JP7008741B2 - 乳酸菌発酵食品の製造方法 - Google Patents

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本発明は、乳酸菌で発酵させる乳酸菌発酵食品の技術に関し、詳しくは、飲食の際に乳酸菌を生きたままの状態で用いる食品となることから、腸内環境の改善ができ、美容や健康に効果的な機能性を持つ乳酸菌発酵食品の製造方法に関するものである。
古くから、日本人に親しまれている飲み物として日本人が主食としている米を原料として製造される甘酒がある。甘酒の製造方法には、大きく分けて、米麹を使う方法と、日本酒を製造する際にできる酒粕で作る方法があるが、特に子供やアルコールが飲めない方でも安心して飲める米麹で作る甘酒等の飲料が親しまれている現状がある。
また、近年において、甘酒の成分が腸内環境を良くすることや、美容にも良いということが知られるようになり、特に女性の間で注目されている。しかしながら、市販されている甘酒は乳酸菌発酵とうたわれているものであっても、全て加熱殺菌処理されたものである。そこで、腸内環境を良くする乳酸菌等を、生きたまま腸内へ取り入れられることを可能とする乳酸菌発酵食品を、容易に作れる生産技術が求められている。
特開2010-124807号
そこで、従来からも種々の技術提案がなされている。例えば、発明の名称を「発酵甘酒及びその製造方法」とする技術が開示されている(特許文献1参照)。
具体的には、「粘性のあるスラリー状である甘酒を短時間で均一に加熱するとともに、その後の乳酸菌による乳酸発酵に適切な温度を保つ技術を開発し、着色が少なく麹菌酵素の失活と微生物殺菌がなされた乳酸発酵甘酒を作り出すこと。」を課題とし、解決手段として、「麹菌酵素による液化及び糖化工程と酵素失活工程、さらに高浸透圧耐性を有する乳酸菌による乳酸発酵工程その後の微生物殺菌工程を最適温度・最適時間でプログラムされたジュール加熱システムで行う。」という発明が公開され公知技術となっている。
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、短時間で均一に加熱するためにジュール加熱システムを用いたものであり、また、用いられる乳酸菌は高い浸透圧耐性を有した菌であることが特定されているにすぎず、「白神作々楽」(登録商標)というものを用いることが例示されているが、係る乳酸菌がどのような乳酸菌であるかは不明である。
特開2010-187633号
また、発明の名称を「乳酸発酵甘酒の製造方法」とする技術が開示されている(特許文献2参照)。具体的には、「従来の甘酒に比較して清涼感のある甘酒を提供する。」ことを課題とし、解決手段として、「甘酒を用意するステップ、乳酸菌を添加するステップ、及び乳酸菌発酵を行うステップを含む、甘酒の製造方法に関する。」が公開され公知技術となっている。
しかしながら、特許文献2に記載の技術は、用いられる乳酸菌のラクトコッカス・ラクティス亜種ラクティス等は、チーズ等に用いられる動物性の乳酸菌であり、本発明で用いられる植物性の乳酸菌とは取り扱いが異なり、課題を解決するための技術的手段として温度管理等が大きく異なるものである。特に、乳酸発酵の後に殺菌工程を経ずに、低温で保管することで、耐候性の強い植物性乳酸菌を生きたまま腸内へ届けることが可能となる本発明とは、その効果においても相違するものである。
特開2013-208091号
また、発明の名称を「乳酸発酵甘酒、乳酸発酵甘酒の製造方法及び乳酸菌甘酒を含む調味料」とする技術が開示されている(特許文献3参照)。具体的には、「より旨味成分を生じる乳酸発酵甘酒およびその製造方法ならびに乳酸発酵甘酒を含む調味料を提供する。」ことを課題とし、解決手段として、「本発明の乳酸発酵甘酒の製造方法は、プロテアーゼが不活性した甘酒に、ナイシンZを産生する乳酸菌を添加して培養および乳酸発酵させる第1の工程と、第1の工程の後、プロテアーゼが活性の甘酒を添加して、ナイシンZを分解する第2の工程と、第2の工程の、プロテアーゼを不活性化させる第3の工程と、第3の工程の後、ナイシンAを産生する乳酸菌を添加して培養および乳酸発酵させる第4の工程とを含むものである」という発明が公開され公知技術となっている。
しかしながら、特許文献3に記載の技術は、課題を解決するための技術的手段として乳酸発酵後に殺菌工程を経ているものである。これに対し本発明では、乳酸発酵後に殺菌せずに、低温で保管する工程を経ることで、耐候性の強い植物性乳酸菌を生きたまま腸内へ届けることが可能とする等、その効果においても相違するものである。
特開2010-124807号 特開2010-187633号 特開2013-208091号
本発明は、生きた乳酸菌等を体内に取り込むための乳酸菌発酵食品の製造を可能とし、腸内環境を良くし、甘みと酸味の調和を図ることが出来るとともに、生きたまま乳酸菌を腸内へ届け、美容と健康にも資する健康食品の提供を課題とするものである。
本発明は、乳酸菌発酵食品の製造方法であって、米と、米麹と、乳酸菌と、水とを用い、前記米に前記水を混和させる混和工程と、ニーダーにて撹拌する撹拌工程と、90度以上に加熱する加熱工程と、68度から72度に範囲以内まで冷却後に前記米麹を投入する投入行程と、50度から60度の範囲以内に温度を保ち糖化をさせる糖化工程と、前記乳酸菌であるペディオコッカスアシディラクティシィを少なくとも1.0×10^8(cell/g)以上を、糖化工程後の全体量に対して0.1%から3%の範囲で添加する乳酸菌添加工程と、37度から45度の範囲内で少なくとも10時間以上の前記乳酸菌の発酵を促す乳酸菌発酵工程を有し、前記乳酸菌発酵工程後において、前記乳酸菌がペディオコッカスアシディラクティシィを少なくとも1.5×10^7(cell/g)以上含むように増殖させる構成を採用した。
また、本発明は、前記混和工程は、前記米がうるち米90重量部ともち米30重量部であり、前記水が、200重量部から洗穀時に生米に浸透した水分量を差し引いた量で配合する構成を採用することもできる。
本発明に係る乳酸菌発酵食品の製造方法によれば、生きたままの乳酸菌を体内に取り込むことができるため、腸内環境の改善に有効であり、健康の改善を促すといった優れた効果を発揮する。
また、本発明に係る乳酸菌発酵食品の製造方法によれば、特に乳酸菌の中でもペディオコッカスアシディラクティシィを特定したことにより、特徴的な酸味を生かした今までにない甘酒等の味を創出することができ、更に、別の飲料と割ったりすることで、多種多様な飲料の開発も可能となるという優れた効果を発揮する。
本発明に係る乳酸菌発酵食品の製造方法を説明するフローチャートである。 本発明に係る乳酸菌発酵食品の製造方法において乳酸菌を添加せず米麹由来の乳酸菌で発酵させた試験結果を示す結果表である。 本発明に係る乳酸菌発酵食品の製造方法において製造した乳酸菌発酵食品の乳酸菌の同定を行った結果を示す同定表である。
図1は、本発明に係る乳酸菌発酵食品の製造方法を説明するフローチャートである。
乳酸菌発酵食品の製造方法1は、乳酸菌発酵後に低温で保管することで、ペディオコッカスアシディラクティシィを生きたまま腸内に到達させることを最大の特徴とするものである。以下、図面に基づいて説明する。但し、係る図面に記載された構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の創作として発揮する効果の得られる範囲内で変更可能である。
米10は、醪の原料となるうるち米11ともち米12を混合したものである。
うるち米11は、15%~35%のアミロースと、65%~85%のアミロペクチンで成りたっている米である。
もち米12は、アミロースを全く、或いはほとんど含まない性質を持つ米である。もち米12を、90重量部のうるち米11に対して30重量部のもち米12を水と混和させることで爽やかな甘みが出るという特徴を得ることが出来る。
米麹20は、蒸した米に麹菌を付着させ、繁殖発酵されたものをいい、日本の食文化において非常に深い関係があり、味噌や醤油、味醂等の原料として使用されているものである。本発明に係る乳酸菌はこの米麹由来のものである。なお、麹菌についてはでんぷん等の多糖類を少糖類、単糖類へ分解する糖化を行わせる。即ち、多糖類は、米麹由来のアミラーゼによって分解される。
麹菌21は、米、麦、大豆などの穀物に、麹カビなどの食品発酵に有効なカビを中心にした微生物であり、でんぷんやたんぱく質などを分解する様々な酵素を生産放出し、かかる麹カビの生産した各種分解酵素の作用を利用して醤油や味噌などの発酵食品を製造するときに用いられる菌である。なお、本発明に係る乳酸菌発酵食品の製造方法では、米麹由来の麹菌21を用いることとする。
乳酸菌30は、代謝により乳酸を生産する細菌類の総称であり育成のために糖類が必要とする細菌類である。一部の乳酸菌は腸などの消化管(腸内細菌)に常在して他の微生物と共生、或いは拮抗することによって腸内環境の恒常性維持に役立つと考えられているものである。最近では、乳酸菌などの細菌を生きたまま含む食品や飲料のことをプロバイオティクスといい、それ自体には生菌を含まないが善玉菌といわれる菌が特異的に利用するオリゴ糖などの栄養源を含むもののことをプレバイオテックスと呼ばれた健康食品が販売され、利用されている。本発明に係る乳酸菌発酵食品の製造方法において使用される乳酸菌は米麹に由来したものであり、更に、約37度から45度という高温状態で少なくとも10時間以上という長時間加熱によっても死滅しない乳酸菌であることが必要である。具体的には、ペディオコッカス属の中でも、特に優れた生命力を持ち、生きたまま腸まで届いて有効性を示すペディオコッカスアシディラクティシを用いる。なお、乳酸菌30は「植物性乳酸菌」や「動物性乳酸菌」という言葉をよく耳にするが、これは、細菌学・分類学上の区別では無く、主とする栄養源と生育場所によって便宜上、植物性・動物性と区分されているものである。そこで、本書面においても、例えば、ヨーグルトやチーズなどに含まれる乳酸菌は、乳や乳製品の発酵にかかわる乳酸菌を「動物性」乳酸菌と分類し、発酵した野菜、果物、穀類、芋類、豆類などに生息する乳酸菌を「植物性」乳酸菌と分類するものとする。
植物性乳酸菌31は、米や野菜などの植物に付着生息する乳酸菌であり、動物性乳酸菌よりも一般的には強く、胃酸や胆汁酸にも負けずに、腸に到達するという特徴があり、例えば、牛乳の乳糖を栄養にする動物性乳酸菌は30度から35度で保温され厳密な衛生管理がされた環境で作られるが、これは低温だと育たず、他の菌と共生することが出来ないからである。これに対し、植物性乳酸菌31は、豊富とは言えない野菜の細胞液などを栄養にして育ち、塩分や酸の多い漬物樽の中、しかも寒い低温環境でも生き続け、ヨーグルトほど衛生面的に厳密な管理がされていない場所でも、他に入り込んできた様々な細菌や酵母等と生存競争をしながら生き延びる強さを持った菌である。
なお、厳密にいえば、本発明に係る乳酸菌発酵食品の製造方法において生成される酸には乳酸だけではなく、一部に酢酸や酪酸などの有機酸を含む場合もある。しかし、これらの有機酸も、プレバイオテクスの観点から好ましい機能性を発揮することが期待でき、従って、酸には乳酸のみに限定されるものではなく、pHが示す酸性度には、乳酸菌(ペディオコッカスアシディラクティシィ32)を主体とするものの、その他の多様な微生物が生成する有機酸も含まれるものである。
ペディオコッカスアシディラクティシィ32は、前記の分類によれば、植物性乳酸菌31といえる乳酸菌30であって、37度から45度で一晩培養することで活発に増殖する条件的嫌気性菌であり、最高65度まで育成することができる乳酸菌30である。このペディオコッカスアシディラクティシィ32は酸にも強く、1.0というとても低いpHでも生育することが出来るといわれている。プロバイオティクスとしての効果は酸素に対する感受性が少ないとともに条件的嫌気性菌であることに起因している。また、ペディオコッカスアシディラクティシィ32は、生産された乳酸とペジオシンと名付けられている細菌の分泌物により、主に腸内に育成している病原体を含む他の微生物を阻害する効果がある。従って、加熱処理後にペディオコッカスアシディラクティシィ32が添加されると、他の菌は増殖できずにその殆どがペディオコッカスアシディラクティシィ32の増殖となる優位性を発揮する。係る優位性については、図2に示す通り、2週間経過後の乳酸菌数の変化に示されている通りである。当初、その殆どがラクトバチルスプランタラム33(1.0×10^4(cell/g)程度)や、ラクトバチルスカゼイ34(8.4×10^7(cell/g)程度)であったが、2週間後にはペディオコッカスアシディラクティシィ32の菌数が、1.0×10^7(cell/g)程度を超えるように変化していることから、その優位性は顕著である。
また、ペディオコッカスアシディラクティシィ32は、今後の更なる研究により利用可能性の拡大が期待されている。人体実験の結果から、便秘薬、下痢止め、ストレス軽減、そして免疫反応を高める生菌材としての栄養補助食品として使用されている。更に、ペディオコッカスアシディラクティシィ32は、小動物において赤痢菌、腸チフス菌、クロストリジウム、ディフィシル腸炎、そして大腸炎といった病原菌による小腸内での増殖を妨げる効果があることが知られており、腸内における悪玉菌の抑制を図り善玉菌として活性することにより高い整腸機能を発揮する菌といえる。
ラクトバチルスプランタラム33は、生きて腸まで届き、腸内環境を改善する植物性乳酸菌である。日本をはじめ、世界中で広く漬物に含まれる乳酸菌であり、日本ではぬか漬(ぬか味噌漬)やしば漬けに使われ、韓国のキムチやドイツのサワークラウト、ヨーロッパのサワーブレッドなどにも用いられる酸味の基となり、係るラクトバチルス属プランタラム33も乳酸菌30として考え得る。但し、ペディオコッカスアシディラクティシィ32と比較すると酸味がストレートでやや単調なさっぱりとした味となる。
ラクトバチルスカゼイ34は、植物(牧草)から見つけられた乳酸菌で、もともと動物の体内に生息し、ぬか漬けなどの植物性発酵食品に含まれる乳酸菌は、栄養バランスが悪く、高濃度の塩分という過酷な環境でも生き抜くことができる菌である。
水40は、醪を作るためにうるち米11ともち米12に添加する水分である。
パック50は、混和工程Aから測定工程Hの終了後にpH4.0から3.9になった状態で釜から排出される発酵食品を包装するための容体である。
混和工程Aは、うるち米90重量部に対して、もち米30重量部を洗穀後浸漬した米10を、ざるで水を切る工程である。
撹拌工程Bは、前記混和工程Aにより得られた米10をニーダーに入れ、200重量部の水から洗穀時に生米に浸透した水分量を差し引いた量の水を配合して撹拌し、撹拌中に浮いてくる異物等をチェックする工程である。
加熱工程Cは、撹拌工程Bで得られた撹拌後の米と水の混合物を90度以上で10分から60分間加熱し、醪を作る工程である。
投入行程Dは、前記加熱工程Cによって得られた醪を70度まで冷却した後に、米麹90重量部を投入して糖化を開始させる工程である。
糖化工程Eは、50度から60度の範囲で約16時間保温し、糖化を促す工程である。なお、糖化は麹菌により醪のでんぷん等の多糖類が分解されて、エネルギーとして活用可能な少糖類・単糖類になる化学反応を起こさせる工程である。化学的には多糖類のグリコシド結合を加水分解することである。
乳酸菌添加工程Fは、前記糖化工程後にペディオコッカスアシディラクティシィ32を添加する工程である。37度から45度で少なくとも10時間加熱する乳酸発酵工程Gにおいて、全体中に占める菌数が1.5×10^7(cell/g)以上含むように増殖することを可能とするために、添加が必要となる菌数として、少なくとも1.0×10^8(cell/g)以上を全体に対して0.1%から3%の範囲で添加する。
乳酸菌発酵工程Gは、乳酸菌添加工程Fにより添加されたペディオコッカスアシディラクティシィ32を37度から45度で少なくとも10時間以上保温して乳酸発酵を促し、少なくとも1.5×10^7(cell/g)以上を、全体に含むように増殖させる工程である。
以上で本発明に係る乳酸菌発酵食品の製造方法における工程は終了するが、乳酸菌の発酵が行き過ぎると酸度が強くなりすぎることがあるため、発酵中は適宜pH測定する測定工程Hを行う事が望ましい。係るpH測定によりpH4.0から3.9となった時点で排出し、パックへ充填する充填工程Iを経てことで商品化を図ることが可能となる。なお、乳酸菌の発酵を停止させるために5度以下の低温による低温保存工程Jで保存することが好適である。
図2は、本発明に係る乳酸菌発酵食品の製造方法において乳酸菌を添加せず米麹由来の乳酸菌で発酵させた試験結果を示す結果表である。また、図2は乳酸菌を添加せず米麹由来の乳酸菌の繁殖によって増加したものであり、本発明に係る製造工程において死滅せず、生き残れる乳酸菌を特定するために行った試験であり、生き残った乳酸菌を同定することにより、本発明に係る製造工程に最も適した乳酸菌を選択できるようにしたものである。
甘酒非加熱、甘酒非加熱(3日経過後)、甘酒非加熱(6日経過後)の乳酸菌数はそれぞれ1.7×10^4(cell/g)、1.6×10^8(cell/g)、2.1×10^8(cell/g)であり、3日間で大幅に乳酸菌数が増加しているが、6日経過後でもその数値は変わらない。これは甘酒非加熱、甘酒非加熱+米麹や甘酒+米麹も同様に3日で大幅な増加が見受けられるがその後は、6日経過後もあまり変化しない傾向は同様である。従って、乳酸菌の増殖は甘酒糖化終了時より3日で大幅に増殖され、その後はやや落ち着いた変化となることがわかる。
冷蔵保存5度でpH4.1となった甘酒+米麹は、一週間経過後も、二週間経過後も乳酸菌の数は一定といえ、増殖が抑えられた静菌状態となっていることから、5度に冷蔵することによって、乳酸菌の発酵を抑止することが可能となることがわかる。なお、一週間経過から二週間経過後にかけて、酵母の数が減少することもわかる。
糖化終了からの経過日数の相違によりpHの変化を見ると、糖化終了後は何れもpHが5.6程度であり、3日経過後には3.6程度、6日経過後も3.6程度へと変化している。係るpHの酸性度の変化は乳酸菌による乳酸の生成によるものと考えられる。また、3日経過後と6日経過ごとで大きな変化が見られないのは、pHは3.6以下にはなかなかならず、乳酸生成の上限と考えられる。
乳酸菌数と酵母数の変化、乳酸菌数糖化終了後が10^3(cell/g)レベルであったものが6日経過すると10^8(cell/g)レベルまで増加している。乳酸菌数は、1グラム当たり10^8(cell/g)レベルは欲しいところである。これに対し、酵母菌は糖化終了後10^3(cell/g)レベルから10^5(cell/g)までの増加がみられた。乳酸菌数の増加の方が大きいのは、温度管理により酵母菌の活動に適さない温度範囲となるからと考えられる。
上記の試験によれば、90度以上の加熱処理後、68度から72度に範囲以内まで冷却した後に米麹20を投入するため、米麹由来以外の菌は死滅し、米麹由来の乳酸菌と麹菌が共生して生息していた状態といえ、酵母菌も同様に存在するが、酵母の活動する最適温度は35~38℃で、pH(水素イオン指数)は4~6の弱酸性であり、10度以下では活動が低下し、55℃以上では死滅する。従って、50度から60度の範囲以内に温度を保ち糖化をさせる糖化工程Eにより酵母は活動できなくなり糖化が終了する。係る糖化と同時に乳酸菌30による発酵が行われ37度から45度の範囲内で少なくとも10時間以上の前記乳酸菌30の発酵を促した状態で、菌の同定を調べたところ、図3のような結果となった。
図3は、本発明に係る乳酸菌発酵食品の製造方法において製造した乳酸菌発酵食品の乳酸菌の同定を行った結果を示す同定表である。図3に示すとおり、ペディオコッカスアシディラクティシィ32、ラクトバチルスプランタラム33、或いはラクトバチルスカゼイ34が大半を占め、これらの乳酸菌30が各試料にばらついて存在した。このバラツキにより本発明に係る乳酸菌発酵食品の製造方法1で利用可能な乳酸菌30の特定ができるようになった。即ち、図3に示すように、本発明に係る乳酸菌発酵食品の製造方法1における環境下でも死滅せず、かつ1.0×10^8程度まで菌数を増殖することが可能な乳酸菌30は、ペディオコッカスアシディラクティシィ32、ラクトバチルスプランタラム33、ラクトバチルスカゼイ34、ラクトバチルスパラカゼイ、エンテロコッカスフェカーリス、及びWeissella paramesenteroides等であった。そこで、係る乳酸菌の中から酸味と甘みのバランスより、従来にない特徴的な味わいとなるペディオコッカスアシディラクティシィ32を選択した。酸に強く、低いpHでも生育することが出来るペディオコッカスアシディラクティシィ32を選択することにより、プロバイオティクスとしての整腸効果等が期待できる乳酸菌発酵食品の提供が可能となる。
本発明に係る乳酸菌を用いた乳酸菌発酵食品の製造方法によれば、日本人の主食である米を原料としたものであるため、飲食しやすく、美容や健康に良ということから愛好家が多く、馴染みやすい甘酒を原料としている。現在の甘酒は「プレバイオテックス」に分類される食品だが、本発明に係る乳酸菌発酵食品は、「プロバイオティクス」であり、健康志向の高まる中、安心の素材による健康食品の原料として産業上利用可能性は極めて高いと思慮されるものである。
1 乳酸菌発酵食品の製造方法
10 米
11 うるち米
12 もち米
20 米麹
21 麹菌
30 乳酸菌
31 植物性乳酸菌
32 ペディオコッカスアシディラクティシィ
33 ラクトバチルスプランタラム
34 ラクトバチルスカゼイ
40 水
50 パック
A 混和工程
B 撹拌工程
C 加熱工程
D 投入行程
E 保温工程
F 糖化工程
G 乳酸菌発酵工程
H 測定工程
I 充填工程
J 低温保存工程

Claims (1)

  1. 乳酸菌発酵食品の製造方法であって、
    米(10)と、米麹(20)と、乳酸菌(30)と、水(40)とを用い、
    前記米(10)に前記水(40)を混和させる混和工程(A)と、
    ニーダーにて撹拌する撹拌工程(B)と、
    90度以上に加熱する加熱工程(C)と、
    68度から72度に範囲以内まで冷却後に前記米麹(20)を投入する投入程(D)と、
    50度から60度の範囲以内に温度を保ち糖化をさせる糖化工程(E)と、
    前記混和工程(A)において、前記米(10)がうるち米(11)90重量部ともち米(12)30重量部であり、
    前記水(40)が、200重量部から洗穀時に生米に浸透した水分量を差し引いた量で配合し、
    前記糖化工程(E)後に、前記乳酸菌(30)であるペディオコッカスアシディラクティシィ(32)を少なくとも1.0×10^8(cell/g)以上を0.1%から3%の範囲で添加する乳酸菌添加工程(F)と、
    37度から45度の範囲内で少なくとも10時間以上の前記乳酸菌(30)の発酵を促す乳酸菌発酵工程(G)を有し、
    前記乳酸菌発酵工程(G)後において、前記乳酸菌(30)がペディオコッカスアシディラクティシィ(32)を少なくとも1.5×10^7(cell/g)以上含むように増殖させることを特徴とする乳酸菌発酵食品の製造方法(1)。
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