本発明の車両用合わせガラスは、内側強化ガラス板と外側強化ガラス板とを有している。これらの強化ガラス板は、表面に圧縮応力層を有している。表面に圧縮応力層を形成する方法として、物理強化処理と化学強化処理(イオン交換処理)があるが、何れの強化処理を用いても良い。
イオン交換処理は、ガラス板の歪点以下の温度でイオン交換によりガラス表面にイオン半径が大きいアルカリイオンを導入する方法である。イオン交換処理であれば、ガラス板の板厚が小さい場合でも、圧縮応力層を適正に形成することができる。物理強化処理は、ガラス板の軟化点付近の温度で熱処理した後、特にガラス板の軟化点付近の温度で曲面加工後にガラスを急冷することにより表面に圧縮応力層を形成する方法である。物理強化処理であれば、圧縮応力層の応力深さを大きくすることができる。
本発明に係る内側強化ガラス板において、表面から7~16μm離間した深さ位置、つまり表面からの深さ7~16μmにおける圧縮応力の平均値は350MPa以上であり、好ましくは400MPa以上、450MPa以上、500MPa以上、520MPa以上、550MPa以上、特に好ましくは570MPa以上である。表面から7~16μm離間した深さ位置における圧縮応力の平均値が低過ぎると、端面強度が低下し易くなる。一方、表面から7~16μm離間した深さ位置における圧縮応力の平均値が大き過ぎると、内部の引っ張り応力が極端に高くなる虞がある。よって、表面から7~16μm離間した深さ位置における圧縮応力の平均値は1000MPa以下が好ましい。
本発明に係る内側強化ガラス板において、表面から7μm離間した深さ位置、つまり表面からの深さ7μmにおける圧縮応力値は、好ましくは450MPa以上、550MPa以上、600MPa以上、650MPa以上、680MPa以上、特に好ましくは700MPa以上である。表面から7μm離間した深さ位置における圧縮応力値が低過ぎると、端面強度が低下し易くなる。一方、表面から7μm離間した深さ位置における圧縮応力値が大き過ぎると、内部の引っ張り応力が極端に高くなる虞がある。よって、表面から7μm離間した深さ位置における圧縮応力値は1000MPa以下が好ましい。
本発明に係る内側強化ガラス板において、表面から12μm離間した深さ位置、つまり表面からの深さ12μmにおける圧縮応力値は、好ましくは350MPa以上、400MPa以上、450MPa以上、480MPa以上、500MPa以上、530MPa以上、特に好ましくは550MPa以上である。表面から12μm離間した深さ位置における圧縮応力値が低過ぎると、端面強度が低下し易くなる。一方、表面から12μm離間した深さ位置における圧縮応力値が大き過ぎると、内部の引っ張り応力が極端に高くなる虞がある。よって、表面から12μm離間した深さ位置における圧縮応力値は1000MPa以下が好ましい。なお、表面から12μm離間した深さ位置における圧縮応力値は、他の深さ位置の圧縮応力値に比べて、端面強度との相関性が高い。
本発明に係る内側強化ガラス板において、表面から16μm離間した深さ位置、つまり表面からの深さ16μmにおける圧縮応力値は、好ましくは250MPa以上、280MPa以上、320MPa以上、360MPa以上、400MPa以上、特に好ましくは430MPa以上である。表面から16μm離間した深さ位置における圧縮応力値が低過ぎると、端面強度が低下し易くなる。一方、表面から16μm離間した深さ位置における圧縮応力値が大き過ぎると、内部の引っ張り応力が極端に高くなる虞がある。よって、表面から16μm離間した深さ位置における圧縮応力値は800MPa以下が好ましい。なお、表面から16μm離間した深さ位置における圧縮応力値は、他の深さ位置の圧縮応力値に比べて、端面強度と強い相関関係を有する。
本発明に係る内側強化ガラス板は、表面から深さ方向における圧縮応力曲線が屈曲していることが好ましい。このようにすれば、表面から7~16μm離間した深さ位置における圧縮応力の平均値と応力深さを増大させつつ、内部の引っ張り応力を低減することができる。なお、イオン交換処理を複数回行うと、表面から深さ方向における圧縮応力曲線を屈曲させることができる。
複数回のイオン交換処理を行う場合、最後のイオン交換処理(例えば、2回のイオン交換処理の場合、2回目のイオン交換処理)の温度は、好ましくは390~430℃、特に400~420℃であり、最後のイオン交換処理の時間は、好ましくは1.5~5時間、特に2~4.5時間である。このようにすれば、表面から7~16μm離間した深さ位置における圧縮応力の平均値を高め易くなる。
複数回のイオン交換処理を行う場合、イオン交換処理を2回行うことが好ましい。このようにすれば、表面から深さ方向における圧縮応力曲線を効率良く屈曲させることができる。
イオン交換処理を2回行う場合、2回目のイオン交換処理に用いるイオン交換液中の小さいアルカリイオン(例えばLiイオン、Naイオン、特にNaイオン)の割合は、1回目のイオン交換処理に用いるイオン交換液中のそれよりも少ないことが好ましい。これにより、表面から7~16μm離間した深さ位置における圧縮応力の平均値を高め易くなる。なお、アルカリイオンの大きさは、Liイオン<Naイオン<Kイオンである。
イオン交換処理を2回行う場合、1回目のイオン交換処理に用いるイオン交換液中のKNO3の含有量は、好ましくは75質量%未満、70質量%以下、特に60質量%以下である。2回目のイオン交換処理に用いるイオン交換液中のKNO3の含有量は、好ましくは75質量%以上、85質量%以上、95質量%以上、特に99.5質量%以上である。イオン交換液中のKNO3の含有量が上記範囲外になると、表面から7~16μm離間した深さ位置における圧縮応力の平均値を高め難くなる。
イオン交換処理を2回行う場合、2回目のイオン交換処理に用いるイオン交換液中のNaNO3の含有量は、1回目のイオン交換処理に用いるイオン交換液中のNaNO3の含有量よりも少ないことが好ましく、5質量%以上少ないことがより好ましく、10質量%以上少ないことが更に好ましく、15質量%以上少ないことが特に好ましい。また、2回目のイオン交換処理に用いるイオン交換液中のNaNO3の含有量は、好ましくは25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、特に0.5質量%以下である。2回目のイオン交換処理に用いるイオン交換液中のNaNO3の含有量が多過ぎると、表面から7~16μm離間した深さ位置における圧縮応力の平均値を高め難くなる。
イオン交換処理を2回行う場合、イオン交換処理の間に熱処理工程を設けてもよい。このようにすれば、同一のイオン交換液により、表面から深さ方向における圧縮応力曲線を効率良く屈曲させることができる。更に1回目のイオン交換処理の時間を短縮することができる。
強化ガラス板(内側強化ガラス板及び/又は外側強化ガラス板)の圧縮応力層の表面圧縮応力値は、好ましくは600MPa以上、700MPa以上、750MPa以上、800MPa以上、850MPa以上、特に好ましくは900MPa以上である。表面圧縮応力値が大きい程、一般的に、強化ガラス板の強度が高くなる。しかし、表面に極端に大きな圧縮応力が形成されると、表面にマイクロクラックが発生し易くなり、逆に強化ガラス板の機械的強度が低下する虞がある。更に内部の引っ張り応力が極端に高くなる虞もある。よって、表面圧縮応力値は1400MPa以下が好ましい。なお、イオン交換時間を短くしたり、イオン交換処理の温度を下げると、圧縮応力値が大きくなる傾向がある。
強化ガラス板(内側強化ガラス板及び/又は外側強化ガラス板)の応力深さは、好ましくは10μm以上、20μm以上、30μm以上、35μm以上、40μm以上、45μm以上、特に好ましくは50μm以上90μm以下である。応力深さが小さ過ぎると、端面強度が低下し易くなる。一方、応力深さが大き過ぎると、内部の引っ張り応力が過大になり、強化ガラス板が自己破壊し易くなる。なお、イオン交換時間を長くしたり、イオン交換処理の温度を上げると、応力深さが大きくなる傾向がある。
強化ガラス板(内側強化ガラス板及び/又は外側強化ガラス板)の内部の引っ張り応力値は、好ましくは100MPa以下、80MPa以下、70MPa以下、60MPa以下、特に50MPa以下である。内部の引っ張り応力値が大き過ぎると、強化ガラス板が自己破壊し易くなる。一方、内部の引っ張り応力値が小さ過ぎると、端面強度が低下し易くなる。よって、内部の引っ張り応力値は、好ましくは10MPa以上、20MPa以上、30MPa以上、40MPa以上、特に好ましくは45MPa以上である。
本発明の車両用合わせガラスにおいて、外側強化ガラス板は、内側強化ガラス板と同様の応力プロファイルを有するイオン交換処理された強化ガラス板が好ましいが、製造コストの観点から、物理強化された強化ガラス板であってもよい。外側強化ガラス板が物理強化処理されている場合、その表面圧縮応力値は、好ましくは1MPa以上、5MPa以上、10MPa以上、20MPa以上、50MPa以上、特に100MPa以上である。表面圧縮応力値が大きい程、外側強化ガラス板の強度が高くなる。また、外側強化ガラス板が物理強化処理されている場合、応力深さは、好ましくは50μm以上、100μm以上、150μm以上である。外側強化ガラス板の応力深さが小さ過ぎると、飛来物に対する耐点衝撃性が低下し易くなる。外側強化ガラス板の内部の引っ張り応力値は、好ましくは90MPa以下、70MPa以下、特に10~50MPaである。外側強化ガラス板の内部の引っ張り応力値が大き過ぎると、破損時にガラス破片が粉々に飛散して、視界が一時的に不良になり、危険な状態に陥る虞がある。
本発明の車両用合わせガラスにおいて、内側強化ガラス板の板厚は、好ましくは1.5mm以下、1.2mm以下、1.0mm以下、特に0.8mm以下であり、好ましくは0.3mm以上、0.4mm以上、0.5mm以上、0.6mm以上、特に0.7mm以上である。外側強化ガラス板の板厚は、好ましくは4.0mm以下、3.5mmm以下、3.0mm以下、2.5mm以下、2.0mm以下、1.8mm以下、特に1.5mm以下であり、好ましくは0.3mm以上、0.4mm以上、0.5mm以上、0.6mm以上、0.7mm以上、0.8mm以上、0.9mm以上、特に1.0mm以上である。合わせガラスの板厚は、好ましくは4.5mm以下、3.5mm以下、3.0mm以下、2.5mm以下、2.0mm以下、特に1.5mm以下である。それぞれの板厚が大き過ぎると、合わせガラスを軽量化し難くなる。一方、それぞれの板厚が小さ過ぎると、所望の強度を得難くなる。
特に、内側ガラス板を0.3~1.0mm、外側ガラス板を1.0~1.5mmにそれぞれ規制すれば、機械的な衝撃力を弾性的に吸収し易くなるため、自動車のフロントガラスに適用した場合に、傷が付き難くなる。
本発明の車両用合わせガラスにおいて、内側強化ガラス板の長辺寸法は、外側強化ガラス板の長辺寸法よりも小さいことが好ましい。そして、両者の長辺寸法差は、両者の熱膨張係数差に応じて、調整されていることが好ましい。このようにすれば、曲げ加工後に両者を積層一体化し、合わせガラスとした場合に、両者の寸法差が小さくなり、両者の端面が揃い易くなる。その結果、曲面加工された合わせガラスの端面強度が向上する。
強化ガラス板(内側強化ガラス板及び/又は外側強化ガラス板)は、アルカリアルミノシリケートガラスが好ましい。アルカリアルミノシリケートガラスは、イオン交換性能が高いため、短時間のイオン交換処理で所望の圧縮応力層を形成することが可能である。また耐失透性が良好であるため、板状に成形が容易である。
強化ガラス板(内側強化ガラス板及び/又は外側強化ガラス板)は、ガラス組成として、質量%で、SiO2 40~80%、Al2O3 3~30%、B2O3 0~10%、Na2O 5~20%、K2O 0~5%を含有することが好ましい。上記のように各成分の含有範囲を規制した理由を下記に示す。なお、各成分の含有範囲の説明において、%表示は質量%を指すものとする。
SiO2は、ガラスのネットワークを形成する成分である。SiO2の含有量は、好ましくは40~80%、45~75%、52~73%、55~71%、57~68%、特に58~67%である。SiO2の含有量が少な過ぎると、ガラス化し難くなり、また熱膨張係数が高くなり過ぎて、耐熱衝撃性が低下し易くなる。一方、SiO2の含有量が多過ぎると、溶融性や成形性が低下し易くなり、また熱膨張係数が低くなり過ぎて、有機樹脂中間層の熱膨張係数に整合させ難くなる。
Al2O3は、イオン交換性能を高める成分であり、また歪点やヤング率を高める成分である。Al2O3の含有量が少な過ぎると、イオン交換性能を十分に発揮できない虞が生じる。よって、Al2O3の下限範囲は、好ましくは3%以上、8%以上、12%以上、16%以上、16.5%以上、17.1%以上、17.5%以上、18%以上、特に18.5%以上である。一方、Al2O3の含有量が多過ぎると、ガラスに失透結晶が析出し易くなって、オーバーフローダウンドロー法等で板状に成形し難くなる。また耐酸性が低下して、酸処理工程に適用し難くなる。更には高温粘性が高くなり、溶融性が低下し易くなる。よって、Al2O3の上限範囲は、好ましくは30%以下、28%以下、26%以下、24%以下、23.5%以下、22%以下、21%以下、特に20.5%以下である。
B2O3は、液相温度、クラック発生率、高温粘度及び密度を低下させると共に、ガラスを安定化させて結晶を析出させ難くする成分である。B2O3の下限範囲は、好ましくは0%以上、0.1%以上、1%以上、2%以上、特に3%以上である。しかし、B2O3の含有量が多過ぎると、イオン交換によって、ヤケと呼ばれるガラス表面の着色が発生したり、耐水性が低下したり、応力深さが小さくなり易い。よって、B2O3の上限範囲は、好ましくは10%以下、6%以下、5%以下、特に4%未満である。
Na2Oは、イオン交換成分であり、また高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高める成分である。また、Na2Oは、耐失透性を改善する成分でもある。Na2Oの含有量が少な過ぎると、溶融性やイオン交換性能が低下し易くなる。よって、Na2Oの含有量は、好ましくは5%以上、7.0%超、10%以上、12%以上、13%以上、特に14%以上である。一方、Na2Oの含有量が多過ぎると、熱膨張係数が高くなり過ぎて、耐熱衝撃性が低下したり、有機樹脂中間層の熱膨張係数に整合させ難くなる。また歪点が低下し過ぎたり、ガラス組成の成分バランスを欠き、かえって耐失透性が低下する場合がある。よって、Na2Oの含有量は、好ましくは20%以下、19%以下、17%以下、16.3%以下、16%以下、特に15%以下である。
K2Oは、イオン交換を促進する成分であり、アルカリ金属酸化物の中では応力深さを大きくし易い成分である。また高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高める成分である。更には、耐失透性を改善する成分でもある。しかし、K2Oの含有量が多過ぎると、熱膨張係数が高くなり過ぎて、耐熱衝撃性が低下し、有機樹脂中間層の熱膨張係数に整合させ難くなる。また歪点が低下し過ぎると、ガラス組成の成分バランスを欠き、かえって耐失透性が低下する傾向がある。よって、K2Oの上限範囲は、好ましくは5%以下、4%以下、2%未満、特に1%未満である。なお、K2Oを添加する場合、その添加量は、好ましくは0.1%以上、0.3%以上、特に0.5%以上である。
上記成分以外にも、例えば以下の成分を添加してもよい。
Li2Oは、イオン交換成分であり、また高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高める成分であると共に、ヤング率を高める成分である。更にLi2Oは、アルカリ金属酸化物の中では圧縮応力値を高める効果が大きいが、Na2Oを5%以上含むガラス系において、Li2Oの含有量が極端に多くなると、かえって圧縮応力値が低下する傾向がある。また、Li2Oの含有量が多過ぎると、液相粘度が低下して、ガラスが失透し易くなることに加えて、熱膨張係数が高くなり過ぎて、耐熱衝撃性が低下したり、有機樹脂中間層の熱膨張係数に整合させ難くなる。更に、低温粘性が低下し過ぎて、応力緩和が起こり易くなり、かえって圧縮応力値が低下する場合がある。よって、Li2Oの含有量は、好ましくは0~4%、0~2%、0~1.5%、0~1%、0~1.0%未満、0~0.5%、0~0.1%、特に0.01~0.05%である。
MgOは、高温粘度を低下させて、溶融性、成形性、歪点及びヤング率を高める成分であり、アルカリ土類金属酸化物の中では、イオン交換性能を高める効果が大きい成分である。よって、MgOの下限範囲は、好ましくは0%以上、0.5%以上、1%以上、1.2%以上、1.3%以上、特に1.4%以上である。しかし、MgOの含有量が多過ぎると、密度や熱膨張係数が高くなり易く、またガラスが失透し易くなる。よって、MgOの上限範囲は、好ましくは9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3.5%以下、3%以下、2.5%以下、2.3%以下、特に2.2%以下である。
CaOは、他の成分と比較して、耐失透性の低下を伴うことなく、高温粘度を低下させて、溶融性、成形性、歪点及びヤング率を高める成分である。しかし、CaOの含有量が多過ぎると、密度や熱膨張係数が高くなり、またガラス組成の成分バランスを欠いて、かえってガラスが失透し易くなったり、イオン交換性能が低下したり、イオン交換溶液を劣化させ易くなる。よって、CaOの含有量は、好ましくは0~6%、0~5%、0~4%、0~3.5%、0~3%、0~2%、0~1%未満、0~0.5%、特に0~0.1%である。
SrOとBaOは、高温粘度を低下させて、溶融性、成形性、歪点及びヤング率を高める成分である。しかし、SrOやBaOの含有量が多過ぎると、イオン交換反応が阻害され易くなることに加えて、密度や熱膨張係数が高くなったり、ガラスが失透し易くなる。よって、SrOとBaOの含有量は、それぞれ0~2%、0~1.5%、0~1%、0~0.5%、0~0.1%、特に0~0.1%未満が好ましい。
MgO、CaO、SrO及びBaOの合量が多過ぎると、密度や熱膨張係数が高くなったり、ガラスが失透したり、イオン交換性能が低下する傾向がある。よって、MgO、CaO、SrO及びBaOの合量は、好ましくは0~9.9%、0~8%、0~6%、特に0~5%である。
TiO2は、イオン交換性能と耐ソラリゼーション性を高める成分であり、また高温粘度を低下させる成分であるが、その含有量が多過ぎると、ガラスが着色し易くなり、或いは失透し易くなる。よって、TiO2の含有量は、好ましくは0~4.5%、0.05~0.5%、特に0.1~0.3%である。
ZrO2は、イオン交換性能を高める成分であると共に、液相粘度付近の粘性や歪点を高める成分である。しかし、ZrO2の含有量が多過ぎると、耐失透性が著しく低下する虞があり、また密度が高くなり過ぎる虞もある。よって、ZrO2の含有量は、好ましくは0~5%、0~3%、0~1%未満、特に0.001~0.5%である。
ZnOは、イオン交換性能を高める成分であり、特に圧縮応力値を高める効果が大きい成分である。また低温粘性を低下させずに、高温粘性を低下させる成分である。しかし、ZnOの含有量が多過ぎると、ガラスが分相したり、耐失透性が低下したり、密度が高くなったり、応力深さが小さくなる傾向がある。よって、ZnOの含有量は、好ましくは0~6%、0~3%、0~1%、特に0~0.1%である。
P2O5は、イオン交換性能を高める成分であり、特に応力深さを大きくする成分である。P2O5の好適な下限範囲は0%以上、1%以上、3%以上、5%以上、特に7%超である。しかし、P2O5の含有量が多過ぎると、ガラスが分相したり、耐水性が低下し易くなる。よって、P2O5の含有量の好適な上限範囲は20%以下、18%以下、15%以下、13%以下、10%以下、特に7%以下である。
SnO2は、イオン交換性能を高める効果を有する。よって、SnO2の含有量は、好ましくは0~3%、0.01~3%、0.05~3%、0.1~3%、特に0.2~3%である。
清澄剤として、Cl、SO3、CeO2の群(好ましくはCl、SO3の群)から選択された一種又は二種以上を0~3%添加してもよい。
Fe2O3は、TiO2との併存により紫外線吸収特性を高める成分であるが、その含有量が多過ぎると、可視光透過率が低下し易くなる。よって、Fe2O3の含有量は、好ましくは10ppm以上(0.001%以上)、30ppm以上、50ppm以上、100ppm以上、特に200ppm以上である。またFe2O3の含有量は、好ましくは1000ppm未満(0.1%未満)、800ppm未満、600ppm未満、400ppm未満、特に300ppm未満である。更にFe2O3の含有量を上記範囲に規制した上で、モル比Fe2O3/(Fe2O3+SnO2)を0.8以上、0.9以上、特に0.95以上に規制することが好ましい。このようにすれば、波長400~770nm、板厚1mmにおける全光線透過率を高めることができる(例えば90%以上)。
Nd2O3、La2O3等の希土類酸化物は、ヤング率を高める成分である。しかし、原料自体のコストが高く、また多量に添加すると、耐失透性が低下し易くなる。よって、希土類酸化物の合量は、好ましくは3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下、特に0.1%以下である。
環境的配慮から、ガラス組成として、実質的にAs2O3、Sb2O3、PbO、Bi2O3及びFを含有しないことが好ましい。ここで、「実質的に~を含有しない」とは、ガラス成分として積極的に明示の成分を添加しないものの、不純物として混入する場合を許容する趣旨であり、具体的には、明示の成分の含有量が0.05%未満であることを指す。
外側強化ガラス板として、上記アルカリアルミノシリケートガラスが好適であるが、製造コストの観点から、ソーダライムガラスを用いてもよい。ソーダライムガラスは、一般的に、ガラス組成として、質量%で、SiO2 65~75%、Al2O3 0~3%、CaO 5~15%、MgO 0~15%、Na2O 10~20%、K2O 0~3%、Fe2O3 0~3%を含有している。
強化処理前の強化ガラス板(内側強化ガラス板及び/又は外側強化ガラス板)、つまり未強化ガラス板のクラック発生率は90%以下、好ましくは80%以下である。または、クラック発生率が80%以下となる荷重は、好ましくは500gf以上、特に800gf以上である。クラック発生率が大き過ぎると、強化ガラス板に飛来物が衝突し局所的な応力が加わった際に、強化ガラス板にクラックが発生し易くなり、合わせガラス全体の破壊に繋がる虞がある。またクラック発生率が80%以下となる荷重が小さ過ぎると、強化ガラス板に飛来物が衝突し局所的な応力が加わった際に、強化ガラス板にクラックが発生し易くなり、合わせガラス全体の破壊に繋がる虞がある。
強化ガラス板(内側強化ガラス板及び/又は外側強化ガラス板)の密度は2.60g/cm3以下、2.55g/cm3以下、2.50g/cm3以下、2.48g/cm3以下、2.46g/cm3以下、特に2.45g/cm3以下が好ましい。密度が大き過ぎると、強化ガラス板を軽量化し難くなり、合わせガラスも軽量化し難くなる。なお、「密度」は、アルキメデス法で測定可能である。
強化ガラス板(内側強化ガラス板及び/又は外側強化ガラス板)の25~380℃の温度範囲における熱膨張係数は、好ましくは100×10-7/℃以下、95×10-7/℃以下、90×10-7/℃以下、特に85×10-7/℃以下である。強化ガラス板の熱膨張係数が高過ぎると、有機樹脂中間層の熱膨張係数に整合し難くなり、強化ガラス板と有機樹脂中間層の剥離が生じ易くなる。なお、「25~380℃の温度範囲における熱膨張係数」は、ディラトメーターで測定した平均値である。
強化ガラス板(内側強化ガラス板及び/又は外側強化ガラス板)の液相温度は、好ましくは1200℃以下、1150℃以下、1100℃以下、1080℃以下、1050℃以下、1020℃以下、特に1000℃以下である。液相粘度は、好ましくは104.0dPa・s以上、104.4dPa・s以上、104.8dPa・s以上、105.0dPa・s以上、105.3dPa・s以上、105.5dPa・s以上、105.7dPa・s以上、105.8dPa・s以上、特に106.0dPa・s以上である。液相温度と液相粘度が上記範囲外になると、成形時にガラスが失透し易くなる。なお、「液相温度」は、標準篩30メッシュ(篩目開き500μm)を通過し、50メッシュ(篩目開き300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れた後、温度勾配炉中に24時間保持して、結晶が析出する温度を測定した値を指す。「液相粘度」は、液相温度におけるガラスの粘度を白金球引き上げ法で測定した値を指す。
強化ガラス板(内側強化ガラス板及び/又は外側強化ガラス板)のヤング率は、好ましくは76GPa以下、74GPa以下、72GPa以下、特に70GPa以下である。ヤング率が高過ぎると、強化ガラス板が撓み難くなり、合わせガラスの衝撃吸収性が低下し易くなる。なお、「ヤング率」は、共振法等で測定可能である。
本発明の車両用合わせガラスにおいて、有機樹脂中間層の一部が外側強化ガラス板の端面の外側に食み出していることが好ましく、その食み出し幅は、外側ガラス板の板厚よりも大きいことが好ましい。このようにすれば、強化ガラス板の端面に対して、斜め方向から衝撃が加わった場合に、有機樹脂中間層が湾曲して強化ガラス板の端面を覆い、強化ガラス板の端面への衝撃を緩和することができる。
本発明の車両用合わせガラスにおいて、有機樹脂中間層の厚みは、好ましくは0.1~2mm、0.3~1.5mm、0.5~1.2mm、特に0.6~0.9mmである。有機樹脂中間層の厚みが小さ過ぎると、衝撃吸収性が低下し易くなり、また固着性にばらつきが生じ易くなって、強化ガラス板と有機樹脂中間層が剥離し易くなる。一方、有機樹脂中間層の厚みが大き過ぎると、合わせガラスの視認性が低下し易くなる。
有機樹脂中間層として、種々の有機樹脂が使用可能であり、例えば、ポリエチレン(PE)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、メタクリル樹脂(PMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、セルロースアセテート(CA)、ジアリルフタレート樹脂(DAP)、ユリア樹脂(UP)、メラミン樹脂(MF)、不飽和ポリエステル(UP)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルホルマール(PVF)、ポリビニルアルコール(PVAL)、酢酸ビニル樹脂(PVAc)、アイオノマー(IO)、ポリメチルペンテン(TPX)、塩化ビニリデン(PVDC)、ポリスルフォン(PSF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、メタクリル-スチレン共重合樹脂(MS)、ポリアレート(PAR)、ポリアリルスルフォン(PASF)、ポリブタジエン(BR)、ポリエーテルスルフォン(PESF)、又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等が使用可能である。その中でも、透明性と固着性の観点から、EVA、PVBが好適であり、特にPVBは遮音性を付与し得るため好ましい。
有機樹脂中間層中に着色剤を添加してもよく、赤外線、紫外線等の特定波長光線を吸収する吸収剤を添加してもよい。
有機樹脂中間層には、上記有機樹脂を複数種類組み合わせたものを用いてもよい。例えば、二層の有機樹脂中間層を用いると、外側強化ガラス板と内側強化ガラス板が異なる有機樹脂で固着されるため、積層一体化の際に、合わせガラスの反りを低減し易くなる。
以下のようにして、本発明の車両用合わせガラスを作製することができる。
まず所定のガラス組成になるように調合したガラス原料を連続溶融炉に投入して、1500~1700℃で加熱溶融し、清澄、攪拌した後、成形装置に供給して板状に成形し、徐冷することにより、ガラス板を作製することができる。
平板形状に成形する方法として、オーバーフローダウンドロー法を採用することが好ましい。オーバーフローダウンドロー法は、表面が未研磨の状態で、高品位なガラス板を大量に作製し得ると共に、大型のガラス板も容易に作製し得る方法である。なお、表面が未研磨であると、ガラス板の製造コストを低廉化することができる。
オーバーフローダウンドロー法以外にも、フロート法でガラス板を成形することも好ましい。フロート法は、大型のガラス板を安価に作製し得る方法である。
ガラス板は、必要に応じて、面取り加工されていることが好ましい。その場合、#800のメタルボンド砥石等により、C面取り加工を行うことが好ましい。このようにすれば、端面強度を高めることができる。必要に応じて、ガラス板の端面をエッチングして、端面に存在するクラックソースを低減することも好ましい。
次に、得られたガラス板について、必要に応じて、曲面加工を行う。曲面加工の方法として、種々の方法を採用することができる。特に、金型によりガラス板をプレス成形する方法が好ましく、所定の形状の金型でガラス板を挟み込んだ状態で熱処理炉を通過させることが好ましい。このようにすれば、曲面形状の寸法精度を高めることができる。また、所定形状の金型上にガラス板を配置した後、ガラス板の一部又は全体を熱処理することにより、金型の形状に沿って、ガラス板を自重で軟化変形させる方法も好ましい。このようにすれば、曲面加工の効率を高めることができる。
続いて、曲面加工後のガラス板に対して、強化処理して、2枚の強化ガラスを得る。強化処理は特に限定されず、イオン交換処理と物理強化処理の何れでもよいが、端面強度を高める観点から、イオン交換処理が好ましい。イオン交換処理の条件は、特に限定されず、ガラスの粘度特性、用途、厚み、内部の引っ張り応力、寸法変化等を考慮して最適な条件を選択すればよいが、上記の通り、イオン交換処理を複数回行うことが好ましい。特に、イオン交換液中のKイオンをガラス中のNa成分とイオン交換すると、ガラス表面に圧縮応力層を効率良く形成することができる。イオン交換液としては、種々のイオン交換液が使用可能であり、例えば、KNO3の溶融塩、KNO3とNaNO3の混合溶融塩等を用いることができる。
物理強化処理の条件は特に限定されないが、ガラス板の軟化点付近の温度に加熱した後、空気ジェット等により急冷することが好ましい。物理強化処理を別途の熱処理工程で行ってもよいが、製造効率の観点から、曲面加工後のガラス板を急冷することで行うことが好ましい。
更に、2枚の強化ガラス板を有機樹脂中間層により積層一体化して、合わせガラスとする。積層一体化の方法として、2枚のガラス板の間に有機樹脂を注入した後に有機樹脂を硬化させる方法、2枚の強化ガラス板の間に有機樹脂シートを配置した後に加圧加熱処理(熱圧着)する方法等が挙げられるが、後者の方法の方が、積層一体化が容易であるため好ましい。
加圧加熱処理(熱圧着)に際し、強化ガラス板の熱膨張係数に応じて、外側と内側に配置するヒーターの加熱温度に差をつけてもよい。この場合、低膨張の強化ガラス板側のヒーターの加熱温度を高くし、高膨張の強化ガラス板側のヒーターの加熱温度を低くすることが好ましい。これにより、強化ガラス板間の伸縮量が整合し易くなり、合わせガラスの反りを低減することができる。
また、合わせガラスを得た後に、内側強化ガラス板又は外側強化ガラス板の表面に、ハードコート膜や赤外線反射膜を形成してもよい。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。なお、以下の実施例は単なる例示である。本発明は以下の実施例に何ら限定されない。
まず内側強化ガラス板を次のようにして作製した。ガラス組成として、質量%で、SiO2 61.5%、Al2O3 18.0%、B2O3 0.5%、Na2O 14.5%、K2O 2.0%、MgO 3.0%、SnO2 0.5%を含有するガラスが得られるように、ガラス原料を調合した。次に、調合済みのガラス原料を連続溶融炉に投入し、溶融、清澄、攪拌して、均質な溶融ガラスを得た後、成形体内に供給し、板厚0.7mmになるように、オーバーフローダウンドロー法で板状に成形した。
得られたガラス板について、各種特性を評価したところ、密度は2.45g/cm3、熱膨張係数は91×10-7/℃、ヤング率は71GPa、液相温度は970℃、液相粘度は106.3dPa・s、クラック発生率は65%であった。ここで、密度は、周知のアルキメデス法によって測定した値である。熱膨張係数は、ディラトメーターを用いて、25~380℃の温度範囲における平均熱膨張係数を測定した値である。ヤング率は、周知の共振法で測定した値である。液相温度は、標準篩30メッシュ(篩目開き500μm)を通過し、50メッシュ(篩目開き300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れた後、温度勾配炉中に24時間保持して、結晶が析出する温度を測定した値である。液相粘度は、液相温度におけるガラスの粘度を白金球引き上げ法で測定した値である。クラック発生率は、まず温度200℃に保持された電気炉内で1時間保持し、表面の水分状態を一定にし、その後、湿度30%、温度25℃に保持された恒温恒湿槽内において、荷重800gfに設定したビッカース圧子をガラス表面に15秒間打ち込み、その15秒後に圧痕の4隅から発生するクラックの数をカウント(1つの圧痕につき最大4とする)し、更にこのようにして圧子を50回打ち込み、総クラック発生数を求めた後、総クラック発生数/200×100の式により求めた値である。
また、ガラス板を所定の形状の金型で各試料を挟み込んだ状態で熱処理炉を通過させることにより、板幅方向の全体が円弧状に湾曲し、且つ長さ方向の全体が円弧状に湾曲した曲面形状に曲面加工した。その後、曲面加工後のガラス板の端面について#800のメタルボンド砥石によりC面取り加工及び研磨加工を行った。
続いて、曲面加工後のガラス板について、表1に記載のイオン交換液を用いて、表1に記載の条件でイオン交換処理し、各内側強化ガラス板を得た。表1において、DOL_zeroは応力深さ、DOL_tailはイオン交換層の深さ、CT_cvは内部の引っ張り応力値をそれぞれ表している。そして、表中の「CS」と「DOL」は、表面応力計(折原製作所社製FSM-6000LE)のソフトFsmVを用いて、測定試料を観察した際に、観察される干渉縞の本数とその間隔から算出した値であり、測定に際し、測定設定(強化種別)を化学強化II、測定モードを厳密解モードとし、深さ計測の境界位置の算出には屈曲点位置使用を採用した。なお、測定に当たり、各試料の屈折率を1.50、光学弾性定数を29.5[(nm/cm)/MPa]とした。
各強化ガラス板について、図2に示す振り子端面試験機を用いて、端面強度試験を行った。但し、端面強度試験に際し、曲面加工せずに、イオン交換処理を行った試験片を用いた。図2(a)は、試験片を挟持した金属製治具及び試験ヘッドの形状を示す概念斜視図である。試験片21は、一対のベークライト製の樹脂板22の間に挟んだ状態で金属製治具23に固定されている。試験片21の寸法は、22mm×30mm×0.7mm厚であり、試験片21の内、2mm×30mmの部分が金属製治具23から食み出した状態になっている。この食み出した部分の端面が試験ヘッド24と衝突することになる。試験ヘッド24は、SUS製であり、曲率半径R=2.5mmになっている。図2(b)は、端面強度試験の衝突方法を示す概念断面図である。図2(b)に示すように、まず試験ヘッド24を取り付けた振り子25(アーム長500mm)を10mmの高さから振り下ろし、金属製治具23に挟持された試験片21の端面と衝突させた。その後、振り子25の高さを10mmずつ上昇させながら、この操作を試験片21が破損するまで続行し、試験片21が破損した時の高さを破損高さとした。各各化学強化ガラスについて、この端面強度試験を10回行い、破損高さの算術平均値を平均破壊高さとして算出した。
図3は、強化ガラス板の表面から7~16μm離間した深さ位置における圧縮応力の平均値と端面強度試験における平均破壊高さとの関係を示すグラフである。図3から分かるように、強化ガラス板の表面から7~16μm離間した深さ位置における圧縮応力の平均値と端面強度試験における平均破壊高さは、相関係数R2が0.8926であるため、強い相関関係が認められる。
表1から分かるように、試料No.1、2に係る内側強化ガラス板は、表面から7~16μm離間した深さ位置における圧縮応力の平均値が大きいため、端面強度試験の評価が良好であった。一方、試料No.3、4に係る内側強化ガラス板は、表面から7~16μm離間した深さ位置における圧縮応力の平均値が小さいため、端面強度試験の評価が不良であった。
次に、外側強化ガラス板を作製した。上記内側強化ガラス板と同様の寸法を有するソーダライムガラスからなるガラス板(板厚1.5mm)を用意した。このガラス板について、上記内側ガラス板の場合と同様の方法により曲面加工した後、急冷して物理強化処理を行うことにより、外側強化ガラス板を得た。得られた外側強化ガラス板について、上記方法によりCSを算出したところ、CSが50MPaであった。
最後に、厚み0.7mmのポリビニルブチラール(PVB)を用いて、上記内側強化ガラス板と上記外側強化ガラス板とを加圧加熱処理により積層一体化して、曲面形状を有する合わせガラス(試料No.1~4)を得た。試料No.1、2の合わせガラスは、高強度と薄型化が両立しており、端面に衝撃が加わった場合でも破損し難いと考えられる。
表2に記載のガラス板(a~h)について、実施例1の欄に記載の方法により曲面加工した後、上記試料No.2に係る内側強化ガラス板と同様の条件でイオン交換処理を行い、内側強化ガラス板を得た。なお、これらの内側強化ガラス板の表面から7~16μm離間した深さ位置における圧縮応力の平均値は400MPa以上であった。その後、この内側強化ガラス板と上記内側強化ガラス板よりも長辺寸法がやや大きいソーダライムガラスからなるガラス板(板厚1.5mm)とを試料No.2の合わせガラスと同様の方法により積層一体化して、それぞれ合わせガラスを作製した。なお、ソーダライムガラス板は、試料No.2と同様のイオン交換処理が行われている。