JP7001000B2 - 粘着剤層及び積層体 - Google Patents
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Description
さらに低い透湿性が求められる装置において、満足できる透湿性ではないことが分かった。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
スチレン系ブロック共重合体はA-B-A型トリブロック共重合体であって、Aはスチレンを重合させたブロックであり、Bはエチレン、プロピレン及びブテンから選択される少なくとも1種を共重合させた熱可塑性エラストマーであり、
可塑剤が常温(23℃)において液体である、ポリブテン系化合物、ポリイソブチレン系化合物、ポリイソプレン系化合、パラフィン系又はナフテン系のシステムオイルから選ばれる脂肪族炭化水素であり、
下記物性群(1)、(2)を満たす、粘着剤層剤層。
物性群(1):23℃かつ周波数1Hzで測定される剪断貯蔵弾性率G’が1×106[Pa]以上であり、75℃かつ周波数1Hzで測定される剪断貯蔵弾性率G’が1×105[Pa]以上である。
物性群(2):前記粘着組成物のみからなる粘着剤層を100μmの厚みにした時のJIS Z 0208の「防湿包装材料の透過湿度試験方法」に準じて測定した透湿性が100g/m2・24hr以下である。
[2]前記粘着剤組成物がさらに1,2-ビニル基を有するジエン系重合体、分子内に反応性二重結合を少なくとも1つ有する単量体、及び重合開始剤を含有する[1]に記載の粘着剤層。
[3]1,2-ビニル基を有するジエン系重合体が、分子内に非共役ジエン構造を有する重合体である[2]に記載の粘着剤層。
[4]分子内に反応性二重結合を少なくとも1つ有する単量体が(メタ)アクリル酸エステルまたは芳香族系化合物である[2]または[3]に記載の粘着剤層。
[5]比誘電率が3.0以下である[1]~[4]のいずれかに記載の粘着剤層。
[6]層厚が5μm~200μmである[1]~[5]のいずれかに記載の粘着剤層。
[7][1]~[6]のいずれかに記載の粘着剤層を挟んで2枚の剥離シートが積層されてなり、前記2枚の剥離シートは前記粘着剤層との剥離力が互いに異なる積層体。
[8][1]~[6]のいずれかに記載の粘着剤層を挟んで一方の側に透明基材が積層され、他方の側に剥離シートが積層された積層体。
本発明は、スチレン系ブロック共重合体、粘着付与剤、可塑剤を含有する粘着剤組成物からなる粘着剤層であって、
スチレン系ブロック共重合体はA-B-A型トリブロック共重合体であって、Aはスチレンを重合させたブロックであり、Bはエチレン、プロピレン及びブテンから
選択される少なくとも1種を重合体させた熱可塑性エラストマーであり、
可塑剤が常温(23℃)において液体である、ポリブテン系化合物、ポリイソブチレン系化合物、ポリイソプレン系化合、パラフィン系又はナフテン系のシステムオイルから選ばれる脂肪族炭化水素であり、
下記物性群(1)、(2)を満たす、粘着剤層。
物性群(1):23℃かつ周波数1Hzで測定される剪断貯蔵弾性率G’が1×106[Pa]以上であり、75℃かつ周波数1Hzで測定される剪断貯蔵弾性率G’が1×105[Pa]以上である。
物性群(2):前記粘着剤組成物からなる粘着剤層を100μmの厚みにした時のJIS Z 0208の「防湿包装材料の透過湿度試験方法」に準じて測定した透湿性が100g/m2・24hr以下である。
通常、光学用途に用いられる粘着剤層を形成する際には、透明性に優れる架橋性アクリル重合体(ベースポリマー)が用いられている。比誘電率を低くするためには、このような架橋性アクリル重合体(ベースポリマー)の構造を変更することが検討されているが、架橋性アクリル重合体を用いる限り高硬度と低透湿性を兼ね備えることは困難であった。しかし、本発明者らは、鋭意検討の末、架橋性アクリル重合体(ベースポリマー)の構造を変更するのではなく、スチレン系ブロック共重合体をベースに使用することにより、粘着剤層の比誘電率を低下させることができ、かつ高硬度と低透湿性を良好にさせ得ることを見出した。このように、本発明は、スチレン系ブロック共重合体をベースに使用することにより、粘着剤層において、低い比誘電率と、高硬度且つ低透湿性を兼ね備えることに成功したものである。
なお、粘着剤層の比誘電率は、JIS C 2138に規定される方法で算出される値を用いる。
本発明では、粘着剤層が物性群(1)を満たす。
物性群(1):23℃かつ周波数1Hzで測定される剪断貯蔵弾性率G’が1×106[Pa]以上であり、75℃かつ周波数1Hzで測定される剪断貯蔵弾性率G’が1×105[Pa]以上である。
粘着剤層が23℃かつ周波数1Hzで測定される剪断貯蔵弾性率G’は2.0×106[Pa]以上であることが好ましく、3.0×106[Pa]以上であることがより好ましい。粘着剤層の23℃かつ周波数1Hzで測定される剪断貯蔵弾性率G’の上限値は特に制限はなく、例えば1.0×108[Pa]以下にすることができる。
粘着剤層が75℃かつ周波数1Hzで測定される剪断貯蔵弾性率G’は2.0×105[Pa]以上であることが好ましく、3.0×105[Pa]以上であることがより好ましい。粘着剤層が75℃かつ周波数1Hzで測定される剪断貯蔵弾性率G’の上限値は特に制限はなく、例えば1.0×108[Pa]以下にすることができる。
粘着剤層の剪断貯蔵弾性率G’が上記の範囲の場合、変形などが生じにくく、押痕が目立つという問題が生じない。なお、押痕が目立つ問題は、PETフィルム/粘着剤層/ガラスの構成の積層体を作製してPETフィルム側を上にして水平面に置き、PETフィルムの上に球状の錘を一定時間載せて押痕が付くかつかないかで評価することができる。可塑剤の量や種類の調整、硬化可能な成分の添加(単量体と開始剤の添加など)により上記の範囲に貯蔵弾性率を調整する事ができる。
本発明では、粘着剤層が物性群(2)を満たす。
物性群(2):粘着剤層を100μmの厚みにした時のJIS Z 0208の「防湿包装材料の透過湿度試験方法」に準じて測定した透湿性が100g/m2・24hr以下である。
粘着剤層を100μmの厚みにした時のJIS Z 0208の「防湿包装材料の透過湿度試験方法」に準じて測定した透湿性が80g/m2・24hr以下であることがより好ましく、50g/m2・24hr以下であることがより好ましい。透湿性の下限値は特に無いが、0.5g/m2・24hrにすることができる。
粘着剤層の透湿性が上記範囲であれば耐湿性のない装置においてもタッチパネルや画像表示装置が誤作動する又作動しなくなる等の問題が生じることがない。なお、耐湿性のない装置に問題が生じるかどうかの代替評価として、タッチパネルなどの透明導電性フィルムの導電層として用いられるITO(錫ドープ酸化インジウム)の腐食性(導電性の喪失の有無)を確認することで評価が可能である。
本発明の粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、スチレン系ブロック共重合体を含有する。スチレン系ブロック共重合体としては、表示装置の視認性を低下させない程度の透明性を有するものが好ましい。
なお、スチレンを重合させたブロックは、スチレンを主の構成成分としたブロックであればよく、エチレン等の他の成分を含んでいてもよい。スチレンを重合させたブロックは、スチレン由来の成分を90質量%以上含むことが好ましく、95質量%以上含むことがより好ましい。また、エチレン、プロピレン及びブテンから選択される少なくとも1種を重合させたブロックについても、同様に他の構成成分を含んでいてもよい。
このようにBに2種のブロックを含む例としてはスチレン-(エチレン-プロピレン)-スチレン型ブロック共重合体(SEPS)、スチレン-(エチレン-ブチレン)-スチレン型ブロック共重合体(SEBS)等が挙げられる。これらのスチレン系ブロック共重合体は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
またスチレン系ブロック共重合体は、A-B型ジブロック共重合体を併用し、A-B-A型トリブロック共重合体とA-B型ジブロック共重合体の混合物を用いても良い。
その場合のA-B-A型トリブロック共重合体100質量部に対するA-B型ジブロック共重合体の配合量は0~50質量部、好ましくは0~30質量部が良い。この範囲になれば所望の硬さを得ることが出来る。
mは、スチレン系ブロック共重合体の分子量から算出することができる。
mは、スチレン系ブロック共重合体の分子量から算出することができる。
テックP1500、P2000およびJT83X(上記のタフテックシリーズは旭化成社製)などを使用することもできる。
スチレン系ブロック共重合体の含有量が上記の範囲にあれば所望の硬度を得ることが出来る。
本発明の粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、粘着付与剤を含有する。粘着付与剤としては芳香族系の重合体が好ましい。即ち芳香族ビニル単量体から合成される重合体が好ましい。
本発明の粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、可塑剤を含有する。可塑剤としては常温(20℃)において液体である、ポリブテン系化合物、ポリイソブチレン系化合物、ポリイソプレン系化合、パラフィン系又はナフテン系のシステムオイルから選ばれる脂肪族炭化水素であることが好ましい。可塑剤が常温(20℃)で液状であることは、20℃で測定したB型粘度計による粘度が30,000mPa・s以下であることを言う。なお、可塑剤の粘度は50~30,000mPa・sであることが好ましく、100~20,000mPa・sであることがより好ましい。
可塑剤の含有量は、用いるスチレン系ブロック共重合体の分子量などによっても異なるが、スチレン系ブロック共重合体100質量部に対して、10~90質量部であること
が好ましく、15~80質量部であることがより好ましく、15~70質量部であることがさらに好ましく、20~60質量部であることが特に好ましい。
本発明の粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、1,2-ビニル基を有するジエン系重合体を含有してもよい。1,2-ビニル基を有するジエン系重合体の数平均分子量は250~15000である。1,2-ビニル基を有するジエン系重合体を配合する場合は後述の分子内に反応性二重結合を少なくとも1つ有する単量体と重合開始剤を同時に配合することが好ましい。
なお、ここで言う1,2-ビニル結合量(1,2-ビニル基比率)とはジエン系重合体全体の分子量(数平均分子量)に対する1,2-ビニル構造の占める割合である。すなわちビニル基比率は、ジエン系重合体の数平均分子量をMd、ジエン系重合体中の1,2-ビニル基含有ユニットの分子量をMvとしたときに下記式で算出される。
(ビニル基比率%)=Mv÷Md×100
なお、ビニル基含有ユニットの分子量をMsとすると、以下の関係が成り立つ。
(ジエン系重合体の1分子鎖あたりの1,2-ビニル基の個数)=Md×(1,2-ビニル基比率)÷Ms
なお、ジエン系重合体は1種類単独で含んでいてもよく、構造や数平均分子量等が異なる2種類以上を含んでいてもよい。
また、ジエン系重合体は重合により製造することが出来る。その製造方法は、特に限定されず、通常用いられる重合方法から適宜選択できる。重合方法としては、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等が挙げられる。
本発明の粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、分子内に反応性二重結合を少なくとも1つ有する単量体を配合しても良い。単量体を配合する場合は同時に後述の重合開始剤を配合し硬化させる工程を設ける必要がある。硬化させる工程は、被着体に貼合する前でも貼合した後でも良い。分子内に反応性二重結合を少なくとも1つ有する単量体としては1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
単官能単量体として、市販品を使用できる。市販品の例としては、イソステアリルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、ISTA)、イソボルニルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、IBXA)等が挙げられる。
分子内に反応性二重結合を少なくとも1つ有する単量体のうち、分子内に反応性二重結合を2つ以上有する単量体(以下、「多官能単量体」とする)としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクレート、プロポキシ化ビスフェノールAのジアクリレート、ビスフェノールFジグリシジルエーテルのジアクレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレート等が挙げられる。
多官能単量体として、市販品を使用できる。市販品の例としては、東亞合成社製、二官能モノマーM211B(ビスフェノールA エチレンオキサイド変性ジアクリレート)、東亞合成社製、二官能モノマーM08(ビスフェノールF エチレンオキサイド変性ジアクリレート)、東亞合成社製、二官能モノマーM240(ポリエチレングリコールジアクリレート)、新中村化学社製、二官能モノマーA-BPP-3(プロポキシ化ビスフェノールAジアクリレート)、東亞合成社製、三官能モノマーM321(トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレート℃)等が挙げられる。
分子内に反応性二重結合を少なくとも1つ有する単量体のうち、スチレン系ブロック共重合体との相溶性からは、イソステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、スチレン、α-メチルスチレンが特に好ましい。
本発明の粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、前述の1,2-ビニル基を有するジエン系重合体及び/又は分子内に反応性二重結合を少なくとも1つ有する単量体を配合する場合は、重合開始剤を含有する。重合開始剤は、活性エネルギー線照射または加熱により1,2-ビニル基を有するジエン系重合体および/または分子内に反応性二重結合を少なくとも1つ有する単量体の重合を開始させるものであることが好ましく、活性エネルギー線照射により重合を開始させるものであることがより好ましい。重合開始剤としては、例えば、光重合開始剤など公知のものを用いることができる。
ここで、「活性エネルギー線」とは電磁波または荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味し、紫外線、電子線、可視光線、X線、イオン線等が挙げられる。中でも、汎用性の点から、紫外線または電子線が好ましく、紫外線が特に好ましい。
アセトフェノン系開始剤として具体的には、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
ベンゾインエーテル系開始剤として具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等が挙げられる。
ベンゾフェノン系開始剤として具体的には、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル等が挙げられる。
ヒドロキシアルキルフェノン系開始剤として具体的には、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(BASFジャパン(株)製、IRGACURE184として市販)等が挙げられる。
チオキサントン系開始剤として具体的には、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン等が挙げられる。
アミン系開始剤として具体的には、トリエタノールアミン、4-ジメチル安息香酸エチル等が挙げられる。
アシルフォスフィンオキシド系開始剤として具体的には、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(BASFジャパン(株)製、IRGACURE819として市販)等が挙げられる。
粘着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、粘着剤用の添加剤として公知の成分を挙げることができる。例えば、酸化防止剤、金属腐食防止剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物(HALS)等の光安定剤等の中から必要に応じて選択できる。また、着色を目的に染料や顔料を添加してもよい。さらに架橋剤を添加しても良い。
シランカップリング剤としては、例えば、メルカプトアルコキシシラン化合物(例えば、メルカプト基置換アルコキシオリゴマー等)などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物などが挙げられる。ただし、後硬化時の活性エネルギー線に紫外線を用いる場合は、重合反応を阻害しない範囲で添加することが好ましい。
架橋剤としてはイソシアネート系化合物やエポキシ系化合物のほか、水素引抜型開始剤などを配合することが出来る。特に水素引抜型開始剤は官能基がなくてもヘテロ原子の隣の炭素に水素がついている場合は紫外線などのエネルギー線を照射することにより該水素を引き抜いてラジカル発生させて反応するため好ましい。
また粘着剤層の経時劣化を防ぐためには老化防止剤を添加することが好ましい。老化防止剤を添加することで、粘着剤層の劣化による粘着力低下を防ぐことができる。老化防止剤の添加量は、ゴム系樹脂100質量部に対して、0.05~5質量部であることが好ましく、0.1~3質量部であることがより好ましい。
老化防止剤としては、上記の酸化防止剤や紫外線吸収剤、HALSなどを単独または併用して用いることが好ましい。その中でも老化防止剤としては酸化防止剤が好ましく、本用途で用いる酸化防止剤としては一般的なフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、などを挙げることができる。これら酸化防止剤は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
粘着剤組成物はさらに溶剤を含有してもよい。この場合、溶剤は、粘着剤組成物の塗工適性を向上させ得る。
このような溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類;ジクロロメタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酪酸エチル等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート等のポリオール及びその誘導体が挙げられる。この中でもスチレン系ブロック共重合体の溶解性の高いトルエンが好ましい。
また、溶剤の含有量は、粘着剤組成物の全質量に対し、10質量%以上90質量%以下とすることが好ましく、20質量%以上80質量%以下とすることがより好ましい。
粘着剤層の製造方法は、特に限定されない。
本発明の粘着剤層は、粘着剤層と他の層から構成されてもよいが、粘着剤層のみから構成されるものであることが好ましい。他の層としては、例えば上記以外の粘着剤組成物から形成される粘着剤層、支持体、剥離シート等が挙げられる。支持体としては、例えば、ポリスチレン、スチレン-アクリル共重合体、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、トリアセチルセルロース等のプラスチックフィルム;反射防止フィルム、電磁波遮蔽フィルム、偏光板フィルム等の光学フィルム;等が挙げられる。
また、塗膜の加熱は、加熱炉、赤外線ランプ等の公知の加熱装置を用いて実施できる。
本発明の粘着剤層は、粘着剤層のみから構成される単層であってもよい。また、粘着剤層は、片面に基材(好ましくは透明基材)を備えた片面粘着剤層でも、基材を有しない両面粘着剤層でもよい。両面粘着剤層としては、粘着剤層からなる単層の粘着剤層、粘着剤層を複数積層した多層の粘着剤層、粘着剤層と粘着剤層の間に他の粘着剤層を積層した多層の粘着剤層、粘着剤層と粘着剤層の間に支持体を積層した多層の粘着剤層、支持体の片面に粘着剤層が積層し、他方の面に他の粘着剤層が積層した多層の粘着剤層が挙げられる。両面粘着剤層が支持体を有する場合、支持体として透明な支持体を用いたものが好ましい。支持体としては、透明基材と同様に光学分野に用いられる一般的なフィルムを用いることができる他、反射防止フィルム、電磁波遮蔽フィルム、偏光板フィルム等の光学フィルム等が挙げられる。このような両面粘着剤層は、粘着剤層全体としての透明性にも優れることから、光学部材同士の接着に好適に用いることができる。
剥離性積層シートにおける剥離シート用基材には、紙類、高分子フィルムが使用される。剥離剤層を構成する剥離剤としては、例えば、汎用の付加型もしくは縮合型のシリコーン系剥離剤や長鎖アルキル基含有化合物が用いられる。特に、反応性が高い付加型シリコーン系剥離剤が好ましく用いられる。
シリコーン系剥離剤としては、具体的には、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24-4527、SD-7220等や、信越化学工業(株)製のKS-3600、KS-774、X62-2600などが挙げられる。また、シリコーン系剥離剤中にSiO2単位と(CH3)3SiO1/2単位あるいはCH2=CH(CH3)SiO1/2単位を有する有機珪素化合物であるシリコーンレジンを含有することが好ましい。シリコーンレジンの具体例としては、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24-843、SD-7292、SHR-1404等や、信越化学工業(株)製のKS-3800、X92-183等が挙げられる。
剥離性積層シートとして、市販品を用いてもよい。例えば、帝人デュポンフィルム(株)製の離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムである重セパレータフィルムや、帝人デュポンフィルム(株)製の離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムである軽セパレータフィルムを挙げることができる。
本発明の粘着剤層を使用する場合、粘着剤層の粘着剤層を露出させた状態で被着体表面に接触させる。本発明の粘着剤層は硬度が高く濡れ性が悪いため、前述の1,2-ビニル基を有するジエン系重合体、分子内に反応性二重結合を少なくとも1つ有する単量体、及び重合開始剤を配合する場合は被着体に貼合してから硬化させる工程にすると被着体への濡れ性が上がり粘着力が強くなる。また上記のような後硬化性を持たせない場合は、加温して粘着剤層を軟化させた後に被着体へ貼合する、または被着体に貼合した後に熱と圧力を加える、と言った所謂ホットメルト粘着剤やヒートシール粘着剤のような貼合方法を実施しても良い。この場合の加熱の方法は加熱ロールを用いたロール貼合方法、ホットプレス、オートクレーブなどによる加熱加圧圧着方法など既知の方法を採用することが出来る。加熱する場合の温度は軟化する温度であれば何℃でも良いが、50℃以上150℃以下、好ましくは60℃以上120度以下が良い。
タッチパネルの構成部材としては、例えば透明樹脂フィルムにITO膜が設けられたITOフィルム、ガラス板の表面にITO膜が設けられたITOガラス、透明樹脂フィルムに導電性ポリマーをコーティングした透明導電性フィルム、ハードコートフィルム、耐指紋性フィルムなどが挙げられる。画像表示装置の構成部材としては、例えば液晶表示装置や有機ELディスプレオに用いられる反射防止フィルム、配向フィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルムなどが挙げられる。
これらの部材に用いられる材料としては、ガラス、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンナフタレート、シクロオレフィンポリマー、トリアセチルセルロース、ポリイミド、セルロースアシレートなどが挙げられる。なお、これらのフィルムの粘着剤層に接する側にはハードコート層などの機能層を設けていても良い。
本発明は積層体の製造方法に関するものでもある。積層体の製造方法は、上述した粘着剤層を被着体の表面に接触させる工程を含むことが好ましい。
<粘着剤層用粘着剤溶液の作製>
スチレン系ブロック共重合体(スチレン-(エチレン/ブチレン)-スチレンのトリブロック共重合体)(クラレ社製、セプトン8007)100質量部、スチレン系粘着付与剤(三井化学社製、FTR8120)70質量部、パラフィン系オイル(出光社製、ダイアナプロセスオイルPW-90)50質量部からなる粘着剤組成物をトルエンに溶解し均一になるまで撹拌して、固形分濃度45質量%の粘着剤のトルエン溶液(粘着剤層用粘着剤溶液)を得た。スチレン系ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によりポリスチレン標準物質を用いて換算したところ、120000であった。なお、固形分とはスチレン系ブロック共重合体、粘着付与剤、オイル成分のことを指す。 ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定条件は以下のとおりである。
溶媒:テトラヒドロフラン
カラム:Shodex KF801、KF803L、KF800L、KF800D(昭和電工(株)製を4本接続して使用した)
カラム温度:40℃
試料濃度:0.5質量%
検出器:RI-2031plus(JASCO製)
ポンプ:RI-2080plus(JASCO製)
流量(流速):0.8ml/分
注入量:10μl
校正曲線:標準ポリスチレンShodex standard ポリスチレン(昭和電工(株)製)Mw=1320~2,500,000迄の10サンプルによる校正曲線を使用した。
上記で作成した粘着剤層用粘着剤溶液を、ナイフコーターで乾燥後20μmの厚みになるように重剥離側としての第2の剥離シート(王子エフテックス社製、RL-07(2))に塗工した後、100℃3分で乾燥して溶剤のトルエンを乾燥させ、両面粘着剤層を得た。得られた粘着剤層の上に軽剥離側としての第1の剥離シート(王子エフテックス社製、RL-07(L))にてラミネートすることにより剥離シート付き粘着剤層を得た。
ガラス板の表面に、第1の剥離シートを剥離し、ラミネーター(株式会社ユーボン製、IKO-650EMT)を用いて、粘着剤層がガラス(縦90mm×横50mm×厚み0.5mm)全体を覆うように貼合した。その後、第2の剥離シートを剥離し、表出した粘着剤層の面に縦90mm×横50mm×厚み50μm、片面にITO膜が設けられたPETフィルムを粘着剤層とITO膜とが接するように配置して上記ラミネーターで貼合し、オートクレーブ処理(40℃、0.5MPa、30分間)を実施して積層体を得た。
実施例1の粘着剤組成物に、さらにスチレン系共重合体100質量部に対して1,2-ビニル基を有するジエン系重合体(Total社製、「Ricon156」)を6質量部、分子内に反応性二重結合を少なくとも1つ有する単量体(イソボルニルアクリレート(IBXA)、大阪有機社製)を30質量部、光重合開始剤(BASFジャパン社製、IRGACURE184)を1質量部加えて粘着剤層用粘着剤溶液を得た。
上記で作成した粘着剤層用粘着剤溶液を実施例1と同様にして塗工し、粘着剤層の軽剥離側の剥離シート側から紫外線を積算光量が3000mJ/cm2となるように照射して、剥離シート付き粘着剤層を得た。
オートクレーブ処理温度を90℃に変えた以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
実施例2の粘着剤組成物に、さらに分子内に反応性二重結合を少なくとも2つ有する単量体(ビスフェノールA EO変性ジアクリレート(東亞合成社製、M211B))を10質量部加えた以外は実施例2と同様にして粘着剤層用粘着剤溶液を得た。
上記で作成した粘着剤層用粘着剤溶液を実施例2と同様にして剥離シート付き粘着剤層を得た。
オートクレーブ処理後にガラス面側から紫外線を積算光量が3000mJ/cm2となるように照射した以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
イソデシルアクリレート(IDA)100質量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)1質量部の組成比で、重量平均分子量80万の(メタ)アクリル系ポリマー溶液を調整した。得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液に、ポリマーの固形分100質量部に対して、架橋剤として、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学社製,商品名D110N)を0.5重量部配合して粘着剤層形成用粘着剤溶液を得た。
上記で作成した粘着剤層用粘着剤溶液を実施例1と同様にして剥離シート付き粘着剤層を得た。
実施例1と同様にして積層体を得た。
<剪断貯蔵弾性率G’>
粘着剤層を200μmとなるように10枚の粘着剤層(1枚20μm)を重ねあわせ、測定用サンプルを作製した。なお実施例2と3は紫外線照射前に重ね合わせた後紫外線を積算光量が3000mJ/cm2となるように照射した。
測定用サンプルの粘着剤層について、動的粘弾性装置Rheogel―E4000(株式会社ユービーエム製)を用いて、個体剪断モード、周波数1Hz、歪み0.1%の条件で、0℃~150℃までの温度領域における粘着剤層の剪断貯蔵弾性率G’を測定した。
23℃および75℃における粘着剤層の剪断貯蔵弾性率G’を、下記表1に記載した。
粘着剤層を100μmとなるように5枚の粘着剤層(1枚20μm)を重ねあわせ、測定用サンプルを作製した。なお実施例2と3は紫外線照射前に重ね合わせた後紫外線を積算光量が3000mJ/cm2となるように照射した。
このようにして作製した測定用サンプルを用いてJIS Z 0208の「防湿包装材料の透過湿度試験方法」に準じて40℃相対湿度90%RHの環境下での透湿性を測定した。
上記で作製した積層体を用いて、水平な面にPETフィルムが上になるように静置して、500gの球状の錘をPETフィルムの上に30分間乗せた後に錘を除去し、10分間静置した後に錘の乗っていた部分に押痕が付いているかを目視にて観察し、下記基準で評価した。
◎:押痕が全く付いていない
○:目視では見えないが透過光で投影してみると押痕が見える。
×:目視で押痕が見える
上記で作製した積層体を用いて、まず積層体のITO膜の抵抗値をテスターを用いて測定した後、温度60℃、相対湿度90%の湿熱環境下に240時間放置して、加熱加湿処理した。そして、この240時間加熱加湿処理した積層体を23℃、相対湿度50%に24時間放置した後ITO膜の抵抗値を再度測定し、(処理後の抵抗値-処理前の抵抗値)÷(処理前の抵抗値)×100の式より、ITO膜抵抗値の上昇率を求めて、下記基準で評価した。
◎:抵抗値の上昇率が1%未満
○:抵抗値の上昇率が1%以上3%未満
×:抵抗値の上昇率が3%以上
粘着剤層の比誘電率の評価は以下の手順で実施した。剥離シート付き粘着剤層から第1の剥離シート及び第2の剥離シートを剥離し、粘着剤層2枚の銅箔の間に挟み、オートクレーブ処理(40℃、0.5MPa、30分間)を実施した。その後、誘電体測定システム((株)東陽テクニカ製、1260型)によりJIS C 2138に基づいて比誘電率を測定した。周波数、測定環境は下記条件で測定した。
周波数:1MHz
測定環境:23℃、相対湿度55%
上記表から、実施例で得られた粘着剤層は、高硬度であることから打痕が付きにくかった。また、低透湿性であることからITO腐食性に優れていた。さらに比誘電率が低く、周波数依存性も少なかった。
Claims (7)
- スチレン系ブロック共重合体、粘着付与剤、可塑剤を含有する粘着剤組成物からなる粘着剤層であって、
前記粘着剤組成物は、1,2-ビニル基を有するジエン系重合体、分子内に反応性二重結合を少なくとも1つ有する単量体、及び重合開始剤をさらに含有し、
前記スチレン系ブロック共重合体はA-B-A型トリブロック共重合体であって、Aはスチレンを重合させたブロックであり、Bはエチレン、プロピレン及びブテンから選択される少なくとも1種を重合体させた熱可塑性エラストマーであり、
前記可塑剤が常温(23℃)において液体である、ポリブテン系化合物、ポリイソブチレン系化合物、ポリイソプレン系化合、パラフィン系又はナフテン系のシステムオイルから選ばれる脂肪族炭化水素であり、
下記物性群(1)及び(2)を満たす、粘着剤層。
物性群(1):23℃かつ周波数1Hzで測定される剪断貯蔵弾性率G’が1×106[Pa]以上であり、75℃かつ周波数1Hzで測定される剪断貯蔵弾性率G’が1×105[Pa]以上である。
物性群(2):前記粘着組成物からなる粘着剤層を100μmの厚みにした時のJIS Z 0208の「防湿包装材料の透過湿度試験方法」に準じて測定した透湿性が100g/m2・24hr以下である。 - 前記1,2-ビニル基を有するジエン系重合体が、分子内に非共役ジエン構造を有する重合体である請求項1に記載の粘着剤層。
- 前記分子内に反応性二重結合を少なくとも1つ有する単量体が(メタ)アクリル酸エステルまたは芳香族系化合物である請求項1または2に記載の粘着剤層。
- 比誘電率が3.0以下である請求項1~3のいずれかに記載の粘着剤層。
- 層厚が5μm~200μmである請求項1~4のいずれかに記載の粘着剤層。
- 請求項1~5のいずれかに記載の粘着剤層を挟んで2枚の剥離シートが積層されてなり、前記2枚の剥離シートは前記粘着剤層との剥離力が互いに異なる積層体。
- 請求項1~5のいずれかに記載の粘着剤層を挟んで一方の側に透明基材が積層され、他方の側に剥離シートが積層された積層体。
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