JP6998678B2 - ポリアミド樹脂組成物、成形品および物品 - Google Patents

ポリアミド樹脂組成物、成形品および物品 Download PDF

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Description

本発明は、ポリアミド樹脂組成物、成形品および物品に関する。特に、車両など、長時間に渡って100~200℃の雰囲気下で用いられる用途に適したポリアミド樹脂組成物、成形品および物品に関する。
代表的なエンジニアリングプラスチックであるポリアミド樹脂は、加工が容易であり、さらに、機械的物性、電気特性、耐熱性、その他の物理的および化学的特性に優れている。このため、車両部品、電気電子機器部品、その他の精密機器部品等に幅広く使用されている。
例えば、特許文献1には、樹脂成分を100重量%として、ポリヘキサメチレンセバカミドおよび/またはポリヘキサメチレンドデカミドが60重量%以上である射出成形用樹脂組成物が開示されている。
また、ポリアミド樹脂に各種添加剤を配合して、所望の機能を持たせることも行われている。例えば、特許文献2には、(A)ポリアミド樹脂と、(B)無機充填材と、(C)カーボンブラックと、を含むポリアミド樹脂組成物であって、前記(A)ポリアミド樹脂の少なくとも一部が(a1)芳香族ポリアミドであり、前記(C)カーボンブラックは、平均一次粒子径が20nm以上、かつ比表面積とDBP(フタル酸ジブチル)吸油量の比である比表面積/DBP吸油量が1.0以下であるポリアミド樹脂組成物が開示されている。
特開2009-030008号公報 特開2017-014388号公報
ここで、車両用部材など、長時間に渡って100~200℃の雰囲気下で用いられる成形品にポリアミド樹脂を用いる場合、耐フォギング性が問題となる。具体的には、ポリアミド樹脂に離型剤として、高級脂肪酸金属塩を配合すると、高級脂肪酸金属塩からの分解物が100~200℃の雰囲気下で揮発してしまい、耐フォギング性が問題となる。しかしながら、離型剤を配合しないと、離型性が問題となる。
本発明は、かかる課題を解決することを目的とするものであって、耐フォギング性に優れ、かつ、離型性に優れた、ポリアミド樹脂組成物、ならびに、成形品および物品を提供することを目的とする。
上記課題のもと、離型剤として、ポリアミド樹脂に、ポリオレフィンと高級脂肪酸金属塩を所定の比率でブレンドすることにより、上記課題を解決しうることを見出した。具体的には、下記手段<1>により、好ましくは<2>~<17>により、上記課題は解決された。
<1>ポリアミド樹脂100質量部に対し、粘度法による平均分子量が500~50,000であるポリオレフィン0.1~2質量部と、高級脂肪酸金属塩とを含み、前記ポリオレフィンと高級脂肪酸金属塩の質量比率(ポリオレフィン/高級脂肪酸金属塩)が0.5~3.0である、ポリアミド樹脂組成物。
<2>前記ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、前記ジアミン由来の構成単位の50モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の50モル%以上が、炭素原子数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する、<1>に記載のポリアミド樹脂組成物。
<3>前記炭素原子数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸がアジピン酸である、<2>に記載のポリアミド樹脂組成物。
<4>さらに、ポリアミド樹脂100質量部に対し、強化繊維を30~300質量部の割合で含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物。
<5>前記強化繊維がガラス繊維である、<4>に記載のポリアミド樹脂組成物。
<6>前記ポリオレフィンの粘度法による平均分子量が、1,000~30,000である、<1>~<5>のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物。
<7>前記ポリオレフィンの粘度法による平均分子量が、3,000~10,000である、<1>~<5>のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物。
<8>前記高級脂肪酸金属塩の一分子に含まれる平均炭素原子数が20を超える、<1>~<7>のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物。
<9>前記高級脂肪酸金属塩がモンタン酸を含む、<1>~<8>のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物。
<10>前記ポリオレフィンと高級脂肪酸金属塩の質量比率(ポリオレフィン/高級脂肪酸金属塩)が0.8~1.9である、<1>~<9>のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物。
<11>前記ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、前記ジアミン由来の構成単位の50モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の50モル%以上がアジピン酸に由来し、前記ポリオレフィンの粘度法による平均分子量が、3,000~10,000であり、前記高級脂肪酸金属塩の一分子に含まれる平均炭素原子数が20を超え、前記ポリオレフィンと高級脂肪酸金属塩の質量比率(ポリオレフィン/高級脂肪酸金属塩)が0.8~1.9である、<1>、<4>、<5>および<9>のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物。
<12>前記ポリアミド樹脂組成物5gを直径16mm、高さ120mmのガラス製の試験管に入れて、試験管の口を厚み2mmのガラス板で完全に覆い、135℃で24時間加熱した後の前記厚み2mmのガラス板のヘイズが15%以下である、<1>~<11>のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物。
<13>成形温度280℃、金型温度130℃で、図1に示す成形品を射出成形したときに、金型から成形品をエジェクターピンで突き出した際の離型抵抗値が20MPa以下である、<1>~<12>のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物。
<14>車両用部材形成用である、<1>~<13>のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物。
<15><1>~<14>のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物から形成される成形品。
<16>車両用部材である、<15>に記載の成形品。
<17><15>または<16>に記載の成形品と、前記成形品に嵌合している透明部材を有する物品。
本発明により、耐フォギング性に優れ、かつ、離型性に優れた、ポリアミド樹脂組成物、ならびに、成形品および物品を提供可能になった。
離型抵抗値を測定するための成形品の形状を示す図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。なお、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂100質量部に対し、粘度法による平均分子量が500~50,000であるポリオレフィン0.1~2質量部と、高級脂肪酸金属塩とを含み、
前記ポリオレフィンと高級脂肪酸金属塩の質量比率(ポリオレフィン/高級脂肪酸金属塩)が0.5~3.0であることを特徴とする。このような構成とすることにより、耐フォギング性に優れ、・かつ、離型性に優れたポリアミド樹脂組成物が得られる。
すなわち、離型剤である高級脂肪酸金属塩は、100℃以上の雰囲気下で分解し、分解物は揮発しやすい。そのため、例えば、自動車などのヘッドライト、リアランプの周りのハウジングに用いると長時間のランプの点灯により、ハウジングは高温に曝されるため、高級脂肪酸金属塩の分解物が揮発し、自動車のヘッドライトの場合、ヘッドライトのガラスカバー内面に付着し、長期にわたって堆積し続けると透明なガラスを曇らせてしまう。一方、離型剤を配合しないと、離型性に問題が起こる。また、離型剤の揮発を抑制するためには、ポリオレフィンのような分子量の大きい化合物を離型剤として用いることが考えられるが、離型性については十分とは言えない。本発明では、ポリアミド樹脂に、粘度法による平均分子量が500~50,000であるポリオレフィンと、高級脂肪酸金属塩を配合し、かつ、ポリオレフィンと高級脂肪酸金属塩の配合比率のバランスを図ることにより、耐フォギング性と離型性の両立に成功したものである。
<ポリアミド樹脂>
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂を含む。
本発明で用いるポリアミド樹脂の種類は特に定めるものではなく、公知のポリアミド樹脂を用いることができる。例えば、ポリアミド樹脂としては、特開2011-132550号公報の段落0011~0013の記載を参酌することができる。具体的には、ポリアミド6、ポリアミド66および後述する半芳香族ポリアミド樹脂が例示される。
ポリアミド樹脂は、結晶性ポリアミド樹脂でも非晶性ポリアミド樹脂でもよいが、結晶性ポリアミド樹脂が好ましい。
本発明で用いるポリアミド樹脂は、半芳香族ポリアミド樹脂であることが好ましい。ここで、半芳香族ポリアミド樹脂とは、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、ジアミン由来の構成単位およびジカルボン酸由来の構成単位の合計構成単位の30~70モル%が芳香環を含む構成単位であることをいい、ジアミン由来の構成単位およびジカルボン酸由来の構成単位の合計構成単位の40~60モル%が芳香環を含む構成単位であることが好ましい。このような半芳香族ポリアミド樹脂を用いることにより、得られる樹脂成形品の機械的強度を高くすることができる。半芳香族ポリアミド樹脂としては、ポリアミド6T、ポリアミド9T、後述するキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂などが例示される。
本発明で用いるポリアミド樹脂は、少なくとも1種が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、前記ジアミン由来の構成単位の50モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の50モル%以上が、炭素原子数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するポリアミド樹脂(以下、「キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂」ということがある)が好ましい。
キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂のジアミン由来の構成単位は、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、一層好ましくは90モル%以上、より一層好ましくは95モル%以上がキシリレンジアミンに由来する。キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂のジカルボン酸由来の構成単位は、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、一層好ましくは90モル%以上、より一層好ましくは95モル%以上が、炭素原子数が4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する。
キシリレンジアミンは、パラキシリレンジアミンおよびメタキシリレンジアミンが好ましく、少なくともメタキシリレンジアミンを含むことがより好ましい。
キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂の原料ジアミン成分として用いることができるメタキシリレンジアミンおよびパラキシリレンジアミン以外のジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2-メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)デカリン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環式ジアミン、ビス(4-アミノフェニル)エーテル、パラフェニレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン等の芳香環を有するジアミン等を例示することができ、1種または2種以上を混合して使用できる。
キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂の原料ジカルボン酸成分として用いるのに好ましい炭素原子数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、例えばコハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸が例示でき、1種または2種以上を混合して使用できるが、これらの中でもポリアミド樹脂の融点が成形加工するのに適切な範囲となることから、アジピン酸またはセバシン酸がより好ましく、アジピン酸がさらに好ましい。
上記炭素原子数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、テレフタル酸、オルソフタル酸等のフタル酸化合物、1,2-ナフタレンジカルボン酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、1,7-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸といった異性体等のナフタレンジカルボン酸等を例示することができ、1種または2種以上を混合して使用できる。
なお、ポリアミド樹脂は、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位を主成分として構成されるが、これら以外の構成単位を完全に排除するものではなく、ε-カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等の脂肪族アミノカルボン酸類由来の構成単位を含んでいてもよいことは言うまでもない。ここで主成分とは、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂を構成する構成単位のうち、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位の合計数が全構成単位のうち最も多いことをいう。本発明では、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂における、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位の合計は、全構成単位の90%以上を占めることが好ましく、95%以上を占めることがより好ましい。
ポリアミド樹脂の融点は、150~350℃であることが好ましく、180~330℃であることがより好ましく、200~330℃であることがさらに好ましく、200~320℃であることが一層好ましい。
融点は、後述する実施例に記載の方法に従って測定される。実施例に記載の機器が廃番等入手困難な場合、他の同等の性能を有する機器を用いることができる。
ポリアミド樹脂は、数平均分子量(Mn)の下限が、6,000以上であることが好ましく、8,000以上であることがより好ましく、10,000以上であることがさらに好ましく、15,000以上であることが一層好ましく、20,000以上であることがより一層好ましく、22,000以上であることがさらに一層好ましい。上記Mnの上限は、35,000以下が好ましく、30,000以下がより好ましく、28,000以下がさらに好ましく、26,000以下が一層好ましい。このような範囲であると、耐熱性、弾性率、寸法安定性、成形加工性がより良好となる。
本発明の樹脂組成物におけるポリアミド樹脂の含有量は、下限値が、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、45質量%以上であることがさらに好ましい。前記含有量の上限値は、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがさらに好ましく、55質量%以下であることが一層好ましい。
ポリアミド樹脂は1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<粘度法による平均分子量が500~50,000であるポリオレフィン>
本発明のポリアミド樹脂組成物は、粘度法による平均分子量が500~50,000であるポリオレフィンを含む。前記粘度法による平均分子量は、1,000以上であることが好ましく、3,000以上であることがより好ましく、5,000以上であることがさらに好ましく、また、30,000以下であることが好ましく、10,000以下であることがより好ましい。
ポリオレフィンとしては、ポリエチレンおよびポリプロピレンが例示され、ポリエチレンが好ましい。
本発明におけるポリオレフィンは、酸化ポリオレフィン、酸変性型ポリオレフィンであってもよい。本発明におけるポリオレフィンは、ポリオレフィンワックスであることが好ましい。
ポリオレフィンの市販品としては、例えば、三井化学社製"三井ハイワックス"の800P、400P、200P、100P、720P、420P、320P、405MP、320MP、4051E、2203A、1140H、NL800、NP055、NP105、NP505、NP805、1105A、2203AおよびNP0555Aなどを用いることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物におけるポリオレフィンの含有量は、ポリアミド樹脂100質量部に対し、0.1~2質量部である。好ましくは、0.1~1質量部であり、より好ましくは、0.1~0.7質量部であり、さらに好ましくは、0.15~0.65質量部であり、一層好ましくは0.15~0.45質量部であり、より一層好ましくは0.25~0.35質量部である。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリオレフィンを、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<高級脂肪酸金属塩>
本発明のポリアミド樹脂組成物は、高級脂肪酸金属塩を含む。高級脂肪酸金属塩は、高級モノ脂肪酸の金属塩が好ましい。
高級脂肪酸金属塩を構成する金属としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属塩が例示され、アルカリ土類金属塩が好ましい。アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウムが例示される。アルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウム、バリウムが例示され、カルシウムおよびバリウムが好ましく、カルシウムがより好ましい。
高級脂肪酸金属塩を構成する高級脂肪酸は、一分子あたりの平均炭素原子数が6以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、15以上であることがさらに好ましく、20以上であることが一層好ましく、20を超えることがより一層好ましい。前記高級脂肪酸の一分子あたりの平均炭素原子数の上限は、例えば、40以下であり、35以下であることが好ましく、30以下であることがより好ましい。
高級脂肪酸金属塩を構成する高級脂肪酸は、具体的には、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸等が挙げられ、ステアリン酸、ベヘン酸およびモンタン酸が好ましく、ステアリン酸およびモンタン酸がより好ましく、モンタン酸がさらに好ましい。
高級脂肪酸金属塩の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、モンタン酸カルシウムが例示され、モンタン酸カルシウムおよびステアリン酸バリウムが好ましく、モンタン酸カルシウムがより好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物における高級脂肪酸金属塩の含有量の下限値は、ポリアミド樹脂100質量部に対し、好ましくは0.1質量部以上であり、より好ましくは0.2質量部以上であり、さらに好ましくは0.25質量部以上である。また、上記含有量の上限値は、好ましくは1.0質量部以下であり、より好ましくは0.7質量部以下であり、さらに好ましくは0.6質量部以下であり、一層好ましくは0.5質量部以下であり、より一層好ましくは0.4質量部以下であり、さらに一層好ましくは0.35質量部以下である。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、高級脂肪酸金属塩を、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<ポリオレフィンと高級脂肪酸金属塩の質量比率(ポリオレフィン/高級脂肪酸金属塩)>
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリオレフィンと高級脂肪酸金属塩の質量比率(ポリオレフィン/高級脂肪酸金属塩)が0.5~3.0である。このような構成とすることにより、耐フォギング性と離型抵抗値の両立を達成できる。
本発明では、上記ポリオレフィン/高級脂肪酸金属塩は、0.8以上であることが好ましく、また、2.5以下であることが好ましく、1.9以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましく、1.2以下であることが一層好ましい。
<強化繊維>
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂組成物を補強し、剛性、耐熱性および寸法安定性等を向上させる目的で、強化繊維を配合することが好ましい。
強化繊維の具体例としては、例えば、ガラスを主成分とする強化繊維(ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ミルドファイバー)、アルミナ繊維および炭素繊維が好ましく、ガラスを主成分とする強化繊維がより好ましく、ガラス繊維がさらに好ましい。
本発明で使用されるガラス繊維は、数平均繊維径が20μm以下のものが好ましく、1~15μmのものが、物性バランス(耐熱剛性、衝撃強度)をより一層高める点、並びに成形反りをより一層低減させる点でより好ましい。
原料ガラスの組成は、無アルカリのものも好ましく、例えば、Eガラス、Cガラス、Sガラス等が挙げられるが、本発明では、Eガラスがより好ましく用いられる。
ガラス繊維は、例えば、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤等の表面処理剤で表面処理されていることが好ましい。表面処理剤の付着量は、ガラス繊維の0.01~1質量%であることが好ましい。さらに必要に応じて、脂肪酸アミド化合物、シリコーンオイル等の潤滑剤、第4級アンモニウム塩等の帯電防止剤、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の被膜形成能を有する樹脂、被膜形成能を有する樹脂と熱安定剤、難燃剤等の混合物で表面処理されたものを用いることもできる。
本発明のポリアミド樹脂組成物が、強化繊維を含む場合、その含有量は、ポリアミド樹脂100質量部に対し、下限が30質量部以上であることが好ましく、80質量部以上であることがより好ましく、90質量部以上であることがさらに好ましい。上記含有量の上限は、300質量部以下であることが好ましく、190質量部以下であることがより好ましく、185質量部以下であることがさらに好ましく、150質量部以下であってもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、強化繊維を、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物においては、ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、ジアミン由来の構成単位の50モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の50モル%以上がアジピン酸に由来し、ポリオレフィンの粘度法による平均分子量が、3,000~10,000であり、高級脂肪酸金属塩の一分子に含まれる平均炭素原子数が20を超え、ポリオレフィンと高級脂肪酸金属塩の質量比率(ポリオレフィン/高級脂肪酸金属塩)が0.8~1.9であることが好ましい。
<その他の添加剤>
本発明のポリアミド樹脂組成物は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、上記の他、ポリアミド樹脂に一般的に用いられうる他の添加剤を含んでいてもよい。このようなその他の添加剤としては、ポリアミド樹脂以外の他の熱可塑性樹脂、黒色着色剤、核剤、潤滑剤、安定剤、難燃剤、蛍光漂白剤、可塑化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、流動性改良剤等が例示される。他の添加剤の含有量は、合計で、成形品の5質量%以下であることが好ましい。これらの添加剤の詳細は、特開2011-57977号公報や特開2015-129244号公報の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本発明の樹脂組成物は、ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。他の熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノール樹脂、およびエポキシ樹脂等が挙げられる。本発明の樹脂組成物は、ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂の含有量が本発明の樹脂組成物の5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが一層好ましい。
<黒色着色剤>
本発明のポリアミド樹脂組成物は、黒色着色剤を含んでいてもよい。本発明で用いる黒色着色剤としては、カーボンブラックが例示される。カーボンブラックの詳細は、特開2011-57977号公報の段落0021の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、本発明のポリアミド樹脂組成物にカーボンブラック等の黒色着色剤を配合する場合、ポリアミド樹脂組成物の製造に際し、特開2011-57977号公報の段落0038~0042の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本発明で用いるカーボンブラックは、DBP吸油量が40~60g/cm3であることが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物が黒色着色剤を含む場合、その含有量は、ポリアミド樹脂100質量部に対し、0.01~10質量部であることが好ましく、0.1~5質量部であることがより好ましく、0.1~3質量部であることがさらに好ましく、0.1~1質量部であることが一層好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、黒色着色剤を、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<核剤>
本発明のポリアミド樹脂組成物は、結晶化速度を上げて成形性を高めるため、核剤を含んでいてもよい。核剤の種類は、特に、限定されるものではないが、タルク、窒化ホウ素、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、窒化珪素、カーボンブラック、チタン酸カリウムおよび二硫化モリブデンが好ましく、タルクおよび窒化ホウ素がより好ましく、タルクがさらに好ましい。
核剤の平均粒子径は、4~10μmであることが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物が核剤を含む場合、その含有量は、ポリアミド樹脂100質量部に対し、0.1~10質量部であることが好ましく、0.5~8質量部がより好ましく、1~5質量部がさらに好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、核剤を、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<ポリアミド樹脂組成物の物性>
本発明のポリアミド樹脂組成物は、冷却結晶化温度(Tcc)が180℃以上であることが好ましく、190℃以上であることがより好ましく、193℃以上であることがさらに好ましい。また、前記冷却結晶化温度は、260℃以下であることが好ましく、250℃以下であることがより好ましく、230℃以下であることがさらに好ましく、210℃以下であってもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、融点(Tm)が200℃以上であることが好ましく、210℃以上であることがより好ましく、220℃以上であることがさらに好ましい。また、前記融点は、280℃以下であることが好ましく、270℃以下であることがより好ましく、263℃以下であることがさらに好ましく、250℃以下であることが一層好ましく、245℃以下であってもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、前記ポリアミド樹脂組成物5gを直径16mm、高さ120mmのガラス製の試験管に入れて、試験管の口を厚み2mmのガラス板で完全に覆い、135℃で24時間加熱した後の前記厚み2mmのガラス板のヘイズを15%以下とすることができ、さらには12%以下、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下とすることもできる。前記耐フォギング性の下限値としては、0%が望ましいが、0.1%以上、さらには、0.5%以上、1%以上であっても、実用レベルである。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、成形温度280℃、金型温度130℃で、図1に示す成形品(9つの格子を有する成形品)を射出成形したときに、金型から成形品をエジェクターピンで突き出した際の離型抵抗値が20MPa以下であることが好ましく、前記離型抵抗値は、17MPa以下であることがより好ましい。下限値としては、0MPaが望ましいが、10MPa以上であっても実用レベルである。
上記Tcc、Tm、ヘイズおよび離型抵抗値の測定方法の詳細は、後述する実施例に記載の方法に従う。
本発明において、ポリアミド樹脂組成物の製造方法は、特に定めるものではなく、公知の熱可塑性樹脂組成物の製造方法を広く採用できる。具体的には、各成分を、タンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸押出機、二軸押出機、ニーダーなどで溶融混練することによってポリアミド樹脂組成物を製造することができる。
また、例えば、各成分を予め混合せずに、または、一部の成分のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練して、ポリアミド樹脂組成物を製造することもできる。
さらに、例えば、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによってポリアミド樹脂組成物を製造することもできる。
本発明では、また、本発明のポリアミド樹脂組成物から形成される成形品を開示する。
成形品の形状としては、特に制限はなく、成形品の用途、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、板状、プレート状、ロッド状、シート状、フィルム状、円筒状、環状、円形状、楕円形状、歯車状、多角形形状、異形品、中空品、枠状、箱状、パネル状のもの等が挙げられる。
成形品を成形する方法としては、特に制限されず、従来公知の成形法を採用でき、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、異形押出法、トランスファー成形法、中空成形法、ガスアシスト中空成形法、ブロー成形法、押出ブロー成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、回転成形法、多層成形法、2色成形法、インサート成形法、サンドイッチ成形法、発泡成形法、加圧成形法等が挙げられる。
本発明で得られた成形品は、種々の用途、例えば、各種保存容器、電気・電子機器部品、オフィスオートメート(OA)機器部品、家電機器部品、機械機構部品、車両用部材などに適用できる。特に、食品用容器、薬品用容器、油脂製品容器、車両用中空部品(各種タンク、インテークマニホールド部品、カメラ筐体、ヘッドランプを支持するブラケットなど)、車両用電装部品(各種コントロールユニット、イグニッションコイル部品など)モーター部品、各種センサー部品、コネクター部品、スイッチ部品、ブレーカー部品、リレー部品、コイル部品、トランス部品、ランプ部品、カメラ部品などに好適に用いることができる。特に、車両用部材として好ましく用いられる。
また、100~200℃の高温下に5時間以上曝される成形品に好ましく用いられる。
本発明の成形品は、本発明の成形品と、前記成形品に嵌合している透明部材を有する物品として好ましく用いることができる。また、本発明の成形品と透明部材によって、外部と隔てられた中空構造が形成されていることが好ましい。透明部材とは、ガラスなどが例示される。本発明では、このような中空構造において、耐フォギング性を効果的に抑制し、透明部材の曇りを効果的に抑制できる。
本発明における物品は、車両用部材が特に好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
実施例1~10および比較例1~7
<材料>
MXD6:ポリメタキシリレンアジパミド、三菱ガス化学製、MXナイロン#6000、融点237℃
MP6:以下の方法に従って合成した。
アジピン酸を窒素雰囲気下の反応缶内で加熱溶解した後、内容物を攪拌しながら、パラキシリレンジアミン(三菱ガス化学社製)とメタキシリレンジアミン(三菱ガス化学社製)のモル比が3:7の混合ジアミンを、加圧(0.35MPa)下でジアミンとアジピン酸とのモル比が約1:1になるように徐々に滴下しながら、温度を270℃まで上昇させた。滴下終了後、0.06MPaまで減圧し10分間反応を続けた。その後、内容物をストランド状に取り出し、ペレタイザーにてペレット化し、ポリアミド樹脂を得た。以下、「MP6」という。得られたMP6の融点は256℃であった。
PA66:ソルベイ社製、Stabamid 26AE1K
GF:ガラス繊維、日本電気硝子社製、03T-296GH
タルク:ミクロンホワイト#5000A:林化成社製
ハイワックス800P:非酸化低分子量ポリエチレン、三井化学社製、粘度法による分子量8000
ハイワックス405MP:変性型低分子量ポリエチレン、三井化学社製、粘度法による分子量4000
ハイワックス200P:高密度ポリエチレン、三井化学社製、粘度法による分子量2000
CS-8CP:モンタン酸カルシウム 日東化成工業社製
ステアリン酸Ba:ステアリン酸バリウム、堺化学工業社製
カーボンブラック:カーボンブラックマスターバッチ、日弘ビックス社製、PA-0896
<コンパウンド>
後述する下記表1~表3に示す組成(表1~表3の各成分は質量部で示している)となるように、ガラス繊維以外の成分をそれぞれ秤量し、ドライブレンドした後、二軸押出機(東芝機械社製、TEM26SS)のスクリュー根元から2軸スクリュー式カセットウェイングフィーダ(クボタ社製、CE-W-1-MP)を用いて投入し、ガラス繊維については振動式カセットウェイングフィーダ(クボタ社製、CE-V-1B-MP)を用いて押出機のサイドから上述の二軸押出機に投入し、樹脂成分等と溶融混練し、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。押出機の温度設定は、280℃とした。
<融点(Tm)および冷却結晶化温度(Tcc)の測定方法>
ポリアミド樹脂組成物の示差走査熱量の測定はJIS K7121およびK7122に準じて行った。示差走査熱量計を用い、上記で得られたポリアミド樹脂組成物ペレットを砕いて示差走査熱量計の測定パンに仕込み、窒素雰囲気下にて昇温速度10℃/分で300℃まで昇温し、急冷する前処理を行った後に測定を行った。測定条件は、昇温速度10℃/分で、300℃で5分保持した後、降温速度-20℃/分で100℃まで測定を行い、冷却結晶化温度(Tcc)および融点(Tm)を求めた。
示差走査熱量計としては、セイコーインスツル社製「DSC7020」を用いた。
<耐フォギング性>
耐フォギング性は、ポリアミド樹脂組成物5gを直径16mm、高さ120mmのガラス製の試験管に入れて、試験管の口を全部覆うことのできる厚み2mmのガラス板で蓋をし、135℃で24時間加熱後に、前記厚み2mmのガラス板をヘーズメーターを用いて測定したときのヘイズ(Haze)値により評価した。
ヘーズメーターは、東京電色社製「全自動ヘーズメーター TC-HIIIDPK」を用いた。
<離型抵抗値>
成形温度280℃、金型温度130℃で、図1に示す成形品(9つの格子を有する成形品)を成形品を射出成形したときに、金型から成形品をエジェクターピンで突き出した際の抵抗力(MPa)を圧力センサーにより測定した。なお、離型抵抗値が高く、エジェクタ―ピンにより成形品が変形、破壊した場合、圧力センサーの検出限界を超えた場合は測定不可とした。
図1において、(a)は固定側から見た図を、(b)は可動側から見た図を、(c)は斜め方向から見た図を示している。図1に示す成形品は(b)から(a)に向かってテーパーになっている。また、(a)および(c)におけるひし形は、ゲート位置を示し、まる形は、エジェクターピンの突き出し位置を示している。
<総合評価>
各実施例および比較例について、以下の基準により、総合的に評価した。
A:耐フォギング性が5以下、かつ、離型抵抗値が17MPa以下である。
B:下記の少なくとも一方を満たす。
耐フォギング性が15以下、かつ、離型抵抗値が17MPaを超え20MPa以下である。
耐フォギング性が5を超え15以下、かつ、離型抵抗値が20MPa以下である。
C:AおよびBのいずれにも該当しない。
Figure 0006998678000001
Figure 0006998678000002
Figure 0006998678000003
上記結果から明らかなとおり、本発明のポリアミド樹脂組成物は、耐フォギング性に優れ、かつ、離型抵抗値が低かった(実施例1~10)。
これに対し、ポリオレフィンおよび高級脂肪酸金属塩の一方または両方を含まない場合(比較例1~4、7)、耐フォギング性は優れていたが、離型抵抗値が測定不可であったり、著しく高い値となった。ポリオレフィンおよび高級脂肪酸金属塩の両方を含んでいても、ポリオレフィンと高級脂肪酸金属塩の質量比率(ポリオレフィン/高級脂肪酸金属塩)が0.5~3.0の範囲を外れる場合(比較例5、比較例6)、耐フォギング性が悪くなってしまったり、離型抵抗値が著しく高い値となってしまった。
実施例1~10において、樹脂100質量部に対し、フェノール系酸化防止剤(BASF社製、Irganox1098)を0.1質量部、およびチオエーテル系酸化防止剤(住友化学社製、Sumilizer TP-D)を0.1質量部配合したところ、耐フォギング性(ヘイズ値)および離型抵抗値について、実施例1~10と同様の効果を達成した。

Claims (12)

  1. 結晶性ポリアミド樹脂100質量部に対し、
    粘度法による平均分子量が3000~50,000であるポリオレフィン0.1~2質量部と、一分子に含まれる平均炭素原子数が20以上40以下である高級脂肪酸金属塩とを含み、前記ポリオレフィンと前記高級脂肪酸金属塩の質量比率(ポリオレフィン/高級脂肪酸金属塩)が0.~3.0であり、
    さらに、前記結晶性ポリアミド樹脂100質量部に対し、強化繊維を30~300質量部の割合で含み、
    さらに、前記結晶性ポリアミド樹脂100質量部に対し、核剤を0.1~10質量部含み、さらに、前記結晶性ポリアミド樹脂がキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂とポリアミド66を含む樹脂組成物であって、
    前記キシリレン系ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、
    前記ジアミン由来の構成単位の50モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の50モル%以上が、炭素原子数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来し、
    前記樹脂組成物のJIS K7121およびK7122に準じて測定した冷却結晶化温度(Tcc)が180~230℃である、ポリアミド樹脂組成物。
  2. 前記強化繊維がガラス繊維である、請求項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. 前記ポリオレフィンの粘度法による平均分子量が、3,000~30,000である、請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. 前記ポリオレフィンの粘度法による平均分子量が、3,000~10,000である、請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物。
  5. 前記高級脂肪酸金属塩の一分子に含まれる平均炭素原子数が20超40以下である、請求項1~のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  6. 前記高級脂肪酸金属塩がモンタン酸を含む、請求項1~のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  7. 前記ポリオレフィンと前記高級脂肪酸金属塩の質量比率(ポリオレフィン/高級脂肪酸金属塩)が0.8~1.9である、請求項1~のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  8. 前記ポリアミド樹脂組成物5gを直径16mm、高さ120mmのガラス製の試験管に入れて、試験管の口を厚み2mmのガラス板で完全に覆い、135℃で24時間加熱した後の前記厚み2mmのガラス板のヘイズが0%以上15%以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. 車両用部材形成用である、請求項1~のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  10. 請求項1~のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物から形成される成形品。
  11. 車両用部材である、請求項10に記載の成形品。
  12. 請求項10または11に記載の成形品と、前記成形品に嵌合している透明部材を有する物品。
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