JP7000882B2 - 酸窒化物薄膜および容量素子 - Google Patents
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Description
誘電体薄膜の材料として酸窒化物が挙げられる。酸窒化物はABO2Nで表すことができるが、例えば組成式SrTaO2Nで表される酸窒化物において、その前駆体となる酸化物はSr2Ta2O7である。SrTaO2NはSr、Ta、OおよびNを含む化合物から直接合成することも出来るが、Sr2Ta2O7を窒化することによっても得られる。Sr2Ta2O7の比誘電率は合成法によっても異なるが、おおよそ100前後である(非特許文献1)。一方、SrTaO2Nの比誘電率は数千以上の値が報告されている(非特許文献2、特許文献1)。すなわち、酸窒化物の結晶格子内に窒素を取り込むことにより比誘電率は飛躍的に増大する。
このような酸窒化物の中でも、新しい材料の候補の一つとして、ペロブスカイト結晶構造の酸素8面体中の酸素原子の一部を窒素原子に置換した金属酸窒化物材料が挙げられる。しかし、金属酸窒化物材料を有する誘電体薄膜を得ることは困難である。
組成式AaBbOoNn(a+b+o+n=5)で表される酸窒化物から成る主組成を有する誘電体薄膜であって、
前記AはSr,Ba,Ca,La,Ce,Pr,Nd,Naのいずれか1つ以上であり、
前記BはTa,Nb,Ti,Wのいずれか1つ以上であり、
前記誘電体薄膜を構成する結晶粒子は、ある特定の結晶面方位に配向していない多結晶であり、しかも柱状の粒子で構成されることを特徴とする。
通常、配向膜はその配向性を得るために比較的遅い成膜速度によって形成されるが、そのような遅い成膜速度では、窒素の拡散経路となる膜厚方向の粒界が十分に得られない。本実施形態では、誘電体薄膜13を構成する結晶粒子が柱状の粒子形状であることにより、膜厚方向に窒素の拡散経路が形成されて、窒素を効率良く結晶内に取り込むことができると考えられる。その結果、本実施形態の誘電体薄膜では比誘電率が向上し、高い誘電特性が得られる。
なお、誘電体薄膜の誘電正接(tanδ)は、LCRメータを用いて、電圧1V/rms、周波数1kHzの条件で測定できる。
なお、比誘電率は、LCRメータを用いて、電圧1V/rms、周波数1kHzにおける静電容量を測定し、静電容量、誘電体薄膜の厚みおよび電極面積に基づいて算出できる。
次に、薄膜キャパシタ1の製造方法について説明する。以下、組成式AaBbOoNnで表される酸窒化物から成る主組成を有する誘電体薄膜13において、A原子がSrであり、B原子がTaである場合について説明するが、他の種類の原子を用いる場合でも同様である。
中間層15は、誘電体薄膜13と下部電極12との間、および誘電体薄膜13と上部電極14との間の両方にあってもよく、いずれか一方にあってもよい。中間層が複数ある場合には、それぞれの中間層が異なる機能を有していてもよい。
中間層15の厚さは、好ましくは、誘電体薄膜13の厚さの20%以下であり、より好ましくは10%以下である。
まず、成膜用ターゲットとして用いるSr2Ta2O7焼結体の原料として、SrCO3粉末およびTa2O5粉末を準備した。Sr/Taのモル比が1となるようにSrCO3粉末およびTa2O5粉末を秤量した。
得られたサンプルについて、リガク社製全自動水平型多目的X線回折装置SmartLabを用いてXRD測定を行い、そのXRDパターンから特定の面に配向している配向膜か否かと、多結晶性を有するか否かを確認した。多結晶性を有し特定の面に対して配向している配向膜ではない場合は「良」、多結晶性を有さない場合および配向膜である場合には「不良」と評価した。また、得られた薄膜サンプルに含まれる酸窒化物における組成はULVAC―PHI, Inc.製PHI Quantera IITMを用いて光電子分光分析によって定量した。Arエッチングを行いながら、薄膜の深さ方向の組成を定量した。
得られたサンプルについて、薄膜の表面から厚み方向に1/4の深さ位置において異なる5点における窒素組成(atm%)をX線光電子分光分析装置により測定し、その平均を算出した。薄膜の表面から厚み方向に1/2の深さ位置、および3/4の深さ位置においても同様に窒素組成(atm%)を測定し、それぞれ平均を算出した。それら平均から最大変動率を算出した。結果を表1に示す。
得られたサンプルについて、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて薄膜断面の観察を行った。SEM画像より、1.2μm×1.5μmの3視野の観察視野内における、30nm以上の空隙の有無を確認した。また、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて得たTEM画像より、柱状の粒子の有無を確認した。さらに、柱状の粒子がある場合には、柱状の粒子が基板に対して交差する方向に延びているか否かを確認した。そして、TEM画像に基づいて、貫通している柱状粒子の比率を算出した。結果を表1に示す。また実施例1において得られたTEM画像を図3に示す。
LCRメータを用いて、電圧1V/rms、周波数1kHzにおいて試料の静電容量およびtanδを測定した。そして比誘電率を、薄膜の厚み、電極面積および静電容量に基づいて算出した。
XRD測定により、得られたサンプルの結晶構造を確認した。
実施例2では、PLD法で厚さ1000nmとなるように誘電体酸化膜を成膜した。また、成膜時に窒素ラジカルを導入して窒化処理を行ったが、成膜後には窒素ラジカルを導入しなかった。その他の条件は実施例1と同様にして誘電体薄膜サンプルを得た。実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。またTEM画像を図4に示す。
実施例3では、PLD法で厚さ500nmとなるように誘電体酸化膜を成膜した。成膜温度は600℃とした。その他の条件は実施例1と同様にして誘電体薄膜サンプルを得た。実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
以下に示す以外は実施例1と同様にして誘電体薄膜サンプルを得た。すなわち、実施例4では、成膜用ターゲットとして用いるLa2Ti2O7焼結体の原料として、La2O3粉末およびTiO2粉末を準備した。La/Tiのモル比が1となるようにLa2O3粉末およびTiO2粉末を秤量した。また、PLD法で厚さ500nmとなるように誘電体酸化膜を成膜した。実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
以下に示す以外は実施例1と同様にして誘電体薄膜サンプルを得た。すなわち、実施例5では、成膜用ターゲットとして用いる、Ba/Taのモル比が1である酸化物の焼結体の原料として、BaCO3粉末およびTa2O5粉末を準備した。Ba/Taのモル比が1となるようにBa2CO3粉末およびTa2O5粉末を秤量した。また、PLD法で厚さ500nmとなるように誘電体酸化膜を成膜した。Ba2Ta2O7である組成物は存在しないため、ターゲット焼結体のBa/Taのモル比を1になるように調整しても、成膜条件によっては得られる薄膜のモル比はターゲット組成が転写され難い。そのため、成膜時の分圧等を調整し、Ba/Taのモル比が1となったものについて、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例6では成膜温度を500℃とした他は、実施例1と同様にして誘電体薄膜サンプルを得た。実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例7では成膜温度を850℃とした他は、実施例1と同様にして誘電体薄膜サンプルを得た。実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
比較例1では、成膜温度を400℃にした他は、実施例2と同様にして誘電体薄膜サンプルを得た。実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
比較例2では、成膜温度を300℃にした他は、実験例2と同様にして誘電体薄膜サンプルを得た。実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
比較例3では成膜温度を900℃とした他は、実施例1と同様にして誘電体薄膜サンプルを得た。実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例8では成膜時のプラズマ照射時間をより長くした他は、実施例1と同様にして誘電体薄膜サンプルを得た。実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。なお、結晶構造については、実施例1と比較して「ピークシフトなし」との結果が得られた。「ピークシフトなし」とは、X線回折により得られたパターンのピーク位置がシフトしていないことを意味し、窒素Nの含有状態に関わらず、実施例1と比較して結晶格子の大きさが変化していないことを示す。
実施例9では成膜時のプラズマ照射時間をさらに長くした他は、実施例1と同様にして誘電体薄膜サンプルを得た。実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。なお、結晶構造については、実施例8と同様に、実施例1と比較して「ピークシフトなし」との結果が得られた。
実施例10、11では、パルスレーザーの周波数および成膜雰囲気を変更した他は、実施例1と同様にして誘電体薄膜サンプルを得た。実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。なお、結晶構造については、実施例2と比較して「ピークシフトなし」との結果が得られた。すなわち、実施例10、11では、窒素Nの含有状態に関わらず、実施例2と比較して結晶格子の大きさが変化していないことがわかった。
11・・・基板
12・・・下部電極
13・・・誘電体薄膜
14・・・上部電極
15・・・中間層
X・・・柱状の粒子
Claims (5)
- 組成式AaBbOoNn(a+b+o+n=5)で表される酸窒化物から成る主組成を有する誘電体薄膜であって、
前記AはSr,Ba,Ca,La,Ce,Pr,Nd,Naのいずれか1つ以上であり、
前記BはTa,Nb,Ti,Wのいずれか1つ以上であり、
前記誘電体薄膜を構成する結晶粒子は、ある特定の結晶面方位に配向していない多結晶であり、しかも柱状の粒子で構成されることを特徴とする誘電体薄膜。 - 前記柱状の粒子は、前記誘電体薄膜が形成される基板に対して交差する方向に延びている請求項1に記載の誘電体薄膜。
- 前記誘電体薄膜の表面から裏面まで貫通している前記柱状の粒子の構成比率が、30%以上である請求項2に記載の誘電体薄膜。
- 前記誘電体薄膜の表面から厚み方向に1/4の深さ位置と、1/2の深さ位置と、3/4の深さ位置とで、窒素の組成比率を測定した場合に、これらの3つの位置における窒素組成の変動率の最大が±55%以内である請求項1~3のいずれかに記載の誘電体薄膜。
- 請求項1~4のいずれかに記載の誘電体薄膜を有する容量素子。
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