JP7006237B2 - 電力供給システムの保護装置を備えたシステム - Google Patents

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Description

本発明は、電力供給システムにおける短絡事故に対応するための保護技術に関し、特に、変換器(インバータ)を主電源とする離島又はコミュニティ等の電力系統における短絡事故に対応するための保護装置及びそれを備えたシステムに関する。
電力系統(以下、電力供給システムともいう)において、発電機から母線に供給された電圧は、相互に並列接続された複数の配電線(配電系統)を介して、種々の電力需要機器に供給される。特定の配電線に事故(短絡事故)が発生した場合、その配電線を母線から遮断しなければ、電力供給システム全体が停電してしまう。したがって、電力系統では、事故により配電線に大電流(以下、事故電流という)が流れたことを検出して、保護リレーにより事故区間を遮断して電力系統全体の停電を防止している。
図1を参照して、事故検出に関して具体的に示す。図1では、同期機である発電機900により生成された交流電圧が、トランス902により所定電圧に変換されて、母線904に供給される。母線904には、2つの配電系統である配電線910及び920が接続されている。配電線910及び920はそれぞれ、遮断器912及び922を介して、負荷918及び928に電力を供給する。
遮断器912及び922は、開閉器であり、電力線の電流を開閉するとともに、保護リレーと連携して事故電流(特に短絡事故電流)等を遮断することにより負荷側の機器及び設備を保護し、上流側への事故の波及を防止する。
配電線910には、変流器914及び過電流保護リレー916が配置されており、配電線920には、変流器924及び過電流保護リレー926が設けられている。配電線910を流れる電流値は変流器914により測定され、過電流保護リレー916に入力される。同様に、配電線920を流れる電流値は変流器924により測定され、過電流保護リレー926に入力される。
変流器914及び924は、一次電流を、これに比例する二次電流に変成する計器用変成器である。過電流保護リレー916及び926は、事故電流を検出すれば、信号を送信して遮断器を動作させる。
配電線910において、短絡事故930が発生すると、配電線910には、通常電流よりも大きい事故電流932が流れる。この事故電流932は変流器914により検出され、過電流保護リレー916は、遮断器912に遮断信号を出力する。遮断信号が入力された遮断器912は、配電線910が通電されないように遮断する。これにより、短絡事故が発生した配電線910を母線904から切り離すことができ、電力供給システム全体が停電してしまうことを防止することができる。
離島等では、ディーゼル発電機(同期機)により、独自に電力系統(以下、マイクログリッドともいう)が構成されている。この場合にも、上記のように、各配電線に過電流保護リレーを設けて事故を検出し、マイクログリッド全体の停電を防止している。
一方、電力供給システムにおいて次数間高調波を使用する技術が知られている。例えば、下記特許文献1には、母線に複数の配電系統が接続された電力供給システムに、複数の異なる次数の次数間高調波を注入し、各配電系統の需要家での電力需要状況を推定する方法が開示されている。この方法は、各配電系統に関して次数間高調波のアドミタンスを算出し、連立方程式を解くことにより容量性サセプタンスを含まない誘導性サセプタンスを算出し、それに基づき各需要家での電力需要状況を推定する。
また、下記特許文献2には、電力系統に、太陽光発電、風力発電等の分散型電源を接続した電力供給システムにおいて、系統電源喪失時の逆充電による単独運転を防止するために、次数間高調波を用いて単独運転を検出する技術が開示されている。
特開2012-228089号公報 特開2017-5859号公報
マイクログリッドで使用されているディーゼル発電機では燃料費が負担となっており、燃料費対策として、マイクログリッドに分散型電源を設け、蓄電された電気を、変換器(インバータ)を介して供給することが検討されている。変換器による電力供給システムの保護のために、同期機による電力系統で使用される過電流保護リレーをそのまま使用することが考えられる。
しかし、変換器による電源は、その仕様上、十分な事故電流の供給能力を持たないので、保護リレーを作動させることができない問題がある。電流供給能力は、同期機では通常、5~6pu(自己容量ベース)であるのに対して、変換器では、1.1~1.5pu(自己容量ベース)と小さい。変換器による電力供給システムにおいて、過電流保護リレーを使用するには、その仕様を変更して変換器の電流供給能力を大きくする必要があり、コスト高となる問題がある。
したがって、本発明は、変換器を用いた電力供給システムにおいて、変換器の仕様を変更することなく、配電系統での事故(短絡事故)を検出して電力供給システム全体を保護することができる保護装置及びそれを備えたシステムを提供することを目的とする。
本発明の第1の局面に係る保護装置は、電力供給システムの保護装置である。この保護装置は、所定周波数の交流電圧が供給される母線に、所定周波数よりも高い周波数を有する高調波を供給する高調波供給部と、母線に接続された配電線の電流値を測定する電流測定部と、母線又は配電線の電圧値を測定する電圧測定部と、電流測定部により測定された電流値の時間変動波形から、高調波のフーリエ係数である電流成分を抽出する電流成分抽出部と、電圧測定部により測定された電圧値の時間変動波形から、高調波のフーリエ係数である電圧成分を抽出する電圧成分抽出部と、電流成分抽出部により抽出された電流成分と電圧成分抽出部により抽出された電圧成分とから、インピーダンス又はアドミタンスを算出値として算出する算出部と、算出値に基づいて、配電線に短絡事故が発生したか否かを判定する判定部とを含む。
これにより、配電線上で短絡事故が発生したことを検出することができる。したがって、短絡事故が発生した配電線を母線から切り離す等の適切な処置を行なうことができる。
好ましくは、保護装置は、判定部により短絡事故が発生したと判定されたことを受けて、配電線と母線との接続を遮断する遮断部に、遮断信号を出力する出力部をさらに含む。
これにより、配電線上で短絡事故が発生した場合に、その配電線を母線から速やかに切り離し、電力供給システム全体が停電することを防止することができる。
より好ましくは、高調波は、振幅が一定の電流として供給される。
これにより、母線に供給される高調波により、母線の電圧(定電圧)が影響を受けることを抑制することができる。
さらに好ましくは、高調波供給部により母線に供給される高調波は、所定周波数の非整数倍の周波数を有する次数間高調波である。
これにより、既存の信号と干渉して減衰する等の影響を受けることなく、母線に供給した次数間高調波の電圧成分及び電流成分を、容易に且つ精度よく抽出することができる。
好ましくは、高調波供給部により母線に供給される高調波は、所定周波数の2倍又は4倍の周波数を有する高調波である。
これにより、既存の信号と干渉して減衰する等の影響を受けることなく、母線に供給した高調波の電圧成分及び電流成分を、容易に且つ精度よく抽出することができる。
本発明の第2の局面に係るシステムは、上記の保護装置と、直流電源から供給される直流電圧を交流電圧に変換し、当該交流電圧を母線に供給する変換部とを含む。
これにより、変換器を用いた既存の電力供給システムおいて、変換器の仕様を変更することなく、配電線上で短絡事故が発生したことを検出することができる。したがって、短絡事故が発生した配電線を母線から切り離す等の適切な処置を行なうことができる。
好ましくは、高調波供給部による機能は、変換部により実現される。変換部は、直流電圧から変換した交流電圧に、高調波を重畳する。
このように、変換部が直流から交流に電圧を変換するときに、交流電圧に高調波を重畳することにより、高調波を供給するための装置が不要となり、コストを低減することができる。
本発明によれば、配電線上で短絡事故が発生したことを検出することができる。したがって、短絡事故が発生した配電線を母線から速やかに切り離す等の適切な処置を行ない、電力供給システム全体が停電することを防止することができる。
また、事故電流の大きさに依存せずに、短絡事故の発生を検出することができるので、事故電流の供給能力が低い変換器を用いた電力供給システムにおいても、短絡事故を検出することができる。即ち、変換器に、同期機の発電機のように事故電流供給能力を持たせることなく、既存の変換器を用いた電力供給システムにおいて、短絡事故を検出することができる。したがって、コストの増大を抑制することができる。
また、高調波の注入は、変換器の制御にソフト的に組込むことで実現できるので、コストの増大を抑制することができる。
電力供給システムで使用される従来の保護技術を示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係る保護装置の構成を示すブロック図である。 図2の保護装置を含む電力供給システムの一例を示すブロック図である。 図3の電力供給システムにおける保護装置の動作を示すフローチャートである。 図2の保護装置を含む電力供給システムの別の例を示すブロック図である。 第1実施例のシミュレーションシステムの構成を示すブロック図である。 第1実施例のシミュレーション結果を示すグラフである。 第2実施例のシミュレーションシステムの構成を示すブロック図である。 第2実施例のシミュレーション結果(発電機から電力供給)を示すグラフである。 第2実施例のシミュレーション結果(インバータ電源から電力供給)を示すグラフである。 第2実施例のシミュレーション結果(インバータ電源から電力及び4次の高調波を供給)を示すグラフである。 第2実施例のシミュレーション結果(インバータ電源から電力及び2.5次の次数間高調波を供給)を示すグラフである。
以下の実施の形態では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
(保護装置の構成)
図2を参照して、本発明の実施の形態に係る保護装置100は、高調波生成部102及びリレー部106を含む。リレー部106は、高調波成分算出部110と、インピーダンス算出部112と、制御部114とを含む。保護装置100は、各部を作動させるための電源等(図示せず)をも含む。図2は最小構成を示しており、保護装置100は、後述するようにリレー部106を複数含み得る。
高調波生成部102は、母線に電力を供給している電源が出力している電力(電圧)の基本周波数(例えば、50Hz又は60Hz)よりも高い一定周波数の信号S0を生成して、電力系統の母線に供給する。高調波生成部102により、電源から母線に供給されている電圧に、高調波S0が重畳されることになる。
信号S0の周波数は、基本周波数の整数倍の周波数と、非整数倍の周波数とに分類することができる。このうち、基本周波数の整数倍の周波数の信号は、いわゆる高調波である。基本周波数の非整数倍の周波数の信号は、整数倍の高調波の間の信号であるので、次数間高調波と呼ばれ、その次数は正の非整数で表される。本願明細書では、次数間高調波の用語を使用する関係で、基本周波数の整数倍の周波数の信号を「整数次高調波」と記載し、次数間高調波と整数次高調波とを合わせて「高調波」と記載することとする。したがって、信号S0を高調波S0とも記載する。
電圧測定部104は、母線の電圧を測定する。電圧測定部104は、例えば、公知の計器用変圧器である。電流測定部108は、母線に接続された配電線の電流を測定する。電流測定部108は、例えば、公知の計器用変流器である。計器用変圧器及び計器用変流器は、高電圧回路の電圧及び電流を、計器及びリレー等で扱い易い電圧及び電流に変換する。測定された電圧値及び電流値は、高調波成分算出部110に入力される。
高調波成分算出部110は、電圧測定部104及び電流測定部108から入力されるアナログ信号である電圧値及び電流値を、所定の時間間隔でサンプリングして、デジタルの電圧データ及び電流データを取得し、所定の時間分のデータを、内部のバッファ等に一時記憶する。高調波成分算出部110は、記憶した電圧及び電流の時系列データ(以下、波形データともいう)に含まれる所定周波数の成分を算出する。成分を算出する対象の周波数は、高調波生成部102により供給されている高調波S0の周波数である。所定周波数成分の算出には、公知のフーリエ変換が使用され得る。
なお、整数次高調波に関しては、フーリエ変換の基本周波数として、電力の基本周波数を使用することができるが、次数が非整数である次数間高調波に関しては、電力の基本周波数とは異なる周波数を使用することが必要である。具体的には後述するが、次数間高調波の次数(非整数)が整数になるように、フーリエ変換の基本周波数を決定する。
高調波成分算出部110は、電圧及び電流のそれぞれに含まれる所定の高調波の周波数成分(以下、高調波成分という)を算出する度に、算出値をインピーダンス算出部112に出力する。
インピーダンス算出部112は、2つのデータ(電圧及び電流の高調波成分)が入力される度に、入力データからインピーダンスを算出して、算出値を制御部114に出力する。インピーダンス算出部112は、電圧の高調波成分を、電流の高調波成分で除して、インピーダンスを算出する。
制御部114は、CPU(Central Processing Unit)と、記憶部とを備えている。制御部114は、入力されたインピーダンスを記憶部に記憶し、その変化を観察して、インピーダンスが所定のしきい値以下になれば、短絡事故が発生したと判定し、遮断信号S3を出力する。これらの機能は、記憶部に予め記憶されたプログラムをCPUが読出して実行することにより実現される。遮断信号S3は、電流測定部108が配置された配電系統に設けられている遮断器に入力され、遮断器が作動する。
上記したように、高調波成分算出部110が算出の対象とする高調波成分は、高調波生成部102が供給している高調波S0である。したがって、高調波成分算出部110には、対象とする高調波の情報が必要である。図2では、高調波生成部102から出力されている高調波S0の周波数又は次数を表す情報S1が、高調波生成部102から制御部114に入力され、制御部114が、情報S1に対応する情報S2を高調波成分算出部110に出力する。情報S2は、情報S1と同じ情報であってもよく、異なる情報であってもよい。例えば、情報S1が高調波の次数を表す情報であれば、情報S2は、基本周波数及び情報S1から算出された高調波の周波数であってもよい。また、制御部114は、高調波生成部102が供給している高調波の情報を、高調波生成部102以外から取得してもよい。例えば、制御部114は、数値を入力するためのインターフェイスを備え、そのインターフェイスを介して、検出対象である高調波の次数又は周波数の入力を受付けるようになっていてもよい。
高調波成分算出部110及びインピーダンス算出部112は、それぞれ、ASIC等の専用の半導体装置として構成されていても、制御部114と同様に、汎用CPU及び記憶部により構成されていてもよい。高調波成分算出部110及びインピーダンス算出部112が汎用CPUにより実現されている場合には、所定のプログラムによりそれらの機能が実行される。
(保護装置を含むシステム)
図3を参照して、保護装置100を電力供給システムに適用する形態に関して説明する。ここでは、保護装置100は、図2のリレー部106に対応する2つのリレー部を含んでいるとする。
電力供給システムは、同期機である発電機200と、二次電池212及び変換器210から構成される分散型電源(一点鎖線で示す)と、スイッチ214とを備えている。スイッチ214の切替え動作により、発電機200又は変換器210がトランス202に接続される。発電機200又は変換器210から出力される交流電圧は、トランス202により所定電圧に変換されて、母線204に供給される。母線204には、2つの配電系統である第1配電線220及び第2配電線230が接続されている。第1配電線220及び第2配電線230はそれぞれ、第1遮断器222及び第2遮断器232を介して、第1負荷228及び第2負荷238に電力を供給する。
変換器210は、通常の交流電力に加えて、図2の高調波生成部102の機能を提供する。変換器210は、二次電池212の出力である直流電力(電圧)を交流に変換する公知のインバータである。変換器210は、例えば、内部にマイクロコントローラ等の制御装置を備え、公知の制御プログラム(例えば、PWM制御)を実行し、所定周波数(例えば、50Hz又は60Hz)の交流電力(以下、基準電力ともいう)を生成する。したがって、インバータの制御プログラムを変更することにより、変換器210は、所定の振幅及び所定の周波数を有する高調波信号を生成して、基本電力に重畳させて出力することができる。
変換器210が供給する基本電力は、通常、電圧源モード(定電圧)で供給されるので、高調波は電流源モード(定電流)で供給されることが好ましい。
第1配電線220には、第1変流器224及び第1の高調波リレー226が設けられ、第2配電線230には、第2変流器234及び第2の高調波リレー236が設けられている。第1配電線220を流れる電流値は、第1変流器224により測定され、第1の高調波リレー226に入力される。同様に、第2配電線230を流れる電流値は、第2変流器234により測定され、第2の高調波リレー236に入力される。
第1変流器224及び第2変流器234は、図2の電流測定部108に対応し、第1の高調波リレー226及び第2の高調波リレー236はそれぞれ、図2のリレー部106に対応する。第1変流器224及び第2変流器234により測定される電流には、変換器210から供給されている高調波の電流が含まれている。
計器用変圧器206は、母線204の電圧を測定して、測定値を第1の高調波リレー226及び第2の高調波リレー236に出力する。計器用変圧器206は、図2の電圧測定部104に対応する。
第1の高調波リレー226は、第1変流器224から入力される電流(波形データ)と計器用変圧器206から入力される電圧(波形データ)とに含まれる高調波成分をそれぞれ算出し、それらからインピーダンスを算出する。第1の高調波リレー226は、算出したインピーダンスの変化を観測する。短絡事故240が発生して事故電流242が流れると、インピーダンスが低下するので、第1の高調波リレー226は短絡事故を検出できる。
第1の高調波リレー226は、短絡事故を検出すると、第1遮断器222に遮断信号を出力する。第1遮断器222は、遮断信号を受けて、第1配電線220を母線204から切り離す。
第2の高調波リレー236及び第2遮断器232はそれぞれ、第1の高調波リレー226及び第1遮断器222と同様に動作する。
なお、図3では、2系統の配電線を示しているが、3系統以上の配電線が母線204に接続されていてもよい。各配電線に、遮断器及び高調波リレーが設けられる。
(短絡事故の検出処理)
以下に、図4を参照して、図3に示した電力供給システムにおいて、短絡事故を検出する処理に関して説明する。図4のプログラムは、第1の高調波リレー226及び第2の高調波リレー236のそれぞれにより実行される。上記したように、第1の高調波リレー226及び第2の高調波リレー236のそれぞれは、図2の制御部114に対応し、内部にCPU及び記憶部を含む。したがって、第1の高調波リレー226及び第2の高調波リレー236が実行する処理は、それぞれに含まれるCPUが、独立に実行する処理を意味する。ここでは、第1の高調波リレー226が実行する処理として説明する。
ステップ300において、第1の高調波リレー226は、計器用変圧器206及び第1変流器224から入力される電圧及び電流(アナログ)からデジタルデータを生成して、時系列データ(波形データ)として記憶する。
ステップ302において、第1の高調波リレー226は、ステップ300で記憶した時系列データの電圧及び電流のそれぞれから、変換器210から供給されている高調波の周波数成分(高調波成分)を算出する。ステップ300及び302の処理は、上記した図2の高調波成分算出部110の機能に対応する。
ステップ304において、第1の高調波リレー226は、ステップ302で算出された電圧の高調波成分を、電流の高調波成分で除して、インピーダンスを算出する。
ステップ306において、第1の高調波リレー226は、ステップ304で算出されたインピーダンスを所定のしきい値と比較する。インピーダンスがしきい値以下であると判定されると、制御はステップ308に移行する。そうでなければ、制御はステップ310に移行する。
ステップ308において、第1の高調波リレー226は、監視対象の第1配電線220において短絡事故が発生したと判定し、遮断信号を第1遮断器222に出力する。これにより、第1遮断器222が動作して、第1配電線220を母線204から切り離す。
ステップ310において、第1の高調波リレー226は、本プログラムの実行を終了する指示を受けたか否かを判定する。終了の指示は、例えば第1の高調波リレー226の電源をOFFすることにより成される。終了の指示を受けたと判定された場合、第1の高調波リレー226は、本プログラムを終了する。そうでなければ、制御はステップ300に戻り、上記した処理を繰返す。
以上により、第1の高調波リレー226は、第1配電線220に短絡事故240が発生した場合に、それを検知して、第1配電線220を母線204から切り離し、電力供給システム全体が停電することを防止することができる。
第2の高調波リレー236も図4のプログラムを実行する。第2の高調波リレー236は、第2配電線230に短絡事故が発生した場合に、それを検知して、第2配電線230を母線204から切り離し、電力供給システム全体が停電することを防止することができる。
第1の高調波リレー226は、短絡事故によって第1配電線220に流れる事故電流242の大きさに依存せずに、短絡事故の発生を検出することができる。第2の高調波リレー236も同様に、短絡事故によって第2配電線230に流れる事故電流の大きさに依存せずに、短絡事故の発生を検出することができる。したがって、既存の変換器を用いた分散型電源は、同期機の電源よりも事故電流の供給能力は低いが、その場合にも、短絡事故を検出することができる。
高調波216の次数は、任意の正の整数又は非整数とすることができる。電力機器には、リアクタンス成分(インダクタ及び容量)が含まれているので、特定の周波数よりも高い周波数の信号を供給すれば、電圧をある程度の大きさで測定することができる。したがって、母線に供給した高調波S0の電圧成分及び電流成分を抽出することができ、短絡事故の発生を検出することができる。
次数間高調波は、通常、電力システムにはほとんど存在しないので、上記した、母線に供給する高調波S0を、次数間高調波とすることにより、短絡事故を容易に且つ精度よく検出することができる。例えば、2次~3次の間のもの、即ち次数nが2<n<3のものを使用することができる。
また、高調波S0は、次数間高調波に限らず、整数次高調波であってもよい。通常、電力システムにおいては、基本周波数の奇数倍の周波数の高調波(奇数次の高調波)は、無視できない程度の大きさで存在するが、基本周波数の偶数倍の周波数の高調波(偶数次の高調波)は少ない(振幅が小さい)。したがって、偶数次の高調波を使用すれば、母線に既に存在している信号と干渉して減衰する等の影響を受けることなく、母線に供給した高調波S0の電圧成分及び電流成分を抽出することができ、短絡事故の発生を検出することができる。例えば、4次又は2次の高調波を使用することができる。
しきい値は、各電力系統に応じて、短絡事故が発生しておらず通常電力が供給されている状態でのインピーダンスと明確に区別でき、それよりも小さい適切な値に設定されていればよく、任意である。即ち、第1の高調波リレー226のしきい値と第2の高調波リレー236のしきい値とは、必ずしも同じ値でなくてもよい。しきい値を変更可能に構成されていてもよい。
上記では、変換器210が高調波生成部102の機能を有する場合を説明したがこれに限定されない。例えば、図5に示すように、高調波生成部を専用の装置である高調波供給装置218として実現してもよい。
図5が図3と異なる点は、変換器210が高調波を供給する機能を有しておらず、高調波216は高調波供給装置218により母線204に供給されることだけである。したがって、重複説明を繰返さない。高調波供給装置218は、例えばインバータにより実現される。図5の電力供給システムにおいても、第1の高調波リレー226及び第2の高調波リレー236により、それぞれの監視対象である第1配電線220及び第2配電線230に短絡事故が発生した場合に、それを検出して、対応する第1遮断器222及び第2遮断器232を作動させることができる。
上記では、計器用変圧器206により測定された電圧値を使用する場合を説明したが、これに限定されない。各配電線の電圧を測定し、その電圧値に含まれる高調波成分を算出し、それを用いてインピーダンスを算出してもよい。
上記では、インピーダンスを算出する場合を説明したが、これに限定されない。電圧及び電流の高調波信号成分から得られる物理量であって、短絡事故により変化するものであればよい。例えば、電圧及び電流の高調波信号成分から算出したアドミタンスを、所定のしきい値と比較することにより、短絡事故を検出してもよい。
短絡事故の検出には、1つの次数の高調波を供給すればよいが、高調波は種々の目的で使用されるので、同じ電力供給システムにおいて、短絡事故の検出とは別の目的で高調波を使用することが考えられる。したがって、短絡事故の検出に使用する高調波の次数又は周波数を、任意の値に設定できることが好ましい。例えば、複数の高調波の候補の中から1つを選択できる構成になっていてもよい。
また、高調波の電圧及び電流の計測、並びにインピーダンスの算出の機能は、配電所(変電所)の既設の保護リレーに内蔵してもよい。
また、短絡事故を検出するための上記の高調波リレーを、既設のトリップシーケンスに追加してもよい。例えば、直列接続されたリレー及びトリップコイルにより構成される既存のトリップシーケンスにおいて、高調波リレーを既存のリレーに並列接続して、短絡事故を検出することができる。
なお、電力系統の供給電力は、2相電力及び3相電力の何れであってもよい。
上記では、変換器(インバータ)を用いた分散型電源による電力供給システムにおいて高調波リレーを適用する場合を説明したが、これに限定されない。同期機の発電機を用いた電力供給システムにおいて、保護リレーに代えて高調波リレーを適用することもできる。
以下に、次数間高調波に関するシミュレーション結果を示し、本発明の有効性を示す。図3のシステムでの動作をシミュレーションするために、公知のソフトウェアツール(オープンソースのScilab(登録商標)及びXcos)を用いて、図6のように各部品を配置した。
交流電源400は、実効値100V、基本周波数50Hzの交流電圧を出力する。交流電源400の出力電圧は、抵抗R1を介して出力される。抵抗R1は3Ωとした。
次数間高調波発生部402は、振幅0.1A、2.5次(周波数125Hz)の次数間高調波電流を出力する。次数間高調波発生部402の出力(電流)は、交流電源400の出力ラインに供給される。交流電源400から出力される電圧は2つの経路(以下、フィーダという)に供給される。抵抗R2が接続され、電流I1が流れるフィーダを「第1フィーダ」、抵抗R3が接続され、電流I2が流れるフィーダを「第2フィーダ」という。ここでは、抵抗R2及びR3は共に100Ωとした。
電圧計404は、交流電源400により抵抗R1を介して出力される電圧を測定し、測定値を出力する。電圧計404から出力される電圧信号Vsは、第1の次数間高調波成分抽出部408に入力される。電流計406は、各フィーダに接続され、各フィーダを流れる電流(I1、I2)を測定して出力する。電流計406から出力される電流信号(I1、I2)はそれぞれに対応する第2の次数間高調波成分抽出部410に入力される。
第1の次数間高調波成分抽出部408は、電圧信号Vsから所定の次数間高調波成分を抽出する。第1の次数間高調波成分抽出部408は、コサイン信号生成部412、2つの乗算部414、2つの時間積分部416、2つの遅延部418、2つの減算部420、2つの増幅部422、複素数生成部424、振幅生成部426、サイン信号生成部430、及び増幅部432から構成されている。コサイン信号生成部412は、所定の次数間高調波の周波数のコサイン波を生成する。サイン信号生成部430は、コサイン信号生成部412が生成するコサイン波と同じ周波数のサイン波を生成する。ここでは、上記したように、2.5次の次数間高調波(周波数125Hz)を用いた。
乗算部414から増幅部422までのブロックは、フーリエ係数を演算するためのものである。乗算部414は、2つの入力値を乗算し、その結果を出力する。時間積分部416は、入力を時間の関数として開始時刻から現在時刻までの積分を行なう。例えば、時間積分部416は、累積値(初期値は、例えば“0”)を記憶しており、入力値とΔt(入力のサンプリング間隔)との乗算結果を現在の累積値に加算し、その結果を、新たな累積値として上書きすると共に出力する。遅延部418は、入力値を、入力時刻から所定の遅延時間保持し、遅延時間の経過後に、保持していた値を出力する。減算部420は、プラス(+)の入力端の入力値から、マイナス(-)の入力端の入力値を減算し、その結果を出力する。増幅部422は、入力値を増幅し、その結果を出力する。
ここでは、フーリエ変換の基本周波数として25Hzを採用し、25Hzの周期をTとして、フーリエ係数を算出するために、遅延部418の遅延時間をTに設定し、増幅部422の増幅率を2/Tに設定した。これにより、増幅部422からは、次式で表されるフーリエ係数a(数値積分値)が出力される。
Figure 0007006237000001
Vs(t)は、電圧信号Vsが時間的に変化することを明示したものである。τは、任意の時刻を表す。時間積分部416が入力の時間積分を出力するので、時刻τにおいて減算部420から出力される値は、遅延時間Tに相当する期間(t=τ-T~τ)における乗算部414の出力の積分値となっている。
フーリエ係数の算出に使用する基本周波数として25Hzを採用したのは、次数間高調波を対象とするからである。任意の関数F(t)は、ωを基本周波数(角周波数)とする直交関数系cos(nωt),sin(nωt)(nは0以上の整数)で展開することができる。成分を算出する対象が次数間高調波である場合、次数が非整数であり、フーリエ係数の算出に使用する基本周波数として50Hzをそのまま使用することはできない。そこで、次数が整数となるように、フーリエ係数の算出に使用する基本周波数を25Hzとした。基本周波数50Hzの2.5次の周波数成分(125Hz)は、基本周波数25Hzの5次の成分(上式でn=5)に対応する。
複素数生成部424は、上側の入力端の入力値を実数部とし、下側の入力端の入力値を虚数部とする複素数を生成して出力する。振幅生成部426は、入力される複素数の振幅(絶対値)を算出して出力する。即ち、複素数a+jbを、Cejθ=C(cosθ+jsinθ)と表現する場合の振幅Cを、C=(a+b1/2により求める。増幅部432は、入力値を増幅し、その結果を出力する。増幅部432の増幅率は、1/100に設定した。
電圧信号Vsが、増幅部432に入力されると、所定の次数間高調波成分の実数部及び虚数部(フーリエ係数)が、増幅部422から出力される。コサイン信号生成部412により生成されたコサイン波を使用することにより(第1の次数間高調波成分抽出部408の上側の経路)、実数部が算出される。サイン信号生成部430により生成されたサイン波を使用することにより(第1の次数間高調波成分抽出部408の下側の経路)、虚数部が算出される。そして、複素数生成部424及び振幅生成部426により、所定の次数間高調波成分の振幅(電圧)が出力される。なお、第1の次数間高調波成分抽出部408の下側の経路に配置された増幅部422からの出力値は、次式で表されるフーリエ係数b(数値積分値)である。
Figure 0007006237000002
第2の次数間高調波成分抽出部410は、電流信号(I1又はI2)から所定の次数間高調波成分を抽出するためのものであり、第1の次数間高調波成分抽出部408と同様に構成されている。第2の次数間高調波成分抽出部410が第1の次数間高調波成分抽出部408と異なるのは、増幅部432が増幅部434で代替されているだけである。増幅部434の増幅率は、1/10に設定した。
第1フィーダの電流信号I1が、対応する増幅部434に入力されると、上記と同様に、所定の次数間高調波成分の実数部及び虚数部が、増幅部422から出力され、複素数生成部424及び振幅生成部426により、電流I1の次数間高調波成分の振幅が出力される。同様に、第2フィーダの電流信号I2が、対応する増幅部434に入力されると、対応する振幅生成部426から、電流I2の次数間高調波成分の振幅が出力される。
除算部436は、上側の入力端(「×」で示す)への入力値を、下側入力端(「÷」で示す)への入力値で除した値を出力する。上側の入力端に電圧Vsの次数間高調波成分が入力され、下側の入力端に第1フィーダの電流I1の次数間高調波成分が入力される除算部436は、インピーダンスZ1(=Vs/I1)を出力する。同様に、上側の入力端に電圧Vsの次数間高調波成分が入力され、下側の入力端に第2フィーダの電流I2の次数間高調波成分が入力される除算部436は、インピーダンスZ2(=Vs/I2)を出力する。
スイッチ450は、一端が第1フィーダに接続され、他端が抵抗R4を介して接地されている。抵抗R4は、1Ωに設定した。スイッチ450をオン(短絡)させることにより、第1フィーダに、短絡事故を発生させることができる。
信号モニタ部452は、入力値を時系列に波形として出力する。図6では、交流電源400の出力電圧に、次数間高調波が重畳された電圧Vsと、第1フィーダの電流I1と、第2フィーダの電流I2と、第1フィーダの次数間高調波成分のインピーダンスZ1と、第2フィーダの次数間高調波成分のインピーダンスZ2との各波形を出力するように設定されている。
信号モニタ部452により各波形を出力している状態で、所定のタイミングで、スイッチ450をオンさせて、第1フィーダに短絡事故を発生させた。その結果を図7に示す。
図7の5つのグラフにおいて、横軸は共通の時刻(秒)を表す。時刻t=0.5(秒)において、第1フィーダに短絡事故を発生させた。その結果、短絡事故を発生させた時刻(t=0.5)を境に、Vsが低下し、短絡事故が発生した第1フィーダに関して、電流I1が増大し(事故電流の発生)、インピーダンスZ1が速やかに略0Ωに減少した。第2フィーダの電流値I2及びインピーダンスZ2には、短絡事故を発生させた時刻の前後で変化は見られなかった。
インピーダンスZ1は短絡事故が発生すると速やかに減少し、0Ωになっており、通常の過電流保護リレーの動作時間(50ms以下)よりも短い時間で短絡事故を検出し、遮断器へ遮断信号を出力できる。
したがって、各フィーダの次数間高調波成分のインピーダンスを監視することにより、短絡事故が発生したことを検知することができる。即ち、インピーダンスの値が急激に減少して略0Ωになれば、そのフィーダにおいて短絡事故が発生したことが分かる。
なお、図7では、インピーダンスZ1及びZ2の値は、実際の値の1/10になっているが、短絡事故の検出には影響しない。これは、フーリエ変換の対象である電圧信号Vs並びに電流信号I1及びI2の増幅率が異なるためである(増幅部432の増幅率が1/100であるのに対して、増幅部434の増幅率は1/10)。
以下に、整数次高調波及び次数間高調波に関して行なったシミュレーション結果を示す。図3のシステムでの動作を確認するために、Mathworks社製の公知のソフトウェアツール(MATLAB(登録商標)及びSimulink(登録商標))を用いて、後述するようにコンポーネントを定義し、図8に示すように配置してシミュレーションを行なった。
発電機(同期機)500は、3相の交流電圧210V(周波数50Hz、電力200kW)を出力するとした。Breaker502は、発電機500の出力をON(通過)/OFF(遮断)するためのスイッチである。Xg508は、発電機500の初期過渡リアクタンスを表し、j0.14pu(自己容量ベース)とした。同期機のリアクタンスは起動後の時間経過に依存し、初期過渡リアクタンス、過渡リアクタンス、同期リアクタンス等で表される。シミュレーションでは、短絡事故時の発電機500の出力を観測するので、初期過渡リアクタンスのみを考慮した。
インバータ電源510は、発電機500と同様に、3相の交流電圧210V(周波数50Hz、電力200kW)を出力するとした。但し、短絡事故時にインバータ電源510が供給可能な電流の上限値は、定格の1.5倍とし、短絡事故時の電流供給能力を制限した。さらに、インバータ電源510は、整数次高調波(周波数200Hz)又は次数間高調波(周波数125Hz)の電流(1A)を出力可能とした。交流電圧の周波数50Hzを基本周波数として、周波数200Hzは4次の高調波(整数次高調波)であり、周波数125Hzは2.5次の高調波(次数間高調波)である。
Breaker512は、インバータ電源510の出力をON(通過)/OFF(遮断)するためのスイッチである。Xi518は、発電機500の出力の配電線にインバータ電源510の出力を接続して、インバータ電源510を発電機500と連系させるための連系リアクトルであり、j0.1pu(自己容量ベース)とした。
発電機500及びインバータ電源510の出力は、並列接続された配電線を介して抵抗負荷であるR負荷504及び514に供給されるようにした。R負荷504及び514は、いずれも100kW、1.0pu(自己容量ベース)である。それぞれの配電線上の波形(3相電圧、3相電流)をScope(A)506及びScope(B)516により、観測できるようにした。
Breaker522は、外部からの制御ライン520によりON/OFFが制御される。Breaker522の一方の3つの端子には、発電機500及びインバータ電源510の出力が入力され、他方の3つの端子は相互に接続されている。したがって、Breaker522をONさせると、3相の配電線に短絡事故が発生したことをシミュレーションできる。
図8の構成で、発電機500及びインバータ電源510を動作させ、Breaker502及びBreaker512をON/OFFさせた状態(R負荷504及び514に電力が供給された状態)で、Breaker522の制御ライン520にパルス幅0.1秒のパルス信号524を入力して、Scope(A)506及びScope(B)516で、電圧及び電流の変化を観測(シミュレーション)した結果を、図9~図12に示す。図9及び図10の各グラフにおいては、相互に120度位相が異なる3相の波形を全て表示している。各グラフの中央の0.1秒間は、短絡事故が発生している期間である。図9~図12において、上段(A)のグラフは、Scope(A)506での観測結果に対応し、下段(B)のグラフは、Scope(B)516での観測結果に対応する。
図9は、Breaker502をONし、Breaker512をOFFした場合の結果を示す。短絡事故時には、短絡事故が発生していない配電線には殆ど電流が流れず、短絡事故が発生した配電線には大きな電流が流れる。したがって、短絡事故時の電流供給能力が大きい分散電源(発電機)に関しては、過電流リレーにより短絡電流を遮断できることが分かる。
図10は、Breaker502をOFFし、Breaker512をONした場合の結果を示す。但し、インバータ電源510からは高調波を供給しなかった。短絡事故が発生した配電線には、短絡事故が発生していない配電線よりも大きな電流が流れるが、図9の上段の電流(発電機500からの電力供給時)と比べると非常に小さい。したがって、短絡事故時の電流供給能力が小さい分散電源(インバータ電源)に関しては、短絡時に過電流リレーが作動せず、短絡電流を遮断できないことが分かる。
図11及び図12は、図10と同様に、Breaker502をOFFし、Breaker512をONした場合の結果を示す。図10と異なり、インバータ電源510から高調波を出力した。即ち、図11は、インバータ電源510から整数次高調波(周波数200Hz)を出力した場合、図12は、インバータ電源510から次数間高調波(周波数125Hz)を出力した場合の結果である。図11及び図12のグラフは、Scope(A)506及びScope(B)516でそれぞれ観測された電圧波形及び電流波形から、供給した高調波成分をフーリエ変換により算出し、それぞれの配電線についてインピーダンスを算出した結果である。
図11及び図12から、整数次高調波(周波数200Hz)を供給した場合も、次数間高調波(周波数125Hz)を供給した場合も、短絡事故が発生していないときには配電線のインピーダンスは約0.44(Ω)であり、短絡事故時には、短絡事故が発生した配電線のインピーダンスは約0(Ω)になっている。したがって、高調波を供給し、その高調波成分のインピーダンスの大きさを判定することにより、短絡事故時の電流供給能力が低い分散電源(インバータ電源)に関しても、短絡事故が発生した配電線を検出することができ、検出結果に応じて配電線を遮断できることが分かる。
以上、実施の形態を説明することにより本発明を説明したが、上記した実施の形態は例示であって、本発明は上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
100 保護装置
102 高調波生成部
104 電圧測定部
106 リレー部
108 電流測定部
110 高調波成分算出部
112 インピーダンス算出部
114 制御部
200、900 発電機
202、902 トランス
204、904 母線
206、906 計器用変圧器
210 変換器
212 二次電池
214 スイッチ
216 高調波
218 高調波供給装置
220 第1配電線
222 第1遮断器
224 第1変流器
226 第1の高調波リレー
228 第1負荷
230 第2配電線
232 第2遮断器
234 第2変流器
236 第2の高調波リレー
238 第2負荷
240、930 短絡事故
242、932 事故電流
400 交流電源
402 次数間高調波発生部
404 電圧計
406 電流計
408 第1の次数間高調波成分抽出部
410 第2の次数間高調波成分抽出部
412 コサイン信号生成部
414 乗算部
416 時間積分部
418 遅延部
420 減算部
422、432、434 増幅部
424 複素数生成部
426 振幅生成部
430 サイン信号生成部
436 除算部
450 スイッチ
452 信号モニタ部
500 発電機
502、512、522 Breaker
504、514 R負荷
506 Scope(A)
508 Xg
510 インバータ電源
516 Scope(B)
518 Xi
520 制御ライン
524 パルス信号
910、920 配電線
912、922 遮断器
914、924 変流器
916、926 過電流保護リレー
918、928 負荷

Claims (4)

  1. 電力供給システムの保護装置と、
    直流電源から供給される直流電圧を交流電圧に変換し、当該交流電圧を所定周波数の交流電圧が供給される母線に供給する変換手段とを含み、
    前記保護装置は、
    前記母線に、前記所定周波数よりも高い周波数を有する高調波を供給する高調波供給手段と、
    前記母線に接続された配電線の電流値を測定する電流測定手段と、
    前記母線又は前記配電線の電圧値を測定する電圧測定手段と、
    前記電流測定手段により測定された前記電流値の時間変動波形から、前記高調波のフーリエ係数である電流成分を抽出する電流成分抽出手段と、
    前記電圧測定手段により測定された前記電圧値の時間変動波形から、前記高調波のフーリエ係数である電圧成分を抽出する電圧成分抽出手段と、
    前記電流成分抽出手段により抽出された前記電流成分と前記電圧成分抽出手段により抽出された前記電圧成分とから、インピーダンス又はアドミタンスを算出値として算出する算出手段と、
    前記算出値に基づいて、前記配電線に短絡事故が発生したか否かを判定する判定手段とを含み、
    前記高調波供給手段は、前記変換手段により実現され、
    前記変換手段は、前記直流電圧から変換した前記交流電圧に、前記高調波を重畳することを特徴とするシステム。
  2. 前記保護装置は、前記判定手段により前記短絡事故が発生したと判定されたことを受けて、前記配電線と前記母線との接続を遮断する遮断手段に、遮断信号を出力する出力手段をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記高調波は、振幅が一定の電流として供給されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のシステム。
  4. 前記高調波供給手段により前記母線に供給される前記高調波は、前記所定周波数の非整数倍の周波数を有する次数間高調波であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
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