包装材料を得た。
実施例2
酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E-1の固形分100質量部にポリウレタン樹脂水性分散体U-1を固形分で10質量部添加し、固形分濃度が10質量%となるようにアルコールを加え攪拌して接着剤を調製した。それ以外は、実施例1と同様に積層フィルム、積層ラミネートフィルム、包装材料を得た。
実施例3~20
酸変性ポリオレフィン樹脂の種類とポリウレタン樹脂の含有量、水溶性高分子の含有量とが表2に示すものとなるように、混合して接着剤を得た以外は、実施例1と同様にして積層フィルム、積層ラミネートフィルム、包装材料を得た。
なお、酸変性ポリオレフィン樹脂として、オレフィン成分の主成分がプロピレンである樹脂A-2、A-3を含有する水性分散体(E-2、E-3)を使用した実施例では、ポリプロピレン樹脂を接着層の上に押出ラミネートしてポリオレフィン樹脂層を形成した。
比較例1~4
接着層の種類をポリエチレンイミン系接着剤、ポリブタジエン系接着剤、2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリウレタン系接着剤にした以外は、実施例1と同様にして積層フィルム、積層ラミネートフィルム、包装材料を得た。
なお、ポリエチレンイミン、ポリブタジエンは、メタノール/水=1/1の混合溶媒で、2液硬化型ウレタン系接着剤は、酢酸エチルを使用して固形分濃度を10質量%まで希釈を行った。
実施例1~20および比較例1~4で得られた積層フィルム、包装材料の特性を表2に示す。
Figure 0007016139000002
実施例1~20の積層フィルムは、滑り性、耐ブロッキング性、加工適性に優れていたため、ミシン目入り積層フィルムの生産性に優れていた。また、積層フィルムにポリオレフィン樹脂をラミネートした積層ラミネートフィルムは、優れた接着性、耐光性、易カット性、耐内容物性を有しており、易開封性の包装材料として好適に用いることができるものであった。
実施例2~5、9、11~14、18では、ポリウレタン樹脂を含有していたため、接着性 や耐内容物性に特に優れるものであった。
実施例6~9、15~18では、水溶性高分子であるポリビニルアルコールを含有していたため、特に滑り性 に優れるものであった。
一方、比較例1~4では、酸変性ポリオレフィン樹脂以外の接着剤を用いて積層フィルムを形成しており、特に、比較例1のポリエチレンイミン系接着剤は、耐光性に劣っていた。また、比較例2~4のポリブタジエン系接着剤、ウレタン系接着剤は加工適性、滑り性、耐ブロッキング性に劣っていた。


Claims (2)

  1. ミシン目入り基材フィルムに酸変性ポリオレフィン樹脂(但し、酸変性ポリオレフィン樹脂を構成するポリオレフィン成分がプロピレンを含むものを除く)を含む接着層が積層されてなるミシン目入り積層フィルムの製造方法であって、
    ミシン目入り基材フィルムに酸変性ポリオレフィン樹脂を含む接着剤をインライン工程で塗布し、ガイドロールでテンションをかけながら乾燥し接着層を積層することを特徴とする積層フィルムの製造方法。
  2. ミシン目入り基材フィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルム、またはポリエチレンフィルムであることを特徴とする請求項1記載の積層フィルムの製造方法。
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