JP7008320B2 - 部材固定機構及び部材固定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、部材の固定に利用される部材固定機構及び部材固定方法に関する。
従来、雄ねじが形成されたボルト等の雄ねじ体と雌ねじが形成された雌ねじ部を有する被締結体やナット等から成るねじ締結構造は、様々な分野における各種部材同士の固定等に利用されている。被接合部材同士の接合にねじ締結構造を採用する場合は、例えばリベットや接着或いは溶接等の接合方法と比較して、各種被接合部材間に高度な軸力を印加した状態での接合が可能となる上、それらの被接合部材同士やねじ締結部材の着脱をも容易に実現することができる。
しかしながら、ねじ締結構造は、接触部分の摩擦力によって締結力(軸力)を保持するものであるため、接触部分が塑性変形や摩耗、腐食等した場合や、繰り返し外力や振動等が加わる場合、また環境温度の変化に際しては緩んでしまい、適切な締結力が失われることとなる。このため、ねじ締結構造の採用においては、使用環境等に応じた適切な緩み止め処置を施すことが必要であり、従来、種々の手法が提案されている。(例えば、特許文献1又は2参照)。
特許第3946752号公報
登録実用新案第3918706号公報
ところが、ねじ締結構造における従来の緩み止め手法は、接触部分、例えば雄ねじ体のねじ山のフランク面と雌ねじ部のねじ山のフランク面の間に作用する摩擦力を向上させるものが大半であり、使用環境等によっては適切な緩み止め効果を発揮出来ない場合があった。他方、このような緩みが発生しない接合手法として挙げられる溶接であるが、被接合部材間に軸力を印加することが出来ない上、設計が難しく、施工は気候や天候、周辺環境の影響を著しく受け、施工現場に火気を持ち込むことになること、被接合部材の母材自体に入熱が必至で入熱部の変質が避けられないことに加え、異種素材同士の接合は殆ど不可であり、施工性が悪く、作業者による個人差が著しく生じることなど種々の難点があった。
本発明は、斯かる実情に鑑みて成されたものであり、被接合部材の母材への入熱が殆ど無く、被接合部材間に高度な軸力を印加可能で、且つ、火気を使用することなく溶接レベルの確実な緩み止めを従来のねじ締結構造同様の操作で簡便に行うことが可能な部材固定機構及び部材固定方法を提供しようとするものである。
本発明の部材固定機構は、被固定部材に配設可能に構成される軸部と、上記軸部の軸に沿って移動可能な移動部材と、上記移動部材に対して仮固定状態とされ、上記被固定部材及び上記移動部材に接触させ得る接触面を有する接合部材とを備え、上記接合部材は、所定の物理条件の付加によって上記移動部材に対する仮固定状態が解除され、上記接触面上記移動部材及び上記被固定部材に接触して摺動することで、該接触面が溶融して上記接合部材と上記被固定部材及び上記移動部材とを接合して固定可能とするように構成されることを特徴とする。
軸部は、雄ねじ部を有し、移動部材は、雄ねじ部に螺合し得る第一の雌ねじ部を有し、接合部材は、移動部材に対して仮固定状態とされ、所定の物理条件を付加することで移動部材に対する仮固定状態が解除されて、接合部材の接触面が移動部材と被固定部材とに対して摺動可能となり、この摺動によって生じる摩擦熱によって、接触面が移動部材及び被固定部材と溶融するように構成されることを特徴とする。
被固定部材は、雄ねじ部に螺合し得る第二の雌ねじ部を有することを特徴とする。
雄ねじ部は、雄ねじ部に形成された適宜のリード角及び/又はリード方向に設定された第一螺旋溝と、雄ねじ部の第一螺旋溝が形成された領域の少なくとも一部の領域で重複するように形成され、リード角及び/又はリード方向に対して相異なるリード角及び/又はリード方向に設定された第二螺旋溝とを有し、第一の雌ねじ部は、第一螺旋溝に螺合し得、第二の雌ねじ部は、第二螺旋溝に螺合し得るように構成されることを特徴とする。
接合部材は、軸部の軸に沿って移動部材の外周及び被固定部材に接触し、被固定部材及び接合部材の内、一方は、一端が開口し、開口に向かって拡径する内周面を有し、他方は、内周面に嵌入し得る、基端から先端にかけて縮径する外周面を有する嵌入部を有し、被固定部材及び接合部材は、開口から内周面によって囲繞される空間内に嵌入部を嵌入させ得るように構成されることを特徴とする。
嵌入部は、基端側から先端側にかけて連続的又は段階的に縮径した環状嵌入部であって、内周面は、開口に向かって連続的又は段階的に拡径することを特徴とする。
環状嵌入部の外周面の軸方向に対する傾斜角と、内周面の軸方向に対する傾斜角とが、略一致することを特徴とする。
内周面の開口の縁部の内径は、環状嵌入部の先端部の外径よりも大きく設定されること特徴とする。
被固定部材は、前記環状嵌入部を有し、移動部材の外周面は、軸方向に対する傾斜角が、環状嵌入部の外周面の軸方向に対する傾斜角と異なる傾斜角を有し、接合部材は、内周面を有し、内周面は、移動部材に接触し得る移動部材の外周面の軸方向に対する傾斜角と一致する傾斜角の第一領域と、環状嵌入部に接触し得る環状嵌入部の外周面の軸方向に対する傾斜角と一致する傾斜角の第二領域とを有することを特徴とする。
嵌入部は、回転閉曲面体の外表面の少なくとも一部を成す曲面状の外周面を有し、内周面は、回転閉曲面体と略同一又は近似した回転閉曲面体の内表面の少なくとも一部を成す曲面状に構成されることを特徴とする。
被固定部材及び移動部材の内、一方は、一端が開口する凹部を有し、他方は、開口から凹部に嵌入し得る、凸部を有し、凹部の内周面及び/又は凸部の外周面は、軸部の軸からの距離が周方向に沿って異なる形状を有し、凸部と凹部とが嵌合して周方向に係合し、被固定部材及び移動部材の相対回転が規制されることを特徴とする。
移動部材は、軸部の端部に固定された、軸部と共に移動し得る頭部であり、頭部は、接合部材の接触面と摺接し得る摺接部を有し、接合部材は、頭部に対して仮固定状態とされ、所定の物理条件を付加することで頭部に対する仮固定状態が解除されて、接合部材の接触面が摺接部と被固定部材とに対して摺動可能となり、この摺動によって生じる摩擦熱によって、接触面が摺接部及び被固定部材と溶融するように構成されることを特徴とする。
仮固定状態は、接合部材が移動部材に対して相対移動するのを防止するように離脱可能に固定された状態であることを特徴とする。
仮固定状態は、接合部材が移動部材に対して相対回転するのを防止するように離脱可能に固定された状態であることを特徴とする。
仮固定状態は、溶接によって成されることを特徴とする。
仮固定状態は、圧入嵌合によって成されることを特徴とする。
仮固定状態は、接合部材と移動部材とが互いに離脱可能に係合するように凹凸が設けられ、互いの該凹凸を係合させて成されることを特徴とする。
物理条件は、所定以上のトルクを付与することであることを特徴とする。
物理条件は、一定以上の温度とすることであることを特徴とする。
物理条件は、所定以上の圧力を付与することであることを特徴とする。
接合部材は、軸部の軸からの距離が周方向に沿って異なる外周面を有することを特徴とする。
接合部材は、軸部の軸直角平面に対して略直交し、且つ、軸部の軸からの距離が周方向に沿って異なる略平面状又は略曲面状の異径面部を一つ以上有することを特徴とする。
接合部材は、異径面部を二つ以上有し、異径面部のうち、少なくとも一対の異径面部が所定範囲の幅で略対向して設けられることを特徴とする。
また、本発明の部材固定方法は、軸部の軸に沿って移動可能な移動部材を、軸部が取付けられている被固定部材に固定して保持する部材固定方法であって、移動部材には、移動部材及び被固定部材に接触する接触面を有する接合部材が仮固定状態とされ、接合部材を、所定の物理条件を付加することで移動部材に対する仮固定状態を解除し、接合部材の接触面が移動部材と被固定部材とに対して摺動可能とし、接触面を移動部材及び被固定部材に接触させて摺動させることで、接触面と移動部材及び被固定部材とを摩擦させて溶融させ、接合部材と被固定部材及び移動部材とを接合して固定することを特徴とする。
軸部は、雄ねじ部を有し、移動部材は、上記雄ねじ部に螺合し得る第一の雌ねじ部を有し、接合部材は、摺動によって生じる摩擦熱によって、接触面が該移動部材及び該被固定部材と溶融するように構成されることを特徴とする。
被固定部材は、雄ねじ部に螺合し得る第二の雌ねじ部を有することを特徴とする。
雄ねじ部は、雄ねじ部に形成された適宜のリード角及び/又はリード方向に設定された第一螺旋溝と、雄ねじ部の第一螺旋溝が形成された領域の少なくとも一部の領域で重複するように形成され、リード角及び/又はリード方向に対して相異なるリード角及び/又はリード方向に設定された第二螺旋溝とを有し、第一の雌ねじ部は、第一螺旋溝に螺合し得、第二の雌ねじ部は、第二螺旋溝に螺合し得るように構成されることを特徴とする。
接合部材は、軸部の軸に沿って移動部材の外周及び被固定部材に接触し、被固定部材及び接合部材の内、一方は、一端が開口し、該開口に向かって拡径する内周面を有し、他方は、内周面に嵌入し得る、基端から先端にかけて縮径する外周面を有する嵌入部を有し、被固定部材及び接合部材は、開口から内周面によって囲繞される空間内に嵌入部を嵌入させ得るように構成されることを特徴とする。
嵌入部は、基端側から先端側にかけて連続的又は段階的に縮径した環状嵌入部であって、内周面は、開口に向かって連続的又は段階的に拡径することを特徴とする。
環状嵌入部の外周面の軸方向に対する傾斜角と、内周面の軸方向に対する傾斜角とが、略一致することを特徴とする。
内周面の開口の縁部の内径は、環状嵌入部の先端部の外径よりも大きく設定されること特徴とする。
被固定部材は、環状嵌入部を有し、移動部材の外周面は、軸方向に対する傾斜角が、環状嵌入部の外周面の軸方向に対する傾斜角と異なる傾斜角を有し、接合部材は、内周面を有し、内周面は、移動部材に接触し得る移動部材の外周面の軸に対する傾斜角と一致する傾斜角の第一領域と、環状嵌入部に接触し得る環状嵌入部の外周面の軸に対する傾斜角と一致する傾斜角の第二領域とを有することを特徴とする。
嵌入部は、回転閉曲面体の外周面の少なくとも一部を成す曲面状の外周面を有し、内周面は、回転閉曲面体と略同一又は近似した回転閉曲体の内表面の少なくとも一部を成す曲面状であることを特徴とする。
被固定部材及び前記移動部材の内、一方は、一端が開口する凹部を有し、他方は、開口から凹部に嵌入し得る、凸部を有し、凹部の内周面及び/又は凸部の外周面は、軸部の軸からの距離が周方向に沿って異なる形状を有し、凸部と凹部とが嵌合して周方向に係合し、被固定部材及び移動部材の相対回転が規制されることを特徴とする。
移動部材は、軸部の端部に固定された、軸部と共に移動し得る頭部であり、頭部は、接合部材の接触面と摺接し得る摺接部を有し、接合部材は、頭部に対して仮固定状態とされ、所定の物理条件を付加することで頭部に対する仮固定状態が解除されて、接合部材の接触面が摺接部と被固定部材とに対して摺動可能となり、この摺動によって生じる摩擦熱によって、接触面が摺接部及び被固定部材と溶融するように構成されることを特徴とする。
仮固定状態は、接合部材が移動部材に対して相対移動するのを防止するように離脱可能に固定された状態であることを特徴とする。
仮固定状態は、接合部材が移動部材に対して相対回転するのを防止するように離脱可能に固定された状態であることを特徴とする。
仮固定状態は、溶接によって成されることを特徴とする。
仮固定状態は、圧入嵌合によって成されることを特徴とする。
仮固定状態は、接合部材と移動部材とが互いに離脱可能に係合するように凹凸が設けられ、互いの該凹凸を係合させて成されることを特徴とする。
物理条件は、所定以上のトルクを付与するものであることを特徴とする。
物理条件は、一定以上の温度とするものであることを特徴とする。
物理条件は、所定以上の圧力を付与するものであることを特徴とする。
接合部材は、軸部の軸からの距離が周方向に沿って異なる外周面を有することを特徴とする。
接合部材は、軸部の軸直角平面に対して略直交し、且つ、軸部の軸からの距離が周方向に沿って異なる略平面状又は略曲面状の異径面部を一つ以上有することを特徴とする。
接合部材は、異径面部を二つ以上有し、異径面部のうち、少なくとも一対の異径面部が所定範囲の幅で略対向して設けられることを特徴とする。
本発明によれば、単純な構造でありながらも、被固定部材の母材への入熱が殆ど無く、被固定部材と移動部材間に高度な軸力を印加可能で、且つ、火気を使用することなく溶接レベルの確実な緩み止めを従来のねじ締結構造同様の操作で簡便に行うことができる。
本発明の第一の実施形態にかかる部材固定機構を示す図である。 ナット形接合部材を介して雌ねじ部と鋼板とを接合する工程を段階的に示す図である。 第二の実施形態にかかる部材固定機構を示す図である。 第三の実施形態にかかる部材固定機構を示す図である。 両ねじ部を示す図である。 仮固定状態の雌ねじ部及びナット形接合部材の、(A)側面部分断面図、(B)平面図である。 ナット形接合部材と、雌ねじ部及び被固定ナットを接合する処理を段階的に示す図である。 嵌入部の外周面、雌ねじ部の外周面及びナット形接合部材の内周面の軸方向に対する傾斜角αが、(a)30°の場合を示す図、(b)45°の場合を示す図、(c)60°の場合を示す図である。 ナット形接合部材の内周面が複合角度円錐台の形状を有する場合を示す図である。 段状の嵌入部及びナット形接合部材の段状の内周面を示す図である。 凹部を有する雌ねじ部と凸部を有する被固定ナットとを示す図である。 ナット形接合部材をボルトの頭部に仮固定した場合を示す図である。
以下に本発明の第一の実施形態にかかる部材固定機構を図面を参照して説明する。なお本発明は、ナット形接合部材8を雌ねじ型移動部材4(移動部材)及び被固定部材としての鋼板6に対して相対回転させ、摩擦攪拌接合(Friction Stir Welding)によって雌ねじ型移動部材4、鋼板6、ナット形接合部材8を一体にするものである。
図1は本発明の第一の実施形態にかかる部材固定機構を示す図であり、(A)は側面の断面図、(B)は平面図である。部材固定機構1は、雄ねじ体2と、雄ねじ体2に螺合する雌ねじ型移動部材4(第一の雌ねじ部)と、雄ねじ体2を挿通させる鋼板6と、雌ねじ型移動部材4の外周に仮固定されているナット形接合部材8とからなる。
雄ねじ体2は、円柱形状の軸部であって外周面に雄ねじ螺旋溝を形成し、一端部に工具と係合する非円柱形状の伝達部10を形成している。伝達部10は、雄ねじ体2が被締結体である鋼板6に対して相対回転しないように配設されるものであれば省略可能であって必須なものではないが、本実施形態においては、締結工具から付与されたトルクを雄ねじ体2に伝達させる部位である。ここでは、締結工具であるレンチと係合するために、伝達部10として雄ねじ体2の一端部の一部を欠落して雄ねじ体2の回転軸を挟んで互いに平行な二つの面からなる二面幅が少なくとも一対以上形成される。即ち、伝達部10の断面の円弧部分の対角距離及び二面幅の寸法は雄ねじ体2の直径以下である。好ましくは雄ねじ螺旋溝の谷の径より小さく設定する。なお工具との係合手法は、様々に存在するが、例えば、スパナと係合するためには、伝達部10の外形は六角形や凸型と凹型を含めた多角形等の多面形であっても良い。六角レンチ等の締結工具と係合するためには、伝達部10が雄ねじ体2の一端部の端面に形成された六角穴や六角レンチ等の工具に対応した形状の穴であればよい。
雌ねじ型移動部材4は、中空の円錐台形状を有し、中空部には雄ねじ体2を挿通させ且つこの中空部の内周面に雄ねじ螺旋溝に螺合するための雌ねじ螺旋条が形成された雌ねじ孔を成す雌ねじ部4aを有する。鋼板6は、雄ねじ体2を挿通する雄ねじ体挿通孔を有する。この雄ねじ体挿通孔は、貫通孔であってもよく、また、タップ加工によって形成された雌ねじ螺旋条が形成されたねじ孔であってもよい。雄ねじ体挿通孔に形成される雌ねじ螺旋条は、雄ねじ体2の雄ねじ螺旋溝に螺合する。
ナット形接合部材8は、摩擦撹拌接合によって雌ねじ型移動部材4を被締結部材に対して接合可能な材料であれば特に限定されるものではないが、本実施例においては、鋼板6と接合するのに適した材料、例えば、一般鋼材や機械構造用鋼等の炭素鋼や、クロムモリブデン鋼やニッケルクロムモリブデン鋼等の合金鋼等により構成される。
ナット形接合部材8には、必須ではないが、一端側にナット形接合部材8の外周面の面方向に張り出したフランジ12を設けることが出来る。ナット形接合部材8は、外周面がスパナ等の締結工具を係合可能な形状、ここでは六角形状を有するが、これに限定されるものではなく、四角形状等の多角形状の他、ルーローの多角形等の定幅図形、星形曲線等の雄ねじ体2の軸からの距離が周方向に沿って異なる外周形状を有する形状であることが好ましい。
ナット形接合部材8は、雌ねじ型移動部材4を囲繞し且つこの雌ねじ型移動部材4の外周面4aに密着する内周面8aを有する。内周面8aは、雌ねじ型移動部材4の外周面と略平行に傾斜する。即ち内周面8aは、雌ねじ型移動部材4の外周面に沿って他端側から一端側にかけて拡径する。雌ねじ型移動部材4とナット形接合部材8は、他端面側において、雌ねじ型移動部材4とナット形接合部材8とを仮固定状態にする仮固定部分14を有する。仮固定部分14は、雌ねじ型移動部材4とナット形接合部材8とが接触する境界部分において、点溶接処理によって形成される。なお、仮固定部分14は、ろう接、アーク溶接等、点溶接以外の溶接によって形成してもよく、接着剤による雌ねじ型移動部材4及びナット形接合部材8の接着によって形成してもよい。また、仮固定部14は、必ずしも接着や溶接によって雌ねじ型移動部材4とナット形接合部材8とを仮固定していなければならないというものではなく、所定の物理的な条件、例えば、一定以上のトルクを印加した際に、これら雌ねじ型移動部材4とナット形接合部材8の相対変位を防止する一時的な接合関係や係合関係を解除することが可能な構成であればよく、凹凸関係による両者間の拘束形態であってもよい。
次にナット形接合部材8を介して雌ねじ型移動部材4と鋼板6とを一体に接合する部材固定方法について説明する。図2は、ナット形接合部材8を介して雌ねじ型移動部材4と鋼板6とを接合する工程を段階的に示す図であり、(A)は雌ねじ型移動部材4を雄ねじ体2に螺合する前の状態を示し、(B)は雌ねじ型移動部材4を鋼板6に当接させた状態を示す図である。ここで雌ねじ型移動部材4とナット形接合部材8とが点溶接によって仮固定状態にあるので、雌ねじ型移動部材4は、ナット形接合部材8にトルクをかけたときにナット形接合部材8と共に回転する。ナット形接合部材8は、自動油圧ポンプ等の駆動源が接続された六角ソケット(不図示)を装着し、六角ソケットを介してトルクが印加され、雄ねじ体2の軸を中心として回転する。従って、雄ねじ体2に雌ねじ型移動部材4を螺合させ、ナット形接合部材8に対して、六角ソケットを介して雌ねじ型移動部材4を締付ける方向のトルクを印加したとき、ナット形接合部材8は、雌ねじ型移動部材4と共に、雌ねじ型移動部材4の締付け方向に回転しながら鋼板6側に移動する。
図2(B)に示すように雌ねじ型移動部材4及びナット形接合部材8は、雌ねじ型移動部材4及びフランジ12が鋼板6に当接することで移動が規制されるが、ナット形接合部材8には、駆動源から六角ソケットを介して仮固定部分14を破壊する所定以上のトルクが印加されて、仮固定部分14が破壊される。従って、雌ねじ型移動部材4は、所定のトルクで締結された状態となって回転が停止する。
このとき、六角ソケットは、ナット形接合部材8を軸方向に沿って鋼板6側に押し付けるように、ナット形接合部材8に軸方向の力を印加する。これにより、ナット形接合部材8は、雌ねじ型移動部材4及び鋼板6に対して相対回転して、雌ねじ型移動部材4との接触面及び鋼板6との接触面の各々が、雌ねじ型移動部材4、鋼板6から反力を受けながら摺動する。なお、六角ソケットからナット形接合部材8に印加する軸方向の力は、摩擦撹拌接合によりナット形接合部材8と雌ねじ型移動部材4及び鋼板6とを良好に接合するために適した大きさの力であって、部材同士の摺接する面の傾斜角や各部材の材質等に応じて適宜設定される。
雌ねじ型移動部材4とナット形接合部材8との境界面及び鋼板6とナット形接合部材8との境界面には、摺動による摩擦熱が生じ、それぞれ可塑化、粘性化した層を形成する。可塑化、粘性化した層の材料は、ナット形接合部材8の回転によって攪拌され、雌ねじ型移動部材4とナット形接合部材8とが接合され、また鋼板6とナット形接合部材8とが接合される。このように本発明の部材固定機構1は、ナット形接合部材8が各接触面で雌ねじ型移動部材4及び鋼板6に接触して摺動することで、これらの接触面が溶融してナット形接合部材8と雌ねじ型移動部材4及び鋼板6とを接合して固定可能とするように構成される。従って、ナット形接合部材8を介して雌ねじ型移動部材4及び鋼板6を一体に接合して固定するので、雌ねじ型移動部材4と鋼板6間において、振動や衝撃、温度変化、腐食等によっても緩むことのない確実な緩み止めを簡便に行うことができる。また、簡便な構造でありながらも、鋼管6の母材への入熱が殆ど無く、鋼管6と雌ねじ型移動部材4間に高度な軸力を印加可能で、且つ、火気を使用することなく溶接レベルの確実な緩み止めをねじ締結構造と同様の操作で簡便に行うことができる。
なお、ナット形接合部材8は、外周面が雄ねじ体2の軸からの距離が周方向に沿って異なる略平面状又は略曲面状の異径面部を一つ以上有する形状、所謂Dカット形や、直線部が湾曲したDカット形等であってもよい。また外周面が異径面部を二つ以上有し、異径面部の内、少なくとも一対の異径面部が所定範囲の幅で略対向して設けられる形状、所謂二面幅を形成した形状であってもよい。
なお、部材固定機構1において被固定部材は、鋼板6であるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、鋼管等の部材であってもよく、或いは、合成樹脂等の非金属であってもよい。被固定部材を非金属として選定する場合には、その選定材料に合わせた素材を雌ねじ型移動部材4やナット形接合部材8として選択するとよい。また被固定部材は、雌ねじ部4と鋼板等の部材との間に配置されるワッシャや、雌ねじ型移動部材4とは異なる第二の雌ねじ部材であってもよい。
次に図3を参照して第二の実施形態にかかる部材固定機構1について説明する。なお上記第一の実施形態と同様の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。被固定部材は、雌ねじ型移動部材4と鋼板6との間に配置されるワッシャ20である。ワッシャ20は、雄ねじ体2の軸からの距離が周方向に沿って異なる外周面、例えば、多角形状や楕円形状等の非円形状の外周面を有する。またワッシャ20は、雌ねじ型移動部材4及びナット形接合部材8の一端面に当接可能な大きさを有する。ワッシャ20は、雄ねじ体2を挿通するワッシャ孔を有する。ワッシャ孔は貫通孔であってもよく、また、タップ加工によって形成された、雄ねじ螺旋溝に螺合する雌ねじ螺旋条が形成されたねじ孔であってもよい。
鋼板6は、雌ねじ型移動部材4に対向する面において、ワッシャ20を嵌入させる嵌入凹部6aを有する。なお、ここでは、嵌入凹部6aは、鋼板6を凹落させて設けられているが必ずしも凹設しなければならないというものではなく、ワッシャ20が被締結体、即ち、鋼板6に対して相対回転しないよう例えば、相対回転し得ないように係合可能に構成されていればよく、具体例としては、鋼板6に設けられた凸部にワッシャ20が相対回転し得ないように係合するように構成されたものであってもよい。嵌入凹部6aは、内周面がワッシャ20の外周面と略同一の形状を有し、ワッシャ20と嵌入凹部6aとの間にワッシャ20の回転防止機構を形成する。即ち非円形状の外周面のワッシャ20は、非円形状の内周面の嵌入凹部6aに嵌入することで、鋼板6に係合されて回転が規制される。
第二の実施形態におけるナット形接合部材8を介して雌ねじ型移動部材4とワッシャ20とを一体に接合する部材固定方法について説明する。ここでワッシャ20は、予め嵌入凹部6aに嵌入されて配置される。また、雌ねじ型移動部材4及びナット形接合部材8は、ナット形接合部材8に六角ソケットを介して雌ねじ型移動部材4を締付ける方向のトルクを印加したとき、雌ねじ型移動部材4の締付け方向に回転しながら、鋼板6側に移動する。
雌ねじ型移動部材4及びナット形接合部材8は、ワッシャ20に当接することで移動が規制されるが、ナット形接合部材8には、駆動源から六角ソケットを介して仮固定部分14を破壊する所定以上のトルクが印加されて、仮固定部分14が破壊される。従って雌ねじ型移動部材4は、所定のトルクで締結された状態となって回転が停止する。
このとき、六角ソケットは、ナット形接合部材8を軸方向に沿ってワッシャ20及び鋼板6側に押し付けるように、ナット形接合部材8に軸方向の力を印加する。これにより、ナット形接合部材8は、雌ねじ型移動部材4及びワッシャ20に対して相対回転し、雌ねじ型移動部材4との接触面及びワッシャ20との接触面の各々が、雌ねじ型移動部材4、ワッシャ20から反力を受けながら摺動する。
雌ねじ型移動部材4とナット形接合部材8との境界面及びワッシャ20とナット形接合部材8との境界面には、摺動による摩擦熱が生じ、それぞれ可塑化、粘性化した層を形成する。可塑化、粘性化した層の材料は、ナット形接合部材8の回転によって攪拌され、雌ねじ型移動部材4とナット形接合部材8とが接合され、またワッシャ20とナット形接合部材8とが接合される。このように第二の実施形態の部材固定機構1は、ナット形接合部材8が各接触面で雌ねじ型移動部材4及びワッシャ20に接触して摺動することで、これらの接触面が溶融してナット形接合部材8と雌ねじ型移動部材4及びワッシャ20とを接合して固定可能とするように構成される。従って、ナット形接合部材8を介して雌ねじ型移動部材4及びワッシャ20を一体に接合して固定するので、雌ねじ型移動部材4をワッシャ20に対して、振動や衝撃、温度変化、腐食等によっても緩むことのない確実な緩み止めを簡便に行うことができる。
しかも、ワッシャ20は鋼板6に係合して回転が規制されている。即ちナット形接合部材8を介して雌ねじ型移動部材4及びワッシャ20を一体に接合して固定すると共に回転防止機構によりワッシャ20の回転を規制することで、雌ねじ型移動部材4の緩み方向の回転が規制されるため、雌ねじ型移動部材4の鋼板6に対する緩み止めを簡便に行うことができる上、雌ねじ型移動部材4とワッシャ20との間に発生した摩擦熱の被締結体である鋼板6の母材への入熱を著しく低減できる。
次に図4を参照して第三の実施形態にかかる部材固定機構1について説明する。本実施形態の部材固定機構1は、雄ねじ体32、対を成す雌ねじ型移動部材36(第一の雌ねじ部)及び被固定ナット40(第二の雌ねじ部)を備えて構成され、雄ねじ体32上において雌ねじ型移動部材36と被固定ナット40とをナット形接合部材38を介して強固に接合させ得、雌ねじ型移動部材36と被固定ナット40同士の相対的な双方向の回転を防止するためのものである。ここで雄ねじ体32は、第一の実施形態の雄ねじ体2に対し、右ねじの螺旋溝及び左ねじの螺旋溝を同一領域上に重複して形成した両ねじの雄ねじ螺旋溝を有する点が相違する。
ここで、図5は両ねじ部33を示す図である。雄ねじ体32には、右ねじである第一雄ねじ螺旋溝34、及び左ねじである第二雄ねじ螺旋溝35の二種類の雄ねじ螺旋溝が同一領域上に重複する両ねじ部33が形成されている。両ねじ部33には、軸心(ねじ軸)Cに垂直となる面方向に連続する略三日月状のねじ山33aが、両ねじ部33の一方側(図の左側)及び他方側(図の右側)に交互に設けられており、ねじ山33aをこのように構成することで、右回りに旋回する螺旋溝及び左回りに旋回する螺旋溝の二種類の螺旋溝を、ねじ山33a同士の間に形成することが出来る。
上記のように第一雄ねじ螺旋溝34及び第二雄ねじ螺旋溝35の二種類の雄ねじ螺旋溝を、雄ねじ体32に重畳形成している。従って、雄ねじ体32は、右ねじ及び左ねじの何れの雌ねじ体とも螺合することが可能となっている。なお、二種類の雄ねじ螺旋溝が形成された雄ねじ体32の詳細については、本願の発明者に係る特許第4663813号公報を参照されたい。
雌ねじ型移動部材36は、中空の略円錐台形状を有し、中空部に雄ねじ体32を挿通させ、且つこの中空部の内周面に第一雄ねじ螺旋溝34に螺合するための右ねじとしての雌ねじ螺旋条(第一の雌ねじ部)が形成されたねじ孔を有する。従って雌ねじ型移動部材36は、第一雄ねじ螺旋溝34と螺合する。
雌ねじ型移動部材36は、鋼管6側に向かって連続的に縮径するテーパ状の外周面を有する。雌ねじ型移動部材36は、雄ねじ体32上において、被固定ナット40よりも雄ねじ体32の伝達部10側に配置され、外周面には、後述するナット形接合部材38が締嵌めにより嵌合され、点溶接によって仮固定されている。
被固定ナット40は、特に限定されるものではないが、ここでは六角ナット形状を有し、軸方向に貫通するねじ孔を有し、ねじ孔には、雄ねじ体32の第二雄ねじ螺旋溝35と螺合するための左ねじとしての雌ねじ螺旋条(第二の雌ねじ部)が形成されている。被固定ナット40は、第二雄ねじ螺旋溝35に螺合して、ねじ孔が鋼板6の雄ねじ体挿通孔と連通するように、一端が鋼板6の壁面に溶接されて固定される。なお、雌ねじ型移動部材36が、右ねじの雌ねじ螺旋条が形成されたねじ孔を有し、被固定ナット40が、左ねじの雌ねじ螺旋条が形成されたねじ孔を有するものとして説明したが、これに限定されるものではなく、雌ねじ型移動部材36が左ねじの雌ねじ螺旋条が形成されたねじ孔を有し、被固定ナット40が右ねじの雌ねじ螺旋条が形成されたねじ孔を有するものであってもよい。
被固定ナット40は、外側端面(伝達部10側の端面)に凸形状の嵌入部42を有する。嵌入部42は、環状であって基端部から先端部にかけて連続的に縮径するテーパ状の外周面を有する。また嵌入部42の外周面は、雌ねじ型移動部材36の外周面の軸方向に対する傾斜角と略一致する傾斜角を有し且つナット形接合部材38の内周面に当接し得る大きさの外径を有する。
図6は、仮固定状態の雌ねじ型移動部材36及びナット形接合部材38を示し、(A)は側面部分断面図、(B)は平面図である。ナット形接合部材38は、特に限定されるものではないが、ここでは六角形状の外周面を有する。ナット形接合部材38の内周面は、雌ねじ型移動部材4の外周面に密着し、該外周面と略平行な傾斜角を有する。またナット形接合部材38の一端部(被固定ナット40側の端部)は、雌ねじ型移動部材36の先端面よりも被固定ナット40側に突出する。即ちナット形接合部材38は、一端部が開口し、該開口に向かって拡径する内周面38aを有する。内周面38aの開口の縁部の内径は、嵌入部42の先端の外径よりも大きく設定される。
次に部材固定機構1における雄ねじ体32の軸方向位置の調整及び固定について説明する。図7(A)に示す雄ねじ体32及び被固定ナット40のみを鋼板6に取付けた状態で、締結工具を伝達部10に係合させ雄ねじ体32にトルクを印加したとき、雄ねじ体32は被固定ナット40と相対的に回転し軸方向に移動する。これにより雄ねじ体32の軸方向位置が調整可能となる。
ここで雌ねじ型移動部材36とナット形接合部材38とが点溶接によって仮固定状態にあるので、雌ねじ型移動部材36は、ナット形接合部材38にトルクをかけたときにナット形接合部材38と共に回転する。ナット形接合部材38は、駆動源が接続された六角ソケット(不図示)を装着し、六角ソケットを介してトルクが印加され、雄ねじ体32の軸を中心として回転する。従って、雄ねじ体32に雌ねじ型移動部材36を螺合させ、ナット形接合部材38に対して、六角ソケットを介して雌ねじ型移動部材36を締め付ける方向のトルクを印加したとき、ナット形接合部材38は、図7(A)に示す矢印Rで示す右ねじの締付け方向に回転し、矢印Xで示す被固定ナット40側へ移動する。図7(B)に示すように被固定ナット40の嵌入部42は、内周面38aの開口から内周面38aにより囲繞される空間内に進入する。雌ねじ型移動部材36及びナット形接合部材38は、更に矢印X方向に移動したとき、雌ねじ型移動部材36の一端が、図7(C)に示すように嵌入部42の先端に当接し、移動が規制される。
そして、駆動源から六角ソケットを介して点溶接された部分を破壊する所定以上のトルクが印加されて、点溶接された部分が破壊される。従って、雌ねじ型移動部材36は、所定のトルクで締結された状態となって回転が停止する。このとき六角ソケットは、ナット形接合部材38を軸方向に押し込むようにし、ナット形接合部材38に押圧力を付与する。これにより、ナット形接合部材38は、雌ねじ型移動部材36及び被固定ナット40を軸方向に押圧しながら摺動する。即ち内周面38aを雌ねじ型移動部材36の外周面及び被固定ナット40の嵌入部42に摺接させ、ナット形接合部材38は、雌ねじ型移動部材36の外周面及び嵌入部42に対して摺動する。またナット形接合部材38を軸方向に押し込む押圧力を印加するので、ナット形接合部材38、雌ねじ型移動部材36及び嵌入部42には、それぞれ面圧が付加される。
この摺動により生じる摩擦熱によって内周面38a、雌ねじ型移動部材36の外周面及び嵌入部42の外周面が溶融し、ナット形接合部材38と雌ねじ型移動部材36との境界面、ナット形接合部材38と嵌入部42との境界面にそれぞれ可塑化、粘性化した層を形成する。可塑化、粘性化した層の材料は、ナット形接合部材38が更に回転することで攪拌され、ナット形接合部材38と雌ねじ型移動部材36とを接合して固定し、ナット形接合部材38と嵌入部42とを接合して固定する。
ナット形接合部材38と、雌ねじ型移動部材36及び被固定ナット40が、接合されて固定されたとき、雌ねじ型移動部材36と被固定ナット40は、互いに異なる方向のねじ螺旋条を有するため、軸方向に異なる向きに移動するための回転及び軸方向に同じ向きに移動するための回転が規制され、何れの方向にも回転が規制される。従って、雄ねじ体32は、伝達部10にトルクが付加しても何れの方向にも回転できず軸方向位置が固定される。
上述したように雄ねじ体32の軸方向位置の調整は、雄ねじ体32を被固定ナット40に対して相対回転させることにより行う。雄ねじ体32の軸方向位置の固定は、ナット形接合部材38と被固定ナット40及び雌ねじ型移動部材36を接合して固定することにより行う。従って雌ねじ型移動部材36、ナット形接合部材38、被固定ナット40が雄ねじ体32の軸方向位置を調整可能に固定し得る機構として作用する。
なお、雄ねじ体32において、リード方向が相異なる右ねじと左ねじの螺旋構造が形成される場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。即ち、リード角及び/又はリード方向が相異なる第一及び第二螺旋構造となるような、あらゆる態様を含む。例えば、リード方向は同じでも、互いにリード角が異なるようにすればよい。
以上説明したように、第三の実施形態の部材固定機構1においてはリード方向が相異なる右ねじと左ねじの螺旋構造が形成された雄ねじ体32に、右ねじの雌ねじ型移動部材36と左ねじの被固定ナット40を螺合させ、ナット形接合部材38に所定以上のトルクを印加したときに生じる摩擦によって、ナット形接合部材38を介して被固定ナット40及び雌ねじ型移動部材36を接合したため、被固定ネット40と雌ねじ型移動部材36間において、振動や衝撃、温度変化、腐食等によっても緩むことのない確実な緩み止めを簡便に行うことができる。更に、雄ねじ体32の軸方向の位置が固定されるので、鋼板6に対する雄ねじ体32の移動を防止することができる。また簡便な構造でありながらも、被固定ナット40の母材への入熱が殆ど無く、被固定ナット40と雌ねじ型移動部材36間に高度な軸力を印加可能で、且つ、火気を使用することなく溶接レベルの確実な緩み止めをねじ締結構造と同様の操作で簡便に行うことができる。
しかも、雌ねじ型移動部材36と被固定ナット40とを接合することで、雌ねじ型移動部材36及び被固定ナット40の緩み方向の回転が規制されるため、雌ねじ型移動部材36及び被固定ナット40の鋼板6に対する緩み止めを簡便に行うことができる上、雌ねじ型移動部材36と被固定ナット40との間に発生した摩擦熱の被締結体である鋼板6の母材への入熱を著しく低減できる。
なお、雄ねじ体32が右ねじの第一雄ねじ螺旋溝34及び左ねじの第二雄ねじ螺旋溝35の二種類の雄ねじ螺旋溝を同一領域上に重複して形成しているものとして説明したが、右ねじ又は左ねじの何れか一方のみを形成したものであってもよい。この場合雄ねじ部33に形成された雄ねじ螺旋溝に対応する雌ねじ螺旋条が被固定ナット40及び雌ねじ型移動部材4に形成される。
なお、被固定ナット40の嵌入部42の外周面、雌ねじ型移動部材4の外周面及びナット形接合部材38の内周面38aの軸方向に対する傾斜角は、特定の角度に限定されるものではない。例えば嵌入部42の外周面、雌ねじ型移動部材36の外周面及び内周面38aの軸方向に対する傾斜角αを、図8(a)に示すように30°、図8(b)に示すように45°、図8(c)に示すように60°等のように使用される状況等に応じて適宜設定してもよい。図8(a)~(c)を比較して明らかなように、傾斜角αを大きくすることにより、軸方向に対する内周面38a、雌ねじ型移動部材36の外周面及び嵌入部42の外周面の傾斜が直交方向に近づくので、ナット形接合部材38に軸方向の一定の押圧力を付加した場合に、内周面38a、雌ねじ型移動部材36及び嵌入部42にかかる面圧を高めることができる。
また、雌ねじ型移動部材36の外周面の軸方向に対する傾斜角と、嵌入部42の外周面の軸方向に対する傾斜角とが略一致するものとして説明したが、両傾斜角を異ならせるようにしてもよい。その場合、ナット形接合部材38の内周面を、雌ねじ型移動部材4の外周面の傾斜角と略一致する傾斜角を有して雌ねじ型移動部材36を嵌合させ得る第一領域と、嵌入部42の外周面の傾斜角と略一致する傾斜角の第二領域(内周面38aが形成される領域)とが形成された複合角度を有する略円錐台形状とする。例えば図9に示すように、雌ねじ型移動部材4の外周面が軸方向から45°傾斜し、嵌入部42の外周面が軸方向から30°傾斜していた場合、ナット形接合部材38の内周面の軸方向に対する傾斜角は、雌ねじ型移動部材36の外周面に嵌合している第一領域においては45°とし、内周面38aが形成された第二領域においては、雌ねじ型移動部材4近傍が45°で、当該近傍から一端部の先端までの中途から30°に切り替わるように形成する。
また被固定ナット40が嵌入部42を有し、ナット形接合部材38が内周面38aを有するものとして説明したが、ナット形接合部材36が嵌入部42に相当する嵌入部を有し、被固定ナット40が内周面38aに相当する内周面を有してもよい。この場合ナット形接合部材38は、他端側に雌ねじ型移動部材36を嵌合させる凹状の嵌合部が形成された有底形状を有して一端側(被固定ナット40側)に突出する嵌入部を有する。そして被固定ナット40がナット形接合部材38と対向する他端側が開口し、該開口から上記内周面によって囲繞する空間内に上記嵌入部を嵌入させるように構成される。
また嵌入部42の外周面が、連続的に縮径するテーパ状であって、またナット形接合部材38の内周面38aは、嵌入部42の外周面と略平行であるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば図10に示すように嵌入部42は、基端側から先端側にかけて段階的に縮径した段状の外周面を有し、ナット形接合部材38の内周面38aは、嵌入部42の段状の外周面に当接する段状部分を有し、開口に向かって段階的に拡径するものでもよい。
また、嵌入部42は、外周面が環状であって、軸方向に対して傾斜を有するものに限定されるものではなく、回転閉曲面体の外表面の少なくとも一部を成す曲面状の外周面を有するもの、例えば球形状、半球形状等、球面の少なくとも一部分を含んだ形状であってもよく、また基端側から先端側に所定の曲率で縮小する形状等であってもよい。その場合、内周面38aは、嵌入部42の外周面に相当するように、嵌入部42の回転閉曲面体と略同一又は近似した回転閉曲面体の内表面の少なくとも一部を成す曲面状に構成する。
また、雌ねじ型移動部材36を嵌入部42の端部に当接させることで、仮固定状態の雌ねじ型移動部材36及びナット形接合部材38の回転及び移動を規制しているが、図11に示すように雌ねじ型移動部材36が一端側に開口する凹部70を有し、被固定ナット40が凹部70に嵌入可能な凸部60を有し、凹部70に凸部60を嵌入させることで、被固定ナット40に対する雌ねじ型移動部材4及びナット形接合部材38の相対回転を規制してもよい。具体的には、凸部60を凹部70に嵌入させたときに凸部60と凹部とが嵌合して周方向に係合するように、凹部70の内周面及び/又は凸部60の外周面を、雄ねじ体32の軸からの距離が周方向に沿って異なる形状を有するように形成する。例えば凸部60は、外周面が楕円形やルーローの多角形の形状を有し、且つ基端側から先端側に縮径する傾斜角を有し、凹部70は、内周面が略正円形状を有し、且つ開口に向かって拡径する凸部60の外周面と略一致する傾斜角を有するように形成する。他の例としては、凹部70の内周面は、軸心を雄ねじ体32の軸心に対して偏心させ開口に向かって拡径するテーパ面を有する環状とする。また凸部60の外周面は、軸心を雄ねじ体32の軸心と一致させ、凹部70の内周面と平行なテーパ面とする。
上記二つの例によれば、雌ねじ型移動部材36及びナット形接合部材38を回転及び移動させ、凹部70の凸部60への嵌入を進めることにより、被固定ナット40を押圧する図11に示す矢印a方向の力が増大する。これにより雌ねじ型移動部材36の締め込み量の増加に伴い、凹部70と凸部60との接触部分において、軸心に直交する方向に互いを圧迫する力が増加し、凸部60と凹部70が嵌合して仮固定状態の雌ねじ型移動部材36及びナット形接合部材38の回転及び移動を規制する。
また、凸部60と凹部70の他の構成として、例えば凸部60の縦断面の外形をなす輪郭形状と、凹部70の縦断面の内形をなす輪郭形状とが互いに異なるように設定する。具体的には基端から先端にかけて縮径した凸部60の外周面の軸方向に対する傾斜角と、開口面から底面にかけて縮径した凹部70の内周面の軸方向に対する傾斜角とが、互いに異なるように設定したものであってもよい。この場合、基端側から先端側にかけて縮径した凸部60の外周面の軸方向に対する傾斜角に対し、開口面から底面にかけて縮径した凹部70の内周面の軸方向に対する傾斜角を小さく設定することで、凹部70に対する凸部60の嵌入を徐々に進める際に自ずと凸部60に対する凹部70による締付けが増大し次第に弾性変形を伴うようにすることが可能となる。
なお、被固定ナット40が凸部60を有し、雌ねじ型移動部材4が凹部70を有するものとして説明したが、これに限定されるものではなく、被固定ナット40が凹部を有し、雌ねじ型移動部材36が凸部を有するように構成してもよい。
また、上記各実施形態においては、ナット形接合部材を雌ねじ部に仮固定したが、これに限定されるものではなく、ナット形接合部材をボルトの頭部に仮固定してもよい。この場合、図12(a)、(b)に示すように、ボルト80の頭部82は、ナット形接合部材38の内周面38aの傾斜角と略同一の傾斜角であって、内周面38aに摺接する外周面82a(摺接部)を有する。ナット形接合部材38は、ボルト80の頭部82を囲繞し、内周面38aを頭部82の外周面82aに密着させ、点溶接等によって頭部82に仮固定される。なお頭部82の形状は、特に限定されるものではなく、ナット形接合部材38と頭部82との仮固定状態が解除されたとき、ナット形接合部材38を摺動させ得る形状であれば、例えば、なべ形、丸皿形、トラス形、バインド形等の形状であってもよく、また、頭部82の頭頂部に六角穴付きボルトの様に六角レンチの類の締結工具を嵌入させ得る凹部を設けた構成としてもよい。このようにナット形接合部材38をボルト80の頭部82に仮固定すれば、被固定部材としての鋼管6と頭部82をナット形接合部材38を介して接合することができる。なお、鋼板6は、ボルト80を挿通する雄ねじ体挿通孔を有する。この雄ねじ体挿通孔は、図12(A)に示す貫通孔90aであってもよく、また、図12(B)に示すタップ加工によって形成された雌ねじ螺旋条が形成されたねじ孔90bであってもよい。
また、上記各実施形態においては、仮固定状態を解除するための物理条件として、点溶接された部分を破壊するための所定のトルクを付与する場合を説明したが、これに限定されるものではなく、物理条件は、一定以上の温度とすることや、所定以上の圧力を付与すること等、仮固定状態を解除可能であれば、いかなる物理条件であってもよい。また仮固定状態を解除する物理条件は、上記の条件を組み合わせたものでもよい。
なお上述した各実施形態において、仮固定状態を、仮固定部分を作出することで成したが、これに限定されるものではなく、圧入嵌合によって成してもよい。また雌ねじ部の外周面及びナット形接合部材の内周面において、雌ねじ部とナット形接合部材とが互いに離脱可能に係合するようにそれぞれ凹凸を設けて、互いの該凹凸を係合させることで、仮固定状態を成してもよい。
なお、ナット形接合部材を介して接合される移動部材(雌ねじ部)及び被固定部材(鋼板、ワッシャ、被固定ナット)は、特定の材料に限定されるものではなく、例えば各種鉄鋼材料、ニッケルを含んで成るニッケル系金属、銅を含んで成る銅系金属、アルミニウムを含んで成るアルミニウム系金属、マグネシウムを含んで成るマグネシウム系金属、チタンを含んで成るチタン系金属、白金を含んで成る白金系金属、モリブデンを含んで成るモリブデン系金属等の従来公知の金属の他、熱可塑性プラスチック、熱硬化性プラスチック等の各種材料の何れかの組み合わせで構成してもよく、その使用される環境や状況に応じて適宜設定する。またナット形接合部材の材料も同様に、特定の材料に限定されるものではなく、使用環境や状況に応じて適宜設定する。
1…部材固定機構、2…雄ねじ体、4…雌ねじ型移動部材、6…鋼板、8…ナット形接合部材、10…伝達部、12…フランジ、14…仮固定部分、20…ワッシャ、32…雄ねじ体、33…両ねじ部、36…雌ねじ型移動部材、38…ナット形接合部材、40…被固定ナット、42…嵌入部

Claims (46)

  1. 被固定部材に配設可能に構成される軸部と、
    上記軸部の軸に沿って移動可能な移動部材と、
    上記移動部材に対して仮固定状態とされ、上記被固定部材及び上記移動部材に接触させ得る接触面を有する接合部材とを備え、
    上記接合部材は、所定の物理条件の付加によって上記移動部材に対する仮固定状態が解除され、上記接触面上記移動部材及び上記被固定部材に接触して摺動することで、該接触面が溶融して上記接合部材と上記被固定部材及び上記移動部材とを接合して固定可能とするように構成されることを特徴とする部材固定機構。
  2. 前記軸部は、雄ねじ部を有し、
    前記移動部材は、上記雄ねじ部に螺合し得る第一の雌ねじ部を有し、
    前記接合部材は、前記移動部材に対して仮固定状態とされ、所定の物理条件を付加することで前記移動部材に対する該仮固定状態が解除されて、該接合部材の前記接触面が該移動部材と該被固定部材とに対して摺動可能となり、この摺動によって生じる摩擦熱によって、前記接触面が該移動部材及び該被固定部材と溶融するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の部材固定機構。
  3. 前記被固定部材は、前記雄ねじ部に螺合し得る第二の雌ねじ部を有することを特徴とする請求項2に記載の部材固定機構。
  4. 前記雄ねじ部は、該雄ねじ部に形成された適宜のリード角及び/又はリード方向に設定された第一螺旋溝と、該雄ねじ部の上記第一螺旋溝が形成された領域の少なくとも一部の領域で重複するように形成され、上記リード角及び/又はリード方向に対して相異なるリード角及び/又はリード方向に設定された第二螺旋溝とを有し、
    前記第一の雌ねじ部は、上記第一螺旋溝に螺合し得、
    前記第二の雌ねじ部は、上記第二螺旋溝に螺合し得るように構成されることを特徴とする請求項3に記載の部材固定機構。
  5. 前記接合部材は、前記軸部の軸に沿って前記移動部材の外周及び前記被固定部材に接触し、
    前記被固定部材及び前記接合部材の内、一方は、一端が開口し、該開口に向かって拡径する内周面を有し、
    他方は、上記内周面に嵌入し得る、基端から先端にかけて縮径する外周面を有する嵌入部を有し、
    前記被固定部材及び前記接合部材は、上記開口から上記内周面によって囲繞される空間内に上記嵌入部を嵌入させ得るように構成されることを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の部材固定機構。
  6. 前記嵌入部は、基端側から先端側にかけて連続的又は段階的に縮径した環状嵌入部であって、
    前記内周面は、前記開口に向かって連続的又は段階的に拡径することを特徴とする請求項5に記載の部材固定機構。
  7. 前記環状嵌入部の外周面の軸方向に対する傾斜角と、前記内周面の軸方向に対する傾斜角とが、略一致することを特徴とする請求項6に記載の部材固定機構。
  8. 前記内周面の前記開口の縁部の内径は、前記環状嵌入部の先端部の外径よりも大きく設定されること特徴とする請求項6又は7に記載の部材固定機構。
  9. 前記被固定部材は、前記環状嵌入部を有し、
    前記移動部材の外周面は、軸方向に対する傾斜角が、前記環状嵌入部の外周面の軸方向に対する傾斜角と異なる傾斜角を有し、
    前記接合部材は、前記内周面を有し、
    該内周面は、前記移動部材に接触し得る該移動部材の外周面の軸方向に対する傾斜角と一致する傾斜角の第一領域と、前記環状嵌入部に接触し得る該環状嵌入部の外周面の軸方向に対する傾斜角と一致する傾斜角の第二領域とを有することを特徴とする請求項6に記載の部材固定機構。
  10. 前記嵌入部は、回転閉曲面体の外表面の少なくとも一部を成す曲面状の外周面を有し、
    前記内周面は、上記回転閉曲面体と略同一又は近似した回転閉曲面体の内表面の少なくとも一部を成す曲面状に構成されることを特徴とする請求項5に記載の部材固定機構。
  11. 前記被固定部材及び前記移動部材の内、一方は、一端が開口する凹部を有し、
    他方は、上記開口から上記凹部に嵌入し得る、凸部を有し、
    上記凹部の内周面及び/又は上記凸部の外周面は、前記軸部の軸からの距離が周方向に沿って異なる形状を有し、
    上記凸部と上記凹部とが嵌合して周方向に係合し、上記被固定部材及び上記移動部材の相対回転が規制されることを特徴とする請求項2乃至4に記載の部材固定機構。
  12. 前記移動部材は、前記軸部の端部に固定された、前記軸部と共に移動し得る頭部であり、
    上記頭部は、前記接合部材の前記接触面と摺接し得る摺接部を有し、
    前記接合部材は、上記頭部に対して仮固定状態とされ、所定の物理条件を付加することで該頭部に対する該仮固定状態が解除されて、該接合部材の前記接触面が上記摺接部と前記被固定部材とに対して摺動可能となり、この摺動によって生じる摩擦熱によって、前記接触面が該摺接部及び前記被固定部材と溶融するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の部材固定機構。
  13. 前記仮固定状態は、前記接合部材が前記移動部材に対して相対移動するのを防止するように離脱可能に固定された状態であることを特徴とする請求項2乃至12の何れかに記載の部材固定機構。
  14. 前記仮固定状態は、前記接合部材が前記移動部材に対して相対回転するのを防止するように離脱可能に固定された状態であることを特徴とする請求項2乃至12の何れかに記載の部材固定機構。
  15. 前記仮固定状態は、溶接によって成されることを特徴とする請求項2乃至12の何れかに記載の部材固定機構。
  16. 前記仮固定状態は、圧入嵌合によって成されることを特徴とする請求項2乃至12の何れかに記載の部材固定機構。
  17. 前記仮固定状態は、前記接合部材と前記移動部材とが互いに離脱可能に係合するように凹凸が設けられ、互いの該凹凸を係合させて成されることを特徴とする請求項2乃至12の何れかに記載の部材固定機構。
  18. 前記物理条件は、所定以上のトルクを付与することであることを特徴とする請求項2乃至17の何れかに記載の部材固定機構。
  19. 前記物理条件は、一定以上の温度とすることであることを特徴とする請求項2乃至18の何れかに記載の部材固定機構。
  20. 前記物理条件は、所定以上の圧力を付与することであることを特徴とする請求項2乃至19の何れかに記載の部材固定機構。
  21. 前記接合部材は、前記軸部の軸からの距離が周方向に沿って異なる外周面を有することを特徴とする請求項1乃至20の何れかに記載の部材固定機構。
  22. 前記接合部材は、前記軸部の軸直角平面に対して略直交し、且つ、該軸部の軸からの距離が周方向に沿って異なる略平面状又は略曲面状の異径面部を一つ以上有することを特徴とする請求項21に記載の部材固定機構。
  23. 前記接合部材は、前記異径面部を二つ以上有し、
    前記異径面部のうち、少なくとも一対の前記異径面部が所定範囲の幅で略対向して設けられることを特徴とする請求項22に記載の部材固定機構。
  24. 軸部の軸に沿って移動可能な移動部材を、該軸部が取付けられている被固定部材に固定して保持する部材固定方法であって、
    上記移動部材には、該移動部材及び上記被固定部材に接触する接触面を有する接合部材が仮固定状態とされ、
    上記接合部材を、所定の物理条件を付加することで前記移動部材に対する該仮固定状態を解除し、該接合部材の前記接触面が該移動部材と該被固定部材とに対して摺動可能とし、上記接触面を上記移動部材及び上記被固定部材に接触させて摺動させることで、上記接触面と上記移動部材及び上記被固定部材とを摩擦させて溶融させ、上記接合部材と上記被固定部材及び上記移動部材とを接合して固定することを特徴とする部材固定方法。
  25. 前記軸部は、雄ねじ部を有し、
    前記移動部材は、上記雄ねじ部に螺合し得る第一の雌ねじ部を有し、
    前記接合部材は、前記摺動によって生じる摩擦熱によって、前記接触面が該移動部材及び該被固定部材と溶融するように構成されることを特徴とする請求項24に記載の部材固定方法。
  26. 前記被固定部材は、前記雄ねじ部に螺合し得る第二の雌ねじ部を有することを特徴とする請求項25に記載の部材固定方法。
  27. 前記雄ねじ部は、該雄ねじ部に形成された適宜のリード角及び/又はリード方向に設定された第一螺旋溝と、該雄ねじ部の上記第一螺旋溝が形成された領域の少なくとも一部の領域で重複するように形成され、上記リード角及び/又はリード方向に対して相異なるリード角及び/又はリード方向に設定された第二螺旋溝とを有し、
    前記第一の雌ねじ部は、上記第一螺旋溝に螺合し得、
    前記第二の雌ねじ部は、上記第二螺旋溝に螺合し得るように構成されることを特徴とする請求項26に記載の部材固定方法。
  28. 前記接合部材は、前記軸部の軸に沿って前記移動部材の外周及び前記被固定部材に接触し、
    前記被固定部材及び前記接合部材の内、一方は、一端が開口し、該開口に向かって拡径する内周面を有し、
    他方は、上記内周面に嵌入し得る、基端から先端にかけて縮径する外周面を有する嵌入部を有し、
    前記被固定部材及び前記接合部材は、上記開口から上記内周面によって囲繞される空間内に上記嵌入部を嵌入させ得るように構成されることを特徴とする請求項25乃至27の何れかに記載の部材固定方法。
  29. 前記嵌入部は、基端側から先端側にかけて連続的又は段階的に縮径した環状嵌入部であって、
    前記内周面は、前記開口に向かって連続的又は段階的に拡径することを特徴とする請求項28に記載の部材固定方法。
  30. 前記環状嵌入部の外周面の軸方向に対する傾斜角と、前記内周面の軸方向に対する傾斜角とが、略一致することを特徴とする請求項29に記載の部材固定方法。
  31. 前記内周面の前記開口の縁部の内径は、前記環状嵌入部の先端部の外径よりも大きく設定されること特徴とする請求項29又は30に記載の部材固定方法。
  32. 前記被固定部材は、前記環状嵌入部を有し、
    前記移動部材の外周面は、軸方向に対する傾斜角が、前記環状嵌入部の外周面の軸方向に対する傾斜角と異なる傾斜角を有し、
    前記接合部材は、前記内周面を有し、
    該内周面は、前記移動部材に接触し得る該移動部材の外周面の軸に対する傾斜角と一致する傾斜角の第一領域と、前記環状嵌入部に接触し得る該環状嵌入部の外周面の軸に対する傾斜角と一致する傾斜角の第二領域とを有することを特徴とする請求項29に記載の部材固定方法。
  33. 前記嵌入部は、回転閉曲面体の外周面の少なくとも一部を成す曲面状の外周面を有し、
    前記内周面は、前記回転閉曲面体と略同一又は近似した回転閉曲体の内表面の少なくとも一部を成す曲面状であることを特徴とする請求項28に記載の部材固定方法。
  34. 前記被固定部材及び前記移動部材の内、一方は、一端が開口する凹部を有し、
    他方は、上記開口から上記凹部に嵌入し得る、凸部を有し、
    上記凹部の内周面及び/又は上記凸部の外周面は、前記軸部の軸からの距離が周方向に沿って異なる形状を有し、
    上記凸部と上記凹部とが嵌合して周方向に係合し、上記被固定部材及び上記移動部材の相対回転が規制されることを特徴とする請求項24乃至27に記載の部材固定方法。
  35. 前記移動部材は、前記軸部の端部に固定された、前記軸部と共に移動し得る頭部であり、
    上記頭部は、前記接合部材の前記接触面と摺接し得る摺接部を有し、
    前記接合部材は、上記頭部に対して仮固定状態とされ、所定の物理条件を付加することで該頭部に対する該仮固定状態が解除されて、該接合部材の前記接触面が上記摺接部と前記被固定部材とに対して摺動可能となり、この摺動によって生じる摩擦熱によって、前記接触面が該摺接部及び前記被固定部材と溶融するように構成されることを特徴とする請求項24に記載の部材固定方法。
  36. 前記仮固定状態は、前記接合部材が前記移動部材に対して相対移動するのを防止するように離脱可能に固定された状態であることを特徴とする請求項24乃至35の何れかに記載の部材固定方法。
  37. 前記仮固定状態は、前記接合部材が前記移動部材に対して相対回転するのを防止するように離脱可能に固定された状態であることを特徴とする請求項24乃至35の何れかに記載の部材固定方法。
  38. 前記仮固定状態は、溶接によって成されることを特徴とする請求項24乃至35の何れかに記載の部材固定方法。
  39. 前記仮固定状態は、圧入嵌合によって成されることを特徴とする請求項24乃至35の何れかに記載の部材固定方法。
  40. 前記仮固定状態は、前記接合部材と前記移動部材とが互いに離脱可能に係合するように凹凸が設けられ、互いの該凹凸を係合させて成されることを特徴とする請求項24乃至35の何れかに記載の部材固定方法。
  41. 前記物理条件は、所定以上のトルクを付与するものであることを特徴とする請求項24乃至40の何れかに記載の部材固定方法。
  42. 前記物理条件は、一定以上の温度とするものであることを特徴とする請求項24乃至41の何れかに記載の部材固定方法。
  43. 前記物理条件は、所定以上の圧力を付与するものであることを特徴とする請求項24乃至42の何れかに記載の部材固定方法。
  44. 前記接合部材は、前記軸部の軸からの距離が周方向に沿って異なる外周面を有することを特徴とする請求項24乃至43の何れかに記載の部材固定方法。
  45. 前記接合部材は、前記軸部の軸直角平面に対して略直交し、且つ、該軸部の軸からの距離が周方向に沿って異なる略平面状又は略曲面状の異径面部を一つ以上有することを特徴とする請求項44に記載の部材固定方法。
  46. 前記接合部材は、前記異径面部を二つ以上有し、
    前記異径面部のうち、少なくとも一対の前記異径面部が所定範囲の幅で略対向して設けられることを特徴とする請求項45に記載の部材固定方法。
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