JP7006344B2 - 制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの気筒内に燃料を噴射する燃料噴射装置に適用される制御装置に関するものである。
従来、燃料噴射装置に適用される制御装置において、燃料噴射弁での燃料リークの異常を検知するものが存在する(例えば、特許文献1)。
燃料リークの種類としては、動リークと、静リークがあり、特許文献1に記載の制御装置では、静リークの異常に着目して、当該異常を検知するものである。なお、動リークは、燃料噴射弁(インジェクタ)による燃料噴射時に、燃料噴射弁の低圧側の燃料配管に出ていく燃料漏れのことである。一方、静リークは、燃料噴射弁による燃料噴射に関わらず、定常的に燃料噴射弁の摺動部等の隙間から低圧側の燃料配管に出ていく燃料漏れのことである。
特許文献1に記載の制御装置では、エンジンの停止後、コモンレール内の残圧降下傾向を検出し、当該残圧降下傾向と判定基準とを比較することにより、静リークの異常があるか否かを判定している。
特開2010-216279号公報
ところで、特許文献1において、判定基準は、温度補正される場合はあるものの、燃料噴射弁の状態に関わらず、一定である。しかしながら、燃料噴射弁には個体差があり、個体差によって静リーク量が異なる場合がある。このため、静リーク量に異常の兆候があったとしてもそれを適切に判定することができない可能性がある。
例えば、静リーク量が急増した場合、異常の兆候があるといえる。しかしながら、個体差により、初期状態(適正状態)における静リーク量が多い場合と少ない場合とがある。このため、初期状態の静リーク量が少ない場合、多い場合と異なり、静リーク量が急に増加しても判定基準以下となって、異常の兆候を適切に判定できない可能性がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、燃料噴射弁の個体差に関わらず、リーク異常を適切に検知する制御装置を提供することにある。
上記課題を解決する第1の手段は、燃料タンクの燃料を高圧化し吐出する燃料ポンプと、前記燃料ポンプから吐出された燃料を蓄えるコモンレールと、前記コモンレールに蓄圧された燃料をエンジンの気筒内に噴射する燃料噴射弁と、前記コモンレール内の燃圧を検出する燃圧センサと、を備える燃料噴射装置に適用される制御装置において、燃料の噴射が停止された状態であって、且つ、前記燃料ポンプから燃料が吐出されていない静止状態における前記燃料噴射弁からの燃料リーク量である静リーク量を、前記燃圧センサによる燃圧の検出値に基づいて算出するリーク量算出部と、前記静リーク量の履歴を記憶する記憶部と、前記記憶部により記憶された前記静リーク量の履歴に基づき異常判定閾値を設定する閾値設定部と、前記リーク量算出部により算出された前記静リーク量と前記異常判定閾値との比較の結果に基づいて異常の有無を判定する異常判定部と、を備える。
上記構成によれば、静リーク量の過去の履歴に応じて異常判定閾値を設定し、当該異常判定閾値と、リーク量算出部により算出された現在の静リーク量とを比較し、異常を判定する。これにより、燃料噴射弁に個体差があったとしても、静リーク量の過去の履歴に応じて異常判定閾値を設定するため、異常判定閾値に、燃料噴射弁の個体差が反映されて設定されることとなる。例えば、個体差により静リーク量が多い場合には、異常判定閾値も多くなり、個体差により静リーク量が少ない場合には、異常判定閾値も少なくなる。したがって、静リーク量が急に増加するような、異常の兆候が発生した場合であっても、個体差の影響を受けることなく、その兆候を事前に判定することができる。すなわち、燃料噴射弁のリーク異常を適切に検知することができる。
第2の手段では、前記記憶部は、前記静リーク量の履歴として、前記燃料噴射弁が初期状態である場合における静リーク量を示す初期履歴を記憶し、前記閾値設定部は、前記初期履歴を基準として、前記異常判定閾値を設定する。
燃料噴射弁に個体差は、初期状態における静リーク量において反映されている。そこで、燃料噴射弁が初期状態である場合における初期履歴に応じて異常判定閾値を設定することにより、個体差の影響を受けることなく、異常の兆候を判定することができる。
第3の手段では、前記燃料噴射弁の経時劣化に基づく劣化リーク量を、前記初期履歴に基づき特定する劣化量特定部を備え、前記閾値設定部は、前記劣化量特定部により特定された劣化リーク量及び前記初期履歴に基づいて、前記異常判定閾値を設定する。
燃料噴射弁は、経時劣化すると、静リーク量が増加することが知られている。このため、異常判定を行う際、経時劣化に基づく静リーク量の増加分を考慮する必要がある。ところで、経時劣化に基づく劣化リーク量についても個体差があることや、初期状態における静リーク量に基づき、当該劣化リーク量が予測可能なことが経験的にわかっている。
そこで、劣化リーク量を、初期履歴に応じて特定する劣化量特定部を備え、閾値設定部は、劣化量特定部により特定された劣化リーク量及び初期履歴に基づいて、異常判定閾値を設定することとした。これにより、燃料噴射弁に個体差があっても、経時劣化に基づく静リーク量の増加分を適切に考慮して、異常を判定することができる。
第4の手段において、前記記憶部は、前記静リーク量の履歴として、時系列で複数の静リーク量を記憶し、前記閾値設定部は、時系列で記憶された複数の静リーク量に基づき、前記異常判定閾値を設定する。
時系列で記憶された複数の静リーク量から、静リーク量がどのように変化するかについてその傾向を予測することができる。そして、同一の燃料噴射弁から検出された静リーク量であるならば、個体差を考える必要ない。すなわち、過去の履歴には個体差が反映されているため、閾値設定部が、時系列で記憶された複数の静リーク量から把握できる傾向に基づき異常判定閾値を設定することにより、個体差に関わらず、異常を適切に判定することができる。つまり、静リーク量が急に増加するような、異常の兆候が発生した場合であっても、個体差の影響を受けることなく、異常の兆候を適切に判定することができる。
第5の手段において、前記異常判定閾値は、前記燃料噴射弁が使用開始されてから予め定めた所定期間の経過後に時系列で記憶された複数の静リーク量に基づき設定され、前記所定期間は、前記燃料噴射弁の使用開始後において前記静リーク量が増加し、その後収束するまでの期間として定められている。
燃料噴射弁の静リーク量は、使用開始後、燃料噴射弁の摺動部材等の初期摩耗が完了するまで増加しやすい。その一方、静リーク量は、初期摩耗が完了した後、所定の範囲内に収束する。このため、初期摩耗が完了する前における履歴に基づいて傾向を予測すると、誤判定が生じやすい。そこで、静リーク量が収束した後、すなわち、初期摩耗が完了した後の履歴に基づき、異常判定閾値を設定することとした。これにより、初期摩耗に基づく静リーク量の急増が生じた場合であっても、異常が発生したと誤判定することを防止できる。
第6の手段では、前記コモンレール内の燃料温度を検出する温度センサを備え、前記リーク量算出部は、前記温度センサにより検出された燃料温度に基づき、前記静リーク量を補正する。
燃料温度の違いにより、静リーク量が変化する。そこで、リーク量算出部は、燃料温度に基づき、静リーク量を補正することとした。これにより、適切に異常を判定することができる。
第7の手段では、前記リーク量算出部は、前記燃圧センサにより検出された燃圧が所定の圧力範囲内である場合における燃圧の低下傾向を取得し、当該燃圧の低下傾向に基づき、前記静リーク量を算出するものであり、前記リーク量算出部は、前記静止状態に移行した直後に検出された燃圧に基づき、前記静リーク量を補正する。
静止状態に移行した直後の燃圧が高い場合、低い場合と比較して、燃圧が降下しやすくなる。このため、燃圧の低下傾向に基づき、静リーク量を算出する場合、当該燃圧の違いにより誤差が発生する可能性がある。そこで、リーク量算出部は、静止状態に移行した直後に検出された燃圧に基づき、静リーク量を補正することとした。これにより、適切に異常を判定することができる。
燃料噴射システムの概略構成図。 従来において、異常時における静リーク量の様子を示す図。 静止状態における燃圧の変化を示す図。 経時劣化に伴う静リーク量の変化を示す図。 初期履歴と静リーク量との関係を示す図。 異常判定処理の流れを示すフローチャート。 経時劣化に伴う静リーク量の変化を示す図。 第2実施形態における異常判定処理の流れを示すフローチャート。
(第1実施形態)
以下、本発明にかかる燃料噴射装置に適用される制御装置を図面に基づいて説明する。燃料噴射装置は、例えば4気筒のディーゼルエンジンに燃料を噴射するコモンレール式の燃料噴射システムであり、制御装置によってその動作が制御される。図1は燃料噴射システムの概要を示す構成図である。図1において、燃料噴射システムは、燃料が蓄えられる燃料タンク10と、燃料ポンプ11と、コモンレール20と、燃圧センサ21と、燃料噴射弁としてのインジェクタ23と、プレッシャリミッタ30と、ECU50とを備えている。
燃料ポンプ11は、燃料フィルタ13が設けられた燃料配管12を通じて燃料タンク10と接続されている。燃料ポンプ11は燃料タンク10から汲み上げた加圧前の低圧燃料を、図示を略す燃料加圧室に吸入させる。そして、エンジン回転に同期してプランジャが往復動することに伴い、燃料加圧室内で高圧化された高圧燃料を吐出(圧送)する。例えば燃料ポンプ11は、エンジン回転に伴い駆動されて燃料の吸入及び吐出を繰り返し実行する機械式ポンプである。燃料ポンプ11の燃料吸入部には電磁駆動式の吸入調量弁(SCV)14が設けられている。
吸入調量弁14は、燃料ポンプ11の吸入側に設けられており、電流制御によって燃料ポンプ11が吸入工程で吸入する燃料吸入量を調節する。例えば電流制御としては、吸入調量弁14に対する電流のデューティ比制御が行われる。吸入調量弁14による燃料吸入量が制御されることで、燃料ポンプ11からの燃料吐出量が調量される。
例えば、吸入調量弁14として、電磁ソレノイドの開放状態(全開状態)で保持される常開弁のものが使用される場合、電磁ソレノイドへの指示電流値の増加により燃料吸入通路の開口面積が減少されると、燃料ポンプ11の燃料吸入量が減り、結果として燃料ポンプ11による燃料吐出量が減少される。なお、吸入調量弁14には、常閉弁の電磁弁を用いることも可能である。
また燃料ポンプ11には、燃料吐出配管18を介してコモンレール20が接続されている。燃料ポンプ11から吐出される高圧燃料は燃料吐出配管18を通じてコモンレール20に逐次給送され、それによりコモンレール20内の燃料が高圧状態に保持(蓄圧)されるようになっている。
コモンレール20には、コモンレール20内の燃圧Pcを検出するレール圧センサ(以下、燃圧センサ21と記す)が設けられている。図1では、燃圧センサ21はコモンレール20における燃料ポンプ11の燃料出口側に設けられているが、燃圧センサ21は、燃料ポンプ11の燃料出口から後述するインジェクタ23の噴射口に至る経路に設けることができる。
コモンレール20には、燃料タンク10内の燃料温度を検出する温度センサ22が設けられている。温度センサ22は、燃料タンク10に限らず、燃料ポンプ11や、コモンレール20内の任意の箇所に設けられていてもよい。
インジェクタ23は、例えば噴孔を開閉するノズルニードルを備える周知の電磁駆動式の噴射弁であり、エンジンの気筒ごとに設けられている。インジェクタ23には高圧燃料配管24を通じてコモンレール20から高圧燃料が供給され、インジェクタ23の駆動によりエンジンの各気筒内に燃料が噴射供給される。ただし、インジェクタ23に供給される高圧燃料の一部は、リークによりリターン配管25を通じて燃料タンク10に戻されるようになっている。なお、リークで燃料タンク10に戻される燃料量を燃料リーク量と呼ぶ。また、インジェクタ23としては、電磁駆動式インジェクタに代えてピエゾ駆動式インジェクタを用いることも可能である。
また、コモンレール20には圧力開放弁として常閉式のプレッシャリミッタ30が設けられている。プレッシャリミッタ30は、基本的には機械式のチェック弁(逆止弁)構造を有しており、コモンレール内の燃料圧力であるレール圧が過剰に上昇しプレッシャリミッタ30の開弁圧を上回ると開弁する。プレッシャリミッタ30が開弁することで、リターン配管25を通じて高圧燃料が燃料タンク10に戻され、レール圧が減圧される。これにより、高圧配管やコモンレール20など高圧部品の破損が抑制される。
ECU50は、CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ等からなる周知のマイクロコンピュータを備えた電子制御装置である。このECU50は、燃圧センサ21、エンジンの回転速度を検出するための回転速度センサ56、アクセル操作量を検出するアクセルセンサ57、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサ58など、各種センサからの信号を取り込んでエンジン運転状態を検出する。そしてROM等に記憶された制御プログラム等を実行することで、エンジンの運転状態を制御する。
具体的にはECU50は、コモンレール圧のフィードバック制御を行う。つまりECU50はエンジン運転状態に基づいて、コモンレール圧の目標燃圧を算出する。なお目標燃圧は、エンジンがアイドル運転時等の低負荷状態の場合には比較的低い値に、エンジンが全負荷状態等の高負荷運転時には比較的高い値に設定される。そして燃圧センサ21による燃圧Pcの検出値が目標燃圧に一致するように、燃圧Pcの検出値と目標燃圧との偏差に基づいて、吸入調量弁14を駆動する駆動電流をフィードバック制御する。
またECU50は、エンジン運転状態に基づいて、インジェクタ23の通電を制御する。つまりエンジンの運転状態に応じて燃料噴射量、すなわち指示噴射量を設定するとともに、燃圧センサ21により検出された燃圧Pcに基づいて、指示噴射量をベースとするインジェクタ23の通電時間を演算し、この通電時間に応じてインジェクタ23を駆動させる制御を実施している。
このように燃料吐出量及び燃料噴射量は燃圧Pcの検出値に基づき求められている。しかしながら、前述したようにインジェクタ23では、燃料リークが生じる。燃料リークの種類としては、動リークと、静リークがあり、いずれのリーク量も多くなれば、燃料噴射制御に悪影響を及ぼす。また、リーク量も多くなれば、エンジン出力を利用して燃圧Pcを上げる必要があるため、燃費も悪くなる。このため、リーク量が正常であるか否かについて判定する必要がある。
なお、動リークは、インジェクタ23による燃料噴射時に、リターン配管25に出ていく燃料漏れのことである。一方、静リークは、インジェクタ23による燃料噴射に関わらず、定常的にインジェクタ23の摺動部等の隙間からリターン配管25に出ていく燃料漏れのことである。
ところで、図2に示すように、静リーク量SLが急増した場合、異常の兆候があるといえる。しかしながら、インジェクタ23には個体差があり、個体差によって適正状態(異常がない状態)における静リーク量SLが異なる場合がある。すなわち、個体差により、適正状態における静リーク量SLが多い場合(図2において実線で示す)と、少ない場合(図2において破線で示す)と、がある。このため、適正状態の静リーク量SLが少ない場合、多い場合と異なり、静リーク量SLが急に増加しても閾値以下となって、異常の兆候を適切に判定できない可能性がある。なお、図2では、閾値を一点鎖線で示す。
そこで、本実施形態では、インジェクタ23の個体差に関わらず、異常を適切に判定できるようにするため、ECU50に、以下の機能を備えた。以下、それらの機能について詳しく説明する。
ECU50は、静リーク量SLを算出するリーク量算出部51と、静リーク量SLの履歴を記憶する記憶部52と、異常判定閾値Thを設定する閾値設定部53と、静リーク量SLの異常の有無を判定する異常判定部54としての機能を備えた。これらの機能は、ECU50が備える記憶装置55(例えば、記憶用メモリ)に記憶されたプログラムが実行されることで、各種機能が実現される。なお、各種機能は、ハードウェアである電子回路によって実現されてもよく、あるいは、少なくとも一部をソフトウェア、すなわちコンピュータ上で実行される処理によって実現されてもよい。
リーク量算出部51としてのECU50は、燃料の噴射が停止された状態であって、且つ、燃料ポンプ11から燃料が吐出されていない静止状態におけるインジェクタ23からの燃料リーク量である静リーク量SLを、燃圧センサ21による燃圧Pcの検出値に基づいて算出する。
静止状態とは、例えば、燃料噴射量(若しくは指示噴射量)がゼロ(又はゼロ近傍)である場合であって、燃料吐出量(若しくは燃料吸入量)がゼロ(又はゼロ近傍)である状態のことである。つまり、燃料の噴射制御が行われていない状態であって、且つ、燃料ポンプ11から燃料の吐出制御が行われていない状態が、静止状態に相当する。
静リーク量SLの算出方法について具体的に説明する。ECU50は、上述した静止状態において、燃圧センサ21から検出された燃圧Pcを取得する。そして、ECU50は、燃圧センサ21により検出された燃圧Pcが所定の圧力範囲内である場合において、燃圧Pcの低下傾向(傾き)を取得し、当該燃圧Pcの低下傾向に基づき、静リーク量SLを算出する。
例えば、ECU50は、検出された燃圧Pcが、所定の第1圧力値Pc1以下となってから、所定の第2圧力値Pc2(<第1圧力値Pc1)となるまでの時間を計測する。そして、ECU50は、第1圧力値Pc1から第2圧力値Pc2を減算した値を、計測時間Tにより除算することにより、燃圧Pcの低下傾向(dPc/dt)を取得する(数式(1)参照)。
dPc/dt=(Pc1-Pc2)/T・・・(1)
そして、ECU50は、燃圧Pcの低下傾向(dPc/dt)に、レール容積Vを乗算し、乗算された値を、体積弾性係数Kで除算することにより、静リーク量SLを取得する(数式(2)参照)。レール容積Vは、コモンレール20内の容量と、燃料吐出配管18内の容量と、インジェクタ23内の容積と、を合算したものである。また、体積弾性係数Kは、燃料の種類によって予め定められている。レール容積Vと、体積弾性係数Kは、予め記憶装置55に記憶されている。
SL=(dPc/dt)×V/K・・・(2)
ところで、燃料温度の違いにより燃料の粘性が変化するため、静リーク量SLは、燃料温度の違いにより増減する。すなわち、燃料温度が高い場合には、静リーク量SLが多くなり、低い場合には、静リーク量SLが少なくなる傾向がある。
そこで、ECU50は、温度センサ22により検出された燃料温度に基づき、静リーク量SLを補正している。具体的には、ECU50は、燃料温度に基づき、算出された静リーク量SLを補正して、予め決められた基準温度における静リーク量SLを算出(推定)する。
例えば、ECU50は、検出された燃料温度が基準温度よりも高い場合には、静リーク量SLを低くするように補正し、燃料温度が基準温度よりも低い場合には、静リーク量SLを多くするように補正する。補正方法は、燃料温度に応じた温度補正値を増減してもよいし、温度補正値を乗算してもよい。温度補正値は、燃料温度を引数としてマップ演算により算出されるように構成すればよい。
また、同様に、静リーク量SLは、静止状態の移行直後における(図3において時点T0)燃圧Pcの違いにより増減する。例えば、図3に示すように、静止状態に移行した直後の燃圧Pcが高い場合(実線で示す)、低い場合(破線で示す)と比較して、燃圧Pcが降下しやすくなる。つまり、図3においては、静止状態に移行した直後の燃圧Pcが高い場合の計測時間T2は、低い場合の計測時間T1と比較して、短くなる。
そこで、ECU50は、静止状態に移行した直後に検出された燃圧Pcに基づき、静リーク量SLを補正している。具体的には、ECU50は、静止状態に移行した直後に検出された燃圧Pcに基づき、算出された静リーク量SLを補正して、予め決められた基準燃圧における静リーク量SLを算出(推定)する。
例えば、ECU50は、静止状態に移行した直後に検出された燃圧Pcが基準燃圧よりも高い場合には、静リーク量SLを低くするように補正し、直後の燃圧Pcが低い場合には、静リーク量SLを多くするように補正する。補正方法は、検出された燃圧Pcに応じた燃圧補正値を増減してもよいし、燃圧補正値を乗算してもよい。燃料補正値は、静止状態に移行した直後に検出された燃圧Pcを引数としてマップ演算により算出されるように構成すればよい。
記憶部52としてのECU50は、算出された静リーク量SLを履歴として記憶装置55に記憶する。その際、インジェクタ23が使用開始されてからの累積使用時間ATも併せて(関連付けて)記憶する。累積使用時間ATは、インジェクタ23の使用中、ECU50により計測され、記憶装置55に記憶されている。インジェクタ23の使用中とは、例えば、イグニッションスイッチがオンである期間、又はエンジンが運転中である期間のことである。
なお、第1実施形態において、ECU50は、静リーク量SLの履歴として、インジェクタ23が初期状態である場合における静リーク量SLを示す初期履歴SL1を少なくとも記憶するのであれば、以降の静リーク量SLを記憶しなくてもよい。初期状態とは、累積使用時間ATが予め定められた時間以内である状態のことであり、例えば、累積使用時間ATがゼロ~24時間程度である状態である。なお、インジェクタ23を構成する摺動部材等の初期摩耗が完了するまでの状態を、初期状態としてもよい。また、初期履歴SL1は、初期状態におけるインジェクタ23の静リーク量SLのうち最初に記憶された履歴であることが望ましい。
閾値設定部53としてのECU50は、記憶装置55に記憶された静リーク量SLの履歴に基づき異常判定閾値Thを設定する。ところで、インジェクタ23には、個体差があり、初期状態においても静リーク量SLが異なる場合がある。このため、異常判定閾値Thを一律にすると、異常が適切に判定できない場合がある。そこで、ECU50は、初期履歴SL1を基準として、異常判定閾値Thを設定することとしている。
また、図4に示すように、インジェクタ23は経時劣化に伴い、静リーク量SLが増加する。すなわち、累積使用時間ATに応じて、静リーク量SLが増加する。このため、異常判定閾値Thを設定する際、経時劣化に基づく静リーク量SLの増加分である劣化リーク量DLを考慮する必要がある。図4において、劣化リーク量DLは、破線で示す初期履歴SL1からの静リーク量SLの増加分のことである。
ところで、劣化リーク量DLについても個体差があることが経験的にわかっている。そして、初期状態における静リーク量SL(すなわち、初期履歴SL1)に基づき、劣化リーク量DLが予測可能なことも経験的にわかっている。具体的には、図5に示すように、初期履歴SL1に応じて、劣化リーク量DLが変化する。
そこで、ECU50は、インジェクタ23の累積使用時間ATと、初期履歴SL1とを引数として、劣化リーク量DLを特定可能な適合マップ(マップデータ)を実験などにより取得し、記憶装置55に記憶している。ECU50は、記憶装置55に記憶された適合マップに基づき、マップ演算により、累積使用時間ATと初期履歴SL1とを引数として、劣化リーク量DLを特定する。このため、ECU50は、劣化量特定部59としての機能を備える。
そして、ECU50は、初期履歴SL1と、劣化リーク量DLと、マージンとしての所定値M1を合算して、異常判定閾値Thを設定する。所定値M1は、予め定められた一定値であるが、燃料の状態により変化させてもよい。例えば、燃料温度や静止状態に移行した直後に検出された燃圧Pcにより変化させてもよい。
異常判定部54としてのECU50は、リーク量算出部51により算出された静リーク量SLと、閾値設定部53により設定された異常判定閾値Thとの比較の結果に基づいて、異常の有無を判定する。つまり、ECU50は、静リーク量SLが異常判定閾値Thよりも多い場合、静リーク量SLに異常(又は異常の兆候)があるとして判定する。
次に、図6に基づき、異常判定処理の流れについて説明する。異常判定処理は、ECU50により所定周期ごとに実行される。
まず、ECU50は、燃料の噴射が停止された状態であって、且つ、燃料ポンプ11から燃料が吐出されていない静止状態であるか否かを判定する(ステップS101)。静止状態でない場合(ステップS101:NO)、ECU50は、異常判定処理を終了する。
静止状態である場合(ステップS101:YES)、ECU50は、燃圧Pcを取得する(ステップS102)。そして、ECU50は、取得した燃圧Pcに基づき、所定の圧力範囲(Pc2≦Pc≦Pc1)における燃圧Pcの低下傾向を取得する(ステップS103)。具体的には、ECU50は、第1圧力値Pc1から第2圧力値Pc2を減算した値を、計測時間Tにより除算することにより、燃圧Pcの低下傾向(dPc/dt)を取得する。
そして、ECU50は、取得した燃圧Pcの低下傾向(dPc/dt)、レール容積V、及び体積弾性係数Kに基づき、静リーク量SLを算出する(ステップS104)。また、ECU50は、温度センサ22により検出された燃料温度に基づき、ステップS104において算出された静リーク量SLを補正し、基準温度における静リーク量SLを取得する(ステップS105)。
また、ECU50は、静止状態の移行直後において検出された燃圧Pcに基づき、ステップS105において算出された静リーク量SLを補正し、基準圧力における静リーク量SLを取得する(ステップS106)。
次に、ECU50は、インジェクタ23が初期状態であるか否かを判定する(ステップS107)。具体的には、ECU50は、累積使用時間ATを記憶装置55から取得し、取得した累積使用時間ATがゼロ~24時間であるか否かを判定する。
この判定結果が肯定の場合、ECU50は、初期履歴SL1がすでに記憶されているか否かを判定する(ステップS108)。この判定結果が否定の場合、ECU50は、ステップS106において取得された静リーク量SLを、初期履歴SL1として記憶する(ステップS109)。そして、ECU50は、異常判定処理を終了する。
一方、ステップS107の判定結果が否定の場合、又はステップS108の判定結果が肯定の場合、ECU50は、初期履歴SL1を記憶装置55から取得する(ステップS110)。そして、ECU50は、累積使用時間AT及び初期履歴SL1に基づき、劣化リーク量DLを特定する(ステップS111)。つまり、ECU50は、マップ演算により、累積使用時間ATと初期履歴SL1とを引数として、劣化リーク量DLを特定する。
また、ECU50は、初期履歴SL1及び劣化リーク量DLに基づき、異常判定閾値Thを設定する(ステップS112)。具体的には、ECU50は、初期履歴SL1と、劣化リーク量DLと、マージンとしての所定値M1を合算して、異常判定閾値Thを設定する。
その後、ECU50は、ステップS106において取得した静リーク量SLが、異常判定閾値Thよりも多いか否かを判定する(ステップS113)。この判定結果が肯定の場合、ECU50は、静リーク量SLが異常である(又は異常の兆候がある)と判定し、異常に対応する処理を行う(ステップS114)。具体的には、警告ランプを点灯させるなどの報知を行わせる。一方、ステップS113の判定結果が否定の場合、ECU50は、異常がないとして、異常判定処理を終了する。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
ECU50は、記憶装置55に記憶された静リーク量SLの過去の履歴(初期履歴SL1)に基づき、異常判定閾値Thを設定する。そして、ECU50は、当該異常判定閾値Thと、ステップS106において算出された現在の静リーク量SLとを比較し、異常を判定する。これにより、インジェクタ23に個体差があったとしても、静リーク量SLの過去の履歴(初期履歴SL1)に基づき異常判定閾値Thを設定するため、異常判定閾値Thに、インジェクタ23の個体差が反映されて設定されることとなる。例えば、個体差により適正状態における静リーク量SLが多い場合には、異常判定閾値Thも多くなり、個体差により適正状態における静リーク量SLが少ない場合には、異常判定閾値Thも少なくなる。したがって、静リーク量SLが急に増加するような、異常の兆候が発生した場合であっても、個体差の影響を受けることなく、その兆候を事前に判定することができる。すなわち、インジェクタ23のリーク異常を適切に検知することができる。
インジェクタ23における個体差は、初期状態における静リーク量SLにおいても反映されている(含まれている)。そこで、ECU50は、静リーク量SLの履歴として、インジェクタ23が初期状態である場合における静リーク量SLを示す初期履歴SL1を記憶し、当該初期履歴SL1を基準として、異常判定閾値Thを設定することとした。これにより、個体差の影響を受けることなく、異常の兆候を適切に判定することができる。
インジェクタ23は、経時劣化すると、静リーク量SLが増加することが知られている。このため、異常判定を適切に行うためには、経時劣化に基づく静リーク量SLの増加分である劣化リーク量DLを考慮する必要がある。ところで、劣化リーク量DLについても個体差がある。より詳しくは、初期状態における静リーク量SLに応じて、劣化リーク量DLが異なっている。そこで、ECU50は、劣化リーク量DLを、初期履歴SL1に基づき特定し、特定した劣化リーク量DL及び初期履歴SL1に基づいて、異常判定閾値Thを設定することとした。これにより、インジェクタ23に個体差があっても、劣化リーク量DLを適切に考慮して、異常を判定することができる。
ECU50は、燃料温度に基づき、静リーク量SLを補正して、基準温度における静リーク量SLを取得することとした。これにより、燃料温度の違いに基づき静リーク量SLの変化があったとしても、当該変化を補正し、適切に異常を判定することができる。
ECU50は、静止状態に移行した直後に検出された燃圧Pcに基づき、静リーク量SLを補正することとした。これにより、静止状態に移行した直後の燃圧Pcの違いに基づき静リーク量SLの変化があったとしても、当該変化を補正し、適切に異常を判定することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態とは異常判定閾値Thの設定方法が異なる。第1実施形態とは異なる部分を中心に説明する。なお、以下では、各実施形態で互いに同一又は均等である部分には同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
第2実施形態において、記憶部52としてのECU50は、静リーク量SLを履歴として、時系列で複数の静リーク量SLを記憶する。具体的には、ECU50は、静リーク量SLが算出されるごとに、履歴として記憶装置55に記憶する。その際、インジェクタ23が使用開始されてからの累積使用時間ATも併せて記憶する。
第2実施形態において、閾値設定部53としてのECU50は、記憶装置55において時系列で記憶された複数の静リーク量SLに基づき、異常判定閾値Thを設定する。
詳しく説明すると、時系列で記憶されている複数の静リーク量SLに基づき、今後どのような静リーク量SLとなるかについてある程度予測することができる。例えば、時系列で記憶されている複数の静リーク量SLがほぼ一定であれば、リーク異常が発生しない限り、同様な静リーク量SLが算出されると考えられる。
そこで、ECU50は、時系列で記憶された複数の静リーク量SLに基づき、静リーク量SLの傾向を把握する。例えば、ECU50は、静リーク量SLの傾向として、時系列で記憶された複数の静リーク量SLの平均を取得する。なお、複数の静リーク量SLは、最新の静リーク量SLを含み、時系列で連続した静リーク量SLであることが望ましい。
そして、ECU50は、取得した静リーク量SLの傾向に基づき、異常判定閾値Thを設定する。例えば、ECU50は、時系列で記憶された複数の静リーク量SLの平均値に、マージンとしての所定値M2を加算して、異常判定閾値Thを設定する。
この異常判定閾値Thは、同一のインジェクタ23から検出された過去の履歴に基づき設定されているため、インジェクタ23の個体差が反映されていることとなる。なお、所定値M2は、予め定められた一定値であるが、燃料の状態により変化させてもよい。例えば、燃料温度や静止状態移行直後に検出された燃圧Pcにより変化させてもよい。
ところで、図7に示すように、静リーク量SLは、インジェクタ23の使用開始から所定期間が経過するまで増加し、所定期間経過後、所定範囲内で収束するような変化傾向を有する。この変化傾向は、いずれのインジェクタ23であっても、個体差に関係なく存在する。なお、所定期間が経過するまで静リーク量SLが急増するのは、インジェクタ23の摺動部材等の初期摩耗によるものであると考えられる。このような急増する期間において取得された静リーク量SLに基づき異常判定閾値Thを設定する場合、収束している期間において取得された静リーク量SLに基づき設定する場合と比較して、誤差が大きくなりやすい。
そこで、第2実施形態において、ECU50は、インジェクタ23が使用開始されてから予め定めた所定期間の経過後に時系列で記憶された複数の静リーク量に基づき異常判定閾値Thを設定することとした。つまり、ECU50は、所定期間の経過後に記憶された静リーク量であって、時系列で記憶された複数の静リーク量に基づいて、異常判定閾値Thを設定することとした。
なお、所定期間は、インジェクタ23の使用開始後において静リーク量が増加し、その後収束するまでの期間として定められており、所定期間が経過したか否かは、以下に説明する任意の方法で判定すればよい。
例えば、ECU50は、1又は複数の静リーク量SLが、予め決められた範囲内に存在している場合、所定期間が経過したと判定してもよい。あるいは、複数の静リーク量SLの平均値が、予め決められた範囲内に存在している場合、ECU50は、所定期間が経過したと判定してもよい。
また、収束後(初期摩耗完了後)における静リーク量SLには、個体差があり、その個体差は、初期履歴SL1において反映されている。そこで、例えば、ECU50は、初期履歴SL1に応じて適合マップなどを参照して設定された所定範囲内に、1又は複数の静リーク量SLが存在する場合に、所定期間を経過したと判定してもよい。あるいは、複数の静リーク量SLの平均値が、初期履歴SL1に応じて設定された所定範囲内に存在している場合、ECU50は、所定期間が経過したと判定してもよい。
また、例えば、ECU50は、最新の静リーク量SLを含む複数の静リーク量SLのうち、最小値と最大値との差が、予め決められた範囲内であるのであれば、所定期間を経過したと判定してもよい。
また、例えば、ECU50は、インジェクタ23の使用開始からの累積使用時間ATが所定時間経過したか否かに基づき、所定期間が経過したか否かを判定してもよい。所定時間は、予め決められた時間でもよい。または、初期摩耗が完了するまでの時間に個体差があることを考慮して、初期履歴SL1に基づき適合マップなどを参照して設定される時間を、所定時間としてもよい。
また、例えば、ECU50は、複数の静リーク量SLから算出される近似線の傾きに基づいて、所定期間が経過したか否かを判定してもよい。つまり、近似線の傾きが、所定の傾きであるか否かによって、判定してもよい。ECU50は、近似線を算出する場合、複数の静リーク量SLに最も近い位置を通る直線を最小二乗法といった周知の線形補間演算を用いて算出すればよい。
なお、所定期間が経過したか否かについて判定する際に利用される1又は静リーク量SLは、最新の静リーク量SL、又は最新の静リーク量SLを含む時系列で連続した複数の静リーク量SLであることが望ましい。また、本実施形態では、所定期間経過前においては、リーク異常を判定しないこととしている。
次に、図8に基づき、第2実施形態における異常判定処理の流れについて説明する。異常判定処理は、ECU50により所定周期ごとに実行される。なお、ステップS101~ステップS106は、第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
ステップS106の処理後、ECU50は、ステップS106で算出された静リーク量SLを履歴として記憶装置55に記憶する(ステップS201)。その際、インジェクタ23が使用開始されてからの累積使用時間ATも併せて(関連付けて)記憶する。
次に、ECU50は、インジェクタ23が使用開始されてから予め定めた所定期間が経過したか否かを判定する(ステップS202)。
ステップS202の判定結果が否定の場合、異常判定処理を終了する。一方、ステップS202の判定結果が肯定の場合、ECU50は、所定期間経過後において時系列で取得された複数の静リーク量SLの履歴に基づき、異常判定閾値Thを設定する(ステップS203)。
ステップS203において、ECU50は、まず、所定期間経過後において取得された静リーク量SLのうち、時系列で連続して記憶された複数(例えば3つ)の静リーク量SLの平均値を算出する。そして、ECU50は、当該平均値にマージンとしての所定値M2を加算して、異常判定閾値Thを設定する。上記複数の静リーク量SLは、最新の静リーク量SLを含む、時系列で連続した複数の静リーク量SLであることが望ましい。本実施形態では、1~3周期前に算出された3つの静リーク量SLを採用している。
その後、ECU50は、ステップS106において取得した静リーク量SLが、異常判定閾値Thよりも多いか否かを判定する(ステップS204)。
この判定結果が肯定の場合、ECU50は、異常である(又は異常の兆候がある)と判定し、異常に対応する処理を行う(ステップS205)。具体的には、警告ランプを点灯させるなどの報知を行わせる。一方、ステップS205の判定結果が否定の場合、ECU50は、異常がないとして、異常判定処理を終了する。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
時系列で記憶された複数の静リーク量SLから、静リーク量SLがどのように変化するかについての変化傾向を認識(または予測)することができる。そして、同一のインジェクタ23から検出された静リーク量SLであるならば、個体差を考える必要ない。すなわち、過去の履歴には個体差が反映されているため、ECU50は、複数の静リーク量SLから把握できる変化傾向に基づき異常判定閾値Thを設定することにより、個体差に関わらず、異常を適切に判定することができる。つまり、静リーク量SLが急に増加するような、異常の兆候が発生した場合であっても、個体差の影響を受けることなく、異常の兆候を適切に判定することができる。
インジェクタ23の静リーク量SLは、使用開始後、インジェクタ23の摺動部材等の初期摩耗が完了するまで増加しやすい。その一方、静リーク量SLは、初期摩耗が完了した後、所定の範囲内に収束する。このため、初期摩耗が終了する前における履歴に基づいて変化傾向を予測すると、誤判定が生じやすい。そこで、静リーク量SLが収束した後、すなわち、初期摩耗が終了した後の履歴に基づき、異常判定閾値Thを設定することとした。具体的には、ECU50は、インジェクタ23が使用開始されてから予め定めた所定期間が経過したか否かを判定し、所定期間が経過した場合、それ以降の履歴に基づき、異常判定閾値Thを設定することとした。これにより、初期摩耗に基づく静リーク量SLの急増が生じた場合であっても、異常が発生したと誤判定することを防止できる。
(他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されず、例えば以下のように実施してもよい。なお、以下では、各実施形態で互いに同一又は均等である部分には同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
・上記実施形態において、燃料の状態(燃料温度又は燃圧Pc)に基づき静リーク量SLの補正を行ったが、行わなくてもよい。すなわち、燃料温度に基づき、静リーク量SLを補正しなくてもよい。同様に、上記実施形態において、静止状態への移行直後の燃圧Pcに基づき、静リーク量SLを補正しなくてもよい。
・上記第2実施形態において、異常判定閾値Thを設定する際、複数の静リーク量SLの平均値に基づいて設定したが、複数の静リーク量SLから特定される近似線又はその傾きに基づき設定してもよい。すなわち、時系列で記憶された複数の静リーク量SLから特定される近似線またはその傾きに基づき、今回の静リーク量SLを予測し、予測した静リーク量SLにマージンとしての所定値M2を加算して、異常判定閾値Thを設定してもよい。ECU50は、近似線を算出する場合、複数の静リーク量SLに最も近い位置を通る直線を最小二乗法といった周知の線形補間演算を用いて算出すればよい。
・上記第2実施形態では、インジェクタ23が使用開始されてから予め定めた所定期間が経過した後において、異常判定を行ったが、所定期間が経過する前においても異常判定を行ってもよい。すなわち、ステップS202の処理を省略してもよい。この場合、ECU50は、ステップS203では、時系列で記憶された複数の静リーク量SLの履歴に基づき、異常判定閾値Thを設定すればよい。その際、最新の静リーク量SLを含む、時系列で連続した複数の静リーク量SLの履歴であることが望ましい。
ところで、第2実施形態において述べたように、インジェクタ23が使用開始されてから予め定めた所定期間が経過する前においては、初期摩耗により静リーク量SLが急増する可能性がある。このため、所定期間が経過する前においては、所定期間経過後と比較して、異常判定閾値Thを設定するために参照する静リーク量SLを多くすることが望ましい。例えば、所定期間が経過する後において3つの静リーク量SLの履歴に基づき異常判定閾値Thを設定するのであれば、4つ以上の静リーク量SLの履歴に基づき、異常判定閾値Thを設定することが望ましい。このようにすれば、静リーク量SLの傾向をより正確に把握することができ、初期摩耗による静リーク量SLの急増に基づく、誤判定を抑制することができる。
・上記第2実施形態において、インジェクタ23が使用開始されてから予め定めた所定期間が経過する前に異常判定を行う場合、第1実施形態と同様に、初期履歴SL1に基づいて設定された異常判定閾値Thを利用して異常判定を行ってもよい。すなわち、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせてもよい。
具体的には、ECU50は、ステップS202の判定結果が否定の場合、第1実施形態におけるステップS107以降の処理を実施し、ステップS202の判定結果が肯定の場合、第2実施形態におけるステップS203以降の処理を実施すればよい。このようにすれば、初期摩耗による静リーク量SLの急増に基づく、誤判定を抑制することができる。
・上記第2実施形態において、所定期間が経過する前において、算出された静リーク量SLを、履歴として記憶しなくてもよい。少なくても所定期間の経過後において履歴が記憶されていればよい。
・上記実施形態において、複数回連続して異常が判定された場合、リーク異常ありと判定してもよい。
・上記第2実施形態では、第1実施形態と比較して静リーク量SLがわずかに変化した場合であってもその異常を判定することができる。例えば、異常な燃料が使用された場合でも、その旨を検出可能となっている。そこで、ECU50は、1又は複数回連続して異常が判定された後、異常が判定されなくなった場合、異常な燃料が使用されたと判断し、その旨を報知してもよい。
10…燃料タンク、11…燃料ポンプ、20…コモンレール、21…燃圧センサ、23…インジェクタ、50…ECU、51…リーク量算出部、52…記憶部、53…閾値設定部、54…異常判定部。

Claims (7)

  1. 燃料タンク(10)の燃料を高圧化し吐出する燃料ポンプ(11)と、
    前記燃料ポンプから吐出された燃料を蓄えるコモンレール(20)と、
    前記コモンレールに蓄圧された燃料をエンジンの気筒内に噴射する燃料噴射弁(23)と、
    前記コモンレール内の燃圧を検出する燃圧センサ(21)と、を備える燃料噴射装置に適用され、
    燃料の噴射が停止された状態であって、且つ、前記燃料ポンプから燃料が吐出されていない静止状態における前記燃料噴射弁からの燃料リーク量である静リーク量を、前記燃圧センサによる燃圧の検出値に基づいて算出するリーク量算出部(51)と、
    前記静リーク量の履歴を記憶する記憶部(52)と、
    前記記憶部により記憶された前記静リーク量の履歴に基づき異常判定閾値を設定する閾値設定部(53)と、
    前記リーク量算出部により算出された前記静リーク量と前記異常判定閾値との比較の結果に基づいて異常の有無を判定する異常判定部(54)と、
    を備える制御装置(50)。
  2. 前記記憶部は、前記静リーク量の履歴として、前記燃料噴射弁が初期状態である場合における静リーク量を示す初期履歴を記憶し、
    前記閾値設定部は、前記初期履歴を基準として、前記異常判定閾値を設定する請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記燃料噴射弁の経時劣化に基づく劣化リーク量を、前記初期履歴に基づき特定する劣化量特定部(56)を備え、
    前記閾値設定部は、前記劣化量特定部により特定された劣化リーク量及び前記初期履歴に基づいて、前記異常判定閾値を設定する請求項2に記載の制御装置。
  4. 前記記憶部は、前記静リーク量の履歴として、時系列で複数の静リーク量を記憶し、
    前記閾値設定部は、時系列で記憶された複数の静リーク量に基づき、前記異常判定閾値を設定する請求項1~3のうちいずれか1項に記載の制御装置。
  5. 前記異常判定閾値は、前記燃料噴射弁が使用開始されてから予め定めた所定期間の経過後に時系列で記憶された複数の静リーク量に基づき設定され、
    前記所定期間は、前記燃料噴射弁の使用開始後において前記静リーク量が増加し、その後収束するまでの期間として定められている請求項4に記載の制御装置。
  6. 前記コモンレール内の燃料温度を検出する温度センサ(22)を備え、
    前記リーク量算出部は、前記温度センサにより検出された燃料温度に基づき、前記静リーク量を補正する請求項1~5のうちいずれか1項に記載の制御装置。
  7. 前記リーク量算出部は、前記燃圧センサにより検出された燃圧が所定の圧力範囲内である場合における燃圧の低下傾向を取得し、当該燃圧の低下傾向に基づき、前記静リーク量を算出するものであり、
    前記リーク量算出部は、前記静止状態に移行した直後に検出された燃圧に基づき、前記静リーク量を補正する請求項1~6のうちいずれか1項に記載の制御装置。
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