JP6992259B2 - 積層フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層フィルムとその製造方法に関するものである。
熱可塑性樹脂フィルム、中でも二軸延伸ポリエステルフィルムは、機械的性質、電気的性質、寸法安定性、透明性および耐薬品性などに優れた性質を有することから、磁気記録材料や包装材料などの多くの用途において基材フィルムとして広く使用されている。
一方、ポリエステルフィルムの中には、異なる樹脂が交互に積層された積層フィルムが用いられている。このような積層フィルムでは、単層のフィルムでは得られない特異な機能を備えたフィルムとすることが可能となり、例えば、引裂強度を高めた耐引裂性フィルム(特許文献1参照。)、赤外線を反射する赤外線反射フィルム(特許文献2参照。)、および偏光反射特性を備えた偏光反射フィルム(特許文献3参照。)などが挙げられる。
しかしながら、これらのような積層フィルムにおいては、異なる樹脂が交互に積層された構造をとるため、単層のフィルムと比較して、その積層厚みの影響で機械強度や寸法安定性が低下するという傾向がある。積層フィルムの機械強度や寸法安定性が低下すると、例えば、他の各種フィルムや部材と組みあわせて機能性フィルムへと打ち抜き、断裁、コーティングおよびラミネートなどの加工を施す際に、フィルムにかかる力によって変形や破断などが生じ、加工時の加工精度や収率の低下、および得られたフィルムの光学特性や品質低下などが生じるという課題が発生したり、実際に製品などに実装した際に寸法変化に伴う不具合が発生するという課題があった。
特許第3960194号公報 特許第4310312号公報 特開2014-124845号公報
上記の課題に対して、本発明者らは一旦二軸延伸されたフィルムを再度延伸し再延伸フィルムとすることを見出している(国際出願番号PCT/JP2016/055220)。しかしながら、用いる樹脂の組み合わせや延伸前の二軸延伸フィルムの特性によっては、再度延伸する際に延伸性に乏しく、所望する機械強度や寸法安定性、光学特性を満足する物性の再延伸フィルムを得られないことがあることを見出した。特に特許文献3に開示される偏光反射特性に代表される光学特性を発現しないという課題がある。
そこで、本発明の目的は、上記の課題を解消し、再度延伸することで高い機械強度や寸法安定性、優れた光学特性を備え、かつ各種加工工程において高収率・高精度で加工することが可能となり、実使用時に不具合の生じない再延伸フィルムとなすことが可能な積層フィルムを提供することを目的とする。
また、積層フィルムを延伸する再度延伸することで高い機械強度や寸法安定性を備えつつ、優れた偏光反射特性を示す偏光反射体を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決せんとするものであって、結晶性ポリエステルからなるA層と前記結晶性ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂BからなるB層が交互に合計11層以上積層されてなる積層フィルムであって、示差走査熱量測定(DSC)において観測される融解エンタルピー(ΔHm)と結晶化エンタルピー(ΔHc)の差(|ΔHc-ΔHm|)が20J/g以下であることを特徴とする積層フィルムである。
本発明によれば、本発明の積層フィルムを再度延伸して再延伸フィルムとした際に、高い機械強度や寸法安定性、優れた光学特性を備えており、かつ各種機能性フィルムとして打ち抜き、断裁、コーティングおよびラミネートなどの加工や使用する際にも好適に使用でき、かつ実装時に不具合を生じることなく使用可能な再延伸フィルムとなる効果を奏する積層フィルムが得られる。
本発明の積層フィルムを再度延伸して得られた再延伸フィルムは、高い機械強度や寸法安定性、優れた光学特性を備えたフィルムであるため、工程フィルムや各種光学フィルム、特に偏光反射体として適当なフィルムとなる。
フィルム長手方向を含む入射面に対して垂直な偏光と、フィルム長手方向を含む入射面に対して平行な偏光と表す模式図である。
次に、本発明の積層フィルムとその製造方法について詳細に説明する。
本発明の積層フィルムは、結晶性ポリエステル(以下、結晶性ポリエステルAと称することがある。)からなる層(A層)と前記の結晶性ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂Bと称することがある。)からなる層(B層)が交互に、合計11層以上積層されてなる積層フィルムである。
ここで、結晶性ポリエステルAとは、具体的には、JIS K7122(1999)に準じて示差走査熱量測定(以下、DSCと称することがある。)を行い、昇温速度20℃/分で樹脂を25℃から300℃の温度まで20℃/分の昇温速度で加熱(1stRUN)し、その状態で5分間保持後、次いで25℃以下の温度となるように急冷し、再度25℃から20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温を行って得られた2ndRUNの示差走査熱量測定チャートにおいて、融解ピークのピーク面積から求められる融解エンタルピー(ΔHm)が、15J/g以上であるポリエステルのことを指す。より好ましくは、融解エンタルピー(ΔHm)が20J/g以上であり、さらに好ましくは25J/g以上である。
また、熱可塑性樹脂Bは、A層に用いられる結晶性ポリエステルAとは異なる光学特性または熱特性を示すものである。具体的には、積層フィルムの面内で任意に選択される直交する2方向および該面に垂直な方向のいずれかにおいて、結晶性ポリエステルAと屈折率が0.01以上異なるものや、DSCにおいて、結晶性ポリエステルAと異なる融点やガラス転移点温度を示すものをさす。
また、ここでいう交互に積層されてなるとは、A層とB層が厚み方向に規則的な配列で積層されていることをいう。例えば、A(BA)n(nは自然数)で表される規則的な配列で積層されたものである。このように光学的性質の異なる樹脂が交互に積層されることにより、各層の屈折率の差と層厚みとの関係より設計した波長の光を反射させることができる干渉反射を発現させることが可能となる。
また、熱特性の異なる樹脂が交互に積層されることにより、二軸延伸フィルムや本発明の特徴である二軸延伸フィルムを再延伸した際に各々の層の配向状態を高度に制御することが可能となり、光学特性や機械特性や寸法安定性などを制御することが可能となる。
積層フィルムの好ましい積層の形態として、結晶性ポリエステルAからなるA層、結晶性ポリエステルAとは異なる熱可塑性樹脂BからなるB層、および結晶性ポリエステルAならびに熱可塑性樹脂Bとは異なる熱可塑性樹脂CからなるC層を有する場合も挙げられる。このような場合には、CA(BA)n、CA(BA)nC、およびA(BA)nCA(BA)mなど、層Cが最外層もしくは中間層に積層される構成とすることができる。
また、積層する層数が11層未満の場合には、異なる熱可塑性樹脂が積層されていることの製膜性や機械物性などの物性への影響によって、例えば、二軸延伸フィルムの製造が困難になることがあり、他の構成要素と組み合わせて製品とする際に不具合が生じる可能性がある。また、積層フィルムを再度延伸した際に、11層未満の層数の場合再延伸フィルムが脆くなる傾向があり、ハンドリング性が低下する場合もある。
一方、本発明の積層フィルムのように合計11層以上の層が交互に積層された積層フィルムの場合、層数が11層未満の積層フィルムと対比して、均質に各々の熱可塑性樹脂が配され、かつ積層界面での界面張力や熱可塑性樹脂BからなるB層の緩衝効果によって、製膜性や機械物性、特に再度延伸させて再延伸フィルムのハンドリング性を安定化させることが可能である。また、層数が増加するに従い、各々の層での配向の成長を抑制できる傾向がみられ、例えば、界面張力による耐引裂強度向上というように機械特性や熱収縮特性を制御しやすくなることに加えて、干渉反射機能を発現させるという特異な光学特性の付与が可能となる。積層する層数は、好ましくは100層以上であり、さらに好ましくは200層以上である。フィルムを100層以上積層した場合には、幅広い帯域の光を高反射率で反射することも可能となり、さらに200層以上積層した場合には、例えば、波長400~700nmの可視光全体の光をほぼ反射できるようになる。また、積層する層数に上限はないものの、層数が増えるに従い、製造装置の大型化および複雑化に伴う製造コストの増加の原因ともなりうるために、現実的には10000層以内が実用範囲となる。
本発明の積層フィルムにおいては、積層フィルムを再度延伸することで高い機械強度や寸法安定性、優れた光学特性を備え、かつ各種加工工程において高収率・高精度で加工することが可能でかつ実使用時に不具合の生じない再延伸フィルムとなすことを特徴とする。
そのため、本発明の積層フィルムにおいては、示差走査熱量測定(DSC)において観測される融解エンタルピー(ΔHm)と結晶化エンタルピー(ΔHc)の差(|ΔHc-ΔHm|)が20J/g以下であることが必要である。ここで、融解エンタルピーは吸熱方向のピーク面積、結晶化エンタルピーは発熱方向のピーク面積より算出されるものであるが、複数個のピークが確認される場合には、各々のピークの合算値ともって融解エンタルピー、結晶化エンタルピーとする。融解エンタルピー(ΔHm)と結晶化エンタルピー(ΔHc)の差は、積層フィルムの結晶化の程度を測る尺度である。融解エンタルピー(ΔHm)と結晶化エンタルピー(ΔHc)の差の差が大きいほど積層フィルムの結晶化が進んでいることを示し、特に結晶化が進んだ積層フィルムでは融解エンタルピーのみが観測され、結晶化エンタルピーは観測されない。融解エンタルピー(ΔHm)と結晶化エンタルピー(ΔHc)の差が20J/gよりも大きい場合には、積層フィルムの結晶化が進行しているために積層フィルムを再度延伸しようとしてもその高い延伸張力や低い破断伸度のために延伸することが困難となり、所望とする機械強度や寸法安定性、光学特性の再延伸フィルムを得ることが困難となる。一方、融解エンタルピー(ΔHm)と結晶化エンタルピー(ΔHc)の差が20J/g以下である場合、積層フィルムの結晶化が完全には進んでいないため、再度延伸する際に容易に延伸を行うことが可能であり、かつ延伸後のフィルムも十分の再延伸されることによって高い機械強度や寸法安定性、優れた光学特性を得ることが可能となる。
好ましくは、融解エンタルピー(ΔHm)と結晶化エンタルピー(ΔHc)の差が3J/g以上10J/g以下である。融解エンタルピー(ΔHm)と結晶化エンタルピー(ΔHc)の差が3J/g未満である場合、積層フィルムの結晶性が低いために、再度延伸する温度・装置条件次第では、ロールへの粘着や延伸ムラの発生する場合がある。融解エンタルピー(ΔHm)と結晶化エンタルピー(ΔHc)の差が3J/g以上10J/g以下であれば、再度延伸する際にも延伸倍率を高めることができ、結果として延伸倍率の調整シロが大きくなることで機械強度や寸法安定性、光学特性を最適化でき、より高機能・高性能の再延伸フィルムとすることが容易となる。
また、本発明の積層フィルムにおいては、融解エンタルピー(ΔHm)が15J/g以上であることも好ましい。融解エンタルピー(ΔHm)が15J/g未満である場合、再度延伸されたフィルムの配向結晶化が十分でなく、特に偏光反射体のような光学性能を必要とする用途においては、結晶性ポリエステルからなるA層と結晶性ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂BからなるB層の各層の屈折率の差の大きさに依存して反射性能が発現するため、結晶性ポリエステルの配向・結晶化が十分でなく、所望する光学性能を発現しない場合もある。融解エンタルピー(ΔHm)が15J/g以上である場合、結晶性ポリエステルからなるA層と結晶性ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂BからなるB層との屈折率差を容易に導入できることから、所望の光学性能を備えた再延伸フィルムを得ることが可能となる。
また、本発明の積層フィルムにおいては、示差走査熱量測定(DSC)による5J/g以上である融解ピークが一つしか確認されないことも好ましい。示差走査熱量測定(DSC)による5J/g以上である融解ピークが一つしか確認されないということは、その融解ピークは結晶性ポリエステル由来のものであることから、熱可塑性樹脂Bは配向・結晶化していないことを示している。従って、結晶性ポリエステルからなるA層と結晶性ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂BからなるB層の各層の屈折率の差を大きくすることが容易となり、高い光学性能を備えた再延伸フィルムを得ることが可能となる。
本発明の積層フィルムにおいて、分子配向計にて測定されるMORが1.5以下であることが好ましい。MORはフィルム面内方向における誘電率の最大値と最小値の比を表すもので、特に、二軸延伸フィルムの場合、MORの数値が大きくなるに従い、積層フィルムの配向・結晶化が大きくなっていることを示す指標となる。MORが1.5以下である場合、積層フィルムの結晶化が完全には進んでいないため、再度延伸する際に容易に延伸を行うことが可能であり、かつ延伸後のフィルムも十分の再延伸されることによって高い機械強度や寸法安定性、優れた光学特性を得ることが可能となる。
本発明の積層フィルムにおいては、積層フィルムのフィルム長手方向または長手方向に直交する方向における160℃での長さ150mm×幅10mmのサンプルの破断伸度が200%以上であることが好ましい。ここでいうフィルム長手方向とは、以下のとおり定義される。ロール状に巻かれたフィルムの場合、ロール巻取方向をもってフィルム長手方向とする。フィルムからフィルム製膜時の流れ方向がわかる場合は、流れ方向をもってフィルム長手方向とする。前述2つの方法で判別が付かないサンプルにおいては、フィルムのヤング率をフィルム面内に10°毎に方向を変えて測定し、そのヤング率が最大になる方向をもってフィルム長手方向とする。フィルムを再度延伸する場合、一般的にフィルム長手方向または長手方向に直交する方向に延伸される。ここで、再延伸時の温度の例として160℃を示すが、再延伸時の破断伸度が150%以上であれば、再度延伸する際に容易に延伸を行うことが可能であり、かつ延伸後のフィルムも十分の再延伸されることによって高い機械強度や寸法安定性、優れた光学特性を得ることが可能となる。好ましくは、160℃での破断伸度が250%以上であり、さらに好ましくは300%以上である。再度延伸する場合には、延伸倍率を高めたり、延伸倍率の調整シロが大きくなることで機械強度や寸法安定性、光学特性を最適化でき、より高機能・高性能の再延伸フィルムとすることが容易となる。
また、好ましくは、積層フィルムのフィルム長手方向または長手方向に直交する方向における140℃での破断伸度が150%以上であり、さらに好ましくは120℃での破断伸度が150%以上である。より低温でも延伸可能な積層フィルムであれば、延伸方式、延伸装置の選択肢が広がり、かつ延伸倍率のみならず延伸温度を調整することで再延伸フィルムの物性を調整できるようになるため、機械強度や寸法安定性、光学特性を最適化することがさらに容易となる。なお、長さ150mm×幅10mmのサンプルの破断伸度と実際の製膜プロセスでの破断伸度はサンプル幅の違いから一致しない。
本発明の積層フィルムにおいては、積層フィルムのフィルム長手方向を含む入射面に対して平行な偏光成分について入射角度0°での透過率をT1、積層フィルムの長手方向を含む入射面に対して垂直な偏光成分について入射角度0°での透過率をT2とした場合、波長400~1400nmにおける透過率T1、T2の最小値がいずれも60%以上であることが好ましい。本発明の積層フィルムにおいては、前述のとおり結晶性ポリエステルからなるA層と結晶性ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂BからなるB層との屈折率差に由来して反射特性を示すという特徴がある。すなわち、反射率(100-透過率、%)は結晶性ポリエステルからなるA層の配向・結晶化の強さを示す指標となり、反射率が高くなるにつれてA層の配向・結晶化が増大していることを示している。ここで、積層フィルムのフィルム長手方向を含む入射面に対して平行な偏光成分について入射角度0°での透過率をT1、積層フィルムの長手方向を含む入射面に対して垂直な偏光成分について入射角度0°での透過率をT2とした場合、波長400~1400nmにおける透過率T1、T2の最小値がいずれも60%以上である場合、結晶性ポリエステルの配向が積層フィルムの結晶化が完全には進んでいないため、再度延伸する際に容易に延伸を行うことが可能であり、かつ延伸後のフィルムも十分の再延伸されることによって高い機械強度や寸法安定性、優れた光学特性を得ることが可能となる。好ましくは波長400~1400nmにおける透過率T1、T2の最小値がいずれも70%以上であり、さらに好ましくは80%以上である。この場合、再度延伸する場合には、延伸倍率を高めることが容易となり、延伸倍率の高倍率化や延伸倍率の調整シロが大きくなることで機械強度や寸法安定性、光学特性を最適化でき、より高機能・高性能の再延伸フィルムとすることが容易となる。
同様に、本発明の積層フィルムにおいては、下記式(1)から求められる波長400~1400nmでの積層フィルムの偏光度Pの最大値が20%以下であることが好ましい。偏光度は、波長400~1400nmにおける透過率T1、T2の最小値と同様の指標であることに加えて、分子配向計で測定されるMORのように配向のバランスを示す指標でもある。波長400~1400nmでの積層フィルムの偏光度Pの最大値が20%以下であるということは、結晶性ポリエステルの配向・結晶化が再度延伸するのに十分な程度に抑えられていることを示しており、本積層フィルムを再度延伸する際に容易に延伸を行うことが可能であり、かつ延伸後のフィルムも十分の再延伸されることによって高い機械強度や寸法安定性、優れた光学特性を得ることが可能となる。より好ましくは波長400~1400nmでの積層フィルムの偏光度Pの最大値が10%以下であり、再度延伸する場合には、延伸倍率を高めることが容易となり、延伸倍率の高倍率化や延伸倍率の調整シロが大きくなることで機械強度や寸法安定性、光学特性を最適化でき、より高機能・高性能の再延伸フィルムとすることが容易となる。
P(λ)=(T2(λ)―T1(λ))/(T2(λ)+T1(λ))・・式(1)
λ:測定波長(nm、400~1400nm)
本発明の積層フィルムにおいては、結晶性ポリエステAからなるA層が最外層であることが好ましい。この場合、結晶性ポリエステルAが最外層となるため、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルムのような結晶性ポリエステルフィルムと同様にして、二軸延伸フィルムを製造することが可能となる。結晶性ポリエステルではなく、例えば、非結晶性の樹脂からなる熱可塑性樹脂Bが最外層となる場合、結晶性ポリエステルフィルムと同様にして二軸延伸フィルムを得る場合、ロールやクリップなどの製造設備への粘着による製膜不良や、表面性の悪化などの問題が生じる場合がある。
本発明で用いられる結晶性ポリエステルAとしては、芳香族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオールとを主たる構成成分とする単量体からの重合により得られるポリエステルが好ましく用いられる。
ここで、芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、4,4′-ジフェニルジカルボン酸、4,4′-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′-ジフェニルスルホンジカルボン酸、6,6’-(エチレンジオキシ)ジ-2-ナフトエ酸、6,6’-(トリメチレンジオキシ)ジ-2-ナフトエ酸、6,6’-(ブチレンジオキシ)ジ-2-ナフトエ酸などを挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、およびシクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用することもできる。
特に、本発明の積層フィルムに用いられる結晶性ポリエステルAを構成するカルボン酸成分としては、最延伸後に高屈折率を発現し、ヤング率に代表される機械強度や寸法安定性を高めるという観点から、テレフタル酸と2,6-ナフタレンジカルボン酸が好ましく用いられる。テレフタル酸や2,6-ナフタレンジカルボン酸は、高い対称性を備えた芳香族環を含むことから、配向および結晶化させることにより、高い屈折率と優れた機械物性を両立することが容易となる。特に、結晶性ポリエステルAを構成するカルボン酸成分が2,6-ナフタレンジカルボン酸を含む場合、芳香族環の体積比率が増えることにより、低コストであり、かつ溶融製膜可能な樹脂としてはきわめて高い屈折率と優れた機械物性を達成することが可能である。
また、本発明の積層フィルムに用いられる結晶性ポリエステルAを構成するカルボン酸成分としては、上記のテレフタル酸や2,6-ナフタレンジカルボン酸に加えてイソフタル酸を含むことも好ましい。イソフタル酸を含むことにより、テレフタル酸や2,6-ナフタレンジカルボン酸のみでなる場合と比較して積層フィルムの配向・結晶性を適度に抑制しつつ、再延伸後の配向を容易に高めることが可能となる。
本発明の積層フィルムにおいては、結晶性ポリエステルは、結晶性ポリエステルを構成するカルボン酸成分のうち、ナフタレンジカルボン酸を50mol%以上含むことが好ましい。ナフタレンジカルボン酸を50mol%以上含むことにより、積層フィルムをさらに延伸させることで容易に配向結晶化させることが可能となり、高ヤング率化させることが容易となる。好ましくは、ナフタレンジカルボン酸を50mol%以上90mol%以下含むことである。カルボン酸成分に含まれるナフタレンジカルボン酸の含有量が90mol%以下とすることで、結晶性ポリエステルの配向・結晶性を適度に抑制できることから再度延伸する際に延伸倍率を高めることやより低い温度で延伸することが容易となるため、再度延伸される積層フィルムとしては好ましいものとすることができる。
また、結晶性ポリエステルを構成するジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、およびスピログリコールなどを挙げることができる。中でも、重合が容易であるという観点から、エチレングリコールが主たる成分であることが好ましい態様である。
ここで主たる成分とは、ジオール成分のうち50mol%以上であることを指す。これらのジオール成分は、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用することもできる。ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸などを、一部共重合することもできる。
本発明の積層フィルムにおいては、ジオール成分が少なくとも2種類以上からなり、かつ主たるジオール成分の含有量が50mol%以上90mol%以下であることも好ましい。この場合、結晶性ポリエステルの配向・結晶性を適度に抑制できることから再度延伸する際に延伸倍率を高めることやより低い温度で延伸することが容易となるため、再度延伸される積層フィルムとしては好ましいものとすることができる。
本発明の積層フィルムにおいては、結晶性ポリエステルを構成するすべてのジカルボン酸成分とすべてのジオール成分の和を200mol%としたとき、主たるジカルボン酸成分およびジオール成分以外のジカルボン酸とジオール成分の和が20mol%未満であることも好ましい。主たるジカルボン酸成分およびジオール成分以外のジカルボン酸とジオール成分の和が20mol%未満であることにより、適度な結晶性を備えつつ再度延伸する際に延伸倍率を高めることやより低い温度で延伸することが容易となるため、再度延伸される積層フィルムとしては好ましいものとすることができるとともに、実際に得られた積層フィルムは高い偏光反射性能を備えたものとできる。
さらに好ましくは、本発明の結晶性ポリエステルAからなるA層が、2種類以上の結晶性ポリエステルや熱可塑性樹脂Bの混合物からなることである。2種類以上の結晶性ポリエステルや熱可塑性樹脂Bの混合物である場合も、結晶性ポリエステルの配向・結晶性を適度に抑制できることから再度延伸する際に延伸倍率を高めることやより低い温度で延伸することが容易となるため、再度延伸される積層フィルムとしては好ましいものとすることができる。また、結晶性ポリエステルの組成で配向・結晶性を制御する場合には、樹脂そのものの結晶性が低下するためにフィルムを製膜する際の樹脂の乾燥や押出に問題が生じるケースもあるが、2種類の結晶性ポリエステルや熱可塑性樹脂Bを混合する場合、各々の樹脂は乾燥・押出性に優れるため安定してフィルムを製膜することが容易となる。2種類以上のポリエステルを混合するさらに好ましい効果として、各々の結晶性ポリエステルが完全に混合せずにドメインと呼ばれる微小な領域を持って分散するため、各々のドメイン内での結晶化が進行し、再度延伸するために必要な程度の低い配向・結晶性でありながら、延伸時にロール粘着などの製膜トラブルを抑制するという効果を示す。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂Bとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4-メチルペンテン-1)などの鎖状ポリオレフィン;ノルボルネン類の開環メタセシス重合、付加重合、他のオレフィン類との付加共重合体である脂環族ポリオレフィン;ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66などのポリアミド、アラミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリアセタール、ポリグルコール酸、ポリスチレン、スチレン共重合ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボーネート;ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチルサクシネートなどのポリエステル;ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアリレート、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、4フッ化エチレン-6フッ化プロピレン共重合体、およびポリフッ化ビニリデンなどを用いることができる。
これらの中でも、強度、耐熱性、透明性および汎用性の観点に加え、A層に用いられる結晶性ポリエステルAとの密着性および積層性という観点から、ポリエステルが好ましく用いられる。これらは、共重合体であっても混合物であっても用いられる。
本発明の積層フィルムにおいて、熱可塑性樹脂Bがポリエステルの場合は、芳香族ジカルボン酸成分および/または脂肪族ジカルボン酸成分とジオール成分とを主たる構成成分とする単量体からの重合により得られるポリエステルが好ましく用いられる。ここで、芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジカルボン酸成分およびジオール成分としては、結晶性ポリエステルAで挙げられた成分が好適に用いられる。
本発明の積層フィルムにおいて、熱可塑性樹脂Bは、芳香族ジカルボン酸成分とジオール成分を主たる構成成分とする芳香族ポリエステルであることが好ましい。さらに、干渉反射機能を備えた積層フィルムを得るためには、熱可塑性樹脂Bとしては、非晶性樹脂であることも好ましい態様である。結晶性樹脂と比較して非晶性樹脂は二軸延伸フィルムを製造する際に配向が生じにくいため、熱可塑性樹脂BからなるB層の配向結晶化に伴う屈折率の増加を抑制でき、結晶性ポリエステルAからなるA層との屈折率差を容易に発生させることが可能となる。
ここでいう非晶性樹脂とは、JIS K7122(1999)に準じて、昇温速度20℃/分で樹脂を25℃から300℃の温度まで20℃/分の昇温速度で加熱(1stRUN)、その状態で5分間保持後、次いで25℃の温度以下となるように急冷し、再度室温から20℃/分の昇温速度で300℃の温度まで昇温を行って、得られた2ndRUNの示差走査熱量測定チャートにおいて、融解ピークのピーク面積から求められる結晶融解熱量ΔHmが、5J/g以下の樹脂であり、より好ましくは結晶融解に相当するピークを示さない樹脂である。
また、積層フィルムを再度延伸し再延伸フィルムとした際に干渉反射機能を備えた積層フィルムを得るためには、熱可塑性樹脂Bとしては、結晶性ポリエステルAの融点より20℃以上低い融点をもつ結晶性樹脂も好ましく用いられる。この場合、再延伸後に熱可塑性樹脂Bの融点と結晶性ポリエステルAの融点との間の温度でさらに熱処理を実施することにより、熱処理工程で完全に緩和させることができ、結晶性ポリエステルAからなるA層との屈折率差を最大化できる。好ましくは、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの融点の差は、40℃以上である。この場合、熱処理工程での温度の選択幅が広くなるために、熱可塑性樹脂Bの配向緩和の促進や結晶性ポリエステルの配向の制御がさらに容易にできるようになる。
結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの好ましい組み合わせとしては、両者のSP値の差の絶対値は、1.0以下であることが好ましい。SP値の差の絶対値が1.0以下になると、A層とB層の層間剥離が生じにくくなる。より好ましくは、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bは、同一の基本骨格を供えた組み合わせからなることである。
ここでいう基本骨格とは、樹脂を構成する繰り返し単位のことである。例えば、結晶性ポリエステルAとしてカルボン酸成分が2,6-ナフタレンジカルボン酸のみからなるポリエチレンナフタレートまたは2,6-ナフタレンジカルボン酸をカルボン酸成分の50%以上含む主成分とするポリエチレンナフタレート共重合体を用いる場合は、熱可塑性樹脂Bとして非晶性のポリエチレンナフタレート共重合体または結晶性ポリエステルAより融点の低い結晶性ポリエチレンナフタレート共重合体を用いることが好ましい。
また、積層フィルムを再度延伸し再延伸フィルムとした際に干渉反射機能を備えた積層フィルムを得るためには、熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度が結晶性ポリエステルAのガラス転移温度より10℃以上低いことが好ましい。この場合、各延伸工程においても結晶性ポリエステルを延伸するために最適な延伸温度をとった場合に、熱可塑性樹脂Bでの配向が進まないため、結晶性ポリエステルからなるA層との屈折率差を大きくとることができる。より好ましくは、熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度が結晶性ポリエステルAのガラス転移温度より20℃以上低いことである。
後述する本発明の積層フィルムやさらに再度延伸した再延伸フィルムを得るために好適な製造方法においては、熱可塑性樹脂Bの配向結晶化が進みやすく所望の干渉反射機能が得られない場合もあるが、熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度が結晶性ポリエステルAのガラス転移温度より20℃以上低くすることにより、配向結晶化を抑制できるものである。
また、熱可塑性樹脂中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機系易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、および核剤などを、その特性を悪化させない程度に添加させることができる。
次に、本発明の積層フィルムの好ましい製造方法を以下について説明する。
また、本発明で用いられる積層フィルムの積層構造は、特開2007-307893号公報の[0053]~[0063]段に記載の内容と同様の方法により簡便に実現することができる。
まず、結晶性ポリエステルAおよび熱可塑性樹脂Bを、ペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、熱風中あるいは真空下で乾燥された後、別々の押出機に供給される。押出機内において、加熱溶融された樹脂は、ギアポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルター等を介して異物や変性した樹脂などを取り除かれる。これらの樹脂は、多層積層装置に送り込まれる。
多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができるが、本発明の構成を効率よく得るためには、11個以上の微細スリットを有するフィードブロックを用いることが好ましい。このようなフィードブロックを用いることにより、装置が極端に大型化することがないため、熱劣化による異物が少なく、積層数が極端に多い場合でも、高精度な積層が可能となる。また、幅方向の積層精度も従来技術に比較して格段に向上する。また、この装置では、各層の厚みをスリットの形状(長さ、幅)で調整できるため、任意の層厚みを達成することが可能となる。
そして、ダイから吐出された積層シートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化されることにより、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力により、吐出されたシートを冷却体に密着させ、急冷固化させることが好ましい。また、吐出されたシートを冷却体に密着させる方法としては、スリット状、スポット状および面状の装置からエアーを吹き出すこと、およびニップロールを用いる方法も好ましい態様である。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、二軸延伸することが好ましい。ここで、二軸延伸とは、フィルムを長手方向および幅方向に延伸することをいう。二軸延伸することにより、結晶性ポリエステルに適度な配向・結晶性を付与することが可能となり、再度延伸するのに適した積層フィルムとすることが可能となる。
得られたキャストフィルムを、まず長手方向に延伸する。長手方向への延伸は、通常はロールの周速差により施される。この延伸は、1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行うこともできる。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、2~5倍であることが好ましい。この1回目の長手方向への延伸の目的は、次に続くフィルム幅方向への延伸時の均一延伸性を向上させるために必要最低限の配向を設けることにある。そのため、延伸倍率を5倍より大きい倍率とする場合、後述のフィルム幅方向延伸、および、積層フィルムを再度延伸する際に十分な延伸倍率のフィルムが得られなくなる場合がある。また、延伸倍率が2倍未満である場合には、延伸時に次の工程に必要とされる最低限の配向も付与できず、かつフィルム長手方向に厚みムラが生じ品位が低下する場合もある。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する結晶性ポリエステルAのガラス転移温度~ガラス転移温度+30℃の温度であることが好ましい。
このようにして得られた一軸延伸フィルムに、必要に応じてコロナ処理、フレーム処理およびプラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、および帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与することができる。
続いて、一軸延伸フィルムを幅方向に延伸する。幅方向の延伸は、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては、樹脂の種類により異なるが、通常、2~5倍であることが好ましい。この幅方向への延伸の目的は、積層フィルムを再度延伸する際に求められる高い延伸性を付与するための必要最低限の配向を設けることにある。そのため、延伸倍率を5倍より大きい倍率とする場合、積層フィルムを再度延伸する際に十分な延伸倍率の再延伸フィルムが得られなくなる場合がある。また、延伸倍率が2倍未満である場合には、延伸時にフィルム幅方向に厚みムラが生じ品位が低下する場合もある。また、延伸温度は、積層フィルムを構成する結晶性ポリエステルAのガラス転移温度~ガラス転移温度+30℃、もしくはガラス転移温度~結晶性ポリエステルの結晶化温度の間であることが好ましい。ここでいう結晶性ポリエステルの結晶化温度とは、一軸延伸フィルムの示差走査熱量測定(DSC)において観測される結晶化温度である。ガラス転移温度から30℃より高い温度で延伸すると、再度延伸するために積層フィルムに求められる最低限の配向の付与ができなかったり、厚みムラが悪化して積層フィルムを再度延伸して得られる再延伸フィルムの品位が低下する場合がある。また、結晶化ポリエステルの結晶化温度よりも高い温度で延伸した場合、延伸時に結晶性ポリエステルの配向・結晶化が進行し、再度延伸する際に必要とされる高い延伸性を付与できなくなる可能性がある。積層フィルムを構成する結晶性ポリエステルAのガラス転移温度~ガラス転移温度+30℃、もしくはガラス転移温度~結晶性ポリエステルの結晶化温度の間で延伸することにより、得られた積層フィルムを再度延伸する際に容易に延伸を行うことが可能であり、かつ延伸後のフィルムも十分の再延伸されることによって高い機械強度や寸法安定性、優れた光学特性を得ることが可能となる。
通常、このようにして得られた二軸延伸されたフィルムは、平面性および寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の温度で熱処理を行う場合もあるが、本発明の積層フィルムにおいては、延伸後は延伸温度以上の熱を付与しないことが好ましい。延伸後に延伸温度以上の熱をかけることにより結晶化が促進される場合があるためである。
本発明の積層フィルムは、再度延伸するのに適したフィルムである。以下の方法にて再度延伸を行うことによって、高い機械強度、寸法安定性、光学特性を付与することが可能となる。
再度延伸する方法の例を以下に示す。
一つの例として、得られた二軸延伸フィルムを再度長手方向に延伸する場合があげられる。この長手方向への延伸は、通常は、ロールの周速差により施される。この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行うこともできる。延伸の倍率は樹脂の種類により異なるが、1.3~4倍であることが好ましい。本発明の積層フィルムであれば、再度延伸する際にも延伸性に優れるため、容易に1.3~4倍に延伸することも可能である。また、1.3~4倍に延伸することにより、後述のとおり機械物性、寸法安定性や光学特性を示すフィルムとすることが可能である。延伸倍率が1.3倍未満である場合、再度行う延伸に伴う機械物性、寸法安定性、光学特性の変化がわずかとなり、所望する物性の再延伸フィルムが得られない場合がある。一方、延伸倍率が4倍よりも大きい場合には、再延伸フィルムの配向が強くなるため、機械物性、寸法安定性、光学特性の向上は達成できるものの、再延伸フィルムがもろくなり、用いる用途によっては適さないフィルムとなる場合もある。
また、別の例として、得られた二軸延伸フィルムを再度幅方向に延伸する場合があげられる。この幅方向への延伸は、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。好ましい延伸倍率などは長手方向に延伸する場合と同様である。このように、再度幅方向へ延伸する効果として、最初の幅方向への延伸倍率を大きくとった場合と比較して一旦積層フィルムを冷却することで積層フィルムの配向・結晶状態を固定し、改めて再延伸することで再延伸フィルムにより強固に配向を付与できるという効果がある。
このようにして得られた再延伸フィルムは、平面性および寸法安定性を付与するために、延伸温度以上融点以下の温度で熱処理を行うことも好ましい。熱処理を行うことにより、配向結晶化が促進されて機械物性が向上する効果が得られるとともに、配向結晶化の促進に伴い寸法安定性も向上る。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、常温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理後、徐冷する際に弛緩処理などを行うこともできる。
以下に得られた延伸フィルムの物性を示す。
本発明の積層フィルムを再延伸することにより、再延伸した方向のヤング率を向上させることができる。ヤング率を6GPaとすることによって、打ち抜き、断裁、コーティングおよびラミネートなどの加工工程や機能性フィルムとして使用時に積層フィルムに力がかかった際にも変形を抑制することができ、フィルムの変形に伴う加工不良や使用時の性能変化を抑制することが容易となる。本発明の積層フィルムを用いて再度延伸されたフィルムでは、積層フィルムの最後の延伸した方向とそれと同一の面内で直交する方向のヤング率の比を2以上とすることができるため、等方的に高倍率に延伸した場合と比較して高いヤング率を達成することが容易となる。
また、本発明の積層フィルムを再延伸することにより、再延伸した方向の40℃から50℃の温度における線膨張係数の絶対値を、10ppm/℃以下とすることができる。線膨張係数とは、温度を変化させたときのフィルムの大きさの変わりやすさを示す指標であり、熱膨張係数の絶対値が小さくなることにより、打ち抜き、断裁、コーティングおよびラミネートなどの加工工程時や機能性フィルムとして使用時に積層フィルムの温度が変化した際にも、フィルムの変形を抑制することができ、フィルムの変形に伴う加工不良や使用時の性能変化を抑制することが容易になる。
本発明の積層フィルムを再延伸することにより、偏光反射体を得ることも容易となる。
本発明の積層フィルムにおいては、積層フィルムを長手方向に延伸した際にフィルムが破断する倍率がX倍、積層フィルムを長手方向に直交する方向に延伸した際にフィルムが破断する倍率がX’倍であったとき、前記積層フィルムを長手方向に(X-0.2)倍延伸した積層フィルム、あるいは、前記積層フィルムを長手方向に直交する方向に(X’-0.2)倍延伸した積層フィルムの延伸方向を含む入射面に対して平行な偏光成分について入射角度10°での反射率をR3、延伸を含む入射面に対して垂直な偏光成分について入射角度10°での反射率をR4とした場合、波長550nmにおける反射率が下記式(2)および式(3)を満足することが好ましい。下記の式(2)および式(3)を満足することにより、いずれかの偏光を反射し、他方の偏光を透過するという偏光反射特性を付与することが可能となる。下記の式(2)を満足するフィルムを得るためには、積層フィルムの最後の延伸した方向におけるA層とB層の屈折率差を0.08以上、より好ましくは、0.1以上、さらに好ましくは、0.15以上となる樹脂の組合せの選択および製膜条件で調整できる。下記の式(3)を満足するフィルムを得るためには、積層フィルムの最後の延伸した方向に直交する方向におけるA層とB層の屈折率差を0.02以下、より好ましくは、0.01以下、さらに好ましくは、0.005以下となる樹脂の組合せで調整することができる。その最適な組み合わせの例は前述のとおりである。
R3(550)≧70% ・・・式(2)
R4(550)≦40% ・・・式(3)。
(特性の測定方法および効果の評価方法)
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は、次のとおりである。
(1)積層数:
積層フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察することにより求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H-7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVの条件でフィルムの断面写真を撮影し、層数を確認した。
(2)フィルムの結晶化エンタルピー(ΔHc)、融解エンタルピー(ΔHm)、5J/g以上である融解ピークの数:
測定する積層フィルムからサンプリングを行い、示差熱量分析(DSC)を用いてJIS-K-7122(1987年)に従って、測定サンプルのDSC曲線を測定した。試験は、25℃から290℃の温度まで20℃/分で昇温し、その際の結晶化エンタルピーならびに融解エンタルピー、5J/g以上である融解ピークの数を計測した。用いた装置等は、次のとおりである。
・装置:セイコー電子工業(株)製“ロボットDSC-RDC220”
・データ解析”ディスクセッションSSC/5200”
・サンプル質量:5mg
(3)MOR
サンプルサイズを10cm×10cmとし、フィルム幅方向中央において、サンプルを切り出した。KSシステムズ(株)製(現王子計測機器(株))の分子配向計MOA-2001を用いて、MORを求めた。
(4)偏光成分をもつ入射光に対する反射率と透過率の測定:
積層フィルムにおいては、ヤング率測定にて決定される配向軸方向(長手方向の定義の一つ)の長さが最大となる線分上の配向軸方向中心から5cm×5cmで切り出した。日立製作所製 分光光度計(U-4100 Spectrophotomater)に付属の積分球を用いた基本構成で、装置付属の酸化アルミニウムの副白板を基準として測定した。サンプルは、積層フィルムの配向軸方向を垂直方向にして積分球の後ろに設置した。また、付属のグランテーラ社製偏光子を設置して、偏光成分を0および90°に偏光させた直線偏光を入射して、波長400~1400nmの反射率、透過率を測定した。フィルム長手方向を含む入射面に対して平行な偏光成分について入射角度0°での透過率をT1、積層フィルムの長手方向を含む入射面に対して垂直な偏光成分について入射角度0°での透過率をT2とし、波長400~1400nmにおける透過率T1、T2の最小値を求めた。
同様に、再延伸積層フィルムにおいては、再延伸した方向と直交する方向中心からから5cm×5cmで切り出した。切り出したサンプルは、積層フィルムの再延伸した方向を垂直方向にして積分球の後ろに設置した。
ここでいうフィルム長手方向とは、以下のとおり定義される。ロール状に巻かれたフィルムの場合、ロール巻取方向をもってフィルム長手方向とする。フィルムからフィルム製膜時の流れ方向がわかる場合は、流れ方向をもってフィルム長手方向とする。前述2つの方法で判別が付かないサンプルにおいては、フィルムのヤング率をフィルム面内に10°毎に方向を変えて測定し、そのヤング率が最大になる方向をもってフィルム長手方向とする。
測定条件は、次のとおりである。スリットは、2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/分で測定し、方位角0~180度における反射率を得た。サンプルの反射測定時は、裏面からの反射による干渉をなくすために、マジックインキ(登録商標)で黒塗りした。
また、同様に切り出したサンプルを黒塗りすることなく同様に透過率を測定し、得られた透過率のデータから、次の式(1)によって波長400~1400nmの範囲で偏光度Pを求めた。
P(λ)=(T2(λ)―T1(λ))/(T2(λ)+T1(λ))・・式(1)
(5)再延伸フィルムのヤング率:
再延伸した積層フィルムを、長さ150mm×幅10mmの短冊形に切り出し、サンプルとした。引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT-100)を用いて、初期引張チャック間距離50mmとし、引張速度を300mm/分として引張試験を行った。測定は室温23℃、相対湿度65%の雰囲気で実施し、得られた荷重-歪曲線からヤング率を求めた。測定は、各サンプルについて5回ずつ行い、それらの平均値で評価を行った。
(6)積層フィルムの破断伸度:
積層フィルムを、ヤング率測定にて決定される配向軸方向および配向軸方向に直交する方向に長さ150mm×幅10mmの短冊形に切り出し、サンプルとした。160℃で温調された恒温槽と引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT-100)と用いて、初期引張チャック間距離50mmとし、引張速度を300mm/分として引張試験を行った。得られた荷重-歪曲線から最大荷重となる点をもって破断伸度とした。測定は、各サンプルについて5回ずつ行い、それらの平均値で評価を行った。
(7)積層フィルムの長手方向へ再延伸したときの破断倍率
積層フィルムを、幅400mmにスリットした後、直径200mmのロール6本にて125℃まで加熱した。その後、ラジエーションヒーターにて加熱した後、160℃まで加熱された直径120mmの2本のロール(延伸ロール)にて上下からニップし、延伸区間長が124mmとなるように設置された25℃に冷却された直径120mmのロール(冷却ロール)へとフィルムを通した上で巻き取った。その後、フィルムが破断するまで1.1倍から0.1倍ずつ延伸ロールと冷却ロール間の倍率を上げていき、フィルムが破断した倍率をもって長手方向に延伸した際のフィルムが破断する倍率Xとした。
(8)積層フィルムの長手方向に直交する方向へ再延伸したときの破断倍率
積層フィルムを、幅400mmにスリットした後、テンターのクリップにてフィルムの両端を把持させて、入口から出口に向けてレール幅が1.1倍となるように拡幅・延伸させてテンター出口にて巻き取った。その後、レール幅を0.1倍ずつ拡幅させていき、フィルムが長手方向または長手方向に直交する方向に破れた倍率を持って長手方向に直交する方向に延伸した際のフィルムが破断する倍率X’とした。
(9)線膨張係数:
再延伸した積層フィルムを、その配向軸方向に長さ25mm×幅4mmの短冊形に切り出し、サンプルとした。TMA試験機(セイコーインスツルメンツ製TMA/SS6000)を用いて、初期引張チャック間距離15mmとし、引張張力を29.4mNで一定にしたまま、試験機内温度を25℃から150℃の温度まで5℃/分で上昇させ、積層フィルムの配向軸方向についてTMA測定を行った。得られたTMA-温度曲線から、40℃から50℃の温度における線膨張係数を求めた。線膨張係数は、TMAおよび温度ともに、測定したい温度の±5℃の値の差分から求めた。
(10)加工性:
ロール状のフィルムを打ち抜き機に導入し、長さを500mmとし、フィルム幅に対して95%の幅長さの矩形状の金型を用いて、打ち抜きを実施した。また、長手方向の打ち抜き間隔は40mmとした。次のA、BおよびC評価を行った。AとBを合格とした。
A:フィルムが破断なく連続的に搬送し、加工することができた。
B:フィルムが部分的な破断は起こったものの、長手方向の連続搬送は可能であり、連続的に加工することができた。
C:フィルムが完全に破断し、長手方向の連続加工連続加工ができなくなった。
(11)実装テスト:
サンプルとなる積層フィルムを、フィルム幅方向中央部の位置から長手方向1450mm×幅方向820mmサイズで切り出した。次いで、ハイセンスジャパン株式会社製32型液晶TV LHD32K15JPバックライトの上に、50%拡散板、マイクロレンズシート、偏光反射体、および偏光板の順に設置し、60℃耐熱試験および60℃90%RHでの耐湿熱試験を12時間行った後の偏光反射体の平面性を目視によって評価した。
平面性の評価は、下記のA、BおよびCで判定した。Aを合格とした。
A:耐熱試験及び耐湿熱試験で外観問題なし
B:いずれかの試験で外観問題あり。
(12)ナフタレンジカルボン酸の含有率:
積層フィルムの、結晶性ポリエステルからなるA層を重水素化ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)もしくはHFIPと重水素化クロロホルムの混合溶媒に溶解し、H-NMRおよび13C-NMRを用いて組成分析した。
以下、実施例1~4、9、10は参考例とする。
(実施例1)
結晶性ポリエステルAとして、融点が266℃で、ガラス転移温度122℃の2,6-
ポリエチレンナフタレート(PEN)を用いた。また、熱可塑性樹脂Bとして融点を持た
ない非晶性樹脂でありガラス転移温度が103℃で、ジカルボン酸成分として2,6-ナ
フタレンジカルボン酸50mol%と、テレフタル酸50mol%を用い、ジオール成分
としてエチレングリコール100mol%と用いて共重合した共重合PEN(共重合PE
N1)を用いた。
準備した結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bを、2台の単軸押出機にそれぞれ投入し、290℃の温度で溶融させて混練した。次いで、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bを、それぞれFSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて計量しながら、スリット数11個の積層装置にて合流させて、厚み方向に交互に11層積層された積層体を得た。積層体とする方法は、日本特開2007-307893号公報〔0053〕~〔0056〕段の記載の方法に従って行った。
ここでは、スリットの長さおよび間隔は、全て一定とした。得られた積層体は、結晶性ポリエステルAが6層、熱可塑性樹脂Bが5層であり、厚み方向に交互に積層された積層構造を有していた。また、口金内部での拡幅比である口金リップのフィルム幅方向長さを口金の流入口部でのフィルム幅方向の長さで割った値が2.5となるようにした。
得られたキャストフィルムを、120℃の温度に設定したロール群で加熱した後、フィルム長手方向に135℃の温度に設定されたロールで3.3倍に延伸し、その後一旦冷却した。このようにして得られた一軸延伸フィルムをテンターに導き、115℃の温度の熱風で予熱後、135℃の温度でフィルム幅方向に3.5倍延伸し、二軸延伸フィルムをフィルムロールとして得た。
得られた積層フィルムの物性を表1に示すが、融解エンタルピーと結晶化エンタルピーの差は小さく、MOR、透過率ともに低いものとなっていた。
得られた積層フィルムを、さらに160℃の温度に設定したロール群で加熱した後、フィルムが破断するまで延伸したところ延伸倍率(160℃での破断伸度X)は1.6倍であった。そこで、フィルム長手方向に1.4倍に延伸し、再延伸フィルムとした。
得られた再延伸フィルムの物性を表1に示すが、再延伸方向に相当するフィルム長手方向に高いヤング率と低い線膨張係数(40~50℃)を示すもので、製品への加工時や実使用時においても、良好に使用できるものであった。一方、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率の違いに由来する干渉反射特性を示すものであったが、偏光反射体として用いるには十分な性能は備えていないものであった。
(実施例2)
用いられる積層装置を、スリット数が101個である装置を用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムの物性を表1に示すが、融解エンタルピーと結晶化エンタルピーの差は小さく、MOR、透過率ともに低いものとなっていた。
得られた積層フィルムを、さらに160℃の温度に設定したロール群で加熱した後、フィルムが破断するまで延伸したところ延伸倍率(160℃での破断伸度X)は1.9倍であった。そこで、フィルム長手方向に1.7倍に延伸し、再延伸フィルムとした。
得られた再延伸フィルムの物性を表1に示すが、再延伸方向に相当するフィルム長手方向に高いヤング率と低い線膨張係数(40~50℃)を示すもので、製品への加工時や実使用時においても、良好に使用できるものであった。また、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率の違いに由来する干渉反射特性を示すものであり、実施例1と比較しても高い偏光反射特性を示した。
(実施例3)
用いられる積層装置をスリット数が201個である装置を用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムの物性を表1に示すが、融解エンタルピーと結晶化エンタルピーの差は小さく、MOR、透過率ともに低いものとなっていた。
得られた積層フィルムを、さらに160℃の温度に設定したロール群で加熱した後、フィルムが破断するまで延伸したところ延伸倍率(160℃での破断伸度X)は2.1倍であった。そこで、フィルム長手方向に1.9倍に延伸し、再延伸フィルムとした。
得られた再延伸フィルムの物性を表1に示すが、再延伸方向に相当するフィルム長手方向に高いヤング率と低い線膨張係数(40~50℃)を示すもので、製品への加工時や実使用時においても、良好に使用できるものであった。また、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率の違いに由来する干渉反射特性を示すものであり、実施例2と比較しても高い偏光反射特性を示し、偏光反射部材として用いることが可能なレベルのものであった。
(実施例4)
用いられる積層装置をスリット数が401個である装置を用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムの物性を表1に示すが、融解エンタルピーと結晶化エンタルピーの差は小さく、MOR、透過率ともに低いものとなっていた。
得られた積層フィルムを、さらに160℃の温度に設定したロール群で加熱した後、フィルムが破断するまで延伸したところ延伸倍率(160℃での破断伸度X)は2.4倍であった。そこで、フィルム長手方向に2.2倍に延伸し、再延伸フィルムとした。
得られた再延伸フィルムの物性を表1に示すが、再延伸方向に相当するフィルム長手方向に高いヤング率と低い線膨張係数(40~50℃)を示すもので、製品への加工時や実使用時においても、良好に使用できるものであった。また、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率の違いに由来する干渉反射特性を示すものであり、実施例3と比較しても高い偏光反射特性を示し、偏光反射部材として非常に高い性能であった。
(実施例5)
結晶性ポリエステルとして、ガラス転移温度が119℃で、ジカルボン酸成分として2,6-ナフタレンジカルボン酸100mol%を用い、ジオール成分としてエチレングリコール90mol%、ネオペンチルグリコール10mol%を用いて共重合した共重合PEN(共重合PEN2)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムの物性を表1に示すが、融解エンタルピーと結晶化エンタルピーの差は実施例4よりもさらに小さく、MOR、透過率ともに低いものとなっていた。
得られた積層フィルムを、さらに160℃の温度に設定したロール群で加熱した後、フィルムが破断するまで延伸したところ延伸倍率(160℃での破断伸度X)は2.8倍であった。そこで、フィルム長手方向に2.6倍に延伸し、再延伸フィルムとした。
得られた再延伸フィルムの物性を表1に示すが、再延伸方向に相当するフィルム長手方向に高いヤング率と低い線膨張係数(40~50℃)を示すもので、製品への加工時や実使用時においても、良好に使用できるものであった。また、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率の違いに由来する干渉反射特性を示すものであり、実施例4と比較してもさらに高い偏光反射特性を示し、偏光反射部材として非常に高い性能であった。
(実施例6)
結晶性ポリエステルとして、ガラス転移温度が117℃で、ジカルボン酸成分として2,6-ナフタレンジカルボン酸90mol%、テレフタル酸10mol%を用い、ジオール成分としてエチレングリコール100mol%を用いて共重合した共重合PEN(共重合PEN3)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムの物性を表1に示すが、融解エンタルピーと結晶化エンタルピーの差は実施例4よりもさらに小さく、MOR、透過率ともに低いものとなっていた。
得られた積層フィルムを、さらに160℃の温度に設定したロール群で加熱した後、フィルムが破断するまで延伸したところ延伸倍率(160℃での破断伸度X)は3.0倍であった。そこで、フィルム長手方向に2.8倍に延伸し、再延伸フィルムとした。
得られた再延伸フィルムの物性を表1に示すが、再延伸方向に相当するフィルム長手方向に高いヤング率と低い線膨張係数(40~50℃)を示すもので、製品への加工時や実使用時においても、良好に使用できるものであった。また、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率の違いに由来する干渉反射特性を示すものであり、実施例4と比較してもさらに高い偏光反射特性を示し、偏光反射部材として非常に高い性能であった。
(実施例7)
結晶性ポリエステルとして、ガラス転移温度が117℃で、ジカルボン酸成分として2,6-ナフタレンジカルボン酸70mol%、テレフタル酸30mol%を用い、ジオール成分としてエチレングリコール100mol%を用いて共重合した共重合PEN(共重合PEN4)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムの物性を表1に示すが、融解エンタルピーと結晶化エンタルピーの差は実施例4よりもさらに小さく、MOR、透過率ともに低いものとなっていた。
得られた積層フィルムを、さらに160℃の温度に設定したロール群で加熱した後、フィルムが破断するまで延伸したところ延伸倍率(160℃での破断伸度X)は4.0倍であった。そこで、フィルム長手方向に3.8倍に延伸し、再延伸フィルムとした。
得られた再延伸フィルムの物性を表1に示すが、再延伸方向に相当するフィルム長手方向に高いヤング率と低い線膨張係数(40~50℃)を示すもので、製品への加工時や実使用時においても、良好に使用できるものであった。また、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率の違いに由来する干渉反射特性を示すものであったが、実施例4と比較すると結晶性ポリエステルの特性を反映してやや低い偏光反射特性を示した。
(実施例8)
実施例5と同様に得られたキャストフィルムを、以下の製造方法にて二軸延伸フィルムとした。
キャストフィルムは、120℃の温度に設定したロール群で加熱した後、フィルム長手方向に135℃の温度に設定されたロールで2.8倍に延伸し、その後一旦冷却した。このようにして得られた一軸延伸フィルムをテンターに導き、115℃の温度の熱風で予熱後、135℃の温度でフィルム幅方向に3.5倍延伸し、二軸延伸フィルムをフィルムロールとして得た。
得られた積層フィルムの物性を表1に示すが、融解エンタルピーと結晶化エンタルピーの差は実施例5よりもさらに小さく、MOR、透過率ともに低いものとなっていた。
得られた積層フィルムを、さらに160℃の温度に設定したロール群で加熱した後、フィルムが破断するまで延伸したところ延伸倍率(160℃での破断伸度X)は4.2倍であった。そこで、フィルム長手方向に4.0倍に延伸し、再延伸フィルムとした。
得られた再延伸フィルムの物性を表1に示すが、再延伸方向に相当するフィルム長手方向に高いヤング率と低い線膨張係数(40~50℃)を示すもので、製品への加工時や実使用時においても、良好に使用できるものであった。また、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率の違いに由来する干渉反射特性を示すものであり、実施例5と同等レベルの偏光反射特性を示し、偏光反射部材として非常に高い性能であった。一方で、フィルム長手方向に若干の性能のムラが見られていた。
(実施例9)
実施例5と同様に得られたキャストフィルムを、以下の製造方法にて二軸延伸フィルムとした。
キャストフィルムは、10℃の温度に設定したロール群で加熱した後、フィルム長手方向に135℃の温度に設定されたロールで4.2倍に延伸し、その後一旦冷却した。このようにして得られた一軸延伸フィルムをテンターに導き、115℃の温度の熱風で予熱後、135℃の温度でフィルム幅方向に3.5倍延伸し、二軸延伸フィルムをフィルムロールとして得た。
得られた積層フィルムの物性を表1に示すが、融解エンタルピーと結晶化エンタルピーの差およびMOR、透過率も実施例5よりも大きくなっており、
得られた積層フィルムを、さらに160℃の温度に設定したロール群で加熱した後、フィルムが破断するまで延伸したところ延伸倍率(160℃での破断伸度X)は2.0倍であった。そこで、フィルム長手方向に1.8倍に延伸し、再延伸フィルムとした。
得られた再延伸フィルムの物性を表1に示すが、再延伸方向に相当するフィルム長手方向に高いヤング率と低い線膨張係数(40~50℃)を示すもので、製品への加工時や実使用時においても、良好に使用できるものであった。また、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率の違いに由来する干渉反射特性を示すが、実施例5と比較すると偏光反射特性はやや低下していた。
(実施例10)
実施例5で得られた積層フィルムを用いて、以下のとおり再延伸し、再延伸フィルムを得た。
得られた積層フィルムを、さらにテンターに導き、115℃の温度の熱風で予熱後、160℃の温度でフィルムが破断するまで延伸したところ延伸倍率(160℃での破断伸度X)は2.0倍延伸であった。そこで、フィルム幅方向に1.8倍に延伸し、再延伸フィルムとした。
得られた再延伸フィルムの物性を表1に示すが、再延伸方向に相当するフィルム幅方向に高いヤング率と低い線膨張係数(40~50℃)を示すものであったが、実施例5よりもやや低い数値となっており、製品への加工時や実使用時においても、湿熱試験ではややカールが見られるものであった。また、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率の違いに由来する干渉反射特性を示すものであったが、実施例5よりも偏光反射特性は低下していた。
(実施例11)
結晶性ポリエステルとして、共重合PEN1を10重量%、共重合PEN2を90重量%混合して用いた以外は、実施例4と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムの物性を表1に示すが、融解エンタルピーと結晶化エンタルピーの差は実施例5と同様に小さく、MOR、透過率ともに低いものとなっていた。
得られた積層フィルムを、さらに160℃の温度に設定したロール群で加熱した後、フィルムが破断するまで延伸したところ延伸倍率(160℃での破断伸度X)は3.4倍であった。そこで、フィルム長手方向に3.2倍に延伸し、再延伸フィルムとした。
得られた再延伸フィルムの物性を表1に示すが、再延伸方向に相当するフィルム長手方向に高いヤング率と低い線膨張係数(40~50℃)を示すもので、製品への加工時や実使用時においても、良好に使用できるものであった。また、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率の違いに由来する干渉反射特性を示すものであり、実施例5と比較して2種類の樹脂を混合して用いた効果でさらに高い偏光反射特性を示し、偏光反射部材として非常に高い性能であった。
(実施例12)
結晶性ポリエステルとして、ガラス転移温度が112℃で、ジカルボン酸成分として2,6-ナフタレンジカルボン酸95mol%、イソフタル酸5mol%を用い、ジオール成分としてエチレングリコール90mol%、ネオペンチルグリコール10mol%を用いて共重合した共重合PEN(共重合PEN5)を、熱可塑性樹脂Bとして融点を持たない非晶性樹脂でありガラス転移温度が98℃で、ジカルボン酸成分として2,6-ナフタレンジカルボン酸50mol%と、テレフタル酸50mol%を用い、ジオール成分としてエチレングリコール90mol%と、ネオペンチルグリコール10mol%を用いて共重合した共重合PEN(共重合PEN6)を用いた以外は、実施例4と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムの物性を表2に示すが、融解エンタルピーと結晶化エンタルピーの差は実施例5よりもさらに小さく、MOR、透過率ともに低いものとなっていた。
得られた積層フィルムを、さらに160℃の温度に設定したロール群で加熱した後、フィルムが破断するまで延伸したところ延伸倍率(160℃での破断伸度X)は3.2倍であった。そこで、フィルム長手方向に3.0倍に延伸し、再延伸フィルムとした。
得られた再延伸フィルムの物性を表2に示すが、再延伸方向に相当するフィルム長手方向に高いヤング率と低い線膨張係数(40~50℃)を示すもので、製品への加工時や実使用時においても、良好に使用できるものであった。また、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率の違いに由来する干渉反射特性を示すものであり、実施例4と比較してもさらに高い偏光反射特性を示し、偏光反射部材として非常に高い性能であった。
(実施例13)
熱可塑性樹脂Bとして融点を持たない非晶性樹脂でありガラス転移温度が92℃で、ジカルボン酸成分として2,6-ナフタレンジカルボン酸35mol%と、テレフタル酸65mol%を用い、ジオール成分としてエチレングリコール90mol%と、ネオペンチルグリコール10mol%を用いて共重合した共重合PEN(共重合PEN6)を用いた以外は、実施例12と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムの物性を表2に示すが、融解エンタルピーと結晶化エンタルピーの差は実施例5よりもさらに小さく、MOR、透過率ともに低いものとなっていた。
得られた積層フィルムを、さらに160℃の温度に設定したロール群で加熱した後、フィルムが破断するまで延伸したところ延伸倍率(160℃での破断伸度X)は3.4倍であった。そこで、フィルム長手方向に3.2倍に延伸し、再延伸フィルムとした。
得られた再延伸フィルムの物性を表2に示すが、再延伸方向に相当するフィルム長手方向に高いヤング率と低い線膨張係数(40~50℃)を示すもので、製品への加工時や実使用時においても、良好に使用できるものであった。また、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率の違いに由来する干渉反射特性を示すものであり、実施例4と比較してもさらに高い偏光反射特性を示し、偏光反射部材として非常に高い性能であった。
(実施例14)
結晶性ポリエステルとして、ガラス転移温度が110℃で、ジカルボン酸成分として2,6-ナフタレンジカルボン酸90mol%、イソフタル酸10mol%を用い、ジオール成分としてエチレングリコール90mol%、ネオペンチルグリコール10mol%を用いて共重合した共重合PEN(共重合PEN8)を用いた以外は、実施例13と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムの物性を表2に示すが、融解エンタルピーと結晶化エンタルピーの差は実施例5よりもさらに小さく、MOR、透過率ともに低いものとなっていた。
得られた積層フィルムを、さらに160℃の温度に設定したロール群で加熱した後、フィルムが破断するまで延伸したところ延伸倍率(160℃での破断伸度X)は3.0倍であった。そこで、フィルム長手方向に2.8倍に延伸し、再延伸フィルムとした。
得られた再延伸フィルムの物性を表2に示すが、再延伸方向に相当するフィルム長手方向に高いヤング率と低い線膨張係数(40~50℃)を示すが、実施例4よりも若干ヤング率は低く、加工時のハンドリング性も若干劣るものであった。また、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの屈折率の違いに由来する干渉反射特性を示すものの、実施例4と比較すると偏光反射特性は若干低下しているものであった。
(比較例1)
キャストフィルムとして、PENの単層のフィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてフィルム(実施例1の積層フィルムに相当)を得た。 得られたフィルムの物性を表2に示すが、融解エンタルピーと結晶化エンタルピーの差は大きく、MORは実施例1対比で高いものとなっていた。
得られたフィルムを、さらに160℃の温度に設定したロール群で加熱した後、フィルムが破断するまで延伸したところ延伸倍率(160℃での破断伸度X)は1.5倍であった。そこで、フィルム長手方向に1.3倍に延伸し、再延伸フィルムとした。
得られた再延伸フィルムの物性を表2に示すが、再延伸方向に相当するフィルム長手方向に高いヤング率と低い線膨張係数(40~50℃)を示すもの、積層構造を有さないため、特異な反射性能は示さず、さらに実施例1のフィルムと比較するとフィルムが脆くなっているため、ハンドリング性が低下していた。このフィルムは、製品への加工時にフィルム破断が発生し、連続生産性に劣るものであった。
(比較例2)
用いられる積層装置をスリット数が3個である装置を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてフィルム(実施例1の積層フィルムに相当)を得た。 得られたフィルムの物性を表2に示すが、融解エンタルピーと結晶化エンタルピーの差は大きく、MORは実施例1対比で高いものとなっていた。
得られたフィルムを、さらに160℃の温度に設定したロール群で加熱した後、フィルムが破断するまで延伸したところ延伸倍率(160℃での破断伸度X)は1.6倍であった。そこで、フィルム長手方向に1.4倍に延伸し、再延伸フィルムとした。
得られた再延伸フィルムの物性を表2に示すが、再延伸方向に相当するフィルム長手方向に高いヤング率と低い線膨張係数(40~50℃)を示すもの、積層構造を有さないため、特異な反射性能は示さず、さらに実施例1のフィルムと比較するとフィルムが脆くなっているため、ハンドリング性が低下していた。このフィルムは、製品への加工時にフィルム破断が発生し、連続生産性に劣るものであった。
(比較例3)
実施例5と同様にして得られたキャストフィルムを、120℃の温度に設定したロール群で加熱した後、フィルム長手方向に135℃の温度に設定されたロールで4.5倍に延伸し、その後一旦冷却した。
このようにして得られた一軸延伸フィルムをテンターに導き、135℃の温度の熱風で予熱後、150℃の温度でフィルム幅方向に4.5倍延伸し、二軸延伸フィルムをフィルムロールとして得た。
得られた積層フィルムの物性を表2に示すが、融解エンタルピーと結晶化エンタルピーの差およびMOR、透過率も実施例5よりも大きくなっており、
得られた積層フィルムを、さらに160℃の温度に設定したロール群で加熱した後、フィルムが破断するまで延伸したところ延伸倍率(160℃での破断伸度X)は1.5倍であった。そこで、フィルム長手方向に1.3倍に延伸し、再延伸フィルムとした。
得られた再延伸フィルムの物性を表2に示すが、再延伸方向に相当するフィルム長手方向のヤング率、線膨張係数(40~50℃)はいずれも実施例5よりも低下しており、製品への加工時にフィルム破断が発生し、連続生産性に劣るものであった。
(比較例4)
実施例5と同様にして得られたキャストフィルムを、120℃の温度に設定したロール群で加熱した後、フィルム長手方向に135℃の温度に設定されたロールで4.5倍に延伸し、その後一旦冷却した。
このようにして得られた一軸延伸フィルムをテンターに導き、135℃の温度の熱風で予熱後、150℃の温度でフィルム幅方向に4.5倍延伸し、さらに連続して220℃に加熱されたオーブン内を搬送することによって、熱処理を実施した。得られた二軸延伸フィルムの両端をトリミングすることにより、目的とする積層フィルムをフィルムロールとして得た。
得られた積層フィルムの物性を表2に示すが、融解エンタルピーと結晶化エンタルピーの差およびMOR、透過率も実施例5よりも大きくなっており、
得られた積層フィルムを、さらに160℃の温度に設定したロール群で加熱した後、フィルムが破断するまで延伸したところ、全く延伸することなく直ちに破断し、再延伸フィルムの製造に適さないものであった。
Figure 0006992259000001
Figure 0006992259000002
1.フィルム長手方向
2.フィルム長手方向を含む入射面に対して垂直な偏光
3.フィルム長手方向を含む入射面に対して平行な偏光

Claims (7)

  1. 結晶性ポリエステルからなるA層と前記結晶性ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂BからなるB層が交互に合計11層以上積層されてなる積層フィルムであって、示差走査熱量測定(DSC)において観測される融解エンタルピー(ΔHm)と結晶化エンタルピー(ΔHc)の差(|ΔHc-ΔHm|)が3J/g以上10J/g以下であり、前記積層フィルムの長手方向または長手方向に直交する方向における160℃での長さ150mm×幅10mmのサンプルの破断伸度が300%以上であり、前記結晶性ポリエステルを構成するカルボン酸成分のうち、ナフタレンジカルボン酸を50mol%以上90mol%以下含み、前記熱可塑性樹脂Bが非晶性のポリエチレンナフタレート共重合体樹脂であることを特徴とする積層フィルム
  2. 分子配向計にて測定されるフィルム幅方向中央のMORが1.5以下であることを特徴とする請求項に積層フィルム。
  3. 積層フィルムのフィルム長手方向を含む入射面に対して平行な偏光成分について入射角度0°での透過率をT1、積層フィルムの長手方向を含む入射面に対して垂直な偏光成分について入射角度0°での透過率をT2とした場合、波長400~1400nmにおける透過率T1、T2の最小値がいずれも60%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 下記式(1)から求められる波長400~1400nmでの積層フィルムの偏光度Pの最大値が20%以下であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の積層フィルム。
    P(λ)=(T2(λ)―T1(λ))/(T2(λ)+T1(λ))・・式(1)
    λ:測定波長(nm、400~1400nm)
  5. 示差走査熱量測定(DSC)による5J/g以上である融解ピークが一つしか確認されないことを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 積層フィルムを長手方向に延伸した際にフィルムが破断する倍率がX倍、積層フィルムを長手方向に直交する方向に延伸した際にフィルムが破断する倍率がX’倍であったとき、前記積層フィルムを長手方向に(X-0.2)倍延伸した再延伸フィルム、あるいは、前記積層フィルムを長手方向に直交する方向に(X’-0.2)倍延伸した再延伸フィルムの延伸方向を含む入射面に対して平行な偏光成分について入射角度10°での反射率をR3、延伸方向を含む入射面に対して垂直な偏光成分について入射角度10°での反射率をR4とした場合、波長550nmにおける反射率が下記式(2)および式(3)を満足すること特徴とする請求項1~のいずれかに記載の積層フィルム。
    R3(550)≧70% ・・・式(2)
    R4(550)≦40% ・・・式(3)。
  7. 請求項1~のいずれかに記載の積層フィルムを1.3~4倍延伸し、下記式(2)および式(3)を満足する偏光反射体を製造する偏光反射体の製造方法。
    R3(550)≧70% ・・・式(2)
    R4(550)≦40% ・・・式(3)。
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