JP6998678B2 - ポリアミド樹脂組成物、成形品および物品 - Google Patents
ポリアミド樹脂組成物、成形品および物品 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6998678B2 JP6998678B2 JP2017114410A JP2017114410A JP6998678B2 JP 6998678 B2 JP6998678 B2 JP 6998678B2 JP 2017114410 A JP2017114410 A JP 2017114410A JP 2017114410 A JP2017114410 A JP 2017114410A JP 6998678 B2 JP6998678 B2 JP 6998678B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polyamide resin
- resin composition
- mass
- polyolefin
- metal salt
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
例えば、特許文献1には、樹脂成分を100重量%として、ポリヘキサメチレンセバカミドおよび/またはポリヘキサメチレンドデカミドが60重量%以上である射出成形用樹脂組成物が開示されている。
また、ポリアミド樹脂に各種添加剤を配合して、所望の機能を持たせることも行われている。例えば、特許文献2には、(A)ポリアミド樹脂と、(B)無機充填材と、(C)カーボンブラックと、を含むポリアミド樹脂組成物であって、前記(A)ポリアミド樹脂の少なくとも一部が(a1)芳香族ポリアミドであり、前記(C)カーボンブラックは、平均一次粒子径が20nm以上、かつ比表面積とDBP(フタル酸ジブチル)吸油量の比である比表面積/DBP吸油量が1.0以下であるポリアミド樹脂組成物が開示されている。
本発明は、かかる課題を解決することを目的とするものであって、耐フォギング性に優れ、かつ、離型性に優れた、ポリアミド樹脂組成物、ならびに、成形品および物品を提供することを目的とする。
<1>ポリアミド樹脂100質量部に対し、粘度法による平均分子量が500~50,000であるポリオレフィン0.1~2質量部と、高級脂肪酸金属塩とを含み、前記ポリオレフィンと高級脂肪酸金属塩の質量比率(ポリオレフィン/高級脂肪酸金属塩)が0.5~3.0である、ポリアミド樹脂組成物。
<2>前記ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、前記ジアミン由来の構成単位の50モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の50モル%以上が、炭素原子数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する、<1>に記載のポリアミド樹脂組成物。
<3>前記炭素原子数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸がアジピン酸である、<2>に記載のポリアミド樹脂組成物。
<4>さらに、ポリアミド樹脂100質量部に対し、強化繊維を30~300質量部の割合で含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物。
<5>前記強化繊維がガラス繊維である、<4>に記載のポリアミド樹脂組成物。
<6>前記ポリオレフィンの粘度法による平均分子量が、1,000~30,000である、<1>~<5>のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物。
<7>前記ポリオレフィンの粘度法による平均分子量が、3,000~10,000である、<1>~<5>のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物。
<8>前記高級脂肪酸金属塩の一分子に含まれる平均炭素原子数が20を超える、<1>~<7>のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物。
<9>前記高級脂肪酸金属塩がモンタン酸を含む、<1>~<8>のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物。
<10>前記ポリオレフィンと高級脂肪酸金属塩の質量比率(ポリオレフィン/高級脂肪酸金属塩)が0.8~1.9である、<1>~<9>のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物。
<11>前記ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、前記ジアミン由来の構成単位の50モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の50モル%以上がアジピン酸に由来し、前記ポリオレフィンの粘度法による平均分子量が、3,000~10,000であり、前記高級脂肪酸金属塩の一分子に含まれる平均炭素原子数が20を超え、前記ポリオレフィンと高級脂肪酸金属塩の質量比率(ポリオレフィン/高級脂肪酸金属塩)が0.8~1.9である、<1>、<4>、<5>および<9>のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物。
<12>前記ポリアミド樹脂組成物5gを直径16mm、高さ120mmのガラス製の試験管に入れて、試験管の口を厚み2mmのガラス板で完全に覆い、135℃で24時間加熱した後の前記厚み2mmのガラス板のヘイズが15%以下である、<1>~<11>のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物。
<13>成形温度280℃、金型温度130℃で、図1に示す成形品を射出成形したときに、金型から成形品をエジェクターピンで突き出した際の離型抵抗値が20MPa以下である、<1>~<12>のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物。
<14>車両用部材形成用である、<1>~<13>のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物。
<15><1>~<14>のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物から形成される成形品。
<16>車両用部材である、<15>に記載の成形品。
<17><15>または<16>に記載の成形品と、前記成形品に嵌合している透明部材を有する物品。
前記ポリオレフィンと高級脂肪酸金属塩の質量比率(ポリオレフィン/高級脂肪酸金属塩)が0.5~3.0であることを特徴とする。このような構成とすることにより、耐フォギング性に優れ、・かつ、離型性に優れたポリアミド樹脂組成物が得られる。
すなわち、離型剤である高級脂肪酸金属塩は、100℃以上の雰囲気下で分解し、分解物は揮発しやすい。そのため、例えば、自動車などのヘッドライト、リアランプの周りのハウジングに用いると長時間のランプの点灯により、ハウジングは高温に曝されるため、高級脂肪酸金属塩の分解物が揮発し、自動車のヘッドライトの場合、ヘッドライトのガラスカバー内面に付着し、長期にわたって堆積し続けると透明なガラスを曇らせてしまう。一方、離型剤を配合しないと、離型性に問題が起こる。また、離型剤の揮発を抑制するためには、ポリオレフィンのような分子量の大きい化合物を離型剤として用いることが考えられるが、離型性については十分とは言えない。本発明では、ポリアミド樹脂に、粘度法による平均分子量が500~50,000であるポリオレフィンと、高級脂肪酸金属塩を配合し、かつ、ポリオレフィンと高級脂肪酸金属塩の配合比率のバランスを図ることにより、耐フォギング性と離型性の両立に成功したものである。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂を含む。
本発明で用いるポリアミド樹脂の種類は特に定めるものではなく、公知のポリアミド樹脂を用いることができる。例えば、ポリアミド樹脂としては、特開2011-132550号公報の段落0011~0013の記載を参酌することができる。具体的には、ポリアミド6、ポリアミド66および後述する半芳香族ポリアミド樹脂が例示される。
ポリアミド樹脂は、結晶性ポリアミド樹脂でも非晶性ポリアミド樹脂でもよいが、結晶性ポリアミド樹脂が好ましい。
キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂のジアミン由来の構成単位は、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、一層好ましくは90モル%以上、より一層好ましくは95モル%以上がキシリレンジアミンに由来する。キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂のジカルボン酸由来の構成単位は、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、一層好ましくは90モル%以上、より一層好ましくは95モル%以上が、炭素原子数が4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する。
キシリレンジアミンは、パラキシリレンジアミンおよびメタキシリレンジアミンが好ましく、少なくともメタキシリレンジアミンを含むことがより好ましい。
融点は、後述する実施例に記載の方法に従って測定される。実施例に記載の機器が廃番等入手困難な場合、他の同等の性能を有する機器を用いることができる。
ポリアミド樹脂は1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、粘度法による平均分子量が500~50,000であるポリオレフィンを含む。前記粘度法による平均分子量は、1,000以上であることが好ましく、3,000以上であることがより好ましく、5,000以上であることがさらに好ましく、また、30,000以下であることが好ましく、10,000以下であることがより好ましい。
本発明におけるポリオレフィンは、酸化ポリオレフィン、酸変性型ポリオレフィンであってもよい。本発明におけるポリオレフィンは、ポリオレフィンワックスであることが好ましい。
ポリオレフィンの市販品としては、例えば、三井化学社製"三井ハイワックス"の800P、400P、200P、100P、720P、420P、320P、405MP、320MP、4051E、2203A、1140H、NL800、NP055、NP105、NP505、NP805、1105A、2203AおよびNP0555Aなどを用いることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリオレフィンを、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、高級脂肪酸金属塩を含む。高級脂肪酸金属塩は、高級モノ脂肪酸の金属塩が好ましい。
高級脂肪酸金属塩を構成する金属としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属塩が例示され、アルカリ土類金属塩が好ましい。アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウムが例示される。アルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウム、バリウムが例示され、カルシウムおよびバリウムが好ましく、カルシウムがより好ましい。
高級脂肪酸金属塩を構成する高級脂肪酸は、一分子あたりの平均炭素原子数が6以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、15以上であることがさらに好ましく、20以上であることが一層好ましく、20を超えることがより一層好ましい。前記高級脂肪酸の一分子あたりの平均炭素原子数の上限は、例えば、40以下であり、35以下であることが好ましく、30以下であることがより好ましい。
高級脂肪酸金属塩を構成する高級脂肪酸は、具体的には、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸等が挙げられ、ステアリン酸、ベヘン酸およびモンタン酸が好ましく、ステアリン酸およびモンタン酸がより好ましく、モンタン酸がさらに好ましい。
高級脂肪酸金属塩の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、モンタン酸カルシウムが例示され、モンタン酸カルシウムおよびステアリン酸バリウムが好ましく、モンタン酸カルシウムがより好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、高級脂肪酸金属塩を、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリオレフィンと高級脂肪酸金属塩の質量比率(ポリオレフィン/高級脂肪酸金属塩)が0.5~3.0である。このような構成とすることにより、耐フォギング性と離型抵抗値の両立を達成できる。
本発明では、上記ポリオレフィン/高級脂肪酸金属塩は、0.8以上であることが好ましく、また、2.5以下であることが好ましく、1.9以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましく、1.2以下であることが一層好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂組成物を補強し、剛性、耐熱性および寸法安定性等を向上させる目的で、強化繊維を配合することが好ましい。
強化繊維の具体例としては、例えば、ガラスを主成分とする強化繊維(ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ミルドファイバー)、アルミナ繊維および炭素繊維が好ましく、ガラスを主成分とする強化繊維がより好ましく、ガラス繊維がさらに好ましい。
原料ガラスの組成は、無アルカリのものも好ましく、例えば、Eガラス、Cガラス、Sガラス等が挙げられるが、本発明では、Eガラスがより好ましく用いられる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、強化繊維を、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、上記の他、ポリアミド樹脂に一般的に用いられうる他の添加剤を含んでいてもよい。このようなその他の添加剤としては、ポリアミド樹脂以外の他の熱可塑性樹脂、黒色着色剤、核剤、潤滑剤、安定剤、難燃剤、蛍光漂白剤、可塑化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、流動性改良剤等が例示される。他の添加剤の含有量は、合計で、成形品の5質量%以下であることが好ましい。これらの添加剤の詳細は、特開2011-57977号公報や特開2015-129244号公報の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本発明の樹脂組成物は、ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。他の熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノール樹脂、およびエポキシ樹脂等が挙げられる。本発明の樹脂組成物は、ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂の含有量が本発明の樹脂組成物の5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが一層好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、黒色着色剤を含んでいてもよい。本発明で用いる黒色着色剤としては、カーボンブラックが例示される。カーボンブラックの詳細は、特開2011-57977号公報の段落0021の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、本発明のポリアミド樹脂組成物にカーボンブラック等の黒色着色剤を配合する場合、ポリアミド樹脂組成物の製造に際し、特開2011-57977号公報の段落0038~0042の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本発明で用いるカーボンブラックは、DBP吸油量が40~60g/cm3であることが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物が黒色着色剤を含む場合、その含有量は、ポリアミド樹脂100質量部に対し、0.01~10質量部であることが好ましく、0.1~5質量部であることがより好ましく、0.1~3質量部であることがさらに好ましく、0.1~1質量部であることが一層好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、黒色着色剤を、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、結晶化速度を上げて成形性を高めるため、核剤を含んでいてもよい。核剤の種類は、特に、限定されるものではないが、タルク、窒化ホウ素、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、窒化珪素、カーボンブラック、チタン酸カリウムおよび二硫化モリブデンが好ましく、タルクおよび窒化ホウ素がより好ましく、タルクがさらに好ましい。
核剤の平均粒子径は、4~10μmであることが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物が核剤を含む場合、その含有量は、ポリアミド樹脂100質量部に対し、0.1~10質量部であることが好ましく、0.5~8質量部がより好ましく、1~5質量部がさらに好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、核剤を、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、冷却結晶化温度(Tcc)が180℃以上であることが好ましく、190℃以上であることがより好ましく、193℃以上であることがさらに好ましい。また、前記冷却結晶化温度は、260℃以下であることが好ましく、250℃以下であることがより好ましく、230℃以下であることがさらに好ましく、210℃以下であってもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、融点(Tm)が200℃以上であることが好ましく、210℃以上であることがより好ましく、220℃以上であることがさらに好ましい。また、前記融点は、280℃以下であることが好ましく、270℃以下であることがより好ましく、263℃以下であることがさらに好ましく、250℃以下であることが一層好ましく、245℃以下であってもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、前記ポリアミド樹脂組成物5gを直径16mm、高さ120mmのガラス製の試験管に入れて、試験管の口を厚み2mmのガラス板で完全に覆い、135℃で24時間加熱した後の前記厚み2mmのガラス板のヘイズを15%以下とすることができ、さらには12%以下、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下とすることもできる。前記耐フォギング性の下限値としては、0%が望ましいが、0.1%以上、さらには、0.5%以上、1%以上であっても、実用レベルである。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、成形温度280℃、金型温度130℃で、図1に示す成形品(9つの格子を有する成形品)を射出成形したときに、金型から成形品をエジェクターピンで突き出した際の離型抵抗値が20MPa以下であることが好ましく、前記離型抵抗値は、17MPa以下であることがより好ましい。下限値としては、0MPaが望ましいが、10MPa以上であっても実用レベルである。
上記Tcc、Tm、ヘイズおよび離型抵抗値の測定方法の詳細は、後述する実施例に記載の方法に従う。
さらに、例えば、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによってポリアミド樹脂組成物を製造することもできる。
成形品の形状としては、特に制限はなく、成形品の用途、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、板状、プレート状、ロッド状、シート状、フィルム状、円筒状、環状、円形状、楕円形状、歯車状、多角形形状、異形品、中空品、枠状、箱状、パネル状のもの等が挙げられる。
また、100~200℃の高温下に5時間以上曝される成形品に好ましく用いられる。
本発明における物品は、車両用部材が特に好ましい。
<材料>
MXD6:ポリメタキシリレンアジパミド、三菱ガス化学製、MXナイロン#6000、融点237℃
アジピン酸を窒素雰囲気下の反応缶内で加熱溶解した後、内容物を攪拌しながら、パラキシリレンジアミン(三菱ガス化学社製)とメタキシリレンジアミン(三菱ガス化学社製)のモル比が3:7の混合ジアミンを、加圧(0.35MPa)下でジアミンとアジピン酸とのモル比が約1:1になるように徐々に滴下しながら、温度を270℃まで上昇させた。滴下終了後、0.06MPaまで減圧し10分間反応を続けた。その後、内容物をストランド状に取り出し、ペレタイザーにてペレット化し、ポリアミド樹脂を得た。以下、「MP6」という。得られたMP6の融点は256℃であった。
タルク:ミクロンホワイト#5000A:林化成社製
ハイワックス800P:非酸化低分子量ポリエチレン、三井化学社製、粘度法による分子量8000
ハイワックス405MP:変性型低分子量ポリエチレン、三井化学社製、粘度法による分子量4000
ハイワックス200P:高密度ポリエチレン、三井化学社製、粘度法による分子量2000
CS-8CP:モンタン酸カルシウム 日東化成工業社製
ステアリン酸Ba:ステアリン酸バリウム、堺化学工業社製
カーボンブラック:カーボンブラックマスターバッチ、日弘ビックス社製、PA-0896
後述する下記表1~表3に示す組成(表1~表3の各成分は質量部で示している)となるように、ガラス繊維以外の成分をそれぞれ秤量し、ドライブレンドした後、二軸押出機(東芝機械社製、TEM26SS)のスクリュー根元から2軸スクリュー式カセットウェイングフィーダ(クボタ社製、CE-W-1-MP)を用いて投入し、ガラス繊維については振動式カセットウェイングフィーダ(クボタ社製、CE-V-1B-MP)を用いて押出機のサイドから上述の二軸押出機に投入し、樹脂成分等と溶融混練し、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。押出機の温度設定は、280℃とした。
ポリアミド樹脂組成物の示差走査熱量の測定はJIS K7121およびK7122に準じて行った。示差走査熱量計を用い、上記で得られたポリアミド樹脂組成物ペレットを砕いて示差走査熱量計の測定パンに仕込み、窒素雰囲気下にて昇温速度10℃/分で300℃まで昇温し、急冷する前処理を行った後に測定を行った。測定条件は、昇温速度10℃/分で、300℃で5分保持した後、降温速度-20℃/分で100℃まで測定を行い、冷却結晶化温度(Tcc)および融点(Tm)を求めた。
示差走査熱量計としては、セイコーインスツル社製「DSC7020」を用いた。
耐フォギング性は、ポリアミド樹脂組成物5gを直径16mm、高さ120mmのガラス製の試験管に入れて、試験管の口を全部覆うことのできる厚み2mmのガラス板で蓋をし、135℃で24時間加熱後に、前記厚み2mmのガラス板をヘーズメーターを用いて測定したときのヘイズ(Haze)値により評価した。
ヘーズメーターは、東京電色社製「全自動ヘーズメーター TC-HIIIDPK」を用いた。
成形温度280℃、金型温度130℃で、図1に示す成形品(9つの格子を有する成形品)を成形品を射出成形したときに、金型から成形品をエジェクターピンで突き出した際の抵抗力(MPa)を圧力センサーにより測定した。なお、離型抵抗値が高く、エジェクタ―ピンにより成形品が変形、破壊した場合、圧力センサーの検出限界を超えた場合は測定不可とした。
図1において、(a)は固定側から見た図を、(b)は可動側から見た図を、(c)は斜め方向から見た図を示している。図1に示す成形品は(b)から(a)に向かってテーパーになっている。また、(a)および(c)におけるひし形は、ゲート位置を示し、まる形は、エジェクターピンの突き出し位置を示している。
各実施例および比較例について、以下の基準により、総合的に評価した。
A:耐フォギング性が5以下、かつ、離型抵抗値が17MPa以下である。
B:下記の少なくとも一方を満たす。
耐フォギング性が15以下、かつ、離型抵抗値が17MPaを超え20MPa以下である。
耐フォギング性が5を超え15以下、かつ、離型抵抗値が20MPa以下である。
C:AおよびBのいずれにも該当しない。
これに対し、ポリオレフィンおよび高級脂肪酸金属塩の一方または両方を含まない場合(比較例1~4、7)、耐フォギング性は優れていたが、離型抵抗値が測定不可であったり、著しく高い値となった。ポリオレフィンおよび高級脂肪酸金属塩の両方を含んでいても、ポリオレフィンと高級脂肪酸金属塩の質量比率(ポリオレフィン/高級脂肪酸金属塩)が0.5~3.0の範囲を外れる場合(比較例5、比較例6)、耐フォギング性が悪くなってしまったり、離型抵抗値が著しく高い値となってしまった。
Claims (12)
- 結晶性ポリアミド樹脂100質量部に対し、
粘度法による平均分子量が3000~50,000であるポリオレフィン0.1~2質量部と、一分子に含まれる平均炭素原子数が20以上40以下である高級脂肪酸金属塩とを含み、前記ポリオレフィンと前記高級脂肪酸金属塩の質量比率(ポリオレフィン/高級脂肪酸金属塩)が0.8~3.0であり、
さらに、前記結晶性ポリアミド樹脂100質量部に対し、強化繊維を30~300質量部の割合で含み、
さらに、前記結晶性ポリアミド樹脂100質量部に対し、核剤を0.1~10質量部含み、さらに、前記結晶性ポリアミド樹脂がキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂とポリアミド66を含む樹脂組成物であって、
前記キシリレン系ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、
前記ジアミン由来の構成単位の50モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の50モル%以上が、炭素原子数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来し、
前記樹脂組成物のJIS K7121およびK7122に準じて測定した冷却結晶化温度(Tcc)が180~230℃である、ポリアミド樹脂組成物。 - 前記強化繊維がガラス繊維である、請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記ポリオレフィンの粘度法による平均分子量が、3,000~30,000である、請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記ポリオレフィンの粘度法による平均分子量が、3,000~10,000である、請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記高級脂肪酸金属塩の一分子に含まれる平均炭素原子数が20超40以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記高級脂肪酸金属塩がモンタン酸を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記ポリオレフィンと前記高級脂肪酸金属塩の質量比率(ポリオレフィン/高級脂肪酸金属塩)が0.8~1.9である、請求項1~6のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記ポリアミド樹脂組成物5gを直径16mm、高さ120mmのガラス製の試験管に入れて、試験管の口を厚み2mmのガラス板で完全に覆い、135℃で24時間加熱した後の前記厚み2mmのガラス板のヘイズが0%以上15%以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 車両用部材形成用である、請求項1~8のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1~9のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物から形成される成形品。
- 車両用部材である、請求項10に記載の成形品。
- 請求項10または11に記載の成形品と、前記成形品に嵌合している透明部材を有する物品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017114410A JP6998678B2 (ja) | 2017-06-09 | 2017-06-09 | ポリアミド樹脂組成物、成形品および物品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017114410A JP6998678B2 (ja) | 2017-06-09 | 2017-06-09 | ポリアミド樹脂組成物、成形品および物品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018203964A JP2018203964A (ja) | 2018-12-27 |
JP6998678B2 true JP6998678B2 (ja) | 2022-01-18 |
Family
ID=64955206
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017114410A Active JP6998678B2 (ja) | 2017-06-09 | 2017-06-09 | ポリアミド樹脂組成物、成形品および物品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6998678B2 (ja) |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000032693A1 (fr) | 1998-11-27 | 2000-06-08 | Unitika Ltd. | Composition de resine de polyamide et partie de support de retroviseur comprenant ladite composition |
US20050182170A1 (en) | 2004-02-13 | 2005-08-18 | Biswaroop Majumdar | Poly(arylene ether) composition |
JP2012067150A (ja) | 2010-09-21 | 2012-04-05 | Toyobo Co Ltd | 中空成形体用強化ポリアミド樹脂組成物およびそれを用いた中空成形体 |
JP2014231603A (ja) | 2013-04-30 | 2014-12-11 | 旭化成ケミカルズ株式会社 | ポリアミド樹脂組成物及び成形品 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2823036B2 (ja) * | 1992-08-20 | 1998-11-11 | 矢崎総業株式会社 | コネクタ |
JPH08143767A (ja) * | 1994-11-24 | 1996-06-04 | Toppan Printing Co Ltd | 酸素バリア性及び水蒸気透過性樹脂組成物 |
-
2017
- 2017-06-09 JP JP2017114410A patent/JP6998678B2/ja active Active
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000032693A1 (fr) | 1998-11-27 | 2000-06-08 | Unitika Ltd. | Composition de resine de polyamide et partie de support de retroviseur comprenant ladite composition |
US20050182170A1 (en) | 2004-02-13 | 2005-08-18 | Biswaroop Majumdar | Poly(arylene ether) composition |
JP2012067150A (ja) | 2010-09-21 | 2012-04-05 | Toyobo Co Ltd | 中空成形体用強化ポリアミド樹脂組成物およびそれを用いた中空成形体 |
JP2014231603A (ja) | 2013-04-30 | 2014-12-11 | 旭化成ケミカルズ株式会社 | ポリアミド樹脂組成物及び成形品 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2018203964A (ja) | 2018-12-27 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5625668B2 (ja) | ポリアミド樹脂組成物およびその成形方法 | |
JP6039945B2 (ja) | ポリアミド樹脂組成物及び成形品 | |
TW201619291A (zh) | 強化聚醯胺成型組成物及其所製造的注射成型物 | |
WO2008053911A1 (fr) | Mélange de granules d'une composition de résine de polyamide, article moulé et procédé de production du mélange de granules | |
WO2012093722A1 (ja) | 共重合ポリアミド | |
JP6518587B2 (ja) | 結晶性熱可塑性樹脂組成物および成形品 | |
WO2015001996A1 (ja) | 吸水時の振動性に優れた高融点ポリアミド樹脂組成物 | |
JP5516265B2 (ja) | ポリアミド樹脂組成物の成形方法 | |
WO2017159418A1 (ja) | ポリアミド樹脂組成物および成形品 | |
JP6796951B2 (ja) | ポリアミド樹脂組成物、成形品およびポリアミド樹脂組成物の製造方法 | |
JP6998678B2 (ja) | ポリアミド樹脂組成物、成形品および物品 | |
JP5818184B2 (ja) | 吸水時の振動性と外観に優れた高融点ポリアミド樹脂組成物 | |
JP5997525B2 (ja) | 共重合ポリアミド組成物及び成形品 | |
JP5997526B2 (ja) | ポリアミド樹脂組成物及び成形品 | |
JP7129790B2 (ja) | 樹脂組成物および成形品 | |
JP6034074B2 (ja) | 共重合ポリアミド | |
JP7524015B2 (ja) | 樹脂組成物、成形品および薄肉成形品の製造方法 | |
JP2022127208A (ja) | 樹脂組成物および成形品 | |
JP6067254B2 (ja) | 共重合ポリアミド | |
JP7459107B2 (ja) | 樹脂組成物、成形品および樹脂組成物の製造方法 | |
JP4209293B2 (ja) | 難燃性ポリアミド樹脂組成物 | |
JP7340135B2 (ja) | 樹脂組成物および成形品 | |
JP6042121B2 (ja) | ポリアミド樹脂組成物及び成形品 | |
JP6042110B2 (ja) | 共重合ポリアミド | |
JP2024062292A (ja) | 樹脂組成物、ペレット、および、成形品 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200521 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20210224 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210309 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210422 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20210803 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20211029 |
|
C60 | Trial request (containing other claim documents, opposition documents) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60 Effective date: 20211029 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20211108 |
|
C21 | Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21 Effective date: 20211109 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20211207 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20211221 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6998678 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |