JP7006904B2 - 耐熱耐食皮膜、耐熱耐食部材及び耐熱耐食皮膜の製造方法 - Google Patents

耐熱耐食皮膜、耐熱耐食部材及び耐熱耐食皮膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、耐熱耐食皮膜、耐熱耐食部材及び耐熱耐食皮膜の製造方法に関する。
高温ガスタービン、自動車エンジン用部材、航空機用耐熱部材等は、非常に高温かつ水蒸気の存在する環境下で使用される。そのため、耐熱性及び耐食性に優れた部材が求められている。
例えば、特許文献1には、超合金基材上に、MCrAlX(MはNi、Co、Feから選択される1種以上の元素、XはY、Hf、Ta、Cs、Ce、La、Th、W、Si、Pt、Ybから選択される1種以上の元素)とAl合金溶射皮膜とを被覆した部材が記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載の部材は超合金基材自体の耐熱性が1350℃前後であり、MCrAlXで表記される中間層の耐酸化性も800℃前後である。そのため、耐熱性及び耐食性が充分とは言えなかった。
そこで、窒化ケイ素セラミック構造体の表面にY、Yb、Er及びDy等の希土類シリケート皮膜を成膜した部材が検討されている(例えば、特許文献2~4)。しかしながら、希土類シリケート皮膜は多結晶構造であり、粒界に粒界ガラス相を有する。粒界ガラス相は、1500度を超える条件になると選択的に腐食され、多孔質化する。そのため、これらの部材も十分な耐熱性を有するとは言えなかった。
一方で、本発明者らは、これらの部材とは別の系として、粒界ガラス相を内在しない複数の金属酸化物の共晶構造体を皮膜として備えた部材を開発した(特許文献5)。
特開2000-96206号公報 特開平11-139883号公報 特開平11-12050号公報 特開平10-87386号公報 特開2016-69229号公報
特許文献5に記載の皮膜は、1500℃を超える高温に対しても耐熱性を有する優れた皮膜である。一方で、タービン等は少しでも高い熱効率を実現することが求められている。そのため、1800℃を超える温度環境下でも動作できる部材が求められており、より耐熱性及び耐食性に優れる皮膜が求められている。
本発明は、高温環境下でも耐食性に優れる耐熱耐食皮膜及びその製造方法を提供することを目的とする。
発明者らは、鋭意検討の結果、皮膜を構成する共晶をより緻密にすることで、より耐熱性及び耐食性に優れた耐熱耐食皮膜を得ることができることを見出した。
すなわち、本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)第1の態様にかかる耐熱耐食皮膜は、基材上に被覆される耐熱性及び耐腐食性を有する耐熱耐食皮膜であって、ZrO又はHfOを含む共晶を有する共晶構造層を備え、前記共晶構造層を前記基材と反対側の面から見た表面において、前記共晶構造層を構成する共晶のラメラ構造のラメラ幅が1μm以下である。
(2)上記態様にかかる耐熱耐食皮膜において、前記共晶構造層がカルシアで安定化されたジルコニア又はハフニアを含んでもよい。
(3)上記態様にかかる耐熱耐食皮膜において、前記表面におけるラメラ構造の形状が不定形であってもよい。
(4)上記態様にかかる耐熱耐食皮膜において、前記基材側の一面に、前記基材の酸化を防止する中間層をさらに備えてもよい。
(5)上記態様にかかる耐熱耐食皮膜において、前記基材と反対側の面に、前記共晶構造層を構成する元素を含むポーラス酸化物を含む遮熱層をさらに備えてもよい。
(6)第2の態様にかかる耐熱耐食部材は、基材と、前記基材の外表面を被覆する上記態様にかかる耐熱耐食皮膜と、を備える。
(7)第2の態様にかかる耐熱耐食皮膜の製造方法は、上記態様にかかる耐熱耐食皮膜の製造方法であって、基材の一面に、共晶組成物を含む塗膜を形成する塗布工程と、前記塗膜の一部を集光加熱により溶融する溶融工程と、溶融位置を移動させながら、溶融箇所を急冷する急冷凝固工程と、を有し、前記溶融位置の移動速度が500mm/h以上である。
(8)上記態様にかかる耐熱耐食皮膜の製造方法において、前記溶融位置の移動速度が2000mm/h以上であってもよい。
上記態様にかかる耐熱耐食皮膜及び耐熱耐食部材によれば、1800℃を超える温度に対しても耐熱性及び耐食性を維持することができる。
上記態様にかかる耐熱耐食皮膜の製造方法によれば、均一で微細な共晶構造を有する耐熱耐食皮膜を製造することができる。
本実施形態にかかる耐熱耐食部材の断面模式図である。 本実施形態にかかる耐熱耐食皮膜の共晶構造層の基材と反対側の面を走査型電子顕微鏡(SEM)で測定した画像である。 本実施形態にかかる耐熱耐食皮膜の製造方法に用いることができるFZ方式(Floating Zone Method)の結晶製造装置を示す模式図である。 本実施形態にかかる耐熱耐食皮膜の製造過程を模式的に示した図である。 本実施形態にかかる耐熱耐食皮膜の製造方法によって作製した耐熱耐食部材の写真である。
以下、本発明における好ましい実施形態を示す。しかし、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、形態が本発明の技術的思想を有するものである限り、本発明の範囲に含まれる。各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせなどは一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
「耐熱耐食部材」
図1は、本実施形態にかかる耐熱耐食部材の断面模式図である。図1に示す耐熱耐食部材10は、基材1と中間層2と共晶構造層3とを備える。図1において耐熱耐食皮膜5は、中間層2と共晶構造層3とによって構成される。
<基材>
基材1は、耐熱性に優れる材料により構成されていることが好ましい。例えば、Ni超合金等の超合金部材、SiC等のセラミック部材は、基材1に用いることができる。超合金部材は、靱性等の機械的強度に優れる。セラミック部材は、単独での耐熱性に優れる。またセラミック部材は、SiCセラミックスに高強度・高剛性のSiC長繊維を複合化させたものを用いることが好ましい。この部材は、靭性・信頼性に優れる。
<中間層>
中間層2は、基材1と共晶構造層3の間に位置する。すなわち、中間層2は耐熱耐食皮膜5の基材1側の一面に形成される。中間層2は、必須の層ではないが、有していることが好ましい。
中間層2は、基材1と共晶構造層3との間の密着性を高める。中間層2は、共晶構造層3を通過した酸素元素により基材1が酸化されることを防ぐ。中間層2は、例えば、NiCrAlY等の合金組成物、シリコン等を用いることができる。
<共晶構造層>
共晶構造層3は、複数の金属酸化物の共晶構造体からなる。図2は、本実施形態にかかる耐熱耐食皮膜の共晶構造層3の基材1と反対側の面を走査型電子顕微鏡(SEM)で測定した画像である。図2に示すように、共晶構造層3を構成する共晶のラメラ構造は、微細化されている。
図2に示す共晶構造層3は、基材1と反対側の面から見た表面において、共晶構造層3を構成する共晶のラメラ構造のラメラ幅が1μm以下であり、0.5μm以下であることが好ましい。ここでラメラ幅とは、隣接するラメラ晶間の距離を意味する。
ラメラ幅は、以下のような手順で求めることができる。まず走査型電子顕微鏡により共晶構造層3の表面画像を取得する。次いで、表面上に任意の線を引き、その線分上におけるラメラ幅を測定する。この線分上におけるラメラ幅は、隣接する二つのラメラ晶の中心間距離をそれぞれ計測することで求められる。同様の作業を任意の10本の線分上で行う。そして、測定した各線分上におけるラメラ幅をヒストグラフ化し、ヒストグラフの最大ピークとなるラメラ幅が、「共晶構造層のラメラ幅」となる。
共晶構造層3を構成する共晶のラメラ構造が微細化すると、中間層2と共晶構造層3との間(中間層2を有さない場合は、基材1と共晶構造層3との間)に生じる応力を緩和できる。このような応力は、それぞれの層の熱膨張係数の差によって生じる。微細化したラメラ構造を有する共晶構造層3は、組織が柔軟性を有しており、生じる応力を緩和しやすくなる。
ラメラ幅が1μm以下である共晶構造層3は、組織が極めて微細であり、界面に大きな応力が生じても充分緩和可能である。例えば特許文献5の図4に示す共晶構造層はラメラ幅が数μm程度であり、この図と比較しても共晶構造層3の組織が微細化されていることが分かる。なお、共晶構造層3の結晶組織は、基材1に近づくほど微細化している。そのため、基材1側の表面におけるラメラ幅は、基材1と反対側の表面における共晶のラメラ幅(1μm以下)より小さい。
また共晶構造層3のラメラ構造を構成するラメラ晶の密度は、40個/μm以上であることが好ましく、50個/μm以上であることがより好ましい。ラメラ晶の密度が当該範囲内であれば、共晶構造層3が充分微細化されていると言える。
ラメラ晶の密度は、以下のようにして求める。まず走査型電子顕微鏡により共晶構造層3の基材1と反対側の表面の任意の箇所を画像測定する。そして、画像内に任意の直線を引く。この直線が横切るラメラ構造の個数を単位長さ(μm)で割ったものが、ここでいうラメラ晶の密度に対応する。
またラメラ構造の形状は、共晶構造層3を基材1と反対側から見た際に、不定形であることが好ましい。ラメラ構造の形状が不定形であるということは、共晶構造層3の組織が複雑化していることを意味する。共晶構造層3の組織が複雑化すると、共晶構造層3が応力等の歪により割れにくくなる。
共晶構造層3は、ZrO又はHfOを含む共晶を有する。これらの共晶体は、高い耐熱性を実現できる。例えば、CaHfO-HfO共晶体、CaZrO-ZrO共晶体等を共晶構造層3として用いることができる。
また共晶構造層3を構成する金属酸化物は、カルシアで安定化されたジルコニア又はハフニアであることが好ましい。カルシアで安定化されたジルコニアを含む共晶体は、CaZrO-ZrO(CaO)で表記される。またカルシアで安定化されたハフニアを含む共晶体は、CaHfO-ZrO(HfO)で表記される。このような共晶体は、共晶体を構成する各結晶組織の組成が類似する。そのため、共晶体を構成するラメラ構造が微細化する。
またこれらの共晶体は、カルシアで完全安定化されていることがより好ましい。ここで「完全安定化」とは、組成式におけるxが固溶可能な最大量存在していることを意味し、共晶を構成する二つの組織が最も類似することを意味する。
共晶構造層3は、粒界ガラス相を内在しない。これは後述する製造工程に由来するものであり、共晶組成物を短時間加熱することによって共晶構造体を生成することで、粒界ガラス相が排除される。粒界ガラス相は1100℃以上の高温で水蒸気及びアルカリ成分の存在雰囲気下で激しく腐食される。共晶構造層3が粒界ガラス相を内在しないことで、耐熱性及び耐食性を高めることができる。例えば、1300℃を超える温度で、水蒸気分圧が30%までの過酷な条件下でも、水蒸気腐食による基材の酸化と腐食を防止できる。
共晶構造層3の厚みは、10μm以上3000μm以下であることが好ましく、100μm以上500μm以下であることがより好ましい。共晶構造層3の厚みは厚いほど、最も高温になる外表面と基材1との距離を離すことができ、耐熱性の観点で有利である。また水蒸気腐食による基材の酸化及び腐食の防止と言う観点からも有利である。一方で、共晶構造層3の厚みが厚すぎると、共晶構造層3を形成するのに時間がかかり、また作製自体も難しくなる。
また共晶構造層3を構成する材料の組成比は、厚さ方向に段階的に変化してもよい。例えば、共晶構造層3がCaZrO-ZrO共晶体である場合、基材1に近い領域はZrCがリッチ(例えば、組成比で90%以上)な相であり、基材1から離れた領域はCaZrO、ZrOがリッチ(例えば、組成比で90%以上)な相であるという構成でもよい。このように、CaZrO、ZrOがリッチな相からZrCがリッチな相に向かって、CaZrO、ZrOの割合が減少していくとともに、ZrCの割合が増加していくと、積層界面におけるケミカルポテンシャル差を小さくできる。その結果、応力により界面が剥離することを抑制できる。
上述のように、本実施形態にかかる耐熱耐食部材は、共晶構造層3の組織が微細化されているため、中間層2と共晶構造層3との間(中間層2を有さない場合は、基材1と共晶構造層3との間)に生じる応力を緩和できる。そのため、積層界面の剥離、共晶構造層3の割れ等を避けることができる。その結果、本実施形態にかかる耐熱耐食皮膜は、1800℃を超える耐熱性を有し、2200℃と言う過酷な温度環境下でも耐えることができる。したがって、本実施形態にかかる耐熱耐食部材を用いることで、タービン等の熱効率をさらに高めることができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、共晶構造層3の基材1と反対側の面には、遮熱層をさらに有してもよい。遮熱層は、共晶構造層3を構成する元素を含むポーラス酸化物を含むことが好ましい。例えば共晶構造層がCaZrO-ZrOの共晶体の場合、遮熱層はポーラスZrOであることが好ましい。遮熱層を設けることで、最も高温になる外表面と基材1との距離を離すことができる。共晶構造層3のみで十分な膜厚を確保することが理想的ではあるが、共晶構造層3より製造が容易な遮熱層を設けることで、より簡便に耐熱性に優れる部材を得ることができる。また共晶構造層3と遮熱層が同一元素を含むことで、これらの界面も高い密着性を保つことができる。
「耐熱耐食皮膜の製造方法」
上述した耐熱耐食部材の製造方法について説明する。
図3は、本実施形態にかかる耐熱耐食皮膜の製造方法に用いることができるFZ方式(Floating Zone Method)の結晶製造装置を示す模式図である。
図3に示すように、結晶製造装置30は、石英管31と、ガス供給機構32と、キセノンランプ33と、楕円鏡34と、撮像装置35と、試料移動機構36とを備える。試料Qは、石英管31の内部に保持される。この石英管31の内部は、ガス供給機構32により不活性ガスで置換される。そしてキセノンランプ33からの光(熱線)を試料Qに向けて集光することで、試料Qの一部を溶融させる。試料Qの溶融箇所は、試料移動機構36によって試料Qが回転、上下動することで、移動する。試料Qの加熱の様子は、撮像装置35により外部から観察できる。
図4は、本実施形態にかかる耐熱耐食皮膜の製造過程を模式的に示した図である。本実施形態にかかる耐熱耐食皮膜の製造方法は、基材1の一面に、共晶組成物を含む塗膜6を形成する塗布工程と、塗膜6の一部を集光加熱により溶融する溶融工程と、溶融位置を移動させながら、溶融箇所7を急冷する急冷凝固工程と、を有する。
まず塗布工程では、基材1の一面に、共晶組成物を含む塗膜6を形成する。ここで、基材1の一面は、中間層2を有する場合(図1参照)は中間層2の一面となる。共晶組成物を含む塗膜としては、共晶構造層3をCaZrO-ZrO共晶体から構成する場合には、CaO粉末とZrO粉末とを混合してペースト状にしたものが挙げられる。
次に、この塗膜6を形成した基材1を短時間加熱によって溶融する(溶融工程)。こうした短時間加熱の方法としては、FZ方式の結晶製造装置30を用いた集光加熱が好ましい。塗膜6を形成した基材1からなる試料Qを石英管31の内部に固定し、石英管31の内部をガス供給機構32によって、例えばアルゴンガスで置換する。
そして、キセノンランプ33を発光させて、生じた熱線を楕円鏡34で反射させ、基材20の一か所に集光させる。集光した光が、図4における光Lに対応する。この時、熱線の焦点部分となった試料Qの塗膜6の一部(溶融箇所7)は、3000℃程度に昇温される。そして、3000℃程度に加熱された、塗膜6を構成するCaO粉末とZrO粉末は瞬時に溶融される。
次いで、急冷凝固工程として、試料移動機構36によって試料Qを回転させつつ上下方向に沿って移動させる。試料Qと光Lとの位置を相対移動させることで、溶融箇所7が移動する。すなわち、光Lにより溶融していた溶融箇所7は、次のタイミングには光Lが照射されていないことになる。つまり、ある瞬間の溶融箇所7は、次の瞬間には急冷凝固される。共晶組成物であるCaO粉末とZrO粉末とを含む塗膜6を高温で短時間溶融させてから凝固させることで、CaOとZrOとが共晶反応を起こし、CaZrO-ZrO共晶体からなる共晶構造層3が得られる。
この急冷凝固工程における溶融位置の移動速度は、500mm/h以上であることが好ましく、1000mm/h以上であることがより好ましい。2000mm/h以上であることがさらに好ましい。単結晶を作製する際における溶融帯の移動速度が1~5mm/hであることを考慮すると、この移動速度が極めて早いことが分かる。
溶融位置の移動速度を、上記速度まで早めることで、塗膜6の溶融箇所7は急冷される。その結果、急冷された部分の組織が微細化し、ラメラ構造のラメラ幅が1μm以下である共晶を有する共晶構造層3(図1参照)を作製することができる。また、塗膜を短時間溶融させる際に、粒界ガラス相が排除され、粒界ガラス相が内在しない、共晶体からなる共晶構造層3が形成される。
図5は、本実施形態にかかる耐熱耐食皮膜の製造方法によって作製した耐熱耐食部材の写真である。図5に示す耐熱耐食皮膜は、基材1をセラミックス基材(SiC)、塗膜6をCaO粉末とZrO粉末とを含む塗膜とし、急冷凝固工程における溶融位置の移動速度を2000mm/hとして作製した。図5に示す耐熱耐食部材の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で測定した写真が図2に対応する。すなわち、本実施形態にかかる耐熱耐食皮膜の製造方法を用いることで、共晶のラメラ構造のラメラ幅が1μm以下の共晶構造層が作製されていることが分かる。
上述のように、本実施形態にかかる耐熱耐食皮膜の製造方法によれば、ラメラ構造のラメラ幅が1μm以下である均一で微細な共晶構造を有する耐熱耐食皮膜を、容易に製造できる。
なお、図5では、棒状の基材を用いた例示しているが、例えば、実際に航空機エンジンの動翼や静翼の製造に用いる場合には、より大型の集光加熱装置を用いて、これら動翼や静翼の表面形状に沿って熱線の集光焦点を移動させて、共晶組成物を含む塗膜の短時間溶融を行えばよい。
本実施形態にかかる耐熱耐食皮膜及び耐熱耐食部材は、強度等の機械的性質に優れ、高温下での耐酸化性、耐食性も備える。そのため、構造用材料、特に高温ガスタービン用部材又は自動車エンジン用部材あるいは超高速航空機用耐熱部材等に活用することができる。
1 基材
2 中間層
3 共晶構造層
5 耐熱耐食皮膜
6 塗膜
7 溶融箇所
10 耐熱耐食部材
30 結晶製造装置
31 石英管
32 ガス供給機構
33 キセノンランプ
34 楕円鏡
35 撮像装置
36 試料移動機構
Q 試料
L 光

Claims (6)

  1. 基材上に被覆される耐熱性及び耐腐食性を有する耐熱耐食皮膜であって、
    カルシアで安定化されたジルコニア又はハフニアを含む共晶を有する共晶構造層を備え、
    前記共晶構造層を前記基材と反対側の面から見た表面において、前記共晶構造層を構成する共晶のラメラ構造のラメラ幅が1μm以下である、耐熱耐食皮膜。
  2. 前記表面におけるラメラ構造の形状が不定形である、請求項1に記載の耐熱耐食皮膜。
  3. 前記基材側の一面に、NiCrAlY合金組成物又はシリコンを含む中間層をさらに備える、請求項1又は2に記載の耐熱耐食皮膜。
  4. 前記基材と反対側の面に、前記共晶構造層を構成する元素を含むポーラス酸化物を含む遮熱層をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の耐熱耐食皮膜。
  5. 基材と、前記基材の外表面を被覆する請求項1~4のいずれか一項に記載の耐熱耐食皮膜と、を備える、耐熱耐食部材。
  6. 請求項1~4のいずれか一項に記載の耐熱耐食皮膜の製造方法であって、
    基材の一面に、CaO粉末と、HfO粉末又はZrO粉末とを混合してペースト状にした塗膜を形成する塗布工程と、
    前記塗膜の一部を集光加熱により溶融する溶融工程と、
    溶融位置を移動させながら、溶融箇所を急冷する急冷凝固工程と、を有し、
    前記溶融位置の移動速度が2000mm/h以上である、耐熱耐食皮膜の製造方法。
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