JP7008790B2 - ビニルピロリドン系重合体溶液の製造方法 - Google Patents
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Description
従来は、容積面での有利性から、一旦粉体としてから貯蔵や輸送を行い、使用時に溶媒に溶解させて溶液として使用していた。しかしながら、溶液であれば、一旦粉体とする必要がないため、効率の点において望ましく、高濃度のビニルピロリドン系重合体溶液の製造方法も開発されている。
特許文献2~4にもビニルピロリドン系重合体の製造方法が開示されている。
本発明のビニルピロリドン系重合体溶液の製造方法は、反応器にN-ビニルピロリドンを含む単量体成分と過酸化水素を含む重合開始剤とを添加して重合させる工程を含み、上記過酸化水素の使用量が全単量体の使用量100質量%に対して、1.6~4.0質量%であり、上記単量体成分の添加終了後のアンモニアの使用量が全単量体の使用量100質量%に対して、0~0.3質量%である。
単量体成分の添加終了後のアンモニアの使用量(反応器への添加量)を0.3質量%以下とすることにより、重合工程後半の反応器内の溶液のpHを調整することにより重合性を制御し、さらに、重合後の溶液中の、分子量が増大する反応を促進するアンモニアの残存量を低減することができるため、得られる重合体溶液の経時安定性が向上する。更に、単量体成分の添加終了後のアンモニアの使用量を0.01質量%以上とすることが好ましく、これにより、重合工程後半の重合反応を効率的に行うことができるため、単量体成分の添加終了後のアンモニアの使用量が0質量%の場合よりも反応時間を短縮することができ、また、副生成物としての2-ピロリドンの量を低減することができる。好ましくは0.02~0.2質量%であり、より好ましくは0.03~0.15質量%であり、更に好ましくは0.04~0.1質量%である。
上記過酸化水素の使用量として好ましくは2.0~3.9質量%であり、より好ましくは2.5~3.8質量%であり、更に好ましくは3.0~3.7質量%である。
銅のアンミン錯塩としては、例えば、ジアンミン銅塩([Cu(NH3)2]2SO4・H2O、[Cu(NH3)2]Cl等)、テトラアンミン銅塩([Cu(NH3)4]SO4・H2O、[Cu(NH3)4]Cl2等)等が挙げられる。
また、上記金属イオンの量としては、単量体成分に対して、0.001~0.35ミリモル%とするのが好ましく、0.001~0.21ミリモル%とするのがより好ましい。
単量体成分の添加終了前のアンモニアの使用量は、全単量体の使用量100質量%に対して、0.01~0.5質量%であることが好ましい。より好ましくは0.05~0.3質量%であり、更に好ましくは0.1~0.2質量%である。
溶媒として好ましくは水である。
溶媒の使用量は、重合反応によって生じるビニルピロリドン系重合体の濃度が40~70 質量%となるように、適宜設定すればよいが、全単量体の使用量100質量%に対して、45~150質量%とすることが好ましく、65~100質量%とすることがより好ましい。
上記製造方法におけるアンモニアの添加方法としては、単量体成分の添加終了までの間、連続的に添加する方法が好ましい。単量体成分の添加終了後は、一括添加であってもよいが、逐次添加することが好ましい。
上記製造方法における過酸化水素の添加方法としては、単量体成分の添加終了までの間、連続的に添加する方法が好ましい。単量体成分の添加終了後も、逐次添加することが好ましく、より好ましくはアンモニアの添加終了後に断続的に添加することであり、更に好ましくはアンモニアの添加終了後に2~6回に分けて添加することである。
また、単量体成分添加終了後の反応器内の溶液の温度を単量体成分添加終了前の温度よりも上げることが好ましい。より好ましくはアンモニアの添加終了後に温度を上げることであり、更に好ましくはアンモニアの添加終了後に過酸化水素を添加する際に温度を上げることである。
また、単量体成分添加終了後に温度を上げる場合、単量体成分添加終了前の反応器内の溶液の温度よりも5~35℃上げることが好ましい。
単量体成分添加終了後の反応器内の溶液の温度としては、65~95℃であることが好ましい。より好ましくは70~90℃であり、更に好ましくは75~85℃である。
本発明はまた、ビニルピロリドン系重合体溶液であって、上記重合体溶液は、ビニルピロリドン系重合体の濃度が40~70質量%であり、フィケンチャー法によるK値が10~28であり、重合体溶液中の2-ピロリドンの含有量が35000質量ppm未満であり、pHが4.5以下であるビニルピロリドン系重合体溶液でもある。
上記ビニルピロリドン系重合体の濃度は50~70質量%が好ましい。
<K値の求め方>
重合体を水に1質量%の濃度で溶解させ、その溶液の粘度を25℃において毛細管粘度計によって測定し、この測定値を用いて次のフィケンチャー式;
(logηrel)/C=〔(75Ko2)/(1+1.5KoC)〕+Ko
K=1000Ko
(但し、Cは、溶液100ml中の重合体のg数を表す。ηrelは、溶媒に対する溶液の粘度を表す。)から計算した。なお、得られる数値が高いほど、分子量が高いことを示す。
上記ビニルピロリドン系重合体のK値は28以下であり、これにより溶液の粘性が高くなりすぎることを抑制し、溶液の取扱い性が良好となる。
上記ビニルピロリドン系重合体のK値として好ましくは10~27であり、更に好ましくは13~27であり、特に好ましくは13~25であり、より好ましくは15~25であり、最も好ましくは15~20である。
なお、K値は製造条件で制御することができ、重合開始剤として用いる過酸化水素の使用量によって制御することができる。例えば本発明の実施例1では過酸化水素の使用量が3.30%でK値17.1のビニルピロリドン系重合体が得られているが、過酸化水素の使用量を2/3に減らすことでK値が25程度のビニルピロリドン系重合体を得ることができる。また、過酸化水素の使用量を増やすことでK値を10まで低下させることができるが、2-ピロリドンやオリゴマーの含有量がやや増えていく傾向がある。
上記2-ピロリドンの含有量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
上記残存N-ビニルピロリドンの含有量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
上記ビニルピロリドン系重合体溶液は、高濃度で経時安定性に優れるため、種々の用途に用いることができ、例えば、化粧品用途;崩壊剤、溶解補助剤、錠剤の結合剤、ヨウ素との複合体等の医薬品・医薬品用添加剤用途;食品用途;再汚染防止剤、色移り防止剤等の洗剤添加剤用途;金属微粒子や有機/無機顔料等の分散剤、粘接着剤、フォトレジスト等の感光性電子材料やインク用添加剤、導電性層や固体電解質、濾過膜製造時の添加剤等の工業用途;種子コーティング剤等の農業・園芸用途等に用いることができる。
重合体溶液に脱イオン水を添加して、固形分換算で1質量%の濃度になるように希釈し、その溶液の粘度を25±0.2℃において、ウベローデ型粘度計を用いて測定した。溶液が2つの印線の間を流れる時間を測定した。数回測定し、平均値をとった。相対粘度を測定するために、脱イオン水についても同様に測定した。2つの得られた流動時間をハーゲンバッハ-キュッテ(Hagenbach-Couette)の補正に基づいて補正した。
相対粘度ηrelは次式により得た。
ηrel=(溶液の流動時間)÷(水の流動時間)
底面の直径が約5cmの秤量缶(質量W1(g))に、約1gの重合体溶液を量り取り(質量W2(g))、150℃の定温乾燥機中において1時間静置し、乾燥させた。乾燥後の秤量缶+重合体の質量(W3(g))を測定し、以下の式より固形分を求めた。
固形分(質量%)=((W3(g)-W1(g))/W2(g))×100
重合体溶液に脱イオン水を添加して、固形分換算で5質量%の濃度になるように希釈し、その溶液のpHを測定した。
重合体溶液をPP製バイアル(容量22ml)に10gずつ量りとり、密閉した。23℃及び50℃で60日間経過前後のK値を測定した。
以下の条件で、液体クロマトグラフにより定量分析した。
装置:資生堂「NANOSPACE SI-2」(UV/VIS検出器使用)
カラム:資生堂「CAPCELLPAK C18 UG120(内径1.5mm、長さ250mm)」、40℃
溶離液:LC用メタノール(和光純薬工業株式会社製)/超純水=1/24(質量比)、1-ヘプタンスルホン酸ナトリウム 0.04質量%添加
流速:100μL/min
マックスブレンド型攪拌翼(SUS304製)、温度計、還流管、ジャケットを備えた1L反応器(SUS304製)に、0.05%硫酸銅水溶液0.44部(N-ビニルピロリドンに対する硫酸銅の量は0.47ppm)、脱イオン水269.2部仕込んだ。250rpmで撹拌しながら、200ml/分で30分間窒素置換を行い溶存酸素を除去した。次いで、窒素導入を30ml/分にし、250rpmで撹拌しながら、反応器の内温が60℃になるように加熱した。次いで、60℃を維持しながら、83%N-ビニルピロリドン(株式会社日本触媒製、以下、VPとも称する)水溶液(VP475部を脱イオン水95部で希釈)570部、35%過酸化水素水(東京化成工業株式会社製)38部(VPに対する過酸化水素の量は2.8%)、7.7%アンモニア水溶液(25%アンモニア水溶液(和光純薬工業株式会社製)3.9部を脱イオン水8.7部で希釈)8.6部(VPに対するアンモニアの量は0.14%)を、別々にそれぞれ180分間かけて滴下した。
前記原料の逐次滴下終了後、7.7%アンモニア水溶液3.9部(VPに対するアンモニアの量は0.06%)を30分かけて滴下した。
VPの滴下開始から240分後、80℃に昇温を開始し、20%過酸化水素水(35%過酸化水素水6.8部を脱イオン水4.5部で希釈)5.9部(VPに対する過酸化水素の量は0.25%)を30分かけて滴下した。
次いで、VPの滴下開始から330分後、20%過酸化水素水5.9部(VPに対する過酸化水素の量は0.25%)を30分かけて滴下し(過酸化水素水添加終了後の反応器内の溶液のpHは4.1)、さらに80℃で1時間保持して、ポリビニルピロリドン水溶液を得た。
得られたポリビニルピロリドン水溶液の物性を確認したところ、濃度が52.5%、K値が17.1、pHが4.0、残存N-ビニルピロリドン量が7ppm、2-ピロリドン量が22600ppmであった。
マックスブレンド型攪拌翼(SUS304製)、温度計、還流管、ジャケットを備えた20L反応器(SUS304製)に、脱イオン水5780.5部仕込んだ。250rpmで撹拌しながら、2L/分で30分間窒素置換を行い溶存酸素を除去した。次いで、窒素導入を50ml/分にし、250rpmで撹拌しながら、反応器の内温が60℃になるように加熱した。次いで、60℃を維持しながら、83%VP水溶液(VP10200部を脱イオン水2040部で希釈)12240部、35%過酸化水素水874.3部(VPに対する過酸化水素の量は3.0%)、16.3%アンモニア/硫酸銅水溶液(25%アンモニア水溶液265.2部を脱イオン水84.2部で希釈し、0.025%硫酸銅水溶液を56.8部添加)93.8部(VPに対するアンモニアの量は0.15%、硫酸銅の量は0.32ppm)を、別々にそれぞれ180分間かけて滴下した。
前記原料の逐次滴下終了後、16.3%アンモニア/硫酸銅水溶液312.5部(VPに対するアンモニアの量は0.5%、硫酸銅の量は1.07ppm)を180分かけて滴下した。
VPの滴下開始から300分後、20%過酸化水素水(35%過酸化水素水157.4部を脱イオン水114.6部で希釈)272部(VPに対する過酸化水素の量は0.54%)を60分かけて滴下し(過酸化水素水添加終了後の反応器内の溶液のpHは7.6)、さらに60℃で2時間保持して、ポリビニルピロリドン水溶液を得た。
得られたポリビニルピロリドン水溶液の物性を確認したところ、濃度が52.2%、K値が17.7、pHが7.4、残存N-ビニルピロリドン量が9ppm、2-ピロリドン量が29920ppmであった。
実施例1及び比較例1で得られたポリビニルピロリドン水溶液の経時安定性を上述の方法により評価した。結果を表1に示す。
実施例1及び比較例1で得られたポリビニルピロリドン水溶液の50℃での経時安定性を評価した。保存温度を50℃に変更した以外は、上述の経時安定性評価と同様の方法により評価を行った。結果を表2に示す。
マックスブレンド型攪拌翼(SUS304製)、温度計、還流管、ジャケットを備えた1L反応器(SUS304製)に、脱イオン水426.3部仕込んだ。250rpmで撹拌しながら、200ml/分で30分間窒素置換を行い溶存酸素を除去した。次いで、窒素導入を30ml/分にし、250rpmで撹拌しながら、反応器の内温が60℃になるように加熱した。次いで、60℃を維持しながら、VP450部、35%過酸化水素水57部(VPに対する過酸化水素の量は4.4%)、25%アンモニア水溶液3.6部(VPに対するアンモニアの量は0.2%)、硫酸銅0.00023部(VPに対する硫酸銅の量は0.51ppm)を、別々にそれぞれ180分間かけて滴下した。
前記原料の逐次滴下終了後、25%アンモニア水溶液9.0部(VPに対するアンモニアの量は0.5%)を180分かけて滴下した。
VPの滴下開始から360分後、35%過酸化水素水2.4部(VPに対する過酸化水素の量は0.19%)を添加後、さらに60℃で1時間保持して、ポリビニルピロリドン水溶液を得た。
得られたポリビニルピロリドン水溶液の物性を確認したところ、濃度が50%、K値が16、pHが6.0、残存N-ビニルピロリドン量が10ppm以下、2-ピロリドン量が36071ppmであった。
比較例4で得られたポリビニルピロリドン水溶液、及び、比較例4で得られたポリビニルピロリドン水溶液を濃度30%に希釈した水溶液の80℃での経時安定性を評価した。保存温度を80℃、保存期間を14日間に変更した以外は、上述の経時安定性評価と同様の方法により評価を行った。結果を表3に示す。表3の結果から、経時安定性は40%以上の高濃度の時に問題になるといえる。
マックスブレンド型攪拌翼(SUS304製)、温度計、還流管、ジャケットを備えた1L反応器(SUS304製)に、0.05%硫酸銅水溶液0.44部(VPに対する硫酸銅の量は0.47ppm)、脱イオン水269.2部仕込んだ。250rpmで撹拌しながら、200ml/分で30分間窒素置換を行い溶存酸素を除去した。次いで、窒素導入を30ml/分にし、250rpmで撹拌しながら、反応器の内温が60℃になるように加熱した。次いで、60℃を維持しながら、90%VP水溶液(VP475部を脱イオン水53部で希釈)528部、35%過酸化水素水(東京化成工業株式会社製)38部(VPに対する過酸化水素の量は2.8%)、4.6%アンモニア水溶液(25%アンモニア水溶液(和光純薬工業株式会社製)3.9部を脱イオン水17部で希釈)14.4部(VPに対するアンモニアの量は0.14%)を、別々にそれぞれ180分間かけて滴下した。
前記原料の逐次滴下終了後、4.6%アンモニア水溶液6.4部(VPに対するアンモニアの量は0.06%)を30分かけて滴下した。
VPの滴下開始から240分後、80℃に昇温を開始し、20%過酸化水素水(35%過酸化水素水3.4部を脱イオン水2.5部で希釈)5.9部(VPに対する過酸化水素の量は0.25%)を30分かけて滴下し、さらに80℃で150分間保持して、ポリビニルピロリドン水溶液を得た。
得られたポリビニルピロリドン水溶液の物性を確認したところ、濃度が55.5%、K値が17.8、pHが4.0、残存N-ビニルピロリドン量が15ppm、2-ピロリドン量が17910ppmであり、経時安定性は良好であった。
マックスブレンド型攪拌翼(SUS304製)、温度計、還流管、ジャケットを備えた1L反応器(SUS304製)に、0.05%硫酸銅水溶液0.44g(VPに対する硫酸銅の量は0.47ppm)、脱イオン水269.2g仕込んだ。250rpmで撹拌しながら、200ml/分で30分間窒素置換を行い溶存酸素を除去した。次いで、窒素導入を30ml/分にし、250rpmで撹拌しながら、反応器の内温が60℃になるように加熱した。次いで、60℃を維持しながら、90%VP水溶液(VP475gを脱イオン水53gで希釈)475g、35%過酸化水素水(東京化成工業株式会社製)38g(VPに対する過酸化水素の量は3.1%)、4.6%アンモニア水溶液(25%アンモニア水溶液(和光純薬工業株式会社製)3.9gを脱イオン水17gで希釈)14.4g(VPに対するアンモニアの量は0.16%)を、別々にそれぞれ180分間かけて滴下した。
前記原料の逐次滴下終了後、4.6%アンモニア水溶液6.4g(VPに対するアンモニアの量は0.07%)を30分かけて滴下した。
VPの滴下開始から240分後、80℃に昇温を開始し、20%過酸化水素水(35%過酸化水素水6.8gを脱イオン水5gで希釈)5.9g(VPに対する過酸化水素の量は0.28%)を30分かけて滴下した。
次いで、VPの滴下開始から330分後、20%過酸化水素水5.9g(VPに対する過酸化水素の量は0.28%)を30分かけて滴下し(過酸化水素水添加終了後の反応器内の溶液のpHは4.0)、さらに80℃で1時間保持して、ポリビニルピロリドン水溶液を得た。
得られたポリビニルピロリドン水溶液の物性を確認したところ、濃度が52.6%、K値が17.0、pHが3.9、残存N-ビニルピロリドン量が13ppm、2-ピロリドン量が33740ppmであり、経時安定性は良好であった。
パドル翼(SUS316製)、温度計、還流コンデンサー、ジャケットを備えた1000L反応器(SUS316製)に、0.06%硫酸銅水溶液0.4kg(VPに対する硫酸銅の量は0.47ppm)、脱イオン水288kg仕込んだ。撹拌しながら、1晩窒素置換を行い溶存酸素を除去した。次いで、窒素導入、撹拌しながら、反応器の内温が60℃になるように加熱した。次いで、60℃を維持しながら、90%VP水溶液(VP550kgを脱イオン水61kgで希釈)611kg、35%過酸化水素水45kg(VPに対する過酸化水素の量は2.9%)、8.3%アンモニア水溶液(25%アンモニア水溶液5kgを脱イオン水55kgで希釈)41.7kg(VPに対するアンモニアの量は0.16%)を、別々にそれぞれ180分間かけて滴下した。VP水溶液滴下終了後、滴下ライン洗浄用の脱イオン水22kgを添加した。
前記原料の逐次滴下終了後、8.3%アンモニア水溶液18.3kg(VPに対するアンモニアの量は0.07%)を30分かけて滴下した。
VPの滴下開始から240分後、80℃に昇温を開始し、35%過酸化水素水4.16kg(VPに対する過酸化水素の量は0.27%)を30分かけて滴下した。
次いで、VPの滴下開始から330分後、35%過酸化水素水4.16kg(VPに対する過酸化水素の量は0.27%)を30分かけて滴下し、さらに80℃で1時間保持した。
次いで、脱イオン水を63.4kg添加し、ポリビニルピロリドン水溶液を得た。
得られたポリビニルピロリドン水溶液の物性を確認したところ、濃度が49.7%、K値が17.3、pHが3.9、残存N-ビニルピロリドン量が6ppm、2-ピロリドン量が30133ppmであり、経時安定性は良好であった。
攪拌翼(ポリテトラフルオロエチレン製)、温度計、還流管、ジャケットを備えた反応器(ガラス製)に、硫酸銅0.000046部(VPに対する硫酸銅の量は0.05ppm)、脱イオン水938部仕込み、撹拌しながら、反応器の内温が60℃になるように加熱した。次いで、60℃を維持しながら、VP1000部、35%過酸化水素水34部(VPに対する過酸化水素の量は1.2%)、25%アンモニア水溶液6部(VPに対するアンモニアの量は0.15%)を、別々にそれぞれ180分間かけて滴下した。
前記原料の逐次滴下終了後、25%アンモニア水溶液2部(VPに対するアンモニアの量は0.05%)を30分かけて滴下した。
VPの滴下開始から240分後、80℃に昇温を開始し、35%過酸化水素水5部(VPに対する過酸化水素の量は0.18%)を添加した。
次いで、VPの滴下開始から330分後、35%過酸化水素水5部(VPに対する過酸化水素の量は0.18%)を添加し、さらに80℃で1時間保持して、ポリビニルピロリドン水溶液を得た。
得られたポリビニルピロリドン水溶液の物性を確認したところ、濃度が50%、K値が29、残存N-ビニルピロリドン量が10ppm以下であった。実施例1のポリビニルピロリドン水溶液に比べて経時安定性が若干低下した。
攪拌翼、温度計、還流管、ジャケットを備えた反応器に、硫酸銅0.00023部(VPに対する硫酸銅の量は0.51ppm)、脱イオン水426.3部仕込み、撹拌しながら、反応器の内温が95℃になるように加熱した。次いで、95℃を維持しながら、VP450部、35%過酸化水素水15部(VPに対する過酸化水素の量は1.2%)、25%アンモニア水溶液3.6部(VPに対するアンモニアの量は0.2%)を、別々にそれぞれ180分間かけて滴下した。
前記原料の逐次滴下終了後、35%過酸化水素水4.5部(VPに対する過酸化水素の量は0.35%)を5回に均等に分けて1時間間隔で添加し、5回目の添加後、さらに95℃で1時間保持して、ポリビニルピロリドン水溶液を得た。
得られたポリビニルピロリドン水溶液の物性を確認したところ、濃度が50%、K値が30、残存N-ビニルピロリドン量が10ppm以下であった。実施例1のポリビニルピロリドン水溶液に比べて経時安定性が若干低下した。また、実施例1よりK値が高いので同濃度での溶液の粘性は高くなり取扱い性が低下する傾向を確認できた。
Claims (5)
- 重合体濃度が40~70質量%であり、フィケンチャー法によるK値が10~28のビニルピロリドン系重合体溶液を製造する方法であって、
該製造方法は、反応器にN-ビニルピロリドンを含む単量体成分と過酸化水素を含む重合開始剤とを添加して重合させる工程を含み、
該過酸化水素の使用量が、全単量体の使用量100質量%に対して、1.6~4.0質量%であり、
該単量体成分の添加終了後のアンモニアの使用量が全単量体の使用量100質量%に対して、0~0.3質量%であることを特徴とするビニルピロリドン系重合体溶液の製造方法。 - 前記製造方法は、単量体成分の添加終了後の過酸化水素の使用量が全単量体の使用量100質量%に対して、0.2~2.5質量%であることを特徴とする請求項1に記載のビニルピロリドン系重合体溶液の製造方法。
- 前記製造方法は、アンモニア及び過酸化水素の添加終了後の反応器内の溶液のpHが4.5以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のビニルピロリドン系重合体溶液の製造方法。
- ビニルピロリドン系重合体溶液であって、
該重合体溶液は、ビニルピロリドン系重合体の濃度が40~70質量%であり、フィケンチャー法によるK値が10~28であり、重合体溶液中の2-ピロリドンの含有量が35000質量ppm未満であり、pHが4.5以下であることを特徴とするビニルピロリドン系重合体溶液。 - 前記ビニルピロリドン系重合体溶液は、23℃で60日間保存した際の、60日間保存後のK値が保存開始時のK値100%に対して92~108%であることを特徴とする請求項4に記載のビニルピロリドン系重合体溶液。
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