以下、本実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
図1は、本実施の形態に係る電動車両1とDC充電器300とを含む充電システムの全体構成図である。
DC充電器300は、直流電力を供給する充電(DC充電)を行なう充電設備である。DC充電器300は、充電ケーブルおよび充電コネクタ200を介して、電動車両1に充電電力(直流)を供給する。本実施の形態に係るDC充電器300は、同じ電力(たとえば、160kW)を供給する場合において、供給電圧(充電電圧)を変えることができる。たとえば、同じ電力を供給する場合において、電動車両1からの要求に応じて高電圧(たとえば800V)での電力の供給と、低電圧(たとえば400V)での電力の供給とを変えることができる。
また、DC充電器300には、様々な最大出力を有するものが存在している。たとえば、一例をあげると、出力可能電力50kW(出力可能電圧500V、出力可能電流125A)のDC充電器、出力可能電力160kW(出力可能電圧400V、出力可能電流400A)のDC充電器、および、出力可能電力350kW(出力可能電圧1000V、出力可能電流400A)のDC充電器などである。なお、出力可能電力とは、DC充電器300の最大出力電力値である。出力可能電圧とは、DC充電器300の最大出力電圧値である。出力可能電流とは、DC充電器300の最大出力電流値である。
具体的に一例として、出力可能電力が160kWであるDC充電器300について説明する。DC充電器300は、160kWの電力を供給する場合に、電動車両1に搭載された蓄電装置10を充電する目標の電圧である目標充電電圧VBが800Vであった場合に800V-200Aで電力を供給し、蓄電装置10の目標充電電圧VBが400Vであった場合に400V-400Aで電力を供給する。なお、本実施の形態においては、DC充電器300は、DC充電器300の出力可能電力で電動車両1に電力を供給するものとする。つまり、DC充電器300からは、電動車両1に一定の電力が供給される。
また、DC充電器300は、通信部310を備える。通信部310は、たとえば、CAN(Controller Area Network)の通信プロトコルに従い、通信信号線L2を介して電動車両1と通信(以下のおいては「CAN通信」ともいう)を行なう。
電動車両1は、電気自動車およびプラグインハイブリッド自動車などの電動車両である。本実施の形態においては、一例として、電動車両1は、プラグインハイブリッド自動車である例について説明する。図1を参照して、電動車両1は、蓄電装置10と、昇降圧コンバータ50と、インバータ60と、動力出力装置70と、駆動輪80と、車両インレット90と、ECU(Electronic Control Unit)100と、通信装置150と、メインリレー装置20と、第1充電リレー装置30と、第2充電リレー装置40と、温度センサ500とを備える。
蓄電装置10は、3個の組電池を含む。組電池は、複数の電池が積層されている。電池は、再充電可能な直流電源であり、たとえば、ニッケル水素、リチウムイオン等の二次電池である。また、電池は、正極と負極との間に液体電解質を有するものであってもよいし、固体電解質を有するものであってもよい。組電池には、DC充電器300から供給されて車両インレット90から入力される電力の他、動力出力装置70において発電される電力が蓄えられる。なお、本実施の形態においては、蓄電装置10には3個の組電池が含まれる例について説明するが、蓄電装置10に含まれる組電池の数は3個に限られない。蓄電装置10に含まれる組電池の数は3個以上であってもよいし、2個以下であってもよい。また、組電池は、複数の電池が積層されていることに限られるものではなく、1個の電池から構成されてもよい。また、組電池として、大容量のキャパシタも採用可能である。
昇降圧コンバータ50は、正極線PL1および負極線NL1と正極線PL2および負極線NL2との間で電圧変換を行なう。具体的には、たとえば、蓄電装置10から供給される直流電圧を昇圧してインバータ60に供給したり、動力出力装置70からインバータ60を介して供給される直流電圧を降圧して蓄電装置10に供給したりする。
また、昇降圧コンバータ50は、DC充電器300から供給された直流電圧を変圧(昇圧および降圧)して蓄電装置10に供給する。
インバータ60は、昇降圧コンバータ50から供給される直流電力を交流電力に変換し、動力出力装置70に含まれるモータを駆動する。また、インバータ60は、回生による蓄電装置10の充電時には、モータによって発電された交流電力を直流電力に変換して昇降圧コンバータ50に供給する。
動力出力装置70は、駆動輪80を駆動するための装置を総括して示したものである。たとえば、動力出力装置70は、駆動輪80を駆動するモータやエンジンなどを含む。また、動力出力装置70は、駆動輪80を駆動するモータが回生モードで動作することによって、車両の制動時などに発電し、その発電された電力をインバータ60へ出力する。以下においては、動力出力装置70および駆動輪80を総称して「駆動部」ともいう。また、インバータ60および動力出力装置70は、電動車両1の電気負荷である。
車両インレット90は、電動車両1に直流電力を供給するためのDC充電器300の充電コネクタ200と接続可能に構成される。DC充電時に、車両インレット90は、DC充電器300から供給される電力を受ける。
メインリレー装置20は、蓄電装置10と昇降圧コンバータ50との間に設けられる。メインリレー装置20は、メインリレー21およびメインリレー22を含む。メインリレー21およびメインリレー22は、それぞれ正極線PL1および負極線NL1に接続される。
メインリレー21,22がオフ状態であると、蓄電装置10から駆動部への電力の供給ができず、電動車両1の走行が不能な状態となる。メインリレー21,22がオン状態であると、蓄電装置10から駆動部への電力の供給が可能となり、電動車両1の走行が可能な状態にすることができる。
第1充電リレー装置30は、メインリレー装置20と昇降圧コンバータ50との間に接続される。第1充電リレー装置30は、第1充電リレー31および第1充電リレー32を含む。第1充電リレー31は、一端が第1ノードN1aに接続され、他端が車両インレット90に接続される。第1充電リレー32は、一端が第1ノードN1bに接続され、他端が車両インレット90に接続される。第1ノードN1aは、メインリレー装置20と昇降圧コンバータ50との間の正極線PL1上に設けられる。第1ノードN1bは、メインリレー装置20と昇降圧コンバータ50との間の負極線NL1上に設けられる。第1充電リレー31,32は、第1電力線CPL1,CNL1を介してDC充電器300による電動車両1の充電が行なわれる場合にオフ状態にされる。
メインリレー21,22をオン状態、かつ、第1充電リレー31,32をオン状態にすることにより、DC充電器300による蓄電装置10の充電が行なえる状態となる。
第2充電リレー装置40は、昇降圧コンバータ50とインバータ60との間に接続される。第2充電リレー装置40は、第2充電リレー41および第2充電リレー42を含む。第2充電リレー41は、一端が第2ノードN2aに接続され、他端が車両インレット90に接続される。第2充電リレー42は、一端が第2ノードN2bに接続され、他端が車両インレット90に接続される。第2ノードN2aは、昇降圧コンバータ50とインバータ60との間の正極線PL2上に設けられる。第2ノードN2bは、昇降圧コンバータ50とインバータ60との間の負極線NL2上に設けられる。第2充電リレー41,42は、第2電力線CPL2,CNL2を介してDC充電器300による電動車両1の充電が行なわれる場合にオフ状態にされる。
メインリレー21,22をオン状態、かつ、第2充電リレー41,42をオン状態にすることにより、DC充電器300による蓄電装置10の充電が行なえる状態となる。
なお、本実施の形態に係る、第1充電リレー装置30および第2充電リレー装置40は、本開示における「切替リレー」の一例に相当する。
温度センサ500は、車両インレット90の温度を検出し、その検出値をECU100に出力する。
通信装置150は、たとえば、CANの通信プロトコルに従い、通信線L1を介してDC充電器300の通信部310と通信を行なう。なお、電動車両1の通信装置150とDC充電器300の通信部310とが行なう通信は、CAN通信に限られるものではない。たとえば、電動車両1の通信装置150とDC充電器300の通信部310とが行なう通信は、PLC(Power Line Communication)通信であってもよい。この場合、通信装置150は、第1電力線CPL1,CNL1および第2電力線CPL2,CNL2に接続される。
ECU100は、いずれも図示しないがCPU(Central Processing Unit)、メモリおよび入出力バッファを含み、センサ等からの信号の入力や各機器への制御信号の出力を行なうとともに、各機器の制御を行なう。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で構築して処理することも可能である。
ECU100は、第1充電リレー装置30に含まれる第1充電リレー31,32および第2充電リレー装置40に含まれる第2充電リレー41,42を制御して、蓄電装置10の充電を制御する。具体的には、ECU100は、蓄電装置10を充電しないときには、第1充電リレー31,32および第2充電リレー41,42をともにオフ状態(以下「全オフ状態」ともいう)にして、車両インレット90と蓄電装置10とを切り離す。ECU100は、第1電力線CPL1,CNL1を介して蓄電装置10を充電するときには、第1充電リレー31,32をオン状態、かつ、第2充電リレー41,42をオフ状態(以下「第1状態」ともいう)にする。また、ECU100は、第2電力線CPL2,CNL2を介して蓄電装置10を充電するときには、第1充電リレー31,32をオフ状態、かつ、第2充電リレー41,42をオン状態(以下「第2状態」ともいう)にする。
ECU100は、メインリレー装置20に含まれるメインリレー21,22の開閉を制御する。さらに、ECU100は、温度センサ500から取得した車両インレット90の温度を用いて所定の演算を行ない、種々の処理を実行する。
また、ECU100は、通信装置150を介して、DC充電器300から車両インレット90に印加される電圧の要求電圧である充電電圧上限値VreqをDC充電器300に送信する。DC充電器300は、電動車両1から充電電圧上限値Vreqを受信すると、車両インレット90に充電電圧上限値Vreqの電圧で電力を供給する。なお、充電電圧上限値Vreqは、DC充電器300の出力可能電圧VSを超えない範囲で任意に設定可能である。
また、ECU100は、通信装置150を介して、DC充電器300からDC充電器300の最大出力を取得する。最大出力とは、具体的には、DC充電器300の出力可能電力、出力可能電圧VS、および、出力可能電流などである。なお、本実施の形態に係るECU100は、本開示に係る「制御装置」の一例に相当する。
電動車両1に搭載された蓄電装置10は、様々な最大出力のDC充電器300を用いて充電可能であることが求められる。この点、DC充電器300から車両インレット90に印加される電力を電動車両1の第2電力線CPL2,CNL2を介して昇降圧コンバータ50を作動させて蓄電装置10で充電可能な電圧に変圧することにより、様々な最大出力のDC充電器300を用いて蓄電装置10の充電ができる。
しかしながら、昇降圧コンバータ50で変圧して蓄電装置10が充電される場合、昇降圧コンバータ50を作動させてDC充電器300から車両インレット90に印加された電圧を蓄電装置10に充電可能な電圧に変圧することによる損失(以下においては「変圧損失」ともいう)が発生してしまうため、充電効率が低下してしまうことが懸念される。
また、本実施の形態においては、DC充電器300から一定の電力が車両インレット90に供給されるので、車両インレット90に印加される電圧を低くすると車両インレット90を流れる電流が大きくなる。DC充電器300の出力可能電圧VSが蓄電装置10の目標充電電圧VBより高い場合、電動車両1は、DC充電器300に対して充電電圧上限値Vreqとして蓄電装置10の目標充電電圧VBを設定して送信する。これによって、DC充電器300は、蓄電装置10の目標充電電圧VBの電圧で電力を供給する。そのため、第1電力線CPL1,CNL1を介して蓄電装置10を充電することが可能であるが、この場合、車両インレット90に印加される電圧を低くしたことに伴なって車両インレット90に流れる電流が大きくなる。そのため、電流が大きくなったことによる車両インレット90および充電ケーブルなどの発熱の増加分による損失(以下においては「通電損失」ともいう)によって充電効率が低下することが懸念される。
そこで、本実施の形態においては、DC充電器300の出力可能電圧VSが、蓄電装置10の目標充電電圧VBよりも高く、かつ、所定電圧よりも低い場合には、第1電力線CPL1,CNL1を介して、DC充電器300から車両インレット90に印加される電圧が直接的に蓄電装置10に供給される。また、DC充電器300の出力可能電圧VSが所定電圧以上である場合、または、DC充電器300の出力可能電圧VSが目標充電電圧VB以下である場合には、第2電力線CPL2,CNL2を介して、昇降圧コンバータ50を作動させてDC充電器300から車両インレット90に印加される電圧を変圧して蓄電装置10に供給される。
本実施の形態に係る所定電圧は、蓄電装置10の目標充電電圧VBに規定値を加算して設定される(所定電圧=VB+規定値)。規定値は、DC充電器300から供給される電力が一定であるとしたときに、目標充電電圧VBより高く、かつ、所定電圧未満のDC充電器300の出力可能電圧VS(VB<VS<所定電圧)を目標充電電圧VBまで低くしたときの通電損失を考慮して設定される。具体的には、規定値は、出力可能電圧VSが目標充電電圧VBより高く、かつ、所定電圧未満であるときの、第1電力線CPL1,CNL1を介して蓄電装置10が充電される場合の通電損失が、第2電力線CPL2,CNL2を介して蓄電装置10が充電される場合の変圧損失よりも小さくなる値に設定される。換言すると、規定値は、出力可能電圧VSが所定電圧以上である場合には、第1電力線CPL1,CNL1を介して蓄電装置10が充電される場合の通電損失が、第2電力線CPL2,CNL2を介して蓄電装置10が充電される場合の変圧損失よりも大きくなる値に設定される。なお、所定電圧は、上記のように設定されることに限られるものではなく、任意に設定することが可能である。たとえば、目標充電電圧VBに任意の固定値を加算して設定されてもよい。
図2は、電動車両1に搭載された蓄電装置10を充電する際にECU100で実行される処理を示すフローチャートである。この処理は、ECU100において、車両インレット90にDC充電器300の充電コネクタ200が接続されたときに実行される。なお、図2に示すフローチャートの各ステップは、ECU100によるソフトウェア処理によって実現されるが、その一部がECU100内に作製されたハードウェア(電気回路)によって実現されてもよい。図3においても同様である。
ECU100は、車両インレット90に充電コネクタ200が接続されると処理を開始し、初期確認に異常があるか否かを判定する(ステップ100、以下ステップを「S」と略す)。初期確認とは、充電が正常に行えるか否かを確認する処理である。具体的には、たとえば、車両インレット90と充電コネクタ200とのコンタクトチェック、電動車両1に電気的な故障がないかのセルフチェック等である。
ECU100は、初期確認が異常なしと判定すると(S100においてYES)、通信装置150を介して、DC充電器300から出力可能電圧VSを取得する(S105)。なお、本実施の形態においては、DC充電器300から出力可能電圧VSを取得する例について説明するが、DC充電器300から取得するのは出力可能電圧VSに限られるものではない。たとえば、出力可能電力であってもよいし、出力可能電流であってもよい。
ECU100は、出力可能電圧VSが、蓄電装置10の目標充電電圧VBよりも高く、かつ、所定電圧よりも低いか否かを判定する(S110)。
ECU100は、取得した出力可能電圧VSが、蓄電装置10の目標充電電圧VBよりも高く、かつ、所定電圧よりも低いと判定すると(S110においてYES)、充電電圧上限値Vreqに目標充電電圧VBを設定して、DC充電器300に充電電圧上限値Vreqを送信する(S115)。これによって、DC充電器300は、充電電圧上限値Vreqの電圧で車両インレット90に電力を供給する。
そして、ECU100は、第1充電リレー31,32をオン状態、かつ、第2充電リレー41,42をオフ状態にして、第1電力線を介して蓄電装置10を充電できるようにする(S120)。そして、ECU100は、蓄電装置10の充電を開始する(S150)。
このように、ECU100は、DC充電器300から取得した出力可能電圧VSを用いて、第2電力線CPL2,CNL2を介して蓄電装置10を充電するよりも第1電力線CPL1,CNL1を介して蓄電装置10を充電した方が充電効率が高いと判定したときには、第1電力線CPL1,CNL1を介して蓄電装置10を充電する。これによって、蓄電装置10の充電効率が向上される。
ECU100は、S110において、取得した出力可能電圧VSが、蓄電装置10の目標充電電圧VBよりも高く、かつ、所定電圧よりも低いという条件を満たさないと判定したときは(S110においてNO)、充電電圧上限値Vreqに出力可能電圧VSを設定して、DC充電器300に充電電圧上限値Vreqを送信する(S125)。
次いで、ECU100は、出力可能電圧VSが目標充電電圧VBよりも高いか否かを判定する(S130)。ECU100は、出力可能電圧VSが目標充電電圧VBよりも高いと判定すると(S130においてYES)、充電電圧上限値Vreq(=VS)を昇降圧コンバータ50で目標充電電圧VBに降圧する降圧モードを選択する(S140)。そして、ECU100は、第1充電リレー31,32をオフ状態、かつ、第2充電リレー41,42をオン状態(第2状態)にする(S145)。ECU100は、第2電力線を介して昇降圧コンバータ50を作動させて充電電圧上限値Vreq(=VS)を目標充電電圧VBに降圧して、蓄電装置10を充電する(S150)。
一方、ECU100は、出力可能電圧VSが目標充電電圧VBよりも高くないと判定すると(S130においてNO)、充電電圧上限値Vreq(=VS)を目標充電電圧VBに昇圧する昇圧モードを選択する(S135)。そして、ECU100は、第1充電リレー31,32をオフ状態、かつ、第2充電リレー41,42をオン状態(第2状態)にする(S145)。ECU100は、第2電力線を介して昇降圧コンバータ50を作動させて充電電圧上限値Vreq(=VS)を目標充電電圧VBに昇圧して、蓄電装置10を充電する(S150)。
このように、ECU100がDC充電器300から取得した出力可能電圧VSを用いて、第1電力線CPL1,CNL1を介して蓄電装置10を充電するよりも、第2電力線CPL2,CNL2を介して蓄電装置10を充電した方が充電効率が高いと判定したときには、第2電力線CPL2,CNL2を介して蓄電装置10が充電される。これによって、蓄電装置10の充電効率が向上される。
また、S130において、出力可能電圧VSが目標充電電圧VBよりも高いと判定されたときには、第2電力線を介して昇降圧コンバータ50を作動させて充電電圧上限値Vreqを出力可能電圧VSから目標充電電圧VBに降圧して、蓄電装置10が充電される。これによって、蓄電装置10に過大な電圧が印加されることを回避して充電することができる。
また、S130において、出力可能電圧VSが目標充電電圧VBよりも高くないと判定されたときには、第2電力線を介して昇降圧コンバータ50を作動させて充電電圧上限値Vreqを出力可能電圧VSから目標充電電圧VBに昇圧して、蓄電装置10が充電される。これによって、蓄電装置10を目標充電電圧VBで充電することができる。これによって、たとえば、出力可能電圧VSが、蓄電装置10の現在の電圧より大きく、かつ、目標充電電圧VBよりも低いような場合であっても、蓄電装置10を目標充電電圧VBで充電することができるので、出力可能電圧VSを昇圧しない場合と比べて、蓄電装置10の充電に要する充電時間を短くすることができる。
ECU100は、S100において、初期確認が異常ありと判定すると(S100においてNO)、処理を終了する。
以上のように、本実施の形態においては、ECU100が、通信によってDC充電器300から取得したDC充電器300の出力可能電圧VSを用いて、第1電力線CPL1,CNL1および第2電力線CPL2,CNL2のどちらを介して蓄電装置10を充電するかを判定する。出力可能電圧VSが、蓄電装置10の目標充電電圧VBよりも高く、かつ、所定電圧よりも低いと判定された場合には、第1電力線CPL1,CNL1を介して蓄電装置10が充電される。これによって、昇降圧コンバータ50を作動させて電圧を変圧することによる損失を抑制することができ、蓄電装置10の充電効率を向上させることができる。
一方、出力可能電圧VSが、所定電圧以上であると判定された場合には、第2電力線CPL2,CNL2を介して蓄電装置10が充電される。これによって、昇降圧コンバータ50を作動させて充電電圧上限値Vreqを降圧して蓄電装置10を充電することができる。ゆえに、蓄電装置10に過大な電圧が印加されることを回避して充電することができる。
また、出力可能電圧VSが、目標充電電圧VB以下であると判定された場合には、第2電力線CPL2,CNL2を介して蓄電装置10が充電される。これによって、昇降圧コンバータ50を作動させて充電電圧上限値Vreqを昇圧して蓄電装置10を充電することができる。ゆえに、蓄電装置10を目標充電電圧VBで充電することができる。
<変形例>
実施の形態においては、ECU100は、DC充電器300の出力可能電圧VSを用いて、第1電力線CPL1,CNL1および第2電力線CPL2,CNL2のどちらを使用して蓄電装置10を充電するかを判定した。ECU100は、DC充電器300の出力可能電圧VSに加えて、車両インレット90の温度TIを用いて、第1電力線CPL1,CNL1および第2電力線CPL2,CNL2のどちらを使用して蓄電装置10を充電するかを判定してもよい。
たとえば、電動車両1の充電をする前に、DC充電器300が他の電動車両の充電に使用されていたような場合には、DC充電器300の充電コネクタ200が非常に高温になっていることも考えられる。そのような場合に、車両インレット90に充電コネクタ200が接続されると、熱伝導によって車両インレット90も高温になり得る。このような状態において、大きな充電電流が車両インレット90に流れると、さらに車両インレット90が発熱することによって通電損失が大きくなってしまう可能性がある。
そこで、出力可能電圧VSが、蓄電装置10の目標充電電圧VBよりも高く、かつ、所定電圧よりも低い場合であっても(VB<VS<所定電圧)、車両インレット90の温度TIが閾値Tthよりも高いときには、第2電力線CPL2,CNL2を介して蓄電装置10を充電する。
これによって、車両インレット90の温度TIが閾値Tth以上の場合には、第2電力線CPL2,CNL2を介して蓄電装置10が充電されるので、DC充電器300から車両インレット90に蓄電装置10の目標充電電圧VBよりも高い電圧を印加することができる。これによって、車両インレット90に流れる電流を小さくすることができるので、車両インレット90の発熱を抑制して充電効率を向上させることができる。
変形例に係る閾値Tthは、第1電力線を介して蓄電装置10を充電したときの通電損失と、第2電力線を介して蓄電装置10を充電したときの変圧損失とを考慮して任意に設定される。たとえば、閾値Tthは、車両インレット90の温度TIが閾値Tth以上の場合に、第1電力線を介して蓄電装置10を充電したときの通電損失が、第2電力線を介して蓄電装置10を充電したときの変圧損失よりも大きくなる値に設定される。換言すると、閾値Tthは、車両インレット90の温度TIが閾値Tthより小さい場合には、第1電力線を介して蓄電装置10を充電したときの通電損失が、第2電力線を介して蓄電装置10を充電したときの変圧損失よりも小さくなる値に設定される。
図3は、電動車両1に搭載された蓄電装置10を充電する際にECU100で実行される処理を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートは、図2のフローチャートに対して、S255を追加した。その他の各ステップについては、図2のフローチャートにおける各ステップと同様であるため、繰り返し説明しない。
ECU100は、出力可能電圧VSが、蓄電装置10の目標充電電圧VBよりも高く、かつ、所定電圧よりも低いと判定すると(S210においてYES)、車両インレット90の温度TIが閾値Tthよりも低いか否かを判定する(S255)。
ECU100は、車両インレット90の温度TIが閾値Tthよりも低いと判定すると(S255においてYES)、充電電圧上限値Vreqに目標充電電圧VBを設定して、DC充電器300に充電電圧上限値Vreqを送信する(S215)。そして、ECU100は、第1充電リレー31,32をオン状態、かつ、第2充電リレー41,42をオフ状態にして、第1電力線を介して蓄電装置10を充電できるようにする(S220)。そして、ECU100は、蓄電装置10の充電を開始する(S250)。
ECU100は、車両インレット90の温度TIが閾値Tthよりも低くないと判定すると(S255においてNO)、充電電圧上限値Vreqに出力可能電圧VSを設定して、DC充電器300に充電電圧上限値Vreqを送信する(S225)。
そして、この場合、出力可能電圧VSは目標充電電圧VBよりも高いので、ECU100は、S230において、出力可能電圧VSが目標充電電圧VBよりも高いと判定して(S230においてYES)、充電電圧上限値Vreq(=VS)を目標充電電圧VBに降圧する降圧モードを選択する(S240)。そして、ECU100は、第1充電リレー31,32をオフ状態、かつ、第2充電リレー41,42をオン状態(第2状態)にする(S245)。ECU100は、第2電力線を介して昇降圧コンバータ50を作動させて充電電圧上限値Vreq(=VS)を目標充電電圧VBに降圧して、蓄電装置10を充電する(S250)。
以上のように、出力可能電圧VSが、蓄電装置10の目標充電電圧VBよりも高く、かつ、所定電圧よりも低い場合であっても(VB<VS<所定電圧)、車両インレット90の温度TIが閾値Tth以上のときには、第2電力線CPL2,CNL2を介して蓄電装置10を充電する。
これによって、車両インレット90の温度TIが閾値Tth以上の場合には、第2電力線CPL2,CNL2を介して、DC充電器300から供給される電力の電圧が昇降圧コンバータ50を作動させて降圧させて蓄電装置10に供給されるので、DC充電器300から蓄電装置10の目標充電電圧VBよりも大きい電圧を印加することができる。これによって、車両インレット90に流れる電流を小さくすることができるので、車両インレット90の発熱を抑制して充電効率を向上させることができる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。