JP7006517B2 - シリコン単結晶基板中の欠陥密度の制御方法 - Google Patents

シリコン単結晶基板中の欠陥密度の制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、シリコン単結晶基板中の欠陥密度の制御方法に関する。
シリコン単結晶基板を用いた半導体素子の製造工程では、粒子線照射と熱処理が頻繁に行われる。例えば、トランジスタのソース/ドレインの形成工程では、高濃度のドーパントをイオン注入し、その後の熱処理により、ドーパントを活性化させるとともに、イオン注入によって生じたダメージを回復させる。また、パワーデバイスにおける過剰キャリアの再結合ライフタイムを制御する工程では、電子線やプロトンなどの粒子線照射によりキャリアの再結合中心となる欠陥を故意に導入し、その後の熱処理により再結合ライフタイムの調整を行う。
シリコン単結晶基板に対して、高エネルギーの粒子線を照射すると、格子位置のシリコン原子が弾き出されて、格子間シリコン(I)とその抜け殻である空孔(V)が生成される。過剰に生成されたIやVは、単体では不安定なため、再結合したり(V+I→0)、I同士やV同士がクラスタリングしたり、シリコン単結晶基板中に含まれる軽元素不純物と反応して複合体を形成する。そして、IやVのクラスターや、IやVと軽元素不純物の複合体は、シリコンのバンドギャップ中に深い準位を形成して、キャリアの再結合中心や発生中心として働く。これらの再結合中心や発生中心がデバイス特性を劣化させるような場合には、軽元素複合体の密度を、できる限り低くすることが望まれる。
一方、IGBT(Insulated Gate Bipolor Transistor、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)やダイオード等のパワーデバイスにおいては、粒子線照射と熱処理により、シリコン単結晶基板中にキャリアの再結合中心となる欠陥を意図的に導入して、キャリアの再結合ライフタイムを短く制御することによって、スイッチング速度を高速化し、結果的にスイッチング損失を低減させる技術が従来から用いられている(特許文献1~4)。この場合、粒子線照射により、複数種の、再結合中心となる欠陥が室温付近で導入され、その中には熱的に不安定な欠陥種も存在するため、粒子線照射後に熱処理を施すことで熱的に不安定な欠陥を消滅させ、欠陥密度を調整することにより、再結合ライフタイムの所望の値が得られるようにする。
しかしながら、粒子線照射の条件や、粒子線照射後の熱処理の条件を同じにしても、デバイス特性がばらつくという問題があった(非特許文献1~4)。デバイス特性のばらつき要因として、シリコン基板自体に含まれる何らかの物質が要因として疑われており、特に炭素や酸素の不純物の影響が懸念されている。
非特許文献1では、同じ再結合ライフタイム制御を行った場合でも、スイッチング損失にウェーハ依存が発生することがある問題を指摘し、電子線照射により生成する主要な欠陥(CsI、CiCs、又はCiOi)のうち、CiOiのみ活性化エネルギーにウェーハ依存性があり、酸素濃度が高い場合に活性化エネルギーが高くなる傾向があるため、酸素不純物がウェーハ依存の要因になると考えられる、としている(但し、Cs:置換型炭素、Ci:格子間型炭素、Oi:格子間型酸素、I:格子間シリコンである)。また、非特許文献2及び非特許文献3では、電子線照射後に350℃±10℃で熱処理した場合に、IGBTのON電圧であるVCE(sat)と、フォトルミネッセンス法で測定したCiOiに由来するC線発光強度に相関があることが示されている。また、非特許文献4では、FWD(Free Wheeling Diode)のリカバリー特性の改善において、He照射のようにドナー濃度と同等以上で局所的に結晶欠陥を導入する場合は、正孔トラップとして働くCiOiの密度制御が重要であり、ひいては炭素濃度制御が重要であることが記載されている。このような場合、軽元素複合体の密度は、できる限りばらつかないように制御する必要がある。
特開平11-135509号公報 特開2000-200792号公報 国際公開第2013/100155号 国際公開第2007/055352号
清井他,第61回応用物理学会春季学術講演会 講演予稿集,19p-F9-14. 湊他,第4回パワーデバイス用シリコンおよび関連半導体材料に関する研究会 p.77. K.Takano et al.,Proceeding of the 27th International Symposium on Power Semiconductor Devices & IC’s,2015,p.129. 杉山他,第4回パワーデバイス用シリコンおよび関連半導体材料に関する研究会 p.71.
前述のように、デバイス特性を向上させるためには、粒子線照射と熱処理により形成される軽元素複合体の密度をより厳密に制御する必要がある。
一般的には、粒子線照射の条件や、粒子線照射後の熱処理の条件が同じであれば、粒子線照射と熱処理により形成される軽元素複合体の密度は、軽元素複合体の構成元素である炭素や酸素の濃度を制御することにより制御できると考えられているが、実際は必ずしもそうではなく、炭素濃度や酸素濃度を同じにしても軽元素複合体の密度がばらつく場合があるという問題があった。
本発明は、前述のような問題に鑑みてなされたものであって、粒子線照射と熱処理により欠陥密度を制御するデバイスの製造工程において、シリコン単結晶基板に起因する欠陥密度のばらつきを小さくでき、欠陥密度を高精度で制御できるシリコン単結晶基板中の欠陥密度の制御方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を解決するためになされたもので、
欠陥密度を制御するシリコン単結晶基板を準備する準備工程と、
前記準備したシリコン単結晶基板に粒子線を照射する粒子線照射工程と、
該粒子線照射工程後の前記シリコン単結晶基板に熱処理を施す熱処理工程と
を行うシリコン単結晶基板中の欠陥密度の制御方法であって、
前記準備工程を行う前に予め、窒素濃度が異なる複数の試験用シリコン単結晶基板に前記粒子線を照射した後、熱処理を行い、前記複数の試験用シリコン単結晶基板中に発生した欠陥密度を測定する測定工程と、
前記測定した欠陥密度と前記窒素濃度との相関関係を取得する相関関係取得工程とを有し、
前記取得した相関関係に基づいて、前記熱処理工程後の前記シリコン単結晶基板中の欠陥密度が目標値になるように、前記準備工程で準備する前記シリコン単結晶基板の窒素濃度を調整することを特徴とするシリコン単結晶基板中の欠陥密度の制御方法を提供する。
このように、予め試験用シリコン単結晶基板から得た、熱処理工程後のシリコン単結晶基板中の欠陥密度と窒素濃度との相関関係に基づいて、シリコン単結晶基板の窒素濃度を調整することにより欠陥密度を制御すれば、シリコン単結晶基板に起因する欠陥密度のばらつきを小さくすることができる。
また、このとき、前記欠陥密度を制御する対象とする欠陥を、炭素、あるいは炭素及び酸素を含む複合体とすることが好ましい。
シリコン単結晶基板は、結晶育成時に炭素及び酸素が不純物として混入する。そのようなシリコン単結晶基板において、熱処理工程後の炭素、あるいは炭素及び酸素を含む複合体の濃度と窒素濃度との相関関係に基づいて、シリコン単結晶基板の窒素濃度を調整することにより欠陥密度を制御すれば、シリコン単結晶基板に起因する欠陥密度のばらつきを小さくすることができる。
また、前記測定工程において、前記欠陥密度を測定する方法として、カソードルミネッセンス法、あるいはフォトルミネッセンス法を用いることが好ましい。
カソードルミネッセンス法やフォトルミネッセンス法では、炭素、あるいは炭素及び酸素を含む複合体に由来する発光線であるG線あるいはC線を観測することができるので、炭素、あるいは炭素及び酸素を含む複合体の濃度を測定する方法として、カソードルミネッセンス法、あるいはフォトルミネッセンス法を好適に用いることができる。
また、前記準備するシリコン単結晶基板を、フローティングゾーン法(FZ法)により育成された窒素添加のシリコン単結晶から製造されたものとすることが好ましい。
FZシリコン単結晶基板では、結晶育成時に導入される結晶欠陥の低減やウェーハ強度の向上のために、結晶育成時に窒素が添加される場合が多い。育成された単結晶に導入される窒素の濃度は、結晶育成時の雰囲気ガスの調整により制御することができる。そのようなFZシリコン単結晶基板において、熱処理工程後のシリコン単結晶基板中の欠陥密度と窒素濃度との相関関係に基づいて、シリコン単結晶基板の窒素濃度を調整することにより欠陥密度を制御すれば、シリコン単結晶基板に起因する欠陥密度のばらつきをより小さくすることができる。
また、前記準備工程において、窒素濃度のばらつきが目標の窒素濃度値に対して10%以内に調整されたシリコン単結晶基板を準備することが好ましい。
このように、窒素濃度のばらつきが10%以内であれば、シリコン単結晶基板に起因する欠陥密度のばらつきをより小さくすることができる。
本発明のシリコン単結晶基板中の欠陥密度の制御方法であれば、シリコン単結晶基板の窒素濃度を調整することにより、欠陥密度を高精度で制御することができるので、シリコン単結晶基板に起因する欠陥密度のばらつきを小さくすることができる。また本発明は、窒素添加FZシリコン単結晶基板中の欠陥密度を制御する場合に、欠陥密度を高精度で制御することができるので、特に窒素添加FZシリコン単結晶基板をパワーデバイス用に使用する際に好適である。
本発明のシリコン単結晶基板中の欠陥密度の制御方法を示すフロー図である。 実験例において酸素濃度が約0.2ppmaの場合のカソードルミネッセンス法により測定した発光スペクトルの例を示す図である。 実験例において酸素濃度が0.1ppma未満の場合のカソードルミネッセンス法により測定した発光スペクトルの例を示す図である。 酸素濃度が0.1ppma未満の場合のG線強度と窒素濃度との関係を示したグラフである。 酸素濃度が0.1ppma未満の場合のC線強度と窒素濃度との関係を示したグラフである。 酸素濃度が0.1~0.3ppmaの場合のG線強度と窒素濃度との関係を示したグラフである。 酸素濃度が0.1~0.3ppmaの場合のC線強度と窒素濃度との関係を示したグラフである。
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記のように、従来技術では、粒子線照射の条件と粒子線照射後の熱処理の条件を調整することによってシリコン単結晶基板中の欠陥密度を制御しており、この場合、シリコン単結晶基板に起因する何らかの要因で、欠陥密度のばらつきが生じるという問題があった。
本発明者は鋭意検討を重ねたところ、シリコン単結晶基板に粒子線照射と熱処理を施した場合の欠陥密度は、従来、ばらつき要因と考えられていた炭素濃度及び酸素濃度がほぼ同じ場合でも欠陥密度がばらつき、シリコン単結晶基板の窒素濃度に強く依存することを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、欠陥密度を制御するシリコン単結晶基板を準備する準備工程と、
前記準備したシリコン単結晶基板に粒子線を照射する粒子線照射工程と、
該粒子線照射工程後の前記シリコン単結晶基板に熱処理を施す熱処理工程と
を行うシリコン単結晶基板中の欠陥密度の制御方法であって、
前記準備工程を行う前に予め、窒素濃度が異なる複数の試験用シリコン単結晶基板に前記粒子線を照射した後、熱処理を行い、前記複数の試験用シリコン単結晶基板中に発生した欠陥密度を測定する測定工程と、
前記測定した欠陥密度と前記窒素濃度との相関関係を取得する相関関係取得工程とを有し、
前記取得した相関関係に基づいて、前記熱処理工程後の前記シリコン単結晶基板中の欠陥密度が目標値になるように、前記準備工程で準備する前記シリコン単結晶基板の窒素濃度を調整することを特徴とするシリコン単結晶基板中の欠陥密度の制御方法である。
以下、図1を参照し、本発明のシリコン単結晶基板中の欠陥密度の制御方法を説明する。
まず、複数の試験用シリコン単結晶基板を用意する。ここで用意する複数の試験用シリコン単結晶基板は、それぞれ窒素濃度が異なるものとする。また、窒素濃度以外の条件は、実際に欠陥密度を制御する対象となるシリコン単結晶基板(制御対象シリコン単結晶基板)と同じ条件にすることができる。
また、このとき、欠陥密度を制御する対象とする欠陥を、炭素、あるいは炭素及び酸素を含む複合体とすることが好ましい。シリコン単結晶基板は、結晶育成時に炭素及び酸素が不純物として混入する。そのようなシリコン単結晶基板において、熱処理工程後の炭素、あるいは炭素及び酸素を含む複合体の濃度と窒素濃度との相関関係に基づいて、シリコン単結晶基板の窒素濃度を調整することにより欠陥密度を制御すれば、シリコン単結晶基板に起因する欠陥密度のばらつきを小さくすることができる。
また、この試験用シリコン単結晶基板を用意する方法は、本発明において特に限定されない。例えば、シリコン単結晶からシリコンウェーハを切り出し、切断ダメージを取り除くためにシリコンウェーハに化学的エッチング処理を行った後、機械的化学的研磨を行うことにより試験用シリコン単結晶基板を用意できる。
次に、複数の試験用シリコン単結晶基板に粒子線を照射した後、熱処理を行い、欠陥密度を測定する測定工程を行う(図1のS11)。尚、図1の括弧内のシリコン単結晶基板は、各工程において処理されるシリコン単結晶基板を示している。
このとき、粒子線照射の前に、シリコン単結晶基板に酸化膜等を形成しても良い。
測定工程において、粒子線照射により欠陥を発生させるが、粒子線照射の条件は、対象とする半導体デバイスの製造プロセスの粒子線照射工程(図1のS14)で使用される条件に合わせることが望ましい。例えば、粒子線として電子線を、1×1013~1×1015/cmの線量で、0.5~2MVの加速電圧で照射することができる。
また、測定工程において、粒子線照射後の熱処理(以下、回復熱処理と呼ぶことがある)を施すが、回復熱処理の条件は、対象とする半導体デバイスの製造プロセスの熱処理工程(図1のS15)で使用される条件に合わせることが望ましい。例えば、温度を300~400℃、時間を10~60分、雰囲気を窒素、酸素、あるいは水素などとすることができる。
また、測定工程において、複数の試験用シリコン単結晶基板中に発生した欠陥密度を測定する。欠陥密度の測定方法としては、カソードルミネッセンス(CL)法、あるいはフォトルミネッセンス(PL)法を用いることが好ましい。
PL法は、軽元素複合体の評価方法の一つである。PL法では、CiCsやCiOiの複合体を検出することができ、それらの発光強度から複合体の相対密度を測定することができる。CiCsに由来する発光線はG線、CiOiに由来する発光線はC線と呼ばれている。
PL法では、半導体にバンドギャップより高いエネルギーの光(励起光)を照射することによって発生した電子と正孔が、再結合する際に放出される光(ルミネッセンス)の強度を測定する。この再結合は、バンドギャップ中に準位をもつ不純物や格子欠陥の影響を受け、それらの準位に応じて発光のエネルギーが変化する。このことにより、不純物や格子欠陥を評価することができる。
ルミネッセンスを測定する他の方法として、CL法がある。CL法では、試料に電子線を照射することによって発生した電子と正孔が、再結合する際に放出される光の強度を測定する。PL法と同様に、CL法でもCiCsやCiOiの複合体が検出されることが知られている。
このように、CL法やPL法では、炭素、あるいは炭素及び酸素を含む複合体に由来する発光線であるG線あるいはC線を観測することができるので、炭素、あるいは炭素及び酸素を含む複合体の濃度を測定する方法として、CL法、あるいはPL法を好適に用いることができる。
次に、相関関係取得工程を行う(図1のS12)。
相関関係取得工程では、測定工程(図1のS11)において測定した欠陥密度と、複数の試験用シリコン単結晶基板の窒素濃度とを対応させることで、欠陥密度と窒素濃度との相関関係を取得する。
次に、上記のように取得した相関関係に基づいて、熱処理工程後のシリコン単結晶基板の欠陥密度が目標値になるように、準備工程で準備するシリコン単結晶基板の窒素濃度を調整する(図1のS13)。
準備する制御対象であるシリコン単結晶基板の窒素濃度を調整する方法は、本発明において特に限定されない。例えば、シリコン単結晶育成時の条件を調整する方法等を使用することができる。例えば、FZ法であれば、単結晶育成時の雰囲気ガス中の窒素濃度を調整することにより、シリコン単結晶中の窒素濃度を調整することができる。CZ法または磁場を印加するMCZ法であれば、ルツボ内に添加するシリコン窒化物の量で、シリコン単結晶中の窒素濃度を調整することができる。また、窒素を含む雰囲気下でシリコン単結晶基板を熱処理して、シリコン単結晶基板中に窒素を内方拡散させることにより、シリコン単結晶基板の窒素濃度を調整することができる。また、シリコン単結晶基板の表面から窒素をイオン注入することにより、シリコン単結晶基板の窒素濃度を調整することができる。
本発明では、準備する制御対象であるシリコン単結晶基板を、FZ法により育成された窒素添加のシリコン単結晶から製造されたものとすることが好ましい。
本発明では、FZシリコン単結晶基板において、熱処理工程後の欠陥密度と窒素濃度との相関関係に基づいて、制御対象シリコン単結晶基板の窒素濃度を調整することにより欠陥密度を制御でき、シリコン単結晶基板に起因する欠陥密度のばらつきをより小さくすることができる。従って、パワーデバイス用に好適なFZシリコン単結晶基板を得ることができる。
また、準備工程において、窒素濃度のばらつきが目標の窒素濃度値に対して10%以内に調整されたシリコン単結晶基板を準備することが好ましい。このように、窒素濃度のばらつきが10%以内であれば、シリコン単結晶基板に起因する欠陥密度のばらつきをより小さくすることができる。
次に、準備した制御対象シリコン単結晶基板に対して粒子線照射工程を行う(図1のS14)。
ここで行う粒子線照射の条件は、測定工程(図1のS11)と同様の条件とすることが好ましい。例えば、電子線を、1×1013~1×1015/cmの線量で、0.5~2MVの加速電圧で照射することができる。
次に、粒子線を照射した制御対象シリコン単結晶基板に対して熱処理工程を行う(図1のS15)。
ここで行う熱処理の条件は、測定工程(図1のS11)と同様の条件とすることが好ましい。例えば、温度を300~400℃、時間を10~60分、雰囲気を窒素、酸素、あるいは水素などとすることができる。
以上のような、本発明の欠陥密度の制御方法であれば、欠陥密度を高精度で制御することができ、シリコン単結晶基板に起因する欠陥密度のばらつきを小さくすることができる。
本発明において、欠陥密度を高精度で制御し、シリコン単結晶基板に起因する欠陥密度のばらつきを小さくするために、上述のようなシリコン単結晶基板の欠陥密度制御方法を用いる理由は、以下のような実験により得られた知見による。
[実験例]
異なる窒素濃度を有する複数のFZシリコン単結晶基板を用意した。複数のFZシリコン単結晶基板のドーパント種、ドーパント濃度、酸素濃度、炭素濃度、窒素濃度、直径、結晶面方位は、以下の通りである。
ドーパント種/濃度:リン/6.3×1013~6.9×1013atoms/cm
酸素濃度:<0.1ppma(シリコン原料が多結晶シリコン)、0.1~0.3ppma(シリコン原料がチョクラルスキー法(CZ法)で育成した単結晶シリコン)、
炭素濃度:約0.02ppma、
窒素濃度:3.6×1014~2.2×1015atoms/cm
直径:200mm、
結晶面方位:(100)。
酸素濃度は赤外吸収法により測定し(JEIDAにより規定された換算係数を用いた)、炭素濃度及び窒素濃度は二次イオン質量分析法(SIMS)により測定した。
酸素濃度が0.1ppma未満のシリコン単結晶基板は、通常の多結晶シリコンインゴットを原料として、FZ法により育成されたシリコン単結晶から製造されたものである。また、酸素濃度が0.1~0.3ppmaのシリコン単結晶基板は、CZ法により育成されたシリコン単結晶インゴットを原料として、FZ法により育成されたシリコン単結晶から製造されたものである。このとき、CZ法により育成されたシリコン単結晶インゴットを原料とすると、原料に含まれる酸素濃度の違いにより、酸素濃度が0.1~0.3ppmaの範囲でばらつきが生じる。
次に、用意したシリコン単結晶基板に電子線を照射した。このとき、電子線の照射線量は1×1015/cmとし、電子線の加速電圧は2MVとした。
次に、電子線照射したシリコン単結晶基板に回復熱処理を施した。回復熱処理の温度は360℃とし、雰囲気は窒素、時間は45分とした。その後、カソードルミネッセンス法により発光スペクトルを測定した。
カソードルミネッセンス法により測定した発光スペクトルの例を図2及び図3に示した。図2は、酸素濃度が約0.2ppmaの場合で、図2(a)は窒素濃度が4.9×1014atoms/cm、図2(b)は窒素濃度が約2.2×1015atoms/cmの場合である。図2において、CiCsに由来するG線(1305nm付近)、CiOiに由来するC線(1570nm付近)が観測されているが、C線の発光強度が図2(a)と図2(b)とで明らかに異なっている。この結果から、窒素濃度が低い場合にCiOiの密度が低くなることがわかる。
図3は、酸素濃度が0.1ppma未満の場合で、図3(a)は窒素濃度が3.6×1014atoms/cm、図3(b)は窒素濃度が約1.7×1015atoms/cmの場合である。図3において、図2の場合と同様にG線とC線が観測されているが、G線の発光強度が図3(a)と図3(b)とで明らかに異なっている。この結果から、窒素濃度が低い場合にCiCsの密度が高くなることがわかる。図2及び図3において、シリコンに由来するTO線(1130nm付近)も観測されているが、発光強度が弱かったため、図のスケールではピークとして認識できない。
尚、本実験例において観測されたG線の発光波長(1305nm付近)は、一般的なG線の発光波長(1270nm付近)よりも長波長側にシフトしているが、同じ帰属であることが知られている。
次に、発光スペクトルからG線強度とC線強度を求めた。
酸素濃度が0.1ppma未満のシリコン単結晶基板の場合について、G線強度と窒素濃度との関係を図4に、C線強度と窒素濃度との関係を図5に示す。図4及び図5の結果から、酸素濃度が0.1ppma未満の場合には、C線強度は窒素濃度によらず低くなるが、G線強度は窒素濃度が高いほど低くなることがわかる。このことから、炭素濃度及び酸素濃度がほぼ同じでも、酸素濃度が0.1ppma未満の場合には、窒素濃度が高いほどCiCsの密度が低くなることがわかる。また、例えば、CiOiの密度を低く維持したまま、CiCsの密度を高くしたい場合には、酸素濃度を0.1ppma未満として、窒素濃度を低くすれば良いことがわかる。
酸素濃度が0.1~0.3ppmaのシリコン単結晶基板の場合について、G線強度と窒素濃度との関係を図6に、C線強度と窒素濃度との関係を図7に示す。図6及び図7の結果から、酸素濃度が0.1~0.3ppmaの場合には、G線強度は窒素濃度によらず低くなるが、C線強度は窒素濃度が高いほど高くなることがわかる。このことから、炭素濃度及び酸素濃度がほぼ同じでも、酸素濃度が0.1~0.3ppmaの場合には、窒素濃度が高いほどCiOiの密度が高くなることがわかる。また、例えば、CiCsの密度を低く維持したまま、CiOiの密度を高くしたい場合には、酸素濃度を0.1~0.3ppmaとして、窒素濃度を高くすれば良いことがわかる。
フォトルミネッセンス法でもカソードルミネッセンス法と同じ発光線が観測されることがわかっているので、フォトルミネッセンス法でも同様な方法により、G線強度及びC線強度と窒素濃度との関係を求めることができる。
FZシリコン単結晶基板の酸素濃度は、結晶製造時に用いるシリコン原料が多結晶シリコンかCZ法で育成した単結晶シリコンかによって異なるが、シリコン原料の製法が同じであれば、酸素濃度のばらつきを小さくすることができる。
このことから、いずれの原料を用いたFZシリコン単結晶基板の場合でも、窒素濃度を調整することで炭素、あるいは炭素及び酸素を含む複合体の密度を制御できることがわかる。
以上のように、電子線照射とその後の熱処理を施した場合の欠陥密度が目標値になるように、欠陥密度を制御するシリコン単結晶基板の窒素濃度を調整することにより欠陥密度を制御すれば、シリコン単結晶基板自体に起因する欠陥密度のばらつきを小さくすることができる。そして、窒素濃度のばらつきを小さくすることにより、欠陥密度のばらつきを小さくすることができる。
上記のように、電子線照射とその後の熱処理を施した場合の欠陥密度が窒素濃度に依存する理由は、以下のように考えられる。
シリコン基板に対して、高エネルギーの粒子線を照射すると、格子位置のシリコン原子が弾き出されて、格子間シリコン(I)とその抜け殻である空孔(V)が生成される。過剰に生成されたIやVは、単体では不安定なため、再結合したり(V+I→0)、I同士やV同士がクラスタリングしたり、シリコン基板中に含まれる軽元素不純物と反応して複合体を形成する。そして、IやVのクラスターや、IやVと軽元素不純物の複合体は、シリコンのバンドギャップ中に深い準位を形成して、キャリアの再結合中心や捕獲中心として働き、デバイス特性に影響する。
空孔Vに関連する欠陥として、Vと置換型リンPsが反応してVPが形成される(V+Ps→VP)ことが知られている。また、Vと格子間酸素Oiが反応してVOが形成され(V+Oi→VO)、更に、VとVOが反応してVO(V+VO→VO)が形成される場合もある。また、V同士が反応してVVも形成される(V+V→VV)。窒素が存在する場合には、VとNが反応してVNも形成されることになる(V+N→VN)。VとP、O、あるいはNとの反応はそれぞれ競合するため、窒素濃度が高い場合にVNが形成されやすくなるとすると、Vが関連した他の複合体が形成されにくくなる可能性がある。
一方、格子間シリコンIが関連する欠陥として、Iと置換型ボロンBsが反応して格子間ボロンBiが形成され(I+Bs→Bi)、更に、BiとOiが反応してBiOiが形成される(Bi+Oi→BiOi)ことが知られている。また、炭素が存在する場合、Iと置換型炭素Csが反応して格子間炭素Ciが形成され(I+Cs→Ci)、更に、CiとOi、CiとCsが反応してCiOi、CiCsが形成される(Ci+Oi→CiOi、Ci+Cs→CiCs)。また、I同士が反応してIクラスターも形成される(I+I+…→In)。窒素がより高濃度で存在する場合には、VとNが反応することにより、VとIの再結合が抑制され、その結果として、Iが関連した複合体が形成されやすくなる可能性がある。
IやVと軽元素不純物との反応は、それぞれの絶対濃度と濃度バランスに依存するため、極めて複雑であり、更に熱処理が施された場合には、複合体の消滅や形態変化が起こるため、更に複雑になる。
上述の実験例の結果において、酸素濃度が0.1~0.3ppmaの場合に窒素濃度が高いほどCiOi密度が高くなるのは、VとNが反応することにより、VとIの再結合が抑制され、その結果として、Iが関連した複合体が形成されやすくなるためと考えられる。また、酸素濃度が0.1ppma未満の場合に窒素濃度によらずCiOi密度が低くなるのは、Oi濃度が低いことにより、窒素濃度によらずCiOiの形成が抑制されるためと考えられる。一方、CiCsに関しては、CiOiと同様にIが関連した複合体であるが、CiOiと異なる挙動になる理由は今のところ明らかではない。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
図1に示すような、本発明の欠陥密度の制御方法でシリコン単結晶基板中の欠陥密度の制御を行った。このとき、実験例と同様にカソードルミネッセンス法で測定した場合に、C線強度が2000程度になるように制御することを目標とした。
まず、測定工程において、窒素濃度が異なる複数の試験用シリコン単結晶基板に、電子線を照射した後、熱処理を行い、複数の試験用シリコン単結晶基板におけるC線強度を測定した。試験用シリコン単結晶基板はFZ法により育成されたシリコン単結晶から製造されたものであり、酸素濃度は0.1~0.3ppmaとした。
このときの電子線の照射線量は1×1015/cmとし、電子線の加速電圧は2MVとした。またこのとき、熱処理の温度は360℃、時間は45分、雰囲気は窒素とした。
次に、相関関係取得工程において、C線強度と複数の試験用シリコン単結晶基板の窒素濃度との相関関係を取得した(図7)。
次に、上記相関関係に基づいて、熱処理工程後のシリコン単結晶基板のC線強度が目標値(2000程度)になるように、準備工程で準備するシリコン単結晶基板の窒素濃度を調整した。このとき、準備したシリコン単結晶基板は、CZ法により育成されたシリコン単結晶インゴットを原料として、FZ法により育成されたシリコン単結晶から製造されたものであり、酸素濃度は約0.2ppmaで、窒素濃度を1.7×1015atoms/cmに調整したものであった。
その後、準備したシリコン単結晶基板に電子線を照射した。電子線の照射線量は1×1015/cmとし、電子線の加速電圧は2MVとした。次に、電子線照射したシリコン単結晶基板に回復熱処理を施した。回復熱処理の温度は360℃とし、雰囲気は窒素、時間は45分とした。
回復熱処理後のC線強度をカソードルミネッセンス法により測定した結果、シリコン単結晶基板のC線強度は2008であった。
このように、実施例1では、シリコン単結晶基板の窒素濃度を調整することにより、目標値の欠陥密度を得ることができることが確認できた。
また、上記で取得した相関関係に基づき、窒素濃度を1.5×1015~1.9×1015atoms/cmの範囲に調整したFZシリコン単結晶基板を5枚準備し、上記と同様の条件で、電子線照射と回復熱処理を行った後、C線強度をカソードルミネッセンス法により測定した。その結果、C線強度は1830、2105、1955、2161、1876となり、シリコン単結晶基板自体に起因する欠陥密度のばらつきを非常に小さく抑えられることが確認できた。
[比較例1]
試験用シリコン単結晶基板を使用して、欠陥密度と窒素濃度との相関関係を取得せず、準備するシリコン単結晶基板の窒素濃度を上記相関関係に基づいて調整しなかったこと以外、実施例1と同様の条件でシリコン単結晶基板の欠陥密度を制御した。
このとき、窒素濃度が1.0×1015atoms/cm、酸素濃度が0.1ppma未満のFZシリコン単結晶基板に、電子線を照射した後、回復熱処理を施した。
続いて、実施例1と同様の条件で回復熱処理後のC線強度をカソードルミネッセンス法により測定した結果、395であった。
このように、比較例1では、電子線照射条件と回復熱処理条件を実施例1と同様の条件にしたにも関わらず、シリコン単結晶基板のC線強度は目標値の2000から大きく離れた値になってしまうことが確認された。
また、窒素濃度及び酸素濃度の異なるFZシリコン単結晶基板を無作為に5枚準備し、上記と同様の条件で、電子線照射と回復熱処理を行った後、C線強度をカソードルミネッセンス法により測定した結果、C線強度は1157、2276、377、435、1717となり、実施例1と比べてシリコン単結晶基板自体に起因する欠陥密度のばらつきが著しく大きくなることが確認された。
[実施例2]
図1に示すような、本発明の欠陥密度の制御方法でシリコン単結晶基板中の欠陥密度の制御を行った。このとき、実験例と同様にカソードルミネッセンス法で測定した場合に、G線強度が1200程度になるように制御することを目標とした。
まず、測定工程において、窒素濃度が異なる複数の試験用シリコン単結晶基板に、電子線を照射した後、熱処理を行い、複数の試験用シリコン単結晶基板におけるG線強度を測定した。試験用シリコン単結晶基板は、多結晶シリコンインゴットを原料として、FZ法により育成されたシリコン単結晶から製造されたものであり、酸素濃度は0.1ppma未満であった。
このときの電子線の照射線量は1×1015/cmとし、電子線の加速電圧は2MeVとした。またこのとき、熱処理の温度は360℃、時間は45分、雰囲気は窒素とした。
次に、相関関係取得工程において、G線強度と複数の試験用シリコン単結晶基板の窒素濃度との相関関係を取得した(図4)。
次に、上記相関関係に基づいて、熱処理工程後のシリコン単結晶基板のG線強度が目標値(1200程度)になるように、準備工程で準備するシリコン単結晶基板の窒素濃度を調整した。このとき、準備したシリコン単結晶基板は、多結晶シリコンインゴットを原料として、FZ法により育成されたシリコン単結晶から製造されたものであり、酸素濃度は0.1ppma未満で、窒素濃度を1.0×1015atoms/cmに調整したものであった。
その後、準備したシリコン単結晶基板に電子線を照射した。電子線の照射線量は1×1015/cmとし、電子線の加速電圧は2MVとした。次に、電子線照射したシリコン単結晶基板に回復熱処理を施した。回復熱処理の温度は360℃とし、雰囲気は窒素、時間は45分とした。
回復熱処理後のG線強度をカソードルミネッセンス法により測定した結果、シリコン単結晶基板の線強度は1225であった。
このように、実施例では、シリコン単結晶基板の窒素濃度を調整することにより、欠陥密度の目標値を得ることができることが確認できた。
また、上記で取得した相関関係に基づき、窒素濃度を0.9×1015~1.1×1015atoms/cmの範囲に調整したFZシリコン単結晶基板を5枚準備し、上記と同様の条件で、電子線照射と回復熱処理を行った後、G線強度をカソードルミネッセンス法により測定した。その結果、G線強度は1170、1221、1195、1177、1265となり、シリコン単結晶基板自体に起因する欠陥密度のばらつきを非常に小さく抑えられることが確認できた。
[比較例2]
試験用シリコン単結晶基板を使用して、欠陥密度と窒素濃度との相関関係を取得せず、準備するシリコン単結晶基板の窒素濃度を上記相関関係に基づいて調整しなかったこと以外、実施例と同様の条件でシリコン単結晶基板の欠陥密度を制御した。
このとき、窒素濃度は1.7×1015atoms/cm、酸素濃度は0.1ppma未満であった。このFZシリコン単結晶基板に、電子線を照射した後、回復熱処理を施した。
続いて、実施例2と同様の条件で回復熱処理後のG線強度をカソードルミネッセンス法により測定した結果、792であった。
このように、比較例2では、電子線照射条件と回復熱処理条件を実施例2と同様の条件にしたにも関わらず、シリコン単結晶基板のG線強度は目標値の1200から大きく離れた値になってしまうことが確認された。
また、窒素濃度及び酸素濃度の異なるFZシリコン単結晶基板を無作為に5枚準備し、上記と同様の条件で、電子線照射と回復熱処理を行った後、G線強度をカソードルミネッセンス法により測定した結果、G線強度は280、286、1480、841、275となり、実施例1と比べてシリコン単結晶基板自体に起因する欠陥密度のばらつきが著しく大きくなることが確認された。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (4)

  1. 欠陥密度を制御するシリコン単結晶基板を準備する準備工程と、
    前記準備したシリコン単結晶基板に電子線を、1×10 13 ~1×10 15 /cm の線量で、0.5~2MVの加速電圧で照射する電子線照射工程と、
    電子線照射工程後の前記シリコン単結晶基板に熱処理を施す熱処理工程と
    を行うシリコン単結晶基板中の欠陥密度の制御方法であって、
    前記準備工程を行う前に予め、窒素濃度が異なる複数の試験用シリコン単結晶基板に前記電子線を前記線量及び前記加速電圧で照射した後、熱処理を行い、前記複数の試験用シリコン単結晶基板中に発生した欠陥密度を測定する測定工程と、
    前記測定した欠陥密度と前記窒素濃度との相関関係を取得する相関関係取得工程とを有し、
    前記取得した相関関係に基づいて、前記熱処理工程後の前記シリコン単結晶基板中の欠陥密度が目標値になるように、前記準備工程で準備する前記シリコン単結晶基板の窒素濃度を調整し、
    前記欠陥密度を制御する対象とする欠陥を、炭素、あるいは炭素及び酸素を含む複合体とすることを特徴とするシリコン単結晶基板中の欠陥密度の制御方法。
  2. 前記測定工程において、前記欠陥密度を測定する方法として、カソードルミネッセンス法、あるいはフォトルミネッセンス法を用いることを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶基板中の欠陥密度の制御方法。
  3. 前記準備するシリコン単結晶基板を、フローティングゾーン法により育成された窒素添加のシリコン単結晶から製造されたものとすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシリコン単結晶基板中の欠陥密度の制御方法。
  4. 前記準備工程において、窒素濃度のばらつきが目標の窒素濃度値に対して10%以内に調整されたシリコン単結晶基板を準備することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシリコン単結晶基板中の欠陥密度の制御方法。
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